特許第6856637号(P6856637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856637
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】曲げ装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/02 20060101AFI20210329BHJP
   B21D 37/00 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   B21D5/02 F
   B21D37/00 A
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-520183(P2018-520183)
(86)(22)【出願日】2016年10月17日
(65)【公表番号】特表2018-531155(P2018-531155A)
(43)【公表日】2018年10月25日
(86)【国際出願番号】EP2016074870
(87)【国際公開番号】WO2017067879
(87)【国際公開日】20170427
【審査請求日】2019年10月2日
(31)【優先権主張番号】A50897/2015
(32)【優先日】2015年10月20日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】509296085
【氏名又は名称】トルンプ マシーネン オーストリア ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ルイージ カビッキア
(72)【発明者】
【氏名】マッテオ ティラフェッリ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレーア トンダロク
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ベロネーゼ
(72)【発明者】
【氏名】ジョバンニ ビドット
(72)【発明者】
【氏名】ファビオ トマシン
【審査官】 大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/203398(WO,A1)
【文献】 特開2005−230851(JP,A)
【文献】 特開2013−173172(JP,A)
【文献】 特開2004−344911(JP,A)
【文献】 特開2003−053436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/02
B21D 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲げプレス(3)、特にプレスブレーキであって、
機枠(7)と、プレスビーム(13、16)と、該プレスビーム(13、16)に配置若しくは形成された工具ホルダ(19,20)と、パンチ(5)またはダイ(6)の形態である曲げ工具(4)とを有し、該曲げ工具(4)の受容部(35)が前記工具ホルダ(19、20)の受容溝(34)内に取り付けられている曲げプレスにおいて、
前記工具ホルダ(19、20)と前記曲げ工具(4)に付属している作動機構(41)とはリニアモータ(36)として構成され、それにより前記曲げ工具(4)は曲げ縁(31)に対して平行な方向(32)に位置決め可能であり、
前記作動機構(41)は前記曲げ工具(4)の前記受容部(35)と一体的に構成されている、ことを特徴とする曲げプレス。
【請求項2】
前記工具ホルダ(19、20)内に、前記工具ホルダ(19、20)の前記受容溝(34)を清掃するように構成された清掃シャトル(53)が配置されており、前記清掃シャトル(53)も同様に前記工具ホルダ(19、20)と共にリニアモータ(36)として作用する、ことを特徴とする請求項の何れか一項に記載の曲げプレス。
【請求項3】
前記作動機構(41)内に永久磁石(39)が配置されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の曲げプレス。
【請求項4】
前記工具ホルダ(19、20)の前記受容溝(34)の領域に3相コイルシステム(37)が配置されており、前記コイルシステム(37)は制御装置(24)によって、前記工具ホルダ(19、20)内に取り付けられている個々の前記曲げ工具(4)が互いに独立に移動可能であるように制御される、ことを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の曲げプレス。
【請求項5】
