特許第6856587号(P6856587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧

特許6856587フラットケーブル巻取装置及びその組立方法
<>
  • 特許6856587-フラットケーブル巻取装置及びその組立方法 図000002
  • 特許6856587-フラットケーブル巻取装置及びその組立方法 図000003
  • 特許6856587-フラットケーブル巻取装置及びその組立方法 図000004
  • 特許6856587-フラットケーブル巻取装置及びその組立方法 図000005
  • 特許6856587-フラットケーブル巻取装置及びその組立方法 図000006
  • 特許6856587-フラットケーブル巻取装置及びその組立方法 図000007
  • 特許6856587-フラットケーブル巻取装置及びその組立方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856587
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】フラットケーブル巻取装置及びその組立方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/48 20060101AFI20210329BHJP
   B65H 75/42 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   B65H75/48 A
   B65H75/42 F
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-153958(P2018-153958)
(22)【出願日】2018年8月20日
(65)【公開番号】特開2020-29312(P2020-29312A)
(43)【公開日】2020年2月27日
【審査請求日】2019年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼田 良
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−126615(JP,A)
【文献】 特開2001−341945(JP,A)
【文献】 特開平06−191740(JP,A)
【文献】 実開平06−047266(JP,U)
【文献】 特表2003−504816(JP,A)
【文献】 特開2004−328985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/00
H02G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットケーブルの一端が接続され、他端側を繰り出し可能に巻き取るフラットケーブル巻取装置であって、
上面中心部に前記フラットケーブルの一端側を保持する中心軸が立設されたベースプレートと、
前記ベースプレートの上面に配置され、中心孔を前記中心軸に嵌めることで、前記中心軸の周りに回転自在に支持される回転テーブルと、
前記ベースプレートと前記回転テーブルとの間に介装され、一端が前記回転テーブルに係止され、他端が前記ベースプレートに係止されることで、前記回転テーブルをフラットケーブルの巻取方向に回転付勢する付勢部材と、
前記付勢部材及び前記回転テーブルを内部に収容しつつ前記ベースプレートに装着され固定される筒壁体と、を備え、
前記筒壁体の内周壁面には、前記筒壁体が前記ベースプレートに固定された状態で、前記回転テーブルの前記ベースプレートから離隔する方向への飛び出しを阻止するリブが形成されている
ことを特徴とするフラットケーブル巻取装置。
【請求項2】
前記回転テーブルの上面には、前記付勢部材によって回転付勢された前記回転テーブルの巻取方向への回転によりフラットケーブルを巻き取る複数の案内ローラが周方向に沿って複数配設されている
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットケーブル巻取装置。
【請求項3】
請求項2に記載のフラットケーブル巻取装置の組立方法であって、
前記回転テーブルの下面に前記付勢部材を取り付け、それを前記ベースプレートに取り付けた後、前記ベースプレートに前記筒壁体を組み付け固定し、その状態で、前記回転テーブルを巻取方向と反対方向に回転させて前記付勢部材に付勢力を蓄えさせた上で、前記複数の案内ローラを前記回転テーブル上に取り付けて、該案内ローラにフラットケーブルを巻き付ける
