特許第6856615号(P6856615)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6856615電解質、電解質に用いる組成物、およびそれを用いたリチウム電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856615
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】電解質、電解質に用いる組成物、およびそれを用いたリチウム電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0565 20100101AFI20210329BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20210329BHJP
   H01M 10/056 20100101ALI20210329BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20210329BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20210329BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20210329BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20210329BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20210329BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20210329BHJP
【FI】
   H01M10/0565
   H01M10/052
   H01M10/056
   H01M10/0568
   H01M10/0569
   H01M4/525
   H01M4/505
   H01M4/58
   H01M4/485
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-241135(P2018-241135)
(22)【出願日】2018年12月25日
(65)【公開番号】特開2019-121603(P2019-121603A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2018年12月25日
(31)【優先権主張番号】106146229
(32)【優先日】2017年12月28日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】葉 定儒
(72)【発明者】
【氏名】張 家銘
(72)【発明者】
【氏名】王 宗雄
(72)【発明者】
【氏名】呂 承璋
(72)【発明者】
【氏名】劉 佳兒
(72)【発明者】
【氏名】廖 世傑
【審査官】 井原 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−135355(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/030154(WO,A1)
【文献】 特開平11−106440(JP,A)
【文献】 特開2013−203998(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0088160(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05−10/0587
H01B 1/00−1/24
H01M 4/00−4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのアミド基と少なくとも1つのエポキシ基とを含む反応性添加物および開始剤の重合生成物であるポリマー、
リチウム塩、ならびに
有機溶媒
を含む電解質であって、
前記反応性添加物が、以下の式(I)によって表される構造を有するか、または以下の式(II)によって表される構造を含む電解質。
【化1】
【化2】
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して、置換されていないまたは置換されたエポキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、エーテル基、エステル基、アリール基またはハロアルキル基であり、R3は、置換されていないもしくは置換されたエポキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、エーテル基、エステル基、アリール基、ハロアルキル基であって、これらの基はアミド基の繰り返し単位を1〜9個含んでいてもよく、かつ、R1、R2、およびR3のうちの少なくとも1つは、エポキシ基を含む基であり、R4は、少なくとも1つのエポキシ基を含む基であり、R5は、−(CH2n−、1つまたは複数の−CH2−が−NR4−で置換された−(CH2n−、または、1〜9個の以下のアミド基の繰り返し単位
【化3】
であり、ここでnは1から18までの整数である。)
【請求項2】