前記コイルシステム(37)は前記受容溝(34)の溝底部(38)に配置され、永久磁石(39)前記曲げ工具(4)の前記受容部(35)の端面側(40)に配置されている、ことを特徴とする請求項に記載の曲げプレス。
【請求項6】
前記コイルシステム(37)は、前記受容溝(34)の少なくとも1つの側面(45)に形成され、永久磁石(39)前記曲げ工具(4)の前記受容部(35)の少なくとも1つの側面(46)に配置されている、ことを特徴とする請求項に記載の曲げプレス。
【請求項7】
前記コイルシステム(37)は前記受容溝(34)の両側面(45)に形成され、前記永久磁石(39)は前記曲げ工具(4)の前記受容部(35)の両側面(46)に配置され、両コイルシステム(37)は前記工具ホルダ(19、20)の中心面(47)に対し
て対称的に配置されている、ことを特徴とする請求項に記載の曲げプレス。
【請求項8】
前記コイルシステム(37)は、前記工具ホルダ(19、20)の全長(33)にわたって延びている、ことを特徴とする請求項の何れか一項に記載の曲げプレス。
【請求項9】
センサ(49)が構成され、該センサが前記曲げ工具(4)の位置を検出するために設けられている、ことを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の曲げプレス。
【請求項10】
前記センサ(49)は前記工具ホルダ(19、20)に配置されている、ことを特徴とする請求項に記載の曲げプレス。
【請求項11】
前記曲げ工具(4)内にクランプ装置(54)が構成されており、前記クランプ装置(54)はコイルシステム(37)の磁場によって解除可能である、ことを特徴とする請求項10の何れか一項に記載の曲げプレス。
【請求項12】
前記工具ホルダ(19、20)は、前記受容溝(34)の外部に配置されたアタッチメント部(58)を有しており、前記アタッチメント部(58)内にコイルシステム(37)が組み込まれている、ことを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の曲げプレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載された曲げプレスに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術により、曲げ工具を曲げプレスに自動的にセットすることを可能にする数種類の装置が知られている。曲げ工具を曲げ装置にセットするために操作ロボット又はバックストップユニットが使用される。この場合、曲げ工具は操作ロボット又はバックストップユニットによって工具収納庫から取り出されて、それぞれの工具ホルダシステムに応じて工具ホルダ内で位置決めされる。この場合1つの可能性は、曲げ工具が工具ホルダの長手方向位置合わせに沿って工具ホルダ内に挿入され、それによって位置決めされることにある。もう1つの可能性は、曲げ工具が操作ロボット又はバックストップユニットによって直接その端部位置で長手方向位置合わせに対して垂直に向いた方向に挿入されることにあり、その際に曲げ工具内に工具を挿入するための掛止機構がなければならない。
【0003】
この仕様の短所は、曲げ工具を工具ホルダの長手方向の全長に沿って位置決めできるためには、操作ロボット若しくはバックストップユニットは大きい作業範囲を持たなければならないことである。それにより操作ロボット若しくはバックストップユニットは非常に複雑で重くなる。更に、曲げ工具は1個ずつ工具収納庫から取り出されて工具ホルダに挿入されるが、これは多大な時間の費用を伴う。
【0004】
更に、曲げ工具が操作装置によって工具収納庫に挿入され、続いてスピンドル駆動によって又はラックによって工具収納庫の長手方向で位置決めされる装置が知られている。
【0005】
この仕様の短所は、スピンドル駆動若しくはラックは製作するのに手間がかかり、そのために調達が高価であることである。更に、そのような駆動方法に対して曲げ工具を保持するために別個の保持構造が採用されなければならないが、それにより製造設備の複雑さは再び増す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、工具をセットするための改善された装置を有する曲げプレスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の本発明の課題は、請求項1に記載の方策によって解決される。
【0008】
本発明により、曲げプレス、特にプレスブレーキは、機枠と、プレスビームと、パンチ又はダイの形態でプレスビームに配置若しくは形成された工具ホルダおよび曲げ工具を有しており、曲げ工具の受容部は工具ホルダの受容溝内に取り付けられている。工具ホルダと曲げ工具に付属している作動装置とは、リニアモータとして構成されており、それにより曲げ工具は曲げ縁に対して平行な方向に位置決め可能である。