ことを特徴とするフラットケーブル巻取装置の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットケーブル巻取装置及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のスライドシートやスライドドア等のスライド部材と車体との間の配線には、フラットケーブルが用いられることが多い。この種の用途に使用されるフラットケーブルには、スライド部材のスライド動作に伴って余長が発生する。そこで、その余長分を吸収するためにフラットケーブル巻取装置が設けられている。
【0003】
フラットケーブル巻取装置は、例えば車体側に設置されており、スライド部材のスライドに伴ってフラットケーブルを巻き取ったり繰り出したりして、フラットケーブルに余分な弛みができないようにする。
【0004】
このフラットケーブル巻取装置の一例として、特許文献1に記載のものが知られている。図7は、特許文献1に記載のフラットケーブル巻取装置の分解斜視図である。
【0005】
フラットケーブル202は、車体フロア側に一端202Aが接続され、スライド部材側に他端202Bが接続される。このフラットケーブル巻取装置201は、巻き取ったフラットケーブル202を収容するケース203と、ケース203内に回転自在に設けられた回転テーブル204と、回転テーブル204上に回転自在に支持された複数の案内ローラ205と、ケース203の底板231と回転テーブル204との間に配置されるゼンマイバネ206と、を備える。ゼンマイバネ206は、一端がケース203に係止され、他端が回転テーブル204に係止されることで、回転テーブル204に巻取方向Rの回転付勢力を付与する。
【0006】
ケース203は、底板231と円筒壁232とを一体に有する有底筒状のロアケース203Aと、ロアケース203Aの上面開口を閉塞するアッパケース203Bと、からなる。ロアケース203Aの底板231の上面中心部には、回転テーブル204を回転自在に支持する中心軸207が立設されている。ロアケース203Aの円筒壁232には、フラットケーブル202を導入出するためのケーブル挿通部233が設けられている。
【0007】
このフラットケーブル巻取装置201を組み立てる場合は、まず、回転テーブル204の下面側にゼンマイバネ206を取り付ける。次にそれをロアケース203Aに組み付ける。ついで、回転テーブル204を回転させてゼンマイバネ206に付勢力を蓄えさせた上で、回転テーブル204を回転止めする。またその前後に、複数の案内ローラ205を回転テーブル204上に取り付ける。そしてフラットケーブル202の一端202A側を中心軸207に組み付けながら、所定の経路でフラットケーブル202を取り回し、フラットケーブル202の他端202B側をケーブル挿通部233からケース203外に導出する。
【0008】
その状態で回転テーブル204の回転止めを外す。すると、複数の案内ローラ205が、ゼンマイバネ206によって付勢された回転テーブル204の巻取方向Rへの回転に伴い、ケーブル挿通部233からケース203内に導入されているフラットケーブル202を複数の案内ローラ205の外周に外側巻付部として巻き付ける。同時に、複数の案内ローラ205のうちの一つが反転ローラとして、ケーブル挿通部233から導入されたフラットケーブル202を中心軸207に向かって反転させ、中心軸207の周囲に内側巻付部として巻き付ける。
【0009】
このように、スライド部材のスライド動作に伴ってフラットケーブル202に余長分が発生しているときには、ゼンマイバネ206の力によってフラットケーブル202の巻き取りが行われる。また、スライド部材のスライド動作に伴ってフラットケーブル202に引き出し力が作用したときには、ゼンマイバネ206の力に抗して回転テーブル204が巻取方向Rと反対方向に回転する。それにより、外側巻付部及び内側巻付部として巻き取られていたフラットケーブル202がケース203の外部に繰り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2014−113019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、ゼンマイバネ206は、回転テーブル204の板面に平行な面内(X−Y平面内)で主に回転方向の付勢力を発揮するものである。しかし、例えば組み立ての過程で、ゼンマイバネ206に付勢力を蓄えさせた状態で何らかの要因によりバランスが崩れることがある。この場合、ゼンマイバネ206にX軸周りやY軸周りの回転力が発生することがある。そうすると、ゼンマイバネ206に蓄えた力がZ軸方向にも作用することになり、それによって、ゼンマイバネ206や回転テーブル204がケース203から飛び出ししまうことがある。
