(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
円環ディスク状の摩擦面をなすために、溝によって互いに間隔を置いた複数の摩擦フェーシング片(331〜335;351〜356)を備える、摩擦結合を利用して機能する装置用の摩擦部材(321;341)であって、
一部のまたはすべての摩擦フェーシング片(331〜335;351〜356)は、十字または一部が欠けた十字の形状を呈することを特徴とする、摩擦部材。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1ないし31に示す実施例は、摩擦部材とも呼ばれる複数の摩擦ディスクを有する多板クラッチ(Lamellenkupplung)に関する。摩擦ディスクは、好ましくはインナディスクおよびアウタディスクとして構成されており、1つのディスクセットをなして配置されている。インナディスクおよびアウタディスクは、実質的に、長方形の環横断面を有する円環ディスクの形状を呈する。
【0025】
インナディスクは、支持要素とも呼ばれるそれぞれ1つのフェーシング支持体を有し、フェーシング支持体には、好ましくはそれぞれ2つの摩擦フェーシングが被着されている。フェーシング支持体は、例えば鋼材から形成されている。構成によっては、フェーシング支持体または支持要素は、支持金属薄板とも呼ばれる。
【0026】
摩擦フェーシングは、好ましくは、好適なフェーシング材から形成されている。インナディスクの摩擦フェーシングは、接触領域においてアウタディスクと接触することができる。この目的のために、フェーシング支持体と摩擦フェーシングとを備えるインナディスクが1つずつ、軸方向で2つのアウタディスク間に配置されている。
【0027】
軸方向なる概念は、ディスクセットの回転軸線に関する。軸方向は、回転軸線の方向または回転軸線に対して平行を意味する。同様に半径方向は、回転軸線に対して横方向を意味する。フェーシング支持体は、半径方向内側または半径方向外側にそれぞれ1つの連結領域を有する。
【0028】
フェーシング支持体の連結領域は、例えば内歯列または外歯列として構成されている。これらの歯列は、フェーシング支持体を対応するディスク支持体内に係合させるために用いられる。
【0029】
図1ないし29には、摩擦部材とも呼ばれる摩擦ディスクをそれぞれ四分割して示してある。摩擦部材の支持要素上には、円環ディスク状の摩擦面をなすために、多数の摩擦フェーシング片が取り付けられている。これらの摩擦フェーシング片は、様々な形状を呈しており、摩擦フェーシング片間に、支持要素まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0030】
図1および2ならびに34は、円環ディスク状の摩擦面をなすために、溝によって互いに間隔を置いた複数の摩擦フェーシング片を備え、個々のまたはすべての摩擦フェーシング片が、三角形の形状を呈する、摩擦結合を利用して機能する装置用の摩擦部材に関する。三角形は、摩擦フェーシング片間に溝が生じるように支持要素上に取り付けられ、互いに間隔を置いている。
【0031】
摩擦部材の好ましい一実施例は、摩擦部材がその全周にわたって同一の溝パターンを呈することを特徴とする。これにより、摩擦部材の運転中、溝の一様な通流が簡単に保証される。
【0032】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、溝が周方向で一様に分配されていることを特徴とする。これにより、摩擦部材の製造が簡単化される。さらに、摩擦部材の機能性が改善される。
【0033】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、少なくとも1つの周方向列内で三角形のフェーシング片が交互にその先端を内方と外方とに向けて配置されていることを特徴とする。このように配置したことで、異なる方向で斜めに延びる複数の溝が生じる。
【0034】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、少なくとも1つの周方向列内で三角形の摩擦フェーシング片が、当該周方向列内に半径方向に延びる溝が生じるように配置されていることを特徴とする。この配置は、特に斜めに延びる溝と組み合わされると有利であることが判明した。
【0035】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、少なくとも1つの周方向列内で三角形の摩擦フェーシング片が、当該周方向列内に斜めに延びる溝が生じるように配置されていることを特徴とする。これにより摩擦部材の機能性は、さらに改善される。
【0036】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、摩擦部材が2つの周方向列を備え、両周方向列内で三角形の摩擦フェーシング片が交互にその先端を内方と外方とに向けて配置されており、半径方向内側の周方向列の、半径方向内側に配置される摩擦フェーシング片の先端と、半径方向外側の周方向列の、半径方向外側に配置される摩擦フェーシング片の先端とが、互いに向かい合っていることを特徴とする。両周方向列間には、有利には、周方向で延在する溝が生じる。この溝は、周方向溝とも呼ばれる。この周方向溝からは、斜めの溝が半径方向内向きおよび外向きに延在している。
【0037】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、半径方向内側の周方向列の、半径方向外側に配置される摩擦フェーシング片の先端と、半径方向外側の周方向列の、半径方向内側に配置される摩擦フェーシング片の先端とが、互いに背離していることを特徴とする。これにより、統一的な溝パターンが簡単に生じる。
【0038】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、複数の三角形の摩擦フェーシング片が、周方向で繰り返されるまとまり(構成単位)をなして配置されていることを特徴とする。一実施例によれば、4つの三角形の摩擦フェーシング片が、繰り返されるそれぞれ1つの構成単位をなして配置されている。別の一実施例によれば、10個より多く、特に11個の三角形の摩擦フェーシング片が、繰り返される構成単位をなして配置されている。
【0039】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、複数ある三角形の摩擦フェーシング片が実質的に同じ大きさであることを特徴とする。これにより、摩擦部材の製造がさらに簡単化される。
【0040】
図1には、支持要素3を備える摩擦部材1を四分割して示してある。支持要素3は、例えば鋼材からなる円環ディスク4として構成されている。円環ディスク4は、半径方向内側または半径方向外側で、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0041】
円中心5から半径方向の線7,8,9,10が延びており、これらの線7,8,9,10は、略して半径線とも呼ばれる。円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素3上には、摩擦フェーシング片11ないし18が取り付けられている。摩擦フェーシング片11ないし18は、摩擦フェーシング片11ないし18間に支持要素3まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0042】
摩擦フェーシング片11および12は、半径線7上に配置されている。摩擦フェーシング片11の先端は、半径方向内方に向けられている。摩擦フェーシング片12の先端は、半径方向外方に向けられている。摩擦フェーシング片15は、その先端を半径方向内方に向けて半径線9上に配置されている。摩擦フェーシング片13は、その先端を半径方向外方に向けて摩擦フェーシング片11と15との間で半径線8上に配置されている。
【0043】
摩擦フェーシング片14は、その先端を半径方向内方に向けて同じく半径線8上に配置されている。その際、摩擦フェーシング片14は、周方向で摩擦フェーシング片12と摩擦フェーシング片16との間に配置されている。摩擦フェーシング片16は、その先端を半径方向外方に向けて半径線9上に配置されている。
【0044】
摩擦フェーシング片17および18は、その先端が互いに向かい合うように半径線10上に配置されている。半径方向内側の摩擦フェーシング片13および17は、半径方向内側で1つの円弧により画定される。同様に、半径方向外側に配置される摩擦フェーシング片14および18は、半径方向外側で1つの円弧により画定される。
【0045】
半径方向内側の周方向列内では、三角形の摩擦フェーシング片11,13,15および17が、交互にその先端を内方と外方とに向けて配置されている。半径方向外側の周方向列内では、三角形の摩擦フェーシング片12,14,16および18が、交互にその先端を外方と内方とに向けて配置されている。
【0046】
半径方向内側の周方向列の、半径方向内側に配置される摩擦フェーシング片13,17の先端は、半径方向外側の周方向列の、半径方向外側に配置される摩擦フェーシング片14,18の先端と向かい合っている。
【0047】
三角形の摩擦フェーシング片11ないし18を有する両周方向列間には、一貫した周方向溝21が生じる。周方向溝21は、斜めの溝22,23と交わる。ここから、周方向で繰り返されるX字形の溝の延びが生じる。
【0048】
図2には、支持要素33を備える摩擦部材31を四分割して示してある。支持要素33は、例えば鋼材からなる円環ディスク34として構成されている。円環ディスク34は、半径方向内側または半径方向外側で、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0049】
円中心35から半径方向の線26,27,28が延びており、これらの線26,27,28は、略して半径線とも呼ばれる。円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素33上には、摩擦フェーシング片41ないし48が取り付けられている。摩擦フェーシング片41ないし48は、摩擦フェーシング片41ないし48間に、支持要素33まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0050】
摩擦部材31は、半径方向に向けられた三角形の摩擦フェーシング片36を有する内側の周方向列を備える。摩擦フェーシング片36の先端は、半径方向外方を向いている。摩擦部材31は、半径方向外側に、三角形の摩擦フェーシング片37を有する別の周方向列を備える。摩擦フェーシング片37は、同じく半径方向に向けられている。
【0051】
摩擦フェーシング片37の先端は、半径方向内方を向いている。さらに半径方向内側の周方向列は、半径方向内方に向けられた先端を有する三角形の形状の摩擦フェーシング片38を有する。同様に、半径方向外側の周方向列は、半径方向に向けられ、その先端が半径方向外方を向いている摩擦フェーシング片39を有する。
【0052】
図2に示した摩擦部材31の場合、計12個の摩擦フェーシング片41ないし52が、繰り返される1つの構成単位40をなして配置されている。摩擦フェーシング片41ないし44は、半径方向内側の周方向列内で交互にその先端を半径方向内方と半径方向外方とに向けて配置されている。摩擦フェーシング片45および46は、摩擦フェーシング片41および43の半径方向外側でその先端を半径方向外方に向けて配置されている。摩擦フェーシング片45および46間には、摩擦フェーシング片49がその先端を半径方向内方に向けて配置されている。摩擦フェーシング片49の半径方向外側には、摩擦フェーシング片50がその先端を半径方向外方に向けて配置されている。
【0053】
摩擦フェーシング片51,50および52は、その先端を交互に半径方向内方と半径方向外方とに向けて配置されている。周方向で反時計回りに、繰り返される構成単位40が摩擦フェーシング片47により画定され、摩擦フェーシング片47の先端は、
図2で見て周方向で構成単位40の他方の側を画定する摩擦フェーシング片48の先端と向かい合っている。
【0054】
摩擦部材31は、周方向で一貫した周方向溝54と、斜めに延びる多数の溝とを備え、斜めに延びる溝は、互いに交差しかつ周方向溝54と交差する。さらに摩擦部材31は、半径方向外側に、半径方向で延びる溝を備える。
【0055】
図34には、支持要素603を備える摩擦部材601を四分割して示してある。支持要素603は、例えば鋼材からなる円環ディスク604として構成されている。円環ディスク604は、半径方向内側または半径方向外側に、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0056】
円中心605から半径方向の線701ないし707が延びており、これらの線701ないし707は、略して半径線とも呼ばれる。円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素603上には、摩擦フェーシング片711ないし714が取り付けられている。摩擦フェーシング片711ないし714は、摩擦フェーシング片711ないし714間に、支持要素3まで延在する溝721ないし724が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0057】
