(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリビニルアルコール系偏光フィルム層、調光層またはこれらの組み合わせである機能層を芳香族ポリカーボネートシート或いはフィルムで挟んで積層してなる機能性シートに保護フィルムを貼り合わせてなる保護フィルム付き機能性シートにおいて、前記保護フィルムが、前記芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度以上の融点のポリプロピレンからなる基材層と、融点138〜141℃の低密度ポリプロピレンとSEBS(スチレン-エチレン-ブテン-スチレン)エラストマーとの樹脂組成物からなる粘着層との少なくとも2層からなるポリオレフィン系樹脂フィルムであることを特徴とする保護フィルム付き機能性シート。
ポリビニルアルコール系偏光フィルム層、調光層またはこれらの組み合わせから選択した機能層を芳香族ポリカーボネートシート或いはフィルムで挟んで積層してなる機能性シートに保護フィルムを貼り合わせて保護フィルム付き機能性シートとし、これを所望形状に打ち抜きし、打ち抜き片を、打ち抜き片の最高温度が前記芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度よりも15〜5℃低い温度にて徐々に変形させて熱曲げ加工した後、保護フィルムを剥離して金型に装着し、芳香族ポリカーボネート樹脂を射出成形し、成形品を取り出すことからなる機能性の芳香族ポリカーボネート射出成形レンズの製造法において、前記保護フィルムが芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度以上の融点のポリプロピレンからなる基材層と、融点138〜141℃の低密度ポリプロピレンとSEBS(スチレン-エチレン-ブテン-スチレン)エラストマーとの樹脂組成物からなる粘着層との少なくとも2層からなるポリオレフィン系樹脂フィルムであることを特徴とするポリオレフィン系樹脂フィルムであることを特徴とする芳香族ポリカーボネート射出成形レンズの製造法。
【背景技術】
【0002】
芳香族ポリカーボネート製のサングラス用レンズは、通常、偏光フィルム層やフォトクロミック層などの機能層の保護層として芳香族ポリカーボネートシート或いはフィルムを用いてなる機能性シートを、所望形状に打ち抜き加工し、これを、部分球面に熱曲げ加工し、その凹面側にレンズ用芳香族ポリカーボネートを射出成形し、適宜、表面処理などして製造される。
【0003】
この機能性シートは流通、加工工程などの取り扱いの際に、その表面をキズ、汚れや異物から保護するための保護フィルムが付着されている。特に芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度近辺の高温環境下での熱曲げ加工に耐えるものとしてポリオレフィン系の保護フィルムが提案されている(特許文献1、2)。
【0004】
特許文献1は、実質的な融点が150℃以上のポリオレフィン系フィルム層を表面層に、実質的な融点が125〜145℃のポリオレフィン系フィルムを粘着或いは接着用のフィルム層とする二枚重ね(構成)の保護フィルムを開示する。
また、特許文献2は、保護フィルムとして、105〜130℃の融解ピーク(A)と160〜175℃の融解ピーク(B)とを持ち、融解ピークの面積比[(A)/(B)]が35/65〜80/20である共押し出しのポリオレフィン系フィルムを開示する。
特許文献1、2は、熱曲げ加工を行った後の評価(効果)までは記載するが、熱曲げ品を射出成形金型に装着してなる射出成形レンズに関する記載はなく、射出成形レンズとしての評価はない。
【0005】
ところが、このような保護フィルム付き機能性シートを、所望の形状に打ち抜き、部分球面などに熱曲げ加工し、これを射出成形金型に装着し、その凹面に側面のゲートからレンズ用芳香族ポリカーボネートを射出成形したレンズ成形品(以下、射出レンズと記す。)において、白いスジ(以下、白スジと記す。)が生じることがあり、外観の欠陥として問題となっている。
特に、生産性の向上の要請から、機器の使用効率の一層の向上やより短時間での製造への要求はますます厳しくなってきており、そのような問題への対応に伴って、「白スジ」の欠陥の発生頻度の増加傾向が見られ、早急の解決が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した白スジが生じないかまたは大幅に減少した芳香族ポリカーボネート射出成形レンズを製造できる保護フィルム付き機能性シートを課題とする。
【0008】
「白スジ」に関し、その成分分析からポリオレフィン系樹脂の存在が確認された。
また、熱曲げ加工品についてサンプル観察したところ、打ち抜き断面に保護フィルム由来と思われる付着樹脂が確認される場合があり、この切断面をナイフなどにて清掃したものでは、白スジが見られなくなった。
