特許第6856536号(P6856536)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6856536解放式ローラークラッチ及びそれを使用する調整可能なヒンジアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856536
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】解放式ローラークラッチ及びそれを使用する調整可能なヒンジアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F16D 41/06 20060101AFI20210329BHJP
   F16D 41/067 20060101ALI20210329BHJP
   F16D 7/02 20060101ALI20210329BHJP
   F16D 43/21 20060101ALI20210329BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   F16D41/06 B
   F16D41/06 D
   F16D41/067
   F16D7/02 A
   F16D43/21
   F16C11/04 F
【請求項の数】21
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-546217(P2017-546217)
(86)(22)【出願日】2016年3月3日
(65)【公表番号】特表2018-511010(P2018-511010A)
(43)【公表日】2018年4月19日
(86)【国際出願番号】US2016020655
(87)【国際公開番号】WO2016141168
(87)【国際公開日】20160909
【審査請求日】2019年2月22日
(31)【優先権主張番号】62/127,547
(32)【優先日】2015年3月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507369567
【氏名又は名称】サウスコ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100174942
【弁理士】
【氏名又は名称】平方 伸治
(72)【発明者】
【氏名】ユージーン ノビン
【審査官】 中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−182587(JP,A)
【文献】 特開2011−133103(JP,A)
【文献】 実開昭63−146249(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 1/00− 9/10
F16D 41/00−47/06
F16C 11/00−11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
前記シャフトの周りに位置付けされるクラッチハウジングであって、前記シャフトと前記クラッチハウジングとが一緒にそれらの間に空間を画定する、クラッチハウジングと、
前記シャフトと前記クラッチハウジングとの間に画定された前記空間内に位置付けされるローラーであって、当該ローラーがくさび留めされないロック解除位置に当該ローラーがある場合に、前記クラッチハウジングに対する前記シャフトの回転を可能にし、当該ローラーがくさび留めされるロック位置に当該ローラーがある場合に、前記クラッチハウジングに対する前記シャフトの回転を防止する、ローラーと、
前記シャフトと前記クラッチハウジングとの間に画定された前記空間内へと延在するケージであって、当該ケージは、一体型であり、ロッキング解除位置とロッキング位置との間で前記クラッチハウジングに対して回転可能であり、当該ケージがロッキング解除位置にある場合に、前記ロック解除位置から前記ロック位置まで前記ローラーが移動するのを防止するように位置付け可能である接触縁部を有する、ケージと、
を備え、
前記ケージが前記ロッキング解除位置にある場合に、前記クラッチハウジングに対する前記シャフトの両方向への回転を可能にする、解放式ローラークラッチ。
【請求項2】
前記ケージを前記ロッキング位置から前記ロッキング解除位置まで、又は、前記ロッキング解除位置から前記ロッキング位置まで、駆動するように位置付け可能であるアクチュエータをさらに備える、請求項1に記載の解放式ローラークラッチ。
【請求項3】
前記アクチュエータが、前記ケージを前記ロッキング位置に向かって駆動するように付勢される、請求項2に記載の解放式ローラークラッチ。
【請求項4】
過負荷保護を提供する調整可能なヒンジアセンブリにおいて、
シャフトと、
ローラークラッチであって、当該ローラークラッチが、前記シャフトの周りに位置付けされるクラッチハウジングと、前記シャフトと前記クラッチハウジングとの間に画定された空間内に位置付けされるローラーであって、当該ローラーがロック解除位置にある場合に前記クラッチハウジングに対する前記シャフトの回転を可能にし、当該ローラーがロック位置にある場合に前記クラッチハウジングに対する前記シャフトの回転を防止する、ローラーと、を有し、当該ローラークラッチが、前記シャフトと前記クラッチハウジングとの間に画定された前記空間内へと延在するケージであって、ロッキング解除位置とロッキング位置との間で前記クラッチハウジングに対して移動可能である、ケージも有し、前記ケージが前記ロッキング解除位置にある場合に、前記クラッチハウジングに対する前記シャフトの両方向への回転を可能にする、ローラークラッチと、
前記シャフトに結合され、かつ、前記シャフトの回転を抑制するように位置付けされたトルク要素であって、摩擦トルクを提供する、トルク要素と、
を備え、
前記トルク要素が、前記ローラークラッチの前記ケージが前記ロッキング位置にある場合及び前記ローラーがロック位置にある場合に、前記シャフトの回転を抑制し、したがって、前記クラッチハウジング上の負荷が既定のトルクを上回った場合には、前記シャフトの回転を可能にする過負荷保護を提供する、調整可能なヒンジアセンブリ。
【請求項5】