三角形の摩擦フェーシング片711ないし714は、繰り返される構成単位710をなして配置されている。三角形の摩擦フェーシング片711は、繰り返される構成単位710内で半径方向内側に配置されており、摩擦フェーシング片711の先端は、半径方向外方を向いている。三角形の摩擦フェーシング片712は、繰り返される構成単位710内で半径方向外側に配置されており、摩擦フェーシング片712の先端は、半径方向内方を向いている。
【0058】
2つの三角形の摩擦フェーシング片713および714は、繰り返される構成単位710内で半径線702および703に沿って向けられており、三角形の摩擦フェーシング片713および714の先端は、互いに向かい合っている。繰り返される構成単位710間には、それぞれ1つの溝が、半径線701ないし707の1つに沿って形成されている。溝721ないし724は、繰り返される構成単位710内でX字形の溝パターンを呈する。
【0059】
図3ないし14は、円環ディスク状の摩擦面をなすために、溝によって互いに間隔を置いた複数の摩擦フェーシング片を備え、個々のまたはすべての摩擦フェーシング片が、四角形の形状を呈する、摩擦結合を利用して機能する装置用の摩擦部材に関する。四角形の例は、長方形、菱形、台形または平行四辺形である。
【0060】
摩擦部材の好ましい一実施例は、摩擦部材がその全周にわたって同一の溝パターンを呈することを特徴とする。これにより、摩擦部材の運転中、溝の一様な通流が簡単に保証される。
【0061】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、溝が周方向で一様に分配されていることを特徴とする。これにより、摩擦部材の製造が簡単化される。さらに、摩擦部材の機能性が改善される。
【0062】
別の好ましい一実施例は、個々のまたはすべての摩擦フェーシング片が、実質的に長方形または一部が欠けた長方形の形状を呈することを特徴とする。実質的に長方形の形状とは、長方形が、例えば半径方向内側および/または半径方向外側において円弧の形状を呈していてもよいことを意味する。しかし、個々のまたはすべての摩擦フェーシング片は、長方形または一部が欠けた長方形の形状を呈していてもよい。
【0063】
別の好ましい一実施例は、実質的に長方形の摩擦フェーシング片が半径方向内側および/または半径方向外側に円弧形の画定線を有することを特徴とする。円弧形の画定線は、摩擦フェーシング片の形状を円環ディスク状の摩擦面の内側または外側のアールに適合させるために用いられる。
【0064】
別の好ましい一実施例は、実質的に長方形の摩擦フェーシング片の長手方向が半径方向に向けられていることを特徴とする。このことから、半径方向外側に向かって拡張する溝が、長方形の摩擦フェーシング片間に簡単に形成される。
【0065】
別の好ましい一実施例は、実質的に長方形の摩擦フェーシング片の長手方向が摩擦面全体にわたって互いに平行に配置されていることを特徴とする。このことから、長方形の摩擦フェーシング片間の溝が摩擦面全体にわたって互いに平行に延びることになる。
【0066】
別の好ましい一実施例は、実質的に長方形の摩擦フェーシング片の長手方向がグループ毎に互いに平行に配置されているが、それぞれ異なる向きにされていることを特徴とする。その際、摩擦フェーシング片は、好ましくはセグメント状にグループ毎に互いに平行に配置される。
【0067】
別の好ましい一実施例は、個々のまたはすべての摩擦フェーシング片が、実質的に台形または一部が欠けた台形の形状を呈することを特徴とする。実質的に台形または一部が欠けた台形の形状とは、台形または一部が欠けた台形が半径方向内側および/または半径方向外側において円弧の形状を呈していてもよいことを意味する。摩擦フェーシング片の台形の形状により、有利には、溝を有する摩擦面の多様な構成可能性が生じる。
【0068】
別の好ましい一実施例は、実質的に台形の摩擦フェーシング片が半径方向内側および/または半径方向外側に円弧形の画定線を有することを特徴とする。円弧形の画定線は、有利には、摩擦部材の円環ディスク状の摩擦面の内周部または外周部に適合されている。
【0069】
別の好ましい一実施例は、実質的に台形の摩擦フェーシング片の長手方向が半径方向に向けられていることを特徴とする。このように配置したことで、摩擦フェーシング片間に半径方向で延びる溝が生じる。
【0070】
別の好ましい一実施例は、台形が半径方向外側に向かって拡張することを特徴とする。これにより、摩擦フェーシング片間の溝の延びについて別の多様な構成可能性が生じる。別の好ましい一実施例は、実質的に台形の摩擦フェーシング片間の溝が、半径方向で延びることを特徴とする。溝は、周方向で好ましくは一様に分配されている。
【0071】
別の好ましい一実施例は、実質的に台形の摩擦フェーシング片間の溝が半径方向外側に向かって先細りすることを特徴とする。これにより、摩擦部材の運転中の溝内の流体の滞留時間を延長することができる。
【0072】
別の好ましい一実施例は、台形が等脚であることを特徴とする。これにより、摩擦面にわたって一様な質量分布を簡単に達成することができる。
【0073】
別の好ましい一実施例は、個々のまたはすべての摩擦フェーシング片が、菱形または一部が欠けた菱形の形状を呈することを特徴とする。菱形または一部が欠けた菱形の摩擦フェーシング片の様々な形状および/または配置により、多様な構成可能性、特に摩擦フェーシング片間の溝の延びに関する多様な構成可能性が生じる。
【0074】
別の好ましい一実施例は、菱形の摩擦フェーシング片の長手方向が半径方向に向けられていることを特徴とする。このように配置したことで、摩擦フェーシング片間の斜めに延びる溝を簡単に実現可能である。
【0075】
別の好ましい一実施例は、複数の菱形の摩擦フェーシング片が1つの周方向列内に配置されていることを特徴とする。これにより、一様な溝の延びが簡単に形成される。
【0076】
別の好ましい一実施例は、複数の菱形の摩擦フェーシング片が複数の周方向列内に配置されていることを特徴とする。これにより、摩擦フェーシング片間の、異なる方向で斜めに延びる溝が簡単に実現可能である。
【0077】
別の好ましい一実施例は、菱形の摩擦フェーシング片を備える摩擦部材が、半径方向内側に1つの周方向列を備え、この周方向列内で実質的に三角形または一部が欠けた菱形の摩擦フェーシング片が、その先端を半径方向外方に向けて配置されていることを特徴とする。これにより、菱形の摩擦フェーシング片との組み合わせにおいて、多様な構成可能性が生じる。
【0078】
別の好ましい一実施例は、実質的に三角形または一部が欠けた菱形の摩擦フェーシング片が、半径方向内側に円弧形の画定線を有することを特徴とする。円弧形の画定線は、好ましくは、円環ディスク状の摩擦面の内周部に適合されている。
【0079】
別の好ましい一実施例は、菱形の摩擦フェーシング片を備える摩擦部材が、半径方向外側に1つの周方向列を備え、この周方向列内で実質的に三角形または一部が欠けた菱形の摩擦フェーシング片が、その先端を半径方向内方に向けて配置されていることを特徴とする。このことから、特に溝の延びに関して、菱形の摩擦フェーシング片との組み合わせにおいて、多様な構成可能性が生じる。
【0080】
別の好ましい一実施例は、実質的に三角形または一部が欠けた菱形の摩擦フェーシング片が、半径方向外側に円弧形の画定線を有することを特徴とする。円弧形の画定線は、有利には、円環ディスク状の摩擦面の外周部に適合されている。
【0081】
別の好ましい一実施例は、個々のまたはすべての摩擦フェーシング片が、平行四辺形の形状を呈することを特徴とする。平行四辺形の形状により、円環ディスク状の摩擦面内で、半径方向で延びる溝を、斜めに延びる溝と簡単に組み合わせることができる。
【0082】
別の好ましい一実施例は、平行四辺形の摩擦フェーシング片が半径方向に向けられていることを特徴とする。半径方向に向けられているとき、好ましくは、複数の平行四辺形の摩擦フェーシング片が、1つの半径線上に配置されている。
【0083】
別の好ましい一実施例は、複数の平行四辺形の摩擦フェーシング片が1つの周方向列内に配置されていることを特徴とする。その際、平行四辺形の摩擦フェーシング片は、1つの周方向列内で、好ましくは、交互に長辺と短辺とが向かい合うようになっている。
【0084】
別の好ましい一実施例は、複数の平行四辺形の摩擦フェーシング片が複数の周方向列内に配置されていることを特徴とする。これにより、円環ディスク状の摩擦面内に多数の変向箇所を簡単に実現することができる。
【0085】
別の好ましい一実施例は、平行四辺形の摩擦フェーシング片を備える摩擦部材が、半径方向内側に1つの周方向列を備え、この周方向列内に実質的に平行四辺形または一部が欠けた平行四辺形の摩擦フェーシング片が配置されており、これらの摩擦フェーシング片は、半径方向内側に円弧形の画定線を有することを特徴とする。これにより、円環ディスク状の摩擦面の実現が簡単化される。
【0086】
別の好ましい一実施例は、平行四辺形の摩擦フェーシング片を備える摩擦部材が、半径方向外側に1つの周方向列を有し、この周方向列内に実質的に平行四辺形または一部が欠けた平行四辺形の摩擦フェーシング片が配置されており、これらの摩擦フェーシング片は、半径方向外側に円弧形の画定線を有することを特徴とする。これにより、円環ディスク状の摩擦面の実現がさらに簡単化される。
【0087】
別の好ましい一実施例は、複数の四角形の摩擦フェーシング片が、周方向で繰り返される構成単位をなして配置されていることを特徴とする。これにより、摩擦部材の製造がさらに簡単化される。
【0088】
別の好ましい一実施例は、複数ある四角形の摩擦フェーシング片が実質的に同じ大きさであることを特徴とする。これにより、摩擦部材の製造がさらに簡単化される。
【0089】
図3には、支持要素63を備える摩擦部材61を四分割して示してある。支持要素63は、例えば鋼材からなる円環ディスク64として構成されている。円環ディスク64は、半径方向内側または半径方向外側で、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0090】
円中心65から半径方向の線66,67が延びており、これらの線66,67は、略して半径線とも呼ばれる。円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素63上には、摩擦フェーシング片71,72が取り付けられている。摩擦フェーシング片71,72は、摩擦フェーシング片71,72間に、支持要素63まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0091】
摩擦フェーシング片71,72は、長方形の形状を呈する。長方形は、半径方向に向けられており、周方向で互いに一様に間隔を置いている。このことから、摩擦フェーシング片71,72間に、半径方向に延び、半径方向外側に向かって拡張する溝74が生じる。このように配置したことで、伝統的なワッフル模様(Waffelmuster)と比較して一連の利点が生じる。
【0092】
長方形の摩擦フェーシング片71,72の一様な配置により、摩擦面の全周にわたって同一の溝パターンが生じる。さらに、溝付けは、支持要素、特に支持金属薄板まで延伸されている。このことは、支持金属薄板の熱容量が利用可能であるという利点を提供する。
【0093】
摩擦フェーシング片71,72間の間隔により、有利には、低い溝の割合、特に50パーセント未満の溝の割合が生じる。半径方向外側に向かって拡張または拡幅する溝74により、半径方向内側により狭い間隙が生じる。このことは、流体、特にオイルを摩擦面の周にわたって特にクラッチの貫流前により良好に分配させる。
【0094】
溝横断面が外側でより広くなっていることは、より多くの空気が半径方向内方に流動可能であるという利点を提供する。このことは、引きずりモーメントをより小さくする。さらに、長方形の摩擦フェーシング片71,72は、例えば打ち抜き加工による製造時、廃棄物が生じないという利点を提供する。
【0095】
図4には、支持要素83を備える摩擦部材81を四分割して示してある。支持要素83は、例えば鋼材からなる円環ディスク84として構成されている。円環ディスク84は、半径方向内側または半径方向外側で、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0096】
円中心85から半径方向の線86,87が延びており、これらの線86,87は、略して半径線とも呼ばれる。円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素83上には、摩擦フェーシング片91,92が取り付けられている。摩擦フェーシング片91,92は、摩擦フェーシング片91,92間に、支持要素83まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0097】
摩擦フェーシング片91,92の長手方向は、半径方向に向けられており、等脚の台形の形状を呈する。等脚の台形は、半径方向外側に向かって拡張し、摩擦フェーシング片91,92間の溝94は、半径方向外側に向かって狭窄する。台形の摩擦フェーシング片91,92は、伝統的なワッフル模様に対して一連の利点を提供する。一方では、摩擦面の全周にわたって同一の溝パターンが実現可能である。支持要素83までの溝付けは、支持金属薄板の熱容量が利用可能であるという利点を提供する。さらに、台形の摩擦フェーシング片91,92により、低い溝の割合、特に50パーセント未満の溝の割合を簡単に実現可能である。