式(II)によって表される前記構造が、4員環〜20員環の多員環である置換されていないもしくは置換されたシクロアルカン、芳香族炭化水素、芳香環、複素環、または、1〜10個の以下のアミド基の繰り返し単位
【化4】
を含む構造である、請求項1に記載の電解質。
【請求項3】
前記開始剤が、求核基が生じるように解離し得るイオン化合物、フリーラジカルを生成することのできる過酸化物もしくはアゾ化合物、または第1級アミン化合物を含む、請求項1または2に記載の電解質。
【請求項4】
前記イオン化合物が、CH3COOLi、LiOH、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiTFSI、LiFSI、LiAsF6またはLiSbF6を含む、請求項3に記載の電解質。
【請求項5】
前記過酸化物が、過酸化ジベンゾイル(BPO)を含み、前記アゾ化合物がアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を含む、請求項3に記載の電解質。
【請求項6】
前記リチウム塩が、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiTFSI、LiAsF6、LiSbF6またはこれらの組み合わせを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解質。
【請求項7】
前記有機溶媒が、カーボネート、スルホネート、ニトリル、エーテル、エステルまたはフルオリドを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解質。
【請求項8】
無機電解質をさらに含み、前記無機電解質には、リチウムランタンジルコニウム酸化物(lithium lanthanum zirconium oxide、LLZO)、タンタルドープリチウムランタンジルコニウム酸化物(tantalum doping lithium lanthanum zirconium oxide、LLZTO)、リチウムランタンチタン酸化物(lithium lanthanum titanium oxide、LLTO)、リン酸リチウムアルミニウムチタン(lithium aluminum titanium phosphate、LATP)、リン酸ゲルマニウムアルミニウムチタン(germanium aluminum titanium phosphate、LAGP)、リチウムゲルマニウムリン硫化物(lithium germanium phosphorous sulfide、LGPS)またはリチウムスズリン硫化物(lithium tin phosphorous sulfide、LSPS)が含まれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電解質。
【請求項9】
前記電解質の総重量に対し、前記反応性添加物の重量パーセントが5wt%〜50wt%である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電解質。
【請求項10】
前記電解質がコロイド状態である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の電解質。
【請求項11】
正極、
負極、および
前記正極と前記負極との間に配置され、および、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電解質を含むイオン導電層、
を含むリチウム電池。
【請求項12】
前記正極の材料が、リチウムニッケルマンガン酸化物(LiNiaMn2-a4、0<a<2)、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(LiNinMnmCo1-n-m2、0<n<1、0<m<1、n+m<1)、マンガン酸リチウム(LiMn24)、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)、リチウムマンガン酸化物(LiMnO2)、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケルコバルト酸化物(LiNipCo1-p2、0<p<1)またはリチウムニッケルマンガン酸化物(LiNiqMn2-q4、0<q<2)を含む、請求項11に記載のリチウム電池。
【請求項13】
前記負極の材料が、グラファイト、リチウムチタン酸化物(Li4Ti512)またはリチウムを含む、請求項11または12に記載のリチウム電池。
【請求項14】
セパレータをさらに含む請求項11〜13のいずれか1項に記載のリチウム電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年12月28日に出願された台湾特許出願第106146229号を基礎とし、および、その優先権を主張するものであり、その開示の全体が参照することにより本明細書に引用される。
【0002】
本開示は電解質およびそれを用いたリチウム電池に関する。
【背景技術】
【0003】