組付け要素をさらに備え、前記トルク要素が、前記組付け要素に結合され、かつ、前記組付け要素に対して前記シャフトの回転を抑制するように位置付けされている、請求項4に記載の調整可能なヒンジアセンブリ。
【請求項6】
解放式ローラークラッチ及び調整可能なヒンジを伴う調整可能なヒンジアセンブリにおいて、
組付け要素と、
前記組付け要素に対して回転するために結合されるシャフトと、
ローラークラッチであって、当該ローラークラッチが、前記シャフトの周りに位置付けされるクラッチハウジングと、前記シャフトと前記クラッチハウジングとの間に画定された空間内に位置付けされるローラーであって、当該ローラーがロック解除位置にある場合に前記クラッチハウジングに対する前記シャフトの回転を可能にし、当該ローラーがロック位置にある場合に前記クラッチハウジングに対する前記シャフトの回転を防止する、ローラーと、を有し、当該ローラークラッチが、前記シャフトと前記クラッチハウジングとの間に画定された前記空間内へと延在するケージであって、ロッキング解除位置とロッキング位置との間で前記クラッチハウジングに対して移動可能である、ケージも有し、前記ケージが前記ロッキング解除位置にある場合に、前記クラッチハウジングに対する前記シャフトの両方向への回転を可能にする、ローラークラッチと、
前記シャフトに結合され、かつ、前記組付け要素に対する前記シャフトの回転を抑制するように位置付けされた、トルク要素と、
前記ロッキング位置から前記ロッキング解除位置まで前記ケージを移動させるように結合された、アクチュエータと、
を備える、調整可能なヒンジアセンブリ。
【請求項7】
前記ローラークラッチの前記ケージを前記ロッキング位置に向かって付勢するように位置付けされた付勢メカニズムをさらに備え、前記アクチュエータが、前記ローラークラッチの前記ケージを前記付勢メカニズムに対抗して前記ロッキング解除位置に向かって移動させるように構成されている、請求項6に記載の調整可能なヒンジアセンブリ。
【請求項8】
前記シャフトに結合され、かつ、前記シャフトの回転を抑制するように位置付けされた、第1のトルク要素をさらに備え、前記トルク要素が、摩擦トルクを提供する、請求項1に記載の解放式ローラークラッチ。
【請求項9】
前記第1のトルク要素は、当該解放式ローラークラッチの前記ケージが前記ロッキング位置にある場合及び前記ローラーが前記ロック位置にある場合に、前記シャフトの回転を抑制し、したがって、前記クラッチハウジング上の負荷が既定のトルクを上回った場合には、前記シャフトの回転を可能にする過負荷保護を提供する、請求項8に記載の解放式ローラークラッチ。
【請求項10】
組付け要素をさらに備え、前記第1のトルク要素が、前記組付け要素の内部に位置付けされる、請求項8に記載の解放式ローラークラッチ。
【請求項11】
前記シャフトの回転を抑制するために前記シャフトに結合された第2のトルク要素をさらに備える、請求項10に記載の解放式ローラークラッチ。
【請求項12】
前記第2のトルク要素が、前記クラッチハウジングの内部に位置付けされる、請求項11に記載の解放式ローラークラッチ。
【請求項13】
前記第2のトルク要素が、前記第1のトルク要素によって提供される非対称摩擦トルクとは反対方向の非対称摩擦トルクを提供する、請求項12に記載の解放式ローラークラッチ。
【請求項14】
前記ケージを前記ロッキング位置から前記ロッキング解除位置まで移動させるように結合されたアクチュエータをさらに備える、請求項1に記載の解放式ローラークラッチ。
【請求項15】
前記アクチュエータが、プッシュロッドを含み、かつ、前記シャフトに向かう又は前記シャフトから離れる方向で前記プッシュロッド上に力が加えられた時点で起動するように構成されている、請求項14に記載の解放式ローラークラッチ。
【請求項16】
前記クラッチハウジングに結合された近位端部部分と、前記クラッチハウジングから延在する遠位端部部分と、を有する、トレーテーブルをさらに備える、請求項6に記載の調整可能なヒンジアセンブリ。
【請求項17】
前記トルク要素は、前記解放式ローラークラッチの前記ケージが前記ロッキング位置にある場合及び前記ローラーが前記ロック位置にある場合に、前記シャフトの回転を抑制し、したがって、前記クラッチハウジング上の負荷が既定のトルクを上回った場合には、前記シャフトの回転を可能にする過負荷保護を提供する、請求項4に記載の調整可能なヒンジアセンブリ。
【請求項18】
組付け要素をさらに備え、前記トルク要素が、前記組付け要素の内部に位置付けされる、請求項4に記載の調整可能なヒンジアセンブリ。
【請求項19】
前記シャフトの回転を抑制するために前記シャフトに結合された第2のトルク要素をさらに備える、請求項4に記載の調整可能なヒンジアセンブリ。
【請求項20】
前記第2のトルク要素が、前記クラッチハウジングの内部に位置付けされる、請求項19に記載の調整可能なヒンジアセンブリ。
【請求項21】
前記第2のトルク要素が、前記第1のトルク要素によって提供される非対称摩擦トルクとは反対方向の非対称摩擦トルクを提供する、請求項19に記載の調整可能なヒンジアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本明細書中に内容全体があらゆる目的のために参照により援用される、2015年3月3日出願の「解放式ローラークラッチ及びそれを使用する調整可能なヒンジ」という名称の米国仮特許出願第62/127,547号に関連し、その優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、ローラークラッチ、調整可能なヒンジ、並びに、ローラークラッチ及び調整可能なヒンジを含むことができるトレーテーブルアセンブリなどのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
ローラークラッチは典型的に、一方向だけの回転を可能にする。このようなローラークラッチにおいて、ローラーは、ローラークラッチが所望されない方向に回転した時点で、ローラークラッチの2つの表面の間のくさび留めによって、所望されない方向への回転を防止する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の態様は、ローラークラッチ、調整可能なヒンジ、並びに、ローラークラッチ及び調整可能なヒンジを含むことができるトレーテーブルアセンブリなどのシステムを提供する。
