特許第6856569号(P6856569)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856569
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20210329BHJP
【FI】
   H01L29/78 656A
   H01L29/78 653C
   H01L29/78 652S
   H01L29/78 652Q
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-53682(P2018-53682)
(22)【出願日】2018年3月21日
(65)【公開番号】特開2019-169492(P2019-169492A)
(43)【公開日】2019年10月3日
【審査請求日】2020年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100088487
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 允之
(72)【発明者】
【氏名】田中 明広
【審査官】 棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−247309(JP,A)
【文献】 特表2004−502293(JP,A)
【文献】 特開2005−302952(JP,A)
【文献】 特開2005−302953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と第2の面を有する半導体層の第1の部分と、
前記第1の部分に設けられた第1のトレンチと、
前記第1のトレンチの中に設けられた第1のゲート電極と、
前記第1の部分の前記第1の面の側に設けられた第1のソース電極と、
前記第1の部分の前記第2の面の側に設けられたドレイン電極と、を備える第1の領域と、
第1の方向に前記第1の領域と隣り合って設けられ、
前記半導体層の第2の部分と、
前記第2の部分に設けられた第2のトレンチと、
前記第2のトレンチの中に設けられた第2のゲート電極と、
前記第2の部分の前記第1の面の側に設けられた第2のソース電極と、
前記第2の部分の前記第2の面の側に設けられた前記ドレイン電極と、を備える第2の領域と、
前記第1の方向と交差する第2の方向に前記第1の領域と隣り合って設けられ、
前記半導体層の第3の部分と、
前記第3の部分に設けられた第3のトレンチと、
前記第3のトレンチの中に設けられた第3のゲート電極と、
前記第3の部分の前記第1の面の側に設けられた第3のソース電極と、
前記第3の部分の前記第2の面の側に設けられた前記ドレイン電極と、を備える第3の領域と、
前記第2の方向に前記第2の領域と隣り合って設けられ、かつ、前記第1の方向に前記第1の領域に隣り合って設けられ、
前記半導体層の第5の部分と、
前記第5の部分に設けられた第5のトレンチと、
前記第5のトレンチの中に設けられた第5のゲート電極と、
前記第5の部分の前記第1の面の側に設けられた第5のソース電極と、
前記第5の部分の前記第2の面の側に設けられた前記ドレイン電極と、を備える第5の領域と、
前記第1のゲート電極及び前記第5のゲート電極に電気的に接続された第1のゲート電極パッドと、
前記第2のゲート電極及び前記第3のゲート電極に電気的に接続された第2のゲート電極パッドと、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第1の方向と前記第2の方向が直交する請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2の領域と対向する側の前記第1の領域の第1の辺と、前記第3の領域と対向する側の前記第1の領域の第2の辺との内、長い方の辺と前記第1のトレンチの伸長方向とのなす角度が、短い方の辺と前記第1のトレンチの伸長方向とのなす角度よりも大きい請求項1又は請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2のソース電極と前記第3のソース電極とが電気的に接続され、前記第1のソース電極と前記第5のソース電極とが電気的に接続された請求項1ないし請求項3いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の方向及び前記第2の方向と異なる第3の方向に前記第1の領域と隣り合って設けられ、
前記半導体層の第4の部分と、
前記第4の部分に設けられた第4のトレンチと、
前記第4のトレンチの中に設けられた第4のゲート電極と、
前記第4の部分の前記第1の面に接する第4のソース電極と、
前記第4の部分の前記第2の面の側に設けられた前記ドレイン電極と、を備える第4の領域を、
更に備える請求項1ないし請求項4いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の方向と前記第2の方向が直交し、前記第1の方向と前記第3の方向が直交する請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
第1の面と第2の面を有する半導体層の第1の部分と、
前記第1の部分に設けられた第1のトレンチと、
前記第1のトレンチの中に設けられた第1のゲート電極と、
前記第1の部分の前記第1の面の側に設けられた第1のソース電極と、
前記第1の部分の前記第2の面の側に設けられたドレイン電極と、を備える第1の領域と、
第1の方向に前記第1の領域と隣り合って設けられ、
前記半導体層の第2の部分と、