固体電解質は、有機電解質、無機電解質および有機無機複合体電解質に分類され得る。しかし、有機ポリマー固体電解質(例えばPEO、PANなど)の導電率は低い(<10-5S/cm)。無機固体電解質(例えばLLZO、LLTO、LAGPなど)は高い導電率(約10-3S/cm)を有するが、無機固体電解質と電極との間の界面抵抗が大きい。さらに、従来の無機セラミック電解質は非常に脆弱で、成膜性(film-forming ability)および機械特性に劣り、連続的なプロセスを適用することができない。有機無機複合体電解質は界面抵抗を小さくすることができるが、有機ポリマーが添加されているため導電率が低下する。
【0004】
よって、第4のタイプの固体電解質として、疑似固体電解質(quasi-solid state electrolyte,QSSE)が登場した。これは、有機無機複合体電解質に加えて、少量の(<5wt%)液体電解質がイオン導電性を高めるために添加されるというものである。
【0005】
しかしながら、液体電解質の存在は、例えば、液漏れ、可燃性、短いサイクル寿命、ガス発生(gassing)、高温への耐性が無い等の問題を引き起こす可能性がある。また、固体電解質の高い界面抵抗という問題も依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6511769号明細書
【特許文献2】米国特許第6749962号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2015/0072244号明細書
【特許文献4】台湾特許第I351121号明細書
【特許文献5】中国特許出願公開第106797053号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の1つの目的は、上述した欠点を解消する新規な電解質を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記およびその他の目的を達成するため、本開示の一実施形態は、少なくとも1つのアミド基と少なくとも1つのエポキシ基またはビニル基とを含む反応性添加物および開始剤の重合生成物であるポリマー、リチウム塩ならびに有機溶媒を含む電解質を提供する。
【0009】
本開示の別の一実施形態は、少なくとも1つのアミド基と少なくとも1つのエポキシ基またはビニル基とを含む反応性添加物および第1の有機溶媒を含む第1の溶液、ならびに、開始剤、リチウム塩および第2の有機溶媒を含む第2の溶液を含む電解質のための組成物であって、電解質を形成するために第1の溶液および第2の溶液が混合される前には、第1の溶液および第2の溶液が別々に保管されている、組成物を提供する。
【0010】
本開示の別の一実施形態は、正極、負極、および、正極と負極との間に配置されたイオン伝導層を含むリチウム電池であって、イオン伝導層が前述の電解質を含む、リチウム電池を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本開示の実施形態は、不燃性を備え、液漏れの懸念がない電解質を提供する。さらに、本開示により提供される電解質は、正極および負極のいずれに対しても良好な塗布性を備えるため、電解質と正極または負極との間の界面抵抗を効果的に低減させることができ、よって本開示に係る電解質はイオン伝導層として使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付の図面を参照しながら、以下の実施形態において詳細に説明する。添付の図面を参照してなされた以下の詳細な説明および実施例により、本開示はより十分に理解され得る。
【0013】
図1】比較例1で作製された液体電解質を用いる電池の充放電レート(rate charge-discharge)テストの結果を示す図である。
図2】実施例4で作製された疑似固体電解質を用いる電池の充放電レートテストの結果を示す図である。
図3】比較例1で作製された液体電解質を用いる電池、および、実施例4で作製された疑似固体電解質を用いる電池のサイクル寿命テストの結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書では、単数形の「一つ(a)」、「一つ(an)」および「その(the)」は、文脈が明確にそうではないと示していない限り、複数形も含むことが意図されている。用語「含む(comprises)」および/または「含んでいる(comprising)」は、本明細書中で使用される場合、記載された特徴、工程、操作、要素および/または構成成分の存在を特定するものであるが、一または複数の他の特徴、工程、操作、要素、構成成分および/またはそれらの群の存在ならびに追加を除外するものではない、ということがさらに理解されよう。
【0015】
本明細書全体を通し、「一実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。よって、本明細書を通して各所における句「一実施形態において(in one embodiment)」または「一実施形態において(in an embodiment)」の記載は、すべて同じ実施形態に関連しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造または特性は、一または複数の実施形態において、任意の適切な様式で組み合わせられてもよい。
【0016】
