特許第6856685号(P6856685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856685
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】バッテリモジュール及びバッテリパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/20 20210101AFI20210329BHJP
   H01M 50/30 20210101ALI20210329BHJP
【FI】
   H01M2/10 E
   H01M2/10 A
   H01M2/12 Z
   H01M2/10 S
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-43281(P2019-43281)
(22)【出願日】2019年3月11日
(65)【公開番号】特開2020-149765(P2020-149765A)
(43)【公開日】2020年9月17日
【審査請求日】2020年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 保
(72)【発明者】
【氏名】野澤 恵太郎
(72)【発明者】
【氏名】松浦 公洋
(72)【発明者】
【氏名】清水 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】知屋城 悠希
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2019/146197(WO,A1)
【文献】 特開2015−220206(JP,A)
【文献】 特開2010−080135(JP,A)
【文献】 特開2015−041595(JP,A)
【文献】 特開2014−216315(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0050945(US,A1)
【文献】 特開2013−114953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の電池セルからなるセルモジュールと、
該セルモジュールの電極配置面から突出するように形成され且つ前記電池セルの整列方向に沿ってのびるように形成される排煙ダクトと、
該排煙ダクト及び前記電極配置面を覆うように配置形成される回路基板とを備え、
該回路基板は、前記電極配置面に対し非平行な傾斜状態に配置形成される
ことを特徴とするバッテリモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリモジュールにおいて、
前記回路基板は、該回路基板の幅方向中間が前記整列方向に沿って二分割された形状になる一方の分割回路基板及び他方の分割回路基板を備え、前記一方の分割回路基板及び前記他方の分割回路基板における前記二分割された部分が前記排煙ダクトの側になるように前記傾斜状態に配置形成される
ことを特徴とするバッテリモジュール。
【請求項3】
請求項2に記載のバッテリモジュールにおいて、
前記一方の分割回路基板は、前記他方の分割回路基板よりも幅広に形成される
ことを特徴とするバッテリモジュール。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のバッテリモジュールにおいて、
前記一方の分割回路基板及び前記他方の分割回路基板は、柔軟性を有する連結用回路体にて連結される
ことを特徴とするバッテリモジュール。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4に記載のバッテリモジュールにおいて、
前記排煙ダクトには、前記回路基板を前記傾斜状態に配置し且つ載置しておくための傾斜載置面が形成される
ことを特徴とするバッテリモジュール。
【請求項6】
請求項1、2、3、4又は5に記載のバッテリモジュールと、該バッテリモジュールを収容するケースと、該ケースを覆うカバーとを備える
ことを特徴とするバッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルモジュールと排煙ダクトと回路基板とを備えるバッテリモジュールに関する。また、このバッテリモジュールと、バッテリモジュールを収容するためのケース及びカバーとを備えるバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来例のバッテリモジュールは、複数個の電池セルからなるセルモジュールと、このセルモジュールの電極配置面から突出するように形成され且つ電池セルの整列方向に沿ってのびるように形成される排煙ダクトと、電極配置面の側に配置される回路基板とを備えて構成される(例えば下記特許文献1参照)。バッテリモジュールは、ケース及びカバー内に収容される(例えば下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−41595号公報
