【実施例】
【0022】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。
図1は本発明のバッテリモジュールの一実施形態を示す模式的な図である。また、
図2は
図1(b)の拡大図、
図3は小型化・低背化に係る説明図、
図4は部品実装スペースの確保に係る説明図、
図5及び
図6はバッテリモジュールの変形例を示す図である。尚、図中の矢印Pは上下方向(高さ方向)、矢印Qは左右方向(幅方向)、矢印Rは長手方向(特許請求の範囲に記載された整列方向)をそれぞれ示すものとする。
【0023】
<バッテリパック1及びバッテリモジュール2について>
図1及び
図2において、バッテリパック1は、電気自動車やハイブリッド車、多目的自動運転車両のような高電圧の駆動モータを必要とする自動車に搭載される。バッテリパック1は、バッテリモジュール2と、このバッテリモジュール2を収容するケース3と、ケース3の開口を覆うカバー4とを備えて構成される。バッテリモジュール2は、セルモジュール5と、排煙ダクト6と、回路基板7と、図示しないバスバーモジュール等とを備えて構成される。以下、上記の各構成について説明をする。
【0024】
<セルモジュール5について>
図1において、セルモジュール5は、電池セル8を矢印Rの長手方向(整列方向)に複数個並べたものとして形成される。尚、電池セル8同士の間には、絶縁性を有するセパレータを設けてもよいものとする。電池セル8は、上下の高さや左右の幅の寸法に比べて上記長手方向の幅が小さくなるような直方体の形状に形成される(図示形状は一例であるものとする)。このような電池セル8の上面は、電極配置面9として形成される(本実施例では平坦な面の電極配置面9として図示されるが、例えば多少、段付きがある面であってもよいものとする)。電池セル8は、二つの電極10と、弁11と、図示しない注液孔とを電極配置面9に有する。二つの電極10は、正極及び負極であって、これらは所定の間隔をあけて配置される。二つの電極10は、電極配置面9の左右方向の両端近傍に配置される。正極及び負極には、図示しないバスバーモジュールのバスバーがそれぞれ接続される。隣接する電池セル8のそれぞれの電極10は、図示しないバスバーモジュールのバスバーによって直列或いは並列に接続される。弁11は、電極配置面9の左右方向の中央位置に配置される。弁11は、電池セル8の内部で発生したガスを電池セル8の外部に排出するための(排煙するための)部分として設けられる。弁11は、電池セル8の内圧が設定圧力よりも高くなると開弁して内圧の上昇を抑えることができるような機構部分に形成される。以上のような電池セル8としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池等が採用されるものとする。
【0025】
<図示しないバスバーモジュールについて>
上記バスバーモジュールは、複数のバスバーと、この複数のバスバーを保持する樹脂フレーム等とを備えて構成される。バスバーは、導電性を有する金属板をプレス加工して形成される。バスバーは、電池セル8の電極10に対しナット締結又は溶接等にて、すなわち公知の方法にて接続することができるように形成される。樹脂フレームには、例えば回路基板7を支持する部分が形成される(一例であるものとする。回路基板7の支持に関しては特に限定されないものとする)。
【0026】
<排煙ダクト6について>
図1及び
図2において、排煙ダクト6は、電池セル8の弁11から外部に排出(排煙)されたガスをセルモジュール5から遠ざける方向(本実施例では長手方向(整列方向))に移動させる部分として形成される。排煙ダクト6は、長手方向(整列方向)にのびる煙突部分として形成される。排煙ダクト6は、電池セル8の電極配置面9に対し垂直にのびる(上方にのびる)側壁12、13と、この側壁12、13の上端に連続する天井壁14とを有して図示のような断面形状に形成される。排煙ダクト6は、内部空間15を有する状態で長手方向(整列方向)に並ぶ弁11を覆うような形状に形成される。側壁12、13は、上方への長さが異なるように形成される(一例であるものとする。長さが同じ例に関しては後述するものとする)。天井壁14は、電極配置面9に対し非平行な傾斜状態に形成される。天井壁14は、回路基板7を図示のような右肩上がりの傾斜状態に配置し且つ載置しておくための傾斜載置面16になるような部分に形成される。天井壁14(傾斜載置面16)は、平らな斜めの面に形成される。尚、天井壁14(傾斜載置面16)には、基板固定用の複数のネジ穴(符号省略)が複数形成されるものとする。ネジ穴は、回路基板7の固定に必要な位置に形成される。天井壁14(傾斜載置面16)は、回路基板7を傾斜状態に配置し易くすることができるように形成される。
【0027】
<回路基板7について>
図1及び
図2において、回路基板7は、例えばセル電圧監視IC(図示省略)をセルモジュール5の近傍に配置するために備えられる。回路基板7の上面には、上記セル電圧監視ICの他に各種の電子部品(
図3(a)の引用符号21はそのうちの一つであるものとする)が実装される。また、回路基板7には、図示しない配線が形成される。尚、回路基板7の下面にも電子部品を実装してデッドスペースを少なくしてもよいものとする。上記電子備品としては、例えばヒューズや抵抗、ダイオード、コンデンサ、サーミスタ等であるものとする。本実施例の回路基板7は、配線が印刷されたプリント基板が本体部分として採用されるものとする。
【0028】
