【文献】
ANONYMOUS,STUDY OF ORALLY ADMINISTERED AG-120 IN SUBJECTS WITH ADVANCED HEMATOLOGIC MALIGNANCIES WITH AN IDH1 MUTATION,CLINICALTRIALS.GOV,2014年 2月21日,PAGE(S):1-8,URL,https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02074839?term=nct02074839&rank=1
【文献】
ERICA HANSEN,AG-120, AN ORAL, SELECTIVE, FIRST-IN-CLASS, POTENT INHIBITOR OF MUTANT IDH1, REDUCES INTRACELLULAR 2HG AND INDUCES CELLULAR DIFFERENTIATION IN TF-1 R132H CELLS AND PRIMARY HUMAN IDH1 MUTANT AML PATIENET SAMPLES TREATED EX VIVO,BLOOD,2014年12月 4日,VOL:124, NR:21,PAGE(S):3734/1-6,URL,http://www.bloodjournal.org/content/124/21/3734
【文献】
COURTNEY DINARDO,MOLECULAR PROFILING AND RELATIONSHIP WITH CLINICAL RESPONSE IN PATIENTS WITH IDH1 MUTATION-POSITIVE HEMATOLOGIC MALIGNANCIES RECEIVING AG-120, A FIRST-IN-CLASS POTENT INHIBITOR OF MUTANT IDH1, IN ADDITION TO DATA FROM THE COMPLETED DOSE ESCALATION PORTION OF THE PHASE 1 STUDY,BLOOD,米国,2015年12月 3日,VOL:126,PAGE(S):1306/1-6,URL,http://www.bloodjournal.org/content/126/23/1306
【文献】
GREEN C L,THE PROGNOSTIC SIGNIFICANCE OF IDH1 MUTATIONS IN YOUNGER ADULT PATIENTS WITH ACUTE MYELOID LEUKEMIA IS DEPENDENT ON FLT3/ITD STATUS,BLOOD,2010年 7月22日,VOL:116, NR:15,PAGE(S):1-10(2779-2782),URL,http://dx.doi.org/10.1182/blood-2010-02-270926
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0056】
詳細な説明
以下の説明中に示されるまたは図面中に例示される構成要素の構築および配置の詳細は、限定であることを意味しない。本発明を実施するための他の実施形態および異なる方法は、明白に含まれる。また、本明細書で使用される言い回しおよび専門用語は、説明を目的としており、限定とみなすべきではない。本明細書での「含む(including)」、「含む(comprising)」または「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」およびそれらのバリエーションの使用は、その後ろに列挙された項目およびそれらの等価物、ならびにさらなる項目を包含することを意味する。
定義:
【0057】
用語「変異体IDH2阻害剤」または「IDH2変異体(単数または複数)の阻害剤」とは、例えば、ダイマー、例えば、変異体IDH2サブユニットのホモダイマーまたは変異体および野生型サブユニットのヘテロダイマーの形成を阻害することによって、IDH2変異体サブユニットに結合し新規活性(neoactivity)を阻害する分子、例えば、ポリペプチド、ペプチドもしくは小分子(例えば、1,000ダルトン未満の分子)、またはアプタマーを意味する。一部の実施形態では、新規活性の阻害は、変異体IDH2阻害剤の非存在下での活性と比較して、少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%または99%である。一実施形態では、変異体IDH2阻害剤は化合物1である。
【0058】
用語「変異体IDH1阻害剤」または「IDH1変異体(単数または複数)の阻害剤」とは、例えば、ダイマー、例えば、変異体IDH1サブユニットのホモダイマーまたは変異体および野生型サブユニットのヘテロダイマーの形成を阻害することによって、IDH1変異体サブユニットに結合し新規活性を阻害する分子、例えば、ポリペプチド、ペプチドもしくは小分子(例えば、1,000ダルトン未満の分子)、またはアプタマーを意味する。一部の実施形態では、新規活性の阻害は、変異体IDH1阻害剤の非存在下での活性と比較して、少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%または99%である。一実施形態では、変異体IDH1阻害剤は化合物2である。
【0059】
本明細書で使用する場合、用語「野生型」とは、それが天然に存在する場合の典型的なまたは最も一般的な形態の特徴(例えば、遺伝子の配列もしくは存在、またはタンパク質の配列、存在、レベルもしくは活性)、および他の全てが比較される参照を指す。当業者に理解されるように、本明細書で使用する場合、野生型とは、最も一般的には天然に存在する場合の、典型的な遺伝子配列(単数または複数)または遺伝子発現レベルを指す。
【0060】
本明細書で使用する場合、「同時存在する変異」とは、IDH1またはIDH2変異に加えて、本明細書のがん対象中に存在する1つまたは複数の遺伝子変異を指す。
【0061】
用語「FLT3経路阻害剤」または「FLT3標的化化合物」または「FLT3阻害剤」とは、FLT3に特異的に結合してそれを阻害し、FLT3媒介性シグナル伝達経路の活性化に干渉し、FLT3を過剰発現するがん細胞において細胞増殖を低減させる化合物を指す。ある特定の実施形態では、FLT3阻害剤は、野生型FLT3に特異的に結合してそれを阻害する化合物である。ある特定の実施形態では、FLT3阻害剤は、変異体FLT3、例えば、FLT3−ITD(FLT3遺伝子のJMドメインコード配列中の内部タンデム重複変異)および/またはFLT3−KDM(D835残基におけるミスセンス点変異ならびにFLT3のTKドメイン内のD835を取り囲むコドンにおける点変異、欠失および挿入)に特異的に結合してそれを阻害する化合物である。本明細書の使用のための例示的なFLT3阻害剤には、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブおよびDCC−2036が含まれるがこれらに限定されない。
【0062】
用語「2HGの上昇したレベル」とは、変異体IDH1対立遺伝子を保有しない対象中に存在するよりも、10%、20%、30%、50%、75%、100%、200%、500%またはそれよりも多くの2HGが、変異体IDH1対立遺伝子を保有する対象中に存在することを意味する。用語「2HGの上昇したレベル」とは、細胞内、腫瘍内、腫瘍を含む臓器内、または体液内の、2HGの量を指し得る。
【0063】
用語「体液」には、胎仔の周囲の羊水、眼房水、血液(例えば、血漿)、血清、脳脊髄液、耳垢、糜粥、カウパー腺液、女性射出液(female ejaculate)、間質液、リンパ液、母乳、粘液(例えば、鼻漏または痰)、胸水、膿汁、唾液、皮脂、精液、血清、汗、涙、尿、腟分泌物または嘔吐物のうち1つまたは複数が含まれる。
【0064】
用語「阻害する」または「防止する」には、完全および部分的の両方の阻害および防止が含まれる。阻害剤は、意図した標的を完全にまたは部分的に阻害し得る。
【0065】
用語「対象」は、ヒトおよび非ヒト動物を含む意図である。例示的なヒト対象には、障害、例えば、本明細書に記載される障害を有するヒト患者(患者と呼ばれる)または正常対象が含まれる。本発明の一態様の用語「非ヒト動物」には、全ての脊椎動物、例えば、非哺乳動物(例えば、ニワトリ、両生類、爬虫類)および哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、家畜化されたおよび/または農業的に有用な動物、例えば、ヒツジ、イヌ、ネコ、雌ウシ、ブタなどが含まれる。
【0066】
用語「処置する」とは、疾患/障害(例えば、各々がIDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする、進行した血液悪性疾患を含む血液悪性疾患、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、B細胞急性リンパ球性白血病(B−ALL)もしくはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)、または神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、胆管癌(肝内胆管癌(IHCC)を含む)、前立腺がん、結腸がんもしくは非小細胞肺がん(NSCLC)を含む固形腫瘍;あるいは、各々がIDH2の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄肉腫、多発性骨髄腫、リンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)もしくは芽球形質細胞様樹状細胞腫瘍、または固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫もしくは胆管癌(例えば、神経膠腫)、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL))の発症もしくは進行を、減少、抑制、減弱、減退、停止もしくは安定化すること、疾患/障害の重症度を低下させること、または疾患/障害と関連する症状を改善することを意味する。一実施形態では、進行した血液悪性疾患は、再発性または難治性である。一実施形態では、固形腫瘍は、再発性または難治性である。
【0067】
障害を処置するのに有効な、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、互変異性体、立体異性体、アイソトポログ、プロドラッグもしくは多形体を含む化合物の量、または「治療有効量」もしくは「治療有効用量」とは、対象への単一または複数用量の投与の際に、細胞を処置するのに有効な、またはかかる処置の非存在下で予測されるものを超えて、障害を有する対象を治癒、軽減、救済もしくは改善するのに有効な、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、互変異性体、立体異性体、アイソトポログ、プロドラッグまたは多形体を含む化合物の量を指す。
【0068】
用語「共投与する」とは、さらなるがん治療剤に関して本明細書で使用する場合、さらなるがん治療剤が、単一の剤形(例えば、上記のような化合物および第2の治療剤を含む組成物)または別々の複数の剤形の一部として、本明細書で提供される化合物と一緒に投与され得ることを意味する。あるいは、さらなるがん治療剤は、本明細書で提供される化合物の投与の前に、それと連続的に、またはその後に投与され得る。かかる併用治療処置では、本明細書で提供される化合物および第2の治療剤(単数または複数)の両方が、従来の方法によって投与される。本明細書で提供される化合物および第2の治療剤の両方を含む組成物の、対象への投与は、処置の過程の間の別の時点における、本明細書で提供されるその同じ治療剤、任意の他の第2の治療剤または任意の化合物の、その対象への別々の投与を排除しない。用語「共投与する」とは、さらなるがん処置に関して本明細書で使用する場合、さらなるがん処置が、本明細書で提供される化合物の投与の前に、それと連続的に、それと同時発生的に、またはその後に行われ得ることを意味する。
【0069】
用語「他の立体異性体を実質的に含まない」とは、本明細書で使用する場合、1つまたは複数の選択された立体中心において選択された立体化学を有する化合物が、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%富化された調製物を意味する。
【0070】
用語「富化された」とは、調製物の少なくとも指定された百分率が、1つまたは複数の選択された立体中心において選択された立体化学を有する化合物であることを意味する。
【0071】
用語「結晶性」とは、高度に規則的な化学構造を有する固体を指す。特に、結晶性化合物1は、化合物1の1つまたは複数の単一結晶性形態として産生され得、結晶性化合物2は、化合物2の1つまたは複数の単一結晶性形態として産生され得る。本出願の目的のために、用語「結晶性形態」、「単一結晶性形態」および「多形体」は、同義であり;これらの用語は、異なる特性(例えば、異なるXRPDパターンおよび/または異なるDSCスキャン結果)を有する結晶間を識別する。用語「多形体」には、典型的には材料の異なる溶媒和物である、したがってそれらの特性が互いに異なる、疑似多形体(pseudopolymorph)が含まれる。したがって、化合物1の各別個の多形体および疑似多形体は、本明細書では別個の単一結晶性形態であるとみなされ、化合物2の各別個の多形体および疑似多形体は、本明細書では別個の単一結晶性形態であるとみなされる。
【0072】
用語「実質的に結晶性」とは、少なくとも特定の重量パーセントが結晶性であり得る形態を指す。特定の重量百分率は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または10%と100%との間の任意の百分率である。一部の実施形態では、実質的に結晶性の化合物1とは、少なくとも70%が結晶性である化合物1を指す。他の実施形態では、実質的に結晶性の化合物1とは、少なくとも90%が結晶性である化合物1を指す。一部の実施形態では、実質的に結晶性の化合物2とは、少なくとも70%が結晶性である化合物2を指す。他の実施形態では、実質的に結晶性の化合物2とは、少なくとも90%が結晶性である化合物2を指す。
【0073】
用語「単離された」とは、少なくとも特定の重量パーセントの、特定の結晶性形態の化合物であり得る形態を指す。特定の重量百分率は、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または90%と100%との間の任意の百分率である。
【0074】
用語「溶媒和物または溶媒和された」とは、1つまたは複数の溶媒分子との、その結晶性形態を含む本発明の化合物の物理的会合を意味する。この物理的会合には、水素結合が含まれる。ある特定の場合には、溶媒和物は、例えば、1つまたは複数の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子中に取り込まれる場合、単離が可能である。「溶媒和物または溶媒和された」は、溶液相溶媒和物および単離可能な溶媒和物の両方を包含する。代表的な溶媒和物には、例えば、水和物、エタノレート(ethanolate)またはメタノレート(methanolate)が含まれる。
【0075】
用語「水和物」は、溶媒分子が規定された化学量論量で存在するH
2Oである溶媒和物であり、これには、例えば、半水和物、一水和物、二水和物または三水和物が含まれ得る。
【0076】
用語「混合物」は、組合せの相状態(例えば、液体または液体/結晶性)にかかわらず、混合物の組み合わされた要素を指すために使用される。
【0077】
用語「シーディング」は、再結晶化または結晶化を開始するための結晶性材料の添加を指すために使用される。
【0078】
用語「貧溶媒」は、その結晶性形態を含む化合物がその中であまり可溶性でない溶媒を指すために使用される。
【0079】
用語「薬学的に許容される担体またはアジュバント」とは、本発明の一態様の化合物と一緒に対象に投与され得、その薬理学的活性を破壊することがなく、治療量の化合物を送達するのに十分な用量で投与される場合に非毒性である、担体またはアジュバントを指す。
【0080】
用語「薬学的に許容される塩」とは、本明細書で使用する場合、この用語が言及する化合物の非毒性の酸付加塩または塩基付加塩を指す。薬学的に許容される塩の例は、Bergeら、1977年、「Pharmaceutically Acceptable Salts.」J. Pharm. Sci. 66巻、1〜19頁で議論されている。
【0081】
用語「約」とは、およそ、〜の辺り、大まかに、またはおおよそを意味する。用語「約」が数値範囲と併せて使用される場合、これは、示された数値の上および下に境界を拡張させることによってその範囲を修飾する。一般に、用語「約」は、述べられた値の上および下の数値を10%の変動分修飾するために、本明細書で使用される。
化合物
A.化合物1
【0082】
一実施形態では、化合物1は、以下の式を有する2−メチル−1−[(4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]−6−{[2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イル]アミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]プロパン−2−オール、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、互変異性体、立体異性体、アイソトポログ、プロドラッグ、代謝物もしくは多形体である:
【化1】
【0083】
化合物1は、1つまたは複数の同位体的代替物(「アイソトポログ」)もまた含み得る。例えば、Hは、
1H、
2H(Dまたは重水素)および
3H(Tまたはトリチウム)を含む任意の同位体形態であり得;Cは、
12C、
13Cおよび
14Cを含む任意の同位体形態であり得;Oは、
16Oおよび
18Oを含む任意の同位体形態であり得る、など。例えば、化合物1は、H、Cおよび/またはOの特定の同位体形態が、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%富化される。
【0084】
化合物1はまた、ある特定の実施形態では、複数の互変異性体形態で示され得、かかる場合には、単一の互変異性体形態のみが示され得るとしても(例えば、ケト−エノール互変異性体)、本発明の一態様は、本明細書に記載される化合物1の全ての互変異性体形態を明白に含む。化合物1の全てのかかる異性体形態は、本明細書に明白に含まれる。化合物1の合成は、その全体が参照によって組み込まれる、2013年7月25日に公開された米国特許出願公開番号US−2013−0190287−A1に記載されている。
【0085】
化合物1の対応する塩、例えば、薬学的に許容される塩を調製、精製および/または取り扱うことは、簡便であり得るまたは所望され得る。薬学的に許容される塩の例は、Bergeら、1977年、「Pharmaceutically Acceptable Salts.」J. Pharm. Sci. 66巻、1〜19頁で議論されている。
【0086】
例えば、化合物1がアニオン性である場合、またはアニオン性であり得る官能基を有する場合(例えば、−NH−は−N−
−であり得る)、塩は、適切なカチオンを用いて形成され得る。適切な無機カチオンの例には、アルカリ金属イオン、例えば、Na
+およびK
+、アルカリ土類カチオン、例えば、Ca
2+およびMg
2+、ならびに他のカチオン、例えば、Al
3+が含まれるがこれらに限定されない。一部の適切な置換されたアンモニウムイオンの例は、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミンおよびトロメタミン、ならびにアミノ酸、例えば、リシンおよびアルギニンに由来するものである。一般的な四級アンモニウムイオンの一例は、N(CH
3)
4+である。
【0087】
化合物1がカチオン性である場合、またはカチオン性であり得る官能基を有する場合(例えば、−NHRは−NH
2R
+であり得る)、塩は、適切なアニオンを用いて形成され得る。適切な無機アニオンの例には、以下の無機酸に由来するものが含まれるがこれらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸および亜リン酸。
【0088】
適切な有機アニオンの例には、以下の有機酸に由来するものが含まれるがこれらに限定されない:2−アセチルオキシ安息香酸(2−acetyoxybenzoic)、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、トルエンスルホン酸および吉草酸。一実施形態では、化合物1は、2−メチル−1−[(4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]−6−{[2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イル]アミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]プロパン−2−オールのメシル酸塩を含む。適切なポリマー性有機アニオンの例には、以下のポリマー性酸に由来するものが含まれるがこれらに限定されない:タンニン酸、カルボキシメチルセルロース。
【0089】
したがって、本明細書で提供される方法および医薬組成物における使用のための化合物1には、化合物1自体、ならびに薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、互変異性体、立体異性体、アイソトポログ、プロドラッグ、代謝物または多形体が含まれる。化合物1の代謝物は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる特許出願公開番号WO2015/006592に開示されている。本明細書で提供される化合物1は、特定の組織を標的化するなどの、選択された生物学的特性を増強するために、適切な官能性を付け加えることによって、プロドラッグへと修飾および変換され得る。かかる修飾(即ち、プロドラッグ)は、当技術分野で公知であり、これには、所与の生物学的区画(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)中への生物学的透過を増加させ、経口利用能を増加させ、注射による投与を可能にするために溶解度を増加させ、代謝を変更し、排泄の速度を変更するものが含まれる。プロドラッグの例には、対象への投与の際に活性化合物を提供することが可能な、エステル(例えば、リン酸エステル、アミノ酸(例えば、バリン)エステル)、カルバメートおよび他の薬学的に許容される誘導体が含まれる。
【0090】
化合物1は、種々の固体形態で存在し得ることが見出されている。一実施形態では、整然とした(neat)結晶形態を含む固体形態が、本明細書で提供される。別の実施形態では、溶媒和された形態およびアモルファス形態を含む固体形態が、本明細書で提供される。本開示は、ある特定の固体形態の化合物1を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載される形態の化合物1を含む組成物を提供する。提供された組成物の一部の実施形態では、化合物1は、1つまたは複数の固体形態の混合物として存在し;提供された組成物の一部の実施形態では、化合物1は、単一の形態で存在する。
【0091】
一実施形態では、化合物1は、本明細書に記載される単一結晶性形態、または本明細書に記載される単一結晶性形態のいずれか1つである。結晶性形態の化合物1の合成は、2015年2月5日に公開された国際特許出願公開番号WO2015/017821および2015年2月4日に出願された米国仮特許出願番号61/112,127に記載されており、これらは共に、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。少なくとも1つの薬学的に許容される担体または希釈剤および本明細書に記載される単一結晶性形態、または本明細書に記載される結晶性形態のいずれか1つである化合物1を含む医薬組成物もまた提供される。医薬組成物を調製するための化合物1の使用であって、化合物1が、本明細書に記載される単一結晶性形態、または本明細書に記載される単一結晶性形態のいずれか1つである、使用もまた提供される。
【0092】
化合物1の結晶性形態を記述するための特徴付け情報の取り合わせが、本明細書で提供される。しかし、全てのかかる情報が、かかる特定の形態が所与の組成物中に存在することを決定するために当業者に必要であるわけではないが、特定の形態の決定が、特定の形態の存在を確立するために十分であると当業者がみなす特徴付け情報の任意の部分を使用して達成され得ること、例えば、単一の識別ピークであっても、かかる特定の形態が存在することを理解するために当業者にとって十分であり得ることを、理解すべきである。
【0093】
一実施形態では、化合物1の少なくとも特定の重量百分率が、結晶性である。特定の重量百分率は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、
【0094】
80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または10%と100%との間の任意の百分率であり得る。化合物1の特定の重量百分率が結晶性である場合、化合物1の残りは、化合物1のアモルファス形態である。結晶性化合物1の非限定的な例には、化合物1の単一結晶性形態、または異なる単一結晶性形態の混合物が含まれる。一部の実施形態では、化合物1は、少なくとも90重量%が結晶性である。一部の他の実施形態では、化合物1は、少なくとも95重量%が結晶性である。
【0095】
別の実施形態では、結晶性化合物1の特定の重量百分率は、特定の単一結晶性形態、または単一結晶性形態の組合せである。特定の重量百分率は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または10%と100%との間の任意の百分率であり得る。別の実施形態では、化合物1は、少なくとも90重量%の単一結晶性形態である。別の実施形態では、化合物1は、少なくとも95重量%の単一結晶性形態である。
【0096】
化合物1の以下の説明では、本発明の実施形態は、化合物1の特定の結晶性形態に関して、本明細書で議論される1つまたは複数の特性を特徴とするとして記載され得る。結晶性形態を特徴付ける記載は、結晶性化合物1中に存在し得る異なる結晶性形態の混合物を記載するためにも使用され得る。しかし、化合物1の特定の結晶性形態は、特定の結晶性形態に言及することに関連してまたは関連しないで、本明細書に記載される結晶性形態の特徴のうち1つまたは複数によっても特徴付けられ得る。
【0097】
結晶性形態は、詳細な説明および以下に与えられる例示的な実施例によって、さらに例示される。表1〜6に記載されるXRPDピークは、データを取得するために使用される機器に依存して、±0.2°変動し得る。表1〜6に記載されるXRPDピークの強度は、10%変動し得る。
形態1
【0098】
一実施形態では、化合物1の単一結晶性形態である形態1は、CuKα照射を使用して取得した、
図1に示される粉末X線回折(XRPD)パターンおよび表1に示されるデータによって特徴付けられる。特定の実施形態では、多形体は、表1に示されるような、
図1から得られたピークのうち1つまたは複数によって特徴付けられ得る。例えば、多形体は、表1に示されるピークのうち1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つによって特徴付けられ得る。
【表1】
【0099】
別の実施形態では、形態1は、8.9、13.0、18.9、23.8および28.1°の2θ角度において同定されたピークによって特徴付けられ得る。別の実施形態では、形態1は、8.9、18.9および23.8°の2θ角度において同定されたピークによって特徴付けられ得る。
形態2
【0100】
一実施形態では、化合物1の単一結晶性形態である形態2は、CuKα照射を使用して取得した、
図2に示される粉末X線回折(XRPD)パターンおよび表2に示されるデータによって特徴付けられる。特定の実施形態では、多形体は、表2に示されるような、
図2から得られたピークのうち1つまたは複数によって特徴付けられ得る。例えば、多形体は、表2に示されるピークのうち1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つによって特徴付けられ得る。
【表2】
【0101】
別の実施形態では、形態2は、12.7、17.1、19.2、23.0および24.2°の2θ角度において同定されたピークによって特徴付けられ得る。別の実施形態では、形態2は、12.7、19.2および24.2°の2θ角度において同定されたピークによって特徴付けられ得る。
形態3
【0102】
一実施形態では、化合物1の単一結晶性形態である形態3は、CuKα照射を使用して取得した、
図3に示される粉末X線回折(XRPD)パターンおよび表3に示されるデータによって特徴付けられる。特定の実施形態では、多形体は、表3に示されるような、
図3から得られたピークのうち1つまたは複数によって特徴付けられ得る。例えば、多形体は、表3に示されるピークのうち1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つによって特徴付けられ得る。
【表3】
【0103】
別の実施形態では、形態3は、6.8、10.6、13.6、14.2および19.2°の2θ角度において同定されたピークによって特徴付けられ得る。別の実施形態では、形態3は、10.6、14.2および19.2°の2θ角度において同定されたピークによって特徴付けられ得る。
形態4
【0104】
一実施形態では、化合物1の単一結晶性形態である形態4は、CuKα照射を使用して取得した、
図4に示される粉末X線回折(XRPD)パターンおよび表4に示されるデータによって特徴付けられる。特定の実施形態では、多形体は、表4に示されるような、
図4から得られたピークのうち1つまたは複数によって特徴付けられ得る。例えば、多形体は、表4に示されるピークのうち1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つによって特徴付けられ得る。
【表4】
【0105】
別の実施形態では、形態4は、7.2、13.6、18.5、19.3、21.9および23.5°の2θ角度において同定されたピークによって特徴付けられ得る。別の実施形態では、形態4は、13.6、18.5および23.5°の2θ角度において同定されたピークによって特徴付けられ得る。
形態5
【0106】
一実施形態では、化合物1の単一結晶性形態である形態5は、CuKα照射を使用して取得した、
図5に示される粉末X線回折(XRPD)パターンおよび表5に示されるデータによって特徴付けられる。特定の実施形態では、多形体は、表5に示されるような、
図5から得られたピークのうち1つまたは複数によって特徴付けられ得る。例えば、多形体は、表5に示されるピークのうち1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つによって特徴付けられ得る。
【表5】
【0107】
別の実施形態では、形態5は、6.4、8.4、9.8、17.8および19.7°の2θ角度において同定されたピークによって特徴付けられ得る。別の実施形態では、形態5は、8.4および9.8°の2θ角度において同定されたピークによって特徴付けられ得る。
形態6
【0108】
一実施形態では、化合物1の単一結晶性形態である形態6は、CuKα照射を使用して取得した、
図15に示される粉末X線回折(XRPD)パターンおよび表6に示されるデータによって特徴付けられる。特定の実施形態では、多形体は、表6に示されるような、
図6から得られたピークのうち1つまたは複数によって特徴付けられ得る。例えば、多形体は、表6に示されるピークのうち1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つによって特徴付けられ得る。
【表6】
【0109】
別の実施形態では、形態6は、8.1、14.1、16.4、17.3、20.5および24.1°の2θ角度において同定されたピークによって特徴付けられ得る。別の実施形態では、形態6は、8.1、16.4、17.3および24.1°の2θ角度において同定されたピークによって特徴付けられ得る。
B.化合物2
【0110】
化合物2は、(S)−N−((S)−1−(2−クロロフェニル)−2−((3,3−ジフルオロシクロブチル)アミノ)−2−オキソエチル)−1−(4−シアノピリジン−2−イル)−N−(5−フルオロピリジン−3−イル)−5−オキソピロリジン−2−カルボキサミド、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、互変異性体、立体異性体、アイソトポログ、プロドラッグまたは多形体である。化合物2は、以下の化学構造を有する:
【化2】
【0111】
化合物2は、1つまたは複数の同位体的代替物もまた含み得る。例えば、Hは、
1H、
2H(Dまたは重水素)および
3H(Tまたはトリチウム)を含む任意の同位体形態(「アイソトポログ」)であり得;Cは、
12C、
13Cおよび
14Cを含む任意の同位体形態であり得る;Oは、
16Oおよび
18Oを含む任意の同位体形態であり得る、など。例えば、化合物2は、H、Cおよび/またはOの特定の同位体形態が、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%富化される。
【0112】
化合物2はまた、ある特定の実施形態では、複数の互変異性体形態で示され得、かかる場合には、単一の互変異性体形態のみが示され得るとしても(例えば、ケト−エノール互変異性体)、本発明の一態様は、本明細書に記載される化合物2の全ての互変異性体形態を明白に含む。化合物2の全てのかかる異性体形態は、本明細書に明白に含まれる。化合物2の合成は、その全体が参照によって組み込まれる、2013年7月25日に公開された米国特許出願公開番号US−2013−0190249−A1に記載されている。
【0113】
化合物2の対応する塩、例えば、薬学的に許容される塩を調製、精製および/または取り扱うことは、簡便であり得るまたは所望され得る。薬学的に許容される塩の例は、Bergeら、1977年、「Pharmaceutically Acceptable Salts.」J. Pharm. Sci. 66巻、1〜19頁で議論されている。
【0114】
例えば、化合物2がアニオン性である場合、またはアニオン性であり得る官能基を有する場合(例えば、−NH−は−N−
−であり得る)、塩は、適切なカチオンを用いて形成され得る。適切な無機カチオンの例には、アルカリ金属イオン、例えば、Na
+およびK
+、アルカリ土類カチオン、例えば、Ca
2+およびMg
2+、ならびに他のカチオン、例えば、Al
3+が含まれるがこれらに限定されない。一部の適切な置換されたアンモニウムイオンの例は、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミンおよびトロメタミン、ならびにアミノ酸、例えば、リシンおよびアルギニンに由来するものである。一般的な四級アンモニウムイオンの一例は、N(CH
3)
4+である。
【0115】
化合物2がカチオン性である場合、またはカチオン性であり得る官能基を有する場合(例えば、−NHRは−NH
2R
+であり得る)、塩は、適切なアニオンを用いて形成され得る。適切な無機アニオンの例には、以下の無機酸に由来するものが含まれるがこれらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸および亜リン酸。
【0116】
適切な有機アニオンの例には、以下の有機酸に由来するものが含まれるがこれらに限定されない:2−アセチルオキシ安息香酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、トルエンスルホン酸および吉草酸。適切なポリマー性有機アニオンの例には、以下のポリマー性酸に由来するものが含まれるがこれらに限定されない:タンニン酸、カルボキシメチルセルロース。
【0117】
したがって、本明細書で提供される方法および医薬組成物における使用のための化合物2には、化合物2自体、ならびに薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、互変異性体、立体異性体、アイソトポログ、プロドラッグ、または多形体が含まれる。本明細書で提供される化合物2は、特定の組織を標的化するなどの、選択された生物学的特性を増強するために、適切な官能性を付け加えることによって、プロドラッグへと修飾および変換され得る。かかる修飾(即ち、プロドラッグ)は、当技術分野で公知であり、これには、所与の生物学的区画(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)中への生物学的透過を増加させ、経口利用能を増加させ、注射による投与を可能にするために溶解度を増加させ、代謝を変更し、排泄の速度を変更するものが含まれる。プロドラッグの例には、対象への投与の際に活性化合物を提供することが可能な、エステル(例えば、リン酸エステル、アミノ酸(例えば、バリン)エステル)、カルバメートおよび他の薬学的に許容される誘導体が含まれる。
【0118】
化合物2は、種々の固体形態で存在し得ることが見出されている。一実施形態では、整然とした結晶形態を含む固体形態が、本明細書で提供される。別の実施形態では、溶媒和された形態およびアモルファス形態を含む固体形態が、本明細書で提供される。本開示は、ある特定の固体形態の化合物2を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載される形態の化合物2を含む組成物を提供する。提供された組成物の一部の実施形態では、化合物2は、1つまたは複数の固体形態の混合物として存在し;提供された組成物の一部の実施形態では、化合物2は、単一の形態で存在する。
【0119】
