特許第6856538号(P6856538)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856538
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】巻取りスピンドル
(51)【国際特許分類】
   B65H 54/547 20060101AFI20210329BHJP
【FI】
   B65H54/547
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-550134(P2017-550134)
(86)(22)【出願日】2016年3月15日
(65)【公表番号】特表2018-513077(P2018-513077A)
(43)【公表日】2018年5月24日
(86)【国際出願番号】EP2016055563
(87)【国際公開番号】WO2016150767
(87)【国際公開日】20160929
【審査請求日】2018年12月7日
(31)【優先権主張番号】102015003834.6
(32)【優先日】2015年3月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ ヴァルターマン
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン コヴァルスキー
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−119849(JP,A)
【文献】 実開昭55−040271(JP,U)
【文献】 特開2000−219430(JP,A)
【文献】 特開2010−090943(JP,A)
【文献】 実開平07−024855(JP,U)
【文献】 国際公開第2013/171073(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 54/00−54/553
D01H 1/00−17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取り機において糸を複数のパッケージに巻き取る巻取りスピンドルであって、前記パッケージを収容する、長く突出する少なくとも1つのチャック(3)を有しており、該チャック(3)は、中空支持体(11)内に支持された、複数部分から成る駆動軸(7)によって駆動可能であり、該駆動軸(7)は、後ろ側の軸受軸(7.3)と前側の軸受軸(7.1)とを有しており、前記後ろ側の軸受軸(7.3)は、駆動装置に連結可能であり、前記後ろ側の軸受軸(7.3)に結合された前記前側の軸受軸(7.1)は、前記チャック(3)に回動不能に結合されており、前記前側の軸受軸(7.1)は、中間軸(7.2)によって前記後ろ側の軸受軸(7.3)に結合されており、前記前側の軸受軸(7.1)は、前側のカップリング(9.1)を介して前記中間軸(7.2)に結合され、かつ前記後ろ側の軸受軸(7.3)は、後ろ側のカップリング(9.2)を介して前記中間軸(7.2)に結合されている、巻取りスピンドルにおいて、前記前側のカップリング(9.1)および/または前記後ろ側のカップリング(9.2)は、複数のクランプエレメント(26.1,26.2)によって、前記軸受軸(7.1,7.3)および前記中間軸(7.2)の軸端部(30.1,30.2)に固定されており、
前記クランプエレメント(26.1,26.2)はそれぞれ、ハーフシェル形の2つのクランプ部分(27.1,27.2)から形成されており、該クランプ部分(27.1,27.2)は、その間に嵌合孔(25)を閉じ込めており、前記クランプ部分(27.1,27.2)は、互いにねじ結合されていて、これにより、前記各軸端部(30.1,30.2)の全周においてほぼ均一な単位面積当たりの接触圧が生じていることを特徴とする、巻取りスピンドル。
【請求項2】
前記カップリング(9.1,9.2)のうちの1つのカップリングの、前記軸端部(30.1,30.2)に対応配置されたクランプエレメント(26.1,26.2)は、少なくとも、軸方向および横方向で弾性的なカップリング手段(28)によって互いに結合されている、請求項記載の巻取りスピンドル。
【請求項3】
前記中間軸(7.2)は、複数の緩衝軸受(19.1,19.2)によって前記中空支持体(11)に対して弾性的に支持されている、請求項1または2記載の巻取りスピンドル。
