(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第2の平面が前記長手方向軸を含み、前記第1の平面に垂直に交差し、前記第1の体積部を第1の四分体積部及び第2の四分体積部に分断し、前記少なくとも2つの細長刺激部材は第1の細長刺激部材及び第2の細長刺激部材を含み、前記第1の細長刺激部材は前記第1の四分体積部内に存在し、前記第2の細長刺激部材は、前記第2の四分体積部に存在する、
請求項1から6のいずれかに記載のカテーテル。
前記少なくとも2つの細長刺激部材は、それぞれ近位端及び遠位端を有し、前記メッシュ構造は前記少なくとも2つの細長刺激部材のうちの少なくとも2つの近位端及び遠位端の間に延在する、
請求項1から11のいずれかに記載のカテーテル。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の実施形態は、電気的神経調節において使用するためのカテーテル及びカテーテルシステムを提供する。本開示のカテーテル及びカテーテルシステムは、例えば、急性及び/又は慢性心疾患の患者のような心疾患の患者の電気的神経調節において役に立つ場合がある。本明細書において論じられるように、本開示のカテーテル及びカテーテルシステムの構成によれば、カテーテルの一部を、主肺動脈及び/又は肺動脈のうちの一方若しくは両方(右肺動脈及び左肺動脈)内の患者の血管系内に位置決めできるようになる。位置決めされると、本開示のカテーテル及びカテーテルシステムは、患者に補助心臓治療を提供する目的で、主肺動脈及び/又は肺動脈のうちの一方若しくは両方を包囲する自律神経線維を刺激するために電気エネルギーを与えることができる。
【0019】
本明細書中の図は、上位の1つ又は複数の桁が図面の図番号に対応し、残りの桁が図面内の要素又は構成要素を識別するという番号付与の取り決めに従う。異なる図にわたる類似の要素又は構成要素は、類似の数字を使用することによって識別される場合がある。例えば、110は
図1の要素「10」を参照することができ、類似の要素が
図2の210として参照される場合がある。理解されるように、本開示の任意の数の更なる実施形態を与えるために、本明細書における種々の実施形態に示される要素を追加し、交換し、及び/又は除去することができる。
【0020】
以下の説明において、治療している医師に対する位置又は方向に関して「遠位にある」及び「近位にある」という用語が使用される。「遠位にある」又は「遠位に」は、医師から遠い位置であるか、又は医師から離れる方向にある。「近位にある」又は「近位に」は、医師に近い位置であるか、又は医師に向かう方向にある。
【0021】
図1A及び
図1Bを参照すると、本開示の一実施形態によるカテーテル100が示される。
図1Aは、カテーテル100の側面図を示し、一方、
図1Bは、
図1Aにおいて見られるような視線1B−1Bに沿って見たカテーテル100の端面図である。カテーテル100は、第1の端部104と、第2の端部より遠位にある第2の端部106とを有する細長本体102を含む。図示されるように、細長本体102は、細長本体102の第1の端部104及び第2の端部106を貫通して延在する細長ラジアル軸108を含む。図示されるように、第1の平面110が、細長本体102の長さにわたって、細長ラジアル軸108を通って延在する。本明細書において使用されるときに、平面は、その上にある任意の2点を結ぶ直線が完全に存在することになる仮想的な平面であり、カテーテル100上の構造の相対的位置を合わせるのを助けるために本明細書において使用される。数ある理由の中でも、本明細書において提供されるカテーテルの実施形態上に位置する電極の相対的位置を与えるのを助けるために、第1の平面110が本明細書において使用される。カテーテル100は、少なくとも2つの細長刺激部材114(
図1に示されるように、114−1及び114−2)を更に含む。刺激部材114は細長本体102から延在し、少なくとも2つの細長刺激部材114−1及び114−2はそれぞれ、第1の平面110によって少なくとも部分的に画定される第1の体積部116の中に湾曲する。例えば、少なくとも2つの細長刺激部材114は、細長本体102の概ね第2の端部106から第1の体積部116の中に延在する。
【0022】
また、