【0098】
半径方向の溝94の先細りにより、チャネル内に到達する空気は少なく、このことは、場合によっては、冷却に有利に作用する。先細りする溝は、有利には、溝94内の流体、特にオイルの堰き止め作用を提供する。これにより、いわゆる遠心油圧が上昇する。遠心油圧の上昇は、クラッチが開いたとき、ディスクを比較的容易に分離せしめる。これにより、比較的小さい引きずりモーメントが簡単に実現可能である。
【0099】
さらに、すべてが同じ大きさであり、同じに構成されている台形の摩擦フェーシング片91,92は、廃棄物なしに、例えば打ち抜き加工により簡単に製造可能である。
【0100】
図5には、支持要素103を備える摩擦部材101を四分割して示してある。支持要素103は、例えば鋼材からなる円環ディスク104として構成されている。円環ディスク104は、半径方向内側または半径方向外側に、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0101】
円中心105から鉛直の線106が延びており、この線106は、y軸とも呼ばれる。さらに円中心105から水平の線107が延びており、この線107は、x軸と呼ばれてもよい。鉛直の線106および水平の線107は、略して鉛直線および水平線とも呼ばれる。
【0102】
円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素103上には、摩擦フェーシング片111,112が取り付けられている。摩擦フェーシング片111,112は、摩擦フェーシング片111,112間に、支持要素103まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0103】
摩擦フェーシング片111,112は、水平線107に対して平行に延びる線108,109に沿って向けられている。摩擦フェーシング片111,112間には、それぞれ1つの溝114が空けられており、溝114は、同じく水平線107に対して平行に延びる。このことから、多数の溝が生じるが、これらの溝のうち、
図5には、溝114にのみ符号を付した。これらの溝は、すべて水平方向で延びている。溝114は、支持要素103まで延びている。
【0104】
さらに摩擦フェーシング片111,112には、溝116ないし119が設けられており、溝116ないし119は、水平線107に対して垂直に、すなわち、鉛直線106に対して平行に延びている。溝116ないし119は、例えば型打ち加工により、摩擦フェーシング片111,112内に設けられている。しかし、溝116ないし119は、支持要素103まで延在していない。
【0105】
図6には、支持要素123を備える摩擦部材121を四分割して示してある。支持要素123は、例えば鋼材からなる円環ディスク124として構成されている。円環ディスク124は、半径方向内側または半径方向外側で、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0106】
円中心125から鉛直の線126が延びており、この線126は、y軸とも呼ばれる。さらに円中心125から水平の線127が延びており、この線127は、x軸と呼ばれてもよい。鉛直の線126および水平の線127は、略して鉛直線および水平線とも呼ばれる。
【0107】
円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素123上には、摩擦フェーシング片131,132が取り付けられている。摩擦フェーシング片131,132は、摩擦フェーシング片131,132間に、支持要素123まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0108】
半径線128により、
図6に四分割して示した摩擦部材121を、もう一度下側の領域と上側の領域とに分割してある。上側の領域では、摩擦フェーシング片131,132の長手方向が、鉛直線126に対して平行に延びる線129,130に沿って向けられている。摩擦フェーシング片131,132を有する上側の領域は、半径方向の溝140により下側の領域から仕切られている。溝140は、半径線128に沿って延びている。
【0109】
摩擦フェーシング片131,132間には、それぞれ1つの溝134が形成されており、溝134は、同じく鉛直線126に対して平行に延びている。
【0110】
下側の領域では、摩擦フェーシング片135,136が、詳細に符号を付して示すことはしないが、水平線127に対して平行に延びる線に対して平行に向けられている。摩擦フェーシング片135,136間には、それぞれ1つの溝138が形成されており、溝138は、同じく水平線127に対して平行に延びている。
【0111】
図6に示した摩擦部材121の上側の領域に設けられた摩擦フェーシング片131,132には、付加的に溝141ないし144が設けられている。しかし、溝141ないし144は、支持要素123まで延びていない。溝141ないし144は、例えば型打ち加工により摩擦フェーシング片131内に形成されている。その際、溝141ないし144は、水平線127に対して平行に配置されている。これにより、型打ち加工された溝が、半径方向の代わりにどちらかといえば周方向で延びることが達成される。これとは異なり、型打ち加工された溝は、完全に周方向で配置されてもよい。別の一変化形態は、型打ち加工された溝をスパイラル状に配置することにある。これにより、型打ち加工された溝を、水平線127に対して平行な配置と比較してより良好に周方向で方向付けし、かつ摩擦リング面全体を介して摩擦エネルギを伝達することが、同時に達成される。
【0112】
下側の領域に設けられた摩擦フェーシング片135,136は、同じく溝145ないし147を有して構成されている。その際、溝145ないし147は、鉛直線126に対して平行に配置されている。溝145ないし147は、例えば型打ち加工により形成されており、支持要素123まで延在していない。
【0113】
図32および33には、
図6に示した摩擦部材121に類似した2つの摩擦部材561,581を示してある。同じまたは類似の部材を指し示すのに、
図32および33では、
図6と同じ符号を使用した。繰り返しを避けるため、
図6についてした先の説明を参照されたい。以下に、主として、
図6に示した摩擦部材121と、
図32および33に示した摩擦部材561,581との間の相違点について説明する。
図32および33に示した摩擦部材561,581は、
図6に示した摩擦部材121とは異なる型打ち加工部を備える。
【0114】
摩擦フェーシング片の型打ち加工部は、曲線に沿って配置された溝571,572,573を有する。曲線状の延びは、摩擦フェーシング片131,132間の溝134によりそれぞれ中断されている。
【0115】
さらに、型打ち加工部は、同じく曲線に沿って配置された溝575,576,577を有する。溝型打ち加工部の曲線は、それぞれ半径線128から延びている。半径線128から、曲線は、斜めに半径方向外方に延びている。
【0116】
図33に示した摩擦部材581の場合、型打ち加工された溝591ないし593および595ないし597が、周方向線に沿って配置されている。溝型打ち加工により、
図33では、2つの周方向溝が生じ、これらの周方向溝は、それぞれ、摩擦フェーシング片間の溝134,138により中断されている。
【0117】
図7および8には、支持要素163を備える摩擦部材161を四分割して示してある。支持要素163は、例えば鋼材からなる円環ディスク164として構成されている。円環ディスク164は、半径方向内側または半径方向外側で、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0118】
円中心165から半径方向の線166,167が延びており、これらの線166,167は、略して半径線とも呼ばれる。円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素163上には、摩擦フェーシング片171,172が取り付けられている。摩擦フェーシング片171,172は、摩擦フェーシング片171,172間に、支持要素163まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0119】
摩擦フェーシング片171,172の長手方向は、半径方向に向けられている。このことは、摩擦フェーシング片171,172の長手方向軸線がそれぞれ半径線166,167の1つと合致することを意味する。その際、摩擦フェーシング片171,172は、溝174が両摩擦フェーシング片171,172間に生じるように、周方向で互いに間隔を置いている。
【0120】
溝174は、支持要素163まで延在する。摩擦フェーシング片171,172の、互いに向かい合う側方の画定線は、互いに平行に配置されており、その結果、溝174は、一定の溝幅を有する。溝幅とは、周方向での溝174の広がりを指している。摩擦フェーシング片171,172は、すべて同じに構成されている。
【0121】
図8では、摩擦フェーシング片171,172が如何にして簡単に、例えば打ち抜き加工により廃棄物なしに形成できるかを見て取ることができる。打ち抜き加工後、摩擦フェーシング片171,172は、例えば支持要素163上に簡単に接着される。
【0122】
さらに、個々の摩擦フェーシング片171,172には、型打ち加工部175により、さらなる溝が従来慣用のワッフル模様の形態で設けられている。しかし、型打ち加工部175により形成されるワッフル模様の溝は、支持要素163まで延在していない。
【0123】
図8では、摩擦フェーシング片171,172内に付加的な溝を形成する型打ち加工部175を、打ち抜き加工前に、例えばペーパ系フェーシング内に、ローラを用いた押し込み加工によって簡単に形成できることが分かる。これらの溝は、接着前にフライス加工によって簡単に形成することができる。
【0124】
図9および10には、支持要素193を備える摩擦部材911を四分割して示してある。支持要素193は、例えば鋼材からなる円環ディスク194として構成されている。円環ディスク194は、半径方向内側または半径方向外側で、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0125】
円中心195から半径方向の線186,187が延びており、これらの線186,187は、略して半径線とも呼ばれる。円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素193上には、摩擦フェーシング片191,192が取り付けられている。摩擦フェーシング片191,192は、摩擦フェーシング片191,192間に、支持要素193まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0126】
摩擦フェーシング片191,192は、先の実施例におけるように、半径方向に、すなわち、半径線186,187に沿って向けられている。2つの摩擦フェーシング片191,192間には、それぞれ1つの溝194が形成されており、溝194は、支持要素183まで延在している。溝194は、同じく半径方向に延びている。摩擦フェーシング片191,192は、周方向で互いに一様に間隔を置いている。摩擦フェーシング片191,192間の溝194は、一定の溝幅を有する。
【0127】
さらに摩擦フェーシング片191,192には、さらなる溝をなすために、互いに異なる型打ち加工部195,196が設けられている。型打ち加工部195は、摩擦フェーシング片191内に設けられた溝を含み、型打ち加工部195内に設けられた溝は、摩擦フェーシング片192の型打ち加工部196内に設けられた溝とは逆向きに斜めに延びている。その際、型打ち加工部195,196の溝は、溝194を通る対称軸線に関して対称である。
【0128】
図10では、型打ち加工部195,196を有する摩擦フェーシング片191,192が、廃棄物なしに例えば打ち抜き加工によって簡単に製造可能であることが分かる。
【0129】
図11には、支持要素203を備える摩擦部材201を四分割して示してある。支持要素203は、例えば鋼材からなる円環ディスク204として構成されている。円環ディスク204は、半径方向内側または半径方向外側に、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0130】
円中心205から半径方向の線206,207が延びており、これらの線206,207は、略して半径線とも呼ばれる。円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素203上には、摩擦フェーシング片211ないし219が取り付けられている。摩擦フェーシング片211ないし219は、摩擦フェーシング片211ないし219間に、支持要素203まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0131】