【0005】
本発明の一態様によると、解放式ローラークラッチは、シャフトと、シャフトの周りに位置付けされたクラッチハウジングと、を含む。シャフトとクラッチハウジングとは一緒に、それらの間に空間を画定する。シャフトとクラッチハウジングとの間に画定された空間内に、ローラーを位置付けすることができる。ローラーがくさび留めされないロック解除位置にローラーがある場合に、ローラーは、クラッチハウジングに対するシャフトの回転を可能にし、一方、ローラーがくさび留めされるロック位置にローラーがある場合に、ローラーは、クラッチハウジングに対するシャフトの回転を防止する。解放式ローラークラッチは、シャフトとクラッチハウジングとの間に画定された空間内へと延在するケージを有する。ケージは、ロッキング解除位置とロッキング位置との間でクラッチハウジングに対して移動可能である。ケージは、ケージがロッキング解除位置にある場合に、ローラーがロック解除位置からロック位置まで移動するのを防止するように、位置付け可能である接触縁部を有する。解放式ローラークラッチは、ケージがロッキング解除位置にある場合に、クラッチハウジングに対するシャフトの両方向への回転を可能にする。
【0006】
一実施形態において、解放式ローラークラッチは、ケージをロッキング位置からロッキング解除位置まで、又は、ロッキング解除位置からロッキング位置まで、駆動するように位置付け可能であるアクチュエータも含むことができる。アクチュエータは、ケージをロッキング位置に向かって駆動するように付勢されることができる。
【0007】
他の実施形態において、解放式ローラークラッチは、シャフトに結合され且つシャフトの回転を抑制するように位置付けされた第1のトルク要素を含んでもよい。トルク要素は、摩擦トルクを提供し得る。第1のトルク要素は、解放式ローラークラッチのケージがロッキング位置にある場合及びローラーがロック位置にある場合に、シャフトの回転を抑制してもよく、したがって、クラッチハウジング上の負荷が既定のトルクを上回った場合には、シャフトの回転を可能にする過負荷保護を提供する。
【0008】
さらなる実施形態において、解放式ローラークラッチは、組付け要素の内部に位置付けされた第1のトルク要素及び/又はシャフトの回転を抑制するためにシャフトに結合された第2のトルク要素を有してもよい。第2のトルク要素は、クラッチハウジングの内部に位置付けされてもよい。第2のトルク要素は、第1のトルク要素によって提供される非対称摩擦トルクとは反対方向の非対称摩擦トルクを提供するように構成されてもよい。
【0009】
さらなる実施形態において、解放式ローラークラッチは、ケージをロッキング位置からロッキング解除位置まで移動させるように結合されたアクチュエータを含む。アクチュエータは、プッシュロッドを有してもよく、アクチュエータスリーブに向かう方向又はアクチュエータスリーブから離れる方向でプッシュロッド上に力が加えられた時点で起動するように構成されてもよい。
【0010】
本発明の他の態様によると、過負荷保護を提供する調整可能なヒンジアセンブリが、シャフトと、シャフトの周りに位置付けされたクラッチハウジングを有するローラークラッチと、を含む。調整可能なヒンジアセンブリはさらに、シャフトとクラッチハウジングとの間に画定された空間内に位置付けされたローラーを含む。ローラーは、ローラーがロック解除位置にある場合に、クラッチハウジングに対するシャフトの回転を可能にし、一方、ローラーは、ローラーがロック位置にある場合に、クラッチハウジングに対するシャフトの回転を防止する。ローラークラッチは、同様に、シャフトとクラッチハウジングとの間に画定された空間内へと延在するケージを含む。ケージは、ロッキング解除位置とロッキング位置との間でクラッチハウジングに対して移動可能である。ローラークラッチは、ケージがロッキング解除位置にある場合に、クラッチハウジングに対するシャフトの両方向への回転を可能にする。さらに、調整可能なヒンジアセンブリは、シャフトに結合され且つシャフトの回転を抑制するように位置付けされた、トルク要素を含む。トルク要素は、摩擦トルクを提供し、ローラークラッチのケージがロッキング位置にある場合及びローラーがロック位置にある場合に、シャフトの回転を抑制し、したがって、クラッチハウジング上の負荷が既定のトルクを上回った場合には、シャフトの回転を可能にする過負荷保護を提供する。
【0011】
一実施形態において、調整可能なヒンジアセンブリは、シャフトがトルク要素に対して異なる方向に回転させられた場合に、異なる摩擦トルクを提供するように構成されたトルク要素を含む。トルク要素は、解放式ローラークラッチのケージがロッキング位置にある場合及びローラーがロック位置にある場合に、シャフトの回転を抑制してもよく、したがって、クラッチハウジング上の負荷が既定のトルクを上回った場合には、シャフトの回転を可能にする過負荷保護を提供する。トルク要素は、組付け要素の内部に位置付けされてもよい。
【0012】
他の実施形態において、調整可能なヒンジアセンブリは、シャフトの回転を抑制するためにシャフトに結合された第2のトルク要素を含む。第2のトルク要素は、クラッチハウジング内に位置付けされてもよい。第2のトルク要素は、第1のトルク要素によって提供される非対称摩擦トルクとは反対方向の非対称摩擦トルクを提供してもよい。
【0013】
本発明のさらなる態様は、解放式ローラークラッチ及び調整可能なヒンジを伴う調整可能なヒンジアセンブリにおいて、組付け要素と、組付け要素に対して回転するために結合されたシャフトと、シャフトの周りに位置付けされたクラッチハウジングを有するローラークラッチと、を含む、調整可能なヒンジアセンブリを提供する。ローラークラッチは、シャフトとクラッチハウジングとの間に画定された空間内に位置付けされたローラーを含む。ローラーは、ローラーがロック解除位置にある場合に、クラッチハウジングに対するシャフトの回転を可能にし、ローラーがロック位置にある場合に、クラッチハウジングに対するシャフトの回転を防止する。ローラークラッチは、シャフトとクラッチハウジングとの間に画定された空間内へと延在するケージも有する。ケージは、ロッキング解除位置とロッキング位置との間でクラッチハウジングに対して移動可能である。ローラークラッチは、ケージがロッキング解除位置にある場合に、クラッチハウジングに対するシャフトの両方向への回転を可能にする。調整可能なヒンジアセンブリは、シャフトに結合され且つ組付け要素に対するシャフトの回転を抑制するように位置付けされた、トルク要素をさらに含む。さらに、トレーテーブルアセンブリは、ロッキング位置からロッキング解除位置までケージを移動させるように結合されたアクチュエータを有する。