図1は、少なくとも2つの細長刺激部材114のそれぞれの上にある少なくとも1つの電極118も示す。細長刺激部材114のそれぞれの上にある少なくとも1つの電極118は、第1の平面110によって少なくとも部分的に画定される第1の体積部116内に電極アレイを形成する。刺激部材114のそれぞれの上にある少なくとも1つの電極118は互いに電気的に分離され、刺激部材114はそれぞれ、本明細書において論じられるような絶縁材料から形成される。
【0023】
少なくとも1つの電極118はそれぞれ、対応する導電性要素120に結合される。導電性要素120は互いに電気的に分離され、刺激部材114を通って、それぞれの電極118から細長本体102の第1の端部104を貫通して延在する。導電性要素120はコネクタポートにおいて終端し、導電性要素120はそれぞれ、本明細書において論じられるように、刺激システムに着脱可能に結合することができる。導電性要素120は刺激システムに永久に結合される(例えば、着脱不可能に結合される)ことも可能である。刺激システムを用いて刺激電気エネルギーを与えることができ、刺激電気エネルギーは導電性要素120を通って伝導され、電極アレイ内の電極118の組み合わせにわたって送達される。
【0024】
少なくとも2つの細長刺激部材114はそれぞれ、遠位端124を有する刺激部材細長本体122を含む。図示されるように、細長刺激部材114それぞれの刺激部材細長本体122の遠位端124は、細長本体102から延在する。細長本体102及び刺激部材細長本体122はそれぞれ、ワイヤ126が通り抜ける内腔128を画定する表面を含む。ワイヤ126は、遠位端124において、又はその付近においてそれぞれの刺激部材細長本体122に接合され、その後、ワイヤ126は、細長刺激部材114内の内腔128を通って、細長本体102の第1の端部104を過ぎて自在に延在する。内腔128は、内腔128内でワイヤ126を長手方向に移動できるようにするほど十分に大きい。第1の端部104から延在するワイヤ126の部分を用いて、遠位端124において、又はその付近において刺激部材細長本体122に圧力を加えることができ、そのような圧力下にあるワイヤ126は歪むか、又は曲がることができ、それにより、第1の平面110によって少なくとも部分的に画定される第1の体積部116への少なくとも2つの細長刺激部材114のそれぞれに湾曲を与えることができる。少なくとも2つの細長刺激部材114は、ワイヤ126にどの程度の圧力が加えられるかによって、或る範囲の距離にわたって細長本体102から離れるように径方向に延在する。図示されるように、少なくとも2つの細長刺激部材114の湾曲は、刺激部材細長本体122の長さに沿って変化する曲率半径を有することができる。
【0025】
図1A及び
図1Bに示されるように、少なくとも2つの細長刺激部材114は第1の平面110によって少なくとも部分的に画定される第1の体積部116内にのみ湾曲する。また、
図1A及び
図1Bは、第1の平面110によって少なくとも部分的に画定され(第1の体積部116の反対側にある)、電極を含まない第2の体積部130も示す。また、
図1A及び
図1Bは、少なくとも2つの細長刺激部材114が第1の細長刺激部材114−1及び第2の細長刺激部材114−2を含む実施形態も示す。第1の細長刺激部材114−1及び第2の細長刺激部材114−2に加えて、
図1A及び
図1Bは、細長本体102の細長ラジアル軸108に沿って第1の平面110に垂直に交わる第2の平面112を示す。第1の平面110及び第2の平面112は第1の体積部116を第1の四分体積部132及び第2の四分体積部134に分割する。図示されるように、第1の細長刺激部材114−1は第1の四分体積部132の中に湾曲し、一方、第2の細長刺激部材114−2は第2の四分体積部134の中に湾曲する。
【0026】
カテーテル100は、細長本体102から、第1の平面110によって少なくとも部分的に画定され、第1の体積部116の反対側にある第2の体積部130の中に延在するアンカー部材136も含む。図示されるように、アンカー136は電極を含まない。アンカー部材136は、血管系を閉塞することはなく、及び/又は血管系内での血栓形成又は血液凝固を助長しない。アンカー部材136及び細長本体102は、ワイヤ140が通り抜ける内腔199を画定する表面を含む。ワイヤ140は、部材136の遠位端197において、又はその付近においてアンカー部材136に接合され、ワイヤ140は、アンカー部材136の内腔199を通って、細長本体102の第1の端部104を過ぎて自在に延在する。内腔199は、内腔199内でワイヤ140を長手方向に移動できるようにするほど十分に大きい直径を有する。