回路基板7は、排煙ダクト6及び電池セル8の電極配置面9を覆うように配置形成される。回路基板7は、この回路基板7の幅方向中間が上記整列方向に沿って二分割された形状に形成される。具体的には、一方の分割回路基板17と、他方の分割回路基板18と、これら一方の分割回路基板17及び他方の分割回路基板18を連結する連結用回路体19とを備えて構成される。一方の分割回路基板17は、他方の分割回路基板18よりも幅広に形成される。一方の分割回路基板17及び他方の分割回路基板18は、幅が異なる平面視長方形状に形成される。一方の分割回路基板17及び他方の分割回路基板18における上記二分割された部分は、排煙ダクト6の上端側になるように配置される。すなわち、一方の分割回路基板17及び他方の分割回路基板18は、上記傾斜状態に配置形成される。尚、上記二分割された部分の反対側(回路基板7の幅方向の両端部)は、図示しないバスバーモジュールの樹脂フレームなど、適宜構造部分にて支持・固定されるものとする。上記反対側は、電池セル8の電極10の基端近傍に配置される。すなわち上記反対側は、電池セル8の電極配置面9に近づくように配置される(ここでの説明の配置や図示の配置は一例であるものとする。図示を省略するが、上記反対側をのばして電極10を覆うような配置にしてもよいものとする)。幅広の一方の分割回路基板17は、排煙ダクト6の傾斜載置面16に対しネジ20にて固定される。幅広の一方の分割回路基板17は、比較的幅の広い部品を実装するために用いられる。連結用回路体19は、柔軟性を有する。本実施例においては、柔軟性を有するFPCが連結用回路体19として採用される。一方の分割回路基板17及び他方の分割回路基板18の間の通信等は、連結用回路体19を介して行われるようになる。連結用回路体19は、上記二分割された部分の位置に配置される。以上のような回路基板7は、排煙ダクト6を中心にこの両側に直角三角形のスペースが存在するような状態に、すなわち断面逆V字状になるような図示の状態に形成される。
【0029】
<小型化・低背化について>
図3(a)において、回路基板7における一方の分割回路基板17の低い位置(回路基板7の幅方向の端部近傍)には、比較的高さのある電子部品21が実装される。一方の分割回路基板17は、傾斜状態に配置されることから、電池セル8の電極配置面9から電子部品21の上端までの高さ寸法H1は、
図3(b)で示す比較例1よりも低くなる。
図3(b)において、比較例回路基板22は、比較例排煙ダクト23の上に固定され、電極配置面9に対して平行になるよう形成される。このような比較例回路基板22に電子部品21を実装すると、電極配置面9から電子部品21の上端までの高さ寸法H2は、基板傾きの差があることから当然に高くなってしまう(H1<H2)。このことから、カバー4(
図2参照)は比較的低くすることができ、逆に比較例1は高くなってしまうことが分かる。従って、比較例1よりもバッテリモジュール2全体としての高さを低くすることができるのは勿論のこと、バッテリパック1(
図2参照)の高さも低くすることができ、結果、小型化・低背化を図ることができるという効果を奏する。
【0030】
<部品実装スペースの確保について>
図4(a)において、一方の分割回路基板17は、傾斜状態に配置される。ここで
図4(c)に示す直角三角形24は斜辺25、隣辺26、対辺27で形成されることから、一方の分割回路基板17は斜辺25に相当する位置に配置されることになる。一方、
図4(b)の比較例2の回路基板28、28は、比較例排煙ダクト23の左右両側に配置されることから、比較例2の回路基板28は直角三角形24の隣辺26に相当する位置に配置されることが分かる。従って、隣辺26は斜辺25よりも長さが短くなることから、一方の分割回路基板17は比較例2よりも部品実装スペースを広く確保することができるという効果を奏する。
【0031】
<変形例について>
図5において、次のような変形例でも有効である。具体的には、回路基板29における一方の分割回路基板30及び他方の分割回路基板31は、幅が同じになる平面視長方形状に形成される。一方の分割回路基板30及び他方の分割回路基板31を連結する連結用回路体32は、排煙ダクト33を覆うように配置される。尚、排煙ダクト33は、
図4(b)の比較例排煙ダクト23と基本的に同じに形成されるものとする。一方の分割回路基板30及び他方の分割回路基板31は、排煙ダクト33を中心にしてこの左右に傾斜状態に配置される。この他、
図6に示すように、一方の分割回路基板30及び他方の分割回路基板31を傾斜状態に載置しておくための傾斜載置面34が形成された排煙ダクト35を採用してもよいものとする。
【0032】
<効果について>
以上、
図1ないし
図6を参照しながら説明してきたように、本発明の一実施形態であるバッテリパック1及びバッテリモジュール2によれば、回路基板7を傾斜状態に配置することから、傾斜状態の回路基板7における低い位置に比較的高さのある電子部品21を実装することで、従来例よりもバッテリモジュール2全体としての高さを低くすることができる。すなわち、小型化・低背化を図ることができるという効果を奏する。また、バッテリパック1及びバッテリモジュール2によれば、回路基板7を傾斜状態に配置することから、回路基板7における部品実装スペースを従来例よりも大きく確保することができるという効果を奏する。
【0033】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。