熱曲げ加工品は、その保護フィルムを剥離してから金型に装着し、射出成形する。この時発生する白スジは、保護フィルムを剥離しても、打ち抜き断面にそのまま残存した付着樹脂が原因であり、剥離力にて切断分離するほどに切断面に強固に付着したものか、或いは、切断分離片となって付着していたものと推定される。なお、一連の試験は、後記の実施例記載の方法によった。
【0009】
「白スジ」の発生頻度と打ち抜き回数との間にも関連が認められた。
打ち抜き回数が少ない場合には、発生頻度は少なく、多くなると増加する。取り換え或いは研磨時期の迫った打ち抜き刃は、摩耗にてその鋭利な刃先を失ったものである。
鋭利な刃先を失った或いは刃が欠けたものでは、保護フィルムはある程度以上引き延ばされてから切断される。詳細には、ある程度以上刃先が侵入し、引き延ばしされた後に当て板との間に挟まれて切断され、その後、打ち抜き刃が後退して打ち抜きが完了する。これは、引き伸ばし部を形成した後に、押し切りされる。大きく引き延ばされた部分、ひび割れ状に引き伸ばされた部分、または破断して小片化した部分などが切断端に残存したものとなる。
【0010】
上記で製造した保護フィルム付き機能性シートの打ち抜き片を、熱曲げ加工する。
熱曲げ加工は、機能層の保護シートを容易に、すなわち、小さい応力で曲げ加工できる温度に、最高温度として保護シートである芳香族ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度より低い135〜145℃に加熱した状態で、徐々に変形させることによる。
当然に、保護フィルムもこの温度となり、この結果、融点がこの温度未満の樹脂は溶融する。なお、溶融は、全面で起こるので、芳香族ポリカーボネート樹脂表面との接着力が溶融により大きく増加するものは不適切な粘着或いは接着層用の樹脂となる。
前記したように、切断端の引き延ばされた部分や小片或いはひび割れ状部分の樹脂も溶融し流動し、場合により流動先で固化し粘着或いは接着する。
【0011】
熱曲げ品の切断端面を顕微鏡観察すると、保護フィルム端が、芳香族ポリカーボネートシートの打ち抜き切断端面よりも外側に突出して、倒れ込んでいる状態のものが観察された。
そして、用いた保護フィルムの種類により、この突出倒れ込みは概ね100〜600μmの範囲であった。
なお、保護フィルム剥離後の切断端面への付着残存物の有無は未確認である。
【0012】
前記の熱曲げ品から保護フィルムを剥離し、射出成形レンズを製造した結果、突出倒れ込みの大きさと白スジの発生に関連が認められた。
前記した溶融流動にて基材層と分離したものや、切断端の基材層との接続部分が細く薄くなり粘着或いは接着強度に耐えられず、金型への装着にあたって剥離される保護フィルム本体と分離して切断端に残存することとなる。突出倒れ込みの大きいものは、残渣が残りやすい。残渣が、射出された溶融芳香族ポリカーボネートにて溶融されて引きずられて移動した軌跡が白スジとして見えるものとなる。
そこで、白スジの発生頻度の高い条件、鋭利な刃先を失った打ち抜き刃を用い、さらに、熱曲げ条件を選択することにより、保護フィルムの評価を行い、白スジが生じないかまたは大幅に減少した芳香族ポリカーボネート射出成形レンズの得られる保護フィルム付き機能性シートを見出した。
【0013】
しかし、この開発品は、好適な粘着力の強さの範囲が狭いとの課題も新たに見出された。例えば、熱曲げ加工の温度が高いと、粘着性の増加により、金型装着時の保護フィルムの剥離が困難となる場合があった。この対策としてより小さい粘着力とした場合には、熱曲げ加工時に保護フィルムの周囲から剥離皺が発生し、この空隙内に保護フィルムの粘着層の添加剤が析出し微小結晶として表面に残存し、白濁を生じる問題があった。これらから、より小さい粘着力においても剥離皺の発生しないものか、或いは、熱曲げ加工による粘着力の増加のより小さいものが求められていた。
【0014】
また、熱曲げ品の表面に凸凹が観察される場合や、更に、その他の欠陥としてメラメラが観察される場合があった。
凸凹のより詳細な表面観察から保護フィルムの表面にも凹みが観察される場合があり、この凹みと熱曲げ品の表面の凹みとの一致が認められた。作業環境の清浄化(無塵化)のレベルが低いとより多く発生するものであり、これらから、ゴミが原因と推定された。
ところが白スジ発生の無い開発品では凸凹が発生し観察される作業環境においても、白スジの発生する従来の二枚構成の保護フィルムでは、この凸凹は実質的に観察されなかった。また、白スジの発生しない保護フィルムの開発過程の一部の試作品でも同様にこの凸凹が殆ど観察されないものがあった。
【0015】
両者の最も大きな相違点は、白スジの発生原因となる樹脂層、すなわち、熱曲げ時に溶融流動する樹脂層を持つか否かである。熱曲げ金型表面に十〜数十μm程度のゴミの付着がある場合、溶融流動層を持たない白スジ発生の無い開発品では、この付着ゴミが保護フィルム基材層を押し下げ、粘着層を押し下げ、熱曲げ品の表面に到達して、凹みを作る。しかし、溶融流動層を持つ白スジ発生品では、このゴミ付着部が保護フィルム基材層を押し下げるが、溶融流動する粘着層が変形して、熱曲げ品の表面に実質的に到達しないものと推定された。