【0014】
一実施形態において、調整可能なヒンジアセンブリは、ローラークラッチのケージをロッキング位置に向かって付勢するように位置付けされた付勢メカニズムも含んでもよく、アクチュエータは、ローラークラッチのケージを付勢メカニズムに対抗してロッキング解除位置に向かって移動させるように構成されることができる。
【0015】
他の実施形態において、調整可能なヒンジアセンブリは、クラッチハウジングに結合された近位端部部分と、クラッチハウジングから延在する遠位端部部分と、を有する、トレーテーブルを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明は、類似の要素が同じ参照番号を有する添付図面と関連させて以下の詳細な説明を読んだ場合に、最も良く理解できる。複数の類似の要素が存在する場合、複数の類似の要素に対して、特定の要素を意味する小文字呼称を伴って単一の参照番号が割当てられ得る。
【0017】
図1】本発明の態様に係る、トレーテーブルアセンブリ内に内蔵された解放式ローラークラッチアセンブリの一実施形態を下位位置で描く斜視図である。
図2】内部構成要素を見せるために選択された部分が取外されている、図1のトレーテーブルアセンブリを描く斜視図である。
図3図1のトレーテーブルアセンブリの分解斜視図である。
図4図1のトレーテーブルアセンブリの構成要素の分解斜視図である。
図5a図1のトレーテーブルアセンブリの構成要素の断面前面図である。
図5b図1のトレーテーブルアセンブリの構成要素の断面前面図である。
図6a図1のトレーテーブルアセンブリの構成要素の断面端面図である。
図6b図1のトレーテーブルアセンブリの構成要素の断面端面図である。
図7a図1のトレーテーブルアセンブリ内で使用できるケージ構成要素の一実施形態を描いている。
図7b図1のトレーテーブルアセンブリ内で使用できるケージ構成要素の一実施形態を描いている。
図7c図1のトレーテーブルアセンブリ内で使用できるケージ構成要素の一実施形態を描いている。
図7d図1のトレーテーブルアセンブリ内で使用できるケージ構成要素の一実施形態を描いている。
図7e図1のトレーテーブルアセンブリ内で使用できるケージ構成要素の一実施形態を描いている。
図7f図1のトレーテーブルアセンブリ内で使用できるケージ構成要素の一実施形態を描いている。
図7g図1のトレーテーブルアセンブリ内で使用できるケージ構成要素の一実施形態を描いている。
図8a図1のトレーテーブルアセンブリ内で使用できるクラッチハウジング構成要素の一実施形態を描いている。
図8b図1のトレーテーブルアセンブリ内で使用できるクラッチハウジング構成要素の一実施形態を描いている。
図8c図1のトレーテーブルアセンブリ内で使用できるクラッチハウジング構成要素の一実施形態を描いている。
図8d図1のトレーテーブルアセンブリ内で使用できるクラッチハウジング構成要素の一実施形態を描いている。
図8e図1のトレーテーブルアセンブリ内で使用できるクラッチハウジング構成要素の一実施形態を描いている。
図9a図1のトレーテーブルアセンブリ内で使用できるアクチュエータスリーブ構成要素の一実施形態を描いている。
図9b図1のトレーテーブルアセンブリ内で使用できるアクチュエータスリーブ構成要素の一実施形態を描いている。
図9c図1のトレーテーブルアセンブリ内で使用できるアクチュエータスリーブ構成要素の一実施形態を描いている。
図10】解放式ローラークラッチアセンブリの他の実施形態の分解図であるが、本発明の態様に係るアクチュエータは無い。
図11A】本発明の態様に係るアクチュエータの他の実施形態の斜視図である。
図11B図11Aのアクチュエータの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、本明細書中で特定の実施形態に関して例示され説明されているが、本発明は、示された詳細に限定されることは意図されていない。むしろ、特許請求の範囲の範囲内及び特許請求の範囲の等価物の範囲内で、本発明から逸脱することなく、詳細内にさまざまな修正を加えることができる。さらに、当業者であれば、異なる努力傾注分野において実施形態のさまざまな態様を容易に利用できるであろう。
【0019】
一方向のみにおいて抑制の無い回転が望まれる場合には、一方向ローラークラッチを利用することができる。このようなローラークラッチにおいては、望ましくない方向に回転した時点で直ちに一方向クラッチがロックすることを保証するために、くさび留めが発生する位置に向かってローラーを付勢すべく、バネが使用され得る。このような一方向ローラークラッチアセンブリの単純さは、破損及びメンテナンスに関連するコストを有利に削減することができる。
【0020】
ここで図を参照すると、図1は、本発明の態様に係る、トレーテーブルアセンブリに内蔵された解放式ローラークラッチアセンブリの一実施形態を下位位置で描いた斜視図である。概観として、アセンブリ100は、アクチュエータ120、アクチュエータスリーブ122、クラッチハウジング140、シャフト230(図2)、ケージ210(図2)、及び、1つ以上のローラー260を含み得る。
【0021】
アクチュエータ120は、アクチュエータスリーブ122に結合される。アクチュエータ120は、押しボタン、レバー、スイッチ、ラッチリリース、ダイヤル、電子メカニズム、又は、アクチュエータスリーブ122に影響を及ぼす任意の他の機械式又は電気機械式システムとして設計されてもよい。代替的に、起動は、アクチュエータスリーブ122を直接起動することによって、例えばアクチュエータ120及びアクチュエータスリーブ122を組み合わせることによって、達成されてもよく、これによって、アクチュエータ120の任意の除去を可能にする。
【0022】