本開示の一実施形態は、ポリマー、リチウム塩および有機溶媒を含む電解質を提供する。ポリマーは、反応性添加物および開始剤の重合生成物である。反応性添加物は、少なくとも1つのアミド基と少なくとも1つのエポキシ基またはビニル基とを含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、反応性添加物は、以下の式(I)によって表されるアミド構造を有するか、または、以下の式(II)によって表される構造を含む。
【0018】
【化1】
【0019】
【化2】
【0020】
ここで、R1およびR2はそれぞれ独立して、置換されていないまたは置換されたエポキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、エーテル基、エステル基、アリール基またはハロアルキル基であり、R3は、置換されていないもしくは置換されたエポキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、エーテル基、エステル基、アリール基、ハロアルキル基であって、これらの基はアミド基の繰り返し単位を1〜9個含んでいてもよく、かつ、R1、R2およびR3のうちの少なくとも1つは、エポキシ基またはビニル基を含む。エポキシ基またはビニル基は、重合反応を進行させ得る。一実施形態において、例えば、式(I)で示されるアミドは、
【化3】
であり得る。
【0021】
一実施形態において、R3がアミド基の繰り返し単位を1つ含む場合、式(I)で示されるアミドは、例えば、
【化4】
であり得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、式(II)の構造は、例えば、4員環〜20員環の多員環(multi-membered ring)である置換されていないまたは置換されたシクロアルカン、芳香族炭化水素、芳香環、複素環、または、複数の以下のアミド基の繰り返し単位
【化5】
からなる構造であり得る。
【0023】
ここで、R4は少なくとも1つのエポキシ基またはビニル基を含む基であってよく、R5は−(CH2n−(nは1〜18の整数)、1つまたは複数の−CH2−が−NR4−で置換された−(CH2n−(nは1〜18の整数)、または、1〜9個の以下のアミド基の繰り返し単位
【化6】
であってよい。
【0024】
例えば、いくつかの実施形態において、式(II)を有する構造としては具体的には例えば、以下の構造が挙げられ得るが、これらに限定される訳ではない。
【0025】
【化7】
【0026】
【化8】
【0027】
【化9】
【0028】
【化10】
【0029】
【化11】
【0030】
【化12】
【0031】
【化13】
【0032】
【化14】
【0033】
【化15】
【0034】
【化16】
【0035】
【化17】
【化18】
【0036】
いくつかの実施形態において、反応性添加物は、2〜10個の、以下のアミド基の繰り返し単位
【化19】
からなる構造を有する。
【0037】
このような構造としては、具体的には、これらに限定される訳ではないが、例えば、以下の構造が挙げられる。
【0038】
【化20】
【0039】
【化21】
【0040】
【化22】
【0041】
【化23】
【0042】
【化24】
【0043】
前述の反応性化合物は例示にすぎず、本開示を限定することは意図されていないという点が理解されるべきである。
【0044】
少なくとも1つのアミド基と少なくとも1つのエポキシ基またはビニル基とを有する反応性添加物を添加することによって、および、反応性添加物と開始剤とリチウム塩と有機溶媒と間の比率を制御することによって、本開示の電解質は、反応性添加物との重合反応後に、液体状態からコロイド状態または疑似固体状態へと変化することは、特筆すべきで点であろう。
【0045】
具体的には、反応性添加物のアミド基は負電界効果を有しており、かつ、液体電解質に用いられる有機溶媒(例えばプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)などの一般的な炭酸エステル溶媒など)のカルボニル基には非共有電子対があるため、アミド基およびカルボニル基はいずれも、正に帯電したリチウムイオンを引き付け、および、リチウムイオンをキレート化する傾向がある。アミド基を有するいくつかの反応性添加物がリチウムイオンを介して互いに引きつけ合うと、有機溶媒分子の流動性が低下し、このため電解質の粘度が高まる。加えて、アミド基を有する反応性添加物剤は、エポキシ基またはビニル基も有しているので、開始剤の作用によってエポキシ基が開環重合反応、および、ビニル基がラジカル重合反応することのできるあいだ、電解質の粘度はさらに高まり、そして、電解質は液体状態からコロイド状態または疑似固体状態へと変化する。
【0046】
いくつかの実施形態において、反応性添加物の重量パーセントは、電解質の総重量に対し、例えば5wt%〜50wt%であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、反応性添加物の重量パーセントは、電解質の総重量に対し、例えば8wt%、10wt%、20wt%、または50wt%であり得る。反応性添加物の添加量を制御することにより、電解質の流動性が制御され得る。反応性添加物の量が少なすぎると、電解質の粘度を高めることができず、そして、液体電解質を硬化して疑似固体電解質とすることができない。反応性添加物の量が多すぎると、電解質の粘度が高くなりすぎ、そして、イオン導電率が低下して電池の性能が影響を受けるであろう。