前記第2の部分に設けられた第2のトレンチと、
前記第2のトレンチの中に設けられた第2のゲート電極と、
前記第2の部分の前記第1の面の側に設けられた第2のソース電極と、
前記第2の部分の前記第2の面の側に設けられた前記ドレイン電極と、を備える第2の領域と、
前記第1の方向と交差する第2の方向に前記第1の領域と隣り合って設けられ、
前記半導体層の第3の部分と、
前記第3の部分に設けられた第3のトレンチと、
前記第3のトレンチの中に設けられた第3のゲート電極と、
前記第3の部分の前記第1の面の側に設けられた第3のソース電極と、
前記第3の部分の前記第2の面の側に設けられた前記ドレイン電極と、を備える第3の領域と、
前記第1のゲート電極に電気的に接続された第1のゲート電極パッドと、
前記第2のゲート電極及び前記第3のゲート電極に電気的に接続された第2のゲート電極パッドと、
を備え、
前記第2の領域と対向する前記第1の領域の第1の辺と、前記第3の領域と対向する前記第1の領域の第2の辺との間の角度が90度未満である半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、二次電池の充放電状態を制御するためには、電流の向きが正反対になる充電電流と放電電流を制御する双方向スイッチングデバイスが必要となる。双方向スイッチングデバイスには、例えば、ドレイン電極同士を接続した2つのMISFET(Metal Insulator Field Effect Transistor)を使用することが可能である。小型化のために、2つのトレンチゲート型のMISFETをワンチップ化した双方向スイッチングデバイスがある。ワンチップ化により小型化された双方向スイッチングデバイスを高性能化するために、オン抵抗の低減が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−33552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、オン抵抗の低減が可能な半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様の半導体装置は、第1の面と第2の面を有する半導体層の第1の部分と、前記第1の部分に設けられた第1のトレンチと、前記第1のトレンチの中に設けられた第1のゲート電極と、前記第1の部分の前記第1の面の側に設けられた第1のソース電極と、前記第1の部分の前記第2の面の側に設けられたドレイン電極と、を備える第1の領域と、第1の方向に前記第1の領域と隣り合って設けられ、前記半導体層の第2の部分と、前記第2の部分に設けられた第2のトレンチと、前記第2のトレンチの中に設けられた第2のゲート電極と、前記第2の部分の前記第1の面の側に設けられた第2のソース電極と、前記第2の部分の前記第2の面の側に設けられた前記ドレイン電極と、を備える第2の領域と、前記第1の方向と交差する第2の方向に前記第1の領域と隣り合って設けられ、前記半導体層の第3の部分と、前記第3の部分に設けられた第3のトレンチと、前記第3のトレンチの中に設けられた第3のゲート電極と、前記第3の部分の前記第1の面の側に設けられた第3のソース電極と、前記第3の部分の前記第2の面の側に設けられた前記ドレイン電極と、を備える第3の領域と、前記第2の方向に前記第2の領域と隣り合って設けられ、かつ、前記第1の方向に前記第1の領域に隣り合って設けられ、前記半導体層の第5の部分と、前記第5の部分に設けられた第5のトレンチと、前記第5のトレンチの中に設けられた第5のゲート電極と、前記第5の部分の前記第1の面の側に設けられた第5のソース電極と、前記第5の部分の前記第2の面の側に設けられた前記ドレイン電極と、を備える第5の領域と、前記第1のゲート電極及び前記第5のゲート電極に電気的に接続された第1のゲート電極パッドと、前記第2のゲート電極及び前記第3のゲート電極に電気的に接続された第2のゲート電極パッドと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態の半導体装置のレイアウト図。
図2】第1の実施形態の半導体装置の等価回路図。
図3】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図4】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図5】第1の実施形態の半導体装置のレイアウト図。
図6】第1の実施形態の半導体装置のレイアウト図。
図7】第1の実施形態の半導体装置のレイアウト図。
図8】比較形態の半導体装置のレイアウト図。
図9】比較形態の半導体装置の模式断面図。
図10】第2の実施形態の半導体装置のレイアウト図。
図11】第3の実施形態の半導体装置のレイアウト図。
図12】第3の実施形態の半導体装置のレイアウト図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書中、同一又は類似する部材については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体装置は、第1の面と第2の面を有する半導体層の第1の部分と、第1の部分に設けられた第1のトレンチと、第1のトレンチの中に設けられた第1のゲート電極と、第1の部分の第1の面の側に設けられた第1のソース電極と、第1の部分の第2の面の側に設けられたドレイン電極と、を備える第1の領域と、第1の方向に第1の領域と隣り合って設けられ、半導体層の第2の部分と、第2の部分に設けられた第2のトレンチと、第2のトレンチの中に設けられた第2のゲート電極と、第2の部分の第1の面の側に設けられた第2のソース電極と、第2の部分の第2の面の側に設けられたドレイン電極と、を備える第2の領域と、第1の方向と交差する第2の方向に第1の領域と隣り合って設けられ、半導体層の第3の部分と、第3の部分に設けられた第3のトレンチと、第3のトレンチの中に設けられた第3のゲート電極と、第3の部分の第1の面の側に設けられた第3のソース電極と、第3の部分の第2の面の側に設けられたドレイン電極と、を備える第3の領域と、第1のゲート電極に電気的に接続された第1のゲート電極パッドと、第2のゲート電極及び第3のゲート電極に電気的に接続された第2のゲート電極パッドと、を備える。