一実施形態において、解放式ローラークラッチアセンブリ100は、図1に示されている折畳み可能なトレーテーブルシステム内で利用される。このような実施形態において、ローラークラッチアセンブリ100は、トレー110と、アクチュエータ組付けプレート112と、を含む。トレー110は、解放式ローラークラッチアセンブリ100を利用するトレーテーブルシステムの近位端部116において、1つ以上のクラッチハウジング140に取付けられ得る。アクチュエータ組付けプレート112は、構造、例えばトレー110に対するアクチュエータ120の取付けを容易にする。さらに、アクチュエータ組付けプレート112は、トレー110に対してさらなる支持及び剛性を提供し得る。
【0023】
好ましくは、アクチュエータ120は、解放式ローラークラッチアセンブリ100上に人間工学的に位置付けされる。例えば、アクチュエータ120は、ユーザーによるアクセスを容易にするために、解放式ローラークラッチアセンブリ100の遠位端部114及び/若しくは近位端部116及び/若しくはトレーテーブルシステムのトレー110に、又は、これらの近くに、位置付けされてもよい。
【0024】
起動時点でアクチュエータ120がアクチュエータスリーブ122に影響を及ぼすことができるようにするために、アクチュエータ120は、直接的に、又は、間接的に、例えば、さまざまな機械的機能に対する取付けを通して、及び/又は、電子通信によって、アクチュエータ122スリーブに結合されてもよい。一実施形態において、アクチュエータ120は、例えば、ピン322、圧接、ネジ切りなどの機械的手段を用いて、及び/又は、接着剤などの非機械的手段を用いて、アクチュエータロッド124、アクチュエータ圧力安定器129及びアクチュエータスリーブコネクタ126に結合することによって、アクチュエータスリーブ122に対して間接的に結合される。
【0025】
アクチュエータ120とアクチュエータスリーブ122との間に位置設定されたトレー110又は他の構造に対して、アクチュエータロッド124、アクチュエータ圧力安定器129又はアクチュエータコネクタ126を固定するために、固定用機能128a及び/又は128bが利用されてもよい。アクチュエータ圧力安定器129は、アクチュエータ120とアクチュエータスリーブ122との間に位置付けされたバネ要素326及びスリーブ324を含み得る。アクチュエータ圧力安定器129は、アクチュエータスリーブ122を起動するために必要とされる力の量を増大させ、こうして偶発的起動を防止する。
【0026】
さらに、アクチュエータ圧力安定器129は、アクチュエータ120が起動されるにつれて一貫して起動が発生した感覚を提供することにより、解放式ローラークラッチアセンブリ100を使用しているときのユーザーの体験を増強させてもよい。他の実施形態において、例えば、アクチュエータ120の起動は、アクチュエータスリーブ122を直接的又は間接的に起動するメカニズムに対して、電子信号を送信する。
【0027】
図2は、内部構成要素を見せるために選択された部分が取外された状態で、図1のトレーテーブルアセンブリを描く斜視図である。シャフト230は、長手方向軸を有する。シャフト230は、材料の重量及びコストを削減するために中空円筒として、又は、解放式ローラークラッチアセンブリ100の強度及び耐久性を増大させるために中実円筒として、設計されてもよい。本明細書中の説明から、当業者であれば、不均一な幅、長さ、断面形状及び周囲を含む、シャフト230のさまざまな寸法を理解するであろう。
【0028】
シャフト230又はその一部分は、マウント130内に固定されてもよい。マウント130は、解放式ローラークラッチアセンブリ100を構造に貼合するために利用されてもよい。例えば、マウント130は、車の座席、飛行機の座席、扉、壁又は任意の他の構造の背面に貼合するように構成されてもよい。特定的に図4を参照すると、マウント130は、マウント130の内部表面132によって画定された凹部内に位置付けされる摩擦メカニズム290を含み得る。
【0029】
摩擦メカニズム290は、シャフト軸234の周りのシャフト230の回転に抵抗するため、シャフト230に対抗して摩擦を生成する。さらに、摩擦メカニズム290は、特定の回転方向においてトルクを生成し得る。一実施形態において、摩擦メカニズム290は、1つ以上のトルク要素292を含む。トルク要素292は、一方向だけに回転するための、又は、異なる方向に異なる摩擦トルクで回転するための、起動力をシャフトに提供するために、非対称であってもよい。一実施形態において、トルク要素292は、シャフトがトルク要素に対して第1及び第2の方向に回転させられた場合に、異なる摩擦トルクを提供してもよい。マウント130により画定された凹部内に摩擦メカニズム290を固定するために、ポート134がマウント130に取付けられてもよい。ポート134は、シャフト230を収容するための開口部を有する。
【0030】
本発明において使用可能なトルクシステムの例は、本明細書にその内容全体が参照により援用される、可変摩擦ヒンジという名称の2014年10月29日出願の米国特許出願第14/527,063号の中に記載されている。他のトルクシステムも同様に企図される。
【0031】
図3及び図6を参照すると、クラッチハウジング140は、シャフト230の周りに位置付けされている。クラッチハウジング140は、内部表面142を有する。1つ以上の刻み目144が、クラッチハウジング140の内部表面142により画定される。
【0032】
ここで図8dを参照すると、1つ以上の刻み目144は、最大深さ部分150を有する。刻み目144は同様に、1つ以上の勾配部分146及び少なくとも1つのポケット部分148を有してもよい。刻み目144の側面は、ポケット部分148の近傍で急峻な輪郭にされている。好ましくは、最大深さ部分150は、ポケット部分148内又は近傍において、刻み目144の側面に又は近傍にある。刻み目144の側面は、勾配部分146の近傍で緩やかな輪郭にされていてもよい。さらに、刻み目144の深さは、最大深さ部分150から、勾配部分146の輪郭を描いている刻み目144の縁部に向って、漸進的に減少している。
【0033】
図5a及び図5bを参照すると、シャフト230の外部表面232及びクラッチハウジング140の内部表面142は、間に空間を画定している。ケージ210が、シャフト230の外部表面232とクラッチハウジング140の内部表面142との間に画定された空間の中に延在する。さらに、ケージ210は、シャフト230及びクラッチハウジング140の一方又は両方と同時に接触するように構成され得る。