一実施形態では、化合物2は、本明細書に記載される単一結晶性形態、または本明細書に記載される単一結晶性形態のいずれか1つである。結晶性形態の化合物2の合成は、共に2015年9月17日に公開された国際特許出願公開番号WO2015/138837およびWO2015/138839に記載されており、これらは共に、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。少なくとも1つの薬学的に許容される担体または希釈剤および化合物2を含む医薬組成物もまた提供され、化合物2は、本明細書に記載される単一結晶性形態、または本明細書に記載される結晶性形態のいずれか1つである。医薬組成物を調製するための化合物2の使用もまた提供され、化合物2は、本明細書に記載される単一結晶性形態、または本明細書に記載される単一結晶性形態のいずれか1つである。
【0120】
化合物2の結晶性形態を記述するための特徴付け情報の取り合わせが、本明細書で提供される。しかし、全てのかかる情報が、かかる特定の形態が所与の組成物中に存在することを決定するために当業者に必要であるわけではないが、特定の形態の決定が、特定の形態の存在を確立するために十分であると当業者がみなす特徴付け情報の任意の部分を使用して達成され得ること、例えば、単一の識別ピークであっても、かかる特定の形態が存在することを理解するために当業者にとって十分であり得ることを、理解すべきである。
【0121】
一実施形態では、化合物2の少なくとも特定の重量百分率が、結晶性である。特定の重量百分率は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または10%と100%との間の任意の百分率であり得る。化合物2の特定の重量百分率が結晶性である場合、化合物2の残りは、化合物2のアモルファス形態である。結晶性化合物2の非限定的な例には、化合物1の単一結晶性形態、または異なる単一結晶性形態の混合物が含まれる。一部の実施形態では、化合物2は、少なくとも90重量%が結晶性である。一部の他の実施形態では、化合物2は、少なくとも95重量%が結晶性である。
【0122】
別の実施形態では、結晶性化合物2の特定の重量百分率は、特定の単一結晶性形態、または単一結晶性形態の組合せである。特定の重量百分率は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または10%と100%との間の任意の百分率であり得る。別の実施形態では、化合物2は、少なくとも90重量%の単一結晶性形態である。別の実施形態では、化合物2は、少なくとも95重量%の単一結晶性形態である。
【0123】
化合物2の以下の説明では、本発明の実施形態は、化合物2の特定の結晶性形態に関して、本明細書で議論される1つまたは複数の特性を特徴とするとして記載され得る。結晶性形態を特徴付ける記載は、結晶性化合物2中に存在し得る異なる結晶性形態の混合物を記載するためにも使用され得る。しかし、化合物2の特定の結晶性形態は、特定の結晶性形態に言及することに関連してまたは関連しないで、本明細書に記載される結晶性形態の特徴のうち1つまたは複数によっても特徴付けられ得る。
【0124】
結晶性形態は、詳細な説明および以下に与えられる例示的な実施例によって、さらに例示される。表1〜2に記載されるXRPDピークは、データを取得するために使用される機器に依存して、±0.2°変動し得る。表1〜2に記載されるXRPDピークの強度は、10%変動し得る。
形態I
【0125】
一実施形態では、化合物2の単一結晶性形態である形態Iは、CuKα照射を使用して取得した、
図7に示される粉末X線回折(XRPD)パターンおよび表7に示されるデータによって特徴付けられる。特定の実施形態では、多形体は、表7に示されるような、
図7から得られたピークのうち1つまたは複数によって特徴付けられ得る。例えば、多形体は、表7に示されるピークのうち1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つによって特徴付けられ得る。
【表7】
【0126】
別の実施形態では、形態Iは、8.6、15.6、18.5、20.6、21.6および26.4°の2θ角度において同定されたピークによって特徴付けられ得る。別の実施形態では、形態Iは、8.6、15.6、18.5および21.6°の2θ角度において同定されたピークによって特徴付けられ得る。
【0127】
別の実施形態では、形態Iは、
図8に示される示差走査熱量測定プロファイル(DSC)によって特徴付けられ得る。DSCグラフは、温度の関数として試料からの熱流量をプロットし、温度変化率は、約10℃/分である。プロファイルは、約149.9℃における融解を有し約140.1℃の開始温度を伴う吸熱転移(endothermic transition)を特徴とする。
【0128】
別の実施形態では、形態Iは、
図9に示される熱重量分析(TGA)によって特徴付けられ得る。TGAプロファイルは、温度の関数として試料の重量のパーセント喪失をグラフ化し、温度変化率は、約10℃/分である。重量喪失は、温度が約29.0℃から125.0℃まで変化するときに、試料の重量の約0.44%の喪失を示す。
形態II
【0129】
一実施形態では、化合物2の単一結晶性形態である形態IIは、CuKα照射を使用して取得した、
図10に示される粉末X線回折(XRPD)パターンおよび表8に示されるデータによって特徴付けられる。特定の実施形態では、多形体は、表8に示されるような、
図10から得られたピークのうち1つまたは複数によって特徴付けられ得る。例えば、多形体は、表8に示されるピークのうち1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つまたは10個によって特徴付けられ得る。
【表8】
【0130】
別の実施形態では、形態IIは、9.8、11.6、19.6、22.5、23.0および31.4°の2θ角度において同定されたピークによって特徴付けられ得る。別の実施形態では、形態IIは、9.8、11.6、19.6および23.0°の2θ角度において同定されたピークによって特徴付けられ得る。
【0131】
別の実施形態では、形態IIは、
図11に示される示差走査熱量測定プロファイル(DSC)によって特徴付けられ得る。DSCグラフは、温度の関数として試料からの熱流量をプロットし、温度変化率は、約10℃/分である。プロファイルは、約72.5℃における融解を有し約62.7℃の開始温度を伴う吸熱転移、および約153.6℃における融解を有し約145.6℃の開始温度を伴う吸熱転移を特徴とする。
【0132】
別の実施形態では、形態IIは、
図12に示される熱重量分析(TGA)によって特徴付けられ得る。TGAプロファイルは、温度の関数として試料の重量のパーセント喪失をグラフ化し、温度変化率は、約10℃/分である。重量喪失は、温度が約29.3℃から170.3℃まで変化するときに、試料の重量の約0.57%の喪失を示す。
【0133】
他の実施形態は、本明細書で議論される単一結晶性形態のいずれかの上述の特徴の組合せを特徴とする、化合物2の単一結晶性形態に関する。特徴付けは、特定の多形体について記載されたXRPD、TGAおよびDSCのうち1つまたは複数の任意の組合せによるものであり得る。例えば、化合物2の単一結晶性形態は、XRPDスキャンにおける主要ピークの位置に関するXRPD結果の任意の組合せ;および/またはXRPDスキャンから取得されたデータから導出されたパラメーターのうち1つまたは複数の任意の組合せによって特徴付けられ得る。化合物2の単一結晶性形態は、指定された温度範囲にわたる試料と関連する重量喪失のTGA決定;および/または特定の重量喪失転移が開始する温度によっても特徴付けられ得る。熱流量転移の間の最大熱流量と関連する温度および/または試料が熱流量転移を受け始める温度のDSC決定もまた、結晶性形態を特徴付け得る。試料における重量変化および/またはある範囲の相対湿度(例えば、0%〜90%)にわたる水吸着/脱着測定によって決定される化合物2の、1分子当たりの水の吸着/脱着における変化もまた、化合物2の単一結晶性形態を特徴付け得る。
FLT3標的化化合物
【0134】
一実施形態では、本明細書で提供される方法は、1つまたは複数の第2の薬剤の共投与を含み、第2の薬剤は、FLT3標的化剤である。
【0135】
一態様では、第2の薬剤は、FLT3に特異的に結合し、それを阻害し、これは、FLT3媒介性シグナル伝達経路の活性化に干渉し、FLT3を過剰発現するがん細胞において細胞増殖を低減させる。FLT3を標的化する例示的な第2の薬剤は、参照によって本明細書に組み込まれるHitoshi Kiyo Nagoya J Med Sci. 2015年2月;77巻(1〜2号):7〜17頁およびFathiら、Am J Blood Res 2011年;1巻(2号):175〜189頁によって記載されている。
【0136】
ある特定の実施形態では、FLT3阻害剤は、野生型FLT3に特異的に結合し、それを阻害する化合物である。ある特定の実施形態では、FLT3阻害剤は、変異体FLT3に特異的に結合し、それを阻害する化合物である。ある特定の実施形態では、FLT3阻害剤は、FLT3−ITDに特異的に結合し、それを阻害する化合物である。ある特定の実施形態では、FLT3阻害剤は、FLT3−KDMに特異的に結合し、それを阻害する化合物である。
【0137】
ある特定の実施形態では、第2の薬剤は、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブ(famitinib)およびDCC−2036から選択されるFLT3阻害剤である。
【0138】
ある特定の実施形態では、第2の薬剤は、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)およびミドスタウリン(PKC412)から選択されるFLT3阻害剤である。
組成物および投与経路
【0139】
一実施形態では、治療有効量の変異体IDH2阻害剤を含む医薬組成物が、本明細書で提供される。一実施形態では、変異体IDH1阻害剤は化合物1である。
【0140】
一実施形態では、治療有効量の変異体IDH1阻害剤を含む医薬組成物が、本明細書で提供される。一実施形態では、変異体IDH1阻害剤は化合物2である。
【0141】
一実施形態では、本明細書で提供される方法において利用される化合物は、対象に投与される前に、薬学的に許容される担体またはアジュバントと一緒に薬学的に許容される組成物へと製剤化され得る。別の実施形態では、かかる薬学的に許容される組成物は、本明細書に記載されるものを含む疾患または疾患症状のモジュレーションを達成するのに有効な量で、さらなる治療剤をさらに含む。
【0142】
本発明の一態様の医薬組成物において使用され得る薬学的に許容される担体、アジュバントおよびビヒクルには、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、自己乳化薬物送達系(SEDDS)、例えば、d−α−トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート、医薬剤形において使用される界面活性剤、例えば、Tweenまたは他の類似のポリマー性送達マトリックス、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれるがこれらに限定されない。シクロデキストリン、例えば、α−、β−、およびγ−シクロデキストリン、または化学的に修飾された誘導体、例えば、2−および3−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを含むヒドロキシアルキルシクロデキストリン、または他の可溶化誘導体もまた、本明細書に記載される化合物1または化合物2の送達を増強するために、有利に使用され得る。
【0143】
一実施形態では、医薬組成物は、化合物1および賦形剤を含む。一実施形態では、化合物1および賦形剤を含む医薬組成物は、経口投与のためである。一実施形態では、賦形剤は、希釈剤、バインダー、崩壊剤、湿潤剤、安定剤、流動促進剤(glidant)または滑沢剤である。
【0144】
一実施形態では、医薬組成物は、化合物2および賦形剤を含む。一実施形態では、化合物2および賦形剤を含む医薬組成物は、経口投与のためである。一実施形態では、賦形剤は、希釈剤、バインダー、崩壊剤、湿潤剤、安定剤、流動促進剤または滑沢剤である。
【0145】
一実施形態では、希釈剤は微結晶セルロースである。
【0146】
一実施形態では、バインダーはヒドロキシプロピルセルロースである。
【0147】
一実施形態では、崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。
【0148】
一実施形態では、湿潤剤はラウリル硫酸ナトリウムである。
【0149】
一実施形態では、安定剤はヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルである。
【0150】
一実施形態では、流動促進剤はコロイド状二酸化ケイ素である。
【0151】
一実施形態では、滑沢剤はステアリン酸マグネシウム(magnesiun stearate)である。
【0152】
一実施形態では、医薬組成物は、化合物1または化合物2および賦形剤を含む。一実施形態では、化合物1または化合物2および賦形剤を含む医薬組成物は、経口投与のためである。
【0153】
化合物1または化合物2のための経口送達形式には、錠剤、カプセル、カプレット、溶液、懸濁物およびシロップが含まれるがこれらに限定されず、カプセル化されてもされなくてもよい、複数の顆粒、ビーズ、粉末またはペレットもまた含み得る。かかる形式は、本明細書で、化合物1または化合物2を含む「薬物コア」とも呼ばれ得る。
【0154】
本明細書の特定の実施形態は、錠剤またはカプセルである固体経口剤形を提供する。ある特定の実施形態では、製剤は、化合物1または化合物2を含む錠剤である。ある特定の実施形態では、製剤は、化合物1または化合物2を含むカプセルである。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される錠剤またはカプセルは、1つまたは複数の賦形剤、例えば、流動促進剤、希釈剤、滑沢剤、着色料、崩壊剤、造粒剤、結合剤、ポリマーおよびコーティング剤などを任意選択で含む。ある特定の実施形態では、製剤は即時放出錠剤である。ある特定の実施形態では、製剤は、例えば、実質的に胃において活性医薬成分(API)を放出する制御放出錠剤である。ある特定の実施形態では、製剤は硬ゼラチンカプセルである。ある特定の実施形態では、製剤は軟ゼラチンカプセルである。ある特定の実施形態では、カプセルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルである。ある特定の実施形態では、製剤は即時放出カプセルである。ある特定の実施形態では、製剤は、例えば、実質的に胃においてAPIを放出する即時または制御放出カプセルである。ある特定の実施形態では、製剤は、投与後に実質的に口腔内で溶解する、迅速に崩壊する錠剤である。ある特定の実施形態では、本明細書の実施形態は、IDH2の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする悪性疾患を処置するための医薬組成物の調製のための化合物1の使用であって、この組成物が、経口投与のために調製される、使用を包含する。ある特定の実施形態では、本明細書の実施形態は、IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする悪性疾患を処置するための医薬組成物の調製のための化合物2の使用であって、この組成物が、経口投与のために調製される、使用を包含する。
【0155】
本明細書の特定の実施形態は、製剤が経口投与される対象(例えば、ヒト)において特定のAUC値(例えば、AUC(0−t)またはAUC(0−∞))を達成する、化合物1または化合物2を含む医薬製剤(例えば、即時放出経口製剤および/または実質的に胃においてAPIを放出する製剤)を提供する。特定の実施形態は、少なくとも約25ng−hr/mL、少なくとも約50ng−hr/mL、少なくとも約75ng−hr/mL、少なくとも約100ng−hr/mL、少なくとも約150ng−hr/mL、少なくとも約200ng−hr/mL、少なくとも約250ng−hr/mL、少なくとも約300ng−hr/mL、少なくとも約350ng−hr/mL、少なくとも約400ng−hr/mL、少なくとも約450ng−hr/mL、少なくとも約500ng−hr/mL、少なくとも約550ng−hr/mL、少なくとも約600ng−hr/mL、少なくとも約650ng−hr/mL、少なくとも約700ng−hr/mL、少なくとも約750ng−hr/mL、少なくとも約800ng−hr/mL、少なくとも約850ng−hr/mL、少なくとも約900ng−hr/mL、少なくとも約950ng−hr/mL、少なくとも約1000ng−hr/mL、少なくとも約1100ng−hr/mL、少なくとも約1200ng−hr/mL、少なくとも約1300ng−hr/mL、少なくとも約1400ng−hr/mL、少なくとも約1500ng−hr/mL、少なくとも約1600ng−hr/mL、少なくとも約1700ng−hr/mL、少なくとも約1800ng−hr/mL、少なくとも約1900ng−hr/mL、少なくとも約2000ng−hr/mL、少なくとも約2250ng−hr/mL、または少なくとも約2500ng−hr/mLのAUC値を達成する経口製剤を提供する。特定の実施形態では、AUC決定は、投薬後の動物またはヒトボランティアの血液試料から取得された時間−濃度薬物動態プロファイルから得られる。
【0156】
本明細書の特定の実施形態は、製剤が経口投与される対象において特定の最大血漿中濃度(「Cmax」)を達成する、化合物1または化合物2を含む医薬製剤(例えば、即時放出経口製剤および/または実質的に胃においてAPIを放出する製剤)を提供する。特定の実施形態は、少なくとも約25ng/mL、少なくとも約50ng/mL、少なくとも約75ng/mL、少なくとも約100ng/mL、少なくとも約150ng/mL、少なくとも約200ng/mL、少なくとも約250ng/mL、少なくとも約300ng/mL、少なくとも約350ng/mL、少なくとも約400ng/mL、少なくとも約450ng/mL、少なくとも約500ng/mL、少なくとも約550ng/mL、少なくとも約600ng/mL、少なくとも約650ng/mL、少なくとも約700ng/mL、少なくとも約750ng/mL、少なくとも約800ng/mL、少なくとも約850ng/mL、少なくとも約900ng/mL、少なくとも約950ng/mL、少なくとも約1000ng/mL、少なくとも約1100ng/mL、少なくとも約1200ng/mL、少なくとも約1300ng/mL、少なくとも約1400ng/mL、少なくとも約1500ng/mL、少なくとも約1600ng/mL、少なくとも約1700ng/mL、少なくとも約1800ng/mL、少なくとも約1900ng/mL、少なくとも約2000ng/mL、少なくとも約2250ng/mL、または少なくとも約2500ng/mLの化合物1または化合物2のCmaxを達成する経口製剤を提供する。
【0157】
本明細書の特定の実施形態は、製剤が経口投与される対象において特定の最大血漿中濃度到達時間(「Tmax」)を達成する、化合物1または化合物2を含む医薬製剤(例えば、即時放出経口製剤および/または実質的に胃においてAPIを放出する製剤)を提供する。特定の実施形態は、約10分未満、約15分未満、約20分未満、約25分未満、約30分未満、約35分未満、約40分未満、約45分未満、約50分未満、約55分未満、約60分未満、約65分未満、約70分未満、約75分未満、約80分未満、約85分未満、約90分未満、約95分未満、約100分未満、約105分未満、約110分未満、約115分未満、約120分未満、約130分未満、約140分未満、約150分未満、約160分未満、約170分未満、約180分未満、約190分未満、約200分未満、約210分未満、約220分未満、約230分未満、または約240分未満のシチジンアナログのTmaxを達成する経口製剤を提供する。特定の実施形態では、Tmax値は、製剤が経口投与される時点から測定される。
【0158】
本明細書の特定の実施形態は、化合物1または化合物2を含む経口剤形を提供し、この経口剤形は、腸溶コーティングを有する。特定の実施形態は、細孔を有する浸透性のまたは部分的に浸透性の(例えば、「漏出性」)腸溶コーティングを提供する。特定の実施形態では、浸透性のまたは部分的に浸透性の腸溶コーティングされた錠剤は、実質的に胃において、即時放出様式で化合物1または化合物2を放出する。
【0159】
例えば、実質的に胃における放出のために、経口投与の際に化合物1または化合物2の吸収および/または有効な送達を最大化するように設計された剤形が、本明細書で提供される。したがって、本明細書のある特定の実施形態は、例えば、実質的に胃における、経口投与の際のAPIの即時放出のために設計された医薬賦形剤を使用した、化合物1または化合物2の固体経口剤形を提供する。特定の即時放出製剤は、特定の量の化合物1または化合物2および任意選択で1つまたは複数の賦形剤を含む。ある特定の実施形態では、製剤は、即時放出錠剤または即時放出カプセル(例えば、HPMCカプセルなど)であり得る。
【0160】
本明細書で提供される化合物1または化合物2を含む本明細書で提供される製剤(例えば、即時放出経口製剤および/または実質的に胃においてAPIを放出する製剤)を作製する方法が、本明細書で提供される。特定の実施形態では、本明細書で提供される製剤は、例えば、関連の教科書に記載されるような、医薬製剤の分野の当業者に公知の従来の方法を使用して調製され得る。例えば、REMINGTON、THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY、第20版、Lippincott Williams & Wilkins、(2000年);ANSELら、PHARMACEUTICAL DOSAGE FORMS AND DRUG DELIVERY SYSTEMS、第7版、Lippincott Williams & Wilkins、(1999年);GIBSON、PHARMACEUTICAL PREFORMULATION AND FORMULATION、CRC Press(2001年)を参照のこと。
【0161】
特定の実施形態では、本明細書で提供される製剤(例えば、即時放出経口製剤、実質的に胃においてAPIを放出する製剤、または実質的に口腔内で溶解する迅速に崩壊する製剤)は、化合物1または化合物2を特定の量で含む。特定の実施形態では、製剤中の化合物1または化合物2の特定の量は、例えば、約10mgである。一実施形態では、特定の量は約20mgである。一実施形態では、特定の量は約40mgである。一実施形態では、特定の量は約60mgである。一実施形態では、特定の量は約80mgである。一実施形態では、特定の量は約100mgである。一実施形態では、特定の量は約120mgである。一実施形態では、特定の量は約140mgである。一実施形態では、特定の量は約160mgである。一実施形態では、特定の量は約180mgである。一実施形態では、特定の量は約200mgである。一実施形態では、特定の量は約220mgである。一実施形態では、特定の量は約240mgである。一実施形態では、特定の量は約260mgである。一実施形態では、特定の量は約280mgである。一実施形態では、特定の量は約300mgである。一実施形態では、特定の量は約320mgである。一実施形態では、特定の量は約340mgである。一実施形態では、特定の量は約360mgである。一実施形態では、特定の量は約380mgである。一実施形態では、特定の量は約400mgである。一実施形態では、特定の量は約420mgである。一実施形態では、特定の量は約440mgである。一実施形態では、特定の量は約460mgである。一実施形態では、特定の量は約480mgである。一実施形態では、特定の量は約500mgである。一実施形態では、特定の量は約600mgである。一実施形態では、特定の量は約700mgである。一実施形態では、特定の量は約800mgである。一実施形態では、特定の量は約900mgである。一実施形態では、特定の量は約1000mgである。一実施形態では、特定の量は約1100mgである。一実施形態では、特定の量は約1200mgである。一実施形態では、特定の量は約1300mgである。一実施形態では、特定の量は約1400mgである。一実施形態では、特定の量は約1500mgである。一実施形態では、特定の量は約1600mgである。一実施形態では、特定の量は約1700mgである。一実施形態では、特定の量は約1800mgである。一実施形態では、特定の量は約1900mgである。一実施形態では、特定の量は約2000mgである。一実施形態では、特定の量は約2100mgである。一実施形態では、特定の量は約2200mgである。一実施形態では、特定の量は約2300mgである。一実施形態では、特定の量は約2400mgである。一実施形態では、特定の量は約2500mgである。一実施形態では、特定の量は約3000mgである。一実施形態では、特定の量は約4000mgである。一実施形態では、特定の量は約5000mgである。
【0162】
ある特定の実施形態では、製剤は錠剤であり、この錠剤は、標準的な当技術分野で認識された錠剤加工の手順および設備を使用して製造される。ある特定の実施形態では、錠剤を形成するための方法は、化合物1もしくは化合物2を単独で、または1つもしくは複数の賦形剤、例えば、担体、添加剤、ポリマーなどと組み合わせて含む、粉末化、結晶性および/または顆粒状組成物の直接的圧縮である。ある特定の実施形態では、直接的圧縮の代替法として、錠剤は、湿式造粒または乾式造粒プロセスを使用して調製され得る。ある特定の実施形態では、錠剤は、湿ったまたは他の点で扱いやすい材料で開始して、圧縮ではなく成形される。ある特定の実施形態では、圧縮技術および造粒技術が使用される。
【0163】
ある特定の実施形態では、製剤はカプセルであり、このカプセルは、標準的な当技術分野で認識されたカプセル加工の手順および設備を使用して製造され得る。ある特定の実施形態では、軟ゼラチンカプセルが調製され得、このカプセルは、化合物1または化合物2と植物油または非水性の水混和性材料、例えば、ポリエチレングリコールなどとの混合物を含む。ある特定の実施形態では、固体粉末状担体、例えば、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、アミロペクチン、セルロース誘導体またはゼラチンなどと組み合わせた化合物1または化合物2の顆粒を含む硬ゼラチンカプセルが調製され得る。ある特定の実施形態では、硬ゼラチンカプセルシェルは、ゼラチンおよび少量の可塑剤、例えばグリセロールを含むカプセル組成物から調製され得る。ある特定の実施形態では、ゼラチンの代替法として、カプセルシェルは、炭水化物材料で製造され得る。ある特定の実施形態では、カプセル組成物は、ポリマー、顔料、調味料および乳白剤を、必要に応じてさらに含み得る。ある特定の実施形態では、カプセルは、HPMCを含む。
【0164】
ある特定の実施形態では、化合物1または化合物2の製剤は、化合物の顕著な加水分解的分解を引き起こすことなく、水性溶媒を使用して調製される。特定の実施形態では、化合物1または化合物2の製剤は、製剤中の化合物の顕著な加水分解的分解を引き起こすことなく、水性溶媒を使用して薬物コアに適用されたコーティングを含む錠剤である。ある特定の実施形態では、水が、薬物コアをコーティングするための溶媒として使用される。ある特定の実施形態では、化合物1または化合物2の経口剤形は、水性溶媒を使用して薬物コアに適用されたフィルムコーティングを含む錠剤である。特定の実施形態では、水が、フィルムコーティングのための溶媒として使用される。特定の実施形態では、化合物1または化合物2を含む錠剤は、医薬組成物の分解をもたらすことなしに、水性溶媒を使用してフィルムコーティングされる。特定の実施形態では、水が、医薬組成物の分解をもたらすことなしに、フィルムコーティング溶媒として使用される。ある特定の実施形態では、化合物1または化合物2および水性フィルムコーティングを含む経口剤形は、経口送達の際に即時薬物放出をもたらす。ある特定の実施形態では、化合物1または化合物2および水性フィルムコーティングを含む経口剤形は、経口投与の際に、上部消化管、例えば胃への制御薬物放出をもたらす。特定の実施形態では、水性ベースのフィルムコーティングを有する錠剤は、化合物1または化合物2をAPIとして含む。
【0165】
ある特定の実施形態では、a)特定の量の化合物1または化合物2;b)実質的に上部消化管、例えば、胃における化合物1または化合物2の放出を制御するための薬物放出制御構成成分;およびc)任意選択で1つまたは複数の賦形剤、を含む、実質的に胃における、化合物1または化合物2の経口投与のための制御放出医薬製剤が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、化合物1または化合物2を含む経口剤形は、医薬組成物および任意選択の賦形剤を含む薬物コアを含む制御放出錠剤またはカプセルとして調製される。任意選択で、「密封コート」または「シェル」が適用される。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される化合物1または化合物2を含む本明細書で提供される製剤は、治療有効量の化合物1または化合物2、経口投与の際に実質的に胃における化合物1または化合物2の放出を制御する薬物放出制御構成成分、および任意選択で1つまたは複数の賦形剤を含む、制御放出錠剤またはカプセルである。
【0166】
特定の実施形態は、胃液への曝露の際に膨潤して、製剤の胃での保持および実質的に胃におけるポリマーマトリックスからの化合物1または化合物2の持続放出をもたらすポリマーマトリックスである薬物放出制御構成成分を提供する。ある特定の実施形態では、かかる製剤は、製剤化の間に化合物1または化合物2を適切なポリマー性マトリックス中に取り込むことによって調製され得る。かかる製剤の例は、当技術分野で公知である。例えば、その各々がその全体が参照によって本明細書に組み込まれる、Shellら、米国特許出願公開番号2002/0051820(出願番号09/990,061);Shellら、米国特許出願公開番号2003/0039688(出願番号10/045,823);Guslerら、米国特許出願公開番号2003/0104053(出願番号10/029,134)を参照のこと。
【0167】
ある特定の実施形態では、薬物放出制御構成成分は、薬物含有コアを取り囲むシェルを含み得、このシェルは、例えば、胃液への曝露の際に胃において保持されるサイズまで膨潤することによって、コアからの化合物1または化合物2の拡散を可能にし、製剤の胃での保持を促進することによって、コアから化合物1または化合物2を放出する。ある特定の実施形態では、かかる製剤は、化合物1または化合物2と1つまたは複数の賦形剤との混合物を最初に圧縮して薬物コアを形成し、薬物コア上に別の粉末化混合物を圧縮してシェルを形成すること、または適切な材料で製造されたカプセルシェルで薬物コアを封入することによって調製され得る。かかる製剤の例は、当技術分野で公知である。例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、Bernerら、米国特許出願公開番号2003/0104062(出願番号10/213,823)を参照のこと。
【0168】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬製剤は、「薬物コア」を形成するために、化合物1または化合物2および任意選択で1つまたは複数の賦形剤を含む。任意選択の賦形剤には、例えば、当技術分野で公知の、例えば、希釈剤(充填剤)、滑沢剤、崩壊剤、フィラー、安定剤、界面活性剤、防腐剤、着色剤、調味剤、結合剤、賦形剤支持体、流動促進剤、浸透増強賦形剤、可塑剤などが含まれる。一部の物質は、医薬組成物において1つよりも多い目的を果たすことが、当業者に理解される。例えば、一部の物質は、圧縮後に錠剤をまとめることを補助するバインダーであり、また、標的送達部位に到達したときに錠剤をばらばらにするのを補助する崩壊剤でもある。賦形剤の選択および使用する量は、経験ならびに当技術分野で利用可能な標準的な手順および参考文献の検討に基づいて、製剤化の科学者によって容易に決定され得る。
【0169】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される製剤は、1つまたは複数のバインダーを含む。バインダーは、例えば、錠剤に凝集性の品質を付与し、したがって、圧縮後に錠剤がインタクトなままであることを確実にするために、使用され得る。適切なバインダーには、とりわけ、デンプン(トウモロコシデンプンおよびアルファ化デンプンを含む)、ゼラチン、糖(スクロース、グルコース、デキストロースおよびラクトースを含む)、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ワックス、ならびに天然ゴムおよび合成ゴム、例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、セルロース由来ポリマー(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどを含む)、ビーガム(veegum)、カルボマー(例えば、カーボポール(carbopol))、ナトリウム、デキストリン、グアーガム、水素化植物油、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、ポビドン(例えば、KOLLIDON、PLASDONE)、微結晶セルロースが含まれるがこれらに限定されない。結合剤には、例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、カルボマー(cabomer)、カラゲナン、酢酸フタル酸セルロース、セラトニア、キトサン、粉砂糖、コポピドン(copovidone)、デキストレート(dextrate)、デキストリン、デキストロース、エチルセルロース、ゼラチン、ベヘン酸グリセリル、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒプロメロース、イヌリン、ラクトース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、マルトデキストリン、マルトース、メチルセルロース、ポロクサマー、ポリカルボフィル、ポリデキストロース、ポリエチレンオキシド、ポリメチルアクリレート、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプン、アルファ化デンプン、ステアリン酸、スクロースおよびゼインもまた含まれる。結合剤は、適切であると決定される場合、薬物コアに対して、薬物コアの約2%w/w;薬物コアの約4%w/w、薬物コアの約6%w/w、薬物コアの約8%w/w、薬物コアの約10%w/w、薬物コアの約12%w/w、薬物コアの約14%w/w、薬物コアの約16%w/w、薬物コアの約18%w/w、薬物コアの約20%w/w、薬物コアの約22%w/w、薬物コアの約24%w/w、薬物コアの約26%w/w、薬物コアの約28%w/w、薬物コアの約30%w/w、薬物コアの約32%w/w、薬物コアの約34%w/w、薬物コアの約36%w/w、薬物コアの約38%w/w、薬物コアの約40%w/w、薬物コアの約42%w/w、薬物コアの約44%w/w、薬物コアの約46%w/w、薬物コアの約48%w/w、薬物コアの約50%w/w、薬物コアの約52%w/w、薬物コアの約54%w/w、薬物コアの約56%w/w、薬物コアの約58%w/w、薬物コアの約60%w/w、薬物コアの約62%w/w、薬物コアの約64%w/w、薬物コアの約66%w/w、薬物コアの約68%w/w、薬物コアの約70%w/w、薬物コアの約72%w/w、薬物コアの約74%w/w、薬物コアの約76%w/w、薬物コアの約78%w/w、薬物コアの約80%w/w、薬物コアの約82%w/w、薬物コアの約84%w/w、薬物コアの約86%w/w、薬物コアの約88%w/w、薬物コアの約90%w/w、薬物コアの約92%w/w、薬物コアの約94%w/w、薬物コアの約96%w/w、薬物コアの約98%w/wまたはそれよりも多い量であり得る。ある特定の実施形態では、特定のバインダーの適切な量は、当業者によって決定される。
【0170】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される製剤は、1つまたは複数の希釈剤を含む。希釈剤は、例えば、実用的なサイズの錠剤が最終的に提供されるように、嵩を増加させるために使用され得る。適切な希釈剤には、とりわけ、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、微結晶セルロース(例えば、AVICEL)、極微小(microfine)セルロース、アルファ化デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、第二リン酸カルシウム二水和物、第三リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリレート(例えば、EUDRAGIT)、塩化カリウム、塩化ナトリウム、ソルビトールおよびタルクが含まれる。希釈剤には、例えば、アルギン酸アンモニウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸セルロース、圧縮糖、粉砂糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、エリスリトール、エチルセルロース、フルクトース、フマル酸、パルミトステアリン酸グリセリル、イソマルト、カオリン、ラクチトール(lacitol)、ラクトース、マンニトール、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マルトース、中鎖トリグリセリド、微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロース、粉末化セルロース、ポリデキストロース、ポリメチルアクリレート、シメチコン、アルギン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、スクロース、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、タルク、トラガント、トレハロースおよびキシリトールもまた含まれる。希釈剤は、錠剤またはカプセルのために所望の体積を得るために計算された量で使用され得;ある特定の実施形態では、希釈剤は、薬物コアの約5%もしくはそれよりも多い、約10%もしくはそれよりも多い、約15%もしくはそれよりも多い、約20%もしくはそれよりも多い、約22%もしくはそれよりも多い、約24%もしくはそれよりも多い、約26%もしくはそれよりも多い、約28%もしくはそれよりも多い、約30%もしくはそれよりも多い、約32%もしくはそれよりも多い、約34%もしくはそれよりも多い、約36%もしくはそれよりも多い、約38%もしくはそれよりも多い、約40%もしくはそれよりも多い、約42%もしくはそれよりも多い、約44%もしくはそれよりも多い、約46%もしくはそれよりも多い、約48%もしくはそれよりも多い、約50%もしくはそれよりも多い、約52%もしくはそれよりも多い、約54%もしくはそれよりも多い、約56%もしくはそれよりも多い、約58%もしくはそれよりも多い、約60%もしくはそれよりも多い、約62%もしくはそれよりも多い、約64%もしくはそれよりも多い、約68%もしくはそれよりも多い、約70%もしくはそれよりも多い、約72%もしくはそれよりも多い、約74%もしくはそれよりも多い、約76%もしくはそれよりも多い、約78%もしくはそれよりも多い、約80%もしくはそれよりも多い、約85%もしくはそれよりも多い、約90%もしくはそれよりも多い、または約95%もしくはそれよりも多い重量/重量;薬物コアの約10%と約90%w/wとの間;薬物コアの約20%と約80%w/wとの間;薬物コアの約30%と約70%w/wとの間;薬物コアの約40%と約60%w/wとの間の量で使用される。ある特定の実施形態では、特定の希釈剤の適切な量は、当業者によって決定される。
