特許第6856647号(P6856647)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6856647生体内使用向けの電子デバイス及び光電子デバイス用の可撓性のある密封式電気的相互接続部
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856647
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】生体内使用向けの電子デバイス及び光電子デバイス用の可撓性のある密封式電気的相互接続部
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/28 20060101AFI20210329BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20210329BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20210329BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20210329BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20210329BHJP
   H01L 25/10 20060101ALI20210329BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20210329BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20210329BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20210329BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20210329BHJP
   A61F 2/16 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   H05K3/28 G
   H01L21/88 T
   H01L21/88 Q
   H01L21/90 S
   H01L25/10 Z
   H05K3/46 N
   H05K3/46 E
   H05K3/32 C
   H05K3/34 501A
   H05K3/46 Q
   A61F2/16
【請求項の数】21
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-530735(P2018-530735)
(86)(22)【出願日】2016年12月6日
(65)【公表番号】特表2019-502261(P2019-502261A)
(43)【公表日】2019年1月24日
(86)【国際出願番号】IB2016057383
(87)【国際公開番号】WO2017103734
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2019年12月5日
(31)【優先権主張番号】14/968,050
(32)【優先日】2015年12月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】マーク エー.ジールク
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エフ.マッテス
【審査官】 黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−156632(JP,A)
【文献】 特開2010−225620(JP,A)
【文献】 特開2015−106570(JP,A)
【文献】 特開2005−167198(JP,A)
【文献】 特開2015−170814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/28
A61F 2/16
H01L 21/3205
H01L 21/768
H01L 23/522
H01L 23/532
H01L 25/10
H01L 25/18
H05K 3/32
H05K 3/34
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電子モジュールと、
第2の電子モジュールと、
前記第1の電子モジュールと前記第2の電子モジュールとの間に密封された電気的結合を提供するための密封式電気的相互接続部と、
を備える電子デバイスであって、
前記密封式電気的相互接続部は、
底部金属層と、
底部絶縁層であって、前記底部金属層を絶縁するために前記底部金属層上に堆積され、かつ、底部シールリング溝を形成するようにパターン形成された、底部絶縁層と、
相互接続金属層であって、前記底部絶縁層上に堆積され、かつ、底部シールリングを形成するために前記底部シールリング溝を充填するように堆積され、また、コンタクトパッド間に電気的接続部を形成するように、かつ、前記底部シールリングと結合させて、前記電気的接続部の周囲に中央シールリングを形成するようにパターン形成された、相互接続金属層と、
パターン形成された上部絶縁層であって、前記相互接続金属層を絶縁するために、かつ前記相互接続金属層から前記中央シールリングを分離するために、前記相互接続金属層上に堆積され、また、前記コンタクトパッドのための貫通孔を形成するように、かつ前記中央シールリングと結合された上部シールリング溝を形成するようにパターン形成された上部絶縁層と、
上部金属層であって、前記貫通孔を充填することにより接触子の形成を開始するために前記上部絶縁層上に堆積され、かつ、前記上部シールリング溝を充填することにより上部シールリングの形成を開始するために堆積され、また、前記貫通孔を通る接触子の形成を完了するように、かつ分離したバリア層を形成するように、かつ前記上部シールリングの形成を完了するようにパターン形成される、上部金属層と、
を備えており、該電子デバイスは、
モジュールシールリングを更に備えており、前記モジュールシールリングは、前記第1及び前記第2の電子モジュールの周囲に沿って前記第1及び前記第2の電子モジュールに取り付けられ、かつ、前記密封式電気的相互接続部の前記上部シールリングに取り付けられている、電子デバイス。
【請求項2】