【0047】
いくつかの実施形態において、開始剤の例としては例えば、求核基が生じるように解離し得るイオン化合物、フリーラジカルを生成することのできる過酸化物もしくはアゾ化合物、または第1級アミン化合物が挙げられ得る。いくつかの実施形態において、前述のイオン化合物としては例えば、CH3COOLi、LiOH、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiTFSI、LiFSI、LiAsF6、LiSbF6またはこれらの組み合わせが挙げられ得る。前述の過酸化物としては例えば、過酸化ジベンゾイル(BPO)などが挙げられ得る。また、前述のアゾ化合物としては例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などが挙げられ得る。本開示においては、開始剤は、反応性添加物のエポキシ基またはビニル基に重合反応を起こさせるために用いられ得、この結果電解質の分子量および粘度が増大する。
【0048】
いくつかの実施形態において、開始剤の重量パーセントは、電解質の総重量に対し、例えば0.5wt%〜15wt%であり得る。開始剤の量が少なすぎると、重合反応の反応速度が遅く、そして、反応が完全に進むことが困難となり、そのため過剰のモノマー反応物質が残され得、これにより液体電解質を硬化して疑似固体電解質とすることができない。開始剤の量が多すぎると、重合の反応速度が速くなりすぎ、分子鎖が短くなり、そして、大きな分子量をもつポリマーが形成されにくくなり、このため電解質が硬化しにくくなり、電解質は低い機械特性しか有さないであろう。
【0049】
いくつかの実施形態において、前述のリチウム塩としては例えば、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiTFSI、LiAsF6、LiSbF6またはリチウムイオン(Li+)を解離することのできるその他のイオン化合物が挙げられ得る。
【0050】
いくつかの実施形態において、電解質中のリチウム塩のモル濃度は、例えば0.8M〜6Mであり得る。いくつかの実施形態において、リチウム塩の重量パーセントは、電解質の総重量に対し、例えば5wt%〜50wt%であり得る。リチウム塩の量が少なすぎると、アニオンおよびカチオンの解離数(dissociation number)が少なくなりすぎて、イオン導電率が低下する。リチウム塩の量が多すぎると、電解質の粘度が高まり、そして同様に、イオン導電率が低下する。
【0051】
いくつかの実施形態において、開始剤はリチウム塩と同じであってもよいということが留意されるべきである。換言すると、使用されるリチウム塩が求核基を解離することもできる場合、そのようなリチウム塩は、アニオン重合反応させるための開始剤の役割も果たし得る。したがって、これらの実施形態では、他の開始剤を添加することなく、リチウム塩を添加するだけでよい。いくつかの実施形態において、開始剤はリチウム塩と異なっていてもよい。開始剤の種類は反応性添加物の官能基に依存する。反応性添加物がビニル基を有している場合、過酸化物またはアゾ化合物が、フリーラジカル重合反応させるための開始剤として用いられる。反応性添加物がエポキシ基を有している場合、第1級アミノ化合物またはイオン化合物が開始剤として用いられ得る。
【0052】
開始剤(または開始剤として使用され得るリチウム塩)の種々の種類および量にしたがって、重合反応の反応速度および反応温度は異なる。例えば、LiBF4がリチウム塩として使用されるように選択される場合、LiBF4は、同時に、開始剤の役割を果たし得る。重合反応は、加熱することまたは追加のエネルギーを供給することなしで、約12〜24時間後に、室温(約25〜28℃)で終了し得る。LiPF6がリチウム塩として使用されるように選択される場合、LiPF6は開始剤の役目も果たし得るが、重合反応は、約90〜100℃で約5〜10分反応させることにより完了される。LiClO4、LiTFSI等がリチウム塩として使用されるように選択される場合、LiClO4およびLiTFSIは開始剤の役目も果たし得るが、重合反応は、約170〜180℃で約120分反応させることにより完了される。
【0053】
しかしながら、開始剤としては、前述の開始剤(または開始剤として利用可能なリチウム塩)が、適切な重合反応速度および十分な重合反応時間を提供することができ、その結果、電解質が硬化する前に電解質が液体状態である電池中に注入されおよび浸透され得、そしてその後に、重合反応が終了し、そして、リチウムイオンと溶媒との間で形成される配位力(coordination force)により溶媒の流動が妨げられることによってコロイド状態または疑似固体電解質が形成されるものである限り、どのような開始剤も本開示の実施形態に適用可能であることが理解されるべきである。本開示の技術的な利点は、電解質が液体状態であるとき、電池の各コーナー部に十分に浸透して、電解質と正極または負極との間の界面抵抗を低減できることである。電解質が硬化されてコロイド状態または疑似固体状態となると、電池からの液漏れが無くなる。また、硬化後に形成されるコロイド状態または固体電解質は、市販の液体電解質と比較して引火点が数倍高いため、可燃性ではなく、よってリチウム電池の安全性が顕著に改善される。故に、本開示により提供される電解質は、界面抵抗を効果的に低減させ、そして、リチウム電池の安全性を高めることができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、有機溶媒の重量パーセントは、電解質の総重量に対し、例えば40wt%〜80wt%であり得る。
