特許第6856686号(P6856686)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856686
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/14 20060101AFI20210329BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20210329BHJP
   H02G 3/08 20060101ALI20210329BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20210329BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   H02G3/14
   H02G3/16
   H02G3/08
   H05K5/02 L
   B60R16/02 610B
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-44086(P2019-44086)
(22)【出願日】2019年3月11日
(65)【公開番号】特開2020-150596(P2020-150596A)
(43)【公開日】2020年9月17日
【審査請求日】2020年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉田 翔
(72)【発明者】
【氏名】河村 英樹
(72)【発明者】
【氏名】梅▲崎▼ 稔
(72)【発明者】
【氏名】杉山 恵一
【審査官】 鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−121880(JP,A)
【文献】 特開2013−146125(JP,A)
【文献】 特開2012−90477(JP,A)
【文献】 特開2008−309679(JP,A)
【文献】 特開平8−216804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
H02G 3/08
H02G 3/14
H02G 3/16
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が設けられた筐体と、
前記筐体の前記開口を塞ぐ第1本体壁、及び、前記第1本体壁の周縁から前記筐体に向かって立設する第1周壁、を有する第1蓋部と、を備え、
前記第1周壁と、当該第1周壁に対して間隔を空けて配置された壁部と、の間に溝部が形成された電気接続箱であって、
前記第1蓋部には、前記溝部の長手方向両端の開口を覆う止水壁が設けられている、
電気接続箱。
【請求項2】
請求項1に記載の電気接続箱において、
前記止水壁は、前記溝部の長手方向両端よりも外側に設けられている、
電気接続箱。
【請求項3】
請求項2に記載の電気接続箱において、
前記溝部の底面には、前記長手方向の中央から両端に向かうに従って前記第1蓋部から離れる傾斜面が設けられている、
電気接続箱。
【請求項4】
請求項1〜3何れか1項に記載の電気接続箱において、
前記第1蓋部には、前記溝部において、前記第1周壁の立設方向の前記第1本体壁側に設けられた開口を覆うように前記壁部に向かって突出した突部が設けられている、
電気接続箱。
【請求項5】
請求項1〜4何れか1項に記載の電気接続箱において、
前記筐体の前記開口を塞ぐ第2本体壁、及び、前記第2本体壁の周縁から前記筐体に向かって立設する第2周壁、を有する第2蓋部を備え、
前記第2周壁が、前記壁部を構成し、
前記第1周壁と前記第2周壁との間に前記溝部が形成されている、
電気接続箱。
【請求項6】
請求項1〜5何れか1項に記載の電気接続箱において、
前記電気接続箱は、車両の前方に設けられたエンジンルームに配置され、
前記第1周壁は、前記壁部よりも前記車両の前後方向前側となるように配置された、
又は
前記電気接続箱は、車両の後方に設けられたエンジンルームに配置され、
前記第1周壁は、前記壁部よりも前記車両の前後方向後側となるように配置された、