【0009】
曲げプレスの本発明による構成の利点は、曲げ工具を移動させるために外部装置を設ける必要がないことである。その上、摩耗を被る追加の可動部材は必要ない。それによって曲げ工具は工具ホルダ内でできるだけ簡単で効率的に移動できる。更に、リニアモータとして構成する利点は、個々の曲げ工具が互いに独立に移動でき、それによって曲げプレスのフレキシビリティーを高められることである。
【0010】
更に、工具ホルダが長い固定子として構成されていることは目的に適っていよう。この場合の利点は、それによってリニアモータを実現するためのコストをできるだけ少なく抑えられることである。特に個々の曲げ工具コイルを装備する必要がない。
【0011】
更に、作動装置は、工具ホルダ内で案内され、曲げ工具の受容部と連結可能である往復移動するシャトルとして構成されているようにすることができる。この場合の利点は、各々の曲げ工具に永久磁石を装備する必要がなく、曲げ工具と連結可能なシャトルだけが永久磁石を備えればよい。それによって曲げプレスのための製造費用は少なく抑えることができる。
【0012】
その上、シャトルは進入可能なピンによって曲げ工具の受容部と連結可能であるようにすることができる。この場合の利点は、それによってシャトルは移動すべき曲げ工具と簡単に連結できる。
【0013】
この代替として、作動装置は曲げ工具の受容部と一体的に構成されているようにすることができる。作動装置が直接曲げ工具内に構成されていると、各々の曲げ工具を個々に、且つ互いに独立に移動できるという利点をもたらす。その上、曲げ工具を移動できるようにするために、追加の部材がシャトルとして構成される必要がない。
【0014】
別の構成により、工具ホルダ内に、工具ホルダの受容溝を清掃するように構成された清掃シャトルが配置されており、その清掃シャトルも同様に工具ホルダと共にリニアモータとして作用することが可能である。この場合の利点は、清掃シャトルにより工具ホルダの汚れを除去でき、それによって曲げ工具は工具ホルダ内に適切に取り付けられることである。
【0015】
更に、作動装置に永久磁石が配置されていることが目的に適っていよう。この場合の利点は、永久磁石を簡単に作動装置内に配置することができ、リニアモータは同期モータとして構成されていることである。
【0016】
更には、工具ホルダの受容溝の領域に3相コイルシステムが配置されており、そのコイルシステムは制御装置によって、工具ホルダ内に取り付けられている個々の曲げ工具が互いに独立に移動可能であるように制御されるようにすることができる。この場合の利点は、コイルシステムができるだけスペースを取らず、機械的損傷を受けにくいように工具ホルダ内に取り付けられていることである。
【0017】
更に、コイルシステムは、受容溝の溝底部に配置されており、永久磁石は、曲げ工具の受容部の端面側に配置されているようにすることができる。この場合の利点は、リニアモータができるだけ簡単に構成できることである。
【0018】
代替例により、コイルシステムは、受容溝の少なくとも1つの側面に構成されており、この永久磁石は曲げ工具の受容部の少なくとも1つの側面に配置されていることが可能である。この場合の利点は、コイルシステムによって垂直の力成分が曲げ工具に及ぼされないことである。
【0019】
有利な別の構成に従い、コイルシステムは、受容溝の両側面に構成されており、永久磁石は、曲げ工具の受容部の両側面に配置されており、これら両コイルシステムは、工具ホルダの中心面に対して対称的に配置されているようにすることができる。特にそのような構成により、コイルシステムによって曲げ工具内にもたらされた力は対称形のために解消され、そうすることによって曲げ工具と工具ホルダとの間の滑り摩擦を減らすことができる。特にそれによって曲げ工具は工具ホルダ内でより円滑に移動できる。
【0020】
更に、コイルシステムは、工具ホルダの全長にわたって延びていることが有利であろう。それによって曲げ工具は工具ホルダの全長にわたって移動できる。
【0021】
更に、センサが構成されて曲げ工具の位置を検出するために設けられているようにすることができる。センサによって個々の曲げ工具の位置が検出され、若しくは調節装置を用いて設定できる。
【0022】
更には、センサ、工具ホルダに配置されているようにすることができる。この場合の利点は、全部の曲げ工具に対して使用される1個のセンサのみ設ければよく、各々の曲げ工具に対して個々のセンサを曲げ工具に構成する必要がないことである。
【0023】
更に、曲げ工具内にクランプ装置が構成されており、このクランプ装置は、コイルシステムの磁場によって解除可能であるようにすることができる。この場合の利点は、クランプ装置によって曲げ工具が工具ホルダ内で意図せず移動するのを防止できることである。特に、クランプ装置がコイルシステムの磁場によって解除可能である点が有利である。それによってクランプ装置を解除するために、追加の作動または駆動機構は必要とされない。