【請求項4】
前記緩衝軸受(19.1,19.2)は、前記中間軸(7.2)の端部領域において保持されており、前記緩衝軸受(19.1,19.2)は、各1つのころがり軸受(20)とスリーブ緩衝リング(21)とから形成されている、請求項記載の巻取りスピンドル。
【請求項5】
前記ころがり軸受(20)は、互いに並んで配置された2つのスピンドル軸受(20.1,20.2)によって形成されており、該スピンドル軸受(20.1,20.2)は、背面組合せで前記中間軸(7.2)の周囲に保持されている、請求項記載の巻取りスピンドル。
【請求項6】
前記前側の軸受軸(7.1)を支持する支持部(8.1)が、軸受ブシュ(12.1)の内部に形成されており、前記軸受ブシュ(12.1)の、互いに反対側に位置する端部領域に、スリーブ緩衝リングのうちの2つのスリーブ緩衝リング(14.1,14.2)が保持されていて、該スリーブ緩衝リング(14.1,14.2)は、前記中空支持体(11)に支持されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の巻取りスピンドル。
【請求項7】
前記後ろ側の軸受軸(7.3)を支持する支持部(8.2)が、軸受ブシュ(12.2)の内部に形成されており、前記軸受ブシュ(12.2)の互いに反対側に位置する端部領域に、2つのスリーブ緩衝リング(17.1,17.2)が保持されていて、該スリーブ緩衝リング(17.1,17.2)は、前記中空支持体(11)に支持されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の巻取りスピンドル。
【請求項8】
前記スリーブ緩衝リング(21,14.1,14.2,17.1,17.2)のそれぞれは、内側スリーブ(22)と、該内側スリーブ(22)を間隔をおいて取り囲む外側スリーブ(23)とによって形成されており、前記内側スリーブ(22)と前記外側スリーブ(23)とは、ゴムエレメント(24)によって互いに弾性的に結合されている、請求項からまでのいずれか1項記載の巻取りスピンドル。
【請求項9】
スピンドル支持体(1)に保持された2つの巻取りスピンドル(2.1,2.2)を備えた、複数の糸をパッケージに巻き取る巻取り機であって、前記巻取りスピンドル(2.1,2.2)のうちの少なくとも1つが、請求項1からに記載のように形成されていることを特徴とする、巻取り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載した、糸を複数のパッケージに巻き取る巻取りスピンドルに関する。
【0002】
このような形式の巻取りスピンドルは、独国特許出願公開第2261709号明細書(DE 2 261 709 A1)から公知である。
【0003】
公知の巻取りスピンドルは、巻取り機において複数の糸をパッケージに並行に巻き取るために使用される。そのために巻取りスピンドルは、スピンドル支持体に突出するように配置されており、巻取りスピンドルの突出する部分は、巻管を収容および固定するチャックとして形成されている。チャックは、中空円筒形に形成されていて、ハブを介して、巻取りスピンドルの内部に配置された駆動軸に結合されている。駆動軸は、中空円筒形の中空支持体内に回転可能に支持されており、このとき中空支持体は、チャックの内部に進入している。
【0004】
複数のパッケージを収容するためには、相応に長く突出するチャックが必要であるので、駆動軸は、スピンドル支持体に配置された駆動装置を結合するために、比較的大きな長さを有することが必要である。このときに顧慮すべきことは、チャックは、パッケージ重量の増大時に下降し、これによって駆動軸の曲げ荷重が生ぜしめられるということである。チャックの下降に追従できるようにするために、駆動軸は複数部分から形成されており、このとき前側の軸受軸はチャックに結合されていて、かつ後ろ側の軸受軸は駆動装置に結合されている。後ろ側の軸受軸と前側の軸受軸との間には、中間軸が設けられており、この中間軸は、曲がりやすい軟質のカップリングを介して両軸受軸に結合されている。このようなカップリングは、プレス結合によって軸端部に直に結合される。しかしながら通常焼嵌めによって形成されるこのようなプレス結合は、接合直径に応じて、駆動軸の強度を損なう。さらにチャックを駆動するためには、巻取りの開始時に16000rpm以上であり得る極めて高い回転数が伝達されねばならない。したがって駆動軸の極めて正確な支持が必要であり、このような支持は、複数部分から成る構成の場合、カップリングにもかかわらず、軸方向における方向付けを必要とする。