【0171】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される製剤は、1つまたは複数の滑沢剤を含む。滑沢剤は、例えば、錠剤製造を促進するために使用され得;適切な滑沢剤の例には、例えば、植物油、例えば、ラッカセイ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびカカオの油、グリセリン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびステアリン酸が含まれる。ある特定の実施形態では、ステアレートは、存在する場合、薬物含有コアのおよそ2重量%以下を占める。滑沢剤のさらなる例には、例えば、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、ラウリル硫酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸、パルミチン酸、ポロクサマー、ポリエチレングリコール、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルクおよびステアリン酸亜鉛が含まれる。特定の実施形態では、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。ある特定の実施形態では、滑沢剤は、薬物コアに対して、薬物コアの約0.2%w/w、薬物コアの約0.4%w/w、薬物コアの約0.6%w/w、薬物コアの約0.8%w/w、薬物コアの約1.0%w/w、薬物コアの約1.2%w/w、薬物コアの約1.4%w/w、薬物コアの約1.6%w/w、薬物コアの約1.8%w/w、薬物コアの約2.0%w/w、薬物コアの約2.2%w/w、薬物コアの約2.4%w/w、薬物コアの約2.6%w/w、薬物コアの約2.8%w/w、薬物コアの約3.0%w/w、薬物コアの約3.5%w/w、薬物コアの約4%w/w、薬物コアの約4.5%w/w、薬物コアの約5%w/w、薬物コアの約6%w/w、薬物コアの約7%w/w、薬物コアの約8%w/w、薬物コアの約10%w/w、薬物コアの約12%w/w、薬物コアの約14%w/w、薬物コアの約16%w/w、薬物コアの約18%w/w、薬物コアの約20%w/w、薬物コアの約25%w/w、薬物コアの約30%w/w、薬物コアの約35%w/w、薬物コアの約40%w/w、薬物コアの約0.2%と約10%w/wとの間、薬物コアの約0.5%と約5%w/wとの間、または薬物コアの約1%と約3%w/wとの間の量で存在する。ある特定の実施形態では、特定の滑沢剤の適切な量は、当業者によって決定される。
【0172】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される製剤は、1つまたは複数の崩壊剤を含む。崩壊剤は、例えば、錠剤の崩壊を促進するために使用され得、例えば、デンプン、粘土、セルロース、アルギン、ゴムまたは架橋ポリマーであり得る。崩壊剤には、例えば、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えば、AC−DI−SOL、PRIMELLOSE)、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(例えば、KOLLIDON、POLYPLASDONE)、グアーガム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポラクリリンカリウム、粉末化セルロース、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム(例えば、EXPLOTAB)およびデンプンもまた含まれる。さらなる崩壊剤には、例えば、アルギン酸カルシウム、キトサン、ドクサートナトリウム(sodium docusate)、ヒドロキシプロピルセルロースおよびポビドンが含まれる。ある特定の実施形態では、崩壊剤は、薬物コアに対して、薬物コアの約1%w/w、薬物コアの約2%w/w、薬物コアの約3%w/w、薬物コアの約4%w/w、薬物コアの約5%w/w、薬物コアの約6%w/w、薬物コアの約7%w/w、薬物コアの約8%w/w、薬物コアの約9%w/w、薬物コアの約10%w/w、薬物コアの約12%w/w、薬物コアの約14%w/w、薬物コアの約16%w/w、薬物コアの約18%w/w、薬物コアの約20%w/w、薬物コアの約22%w/w、薬物コアの約24%w/w、薬物コアの約26%w/w、薬物コアの約28%w/w、薬物コアの約30%w/w、薬物コアの約32%w/w、薬物コアの約32%w/wよりも多く、薬物コアの約1%と約10%w/wとの間、薬物コアの約2%と約8%w/wとの間、薬物コアの約3%と約7%w/wとの間、または薬物コアの約4%と約6%w/wとの間の量で存在する。ある特定の実施形態では、特定の崩壊剤の適切な量は、当業者によって決定される。
【0173】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される製剤は、1つまたは複数の安定剤を含む。安定剤(吸収増強剤とも呼ばれる)は、例えば、例として酸化反応を含む薬物分解反応を阻害または遅延させるために使用され得る。安定化剤には、例えば、d−アルファ−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート(ビタミンE TPGS)、アカシア、アルブミン、アルギン酸、ステアリン酸アルミニウム、アルギン酸アンモニウム、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ベントナイト、ブチル化ヒドロキシトルエン、アルギン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カラゲナン、セラトニア、コロイド状二酸化ケイ素、シクロデキストリン、ジエタノールアミン、エデテート、エチルセルロース、パルミトステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸グリセリン、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、転化糖、レシチン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、モノエタノールアミン、ペクチン、ポロクサマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸カリウム、ポラクリリンカリウム(potassium polacrilin)、ポビドン、没食子酸プロピル、プロピレングリコール、アルギン酸プロピレングリコール、ラフィノース、酢酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ソルビトール、ステアリルアルコール、スルホブチル(sufobutyl)−b−シクロデキストリン、トレハロース、白蝋、キサンタンガム、キシリトール、黄蝋および酢酸亜鉛が含まれる。ある特定の実施形態では、安定剤は、薬物コアに対して、薬物コアの約1%w/w、薬物コアの約2%w/w、薬物コアの約3%w/w、薬物コアの約4%w/w、薬物コアの約5%w/w、薬物コアの約6%w/w、薬物コアの約7%w/w、薬物コアの約8%w/w、薬物コアの約9%w/w、薬物コアの約10%w/w、薬物コアの約12%w/w、薬物コアの約14%w/w、薬物コアの約16%w/w、薬物コアの約18%w/w、薬物コアの約20%w/w、薬物コアの約22%w/w、薬物コアの約24%w/w、薬物コアの約26%w/w、薬物コアの約28%w/w、薬物コアの約30%w/w、薬物コアの約32%w/w、薬物コアの約1%と約10%w/wとの間、薬物コアの約2%と約8%w/wとの間、薬物コアの約3%と約7%w/wとの間、または薬物コアの約4%と約6%w/wとの間の量で存在する。ある特定の実施形態では、特定の安定剤の適切な量は、当業者によって決定される。
【0174】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される製剤は、1つまたは複数の流動促進剤を含む。流動促進剤は、例えば、粉末組成物もしくは粒状物(granulate)の流動特性を改善するため、または投薬の正確さを改善するために、使用され得る。流動促進剤として機能し得る賦形剤には、例えば、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末化セルロース、デンプン、第三リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、粉末化セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、デンプン、第三リン酸カルシウムおよびタルクが含まれる。ある特定の実施形態では、流動促進剤は、薬物コアに対して、薬物コアの約1%w/w未満、薬物コアの約1%w/w、薬物コアの約2%w/w、薬物コアの約3%w/w、薬物コアの約4%w/w、薬物コアの約5%w/w、薬物コアの約6%w/w、薬物コアの約7%w/w、薬物コアの約8%w/w、薬物コアの約9%w/w、薬物コアの約10%w/w、薬物コアの約12%w/w、薬物コアの約14%w/w、薬物コアの約16%w/w、薬物コアの約18%w/w、薬物コアの約20%w/w、薬物コアの約22%w/w、薬物コアの約24%w/w、薬物コアの約26%w/w、薬物コアの約28%w/w、薬物コアの約30%w/w、薬物コアの約32%w/w、薬物コアの約1%と約10%w/wとの間、薬物コアの約2%と約8%w/wとの間、薬物コアの約3%と約7%w/wとの間、または薬物コアの約4%と約6%w/wとの間の量で存在する。ある特定の実施形態では、特定の流動促進剤の適切な量は、当業者によって決定される。
【0175】
一実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、経口で、非経口で、吸入スプレーによって、外用で、直腸で、経鼻で、頬側で、腟内でまたは移植されたレザバを介して、好ましくは、経口投与または注射による投与によって、投与され得る。一実施形態では、医薬組成物は、任意の従来の非毒性の薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含み得る。一部の場合には、製剤のpHは、製剤化された化合物またはその送達形態の安定性を増強するために、薬学的に許容される酸、塩基または緩衝液を用いて調整され得る。用語非経口には、本明細書で使用する場合、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、腱滑液鞘内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内および頭蓋内の注射または注入技術が含まれる。
【0176】
一実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、例えば、無菌の注射可能な水性または油性懸濁物として、無菌の注射可能な調製物の形態であり得る。この懸濁物は、適切な分散剤または湿潤剤(例えば、Tween 80など)および懸濁剤を使用して、当技術分野で公知の技術に従って製剤化され得る。無菌の注射可能な調製物はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁物であり得る。用いられ得る許容されるビヒクルおよび溶媒のうちでは、マンニトール、水、リンゲル溶液および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌の不揮発油は、溶媒または分散媒として従来用いられている。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性の不揮発油が使用され得る。脂肪酸、例えば、オレイン酸およびそのグリセリド誘導体は、特に、それらのポリオキシエチル化されたバージョンで、天然の薬学的に許容される油、例えば、オリーブ油またはヒマシ油のように、注射剤の調製において有用である。これらの油溶液または懸濁物は、薬学的に許容される剤形、例えば、エマルジョンおよび/または懸濁物の製剤化において一般に使用される、長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤(dispersant)、またはカルボキシメチルセルロースもしくは類似の分散剤(dispersing agent)もまた含み得る。薬学的に許容される固体、液体または他の剤形の製造において一般に使用される他の一般に使用される界面活性剤、例えば、TweenもしくはSpanおよび/または他の類似の乳化剤もしくは生体利用能増強剤もまた、製剤化の目的のために使用され得る。
【0177】
一実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、直腸投与のための坐剤の形態でも投与され得る。これらの組成物は、本発明の一態様の化合物を、室温では固体であるが直腸温度では液体であり、したがって、直腸において融解して活性構成成分を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することによって調製され得る。かかる材料には、カカオバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールが含まれるがこれらに限定されない。
【0178】
本明細書で提供される医薬組成物の外用投与は、所望の処置が外用適用によって容易にアクセス可能な領域または臓器に関与する場合に有用である。皮膚への外用適用のために、医薬組成物は、担体中に懸濁または溶解された活性構成成分を含む適切な軟膏で製剤化すべきである。本発明の一態様の化合物の外用投与のための担体には、鉱油、流動パラフィン(liquid petroleum)、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が含まれるがこれらに限定されない。あるいは、医薬組成物は、適切な乳化剤と共に担体中に懸濁または溶解された活性化合物を含む適切なローションまたはクリームで製剤化され得る。適切な担体には、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が含まれるがこれらに限定されない。本明細書で提供される医薬組成物はまた、直腸坐剤製剤によって、または適切な浣腸製剤で、下部腸管に外用適用され得る。外用経皮パッチもまた、本明細書に含まれる。
【0179】
一実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、経鼻エアロゾルまたは吸入によって投与され得る。かかる組成物は、医薬製剤の分野において周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールもしくは他の適切な防腐剤、生体利用能を増強するための吸収促進剤、フッ化炭素、および/または当技術分野で公知の他の可溶化剤もしくは分散剤を使用して、食塩水中の溶液として調製され得る。
【0180】
一実施形態では、本明細書で提供される組成物は、例えば、静脈内、動脈内、真皮下、腹腔内、筋肉内もしくは皮下で注射によって;または経口で、頬側で、経鼻で、経粘膜的に、外用で、眼科調製物中で、もしくは吸入によって投与され得、投薬量は、体重1kg当たり約0.5〜約100mgの範囲であり、あるいは、投薬量は、4〜120時間毎に1mg/用量と1000mg/用量との間であり、または特定の薬物の要件に従う。本明細書の方法は、所望のまたは明言された効果を達成するための、有効量の化合物または化合物組成物の投与を企図する。一実施形態では、医薬組成物は、1日に約1〜約6回、あるいは持続注入として投与される。かかる投与は、慢性または急性治療として使用され得る。単一の剤形を生成するために担体材料と組み合わされ得る活性成分の量は、処置される宿主および投与の特定の様式に依存して変動する。典型的な調製物は、約5%〜約95%の活性化合物(w/w)を含む。あるいは、かかる調製物は、約20%〜約80%の活性化合物を含む。
【0181】
上に列挙したものよりも低いまたは高い用量が必要とされ得る。任意の特定の対象のための具体的な投薬量および処置レジメンは、用いられる具体的な化合物の活性、年齢、体重、全身健康状態、性別、食餌、投与の時間、排泄の速度、薬物組合せ、疾患、状態または症状の重症度および過程、疾患、状態または症状への対象の素質、および処置する医師の判断を含む種々の因子に依存する。
【0182】
対象の状態の改善の際に、維持用量の本明細書で提供される化合物、組成物または組合せが、必要に応じて投与され得る。引き続いて、投薬量もしくは投与の頻度、またはその両方が、症状の関数として、症状が所望のレベルまで軽減されたときの改善された状態が保持されるレベルまで、低減され得る。しかし、対象は、疾患症状の任意の反復の際に、長期の間欠的処置を必要とし得る。
化合物2の固体分散物
【0183】
ある特定の実施形態では、化合物2は、固体分散物(例えば、アモルファス固体分散物)の一部として、化合物2および1つまたは複数のポリマー(単数または複数)を含む組成物で投与される。一部の実施形態では、固体分散物は、化合物2および1つまたは複数のポリマー(単数または複数)を含む。一部の実施形態では、固体分散物は、化合物2、1つまたは複数のポリマー(単数または複数)、および1つまたは複数の界面活性剤(単数または複数)を含む。一部の実施形態では、固体分散物は、化合物2および1つのポリマーを含む。一部の実施形態では、固体分散物は、化合物2、1つのポリマーおよび界面活性剤を含む。
【0184】
ある特定の実施形態では、化合物2を含む本明細書で提供される固体分散物は、整然とした結晶性形態の化合物2(例えば、形態1または形態2)と比較して、化合物2の溶解度を増強し、したがって、対象への固体分散物の経口投薬の際に改善された曝露を提供する。一実施形態では、固体分散物は、化合物2、1つまたは複数のポリマー(単数または複数)、および任意選択で1つまたは複数の溶解度増強性界面活性剤を含む。
【0185】
例えば、形態1の水溶解度は、約0.025mg/mL〜約0.035mg/mLであり、形態2の水溶解度は、約0.008mg/mL〜約0.010mg/mLである。
【0186】
形態2は、6.1のpHで4時間で、飢餓状態疑似腸液(fasted state simulated intestinal fluid)(FASSIF)中で約0.018mg/mLの溶解度を有する。比較して、アモルファスの噴霧乾燥された分散物は、3時間でFASSIF中で約0.05mg/mL〜約0.50mg/mLの溶解度を有する。
【0187】
一部の実施形態では、固体分散物は、in−situアモルファス化合物2の投与と比較して、対象に投与した場合、化合物2の、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%または少なくとも約90%より高い曝露を示す。一部の実施形態では、固体分散物は、整然とした結晶性化合物2の投与と比較して、対象に投与した場合、化合物2の、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%または少なくとも約90%より高い曝露を示す。
【0188】
ラットおよびサルの薬物動態学的研究では、in−situアモルファス投薬が示すものと比較して中程度の曝露改善が、固体分散物経口剤形の投与の際に観察される。例えば、50%w/wの化合物2および50%w/wのポリビニルアセテートフタレート(PVAP)を含む固体分散物は、雄性スプラーグドーリーラットにおいて、in−situアモルファス化合物2と比較して、およそ2倍高い曝露を有する。in−situアモルファス化合物2と比較して、70%w/wの化合物2および30%w/wの経口剤形を含む固体分散物間で、曝露に有意な差異は存在しない。雄性カニクイザルでは、50%w/wの化合物2および50%w/wのヒプロメロース(hpromellose)酢酸エステルコハク酸エステル(HPMCAS)としても公知のヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルを含む固体分散物の曝露は、in−situアモルファス化合物2と比較して、有意な差異を示さない。同様に、50%w/wの化合物2および50%w/wのヒプロメロースフタル酸エステル(HPMC−フタル酸エステル)としても公知のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む固体分散物は、in−situアモルファス化合物2と比較して、有意な差異を示さない。in−situアモルファス治療化合物は、動物研究における投薬に一般に使用されるが、ヒトでの投薬については適切な剤形ではない。
【0189】
実施例4のラットの薬物動態学的研究に記載されるように、化合物2の曝露は、整然とした結晶性化合物2形態2と比較して、固体分散物剤形が投与される場合に改善される。
【0190】
一部の実施形態では、固体分散物中の化合物2の少なくとも一部分(例えば、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%)は、アモルファス状態である。他の実施形態では、固体分散物は、結晶性化合物2を実質的に含まない。
【0191】
一部の実施形態では、組成物は、化合物2およびポリマーを含むアモルファス固体(例えば、噴霧乾燥された)分散物である。アモルファス固体分散物は、例えば、約30%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満または約1%未満の結晶性化合物2を含み得、例えば、結晶性化合物2を実質的に含まないことができる。
【0192】
一実施形態では、固体分散物は、所定のレベルの物理的および/または化学的安定性を示す。例えば、固体分散物は、閉鎖水密容器、例えば、アンバーガラスバイアル、高密度ポリエチレン(HDPE)容器、または乾燥剤と共にHDPE容器中に配置されたねじれナイロン紐を有する二重ポリエチレンバッグ中で25℃で貯蔵した場合、アモルファス化合物2の約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%または約99%を保持する。
【0193】
一部の実施形態では、ポリマーは、ポリマーの存在下にないアモルファス化合物2と比較して、(例えば、2〜8℃、例えば、4℃または室温で)貯蔵した場合、化合物2の化学的または物理的安定性(例えば、変調示差走査熱量計によって測定される)を、少なくとも約10%(例えば、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%または少なくとも約90%)増加させる。
【0194】
固体分散物は一般に、分散物がガラス状固体からゴム状組成物へと転移するガラス転移温度を示す。一般に、ガラス転移温度が高くなるほど、分散物の物理的安定性は大きくなる。ガラス転移温度の存在は、一般に、組成物(例えば、分散物)の少なくとも大部分がアモルファス状態であることを示す。医薬適用に適切な固体分散物のガラス転移温度(Tg)は一般に、少なくとも約50℃である。一部の実施形態では、より高い温度が好ましい。したがって、一部の実施形態では、本明細書に開示される固体分散物は、少なくとも約100℃(例えば、少なくとも約100℃、少なくとも約105℃、少なくとも約110℃、少なくとも約115℃、少なくとも約120℃、少なくとも約125℃、少なくとも約130℃、少なくとも約135℃、少なくとも約140℃、少なくとも約150℃、少なくとも約160℃、少なくとも約170℃、少なくとも約175℃、少なくとも約180℃または少なくとも約190℃)のTgを有する。一部の実施形態では、Tgは、最大で約200℃である。一部の実施形態では、Tgは、最大で約130℃(例えば、少なくとも約110℃、少なくとも約111℃、少なくとも約112℃、少なくとも約113℃、少なくとも約114℃、少なくとも約115℃、少なくとも約116℃、少なくとも約117℃、少なくとも約118℃、少なくとも約119℃、少なくとも約120℃、少なくとも約121℃、少なくとも約122℃、少なくとも約123℃、少なくとも約124℃、少なくとも約125℃、少なくとも約1216℃、少なくとも約127℃、少なくとも約128℃、少なくとも約129℃または少なくとも約130℃)である。特記しない限り、本明細書に開示されるガラス転移温度は、乾燥条件下で測定される。
【0195】
一部の実施形態では、固体分散物は、ポリマー(単数または複数)の存在下にないアモルファス化合物2のガラス転移温度よりも、高いガラス転移温度を有する。一部の実施形態では、固体分散物は、ポリマー(単数または複数)の存在下にないアモルファス化合物2の緩和速度よりも低い緩和速度を有する。
【0196】
固体分散物中のポリマーの例には、セルロース誘導体(例えば、ヒプロメロース(HPMC)としても公知のヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒプロメロースフタル酸エステル(HPMCP)としても公知のヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸エステル、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(HPMCAS)としても公知のヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC))、エチルセルロースもしくは酢酸フタル酸セルロース;ポリビニルピロリドン(PVP);ポリエチレングリコール(PEG);ポリビニルアルコール(PVA);ポリビニルエステル、例えば、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP);アクリレート、例えば、ポリメタクリレート(例えば、Eudragit(登録商標)E);シクロデキストリン(例えば、ベータ−シクロデキストリン);ポリ(D,L−ラクチド)(PLA)、ポリ(D,L−ラクチド,co−グリコリド)酸(PLGA);ならびに、例えば、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrollidone)−酢酸ビニル(PVP−VA)、ポリビニルカプロラクタム−ポリビニルおよびアセテート−ポリエチレングリコールコポリマー、メチルアクリレート/メタクリル酸コポリマーを含む、それらのコポリマーおよび誘導体;Soluplus;コポピドン;ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0197】
一部の実施形態では、固体分散物は、1つの水溶性ポリマーを含む。一部の実施形態では、固体分散物は、1つの部分的に水溶性のポリマーを含む。一部の実施形態では、ポリマーはセルロースポリマーである。
【0198】
一部の実施形態では、ポリマーは、HPMCAS(例えば、異なるグレードのHPMCAS:HPMCAS−M、HPMCAS−MGまたはHPMCAS−HG)である。一部の実施形態では、ポリマーはPVAPである。一部の実施形態では、ポリマーは、HPMC(例えば、異なるグレードのHPMC:HMPC60SH50、HPMCE50またはHPMCE15)である。一部の実施形態では、ポリマーは、HPMCP(例えば、異なるグレードのHPMCP:例えば、HMPCP−HP55)である。
【0199】
一部の実施形態では、ポリマーは、pH依存的腸溶ポリマーである。かかるpH依存的腸溶ポリマーには、セルロース誘導体(例えば、酢酸フタル酸セルロース(CAP))、HPMCP、HPMCAS、カルボキシメチルセルロース(CMC)もしくはその塩(例えば、ナトリウム塩、例えば、(CMC−Na));トリメリト酸酢酸セルロース(cellulose acetate trimellitate)(CAT)、酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルセルロース(HPCAP)、酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAP)、および酢酸フタル酸メチルセルロース(MCAP)、ポリメタクリレート(例えば、Eudragit S)、またはそれらの混合物が含まれるがこれらに限定されない。
【0200】
一部の実施形態では、ポリマーは、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(HPMCAS)としても公知のヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル、例えば、HMPCAS−HGである。
【0201】
別の実施形態では、ポリマー(単数または複数)は、不溶性架橋ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン(例えば、クロスポビドン)である。別の実施形態では、ポリマー(単数または複数)はポリビニルピロリドン(PVP)である。
【0202】
一部の実施形態では、1つまたは複数のポリマー(単数または複数)は、約10%w/wと90%w/wとの間(例えば、約20%w/wと約80%w/wとの間;約30%w/wと約70%w/wとの間;約40%w/wと約60%w/wとの間;または約15%w/wと約35%w/wとの間)の量で、固体分散物中に存在する。一部の実施形態では、ポリマー(単数または複数)は、約10%w/w〜約80%w/w、例えば、約30%w/w〜約75%w/w、または約40%w/w〜約65%w/w、または約45%w/w〜約55%w/w、例えば、約46%w/w、約47%w/w、約48%w/w、約49%w/w、約50%w/w、約51%w/w、約52%w/w、約53%w/wまたは約54%w/wの量で、固体分散物中に存在する。一部の実施形態では、ポリマー(単数または複数)は、約48%w/w、約48.5%w/w、約49%w/w、約49.5%w/w、約50%w/w、約50.5%w/w、約51%w/w、約51.5%w/w、約52%w/wまたは約52.5%w/wの量で、固体分散物中に存在する。
【0203】
一部の実施形態では、ポリマー(単数または複数)は、約30%w/w〜約70%w/wの量で固体分散物中に存在する。一部の実施形態では、ポリマー(単数または複数)は、約35%w/w〜約65%w/wの量で固体分散物中に存在する。一部の実施形態では、ポリマー(単数または複数)は、約40%w/w〜約60%w/wの量で固体分散物中に存在する。一部の実施形態では、ポリマー(単数または複数)は、約45%w/w〜約55%w/wの量で固体分散物中に存在する。一部の実施形態では、ポリマー(単数または複数)は、約50%w/wの量で固体分散物中に存在する。
【0204】
一部の実施形態では、化合物2は、約10%w/wと90%w/wとの間(例えば、約20%w/wと約80%w/wとの間;約30%w/wと約70%w/wとの間;約40%w/wと約60%w/wとの間;または約15%w/wと約35%w/wとの間)の量で、固体分散物中に存在する。一部の実施形態では、化合物2は、約10%w/w〜約80%w/w、例えば、約30%w/w〜約75%w/w、または約40%w/w〜約65%w/w、または約45%w/w〜約55%w/w、例えば、約46%w/w、約47%w/w、約48%w/w、約49%w/w、約50%w/w、約51%w/w、約52%w/w、約53%w/wまたは約54%w/wの量で、固体分散物中に存在する。一部の実施形態では、化合物2は、約48%w/w、約48.5%w/w、約49%w/w、約49.5%w/w、約50%w/w、約50.5%w/w、約51%w/w、約51.5%w/w、約52%w/wまたは約52.5%w/wの量で、固体分散物中に存在する。
【0205】
一部の実施形態では、化合物2は、約30%w/w〜約70%w/wの量で固体分散物中に存在する。一部の実施形態では、化合物2は、約35%w/w〜約65%w/wの量で固体分散物中に存在する。一部の実施形態では、化合物2は、約40%w/w〜約60%w/wの量で固体分散物中に存在する。一部の実施形態では、化合物2は、約45%w/w〜約55%w/wの量で固体分散物中に存在する。一部の実施形態では、化合物2は、約50%w/wの量で固体分散物中に存在する。
【0206】
別の実施形態では、固体分散物は、約20%w/w〜約80%w/wの化合物2および約20%w/w〜約80%のポリマー(単数または複数)を含む。別の実施形態では、固体分散物は、約25%w/w〜約75%w/wの化合物2および約25%w/w〜約75%のポリマー(単数または複数)を含む。別の実施形態では、固体分散物は、約30%w/w〜約70%w/wの化合物2および約30%w/w〜約70%のポリマー(単数または複数)を含む。別の実施形態では、固体分散物は、約35%w/w〜約65%w/wの化合物2および約35%w/w〜約65%のポリマー(単数または複数)を含む。別の実施形態では、固体分散物は、約40%w/w〜約60%w/wの化合物2および約40%w/w〜約60%のポリマー(単数または複数)を含む。別の実施形態では、固体分散物は、約45%w/w〜約55%w/wの化合物2および約45%w/w〜約55%のポリマー(単数または複数)を含む。別の実施形態では、固体分散物は、約50%w/wの化合物2および約50%w/wのポリマー(単数または複数)を含む。
【0207】
別の実施形態では、固体分散物は、約45%w/w〜約55%w/wの化合物2および約45%w/w〜約55%w/wのHPMCAS(例えば、HPMCAS−MGもしくはHPMCAS−HG、または他のグレード、例えば、LF、MF、HFもしくはLG)またはPVAPを含む。別の実施形態では、固体分散物は、約50%w/wの化合物2および約50%w/wのHPMCASを含む。
【0208】
一部の実施形態では、固体分散物は、界面活性剤または不活性な薬学的に許容される物質もまた含む。固体分散物中の界面活性剤の例には、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ビタミンEまたはその誘導体(例えば、ビタミンE TPGS)、ドクサートナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリソルベート(例えば、Tween 20およびTween 80)、ポロクサマー(例えば、ポロクサマー335およびポロクサマー407)、モノオレイン酸グリセリル、Span 65、Span 25、Capryol 90、プルロニック(pluronic)コポリマー(例えば、Pluronic F108、Pluronic P−123)、ならびにそれらの混合物が含まれる。一部の実施形態では、界面活性剤はSLSである。一部の実施形態では、界面活性剤は、ビタミンEまたはその誘導体(例えば、ビタミンE TPGS)である。
【0209】
一部の実施形態では、界面活性剤は、約0.1%w/w〜約10%w/w、例えば、約0.5%w/w〜約2%w/w、または約1%w/w〜約3%w/w、約1%w/w〜約4%w/w、または約1%w/w〜約5%w/wの量で、固体分散物中に存在する。一部の実施形態では、界面活性剤は、約0.1%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w、約0.5%w/w、約0.6%w/w、約0.7%w/w、約0.8%w/w、約0.9%w/wまたは約1%w/wの量で、固体分散物中に存在する。一部の実施形態では、界面活性剤は、約0.5%w/w、約1%w/w、約1.5%w/w、約2%w/w、約2.5%w/w、約3%w/w、約3.5%w/w、約4%w/w、約4.5%w/wまたは約5%w/wの量で、固体分散物中に存在する。
固体分散物を調製するためのプロセス
【0210】
一部の実施形態では、固体分散物は、本明細書に記載されるプロセスに従って調製され得る。一般に、使用され得る方法には、混合物からの溶媒もしくは溶媒混合物の迅速な除去または融解された試料を冷却することを含む方法が含まれる。かかる方法には、回転蒸発、フリーズドライ(即ち、凍結乾燥)、真空乾燥、融解凝固および融解押出が含まれるがこれらに限定されない。本開示の一実施形態には、噴霧乾燥することによって取得される固体分散物が関与する。一実施形態では、噴霧乾燥することによって取得された生成物は、溶媒または溶媒混合物を除去するために乾燥される。
【0211】
本明細書に開示される調製物、例えば、医薬組成物は、化合物2、1つまたは複数のポリマー(単数または複数)および適切な溶媒または溶媒混合物を含む混合物を噴霧乾燥することによって取得され得る。噴霧乾燥には、例えば、固体および溶媒または溶媒混合物を含む液体混合物の微粒化、ならびに溶媒または溶媒混合物の除去が関与する。溶媒または溶媒混合物は、不揮発性溶媒、例えば、氷酢酸もまた含み得る。微粒化は、例えば、二流体もしくは圧力もしくはエレクトロソニックノズルを介して、または回転ディスク上で行われ得る。
【0212】
噴霧乾燥は、液体フィードを乾燥微粒子形態に変換する。噴霧乾燥には一般に、液体フィード溶液の、液滴のスプレーへの微粒化、および乾燥チャンバー中で液滴を熱空気またはガスと接触させることが関与する。スプレーは一般に、回転(ホイール)またはノズルアトマイザーのいずれかによって生成される。液滴からの湿気の蒸発および乾燥粒子の形成は、制御された温度および気流条件下で進行する。
