(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856674
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】ベビーカーコンフォート装置、ベビーカー下部フレーム、ならびにベビーカー
(51)【国際特許分類】
B62B 7/00 20060101AFI20210329BHJP
B62B 9/10 20060101ALI20210329BHJP
B62B 9/22 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
B62B7/00 Z
B62B9/10 Z
B62B9/22
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-568956(P2018-568956)
(86)(22)【出願日】2017年6月22日
(65)【公表番号】特表2019-524533(P2019-524533A)
(43)【公表日】2019年9月5日
(86)【国際出願番号】EP2017065420
(87)【国際公開番号】WO2018001864
(87)【国際公開日】20180104
【審査請求日】2018年12月28日
(31)【優先権主張番号】102016211916.8
(32)【優先日】2016年6月30日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ピエール ノネマシェ
(72)【発明者】
【氏名】エスター ルプレヒト
【審査官】
立花 啓
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/107713(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0162396(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0044164(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 7/00− 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車軸(100)および車輪(200)を備えたベビーカー(0)用のベビーカーコンフォート装置において、
前記車軸(100)がいわゆるインテリジェント車軸(100)として形成されており、および/または前記車輪(200)がいわゆるインテリジェント車輪(200)として形成されており、
前記車軸(100)によって、および/または前記車輪(200)によって、前記ベビーカー(0)のための付加的なコンフォート機能を提供することができ、
前記車軸(100)および/または前記車輪(200)は、ベビーカーコンフォート機器(112,212)を有し、前記ベビーカーコンフォート機器によって前記ベビーカー(0)のための前記コンフォート機能が提供され、
前記ベビーカーコンフォート機器(112,212)は、HMIインターフェースによって操作可能であるように、調整されており、
前記ベビーカー(0)の所定のパターンの移動が、前記HMIインターフェースを介して検知され、これにより前記コンフォート機能が作動および変更可能である、
ことを特徴とする、ベビーカーコンフォート装置。
【請求項2】
前記ベビーカーコンフォート装置は、ベビーカー車軸(11)および/またはベビーカー車輪(12)である、請求項1記載のベビーカーコンフォート装置。
【請求項3】
前記ベビーカーコンフォート機器(112,212)は、外部の操作ユニット(5)、および/またはベビーカー固定の操作ユニット(310)によって操作可能であるように、調整されている、請求項1または2記載のベビーカーコンフォート装置。
【請求項4】
前記車軸(100)および/または前記車輪(200)は電子機械的な駆動装置を有している、
前記ベビーカーコンフォート機器(112,212)は照明装置を有している、
前記ベビーカーコンフォート機器(112,212)はセンサ、または検出器を有している、
前記ベビーカーコンフォート機器(112,212)はマイクを有している、
前記ベビーカーコンフォート機器(112,212)は電子機器を有している、
前記ベビーカーコンフォート機器(112,212)はアラーム装置を有している、
前記ベビーカーコンフォート機器(112,212)は、無線技術によるワイヤレスデータ転送のためのインターフェースを有している、および