電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズボックス、ジャンクションボックス等の電気接続箱、に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した電気接続箱は、ヒューズなどの電子部品が収容される筐体と、筐体の開口を覆う蓋部と、から構成されている。例えば、特許文献1〜3に記載されているように、電気接続箱に付設ボックスを取り付ける等すると、蓋部の周縁に溝部が設けられることがある。
【0003】
このため、電気接続箱に水がかかると溝部に水がたまり、蓋部の周縁から筐体内に水が浸入する恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−22824号公報
【特許文献2】特開2013−243858号公報
【特許文献3】特開2009−213193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、筐体内への水の浸入を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電気接続箱は、下記[1]〜[6]を特徴としている。
[1]
開口が設けられた筐体と、
前記筐体の前記開口を塞ぐ第1本体壁、及び、前記第1本体壁の周縁から前記筐体に向かって立設する第1周壁、を有する第1蓋部と、を備え、
前記第1周壁と、当該第1周壁に対して間隔を空けて配置された壁部と、の間に溝部が形成された電気接続箱であって、
前記第1蓋部には、前記溝部の長手方向両端の開口を覆う止水壁が設けられている、
電気接続箱であること。
[2]
[1]に記載の電気接続箱において、
前記止水壁は、前記溝部の長手方向両端よりも外側に設けられている、
電気接続箱であること。
[3]
[2]に記載の電気接続箱において、
前記溝部の底面には、前記長手方向の中央から両端に向かうに従って前記第1蓋部から離れる傾斜面が設けられている、
電気接続箱であること。
[4]
[1]〜[3]何れか1に記載の電気接続箱において、
前記第1蓋部には、前記溝部において、前記第1周壁の立設方向の前記第1本体壁側に設けられた開口を覆うように前記壁部に向かって突出した突部が設けられている、
電気接続箱であること。
[5]
[1]〜[4]何れか1に記載の電気接続箱において、
前記筐体の前記開口を塞ぐ第2本体壁、及び、前記第2本体壁の周縁から前記筐体に向かって立設する第2周壁、を有する第2蓋部を備え、
前記第2周壁が、前記壁部を構成し、
前記第1周壁と前記第2周壁との間に前記溝部が形成されている、
電気接続箱であること。
[6]
[1]〜[5]何れか1に記載の電気接続箱において、
前記電気接続箱は、車両の前方に設けられたエンジンルームに配置され、
前記第1周壁は、前記壁部よりも前記車両の前後方向前側となるように配置された、
又は
前記電気接続箱は、車両の後方に設けられたエンジンルームに配置され、
前記第1周壁は、前記壁部よりも前記車両の前後方向後側となるように配置された、
電気接続箱であること。
【0007】
上記[1]の構成の電気接続箱によれば、溝部の長手方向両側の開口から侵入する水を止水壁が跳ね返して溝部への溝の浸入を抑制することができる。
【0008】
上記[2]の構成の電気接続箱によれば、止水壁は溝部の長手方向両端よりも外側に設けられているので、止水壁と溝部の長手方向両端の開口との間に隙間ができ、溝部内に侵入した水をその隙間から排水することができる。
【0009】
上記[3]の構成の電気接続箱によれば、開口が鉛直上向きに向くように筐体を配置すれば、溝部の底面に設けた傾斜面は、長手方向両端に向かうに従って鉛直下側に近づく傾斜面となる。このため、溝部内の水が、傾斜面に沿って、止水壁と溝部の長手方向両端の開口との隙間に向かって流れやすくなり、溝部内に侵入した水を隙間から外に排水しやすくなる。
【0010】
上記[4]の構成の電気接続箱によれば、溝部において、立設方向の第1本体壁側の開口から侵入する水を突部が跳ね返して溝部への水の浸入を抑制することができる。
【0011】
上記[5]の構成の電気接続箱によれば、第1蓋部と第2蓋部との間に設けられる溝部への水の浸入を抑制することができる。
【0012】