【0009】
図1は、第1の実施形態の半導体装置のレイアウト図である。図2は、第1の実施形態の半導体装置の等価回路図である。
【0010】
第1の実施形態の半導体装置は、双方向スイッチングデバイス100である。双方向スイッチングデバイス100は、2つのトレンチゲート型のMISFETが、ドレイン電極が共通となるように接続された構造を含む。双方向スイッチングデバイス100は、2つのトレンチゲート型のMISFETをワンチップ化した双方向スイッチングデバイスである。第1の実施形態のMISFETは、電子をキャリアとするnチャネル型MISFETである。
【0011】
双方向スイッチングデバイス100は、3つの第1のトランジスタ領域を備える。すなわち、第1のトランジスタ領域101a(第1の領域)、第1のトランジスタ領域101b、第1のトランジスタ領域101cを備える。
【0012】
第1のトランジスタ領域101aは第1のトランジスタ11aを含む。第1のトランジスタ領域101bは第1のトランジスタ11bを含む。第1のトランジスタ領域101cは第1のトランジスタ11cを含む。
【0013】
双方向スイッチングデバイス100は、3つの第2のトランジスタ領域を備える。すなわち、第2のトランジスタ領域102a(第2の領域)、第2のトランジスタ領域102b(第3の領域)、第2のトランジスタ領域102c(第4の領域)を備える。
【0014】
第2のトランジスタ領域102aは第2のトランジスタ12aを含む。第2のトランジスタ領域102bは第2のトランジスタ12bを含む。第2のトランジスタ領域102cは第2のトランジスタ12cを含む。
【0015】
3つの第1のトランジスタ領域と3つの第2のトランジスタ領域は、いわゆる市松パターン(チェッカードパターン)を備えるように配置される。3つの第1のトランジスタ領域の総面積と、3つの第2のトランジスタ領域の総面積は略同一である。
【0016】
例えば、第2のトランジスタ領域102aは、第1の方向に第1のトランジスタ領域101aと隣り合って設けられる。また、第2のトランジスタ領域102bは、第2の方向に第1のトランジスタ領域101aと隣り合って設けられる。また、第2のトランジスタ領域102cは、第3の方向に第1のトランジスタ領域101aと隣り合って設けられる。
【0017】
第1の方向と第2の方向は交差する。例えば、第1の方向と第2の方向は直交する。第3の方向は、第1の方向及び第2の方向と異なる。例えば、第1の方向と第3の方向は直交する。
【0018】
なお、第1の方向とは、第1のトランジスタ領域101aの幾何学的重心と、第2のトランジスタ領域102aの幾何学的重心とを結ぶ方向である。また、第2の方向とは、第1のトランジスタ領域101aの幾何学的重心と、第2のトランジスタ領域102bの幾何学的重心とを結ぶ方向である。また、第3の方向とは、第1のトランジスタ領域101aの幾何学的重心と、第2のトランジスタ領域102cの幾何学的重心とを結ぶ方向である。トランジスタ領域が4角形の場合、幾何学的重心は4角形の対角線の交点である。
【0019】
第1のトランジスタ領域の幾何学的形状は、例えば、第1のトランジスタ領域内でトランジスタのゲート電極として機能しているトレンチに外接する図形で代表させる。第2のトランジスタ領域の幾何学的形状は、例えば、第2のトランジスタ領域内でトランジスタのゲート電極として機能しているトレンチに外接する図形で代表させる。
【0020】
双方向スイッチングデバイス100は、第1のゲート電極パッド151、第2のゲート電極パッド152を備える。また、双方向スイッチングデバイス100は、2つの第1のソース電極パッドを備える。すなわち、第1のソース電極パッド161a、第1のソース電極パッド161bを備える。また、双方向スイッチングデバイス100は、2つの第2のソース電極パッドを備える。すなわち、第2のソース電極パッド162a、第2のソース電極パッド162bを備える。
【0021】
図2に示すように、双方向スイッチングデバイス100は、第1のゲート端子、第2のゲート端子、第1のソース端子、第2のソース端子を備える。第1のゲート端子は、第1のゲート電極パッド151に対応する。第2のゲート端子は、第2のゲート電極パッド152に対応する。第1のソース端子は、第1のソース電極パッド161a及び第1のソース電極パッド161bに対応する。第2のソース端子は、第2のソース電極パッド162a及び第2のソース電極パッド162bに対応する。
【0022】
図2に示すように、第1のトランジスタ11a、第1のトランジスタ11b、及び、第1のトランジスタ11cは、並列に接続される。第1のトランジスタ11a、第1のトランジスタ11b、及び、第1のトランジスタ11cのゲート電極は、第1のゲート端子に接続される。第1のトランジスタ11a、第1のトランジスタ11b、及び、第1のトランジスタ11cのソース電極は、第1のソース端子に接続される。
【0023】