摩擦フェーシング片211,212は、半径線206,207に沿って半径方向に向けられた菱形の形状を呈する。半径方向内側には、一部が欠けた菱形、というよりは実質的に三角形の摩擦フェーシング片214,215,216が、1つの周方向列内に配置されている。2つの菱形の摩擦フェーシング片211,212間には、実質的に三角形の、というよりは一部が欠けた菱形の摩擦フェーシング片215が1つずつ配置されている。
【0132】
半径方向外側には、実質的に三角形または一部が欠けた菱形の摩擦フェーシング片217,218,219が、1つの周方向列内に配置されている。その際、三角形または一部が欠けた菱形の摩擦フェーシング片218が1つずつ、2つの菱形の摩擦フェーシング片211,212間に配置されている。
【0133】
実質的に三角形または一部が欠けた菱形の摩擦フェーシング片215,218の先端は、互いに向かい合っている。摩擦フェーシング片215は、半径方向内側で円弧形の画定線により画定される。同様に摩擦フェーシング片218は、半径方向外側で円弧形の画定線により画定される。
【0134】
摩擦フェーシング片211,212および214ないし219の形状および配置により、摩擦面の全周にわたって同一の溝パターンが、残片なしに生じる。摩擦フェーシング片211,212および214ないし219間の間隔により、支持要素203までの溝付けが生じる。
【0135】
このことは、例えば支持金属薄板として構成される支持要素203の熱容量が利用可能であるという利点を提供する。溝幅は、特に半径方向で変化することができ、これにより、例えば一種のノズルデザインを実現することができる。
【0136】
周方向で各摩擦フェーシング片211,212および214ないし219は、一種のノーズ(Bug)を有し、これにより、摩擦部材201の運転中、流体、特にオイルの押しのけは、簡単化または改善される。摩擦フェーシング片211,212および214ないし219により、低い溝の割合、例えば約36パーセントの溝の割合を簡単に実現可能である。
【0137】
摩擦フェーシング片211,212および214ないし219内にさらなる溝を実現する付加的な型打ち加工またはフライス加工は、有利には不要である。摩擦フェーシング片211,212および214ないし219の形状により、例えば打ち抜き加工による製造時に発生するフェーシング廃棄物を少なく保つことができる。
【0138】
図12には、支持要素223を備える摩擦部材221を四分割して示してある。支持要素223は、例えば鋼材からなる円環ディスク224として構成されている。円環ディスク224は、半径方向内側または半径方向外側で、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0139】
円中心225から半径方向の線226,227,228,229が延びており、これらの線226,227,228,229は、略して半径線とも呼ばれる。円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素223上には、摩擦フェーシング片231ないし240が取り付けられている。摩擦フェーシング片231ないし240は、摩擦フェーシング片231ないし240間に、支持要素223まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0140】
摩擦部材221は、菱形の摩擦フェーシング片231,232および236,237を備え、摩擦フェーシング片231,232および236,237は、2つの周方向列内に、摩擦面をなすために互いに間隔を置いて配置されている。実質的に三角形または一部が欠けた菱形の摩擦フェーシング片233ないし235は、半径方向内側で1つの周方向列内に配置されている。
【0141】
半径方向内側の周方向列の摩擦フェーシング片233ないし235は、半径方向内側で円弧形の画定線により画定される。摩擦フェーシング片238ないし240は、半径方向外側で1つの周方向列内に配置されており、半径方向外側で円弧形の画定線により画定される。
【0142】
菱形の摩擦フェーシング片231,232の半径方向内側の先端は、それぞれ、2つの摩擦フェーシング片233,234間および234,235間に配置されている。菱形の摩擦フェーシング片231,232の半径方向外側の先端は、摩擦フェーシング片238,239の半径方向内側の先端と向かい合っている。菱形の摩擦フェーシング片236は、菱形の摩擦フェーシング片231,232と、三角形または一部が欠けた菱形の摩擦フェーシング片238,239との間の中央に配置されている。
【0143】
摩擦フェーシング片231ないし240の形状および配置により、有利には、摩擦面の全周にわたって同一の溝パターンが生じる。溝付けは、好ましくは支持要素223まで延在している。このことは、好ましくは支持金属薄板として構成される支持要素223の熱容量が利用可能であるという利点を提供する。
【0144】
溝幅は、特にノズルデザインを実現すべく、変化させることができる。周方向で各摩擦フェーシング片231ないし240は、有利にはノーズを有し、ノーズは、流体、特にオイルを、摩擦部材221の運転中、良好に押しのけることができる。
【0145】
摩擦フェーシング片231ないし240間の適当な間隔により、低い溝の割合、例えば40パーセント未満の溝の割合が実現可能である。摩擦フェーシング片231ないし240の付加的な型打ち加工またはフライス加工は、有利には不要である。
【0146】
摩擦フェーシング片231ないし240の形状により、例えば打ち抜き加工による摩擦フェーシング片231ないし240の製造時に、生じるフェーシング廃棄物を少なく保つことができる。細かい溝網により、良好な冷却作用が達成可能である。
【0147】
図13および14には、支持要素243を備える摩擦部材241を四分割して示してある。支持要素243は、例えば鋼材からなる円環ディスク244として構成されている。円環ディスク244は、半径方向内側または半径方向外側で、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0148】
円中心245から半径方向の線246,247が延びており、これらの線246,247は、略して半径線とも呼ばれる。円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素243上には、摩擦フェーシング片251ないし256が取り付けられている。摩擦フェーシング片251ないし256は、摩擦フェーシング片251ないし256間に、支持要素243まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。これとは異なり、概ね周方向に向けられた溝が、型打ち加工されて実現されてもよい。
【0149】
摩擦フェーシング片251ないし256は、3つずつのグループに分けられて半径方向に向けられている。第1の3つずつのグループ251ないし253は、半径線246に沿って向けられている。第2の3つずつのグループ254ないし256は、半径線247に沿って向けられている。摩擦フェーシング片251,252は、平行四辺形の形状を呈する。
【0150】
摩擦フェーシング片253,254は、一部が欠けた平行四辺形の形状を呈し、半径方向内側で円弧形の画定線により画定される。摩擦フェーシング片255,256は、同じく一部が欠けた平行四辺形の形状を呈し、半径方向外側で円弧形の画定線により画定される。
【0151】
図14では、繰り返される構成単位をなす摩擦フェーシング片251ないし256が、有利には打ち抜き加工廃棄物なしに打ち抜き加工によって製造できることが分かる。摩擦フェーシング片251ないし256の形状および配置により、摩擦面の全周にわたって同一の溝パターンが簡単に形成される。
【0152】
溝付けは、有利には支持要素243まで実施され、支持要素243は、有利には支持金属薄板として構成されている。このことは、支持金属薄板の熱容量が利用可能であるという利点を提供する。
【0153】
摩擦フェーシング片251ないし256の配置および形状により、低い溝の割合、例えば40パーセント未満の溝の割合が実現可能である。さらに支持要素表面全体がエネルギ伝達のために利用可能である。摩擦部材241は、有利には、一定の半径上にある周方向溝を有しない。
【0154】
3つずつのグループに配置された摩擦フェーシング片の2つの摩擦フェーシング片間には、半径方向に延びる溝257,258,259が1つずつ生じる。半径方向に延びる溝257ないし259は、他方、斜めに延びる溝を介して互いに連通している。その際、3つずつのグループ間の、半径方向に延びる溝257は、斜めに延びる溝のそれぞれ1つの対称軸線をなしている。
図15ないし18は、円環ディスク状の摩擦面をなすために、溝によって互いに間隔を置いた複数の摩擦フェーシング片を備え、個々のまたはすべての摩擦フェーシング片が、六角形または一部が欠けた六角形(Sechseckabschnitt)の形状を呈する、摩擦結合を利用して機能する装置用の摩擦部材に関する。
【0155】
摩擦部材の好ましい一実施例は、摩擦部材がその全周にわたって同一の溝パターンを呈することを特徴とする。これにより、摩擦部材の運転中、溝の一様な通流が簡単に保証される。
【0156】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、溝が周方向で一様に分配されていることを特徴とする。これにより、摩擦部材の製造が簡単化される。さらに、摩擦部材の機能性が改善される。
【0157】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、六角形の摩擦フェーシング片が平行な列内に配置されていることを特徴とする。このように配置したことで、完全な六角形および一部が欠けた六角形の形状を呈する複数の摩擦フェーシング片を有する摩擦面が生じる。摩擦フェーシング片は、摩擦フェーシングパッドとも呼ばれる。摩擦フェーシングパッドは、略して簡単にパッドとも呼ばれる。
【0158】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、平行な列が互いに一様に間隔を置いていることを特徴とする。個々の摩擦フェーシング片間の間隔は、好ましくは、同じく一定である。摩擦フェーシング片は、摩擦フェーシングパッドとも呼ばれる。摩擦フェーシングパッドは、略して簡単にパッドとも呼ばれる。
【0159】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、平行な列内にそれぞれ少なくとも2つの完全な六角形が配置されていることを特徴とする。これにより、流体、特にオイルのための多くの変向部が簡単に実現可能である。このことは、ディスクセット内の滞留継続時間をより長くする。これにより、冷却性能が改善される。
【0160】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、平行な列内に最大で20個の完全な六角形が配置されていることを特徴とする。この値は、本発明の範囲内で実施された実験において有利であることが判明した。
【0161】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、摩擦面が半径方向で少なくとも完全な六角形を呈することを特徴とする。このことは、本発明の範囲内で実施された試験において有利であることが判明した。
【0162】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、六角形の摩擦フェーシング片が、半径方向に延びる列内に配置されていることを特徴とする。このことは、摩擦フェーシング片の製造性に関して有利であることが判明した。
【0163】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、半径方向に延びる列が周方向で互いに一様に間隔を置いていることを特徴とする。これにより、摩擦部材の機能性がさらに改善される。
【0164】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、半径方向に延びる列内にそれぞれ少なくとも2つの完全な六角形が配置されていることを特徴とする。このことは、本発明の範囲内で実施された試験において有利であることが判明した。半径方向に延びる列内に少なくとも2つの完全な六角形を配置することは、冷却作用に関して有利である。それというのも、両完全な六角形は、冷却流体の多数の変向を保証するからである。
【0165】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、複数の六角形または一部が欠けた六角形の摩擦フェーシング片が、周方向で繰り返される構成単位をなして配置されていることを特徴とする。その際、有利には5つより多くの六角形の摩擦フェーシング片が、繰り返される構成単位をなして配置されている。特に好ましい一実施例では、ちょうど7つの六角形または一部が欠けた六角形の摩擦フェーシング片が、周方向で繰り返される構成単位をなして配置されている。摩擦部材の別の好ましい一実施例は、複数ある六角形の摩擦フェーシング片が実質的に同じ大きさであることを特徴とする。これにより、摩擦部材、特に摩擦フェーシング片の製造がさらに簡単化される。
【0166】
図15および16には、支持要素263;283を備える摩擦部材261;281を四分割して示してある。支持要素263;283は、例えば鋼材からなる円環ディスク264;284として構成されている。円環ディスク264;284は、半径方向内側または半径方向外側で、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0167】