【0024】
別の構成により、工具ホルダは、受容溝の外部に配置されたアタッチメント部を有しており、このアタッチメント部内にコイルシステムが組み込まれていることが可能である。この場合の利点は、アタッチメント部は簡単に工具ホルダに取り付けることができ、それによってコイルシステムは必要に応じて取り除けるように工具ホルダに取り付けることができる。
【0025】
以下に本発明をより良く理解するために、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図面は、それぞれ著しく簡略された模式的表現で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は曲げプレスを有する製造設備の正面図である。
図2図2は工具ホルダを有する曲げ工具の第1の実施例の模式的な横断面図である。
図3図3は工具ホルダを有する曲げ工具の第2の実施例の模式的な横断面図である。
図4図4は工具ホルダを有する曲げ工具の第3の実施例の模式的な横断面図である。
図5図5は工具ホルダを有する曲げ工具の第4の実施例の模式的な横断面図である。
図6図6は工具ホルダを有する曲げ工具の第5の実施例の模式的な横断面図である。
図7図7は工具ホルダを有する曲げ工具の第6の実施例の模式的な横断面図である。
図8図8は工具ホルダを有する曲げ工具の実施例の模式的な縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
最初に確認しておくと、様々に説明される実施形態において同じ部材には同じ参照符号若しくは同じ部材名を付し、説明全体に含まれている開示内容は同じ参照符号若しくは同じ部材名を有する同じ部材に準用できる。説明において選択された姿勢指示、例えば上、下、横等も直接説明及び表示された図を基準としており、これらの姿勢指示は姿勢が変化した場合には新しい姿勢に準用される。
【0029】
図1は、板から作るワーク2を自由曲げするための製造設備1の実施態様を模式的に簡略化して示している。
【0030】
製造設備1は、互いに向き合って相対的に移動可能な曲げ工具4、例えばパンチ5とダイ6の間でワーク2若しくは工作物を製作するための曲げプレス3、特にプレスブレーキを有している。パンチ5は上型、ダイ6は下型と呼ぶこともできる。
【0031】
曲げプレス3の機枠7は、例えば底板8を含んでおり、その上に垂直に立ち、互いに横断方向に離間し、互いに平行に位置合わせされた側板9、10を配置することができる。これらの側板9、10は好ましくは、中実の、例えば板成形品から形成されたタイビーム11によって、底板8から離れた端部領域で互いに接続されている。
【0032】
側板9、10は、ワーク2の成形用のスペースを形成するためにほぼC形に形成されてよく、側板9、10の底に近い辺部の前端面12に、定置された、特に底板8上に直立するプレスビーム13が固定できる。このプレスビーム13はプレス台とも呼ぶことができる。これに曲げ工具4の部分が配置され、且つ保持されている。底板8から離れた前端面14の辺部には、プレス台を形成するプレスビーム13に対して相対的に移動可能な別のプレスビーム16、特にプレスラムがリニアガイド15で案内支持できる。
【0033】
両プレスビーム13、16の互いに向き合い、且つ互いに平行に延びる端面17、18上に、曲げ工具4を装着するための工具ホルダ19、20が配置若しくは形成できる。
【0034】
図示された曲げプレス3は、調節可能なプレスビーム16、即ちプレスラムのための駆動装置21として、ここでは2つの駆動手段22を有しており、これらの駆動手段22は例えばネルギー網23から電気エネルギーが供給され、又は油圧回路によって供給され、更に制御装置24と伝導接続できる。制御装置24と伝導接続されている入力端末25を介して、例えば曲げプレス3の運転が制御される。
【0035】
駆動手段22は、例えば一般に公知の電動スピンドル駆動装置26であってよく、それらをプレスラムによって形成された上部プレスビーム16の可逆的調節運動のための調節手段27は、この上部プレスビーム16と例えば駆動接続されている。それとは別に、駆動手段22を油圧及び/又は空気圧で操作可能な調節手段を形成することも可能であろう。その際にシリンダ・ピストン構成を用いることができる。その他の駆動手段、例えば偏心駆動装置、トグル駆動装置、ラック駆動装置なども考えられる。
【0036】