【0005】
従来技術において公知の巻取りスピンドルの別の欠点としては、極めて長く突出するチャックの場合には、取付けが極めて面倒であるかまたはほとんど不可能であるということがある。
【0006】
ゆえに本発明の課題は、このような形式の巻取りスピンドルにおいて、特に、極めて長く突出するチャックが簡単に取付け可能であり、かつ運転確実に駆動可能である、巻取りスピンドルを提供することである。
【0007】
この課題は、本発明によれば、前側のカップリングおよび/または後ろ側のカップリングが、複数のクランプエレメントによって、軸受軸および中間軸の軸端部に固定されていることによって解決される。
【0008】
本発明の好適な発展形態は、従属請求項の特徴および特徴の組合せによって定義されている。
【0009】
本発明は、クランプ結合が、僅かに変動する小さなトルクのためにしか適してないという条件から解放されており、このとき、軸に対して加えられる単位面積当たりの接触圧は、極めて不均一なものとして評価される。しかしながら巻成されたパッケージを備えたチャックの全荷重時にも、駆動軸の軸部分の間におけるカップリング箇所におけるトルク伝達は、損失なしに可能であるということが判明している。本発明に係る巻取りスピンドルの特別な利点は、軸方向における固定が軸端部の周囲において可変であり、ひいては軸受軸に対する中間軸の正確な対応付けが可能であるということにある。
【0010】
さらに、全パッケージ荷重時におけるチャックの下降が、駆動軸における強制変形なしに可能である。下降は、好ましくはカップリングにおける角度変形によって吸収することができ、このとき軸受軸および中間軸の軸端部におけるクランプは、軸の増大を可能にする。これによって駆動軸を大幅に太く形成することができ、軸受に対する高い回転曲げモーメント、およびこれに起因する擬似負荷(Blindlast)は回避される。
【0011】
特に、軸端部の全周囲にわたって均一な単位面積当たりの接触圧を得るために、本発明の好適な実施形態では、クランプエレメントはそれぞれ、ハーフシェル形の2つのクランプ部分から形成されており、該クランプ部分は、その間に嵌合孔を閉じ込めていて、互いにねじ結合されている。軸端部の直径とクランプ部分の嵌合孔とは、いわば螺合可能なプレス座が生じるように互いに合わせられてよい。カップリングと軸端部との間における、このように分割されたクランプ結合は、したがって特に良好であることが分かっている。
【0012】
特にチャックにおける全パッケージ重量時に、チャックに起因する下降を補償できるようにするために、カップリングのうちの1つのカップリングの、軸端部に対応配置されたクランプエレメントは、少なくとも、軸方向および横方向弾性的なカップリング手段によって互いに結合されている。曲げ弾性的なカップリング手段としては、例えば軸管エレメントまたは咬みあいエレメントを使用することができる。
【0013】
1400rpm〜16000rpmの範囲になることがある、このような巻取りスピンドルの運転時における高い回転数拡大に基づいて、個々の共振は回避することができない。しかしながらこのような臨界巻取り速度は、駆動軸に対して直に作用する、チャックの高められた振動特性を生ぜしめる。したがって本発明の好適な実施形態では、中間軸は、複数の緩衝軸受によって中空支持体に対して弾性的に支持されている。このように構成されていると、特にまた振動伝達を、カップリングを介して回避することができる。中間軸はほぼ横方向力なしにかつ曲げモーメントなしに保持されているので、緩衝軸受はほぼ共振時にしか作用しない。追加的に、中空支持体の内部における、中間軸の極めて安定した案内が達成される。
【0014】
緩衝軸受は、好ましくは中間軸の端部領域において保持されており、緩衝軸受はそれぞれ、各1つのころがり軸受とスリーブ緩衝リングとから形成されている。中間軸の回転は、影響を受けないままであり、中間軸における相対運動だけが、ころがり軸受を介して、対応配置されたそれぞれのスリーブ緩衝リング内に直に導入される。
【0015】