【0016】
このゴミ問題を解決するには、製造環境の清浄度を厳密に管理すればよいが、製造コストが増えて工程も煩雑になるという課題が残る。
【0017】
メラメラは、熱曲げ品の保護フィルムを剥離し、蛍光灯などの光を透過させて熱曲げ品を観察すると、光源の透過像が不規則な乱れ像となって観察される。この同じ熱曲げ品の保護層表面を透過光により観察すると、前記乱れ像に従って保護層表面が波打ったように形状変化している事が確認された。詳細には、上記した凸凹程には形状変化部分の高低差が無く、また変化部分の境界が明確では無いような仕方で、熱曲げ品の表面へ不均一に広がる顕微鏡ではとらえられない程度の表面の微小な形状変化である。
このメラメラは、白スジの発生しない開発品の場合には程度が強く発生し、白スジの発生する従来の二枚構成の保護フィルムでは程度が弱いか、前記したメラメラとして観察されるほど発生しない。
この点においても両者の最も大きな相違点は、熱曲げ時に溶融流動する樹脂層を持つか否かである。詳細には、熱曲げ加工する際、溶融流動する樹脂層を持たない開発品保護フィルムは熱曲げ品の形状変化に追従しない為、局在応力負荷が発生し熱曲げ品表面を微小な範囲で歪めて、前記メラメラとなる。それに対し溶融流動層を持つ白スジ発生品では、熱曲げ時に溶融流動する粘着層が容易に熱曲げ品表面の形状変化に追従する為、前記メラメラを誘発させないものと推定される。
【0018】
以上から、共押し二層や二枚構成においては白スジ発生の原因となる樹脂層と同様に熱曲げ条件下に溶融する樹脂層を持ち、且つ、この樹脂層が溶融しても打抜き切断面への実質的に付着しないとの条件を満足するものが求められた。
そこで、本発明者らは、白スジ発生頻度の高い条件で、中間層に熱曲げ条件下に溶融する樹脂層を設けた保護フィルムを試作し、芳香族ポリカーボネート射出成形レンズを製造し評価することにより新規な保護フィルム付き機能性シートを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0019】
すなわち、本発明は、
(1).ポリビニルアルコール系偏光フィルム層、調光層またはこれらの組み合わせである機能層を芳香族ポリカーボネートシート或いはフィルムで挟んで積層してなる機能性シートに保護フィルムを貼り合わせてなる保護フィルム付き機能性シートおいて、前記保護フィルムが、前記芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度以上の融点のポリプロピレンからなる基材層と、その片面に前記のガラス転移温度よりも15℃低い温度以上でガラス転移温度よりも低い融点のポリオレフィンとポリオレフィンゴムとの熱可塑性ポリオレフィンエラストマーからなる粘着層との少なくとも2層からなるポリオレフィン系樹脂フィルムであることを特徴とする保護フィルム付き機能性シートである。
【0020】
前記(1)の本発明において、
(2).前記基材層のポリプロピレンが低密度でその融点が150〜170℃で、厚みが30〜60μmであること、
(3).前記粘着層のポリオレフィンが低密度でその融点が135〜145℃で、前記粘着層の厚みが5〜30μmであること、また、
(4).前記基材層と前記粘着層との間に、前記基材層よりも低融点のポリオレフィン系樹脂層を持つこと、さらに、
(5).前記ポリオレフィン系樹脂層が低密度でその融点が120〜145℃であり、その厚みが20〜60μmである保護フィルム付き機能性シートである。
【0021】
また、本発明は、
(6).ポリビニルアルコール系偏光フィルム層、調光層またはこれらの組み合わせから選択した機能層を芳香族ポリカーボネートシート或いはフィルムで挟んで積層してなる機能性シートに保護フィルムを貼り合わせて保護フィルム付き機能性シートとし、これを所望形状に打ち抜きし、打ち抜き片を熱曲げ加工した後、保護フィルムを剥離して金型に装着し、芳香族ポリカーボネート樹脂を射出成形し、成形品を取り出すことからなる機能性の芳香族ポリカーボネート射出成形レンズの製造法において、前記保護フィルムが、前記芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度以上の融点のポリプロピレンからなる基材層と、その片面に前記のガラス転移温度よりも15℃低い温度以上でガラス転移温度よりも低い融点のポリオレフィンとポリオレフィンゴムとの熱可塑性ポリオレフィンエラストマーからなる粘着層との少なくとも2層からなるポリオレフィン系樹脂フィルムであることを特徴とする芳香族ポリカーボネート射出成形レンズの製造法である。
【0022】
前記(6)の本発明において、
(7).前記熱曲げ加工が、打ち抜き片の最高温度が前記芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度よりも15〜5℃低い温度にて徐々に変形させるものであること、
(8).前記基材層のポリプロピレンが低密度でその融点が150〜170℃であり、厚みが30〜60μmであること、