円中心265;285から鉛直の線266;286が延びており、この線266;286は、y軸とも呼ばれる。さらに円中心265;285から水平の線267;287が延びており、この線267;287は、x軸と呼ばれてもよい。鉛直の線266;286および水平の線267;287は、略して鉛直線および水平線とも呼ばれる。
【0168】
円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素263;283上には、摩擦フェーシング片271,272;291,292が取り付けられている。摩擦フェーシング片271,272;291,292は、摩擦フェーシング片271,272;291,292間に、支持要素263;283まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0169】
六角形および一部が欠けた六角形の摩擦フェーシング片271ないし276は、特に伝統的なワッフル模様に対して、摩擦面の溝付けが鋭角を有しないという利点を提供する。六角形形状により、摩擦面の溝付け内のすべての角は、120度を有する。これにより特に安定かつ頑強な溝付けが得られる。溝付けは、好ましくは支持要素263まで達し、支持要素263は、好ましくは支持金属薄板として構成されている。このことは、支持金属薄板の熱容量が利用可能であるという利点を提供する。
【0170】
図15に示した配置は、低い溝の割合、特に30パーセント以下の溝の割合を簡単に可能にする。このことは、摩擦フェーシング片271ないし276の型打ち加工またはフライス加工が省略可能であるという利点を提供する。摩擦フェーシング片の六角形の形状により、流体、特にオイルのための多くの変向部が簡単に実現可能である。このことから、ディスクセット内の比較的長い滞留継続時間が得られる。このことは、ディスクセットの冷却にポジティブに作用する。
【0171】
摩擦フェーシング片は、摩擦フェーシングパッドとも呼ばれる。摩擦フェーシングパッドは、略して簡単にパッドとも呼ばれる。摩擦フェーシング片271ないし273は、線268に沿って配置されている。摩擦フェーシング片274ないし276は、線269に沿って配置されている。
【0172】
図16では、六角形および一部が欠けた六角形の摩擦フェーシング片291ないし294が線288に沿って配置されている。六角形および一部が欠けた六角形の摩擦フェーシング片295ないし298は、線289に沿って配置されている。
【0173】
図16に示した配置により、伝統的なワッフル模様に対する利点が生じる。摩擦フェーシング片291ないし298の六角形の形状は、特に、摩擦面の溝付けが鋭角を有しないという利点を提供する。六角形形状は、すべての角が120度を有する構成を可能にする。これにより、摩擦面の安定かつ頑強な溝付けが生じる。
【0174】
さらに溝付けは、好ましくは支持要素283まで実施され、支持要素283は、好ましくは支持金属薄板として構成されている。このことは、支持金属薄板の熱容量が利用可能であるという利点を提供する。さらに、
図16に示した配置により、特に40パーセント以下の低い溝の割合が達成可能である。これにより、摩擦フェーシング片291ないし298の付加的な型打ち加工またはフライス加工が省略可能になる。
【0175】
摩擦フェーシング片291ないし298の六角形の形状により、流体、特にオイルのための多くの変向部が生じる。このことから、ディスクセット内の比較的長い滞留継続時間が得られる。このことは、クラッチの冷却にポジティブに作用する。
【0176】
図16に示した摩擦部材281は、
図15に示した摩擦部材261と比較して、溝網がより細かいという利点を有する。このことから、より良好な冷却作用が生じる。さらに、比較的小さい摩擦フェーシング片291ないし298は、より低い浮動傾向(Aufschwimmneigung)を示す。
【0177】
図17および18には、支持要素303を備える摩擦部材301を四分割して示してある。支持要素303は、例えば鋼材からなる円環ディスク304として構成されている。円環ディスク304は、半径方向内側または半径方向外側に、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0178】
円中心305から半径方向の線306,307が延びており、これらの線306,307は、略して半径線とも呼ばれる。円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素303上には、摩擦フェーシング片311ないし317が取り付けられている。摩擦フェーシング片311ないし317は、摩擦フェーシング片311ないし317間に、支持要素303まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0179】
図17では、六角形および一部が欠けた六角形の摩擦フェーシング片311ないし317が半径方向に整列されている。摩擦フェーシング片311ないし313は、半径線306上に配置されている。摩擦フェーシング片314ないし317は、半径線307上に配置されている。その際、摩擦フェーシング片311ないし317は、周方向で繰り返される構成単位319をなして配置されている。
【0180】
繰り返される構成単位319での配置は、摩擦フェーシング片311ないし317の製造時、小さな残片が生じないという利点を提供する。
図17に示した溝模様は、有利には回転対称である。これは、六角形が半径とともに成長することにつながる。
【0181】
図18には、それぞれ7つの摩擦フェーシング片311ないし317および311aないし317aを有する、繰り返される2つの構成単位319,320を例に、上述の摩擦フェーシング片が略廃棄物なしに打ち抜き加工可能であることを示している。これにより、摩擦フェーシング片および摩擦部材301の製造がかなり簡単化される。
【0182】
図19および20は、円環ディスク状の摩擦面をなすために、溝によって互いに間隔を置いた複数の摩擦フェーシング片を備え、個々のまたはすべての摩擦フェーシング片が、十字または一部が欠けた十字(Kreuzabschnitt)の形状を呈する、摩擦結合を利用して機能する装置用の摩擦部材に関する。
【0183】
摩擦部材の好ましい一実施例は、摩擦部材がその全周にわたって同一の溝パターンを呈することを特徴とする。これにより、摩擦部材の運転中、溝の一様な通流が簡単に保証される。
【0184】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、溝が周方向で一様に分配されていることを特徴とする。これにより、摩擦部材の製造が簡単化される。さらに、摩擦部材の機能性が改善される。
【0185】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、十字形または一部が欠けた十字形の摩擦フェーシング片が平行な列内に配置されていることを特徴とする。これにより、流体、特にオイルのための著しく頻繁な変向が簡単に実現可能である。このことは、比較的低い通流速度につながり、これにより冷却が最適化される。
【0186】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、平行な列が互いに一様に間隔を置いていることを特徴とする。このことから、一様な溝パターンが生じる。十字形または一部が欠けた十字形の摩擦フェーシング片は、有利には互いに一様に間隔を置いている。
【0187】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、平行な列内にそれぞれ少なくとも1つの完全な十字が配置されていることを特徴とする。これにより、摩擦部材の機能性がさらに改善される。
【0188】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、平行な列内にそれぞれ最大で10個の完全な十字が配置されていることを特徴とする。この数は、本発明の範囲内で実施された試験において有利であることが判明した。摩擦部材の別の好ましい一実施例は、摩擦面が半径方向に少なくとも1つの完全な十字を有することを特徴とする。これにより、摩擦部材の機能性がさらに改善される。
【0189】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、十字形または一部が欠けた十字形の摩擦フェーシング片が半径方向に延びる列内に配置されていることを特徴とする。これにより、摩擦フェーシング片の製造が簡単化される。
【0190】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、十字形の摩擦フェーシング片が、強く丸み付けられた稜を有することを特徴とする。このことは、製造を簡単化し、1つのパッドまたはすべてのパッドの個々の角が剥離する危険を減じる。
【0191】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、半径方向に延びる列が周方向で互いに一様に間隔を置いていることを特徴とする。このことから、摩擦面の全周にわたって同一の溝パターンが生じる。
【0192】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、半径方向に延びる列内にそれぞれ少なくとも1つの完全な十字が配置されていることを特徴とする。これにより、冷却作用がさらに改善される。
【0193】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、複数の十字形または一部が欠けた十字形の摩擦フェーシング片が、周方向で繰り返される構成単位をなして配置されていることを特徴とする。このことは、摩擦フェーシング片が略フェーシング廃棄物なしに製造可能、特に打ち抜き加工可能であるという利点を提供する。繰り返される構成単位内では、好ましくは5つより多く、例えば6つの十字形または一部が欠けた十字形の摩擦フェーシング片が配置されている。
【0194】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、複数ある十字形の摩擦フェーシング片が実質的に同じ大きさであることを特徴とする。これにより、摩擦フェーシング片の製造は、さらに簡単化される。
図19には、支持要素323を備える摩擦部材321を四分割して示してある。支持要素323は、例えば鋼材からなる円環ディスク324として構成されている。円環ディスク324は、半径方向内側または半径方向外側で、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0195】
円中心325から鉛直の線326が延びており、この線326は、y軸とも呼ばれる。さらに円中心325から水平の線327が延びており、この線327は、x軸と呼ばれてもよい。鉛直の線326および水平の線327は、略して鉛直線および水平線とも呼ばれる。
【0196】
円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素323上には、摩擦フェーシング片331ないし335が取り付けられている。摩擦フェーシング片331ないし335は、摩擦フェーシング片331ないし335間に、支持要素323まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0197】
図19では、十字形または一部が欠けた十字形の摩擦フェーシング片331ないし335が、線328および329上に配置されている。線328および329は、鉛直線326に対して平行に延び、互いに一様に間隔を置いており、その結果、摩擦面全体にわたって一定の溝幅を有する一様な溝付けが生じる。摩擦フェーシング片331および332は、線328上に配置されている。摩擦フェーシング片333および334は、線329上に配置されている。詳細に符号を付して示すことはしない摩擦フェーシング片は、水平線327に対して平行に延びる線330上に配置されている。
【0198】
溝付けは、好ましくは支持要素323まで実施され、支持要素323は、有利には支持金属薄板として構成されている。支持金属薄板までの溝付けにより、金属薄板ブランクの熱容量の利用が可能となる。
【0199】
さらに、
図19に示した配置により、低い溝の割合、例えば40パーセント以下の溝の割合の実現が可能となる。このことは、摩擦フェーシング片331ないし335の型打ち加工またはフライス加工が省略可能であるという利点を提供する。摩擦フェーシング片の十字形の形状により、著しく頻繁なオイル変向が簡単に達成可能である。これにより、流体、特にオイルの通流速度が低下する。これにより、冷却作用が改善される。
【0200】
十字形または一部が欠けた十字形の摩擦フェーシング片331ないし335は、平行な配置により、略フェーシング廃棄物なしに製造可能、特に打ち抜き加工可能である。
【0201】
図20には、支持要素343を備える摩擦部材341を四分割して示してある。支持要素343は、例えば鋼材からなる円環ディスク344として構成されている。円環ディスク344は、半径方向内側または半径方向外側で、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0202】