緩衝軸受のころがり軸受は、好ましくは互いに並んで配置された2つのスピンドル軸受によって形成されており、該スピンドル軸受は、背面組合せで中間軸の周囲に保持されている。これによって一方では、中間軸を案内するための安定性が高められ、かつ他方では、緩衝軸受は、前側の軸受軸の、隣接した支持部に対する影響なしのままである。
【0016】
前側の軸受軸の前側の支持部は、本発明の好適な発展形態によれば、軸受ブシュの内部に配置されており、このとき軸受ブシュの周囲に、中空支持体に支持された複数のスリーブ緩衝リングが支持されている。このように構成されていると、特にころがり軸受の傾倒が回避される。支持部は、スリーブ緩衝リングを介して中空支持体に対して弾性的に支持されているので、軸受軸は中空支持体に対して、緩衝を目的とした相対運動を実施することができる。
【0017】
さらに別の実施形態では、後ろ側の軸受軸の支持部が、軸受ブシュの内部に形成されており、このとき軸受ブシュは、複数のスリーブ緩衝リングを用いて中空支持体に対して弾性的に支持されている。このように構成されていると、駆動側と被動側の両側から、発生する振動荷重を好適に緩衝することができる。
【0018】
取付け後に、中間軸および支持部の、ほぼ予め確定された弾性と緩衝作用を、製造誤差とは無関係に得るために、スリーブ緩衝リングは、好ましくは内側スリーブと、該内側スリーブを取り囲む外側スリーブとによって形成されている。このときゴムエレメントが、内側スリーブと外側スリーブとの間に挟み込まれている。内側スリーブと外側スリーブとの間におけるゴムエレメントのばね弾性特性は、既に取付け前に、予め確定された緩衝特性をもって形成すること、および取付け箇所および取付け状況に合わせることができる。
【0019】
本発明に係る巻取り機は、特に、突出している巻取りスピンドルに、複数の巻成ユニットを形成することができることによって傑出している。複数部分から成る駆動軸およびそのカップリングによって、特に長く突出するチャックを実現することができるので、チャックの周囲における巻成されるパッケージの数を、大幅に高めることができる。
【0020】
次に添付の図面を参照しながら、幾つかの実施形態について、本発明に係る巻取りスピンドルを詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る巻取りスピンドルの第1実施形態を概略的に示す縦断面図である。
図2図2.1および図2.2は、図1に示した実施形態の駆動軸のカップリングのうちの1つをそれぞれ異なった方向から見た図である。
図3】本発明に係る巻取りスピンドルの別の実施形態を概略的に示す縦断面図である。
図4図3に示した実施形態の一部を概略的に示す図である。
図5】本発明に係る巻取り機を概略的に示す図である。
【0022】
図1には、巻取りスピンドルの第1実施形態の一部が概略的に断面図で示されている。巻取りスピンドル2は、中空支持体11によってスピンドル支持体1に保持されている。スピンドル支持体1において巻取りスピンドル2は、長く突出するチャック3を有しており、このチャック3は両端部において中空円筒形に形成されている。チャック3の自由端部は、そこには本発明にとって重要な部材が存在しないので、図1には示されていない。通常、チャック3の自由端部は、カバーによって閉鎖されている。
【0023】
チャック3の、スピンドル支持体1に向けられた反対側に位置する開放した端部は、駆動軸7を収容するために働き、この駆動軸7は、軸・ハブ結合部15によってチャック3のハブ6に結合されている。軸・ハブ結合部15は、ハブ6と前側の軸受軸7.1の太くなる軸段部18との間に形成されている。
【0024】
駆動軸7は、前側の軸受軸7.1と中間軸7.2と後ろ側の軸受軸7.3とから形成されている。前側の軸受軸7.1は、前側のカップリング9.1を介して中間軸7.2に結合されている。後ろ側の軸受軸7.2は、後ろ側のカップリング9.2を介して中間軸7.1に回動不能に結合されている。
【0025】
カップリング9.1,9.2を説明するために、カップリングのうちの1つ、ここではカップリング9.1を、異なった方向から見た図である図2.1および図2.2を、追加的に参照する。図2.1にはカップリング9.1が側面図で概略的に示され、図2.2にはカップリング9.1が横断面図で概略的に示されている。図面のうちの1つを特に参照するのでない限り、以下に記載の説明は両方の図面に対するものである。
【0026】