(9).前記粘着層のポリオレフィンが低密度でその融点が135〜145℃であり、前記粘着層の厚みが5〜30μmであること、
(10).前記基材層と前記粘着層との間に、前記基材層よりも低融点のポリオレフィン系樹脂層を持つこと、
(11).前記ポリオレフィン系樹脂層が低密度でその融点が120〜145℃であり、その厚みが20〜60μmである、芳香族ポリカーボネート射出成形レンズの製造法である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
保護フィルム
本発明の保護フィルムは、基材層と粘着層(或いは接着層)との少なくとも2層、または基材層と粘着層との間に中間層を設けた少なくとも3層からなる。本保護フィルムの厚みは、50〜100μmから選択することが好ましい。
基材層は、保護フィルムの本来の役割、すなわち、流通段階や、加工工程などの取り扱いの際に機能性シートの表面をキズ、汚れや異物から保護するとの役割を主に達成するための層であり、適度なフィルム強度を持ったものを選択する。また、基材層は、打ち抜き工程にて、細片への割れを発生せず、粘着層と剥離せず、また、熱曲げ工程で前記芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度程度の雰囲気に曝されても溶融接着などしないものであり、実質的に溶融状態となった粘着層或いは接着層との接着状態を保持する層である。
【0025】
また、保護フィルム付き機能性シートを多数枚重ねて長期間保存する場合、保護フィルムの表面同士が加圧密着した状態で長期間保持される。この時、ブロッキング、すなわち、剥離不可能な固着に至らないように、適宜、より硬質の表面層を設けること、基材層の表面層にブロッキング防止剤を配合した層を設けることなどが適宜行なわれる。
【0026】
基材層は、熱曲げ工程で溶融しないものであり、前記芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度以上の融点(DSC測定によるピーク温度)のポリプロピレン、好ましくは融点150〜170℃、より好ましくは融点155〜165℃であり、好ましくは低密度ポリプロピレンから選択し、厚みは20〜60μmから選択することが好ましい。高密度では脆くなり、割れなどによる切断残査が発生しやすくなり、融点が低いと基材層としての強度低下による形状保持性の低下の課題が生じ易くなる。
なお、本保護フィルムは、熱測定において、明白な融点ピークを示さない場合がある。特に、粘着層の樹脂は、より低密度であり、厚み比が小さいことから、通常、低くなだらかな融点ピーク形状で測定される。さらに、本発明では、ポリオレフィンゴムとの組成物であることから、基材層の融点ピークの低温側の立ち上がり部分との識別に注意が必要である。
【0027】
粘着層(或いは仮接着層)は、保護フィルムの基材層への接着または中間層への接着を保持し、且つ、芳香族ポリカーボネートの表面に密着し、のり残りなどなく剥離するものである。前記したように、特に、打ち抜き工程で、保護面である芳香族ポリカーボネート表面から剥離せず、基材層から剥離しない接着を示し、また、溶融状態においても基材層に粘着した状態を保つもの、溶融粘度の温度依存性の小さいもの、或いは融点の不明確なもの、例えば、規則性に劣る低密度品、分岐した構造などが一例として挙げられる。
【0028】
粘着層は、芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度よりも15℃低い温度以上でガラス転移温度未満の融点、好ましくは135〜145℃のポリオレフィン、低密度のポリオレフィンとスチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体エラストマーとの樹脂組成物からなる。粘着層の厚みは特に制限されないが通常5〜30μmから選択することが好ましい。
粘着層のポリオレフィンは、単独使用で、室温での圧着では芳香族ポリカーボネートへの粘着性が不十分である。融点が低すぎると、単独使用でも粘着性を発現し、熱曲げ加工時に粘着性が大きく増加し、室温に冷却されても粘着性の低下が不十分なものとなるので好ましくない。他方、融点が高すぎると、必要とされる粘着性を発現させるための組成成分であるスチレン−オレフィン−スチレン共重合体エラストマーをより多く必要とするものとなり、また、基材層とのと粘着或いは接着力の低下も発生し好ましくない。他の態様においては、融点が高すぎると、保護フィルムの構成要素である中間層との粘着或いは接着力の低下も発生し好ましくない。
【0029】