第1の端部104から延在するワイヤ140の部分を用いて、遠位端197において、又はその付近においてアンカー部材136に圧力を加えることができ、そのような圧力下にあるワイヤ140は歪むか、又は曲がることができ、それにより、アンカー部材136の中に湾曲を与えることができる。アンカー部材136は、ワイヤ140にどの程度の圧力が加えられるかによって、或る範囲の距離にわたって細長本体102から離れるように径方向に延在することができる。本明細書において論じられるように、アンカー部材136を用いて、電極118を種々の圧力で血管腔表面(例えば、主肺動脈及び/又は肺動脈のうちの一方若しくは両方の後面)に接触させることができる。任意選択で、アンカー部材136は、本明細書において論じられるように、電極118のうちの1つ又は複数を含むように構成することができる。
【0027】
ワイヤ126及びワイヤ140はそれぞれ、それぞれの部材内に湾曲を与えるために使用されている場合に、その後、細長本体102に対してワイヤが長手方向に移動するのを防ぐことによって、所定の位置に着脱可能に固定することができる。例えば、クランプ又は他のデバイスを用いて、ワイヤと内腔の表面との間に、ワイヤが内腔の表面に対して移動するのを防ぐだけの十分な接触を生み出すことができる。このクランプ作用は、血液損失を最小化するために、止血弁としての役割を果たすこともできる。
【0028】
また、
図1A及び
図1Bは、カテーテルシステムを提供するためにカテーテル100とともに使用することができる肺動脈カテーテル191(カテーテル100の細部を示すために部分的に示される)も示す。肺動脈カテーテル191は、第1の端部1102と、第2の端部1104と、周囲面1106と、周囲面1106の反対側にある内面1108とを有する細長カテーテル本体1100を含む。内面1108は細長カテーテル本体1100の第1の端部1102と第2の端部1104との間に延在する内腔1110を画定する。内腔1110は、カテーテルの送達中にカテーテル100の少なくとも一部を内腔1110の内部に収容するだけの十分なサイズ及び形状からなる。例えば、アンカー部材136及び少なくとも2つの細長刺激部材114を、細長本体102の少なくとも一部とともに、内腔1110内に位置決めすることができる。アンカー部材136、少なくとも2つの細長刺激部材114、及び細長本体102の少なくとも一部は、カテーテル100の送達及び留置中に肺動脈カテーテル191の遠位端1104から展開することができる。
【0029】
肺動脈カテーテル191は、細長カテーテル本体1100の周囲面1106上に膨張性バルーン1112を更に含むことができる。膨張性バルーン1112は、細長カテーテル本体1100の周囲面1106の一部とともに流体密封体積部1118を画定する内面1116を有するバルーン壁1114を有する。肺動脈カテーテル191は更に、細長カテーテル本体1100を貫通して延在する膨張内腔1120を含み、膨張内腔1120は、膨張性バルーン1112の流体密封体積部1118への第1の開口部1122と、第1の開口部1122より近位にあり、バルーン1112を膨張及び収縮させるために流体密封体積部1118の中に流体が流動できるようにする第2の開口部1124とを有する。流体(例えば、生理食塩水又は気体(例えば、酸素)を含む注射器又は他の既知のデバイスを用いて、バルーン1112を膨張及び収縮させることができる。
図1Aは、膨張した状態にあるバルーン1112を示し、一方、
図1Bは収縮した状態にあるバルーン1112を示す。
【0030】
図1に示されるカテーテルシステムを用いて、本明細書において説明されるように、患者の主肺動脈及び/又は肺動脈のうちの一方若しくは両方内にカテーテル100を位置決めすることができる。これを果たすために、肺動脈カテーテル191が、内腔1110内に位置決めされたカテーテル100とともに、経皮切開を通して血管系内に導入され、既知の技法を用いて右心室まで誘導される。例えば、カテーテル100は、腕の末梢静脈を介して血管系に挿入することができる(例えば、末梢挿入中心静脈カテーテル(peripherally inserted central catheter)と同様)。血管系からの患者の心電図記録及び/又は血圧信号の変化を用いて、患者の心臓内にカテーテル100を誘導し、配置することができる。適切な場所に達すると、バルーン1112を上記のように膨張させることができ、それにより、肺動脈カテーテル191及びカテーテル100を、右心室から主肺動脈及び/又は肺動脈のうちの一方まで血流によって搬送できるようにする。さらに、患者の主肺動脈及び/又は肺動脈のうちの一方において本開示のカテーテル及びカテーテルシステムを位置決めする際に種々の画像診断法を用いることができる。そのような画像診断法は、限定はしないが、蛍光、超音波、電磁気及び電極電位による診断法を含む。