【0012】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、例えば組み立て時における回転テーブルや付勢部材の飛び出しを防止することのできるフラットケーブル巻取装置及びその組立方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成するために、本発明に係るフラットケーブル巻取装置及びその組立方法は、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1) フラットケーブルの一端が接続され、他端側を繰り出し可能に巻き取るフラットケーブル巻取装置であって、
上面中心部に前記フラットケーブルの一端側を保持する中心軸が立設されたベースプレートと、
前記ベースプレートの上面に配置され、中心孔を前記中心軸に嵌めることで、前記中心軸の周りに回転自在に支持される回転テーブルと、
前記ベースプレートと前記回転テーブルとの間に介装され、一端が前記回転テーブルに係止され、他端が前記ベースプレートに係止されることで、前記回転テーブルをフラットケーブルの巻取方向に回転付勢する付勢部材と、
前記付勢部材及び前記回転テーブルを内部に収容しつつ前記ベースプレートに装着され固定される筒壁体と、を備え、
前記筒壁体の内周壁面には、前記筒壁体が前記ベースプレートに固定された状態で、前記回転テーブルの前記ベースプレートから離隔する方向への飛び出しを阻止するリブが形成されている
ことを特徴とするフラットケーブル巻取装置。
【0014】
(2) 前記回転テーブルの上面には、前記付勢部材によって回転付勢された前記回転テーブルの巻取方向への回転によりフラットケーブルを巻き取る複数の案内ローラが周方向に沿って複数配設されている
ことを特徴とする上記(1)に記載のフラットケーブル巻取装置。
【0015】
(3) 上記(2)に記載のフラットケーブル巻取装置の組立方法であって、
前記回転テーブルの下面に前記付勢部材を取り付け、それを前記ベースプレートに取り付けた後、前記ベースプレートに前記筒壁体を組み付け固定し、その状態で、前記回転テーブルを巻取方向と反対方向に回転させて前記付勢部材に付勢力を蓄えさせた上で、前記複数の案内ローラを前記回転テーブル上に取り付けて、該案内ローラにフラットケーブルを巻き付ける
ことを特徴とするフラットケーブル巻取装置の組立方法。
【0016】
上記(1)の構成のフラットケーブル巻取装置によれば、ロアケースをベースプレートと筒壁体の二つに分割している。そして、筒壁体の内周壁面に、回転テーブルの飛び出しを防止するリブを設けている。そのため、例えば組立過程において発生することのあったゼンマイバネなどの付勢部材と回転テーブルのケースからの飛び出しを防止することができる。よって、安全且つスムーズに組立作業を進めることができる。また、付勢部材を組み付けて輸送する際に、振動があっても、付勢部材や回転テーブルがケースから飛び出ることがなく、不良品の発生を減らすことができる。
【0017】
上記(2)の構成のフラットケーブル巻取装置によれば、付勢部材と回転テーブルのケースからの飛び出しを防止したうえで、さらに、フラットケーブルの巻取装置に対する巻き取り及び繰り出しがスムーズになる。
【0018】
上記(3)の構成のフラットケーブル巻取装置の組立方法によれば、付勢部材に付勢力を蓄えさせた状態であっても、確実にケースからの回転テーブルや付勢部材の飛び出しを防止できる。したがって、安全且つスムーズにフラットケーブル巻取装置の組立作業を進めることができる。また、付勢部材を組み付けて輸送する際に、振動があっても、付勢部材や回転テーブルがケースから飛び出ることがないので、不良品の発生を減らすことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ゼンマイバネに付勢力を蓄えさせた状態であっても、確実に回転テーブルやゼンマイバネのケースからの飛び出しを防止することができる。
【0020】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態に係るフラットケーブル巻取装置の主要部構成を示す分解斜視図である。
図2図2は、フラットケーブル巻取装置の主要部構成を示す斜視図である。
図3図3は、フラットケーブル巻取装置の主要部構成を示す平面図である。
図4図4は、フラットケーブル巻取装置の中の回転テーブルを単品で取り出して示す斜視図である。
図5図5は、図3のA−A矢視断面図である。
図6図6は、図5のB円部の拡大図である。
図7図7は、従来のフラットケーブル巻取装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係るフラットケーブル巻取装置の主要部構成を示す分解斜視図である。図2は、同フラットケーブル巻取装置の主要部構成を示す斜視図、図3は、同平面図である。図4は、フラットケーブル巻取装置の中の回転テーブルを単品で取り出して示す斜視図、図5は、図4のA−A矢視断面図、図6は、図5のB円部の拡大図である。
【0024】