前記ベビーカーコンフォート機器(112,212)は送信機/受信機を有している、
という特徴のうちの少なくとも1つを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のベビーカーコンフォート装置。
【請求項5】
前記センサは、光センサである、請求項4記載のベビーカーコンフォート装置。
【請求項6】
周囲の明るさが所定の値以下に低下したとき、
前記ベビーカー(0)が移動したとき、
前記HMIインターフェースにより、前記ベビーカーコンフォート機器(112,212)への要求が行われたとき、
使用者の少なくとも一方の手が、前記ベビーカー(0)の押手(320)に置かれたとき、および
照明装置が外部の操作ユニット(5,310)によってオンにされたとき、
のうちの少なくともいずれか1つの場合に、前記ベビーカーコンフォート機器の照明装置が点灯可能であるように、前記ベビーカーコンフォート機器(112,212)が調整されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のベビーカーコンフォート装置。
【請求項7】
前記光センサが、前記ベビーカー内の乳児または幼児への強すぎる日光の入射を測定したとき、
前記HMIインターフェースにより、前記ベビーカーコンフォート機器(112,212)への要求が行われたとき、
前記ベビーカー(0)において揺動機能が調整されるべきとき、
のうちの少なくともいずれか1つの場合に、所定のまたは前記の電子機械的な駆動装置が作動されるように、前記ベビーカーコンフォート機器(112,212)が調整されている、請求項5記載のベビーカーコンフォート装置。
【請求項8】
前記ベビーカーコンフォート機器(112,212)にはバッテリまたは蓄電池によって電気エネルギを供給可能であって、前記バッテリまたは蓄電池は、前記ベビーカーコンフォート機器(112,212)の外面/内部に設けられており、または前記ベビーカー(0)の外面/内部に設けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載のベビーカーコンフォート装置。
【請求項9】
ベビーカー下部フレーム(1)またはベビーカー(0)であって、前記ベビーカー下部フレーム(1)または前記ベビーカー(0)は、請求項1から8までのいずれか1項記載のベビーカーコンフォート装置を有していることを特徴とする、ベビーカー下部フレーム(1)またはベビーカー(0)。
【請求項10】
前記ベビーカー下部フレーム(1)または前記ベビーカー(0)がアシスト装置(2)、を有する、
前記ベビーカーコンフォート装置は、ベビーカー後車軸(11)として形成されている、
前記ベビーカーコンフォート装置は、ベビーカー後車輪(12)として形成されている、
前記ベビーカーコンフォート装置は、組み合わされたベビーカー後車軸(11)およびベビーカー後車輪(12)として形成されている、
前記ベビーカー下部フレーム(1)または前記ベビーカー(0)は、ベビーカー固定の操作ユニット(310)を有していない、および
前記ベビーカー(0)は高感度マットを有している、
という特徴のうちの少なくとも1つを特徴とする、請求項9記載のベビーカー下部フレーム(1)またはベビーカー(0)。
【請求項11】
前記アシスト装置(2)は、押し動かしアシスト装置(2)および/または制動アシスト装置(2)を有する、請求項10記載のベビーカー下部フレーム(1)またはベビーカー(0)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車軸および/または車輪を備えた、ベビーカーのためのベビーカーコンフォート装置、特にベビーカー車軸および/またはベビーカー車輪に関する。さらに本発明は、本発明によるベビーカーコンフォート装置をそれぞれ備えたベビーカー下部フレームおよびベビーカーに関する。
【0002】
背景技術
背景技術として、少なくとも1つのベッドスペースおよび/またはシートスペースを備えた、手動で押し動かすためのベビーカーが公知である。このベビーカーは、若年のまたは大人の使用者(操作者)によって押すことができるように設計されている。この場合、ベビーカー内の乳児または幼児が、特にその顔が、押す人の視界に入っているのが好ましい。斜面や、雪面、平坦ではない地面等では、ベビーカーを押し動かすために、部分的に極めて高い肉体的負荷を要するので、ベビーカーにはますます電動機による駆動装置が装備されるようになっている。これにより押す人は、反力が高い場合でも比較的容易にベビーカーを押すことができるようになる。