【0055】
いくつかの実施形態において、前述の有機溶媒としては例えば、一般的な液体電解質として通常使用される溶媒、例えばカーボネート類(carbonates)、スルホネート類(sulfonates)、ニトリル類(nitriles)、エーテル類(ethers)、エステル類(esters)、フルオリド類(fluorides)または高い極性を有する他の非プロトン性溶媒などが挙げられ得る。
【0056】
いくつかの実施形態において、カーボネート類は、環状カーボネート化合物と鎖状カーボネート化合物に分類され得る。環状カーボネート化合物としては例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートまたはこれらの組み合わせなどが挙げられ得るが、これらに限定される訳ではない。鎖状カーボネート化合物としては例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネートまたはこれらの組み合わせなどが挙げられ得るが、これらに限定される訳ではない。
【0057】
いくつかの実施形態において、エーテルとしては例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテルまたはこれらの組み合わせなどが挙げられ得るが、これらに限定される訳ではない。
【0058】
いくつかの実施形態において、エステルとしては例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、σ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンまたはこれらの組み合わせなどが挙げられ得るが、これらに限定される訳ではない。
【0059】
いくつかの実施形態において、本開示により提供される電解質はさらに、無機電解質を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、無機セラミック電解質としては例えば、リチウムランタンジルコニウム酸化物(lithium lanthanum zirconium oxide、LLZO)、タンタルドープリチウムランタンジルコニウム酸化物(tantalum doping lithium lanthanum zirconium oxide、LLZTO)、リチウムランタンチタン酸化物(lithium lanthanum titanium oxide、LLTO)、リン酸リチウムアルミニウムチタン(lithium aluminum titanium phosphate、LATP)、リン酸ゲルマニウムアルミニウムチタン(germanium aluminum titanium phosphate、LAGP)、リチウムゲルマニウムリン硫化物(lithium germanium phosphorous sulfide、LGPS)またはリチウムスズリン硫化物(lithium tin phosphorous sulfide、LSPS)などが挙げられ得る。例えば、無機セラミック電解質としては、Li7La3Zr212、Li6.75La3Zr1.75Ta0.2512、Li0.33La0.56TiO3、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO43、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO43、Li10GeP212、Li10SnP212、70Li2S・30P25または同じ元素を有するが異なる化学量論量(stoichiometric quantities)を有する他の組み合わせが挙げられ得る。本開示の一実施形態において、電解質と無機電解質とをブレンドすることにより形成される有機−無機電解質は、可撓性を有するのみならず、良好な導電性も有する。
【0060】
本開示の別の実施形態において、第1の溶液および第2の溶液を含む、電解質のための組成物がまた提供される。第1の溶液は反応性添加物および第1の有機溶媒を含み、反応性添加物は少なくとも1つのアミド基と少なくとも1つのエポキシ基またはビニル基とを含む。第2の溶液は開始剤、リチウム塩および第2の有機溶媒を含む。反応性添加物、開始剤、リチウム塩および有機溶媒に関しては、本明細書における前述の関連する段落の記載を参照することができる。いくつかの実施形態において、第1の有機溶媒および第2の有機溶媒は同じであってもよく、また、異なっていてもよい。
【0061】
第1の溶液と第2の溶液とを混合した後、第1の溶液中の反応性添加物と第2の溶液中の開始剤またはリチウム塩とが重合反応を開始して、電解質を形成する。第1の溶液と第2の溶液とが電解質を形成するために混合される前には、第1の溶液と第2の溶液とは別々に保管されているという点に留意すべきである。
【0062】
いくつかの実施形態において、第1の溶液中の反応性添加物の重量パーセントは、第1の溶液および第2の溶液の総重量に対し、例えば5wt%〜50wt%であり得る。例として、いくつかの実施形態において、反応性添加物の重量パーセントは、第1の溶液および第2の溶液の総重量に対し、例えば8wt%、10wt%、20wt%または50wt%であり得る。