前記第1の電子モジュール及び前記第2の電子モジュールは、電池パック、電気活性眼内レンズ、電子モジュール、及び集積回路とデバイスとの組み合わせの密封された封入物、からなる群から選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記密封式電気的相互接続部は生体適合性である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記密封式電気的相互接続部は可撓性を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記密封式電気的相互接続部は、半導体バッチ製造技術によって製造可能である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1及び前記第2の電子モジュールは電子コンタクトパッドを有し、
前記第1及び前記第2の電子モジュールの前記電子コンタクトパッドは、前記接触子に取り付けられる、請求項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記モジュールシールリングは、熱機械的結合、低融解温度合金を使用したリフロー処理、透過性材料を介したレーザー誘起リフロー、及び超音波接合のうちの1つによって形成される、請求項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記底部金属層、前記底部シールリング、前記中央シールリング、前記上部シールリング、前記モジュールシールリング、前記第1及び前記第2の電子モジュールのシールハウジング、並びに前記バリア層は、完全な密封を形成する、請求項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記底部金属層及び前記上部金属層のうちの少なくとも一方は、
Ti、Au、Pt、Nb、及びこれらの金属のうちの1つ又は複数の合金、のうちの少なくとも1つを含む、請求項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記底部金属層及び前記上部金属層のうちの少なくとも一方は、
少なくとも10年間の間は平衡塩類溶液による腐食に耐えることができる金属を含む、請求項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記底部金属層及び前記上部金属層のうちの少なくとも一方は、
少なくとも10年間に渡り、0.5〜1ミクロンの範囲内の厚さで10−14g/(cm*sec*torr)未満の透過性を有する金属を含む、請求項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記底部絶縁層及び前記上部絶縁層は、光画像化可能なポリイミドを含む、請求項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記上部絶縁層は、シール効率を高めるために、貫通孔において階段状のカバレッジパターンを有する、請求項に記載のデバイス。
【請求項14】
光電子デバイス用の密封式電気的相互接続部を製造する方法であって、
(a)基板上に底部金属層を堆積させるステップと、
(b)前記底部金属層を絶縁するために、前記底部金属層上に底部絶縁層を堆積させるステップと、(bs)底部シールリング溝を形成するように前記底部絶縁層をパターン形成するステップと、
(c)(c1s)底部シールリングを形成するために前記底部シールリング溝を充填するために、(c1)前記底部絶縁層上に相互接続金属層を堆積させるステップと、(c2)コンタクトパッド間に電気的接続部を形成するように、かつ、(c2s)前記電気的接続部の周囲に中央シールリングを形成するように、前記相互接続金属層をパターン形成するステップと、
(d)(d1s)前記相互接続金属層から前記中央シールリングを分離するために、かつ(d1)前記相互接続金属層を絶縁するために、前記相互接続金属層上に上部絶縁層を堆積させるステップと、(d2s)前記中央シールリングと結合された上部シールリング溝を形成するように、かつ(d2)前記コンタクトパッドと結合された貫通孔を形成するように、前記上部絶縁層をパターン形成するステップと、
(e)(e1s)前記上部シールリング溝を充填することにより上部シールリングの形成を開始するために、かつ、(e1)前記貫通孔を充填することにより接触子の形成を開始するために、前記上部絶縁層上に上部金属層を堆積させるステップと、(e2s)前記中央シールリングと結合した、前記上部シールリングの形成を完了するように、かつ、(e2)分離したバリア層を形成するように、かつ、前記貫通孔を通る接触子の形成を完了するように、前記上部金属層をパターン形成するステップと、
(f)第1の電子モジュール及び第2の電子モジュールのコンタクトパッドを前記接触子に取り付けるステップと、(fs)モジュールシールリングを前記上部シールリングに取り付けるステップと、を含んでおり、
前記上部絶縁層を堆積させる前記ステップ及びパターン形成する前記ステップは、
シール効率を高めるために、貫通孔において階段状のカバレッジパターンを有するように前記上部絶縁層をパターン形成するステップを含む、方法。
【請求項15】
前記相互接続金属層、前記底部金属層、及び前記上部金属層を堆積させる前記ステップのうちの少なくとも1つは、スパッタリングを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記底部絶縁層を堆積させる前記ステップ及びパターン形成する前記ステップ、並びに前記上部絶縁層を堆積させる前記ステップ及びパターン形成する前記ステップのうちの少なくとも1つは、スピンコーティング、スプレーコーティング、及びラミネーションのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記底部金属層及び前記上部金属層を堆積させる前記ステップは、
Ti、Au、Pt、及びNbのうちの少なくとも1つを含む金属層を堆積させるステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
光電子デバイス用の密封式電気的相互接続部を製造する方法であって、
(a)露出した電子コンタクトパッドを有する第1の電子モジュール及び第2の電子モジュールから、平坦化された構造体を形成するステップと、
(b)前記平坦化された構造体上にモジュール金属層を堆積させるステップと、前記第1及び前記第2の電子モジュールの前記電子コンタクトパッドに結合された、貫通孔を有するように、前記堆積されたモジュール金属層をパターン形成するステップと、