円中心345から半径方向の線346,347が延びており、これらの線346,347は、略して半径線とも呼ばれる。円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素343上には、摩擦フェーシング片351ないし356が取り付けられている。摩擦フェーシング片351ないし356は、摩擦フェーシング片351ないし356間に、支持要素343まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0203】
図20では、十字形または一部が欠けた十字形の摩擦フェーシング片351ないし356が半径方向に整列されている。摩擦フェーシング片351ないし353は、半径線346上に配置されている。摩擦フェーシング片354ないし356は、半径線347上に配置されている。その際、摩擦フェーシング片351ないし356は、互いに一様に間隔を置いており、その結果、摩擦面全体にわたって一定の溝幅を有する一様な溝付けが生じる。
【0204】
摩擦フェーシング片351ないし356は、繰り返される構成単位358をなして配置されている。このことは、特に伝統的なワッフル模様に対して有利である。十字形または一部が欠けた十字形の摩擦フェーシング片351ないし356により、摩擦面の全周にわたって同一の溝パターンを簡単に形成することができる。溝付けは、好ましくは支持要素343まで実施され、支持要素343は、有利には支持金属薄板として構成されている。支持金属薄板までの溝付けにより、金属薄板ブランクの熱容量の利用が可能となる。
【0205】
さらに、
図20に示した配置により、低い溝の割合、例えば40パーセント以下の溝の割合の実現が可能となる。このことは、摩擦フェーシング片351ないし356の型打ち加工またはフライス加工が省略可能であるという利点を提供する。摩擦フェーシング片の十字形の形状により、著しく頻繁なオイル変向が簡単に達成可能である。これにより、流体、特にオイルの通流速度が低下する。これにより、冷却作用が改善される。
【0206】
十字形または一部が欠けた十字形の摩擦フェーシング片351ないし356は、半径方向の方向付けと、繰り返される構成単位358での配置とにより、略フェーシング廃棄物なしに製造可能、特に打ち抜き加工可能である。
【0207】
図21ないし28は、円環ディスク状の摩擦面をなすために、溝によって互いに間隔を置いた複数の摩擦フェーシング片を備え、個々のまたはすべての摩擦フェーシング片が、円および/または一部が欠けた円の形状を呈する、摩擦結合を利用して機能する装置用の摩擦部材に関する。
【0208】
摩擦部材の好ましい一実施例は、摩擦部材がその全周にわたって同一の溝パターンを呈することを特徴とする。これにより、摩擦部材の運転中、溝の一様な通流が簡単に保証される。
【0209】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、溝が周方向で一様に分配されていることを特徴とする。これにより、摩擦部材の製造が簡単化される。さらに、摩擦部材の機能性が改善される。
【0210】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、円形および/または一部が欠けた円形の摩擦フェーシング片が平行な列内に配置されていることを特徴とする。このように配置したことで、多くの変向を有する一様な溝パターンが簡単に形成される。摩擦部材の別の好ましい一実施例は、平行な列が互いに一様に間隔を置いていることを特徴とする。これにより、摩擦部材の機能性は、さらに改善される。
【0211】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、平行な列内にそれぞれ少なくとも2つの完全な円が配置されていることを特徴とする。この数は、本発明の範囲内で実施された試験において有利であることが判明した。
【0212】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、平行な列内にそれぞれ最大で4つの完全な円が配置されていることを特徴とする。この数も、本発明の範囲内で実施された試験において有利であることが判明した。
【0213】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、摩擦面が半径方向に少なくとも2つの完全な円を有することを特徴とする。これにより、十分な冷却作用が簡単に保証される。
【0214】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、円形および/または一部が欠けた円形の摩擦フェーシング片が、半径方向に延びる列内に配置されていることを特徴とする。これにより、摩擦部材の製造性に関して利点が生じる。
【0215】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、半径方向に延びる列が周方向で互いに一様に間隔を置いていることを特徴とする。これにより、周方向で一様なまたは同一の溝パターンを簡単に実現可能となる。
【0216】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、半径方向に延びる列内にそれぞれ少なくとも2つの完全な円が配置されていることを特徴とする。この数は、本発明の範囲内で実施された試験において有利であることが判明した。摩擦部材の別の好ましい一実施例は、複数の円形および/または一部が欠けた円形の摩擦フェーシング片が、周方向で繰り返される構成単位をなして配置されていることを特徴とする。これにより、摩擦部材の製造がかなり簡単化される。
【0217】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、複数ある円形および/または一部が欠けた円形の摩擦フェーシング片が実質的に同じ大きさであることを特徴とする。このことは、摩擦部材の溝パターン、製造性および機能性にポジティブに作用する。
【0218】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、円形および/または一部が欠けた円形の摩擦フェーシング片が曲線に沿って配置されていることを特徴とする。この配置も、意想外なことに、本発明の範囲内で実施された試験において有利であることが判明した。
【0219】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、曲線が楕円弧の形状を呈することを特徴とする。複数ある楕円弧の形状は、好ましくは、同一の楕円に関する。その際、楕円弧は、好ましくは楕円の主軸に割り当てられている。
【0220】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、曲線が互いに平行に延びることを特徴とする。これにより溝パターンは、簡単に一様に構成される。
【0221】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、曲線が互いに一様に間隔を置いていることを特徴とする。これにより、周方向での同一の溝パターンを簡単に実現可能となる。
【0222】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、少なくとも4つの完全な円が、1つの曲線に沿って配置されていることを特徴とする。この数は、本発明の範囲内で実施された試験において有利であることが判明した。摩擦部材の別の好ましい一実施例は、最大で4つの完全な円が、1つの曲線に沿って配置されていることを特徴とする。この数も、本発明の範囲内で実施された試験において有利であることが判明した。
【0223】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、摩擦部材が、少なくとも1つの周方向列内に配置される複数の円形および/または一部が欠けた円形の摩擦フェーシング片を有することを特徴とする。周方向列とは、複数の円形および/または一部が欠けた円形の摩擦フェーシング片が1つの周方向線または1つの部分円上に配置されてなす列のことをいう。部分円の直径は、摩擦面の内側直径より大きく、外側直径より小さい。
【0224】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、少なくとも1つの周方向列内でそれぞれ1つの円形の摩擦フェーシング片が、半径方向でインナエンドピースとアウタエンドピースとの間に配置されていることを特徴とする。これにより、摩擦部材の摩擦面内での半径方向の溝を簡単に実現可能となる。インナエンドピースと円形の摩擦フェーシング片との間には、有利には円弧形の溝が形成されてもよい。このような円弧形の溝は、同じくアウタエンドピースと円形の摩擦フェーシング片との間に形成されてもよい。
【0225】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、インナエンドピースおよびアウタエンドピースが、それぞれ1つの円弧形の窪みを有し、窪みが、円形の摩擦フェーシング片と向かい合っていることを特徴とする。これにより、エンドピースと円形の摩擦フェーシング片との間での円弧形の溝の実現が簡単化される。
【0226】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、インナエンドピース/アウタエンドピースが半径方向内側/外側に円弧形の画定線を有することを特徴とする。これにより、円環ディスク形の摩擦面を簡単に実現可能となる。
【0227】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、インナエンドピース、円形の摩擦フェーシング片およびアウタエンドピースが、周方向で繰り返される構成単位をなすことを特徴とする。これにより、摩擦部材の製造がかなり簡単化される。
【0228】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、円形の摩擦フェーシング片とエンドピースとの間にそれぞれ1つの円弧形の溝が形成されていることを特徴とする。円弧形の溝は、それぞれ2つの半径方向の溝を互いに接続する。
【0229】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、繰り返される2つの構成単位間にそれぞれ1つの一貫した半径方向の溝が配置されていることを特徴とする。各半径方向の溝から、有利にはそれぞれ2つの円弧形の溝、特に4つの円弧形の溝が延びている。
【0230】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、少なくとも1つの周方向列内でそれぞれ1つの円形の摩擦フェーシング片が2つのインナエンドピースと2つのアウタエンドピースとの中央に配置されていることを特徴とする。これにより、流体、特に冷却オイルの、溝付けによる強制的な変向が簡単に可能となる。
【0231】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、インナエンドピースおよびアウタエンドピースがそれぞれ1つの円弧形の窪みを有し、窪みが円形の摩擦フェーシング片と向かい合っていることを特徴とする。インナエンドピースおよびアウタエンドピースは、円形の摩擦フェーシング片から有利には一様に間隔を置いている。
【0232】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、インナエンドピース/アウタエンドピースが半径方向内側/外側に円弧形の画定線を有することを特徴とする。これにより円環ディスク状の摩擦面の実現が簡単化される。
【0233】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、両インナエンドピース、円形の摩擦フェーシング片および両アウタエンドピースが、周方向で繰り返される構成単位をなすことを特徴とする。これにより、摩擦部材の製造がかなり簡単化される。
【0234】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、繰り返される2つの構成単位間にそれぞれ1つの円形の摩擦フェーシング片が配置されていることを特徴とする。これにより、周方向での同一の溝パターンを簡単に実現可能となる。
【0235】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、1つのまたは上述の、周方向で繰り返される構成単位が、すべてまたは一部、4つの円形の摩擦フェーシング片、2つのインナエンドピース、2つのアウタエンドピースおよび1つのセンタピースを有することを特徴とする。両インナエンドピースおよび両アウタエンドピースは、好ましくは、上述したのと同様の形式または上述したのと類似の形式で構成されている。
【0236】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、センタピースが4つの円弧形の窪みを有し、窪みが4つの円形の摩擦フェーシング片と向かい合っていることを特徴とする。4つの円弧形の窪みを有するセンタピースは、実質的に十字の形状を呈する。