上記[6]の構成の電気接続箱によれば、第1周壁部は、壁部よりも車両の前後方向前側又は後側になるように配置されている。このため、車両の前方又は後方から水をかけてエンジンルームを洗浄した場合、壁部よりも水かかり方向手前側に配置された第1蓋部に止水壁を設けることができ、より一層、溝部への水の浸入を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、筐体内への水の浸入を抑制した電気接続箱を提供できる。
【0014】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の電気接続箱の分解斜視図である。
図2図2は、図1の電気接続箱から第1及び第2アッパカバーを外した状態の上面図である。
図3図3は、図1の電気接続箱から第1及び第2アッパカバーを外した状態の斜視図である。
図4図4は、図3の部分拡大図である。
図5図5(A)は、図1に示す第1アッパカバーの上側斜視図であり、図5(B)は、図1に示す第1アッパカバーの下側斜視図である。
図6図6は、図1に示す電気接続箱の斜視図である。
図7図7は、図6のI−I線部分断面図である。
図8図8は、図6の部分拡大図である。
図9図9は、図8のII−II線部分断面図である。
図10図10は、図6のIII−III線部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0017】
本実施形態の電気接続箱1は、電子部品20が収容され、車両の前方に設けられたエンジンルームに配置されている。図1等に示すように、電気接続箱1は、筐体2と、第1アッパカバー3(第1蓋部)と、第2アッパカバー(第2蓋部)4と、ロアカバー5と、を備えている。筐体2は、図3及び図4に示すように、筒状部7と、筒状部7内を2つのエリアA1、A2(図7)に仕切る仕切壁8と、筒状部7の一方の開口10を2つに仕切る仕切部9と、を有している。
【0018】
筒状部7は、図4などに示すように、開口10が略長方形の角筒状に形成されている。図6などに示すように、筒長さ方向一方の開口10は2枚の第1アッパカバー3及び第2アッパカバー4によって塞がれ、他方の開口(図示せず)は1枚のロアカバー5によって塞がれる。上記筒状部7は、第1、第2アッパカバー3、4に塞がれる開口10が上側に向かい、ロアカバー5に塞がれる開口が下側に向かうように、筒長さ方向が車両の上下方向D2に沿って配置される。また、筒状部7は、略長方形の開口10の長手方向が車両の前後方向D3に沿い、短手方向が車両の左右方向D1に沿うように配置されている。
【0019】
上記筒状部7は、図1などに示すように、上記前後方向D3に沿った第1、第2側壁71、72と、上記左右方向D1に沿った第3、第4側壁73、74と、を有している。筒状部7は、第1、第2側壁71、72の前端間に第3側壁73が連なり、第1、第2側壁71、72の後端間に第4側壁74が連なることにより、角筒状に形成される。筒状部7は、図2及び図3に示すように、その上端部のほぼ全周に亘って(後述する仕切部9と連結する部分を除いて)二重壁75が形成されている。二重壁75は、内側に配置される内壁75Aと、外側に配置される外壁75Bと、から構成されている。
【0020】
仕切壁8は、図7に示すように、筒状部7内に前後方向D3に直交して設けられ、左右方向D1の両端が筒状部7の第1、第2側壁71、72に連なっている。即ち、仕切壁8は、筒状部7内を前後方向D3に並んだ2つのエリアA1、A2に仕切る。本実施形態では、2つのエリアA1、A2のうち前後方向D3の前側のエリアA1がユーザメンテナンスエリアとなり、後側のエリアA2がディーラメンテナンスエリアとなる。ユーザメンテナンスエリアA1は、ユーザがメンテナンスを行う電子部品20が収容されている。ディーラメンテナンスエリアA2は、ディーラがメンテナンスを行う電子部品20が収容されている。
【0021】