(c)前記モジュール金属層を絶縁するために、前記モジュール金属層上に第1の絶縁層を堆積させるステップと、前記貫通孔の内面を絶縁するように、前記堆積された第1の絶縁層をパターン形成するステップと、
(d)接触子を形成するために前記貫通孔内に及び前記第1の絶縁層上に相互接続金属層を堆積させるステップと、前記第1及び前記第2の電子モジュールの前記電子コンタクトパッドに対応する前記接触子同士の間に電気的接続部を形成するように、前記堆積された相互接続金属層をパターン形成するステップと、
(e)前記相互接続金属層を封止するために、前記相互接続金属層上に第2の絶縁層を堆積させるステップと、
(f)前記電気的相互接続部の密封を完成させるために、前記第2の絶縁層上に最終バリア層を堆積させるステップと、を含む方法。
【請求項19】
前記平坦化された構造体を形成する前記ステップは、
(a)一時的な基板を設けるステップと、
(b)前記第1及び前記第2の電子モジュールを前記一時的な基板に接着剤を用いて取り付けるステップと、
(c)前記第1及び前記第2の電子モジュールをエポキシ樹脂で覆うステップと、
(d)前記一時的な基板を取り除くステップと、
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記相互接続金属層を堆積させる前記ステップは、スパッタリングを用いて行われ、
前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層のうちの少なくとも一方を堆積させる前記ステップは、スピンコーティング、スプレーコーティング、及びラミネーションのうちの少なくとも1つを用いて行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記モジュール金属層を堆積させる前記ステップ及び前記最終バリア層を堆積させる前記ステップのうちの少なくとも一方は、Ti、Au、Pt、及びNbのうちの少なくとも1つを含む金属層を堆積させるステップを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この特許文書は、電子デバイス及び光電子デバイスに関する。より詳細には、この特許文書は、生体内での使用向けの密封式の可撓性のある相互接続部を含む(光)電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者らの知る限りでは、最新の生体内での電気的接続は、ペースメーカー用途のためにのみ開発されている。ペーシング用リード線は、コンセントとプラグ型の接続を用いて、ペーシングデバイスに接続される。例えば、米国特許第4,764,132号明細書に記載されるように、プラグを所定の位置に保持するために止めねじを使用することによって、信頼性が保証されることが多い。これらのデバイスでは、非腐食性金属、絶縁材、及び水分バリアを使用して、最大10年間の推定寿命を維持している。これらの接続部は大きく、密封式ではない。従って、デバイスの動作中に好ましくない漏れ電流が誘起されることがある。これらの漏れ電流は、絶縁及び距離を用いることによって、緩和されることが多い。漏れ電流は、ペースメーカー用途ではさほど危険ではない、というのも、デバイスがペーシングパルスを送信しているときにのみリード線が電流を運ぶからである。
【0003】
昨今、様々な電気活性眼内レンズ(EA−IOL)システムが提案されている。これらのEA−IOLは、生体内での使用のために、電子的な接続を必要とする。しかしながら、EA−IOLでは、ペースメーカーの大きな電気的接続部のための余地がない。更に、これらのEA−IOLの電源は通常非常に小さく、連続的に動作し、全ての電子モジュールは互いに非常に近接している。そのようなシステムでは、漏れ電流、水分の侵入、及びこれに続く腐食を回避するために、電子接続部及び接続部間の導線は、密封相互接続方式を介して生体内の環境から完全に分離しなくてはならない。
【0004】
2005年9月刊行のIEEE Engineering in Medicine and Biology Magazine、p.52、D.C.Rodger及びY−C.Tai著の論文「Microelectronic Packaging for Retinal Prostheses」における高密度のチップレベルで統合された相互接続パッケージングシステムなどの、幾らか関連した相互接続方式がこれまでに提案されている。しかしながら、この記載された方式は、密封コーティングとしてポリマー層(パリレン)を適用しており、従って、時間の経過と共に水分の侵入に見舞われ、その結果漏れ電流、ひいては相互接続部及び接続ワイヤの腐食を引き起こす。
【0005】
少なくとも上記の理由から、眼球内への移植のために十分に小型であり、電子モジュールが互いに近接して位置している場合であっても漏れ電流を実質的に排除し、生体組織の塩分状態に曝されても約10年間は信頼のおける密封状態を提供する、密封された相互接続部が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
この特許文書における実施形態は、生体内での使用のために移植されることになる電子モジュール間の、腐食防止の、又は密封式の可撓性のある相互接続部を製造するための構造及び方法を導入することにより、上記の課題に対処する。実施形態によっては、電子デバイスは、第1の電子モジュールと、第2の電子モジュールと、第1の電子モジュールと第2の電子モジュールとの間に密封された電気的結合を提供するための密封式電気的相互接続部と、を含むことがある。
【0007】
実施形態によっては、密封式電気的相互接続部は、底部金属層と、底部金属層を絶縁するために底部金属層上に堆積され、底部シールリング溝を形成するようにパターン形成された、底部絶縁層と、底部絶縁層上に堆積され、底部シールリングを形成するために底部シールリング溝を充填するように堆積された、相互接続金属層と、なお相互接続金属層は、コンタクトパッド間に電気的接続部を形成するように、かつ、底部シールリングと結合させて、電気的接続部の周囲に中央シールリングを形成するようにパターン形成されており、また、相互接続金属層を絶縁するように、かつ相互接続金属層から中央シールリングを分離するように相互接続金属層上に堆積されたパターン形成された上部絶縁層と、なお上部絶縁層は、コンタクトパッド用の貫通孔を形成するように、かつ中央シールリングと結合した上部シールリング溝を形成するようにパターン形成されており、また、貫通孔を充填することにより接触子の形成を開始するように上部絶縁層上に堆積され、かつ、上部シールリング溝を充填することにより上部シールリングの形成を開始するように堆積された上部金属層と、を含むことがあり、なお上部金属層は、貫通孔を通る接触子の形成を完了し、分離したバリア層を形成し、かつ上部シールリングの形成を完了するようにパターン形成される。