【0237】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、1つのまたは上述の、周方向で繰り返される構成単位が、すべてまたは一部、3つの円形の摩擦フェーシング片、1つのインナエンドピースおよび2つのセンタピースを有することを特徴とする。インナエンドピースは、好ましくは、上述したのと同様の形式または上述したのと類似の形式で構成されている。アウタエンドピースは、省略可能である。
【0238】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、センタピースがそれぞれ4つの円弧形の窪みを有し、窪みが円形の摩擦フェーシング片と向かい合っていることを特徴とする。円弧形の窪みを有するセンタピースは、実質的に十字の形状を呈する。
【0239】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、1つのまたは上述の、周方向で繰り返される構成単位が、すべてまたは一部、4つの円形の摩擦フェーシング片および3つのセンタピースを有することを特徴とする。繰り返される構成単位は、特にインナエンドピースおよびアウタエンドピースを有しない。
【0240】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、センタピースがそれぞれ4つの円弧形の窪みを有し、窪みが円形の摩擦フェーシング片と向かい合っていることを特徴とする。円弧形の窪みを有するセンタピースは、実質的に十字の形状を呈する。
【0241】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、複数あるインナエンドピースが同じに構成されていることを特徴とする。これにより、摩擦部材の製造がさらに簡単化される。
【0242】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、複数あるアウタエンドピースが同じに構成されていることを特徴とする。これにより、摩擦部材の製造がさらに簡単化される。
【0243】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、複数あるセンタピースが同じに構成されていることを特徴とする。これにより、摩擦部材の製造がさらに簡単化される。
【0244】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、複数ある円形の摩擦フェーシング片が同じに構成されていることを特徴とする。これにより、摩擦部材の製造がさらに簡単化される。
【0245】
図21には、支持要素363を備える摩擦部材361を四分割して示してある。支持要素363は、例えば鋼材からなる円環ディスク364として構成されている。円環ディスク364は、半径方向内側または半径方向外側で、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0246】
円中心365から鉛直の線366が延びており、この線366は、y軸とも呼ばれる。さらに円中心365から水平の線367が延びており、この線367は、x軸と呼ばれてもよい。鉛直の線366および水平の線367は、略して鉛直線および水平線とも呼ばれる。
【0247】
円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素363上には、摩擦フェーシング片371,372が取り付けられている。摩擦フェーシング片371,372は、摩擦フェーシング片371,372間に、支持要素363まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0248】
円形および一部が欠けた円形の摩擦フェーシング片371ないし379は、互いに平行に整列されている。摩擦フェーシング片371ないし375は、線368に沿って配置されている。摩擦フェーシング片376ないし379は、線369に沿って配置されている。その際、摩擦フェーシング片371ないし379は、互いに一様に間隔を置いている。
【0249】
図21に示した配置は、伝統的なワッフル模様に対して利点を提供する。1つの利点は、
図21に示した溝付けが鋭角を有さず、したがって頑強であることである。溝付けは、好ましくは支持要素363まで延在する。支持要素363は、有利には支持金属薄板として構成されている。支持金属薄板までの溝付けは、金属薄板の熱容量が利用可能であるという利点を提供する。
図21に示した配置により、絶え間ないまたは頻繁な溝横断面変化が簡単に形成される。このことは、どちらかといえば流体の乱流を生じさせる。これにより、より良好な冷却作用が達成される。
【0250】
周方向で各摩擦フェーシング片371ないし379は、流体、特にオイルを押しのけることができるノーズを有する。
図21に示した配置により、低い溝の割合、例えば約42パーセントの溝の割合を簡単に実現可能である。摩擦フェーシング片371ないし379の型打ち加工および/またはフライス加工は、有利には省略可能である。
【0251】
図22には、支持要素383を備える摩擦部材381を四分割して示してある。支持要素383は、例えば鋼材からなる円環ディスク384として構成されている。円環ディスク384は、半径方向内側または半径方向外側で、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。円中心385から半径方向の線386,387が延びており、これらの線386,387は、略して半径線とも呼ばれる。円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素383上には、摩擦フェーシング片391ないし397が取り付けられている。摩擦フェーシング片391ないし397は、摩擦フェーシング片391ないし397間に、支持要素383まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0252】
図22では、円形および一部が欠けた円形の摩擦フェーシング片391ないし397が半径方向に整列されている。半径方向に整列された摩擦フェーシング片391ないし394は、半径線386上に配置されている。摩擦フェーシング片395ないし397は、半径線387上に配置されている。
【0253】
摩擦フェーシング片391ないし397は、周方向で繰り返される構成単位398をなして配置されている。このことから、伝統的なワッフル模様に対する利点が生じる。
【0254】
摩擦フェーシング片391ないし397の半径方向の方向付けは、回転対称のデザインを提供する。さらに、図示の溝付けは、鋭角を有しない。したがって、摩擦フェーシング片391ないし397による溝付けは、安定かつ頑強である。
【0255】
溝付けは、
図22でも支持要素383まで延在し、支持要素383は、有利には支持金属薄板として構成されている。このことは、金属薄板の熱容量が利用可能となるという利点を提供する。
【0256】
図22に示した配置により、多数の溝横断面変化が生じる。このことは、摩擦部材381の運転中、どちらかといえば乱流の形成に至らしめる。これにより多板クラッチの冷却が改善される。
【0257】
周方向で、パッドとも呼ばれる各摩擦フェーシング片391ないし397は、流体、特にオイルを押しのけることができるノーズを有する。
図22に示した溝付けによっても、低い溝の割合、例えば42パーセントの溝の割合を簡単に実現可能である。摩擦フェーシング片391ないし397の型打ち加工またはフライス加工は、有利には省略可能である。
【0258】
図23には、支持要素403を備える摩擦部材401を四分割して示してある。支持要素403は、例えば鋼材からなる円環ディスク404として構成されている。円環ディスク404は、半径方向内側または半径方向外側に、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0259】
円中心405から鉛直の線406が延びており、この線406は、y軸とも呼ばれる。さらに円中心405から水平の線407が延びており、この線407は、x軸と呼ばれてもよい。鉛直の線406および水平の線407は、略して鉛直線および水平線とも呼ばれる。
【0260】
円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素403上には、摩擦フェーシング片411,412が取り付けられている。摩擦フェーシング片411,412は、摩擦フェーシング片411,412間に、支持要素403まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0261】
図23では、円形および一部が欠けた円形の摩擦フェーシング片が、曲線408,409に沿って配置されている。曲線408,409は、楕円弧の形状を呈する。その際、曲線408,409は、互いに一様に間隔を置いている。
【0262】
周方向で繰り返される構成単位410内では、6つの円形および一部が欠けた円形の摩擦フェーシング片411ないし416が配置されている。
【0263】
図23に示した溝付けは、半径方向の通流のための直接的ではない経路を提供する。これにより、摩擦面の領域における流体、特にオイルのより長い滞留継続時間が達成可能である。これにより、ディスクセットの冷却を改善可能である。
【0264】
図24には、支持要素423を備える摩擦部材421を四分割して示してある。支持要素423は、例えば鋼材からなる円環ディスク424として構成されている。円環ディスク424は、半径方向内側または半径方向外側で、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0265】
円中心425から半径方向の線426,427が延びており、これらの線426,427は、略して半径線とも呼ばれる。円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素423上には、摩擦フェーシング片431,432が取り付けられている。摩擦フェーシング片431,432は、摩擦フェーシング片431,432間に、支持要素423まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0266】
図24では、円形の摩擦フェーシング片431,432がインナエンドピース433,434およびアウタエンドピース435,436と組み合わされている。周方向で繰り返される構成単位438,439内では、それぞれ1つの円形の摩擦フェーシング片431;432が、まさに1つのインナエンドピース433;434および1つのアウタエンドピース435;436と組み合わされている。
【0267】
繰り返される構成単位438は、半径線426に沿って配置されている。周方向で繰り返される構成単位439は、半径線427に沿って配置されている。
【0268】
2つの構成単位438,439間には、それぞれ1つの半径方向の溝440が形成されている。半径方向の溝440から計4つの円弧形の溝が延びており、円弧形の溝は、円形の摩擦フェーシング片431,432とエンドピース433ないし436との間に形成されている。
【0269】
図25には、支持要素443を備える摩擦部材441を四分割して示してある。支持要素443は、例えば鋼材からなる円環ディスク444として構成されている。円環ディスク444は、半径方向内側または半径方向外側で、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0270】
円中心445から半径方向の線446,447,448,449,450が延びており、これらの線446,447,448,449,450は、略して半径線とも呼ばれる。円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素443上には、摩擦フェーシング片451,452が取り付けられている。摩擦フェーシング片451,452は、摩擦フェーシング片451,452間に、支持要素443まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0271】
図25では、円形の摩擦フェーシング片451,452がインナエンドピース453,454,455およびアウタエンドピース456,457,458と組み合わされている。
【0272】
半径線446ないし450は、互いに一様に間隔を置いている。円形の摩擦フェーシング片451は、半径線446上に配置されている。円形の摩擦フェーシング片452は、半径線448上に配置されている。
【0273】
インナエンドピース453およびアウタエンドピース457は、半径線447上に配置されている。インナエンドピース454およびアウタエンドピース458は、半径線449上に配置されている。
【0274】
インナエンドピース453,454およびアウタエンドピース457,458は、円弧形の窪みを有し、窪みは、円形の摩擦フェーシング片451,452と向かい合っている。
【0275】
図26には、支持要素463を備える摩擦部材461を四分割して示してある。支持要素463は、例えば鋼材からなる円環ディスク464として構成されている。円環ディスク464は、半径方向内側または半径方向外側で、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0276】