【0003】
独国特許出願公開第102013216679号明細書に開示されたベビーカーは、フレームと、フレームに取り付けられた複数の車輪と、複数の車輪のうちの少なくとも1つに接続された車軸と、この車軸上に設けられた第1の力伝達歯車と、駆動モジュールと、を有している。駆動モジュールは、第2の力伝達歯車と、第2の力伝達歯車を駆動する電動モータと、電動モータに給電するバッテリとを含む。駆動モジュールはフレームに取り付け可能であって、フレームから取り外し可能であり、取り付け状態で、両力伝達歯車は形状接続的または摩擦接続的に互いに接続されている。操作ユニットを介して制御可能な制御機器によって電動モータは電子機器を介して制御可能である。
【0004】
課題
本発明の課題は、改善されたベビーカーを提供することである。この場合、このベビーカーは、従来のものと比較して高い機能範囲を有しており、操作者にとってベビーカーの取り扱いを容易にするのが望ましい。さらに、操作者、ベビーカー内の乳児または幼児、および/または第三者の能動的かつ/または受動的安全性が高められるのが望ましい。さらに、本発明によるベビーカーは、簡単に構成することができ、製造、組立て、保守整備が安価であるのが望ましい。
【0005】
発明の開示
本発明の課題は、独立請求項に記載の、車軸および/または車輪を備えた、ベビーカーのためのベビーカーコンフォート装置、特にベビーカー車軸および/またはベビーカー車輪により;さらに、ベビーカーコンフォート装置を備えたベビーカー下部フレームまたはベビーカーにより、解決される。本発明の好適な別の構成、付加的な特徴、および/または利点は、従属請求項および以下の説明により明らかである。
【0006】
本発明によるベビーカーコンフォート装置は、(いわゆる)インテリジェント車軸として形成されている車軸、および/または(いわゆる)インテリジェント車輪として形成されている車輪を有しており、この車軸によって、かつ/またはこの車輪によって、ベビーカーのための付加的なコンフォート機能を提供することができる。付加的なコンフォート機能とは、車軸および/または車輪の従来の役割の他に、車軸によって、かつ/または車輪によって、乳児、幼児、またはベビーカーを使用している操作者のために実現することのできるベビーカーの機能を意味する。この場合、付加的なコンフォート機能により、ベビーカーの取り扱いを容易にすることができ、受動的かつ/または能動的安全性を高めること等ができる。
【0007】
車輪は、ベビーカー固定の、またはベビーカーに回転可能に設けられた少なくとも1つの車輪体を含み、ベビーカーは車輪で直接、地面に支持されることができ、かつ転動可能に格納することができる。この場合、好適には車輪は、1つのまたは好適には2つの車輪体と、場合によっては各車輪体上に、車輪体固定に、または車輪体に対して回転可能に設けられた、例えばゴム、プラスチック等を含むタイヤと、を有している。ベビーカー自体は、好適にはこのような車輪を3つ、または好適には4つ有している。すなわち、本発明の命名法によると、ベビーカーは、支持個所でちょうど1つの車輪を有しており、この車輪は場合によっては複数の車輪体を有しており、車輪体は好適にはそれぞれ1つのタイヤを有している。
【0008】
車軸とは、ベビーカー固定の、またはベビーカーに回転可能に設けられた少なくとも1つの車軸を意味し、この車軸によりベビーカーは間接的に、地面に支持されることができ、かつ転動可能に格納することができる。ベビーカー自体は、好適にはこのような車軸を1つ、または好適には2つ有している。すなわち、本発明の命名法によると、ベビーカーは、2つの支持個所もしくは車輪のために1つの車軸を有している。本発明によると、付加的なコンフォート機能を、単に1つの車軸の外面/内部に、かつ/または単に1つの車輪体もしくは車輪の外面/内部に、設けることができる。
【0009】
車軸および/または車輪を、エネルギ供給および/または操作ユニットは除いて、主としてまたは実質的に、専ら車軸によって、かつ/または専ら車輪によって、付加的なコンフォート機能を提供することができるように、構成することができる。すなわち、付加的なコンフォート機能の実施もしくは調整は、エネルギ供給(付加的)および/または付加的なコンフォート機能の作動および停止のための操作ユニットを除いて、主としてまたは実質的に専ら車軸によって、かつ/または主としてまたは実質的に専ら車輪によって行われる。