【0008】
実施形態によっては、光電子デバイス用の密封式電気的相互接続部を製造する方法は、次のステップを含むことがある、即ち、ウェハ又は基板上に底部金属層を堆積させるステップと、底部金属層を絶縁するために底部金属層上に底部絶縁層を堆積させるステップと、底部シールリング溝を形成するために底部絶縁層をパターン形成するステップと、底部シールリングを形成するように底部シールリング溝を充填するために、底部絶縁層上に相互接続金属層を堆積させるステップと、コンタクトパッド間に電気的接続部を形成するように、かつ電気的接続部の周囲に中央シールリングを形成するように相互接続金属層をパターン形成するステップと、相互接続金属層を絶縁し、かつ相互接続金属層から中央シールリングを分離するように相互接続金属層上に上部絶縁層を堆積させるステップと、コンタクトパッドと結合された貫通孔を形成するように、かつ中央シールリングと結合された上部シールリング溝を形成するように上部絶縁層をパターン形成するステップと、貫通孔を充填することにより接触子の形成を開始するように、かつ上部シールリング溝を充填することにより上部シールリングの形成を開始するように、上部絶縁層上に上部金属層を堆積させるステップと、貫通孔を通る接触子の形成を完了し、分離したバリア層を形成し、かつ中央シールリングと結合された、上部シールリングの形成を完了するように上部金属層をパターン形成するステップと、第1の電子モジュールと第2の電子モジュールのコンタクトパッドを接触子に取り付け、かつモジュールシールリングを上部シールリングに取り付けるステップと、を含むことがある。
【0009】
実施形態によっては、光電子デバイス用の密封式電気的相互接続部を製造する方法は、次のステップを含むことがある、即ち、露出した電子コンタクトパッドを有する第1の電子モジュール及び第2の電子モジュールから平坦化された構造体を形成するステップと、平坦化された構造体上にモジュール金属層を堆積させ、第1及び第2の電子モジュールの電子コンタクトパッドに結合された貫通孔を有するように、堆積されたモジュール金属層をパターン形成するステップと、モジュール金属層を絶縁するようにモジュール金属層上に第1の絶縁層を堆積させ、貫通孔の内面を絶縁するように、堆積された第1の絶縁層をパターン形成するステップと、接触子を形成するように貫通孔内に及び第1の絶縁層上に相互接続金属層を堆積させ、第1及び第2の電子モジュールのコンタクトパッドに対応する接触子同士の間に電気的接続部を形成するように、堆積された相互接続金属層をパターン形成するステップと、相互接続金属層を封止するように相互接続金属層上に第2の絶縁層を堆積させるステップと、電気的相互接続部の密封を完成させるために第2の絶縁層上に最終のバリア層を堆積させるステップと、を含むことがある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】密封された電気的相互接続部200を備えた光電子デバイス100を示す。
図2】密封式電気的相互接続部200を備えた光電子デバイス100の断面図を示す。
図3】材料特性のグラフを示す。
図4A】密封された電気的相互接続部200を形成する方法300を示す。
図4B1】密封された電気的相互接続部200を形成する方法300を示す。
図4B2】密封された電気的相互接続部200を形成する方法300を示す。
図5】方法300によって生成された、密封された電気的相互接続部200の上面図を示す。
図6A】密封された電気的相互接続部200を形成する方法400を示す。
図6B】密封された電気的相互接続部200を形成する方法400を示す。
図6C】密封された電気的相互接続部200を形成する方法400を示す。
図7】平坦化された構造体310を形成するための方法500を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に記載する実施形態は、(光)電子デバイスの電子モジュール間に密封された電気的相互接続部を提供するために、密封式電気的相互接続部を有する電子デバイス又は光電子デバイスを導入することにより、上記の必要性及び課題に対処する。この(光)電子デバイスの実施形態は、以下の点を含む様々な有利な態様を有する。
【0012】
(1)実施形態は、電子モジュール及びそれらの電気的接続部に対して長寿命の生体適合性の環境的保護を提供することができる。実施形態は、10年間、又は20年間に渡って耐腐食性であることができ、従って、長期の生体内使用のためにこのデバイスを移植することを可能にする。
【0013】
(2)実施形態は、低製造コストをもたらす半導体バッチ製造技術を使用して製造することができる。
【0014】
(3)半導体製造技術から適合された薄膜形成技術は、処理品質及び制御の観点で非常に成熟している。
【0015】
(4)これらの薄膜形成技術を使用して、金属及びセラミックスなどの広範囲の材料を利用することができる。
【0016】
(5)実施形態は、極めて小さな寸法に小型化することができる。
【0017】
(6)実施形態によっては、密封式相互接続部は可撓性を有することがある。可撓性により、挿入のために必要な眼部の切開の寸法を最小にすることができる。更に、実施形態は、身体の動き、組織の柔軟性、及び周囲組織の形状の潜在的な発達に適応することができる。
【0018】
(7)実施形態は、最初の移植後にデバイスに周辺装置を追加することを可能にする、デバイスのモジュール方式設計を有することがある。そのような周辺装置は、遠隔式モジュール、感知モジュール(化学的、機械的、及び電気的なセンサなど)、機能的にアクティブなモジュール(レンズ及び神経刺激用の電極の収容など)を含むことがある。
【0019】
(8)実施形態は、接続部間の電流漏れ、及び水分の侵入に起因する誘電材料の電圧破壊などの、意図しない負の効果を防止する。
【0020】