この実施形態のフラットケーブル巻取装置は、図7に示したものと同様に、フラットケーブル202(図7参照)の一端202A側を巻き取り他端202B側を繰り出す巻取装置であり、フラットケーブルを収容する樹脂製のケースを有している。ケースは、ロアケースとアッパケースとからなるが、図1図3では、アッパケースは図示を省略し、ロアケースのみを示している。
【0025】
図1に示すように、このフラットケーブル巻取装置Mは、ロアケース10を、ベースプレート1と円筒状の筒壁体4との2部品に分割したことを第1の特徴としている。このフラットケーブル巻取装置Mは、そのほかに、回転テーブル2と、付勢手段としてのゼンマイバネ3と、複数の案内ローラ5と、を有している。
【0026】
図1図3に示すように、ベースプレート1は、円盤状の部材であり、上面中心部に、フラットケーブルの一端側を保持する中心軸7が立設されている。中心軸7には、後述するゼンマイバネ3の内周端を係止する溝やフラットケーブルの一端側を装着する溝などが設けられている。
【0027】
回転テーブル2は、ベースプレート1の上面に配置されるリング板状の部材であり、中心孔2Cをベースプレート1の中心軸7の外周に嵌めることで、中心軸7の周りに回転自在に支持されている。この回転テーブル2の上面の中心孔2Cの周囲には、周方向に適宜の間隔をおいてローラ支持部2Aが設けられている。また、図4に示すように、回転テーブル2の上面外周縁には、切欠状の段部2Bがほぼ全周にわたって形成されている。
【0028】
ゼンマイバネ3は、ベースプレート1と回転テーブル2との間に介装され、一端(外周端)が回転テーブル2の下面係止され、他端(内周端)がベースプレート1の中心軸7に係止される。これにより、ゼンマイバネ3は、回転テーブル2をフラットケーブルの巻取方向に回転付勢する。
【0029】
円筒状の筒壁体4は、ベースプレート1と共にロアケース10を構成するもので、周壁の一部にフラットケーブルの導入出用のケーブル挿通部6を有する。また、本実施形態の第2の特徴として、筒壁体4の内周壁面には、円周方向に沿って環状にリブ4Bが突設されている。
【0030】
筒壁体4は、図5に示すように、ゼンマイバネ3及び回転テーブル2を内部に収容しつつ、ベースプレート1の上に装着される。そして筒壁体4は、その状態でベースプレート1に固定されることで、ベースプレート1と共にロアケース10を構成する。なお、図示しないが、ベースプレート1と筒壁体4には、両者を固定するための固定機構が設けられている。このように筒壁体4をベースプレート1に組み付け固定すると、図5及び図6に示すように、筒壁体4の内周壁面に突設されたリブ4Bが、回転テーブル2の外周縁の段部2Bに係合し、これにより、回転テーブル2は上方へ飛び出さないように規制されることになる。
【0031】
回転テーブル2の上面の各ローラ支持部2Aには、それぞれに案内ローラ5が回転自在に組み付けられる。これら複数の案内ローラ5は、ゼンマイバネ3によって回転付勢された回転テーブル2の巻取方向への回転により、フラットケーブルを巻き取る。その際、複数の案内ローラ5のうち、1つの案内ローラ5は、フラットケーブルを中心軸7に向かって反転させる反転ローラとして機能する。
【0032】
このようなフラットケーブル巻取装置Mを組み立てる場合は、まず、回転テーブル2の下面にゼンマイバネ3を取り付け、ゼンマイバネ3の外周端を回転テーブル2の下面に係止する。次に、それをベースプレート1に取り付け、ゼンマイバネ3の内周端をベースプレート1の中心軸7に係止する。その後、筒壁体4の内部に回転テーブル2やゼンマイバネ3を収容しつつ、ベースプレート1に筒壁体4を組み付けて固定する。その状態で、回転テーブル2を巻取方向と反対方向に回転させて、ゼンマイバネ3に付勢力を蓄えさせ、図示しないピン等を利用して回転止めする。
【0033】
このとき、筒壁体4の内周壁面に突設したリブ4Bが回転テーブル2の飛び出しを規制するので、ゼンマイバネ3に予想しない方向の回転力が作用した場合にも、それを押さえ付けて、ゼンマイバネ3や回転テーブル2の飛び出しを確実に防止することができる。
【0034】
したがって、ゼンマイバネ3や回転テーブル2の飛び出しが発生しない安定した状態で、複数の案内ローラ5を回転テーブル2のローラ支持部2Aに組み付けることができる。また、一端側を中心軸7に係合させながら、ケーブル挿通部6からロアケース10内に導入したフラットケーブルをスムーズに所定の経路で取り回すことができる。
【0035】
そして、回転テーブル2の回転止めを解除することにより、ゼンマイバネ3によって付勢された回転テーブル2の巻取方向への回転に伴い、ケーブル挿通部6から導入されたフラットケーブルを複数の案内ローラ5の外周に外側巻付部として巻き付けることができる。同時に、複数の案内ローラ5のうちの一つを反転ローラとして、ケーブル挿通部6から導入されたフラットケーブルを中心軸7に向かって反転させ、中心軸7の周囲にフラットケーブルを内側巻付部として巻き付けることができる。なお、アッパケースの取り付けは、適当なタイミングで行うことができる。