【特許文献2】特許第5340676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の従来技術にあっては、回路基板が電極配置面の上に平行に配置される。回路基板の中央には、複数の開口部が並んで配置される。開口部は、電池セルの内部で発生したガスを外部に排出するための弁の位置に合わせて配置される。開口部を通過したガスは、回路基板の中央位置において載せられるように配設された排煙ダクトを介して外部に排出される。特許文献1の従来技術にあっては、排煙ダクトの存在により、この排煙ダクトと電極との間が回路基板における電子部品等の実装スペースになる。従って、電子部品等の実装スペースが限られてしまい、主要部品であるセル電圧監視IC等の比較的大きな部品の実装をする際には、スペース確保をしなければならないという問題点を有する。
【0005】
一方、特許文献2の従来技術にあっては、排煙ダクトの上に回路基板が配置固定される。この場合、バッテリモジュール全体としての高さが高くなってしまうという問題点を有する。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、回路基板における部品実装スペースを確保しつつ、回路基板を配置した状態での高さを低く抑えることも可能なバッテリモジュールと、このバッテリモジュールを備えて構成されるバッテリパックとを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明のバッテリモジュールは、複数個の電池セルからなるセルモジュールと、該セルモジュールの電極配置面から突出するように形成され且つ前記電池セルの整列方向に沿ってのびるように形成される排煙ダクトと、該排煙ダクト及び前記電極配置面を覆うように配置形成される回路基板とを備え、該回路基板は、前記電極配置面に対し非平行な傾斜状態に配置形成されることを特徴とする。
【0008】
このような請求項1の特徴を有する本発明によれば、回路基板を傾斜状態に配置することから、傾斜状態の回路基板における低い位置に比較的高さのある部品を実装することで、従来例よりもバッテリモジュール全体としての高さを低くすることができる。すなわち、小型化・低背化を図ることができる。また、本発明によれば、回路基板を傾斜状態に配置することから、回路基板における部品実装スペースを従来例よりも大きく確保することができる。これは直角三角形を用いて説明すると、本発明における回路基板は直角三角形の斜辺の位置に該当するように配置され、従来例の回路基板は直角三角形の隣辺に該当するように配置される(尚、上記直角三角形の対辺は、排煙ダクトの高さに相当するような位置であるものとする)。直角三角形は、隣辺よりも斜辺の方が辺の長さが長くなることから、本発明における回路基板の方が幅広になる。すなわち、本発明における回路基板の方が部品実装スペースを大きく確保することができる。
【0009】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のバッテリモジュールにおいて、前記回路基板は、該回路基板の幅方向中間が前記整列方向に沿って二分割された形状になる一方の分割回路基板及び他方の分割回路基板を備え、前記一方の分割回路基板及び前記他方の分割回路基板における前記二分割された部分が前記排煙ダクトの側になるように前記傾斜状態に配置形成されることを特徴とする。
【0010】
このような請求項2の特徴を有する本発明によれば、排煙ダクトを中心にこの両側に上記直角三角形が存在するような状態、すなわち断面逆V字状に回路基板が形成されることから、従来例に比べて高さを低くすることができるとともに、部品実装スペースも大きく確保することができる。
【0011】
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載のバッテリモジュールにおいて、前記一方の分割回路基板は、前記他方の分割回路基板よりも幅広に形成されることを特徴とする。
【0012】
このような請求項3の特徴を有する本発明によれば、幅広となる一方の分割回路基板と、一方の分割回路基板よりも幅狭になる他方の分割回路基板とを備えることから、比較的幅の広い部品でも一方の分割回路基板を活用すれば実装することができる。
【0013】
請求項4に記載の本発明は、請求項2又は3に記載のバッテリモジュールにおいて、前記一方の分割回路基板及び前記他方の分割回路基板は、柔軟性を有する連結用回路体にて連結されることを特徴とする。
【0014】