図1は、光電子デバイス100の一実施形態を示し、光電子デバイス100は、第1の電子モジュール101と、第2の電子モジュール102と、第1の電子モジュール101と第2の電子モジュール102との間に密封された電気的結合を提供するための密封式電気的相互接続部200と、を含む。電気活性眼内レンズ実施態様(EA−IOL)では、第1の電子モジュール101及び第2の電子モジュール102は、EA−IOL110、電子モジュール120、又は電池パック130のうちのいずれかであり得る。第1及び第2の電子モジュールがこれらの要素のいずれかであり得ることを表すために、IOLは101/102/110とラベル付けされており、電子機器は101/102/120、電池は101/102/130とラベル付けされている。他の実施形態では、第1又は第2の電子モジュール101及び102は、集積回路とデバイスの組み合わせの密封された封入物であり得る。この明細書は、光電子デバイスの観点から策定されている。しかしながら、類似の実施形態を、生体内での使用のための非眼部の電子デバイスにおいても実装することができる。
【0021】
実施形態によっては、密封式電気的相互接続部200は、生体適合性であり得る。そのような実施形態は、生体内での使用のために、眼部組織などの組織に移植するのによく適している。
【0022】
実施形態によっては、密封式電気的相互接続部200は、可撓性を有することがある。既に考察したように、この可撓性により、光電子デバイス100を眼球内に挿入するために必要な眼部の切開の寸法を低減することができる。更に、実施形態は、身体の動き、組織の柔軟性、及び周囲組織の形状の潜在的な発達に適応することができる。
【0023】
実施形態によっては、密封式電気的相互接続部200は、半導体バッチ製造技術によって製造可能であることがある。半導体技術は成熟し効率的であるので、そのような技術を適合させることで、優れた制御を有し、非常に小型の信頼性の高いデバイスを低コストで製造することができる。
【0024】
図2は、光電子デバイス100の一実施形態の断面図を幾らか詳細に示す。前述と同じように、デバイス100は第1の電子モジュール101と第2の電子モジュール102とを含むことがあり、第1の電子モジュール101はこの場合では集積回路などの封止された電子機器120であり、第2の電子モジュール102はこの場合では封止された電池パック130である。他の実施形態では、電子モジュールのうちの1つは、電気活性IOL110であり得る。密封式電気的相互接続部200は、これらの2つ以上のモジュール間に電気的接続を提供し、以下の要素を含むことができる。
【0025】
密封式電気的相互接続部200は、底部金属層210を含むことがある。この底部金属層210は、後で取り除くことができるウェハ又は基板上に形成することができる。
【0026】
密封式電気的相互接続部200は、底部金属層210を絶縁するために底部金属層210上に堆積され、かつ、底部シールリング溝261bt(明確にするために後程図4Aに示される)を形成するようにパターン形成された、底部絶縁層220を含むことがある。
【0027】
密封式電気的相互接続部200は、相互接続金属層230を含むことがあり、相互接続金属層230は、底部絶縁層220上に堆積され、かつ、底部シールリング261bを形成するために底部シールリング溝261btを充填するように堆積され、かつ底部シールリング261bと結合された中央シールリング261mによって囲まれた、コンタクトパッド234−1と234−2との間に電気的接続部を形成するようにパターン形成される。
【0028】
密封式電気的相互接続部200はパターン形成された上部絶縁層240を含むことがあり、パターン形成された上部絶縁層240は、相互接続金属層230を絶縁するために相互接続金属層230上に堆積され、また、コンタクトパッド234−1及び234−2用の貫通孔242−1及び242−2(明確にするために、後程図4B1〜4B2に示される)を形成するように、かつ中央シールリング261mと結合された上部シールリング溝261tt(明確にするために、後程図4B1〜4B2に示される)を形成するようにパターン形成される。
【0029】
密封式電気的相互接続部200は、上部金属層250を含むことがあり、上部金属層250は、上部絶縁層240上に堆積され、また、接触子254−1及び254−2の形成を開始するために貫通孔242−1及び242−2を充填するように、かつ、上部シールリング261tの形成を開始するために上部シールリング溝261ttを充填するように堆積され、また、貫通孔242−1及び242−2を通る接触子254−1及び254−2の形成を完了するように、かつ分離したバリア層256を形成するように、かつ上部シールリング261tの形成を完了するように、パターン形成される。
【0030】
実施形態によっては、第1及び第2の電子モジュール101/120及び102/130は、電子コンタクトパッド258−1及び258−2を有することがあり、これらの電子コンタクトパッド258−1及び258−2は接触子254−1及び254−2に取り付けられることがある。そうすることにより、第1の電子モジュール101/120と第2の電子モジュール102/130との間に、密封式電気的相互接続部200を介して電気的接続が確立される。
【0031】
実施形態によっては、デバイス100は、電子モジュールの外周に沿って第1及び第2の電子モジュール101/102に取り付けられたモジュールシールリング260を更に含むことができる。このモジュールシールリング260は、密封式相互接続部200の上部シールリング261tに取り付けられ固定されることができる。実施形態によっては、2つ以上のモジュールシールリング260が存在することがあり、例えば、図示するように、各電子モジュール101/120及び102/130は、それ自体のモジュールシールリング260を有することがある。これらの実施形態の全てにおいて、上部シールリング261tは、モジュールシールリング260のレイアウトと合致するような形状にすることができる。
【0032】
実施形態では、底部金属層210、底部シールリング261b、中央シールリング261m、上部シールリング261t、モジュールシールリング260、第1及び第2の電子モジュール101及び102のシールハウジング、及びバリア層256は、光電子デバイス100のための完全な密封を形成することができる。
【0033】
上部シールリング261tへのモジュールシールリング260の取り付けは、熱機械的結合、低融解温度合金を使用したリフロー処理、透過性材料を介したレーザー誘起リフロー、及び超音波接合などの、多種多様な方法によって行うことができる。適切な低融解温度合金の例は、Au/Snである。
【0034】