上記の図の説明の全ての実施特徴若しくは個別特徴は、例示的な製造設備1若しくは曲げプレス3を説明するために記載されたものであり、以下の図の説明の発明にとって本質的な部分において参照することができる。それゆえ記載された全ての個別特徴は本発明の構成にとって必ずしも必要なく省略することができ、或いは機能可能な曲げプレス3を得るために他の特徴と置き換えることができる。
【0037】
更に、ここでは曲げ工具4、特にパンチ5及び/又はダイ6は、これらを操作するためにそれぞれ凹部28、29を有することができることが簡略化して示されている。ここで曲げ工具4を操作するとは、パンチ5及び/又はダイ6を自動化された操作装置によって工具収納庫から取り出し、自動的にプレスビーム13、16の工具ホルダ19、20の挿入位置30に運び、そこで挿入した後、締め付けて保持することと理解される。挿入位置30は工具ホルダ19、20の任意の位置に画定できる。更には、挿入位置30はその都度の必要性に応じて別様に選択されることも可能である。この場合、工具交換作業をそれに必要な設備部分で実施できる工具交換システムについても言及できる。
【0038】
この操作装置は、例えばワークハンドリングのために使用されるマニピュレータの形式で実施できる。更に、操作装置は、例えば操作活動も引き受けるように構成されたバックストップユニットによって形成されることが可能である。これらの実施態様及び別の可能な実施態様と並んで、操作装置として曲げ工具のハンドリングの目的のために構成されたマニピュレータが使用されることも可能である。
【0039】
曲げ工具4は、曲げ工具4の長手方向に延びる曲げ縁31を有している。曲げ縁31は曲げられるワーク2における曲げ線の推移も画定する。曲げ工具4は、必要に応じて曲げ縁31に対して平行な方向32で移動可能であるように工具ホルダ19、20内に取り付けられている。特に、曲げ工具4は工具ホルダ19、20の全長33にわたって移動可能であるようにすることができる。
【0040】
図2は、曲げ工具4と工具ホルダ19、20の実施例の横断面図を示しており、ここでも同じ部材に対しては前出の図1と同じ参照符号若しくは部材名が用いられる。不必要な繰返しを避けるために、前出の図1における詳細な説明が指示若しくは参照される。
【0041】
図2から見て取れるように、工具ホルダ19、20は受容部34を有し、この受容部34は例えばU字形溝の形で形成されているようにすることができる。これに対応して曲げ工具4は受容溝34内に取り付けられるように構成された受容部35を有する。特に、相応の技術的方策により曲げ工具4と工具ホルダ19、20との間にリニアモータ36の作用が形成されるようにすることができる。リニアモータ36を構成することにより、曲げ工具4は曲げ縁31に対して平行な方向32で移動できる。その際に、曲げ工具4を移動できるようにするために、追加の機械的に可動な部材を工具ホルダ19、20内に取り付けることは必要ない。
【0042】
例えば図2に示されているように、リニアモータ36は長固定子リニアモータの形式で構成されて、工具ホルダ19、20内にコイルシステム36が配置されているようにすることができる。コイルシステム37は、例えば受容溝34の溝底部38の領域に配置できる。
【0043】
更に、曲げ工具4内に1以上の永久磁石39が配置され、それらがコイルシステム37と協働して磁力を生み出すようにすることができる。固定子であるコイルシステム37と、可動子内に組み込まれた永久磁石39とを有するそのような構造体は、同期リニアモータと呼ばれる。
【0044】
別の実施態様において、非同期リニアモータとして構成されていることも考えられる。そのような実施態様では、永久磁石39の代わりに可動子内にコイルが組み込まれて電流が誘導される。
【0045】
更に、コイルシステム37が工具ホルダ19、20の全長33にわたって延びるようにすることができ、その場合には工具ホルダ19、20と並んで工具収納庫が配置されており、その中に曲げ工具4が移動できる。更には、工具収納庫内にはコイルシステムも配置されており、工具収納庫内で曲げ工具4を更に搬送するために用いられる。
【0046】
図2から見て取れるように、永久磁石39は曲げ工具4の受容部35の端面側40に配置されているようにすることができる。受容部35の永久磁石39が挿入されている部分は、作動機構41と呼ぶこともできる。
【0047】
図2から更に見て取れるように、コイルシステム37は直接工具ホルダ19、20内に埋設されているようにすることができる。
【0048】
図3は、工具ホルダ19、20の代替的な実施態様を示しており、ここでも同じ部材に対しては前出の図1及び図2と同じ参照符号若しくは部材名が用いられる。不必要な繰返しを避けるために、前出の図1及び図2における詳細な説明が指示若しくは参照される。
【0049】