このような請求項4の特徴を有する本発明によれば、柔軟性を有する連結用回路体にて一方の分割回路基板と他方の分割回路基板とを連結する回路基板になることから、上記断面逆V字状に回路基板を容易に形成することができる。
【0015】
請求項5に記載の本発明は、請求項1、2、3又は4に記載のバッテリモジュールにおいて、前記排煙ダクトには、前記回路基板を前記傾斜状態に配置し且つ載置しておくための傾斜載置面が形成されることを特徴とする。
【0016】
このような請求項5の特徴を有する本発明によれば、排煙ダクトに傾斜載置面を形成することから、回路基板を傾斜状態に配置し易くすることができる。
【0017】
また、上記課題を解決するためになされた請求項6に記載の本発明のバッテリパックは、請求項1、2、3、4又は5に記載のバッテリモジュールと、該バッテリモジュールを収容するケースと、該ケースを覆うカバーとを備えることを特徴とする。
【0018】
このような請求項6の特徴を有する本発明によれば、回路基板における部品実装スペースを確保しつつ、回路基板を配置した状態での高さを低く抑えたバッテリモジュールを備えることから、より良いバッテリパックを提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のバッテリモジュールによれば、回路基板における部品実装スペースを確保しつつ、回路基板を配置した状態での高さを低く抑える(小型化・低背化)ことができるという効果を奏する。また、本発明のバッテリパックによれば、より良いものを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のバッテリモジュールの一実施形態を示す模式的な図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
図2図1(b)の拡大図である。
図3】小型化・低背化に係る説明図であり、(a)は本発明のバッテリモジュールを示す図、(b)は比較例1を示す図である。
図4】部品実装スペースの確保に係る説明図であり、(a)は本発明のバッテリモジュールを示す図、(b)は比較例2を示す図、(c)及び(d)は直角三角形を用いた説明図である。
図5】バッテリモジュールの変形例を示す図である。
図6】バッテリモジュールの他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
自動車に搭載されるバッテリパックは、ケース及びカバー内にバッテリモジュールが収容される。バッテリモジュールは、複数個の電池セルからなるセルモジュールと、このセルモジュールの電極配置面から突出するように形成され且つ電池セルの整列方向に沿ってのびるように形成される排煙ダクトと、排煙ダクト及び電極配置面を覆うように配置形成される回路基板とを備えて構成される。回路基板は、電極配置面に対し非平行な傾斜状態に配置形成される。
【実施例】
【0022】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。図1は本発明のバッテリモジュールの一実施形態を示す模式的な図である。また、図2図1(b)の拡大図、図3は小型化・低背化に係る説明図、図4は部品実装スペースの確保に係る説明図、図5及び図6はバッテリモジュールの変形例を示す図である。尚、図中の矢印Pは上下方向(高さ方向)、矢印Qは左右方向(幅方向)、矢印Rは長手方向(特許請求の範囲に記載された整列方向)をそれぞれ示すものとする。
【0023】
<バッテリパック1及びバッテリモジュール2について>
図1及び図2において、バッテリパック1は、電気自動車やハイブリッド車、多目的自動運転車両のような高電圧の駆動モータを必要とする自動車に搭載される。バッテリパック1は、バッテリモジュール2と、このバッテリモジュール2を収容するケース3と、ケース3の開口を覆うカバー4とを備えて構成される。バッテリモジュール2は、セルモジュール5と、排煙ダクト6と、回路基板7と、図示しないバスバーモジュール等とを備えて構成される。以下、上記の各構成について説明をする。
【0024】
<セルモジュール5について>
図1において、セルモジュール5は、電池セル8を矢印Rの長手方向(整列方向)に複数個並べたものとして形成される。尚、電池セル8同士の間には、絶縁性を有するセパレータを設けてもよいものとする。電池セル8は、上下の高さや左右の幅の寸法に比べて上記長手方向の幅が小さくなるような直方体の形状に形成される(図示形状は一例であるものとする)。このような電池セル8の上面は、電極配置面9として形成される(本実施例では平坦な面の電極配置面9として図示されるが、例えば多少、段付きがある面であってもよいものとする)。電池セル8は、二つの電極10と、弁11と、図示しない注液孔とを電極配置面9に有する。二つの電極10は、正極及び負極であって、これらは所定の間隔をあけて配置される。二つの電極10は、電極配置面9の左右方向の両端近傍に配置される。正極及び負極には、図示しないバスバーモジュールのバスバーがそれぞれ接続される。隣接する電池セル8のそれぞれの電極10は、図示しないバスバーモジュールのバスバーによって直列或いは並列に接続される。弁11は、電極配置面9の左右方向の中央位置に配置される。弁11は、電池セル8の内部で発生したガスを電池セル8の外部に排出するための(排煙するための)部分として設けられる。弁11は、電池セル8の内圧が設定圧力よりも高くなると開弁して内圧の上昇を抑えることができるような機構部分に形成される。以上のような電池セル8としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池等が採用されるものとする。