【0213】
任意選択で、二次乾燥プロセス、例えば、流動床乾燥または真空乾燥が、残留溶媒(および他の添加剤、例えば、氷酢酸)を薬学的に許容されるレベルまで低減させるために使用され得る。典型的には、噴霧乾燥には、液体液滴の蒸発および乾燥を生じさせるために、高度に分散された液体懸濁物または溶液(例えば、微粒化された溶液)と十分な体積の熱空気またはガス(例えば、窒素、例えば、純粋窒素)とを接触させることが関与する。噴霧乾燥される調製物は、選択された噴霧乾燥装置を使用して微粒化され得る、任意の溶液、粗い懸濁物、スラリー、コロイド状分散物またはペーストであり得る。標準的な手順では、調製物は、溶媒を蒸発させ、乾燥した生成物をコレクター(例えば、サイクロン)中に運搬する、暖かい濾過空気の流れ中に(またはガス、例えば、窒素中に)噴霧される。次いで、使用済みの空気またはガスは、溶媒(または任意の添加剤、例えば氷酢酸を含む溶媒混合物)で消耗され、(例えば、次いで濾過され)、あるいは、使用済みの空気またはガスは、溶媒または溶媒混合物を捕捉し、潜在的にリサイクルするために、冷却器に送られる。例えば、ガス(例えば、窒素)が使用される場合、ガスは、任意選択でリサイクルされ、再度加熱され、閉鎖ループシステム中のユニットに戻される。市販の型の装置が、噴霧乾燥を実施するために使用され得る。例えば、市販の噴霧乾燥機は、Buchi Ltd.およびNiro(例えば、Niroによって製造されたPSDラインの噴霧乾燥機)によって製造される。
【0214】
噴霧乾燥は、典型的には、約1%〜約30%または最大で約50%(即ち、治療活性化合物プラス賦形剤)、好ましくは少なくとも約10%の、材料の固体充填を用いる。一部の実施形態では、10%未満の固体充填は、低い収量および許容できない長い実行時間を生じ得る。一般に、固体充填の上限は、得られた溶液の粘性(例えば、得られた溶液をポンピングする能力)および溶液中の構成成分の溶解度によって支配される。一般に、溶液の粘性は、得られた粉末生成物中の粒子のサイズを決定し得る。
【0215】
噴霧乾燥のための技術および方法は、Perry’s Chemical Engineering Handbook、第6版、R. H. Perry、D. W. GreenおよびJ. O. Maloney編、McGraw−Hill Book Co.(1984年);およびMarshall「Atomization and Spray−Drying」50巻、Chem. Eng. Prog. Monogr. シリーズ2(1954年)において見出され得る。一般に、噴霧乾燥は、約40℃〜約200℃、例えば、約70℃〜約150℃、好ましくは約40℃〜約60℃、約50℃〜約55℃または約80℃〜約110℃、例えば、約90℃の入口温度で実施される。噴霧乾燥は、一般に、約20℃〜約100℃、例えば、約25℃〜約30℃(例えば、約26℃)、約40℃〜約50℃、約50℃〜約65℃、例えば、約56℃〜約58℃の出口温度で実施される。
【0216】
溶媒または溶媒混合物の除去は、引き続く乾燥ステップ、例えば、トレイ乾燥、流動床乾燥(例えば、約室温〜約100℃)、真空乾燥、マイクロ波乾燥、回転ドラム乾燥またはバイコニカル真空乾燥(例えば、約室温〜約200℃)を必要とし得る。
【0217】
一実施形態では、噴霧乾燥は、流動噴霧乾燥(fluidized spray drying)(FSD)である。FSD中のステップには、例えば以下:液体フィード溶液(例えば、溶媒(単数または複数)中に溶解または懸濁された、化合物2ならびに任意選択でポリマー(単数または複数)および/または界面活性剤(単数または複数)を含む)を調製するステップ;例えば、FSDモードで動作する噴霧乾燥機の乾燥チャンバー中への送達の際に、フィード溶液を(例えば、圧力ノズル、回転アトマイザーもしくはディスク、二流体ノズルまたは他の微粒化方法を用いて)微粒化するステップ;乾燥チャンバー中で加熱空気または加熱ガス(例えば、窒素)中でフィード溶液を乾燥させて、生成物を取得するステップが含まれ得、ここで、生成物の大きい粒子は、分離し、例えば脱落するが、細粒は、乾燥チャンバーの上部まで(例えば、天然の対流によって)またはサイクロンまで、空気またはガスの流れによって運ばれ、細粒は乾燥チャンバー中に(例えば、乾燥チャンバーの上部において、またはチャンバーの中央部に対して軸方向に)再導入され、ここで、再導入された細粒は、新たに形成された生成物と凝集して、凝集した生成物を生成し得、凝集した生成物が十分に大きい場合、それは分離するが、分離するのに十分に大きくない場合、凝集した生成物は、チャンバーの上部までおよびサイクロンまで対流によって運ばれ、チャンバー中に再導入される。このプロセスは、脱落するのに十分に大きい凝集した生成物が形成されるまで反復される。細粒は、フィードパイプを介してサイクロンから乾燥チャンバーへと再導入され得る。
【0218】
一部の実施形態では、加熱空気または加熱ガスを用いてフィード溶液を乾燥させる代わりに、フィード溶液は、噴霧凝固され得、例えば、チャンバーは、室温(例えば、21±4℃)でありまたは冷却され、例えば、冷却されたガス(例えば、窒素)がこのプロセスに使用される。
【0219】
FSDは、第1の流動化チャンバーにおいて凝集した生成物を収集するステップをさらに含み得;その後、第1の流動化チャンバーから第2の流動化チャンバーへと凝集した生成物が排出され得、ここで、事後乾燥プロセスが行われ得る。
【0220】
次いで、凝集した生成物(例えば、乾燥チャンバー中で分離する)は、第2の流動化チャンバーから第3の流動化チャンバーへと移され得、ここで、凝集した生成物が冷却される。次いで、凝集した生成物(例えば、アモルファス化合物の固体分散物)は、さらに加工され得る。例えば、生成物は、直接圧縮され得る。生成物は、例えば、直接的圧縮の前に、界面活性剤、賦形剤または薬学的に許容される担体と任意選択でブレンドされ得る。生成物は、任意選択でさらに、加工、例えば、製粉、造粒、ブレンドされ得、ならびに/または融解粒状物、界面活性剤、賦形剤および/もしくは薬学的に許容される担体と混合され得る。
【0221】
FSDは、流動噴霧乾燥機モード(FSDモード)で動作する市販の噴霧乾燥機中で実施され得る。FSDは、開放サイクルモードまたは閉鎖サイクルモード(例えば、乾燥ガス、例えば窒素がリサイクルされる)のいずれかで達成され得る。FSDにおける使用のための適切な噴霧乾燥機の例には、Niroの乾燥機(例えば、Niroによって製造されたPSDラインの噴霧乾燥機:PHARMASD(商標);ChemicalまたはSDライン乾燥機)が含まれる。FSDは本質的に、細粒の乾燥チャンバー中への再導入を可能にするように構成された任意の噴霧乾燥機中で実施され得る。
【0222】
例えば、真空乾燥機もしくは流動床乾燥機または二重円錐もしくはバイコニカル事後乾燥機またはタンブル乾燥機中でのさらなる事後乾燥は、さらなる溶媒を除去するために必要/適用可能な場合に実施され得る。一部の実施形態では、事後乾燥ステップが実施される。
【0223】
溶媒または溶媒混合物を除去するために、真空乾燥、噴霧乾燥、流動噴霧乾燥、トレイ乾燥、凍結乾燥、回転蒸発および他の乾燥手順が適用され得る。本開示に従って適切な加工パラメーターを使用してこれらの方法のいずれかを適用することは、最終固体分散物生成物中にアモルファス状態の化合物2を提供する。分散物、例えば、望ましい特性(例えば、40〜200ミクロン、例えば、40〜150ミクロンの中央値粒子サイズ(d50))、>0.2g/ml(例えば、0.2〜0.5g/ml)もしくは>0.25g/mlの粉末バルク密度、改善された粉末流動性(例えば、低い凝集力、低い粒子間内部摩擦)を有する粉末;ならびに/または、例えばICH制限および/もしくは使用者の仕様を下回る低いOVI(有機揮発性不純物)を有する乾燥粉末を生じる適切な条件(例えば、噴霧乾燥機における低い出口温度、低沸点溶媒の使用、加熱ガスの使用)の使用により、分散物は、剤形へと直接圧縮され得る。
【0224】
一部の実施形態では、入口温度は、約50℃と約200℃との間、例えば、約60℃と約150℃との間、約70℃と約100℃との間、約60℃と約95℃との間、約65℃と約85℃との間、約70℃と約90℃との間、約85℃と約95℃との間、または約70℃と約85℃との間である。
【0225】
一部の実施形態では、出口温度は、約室温(例えば、USP室温(例えば、21±4℃))と約80℃との間、例えば、約25℃と約75℃との間、約30℃と約65℃との間、約35℃と約70℃との間、約40℃と約65℃との間、約45℃と約60℃との間、約35℃と約45℃との間、約35℃と約40℃との間、または約37℃と約40℃との間である。
【0226】
一部の実施形態では、流動床の温度設定点(別の床について選択された温度とは独立して選択される各床の温度)は、約室温(例えば、USP室温(例えば、21±4℃))と約100℃との間、例えば、約30℃と約95℃との間、約40℃と約90℃との間、約50℃と約80℃との間、約60℃と約85℃との間、約65℃と約95℃との間、または約80℃と約95℃との間である。
【0227】
FSDは、化合物2を含む混合物に対して実施され得る。例えば、FSDは、そのアモルファス化合物2の固体分散物を取得するために、化合物2、および1つまたは複数のポリマー(単数または複数)、および任意選択で1つまたは複数の界面活性剤(単数または複数)、および任意選択で1つまたは複数のさらなる賦形剤(単数または複数)を含む混合物に対して実施され得、例えば、かかる固体分散物は、経口剤形(例えば、錠剤)へと直接圧縮され得る。あるいは、分散物は、圧縮前に1つまたは複数の賦形剤とブレンドされ得る。
【0228】
一実施形態では、化合物2の固体分散物を調製するためのプロセスは、
a)化合物2、1つまたは複数のポリマー(単数または複数)および1つまたは複数の溶媒(単数または複数)の混合物を形成するステップ;ならびに
b)溶液から溶媒(単数または複数)を迅速に除去して、化合物2および1つまたは複数のポリマー(単数または複数)を含む固体アモルファス分散物を形成するステップ
を含む。1つまたは複数のポリマー(単数または複数)および1つまたは複数の溶媒(単数または複数)は、本明細書に開示されるもののいずれかであり得る。
【0229】
一部の実施形態では、溶媒は、噴霧乾燥することによって除去される。一部の実施形態では、固体分散物は、対流トレイ乾燥機を使用してトレイ乾燥される。一部の実施形態では、固体分散物はスクリーニングされる。
【0230】
一実施形態では、化合物2は結晶性である。別の実施形態では、化合物2はアモルファスである。
【0231】
当業者に理解されるように、噴霧乾燥は、不活性ガス、例えば窒素の存在下で実施され得、実施される場合が多い。ある特定の実施形態では、噴霧乾燥が関与するプロセスは、二酸化炭素を含む超臨界流体または二酸化炭素を含む混合物の存在下で実施され得る。
【0232】
別の実施形態では、化合物2の固体分散物を調製するためのプロセスは、
a)化合物2、ポリマーおよび溶媒の混合物を形成するステップ;ならびに
b)混合物を噴霧乾燥して、化合物2およびポリマーを含む固体分散物を形成するステップ
を含む。
【0233】
残留溶媒について、ICHまたは所与の仕様よりも下まで、湿った噴霧乾燥された分散物を事後乾燥および/または研磨することが、任意選択で実施され得る。
【0234】
これらのプロセスは、本明細書に開示される医薬組成物を調製するために使用され得る。これらのプロセスで使用される構成成分の量および特色は、本明細書に開示されるとおりであり得る。
【0235】
一部の実施形態では、溶媒は、化合物2およびポリマー(単数または複数)を溶解または懸濁させるために1つまたは複数の揮発性溶媒(単数または複数)を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の溶媒(単数または複数)は、化合物2およびポリマー(単数または複数)を完全に溶解させる。
【0236】
一部の実施形態では、1つまたは複数の溶媒(単数または複数)は、揮発性溶媒(例えば、塩化メチレン、アセトン、メタノール、エタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、またはそれらの混合物)である。適切な揮発性溶媒の例には、単独でまたは別の共溶媒と組み合わせて、治療活性化合物を溶解または懸濁させる溶媒が含まれる。一部の実施形態では、溶媒(単数または複数)は、治療活性化合物を完全に溶解させる。一部の実施形態では、溶媒はアセトンである。一部の実施形態では、溶媒はメタノールである。
【0237】
一部の実施形態では、溶媒は、不揮発性溶媒(例えば、有機酸、例えば氷酢酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)または水)である。一部の実施形態では、不揮発性溶媒は、溶媒系中の構成成分である。例えば、不揮発性溶媒は、約1%〜約20%w/w(例えば、約3%w/w〜約15%w/w、約4%w/w〜約12%w/wまたは約5%w/w〜約10%w/w)で、溶媒中の構成成分として存在する。
【0238】
一部の実施形態では、溶媒は、溶媒の混合物である。例えば、溶媒は、約0%〜約30%のアセトンおよび約70%〜約100%のメタノールを含み得る、または溶媒は、約0%〜約40%のアセトンおよび約60%〜約100%のメタノールを含み得る。メタノール対アセトンの他の例示的な比には、80:20、75:25、70:30、60:40、55:45および50:50が含まれる。
【0239】
一部の実施形態では、溶媒は、少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む溶媒の組合せである。例えば、溶媒は、揮発性溶媒および不揮発性溶媒の両方を含む構成成分の組合せである。一部の実施形態では、溶媒系は、氷酢酸などの不揮発性溶媒との、揮発性溶媒の組合せ、またはメタノールおよびアセトンなどの溶媒の組合せである。例えば、溶媒系は、約40%〜約80%のメタノール、約20%〜約35%のアセトンおよび約1%〜約15%の氷酢酸(例えば、約50%〜約70%のメタノール、約25%〜約30%のアセトンおよび約3%〜約12%の氷酢酸)を含む。
【0240】
一部の実施形態では、溶媒系は、水などの不揮発性溶媒との、揮発性溶媒の組合せ、またはメタノールおよびアセトンなどの溶媒の組合せである。例えば、溶媒系は、約40%〜約80%のメタノール、約20%〜約35%のアセトンおよび約0.1%〜約15%の水(例えば、約50%〜約70%のメタノール、約25%〜約30%のアセトンおよび約1%〜約5%の水)を含む。
【0241】
ある特定の実施形態では、固体分散物の医薬組成物は、本明細書に記載されるプロセスによって作製され得る。例えば、(a)化合物2および(b)1つまたは複数のポリマー(単数または複数)、ならびに任意選択で1つまたは複数の界面活性剤(単数または複数)および任意選択で1つまたは複数のさらなる賦形剤(単数または複数)の固体分散物。
化合物2の固体分散物を含む医薬組成物
【0242】
ある特定の実施形態では、(a)化合物2およびポリマーを含む固体分散物;ならびに(b)1つまたは複数の薬学的に許容される担体(単数または複数)を含む医薬組成物が、本明細書で提供される。薬学的に許容される担体の例は、フィラー、崩壊剤、湿潤剤、流動促進剤および滑沢剤である。
【0243】
一部の実施形態では、医薬組成物は、カプセル、錠剤、エマルジョンならびに水性の懸濁物、分散物および溶液が含まれるがこれらに限定されない、任意の経口的に許容される剤形で経口投与され得る。
【0244】
一部の実施形態では、医薬組成物は錠剤である。
【0245】
一部の実施形態では、医薬組成物は、化合物2の直接圧縮された剤形を含む。
【0246】
一部の実施形態では、医薬組成物は、フィラーもまた含む。フィラーは、例えば、微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール、エチルセルロース、ソルビトール、デンプン、スクロース、リン酸カルシウム、粉末化セルロース、ケイ化微結晶セルロース、イソマルト、またはそれらの混合物であり得る。一部の実施形態では、フィラーは微結晶セルロースである。
【0247】
一部の実施形態では、フィラーは、約10%w/wと50%w/wとの間(例えば、約15%w/wと約45%w/wとの間;約20%w/wと約40%w/wとの間;約25%w/wと約35%w/wとの間;または約28%w/wと約32%w/wとの間)の量で、医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、フィラーは、約20%w/w〜約35%w/w、例えば、約25%w/w〜約34%w/w、または約26%w/w〜約33%w/w、または約27%w/w〜約32%w/w、例えば、約28%w/w、約28.5%w/w、約29%w/w、約29.5%w/w、約30%w/w、約30.5%w/w、約31%w/wまたは約31.5%w/wの量で、医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、フィラーは、約29%w/w、約29.1%w/w、約29.2%w/w、約29.3%w/w、約29.4%w/w、約29.5%w/w、約29.6%w/w、約29.7%w/w、約29.8%w/w、約29.9%w/wまたは約30%w/wの量で、医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、フィラーは、約25%w/wと約35%w/wとの間の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、フィラーは、約29.5%w/wの量で医薬組成物中に存在する。
【0248】
一部の実施形態では、医薬組成物は、崩壊剤もまた含む。崩壊剤は、例えば、コロイド状二酸化ケイ素、粉末化セルロース、ケイ酸カルシウム、クロスポビドン、アルギン酸カルシウム、メチルセルロース、キトサン、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルデンプン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルファ化デンプン、またはそれらの混合物であり得る。一部の実施形態では、崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。
【0249】
一部の実施形態では、崩壊剤は、約1%w/wと15%w/wとの間(例えば、約3%w/wと約12%w/wとの間;約4%w/wと約10%w/wとの間;約5%w/wと約7%w/wとの間;または約6%w/wと約7%w/wとの間)の量で、医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、崩壊剤は、約3%w/w、約3.5%w/w、約4%w/w、約49.5%w/w、約5%w/w、約5.5%w/w、約6%w/w、または約6.5%w/w、約7%w/w、約7.5%w/w、約8%w/w、約8.5%w/w、約9%w/w、約9.5%w/wまたは約10%w/wの量で、医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、崩壊剤は、約5%w/wと約7%w/wとの間の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、崩壊剤は、約6%w/wの量で医薬組成物中に存在する。
【0250】
一部の実施形態では、医薬組成物は、湿潤剤もまた含む。湿潤剤は、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリソルベート(例えば、Tween 20およびTween 80)、ポロクサマー(例えば、ポロクサマー335およびポロクサマー407)、モノオレイン酸グリセリル、またはそれらの混合物であり得る。一部の実施形態では、湿潤剤はラウリル硫酸ナトリウムである。
【0251】
一部の実施形態では、湿潤剤は、約0.1%w/wと2%w/wとの間(例えば、約0.5%w/wと約2%w/wとの間;約0.5%w/wと約1.5%w/wとの間;または約1%w/wと約1.5%w/wとの間)の量で、医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、湿潤剤は、約0.1%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w、約0.5%w/w、約0.6%w/w、約0.7%w/w、または約0.8%w/w、約0.9%w/w、約1%w/w、約1.1%w/w、約1.2%w/w、約1.3%w/w、約1.4%w/w、約1.5%w/w、約1.6%w/w、約1.7%w/w、約1.8%w/w、約1.9%w/wまたは約2%w/wの量で、医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、湿潤剤は、約0.5%w/wと約1.5%w/wとの間の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、湿潤剤は、約1%w/wの量で医薬組成物中に存在する。
【0252】
一部の実施形態では、医薬組成物は、流動促進剤もまた含む。流動促進剤は、例えば、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、第三リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、粉末化セルロース、タルク、デンプン、およびそれらの混合物であり得る。一部の実施形態では、流動促進剤はコロイド状二酸化ケイ素である。
【0253】
一部の実施形態では、流動促進剤は、約0.1%w/wと5%w/wとの間(例えば、約1%w/wと約4%w/wとの間;約1%w/wと約3%w/wとの間;または約1.5%w/wと約2.5%w/wとの間)の量で、医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、流動促進剤は、約0.5%w/w、約1%w/w、約1.5%w/w、約2%w/w、約2.5%w/w、約3%w/w、約3.5%w/w、または約4%w/w、約4.5%w/wまたは約5%w/wの量で、医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、流動促進剤は、約1.1%w/w、約1.2%w/w、約1.3%w/w、約1.4%w/w、約1.5%w/w、約1.6%w/w、約1.7%w/w、約1.8%w/w、約1.9%w/w、約2%w/w、2.1%w/w、約2.2%w/w、約2.3%w/w、約2.4%w/w、約2.5%w/w、約2.6%w/w、約2.7%w/w、約2.8%w/w、約2.9%w/wまたは約3%w/wの量で、医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、流動促進剤は、約1%w/wと約3%w/wとの間の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、流動促進剤は、約2%w/wの量で医薬組成物中に存在する。
【0254】
一部の実施形態では、医薬組成物は、滑沢剤もまた含む。滑沢剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリルフマル酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、水素化植物油、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸スクロース、ポリビニルアルコール、ラウリル硫酸マグネシウム、またはそれらの混合物であり得る。一部の実施形態では、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0255】
一部の実施形態では、滑沢剤は、約0.1%w/wと5%w/wとの間(例えば、約1%w/wと約4%w/wとの間;約1%w/wと約3%w/wとの間;または約1%w/wと約2%w/wとの間)の量で、医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、滑沢剤は、約0.5%w/w、約1%w/w、約1.5%w/w、約2%w/w、約2.5%w/w、約3%w/w、約3.5%w/w、または約4%w/w、約4.5%w/wまたは約5%w/wの量で、医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、滑沢剤は、約0.1%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w、約0.5%w/w、約0.6%w/w、約0.7%w/w、約0.8%w/w、約0.9%w/w、約1%w/w、約1.1%w/w、約1.2%w/w、約1.3%w/w、約1.4%w/w、約1.5%w/w、約1.6%w/w、約1.7%w/w、約1.8%w/w、約1.9%w/w、約2%w/w、2.1%w/w、約2.2%w/w、約2.3%w/w、約2.4%w/wまたは約2.5%w/wの量で、医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、滑沢剤は、約0.5%w/wと約2.5%w/wとの間の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、滑沢剤は、約1.5%w/wの量で医薬組成物中に存在する。
【0256】
一部の実施形態では、固体分散物は、医薬組成物の総重量の約25重量%〜85重量%を構成する。一部の実施形態では、固体分散物は、医薬組成物の総重量の約50重量%〜約70重量%を構成する。
【0257】
一部の実施形態では、化合物2は、医薬組成物の総重量の約15%〜45%を構成し、1つまたは複数のポリマー(単数または複数)は、医薬組成物の総重量の約15%〜45%を構成する。
【0258】
一部の実施形態では、化合物2は、医薬組成物の約20%w/wを構成し、1つまたは複数のポリマー(単数または複数)は、医薬組成物の約40%w/wを構成する。
【0259】
一部の実施形態では、化合物2は、医薬組成物の約25%w/wを構成し、1つまたは複数のポリマー(単数または複数)は、医薬組成物の約35%w/wを構成する。
【0260】
一部の実施形態では、化合物2は、医薬組成物の約30%w/wを構成し、1つまたは複数のポリマー(単数または複数)は、医薬組成物の約30%w/wを構成する。
【0261】
一部の実施形態では、化合物2は、医薬組成物の約35%w/wを構成し、1つまたは複数のポリマー(単数または複数)は、医薬組成物の約25%w/wを構成する。
【0262】
一部の実施形態では、固体分散物は、医薬組成物の約50%w/w〜約70%w/wを構成し、フィラーは、医薬組成物の約25%w/w〜約35%w/wを構成し、崩壊剤は、医薬組成物の約5%w/w〜約7%w/wを構成し、湿潤剤は、医薬組成物の約0.5%w/w〜約1.5%w/wを構成し、流動促進剤は、医薬組成物の約1%w/w〜約3%w/wを構成し、滑沢剤は、医薬組成物の約0.5%w/w〜約2.5%w/wを構成し、それによって、合計で100重量%の組成物になる。
【0263】
一部の実施形態では、固体分散物は、医薬組成物の約60%w/wを構成し、フィラーは、医薬組成物の約29.5%w/wを構成し、崩壊剤は、医薬組成物の約6%w/wを構成し、湿潤剤は、医薬組成物の約1%w/wを構成し、流動促進剤は、医薬組成物の約2%w/wを構成し、滑沢剤は、医薬組成物の約1.5%w/wを構成する。
【0264】
一部の実施形態では、医薬組成物は、約25%w/w〜約35%w/wの化合物2、約25%w/w〜約35%w/wのヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(HPMCAS)、約25%w/w〜約35%w/wの微結晶セルロース、約5%w/w〜約7%w/wのクロスカルメロースナトリウム、約0.5%w/w〜約1.5%w/wのラウリル硫酸ナトリウム、約1%w/w〜約3%w/wのコロイド状二酸化ケイ素、および約0.5%w/w〜約2.5%w/wのステアリン酸マグネシウムを含み、それによって、合計で100重量%の組成物になる。
【0265】
一部の実施形態では、医薬組成物は、約30%w/wの化合物2、約30%w/wのヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(HPMCAS)、約29.5%w/wの微結晶セルロース、約6%w/wのクロスカルメロースナトリウム、約1%w/wのラウリル硫酸ナトリウム、約2%w/wのコロイド状二酸化ケイ素および約1.5%w/wのステアリン酸マグネシウムを含む。
【0266】
一部の実施形態では、固体分散物、フィラー、崩壊剤、湿潤剤、流動促進剤および滑沢剤は、顆粒内(intragranularly)添加される。一部の実施形態では、さらなる量のフィラー、崩壊剤、流動促進剤および滑沢剤が、顆粒外(extragranularly)添加される。
【0267】
一部の実施形態では、医薬組成物は、以下の顆粒内添加された構成成分を含む:固体分散物は、医薬組成物の約50%w/w〜約70%w/wを構成し、フィラーは、医薬組成物の約18%w/w〜約26%w/wを構成し、崩壊剤は、医薬組成物の約2%w/w〜約6%w/wを構成し、湿潤剤は、医薬組成物の約0.5%w/w〜約1.5%w/wを構成し、流動促進剤は、医薬組成物の約0.5%w/w〜約1.5%w/wを構成し、滑沢剤は、医薬組成物の約0.25%w/w〜約1%w/wを構成する。
【0268】
一部の実施形態では、医薬組成物は、以下の顆粒外添加された構成成分を含む:さらなる量のフィラーは、医薬組成物の約4%w/w〜約12%w/wを構成し、さらなる量の崩壊剤は、医薬組成物の約1%w/w〜約3%w/wを構成し、さらなる量の流動促進剤は、医薬組成物の約0.5%w/w〜約1.5%w/wを構成し、さらなる量の滑沢剤は、医薬組成物の約0.5%w/w〜約1.5%w/wを構成し、これらは顆粒外添加される。
【0269】
一部の実施形態では、医薬組成物は、以下の顆粒内添加された構成成分を含む:固体分散物は、医薬組成物の約60%w/wを構成し、フィラーは、医薬組成物の約21.5%w/wを構成し、崩壊剤は、医薬組成物の約4%w/wを構成し、湿潤剤は、医薬組成物の約1%w/wを構成し、流動促進剤は、医薬組成物の約1%w/wを構成し、滑沢剤は、医薬組成物の約0.5%w/wを構成する。
【0270】
一部の実施形態では、医薬組成物は、以下の顆粒外添加された構成成分を含む:さらなる量のフィラーは、医薬組成物の約8%w/wを構成し、さらなる量の崩壊剤は、医薬組成物の約2%w/wを構成し、さらなる量の流動促進剤は、医薬組成物の約1%w/wを構成し、さらなる量の滑沢剤は、医薬組成物の約1%w/wを構成し、これらは顆粒外添加される。
【0271】
一部の実施形態では、医薬組成物は、以下の顆粒内添加された構成成分を含む:化合物2およびヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(HPMCAS)を含む固体分散物は、医薬組成物の約50%w/w〜約70%w/wを構成し、微結晶セルロースは、医薬組成物の約18%w/w〜約26%w/wを構成し、クロスカルメロースナトリウムは、医薬組成物の約2%w/w〜約6%w/wを構成し、ラウリル硫酸ナトリウムは、医薬組成物の約0.5%w/w〜約1.5%w/wを構成し、コロイド状二酸化ケイ素は、医薬組成物の約0.5%w/w〜約1.5%w/wを構成し、ステアリン酸マグネシウムは、医薬組成物の約0.25%w/w〜約1%w/wを構成する。
【0272】
一部の実施形態では、医薬組成物は、以下の顆粒外添加された構成成分を含む:さらなる量の微結晶セルロースは、医薬組成物の約4%w/w〜約12%w/wを構成し、さらなる量のクロスカルメロースナトリウムは、医薬組成物の約1%w/w〜約3%w/wを構成し、さらなる量のコロイド状二酸化ケイ素は、医薬組成物の約0.5%w/w〜約1.5%w/wを構成し、さらなる量のステアリン酸マグネシウムは、医薬組成物の約0.5%w/w〜約1.5%w/wを構成し、これらは顆粒外添加される。
【0273】
一部の実施形態では、医薬組成物は、以下の顆粒内添加された構成成分を含む:化合物2およびヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(HPMCAS)を含む固体分散物は、医薬組成物の約60%w/wを構成し、微結晶セルロースは、医薬組成物の約21.5%w/wを構成し、クロスカルメロースナトリウムは、医薬組成物の約4%w/wを構成し、ラウリル硫酸ナトリウムは、医薬組成物の約1%w/wを構成し、コロイド状二酸化ケイ素は、医薬組成物の約1%w/wを構成し、ステアリン酸マグネシウムは、医薬組成物の約0.5%w/wを構成する。
【0274】
一部の実施形態では、医薬組成物は、以下の顆粒外添加された構成成分を含む:さらなる量の微結晶セルロースは、医薬組成物の約8%w/wを構成し、さらなる量のクロスカルメロースナトリウムは、医薬組成物の約2%w/wを構成し、さらなる量のコロイド状二酸化ケイ素は、医薬組成物の約1%w/wを構成し、さらなる量のステアリン酸マグネシウムは、医薬組成物の約1%w/wを構成し、これらは顆粒外添加される。
使用の方法
【0275】
FLT3の変異状態は、化合物1で処置される場合にはIDH2の変異体対立遺伝子の存在を特徴とするがん、および化合物2で処置される場合にはIDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とするがんにおける応答と関連することが観察されている。実施の任意の特定の理論に束縛されることは意図しないが、FLT3における体細胞変異、例えば、FLT−ITD変異は、IDH2の変異体対立遺伝子の存在を特徴とするAMLにおける化合物1による処置に対する耐性、およびIDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とするAMLにおける化合物2による処置に対する耐性と関連し得る。
【0276】
一実施形態では、本明細書で提供される方法は、治療有効量のIDH2阻害剤を投与することによって、対象において、IDH2の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とするがんを処置、予防または管理することを包含する。一実施形態では、IDH2阻害剤は化合物1である。
【0277】
一実施形態では、本明細書で提供される方法は、治療有効量のIDH1阻害剤を投与することによって、対象において、IDH1の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とするがんを処置、予防または管理することを包含する。一実施形態では、IDH1阻害剤は化合物2である。
【0278】
一実施形態では、治療有効量の化合物1を投与することによって、対象において固形腫瘍を処置、予防または管理する方法であって、固形腫瘍が、IDH2の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする、方法が本明細書で提供される。一実施形態では、固形腫瘍は、進行した固形腫瘍である。
【0279】
一実施形態では、治療有効量の化合物2を投与することによって、対象において固形腫瘍を処置、予防または管理する方法であって、固形腫瘍が、IDH1の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする、方法が本明細書で提供される。一実施形態では、固形腫瘍は、進行した固形腫瘍である。
【0280】
一実施形態では、治療有効量の化合物1を投与することによって、対象において血液学的悪性疾患を処置、予防または管理する方法であって、血液学的悪性疾患が、IDH2の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする、方法が本明細書で提供される。一実施形態では、血液悪性疾患は、進行した血液悪性疾患である。一実施形態では、血液悪性疾患はAMLである。
【0281】
一実施形態では、治療有効量の化合物2を投与することによって、対象において血液学的悪性疾患を処置、予防または管理する方法であって、血液学的悪性疾患が、IDH1の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする、方法が本明細書で提供される。一実施形態では、血液悪性疾患は、進行した血液悪性疾患である。一実施形態では、血液悪性疾患はAMLである。
【0282】
ある特定の実施形態では、これらの方法は、FLT3経路を標的にする1つまたは複数の化合物の治療有効量と組み合わせて、治療有効量のIDH2阻害剤、例えば化合物1を投与することによって、対象において、IDH2の変異体対立遺伝子および変異体FLT3の存在を特徴とするがんを処置、予防または管理することを包含する。一実施形態では、FLT3経路を標的にする化合物は、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブ(famitinib)およびDCC−2036から選択されるFLT3阻害剤である。
【0283】
ある特定の実施形態では、これらの方法は、FLT3経路を標的にする1つまたは複数の化合物の治療有効量と組み合わせて、治療有効量のIDH1阻害剤、例えば化合物2を投与することによって、対象において、IDH1の変異体対立遺伝子および変異体FLT3の存在を特徴とするがんを処置、予防または管理することを包含する。一実施形態では、FLT3経路を標的にする化合物は、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブ(famitinib)およびDCC−2036から選択されるFLT3阻害剤である。
【0284】
ある特定の実施形態では、これらの方法は、FLT3経路を標的にする1つまたは複数の化合物の治療有効量と組み合わせて、治療有効量のIDH2阻害剤、例えば化合物1を投与することによって、対象において、IDH2の変異体対立遺伝子および変異体FLT3の存在を特徴とする固形腫瘍を処置、予防または管理することを包含する。一実施形態では、FLT3経路を標的にする化合物は、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブ(famitinib)およびDCC−2036から選択されるFLT3阻害剤である。
【0285】