【0031】
カテーテルシステムは、肺動脈カテーテル191の遠位端1104が主肺動脈の上部(例えば、肺動脈弁より遠位にあり、両方の肺動脈に隣接する場所)と接触するまで主肺動脈に沿って前進させることができる。これは、バルーン1112が膨張した状態又は収縮した状態で行うことができる。肺動脈カテーテル191の遠位端1104が主肺動脈の上部に達すると、カテーテル100を肺動脈カテーテル191の内腔1110から展開するために、細長カテーテル本体1100をカテーテル100に対して移動させることができる。
【0032】
カテーテル本体102の周囲面上にマーキングが存在することができ、マーキングは第1の端部104から開始し、カテーテル100の第2の端部106に向かって延在する。マーキング間の距離は複数の単位(例えば、ミリメートル、インチ等)とすることができ、それにより、肺動脈カテーテル191の遠位端1104と主肺動脈の上部との間の長さを特定できるようになる。肺動脈カテーテル191の遠位端1104がアンカー部材136及び細長刺激部材114から離れた時点を示すマーキングをカテーテル本体102の周囲面上に設けることもできる。代替の実施形態では、位置決めゲージを用いて、主肺動脈内にカテーテル100を配置することができ、位置決めゲージは本明細書において更に詳細に論じられることになる。
【0033】
主肺動脈の上部からのこの距離を測定できることは、主肺動脈内の所望の場所に電極118を配置する際に役に立つ場合がある。細長本体102の第2の端部106が配置された、主肺動脈の上部からの距離を測定することに加えて、細長本体102を用いて、血管系内の電極114のための最適な位置を特定する、すなわち、マップ化することもできる。例えば、カテーテル本体102の周囲面上にあるマーキングを用いて、細長本体102の第2の端部106を主肺動脈の上部から所望の距離に位置決めすることができる。その後、ワイヤ126及び140を用いて、細長刺激部材114及びアンカー部材136の中に湾曲を与える。ワイヤ126及びワイヤ140の両方を使用するとき、主肺動脈の前面のような主肺動脈の表面と接触し、それにより、電極118を主肺動脈又は肺動脈のうちの一方(左肺動脈又は右肺動脈)と接触させるだけの十分なサイズの湾曲を細長刺激部材114及びアンカー部材136に与えることができる。アンカー部材136は、理解されるように、電極118を付勢し、血管表面に沿って(例えば、主肺動脈又は肺動脈のうちの一方(左肺動脈又は右肺動脈)の後面に沿って)固定するのを助ける。
【0034】
調整可能であること(例えば、ワイヤ140にどの程度の圧力が加えられるか)によって、アンカー部材136を用いて、電極118を主肺動脈又は肺動脈のうちの一方の内腔面と種々の圧力で接触させることができる。したがって、例えば、アンカー部材136は、電極118を主肺動脈又は肺動脈のうちの一方の内腔面に第1の圧力で接触させることができる。本明細書において論じられるように刺激システムを使用するとき、電極アレイ内の少なくとも1つの電極118のうちの2つ以上の組み合わせにわたって、刺激電気エネルギーを送達することができる。刺激電気エネルギーに対する患者の心臓反応を監視し、他の後続の試験と比較するために記録することができる。
【0035】
本明細書において論じられるカテーテル及び/又はカテーテルシステムのいずれかの場合に、患者に刺激を与え、患者からの心臓信号を検知する際に、患者の人体内又は人体上に位置決めされる基準電極(本明細書において論じられる)を含む、電極の任意の組み合わせを使用できることは理解されたい。
【0036】
必要に応じて、主肺動脈又は肺動脈のうちの一方の内腔面と接触している電極118を位置決めし直すために、圧力を下げることができ、細長本体102を時計回り又は反時計回りの方向に回転させることができる。刺激システムを再び用いて、電極アレイ内の少なくとも1つの電極118のうちの2つ以上の組み合わせにわたって刺激電気エネルギーを送達することができる。その後、この後続の試験に対する患者の心臓反応を監視し、先行する試験及び後続の試験と比較するために記録することができる。このようにして、主肺動脈又は肺動脈のうちの一方の内腔面に沿った電極118の位置に対する好ましい場所を特定することができる。特定されると、ワイヤ140を用いて、アンカー部材136によって加えられる圧力を高めることができ、それにより、患者内にカテーテル100をより良好に固定するのを助けることができる。