【0034】
ケージ210は、ケージ210の外部表面214からケージ210の内部表面216まで延在する間隙を画定する。ケージ210は、この間隙を取り囲んでもよい。クラッチハウジング140の内部表面142とシャフト230の外部表面232との間に画定された空間の中にケージ210を位置付けした時点で、間隙は完全に包含され得る。一実施形態において、間隙は、クラッチハウジング140とシャフト230との間の空間内にケージ210を位置付けした時点でアクセス不能である。
【0035】
図3及び図4を再び参照すると、1つ以上のローラー260は、ケージ210によって画定された間隙内に延在するように位置付けされている。ローラー260及び/又はケージ210によって画定される間隙の寸法は、1つ以上のローラー260がケージ210によって画定される間隙の内部で移動可能であるようなものである。ローラーは、間隙の内部で、第1の位置において自由に回転し、第2の位置において回転を抑制され得る。
【0036】
図3及び図4は、ケージ210によって画定された異なる間隙内に各々位置付け可能である5つのローラー260a、260b、260c、260d、260eを例示しているものの、当業者であれば、本明細書中の教示から逸脱することはなく、5つよりも多い又は少ないローラー260が使用され得るということを容易に理解するだろう。一実施形態において、ローラー260は円筒である。他の実施形態において、ローラー260は球である。好ましくは、1つ以上のローラー260の円周は、実質的に同じである。ローラー260に対するさまざまな修正は、当業者によって容易に理解され、かつ、本発明から逸脱しないということを理解されたい。
【0037】
図7a〜図7gは、さまざまな視点からケージ210の一実施形態を描いている。ケージ210は、ガタの量を削減するため、ケージ210により画定される間隙内に位置付けされたケージ脚部218を含むことができる。本明細書中で使用されるガタとは、ロッキング方向への回転の時点で、ローラークラッチアセンブリが直ちに、均等に、及び/又は、円滑にロックしない場合などに、ユーザーが感じる感覚である。ケージ脚部218は、変形後にその当初の形状を保持するバネ要素又は変形可能な要素として設計されてもよい。さらに、ケージ脚部218は、ケージ218によって画定される間隙の一方の端部に向かってローラー260を付勢することができる。好ましくは、ケージ脚部218は、ローラー260がくさび留めされる、及び/又は、転動若しくは移動が抑制される、ロック位置に向かってローラーを付勢する。
【0038】
一実施形態において、ケージ脚部218は、ケージ210から延在する、及び/又は、ケージ210の一体部分を形成する。ケージ脚部218の足状部分220は、ローラー260と接触するように設計される。図7a〜図7gは、2つの突起を有するケージ脚部218を描いているものの、当業者であれば、本発明から逸脱することなく、ケージ脚部218に対するさまざまな修正を容易に実現し得る。
【0039】
ケージ210は同様に、接触縁部226を含んでもよい。接触縁部226は、接触縁部226と接触している間のローラー260の転動又は移動を容易にするために、接触縁部226とローラー260との間の摩擦を削減するように設計されている。一実施形態において、接触縁部226は、ケージ210により画定される間隙内においてケージ脚部218の向かいに位置付けされている。
【0040】
ケージ210は、アクチュエータスリーブ122と直接的又は間接的に係合し得る係合区分222を含む。係合区分222は同様に、係合構成要素224を含むこともできる。係合構成要素224は、ケージ210の係合区分222から軸方向及び半径方向の両方に延在する。一実施形態において、係合構成要素224は、クラッチハウジング140と係合する。他の実施形態において、係合構成要素224は、クラッチハウジング140及びアクチュエータスリーブ122の両方と係合する。
【0041】
図9を参照すると、アクチュエータスリーブ122は、アクチュエータ120が起動時点でアクチュエータスリーブ122に影響を及ぼすことができるようにするレバー部分926を有する。一実施形態において、起動は、アクチュエータスリーブ122の回転を結果としてもたらす力をレバー部分926に付与する。アクチュエータスリーブ122の1つ以上の端部区分は、1つ以上のケージ210の係合区分222と係合する係合区分922を有することができる。
【0042】
一実施形態において、アクチュエータスリーブ122の係合区分922は、結合を容易にするため、ケージ210の係合区分222及び/又は係合構成要素224に対して、相補的な構成を有する。他の実施形態では、アクチュエータスリーブ122の係合区分922及びケージ210の係合区分222は、溶接、接着剤、リベット留め若しくは他の締結手段又は貼合手段を含めた周知の手段によって、貼合される。その上、さらなる実施形態において、アクチュエータスリーブ122及びケージ210は、組合わされて1つの一体構造を形成する。
【0043】
一実施形態において、クラッチハウジング140は、係合区分152を有する。クラッチハウジング140の係合区分152は、クラッチハウジング140の係合区分152から延在する1つ以上の回転突出部154を含む。ケージ210の係合構成要素224は、クラッチハウジング140の係合区分152の回転突出部154の間に位置付けされてもよい。
【0044】
好ましくは、クラッチハウジング140の回転突出部154間の距離は、係合構成要素224の幅よりも大きく、こうして、係合構成要素224がクラッチハウジング140の回転突出部154の1つ以上と接触するまで、ケージ210がクラッチハウジング140に対して回転できるようになっている。クラッチハウジング140の回転突出部154に向かって及び/又は対抗して第1の方向にケージ210の係合構成要素224を付勢するために、付勢要素310を利用することができる。好ましくは、付勢要素310は、ケージ210を非接触位置に向かって付勢し、ここでケージ210の接触縁部226は、ローラー260と接触できない。
【0045】