円中心465から半径方向の線466,467,468が延びており、これらの線466,467,468は、略して半径線とも呼ばれる。円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素463上には、摩擦フェーシング片471ないし474が取り付けられている。摩擦フェーシング片471ないし474は、摩擦フェーシング片471ないし474間に、支持要素463まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0277】
図26では、それぞれ2つの円形の摩擦フェーシング片が、半径線466,468上に配置されている。半径線467上には、1つのインナエンドピース、1つのセンタピースおよび1つのアウタエンドピースが配置されている。
【0278】
周方向で繰り返される構成単位470内では、4つの円形または一部が欠けた円形の摩擦フェーシング片471ないし474が、2つのインナエンドピース475,476、2つのアウタエンドピース477,478および2つのセンタピース479,480と組み合わされている。センタピース479,480は、それぞれ、実質的に、摩擦フェーシング片471ないし474と向かい合っている4つの円弧形の窪みを有する十字の形状を呈する。
【0279】
インナエンドピース475,476は、それぞれ2つの円弧形の窪みを有し、窪みは、摩擦フェーシング片471,474と向かい合っている。アウタエンドピース477,478は、同じくそれぞれ2つの円弧形の窪みを有し、窪みは、摩擦フェーシング片472,473と向かい合っている。
【0280】
図26に示した溝付けは、回転対称である。繰り返される構成単位470での、摩擦フェーシング片471ないし474ならびにアウタエンドピース475ないし478およびセンタピース479,480の配置は、例えば打ち抜き加工による製造時に、残片が生じないという利点を提供する。さらに、異なる摩擦フェーシング片の配置により、多くの流体変向部、特にオイル変向部が簡単に実現可能である。
【0281】
溝付けは、好ましくは支持要素463まで延在し、支持要素463は、好ましくは支持金属薄板として構成されている。このことは、支持金属薄板の熱的な容量が利用可能となるという利点を提供する。
【0282】
摩擦面の内側直径における狭い横断面により、摩擦面の周にわたってより良好な流体分布が生じる。
【0283】
図27および28には、支持要素483を備える摩擦部材481を四分割して示してある。支持要素483は、例えば鋼材からなる円環ディスク484として構成されている。円環ディスク484は、半径方向内側または半径方向外側で、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0284】
円中心485から半径方向の線486,487,488が延びており、これらの線486,487,488は、略して半径線とも呼ばれる。円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素483上には、摩擦フェーシング片491ないし494が取り付けられている。摩擦フェーシング片491ないし494は、摩擦フェーシング片491ないし494間に、支持要素483まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0285】
図27に示した摩擦部材481の場合、それぞれ3つの円形または一部が欠けた円形の摩擦フェーシング片および3つのセンタピースが半径方向に整列されている。半径線486上には、3つの円形または一部が欠けた円形の摩擦フェーシング片が配置されている。半径線488上には、同じく3つの円形または一部が欠けた円形の摩擦フェーシング片が配置されている。半径線487上には、それぞれ3つの、半径方向に整列された円形または一部が欠けた円形の摩擦フェーシング片間に、3つのセンタピースが配置されている。
【0286】
周方向で繰り返される構成単位490内では、計3つの円形または一部が欠けた円形の摩擦フェーシング片491ないし493が、1つのインナエンドピース494および2つのセンタピース495,496と組み合わされている。
【0287】
繰り返される構成単位490での配置により、回転対称の溝パターンが簡単に実現可能である。さらに、構成単位490での配置は、摩擦フェーシング片、インナエンドピースおよびセンタピースの製造時、残片が生じないという利点を提供する。円形または一部が欠けた円形の摩擦フェーシング片、インナエンドピースおよびセンタピースにより、多くのオイル変向部が簡単に実現可能である。
【0288】
溝付けは、好ましくは支持要素483まで延在し、支持要素483は、好ましくは支持金属薄板として構成されている。このことは、支持金属薄板の熱的な容量が利用可能となるという利点を提供する。摩擦面の内側直径における内側横断面は、摩擦面の周にわたってより良好なオイル分布を可能にする。
【0289】
図28に示した摩擦部材501の場合、それぞれ4つの円形または一部が欠けた円形の摩擦フェーシング片が半径方向に整列されている。半径線506上には、4つの摩擦フェーシング片が配置されている。半径線508上には、同じく4つの摩擦フェーシング片が配置されている。半径線506と半径線508との間の半径線507上には、3つのセンタピース515ないし517が配置されている。センタピースは、それぞれ、実質的に、円弧形の窪みを有する十字の形状を呈する。
【0290】
周方向で繰り返される構成単位510内では、4つの円形または一部が欠けた円形の摩擦フェーシング片511ないし514が、3つのセンタピース515ないし517と組み合わされている。
【0291】
図29は、円環ディスク状の摩擦面をなすために、溝によって互いに間隔を置いた複数の摩擦フェーシング片を備え、個々のまたはすべての摩擦フェーシング片が、波形の画定線を有する、摩擦結合を利用して機能する装置用の摩擦部材に関する。
【0292】
摩擦部材の好ましい一実施例は、摩擦部材がその全周にわたって同一の溝パターンを呈することを特徴とする。これにより、摩擦部材の運転中、溝の一様な通流が簡単に保証される。
【0293】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、溝が周方向で一様に分配されていることを特徴とする。これにより、摩擦部材の製造が簡単化される。さらに、摩擦部材の機能性が改善される。
【0294】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、摩擦フェーシング片がそれぞれ2つの波形の画定線を有することを特徴とする。これにより、溝模様内に流体のための多くの変向部が簡単に実現可能である。
【0295】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、摩擦面内に、波形の画定線を有する摩擦フェーシング片の2つの異なる形状が組み合わされていることを特徴とする。これにより摩擦部材の機能性は、改善される。
【0296】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、第1種の摩擦フェーシング片が、少なくとも2つの波の谷を有する波形の画定線を有することを特徴とする。波の谷および波の山は、溝模様内に変向箇所を実現するために用いられる。
【0297】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、第2種の摩擦フェーシング片が、少なくとも2つの波の山を有する波形の画定線を有することを特徴とする。波の山間には、1つの波の谷が配置されている。
【0298】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、波形の画定線を有する複数ある摩擦フェーシング片が、実質的に同じ大きさであることを特徴とする。その際、第1種の摩擦フェーシング片がすべて、好ましくは同一に構成されている。同じく、第2種の摩擦フェーシング片がすべて、好ましくは同一に構成されている。
【0299】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、波形の画定線を有する摩擦フェーシング片が半径方向に向けられていることを特徴とする。したがって、波形の画定線は、同じく実質的に半径方向に延びている。
【0300】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、波形の画定線を有する摩擦フェーシング片が、周方向で互いに一様に間隔を置いていることを特徴とする。このことから、摩擦面の周にわたって一様な溝パターンが形成される。
【0301】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、波形の画定線を有する複数の摩擦フェーシング片が、周方向で繰り返される構成単位をなして配置されていることを特徴とする。これにより、摩擦部材の製造が簡単化される。
【0302】
摩擦部材の別の好ましい一実施例は、繰り返される構成単位が、波形の画定線を有するそれぞれ2つの異なる摩擦フェーシング片を有することを特徴とする。これにより、比較的多くの変向箇所が溝模様内に簡単に実現可能である。
【0303】
図29には、支持要素523を備える摩擦部材521を四分割して示してある。支持要素523は、例えば鋼材からなる円環ディスク524として構成されている。円環ディスク524は、半径方向内側または半径方向外側で、連結領域をなすために例えば内歯列または外歯列(図示せず)を有して構成されている。
【0304】
円中心525から半径方向の線526,527,528が延びており、これらの線526,527,528は、略して半径線とも呼ばれる。円環ディスク状の摩擦面をなすために、支持要素523上には、摩擦フェーシング片531,532が取り付けられている。摩擦フェーシング片531,532は、摩擦フェーシング片531,532間に、支持要素523まで延在する溝が形成されるように、互いに間隔を置いている。
【0305】
図29に示した摩擦部材521は、2つの種類の、波形の画定線を有する摩擦フェーシング片を備える。波形の画定線を有する摩擦フェーシング片は、半径方向に向けられている。第1種の摩擦フェーシング片は、半径線526上に配置されている。第1種の別の摩擦フェーシング片は、半径線528上に配置されている。
【0306】
半径線527上には、半径線526と528との間に、第2種の摩擦フェーシング片が配置されている。波形の画定線を有する摩擦フェーシング片は、周方向で互いに一様に間隔を置いている。1つの波の山には、波の谷が1つずつ対向するように配置されており、その逆もまたしかりである。
【0307】
周方向で繰り返される構成単位530内では、第1種の1つの摩擦フェーシング片531が、第2種の1つの摩擦フェーシング片532と組み合わされている。第1種の摩擦フェーシング片531は、2つの波の谷を有する2つの波形の画定線534,535を有する。これらの波の谷間には、1つの波の山が配置されている。
【0308】
第2種の摩擦フェーシング片532は、2つの波の山を有する2つの波形の画定線536,537を有する。これらの波の山間には、1つの波の谷が配置されている。
【0309】
摩擦部材の別の好ましい実施例は、個々のまたはすべての摩擦フェーシング片が、溝を画定する斜めの溝壁を有することを特徴とする。
【0310】
図30および31には、支持要素543;553を有する2つの摩擦部材541;551を著しく簡単化して横断面図で示してある。支持要素543;553は、長方形の円環横断面を有する支持金属薄板として構成されている。
【0311】
支持要素543;553の上面には、計3つの摩擦フェーシング片544;554が配置されている。支持要素543;553の下面には、同じく計3つの摩擦フェーシング片545;555が配置されている。摩擦フェーシング片544,545;554,555は、例えば素材結合(stoffschluessig)を介して、特に接着により、支持要素543;553に取り付けられている。
【0312】
摩擦部材541の摩擦フェーシング片544;545は、斜め外方に延びる溝壁546,547を有して構成されている。斜め外方に向けられた溝壁546,547により、比較的小さな摩擦フェーシング片544;545のより大面積の接着が簡単に可能となる。
【0313】
これにより、摩擦フェーシング片が支持要素から不都合に剥離してしまうリスクは、低減される。さらに流体、特にオイルは、摩擦部材541の運転中、より強く潤滑間隙に押し込まれる。これにより、冷却が改善される。
【0314】
図31に示した摩擦部材551の摩擦フェーシング片554,555は、斜め内方に向けられた溝壁556,557を有する。斜め内方に延びる溝壁556,557により、溝横断面が同等であれば、より小さな面圧が可能である。これにより、摩擦部材551の運転中の比負荷が減少する。他方、このことは、より正のμ勾配をもたらす。これに加え、90度未満のフェーシングくさび角により、不都合な浮動効果が減じられる。
【0315】
一般に、すべての回転対称の溝デザインまたは溝配置について、これにより、摩擦フェーシング片またはパッドの、摩擦部材または摩擦リングの内側直径または外側直径に望ましくない小さな残片が残ることが阻止される。このことは、小さい残片こそ、運転中に失われる危険が生じるため、有利である。