【0037】
ここで
図2A及び
図2Bを参照すると、カテーテル200の更なる実施形態が示される。
図2Aはカテーテル200の側面図を示し、一方、
図2Bは
図2Aにおいて見られるような視線2B−2Bに沿って見たカテーテル200の端面図を示す。カテーテル200は、少なくとも、カテーテル100の場合に本明細書において論じられたような構造を含み、その検討は繰り返されないが、これらの要素の検討が言外に含まれるという了解の下で、要素番号が
図2A及び
図2Bに含まれる。
【0038】
さらに、カテーテル200は更に、少なくとも2つの細長刺激部材214のうちの少なくとも2つの間に延在する構造260を含む。構造260は可撓性であり、構造260を主肺動脈及び/又は肺動脈のうちの一方の中に送達できるようにする送達状態又は薄型状態(low-profile state)(径方向に折りたたまれた状態)と、
図2Aに示されるような展開状態又は拡張状態(径方向に拡張された状態)との間で移行できるようにする。本明細書において提供されるように、ワイヤ226及び少なくとも2つの細長刺激部材214を用いて、その構造260を展開状態又は拡張状態にすることができる。図示されるように、構造260の一例はメッシュ構造である。
【0039】
構造260は可撓性ストランドを有し、ストランドは、ストランド間に開口のパターンを形成するように接続される。ストランドの接続のうちの1つ又は複数に電極262が存在することができる。ストランドは、細長本体202及び細長刺激部材214と同じ絶縁材料から形成することができる。代替的には、構造260のストランドのために、細長本体202及び細長刺激部材214の場合に使用される材料とは異なる絶縁材料を使用することができる。本明細書において提供されるカテーテル及び構造の1つ又は複数の部分のためのそのような絶縁材料の例は、限定はしないが、数ある中でも、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン及びポリカーボネート系ポリウレタンのような医療グレードポリウレタン;ポリアミド、ポリアミドブロックコポリマー、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン)のようなポリオレフィン;及びポリイミドを含むことができる。
【0040】
細長刺激部材214によって与えられる形状に加えて、構造260は、少なくとも2つの細長刺激部材214のうちの少なくとも2つと、その上にある電極218とを配置し、位置決めするのを助ける所定の形状を有することもできる。したがって、例えば、構造260を用いて、隣接する刺激部材214上の電極218間の距離を調整し、及び/又は維持することができる。
【0041】
また、構造260は、1つ又は複数の更なる電極262を含むことができる。更なる電極262は、構造260上に位置決めすることができるか、又は構造260の一体部品として形成することができ、更なる電極262はそれぞれ、他の電極262及び/又は218のそれぞれから電気的に分離される。更なる電極262は、導電性要素264を含む。導電性要素264はそれぞれ互いに電気的に分離され、それぞれの更なる電極262から構造260のストランドを通り、刺激部材214及び細長本体202を通って第1の端部204まで延在する。導電性要素264はコネクタポートにおいて終端し、導電性要素220及び264はそれぞれ、本明細書において論じられるように、刺激システムに着脱可能に結合することができる。また、導電性要素264は刺激システムに永久に結合される(例えば、着脱不可能に結合される)ことも可能である。刺激システムを用いて刺激電気エネルギーを与えることができ、刺激電気エネルギーは、導電性要素220及び264を通して、少なくとも2つの細長刺激部材214のそれぞれの上にある、更なる電極262と少なくとも1つの電極218のうちの少なくとも1つとの組み合わせに伝導される。
【0042】
また、