ある特定の実施形態では、これらの方法は、FLT3経路を標的にする1つまたは複数の化合物の治療有効量と組み合わせて、治療有効量のIDH1阻害剤、例えば化合物2を投与することによって、対象において、IDH1の変異体対立遺伝子および変異体FLT3の存在を特徴とする固形腫瘍を処置、予防または管理することを包含する。一実施形態では、FLT3経路を標的にする化合物は、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブ(famitinib)およびDCC−2036から選択されるFLT3阻害剤である。
【0286】
一実施形態では、固形腫瘍は、進行した固形腫瘍である。
【0287】
ある特定の実施形態では、これらの方法は、FLT3経路を標的にする1つまたは複数の化合物の治療有効量と組み合わせて、治療有効量のIDH2阻害剤、例えば化合物1を投与することによって、対象において、IDH2の変異体対立遺伝子および変異体FLT3の存在を特徴とする血液悪性疾患を処置、予防または管理することを包含する。一実施形態では、FLT3経路を標的にする化合物は、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブ(famitinib)およびDCC−2036から選択されるFLT3阻害剤である。
【0288】
ある特定の実施形態では、これらの方法は、FLT3経路を標的にする1つまたは複数の化合物の治療有効量と組み合わせて、治療有効量のIDH1阻害剤、例えば化合物2を投与することによって、対象において、IDH1の変異体対立遺伝子および変異体FLT3の存在を特徴とする血液悪性疾患を処置、予防または管理することを包含する。一実施形態では、FLT3経路を標的にする化合物は、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブ(famitinib)およびDCC−2036から選択されるFLT3阻害剤である。
【0289】
一実施形態では、血液悪性疾患は、進行した血液悪性疾患である。一実施形態では、血液悪性疾患はAMLである。
【0290】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、患者などの対象中のまたは対象由来のがん細胞を治療有効量の化合物1と接触させるステップであって、がん細胞が、IDH2の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする、ステップを含む。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、患者などの対象中のまたは対象由来のがん細胞を治療有効量の化合物2と接触させるステップであって、がん細胞が、IDH1の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする、ステップを含む。接触させるステップは、in vitro、in vivoまたはex vivoであり得る。一実施形態では、この方法は、がん細胞をin vivoで接触させるステップを含む。
【0291】
一実施形態では、IDH1阻害剤による処置に適切ながん対象を同定する方法であって、(a)がんを有する対象から生物学的試料を取得するステップ;(b)IDH1変異およびFLT3変異、例えば、FLT3−ITD変異について、生物学的試料をスクリーニングするステップ;ならびに(c)がんが、IDH1の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする場合、その対象を、IDH1阻害剤による処置に適切ながん対象であると同定するステップを含む方法が、本明細書で提供される。別の実施形態では、IDH1阻害剤による処置に適切ながん対象であると同定された対象は、IDH1阻害剤で処置される。
【0292】
一実施形態では、がん対象においてがんを処置するための方法における使用のためのIDH1阻害剤であって、がん対象が、(a)がんを有する対象から生物学的試料を取得するステップ;(b)IDH1変異およびFLT3変異について、生物学的試料をスクリーニングするステップ;ならびに(c)がんが、IDH1の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする場合、その対象を、IDH1阻害剤による処置に適切ながん対象であると同定するステップを含む、IDH1阻害剤による処置に適切ながん対象を同定する方法によって同定されている、IDH1阻害剤が提供される。
【0293】
一実施形態では、IDH2阻害剤による処置に適切ながん対象を同定する方法であって、(a)がんを有する対象から生物学的試料を取得するステップ;(b)IDH2変異およびFLT3変異、例えば、FLT3−ITD変異について、生物学的試料をスクリーニングするステップ;ならびに(c)がんが、IDH2の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする場合、その対象を、IDH2阻害剤による処置に適切ながん対象であると同定するステップを含む方法が、本明細書で提供される。別の実施形態では、IDH2阻害剤による処置に適切ながん対象であると同定された対象は、IDH2阻害剤で処置される。
【0294】
一実施形態では、化合物1による処置に適切ながん対象を同定する方法であって、(a)がんを有する対象から生物学的試料を取得するステップ;(b)IDH2変異およびFLT3変異、例えば、FLT3−ITD変異について、生物学的試料をスクリーニングするステップ;ならびに(c)がんが、IDH2の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする場合、その対象を、化合物1による処置に適切ながん対象であると同定するステップを含む方法が、本明細書で提供される。別の実施形態では、化合物1による処置に適切ながん対象であると同定された対象は、化合物1で処置される。
【0295】
一実施形態では、化合物2による処置に適切ながん対象を同定する方法であって、(a)がんを有する対象から生物学的試料を取得するステップ;(b)IDH1変異およびFLT3変異について、生物学的試料をスクリーニングするステップ;ならびに(c)がんが、IDH1の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする場合、その対象を、化合物2による処置に適切ながん対象であると同定するステップを含む方法が、本明細書で提供される。別の実施形態では、化合物2による処置に適切ながん対象であると同定された対象は、化合物2で処置される。
【0296】
がん対象においてがんを処置するための方法における使用のための化合物2であって、がん対象が、(a)がんを有する対象から生物学的試料を取得するステップ;(b)IDH1変異およびFLT3変異について、生物学的試料をスクリーニングするステップ;ならびに(c)がんが、IDH1の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする場合、その対象を、化合物2による処置に適切ながん対象であると同定するステップを含む、化合物2による処置に適切ながん対象を同定する方法によって同定されている、化合物2もまた提供される。
【0297】
別の実施形態では、IDH2の変異体対立遺伝子の存在を特徴とするがんを有する複数のがん対象から、IDH2阻害剤による処置に適切な1または複数のがん対象を同定するための方法が、本明細書で提供される。この方法は、IDH2阻害剤による処置に適切な複数のがん対象から、FLT3変異の非存在を特徴とするがんを有する1または複数のがん対象を同定するステップを含む。一実施形態では、1または複数の適切な対象は、IDH2阻害剤で処置される。
【0298】
別の実施形態では、IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とするがんを有する複数のがん対象から、IDH1阻害剤による処置に適切な1または複数のがん対象を同定するための方法が、本明細書で提供される。この方法は、IDH1阻害剤による処置に適切な複数のがん対象から、FLT3変異の非存在を特徴とするがんを有する1または複数のがん対象を同定するステップを含む。一実施形態では、1または複数の適切な対象は、IDH1阻害剤で処置される。
【0299】
IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とするがんを有する1または複数のがん対象においてがんを処置するための方法における使用のためのIDH1阻害剤であって、1または複数のがん対象が、IDH1阻害剤による処置に適切な複数のがん対象から、FLT3変異の非存在を特徴とするがんを有する1または複数のがん対象を同定するステップを含む方法によって同定される、IDH1阻害剤もまた提供される。
【0300】
別の実施形態では、IDH2の変異体対立遺伝子の存在を特徴とするがんを有する複数のがん対象から、化合物1による処置に適切な1または複数のがん対象を同定するための方法が、本明細書で提供される。この方法は、化合物1による処置に適切な複数のがん対象から、FLT3変異の非存在を特徴とするがんを有する1または複数のがん対象を同定するステップを含む。一実施形態では、1または複数の適切な対象は、化合物1で処置される。
【0301】
別の実施形態では、IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とするがんを有する複数のがん対象から、化合物2による処置に適切な1または複数のがん対象を同定するための方法が、本明細書で提供される。この方法は、化合物2による処置に適切な複数のがん対象から、FLT3変異の非存在を特徴とするがんを有する1または複数のがん対象を同定するステップを含む。一実施形態では、1または複数の適切な対象は、化合物2で処置される。
【0302】
IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とするがんを有する1または複数のがん対象においてがんを処置するための方法における使用のためのIDH1阻害剤もまた提供される。ある実施形態では、1または複数のがん対象は、IDH1阻害剤による処置に適切な複数のがん対象から、FLT3変異の非存在を特徴とするがんを有する1または複数のがん対象を同定するステップを含む方法によって同定される。一実施形態では、1または複数の適切な対象は、化合物2で処置される。
【0303】
一実施形態では、IDH1阻害剤およびFLT3経路阻害剤の組合せによる処置に適切ながん対象を同定する方法であって、(a)がんを有する対象から生物学的試料を取得するステップ;(b)IDH1変異およびFLT3変異、例えば、FLT3−ITD変異について、生物学的試料をスクリーニングするステップ;ならびに(c)がんが、IDH1の変異体対立遺伝子および変異体FLT3、例えば、FLT3−ITDの存在を特徴とする場合、その対象を、IDH1阻害剤およびFLT3経路阻害剤の併用治療による処置に適切ながん対象であると同定するステップを含む方法が、本明細書で提供される。別の実施形態では、併用治療による処置に適切ながん対象であると同定された対象は、IDH1阻害剤およびFLT3経路阻害剤の組合せで処置される。一実施形態では、FLT3経路阻害剤は、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブおよびDCC−2036から選択される。
【0304】
一実施形態では、IDH2阻害剤およびFLT3経路阻害剤の組合せによる処置に適切ながん対象を同定する方法であって、(a)がんを有する対象から生物学的試料を取得するステップ;(b)IDH2変異およびFLT3変異、例えば、FLT3−ITD変異について、生物学的試料をスクリーニングするステップ;ならびに(c)がんが、IDH2の変異体対立遺伝子および変異体FLT3、例えば、FLT3−ITDの存在を特徴とする場合、その対象を、IDH2阻害剤およびFLT3経路阻害剤の併用治療による処置に適切ながん対象であると同定するステップを含む方法が、本明細書で提供される。別の実施形態では、併用治療による処置に適切ながん対象であると同定された対象は、IDH2阻害剤およびFLT3経路阻害剤の組合せで処置される。
【0305】
一実施形態では、FLT3阻害剤は、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブおよびDCC−2036から選択される。
【0306】
一実施形態では、化合物1およびFLT3経路阻害剤の組合せによる処置に適切ながん対象を同定する方法であって、(a)がんを有する対象から生物学的試料を取得するステップ;(b)IDH2変異およびFLT3変異、例えば、FLT3−ITD変異について、生物学的試料をスクリーニングするステップ;ならびに(c)がんが、IDH2の変異体対立遺伝子および変異体FLT3、例えば、FLT3−ITDの存在を特徴とする場合、その対象を、化合物1およびFLT3経路阻害剤の併用治療による処置に適切ながん対象であると同定するステップを含む方法が、本明細書で提供される。別の実施形態では、併用治療による処置に適切ながん対象であると同定された対象は、化合物1およびFLT3経路阻害剤の組合せで処置される。一実施形態では、FLT3阻害剤は、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブおよびDCC−2036から選択される。
【0307】
一実施形態では、化合物2およびFLT3経路阻害剤の組合せによる処置に適切ながん対象を同定する方法であって、(a)がんを有する対象から生物学的試料を取得するステップ;(b)IDH1変異およびFLT3変異について、生物学的試料をスクリーニングするステップ;ならびに(c)がんが、IDH1の変異体対立遺伝子および変異体FLT3の存在を特徴とする場合、その対象を、化合物2およびFLT3経路阻害剤の併用治療による処置に適切ながん対象であると同定するステップを含む方法が、本明細書で提供される。別の実施形態では、併用治療による処置に適切ながん対象であると同定された対象は、化合物2およびFLT3経路阻害剤の組合せで処置される。
【0308】
がん対象においてがんを処置するための方法における使用のためのIDH1阻害剤およびFLT3経路阻害剤の組合せであって、がん対象が、(a)がんを有する対象から生物学的試料を取得するステップ;(b)IDH1変異およびFLT3変異について、生物学的試料をスクリーニングするステップ;ならびに(c)がんが、IDH1の変異体対立遺伝子および変異体FLT3の存在を特徴とする場合、その対象を、IDH1阻害剤およびFLT3経路阻害剤の併用治療による処置に適切ながん対象であると同定するステップを含む、IDH1阻害剤およびFLT3経路阻害剤の組合せによる処置に適切ながん対象を同定する方法によって同定されている、組合せもまた提供される。ある実施形態では、IDH1阻害剤は化合物2である。
【0309】
一実施形態では、FLT3阻害剤は、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブおよびDCC−2036から選択される。
【0310】
別の実施形態では、複数のがん対象から、IDH2阻害剤、例えば化合物1、およびFLT3経路阻害剤、例えば、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブまたはDCC−2036の併用治療による処置に適切な1または複数のがん対象を同定するための方法が、本明細書で提供される。この方法は、複数のがん対象から、IDH2阻害剤、例えば化合物1、およびFLT3経路阻害剤、例えば、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブまたはDCC−2036の併用治療による処置に適切な1または複数のがん対象を同定するステップを含み、この1または複数のがん対象におけるがんは、IDH2の変異体対立遺伝子および変異体FLT3の存在を特徴とする。一実施形態では、1または複数の適切な対象は、IDH2阻害剤、例えば化合物1、およびFLT3経路阻害剤、例えば、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブまたはDCC−2036の組合せで処置される。
【0311】
別の実施形態では、複数のがん対象から、IDH1阻害剤、例えば化合物2、およびFLT3経路阻害剤、例えば、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブおよびDCC−2036から選択されるFLT3阻害剤の併用治療による処置に適切な1または複数のがん対象を同定するための方法が、本明細書で提供される。この方法は、複数のがん対象から、IDH1阻害剤、例えば化合物2、およびFLT3経路阻害剤、例えば、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブ(famitinib)およびDCC−2036から選択されるFLT3阻害剤の併用治療による処置に適切な1または複数のがん対象を同定するステップを含み、この1または複数のがん対象におけるがんは、IDH1の変異体対立遺伝子および変異体FLT3の存在を特徴とする。一実施形態では、1または複数の適切な対象は、IDH1阻害剤、例えば化合物2、およびFLT3経路阻害剤、例えば、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブ(famitinib)およびDCC−2036から選択されるFLT3阻害剤の組合せで処置される。
【0312】
1または複数のがん対象においてがんを処置するための方法における使用のための、IDH1阻害剤、例えば化合物2、およびFLT3経路阻害剤、例えば、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブまたはDCC−2036の組合せであって、1または複数のがん対象が、IDH1阻害剤、例えば化合物2、およびFLT3経路阻害剤、例えば、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブまたはDCC−2036の併用治療による処置に適切な複数のがん対象から、1または複数のがん対象を同定するステップを含む方法によって同定され、この1または複数のがん対象におけるがんが、IDH1の変異体対立遺伝子および変異体FLT3の存在を特徴とする、組合せもまた提供される。
【0313】
一実施形態では、FLT3変異の存在を特徴とするがんを有する1または複数のがん対象は、IDH1阻害剤、例えば、化合物2で処置されない。一実施形態では、変異体FLT3の存在を特徴とするがんを有する1または複数のがん対象は、IDH2阻害剤、例えば、化合物1で処置されない。
【0314】
ある特定の実施形態では、IDH1変異体(例えば、IDH1 R132H、IDH1 R132C、IDH1 R132L、IDH1 R132V、IDH1 R132SまたはIDH1 R132G)に対する化合物2の阻害活性は、PCT公開番号WO2013/107291および米国特許出願公開番号US2013/0190249の実施例Aに記載された方法によって試験され得る。ある特定の実施形態では、IDH2変異体に対する化合物1の阻害活性は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開番号US2013/0190287に記載される方法、または類似の方法によって試験され得る。
【0315】
本明細書に記載される方法の一部の実施形態では、血液悪性疾患は、各々がIDH2の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄肉腫、多発性骨髄腫、リンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)または芽球形質細胞様樹状細胞腫瘍である。本明細書に記載される方法の他の実施形態では、血液悪性疾患は、各々がIDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、B細胞急性リンパ球性白血病(B−ALL)またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)である。一実施形態では、血液悪性疾患は、進行した血液悪性疾患である。
【0316】
本明細書に記載される方法の一部の実施形態では、血液悪性疾患は、IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする急性骨髄性白血病(AML)である。本明細書に記載される方法の一部の実施形態では、急性骨髄性白血病(AML)は、IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする再発性または難治性のAMLである。本明細書に記載される方法の一部の実施形態では、血液悪性疾患は、IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする骨髄異形成症候群(MDS)である。本明細書に記載される方法の一部の実施形態では、血液悪性疾患は、IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする慢性骨髄単球性白血病(CMML)である。本明細書に記載される方法の一部の実施形態では、血液悪性疾患は、IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする骨髄肉腫である。本明細書に記載される方法の一部の実施形態では、血液悪性疾患は、IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とするリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)である。本明細書に記載される方法の一部の実施形態では、血液悪性疾患は、IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)である。本明細書に記載される方法の一部の実施形態では、血液悪性疾患は、IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする芽球形質細胞様樹状細胞腫瘍である。
【0317】
本明細書に提供される方法の一実施形態では、固形腫瘍は、各々がIDH2の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、胆管癌(例えば、神経膠腫)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、肉腫または非小細胞肺がんである。
【0318】
本明細書に提供される方法の一実施形態では、固形腫瘍は、各々がIDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、胆管癌(肝内胆管癌(IHCC)を含む)、前立腺がん、結腸がんまたは非小細胞肺がん(NSCLC)である。
【0319】
本明細書に提供される方法の一実施形態では、固形腫瘍は、IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする神経膠腫である。本明細書に提供される方法の一実施形態では、固形腫瘍は、IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする黒色腫である。本明細書に提供される方法の一実施形態では、固形腫瘍は、IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする軟骨肉腫である。本明細書に提供される方法の一実施形態では、固形腫瘍は、IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする胆管癌(例えば、神経膠腫)である。本明細書に提供される方法の一実施形態では、固形腫瘍は、IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)である。本明細書に提供される方法の一実施形態では、固形腫瘍は、IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする肉腫である。本明細書に提供される方法の一実施形態では、固形腫瘍は、IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする非小細胞肺がんである。
【0320】
一実施形態では、処置される悪性疾患は、IDH1またはIDH2の変異体対立遺伝子を特徴とし、IDH1またはIDH2変異は、患者において、α−ケトグルタル酸のR(−)−2−ヒドロキシグルタル酸へのNAPH依存的還元を触媒する、酵素の新たな能力を生じる。この実施形態の一態様では、変異体IDH1は、R132X変異を有する。この実施形態の一態様では、R132X変異は、R132H、R132C、R132L、R132V、R132SおよびR132Gから選択される。別の態様では、R132X変異は、R132HまたはR132Cである。さらに別の態様では、R132X変異はR132Hである。この実施形態の一態様では、変異体IDH2は、R140X変異を有する。この実施形態の別の態様では、R140X変異はR140Q変異である。この実施形態の別の態様では、R140X変異はR140W変異である。この実施形態の別の態様では、R140X変異はR140L変異である。この実施形態の別の態様では、変異体IDH2は、R172X変異を有する。この実施形態の別の態様では、R172X変異はR172K変異である。この実施形態の別の態様では、R172X変異はR172G変異である。
【0321】
一実施形態では、悪性疾患は、IDH1のアミノ酸132における変異の存在および具体的な性質(例えば、この位置に存在する荷電アミノ酸)を決定するために、細胞試料を配列決定することによって分析され得る。一実施形態では、悪性疾患は、IDH2のアミノ酸140および/または172における変異の存在および具体的な性質(例えば、この位置に存在する荷電アミノ酸)を決定するために、細胞試料を配列決定することによって分析され得る。
【0322】
理論に束縛されないが、本出願人らは、IDH1変異が、α−ケトグルタル酸のR(−)−2−ヒドロキシグルタル酸へのNAPH依存的還元を触媒する酵素の新たな能力を生じる、IDH1の変異体対立遺伝子、特に、IDH1のR132H変異が、身体中でのそれらの細胞性の性質または位置にかかわらず、全ての型のがんのサブセットを特徴付けると考えている。したがって、本明細書に記載される化合物2および方法は、かかる活性を付与するIDH1の変異体対立遺伝子、特に、IDH1 R132HまたはR132C変異の存在を各々が特徴とする、進行した血液悪性疾患を含む血液悪性疾患、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、B細胞急性リンパ球性白血病(B−ALL)またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)を処置するために有用である。
【0323】
別の態様では、本明細書に記載される化合物2および方法は、かかる活性を付与するIDH1の変異体対立遺伝子、特に、IDH1 R132HまたはR132C変異の存在を各々が特徴とする、固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、胆管癌(肝内胆管癌(IHCC)を含む)、前立腺がん、結腸がんまたは非小細胞肺がん(NSCLC)を処置するために有用である。
【0324】
一実施形態では、処置される進行した血液悪性疾患は、AMLである。一部の実施形態では、AMLは、再発性および/または難治性である。他の実施形態では、AMLは、未処置である。一部の実施形態では、AMLは、60歳およびそれよりも年長の患者において、再発性および/または難治性である。一部の実施形態では、AMLは、60歳およびそれよりも年長の患者において、未処置である。一部の実施形態では、AMLは、60歳未満の患者において、再発性および/または難治性である。一実施形態では、化合物2は、AMLのための第一選択処置として投与される。一実施形態では、化合物2は、AMLのための第二選択処置、第三選択処置または第四選択処置として投与される。一実施形態では、化合物2は、AMLのための第一選択処置の後に投与される。一実施形態では、化合物2は、AMLのための第二選択処置、第三選択処置または第四選択処置の後に投与される。一実施形態では、化合物2は、最初の再発の後に投与される。一実施形態では、化合物2は、最初の導入の失敗の後に投与される。一実施形態では、化合物2は、再導入の失敗の後に投与される。一実施形態では、化合物2の投与は、移植の前、その間またはその後に行われ得る。一実施形態では、化合物2は、移植後の再発の後に投与される。一実施形態では、AMLの症状は、MPDに引き続く。一実施形態では、AMLの症状は、MDSおよびCMMLに引き続く。
【0325】
別の態様では、理論に束縛されないが、本出願人らは、IDH2変異が、α−ケトグルタル酸のR(−)−2−ヒドロキシグルタル酸へのNAPH依存的還元を触媒する酵素の新たな能力を生じる、IDH2の変異体対立遺伝子、特に、IDH2のR140Qおよび/またはR172K変異が、身体中でのそれらの細胞性の性質または位置にかかわらず、全ての型のがんのサブセットを特徴付けることを見出した。したがって、本明細書で提供される化合物、組成物および方法は、かかる活性を付与するIDH2の変異体対立遺伝子、特に、IDH2 R140Qおよび/またはR172K変異の存在を特徴とする任意の型のがんを処置するために有用である。
【0326】
したがって、本明細書に記載される化合物1および方法は、かかる活性を付与するIDH2の変異体対立遺伝子、特に、IDH2 R140Qおよび/またはR172K変異の存在を各々が特徴とする、進行した血液悪性疾患を含む血液悪性疾患、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄肉腫、多発性骨髄腫、リンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)または芽球形質細胞様樹状細胞腫瘍を処置するために有用である。
【0327】
別の態様では、本明細書に記載される化合物2および方法は、かかる活性を付与するIDH2の変異体対立遺伝子、特に、IDH2 R140Qおよび/またはR172K変異の存在を各々が特徴とする、固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、胆管癌(例えば、神経膠腫)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、肉腫または非小細胞肺がんを処置するために有用である。
【0328】
一実施形態では、悪性疾患は、腫瘍細胞のうち少なくとも30、40、50、60、70、80または90%が、診断または処置の時点において、IDH1変異、特に、IDH1 R132HもしくはR132C変異、あるいはIDH2変異、特に、IDH2 R140Q、R140WもしくはR140Lおよび/またはR172KもしくはR172G変異を保有する腫瘍である。
【0329】
一実施形態では、悪性疾患の処置の有効性は、対象における2HGのレベルを測定することによってモニタリングされる。典型的には、2HGのレベルは、処置の前に測定され、このとき、上昇したレベルは、化合物1または化合物2の使用のために示される。上昇したレベルが確立されると、2HGのレベルは、有効性を確立するために、処置の過程の間および/または処置の終了後に、決定される。ある特定の実施形態では、2HGのレベルは、処置の過程の間および/または処置の終了後にのみ決定される。処置の過程の間および処置後の2HGレベルの低減は、有効性を示す。同様に、処置の過程の間または処置後の、2HGレベルが上昇していないという決定もまた、有効性を示す。典型的には、2HG測定値は、悪性疾患処置の有効性の他の周知の決定、例えば、腫瘍および/または他のがん関連病巣の数およびサイズにおける低減、対象の全身健康における改善、ならびに悪性疾患処置の有効性と関連する他のバイオマーカーにおける変更と一緒に利用される。
【0330】
2HGは、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれるPCT公開番号WO2011/050210および米国特許出願公開番号US2012/0121515の方法、または類似の方法によって、試料において検出され得る。例示的な方法では、2HGは、LC/MSによって試料において検出され得る。試料は、メタノールと80:20混合され、3,000rpmで20分間4℃で遠心分離される。得られた上清は、収集され得、2−ヒドロキシグルタル酸のレベルを評価するためのLC−MS/MSの前に−80℃で貯蔵され得る。種々の異なる液体クロマトグラフィー(LC)分離法が使用され得る。各方法は、エレクトロスプレー陰イオン化(negative electrospray ionization)(ESI、−3.0kV)によって、注入された代謝物標準溶液に対して最適化されたMSパラメーターを用い、多重反応モニタリング(MRM)モードで動作する三連四重極型質量分析計にカップリングされ得る。代謝物は、以前に報告された方法(Luoら J Chromatogr A 1147巻、153〜64頁、2007年)の異形に従って、水性移動相中のイオン対形成剤として10mMトリブチルアミンを使用する逆相クロマトグラフィーによって分離され得る。1つの方法が、TCA代謝物の分解を可能にする:t=0、50% B;t=5、95% B;t=7、95% B;t=8、0% B、ここで、Bは、100%メタノールの有機移動相を指す。別の方法は、2−ヒドロキシグルタル酸に特異的であり、50%〜95%のB(上で規定した緩衝液)の速い線形勾配で5分間にわたって実行される。Synergi Hydro−RP、100mm×2mm、2.1μm粒子サイズ(Phenomonex)が、上記のようにカラムとして使用され得る。代謝物は、既知の濃度の純粋な代謝物標準を用いて、ピーク面積の比較によって定量化され得る。
13C−グルタミンからの代謝物フラックス研究は、例えば、Mungerら Nat Biotechnol 26巻、1179〜86頁、2008年に記載されるように実施され得る。
【0331】
一実施形態では、2HGは直接評価される。
【0332】
別の実施形態では、分析方法を実施するプロセスにおいて形成される2HGの誘導体が評価される。例として、かかる誘導体は、MS分析において形成される誘導体であり得る。誘導体には、例えば、MS分析において形成される、塩付加物、例えば、Na付加物、水和バリアント、または塩付加物、例えば、Na付加物でもある水和バリアントが含まれ得る。
【0333】
別の実施形態では、2HGの代謝誘導体が評価される。例としては、2HG、例えば、R−2HGと相関されるグルタル酸またはグルタミン酸などの、2HGの存在の結果として高まるもしくは上昇する、または低減される種が含まれる。
【0334】
例示的な2HG誘導体には、脱水誘導体、例えば、以下に提供される化合物またはその塩付加物が含まれる:
【化3】
【0335】
2HGは、遺伝性代謝障害2−ヒドロキシグルタル酸尿症において蓄積することが公知である。この疾患は、2HGをα−KGに変換する酵素2−ヒドロキシグルタル酸デヒドロゲナーゼにおける欠損によって引き起こされる(Struys, E. A.ら Am J Hum Genet 76巻、358〜60頁(2005年))。2−ヒドロキシグルタル酸デヒドロゲナーゼ欠損を有する患者は、MRIおよびCSF分析によって評価されるように、脳において2HGを蓄積し、白質脳症を発症し、脳腫瘍を発症する危険性の増加を有する(Aghili, M.、Zahedi, F.およびRafiee、J Neurooncol 91巻、233〜6頁(2009年);Kolker, S.、Mayatepek, E.およびHoffmann, G. F. Neuropediatrics 33巻、225〜31頁(2002年);Wajner, M.、Latini, A.、Wyse, A. T.およびDutra−Filho, C. S. J Inherit Metab Dis 27巻、427〜48頁(2004年))。さらに、2HGの上昇した脳レベルは、増加したROSレベルを生じ(Kolker, S.ら Eur J Neurosci 16巻、21〜8頁(2002年);Latini, A.ら Eur J Neurosci 17巻、2017〜22頁(2003年))、がんの危険性の増加に潜在的に寄与する。NMDA受容体アゴニストとして作用する2HGの能力は、この効果に寄与し得る(Kolker, S.ら Eur J Neurosci 16巻、21〜8頁(2002年))。2HGはまた、グルタミン酸および/またはαKG利用酵素を競合的に阻害することによって、細胞にとって毒性であり得る。これらには、アミノ酸および核酸の生合成のためのグルタミン酸窒素の利用を可能にするトランスアミナーゼ、ならびにHif1−アルファレベルを調節するものなどのαKG依存的プロピルヒドロキシラーゼが含まれる。
【0336】
本明細書に記載される処置方法は、化合物1または化合物2による処置の前および/または後に、種々の評価ステップをさらに含み得る。
【0337】
一実施形態では、単独のまたはFLT3経路阻害剤と組み合わせた、化合物1または化合物2による処置の前および/または後に、この方法は、悪性疾患の成長、サイズ、重量、侵襲性、ステージおよび/または他の表現型を評価するステップをさらに含む。
【0338】
一実施形態では、単独のまたはFLT3経路阻害剤と組み合わせた、化合物1による処置の前および/または後に、この方法は、悪性疾患のIDH2遺伝子型を評価するステップをさらに含む。これは、DNA配列決定、免疫分析および/または2HGの存在、分布もしくはレベルの評価などの、当技術分野の通常の方法によって達成され得る。一実施形態では、単独のまたはFLT3経路阻害剤と組み合わせた、化合物2による処置の前および/または後に、この方法は、悪性疾患のIDH1遺伝子型を評価するステップをさらに含む。これは、DNA配列決定、免疫分析および/または2HGの存在、分布もしくはレベルの評価などの、当技術分野の通常の方法によって達成され得る。
【0339】
一実施形態では、単独のまたはFLT3経路阻害剤と組み合わせた、化合物1または化合物2による処置の前および/または後に、この方法は、対象において2HGレベルを決定するステップをさらに含む。これは、分光学的分析、例えば、磁気共鳴ベースの分析、例えば、MRIおよび/もしくはMRS測定、血清などの体液の試料分析もしくは脊髄液分析、または例えば質量分析による外科的材料の分析によって達成され得る。
【0340】