【0010】
さらに、車軸および/または車輪によって、部分機能またはベビーカーのアシスト装置用の機能は除き、コンフォート機能を提供できる。このようなアシスト装置は、好適にはベビーカーにそれとして、もしくは全体として関するものであり、このようなアシスト装置は、例えば、押し動かしアシスト(従来技術の引用文献参照)、または制動アシストとして形成することができる。ベビーカーのためのコンフォート機能は、電気的なコンフォート機能、電子機械的なコンフォート機能、電子的なコンフォート機能、および/または送信機/受信機コンフォート機能であってもよい。
【0011】
本発明によれば、車軸および/または車輪は、ベビーカーコンフォート機器を有していてもよく、このベビーカーコンフォート機器によってベビーカーのためのコンフォート機能を提供可能である。このベビーカーコンフォート機器は、HMIインターフェース(下記参照)、ベビーカー固定の操作ユニット、および/または外部の操作ユニット、特にスマートフォン、タブレットコンピュータ、リモコン、または付加的な機器よって操作可能であるように、調整することができる。本発明によれば、車軸および/または車輪は電子機械的な駆動装置を有していてもよい。この駆動装置によって、例えばベビーカーの自動的な揺動機能または自動的な走行機能が実現可能である。
【0012】
本発明によれば、ベビーカーコンフォート機器は照明装置を有していてもよい。照明装置、例えば道路照明装置および/またはベビーカー照明装置によって、例えば進行方向の道(受動的および能動的安全、道路照明装置)、または地面(受動的安全、ベビーカー照明装置)を照明することができる。さらにベビーカーコンフォート機器は、センサ、または検出器、特に光センサを有していてもよい。光センサによって、例えばベビーカーの自動的な照明または自動的な走行機能が実現可能である。さらに、ベビーカーコンフォート機器はマイクを有していてもよい。これにより例えば、ベビーフォン機能が実現可能である。
【0013】
さらにベビーカーコンフォート機器は、HMIインターフェース(HMI: Human Machine Interface、マンマシンインターフェース)を有していてもよい。HMIインターフェースによって、ベビーカーを介して、および車軸および/または車輪を介して、ベビーカーコンフォート機器に、所定の別の挙動、例えばベビーカーの揺動機能のために行われる予め規定された動きを行わせることができる。これは、場合によってはHMIインターフェースによって、または好適には外部の操作ユニットを介してトリガすることができ、もしくは作動/停止することができる。ベビーカーコンフォート装置内に組み込まれたHMIインターフェースは、直感的操作ユニットの機能を果たす。
【0014】
本発明によれば、ベビーカーコンフォート機器は電子機器を有していてもよい。これにより少なくとも1つの付加的なコンフォート機能を簡単に実施することができる。さらに、ベビーカーコンフォート機器はアラーム装置を有していてもよい。アラーム装置によって例えば情報に応じて、例えば高感度マットの情報に応じて、アラームを、音響的に、視覚的に、または好適には迅速な動きにより、例えば駆動装置によって実現可能なベビーカーのバイブレーションにより、発信することができる。
【0015】
さらには、ベビーカーコンフォート機器は、無線技術によるワイヤレスデータ転送のためのインターフェースを有していてもよい。このようなインターフェースの1つは、例えばブルートゥースインターフェースである。さらに、ベビーカーコンフォート機器は送信機/受信機を有していてもよい。これにより、例えば、光センサ、マイク、HMIインターフェース、電子機器、アラーム装置、高感度マット等からの信号を受信し(かつ転送し)、もしくは逆に(受け取り、かつ)これらに送信することができる。
【0016】
ベビーカーコンフォート機器は、周囲の明るさが所定の値以下に低下したとき、ベビーカーが移動したとき、使用者の少なくとも一方の手が、ベビーカーの押手に置かれたとき、かつ/または照明装置がHMIインターフェース/操作ユニットによりオンにされたとき、ベビーカーコンフォート機器の照明装置(道路照明装置および/またはベビーカー照明装置)が点灯可能であるように、調整されていてもよい。
【0017】