【0025】
<図示しないバスバーモジュールについて>
上記バスバーモジュールは、複数のバスバーと、この複数のバスバーを保持する樹脂フレーム等とを備えて構成される。バスバーは、導電性を有する金属板をプレス加工して形成される。バスバーは、電池セル8の電極10に対しナット締結又は溶接等にて、すなわち公知の方法にて接続することができるように形成される。樹脂フレームには、例えば回路基板7を支持する部分が形成される(一例であるものとする。回路基板7の支持に関しては特に限定されないものとする)。
【0026】
<排煙ダクト6について>
図1及び図2において、排煙ダクト6は、電池セル8の弁11から外部に排出(排煙)されたガスをセルモジュール5から遠ざける方向(本実施例では長手方向(整列方向))に移動させる部分として形成される。排煙ダクト6は、長手方向(整列方向)にのびる煙突部分として形成される。排煙ダクト6は、電池セル8の電極配置面9に対し垂直にのびる(上方にのびる)側壁12、13と、この側壁12、13の上端に連続する天井壁14とを有して図示のような断面形状に形成される。排煙ダクト6は、内部空間15を有する状態で長手方向(整列方向)に並ぶ弁11を覆うような形状に形成される。側壁12、13は、上方への長さが異なるように形成される(一例であるものとする。長さが同じ例に関しては後述するものとする)。天井壁14は、電極配置面9に対し非平行な傾斜状態に形成される。天井壁14は、回路基板7を図示のような右肩上がりの傾斜状態に配置し且つ載置しておくための傾斜載置面16になるような部分に形成される。天井壁14(傾斜載置面16)は、平らな斜めの面に形成される。尚、天井壁14(傾斜載置面16)には、基板固定用の複数のネジ穴(符号省略)が複数形成されるものとする。ネジ穴は、回路基板7の固定に必要な位置に形成される。天井壁14(傾斜載置面16)は、回路基板7を傾斜状態に配置し易くすることができるように形成される。
【0027】
<回路基板7について>
図1及び図2において、回路基板7は、例えばセル電圧監視IC(図示省略)をセルモジュール5の近傍に配置するために備えられる。回路基板7の上面には、上記セル電圧監視ICの他に各種の電子部品(図3(a)の引用符号21はそのうちの一つであるものとする)が実装される。また、回路基板7には、図示しない配線が形成される。尚、回路基板7の下面にも電子部品を実装してデッドスペースを少なくしてもよいものとする。上記電子備品としては、例えばヒューズや抵抗、ダイオード、コンデンサ、サーミスタ等であるものとする。本実施例の回路基板7は、配線が印刷されたプリント基板が本体部分として採用されるものとする。
【0028】
回路基板7は、排煙ダクト6及び電池セル8の電極配置面9を覆うように配置形成される。回路基板7は、この回路基板7の幅方向中間が上記整列方向に沿って二分割された形状に形成される。具体的には、一方の分割回路基板17と、他方の分割回路基板18と、これら一方の分割回路基板17及び他方の分割回路基板18を連結する連結用回路体19とを備えて構成される。一方の分割回路基板17は、他方の分割回路基板18よりも幅広に形成される。一方の分割回路基板17及び他方の分割回路基板18は、幅が異なる平面視長方形状に形成される。一方の分割回路基板17及び他方の分割回路基板18における上記二分割された部分は、排煙ダクト6の上端側になるように配置される。すなわち、一方の分割回路基板17及び他方の分割回路基板18は、上記傾斜状態に配置形成される。尚、上記二分割された部分の反対側(回路基板7の幅方向の両端部)は、図示しないバスバーモジュールの樹脂フレームなど、適宜構造部分にて支持・固定されるものとする。上記反対側は、電池セル8の電極10の基端近傍に配置される。すなわち上記反対側は、電池セル8の電極配置面9に近づくように配置される(ここでの説明の配置や図示の配置は一例であるものとする。図示を省略するが、上記反対側をのばして電極10を覆うような配置にしてもよいものとする)。幅広の一方の分割回路基板17は、排煙ダクト6の傾斜載置面16に対しネジ20にて固定される。幅広の一方の分割回路基板17は、比較的幅の広い部品を実装するために用いられる。連結用回路体19は、柔軟性を有する。本実施例においては、柔軟性を有するFPCが連結用回路体19として採用される。一方の分割回路基板17及び他方の分割回路基板18の間の通信等は、連結用回路体19を介して行われるようになる。連結用回路体19は、上記二分割された部分の位置に配置される。以上のような回路基板7は、排煙ダクト6を中心にこの両側に直角三角形のスペースが存在するような状態に、すなわち断面逆V字状になるような図示の状態に形成される。