第2のトランジスタ12a、第2のトランジスタ12b、及び、第2のトランジスタ12cは、並列に接続される。第2のトランジスタ12a、第2のトランジスタ12b、及び、第2のトランジスタ12cのゲート電極は、第2のゲート端子に接続される。第2のトランジスタ12a、第2のトランジスタ12b、及び、第2のトランジスタ12cのソース電極は、第2のソース端子に接続される。
【0024】
第1のトランジスタ11a、第1のトランジスタ11b、及び、第1のトランジスタ11cのドレイン電極は、第2のトランジスタ12a、第2のトランジスタ12b、及び、第2のトランジスタ12cのドレイン電極に接続される。
【0025】
第1のトランジスタ11a、第1のトランジスタ11b、第1のトランジスタ11c、第2のトランジスタ12a、第2のトランジスタ12b、及び、第2のトランジスタ12cは、それぞれ、ボディダイオードを内蔵している。
【0026】
図3図4は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図3は、図1のAA’断面である。図4(a)は図1のBB’断面図、図4(b)は図1のCC’断面図である。
【0027】
双方向スイッチングデバイス100は、半導体層10、第1のソース電極20a、第2のソース電極20b、第3のソース電極20c、第4のソース電極20d、ドレイン電極22、保護膜23を備える。半導体層10は、第1の部分10a、第2の部分10b、第3の部分10c、第4の部分10dを有する。半導体層10内には、第1のトレンチ24a、第2のトレンチ24b、第3のトレンチ24c、第4のトレンチ24d、第1のゲート電極26a、第2のゲート電極26b、第3のゲート電極26c、第4のゲート電極26d、第1のゲート絶縁膜28a、第2のゲート絶縁膜28b、第3のゲート絶縁膜28c、第4のゲート絶縁膜28d、ドレイン領域30、ドリフト領域32、第1のベース領域34a、第2のベース領域34b、第3のベース領域34c、第4のベース領域34d、第1のソース領域36a、第2のソース領域36b、第3のソース領域36c、第4のソース領域36d、素子分離領域38、を有する。
【0028】
半導体層10は、第1の面(図3中のP1)と第2の面(図3中のP2)を有する。第1の面P1は半導体層10の表面、第2の面P2は半導体層10の裏面である。
【0029】
半導体層10は、例えば、シリコン(Si)の単結晶層である。第1の面は、例えば、シリコンの(001)面である。
【0030】
ドリフト領域32は、半導体層10の第2の面P2の側に設けられる。ドレイン領域30は、ドリフト領域32と第1の面P2との間に設けられる。
【0031】
第1のトランジスタ領域101aは、半導体層10の第1の部分10a、半導体層10の第1の部分10aに設けられた複数の第1のトレンチ24aを備える。第1のトランジスタ領域101aは、第1のトレンチ24aの中に設けられた第1のゲート電極26a、第1のゲート絶縁膜28aを備える。第1のゲート電極26aは、第1のトランジスタ11aのゲート電極である。
【0032】
第1のトランジスタ領域101aは、半導体層10の第1の部分10aの第1の面P1の側に設けられた第1のソース電極20a、及び、半導体層10の第1の部分10aの第2の面P2の側に設けられたドレイン電極22を備える。また、第1のトランジスタ領域101aは、半導体層10の第1の部分10aの中に設けられた、ドレイン領域30、ドリフト領域32、第1のベース領域34a、第1のソース領域36aを備える。
【0033】
ドリフト領域32と第1の面P1との間に、第1のベース領域34aが設けられる。第1のベース領域34aと第1の面P1との間に、第1のソース領域36aが設けられる。第1のゲート電極26aと第1のベース領域34aとの間に第1のゲート絶縁膜28aが設けられる。
【0034】
第2のトランジスタ領域102aは、半導体層10の第2の部分10b、半導体層10の第2の部分10bに設けられた複数の第2のトレンチ24bを備える。第2のトランジスタ領域102aは、第2のトレンチ24bの中に設けられた第2のゲート電極26b、第2のゲート絶縁膜28bを備える。第2のゲート電極26bは、第2のトランジスタ12aのゲート電極である。
【0035】
第2のトランジスタ領域102aは、半導体層10の第2の部分10bの第1の面P1の側に設けられた第2のソース電極20b、及び、半導体層10の第2の部分10bの第2の面P2の側に設けられたドレイン電極22を備える。また、第2のトランジスタ領域102aは、半導体層10の第2の部分10bの中に設けられた、ドレイン領域30、ドリフト領域32、第2のベース領域34b、第2のソース領域36bを備える。
【0036】
ドリフト領域32と第1の面P1との間に、第2のベース領域34bが設けられる。第2のベース領域34bと第1の面P1との間に、第2のソース領域36bが設けられる。第2のゲート電極26bと第2のベース領域34bとの間に第2のゲート絶縁膜28bが設けられる。
【0037】
第2のトランジスタ領域102bは、半導体層10の第3の部分10c、半導体層10の第3の部分10cに設けられた複数の第3のトレンチ24cを備える。第2のトランジスタ領域102bは、第3のトレンチ24cの中に設けられた第3のゲート電極26c、第3のゲート絶縁膜28cを備える。第3のゲート電極26cは、第2のトランジスタ12bのゲート電極である。
【0038】
第2のトランジスタ領域102bは、半導体層10の第3の部分10cの第1の面P1の側に設けられた第3のソース電極20c、及び、半導体層10の第3の部分10cの第2の面P2の側に設けられたドレイン電極22を備える。また、第2のトランジスタ領域102bは、半導体層10の第3の部分10cの中に設けられた、ドレイン領域30、ドリフト領域32、第3のベース領域34c、第3のソース領域36cを備える。