【0036】
このように、スライド部材のスライド動作に伴ってフラットケーブルに余長が発生しているときには、ゼンマイバネ3の力によってフラットケーブルの巻き取りが行われる。また、スライド部材のスライド動作に伴ってフラットケーブルに引き出し力が作用したときには、ゼンマイバネ3の力に抗して回転テーブル2が巻取方向と反対方向に回転する。それにより、外側巻付部及び内側巻付部として巻き取られていたフラットケーブルがフラットケーブル巻取装置Mの外部に繰り出される。
【0037】
以上説明したように、本実施形態のフラットケーブル巻取装置Mによれば、ロアケース10をベースプレート1と筒壁体4の二つに分割している。そして、筒壁体4の内周壁面に、回転テーブル2の飛び出しを防止するリブ4Bを設けている。そのため、例えば組立過程において発生することのあったゼンマイバネ3と回転テーブル2のロアケース10からの飛び出しを確実に防止することができる。よって、安全且つスムーズに組立作業を進めることができる。また、ゼンマイバネ3を組み付けて輸送する際に、振動があっても、ゼンマイバネ3や回転テーブル2がロアケース10から飛び出ることがなく、不良品の発生を減らすことができる。
【0038】
なお、前記実施形態のフラットケーブル巻取装置の適用対象としては、スライドシート用の電線配索装置、スライドドア用の電線配索装置、回動開閉するドアやボンネットなどに電線を配索するための配索装置を挙げることができる。さらには、車両に限らず、各種の可動部を備えた機器や装置において、可動部を跨いで電線を配索するための配索装置において本発明の巻取装置を利用してもよい。また、前記実施形態では、説明を簡略にするために、1本のフラットケーブルを巻き取る巻取装置Mを例示したが、複数本のフラットケーブルを束ねて巻き取る巻取装置に対しても、本発明を用いることができる。また、案内ローラ5の代わりに、フラットケーブルを筒壁体4内に案内するガイド部材を設置してもよい。
【0039】
ここで、上述した本発明の実施形態に係るフラットケーブル巻取装置及びその組立方法の特徴をそれぞれ以下[1]〜[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1] フラットケーブルの一端が接続され、他端側を繰り出し可能に巻き取るフラットケーブル巻取装置(M)であって、
上面中心部に前記フラットケーブルの一端側を保持する中心軸(7)が立設されたベースプレート(1)と、
前記ベースプレート(1)の上面に配置され、中心孔(2C)を前記中心軸(7)に嵌めることで、前記中心軸(7)の周りに回転自在に支持される回転テーブル(2)と、
前記ベースプレート(1)と前記回転テーブル(2)との間に介装され、一端が前記回転テーブル(2)に係止され、他端が前記ベースプレート(1)に係止されることで、前記回転テーブル(2)をフラットケーブルの巻取方向に回転付勢する付勢部材(ゼンマイバネ3)と、
前記付勢部材(ゼンマイバネ3)及び前記回転テーブル(2)を内部に収容しつつ前記ベースプレート(1)に装着される筒壁体(4)と、を備え、
前記筒壁体(4)の内周壁面には、前記筒壁体(4)が前記ベースプレート(1)に固定された状態で、前記回転テーブル(2)の前記ベースプレート(1)から離隔する方向への飛び出しを阻止するリブ(4B)が形成されている
ことを特徴とするフラットケーブル巻取装置(M)。
【0040】
[2] 前記回転テーブル(2)の上面には、前記付勢部材(ゼンマイバネ3)によって回転付勢された前記回転テーブル(2)の巻取方向への回転によりフラットケーブルを巻き取る複数の案内ローラ(5)が周方向に沿って複数配設されている
ことを特徴とする上記[1]に記載のフラットケーブル巻取装置(M)。
【0041】
[3] 上記[2]に記載のフラットケーブル巻取装置(M)の組立方法であって、
前記回転テーブル(2)の下面に前記付勢部材(ゼンマイバネ3)を取り付け、それを前記ベースプレート(1)に取り付けた後、前記ベースプレート(1)に前記筒壁体(4)を組み付け固定し、その状態で、前記回転テーブル(2)を巻取方向と反対方向に回転させて前記付勢部材(ゼンマイバネ3)に付勢力を蓄えさせた上で、前記複数の案内ローラ(5)を前記回転テーブル(2)上に取り付けて、該案内ローラ(5)にフラットケーブルを巻き付ける
ことを特徴とするフラットケーブル巻取装置(M)の組立方法。
【符号の説明】
【0042】
M フラットケーブル巻取装置
1 ベースプレート
2 回転テーブル
2C 中心孔
3 ゼンマイバネ
4 筒壁体
4B リブ
5 案内ローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7