スチレン−オレフィン−スチレン共重合体エラストマーは、通常、SBS、SISなど、すなわち、熱可塑性エラストマーであるスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体の、ポリブタジエン、ポリイソプレンの不飽和二重結合を水素添加して、ポリオレフィンゴムの鎖、典型的には、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ペンテン共重合体からなるゴム状重合体としてなるものである。常温では、分子両末端のポリスチレン鎖が微粒子状に会合し、ゴム状のポリオレフィン鎖を擬似的に架橋した構造をとっているものと思われ、常温では架橋ゴムのように振る舞い、ポリスチレンの融点以上では容易に溶融流動するものである。
組成比は、スチレン−オレフィン−スチレン共重合体エラストマー中のゴム状のポリオレフィン鎖の成分が、樹脂組成物の20〜60%、好ましくは28〜52%の範囲から選
択する。
【0030】
なお、粘着(或いは仮接着)において、課題となる点に粘着力の経時変化がある。本目的においても、当然に経時変化が実質的にないものが好ましい。例えば、経時変化により粘着(或いは接着)力が不必要に増加し、ブロッキング、すなわち、剥離不可能な固着に至る場合があり、製品を使用不能とする。本発明の粘着力は、通常の粘着剤などの値に比較して小さい値であり、通常問題とならないが、考慮は必須である。
【0031】
本発明の保護フィルムは、基材層と粘着層(或いは仮接着層)との少なくとも2層を必須とするが、前記基材層と粘着層(或いは仮接着層)との間に、或いは、基材層の内層側に、前記基材層及び粘着層に密着した前記基材層よりも低融点のポリオレフィン系樹脂層からなる補助層或いは中間層を設けても良い。
【0032】
この中間層を構成する前記ポリオレフィン系樹脂層は、前記芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度よりも40℃低い温度以上でガラス転移温度よりも5℃低い温度以下の融点のポリオレフィンからなり、その融点が好ましくは120℃〜145℃であり、その厚みが20〜60μmである。この中間層は、熱曲げ加工時に溶融状態となり局所的な応力負荷を吸収し、また、基材層と粘着層(或いは仮接着層)とに挟まれ拘束されているので、単独で流動して保護フィルム本体から分離し難いものである。
中間層ポリオレフィンの融点を120℃程度に低くする場合には、厚みを20μm程度に薄くする事でフィルム本体から分離しにくい。また、前記中間層ポリオレフィンの融点を140℃程度に高くする場合には、厚みを40μm程度にするとより応力吸収する効果が高まるが、熱曲げ加工条件や作業環境を考慮して適宜選択可能である。
中間層の融点が、前記融点範囲よりも高い場合には、打抜き片の熱曲げ加工時に中間層が溶融し流動しない為に応力吸収も十分でなく、剥離皺、凸凹及びメラメラなどが解消されない。中間層融点が前記融点範囲よりも低い場合には、熱曲げ加工時に溶融した中間層が熱曲げ時の減圧または加圧の応力により、中間層のみが流動して保護フィルム基材層や粘着層よりも突出した状態になり、熱曲げ品の断面に付着もしくは分離して固着する。そのような熱曲げ品の保護フィルムを剥離して射出成型を行った場合、白スジと同じような不具合になる為望ましくない。
【0033】
本発明の保護フィルムは、通常、共押出し法により製造する。
基材層(コア層)用と粘着層(或いは接着層)との少なくとも2つの押出機を、さらに、中間層用の押出機を追加し少なくとも3つの押出機を用いて、それぞれの樹脂をそれぞれの条件にて溶融押出しし、共押出ダイにて溶融状態で層接触させてダイリップから押し出し、ロールにて引き取りして保護フィルムとする。なお、この共押出にあたって、安定剤、離型剤、滑剤などを、適宜、少量添加して、より均一な押出し、ロールなどへの付着の制御など行うことができる。
【0034】
機能性シート
上記の保護フィルムをその表面に粘着或いは接着にて仮接着されて、表面保護される機能性シートは、ポリビニルアルコール系偏光フィルム層、調光層またはこれらの組み合わせから選択した機能層を芳香族ポリカーボネートシート或いはフィルムで挟んで積層してなるものである。
ポリビニルアルコール系偏光フィルム層である機能層は、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水溶液中で一軸延伸しつつ、二色性有機染料を吸着配向させてなる偏光フィルムであって、3.5〜6.5倍に一軸延伸され、適宜、ホウ酸または金属化合物にて処理してなる偏光フィルムである。
調光層は、透明な樹脂にフォトクロミック化合物(フォトクロミック材料)を混合したものからなる層である。フォトクロミック材料としては、スピロオキサジン系材料、スピロピラン系材料、フルギド系材料、ジアリールエテン系材料、サリチリデンアニリン系材料があり適宜用いられる。
【0035】