したがって、例えば道路照明装置は、1.周囲の明るさが所定の値以下に低下し、かつベビーカーが移動したとき、または2.HMIインターフェースによりベビーカーコンフォート機器への要求がなされたとき、または3.道路照明装置が好適には外部の操作ユニットによりオンにされたとき、点灯可能である。さらに、例えばベビーカー照明装置は、1.周囲の明るさが所定の値以下に低下したとき、または2.HMIインターフェースによりベビーカーコンフォート機器への要求がなされたとき、または3.ベビーカー照明装置が好適には外部の操作ユニットによりオンにされたとき、点灯可能である。
【0018】
ベビーカーコンフォート装置はさらに、光センサにより、ベビーカー内の乳児または幼児への強すぎる日光の入射の作用を検出したとき、HMIインターフェースによりベビーカーコンフォート機器への相応の要求が行われたとき、かつ/またはベビーカーにおいて揺動機能が調整されるべきとき、所定のまたは前記の電子機械的な駆動装置が作動されるように、調整されていてもよい。
【0019】
ベビーカーコンフォート機器には、バッテリまたは蓄電池によって電気エネルギを供給可能であってもよく、このバッテリまたは蓄電池は、ベビーカーコンフォート機器の外面/内部に設けられており、またはベビーカーの外面/内部に設けることができる。ベビーカー下部フレームまたはベビーカーは、アシスト装置、特に押し動かしアシスト装置および/または制動アシスト装置を有していてもよい。好適には、ベビーカーコンフォート装置は、ベビーカー後車軸として、ベビーカー後車輪としてまたは、組み合わされたベビーカー後車軸・後車輪として形成されているが、これは前車軸および/または前車輪にも適用可能である。ベビーカー下部フレームまたはベビーカーは、ベビーカー固定の操作ユニットを有していなくてもよい。さらに、ベビーカーは高感度マットを有していてもよい。本発明の利点は、新規の可能な機能および/またはその作動化方法にある。
【0020】
本発明の実行は、例えば、ベビーカーに操作ユニットを必要としないことに、すなわちベビーカー固定の操作ユニットを省くことにある。この場合、ベビーカーコンフォート装置のベビーカーコンフォート機器は、HMIインターフェースにより、場合によっては専ら、または外部の操作ユニットにより、場合によっては専ら操作可能であるように、調整されている。したがって少なくとも1つのコンフォート機能は場合によっては専らHMIインターフェースを介して、または場合によっては専ら外部の操作ユニットを介して作動させることができる。したがって、例えばHMIインターフェースは、コンフォート機能の作動化のため、かつコンフォート機能の実現のために用いられる。これら両特徴の組み合わせも勿論利用可能である。
【0021】
例えば、ベビーカーの(短いかつ/または迅速な)2回の前後運動はこの運動を繰り返すべきであることを意味し(運動の開始)、この運動は例えば(短いかつ/または迅速な)2回の前後運動が再び検知されるまで行われる(再現すべき運動の終了)。したがって、例えば揺動機能、またはベビーカー全体の、またはベビーカーの区分または部分のみの別の運動も実現することができる。例えば、ベビーカーを一度前方左へ、次いで場合によっては戻して、次いで一度前方右へ動かすことにより、強すぎる日光の入射を回避するコンフォート機能を作動させることができる。これは、上述したように、光センサにおける所定の光パターンを介して付加的に支援することができる。
【0022】
このように予め規定されたコンフォート機能では、操作者が能動的にベビーカーを触ったり(コンフォート機能の作動化、停止、および/または(振幅、周波数、強度等の)変更)、加速したり(コンフォート機能の作動化、かつ/または(振幅、周波数、強度等の)変更)、かつ/または制動したりすると(コンフォート機能の停止、かつ/または(振幅、周波数、強度等の)変更)、これはHMIインターフェースによって検知され、したがってコンフォート機能を作動させ、停止させ、または変更する(振幅、周波数、強度等)。好適にはこれは、HMIインターフェースを備えた、もしくはHMIインターフェースとしての、車輪の外面/内部に設けられたセンサによる、動作の検知である。
【0023】
さらに、ベビーカーコンフォート装置のベビーカーコンフォート機器は例えば、周囲の明るさが所定の値以下に低下したとき、かつ/またはベビーカーが移動したとき、照明装置が点灯可能であるように、調整されていてもよい。この場合、道路の照明(前方への照明)とベビーカーの照明(例えば、見られるための、ベビーカー自体の底面の照明、またはポジションライトとしてのベビーカーにおける照明)とは異なっていてもよい。例えば、周囲の明るさが所定の値を下回り、ベビーカーが移動すると、道路照明とベビーカー照明とが作動される。これに対して、周囲の明るさが低下するのみで、ベビーカーが停止している場合には、例えば、ベビーカー照明のみを作動化させることもできる。