【0029】
<小型化・低背化について>
図3(a)において、回路基板7における一方の分割回路基板17の低い位置(回路基板7の幅方向の端部近傍)には、比較的高さのある電子部品21が実装される。一方の分割回路基板17は、傾斜状態に配置されることから、電池セル8の電極配置面9から電子部品21の上端までの高さ寸法H1は、図3(b)で示す比較例1よりも低くなる。図3(b)において、比較例回路基板22は、比較例排煙ダクト23の上に固定され、電極配置面9に対して平行になるよう形成される。このような比較例回路基板22に電子部品21を実装すると、電極配置面9から電子部品21の上端までの高さ寸法H2は、基板傾きの差があることから当然に高くなってしまう(H1<H2)。このことから、カバー4(図2参照)は比較的低くすることができ、逆に比較例1は高くなってしまうことが分かる。従って、比較例1よりもバッテリモジュール2全体としての高さを低くすることができるのは勿論のこと、バッテリパック1(図2参照)の高さも低くすることができ、結果、小型化・低背化を図ることができるという効果を奏する。
【0030】
<部品実装スペースの確保について>
図4(a)において、一方の分割回路基板17は、傾斜状態に配置される。ここで図4(c)に示す直角三角形24は斜辺25、隣辺26、対辺27で形成されることから、一方の分割回路基板17は斜辺25に相当する位置に配置されることになる。一方、図4(b)の比較例2の回路基板28、28は、比較例排煙ダクト23の左右両側に配置されることから、比較例2の回路基板28は直角三角形24の隣辺26に相当する位置に配置されることが分かる。従って、隣辺26は斜辺25よりも長さが短くなることから、一方の分割回路基板17は比較例2よりも部品実装スペースを広く確保することができるという効果を奏する。
【0031】
<変形例について>
図5において、次のような変形例でも有効である。具体的には、回路基板29における一方の分割回路基板30及び他方の分割回路基板31は、幅が同じになる平面視長方形状に形成される。一方の分割回路基板30及び他方の分割回路基板31を連結する連結用回路体32は、排煙ダクト33を覆うように配置される。尚、排煙ダクト33は、図4(b)の比較例排煙ダクト23と基本的に同じに形成されるものとする。一方の分割回路基板30及び他方の分割回路基板31は、排煙ダクト33を中心にしてこの左右に傾斜状態に配置される。この他、図6に示すように、一方の分割回路基板30及び他方の分割回路基板31を傾斜状態に載置しておくための傾斜載置面34が形成された排煙ダクト35を採用してもよいものとする。
【0032】
<効果について>
以上、図1ないし図6を参照しながら説明してきたように、本発明の一実施形態であるバッテリパック1及びバッテリモジュール2によれば、回路基板7を傾斜状態に配置することから、傾斜状態の回路基板7における低い位置に比較的高さのある電子部品21を実装することで、従来例よりもバッテリモジュール2全体としての高さを低くすることができる。すなわち、小型化・低背化を図ることができるという効果を奏する。また、バッテリパック1及びバッテリモジュール2によれば、回路基板7を傾斜状態に配置することから、回路基板7における部品実装スペースを従来例よりも大きく確保することができるという効果を奏する。
【0033】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0034】
1…バッテリパック、 2…バッテリモジュール、 3…ケース、 4…カバー、 5…セルモジュール、 6…排煙ダクト、 7…回路基板、 8…電池セル、 9…電極配置面、 10…電極、 11…弁、 12、13…側壁、 14…天井壁、 15…内部空間、 16…傾斜載置面、 17…一方の分割回路基板、 18…他方の分割回路基板、 19…連結用回路体、 20…ネジ、 21…電子部品、 22…比較例回路基板、 23…比較例排煙ダクト、 24…直角三角形、 25…斜辺、 26…隣辺、 27…対辺、 28、29…回路基板、 30…一方の分割回路基板、 31…他方の分割回路基板、 32…連結用回路体、 33…排煙ダクト、 34…傾斜載置面、 35…排煙ダクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6