芳香族ポリカーボネートシート或いはフィルムは、厚み0.1〜1mm、好ましくは、0.2〜0.5mmであって、一軸延伸されたリタデーションが2,000nm以上、通常、10,000nm以下のものがより好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンや2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジハロゲノフェニル)アルカンで代表されるビスフェノール化合物から周知の方法で製造された重合体が用いられ、その重合体骨格に脂肪酸ジオールに由来する構造単位が含まれるエステル結合を持つ構造単位が含まれても良い。2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるビスフェノールAポリカーボネート樹脂が好ましい。分子量は、賦型性や機械的強度の観点から粘度平均分子量で17,000〜40,000、好ましくは22,000〜34,000である。
【0036】
本発明の機能性シートは、上記の機能層を芳香族ポリカーボネートシート或いはフィルムで挟んで積層することにより製造される。積層は、通常、接着層を介して機能層の両面に芳香族ポリカーボネートシート或いはフィルムを重ね、圧着し、適宜、接着層を硬化させることにより製造される。
ポリビニルアルコール系偏光フィルムを機能層とする実施方法の一例は、長尺のポリビニルアルコール系偏光フィルムに連続的に接着剤を塗布乾燥し、接着剤面を長尺の芳香族ポリカーボネートシートに重ね圧着し、その偏光フィルム表面に再び連続的に接着剤を塗布乾燥し、接着剤面に長尺の芳香族ポリカーボネートシートに重ね圧着し、ロールに巻き取り或いは所定寸法に切断したものを、適宜、後硬化させる方法が挙げられる。
【0037】
保護フィルム付き機能性シート
本発明の保護フィルム付き機能性シートは、通常、連続フィルムである保護フィルムを前記の連続或いは枚葉の機能性シートの両面に重ね圧着することによる。
圧着は、通常、2本のロール間を通過させることによる。圧力10kg/cm以下にて、適宜表面温度を60℃〜80℃に加熱して用いる事による。
尚、本発明の保護フィルムを積層する方法は、最終的に本発明の保護フィルムの構成となるような積層方法であれば特に限定されるものではない。
【0038】
射出成形レンズ
また、本発明は、ポリビニルアルコール系偏光フィルム層、調光層またはこれらの組み合わせから選択した機能層を芳香族ポリカーボネートシート或いはフィルムで挟んで積層してなる機能性シートに保護フィルムを貼り合わせて保護フィルム付き機能性シートとし、これを所望形状に打ち抜きし、打ち抜き片を熱曲げ加工した後、保護フィルムを剥離して金型に装着し、芳香族ポリカーボネート樹脂を射出成形し、成形品を取り出すことからなる機能性の芳香族ポリカーボネート射出成形レンズの製造法において、前記保護フィルムが、前記芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度以上の融点のポリプロピレンからなる基材層と、その片面に前記のガラス転移温度よりも15℃低い温度以上でガラス転移温度よりも低い融点のポリオレフィンとスチレン−オレフィン−スチレン共重合体エラストマーとの樹脂組成物からなる粘着層との少なくとも2層からなるポリオレフィン系樹脂フィルムであることを特徴とする芳香族ポリカーボネート射出成形レンズの製造法であり、さらに、前記熱曲げ加工が、打ち抜き片の最高温度が前記芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度よりも15〜5℃低い温度にて徐々に変形させるものであることからなる芳香族ポリカーボネート射出成形レンズの製造法である。
他の態様において、本発明は、前記芳香族ポリカーボネート射出成形レンズの製造法において、前記保護フィルムが、前記芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度以上の融点のポリプロピレンからなる基材層、その片面に前記のガラス転移温度よりも15℃低い温度以上でガラス転移温度よりも低い融点のポリオレフィンとスチレン−オレフィン−スチレン共重合体エラストマーとの組成物からなる粘着層および前記の基材層と粘着層との間に、前記芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度よりも40℃低い温度以上でガラス転移温度よりも5℃低い温度以下の融点のポリオレフィンからなる中間層との少なくとも3層からなるポリオレフィン系樹脂フィルムであることを特徴とする芳香族ポリカーボネート射出成形レンズの製造法である。
【0039】
本保護フィルム付き機能性シートは、所望の形状、例えば、直径80mmの円盤、円盤の両脇(上下)を一定幅平行に切り取ったスリット形状などに打ち抜き加工される。所望の打ち抜き刃、例えば、トムソン刃を配置したプレス機の上に、本保護フィルム付き機能性シートと当て板とをその方向などを考慮して重ねて行う。
【0040】
打ち抜き片は、所望の形状の金型、通常、部分球面の金型を用い、適宜、前記のガラス転移温度よりも15℃〜5℃低い温度以下で、好ましくは130℃以上の温度まで予備加熱し、熱曲げ用の雌金型に配置し、減圧または加圧して、打ち抜き片の最高温度が前記芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度よりも15〜5℃低い温度、通常、135〜145℃にて徐々に、通常、0.5〜10分間かけて、変形させ、適宜、この間に雄型を押し付けることにより熱曲げ加工を完了する。