ここに図示された実施態様では、コイルシステム37は直接工具ホルダ19、20内に構成されるのではなく、コイルシステム受容部材42が設けられ、その中にコイルシステム37が挿入されており、コイルシステム受容部材42そのものは工具ホルダ19、20内に取り付けられている。コイルシステム受容部材42は、コイルシステム37の磁気特性を改善するように構成できる。例えば、コイルシステム受容部材42は鉄心43を包含し、コイルシステム37の外部に例えばプラスチックが形成されているようにすることができる。
【0050】
更に、工具ホルダ19、20に滑りライニング44が形成されており、それによって曲げ工具4の移動が容易になるようにすることができる。代替例において、滑りライニング44が曲げ工具4に配置されて、図示された実施態様と同様に作用するようにされてもよい。滑りライニング44の代わりに、滑り軸受装置が構成されてもよい。
【0051】
図4は、曲げ工具4及び相応の工具ホルダ19、20の別の実施例を示しており、ここでも同じ部材に対しては前出の図1図3で使用されるのと同じ参照符号若しくは部材名が用いられる。不必要な繰返しを避けるために、前出の図1図3における詳細な説明が指示若しくは参照される。
【0052】
図4から見て取れるように、コイルシステム37は受容溝34の側面45に配置されているようにすることができる。これに対応して永久磁石39は受容部35の側面に配置されているようにすることができる。
【0053】
図示されていない別の実施態様では、コイルシステム37が受容溝34の両側面45に配置されており、永久磁石39が受容部35の両側面46に配置されているようにすることもできる。この場合に構成部材は好ましくは中心面47に対して対称的に形成されている。そのように実施する利点は、横断方向48で磁力が解消でき、それによって曲げ工具4と工具ホルダ19、20との間に高められた摩擦力が生じるのを回避できることである。
【0054】
特にそのような実施態様においては、永久磁石39若しくはコイルシステム37は、磁気移動若しくは磁力が作動すると曲げ工具4が容易に垂直方向で持ち上げられように配置されており、その結果として曲げ工具4と工具ホルダ19、20との間の摩擦が減少するようにされてよい。
【0055】
更に上述したすべての実施例において、センサ49が構成されており、そのセンサ49は曲げ工具4の位置を検出するために働くようにすることができる。センサ49は工具ホルダ19、20内に配置でき、種々の曲げ工具4がセンサ49によって識別及び検出できるようにすることができる。センサは例えば光学センサとして構成できる。更に、センサは近接センサ、例えばホールセンサとして構成されていることも考えられる。
【0056】
代替例において、センサ49が曲げ工具4内に配置されているようにすることもでき、特に例えばその際に工具ホルダ19、20内にセンサ49と協働するインクリメンタルセンサが配置されているようにすることもできる。
【0057】
図5は、曲げ工具4と工具ホルダ19、20の別の実施例を示しており、ここでも同じ部材に対しては前出の図1図4で使用されるのと同じ参照符号若しくは部材名が用いられる。不必要な繰返しを避けるために前出の図1図4における詳細な説明が指示若しくは参照される。
【0058】
図5から見て取れるように、作動機構41は例えば工具ホルダ19、20で案内されるシャトル50の形式で構成されているようにすることができる。シャトル50を工具ホルダ19、20内で案内することは、例えばシャトル50の側方に形成されたガイドローラ51によって実現されてよい。更に、永久磁石39が例えばシャトル50の下側に配置されているようにすることができる。シャトル50は例えば1以上のピン52を有することができ、これらのピンはシャトル50と曲げ工具4との間に形状接続を生み出すために形成されている。それによって曲げ工具4はシャトル50によって工具ホルダ19、20内を移動できる。
【0059】
図示されていない別の実施態様において、シャトル50はアタッチメントを備え、それゆえ工具ホルダ19、20の受容溝34を清掃するための清掃シャトル53として設けられてよい。
【0060】
図6は曲げ工具4と工具ホルダ19、20の別の実施例を示しており、ここでも同じ部材に対しては前出の図1図5で使用されるのと同じ参照符号若しくは部材名が用いられる。不必要な繰返しを避けるために、前出の図1図5における詳細な説明が指示若しくは参照される。
【0061】
図6から見て取れるように、曲げ工具4内にクランプ装置54が構成されていて、そのクランプ装置54が曲げ工具4を工具ホルダ19、20内で締め付ける働きをするようにされてよい。曲げ工具4をクランプすることによって、曲げ工具4が工具ホルダ19、20の長手方向で不都合に滑って位置がずれるのを回避できる。クランプ装置54は例えばコイルシステム37によって作動されるように構成できる。そうすることによって、クランプ装置54によってもたらされる締付けは曲げ工具4の移動運動を導入すると解除されるようにできる。