【0063】
いくつかの実施形態において、第2の溶液中の開始剤の重量パーセントは、第1の溶液および第2の溶液の総重量に対し、例えば0.5wt%〜15wt%であり得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、第1の溶液と第2の溶液との混合溶液中、リチウム塩のモル濃度は、例えば0.8M〜6Mであり得る。いくつかの実施形態において、第2の溶液中のリチウム塩は、第1の溶液および第2の溶液の総重量に対し、例えば5wt%〜50wt%であり得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、第1の溶液および第2の溶液の総重量に対し、第1の有機溶媒および第2の有機溶媒の重量パーセントの合計は、例えば40wt%〜80wt%であり得る。
【0066】
本開示の別の実施形態において、リチウム電池がまた提供される。リチウム電池は、正極、負極および正極と負極との間に配置されたイオン伝導層を含む。イオン伝導層は前述の電解質を含む。いくつかの実施形態において、正極の材料としては例えば、リチウムニッケルマンガン酸化物(LiNiaMn2-a4、0<a<2)、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(LiNinMnmCo1-n-m2、0<n<1、0<m<1、n+m<1)、マンガン酸リチウム(LiMn24)、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)、リチウムマンガン酸化物(LiMnO2)、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケルコバルト酸化物(LiNipCo1-p2、0<p<1)またはリチウムニッケルマンガン酸化物(LiNiqMn2-q4、0<q<2)などが挙げられ得る。いくつかの実施形態において、負極の材料としては例えば、グラファイト、リチウムチタン酸化物(Li4Ti512)またはリチウムなどが挙げられ得る。一実施形態において、前述のリチウム電池はさらにセパレータを含んでいてもよい。
【0067】
本開示の実施形態では、アミド基とエポキシ基またはビニル基とを有する反応性化合物を適切な割合で添加することにより、液体電解質は、加熱することまたは追加のエネルギーを供給することなしで硬化され、コロイド状態または疑似固体状態の電解質となり得る。本開示の実施形態で作製されるコロイド状態または疑似固体状態の電解質は、液漏れを起こすことのない難燃性の特性を有しているだけでなく、電解質と電池の正極または負極との間の界面抵抗を低減することができ、よって電解質はイオン伝導層として使用され得る。さらに、本開示により提供されるコロイド状態または疑似固体状態の電解質を用いる電池はまた、室温下で優れた充放電レート特性(rate charging-discharging characteristics)および優れたサイクル寿命性能を有する。
【0068】
本開示により提供される疑似固体電解質およびリチウム電池、ならびに、それらの特性を説明するため、各種比較例および実施例を以下に挙げる。
【0069】
比較例1、実施例1〜4
電解質の作製
開始剤としてのLiBF4およびリチウム塩としてのLiPF6が、有機溶媒中のLiBF4の濃度が0.5M、有機溶媒中のLiPF6の濃度が1Mとなるように、有機溶媒EC/DMC(v/v=1:2)中に溶解された。次いで、表1に示される重量および比率にしたがい、以下の式(II−1)を有する反応性添加物が、LiBF4である開始剤およびLiPF6であるリチウム塩を含有する前述の有機溶媒に添加された。混合物が室温で混合され、そして、電解質を形成させるために十分に攪拌された。
【0070】
【化25】
【0071】
前述の混合後、各比較例および実施例で作製された電解質は、初めは液体状態であった。約12時間室温で静置した後、各比較例および実施例で作製された電解質の形態(morphology)が変化した。表1に示されるように、約12時間室温で反応させた後、実施例1の電解質はコロイド状態へと変化し、実施例2〜4の電解質は疑似固体状態へと変化した。これに対し、比較例1の電解質は依然として液体状態のままであった。
【0072】
これらの結果から、本開示はコロイド状態または疑似固体状態の電解質を作製することに成功しており、電池システムに適用すれば電池からの液漏れが回避されることがわかる。
【0073】
【表1】
【0074】
電解質の自己消火時間試験
次いで、各比較例および実施例における自己消火時間(SET)が試験された。参考文献「J. of Electrochem. Soc. 2002,149, A6225」によれば、SET>20は可燃性(flammable)材料であることを示し、6<SET<20は難燃性(flame-retardant)材料であることを示し、SET<6は耐燃性(flame-resistant)材料であることを示す。各比較例および実施例の試験結果が表2に示されている。
【0075】
表2に示されているように、電解質中の反応性添加物の量が増えるにしたがって、電解質の自己消火時間は、比較例における57(sec/g)から、実施例1〜4における0(sec/g)に減少している。実施例1において作製されたコロイド状電解質および実施例2〜4において作製された疑似固体電解質は、全て耐燃性材料である。