【0041】
この熱曲げ加工の温度において、本保護フィルムの粘着層も部分溶融するものと推定される。しかし、従来の保護フィルムのように切断端面に付着物がなく、白スジを発生しない。
本保護フィルムの粘着層に用いるポリオレフィンは、単独では略熱曲げ加工の最高温度範囲に融点ピークをもつものを用いるが、粘着層用の樹脂組成物とした場合、融点ピークは確認できないものではないが、不明確となる。従来の保護フィルムの粘着層は明白な融点ピークを示す。本発明の粘着層は、従来のものに比較して極めて不明確であり、また、高い融点ピークが確認できるとの相違点をもつものである。
本発明の粘着層は、熱曲げ加工時においても高い粘性から基材層から分離して流れ出さず、打ち抜き端面に溶融して付着しづらいものとなっているものと思われる。
【0042】
熱曲げ加工された打ち抜き片を、その保護フィルムを取り除いて、所定温度の射出成形機の金型に配置し、光学用の芳香族ポリカーボネート樹脂成形材料を射出して芳香族ポリカーボネート射出成形レンズを製造する。
本発明の射出成形は、通常は、樹脂温度は260〜340℃、好ましくは270〜310℃、射出圧力50〜200MPa、好ましくは80〜150MPa、金型温度60〜130℃、好ましくは80〜125℃である。
【0043】
上記にて製造した芳香族ポリカーボネート射出成形レンズは、適宜、ハードコート処理が施され、さらに、ミラーコートや反射防止コート等が施されて、製品とされる。
ハードコートの材質あるいは加工条件は、外観や下地の芳香族ポリカーボネートに対して、あるいは続いてコートされるミラーコートや反射防止コート等の無機層に対する密着性に優れている必要があり、この点から、焼成温度は芳香族ポリカーボネートシートのガラス転移点より50℃低い温度以上でガラス転移点未満の温度が好ましく、特に、ガラス転移点より40℃低い温度以上でガラス転移点より15℃低い温度未満で、120℃前後の温度で、ハードコートの焼成に要する時間は概ね0.5〜2時間である。
以下に、本発明を実施例にて説明する。
【実施例1】
【0044】
機能性シート
厚み30μmの偏光フィルムの両面に熱硬化性ポリウレタン系接着層にて厚み0.3mmの芳香族ポリカーボネートシートを積層した全厚み0.6mm、幅300mm、長さ340mmの機能性シート(三菱瓦斯化学(株)製、ユーピロンポーラ)を用い、その両面に、下記表1記載の保護フィルムを加温したロール(ロール表目温度73℃)にて圧着(荷重9kg/cm)した。(実施例1および2、比較例1乃至4)
厚み30μmの偏光フィルムの両面に熱硬化性ポリウレタン系接着層にて厚み0.3mmの芳香族ポリカーボネートシートを積層した全厚み0.6mm、幅300mm、長さ340mmの偏光シート(三菱瓦斯化学(株)製、ユーピロンポーラ)を用い、その両面に、下記表3記載の保護フィルムを加温したロール(ロール表目温度80℃)にて圧着(荷重10kg/cm)した。(実施例3、4および5、比較例5および6)
次に、保護フィルム付き機能性シートを打ち抜き加工した。
ここで、打ち抜きは、常法に従い、トムソン刃を用いるとプレス打ち抜きとしたが、上記の課題の項で説明したように、白スジ発生頻度を大幅に高くした打ち抜き片を製造するとの目的から、トムソン刃として片刃のものを採用し、片刃は外向き配置とし、さらに、刃先を5μm除いたものを用いた。
【0045】
打抜き片の形状:
直径80mmの円盤をその中心を通る直線の両側を平行に同量切り取り幅55mmとしたスリット形状或いはカプセルや俵の縦断面形状であり、切り取られない両側の円弧部分に位置決め用の小突起を持つ。打ち抜き方向は、打ち抜き片の長手方向を偏光フィルムの吸収軸方向とした。
【0046】
上記で製造した打ち抜き片を熱曲げ加工した。
熱曲げは、打ち抜き片を予熱器にて予備加熱し、これを所定の温度、所定の曲率の部分球面雌型に乗せ、シリコンゴム製雄型にて押し付けると同時に減圧を開始して雌型に吸着させ、雄型を引き上げ、雌型に吸着された打ち抜き片を所定の時間、所定の温度の熱風雰囲気中で保持した後、取り出す工程からなる連続熱曲げ装置を使用した。
上記において、打ち抜き片の予備加熱は136℃雰囲気温度とし、雌型は8R相当(半径約65.6mm)の部分球面で表面温度138℃、シリコンゴム製雄型による押し付け時間は4秒、雌型への吸着は、吹き込み熱風温度が166℃である雰囲気下で9分間とした。
なお、この熱曲げ条件は、打ち抜き刃の条件と同様に、白スジの発生頻度の高い条件を設定選択したものである。
熱曲げ打ち抜き片について、打ち抜き切断端面の保護フィルムに関して観察(以下、端面観察と記す)した。さらに、保護フィルムのシワ及び白濁、メラメラの発生を観察し、剥離性も確認した。方法を下記に、結果を表2および4に示した。
【0047】