カップリング9.1は、両端部にそれぞれクランプエレメント26.1,26.2を有している。これらのクランプエレメント26.1,26.2は、クランプ結合を介して、前側の軸受軸7.1の軸端部30.1および中間軸7.2の軸端部30.2に結合されている。クランプエレメント26.1,26.2は、カップリング手段28を間に挟み込んでおり、このカップリング手段28は、クランプエレメント26.1,26.2に不動に結合されていて、軸方向および横方向において弾性的に形成されている。しかしながら回転軸線においては、カップリング手段28はねじり剛性に形成されているので、軸7.2,7.1の間においてはねじり剛性のトルク伝達が行われる。カップリング手段28としては、例えば軸管エレメントまたは咬みあいエレメント(Klauenelement)を使用することができる。
【0027】
クランプエレメント26.1,26.2はそれぞれ、同一に形成されている。例えば図2.1および図2.2には、ハーフシェル形の2つのクランプ部分27.1,27.2から形成されたクランプエレメント26.1が示されている。クランプ部分27.1,27.2は、その間に嵌合孔25を閉じ込めている。このとき嵌合孔25は、クランプ部分27.1,27.2のねじ結合された状態において一種のねじ結合されたプレス座が生じるように、前側の軸受軸7.1の軸端部30.1の外径に合わせられている。これによって前側の軸受軸7.1の全周において、ほぼ均一な単位面積当たりの接触圧を生ぜしめることができる。クランプ部分27.1,27.2のねじ結合は、互いに反対側に位置する2つのねじ手段29によって行われる。クランプ部分27.1,27.2のうちの1つのクランプ部分27.1または27.2は、例えば咬みあいエレメントであるカップリング手段28に不動に結合されている。
【0028】
図2.1に示すように、反対側に位置しているクランプエレメント26.2も、同様にハーフシェル形の2つのクランプ部分27.1,27.2を有しており、両クランプエレメント27.1,27.2は、ねじ手段29を介して互いに結合されている。
【0029】
図1に示すように、軸受軸7.1,7.3と中間軸7.2との間におけるカップリング9.1,9.2は、本実施形態では同一に構成されている。しかしながらここで明瞭に述べておきたいのは、カップリング9.1,9.2は、必要に応じて、異なった構造形式のクランプ結合およびカップリング手段を有することも可能であるということである。例えば、カップリングを1つの軸端部に結合するために、スリット形状のクランプエレメントも可能である。
【0030】
前側の軸受軸7.1は、前側の支持部8.1を介して、中空円筒形の中空支持体11内に回転可能に支持されている。中空支持体11は、そのために中空円筒形の自由端部で、チャック3の内部に進入している。チャック3の、スピンドル支持体1に向けられた端部は、突出する中空支持体11を間隔をおいて取り囲んでいるので、チャック3は、位置固定の中空支持体11に対して回転することができる。
【0031】
中空円筒形の中空支持体11の内部には、前側の軸受軸7.1の前側の支持部8.1が配置されている。前側の支持部8.1は、本実施形態では2つのころがり軸受13.1,13.2によって形成されており、両ころがり軸受13.1,13.2は、その内レースで前側の軸受軸7.1の周囲に保持されていて、かつその外レースで軸受ブシュ12.1に支持されている。
【0032】
一方では静的な軸受荷重を受け止めることができるようにするため、かつ他方では臨界巻取り速度の通過時に中空支持体11の周囲におけるチャック3の当接を回避するために、軸受ブシュ12.1の周囲には複数のスリーブ緩衝リングが設けられている。本実施形態では、2つのスリーブ緩衝リング14.1,14.2が設けられており、両緩衝リング14.1,14.2はそれぞれ、軸受ブシュ12.1の端部領域に配置されている。このとき特にスリーブ緩衝リングのうちの1つのスリーブ緩衝リング14.1は、前側の軸受軸7.1とチャック3との間における軸・ハブ結合部15の近くにおいて位置決めされている。軸受ブシュ12.1は、ころがり軸受13.1を越えて突出しているので、スリーブ緩衝リング14.1は、軸方向においてころがり軸受13.1に対してずらされて配置されている。
【0033】
スリーブ緩衝リング14.1,14.2の構造は、同一であり、かつ以下においてさらに詳しく説明する。
【0034】