【0062】
そのようなクランプシステムは、例えばクランプジョー55が設けられ、これが曲げ工具4内に配置されてばね56によって工具ホルダ19、20に押し付けられることによって実現できる。クランプジョー55は作動システム57を介して係合解除できる。作動システム57は、例えばボーデンワイヤ又はレバーシステムを含むことができ、これは永久磁石又は他の作動装置要素と連結されてよい。作動装置要素はコイルシステム37によって作動できる。
【0063】
図7は曲げ工具4と工具ホルダ19、20の別の実施例を示しており、ここでも同じ部材に対しては前出の図1図6で使用されるのと同じ参照符号若しくは部材名が用いられる。不必要な繰返しを避けるために、前出の図1図6における詳細な説明が指示若しくは参照される。
【0064】
図7による実施例ではコイルシステム37がアタッチメント部58内に配置されている。ここではアタッチメント部58は工具ホルダ19、20の表面に配置できる。これと関連して永久磁石39が曲げ工具4の側方に配置されているようにすることができる。既述の実施例に従って永久磁石39はアタッチメント部58若しくはアタッチメント部58内に配置されたコイルシステム37と協働できる。
【0065】
このようにアタッチメント部58を用いて実施することの利点は、アタッチメント部58は必要に応じて既存の工具ホルダ19、20内に後から装備できることである。
【0066】
図8は、曲げ工具4の長手方向の断面図を示しており、ここでも同じ部材に対しては前出の図1図7で使用されるのと同じ参照符号若しくは部材名が用いられる。不必要な繰返しを避けるために、前出の図1図7における詳細な説明が指示若しくは参照される。
【0067】
図8から見て取れるように、曲げ工具4の長手方向に複数の永久磁石39が配置されているようにすることができる。
【0068】
実施例は製造設備1の可能な実施態様を示すものであり、この場で付言すると、本発明は具体的に図示された本発明の実施態様に制限されるものではなく、個々の実施態様の様々な組合せが可能であり、本発明による技術的行為に関する教示に基づくこれらの変化例の可能性は当該技術分野に従事する当業者の技能の範囲内にある。
【0069】
更に、図示及び説明された種々の実施例からの個々の特徴又は特徴の組合せも、それ自体で独自の、発明的な又は発明による解決をなすことができる。
【0070】
独自の発明的な解決の基礎にある課題は、記述から読み取ることができる。
【0071】
具体的な説明において値の範囲に関する全ての指示は、当該範囲内のすべての任意の部分範囲を含むものと理解すべきである。例えば1〜10という指示には、下限1を起点として上限10に至るまでのすべての部分範囲が含まれていると理解すべきである。即ち、すべての部分範囲は、例えば1〜1.7又は3.2〜8.1又は5.5〜10のように、下限の1又はそれ以上から始まって上限の10又はそれ以下で終わる。
【0072】
とりわけ図1図2図3図4図5図6図7図8に示された個々の実施は、本発明による独自の解決の対象をなすことができる。これに関する本発明の課題と解決は、これらの図の詳細な説明から読み取ることができる。
【0073】
形式を整えるために最後に指摘すると、製造設備の構造をより良く理解するために、これら若しくはこれらの構成部材は縮尺通りではなく及び/又は拡大され及び/又は縮小されて示された。
【符号の説明】
【0074】
1 製造設備
2 ワーク
3 曲げプレス
4 曲げ工具
5 パンチ
6 ダイ
7 機枠
8 底板
9 側板
10 側板
11 タイビーム
12 前端面
13 第1のプレスビーム
14 前端面
15 リニアガイド
16 第2のプレスビーム
17 端面
18 端面
19 第1の工具ホルダ
20 第2の工具ホルダ
21 駆動装置
22 駆動手段
23 エネルギー網
24 制御装置
25 入力端末
26 スピンドル駆動装置
27 調節手段
28 凹部
29 凹部
30 挿入位置
31 曲げ縁
32 平行な方向
33 長さ
34 受容溝
35 受容部
36 リニアモータ
37 コイルシステム
38 溝底部
39 永久磁石
40 端面側
41 作動機構
42 コイルシステム受容部材
43 鉄心
44 滑りライニング
45 受容溝側面
46 受容部側面
47 中心面
48 横断方向
49 センサ
50 シャトル
51 ガイドローラ
52 ピン
53 清掃シャトル
54 クランプ装置
55 クランプジョー
56 ばね
57 作動装置システム
58 アタッチメント部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8