図2は、コンタクトパッド234−1と234−2との間の電気的接続部を示すことに的を絞っており、この電気的接続部は、それらのコンタクトパッドを目に見えて接続する相互接続金属層230によって形成される。一般的に、実施形態では、図示される接触子234−3及び234−4などの、幾つかの追加のコンタクトパッドが存在することがある。それらの電気的接続部は、相互接続金属層230の平面内に配置されることがあり、従って、図2に示す断面図の平面の内外に移動することがある。コンタクトパッド234−3及び234−4は、相互接続金属層230内に形成されたトレースによって電気的に接続されることができ、このトレースは、コンタクトパッド234−3において断面図の平面から外に出て、コンタクトパッド234−4において平面に再び入る。これが、コンタクトパッド234−3及び234−4が図2の断面図では接続されているように見えない理由である。これらのコンタクトパッドは、断面平面の外側にあるトレースを通じて接続されているのである。相互接続金属230の平面内のそのような追加の電気的接続のレイアウトの上面図を、図7Bに示す。説明を容易にするために、この明細書の残りの部分では、コンタクトパッド234−1と234−2との間の電気的接続に的を絞っているが、説明は、断面平面の前方及び断面平面の背後にある、他の電気的接続にも同様に当てはまることを理解されたい。
【0035】
図3は、原則として、底部金属層210のために多種多様な材料が考えられ得ることを示す。しかしながら、生体組織への長期の移植可能性が、厳しい選択基準を設定する。最終的な金属層の実施形態は、(b)非常に長期間に渡って、(a)透過性が低く、(c)薄い層厚さを有するべきである。これらの基準を満足することが、移植後10年経っても、水分の侵入又は漏れが確実に発生しないようにするために必要である。
【0036】
図3は、長期間が10年間以上に設定される場合、シリコーン、エポキシ樹脂、及びポリマーは、一般的に不適当であり、所望の設計性能を達成するためには、ガラスであっても数ミリメートルの厚さを必要とすることを示す。眼科用途では、数ミリメートルの厚さの接続部に対する余地はない。従って、相互接続部200の実施形態では、底部金属層210は、金属又はセラミックスとして選択される。金属が使用される実施形態では、金属は、少なくとも10年間の期間に渡り、0.5〜1ミクロンの範囲内の金属厚さで、10−14g/(cmsectorr)未満の透過性を有することがある。他の実施形態では、透過性は10−13g/(cmsectorr)未満であることがあり、更に他の実施形態では、10−15g/(cmsectorr)未満であることがあり、両方とも、少なくとも10年間の期間に渡り、0.5〜1ミクロンの範囲内の同じ金属厚さにおいての場合である。これらの基準を満足し、かつ生体適合性である金属には、Ti、Au、Pt、又はNbが含まれる。従って、底部金属層210の実施形態は、Ti、Au、Pt、若しくはNb、又はこれらの金属のうちの1つ若しくは複数を含む合金を使用して、形成することができる。
【0037】
光電子デバイス100の多くの実施形態が、金属層210及び250が金属から形成されるという観点から主として説明されるのに対して、他の実施形態では、これらの同じ層210及び250がセラミックスから形成されることがある。
【0038】
また、底部金属層210の実施形態は、少なくとも10年間の間、平衡塩類溶液(BSS)による腐食に耐えることができる。
【0039】
更に、第1及び第2の絶縁層は、多種多様な絶縁材料から形成されることができる。光画像化できる材料は特に適している、というのも、それらを使用することにより、光電子デバイス100を製造するのに必要とされるリソグラフィー工程の数を低減することができるからである。そのような光画像化可能な材料の例としては、ポリイミドが挙げられる。他の実施形態では、非光画像化可能な材料も同様に使用されることがある。
【0040】
実施形態によっては、上部絶縁層240は、シール効率を高めるために、貫通孔において階段状の「ピラミッド型」のカバレッジパターンを有する。そのような実施形態は、より良好なシール特性を有することができるが、その製造には追加の工程が必要となることがある。そのような実施形態の一例を、図6に関連して幾らか詳細に説明する。
【0041】
図4A、4B1、4B2は、密封式電気的接続部200を製造する方法300を示す。明確にするために、図4A、4B1、4B2は、2列に分けてステップを示す。右側には、ステップ(a、b、c)及びこれらのステップの下位ステップ(c1、d2)が示されており、これらは、層及び電気的接続部の形成に関係する。左側には、ステップ(bs、cs)及びこれらステップの下位ステップ(c1s、d2s)が示されており、これらは、シールの形成に関係する。電気的接続部及びシールの形成は、層が堆積されると、両方の目的のために層をパターン形成することにより、並行して行われる。
【0042】
光電子デバイスは、両方のエッジ上に明らかにシール構造を有する。右側のシールは、図が雑然としないように、図示されていない。それらのシールの存在は、点線によってのみ参照される。
【0043】
方法300は、以下のステップを含むことがある。
【0044】
ステップ300(a)−ウェハ(又は基板)212上に底部金属層210を堆積させる。基板/ウェハ212は、例えば<100>、n型のシリコンとすることができる。上記で考察したように、この堆積工程のために使用される金属は、約1ミクロンなどの0.5〜5ミクロンの範囲内の厚さを有し、10年間以上に渡り低透過性であるという厳しい基準を満足すべきである。これらの基準を満足する金属の例としては、Ti、Au、Pt、及びNbが挙げられる。底部金属層210の厚さは、0.5〜2ミクロンとすることができる。場合によっては、この底部金属層210は、実際には、1ミクロンのAu層及び500オングストロームのTi層などの、2つの金属層から構成されることがある。
【0045】
ステップ300(b)−底部金属層210を封止するために底部金属層210上に底部絶縁層220を堆積させる。底部絶縁層220は、例えば、1ミクロンなどの0.5〜5ミクロンの範囲内の厚さで、スピンコーティングを用いて堆積させることができる。底部絶縁層は、光画像化可能な層とすることができる。絶縁層220がそのようなフォトレジストである幾つかの実施形態では、絶縁層220は、典型的な「マスクを用いた露光−フォトレジストの現像−熱処理(「焼成」)」手順を用いてパターン形成することができる。他の実施形態では、絶縁層220は非フォトレジスト層とすることができ、この場合には、パターン形成は、追加の別個のフォトレジスト層を堆積させるステップと、これに続く露光ステップ、現像ステップ、及びエッチングステップとを含むリソグラフィー手順によって行われる。
【0046】