一実施形態では、化合物1およびFLT3経路阻害剤は、同時発生的に投与される。一実施形態では、化合物1およびFLT3経路阻害剤は、逐次的に投与される。一実施形態では、化合物2およびFLT3経路阻害剤は、同時発生的に投与される。一実施形態では、化合物2およびFLT3経路阻害剤は、逐次的に投与される。
【0341】
一実施形態では、処置される疾患および対象の状態に依存して、化合物1は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、CIV、大槽内の注射もしくは注入、皮下注射、または移植)、吸入、経鼻、腟内、直腸、舌下または外用(例えば、経皮または局所)の投与経路によって投与され得る。化合物1は、各投与経路に適切な薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバントおよびビヒクルを用いる適切な投薬単位で、単独で、または1つもしくは複数の活性薬剤(単数または複数)と一緒に、製剤化され得る。
【0342】
一実施形態では、処置される疾患および対象の状態に依存して、化合物2は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、CIV、大槽内の注射もしくは注入、皮下注射、または移植)、吸入、経鼻、腟内、直腸、舌下または外用(例えば、経皮または局所)の投与経路によって投与され得る。化合物2は、各投与経路に適切な薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバントおよびビヒクルを用いる適切な投薬単位で、単独で、または1つもしくは複数の活性薬剤(単数または複数)と一緒に、製剤化され得る。
【0343】
一実施形態では、本明細書で提供される方法で投与される化合物1または化合物2の量は、例えば、約5mg/日と約2,000mg/日との間の範囲であり得る。一実施形態では、範囲は、約10mg/日と約2,000mg/日との間である。一実施形態では、範囲は、約20mg/日と約2,000mg/日との間である。一実施形態では、範囲は、約50mg/日と約1,000mg/日との間である。一実施形態では、範囲は、約100mg/日と約1,000mg/日との間である。一実施形態では、範囲は、約100mg/日と約500mg/日との間である。一実施形態では、範囲は、約150mg/日と約500mg/日との間である。一実施形態では、範囲は、約150mg/日と約250mg/日との間である。ある特定の実施形態では、特定の投薬量は、例えば、約10mg/日である。一実施形態では、用量は約20mg/日である。一実施形態では、用量は約50mg/日である。一実施形態では、用量は約75mg/日である。一実施形態では、用量は約100mg/日である。一実施形態では、用量は約120mg/日である。一実施形態では、用量は約150mg/日である。一実施形態では、用量は約200mg/日である。一実施形態では、用量は約250mg/日である。一実施形態では、用量は約300mg/日である。一実施形態では、用量は約350mg/日である。一実施形態では、用量は約400mg/日である。一実施形態では、用量は約450mg/日である。一実施形態では、用量は約500mg/日である。一実施形態では、用量は約600mg/日である。一実施形態では、用量は約700mg/日である。一実施形態では、用量は約800mg/日である。一実施形態では、用量は約900mg/日である。一実施形態では、用量は約1,000mg/日である。一実施形態では、用量は約1,200mg/日である。一実施形態では、用量は約1,500mg/日である。ある特定の実施形態では、特定の投薬量は、例えば、最大で約10mg/日である。一実施形態では、特定の用量は、最大で約20mg/日である。一実施形態では、特定の用量は、最大で約50mg/日である。一実施形態では、特定の用量は、最大で約75mg/日である。一実施形態では、特定の用量は、最大で約100mg/日である。一実施形態では、特定の用量は、最大で約120mg/日である。一実施形態では、特定の用量は、最大で約150mg/日である。一実施形態では、特定の用量は、最大で約200mg/日である。一実施形態では、特定の用量は、最大で約250mg/日である。一実施形態では、特定の用量は、最大で約300mg/日である。一実施形態では、特定の用量は、最大で約350mg/日である。一実施形態では、特定の用量は、最大で約400mg/日である。一実施形態では、特定の用量は、最大で約450mg/日である。一実施形態では、特定の用量は、最大で約500mg/日である。一実施形態では、特定の用量は、最大で約600mg/日である。一実施形態では、特定の用量は、最大で約700mg/日である。一実施形態では、特定の用量は、最大で約800mg/日である。一実施形態では、特定の用量は、最大で約900mg/日である。一実施形態では、特定の用量は、最大で約1,000mg/日である。一実施形態では、特定の用量は、最大で約1,200mg/日である。一実施形態では、特定の用量は、最大で約1,500mg/日である。
【0344】
一実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物または剤形中の化合物1または化合物2の量は、例えば、約5mgと約2,000mgとの間の範囲であり得る。一実施形態では、範囲は、約10mgと約2,000mgとの間である。一実施形態では、範囲は、約20mgと約2,000mgとの間である。一実施形態では、範囲は、約50mgと約1,000mgとの間である。一実施形態では、範囲は、約50mgと約500mgとの間である。一実施形態では、範囲は、約50mgと約250mgとの間である。一実施形態では、範囲は、約100mgと約500mgとの間である。一実施形態では、範囲は、約150mgと約500mgとの間である。一実施形態では、範囲は、約150mgと約250mgとの間である。ある特定の実施形態では、特定の量は、例えば、約10mgである。一実施形態では、特定の量は約20mgである。一実施形態では、特定の量は約30mgである。一実施形態では、特定の量は約50mgである。一実施形態では、特定の量は約75mgである。一実施形態では、特定の量は約100mgである。一実施形態では、特定の量は約120mgである。一実施形態では、特定の量は約150mgである。一実施形態では、特定の量は約200mgである。一実施形態では、特定の量は約250mgである。一実施形態では、特定の量は約300mgである。一実施形態では、特定の量は約350mgである。一実施形態では、特定の量は約400mgである。一実施形態では、特定の量は約450mgである。一実施形態では、特定の量は約500mgである。一実施形態では、特定の量は約600mgである。一実施形態では、特定の量は約650mgである。一実施形態では、特定の量は約700mgである。一実施形態では、特定の量は約800mgである。一実施形態では、特定の量は約900mgである。一実施形態では、特定の量は約1,000mgである。一実施形態では、特定の量は約1,200mgである。一実施形態では、特定の量は約1,500mgである。ある特定の実施形態では、特定の量は、例えば、最大で約10mgである。一実施形態では、特定の量は、最大で約20mgである。一実施形態では、特定の量は、最大で約50mgである。一実施形態では、特定の量は、最大で約75mgである。一実施形態では、特定の量は、最大で約100mgである。一実施形態では、特定の量は、最大で約120mgである。一実施形態では、特定の量は、最大で約150mgである。一実施形態では、特定の量は、最大で約200mgである。一実施形態では、特定の量は、最大で約250mgである。一実施形態では、特定の量は、最大で約300mgである。一実施形態では、特定の量は、最大で約350mgである。一実施形態では、特定の量は、最大で約400mgである。一実施形態では、特定の量は、最大で約450mgである。一実施形態では、特定の量は、最大で約500mgである。一実施形態では、特定の量は、最大で約600mgである。一実施形態では、特定の量は、最大で約700mgである。一実施形態では、特定の量は、最大で約800mgである。一実施形態では、特定の量は、最大で約900mgである。一実施形態では、特定の量は、最大で約1,000mgである。一実施形態では、特定の量は、最大で約1,200mgである。一実施形態では、特定の量は、最大で約1,500mgである。
【0345】
一実施形態では、化合物1または化合物2は、単一の用量、例えば、単一のボーラス注射、または経口錠剤もしくは丸剤などとして;あるいは経時的に、例えば、経時的な持続注入または経時的な分割されたボーラス用量などとして、送達され得る。一実施形態では、化合物1は、必要に応じて、例えば、患者が安定な疾患もしくは退縮を経験するまで、または患者が疾患進行もしくは許容できない毒性を経験するまで、反復投与され得る。安定な疾患またはその欠如は、当技術分野で公知の方法、例えば、患者の症状の評価、身体検査、X線、CAT、PETまたはMRIスキャンを使用して画像化された腫瘍の可視化、および他の一般に受容された評価モダリティーによって決定される。
【0346】
ある特定の実施形態では、化合物1または化合物2は、患者にサイクルで(例えば、1週間にわたって毎日の投与、次いで、最大で3週間にわたって投与なしの休薬期間)投与される。サイクリング治療は、ある期間にわたる活性薬剤の投与と、その後のある期間にわたる休薬、およびこの逐次的投与を反復することを含む。サイクリング治療は、耐性の発生を低減させ得、副作用を回避しもしくは低減させ得、および/または処置の有効性を改善し得る。
【0347】
一実施形態では、本明細書で提供される方法は、化合物1または化合物2を、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、または40よりも多いサイクルで投与するステップを含む。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約1である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約2である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約3である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約4である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約5である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約6である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約7である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約8である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約9である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約10である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約11である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約12である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約13である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約14である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約15である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約16である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約17である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約18である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約19である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約20である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約21である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約22である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約23である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約24である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約25である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約26である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約27である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約28である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約29である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約30である。一実施形態では、患者の群において投与されるサイクル数の中央値は、約30サイクルよりも大きい。
【0348】
ある特定の実施形態では、処置サイクルは、複数の日数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または14日よりも長く)にわたってそれを必要とする対象に投与される複数用量の化合物1または化合物2、任意選択でその後の処置休薬期間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または28日よりも長く)を含む。
【0349】
一実施形態では、処置される疾患および対象の状態に依存して、FLT3経路阻害剤は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、CIV、大槽内の注射もしくは注入、皮下注射、または移植)、吸入、経鼻、腟内、直腸、舌下または外用(例えば、経皮または局所)の投与経路によって投与され得る。一実施形態では、FLT3経路阻害剤は、各投与経路に適切な薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバントおよびビヒクルを用いる適切な投薬単位で、単独で、あるいは化合物1および/または1つもしくは複数の活性薬剤(単数または複数)と一緒に、製剤化され得る。一実施形態では、FLT3経路阻害剤は、各投与経路に適切な薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバントおよびビヒクルを用いる適切な投薬単位で、単独で、あるいは化合物2および/または1つもしくは複数の活性薬剤(単数または複数)と一緒に、製剤化され得る。
【0350】
一実施形態では、FLT3経路阻害剤は、例えば、静脈内(IV)、皮下(SC)または経口経路によって投与される。本明細書のある特定の実施形態は、それを必要とする対象において相乗的治療効果を提供するために、化合物1もしくは化合物2および/または1つもしくは複数のさらなる活性薬剤との、FLT3経路阻害剤の共投与を提供する。共投与される活性薬剤(単数または複数)は、本明細書に記載されるがん治療剤であり得る。ある特定の実施形態では、共投与される活性薬剤(単数または複数)は、IDH1の阻害剤であり得る。ある特定の実施形態では、共投与される活性薬剤(単数または複数)は、IDH2の阻害剤であり得る。ある特定の実施形態では、共投与される薬剤(単数または複数)は、例えば、経口でまたは注射(例えば、IVまたはSC)によって投薬され得る。
【0351】
ある特定の実施形態では、処置サイクルは、複数の日数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または14日よりも長く)にわたってそれを必要とする対象に投与される複数用量のFLT3経路阻害剤、任意選択でその後の処置休薬期間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または28日よりも長く)を含む。本明細書で提供される方法のための適切な投薬量には、例えば、治療有効量および予防有効量が含まれる。
【0352】
一実施形態では、FLT3経路阻害剤は、単一の用量、例えば、単一のボーラス注射、または経口錠剤もしくは丸剤などとして;あるいは経時的に、例えば、経時的な持続注入または経時的な分割されたボーラス用量などとして、送達され得る。一実施形態では、FLT3経路阻害剤は、必要に応じて、例えば、患者が安定な疾患もしくは退縮を経験するまで、または患者が疾患進行もしくは許容できない毒性を経験するまで、反復投与され得る。安定な疾患またはその欠如は、当技術分野で公知の方法、例えば、患者の症状の評価、身体検査、X線、CAT、PETまたはMRIスキャンを使用して画像化された腫瘍の可視化、および他の一般に受容された評価モダリティーによって決定される。
【0353】
一実施形態では、FLT3経路阻害剤は、1日1回投与され得、または1日複数回の用量、例えば、1日2回、1日3回および1日4回へと分割され得る。一実施形態では、投与は、持続的(即ち、連続する日にわたって毎日(daily)、または毎日(every day))、間欠的、例えば、サイクル(即ち、薬物が投与されない、数日間、数週間または数ヶ月間の休薬を含む)で、であり得る。一実施形態では、FLT3経路阻害剤は、毎日、例えば、ある期間にわたって各日に1回または1回よりも多く、投与される。一実施形態では、FLT3経路阻害剤は、間欠的に、即ち、一定のまたは不規則な間隔のいずれかで停止および開始して、投与される。
患者集団
【0354】
本明細書で提供される方法のある特定の実施形態では、処置される対象は、動物、例えば、哺乳動物または非ヒト霊長類である。特定の実施形態では、対象はヒト患者である。対象は、雄性または雌性であり得る。
【0355】
特に、本明細書で提供される方法に従う処置に適した対象には、がんを有する対象が含まれ、がんは、IDH1および/またはIDH2の変異体対立遺伝子の存在ならびにFLT3変異の非存在を特徴とする。
【0356】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従う処置に適した対象には、がんを有する対象が含まれ、がんは、IDH1および/またはIDH2の変異体対立遺伝子の存在を特徴とし、変異体FLT3をさらに特徴とする。
【0357】
一実施形態では、本明細書で提供される方法に従う処置に適した対象には、各々がIDH1の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする、進行した血液悪性疾患、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、B細胞急性リンパ球性白血病(B−ALL)またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)を有する対象が含まれる。
【0358】
一実施形態では、本明細書で提供される方法に従う処置に適した対象には、各々がIDH2の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする、進行した血液悪性疾患、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄肉腫、多発性骨髄腫、リンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)または芽球形質細胞様樹状細胞腫瘍を有する対象が含まれる。
【0359】
一実施形態では、本明細書で提供される方法に従う処置に適した対象には、各々がIDH1の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする、固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、胆管癌(肝内胆管癌(IHCC)を含む)、前立腺がん、結腸がんまたは非小細胞肺がん(NSCLC)を有する対象が含まれる。
【0360】
一実施形態では、本明細書で提供される方法に従う処置に適した対象には、各々がIDH2の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする、固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、胆管癌(例えば、神経膠腫)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、肉腫または非小細胞肺がんを有する対象が含まれる。
【0361】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従う処置に適した対象には、各々がIDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とし、1つまたは複数のFLT3変異(単数または複数)をさらに特徴とする、進行した血液悪性疾患、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、B細胞急性リンパ球性白血病(B−ALL)またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)を有する対象が含まれる。
【0362】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従う処置に適した対象には、各々がIDH2の変異体対立遺伝子の存在を特徴とし、1つまたは複数のFLT3変異(単数または複数)をさらに特徴とする、進行した血液悪性疾患、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄肉腫、多発性骨髄腫、リンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)または芽球形質細胞様樹状細胞腫瘍を有する対象が含まれる。
【0363】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従う処置に適した対象には、各々がIDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とし、1つまたは複数のFLT3変異(単数または複数)をさらに特徴とする、固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、胆管癌(肝内胆管癌(IHCC)を含む)、前立腺がん、結腸がんまたは非小細胞肺がん(NSCLC)を有する対象が含まれる。
【0364】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従う処置に適した対象には、各々がIDH2の変異体対立遺伝子の存在を特徴とし、1つまたは複数のFLT3変異(単数または複数)をさらに特徴とする、固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、胆管癌(例えば、神経膠腫)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、肉腫または非小細胞肺がんを有する対象が含まれる。
【0365】
一部の疾患または障害は、ある特定の年齢群においてより一般的であるが、対象の年齢にかかわらずに対象を処置する方法もまた包含される。一部の実施形態では、対象は、少なくとも18歳のヒト患者である。一部の実施形態では、患者は、10、15、18、21、24、35、40、45、50、55、65、70、75、80、または85歳もしくはそれよりも年長である。
【0366】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、がんについて以前に処置されていない対象の処置を包含する。他の実施形態では、これらの方法は、以前に処置されているが、標準的な治療に対して非応答性である対象、ならびにがんについて現在処置されている対象を処置することを包含する。例えば、対象は、当業者に公知のがんのための標準的な処置レジメンで以前に処置された対象であり得る、または現在処置されている。
【0367】
上述の詳細な説明および添付の実施例は、単なる例示であり、主題の範囲に対する限定として解釈すべきでないことが理解される。開示された実施形態に対する種々の変化および修飾は、当業者に明らかである。本明細書で提供される使用の方法に関するものを限定なしに含む、かかる変化および修飾は、その精神および範囲から逸脱することなしになされ得る。本明細書で引用される特許、特許出願公報および他の刊行物は、参照によって組み込まれる。
【実施例】
【0368】
本明細書で使用されるとき、実施例で使用される記号および取決めは、特定の略語が詳細に定義されているかにかかわらず、現代の科学文献、例えば、Journal of the American Chemical SocietyまたはJournal of Biological Chemistryで使用されているものと一致する。詳細には、限定されないが、以下の略語が実施例においておよび本明細書を通して使用されうる。FMI=Foundation Medicine Inc.;CR=完全寛解;CRi=血球数の回復が不完全な完全寛解;CRp=血小板の回復が不完全な完全寛解;MLFS=形態学的無白血病状態(morphologic leukemia−free state);FLT3−ITD−=Fms関連チロシンキナーゼ3内部タンデムリピート(internal tandem repeat)陰性;FLT3−ITD+=Fms関連チロシンキナーゼ3内部タンデムリピート陽性;mFLT3=変異体Fms関連チロシンキナーゼ3内部タンデムリピート;ORR=全奏効率;PM−=点変異陰性;PM+=点変異陽性;g(グラム);mg(ミリグラム);mL(ミリリットル);mL(マイクロリットル);M(モル);mM(ミリモル);mM(マイクロモル);hrまたはhrs(時間);およびmin(分)。
(実施例1)
IDH2変異を持つ進行性血液悪性疾患を有する対象における経口投与された化合物1の、フェーズ1/2、多施設、オープンラベル、用量漸増および拡大の、安全性、薬物動態学、薬力学および臨床活性試験
【0369】
効能・効果:IDH2変異を持つ進行性血液悪性疾患を有する患者の処置。
【0370】
フェーズ1(用量漸増およびパート1拡大)目的:
【0371】
主要目的
【0372】
進行性血液悪性疾患を有する対象において28日サイクルの1日目から28日目に経口投薬される単剤として連続的に投与される化合物1を用いた処置の安全性および耐用性を判定すること。
【0373】
進行性血液悪性疾患を有する対象における化合物1の最大耐用量(MTD)もしくは最大投与量(MAD)および/または推奨フェーズ2用量(RP2D)を決定すること。
【0374】
副次目的
【0375】
進行性血液悪性疾患を有する対象における化合物1の用量制限毒性(DLT)を記述すること。
【0376】
進行性血液悪性疾患を有する対象における化合物1およびその代謝物の薬物動態学(PK)を特徴付けること。
【0377】
化合物1と2−ヒドロキシグルタル酸(hydroxygluturate)(2−HG)とのPK/薬力学的(PD)関係を特徴付けること。
【0378】
進行性血液悪性疾患を有する対象における化合物1に関連する臨床活性を特徴付けること。
【0379】
フェーズ2 目的:
【0380】
主要目的
【0381】
IDH2変異を持つ再発性または難治性AMLを有する対象のための処置としての化合物1の有効性を判定すること。
【0382】
副次目的
【0383】
IDH2変異を持つ再発性または難治性AMLを有する対象において、化合物1の安全性プロファイルをさらに評価すること。
【0384】
IDH2変異を持つ再発性または難治性AMLを有する対象において、化合物1およびその代謝物の薬物動態学(PK)を特徴付けること。
【0385】
化合物1と2−ヒドロキシグルタル酸(2−HG)とのPK/薬力学的(PD)関係を特徴付けること。
【0386】
方法論:
【0387】
これは、IDH2変異を持つ進行性血液悪性疾患を有する対象において経口投与された化合物1の、フェーズ1/2、多施設、オープンラベル、3パート(フェーズ1用量漸増、フェーズ1パート1拡大、およびフェーズ2)、安全性、PK/PD、および臨床活性評価である。
【0388】
フェーズ1部分において、試験は、選択集団において化合物1の、MTD/MADおよび/またはRP2Dを決定するための用量漸増フェーズと、安全性、耐用性および臨床活性をさらに評価するための拡大フェーズ(パート1拡大)とを含む。フェーズ2部分(従前のパート2拡大)は、IDH2変異を持つ難治性または再発性AMLを有する対象における化合物1の有効性、安全性、耐用性および臨床活性についてさらに情報を与える。
【0389】
用量漸増フェーズ
【0390】
用量漸増フェーズは、標準の「3+3」設計を利用する。用量漸増フェーズでは、同意を得た、再発性もしくは難治性急性骨髄性白血病(AML)、標準療法の候補でない年齢60歳以上で未処置のAML、または過剰芽細胞を伴う不応性貧血を有する骨髄異形成症候群を有する適格対象を、650mg QD用量を超えずにAG−221の用量を増加させるシーケンシャルコホートに登録する。各用量コホートは、最少で3対象を登録する。試験の用量漸増部分の間に各投薬コホートに登録された最初の3対象は、−3日目(つまり、毎日の投薬の開始の3日前)に試験薬の単回投与を受け、72時間にわたり安全性およびPK/PD判定を受け、薬物濃度ならびに2−HGおよびα−KGレベルが評価される。試験薬の次の投薬は、毎日の投薬が開始する時点であるサイクル1の1日目(C1D1)である。初回投薬スケジュールは1日2回であった(およそ12時間ごと)。明らかになったデータに基づいて、1日1回投薬スケジュールも実施した。代替投薬スケジュール(例えば、初回負荷量に続いて1日1回の投薬)を、臨床試験チームにより合意されるように、用量漸増および拡大フェーズで探索し続けてもよい。コホート内の第3の対象の処置が始まる時点でスクリーニングプロセスに複数の対象者がいる場合、2人までの追加の対象を、医療監視者(Medical Monitor)の承認を得て登録してもよい。これらの追加の対象について、−3日目から1日目までのPK/PD判定は、医療監視者と議論した後、任意選択である。
【0391】
用量漸増フェーズの間の投薬の安全性は、治験計画者(Sponsor designee)(医療責任者)、試験の医療監視者、および治験担当医師(Investigator)で構成される臨床試験チームによって評価される。臨床試験チームは、各コホートから明らかになった安全性データを再検討し、用量漸増するかどうかを決定する。
【0392】
毒性の重症度は、アメリカ国立がん研究所の有害事象共通用語規準(National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events、NCI CTCAE)バージョン4.03に従って等級分けされる。DLTは下記のように定義される。
【0393】
非血液学:
【0394】
CTCAEグレード3以上の全ての臨床的に有意な非血液学的毒性。ただし、UDP(ウリジンジホスフェート)−グルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー、ポリペプチドA1(UGT1A1)変異を有する対象におけるグレード3以上の血液ビリルビン増加を除く。UGT1A1変異を有する対象において、5×正常上限(upper limit of normal、ULN)より大きい血液ビリルビン増加は、DLTと考えられうる。
【0395】
血液学:
【0396】
サイクル1の治療の開始後少なくとも42日間、グレード3以上の好中球減少または血小板減少の持続として定義される長期骨髄抑制(NCI CTCAE、バージョン4.03による、白血病特異的基準、つまり、白血病のエビデンス欠如下、試験薬の開始から28日目またはそれより後に骨髄細胞性<5%)。白血病特異的等級分けは、血球減少について使用されるべきである(ベースラインからの減少割合に基づく:50〜75%=グレード3、75%より大きい=グレード4)。
【0397】
試験下の集団には併存症と併用薬品が多いため、特定の薬物への有害事象(AE)の帰属は困難である。したがって、明らかに化合物1と無関係であると決定できない全てのAEは、DLTの決定に関連するとみなされ、臨床試験チームによって再検討される。臨床試験チームは、DLTの指定が妥当かどうかを決定するために、DLT基準によって明確に定義されていない他のあらゆる緊急毒性も再検討する。
【0398】
第3の対象が28日間のDLT評価期間(つまり、サイクル1)を完了した後でDLTが観察されなかった場合には、臨床試験チームによる安全性再検討の後、試験において、用量漸増が次のコホートへ進められる。3対象のうち1対象が最初のサイクル中にDLTを経験する場合、追加の3対象をそのコホートに登録する。追加の3対象のいずれもDLTを経験しない場合、臨床試験チームによる安全性の再検討後に、用量漸増を次のコホートへと続けてもよい。最初のサイクル中にコホートの2またはそれよりも多くの対象がDLTを経験する場合、用量漸増は停止し、次に低い用量レベルをMTDと言明する。MTDコホートが3対象のみを含む場合、その用量でDLTを経験する対象が6対象のうち2対象未満であることを確認するために、追加の3対象が、その用量レベルで登録される。代替的に、非耐用量レベルと前の耐用量レベルとの間の中間の用量レベルを探索し、その用量でDLTを経験する対象が6対象のうち2対象未満である場合はMTDを言明してもよい。
【0399】
各用量コホートについてのAG−221の用量の増加は、加速滴定設計によって導かれ、ここで、用量は、AG−221関連NCI CTCAEグレード2またはそれより高い毒性が、コホート内のいずれかの対象で観察されるまで、1つのコホートから次のコホートへ倍増(100%増加)される。臨床試験チームによる評価の後、用量の次の増加は、MTDが決定されるまで50%またはそれ未満である。用量の絶対パーセントの増加は、前の用量コホートに見られるあらゆる毒性の種類および重症度に基づいて、臨床試験チームにより決定される。MTDは、6対象のうち2対象未満でDLTを引き起こす最高用量である。
【0400】
臨床的に意義があり得る用量で処置された対象の数を最適化するために、対象内用量漸増が、医療監視者の承認を得て、許容される。
【0401】
パート1拡大フェーズ
【0402】
パート1拡大フェーズの間、安全性、PK/PDおよび予備臨床活性データは、継続的に臨床試験チームによって再検討される。
【0403】
パート1では、IDH2変異血液悪性疾患を有するアームあたりおよそ25対象の4つの非ランダム化コホートが、以下のように登録される。
【0404】
アーム1:年齢60歳以上で再発性もしくは難治性AML、または年齢に関係なく骨髄移植(BMT)後に再発したAMLを有する対象。
【0405】
アーム2:年齢60歳未満で再発性または難治性AML。ただし、BMTの後に再発したAMLを有する対象を除く。
【0406】
アーム3:標準治療の化学療法を断っている年齢60歳以上で未処置のAML。
【0407】
アーム4:アーム1〜3に対して適格でない、IDH2変異進行性血液悪性疾患。
【0408】
フェーズ2
【0409】
試験の枢軸となるパートであるフェーズ2は、以下のように定義されるIDH2変異再発性または難治性AMLを有する対象において、継続中の用量漸増フェーズで決定された推奨フェーズ2用量(RP2D)での化合物1の有効性および安全性プロファイルをさらに確立する:
【0410】
同種移植後に再発する対象
【0411】
第2のまたは後の再発である対象;
【0412】
初期誘導または再誘導処置に難治性である対象;
【0413】
初期処置の1年以内に再発する対象。ただし、NCCNガイドラインに従って良好なリスク状態の患者を除く。良好なリスクの細胞遺伝学:inv(16)、+(16;16)、t(8;21)、t(15;17)。
【0414】
およそ125対象が、治験のこのパートに登録される。
【0415】
一般的試験実施:
【0416】
インフォームドコンセントの後、全ての対象が、C1D1の前28日以内にスクリーニング手順を受け、適格性が決定される。全ての対象は、骨髄穿刺液および末梢血からIDH2変異疾患が確認されることが必要である。用量漸増フェーズおよびパート1拡大における対象について、IDH2変異状態の文書化は、中央検査室での検査を遡及的に実行しながら、地方の現場での検査に基づくことができる。フェーズ2の対象は、試験処置の前のスクリーニングの間に、中央検査室での検査に基づいてIDH2変異状態を有することが要求される。追加のスクリーニング手順には、内科、外科、および薬歴、生殖細胞変異分析のための頬スワブ、理学的検査、バイタルサイン、東部腫瘍学共同研究グループ(ECOG)パフォーマンスステータス(PS)、12誘導心電図(ECG)、左室駆出率(left ventricular ejection fraction、LVEF)の評価、臨床検査判定(血液学、化学、凝固、および血清妊娠検査)、骨髄生検および穿刺、2−HGおよびα−KG測定のための血液および骨髄試料、ならびにUGT1A1変異状態の決定のための血液が含まれる。さらに、パート1拡大における対象は、スクリーニングの間に回収される2−HGおよびα−KG測定のための尿試料、ならびにコレステロールおよび4β−OH−コレステロールレベルのための血液試料を有する。
【0417】
用量漸増およびパート1拡大
【0418】