【0024】
図面の簡単な説明
以下に本発明を、添付の概略的な縮尺は忠実ではない図面を参照しながら実施例につき詳しく説明する。同じ、一義的な、または同様の構成および/または機能を有する区分、エレメント、構成部分、ユニット、図式、および/または構成要素は、図面の説明(下記参照)、特許請求の範囲、図面の図(Fig)において、同じ符号で示す。本発明では、特徴は正のもの、すなわち存在しているものと、または負のもの、すなわち存在していないものとがある。この場合、負の特徴は、存在していないことに価値がない場合には特徴として明示的に説明はしない。
【0025】
本明細書(詳細な説明(発明の説明(上記参照)、図面の説明)、特許請求の範囲、図面)の特徴(区分、エレメント、構成部分、ユニット、図式、構成要素等)は、記載した形式および/または方式だけではなく、別の形式および/または方式で適用することもできる(個別に、まとめて、入れ換えて、付け足して、独立して、省いて等)。特に、符号およびその符号に対応する特徴、もしくはその逆に特徴およびその特徴に対応する符号は、明細書、特許請求の範囲、および/または図面において、特許請求の範囲および/または明細書における特徴を入れ換える、付け足す、または省くことができる。さらに、これにより、特許請求の範囲における1つの特徴を説明するかつ/または詳しく特定することができる。
【0026】
この明細書の特徴は、((主に公知ではない)先行技術を考慮すると)、付加的な特徴としても解釈可能である。すなわち、各特徴は、選択的な、任意の、または有利な、すなわち不可欠ではない特徴として解釈することができる。したがって、1つの特徴を、場合によってはその周辺の特徴と共に、実施例から抜き出すこともでき、この場合、この特徴は、一般化された本発明の思想に引き継ぐことができる。実施例における所定の特徴の欠如(負の特徴)は、本発明に関してこの特徴が付加的なものであることを示している。さらに、1つの特徴の形式の概念では、この特徴についての上位概念も共に読み取ることができ(場合によっては、下位概念、セクション等への別の階層的な分割)、これにより例えば、同じ作用および/または同じ価値を考慮して、所定の、またはこの特徴の一般化が可能である。図面は単なる例である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明によるベビーカーコンフォート装置の第1の構成を有する本発明によるベビーカーのための本発明による下部フレームを示す、操作者から見た3次元的な斜視図である。
【
図2】本発明によるベビーカーコンフォート装置の上部を省いて第2の構成を示す、前方または後方の側面図である。
【0028】
発明の実施の形態
以下に本発明を、ベビーカーコンフォート装置の2つの構成の実施例につき詳しく説明する。しかしながら本発明は、このような構成および/または以下に説明する実施例に限定されるものではなく、本質的にはしたがって、すべてのベビーカー(従来のベビーカー、スポーツ仕様ベビーカー、コンビベビーカー、バギー、大型複数人用ベビーカー、ペダル機能付きベビーカー、特殊ベビーカー(双生児用、リハビリ用等)等)のために、本発明の意味において利用することができる。本発明を、好適な実施例により詳しく説明し、図示するが、本発明は開示された実施例に限定されるものではない。別の変化実施例も、本発明の特許請求の範囲を逸脱することなく推考することができる。
【0029】
図1には、少なくとも1つのベッドスペースおよび/またはシートスペースを備えたベビーカー0用のベビーカー下部フレーム1が示されている。ベビーカー下部フレーム1は、1つのフレーム300と、フレーム300に設けられた複数の車輪200とを含む。特にフレームには、3つまたは4つの車輪200が設けられている。フレーム300は、乳児または幼児を入れて搬送することができるシェルまたはシートを収容するために用いられる。好適には、車輪200のうちの少なくとも1つは車軸100に結合されている。この車軸は特に、ベビーカー0の後車軸100である。好適には、車軸100の両端部にそれぞれ1つの車輪200が存在している。
【0030】