ステップ300(bs)−底部シールリング溝261btを形成するように底部絶縁層220をパターン形成する。この底部シールリング溝261btは、リング状のレイアウトを有する小さなノッチとすることができ、計画された電気的接続部の設置場所を取り囲んでいる。
【0047】
ステップ300(c1)−底部絶縁層220を遮断するために、底部絶縁層220上に相互接続金属層230を堆積させる。相互接続金属層230は、例えば、スパッタリングを用いて堆積させることができる。相互接続金属層の厚さは、1ミクロンなど、0.5〜5ミクロンとすることができる。金属層230は、Au、Ti、又は等価物から作製することができる。
【0048】
ステップ300(c1s)−底部シールリング261bを形成するために底部シールリング溝261btを充填するように相互接続金属層230を堆積させる。
【0049】
ステップ300(c2)−コンタクトパッド234−1と234−2との間に電気的接続部を形成するように相互接続金属層230をパターン形成する。このパターン形成は、所望のパターンを形成するために、フォトレジスト232を堆積させ、相互接続マスクを使用して露光させ、次いでフォトレジスト232を現像し、非露光部分を取り除き、次いで相互接続金属層230をエッチング除去することによって、行われることができる。図4Aでは、コンタクトパッド234−1と234−2との間に、単純な直線の電気的接続部が形成されている。図7Bは、2次元のより複雑な電気的接続パターンの形成を示している。
【0050】
ステップ300(c2s)−底部シールリング261bと結合させて、電気的接続部の周囲に中央シールリング261mを形成するように、相互接続金属層230をパターン形成する。
【0051】
図4B1〜4B2は、ステップ300(d1)を示す。ステップ300(d1)−相互接続金属層230を絶縁するために、相互接続金属層230上に上部絶縁層240を堆積させる。
【0052】
ステップ300(d1s)−相互接続金属層230から中央シールリング261mを分離するために上部絶縁層240を堆積させる。
【0053】
ステップ300(d2)−コンタクトパッド234−1及び243−2と結合された、貫通孔242−1及び242−2を形成するように、上部絶縁層240をパターン形成する。上部絶縁層240のパターン形成は、フォトレジストを堆積させる−貫通マスクを用いてフォトレジストを露光する−フォトレジストを現像する−上部絶縁層240に貫通孔242をエッチングする、という通常の方法を用いて、行うことができる。実施形態によっては、上部絶縁層をフォトレジスト自体とすることができ、手順の工程をより少なくすることができる。
【0054】
ステップ300(d2s)−中央シールリング261mと結合された上部シールリング溝261ttを形成するように上部絶縁層240をパターン形成する。
【0055】
ステップ300(e1)−貫通孔242−1及び242−2を充填することにより接触子254−1及び254−2の形成を開始するために、上部絶縁層240上に上部金属層250を堆積させる。
【0056】
ステップ300(e1s)−(e1s)上部シールリング溝261ttを充填することにより上部シールリング261tの形成を開始するために上部金属層250を堆積させる。
【0057】
ステップ300(e2)−貫通孔242ー1及び242−2を通る接触子254−1及び254−2の形成を完了するように、並びに、相互接続部200全体のための水分バリア及び遮断体として機能するように、分離したバリア層256を形成するように、上部金属層250をパターン形成する。バリア層256は、構造強度も提供することができる。通常通り、上部金属層250のパターン形成は、フォトレジスト252を堆積させて露光させ、これに続いてエッチング工程を行うことにより、行うことができる。エッチングにより、上部金属層250をバリア層256と接触子254−1及び254−2とに分離することができ、バリア層256は、相互接続金属層230とは電気的に結合されておらず、接触子254−1及び254−2は、貫通孔242ー1及び242−2を通じて相互接続金属層230と電気的に結合されている。図2に示すように、これらの接触子254−1及び254−2は、揺りかごの形状を有することができる。
【0058】
ステップ300(e2s)−中央シールリングに結合された、上部シールリング261tの形成を完了するように、上部金属層250をパターン形成する。上部シールリング261tは、接触子254と非常によく似た形状を有することができるが、重要な相違点は、上部シールリング261tの機能は封止及び保護であるので、上部シールリング261tは相互接続金属層230から電気的に絶縁されていることである。図示するように、場合によっては、上部シールリング261tは揺りかご形状を有することがある。上部シールリング261tは、中央シールリング261mと結合されることができ、かつ、保護を完成させるために閉ループ状に相互接続部200の全周の周りに延びることができる。実施形態によっては、第1及び第2の電子モジュール101及び102の周りに、別個の上部シールリング261tが存在する。
【0059】
ステップ300(f)−接触子254−1及び254−2上に、第1の電子モジュール101及び第2の電子モジュール102のコンタクトパッド258−1及び258−2を取り付ける。
【0060】
ステップ300(fs)−上部シールリング261tに、モジュールシールリング260を取り付ける。このステップ300(fs)は、実施形態によっては、密封式電気的相互接続部200の周囲の封止を完成させる。
【0061】
この明細書の説明は、2つの接触子254−1及び254−2に関して実施形態を表現したが、明らかに、様々な実施形態では、接触子の数は実質的により多いことがある。例えば、図7Bの実施形態は、10個の異なる接触子が密封式電気的相互接続部200によって電気的に接続される設計を示している。
【0062】
図5は、方法300によって製造された相互接続部200の上面図を示す。接触子254−1及び254−2が示されている。この実施形態では、これらの接触子のそれぞれが2個ずつある。図5の平面の下では、これらの4つの接触子254−1及び254−2は、パターン形成された相互接続金属層230によって、対になって電気的に接続されている。
【0063】
これらの接触子254は、上部絶縁層240によって囲まれている。上面が生体組織に曝されるか又は曝される可能性がある場所は、上部はバリア層256によって覆われる。最後に、上部シールリング261tが、この配置の外周全体の周りにリングを形成するように示されている。