前側の軸受軸7.1に結合された中間軸7.2は、同様に、スピンドル支持体1に不動に結合された中空支持体11の突出する部分の内部において延びている。中空支持体11の、スピンドル支持体1に直に保持されている中空円筒形の部分内には、後ろ側の軸受軸7.3の後ろ側の支持部8.2が形成されている。後ろ側の支持部8.2は、本実施形態では2つのころがり軸受16.1,16.2によって形成されており、両ころがり軸受16.1,16.2は、後ろ側の軸受軸7.3と軸受ブシュ12.2との間に保持されている。軸受ブシュ12.2の周囲には、スリーブ緩衝リングのうちの2つの別のスリーブ緩衝リング17.1,17.2が配置されている。後ろ側の軸受軸7.3は、駆動端部で中空支持体11の外側に進出しており、このとき駆動端部はカップリング端部10として形成されている。したがってスピンドル駆動装置を、カップリング端部10を介して駆動軸7に直に連結することができる。
【0035】
巻管の収容および固定のために、チャック3は周囲に、クランプ装置4および緊締周壁5を有している。クランプ装置4および緊締周壁5は、従来技術において一般的に公知であり、ゆえにここではさらなる説明は省く。クランプ装置4および緊締周壁5は、例えば国際公開第2011/086142号(WO 2011/086142 A1)に基づいて構成されていてよい。したがってここでは、引用した刊行物を参照するものとする。
【0036】
運転時において、緊締周壁5の周囲には複数の巻管が相前後して押し嵌められ、かつクランプ装置4によって固定されている。したがって巻取りスピンドル2の操作は、前側から行われるので、巻取りスピンドル2の自由端部は、前端部と呼ばれ、かつスピンドル支持体1に固定された端部は、後端部と呼ばれる。チャック3の周囲における各巻管において、糸がパッケージに巻成される。そのためにチャック3は、糸を巻き取るためのほぼ一定の周速度が生ずるように、駆動軸7を介して駆動される。駆動軸7の内部において、トルクが後ろ側の軸受軸7.3および後ろ側のカップリング9.2を介して中間軸7.2に導入され、かつこの中間軸7.2から前側のカップリング9.1を介して前側の軸受軸に導入される。前側の軸受軸7.1は、トルクを軸・ハブ結合部15を介してチャック3に伝達する。チャック3における荷重および振動は、軸・ハブ結合部15を介して、前側の軸受軸7.1の自由端部に直に導入される。このような巻取りスピンドルは、その複雑な構造に基づいて、複数の臨界固有振動数を有しており、これらの臨界固有振動数は、励起振動数と一致した場合に共振を惹起することがあるので、支持部8.1はスリーブ緩衝リング14.1,14.2を介して中空支持体11に対して緩衝されている。特に、チャックの振動をさらに良好に緩衝するために、図3には、本発明に係る巻取りスピンドルの別の実施形態が、縦断面図で概略的に示されている。
【0037】
図3における巻取りスピンドルの実施形態は、その構造において、図1に示した上に述べた実施形態とほぼ同一であるので、ここでは相違についてだけ述べ、その他の点については上に述べた記載を参照するものとする。図3に示した本発明に係る巻取りスピンドル2の実施形態では、駆動軸7に追加的な緩衝手段が対応配置されている。中空支持体11の内部において延びる中間軸は、両端部領域において、各1つの緩衝軸受19.1,19.2を介して中空支持体11に対して弾性的に支持されている。緩衝軸受19.1,19.2は、そのためにそれぞれ、中間軸7.2の軸段部31.1,31.2に配置されている。
【0038】
緩衝軸受19.1,19.2について説明するために、追加的に図4を参照する。図4には、中間軸7.2の前端部における緩衝軸受19.1が縦断面図で示されている。この緩衝軸受19.1は、本実施形態ではころがり軸受20とスリーブ緩衝リング21とを有している。ころがり軸受20は、ダブルのスピンドル軸受20.1,20.2によって形成されている。スピンドル軸受20.1,20.2は、いわゆる背面組合せ(O-Anordnung)で互いに対して荷重を加えられている。これによって中間軸7.2の極めて安定した案内が達成される。スピンドル軸受20.1,20.2の周囲には、スリーブ緩衝リング21が保持されている。スリーブ緩衝リング21は、スピンドル軸受20.1,20.2の周囲に保持された内側スリーブ22を有している。内側スリーブ22には、この内側スリーブ22を間隔をおいて取り囲む外側スリーブ23が対応配置されており、この外側スリーブ23は、中空支持体11に支持されている。