車軸100は、ベビーカー固定に、またはフレーム固定に、またはベビーカーもしくはフレーム300に回転可能に設けられている。
図2を参照するが、車輪200は、ベビーカー固定の、フレーム固定の、または車軸固定の少なくとも1つの車輪体210を、または、ベビーカー1に回転可能に、フレーム300に回転可能に、または車軸100に回転可能に設けられた少なくとも1つの車輪体210を含んでいる。車輪体210は好適には例えば、ゴム、プラスチック等を含むタイヤ220を有している。タイヤ220は、車輪体固定に、または車輪体210に回転可能に、設けられていてもよい。ベビーカー0の1つの実施例によれば、車軸100、車輪200、車輪体210、および/またはタイヤ220は、電動機により駆動可能に構成されている。
【0031】
本発明の第1実施例によれば、少なくとも1つの車軸100はインテリジェントベビーカー車軸10,11として、特にインテリジェントベビーカー後車軸10,11として形成されており(ベビーカーコンフォート装置10,11)、このことは
図1に示されている。本発明の第2実施例によれば、少なくとも1つの車輪200はインテリジェントベビーカー車輪10,12(スマートホイール)として、特にインテリジェントベビーカー後車輪10,12として形成されており(ベビーカーコンフォート装置10,12)、このことは
図2に示されている。第1の構成では、ベビーカー車軸10,11が、(車軸内在の)ベビーカーコンフォート機器112を有しており、第2の構成では、ベビーカー車輪10,12が(車輪内在の)ベビーカーコンフォート機器212を有している。
【0032】
以下の説明は主としてベビーカーコンフォート機器112,212に関する。この場合、ベビーカーコンフォート機器112,212は、ベビーカー車軸10,11および/またはベビーカー車輪10,12に所属する。ベビーカーコンフォート機器112,212には、好適には交換可能なバッテリ、または場合によっては交換可能な蓄電池により電気エネルギを供給することができる。このバッテリもしくは蓄電池は、ベビーカーコンフォート機器112,212の構成部分であってもよく、またはベビーカーコンフォート機器112,212に関して外部でベビーカー0もしくはベビーカーコンフォート装置10,11の外側に/内部に設けられていてもよい。さらに、既にベビーカー0の外面に/内部に設けられていた供給源から電気エネルギを取り出すことも可能である。もちろん場合によっては付加的に光発電を使用することができる。
【0033】
さらに好適には、ベビーカーコンフォート機器112,212を、外部の操作ユニット5によって、例えばスマートフォン5、タブレットコンピュータ5、リモコン5、付加的な機器5等によって操作することができる。これは、ベビーカー固定の操作ユニット310を介して行うこともできる。操作ユニット5,310はこの場合、例えばブルートゥース接続等のための無線技術による短距離のワイヤレスデータ転送のための送信機/受信機を有していてもよい。さらに、ベビーカー固定の操作ユニット310は、有線のデータ転送のために調整することもできる。
図1に示したベビーカー固定の操作ユニット310を省くことができ、これによりベビーカーコンフォート機器112,212を、外部の操作ユニット5またはHMIインターフェース(下記参照)を介して操作することができる。
【0034】
本発明によれば、ベビーカー0は、インテリジェントベビーカーコンフォート装置10;11,12;11/12の組み込みにより改善される。ベビーカーコンフォート装置は例えば、センサ、検出器、電子機器等の組み込みにより、少なくとも1つの付加的な機能性をベビーカー0に与える。この場合、本発明による機能性(上記参照)もしくは本発明による複数の機能性を、電気的な押し動かしアシストまたは制動アシストに加えて付加的に提供することができる。
【0035】
したがって例えば、ベビーカーコンフォート装置10;11,12;11/12に、もしくはそのベビーカーコンフォート機器112,212に、光センサによる周囲の明るさ測定を組み込むことができる。好適には、暗闇(光センサによる検出)で、かつ/または移動検知時に自動的に点灯する照明が組み込まれている。この場合、照明を、進む道の方向(例えば前方に)、かつ/または(見られる)地面の方向に向けることができる。さらに、内蔵マイクおよび例えばブルートゥースインターフェースを含むベビーフォン機能を実現することができる。相応の通信を、外部の操作ユニット5等へ行うことができる。
【0036】