【0064】
実施形態によっては、相互接続金属層230、底部金属層210、及び上部金属層250の堆積は、スパッタリングを含むことがある。堆積された底部金属層210及び上部金属層250は、Ti、Au、Pt、若しくはNb、又はそれらの合金を含むことがある。
【0065】
また、実施形態によっては、底部絶縁層220及び上部絶縁層240の堆積及びパターン形成は、スピンコーティング、スプレーコーティング、又はラミネーションを含むことがある。
【0066】
図示するように、外側の縁部では、形成された層の不要な部分を、例えばレーザー切断によって切除することができる。
【0067】
図6A〜6Cは、光電子デバイス100用の密封式電気的相互接続部200の一実施形態を製造するための方法400を示す。方法300は、電子モジュールとの接触面から最も遠い層、即ち底部金属層210から堆積シーケンスを開始する。代替として、これから説明する方法400は、電子モジュールとの接触面に最も近い層を堆積させることから開始する。この意味で、方法300及び400は互いに補完的である。これらの方法は、それぞれ、ボトムアップ手順及びトップダウン手順と呼ばれることもある。方法400は、以下のステップを含むことがある。より明確にするために、各ステップごとに側面図及び底面図が設けられている。
【0068】
ステップ400(a)−露出した電子コンタクトパッド330−1及び330−2を有する少なくとも第1の電子モジュール101/320−1及び第2の電子モジュール102/320−2から、平坦化された構造体310を形成する。前述したように、第1及び第2の電子モジュール101/320−1及び102/320−2は、電気活性IOL110、電子機器120、又は電池スタック130のうちのいずれかであり得る。図示した実施形態では、平坦化された構造体310は、3つの電子モジュール110、120、及び130の全てから形成される。前述したように、1つの電子モジュールにつき1つのコンタクトパッドのみが明示的に説明されているが、様々な実施形態はより多くのコンタクトパッドを有することがある。
【0069】
平坦化された構造体310を形成するための可能な方法が、図7に関連して説明される。
【0070】
ステップ400(b)−平坦化された構造体310上にモジュール金属層340を堆積させ、また、第1及び第2の電子モジュール101/320−1及び102/320−2の電子コンタクトパッド330−1及び330−2に結合された、貫通孔350−1及び350−2を有するように、堆積されたモジュール金属層340をパターン形成する。実施形態では、貫通孔350の数は、コンタクトパッド330の数と同じであり得る。
【0071】
図6Bは、ステップ400(c)を示す。ステップ400(c)−モジュール金属層340を絶縁するために、モジュール金属層340上に第1の絶縁層360を堆積させ、また、貫通孔350−1及び350−2の内面を絶縁するように、堆積された第1の絶縁層360をパターン形成する。
【0072】
ステップ400(d)−接触子351−1及び351−2を形成するために貫通孔350−1及び350−2内に及び第1の絶縁層360上に相互接続金属層370を堆積させ、また、第1及び第2の電子モジュール101/320−1及び102/320−2のコンタクトパッドに対応する接触子351−1と351−2との間に電気的接続部375を形成するように、堆積された相互接続金属層370をパターン形成する。
【0073】
図6Cは、ステップ400(e)を示す。ステップ400(e)−相互接続金属層370を封止するために、相互接続金属層370上に第2の絶縁層380を堆積させる。
【0074】
ステップ400(f)−電気的相互接続部200の密封を完成させるために、第2の絶縁層380上に最終バリア層390を堆積させる。
【0075】
方法400は、ステップ400(a)で平坦化された構造体310を形成するために使用された平坦化された構造体の支持体395を取り除く任意選択的なステップを含むことができる。
【0076】
図7は、準備のステップ400(a)の一実施形態である方法500を幾らか詳細に示す。平坦化された構造体を形成する方法500は、以下のステップを含むことができる。
【0077】
ステップ500(a)−一時的な基板510を設ける。
【0078】
ステップ500(b)−第1及び第2の電子モジュール101/320−1及び102/320−2を一時的な基板510に接着剤を用いて取り付ける。
【0079】
ステップ500(c)−第1及び第2の電子モジュール101/320−1及び102/320−2をエポキシ樹脂520で覆う。このエポキシ樹脂は、方法400の平坦化された構造体の支持体395の一実施形態であり得る。
【0080】
ステップ500(d)−一時的な基板510を取り除く。
【0081】
方法400に関して、実施形態によっては、ステップ400(d)で相互接続金属層370を堆積させるステップは、スパッタリングを用いて行うことができる。また、ステップ400(c)で第1の絶縁層360を堆積させるステップ、又はステップ400(e)で第2の絶縁層380を堆積させるステップは、スピンコーティングを用いて行うことができる。
【0082】
モジュール金属層340を堆積させるステップ400(b)及び最終バリア層390を堆積させるステップ400(f)は、Ti、Au、Pt、及びNbのうちの少なくとも1つを含む金属層を堆積させるステップを含むことがある。
【0083】
この明細書は多くの詳細を含んでいるが、それらは、本発明の範囲または特許請求され得る内容に対する限定と解釈されるべきではなく、むしろ、特定の実施形態に特有の特徴の説明と解釈されるべきである。別々の実施形態の文脈においてこの明細書で説明された特定の特徴同士は、単一の実施形態において組み合わせて実装されることもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明された様々な特徴は、複数の実施形態において別々に実装されることができ、又は、任意の適切な下位の組み合わせで実装されることができる。更に、特徴は、特定の組み合わせで機能するとして上記で説明されることがあり、更にそのように初めにクレームされることがあるが、あるクレームされた組み合わせからの1つ又は複数の特徴は、場合によっては、その組み合わせから削除されることができ、クレームされた組み合わせは、下位の組み合わせ又は下位の組み合わせの変形例に導かれることができる。
図1
図2
図3
図4A
図4B1
図4B2
図5
図6A
図6B
図6C
図7