仕切部9は、図7に示すように、仕切壁8の上端部に対して前後方向D3前側に隣接して設けられている。仕切部9は、図2図4などに示すように、筒状部7の上側の開口10を前後方向D3に並んだ2つの第1開口101及び第2開口102に仕切る。本実施形態では、前後方向D3前側の第1開口101がユーザメンテナンスエリアA1の開口となり、後側の第2開口102がディーラメンテナンスエリアA2の開口となる。仕切部9は、図4及び図7に示すように、底壁91と、2つの二重壁92、93と、を有している。底壁91は、左右方向D1に長尺に設けられ、左右方向D1の両端が筒状部7の第1、第2側壁71、72に連結されている。
【0022】
2つの二重壁92、93は各々、底壁91から上側に向けて立設し、前後方向D3に間隔を空けて並べられている。また、2つの二重壁92、93は各々、前後方向D3に並べられた内壁92A、93Aと外壁92B、93Bとから構成されている。前側の二重壁92においては、内壁92Aが前側に、外壁92Bが後側に配置される。後側の二重壁93においては、外壁93Bが前側に、内壁93Aが後側に配置される。内壁92A、93A及び外壁92B、93Bは各々、左右方向D1に長尺に設けられ、かつ、前後方向D3に直交している。
【0023】
そして、前側の二重壁92の内壁92A及び外壁92Bは、左右方向D1両端が筒状部7の仕切部9よりも前側の内壁75A及び外壁75Bにそれぞれ連なっている。後側の二重壁93の内壁93A及び外壁93Bは、左右方向D1両端が筒状部7の仕切部9よりも後側の内壁75A及び外壁75Bにそれぞれ連なっている。また、筒状部7及び仕切部9の外壁75B、92B、93Bには、図4に示すように、ほぼ全周に亘って外側の高さを内側の高さよりも低くすることにより、上下方向D2に直交する当接面75C、92C、93Cが形成されている。この当接面75C、92C、93Cが後述する第1及び第2アッパカバー3、4に当接して第1及び第2アッパカバー3、4の上下方向D2を支持する。
【0024】
第1アッパカバー3は、第1開口101を塞ぐように筒状部7に取り付けられる。第1アッパカバー3は、図5に示すように、第1開口101を塞ぐ第1本体壁11と、第1本体壁11の全周縁から上下方向D2の下側に向かって立設する第1周壁12と、を有している。第1本体壁11は、第1開口101とほぼ同じ大きさに設けられ、上下方向D2に直交して配置される。
【0025】
第1周壁12は、前後方向D3に沿った第5、第6側壁121、122と、左右方向D1に沿った第7、第8側壁123、124と、を有している。上記第5、第6側壁121、122の前端間に第7側壁123が連なり、第5、第6側壁121、122の後端間に第8側壁124が連なっている。第1周壁12は、全周に亘ってその下端部に二重壁125が形成されている。二重壁125は、内側に配置される内壁125Aと、外側に配置される外壁125Bと、内壁125A及び外壁125B間を連結する連結壁125C(図7)と、から構成されている。
【0026】
内壁125Aは、図7に示すように、第1本体壁11の周縁から立設して設けられている。連結壁125Cは、内壁125Aの上下方向D2中央付近から外側に向かって立設し、外壁125Bは、連結壁125Cの外縁から下側に向かって立設して設けられている。
【0027】
外壁125Bの内側には、図5及び図7に示すように、筐体2の当接面75C、92Cに当接する、上下方向D2に直交する当接面125Dが全周に亘って形成されている。本実施形態では、第8側壁124に設けられた外壁125Bは、内側の高さを外側の高さよりも低くすることにより、当接面125Dが形成されている。第5〜第7側壁121〜123に設けられた外壁125Bは、図示しないが、下端を外側に向かって90度折り曲げ、さらに、下端に向けて90度折り曲げることにより、当接面125Dを形成している。
【0028】
第2アッパカバー4は、図1に示すように、第2開口102を塞ぐように筒状部7に取り付けられる。第2アッパカバー4は、第2開口102を塞ぐ第2本体壁16と、第2本体壁16の全周縁から上下方向D2の下側に向かって立設する第2周壁17(壁部)と、を有している。第2本体壁16は、第2開口102とほぼ同じ大きさに設けられ、上下方向D2に直交して配置される。
【0029】