AG−221の毎日の投薬の開始の3日前(−3日目)に、用量漸増フェーズの各コホートにおいて登録された最初の3対象およびパート1拡大の各アームにおいて登録された最初の15対象は、診療所でAG−221の単回投与を受け、AG−221、その代謝物AGI−16903、2−HGおよびα−KGの血液および尿濃度の決定のために取得される連続血液および尿試料を有する。全72時間のPK/PDプロファイルが実施される:対象は、−3日目に10時間、試験現場に留まることが必要であり、−2日目、−1日目および1日目に、それぞれ24、48および72時間の試料のために、現場に戻る必要がある。−3日目に診療所にいる間に、臨床観察および連続12誘導ECGおよびバイタルサイン判定が実施される。AG−221を用いる毎日の処置は、C1D1に開始する;−3日目のPK/PD判定を受けなかった用量漸増フェーズおよびパート1拡大の対象については、C1D1でのAG−221の最初の投薬後8時間にわたり、臨床観察および連続12誘導ECGおよびバイタルサイン判定が実施される。
【0419】
用量漸増フェーズおよびパート1拡大の対象は、C1D15、C2D1およびC4D1に、10時間にわたってPK/PD判定を受ける。C1D1(−3日目のPK/PD判定を受けなかった対象について)、C1D8、C1D22、C2D15、C3D1、C3D15、C5D1、およびその後の全てのサイクルの1日目に、投薬前の血液試料(トラフ)を、AG−221、2−HGおよびα−KG濃度の決定のために取得する。これらの対象は、PK/PD評価のために、スクリーニング時、C1D15、C2D1、およびその後の全てのサイクルの1日目の投薬前、ならびに処置の終了の訪問時に尿を回収される。利用可能な骨髄生検試料も、2−HGおよびα−KGレベルについて判定される。
【0420】
フェーズ2
【0421】
治験のフェーズ2部分の対象は、3日目の判定を受ける必要はない;これらの対象は、サイクル1および2の1日目に実施される8時間PK/PDプロファイルを受け、C1D2およびC2D2における投薬前の血液試料(トラフ)が、24時間のPK/PDを判定するために取得される。PK/PD判定のためのさらなる血液試料は、サイクル3の1日目および処置の終了の訪問時に、投薬前(30分以内)に採取される。時間を一致させた12誘導ECGが、サイクル1および2の1日目に三つ組で実施される;三つ組のECGは、処置の終了の訪問時にも取得される。単独12誘導ECGは、サイクル3から開始して全てのサイクルの1日目と、追跡調査の訪問時に実施される。利用可能な骨髄生検試料は、2−HGおよびα−KGレベルについて判定される。
【0422】
他の安全性の判定(全フェーズ)
【0423】
全ての対象は、処置期間中に、理学的検査、バイタルサイン、ECOG PS、12誘導ECG、LVEFの評価、および臨床検査判定(血液学、化学、凝固、および妊娠検査)を含む安全性の判定を受ける。
【0424】
臨床活性の判定:
【0425】
フェーズ1(用量漸増およびパート1拡大)
【0426】
用量漸増フェーズおよびパート1拡大における対象は、骨髄生検および/または穿刺ならびに末梢血を含め、疾患の程度が、スクリーニング時、C1D15、C2D1、およびC3D1、その後は28日毎(末梢血のみ)または56日毎(骨髄生検および/もしくは穿刺ならびに末梢血)に、試験薬の処置を続けながら、投薬遅延および/または投薬中断とは独立して、ならびに/または疾患の進行が疑われる任意の時点で判定される。全ての対象における処置への応答および処置の判断は、修正国際ワーキンググループ(IWG)応答基準または試験下の悪性疾患についての他の適切な応答基準に基づいて、治験担当医師により決定される。
【0427】
フェーズ2
【0428】
治験のフェーズ2部分で登録された対象について、骨髄生検および/または穿刺液ならびに末梢血を含め、疾患の程度が、スクリーニング時、C2D1、その後12カ月間を通して28日毎、その後は56日毎に、試験薬の処置を続けながら、投薬遅延および/または投薬中断とは独立して、ならびに/または疾患の進行が疑われる任意の時点で判定される。適格性、処置の判断、および処置に対する応答は、修正国際ワーキンググループ(IWG)応答基準に基づいて、治験担当医師により決定される。応答は、独立応答審判委員会(Independent Response Adjudication Committee、IRAC)によっても遡及的に判定される。
【0429】
処置の終了および追跡調査:
【0430】
対象は、疾患の進行または許容できない毒性の発生まで、化合物1を用いた処置を継続してもよい。
【0431】
エビデンスは、がん関連IDH変異が正常な細胞分化をブロックし、潜在的な癌代謝物2−HGの異常産生を介して腫瘍形成を促進することを支持する。化合物1は、IDH2変異によって誘導される分化ブロックを逆行させ、適切な細胞分化を促進することによって、抗腫瘍効果を生ずることができる。
【0432】
化合物1の作用の独特なメカニズムのために、臨床応答は、細胞毒性薬剤を用いて観察されるものとは異なる。化合物1での応答は、2またはそれよりも多い治療サイクルの後で起こる場合があり、稀に分化様症候群(differentiation−like syndrome)と呼ばれる、熱、体液貯留、低酸素症および皮膚発疹の対応する臨床徴候および症候を伴って、末梢血および/または骨髄における白血球増加の開始期間後に起こる場合がある。
【0433】
したがって、細胞毒性化学治療剤から経験に基づいて展開された標準判定基準は、IDH2阻害剤のこの新規クラスについて完全および正確な応答判定を提供しない。したがって、対象の判定が最初の2サイクル内で進行と同様の徴候を示す状況においては、特に対象の臨床状態が疾患進行を示す急速な悪化の徴候または症候の不存在および/または全身状態の安定または改善によって限定的だが支持される安定である状況においては、試験薬の中止には注意を要すべきであり、医療監視者との議論が必要である。
【0434】
該当する応答基準ごとに、疾患の進行(PD)を経験する対象は、上記の処置を継続する一方で確認を待つ選択肢を有するPDの確認のために、28日後に再び疾患の判定を受けるべきである。再度の評価でPDが確認された場合は、対象は、試験処置を中止し、生存追跡調査フェーズに進む。
【0435】
安定なまたは進行性の疾患を有する対象は、治験担当医師の裁量で、かつ医療監視者の承認を得て、AG−221を用いた試験処置を受けることを継続してもよい。
【0436】
全ての対象は、処置の終了の判定を受ける(試験薬の最終投薬のおよそ5日以内);加えて、安全性判定の追跡調査が、最終投薬後28日間スケジュールされる。さらに、全ての対象は、疾患状態、全生存期間および非試験抗新生物治療の開始について、死亡、同意の撤回または試験の終了のいずれかが最初に生じるまで、毎月、追跡される。
【0437】
AG−221を用いた処置に十分な応答を達成し、造血幹細胞移植(hematopoietic stem cell transplant、HSCT)を受けるために必要な他の基準を満たす対象は、試験治療を中止した後にHSCTに進んでもよい。これらの対象は、この状況におけるAG−221の全体的な臨床上の有用性を支持するために、再発または試験の終了まで、結果について試験に関して追跡される。
【0438】
HSCT後に再発する対象は、反復性IDH2変異陽性疾患が確認され、AG−221の最終投薬以来、HSCT以外の他のがん処置(HSCTの過程で使用される抗新生物治療、例えばコンディショニングレジメンまたは誘導型レジメンおよび抗GVHD予防[つまり、メトトレキサート]を除く)が投与されておらず、選択/除外基準において列挙される安全性パラメーターを満たし、かつ治験がオープンである場合、医療監視者の承認を得て、かつ治験担当医師の裁量で、AG−221を用いた処置の再開に適格となりうる。対象は、HSCT前のAG−221処置の中止の時点と同じ用量およびスケジュールで、AG−221治療を再開する。
【0439】
HSCT後に再発し、処置の再開を選択しない対象を含め、全ての対象は、死亡または試験の終了まで、生存状態の判定および試験薬の中止後の非試験抗新生物治療について、その後、毎月、追跡される。
【0440】
対象の数(計画される数):
【0441】
最少で合計約291対象が、試験(つまり、治験の用量漸増、パート1拡大、およびフェーズ2部分)で登録されるよう計画される。
【0442】
MTD/MADの同定が、MTD/MADで6対象を必要とすることを除き、化合物1の13用量レベル/スケジュールで用量レベルあたり最大5対象での評価が必要と仮定すると、66対象が、試験の用量漸増パートの間に登録される。追加の対象が、RP2Dおよびレジメン(単数または複数)を最適化するため、用量漸増の間のコホート拡大のために、PK/PD、安全性もしくは臨床活性が評価できない対象と入れ替えるために、または計画された漸増スキームもしくはMTD/MAD以外の代替投薬レジメンを評価するために、必要とされうる。用量レベル(30mg〜150mgの範囲)がBIDスケジュールで評価され、8用量レベル(50mg〜650mgの範囲)がQDスケジュールで評価された。
【0443】
特定の血液悪性疾患サブセットにおいて最少で25の追加対象の4コホート(最少で合計100対象)が、試験のパート1拡大で登録される。
【0444】
治験のフェーズ2部分では、IDH2変異を持つ再発性または難治性AMLを有する約125対象が登録される。追加の対象が、PK/PD、安全性、および/または臨床活性が評価できない対象と入れ替えるために、または代替投薬レジメンの評価のために、必要とされうる。最終の合計試料サイズは、観察される毒性の割合および拡大評価のために登録される対象の数に従って調整されうる。
【0445】
選択基準
【0446】
対象は、試験に登録されるために、以下の基準を全て満たす必要がある:
1.対象は、18歳以上でなければならない。
2.対象は、以下の進行性血液悪性疾患を有していなければならない:
フェーズ1/用量漸増:
・世界保健機関(WHO)の基準に従ったAMLの診断;
・難治性または再発性疾患(骨髄中5%より多い芽球の再出現として定義される)。
・年齢60歳以上で、担当医師(treating physician)に従って、かつ医療監視者の承認を得た、年齢、パフォーマンスステータス、および/または有害リスク因子により標準療法の候補でない未処置のAML;
・WHO分類に従った過剰芽細胞を伴う不応性貧血(サブタイプRAEB−1またはRAEB−2)を有する、または改訂国際予後スコアリングシステム(International Prognostic Scoring System、IPSS−R)により高リスク、つまり反復性または難治性であるとみなされるMDSの診断、または担当医師に従って、かつ医療監視者の承認を得た、その状態に臨床上有用であることが公知の確立された治療に耐用性がない対象(つまり、臨床上有用であることが公知のレジメンの候補にならない対象)。(他の再発性および/または原発性難治性血液がん、例えばCMMLを有し、選択/除外基準を満たす対象は、医療監視者の承認を得て、ケースバイケースで検討されうる。)
フェーズ1/パート1拡大:
・アーム1:年齢60歳以上で再発性もしくは難治性AML、または年齢に関係なくBMT後に再発したAMLを有する任意の対象。
・アーム2:年齢60歳未満の再発性または難治性AML。ただし、BMTの後に再発したAMLを有する対象を除く。
・アーム3:標準治療の化学療法を断っている年齢60歳以上で未処置のAML。
・アーム4:アーム1〜3に対して適格でないIDH2変異進行性血液悪性疾患。
フェーズ2:
・世界保健機関(WHO)基準によるAML、および以下によって定義される再発性または難治性の疾患の診断:
・同種移植後に再発する対象;
・第2のまたは後の再発である対象;
・初期誘導または再誘導処置に難治性である対象;
・初期処置の1年以内に再発する対象。ただし、NCCNガイドラインに従って良好なリスク状態の患者を除く。良好なリスクの細胞遺伝学:inv(16)、+(16;16)、t(8;21)、t(15;17)。
3.対象は、IDH2遺伝子変異疾患を文書化しておかなければならない:
・用量漸増フェーズおよびパート1拡大における対象について、IDH2変異は、地方の評価に基づくものでもよい(中央の検査が遡及的に実行される)。
4.治験のフェーズ2部分の対象について、骨髄穿刺液および末梢血の試料におけるIDH2変異の中央検査が、適格性を確認するために、スクリーニング中に要求される。対象は、試験中に、連続骨髄サンプリング、末梢血サンプリングおよび尿サンプリングに適していなければならない。
・AMLまたはMDSの診断および評価は、骨髄穿刺および生検によってなされる。穿刺液が取得できない場合(つまり、「ドライタップ」)、診断は、コア生検からなされてもよい。
・骨髄穿刺液および末梢血試料のスクリーニングは、全ての対象に必要とされる。十分な穿刺が達成できない場合、骨髄生検が回収されなければならないが、以下の場合はこの限りではない:
・骨髄穿刺液および生検は、試験処置の開始の前28日以内に標準治療の一部として実行した;および
・骨髄穿刺液、生検および染色末梢血塗抹標本のスライドは、地方および中央の病理レビューアの両方が利用可能である;
5.対象は、インフォームドコンセントを理解することができ、進んで署名しなければならない。法的に権限がある代理人は、現場および/または現場の治験審査委員会(IRB)/独立倫理委員会(IEC)によって受け入れられ、承認が得られる場合、代理人によらなければインフォームドコンセントを提出できない対象に代わって、同意してもよい。
6.対象は、0〜2のECOG PSを有していなければならない。
7.血小板数が20,000/μL以上(このレベルを達成するための輸血は許可される)。基礎の悪性疾患によりベースライン血小板数が20,000/μL未満である対象は、医療監視者の承認を得て適格である。
8.対象は、以下によって証明される十分な肝機能を有していなければならない:
・Gilbert疾患、UGT1A1における遺伝子変異、または白血病の臓器の関与によると考えられない限り、医療監視者の承認を得て、血清総ビリルビンが1.5×正常上限(ULN)以下;
・白血病の臓器の関与によると考えられない限り、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、およびアルカリホスファターゼ(ALP)が、3.0×ULN以下。
9.対象は、以下によって証明される十分な腎機能を有していなければならない:
・血清クレアチニンが、2.0×ULN以下、または
・Cockroft−Gault糸球体濾過率(GFR)推定:(140−年齢)×(重量kg)×(女性の場合0.85)/72×血清クレアチニンに基づいて、クレアチニンクリアランスが40mL/分より大きい
10.対象は、任意の先行の外科手術、放射線療法、またはがんの処置のための他の治療のいずれかの臨床的に関連する毒性影響から回復していなければならない。(残留のグレード1の毒性を有する対象、例えばグレード1の末梢性ニューロパチーまたは残留脱毛症を有する対象は、医療監視者の承認を得て、認められる。)
11.生殖能力を有する女性対象は、試験薬を開始する前に、医学的監督下の妊娠検査を受けることに同意しなければならない。最初の妊娠検査は、スクリーニング時(最初の試験薬投与の前7日間以内)および最初の試験薬投与の日に実行され、投薬前および全てのその後のサイクルの投薬前1日目に陰性であると確認される。
12.生殖能力を有する女性対象は、治療の開始前7日間以内に血清妊娠検査で陰性でなければならない。生殖能力を有する対象は、子宮摘出術、両側卵巣摘出術または卵管閉塞術を受けていない、性的に成熟した女性、または少なくとも連続する24カ月にわたり自然閉経後(つまり全く月経がなかった)ではない(つまり、先行の連続する24カ月の任意の時点で月経期を有していた)、性的に成熟した女性として定義される。生殖能力を有する女性ならびに生殖可能な男性および生殖能力を有する女性である彼らのパートナーは、インフォームドコンセントを提出した時点から、試験の間、および化合物1の最終投薬後120日まで、性交を避けること、または2つの極めて有効な避妊形態を使用することに同意しなければならない(女性および男性)。避妊の極めて有効な形態は、ホルモン経口避妊薬、注射剤、パッチ、子宮内デバイス、二重障壁法(例えば、合成コンドーム、ダイアフラム、または殺精子泡を有する子宮頸部キャップ、クリーム、またはゲル)または男性パートナー避妊法として定義される。
13.試験訪問スケジュール(つまり、特定の試験訪問についての他の断りがない限り、試験現場での診療所訪問は必須である)および他のプロトコール要件に準拠することができる
【0447】
除外基準
以下の基準のいずれかを満たす対象は、試験に登録されない:
1.化合物1の最初の投薬の60日以内に造血幹細胞移植(HSCT)を受けた対象、またはスクリーニング時にHSCT後免疫抑制療法中である対象、または臨床的に意義のある移植片対宿主病(GVHD)を有する対象。(HSCT後の経口ステロイドおよび/または進行中の皮膚GVHDのためのステロイド外用剤の安定な用量の使用は、医療監視者の承認を得て、許容される。)
2.試験薬投与の最初の日の前14日間未満に、全身性抗がん療法または放射線療法を受けた対象。(登録前、および白血球増加症(白血球[WBC]数が30,000/μLより多い)である対象における末梢白血病性芽球の制御のための化合物1の開始後のヒドロキシ尿素は、許可される)。
3.試験薬投与の最初の日の前14日間未満に、低分子治験薬を受けた対象。加えて、化合物1の最初の投薬は、その治験薬の5半減期以上の期間が経過する前は行うべきではない。
4.治療範囲を狭める以下の感受性CYP基質薬品を服用している対象は、投薬前の5半減期以上の期間内に他の薬品へ移行することができない限り、試験から除外される:パクリタキセル(CYP2C8)、ワルファリン、フェニトイン(CYP2C9)、S−メフェニトイン(CYP2C19)、チオリダジン(CYP2D6)、テオフィリンおよびチザニジン(CYP1A2)。
5.P−gpおよびBCRPトランスポーター感受性基質ジゴキシンおよびロスバスタチンを服用している対象は、投薬前の5半減期以上の期間内に他の薬品へ移行することができない限り、試験から除外されるべきである。
6.治癒する可能性のある抗がん療法が利用可能である対象。
7.妊娠中または授乳中である対象。
8.スクリーニング訪問中または試験薬投与の最初の日に、抗感染療法が必要とされる活動性の重度の感染を有する対象、または説明できない38.5℃より高い発熱を有する対象(治験担当医師の裁量で、腫瘍発熱を有する対象は登録される場合がある)。
9.化合物1の構成要素のいずれかに対して既知の過敏症を有する対象。
10.C1D1のおよそ28日以内に、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association、NYHA)クラスIIIまたはIVうっ血性心不全または心エコー(ECHO)もしくはマルチゲート収集(MUGA)スキャンによりLVEFが40%未満であると認められた対象。
11.スクリーニングの最後の6カ月以内に心筋梗塞の既往を有する対象。
12.スクリーニング時に制御されていない高血圧(収縮期血圧[BP]が180mmHgより高いまたは拡張期BPが100mmHgより高い)を有する対象は除外される。高血圧を制御するために2つまたはそれよりも多くの薬品を必要とする対象は、医療監視者の承認を得て適格である。
13.不安定なまたは制御されていない既知の狭心症を有する対象。
14.重度のおよび/または制御されていない既知の心室性不整脈の既往を有する対象。
15.スクリーニング時にQTcF(Fridericiaの式に基づいて補正されたQT)間隔が450ミリ秒以上の対象またはQT延長もしくは不整脈イベントのリスクを増加させる他の要因(例えば、心不全、低カリウム血症、QT延長症候群(long QT interval syndrome)の家族歴)を有する対象。脚ブロックおよび長期QTc間隔を有する対象は、選択の可能性について、医療監視者によって再検討を受けるべきである。
16.投薬前の5半減期以上の期間内に他の薬品へ移行することができない限り、QT間隔を延長することが公知の薬品を服用している対象。
17.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または活性B型肝炎もしくはC型肝炎を有する既知の感染症を有する対象。
18.インフォームドコンセントに署名し、協力し、または試験に参加する対象の能力を阻害する可能性があると治験担当医師によって認められた任意の他の医学的または精神学的状態を有する対象。
19.経口投与された薬物の摂取または胃腸吸収を制限する、既知の嚥下障害、短腸症候群、胃不全麻痺または他の状態を有する対象。
20.活性な中枢神経系(CNS)白血病または既知のCNS白血病が示唆される臨床症状を有する対象。脳脊髄液の評価は、スクリーニング中に白血病によるCNS関与が臨床的に疑われる場合にのみ必要である。
21.制御不能な出血、低酸素症もしくはショックを伴う肺炎、および/または播種性血管内凝固などの、直ちに生命を脅かす重度の白血病の合併症を有する対象。
22.治験のフェーズ2部分のみについて、IDH阻害剤で従前に処置を受けていた対象。
【0448】
治験品、投薬量および投与様式:
【0449】
化合物1(2−メチル−1−[(4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]−6−{[2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イル]アミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]プロパン−2−オール)のメシレート塩)は、5、10、25、50、100、150および200mgの遊離塩基と等しい強度の、経口投与される錠剤として提供される。
【0450】
フェーズ1/用量漸増
【0451】
試験の用量漸増部分の各コホートにおける最初の3対象およびパート1拡大の各アームの最初の15対象は−3日目に試験薬の単回投与を受ける;試験薬の次の投薬は、C1D1に投与され、その時点で、対象は、28日サイクルの1日目から28日目の毎日の投薬を開始する。C1D1以降、投薬は連続的である;サイクル間の休止期間はない。−3日目のPK/PD判定を受けることが必要とされない対象は、C1D1に化合物1を用いた毎日の投薬を開始する。
【0452】
試験薬投与前の2時間と試験薬投与後の1時間について、対象は絶食(水は許可される)が必要とされる。
【0453】
対象に投与される化合物1の用量は、対象が試験に適格であるときに登録のためにオープンである用量コホートに依存する。第1のコホートの対象に投与される化合物1の開始用量は、1日2回経口投与される30mgであり、投与される化合物1の最大投与量は、1日1回経口投与される650mgである。
【0454】
フェーズ1/パート1拡大およびフェーズ2
【0455】
評価のために推奨される化合物1の開始用量は、100mg QDである。これは、AG221−C−001において、現在までに観察された化合物1の安全性、PK、薬力学および臨床活性に基づく。薬力学的応答の評価は、全ての用量で、サイクル2の1日目までの2−HG血漿レベルの持続的な減少と、R140Q変異を持つほとんどの対象における最大98%の阻害を示した。増加用量は、R172K変異を持つ対象における高い曝露と2−HGの阻害に関係する。重要なことに、100mgのQDで処置された44対象の予備的有効性データは、全奏効率36.4%を示した。したがって、100mgの用量は、R140QまたはR172K変異のいずれかを持つ対象において、2−HGの阻害を十分に達成するべきである。さらに、グレード3以上を含め、100mgでの安全性プロファイルは、低用量での安全性プロファイルと一致する。
【0456】
対象内用量漸増が可能である。
【0457】
実施例1で記載した治験からの臨床試料のサブセットを、スクリーニング時に解析した。試料の種類には、骨髄、末梢血、および骨髄もしくは末梢血から単離された単核細胞が含まれた。これらの試料からDNAを抽出し、Foundation Medicine(Heme Panel、http://foundationone.com/learn.phpを参照)で、次世代シーケンシング技術を使用して配列決定した。
【0458】
処置期間:
【0459】
対象は、疾患の進行または許容できない毒性の発生まで、化合物1を用いた処置を継続してもよい。該当する応答基準ごとに、疾患の進行を経験する対象であって、治験担当医師の意見により、処置から利益を受ける対象は、医療監視者の承認を得て、試験薬を継続することが可能であり得る。
【0460】
試験の終了:
【0461】
試験の終了は、
・全ての対象が化合物1を用いた処置を中止し、その後少なくとも12カ月間、生存が追跡されたか、もしくは死亡したか、追跡調査不能になったか、もしくは追跡調査の少なくとも12カ月より前に同意を撤回した時点、または
・プロトコールおよび/もしくは統計解析計画(SAP)で予め指定されるように、主要、副次および/もしくは外挿解析のために必要とされる最後の対象からの最後のデータ点の受領日
のいずれか遅い方の日の時点として定義される。
【0462】
評価基準:
【0463】
安全性:
【0464】
DLTの決定、重篤有害事象(SAE)、中止につながるAEを含め、AEのモニタリング;安全性検査パラメーター;理学的検査所見;バイタルサイン;12誘導ECG;LVEF;およびECOG PS。
【0465】
AEの重症度は、NCI CTCAE、バージョン4.03により判定される。
【0466】
薬物動態学および薬力学:
【0467】
化合物1およびその代謝物(6−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−N2−(2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン)の濃度−時間プロファイルの決定のための連続血液サンプリング。化合物1およびその代謝物(6−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−N2−(2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン)の濃度の決定のための尿サンプリング(用量漸増およびパート1拡大対象のみ)。2−HGおよびα−KGレベルの決定のための血液および骨髄サンプリング。
【0468】
臨床活性:
【0469】
修正されたIWG応答基準または試験下の悪性疾患に基づく他の適切な応答基準に基づいて処置に対する応答を決定するための連続血液および骨髄サンプリング
【0470】
主要有効性エンドポイントである全奏効率(ORR)は、完全寛解(CR)、不完全な血小板回復を有するCR(CRp)、骨髄CR(mCR)(AMLを有する対象についての形態学的無白血病状態[MLFS])、不完全な血液学的回復を有するCR(CRi)、および部分寛解(PR)を含む応答者の割合として定義される。完全寛解率(CRR)、寛解/奏効期間、無再発生存期間、全生存期間および寛解/奏効までの時間を含む、臨床活性の他の尺度はまとめられる。
【0471】
フェーズ1用量漸増/パート1拡大について、修正国際ワーキンググループ(IWG)応答基準を使用して現場の治験担当医師によって判定される奏効率の有効性解析は、各用量レベル、拡大アーム、および適切であれば全体についての最大の解析対象集団で実施される。パート1拡大アームの解析は、拡大アームにおける対象と同じ用量/レジメンを受け、個々のアームの適格性基準を満たす用量漸増フェーズからの対象を含んでもよい。
【0472】
治験のフェーズ2部分では、化合物1の主要有効性解析は、修正国際ワーキンググループ(IWG)応答基準に基づいて、治験担当医師により決定される。応答は、最大の解析対象集団(FAS)を使用して、独立応答審判委員会(IRAC)によっても遡及的に判定される。主な補助的解析は、FASでの応答の中央の独立した再検討に基づく。
【0473】
化合物1についての治験からの臨床試料のサブセットの解析を実施した。
図13は、化合物1についての応答カテゴリーに従ったFLT変異のビジュアルを提供する。
図13は、遺伝子が2以上で変異した患者のみについてのスクリーニング訪問時の骨髄をプロファイルする。
図13において、遺伝子(y軸)は、IDH2を除いて、頻度の低下の順に示されており、一方で、患者(x軸)は、応答によって、次いで変化の類似性によって、グループ化されている。用量漸増フェーズからの、評価可能な応答を有する患者のみが含まれる。
【0474】
ある特定の実施形態では、FLT3の体細胞変異によって特徴付けられるAMLを有する患者は、化合物1の処置に抵抗性である。
【0475】
ある特定の実施形態では、化合物1とFLT3経路を標的にする1つまたは複数の化合物(例えば、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブまたはDCC−2036)との併用治療は、FLT3の体細胞変異によって特徴付けられるAMLを有する患者のAMLを処置するために有効である。
(実施例2)
IDH1変異を持つ進行性血液悪性疾患を有する対象における経口投与された化合物2の、フェーズ1、多施設、オープンラベル、用量漸増の、安全性、薬物動態学的、薬力学的および臨床活性試験
【0476】
効能・効果:IDH1変異を持つ進行性血液悪性疾患を有する患者の処置。
【0477】
目的:
【0478】
主要:
【0479】
進行性血液悪性疾患を有する対象において28日サイクルの1日目から28日目に経口投薬される単剤として連続的に投与される化合物2を用いた処置の安全性および耐用性を判定すること。初回投薬レジメンは1日2回である(およそ12時間ごと)。明らかになったデータに基づいて妥当である場合は、代替投薬スケジュール(例えば、1日1回または1日3回)、例えば一致するコホートでの同じ合計一日用量であるが異なる投薬スケジュールを使用する投与を、臨床試験チームにより合意されるように、探索してもよい。
【0480】
進行性血液悪性疾患を有する対象における化合物2の最大耐用量(MTD)および/または推奨フェーズ2用量を決定すること。
【0481】
拡大フェーズのアーム1に登録されている、IDH1変異を持つ再発性または難治性急性骨髄性白血病(AML)を有する対象におけるAG−120の臨床活性を判定すること。
【0482】
副次:
【0483】
進行性血液悪性疾患を有する対象における化合物2の用量制限毒性(DLT)を記述すること。
【0484】
進行性血液悪性疾患を有する対象における化合物2の薬物動態学(PK)を特徴付けること。
【0485】
化合物2と2−ヒドロキシグルタル酸(2HG)とのPK/薬力学的(PD)関係を評価すること。
【0486】
進行性血液悪性疾患を有する対象における化合物2に関連する臨床活性を特徴付けること。
【0487】
方法論:
【0488】
この試験は、IDH1変異を抱える、進行性血液悪性疾患を有する対象における経口投与された化合物2の、フェーズ1、多施設、オープンラベル、用量漸増、安全性、PK/PD、および臨床活性評価である。試験は、選択集団において、MTDおよび/またはRP2Dを決定するための用量漸増フェーズと、それに続く、化合物2の安全性、耐用性および臨床活性をさらに評価するための拡大アームとを含む。
【0489】
用量漸増フェーズ
【0490】
用量漸増フェーズは、標準の「3+3」設計を利用する。用量漸増フェーズでは、同意を得た、再発性もしくは難治性AML、標準療法の候補でない年齢60歳以上で未処置のAML、または過剰芽細胞を伴う不応性貧血を有する骨髄異形成症候群(MDS)を有する適格対象を、化合物2の用量を増加させるシーケンシャルコホートに登録する。各用量コホートは、最少で3対象の登録を計画する。試験の用量漸増フェーズの間の各投薬コホートに登録された最初の3対象は、最初に、3日目(つまり、毎日の投薬の開始の3日前)に試験薬の単回投与を受け、72時間にわたり、PK/PD判定を受け、薬物濃度および2−HGレベルが評価される。試験薬の次の投薬は、毎日の投薬が開始する時点であるサイクル1の1日目(C1D1)である。初回投薬レジメンは1日2回であった(およそ12時間ごと)。明らかになったデータに基づいて、1日1回(およそ24時間ごと)の投薬スケジュールも実施した。代替投薬スケジュール、例えば一致するコホートでの同じ合計一日用量であるが異なる投薬スケジュールを使用する投与を、臨床試験チームにより合意されるように、探索してもよい。コホート内の第3の対象の処置が始まる時点でスクリーニングプロセスに複数の対象がいる場合、最大2人の追加の対象を、医療監視者の承認を得て、登録してもよい。これらの追加の対象について、3日目から1日目までのPK/PD判定は、医療監視者と議論した後、任意選択で検討されうる。
【0491】
用量漸増フェーズの間の投薬の安全性は、治験計画者(Sponsor)(医療責任者)、試験の医療監視者、および治験担当医師で構成される臨床試験チームによって評価される。臨床試験チームは、各コホートから明らかになった安全性データを再検討し、用量漸増するかどうかを決定する。
【0492】
毒性の重症度は、アメリカ国立がん研究所の有害事象共通用語規準(NCI CTCAE)バージョン4.03に従って等級分けされる。DLTは下記のように定義される。
【0493】
非血液学:
【0494】
CTCAEグレード3以上の全ての非血液学的毒性。
【0495】
血液学:
【0496】
サイクル1の治療の開始後少なくとも42日間、白血病の不在下でグレード4以上の好中球減少または血小板減少の持続を有する長期骨髄抑制(芽球数<5%)。
【0497】
試験下の集団には併存症と併用薬品が多いため、特定の薬物への有害事象(AE)の帰属は困難である。したがって、明らかに化合物2と無関係であると決定できない全てのAEは、DLTの決定に関連するとみなされ、臨床試験チームによって再検討される。臨床試験チームは、DLTの指定が妥当かどうかを決定するために、DLT基準によって明確に定義されていない他のあらゆる緊急毒性も再検討する。
【0498】
第3の対象が28日間のDLT評価期間(つまり、サイクル1)を完了した後でDLTが観察されなかった場合には、臨床試験チームによる安全性再検討の後、試験において、用量漸増が次のコホートへ進められる。3対象のうち1対象が最初のサイクル中にDLTを経験する場合、追加の3対象をそのコホートに登録する。追加の3対象のいずれもDLTを経験しない場合、臨床試験チームによる安全性の再検討後に、用量漸増を次のコホートへと続けてもよい。最初のサイクル中にコホートの2またはそれよりも多くの対象がDLTを経験する場合、用量漸増は停止し、次に低い用量レベルをMTDと言明する。代替的に、MTDを超える用量レベルと先行の用量レベルとの間の中間の用量レベルを探索し、6対象のうち2対象未満がその用量でDLTを経験したら、MTDを言明してもよい。MTDコホートが3対象のみを含む場合、その用量でDLTを経験する対象が6対象のうち2対象未満であることを確認するために、追加の3対象が、その用量レベルで登録される。
【0499】
各用量コホートについてのAG−120の用量の増加は、加速滴定設計によって導かれ、ここで、一日用量は、AG−120関連CTCAEグレード2またはそれより強い毒性が、コホート内のいずれかの対象において観察されるまで、1つのコホートから次のコホートへ、倍増(100%増加)されうる。臨床試験チームによる評価の後、用量の次の増加は、MTDが決定されるまで、観察される毒性ならびに潜在的PKおよびPK/PDデータによって導かれる。一日用量の絶対パーセントの増加は、用量コホート前に見られるあらゆる毒性の種類および重症度に基づいて、臨床試験チームにより決定される(ただし、100%を超えることはない)。MTDは、6対象のうち2対象未満でDLTを引き起こす最高用量である。
【0500】
用量漸増フェーズの間にDLTが同定されない場合に、用量漸増は、進行中のPK/PDの判定および任意の観察される臨床活性によって決定される見積もられた臨床上の最大有効曝露より上の少なくとも2用量レベルへ継続しうる;これは、拡大フェーズと並行して行われうる。
【0501】
臨床的に意義があり得る用量で処置された対象の数を最適化するために、対象内用量漸増が、医療監視者の承認を得て、許容される。
【0502】
拡大フェーズ
【0503】
用量漸増フェーズからの推奨用量および投薬レジメンの決定後、拡大フェーズは、特定の血液悪性疾患を有する対象の用量をさらに探索するためにオープンである。拡大フェーズの間、IDH1変異血液悪性疾患を有する、アームあたりおよそ25対象の4つの非ランダム化アームは、以下のように登録される:
【0504】
アーム1:以下のように定義される再発性または難治性AML:
移植後に再発する対象;
第2のまたは後の再発である対象;
初期誘導または再誘導処置に難治性である対象。
初期処置の1年以内に再発する対象。ただし、NCCNガイドライン、バージョン1.2015に従って良好なリスク状態の患者を除く。
【0505】
アーム2:治験担当医師に従って、かつ医療監視者の承認を得た、年齢、併存症の状態、パフォーマンスステータス、および/または有害リスク因子によって標準療法の候補でない未処置のAML。
【0506】
アーム3:利用可能な標準治療処置の選択肢がない、他の非AML IDH1変異再発性および/または難治性進行性血液悪性疾患。例えば:
医療監視者の承認を得た、低メチル化剤(単数または複数)の失敗後の反復性または難治性である骨髄異形成症候群。
医療監視者の承認を得た、再発性および/または原発性難治性慢性骨髄単球性白血病[CMML]。
治験担当医師に従って、かつ医療監視者の承認を得て、標準治療に失敗した、または利用可能な標準治療処置選択肢がない、他の非AML IDH1変異再発性および/または難治性進行性血液悪性疾患。
【0507】
アーム4:治験担当医師に従って、かつ医療監視者の承認を得て、利用可能な標準治療に失敗した、または年齢、併存症の状態、パフォーマンスステータス、および/または有害リスク因子による標準治療を受けることができない、アーム1に対して適格でない再発性AML患者。
【0508】
安全性および無益性についての中間解析は、最初の25対象が処置される時点で拡大フェーズのアーム1について実施され、その後、2サイクル続けられるかまたはそれより早くに中止される。完全寛解(CR)、不完全な血小板回復を有するCR(CRp)、形態学的無白血病状態(MLFS)、不完全な血液学的回復を有するCR(CRi)、および部分寛解(PR)の全ての応答を含むものとして定義される客観的奏効率(ORR)が15%未満(つまり、4応答者未満)である場合には、アーム1への追加の登録は終了してもよい;ORRが15%以上である場合には、追加でおよそ100対象が登録されうる。登録は、中間解析のために行われることはない。
【0509】
一般的試験の実施
【0510】