さらに、光センサによって、ベビーカー0に載せられた乳児または幼児への日差しの評価を行うことができる。日差し評価が高すぎる場合には、車軸100または1つまたは複数の車輪200の電子機械的な駆動装置がオンにされ、これによりベビーカー0は好適には、乳児または幼児がそれ以上、過剰な日差しにさらされないように、旋回運動を行う。作動化は、光センサにおける予め規定された影・光パターンにより、例えばベビーカー0の所定の移動等によるベビーカーの操作により(HMIインターフェース(上記参照))行うことができる。
【0037】
さらに本発明によれば、ベビーカーコンフォート装置10;11,12;11/12によって、もしくはベビーカーコンフォート機器112,212により、揺動機能を実現することができる。揺動機能は、少なくとも1つの電子機械的な駆動装置によるベビーカーの自動的な短い前後運動により実現可能である。好適にはこのために2つの電子機械的な駆動装置が使用される。揺動機能は、例えばベビーフォン機能を介したトリガ(乳児もしくは幼児が泣くこと)、HMIインターフェース等を介して検知可能であるベビーカー0に特有の移動パターンのトリガ等により、作動させることができる。
【0038】
HMIインターフェースを介して、ベビーカー0の外部から発動された移動パターンが検知された場合、揺動機能の振幅の調節を簡単に行うことができる(例えば、事前の調節、移動パターンによる、移動パターンの振幅による等)。揺動機能では、予め規定されたベビーカーの移動パターンを自動的に繰り返すことができる。揺動機能の停止は、例えば、ベビーカー0の移動の手動による積極的な制動により行うことができる(ベビーカー0把持の検知)。
【0039】
さらにベビーカー0に、乳児もしくは幼児の下に設置される高感度マットを装備することができる。高感度マットにより発動されたデータは、ベビーカーコンフォート装置10;11,12;11/12によって、もしくはそのベビーカーコンフォート機器112,212によって、例えばブルートゥースインターフェースを介して受信することができる。このデータに基づき、乳児または幼児の生理的なデータを、例えばベビーカーコンフォート装置10;11,12;11/12の電子機器によって、もしくはベビーカーコンフォート装置のベビーカーコンフォート機器112,212によって検出することができる。
【0040】
例えば、高感度マットへの機械的圧力のデータの分析により、乳児または幼児が正常に呼吸しているか否かを検知することができる。この場合、有利には、所定の生理的データが存在している場合は、揺動機能を自動的に再び作動させることができる。さらに有利には、危険を示す生理的データが存在している場合は、警告またはアラームを発信することができる。このために、ベビーカーコンフォート装置10;11,12;11/12もしくはそのベビーカーコンフォート機器112,212は好適にはアラーム装置を有している。さらに、警告またはアラームを、選択的にまたは付加的に、外部の操作ユニット5に送信することができる。
【0041】
本発明によれば、本発明によるベビーカーコンフォート装置10;11,12;11/12は、本発明によるベビーカー車軸11として、本発明によるベビーカー車輪12として、従来の車輪200を備えた本発明によるベビーカー車軸11として、従来の車軸100を備えた本発明によるベビーカー車輪12として、またはベビーカー車軸・ベビーカー車輪11/12として、形成されていてもよい。この場合、本発明(10;11,12;11/12)は好適には後車軸100もしくは後車輪200に適用可能である。本発明(10;11,12;11/12)を前車軸100もしくは前車輪200に適用することも勿論、可能である。
【0042】
一般的に、ベビーカー0、ベビーカー下部フレーム1、ベビーカーコンフォート装置10;11,12;11/12、すなわち、(インテリジェント)ベビーカー車軸11および/または(インテリジェント)ベビーカー車輪12は、1つのまたはいくつかの当該コンフォート機能を、HMIインターフェース、外部の操作ユニット5、またはベビーカー固定の操作ユニット310とは別個に作動、非作動、かつ/または変更(振幅、周波数、強度等)可能であるように構成することができる。この場合、HMIインターフェース、外部の操作ユニット5、および/またはベビーカー固定の操作ユニット310を設けることができ、この場合、好適には少なくともHMIインターフェースが設けられていて、特に少なくともHMIインターフェースと外部の操作ユニット5とが設けられている。