【0039】
ドリフト領域32と第1の面P1との間に、第3のベース領域34cが設けられる。第3のベース領域34cと第1の面P1との間に、第3のソース領域36cが設けられる。第3のゲート電極26cと第3のベース領域34cとの間に第3のゲート絶縁膜28cが設けられる。
【0040】
第2のトランジスタ領域102cは、半導体層10の第4の部分10d、半導体層10の第4の部分10dに設けられた複数の第4のトレンチ24dを備える。第2のトランジスタ領域102cは、第4のトレンチ24dの中に設けられた第4のゲート電極26d、第4のゲート絶縁膜28dを備える。第4のゲート電極26dは、第2のトランジスタ12cのゲート電極である。
【0041】
第2のトランジスタ領域102cは、半導体層10の第4の部分10dの第1の面P1の側に設けられた第4のソース電極20d、及び、半導体層10の第4の部分10dの第2の面P2の側に設けられたドレイン電極22を備える。また、第2のトランジスタ領域102cは、半導体層10の第4の部分10dの中に設けられた、ドレイン領域30、ドリフト領域32、第4のベース領域34d、第4のソース領域36dを備える。
【0042】
ドリフト領域32と第1の面P1との間に、第4のベース領域34dが設けられる。第4のベース領域34dと第1の面P1との間に、第4のソース領域36dが設けられる。第4のゲート電極26dと第4のベース領域34dとの間に第4のゲート絶縁膜28dが設けられる。
【0043】
ドレイン領域30は、n型不純物を含む不純物領域である。ドリフト領域32は、n型不純物を含む不純物領域である。ドリフト領域32のn型不純物濃度は、ドレイン領域30のn型不純物濃度より低い。
【0044】
第1のベース領域34a、第2のベース領域34b、第3のベース領域34c、第4のベース領域34dは、p型不純物を含む不純物領域である。第1のソース領域36a、第2のソース領域36b、第3のソース領域36c、第4のソース領域36dは、n型不純物を含む不純物領域である。第1のソース領域36a、第2のソース領域36b、第3のソース領域36c、第4のソース領域36dのn型不純物濃度は、ドリフト領域32のn型不純物濃度よりも高い。
【0045】
第1のゲート電極26a、第2のゲート電極26b、第3のゲート電極26c、第4のゲート電極26dは、例えば、導電性不純物を含む多結晶シリコンである。第1のゲート絶縁膜28a、第2のゲート絶縁膜28b、第3のゲート絶縁膜28c、第4のゲート絶縁膜28dは、例えば、酸化シリコン膜である。
【0046】
素子分離領域38は、絶縁層である。素子分離領域38は、例えば、酸化シリコンである。また、保護膜23は、絶縁膜である。保護膜23は、例えば、ポリイミドである。
【0047】
図5は、第1の実施形態の半導体装置のレイアウト図である。図5は、双方向スイッチングデバイス100に設けられるトレンチのパターンレイアウトを示す。
【0048】
図5には、第1のゲート電極パッド151、第2のゲート電極パッド152、第1のソース電極パッド161a、第1のソース電極パッド161b、第2のソース電極パッド162a、第2のソース電極パッド162bの位置も示す。
【0049】
各トランジスタ領域のトレンチの伸長方向は、各トランジスタ領域の短辺に対して垂直であり、長辺に対して平行である。例えば、第1のトランジスタ領域101aの第1のトレンチ24aの伸長方向は、第1のトランジスタ領域101aの短辺に対して垂直であり、長辺に対して平行である。
【0050】
第2のトランジスタ領域102a(第2の領域)と対向する側の第1のトランジスタ領域101a(第1の領域)の第1の辺(図5中のS1)と、第2のトランジスタ領域102b(第3の領域)と対向する側の第1のトランジスタ領域101aの第2の辺(図5中のS2)との内、長い方の辺と第1のトレンチ24aの伸長方向とのなす角度が、短い方の辺と第1のトレンチ24aの伸長方向とのなす角度よりも小さい。長い方の第1の辺S1と第1のトレンチ24aの伸長方向とのなす角度は0度であり、短い方の第2の辺S2と第1のトレンチ24aの伸長方向とのなす角度は90度である。
【0051】
図6は、第1の実施形態の半導体装置のレイアウト図である。図6は、双方向スイッチングデバイス100に設けられる第1のゲート配線121、第2のゲート配線122、第1のゲート電極26a、第2のゲート電極26b、第3のゲート電極26c、第4のゲート電極26dのパターンレイアウトを示す。
【0052】
図6には、第1のゲート電極パッド151、第2のゲート電極パッド152、第1のソース電極パッド161a、第1のソース電極パッド161b、第2のソース電極パッド162a、第2のソース電極パッド162bの位置も示す。
【0053】
第1のゲート配線121は、第1のゲート電極26aに接続される。第2のゲート配線122は、第2のゲート電極26b、第3のゲート電極26c、第4のゲート電極26dに接続される。
【0054】
第1のゲート配線121は、例えば、図示しないコンタクトホールを介して第1のゲート電極パッド151に電気的に接続される。第1のゲート電極パッド151は、第1のゲート配線121を介して第1のゲート電極26aに電気的に接続される。
【0055】
第2のゲート配線122は、例えば、図示しないコンタクトホールを介して第2のゲート電極パッド152に電気的に接続される。第2のゲート電極パッド152は、第2のゲート配線122を介して第2のゲート電極26b、第3のゲート電極26c、第4のゲート電極26dに電気的に接続される。第2のゲート電極26b、第3のゲート電極26c、第4のゲート電極26dは互いに電気的に接続される。