第2周壁17は、前後方向D3に沿った第9、第10側壁171、172と、左右方向D1に沿った第11、第12側壁173、174と、を有している。上記第9、第10側壁171、172の前端間に第11側壁173が連なり、第9、第10側壁171、172の後端間に第12側壁174が連なっている。第2周壁17は、図7に示すように、全周に亘ってその下端部に二重壁175が形成されている。二重壁175は、内側に配置される内壁175Aと、外側に配置される外壁175Bと、から構成されている。
【0030】
外壁175Bの内側には、筐体2の当接面75C、93Cに当接する、上下方向D2に直交する当接面175Cが全周に亘って形成されている。本実施形態では、外壁175Bは、下端を外側に向かって90度折り曲げ、さらに、下端に向けて90度折り曲げることにより、当接面175Cを形成している。
【0031】
筐体2に第1アッパカバー3を取り付けると、第1アッパカバー3の内壁125Aが、仕切部9の前側に設けられた内壁92A及び外壁92B間に配置され(図7)、仕切部9よりも前側においては筒状部7の内壁75A及び外壁75B間に配置される。また、第1アッパカバー3の外壁125Bが、仕切部9の前側に設けられた外壁92Bよりも外側に配置され(図7)、仕切部9よりも前側においては筒状部7の外壁75Bよりも外側に配置される。また、図7に示すように、第1アッパカバー3の当接面125Dと、筐体2の当接面75C、92Cと、が当接する。
【0032】
これにより、筒状部7内への水の浸入経路は、第1アッパカバー3の外壁125Bと、筒状部7及び仕切部9の外壁75B、92Bと、の間を上に進み、筒状部7及び仕切部9の外壁75B、92Bと、第1アッパカバー3の内壁125Aと、の間を下に進み、筒状部7及び仕切部9の内壁75A、92Aと、第1アッパカバー3の内壁125Aと、の間を上に進むラビリンス構造となる。
【0033】
筐体2に第2アッパカバー4を取り付けると、第2アッパカバー4の内壁175Aが、仕切部9の後側に設けられた内壁93A及び外壁93B間に配置され(図7)、仕切部9よりも後側においては筒状部7の内壁75A及び外壁75B間に配置される。また、第2アッパカバー4の外壁175Bが、仕切部9の後側に設けられた外壁93Bよりも外側に配置され(図7)、仕切部9よりも後側においては筒状部7の外壁75Bよりも外側に配置される。また、図7に示すように、第2アッパカバー4の当接面175Cと、筐体2の当接面75C、93Cと、が当接する。
【0034】
これにより、筒状部7内への水の浸入経路は、第2アッパカバー4の外壁175Bと、筒状部7及び仕切部9の外壁75B、93Bと、の間を上に進み、筒状部7及び仕切部9の外壁75B、93Bと、第2アッパカバー4の内壁175Aと、の間を下に進み、筒状部7及び仕切部9の内壁75A、93Aと、第2アッパカバー4の内壁175Aと、の間を上に進むラビリンス構造となる。
【0035】
上述した構成の電気接続箱1によると、図7に示すように、第1アッパカバー3の第8側壁124における外壁125Bと、第2アッパカバー4の第11側壁173における外壁175Bと、は仕切部9の底壁91上で前後方向D3に対向する。このため、第1アッパカバー3の第8側壁124における外壁125Bと、第2アッパカバー4の第11側壁173における外壁175Bと、仕切部9の外壁92B、93B、底壁91と、によって溝部6が形成される。
【0036】
溝部6は、図6に示すように、左右方向D1に長尺に形成され、上下方向D2の上側(第1周壁12の立設方向の第1本体壁11側)と左右方向D1(長手方向)両側に開口18(図7)、開口19(図9)が設けられる。このため、エンジンルームを高圧洗浄すると、電気接続箱1にかかる水が溝部6に溜まり、ラビリンス構造にしたとしても、第1及び第2アッパカバー3、4の縁部から筐体2内に水が浸入する恐れがあった。
【0037】
高圧洗浄は、一般的に、車両前方から水を出して行われる。このため、エンジンルーム内では、車両の前から後ろに向かって水がかかる。そこで、本実施形態では、図7に示すように、水かかり方向の手前側である車両の前側の第1アッパカバー3に、溝部6に水が浸入することを防ぐリブ13(突部)を設ける。リブ13は、溝部6の上側の開口18を覆うように、第1アッパカバー3の外壁125Bの上端から後側に向かって突出して設けられている。即ち、リブ13は連結壁125Cと同じ高さから突出している。本実施形態においては、第1アッパカバー3のリブ13は、溝部6の長手方向(左右方向D1)の一端から他端に亘って覆うように設けられている。