図2Aは、刺激部材細長本体222を長手方向に貫通して延在するアンカーワイヤ244も示す。図示されるように、細長本体202及び部材細長本体222は、近位端204にある第1の開口部と、刺激部材細長本体222の遠位端224にあるか、又は遠位端に隣接する第2の開口部とを有する内腔を画定する表面を含む。アンカーワイヤ244は内腔を自在に通り抜け、第1の端部246が細長本体202の近位端204において細長本体222から延在し、第2の端部248が刺激部材細長本体222の遠位端224にあるか、又は遠位端に隣接する第2の開口部から延在するアンカーリング構造(例えば、かかり)を有する。アンカーワイヤ244は、刺激部材細長本体214から離れるようにアンカーリング構造を延長するために、内腔を通して前進させることができる(例えば、アンカーワイヤ244の第1の端部246に長手方向の力を加えることができる)。本明細書において論じられるように、患者内にカテーテル200をより良好に固定するのを助ける際にアンカー部材236を使用することに加えて、アンカーワイヤ244を用いて、患者内の所望の場所にカテーテル200を固定するのを助けることもできる。
図1A及び
図1Bに示されるカテーテルとともに、アンカーワイヤ及び関連する構造のうちの1つ又は複数を含むこともできる。任意選択で、アンカーワイヤ244は、電極として構成し、本開示の刺激システムとともに使用することができる。
【0043】
また、
図2は、本明細書において論じられるように、肺動脈カテーテル291も示す(カテーテル200の細部を示すために部分的に示される)。
【0044】
本明細書において論じられるように、
図2に示されるカテーテルシステムを用いて、本明細書において説明されるように、患者の主肺動脈及び/又は肺動脈のうちの一方内にカテーテル200を位置決めすることができる。これを果たすために、肺動脈カテーテル291が、内腔2108内に位置決めされたカテーテル200とともに、経皮切開を通して血管系内に導入され、既知の技法を用いて右心室まで誘導される。バルーン2112を上記のように膨張させることができ、それにより、肺動脈カテーテル291及びカテーテル200を、右心室から主肺動脈又は肺動脈のうちの一方まで血流によって搬送できるようにする。
【0045】
図2A及び
図2Bに示されるカテーテルシステムは、位置決めゲージ252を含む本開示の一実施形態を示す。位置決めゲージ252は、第1の端部256と、第1の端部256より遠位にあるバンパー端258とを有する細長ゲージ本体254を含む。細長ゲージ本体254は、細長本体202の第1の端部204から第2の端部206を通って細長本体202を貫通して延在する表面によって画定される内腔250内で長手方向に移動することができる。バンパー端258は、細長ラジアル軸208に対して垂直に切り取った細長本体202の遠位端206の表面積以上の表面積を有する形状を有することができる。細長ゲージ本体254は、細長本体202の第2の端部206を越えてバンパー端258を位置決めするために、細長本体202の第1の内腔250を貫通して延在する。位置決めゲージ252の第1の端部256は、細長本体202の第1の端部204から延在し、細長ゲージ本体254は、細長本体202の第2の端部206と位置決めゲージ252のバンパー端258との間の長さを示すマーキング2200を含む。
【0046】
カテーテル200を展開する際に、位置決めゲージ252のバンパー端258は、刺激部材細長本体222の遠位端224と、アンカー部材236の遠位端297と、肺動脈カテーテル291の遠位端2104と概ね同一平面をなす(例えば、細長本体202、アンカー部材236及び細長刺激部材214が肺動脈カテーテル291の内腔2110内に位置決めされる)。この構成では、位置決めゲージ252のバンパー端258が主肺動脈の上部(例えば、肺動脈弁より遠位にあり、両方の肺動脈に隣接する場所)と接触するまで、主肺動脈に沿ってカテーテルシステムを前進させることができる。これは、バルーン1112が膨張した状態又は収縮した状態で行うことができる。
【0047】
バンパー端258が主肺動脈の上部と接触すると、肺動脈カテーテル291は(その内腔2110内に位置決めされるカテーテル200とともに)、バンパー端258に対して移動することができる(例えば、肺動脈カテーテル291及びカテーテル200はバンパー端258から離れるように移動する)。肺動脈カテーテル291及びカテーテル200がバンパー端258に対して移動するときに、細長ゲージ本体254上のマーキング2200を用いて、刺激部材細長本体222の遠位端224/アンカー部材236の遠位端297/肺動脈カテーテル291の遠位端2104と、位置決めゲージ252のバンパー端258との間の距離を指示することができる。本明細書において論じられるように、マーキング2200間の距離は複数の単位(例えば、ミリメートル、インチ等)とすることができ、それにより、刺激部材細長本体222の遠位端224/アンカー部材236の遠位端297/肺動脈カテーテル291の遠位端2104からの長さを特定できるようにする。所望の長さに達すると、アンカー部材236と、電極218を備える細長刺激部材214とを主肺動脈又は肺動脈のうちの一方内で展開するために、肺動脈カテーテル291をカテーテル200に対して移動させることができる。