上記で製造した熱曲げ打ち抜き片の保護フィルムを剥離し、射出成形機金型キャビチーに装着し、芳香族ポリカーボネート(紫外線吸収剤配合、商品名;)を用いて、射出成形した。射出成形条件は、樹脂温度310℃、射出圧力125MPa、保持圧63MPa、金型温度80℃、射出サイクル70秒にそれぞれ設定した。
得られた射出成形レンズに関して、白スジの発生を観察した結果を下記表2および4に示した。
【0048】
打ち抜き片の形状:
直径80mmの円盤をその中心を通る直線の両側を平行に同量切り取り幅55mmとしたスリット形状或いはカプセルや俵の縦断面形状であり、切り取られない両側の円弧部分に位置決め用の小突起を持つ。
打ち抜き方向は、打ち抜き片の長手方向を偏光フィルムの吸収軸方向とした。
射出成形樹脂:
芳香族ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量23000、商品名:ユーピロンCLS3400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株))
【0049】
射出成形用金型:
度数を持たないプラノレンズ用。金型キャビチーは、直径約80mm弱の8R相当の部分球面で、収差補正され装着(インサート)シートを含む総厚み2mmで、ゲートの反対端には、レンズの後加工などに使用する貫通穴付きの突起部が設けられた形状である。シート装着部は凹面側、ゲートからその反対端方向に対してスリット或いは俵形状の直線部が直交するように、打ち抜き片の位置決め小突起を受ける凹みを持つ。
従って、溶融樹脂は、ゲートから部分球面形状に広がりつつ移動し、凹面側では、打ち抜き片の直線部にぶつかり、打ち抜き片上を乗り越え、縮まりながらゲートの反対端の突起部に至る。
【0050】
融点:
DSCによる。昇温速度10℃/分、サンプル量10mgにて測定。
端面観察:
熱曲げ打ち抜き片の端面において、保護フィルムは、機能性シート切断端面から突出して倒れ込んでおり、機能性シート切断壁に付着している状態が観察される。
顕微鏡観察し、保護フィルムの厚みを差し引いて、端面からの突出倒れ込み量をそれぞれ測定した。
【0051】
白スジの発生:
射出樹脂の流れ方向に、打ち抜き片の切断端面から、打ち抜き片と射出樹脂との間に伸びる白いスジで、目視にて観察判定した。通常、目立つ白スジは、1〜2cm程度の長さで発生するが、1cm以下で数mm程度の小さな白スジも不良として選別した。
剥離皺の発生:
熱曲げ加工後に、熱曲げ品凹面に発生する保護フィルムの剥離皺で、5〜10mm程度の長さがあり、保護フィルム粘着層と機能性シートの保護層との界面が空隙になっている保護フィルムの剥離皺を目視で観察判定した。
剥離性:
熱曲げ加工後の保護フィルムの剥がし易さで、人手で容易に剥がせるかどうか判定した。
凸凹:
熱曲げ加工後の機能層の保護シート表面の形状変化で、20〜100μm程度の深さの凹みであり、長さ若しくは幅が100〜600μm程度ある凸凹を、蛍光灯の反射光により目視で観察判定した。
メラメラ:
熱曲げ加工後の機能層の保護シート表面の形状変化で、目視にて蛍光灯越しに熱曲げ品を観察して判定した。
【0052】
【表1】
注)
PPSM1:融点140℃付近の低密度ポリプロピレンとSEBSエラストマーとの樹脂組成物
粘着層の融点は、低密度ポリプロピレン成分の融点
*SEBSエラストマー:スチレン−エチレン−ブテン−スチレン共重合体
PPSM2:融点130℃付近の低密度ポリプロピレンとSEBSエラストマーとの樹脂組成物
粘着層の融点は、低密度ポリプロピレン成分の融点
PP1 :融点160℃付近の低密度ポリプロピレン
PP2 :融点140℃付近の低密度ポリプロピレン
PE1 :融点120℃付近の高密度ポリエチレン
PE2 :融点90℃付近の低密度ポリエチレン
【0053】
【表2】
注)
剥離性○:問題なく保護紙を剥離できる
剥離性×:保護紙を剥離する事が困難
【0054】
【表3】
注)
PPSM:融点140℃付近の低密度ポリプロピレンとSEBSエラストマーとの樹脂組成物
粘着層の融点は、低密度ポリプロピレン成分の融点
*SEBSエラストマー:スチレン−エチレン−ブテン−スチレン共重合体
PP1 :融点160℃付近の低密度ポリプロピレン
PP2 :融点140℃付近の低密度ポリプロピレン
PP3 :融点130℃付近の低密度ポリプロピレン
PP4 :融点120℃付近の低密度ポリプロピレン
PE1 :融点120℃付近の高密度ポリエチレン
【0055】
【表4】
注)
白スジ ○:レンズに白スジが発生していない。
白スジ ×:レンズに白スジが数mm以上発生している。
剥離皺 ○:保護フィルムに剥離皺が発生していない。
剥離皺 ×:保護フィルムに剥離皺が発生している。
剥離性 ○:問題なく保護フィルムを剥離できる。
剥離性 ×:保護フィルムを剥離する事が困難。
凸凹 ○:保護フィルム剥離後に、機能層の保護シート上に凸凹が発生していない。
凸凹 ×:保護フィルム剥離後に、機能層の保護シート上に凸凹が発生している。
白濁 ○:射出成型レンズに白濁が存在していない。
白濁 ×:射出成形レンズに白濁が存在している。