ここで、以下では、前述の特徴の機能性についてより詳細に論述する。本発明の実施形態は、クラッチハウジング140がシャフト230に対して回転するのを防止するロッキング機能を可能にする。図6a及び図6bを参照すると、クラッチハウジング140は、自由移動方向及びロッキング方向を有する。自由移動方向において、クラッチハウジング140は、ローラー260からの妨害が最小限である状態で、シャフト230の周りを連続的に回転してもよい。ロッキング方向では、クラッチハウジング140は、ローラー260がクラッチハウジング140の内部表面142とシャフト230の外部表面232との間でくさび留めされる結果として、回転することを防止される又は大幅に妨害される。
【0046】
より具体的には、一実施形態において、クラッチハウジング140が自由移動方向(例えば図6a及び図6bにおいて時計回り方向)に回転するにつれて、1つ以上のローラー260は、クラッチハウジング140の内部表面142の刻み目144のポケット部分148内に移動させられる。クラッチハウジング140が自由動作方向に回転し続けるにつれて、ローラー260は、クラッチハウジング140の刻み目144のポケット部分148がローラー260を自由移動方向に押すにつれて自由に転動及び/又は摺動する。
【0047】
しかしながら、同じ実施形態において、クラッチハウジング140がロッキング方向(例えば図6a及び図6bにおいて反時計回り方向)に回転させられるにつれて、ローラー210は、クラッチハウジング140の内部表面142の刻み目144の勾配部分146内へと移動する。勾配部分146内へのローラー210の移動は、ローラー210を刻み目144の勾配部分146に向かって付勢するケージ脚部218によって促され得る。
【0048】
刻み目144の深さが勾配部分148内で減少するにつれて、クラッチハウジング140の内部表面142とシャフト230の外部表面232との間の空間は、1つ以上のローラー210の直径よりも小さくなり、こうしてローラー210をクラッチハウジング140の内部表面142とシャフト230の外部表面232との間でくさび留めする。このくさび留め効果は、ローラー260、クラッチハウジング140及びシャフト230間の摩擦を生成して、ロッキング方向でのクラッチハウジング140の回転を有効に防止又は大幅に妨害する。
【0049】
解放式ローラークラッチアセンブリ100は、ユーザーによる起動の時点で、ロッキング方向に自由に回転することができる。アクチュエータ120を起動することによって、ケージ210は、ローラー210がクラッチハウジング140とシャフト230との間でくさび留めされる勾配部分146の区分内にローラー210が進入するのを防止するように位置付けされる。したがって、起動は、ローラー260からの妨害が最小限である状態で、クラッチハウジング140がロッキング方向にシャフト230の周りを回転できるようにする。
【0050】
一実施形態において、アクチュエータ120の起動は、クラッチハウジング140に対してアクチュエータスリーブ122を回転させるための力を、アクチュエータスリーブ122の平坦部分926に対して加える。アクチュエータスリーブ122に加えられる力は、同様に、アクチュエータスリーブ122及びケージ210の間の係合に起因して、クラッチハウジング140に対してケージ210を回転させ得る。したがって、アクチュエータスリーブ122の回転は、ケージ210を非接触位置から接触位置まで回転させる。クラッチハウジング140に対するケージ210の位置を維持するためにバネ要素310が利用される実施形態において、アクチュエータスリーブ122の平坦部分926に加えられる力は、クラッチハウジング140に対してアクチュエータスリーブ122を回転させるために、バネ要素310によってもたらされる抵抗を克服しなければならない。
【0051】
図6bに描かれているように、ケージ210がクラッチハウジング140に対して接触位置へと回転するにつれて、接触縁部226は、前進して、くさび留めが可能である刻み目144の勾配部分146の区分内にローラー260が進入するのを防止する、又は、くさび留めが可能である勾配部分146の区分からくさび留めされたローラー260を取り去る。さらに、起動解除時点で、ケージは、非接触位置へと回転することができ、接触縁部226は引込み、こうして、くさび留めが可能である刻み目144の勾配部分146の区分内にローラー210が移動できるようにする。
【0052】
起動されている間、解放式ローラークラッチアセンブリ100は、クラッチハウジング140が両方向に回転できるようにすることによって、ヒンジとして有効に機能することができる。さらに、マウント130に対するシャフト230の回転に抵抗するために、摩擦メカニズム290が利用され得る。一実施形態において、摩擦メカニズム290は、シャフト230に対して一方向に回転するための起動力を提供するために、1つ以上の非対称トルク要素292を利用する。例えば、解放式ローラークラッチアセンブリ100を利用するトレーテーブルシステムの一実施形態において、摩擦メカニズム290は、解放式ローラークラッチアセンブリ100の起動時点で、トレー110の全重量をユーザーが感じるのを防止するため、トレーの重量に対抗するように構成され得る。
【0053】
本発明の実施形態を利用するアセンブリ及び/又はシステムは、ローラークラッチアセンブリ、調整可能なヒンジアセンブリ、及び、解放式ローラークラッチと調整可能なヒンジとを伴うトレーテーブルアセンブリを含む。このようなトレーテーブルアセンブリは、さらに、無限角度調整の可能性、及び、重量制限を超過する力が解放式ローラークラッチアセンブリ100に加えられた場合の過負荷保護機能を含み得る。例えば、トルク要素は、ローラークラッチのケージがロッキング位置にある場合及びローラーがロック位置にある場合に、組付け要素に対してシャフトの回転を抑制してもよく、したがって、クラッチハウジング上の負荷が既定のトルクを上回った場合には、シャフトの回転を可能にする過負荷保護を提供する。換言すると、トルク要素は、摩擦を提供してもよく、したがって、組付け要素に対するシャフトの回転に抵抗する。対照的に、クラッチは相対的回転を禁止することができる。このトルク要素の利用は、クラッチがロックされた状態にあるときに、アセンブリに対して及ぼされる負荷が一定量を超えた場合に、トレーアセンブリなどのアセンブリに対する損傷のリスクを低減することを助けることができる。
【0054】