外側スリーブ23と内側スリーブ22との間には、ゴムばねとして形成されたゴムエレメント24が配置されている。これによって内側スリーブ22と外側スリーブ23とは、互いに対して相対的に運動することができる。内側スリーブ22および外側スリーブ23は、好ましくは金属から形成されているので、ゴムエレメント24は、加硫によって内側スリーブ22と外側スリーブ23との間において固定されている。ゴムばねとして作用するゴムエレメント24は、材料およびばね特性に関して取付け箇所および取付け状況に合わせることができる。さらに、外側スリーブ23および内側スリーブ22は、狭い製造誤差範囲で正確に製造することができるので、スリーブ緩衝リング21の取付け時に許容不能な変形は、好適に回避される。これとは逆に、取付け空間の内部における僅かな製造誤差は、ゴムエレメント24のばね緩衝特性に不都合な影響を及ぼすことなしに、外側スリーブ23および内側スリーブ22の可動性によって、ある程度の範囲において補償することができる。したがって緩衝軸受19.1と、図4に示した実施形態と同一に形成された緩衝軸受19.2とが、中間軸7.2を中空支持体11内において案内および緩衝するために使用される。
【0039】
図1および図3に示した実施形態において追加的に支持部8.1,8.2に対応配置されたスリーブ緩衝リング14.1,14.2,17.1,17.2は、構造において、スリーブ緩衝リング21と同一である。しかしながらこの場合、内側スリーブと外側スリーブとの間における可動性に影響を及ぼすために、種々異なった構造形式および構造形態を使用することができる。例えば内側スリーブと外側スリーブとは、好ましくは異なった幅を有している。したがってスリーブ緩衝リングは、種々異なったスリーブと組み合わせることができ、このときゴムエレメントは、最も短い巻管の幅と同じまたはそれよりも小さい幅を有している。
【0040】
さらにスリーブ緩衝リングは、種々異なる半径方向強さをもって形成されていてよい。特に、中間軸7.2に対応配置されたスリーブ緩衝リング21は、支持部8.1に対応配置されたスリーブ緩衝リング14.1,14.2に対して大幅に小さな半径方向強さを有しており、これによって中間軸の相応に軟らかい結合部を得ることができる。これに対して支持部8.1のスリーブ緩衝リング14.1,14.2は、チャックの荷重を受け止めなくてはならない。
【0041】
図5には、本発明に係る巻取り機の1実施形態が概略的に示されている。巻取り機は、長く突出する2つの巻取りスピンドル2.1,2.2を有しており、両巻取りスピンドル2.1,2.2は、スピンドル支持体1に保持されていて、各1つの突出するチャック3を有している。スピンドル支持体1は、機械フレーム32に回転可能に支持された巻取りタレットとして形成されている。巻取りスピンドル2.1,2.2は、図1または図3に示した実施形態のうちの1つの実施形態のように構成されている。
【0042】
巻取りスピンドル2.1,2.2に沿って、本実施形態では4つの巻成ユニット33.1〜33.4が延びており、これらの巻成ユニット33.1〜33.4において4つのパッケージ35が互いに並行に巻成される。巻取りスピンドル2.1,2.2には、2つのスピンドルモータ34.1,34.2が対応配置されている。巻成ユニットの数は、織編用糸を巻き取るのかまたは工業用糸を巻き取るのか、製造プロセスに従って決定される。
【0043】
巻成ユニット33.1〜33.4には、圧着ローラ37および綾振り装置38が対応配置されており、このとき綾振り装置38は、各巻成ユニット33.1〜33.4に対して、複数の糸のうちの1つの糸を往復動させる糸ガイド手段をそれぞれ有している。圧着ローラ37は、可動のローラ支持体39に保持されている。糸の走入は、巻成ユニット33.1〜33.4の走入部を形成する各1つのヘッド糸ガイド40を介して案内される。
【0044】
本発明に係る巻取り機は、すべての通常の溶融紡糸プロセスのために、押し出されたばかりの複数の糸を1つの糸群として並行にパッケージに巻き取るのに適している。例えばPOY溶融紡糸プロセス、FDY溶融紡糸プロセスまたはIDY溶融紡糸プロセスにおいて生ぜしめられた合成糸を、複数の糸を備えた1つの糸群において同時にパッケージに巻き取ることができる。しかしながらまた巻取り機は、BCFプロセスのためにも、巻縮された複数の糸をパッケージに巻き取るのに適している。
図1
図2.1】
図2.2】
図3
図4
図5