【0048】
本明細書において論じられるように、主肺動脈の上部からのこの距離を測定できることは、主肺動脈又は肺動脈のうちの一方内の所望の場所に電極218を配置する際に役に立つ場合がある。例えば、位置決めゲージ252の周囲面上にあるマーキングを用いて、刺激部材細長本体222の遠位端224及びアンカー部材236の遠位端297を主肺動脈の上部から所望の距離に位置決めすることができる。ワイヤ226及び240を用いて、細長刺激部材214及びアンカー部材236の中に湾曲を与えることができる。ワイヤ226及びワイヤ240の両方を使用するとき、主肺動脈の前面と接触し、それにより、電極218を主肺動脈の内腔面と接触させるだけの十分なサイズの湾曲を細長刺激部材214及びアンカー部材236に与えることができる。アンカー部材236は、理解されるように、電極218を付勢し、血管表面に沿って(例えば、主肺動脈の後面に沿って)固定するのを助ける。任意選択で、アンカー部材236は、本明細書において論じられるように、電極218のうちの1つ又は複数を含むように構成することができる。
【0049】
調整可能であること(例えば、ワイヤ240にどの程度の圧力が加えられるか)によって、アンカー部材236を用いて、電極218を主肺動脈又は肺動脈のうちの一方の内腔面と種々の圧力で接触させることができる。したがって、例えば、アンカー部材236は、電極218を主肺動脈又は肺動脈のうちの一方の内腔面と第1の圧力で接触させることができる。本明細書において論じられるように、刺激システムからの刺激電気エネルギーを使用するとき、電極アレイ内の電極218のうちの2つ以上の組み合わせにわたって、電気エネルギーを送達することができる。その後、刺激電気エネルギーに対する患者の心臓反応を監視し、他の後続の試験と比較するために記録することができる。
【0050】
必要に応じて、主肺動脈又は肺動脈のうちの一方の内腔面と接触している電極218を位置決めし直すために、圧力を下げることができ、その後、細長本体202を時計回り又は反時計回りの方向に、及び/又は主肺動脈又は肺動脈のうちの一方の上部に対して長さ方向に回転させることができる。刺激システムを再び用いて、電極アレイ内の電極218のうちの2つ以上の組み合わせにわたって刺激電気エネルギーを送達することができる。先行する試験及び後続の試験を比較するために、その後、この後続の試験に対する患者の心臓反応を監視し、記録することができる。このようにして、主肺動脈又は肺動脈のうちの一方の内腔面に沿った電極218の位置に対する好ましい場所を特定することができる。特定されると、ワイヤ240を用いて、アンカー部材236によって加えられる圧力を高めることができ、それにより、患者内にカテーテル200をより良好に固定するのを助けることができる。
【0051】
ここで
図3を参照すると、カテーテル300が示されており、カテーテル300は、カテーテル100及び200の場合に本明細書において論じられたような構造を含む。図示されるように、カテーテル300は、第1の端部304と、第1の端部304より遠位にある第2の端部306とを有する細長本体302を含む。図示されるように、細長本体302は、細長本体302の第1の端部304及び第2の端部306を貫通して延在する細長ラジアル軸308を含む。図示されるように、第1の平面310が、細長本体302の長さにわたって、細長ラジアル軸308を通って延在する。カテーテル300は、細長本体302から延在する、本明細書において論じられるような少なくとも2つの細長刺激部材314を更に含む。少なくとも2つの細長刺激部材314−1及び314−2はそれぞれ、第1の平面310によって少なくとも部分的に画定される第1の体積部316の中に湾曲する。例えば、少なくとも2つの細長刺激部材314は、細長本体302の概ね第2の端部306から第1の体積部316の中に延在する。
【0052】
また、