さらに、解放式ローラークラッチアセンブリ100の実施形態を利用するトレーテーブルアセンブリには同様に、トレーテーブルが座席の背面に沿って収容されることを可能にするために、同じ座席トレーテーブル配置において使用されるラッチングメカニズム(図示せず)が備えられていてもよい。この実施形態では、ラッチ起動ボタン(図示せず)と組合わされた人間工学的に有利なアクチュエータ120が、単一の接触点を用いて、ラッチ(図示せず)及びヒンジメカニズムの両方を駆動し得る。
【0055】
図10は、ローラークラッチアセンブリ400の他の実施形態の分解図であるが、アクチュエータ410はない。ローラークラッチアセンブリ400は、以下で論述する機能を除いて、(図1図9で描かれている)ローラークラッチアセンブリ100と類似している。したがって、ローラークラッチアセンブリ400がローラークラッチアセンブリ100のものと類似の機能を使用するところには、同じ参照番号が適用される。
【0056】
ローラークラッチアセンブリ400は、シャフト230の周りに位置付け可能であるクラッチハウジング440を含む。クラッチハウジング440は、1つ以上の刻み目144を画定する内部表面142を有する。クラッチハウジング440は同様に、緩衝キャップ442も有している。緩衝キャップ442は、例えばトルク要素294a及び294bを収容するために適合された凹部を画定することによって、1つ以上のトルク要素294を収容するように構成されてもよい。一実施形態において、トルク要素294は、クラッチハウジング140の緩衝キャップ442の内部に固定的に配置され、シャフト230の周りに位置付けされている。
【0057】
トルク要素294は、例えばシャフト230の移動に抵抗するための対称又は非対称の摩擦トルクを提供する。一実施形態において、トルク要素294は、トルク要素292と類似である又は同じである。図10では、トルク要素294が、トルク要素292により提供される非対称摩擦トルクと反対の回転方向に非対称摩擦トルクを提供するように位置付けされているものとして描かれているものの、一実施形態において、トルク要素292及び294は、同じ回転方向で非対称摩擦トルクを提供する。しかしながら、図10内でトルク要素292により提供される非対称摩擦トルクとは反対の回転方向でシャフト230上に非対称摩擦トルクを付与するようにトルク要素を位置付けすることによって、振動中の歩行(「振動歩行(vibration walking)」とも呼ばれる)が削減又は防止され得る。振動歩行は、ローラーがロック位置にあり、かつ、振動及び/又は移動がシャフトを中心としてクラッチハウジング上に回転力を付与する場合に発生し得る。ローラーがロック位置にあることから、クラッチハウジングは、シャフトを中心として一方向のみに回転することが許される。したがって、振動及び/又は移動が、シャフトを中心とした両方の回転方向でクラッチハウジングに対し力を付与するにつれて、ローラーがロック位置にあることによって反対方向での移動が防止されていることから、クラッチハウジングは一方向に回転する。
【0058】
トルク要素294は、ローラー260がロック位置にあるときに、クラッチハウジング440に許容された回転方向と反対方向に非対称摩擦トルクを付与することによって、振動歩行を削減及び/又は防止する。トルク要素294はクラッチハウジング440内部に位置付け可能であるものとして例示されているが、トルク要素294は、シャフト230のさまざまな部分に沿ってシャフト230に結合されてもよい。例えば、トルク要素294は、シャフト230に結合され、かつ、マウントハウジング130内に配置されてもよい。
【0059】
図11A及び図11Bを参照すると、ローラークラッチアセンブリ400は同様に、トレーテーブル110の一部分を押す又は引張ることによって起動され得る、アクチュエータ410も含んでいる。例えば、アクチュエータ410は、アクチュエータスリーブ122に向かって又はアクチュエータスリーブ122から離れるようにトレーテーブル110の一部分を摺動させることによって起動されてもよい。ローラークラッチアセンブリ100の実施形態のアクチュエータ120と同様に、アクチュエータ410は、アクチュエータ410の起動がアクチュエータスリーブ122を回転させる起動力を提供するように、アクチュエータスリーブ122に結合される。
【0060】
アクチュエータ410は、ロッド412、ボタン部分416を有するストッパ414、クリップラッチ418、クリップヒンジ420及びバネ422を含む。アクチュエータ410は、アクチュエータスリーブ122の起動を可能にするため、フォークリンク430に結合される。一実施形態において、アクチュエータ410は、ロッド412及びフォークリンク430を回転可能に連結するピンによって、フォークリンク430に結合される。
【0061】
アクチュエータ410は、最後的にアクチュエータスリーブ122に対し力を付与し得るバネ422に対する負荷を付与するストッパ414のボタン部分416を押圧することによって起動される。例えば、バネ422は、アクチュエータスリーブ122を起動する前に既定の負荷を必要とし得る。アクチュエータ410は、図11A及び図11Bではボタン部分416によって起動されるものの、アクチュエータ410は、シャフト230及び/又はアクチュエータスリーブ122に向かう又はから離れる方向にプッシュロッド422上に力が加えられた時点で起動するように構成されてもよい。例えば、シャフト230に向かってトレーテーブル110の一部分を摺動させることによって、ロッド422は、アクチュエータスリーブ122の回転を結果としてもたらすアクチュエータスリーブ122の平坦部分926上への力を付与するためにフォークリンク430を駆動してもよい。
【0062】
本明細書では本発明の好ましい実施形態が図示され説明されてきたが、このような実施形態は、例としてのみ提供されていることが理解されるであろう。当業者であれば、本発明の趣旨から逸脱することなく、多くの変形形態、変更及び置換を思いつくであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は本発明の趣旨及び範囲内に入るそのような変形形態の全てを含む、ことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B