インフォームドコンセントの後、全ての対象が、C1D1の前28日以内にスクリーニング手順を受け、適格性が決定される。全ての対象は、骨髄穿刺液および/または生検から、IDH1 R132遺伝子変異疾患が確認されることが要求される。用量漸増フェーズにおける対象について、文書化は、中央検査室での検査を遡及的に実行しながら、地方の現場での検査に基づくことができる。拡大フェーズの対象は、処置の前のスクリーニングの間に中央検査室での検査に基づいてIDH1 R132遺伝子変異疾患を有することが要求される。追加のスクリーニング手順は、内科、外科、および薬歴、生殖細胞変異分析のための頬スワブ、全身理学的検査、バイタルサイン、東部腫瘍学共同研究グループ(ECOG)パフォーマンスステータス(PS)、12誘導心電図(ECG)、左室駆出率(LVEF)、臨床検査判定(血液学、化学、凝固、尿検査および血清妊娠検査)、骨髄生検および/もしくは穿刺液、ならびに2−HG測定および他の探索的判定のための血液および骨髄試料を含む。さらに、用量漸増フェーズにおける対象は、スクリーニングの間の2HG測定のための尿試料ならびに血漿コレステロールおよび4β−OH−コレステロールレベルの決定のための血液試料を有する。
【0511】
用量漸増フェーズ:
【0512】
化合物2の毎日の投薬の開始の3日前(−3日目)に、用量漸増フェーズの各コホートで登録された最初の3対象は、診療所で化合物2の単回投与を受け、化合物2および2−HGの濃度の決定のために連続血液および尿試料を取得する。全72時間のPK/PDプロファイルが実施される:対象は、−3日目に10時間、試験現場に留まることが必要であり、−2日目、−1日目および1日目に、それぞれ24、48および72時間の試料のために、現場に戻る必要がある。化合物2を用いる毎日の処置はC1D1に開始する;−3日目にPK/PD判定を受けなかった用量漸増フェーズにおける対象は、臨床観察のために、C1D1の投薬後4時間、診療所に留まる。
【0513】
用量漸増フェーズの対象は、C1D15およびC2D1の両方において10時間にわたってPK/PD判定を受ける。追加の投薬前の尿および/または血液サンプリングが、C1D8、C1D22、C2D15、C3D1、C3D15、および全ての後のサイクルの1日目に、化合物2および2−HG濃度を決定するために実施される。利用可能な骨髄生検試料も、2−HGレベルについて判定される。
【0514】
拡大フェーズ:拡大フェーズにおける対象は、−3日目の判定を受ける必要はない;これらの対象は、サイクル1および2の1日目に実施される8時間PK/PDプロファイルを受ける。PK/PD判定のためのさらなる血液試料は、サイクル1の8および15日目、サイクル3の1日目、全ての後のサイクルの1日目、および処置の終了の訪問時に、投薬前(30分以内)に採取される。時間を一致させた12誘導ECGは、サイクル1および2の1日目に三つ組で実施される;三つ組のECGは、処置の終了の訪問でも実施される。単独12誘導ECGは、スクリーニング時、サイクル1の8および15日目の投薬4時間後、サイクル3から開始して全てのサイクルの1日目と、追跡調査の訪問時に実施される。利用可能な骨髄生検試料は、2−HGレベルについて判定される。
【0515】
他の安全性の判定:
【0516】
全ての対象は、処置期間中に、理学的検査、バイタルサイン、ECOG PS、12誘導ECG、LVEF、および臨床検査判定(血液学、化学、凝固、尿検査、および妊娠検査)を含む安全性の判定を受ける。
【0517】
臨床活性の判定:
【0518】
全ての対象は、骨髄生検および/または穿刺液ならびに末梢血を含め、疾患の程度が、スクリーニング時、15日目(用量漸増フェーズのみ)、29日目、その後12カ月目まで28日毎、その後は56日毎に、試験薬の処置を続けながら、投薬の遅延および/もしくは投薬中断とは独立して、ならびに/または疾患の進行が疑われる任意の時点で判定される。用量漸増の間の15日目の骨髄評価は、試験処置の継続状態を決定するために使用すべきではないことに留意されたい。全ての対象における処置への応答および処置の判断は、修正国際ワーキンググループ(IWG)応答基準または試験下の悪性疾患についての他の適切な応答基準に基づいて、治験担当医師によって決定される。拡大フェーズで登録された再発性または難治性AMLを有する対象について、応答は、独立再検討委員会(Independent Review Committee)によっても判定される。
【0519】
処置の終了および追跡調査:
【0520】
対象は、疾患の進行、他の許容されない毒性の発生、妊娠の確認、造血幹細胞移植(HSCT)の施行、死亡、同意の撤回、追跡調査不能、または治験計画者による試験終了のいずれかが最初に行われるまで、化合物2を用いた処置を継続しうる。該当する応答基準ごとに、疾患の進行を経験する対象であって、治験担当医師の意見により、処置から利益を受ける対象は、医療監視者の承認を得て、試験薬を継続することが可能であり得る。
【0521】
全ての対象は、処置の終了の判定を受ける(試験薬の最終投薬のおよそ5日以内);加えて、安全性判定の追跡調査が、最終投薬後28日間スケジュールされる。
【0522】
化合物2を用いた処置に十分な応答を達成し、HSCTを受けるために必要な他の基準を満たす対象は、化合物2を中止した後にHSCTに進んでもよく、疾患再発性、死亡、同意の撤回、追跡調査不能、または試験の終了まで、疾患評価のための試験(ほぼ毎月、標準治療として)および受けた任意の新たな骨髄移植(BMT)コンディショニング抗新生物治療について、追跡される。対象がHSCTを受けるために化合物2を中止したが、その後、HSCTに対して不適格とみなされる場合、対象は、医療監視者の承認を得て、化合物2を再開しうる。HSCTに失敗し、反復性IDH1変異陽性疾患を有する対象は、医療監視者の承認を得て、化合物2を用いた処置を再開するために適格となりうる。
【0523】
HSCT後に再発し、処置の再開を選択しない対象を含め、全ての対象は、生存追跡調査に参加し、死亡、同意の撤回、追跡調査不能、または試験終了まで、生存状態の判定および試験薬の中止後のBMTコンディショニング抗新生物治療について、毎月、接触を受ける。
【0524】
併用薬品は、対象がもはや化合物2を受けていない、つまりHSCTまたは生存追跡調査期間である場合は、回避する必要はない。
【0525】
対象の数(計画される数):
【0526】
およそ236対象が試験に登録されると見積もられる。
【0527】
MTDの同定が、MTDが6対象を必要とすることを除き、AG−120の用量レベルあたり3〜5対象で7用量レベルの評価が必要と仮定すると、36対象が、試験の用量漸増パートの間に登録される。
【0528】
特定の血液悪性疾患においてそれぞれおよそ25対象の4つのコホート(合計100対象)が、試験の拡大フェーズで最初に登録される。中間解析での安全性および臨床活性の再検討に応じて、アーム1で再発性または難治性AMLを有する100対象が追加で登録される可能性がある。
【0529】
追加の対象が、用量漸増の判定が評価できない対象と入れ替えるために、代替投薬レジメンの評価のために、またはRP2Dの選択を導くため、安全性、PK、PK/PD、もしくは使用される予備的臨床活性をさらに探索するために、用量漸増の間に登録されうる。
【0530】
診断および選択のための主な基準:
【0531】
選択基準:
対象は、試験に登録されるために、以下の基準を全て満たさなければならない:
対象は、年齢が18歳以上でなければならない。
対象は、以下の進行性血液悪性疾患を有していなければならない。
【0532】
用量漸増フェーズ:
世界保健機関(WHO)基準によって定義される再発性および/もしくは原発性難治性AML;または
年齢60歳以上で、担当医師に従って、かつ医療監視者の承認を得た、年齢、パフォーマンスステータスおよび/もしくは有害リスク因子により標準療法の候補でない未処置のAML;
過剰芽細胞を伴う不応性貧血(サブタイプRAEB−1またはRAEB−2)を有する、または改訂国際予後スコアリングシステム(International Prognostic Scoring System、IPSS−R)Greenbergら、Blood. 2012年;120巻(12号):2454〜65頁、により高リスク、つまり反復性または難治性であるとみなされる骨髄異形成症候群、または担当医師に従ってかつ医療監視者の承認を得て、その状態に臨床上有用であることが公知の確立された治療に耐用性がない対象(つまり臨床上有用であることが公知のレジメンの候補にならない対象)。
(他の再発性および/または原発性難治性血液がん、例えばCMMLを有し、選択/除外基準を満たす対象は、医療監視者の承認を得て、ケースバイケースで考えることができる。)
【0533】
拡大フェーズ:
【0534】
アーム1:以下のように定義される再発性または難治性AML:
移植後に再発する対象;
第2のまたは後の再発である対象;
初期誘導または再誘導処置に難治性である対象。
初期処置の1年以内に再発する対象。ただし、NCCNガイドライン、バージョン1.2015に従って良好なリスク状態の患者を除く。
【0535】
アーム2:治験担当医師に従って、かつ、医療監視者の承認を得た、年齢、併存症の状態、パフォーマンスステータス、および/または有害リスク因子により標準療法の候補でない未処置のAML。
【0536】
アーム3:利用可能な標準治療処置の選択肢がない、他の非AML IDH1変異再発性および/または難治性進行性血液悪性疾患。例えば:
医療監視者の承認を得た、低メチル化剤(単数または複数)の失敗後の反復性または難治性である骨髄異形成症候群。
医療監視者の承認を得た、再発性および/または原発性難治性CMML
治験担当医師に従って、かつ医療監視者の承認を得て、標準治療に失敗し、利用可能な標準治療処置選択肢がない、他の非AML IDH1変異再発性および/または難治性進行性血液悪性疾患。
【0537】
アーム4:治験担当医師に従って、かつ医療監視者の承認を得て、利用可能な標準治療に失敗し、または年齢、併存症の状態、パフォーマンスステータス、および/または有害リスク因子により標準治療を受けることができない、アーム1に適格でない再発性AML患者。
【0538】
対象は、IDH1 R132遺伝子変異疾患を文書化しておかなければならない。
用量漸増フェーズにおける対象について、IDH1変異は、地方の評価に基づくものでもよい。(中央の検査が遡及的に実行される。)
拡大フェーズの対象について、IDH1遺伝子変異疾患の中央検査が、適格性の確認のため、スクリーニング中に必要とされる。
【0539】
対象は、試験中に、連続骨髄サンプリング、末梢血サンプリングおよび尿サンプリングに適していなければならない。
AMLまたはMDSの診断および評価は、骨髄穿刺および/または生検により行われうる。穿刺液が取得できない場合(つまり、「ドライタップ」)、診断は、コア生検からなされてもよい。
【0540】
対象は、インフォームドコンセントを理解することができ、進んで署名しなければならない。法的に権限がある代理人は、現場および/または現場の治験審査委員会(IRB)によって受け入れられ、承認が得られる場合、代理人によらなければインフォームドコンセントを提出できない対象に代わって、同意してもよい。
【0541】
対象は、0〜2のECOG PSを有していなければならない。
【0542】
血小板数が20,000/μL以上(このレベルを達成するための輸血は許可される)。基礎の悪性疾患によりベースライン血小板数が20,000/μL未満である対象は、医療監視者の承認を得て適格である。
【0543】
対象は、以下によって証明される十分な肝機能を有していなければならない:
Gilbert疾患または白血病の関与によると考えられない限り、血清総ビリルビンが、1.5×正常上限(ULN)以下;
白血病の関与によると考えられない限り、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、およびアルカリホスファターゼ(ALP)が、3.0×ULN以下。
【0544】
対象は、以下によって証明される十分な腎機能を有していなければならない:
血清クレアチニンが、2.0×UL以下、または
Cockroft−Gault糸球体濾過率(GFR)推定:(140−年齢)×(重量kg)×(女性の場合0.85)/72×血清クレアチニンに基づいて、クレアチニンクリアランスが40mL/分より大きい
【0545】
対象は、任意の先行の外科手術、放射線療法、またはがんの処置のための他の治療のいずれかの臨床的に関連する毒性影響から回復していなければならない。(残留のグレード1の毒性を有する対象、例えばグレード1の末梢性ニューロパチーまたは残留脱毛症を有する対象は、医療監視者の承認を得て、認められる。)
【0546】
生殖能力を有する女性対象は、試験薬を開始する前に、医学的監督下の妊娠検査を受けることに同意しなければならない。最初の妊娠検査は、スクリーニング時(最初の試験薬投与の前7日間以内)および最初の試験薬投与の日に実行され、投薬前および全てのその後のサイクルの投薬前1日目に陰性であると確認される。
【0547】
生殖能力を有する女性対象は、治療の開始前7日間以内に血清妊娠検査で陰性でなければならない。生殖能力を有する対象は、子宮摘出術、両側卵巣摘出術または卵管閉塞術を受けていない、性的に成熟した女性、または少なくとも連続する24カ月にわたり自然閉経後(つまり全く月経がなかった)ではない(つまり、先行の連続する24カ月の任意の時点で月経期を有していた)、性的に成熟した女性として定義される。生殖能力を有する女性ならびに生殖可能な男性および生殖能力を有する女性である彼らのパートナーは、インフォームドコンセントを提出した時点から、試験の間、および化合物2の最終投薬後90日まで、性交を避けること、または2つの極めて有効な避妊形態を使用することに同意しなければならない(女性および男性)。避妊の極めて有効な形態は、ホルモン経口避妊薬、注射剤、パッチ、子宮内デバイス、二重障壁法(例えば、合成コンドーム、ダイアフラム、または殺精子泡を有する子宮頸部キャップ、クリーム、またはゲル)または男性パートナー避妊法として定義される。
【0548】
除外基準:
【0549】
以下の基準のいずれかを満たす対象は、試験に登録されない:
【0550】
従前に変異特異的IDH1阻害剤の前処置を受け、治療が進行した対象。
【0551】
化合物2の最初の投薬の60日以内に造血幹細胞移植(HSCT)を受けた対象、またはスクリーニング時にHSCT後免疫抑制療法中である対象、または臨床的に意義のある移植片対宿主病(GVHD)を有する対象。(HSCT後の経口ステロイドおよび/または進行中の皮膚GVHDのためのステロイド外用剤の安定な用量の使用は、医療監視者の承認を得て、許容される。)
【0552】
試験薬投与の最初の日の前14日間未満に、全身性抗がん療法または放射線療法を受けた対象。(登録前、および白血球増加症(白血球[WBC]数が30,000/μLより多い)である対象における末梢白血病性芽球の制御のための化合物2の開始後のヒドロキシ尿素は、許可される)。
【0553】
試験薬投与の最初の日の前14日間未満に、治験薬を受けた対象。加えて、化合物2の最初の投薬は、治験薬の5半減期以上の期間が経過する前は行うべきではない。
【0554】
投薬前の5半減期以上の期間内に他の薬品へ移行することができない限り、または薬品が試験中に適切にモニターすることができない限り、感受性チトクロムP450(CYP)3A4基質薬品を服用している対象は、試験から除外される。
【0555】
投薬前の5半減期以上の期間内に他の薬品へ移行することができない限り、または薬品が試験中に適切にモニターすることができない限り、P−糖タンパク質(P−gp)トランスポーター感受性基質薬品を服用している対象は、試験から除外される。
【0556】
治癒する可能性のある抗がん療法が利用可能な対象。
【0557】
妊娠中または授乳中の対象。
【0558】
スクリーニング訪問中または試験薬投与の最初の日に、抗感染療法が必要とされる活動性の重度の感染を有する対象、または説明できない38.5℃より高い発熱を有する対象(治験担当医師の裁量で、腫瘍発熱を有する対象は登録される場合がある)。
【0559】
化合物2の構成要素のいずれかに対して既知の過敏症を有する対象。
【0560】
C1D1のおよそ28日以内に、ニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスIIIまたはIVうっ血性心不全または心エコー(ECHO)もしくはマルチゲート収集(MUGA)スキャンによりLVEFが40%未満であると認められた対象。
【0561】
スクリーニングの最後の6カ月以内に心筋梗塞の既往を有する対象。
【0562】
不安定なまたは制御されていない既知の狭心症を有する対象。
【0563】
重度のおよび/または制御されていない既知の心室性不整脈の既往を有する対象。
【0564】
スクリーニング時にQTc間隔が450ミリ秒以上の対象またはQT延長もしくは不整脈イベントのリスクを増加させる他の要因(例えば、心不全、低カリウム血症、QT延長症候群の家族歴)を有する対象。脚ブロックおよび長期QTc間隔を有する対象は、選択の可能性について、医療監視者によって再検討されるべきである。
【0565】
投薬前の5半減期以上の期間内に他の薬品へ移行することができない限り、または薬品が試験中に適切にモニターすることができない限り、QT間隔を延長することが公知の薬品を服用している対象。
【0566】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または活性B型肝炎もしくはC型肝炎を有する既知の感染症を有する対象。
【0567】
インフォームドコンセントに署名し、協力し、または試験に参加する対象の能力を阻害する可能性があると治験担当医師によって認められた任意の他の医学的または精神学的状態を有する対象。
【0568】
経口投与された薬物の摂取または胃腸吸収を制限する、既知の嚥下障害、短腸症候群、胃不全麻痺または他の状態を有する対象。
【0569】
活性な中枢神経系(CNS)白血病または既知のCNS白血病が示唆される臨床症状を有する対象。脳脊髄液の評価は、スクリーニング中に白血病によるCNS関与が臨床的に疑われる場合にのみ必要である。
【0570】
制御不能な出血、低酸素症もしくはショックを伴う肺炎、および/または播種性血管内凝固などの、直ちに生命を脅かす重度の白血病の合併症を有する対象。
【0571】
治験品、投薬量および投与様式
【0572】
化合物2は、10、50、200および250mg強度の経口投与される錠剤として提供される。
【0573】
試験の用量漸増部分における各用量漸増コホートの最初の3対象は、−3日目に試験薬の単回投与を受ける;試験薬の次の投薬は、C1D1に投与され、その時点で、妥当であれば代替投薬レジメンを探索することを計画しながら、対象は、28日サイクルの1日目から28日目の毎日の投薬を開始する。C1D1以降、投薬は連続的である;サイクル間の休止期間はない。−3日目のPK/PD判定を受けることが必要とされない対象は、C1D1に化合物2の毎日の投薬を開始する。
【0574】
対象に投与される化合物2の用量は、対象が試験に適格であるときに登録のためにオープンである用量コホートに依存する。用量漸増フェーズにおける第1のコホートの対象に投与されるAG−120の開始用量は、1日2回経口投与される100mg(200mg/日)である。拡大フェーズにおける対象についての開始用量およびレジメン(500mg QD)は、試験の用量漸増フェーズからの安全性、PK、PK/PDおよび臨床活性結果に基づいて、10、50および200mg強度の経口投与される錠剤として提供される。
【0575】
処置の期間:
【0576】
対象は、疾患の進行、他の許容されない毒性の発生、妊娠の確認、HSCTの施行、死亡、同意の撤回、追跡調査不能、または治験計画者による試験終了のいずれかが最初に行われるまで、化合物2を用いた処置を継続しうる。該当する応答基準ごとに、疾患の進行を経験する対象であって、治験担当医師の意見により、処置から利益を受ける対象は、医療監視者の承認を得て、試験薬を継続することが可能であり得る。
【0577】
試験の終了:
【0578】
試験の終了は、全ての対象が、化合物2の処置が中止され、その後少なくとも12カ月間生存が追跡されたか、または死亡したか、追跡調査不能になったか、または追跡調査の12カ月より前に同意を撤回した時点として定義される。
【0579】
評価基準:
【0580】
安全性:
【0581】
DLTの決定、重篤有害事象(SAE)、中止につながるAE;安全性検査パラメーター;理学的検査所見;バイタルサイン;12誘導ECG;LVEF;およびECOG PSを含む、AEのモニタリング。
【0582】
AEの重症度は、NCI CTCAE、バージョン4.03により判定される。
【0583】
薬物動態学および薬力学:
【0584】
化合物2の濃度−時間プロファイルの決定のための連続血液サンプリング。2−HGレベルの決定のための血液および骨髄サンプリング。化合物2および2−HGレベルの尿濃度の決定のための尿サンプリング(用量漸増対象のみ)。
【0585】
臨床活性:
【0586】
AMLの修正されたIWG応答基準または試験下の悪性疾患に基づく他の適切な応答基準に基づいた、処置に対する応答を決定するための連続血液および骨髄サンプリング。
【0587】
修正されたIWGまたは試験下の疾患についての他の適切な応答基準を使用して、現場の治験担当医師によって判定される処置への応答を集計する。応答は、最良客観的応答カテゴリー、完全寛解率(CRR)、ならびにCR、CRp、mCR(AMLを有する対象の形態学的無白血病状態[MLFS])、CRiおよびPRの全ての応答を含む客観的奏効率(ORR)によってまとめられる。完全寛解の期間、奏効期間、無再発生存期間、全生存期間、および寛解/奏効までの時間を含む臨床活性の他の尺度がまとめられる。
【0588】
拡大フェーズのための化合物2の臨床活性の主要解析は、最大の解析対象集団を使用した応答(CRR、ORR、および寛解/奏効期間)についての治験担当医師の再検討に基づく。主な補助的解析は、中央の独立した再検討に基づく。追加の有効性解析は、有効性解析のセットを使用して実施してもよい。
【0589】
化合物2についての治験からの臨床試料のサブセットの解析を実施した。
図14は、化合物2についての応答カテゴリーに従ったFLT変異のビジュアルを提供する。
図14は、遺伝子が2以上で変異した患者のみについてのスクリーニング訪問時の骨髄をプロファイルする。
図14において、遺伝子(y軸)は、IDH2を除いて、頻度の低下の順に示されており、一方で、患者(x軸)は、応答によって、次いで変化の類似性によって、グループ化されている。用量漸増フェーズからの、評価可能な応答を有する患者のみが含まれている。
【0590】
ある特定の実施形態では、FLT3の体細胞変異によって特徴付けられるAMLを有する患者は、化合物2の処置に抵抗性である。
【0591】
ある特定の実施形態では、化合物2とFLT3経路を標的にする1つまたは複数の化合物(例えば、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブまたはDCC−2036から選択されるFLT3阻害剤)との併用治療は、FLT3の体細胞変異によって特徴付けられるAMLを有する患者のAMLを処置するために有効である。
【0592】
このようにいくつかの実施形態のいくつかの態様を記載してきたが、当業者であれば、様々な変更、修正、および改良を容易に思い付くであろうことを理解されたい。そのような変更、修正、および改良は、本開示の一部であることが意図され、さらに本発明の趣旨および範囲内であることが意図される。したがって、上記の説明および図面は単なる例示に過ぎない。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
対象において血液学的悪性疾患を処置する方法であって、前記対象に、以下の式を有する変異体イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(IDH1)阻害剤(S)−N−((S)−1−(2−クロロフェニル)−2−((3,3−ジフルオロシクロブチル)アミノ)−2−オキソエチル)−1−(4−シアノピリジン−2−イル)−N−(5−フルオロピリジン−3−イル)−5−オキソピロリジン−2−カルボキサミド:
【化4】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、互変異性体、立体異性体、アイソトポログ、プロドラッグ、代謝物もしくは多形体(化合物2)を投与するステップを含み、前記血液学的悪性疾患が、IDH1の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする悪性疾患である、方法。
(項目2)
対象において固形腫瘍を処置する方法であって、前記対象に、以下の式を有する変異体イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(IDH1)阻害剤(S)−N−((S)−1−(2−クロロフェニル)−2−((3,3−ジフルオロシクロブチル)アミノ)−2−オキソエチル)−1−(4−シアノピリジン−2−イル)−N−(5−フルオロピリジン−3−イル)−5−オキソピロリジン−2−カルボキサミド:
【化5】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、互変異性体、立体異性体、アイソトポログ、プロドラッグ、代謝物もしくは多形体(化合物2)を投与するステップを含み、前記固形腫瘍が、IDH1の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする、方法。
(項目3)
対象において血液学的悪性疾患を処置する方法であって、前記対象に、FLT3阻害剤と組み合わせて、以下の式を有する変異体イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(IDH1)阻害剤(S)−N−((S)−1−(2−クロロフェニル)−2−((3,3−ジフルオロシクロブチル)アミノ)−2−オキソエチル)−1−(4−シアノピリジン−2−イル)−N−(5−フルオロピリジン−3−イル)−5−オキソピロリジン−2−カルボキサミド:
【化6】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、互変異性体、立体異性体、アイソトポログ、プロドラッグ、代謝物もしくは多形体(化合物2)を投与するステップを含み、前記血液学的悪性疾患が、IDH1の変異体対立遺伝子および変異体FLT3の存在を特徴とする悪性疾患である、方法。
(項目4)
対象において固形腫瘍を処置する方法であって、前記対象に、FLT3阻害剤と組み合わせて、以下の式を有する変異体イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(IDH1)阻害剤(S)−N−((S)−1−(2−クロロフェニル)−2−((3,3−ジフルオロシクロブチル)アミノ)−2−オキソエチル)−1−(4−シアノピリジン−2−イル)−N−(5−フルオロピリジン−3−イル)−5−オキソピロリジン−2−カルボキサミド:
【化7】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、互変異性体、立体異性体、アイソトポログ、プロドラッグ、代謝物もしくは多形体(化合物2)を投与するステップを含み、前記固形腫瘍が、IDH1の変異体対立遺伝子および変異体FLT3の存在を特徴とする、方法。
(項目5)
IDH1変異がIDH1 R132X変異である、項目1から4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記IDH1変異が、IDH1 R132H、R132C、R132L、R132V、R132SまたはR132G変異である、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記FLT3阻害剤が、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブおよびDCC−2036から選択される、項目3から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記悪性疾患が、各々がIDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、B細胞急性リンパ球性白血病(B−ALL)またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)であり、前記方法が、前記対象に治療有効量の化合物2を投与するステップを含む、項目1または3に記載の方法。
(項目9)
前記悪性疾患が、IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする急性骨髄性白血病(AML)である、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記固形腫瘍が、各々がIDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、胆管癌(肝内胆管癌(IHCC)を含む)、前立腺がん、結腸がんまたは非小細胞肺がん(NSCLC)であり、前記方法が、前記対象に治療有効量の化合物2を投与するステップを含む、項目2または4に記載の方法。
(項目11)
化合物2の用量が、約20〜約2000mg/日の用量で投与される、項目1から10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
化合物2の用量が、約50〜約500mg/日の用量で投与される、項目1から10のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
IDH1阻害剤による処置に適切ながん対象を同定する方法であって、(a)がんを有する対象から生物学的試料を取得するステップ;(b)IDH1変異およびFLT3変異について、前記生物学的試料をスクリーニングするステップ;ならびに(c)前記がんが、IDH1の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする場合、前記対象を、IDH1阻害剤による処置に適切ながん対象であると同定するステップを含む、方法。
(項目14)
前記IDH1阻害剤が化合物2である、項目13に記載の方法。
(項目15)
IDH1阻害剤およびFLT3経路阻害剤の組合せによる処置に適切ながん対象を同定する方法であって、(a)がんを有する対象から生物学的試料を取得するステップ;(b)IDH1変異およびFLT3変異について、前記生物学的試料をスクリーニングするステップ;ならびに(c)前記がんが、IDH1の変異体対立遺伝子および変異体FLT3の存在を特徴とする場合、前記対象を、IDH1阻害剤およびFLT3阻害剤の併用治療による処置に適切ながん対象であると同定するステップを含む、方法。
(項目16)
前記IDH1阻害剤が化合物2である、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記FLT3阻害剤が、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブおよびDCC−2036から選択される、項目15または16に記載の方法。
(項目18)
前記がんが、固形腫瘍または血液悪性疾患である、項目13から17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記血液悪性疾患がAMLである、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記AMLが、再発性または難治性である、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記変異体FLT3が、FLT3−ITDまたはFLT3−KDMである、項目1から20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記変異体FLT3がFLT3−ITDである、項目1から21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
対象において血液学的悪性疾患を処置する方法における使用のための化合物であって、前記化合物が、以下の式を有する変異体イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(IDH1)阻害剤(S)−N−((S)−1−(2−クロロフェニル)−2−((3,3−ジフルオロシクロブチル)アミノ)−2−オキソエチル)−1−(4−シアノピリジン−2−イル)−N−(5−フルオロピリジン−3−イル)−5−オキソピロリジン−2−カルボキサミド:
【化8】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、互変異性体、立体異性体、アイソトポログ、プロドラッグ、代謝物もしくは多形体(化合物2)であり、前記血液学的悪性疾患が、IDH1の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする悪性疾患である、使用のための化合物。
(項目24)
対象において固形腫瘍を処置する方法における使用のための化合物であって、前記化合物が、以下の式を有する変異体イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(IDH1)阻害剤(S)−N−((S)−1−(2−クロロフェニル)−2−((3,3−ジフルオロシクロブチル)アミノ)−2−オキソエチル)−1−(4−シアノピリジン−2−イル)−N−(5−フルオロピリジン−3−イル)−5−オキソピロリジン−2−カルボキサミド:
【化9】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、互変異性体、立体異性体、アイソトポログ、プロドラッグ、代謝物もしくは多形体(化合物2)であり、前記固形腫瘍が、IDH1の変異体対立遺伝子の存在およびFLT3変異の非存在を特徴とする、使用のための化合物。
(項目25)
対象において血液学的悪性疾患を処置する方法における使用のための化合物であって、前記化合物が、FLT3阻害剤と組み合わせた、以下の式を有する変異体イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(IDH1)阻害剤(S)−N−((S)−1−(2−クロロフェニル)−2−((3,3−ジフルオロシクロブチル)アミノ)−2−オキソエチル)−1−(4−シアノピリジン−2−イル)−N−(5−フルオロピリジン−3−イル)−5−オキソピロリジン−2−カルボキサミド:
【化10】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、互変異性体、立体異性体、アイソトポログ、プロドラッグ、代謝物もしくは多形体(化合物2)であり、前記血液学的悪性疾患が、IDH1の変異体対立遺伝子および変異体FLT3の存在を特徴とする悪性疾患である、使用のための化合物。
(項目26)
対象において固形腫瘍を処置する方法における使用のための化合物であって、前記化合物が、FLT3阻害剤と組み合わせた、以下の式を有する変異体イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(IDH1)阻害剤(S)−N−((S)−1−(2−クロロフェニル)−2−((3,3−ジフルオロシクロブチル)アミノ)−2−オキソエチル)−1−(4−シアノピリジン−2−イル)−N−(5−フルオロピリジン−3−イル)−5−オキソピロリジン−2−カルボキサミド:
【化11】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、互変異性体、立体異性体、アイソトポログ、プロドラッグ、代謝物もしくは多形体(化合物2)であり、前記固形腫瘍が、IDH1の変異体対立遺伝子および変異体FLT3の存在を特徴とする、使用のための化合物。
(項目27)
前記IDH1変異が、IDH1 R132H、R132C、R132L、R132V、R132SまたはR132G変異である、項目23から26のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
(項目28)
前記FLT3阻害剤が、キザルチニブ(AC220)、スニチニブ(SU11248)、ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP−701)、クレノラニブ(CP−868596)、PLX3397、E6201、AKN−028、ポナチニブ(AP24534)、ASP2215、KW−2449、ファミチニブおよびDCC−2036から選択される、項目25から27のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
(項目29)
前記悪性疾患が、各々がIDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、B細胞急性リンパ球性白血病(B−ALL)またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)であり、前記方法が、前記対象に治療有効量の化合物2を投与するステップを含む、項目23または25に記載の使用のための化合物。
(項目30)
前記悪性疾患が、IDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする急性骨髄性白血病(AML)である、項目29に記載の使用のための化合物。
(項目31)
前記AMLが、再発性または難治性である、項目30に記載の使用のための化合物。
(項目32)
前記固形腫瘍が、各々がIDH1の変異体対立遺伝子の存在を特徴とする、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、胆管癌(肝内胆管癌(IHCC)を含む)、前立腺がん、結腸がんまたは非小細胞肺がん(NSCLC)であり、前記方法が、前記対象に治療有効量の化合物2を投与するステップを含む、項目24または26に記載の使用のための化合物。
(項目33)
化合物2の用量が、約20〜約2000mg/日または約50〜約500mg/日である、項目23から32のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
(項目34)
前記変異体FLT3が、FLT3−ITDまたはFLT3−KDMである、項目25から33のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
(項目35)
前記変異体FLT3がFLT3−ITDである、項目25から34のいずれか一項に記載の使用のための化合物。