【0038】
また、本実施形態では、図8及び図9に示すように、第1アッパカバー3に、溝部6に水が浸入することを防ぐ一対の止水壁14が設けられている。一対の止水壁14は、左右方向D1に略直交し、溝部6の左右方向D1両側の開口19を覆うように第5、第6側壁121、122の外壁125Bから後側に向かって突出して設けられている。また、止水壁14は、溝部6の長手方向(左右方向D1)両端及び第5、第6側壁121、122の外壁75Bよりも左右方向D1外側に設けられている。即ち、止水壁14の後端と、第5、第6側壁121、122の前端と、の間が、前後方向D3に略直交する連結壁15によって連結されている。止水壁14は、溝部6の左右方向D1両端の開口19に加えて、第2アッパカバー4の第9、第10側壁171、172の前端部も覆うように設けられている。
【0039】
また、第8側壁124の外壁125Bは、図5(B)に示すように、左右方向D1両端部で二股に分かれる。二股に分かれた一方の第8側壁124の外壁125Bは、前方に向かって曲がり、第5、第6側壁121、122の外壁125Bに連なる。二股に分かれた他方の第8側壁124の外壁125Bは、後方に向かって曲がり、止水壁14の後端まで延在している。上述したリブ13は、止水壁14まで延在している外壁125Bからも突出して設けられている。
【0040】
また、図10に示すように、溝部6の底面となる底壁91の上面は、左右方向D1の中央から外側に向かうに従って第1アッパカバー3から離れる、即ち鉛直下向きに向かう傾斜面が設けられている。
【0041】
上述した実施形態によれば、第1アッパカバー3には、溝部6の上側に設けられた開口18を覆うように第2周壁17に向かって突出したリブ13が設けられている。これにより、図7に示すように、溝部6において、上側の開口18から侵入する水をリブ13が跳ね返して、第1アッパカバー3及び第2アッパカバー4との間に設けられる溝部6への水の浸入を抑制することができる。また、溝部6内に水が浸入したとしても、リブ13によってその勢いが抑えられるため、筐体2内に水が浸入するのを抑制することができる。
【0042】
上述した実施形態によれば、電気接続箱1が車両前方のエンジンルームに配されている。また、第1周壁12は、第2周壁17よりも前側になるように配置されている。このため、車両の前方から水をかけてエンジンルームを洗浄した場合、水かかり方向手前側に配置された第1アッパカバー3に止水壁14を設けることができ、より一層、溝部6への水の浸入を抑制することができる。
【0043】
上述した実施形態によれば、第1アッパカバー3には、溝部6の左右方向D1両側の開口19を覆うように突出した止水壁14が設けられている。これにより、図8に示すように、溝部6の左右方向D1両側の開口19から侵入する水を止水壁14が跳ね返して溝部6への水の浸入を抑制することができる。
【0044】
上述した実施形態によれば、止水壁14は、溝部6の左右方向D1両端よりも左右方向D1外側に設けられている。これにより、図8に示すように、止水壁14と溝部6の左右方向D1両端の開口19との間に隙間G1ができ、溝部6内に侵入した水をその隙間G1から排水することができる。
【0045】
上述した実施形態によれば、底壁91には傾斜面が設けられている。これにより、図10に示すように、溝部6内の水が傾斜面に沿って止水壁14と溝部6の左右方向D1両端の開口19との隙間G1に向かって流れやすくなり、溝部6内に侵入した水を隙間G1から外に排水しやすくなる。
【0046】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0047】
上述した実施形態によれば、電気接続箱1が、2枚の第1、第2アッパカバー3、4を備え、第1、第2アッパカバー3、4との間に溝部6が設けられていてが、これに限ったものではない。例えば、電気接続箱1に1枚のアッパカバーを備え、アッパカバーの第1周壁12に対向してブラケットなどの壁部が設けられ、第1周壁12とブラケットなどの壁部との間に溝部6が設けられていいてもよい。