【0056】
第1のゲート配線121及び第2のゲート配線122は、例えば、第1のゲート電極26a、第2のゲート電極26b、第3のゲート電極26c、第4のゲート電極26dと同一の材料で、同時に形成される。第1のゲート配線121及び第2のゲート配線122は、例えば、導電性不純物を含む多結晶シリコンである。
【0057】
図7は、第1の実施形態の半導体装置のレイアウト図である。図7は、双方向スイッチングデバイス100に設けられる第1のソース配線131、第2のソース配線132、第1のソース電極20a、第2のソース電極20b、第3のソース電極20c、第4のソース電極20dのパターンレイアウトを示す。
【0058】
図7には、第1のゲート電極パッド151、第2のゲート電極パッド152、第1のソース電極パッド161a、第1のソース電極パッド161b、第2のソース電極パッド162a、第2のソース電極パッド162bも示す。
【0059】
第1のソース配線131は、第1のソース電極20aに接続される。第2のソース配線132は、第2のソース電極20b、第3のソース電極20c、第4のソース電極20dに接続される。
【0060】
第1のソース配線131は、第1のソース電極パッド161a及び第1のソース電極パッド161bに電気的に接続される。第1のソース電極パッド161a及び第1のソース電極パッド161bは、第1のソース配線131を介して第1のソース電極20aに電気的に接続される。
【0061】
第2のソース配線132は、第2のソース電極パッド162a、第2のソース電極パッド162bに電気的に接続される。第2のソース電極パッド162a、第2のソース電極パッド162bは、第2のソース配線132を介して第2のソース電極20b、第3のソース電極20c、第4のソース電極20dに電気的に接続される。第2のソース配線132を介して第2のソース電極20b、第3のソース電極20c、第4のソース電極20dは互いに電気的に接続される。
【0062】
第1のソース配線131及び第2のソース配線132は、例えば、第1のソース電極20a、第2のソース電極20b、第3のソース電極20c、第4のソース電極20dと同一の材料で、同時に形成される。第1のソース配線131及び第2のソース配線132は、例えば、アルミニウムを含む金属である。
【0063】
次に、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果について説明する。
【0064】
2つのトレンチゲート型のMISFETをワンチップ化した双方向スイッチングデバイスでは、デバイスを高性能化するために、オン抵抗の低減が求められる。
【0065】
図8は、比較形態の半導体装置のレイアウト図である。比較形態の半導体装置は、双方向スイッチングデバイス900である。双方向スイッチングデバイス900は、2つのトレンチゲート型のMISFETをワンチップ化した双方向スイッチングデバイスである。
【0066】
双方向スイッチングデバイス900は、第1のトランジスタ領域901と第2のトランジスタ領域902を備える。
【0067】
双方向スイッチングデバイス900は、第1のゲート電極パッド151、第2のゲート電極パッド152を備える。また、双方向スイッチングデバイス900は、2つの第1のソース電極パッドを備える。すなわち、第1のソース電極パッド161a、第1のソース電極パッド161bを備える。また、双方向スイッチングデバイス900は、2つの第2のソース電極パッドを備える。すなわち、第2のソース電極パッド162a、第2のソース電極パッド162bを備える。
【0068】
双方向スイッチングデバイス900は、第1のトランジスタ領域と第2のトランジスタ領域が、それぞれ1つずつである点で、第1の実施形態の双方向スイッチングデバイス100と異なっている。
【0069】
図9は、比較形態の半導体装置の模式断面図である。図9は、図8のEE’断面である。EE’断面の構造は、図3で示した第1の実施形態のAA’断面の構造と同様である。
【0070】
双方向スイッチングデバイス900は、半導体層10、第1のソース電極920a、第2のソース電極920b、ドレイン電極922を備える。
【0071】
例えば、第1のトランジスタ領域901の第1のソース電極920aから、第2のトランジスタ領域902の第2のソース電極920bに向かってオン電流が流れるとする。オン電流は、半導体層10又はドレイン電極922を通って流れる。
【0072】
第1のトランジスタ領域901と第2のトランジスタ領域902との境界付近の電流経路Xでは、電気抵抗が低くなるため大きな電流が流れる。一方、電気抵抗が高くなる電流経路Yや電流経路Zでは、流れる電流が小さくなる。
【0073】
例えば、電流経路Yや電流経路Zの電気抵抗を下げるために、ドレイン電極922を厚くして、ドレイン電極922の電気抵抗を低くすることが考えられる。しかしながら、ドレイン電極922を厚くすることで、チップを個片化する際のダイシング加工が困難になり、半導体層10にチッピングやクラックが入るおそれがある。また、ドレイン電極922を厚くすることで、製造コストが増大する。
【0074】
第1の実施形態の双方向スイッチングデバイス100では、第1のトランジスタ領域と第2のトランジスタ領域をそれぞれ3つに分割する。そして、分割された第1のトランジスタ領域と第2のトランジスタ領域が、市松パターンを備えるように配置される。
【0075】