【0076】
上記結果は、本開示により提供される電解質が、反応性添加物を含有しているがゆえに良好な安全性を備えていることを示している。
【0077】
【表2】
【0078】
電解質の導電性試験
次いで、各比較例および実施例で作製された電解質の導電性が試験された。結果が表3に示されている。
【0079】
表3に示されているように、電解質中の反応性添加物の量が増加するにしたがい導電率は低下しているが、実施例2(8wt%の反応性添加物を含有する疑似固体)のイオン導電率は、セラミック固体電解質のイオン導電率(約10-4S/cm)と類似しており、かつ、固体電解質には存在している界面抵抗という欠点は存在しない。また、実施例2のイオン導電率は、一般的なポリマー固体電解質(例えばPEO、PANなど)のイオン導電率(<10-5S/cm)よりも優れている。
【0080】
【表3】
【0081】
電池の作製
電池を組み立てるために、厚さ80μmのリチウムチタン酸化物(Li4Ti512;LTO)が負極として用いられ、および、厚さ65μmのリチウムニッケルマンガン酸化物(LiNi0.5Mn1.54;LNMO)が正極として用いられた。比較例1および実施例4の混合電解質がそれぞれ、組み立てられた電池に注入された。次いで、室温で約12時間静置され、電池の作製が完了した。
【0082】
室温での上記反応の後、厚さわずか15μmの薄膜疑似固体電解質層が、電解質として実施例4の電解質を用いる電池中に作製された。以下の実験結果に示されるように、より薄い厚さの電解質層は効果的にイオン導電経路を短縮することができ、電池の内部抵抗を低減させ、電池の充放電レート特性を改善する。
【0083】
電池の充放電レート特性
上記で作製された電池(電池容量250mAh)の充放電レートの試験が室温で行われた。図1は、電解質として比較例1で作製された液体電解質を用いる電池の充放電レート試験の結果を示している。図2は、電解質として実施例4で作製された疑似固体電解質を用いる電池の充放電レート試験の結果を示している。
【0084】
図1および図2に示されているように、2つの電池の充放電レート性能は同様であり、疑似固体電解質の電気性能が液体電解質とほぼ同じであることを示している。しかしながら、疑似固体電解質の安全性は顕著に改善されている。自己消火性試験の結果に示されているように、実施例4で作製された疑似固体電解質は、比較例1で作製された液体電解質よりも優れた安全性を有している。
【0085】
電池のサイクル寿命
上記で作製された電池のサイクル寿命の試験が室温で行なわれた。図3は、電解質として比較例1で作製された液体電解質を用いる電池、および、電解質として実施例4で作製された疑似固体電解質を用いる電池のサイクル寿命試験の結果を示している。
【0086】
図3に示されているように、実施例4で作製された疑似固体電解質を用いた場合、電池の容量維持率はより良好である。これに対し、比較例1で作製された液体電解質を用いた場合、容量はより速く減少し、および、最終容量(80サイクル後)はより低く、容量維持率は悪化している。
【0087】
比較例2、実施例5
有機−無機疑似固体電解質の作製
比較例2では、固体電解質として、無機セラミック材料であるLi1.6Al0.6Ge1.4(PO43(LAGP)が用いられた。
【0088】
実施例5では、有機−無機疑似固体電解質(LAGP/QSSE)を作製するために、表1における実施例4で示されている全ての成分と無機電解質Li1.6Al0.6Ge1.4(PO43(LAGP)とが、重量比50/50で混合された。
【0089】
有機−無機疑似固体電解質の導電率試験
【0090】
比較例2で作製された無機電解質および実施例5で作製された有機−無機疑似固体電解質の導電率の試験がさらに行なわれた。結果が表4に示されている。
【0091】
表4に示されているように、有機−無機疑似固体電解質LAGP/QSSEの導電率は、10-3(S/cm)に近く、比較例2の無機固体セラミック電解質よりも高い。加えて、その形態(morphology)から、実施例4の疑似固体電解質を用いて作製された有機−無機疑似固体電解質LAGP/QSSEが可撓性を備えていることが確認される。
【0092】
【表4】
【0093】
各種比較例および実施例の結果から、本開示により提供される電解質が、液漏れを起こすことなく、難燃性を備えていることが実証される。さらに、電解質と正極または負極との間に存在する界面抵抗という短所が解消され得る。したがって、本開示により提供される電解質はイオン導電層として用いることができる。加えて、本開示により提供される電解質を用いる電池は、室温下で、優れた充放電レート特性および優れたサイクル寿命性能を備えている。さらに、本開示により提供される電解質と無機電解質とを混合して作製される有機−無機疑似固体電解質もまた、優れた導電性および可撓性を有している。
【0094】
前述したいくつかの好ましい実施形態により本開示を説明したが、本開示は、開示された実施形態に限定されることはない。当業者は、本開示の精神および範囲を逸脱することなく、変化および変更を加えることができる。よって、本開示の保護範囲は、以下の特許請求の範囲により示されるべきである。
図1
図2
図3