【0048】
上述した実施形態によれば、リブ13は第12側壁174との間に隙間を空けるように設けられていたが、これに限ったものではない。第12側壁174の上端よりも上側までリブ13を延在させて開口18を全部塞ぐようにしてもよい。
【0049】
上述した実施形態によれば、電気接続箱1は、車両の前側に設けられたエンジンルームに配置され、第1周壁12は、第2周壁17よりも車両の前側になるように配置されていたが、これに限ったものではない。電気接続箱1が、車両の後側に設けられたエンジンルームに配置された場合は、第1周壁12は、第2周壁17よりも車両の後側になるように配置してもよい。この場合、車両の後方から水をかけてエンジンルームが洗浄され、上記実施形態と同様に、水かかり方向手前側に配置された第1アッパカバー3に止水壁14を設けることができる。
【0050】
また、上述した実施形態によれば、第1アッパカバー3にはリブ13が設けられていたが、これに限ったものではない。止水壁14だけで十分に防水を図れる場合には、リブ13については設けられていなくてもよい。
【0051】
ここで、上述した本発明に係る電気接続箱の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[6]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
開口(10)が設けられた筐体(2)と、
前記筐体(2)の前記開口(10)を塞ぐ第1本体壁(11)、及び、前記第1本体壁(11)の周縁から前記筐体(2)に向かって立設する第1周壁(12)、を有する第1蓋部(3)と、を備え、
前記第1周壁(12)と、当該第1周壁(12)に対して間隔を空けて配置された壁部(17)と、の間に溝部(6)が形成された電気接続箱(1)であって、
前記第1蓋部(3)には、前記溝部の長手方向両端の開口を覆う止水壁(14)が設けられている、
電気接続箱(1)。
[2]
[1]に記載の電気接続箱において、
前記止水壁(14)は、前記溝部(6)の長手方向(D1)両端よりも外側に設けられている、
電気接続箱(1)。
[3]
[2]に記載の電気接続箱(1)において、
前記溝部(6)の底面には、前記長手方向(D1)の中央から両端に向かうに従って前記第1蓋部(3)から離れる傾斜面が設けられている、
電気接続箱(1)。
[4]
[1]〜[3]何れか1に記載の電気接続箱(1)において、
前記第1蓋部(3)には、前記溝部(6)において、前記第1周壁(12)の立設方向(D2)の前記第1本体壁(11)側に設けられた開口(18)を覆うように前記壁部(17)に向かって突出した突部(13)が設けられている、
電気接続箱(1)。
[5]
[1]〜[4]何れか1に記載の電気接続箱(1)において、
前記筐体(2)の前記開口(10)を塞ぐ第2本体壁(16)、及び、前記第2本体壁(16)の周縁から前記筐体(2)に向かって立設する第2周壁(17)、を有する第2蓋部(4)を備え、
前記第2周壁(17)が、前記壁部(17)を構成し、
前記第1周壁(12)と前記第2周壁(17)との間に前記溝部(6)が形成されている、
電気接続箱(1)。
[6]
[1]〜[5]何れか1に記載の電気接続箱(1)において、
前記電気接続箱(1)は、車両の前方に設けられたエンジンルームに配置され、
前記第1周壁(12)は、前記壁部(17)よりも前記車両の前後方向(D3)前側となるように配置された、
又は
前記電気接続箱(1)は、車両の後方に設けられたエンジンルームに配置され、
前記第1周壁(12)は、前記壁部(17)よりも前記車両の前後方向(D3)後側となるように配置された、
電気接続箱(1)。
【符号の説明】
【0052】
1 電気接続箱
2 筐体
3 第1アッパカバー(第1蓋部)
4 第2アッパカバー(第2蓋部)
6 溝部
10 開口
11 第1本体壁
12 第1周壁
13 リブ(突部)
14 止水壁
16 第2本体壁
17 第2周壁(壁部)
18 開口
19 開口
D1 左右方向(長手方向)
D2 上下方向(立設方向)
D3 前後方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10