したがって、第1の実施形態の双方向スイッチングデバイス100では、第1のトランジスタ領域と第2のトランジスタ領域との間の境界領域の長さの総和が、比較形態の双方向スイッチングデバイス900の境界領域の長さの総和よりも長くなる。
【0076】
ここで、境界領域とは、第1のトランジスタ領域と第2のトランジスタとの間に挟まれた領域である。そして、境界領域の長さとは、第1のトランジスタ領域と第2のトランジスタ領域とを結ぶ方向に対して直角方向の境界領域の長さである。例えば、図5では、第1の辺S1と、第2の辺S2とが、それぞれ境界領域の長さに対応する。
【0077】
したがって、図9に示す電気抵抗の低い電流経路Xの電流経路全体に占める割合が高くなる。よって、双方向スイッチングデバイス100のオン電流が増大する。言い換えれば、双方向スイッチングデバイス100のオン抵抗が低減する。
【0078】
以上、第1の実施形態によれば、オン抵抗の低減が可能な双方向スイッチングデバイス100が実現できる。
【0079】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体装置は、第2の領域と対向する側の第1の領域の第1の辺と、第3の領域と対向する側の第1の領域の第2の辺との内、長い方の辺と第1のトレンチの伸長方向とのなす角度が、短い方の辺と第1のトレンチの伸長方向とのなす角度よりも大きい点で、第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0080】
第2の実施形態の半導体装置は、双方向スイッチングデバイス200である。
【0081】
図10は、第2の実施形態の半導体装置のレイアウト図である。図10は、双方向スイッチングデバイス200に設けられるトレンチのパターンレイアウトを示す。
【0082】
図10には、第1のゲート電極パッド151、第2のゲート電極パッド152、第1のソース電極パッド161a、第1のソース電極パッド161b、第2のソース電極パッド162a、第2のソース電極パッド162bの位置も示す。
【0083】
各トランジスタ領域のトレンチの伸長方向は、各トランジスタ領域の短辺に対して平行であり、長辺に対して垂直である。例えば、第1のトランジスタ領域101aの第1のトレンチ24aの伸長方向は、第1のトランジスタ領域101aの短辺に対して平行であり、長辺に対して垂直である。
【0084】
第2のトランジスタ領域102a(第2の領域)と対向する側の第1のトランジスタ領域101a(第1の領域)の第1の辺(図10中のS1)と、第2のトランジスタ領域102b(第3の領域)と対向する側の第1のトランジスタ領域101aの第2の辺(図10中のS2)との内、長い方の辺と第1のトレンチ24aの伸長方向とのなす角度が、短い方の辺と第1のトレンチ24aの伸長方向とのなす角度よりも大きい。長い方の第1の辺S1と第1のトレンチ24aの伸長方向とのなす角度は90度であり、短い方の第2の辺S2と第1のトレンチ24aの伸長方向とのなす角度は0度である。
【0085】
例えば、第1のトランジスタ領域101aと第2のトランジスタ領域102aとの間に電流が流れる場合、電流は第1のトレンチ24aの伸長方向に沿って流れる。このため、2つの第1のトレンチ24aの間に挟まれたドリフト領域32が、電流経路として機能する。
【0086】
一方、第1のトランジスタ領域101aと第2のトランジスタ領域102bとの間に電流が流れる場合、電流は第1のトレンチ24aの伸長方向に直交する方向に流れる。このため、2つの第1のトレンチ24aの間に挟まれたドリフト領域32が、電流経路として機能しなくなる。
【0087】
境界領域の長さが同じであれば、第1のトレンチ24aの伸長方向に沿って電流が流れる方が大きな電流を流すことができる。境界領域の長さは、例えば、図5図10における第1の辺S1又は第2の辺S2の長さである。双方向スイッチングデバイス200では、第1の辺S1が第2の辺S2よりも長い。したがって、第1のトレンチ24aの伸長方向に沿って電流が流れる境界領域の長さ(S1)が、第1のトレンチ24aの伸長方向に直交する方向に電流が流れる境界領域の長さ(S2)よりも長い。
【0088】
よって、双方向スイッチングデバイス200のオン電流は、第1の実施形態の双方向スイッチングデバイス100のオン電流より増大する。言い換えれば、双方向スイッチングデバイス200のオン抵抗が低減する。
【0089】
以上、第2の実施形態によれば、さらに、オン抵抗の低減が可能な双方向スイッチングデバイス200が実現できる。
【0090】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の半導体装置は、第2の領域と対向する第1の領域の第1の辺と、第3の領域と対向する第1の領域の第2の辺との間の角度が90度未満である点で、第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0091】
第3の実施形態の半導体装置は、双方向スイッチングデバイス300である。
【0092】
図11は、第3の実施形態の半導体装置のレイアウト図である。
【0093】
双方向スイッチングデバイス300は、4つの第1のトランジスタ領域を備える。すなわち、第1のトランジスタ領域101a(第1の領域)、第1のトランジスタ領域101b、第1のトランジスタ領域101c、第1のトランジスタ領域101dを備える。
【0094】
双方向スイッチングデバイス100は、4つの第2のトランジスタ領域を備える。すなわち、第2のトランジスタ領域102a(第2の領域)、第2のトランジスタ領域102b(第3の領域)、第2のトランジスタ領域102c(第4の領域)、第2のトランジスタ領域102dを備える。
【0095】
例えば、第2のトランジスタ領域102aは、第1の方向に第1のトランジスタ領域101aと隣り合って設けられる。また、第2のトランジスタ領域102bは、第2の方向に第1のトランジスタ領域101aと隣り合って設けられる。また、第2のトランジスタ領域102cは、第3の方向に第1のトランジスタ領域101aと隣り合って設けられる。
【0096】
第2のトランジスタ領域102a(第2の領域)と対向する側の第1のトランジスタ領域101a(第1の領域)の第1の辺(図11中のS1)と、第2のトランジスタ領域102b(第3の領域)と対向する側の第1のトランジスタ領域101aの第2の辺(図11中のS2)との間の角度(図11中のθ)は90度未満である。
【0097】
第1の方向と第2の方向は交差する。例えば、第1の方向と第2の方向は直交しない。第3の方向は、第1の方向及び第2の方向と異なる。第1の方向と第3の方向は直交しない。
【0098】
双方向スイッチングデバイス300では、第1のトランジスタ領域と第2のトランジスタ領域が台形形状を備える。そして、台形形状のもっとも長い辺、すなわち斜辺が対向するように、第1のトランジスタ領域と第2のトランジスタ領域が配置される。
【0099】
したがって、第1のトランジスタ領域と第2のトランジスタ領域との間の境界領域の長さが、第1の実施形態の双方向スイッチングデバイス100よりも長くなる。よって、双方向スイッチングデバイス300のオン電流は、第1の実施形態の双方向スイッチングデバイス100のオン電流より増大する。
【0100】
図12は、第3の実施形態の半導体装置のレイアウト図である。図12は、双方向スイッチングデバイス300に設けられるトレンチのパターンレイアウトを示す。
【0101】
図12には、第1のゲート電極パッド151、第2のゲート電極パッド152、第1のソース電極パッド161a、第1のソース電極パッド161b、第2のソース電極パッド162a、第2のソース電極パッド162bの位置も示す。
【0102】
各トランジスタ領域のトレンチの伸長方向は、各トランジスタ領域の台形の下辺に対して平行であり、斜辺に対して傾斜している。例えば、第1のトランジスタ領域101aの第1のトレンチ24aの伸長方向は、第1のトランジスタ領域101aの台形の下辺に対して平行であり、斜辺に対して傾斜している。
【0103】
第2のトランジスタ領域102a(第2の領域)と対向する側の第1のトランジスタ領域101a(第1の領域)の第1の辺(図12中のS1)と、第2のトランジスタ領域102b(第3の領域)と対向する側の第1のトランジスタ領域101aの第2の辺(図12中のS2)との内、長い方の辺と第1のトレンチ24aの伸長方向とのなす角度が、短い方の辺と第1のトレンチ24aの伸長方向とのなす角度よりも大きい。長い方の第1の辺S1と第1のトレンチ24aの伸長方向とのなす角度は0度より大きく、短い方の第2の辺S2と第1のトレンチ24aの伸長方向とのなす角度は0度である。
【0104】
双方向スイッチングデバイス300では、第1の辺S1が第2の辺S2よりも長い。したがって、第1のトレンチ24aの伸長方向に沿って電流が流れる境界領域の長さ(S1)が、第1のトレンチ24aの伸長方向に直交する方向に電流が流れる境界領域の長さ(S2)よりも長い。
【0105】
よって、双方向スイッチングデバイス300のオン電流は、増大する。言い換えれば、双方向スイッチングデバイス300のオン抵抗が低減する。
【0106】
以上、第3の実施形態によれば、さらに、オン抵抗の低減が可能な双方向スイッチングデバイス300が実現できる。
【0107】
第1ないし第3の実施形態では、電子をキャリアとするnチャネル型MISFETの場合を例に説明したが、nチャネル型MISFETに代えて、ホールをキャリアとするpチャネル型MISFETを適用することが可能である。
【0108】
また、第1の実施形態では、トレンチのパターンレイアウトが1方向に伸長するストライプパターンである場合を例に説明したが、トレンチのパターンレイアウトを網目状パターン、いわゆるハニカムパターンとすることも可能である。
【0109】
また、第1ないし第3の実施形態では、第1のトランジスタ領域及び第2のトランジスタ領域を、それぞれ、3つ又は4つに分割する場合を例に説明したが、第1のトランジスタ領域及び第2のトランジスタ領域を、それぞれ、5つ以上に分割することも可能である。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0111】
10 半導体層
10a 第1の部分
10b 第2の部分
10c 第3の部分
10d 第4の部分
20a 第1のソース電極
20b 第2のソース電極
20c 第3のソース電極
20d 第4のソース電極
22 ドレイン電極
24a 第1のトレンチ
24b 第2のトレンチ
24c 第3のトレンチ
24d 第4のトレンチ
26a 第1のゲート電極
26b 第2のゲート電極
26c 第3のゲート電極
26d 第4のゲート電極
100 双方向スイッチングデバイス(半導体装置)
101a 第1のトランジスタ領域(第1の領域)
102a 第2のトランジスタ領域(第2の領域)
102b 第2のトランジスタ領域(第3の領域)
102c 第2のトランジスタ領域(第4の領域)
151 第1のゲート電極パッド
152 第2のゲート電極パッド
200 双方向スイッチングデバイス(半導体装置)
300 双方向スイッチングデバイス(半導体装置)
P1 第1の面
P2 第2の面
S1 第1の辺
S2 第2の辺
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12