図3は、少なくとも2つの細長刺激部材314のそれぞれの上にある少なくとも1つの電極318も示す。細長刺激部材314上にある電極318は、第1の体積部316上に電極アレイを形成する。また、カテーテル300は、細長刺激部材314のそれぞれを貫通して延在する導電性要素320も含む。本明細書において論じられるように、導電性要素320は、電極318のうちの2つ以上の組み合わせに電流を流すことができる。
【0053】
少なくとも2つの細長刺激部材314はそれぞれ刺激部材細長本体322を含み、刺激部材細長本体322はそれぞれ互いに対して移動することができる遠位端324を有する。言い換えると、刺激部材細長本体322のそれぞれの遠位端324は互いに独立している。
図3に示されるように、少なくとも2つの細長刺激部材314は、第1の平面310によって少なくとも部分的に画定される第1の体積部316内にのみ湾曲する。また、
図3は、第1の平面310によって少なくとも部分的に画定され(第1の体積部316の反対側にあり)、電極を含まない第2の体積部330も示す。また、
図3は、少なくとも2つの細長刺激部材314が第1の細長刺激部材314−1及び第2の細長刺激部材314−2を含む実施形態も示し、本明細書において上記で論じられたように、第1の細長刺激部材314−1は第1の四分体積部332の中に湾曲し、第2の細長刺激部材314−2は第2の四分体積部334の中に湾曲する。また、カテーテル300は、細長本体302から第2の体積部330の中に延在するアンカー部材336を含む。図示されるように、アンカー部材336は電極を含まない。アンカー部材336は、上記で論じられたように、細長本体338を含む。任意選択で、アンカー部材336は、本明細書において論じられるように、電極318のうちの1つ又は複数を含むように構成することができる。
【0054】
少なくとも2つの細長刺激部材314及びアンカー部材336はそれぞれ、刺激部材細長本体322及び細長本体338をそれぞれ貫通して長手方向に延在するワイヤ366を含むこともできる。ワイヤ366は、2つの細長刺激部材314及びアンカー部材336のそれぞれに所定の形状を与えることができる。例えば、少なくとも2つの細長刺激部材314及びアンカー部材336のそれぞれのワイヤ366は、それぞれ刺激部材細長本体322及び細長本体338に湾曲を与えるコイル又は螺旋構成を有することができる。ワイヤ366は、患者の血管系内の複数の条件下で所定の形状を維持するのに十分な剛性を刺激部材細長本体322に与えることもできる。したがって、例えば、ワイヤ366は、患者の血管系内に配置されるときに少なくとも2つの細長刺激部材314をその湾曲した構成に弾性的に戻すだけの十分な剛性及び可撓性を刺激部材細長本体322に与える。
【0055】
ワイヤ366は種々の金属又は合金から形成することができる。そのような金属又は合金の例は、数ある中でも、オーステナイト316ステンレスのような外科グレードステンレス鋼、並びにニチノールとして知られるニッケル・チタン合金を含む。既知の他の金属及び/又は合金を使用することもできる。
【0056】
少なくとも2つの細長刺激部材314は、刺激部材細長本体322及び細長本体302内の内腔を貫通して長手方向に延在する、本明細書において論じられるようなアンカーワイヤ344を含むこともできる。アンカーワイヤ344は、細長本体302から延在する第1の端部346と、アンカーリング構造(例えば、かかり)を有する第2の端部348とを含む。アンカーワイヤ344は、刺激部材細長本体314から離れるようにアンカーリング構造を延長するために、内腔を通して前進させることができる(例えば、アンカーワイヤ344の第1の端部346に長手方向の力を加えることができる)。本明細書において論じられるように、患者内にカテーテル300をより良好に固定するのを助ける際にアンカー部材336を使用することに加えて、アンカーワイヤ344を用いて、患者内の所望の場所にカテーテル300を固定するのを助けることもできる。任意選択で、アンカーワイヤ344は、電極として構成し、本開示の刺激システムとともに使用することができる。
【0057】
カテーテル300は、本明細書において論じられるような肺動脈カテーテル391を更に含む。図示されるように、カテーテルシステムを提供するために、肺動脈カテーテル391(カテーテル300の細部を示すために部分的に示される)をカテーテル300とともに使用することができる。肺動脈カテーテル391は、第1の端部3102と、第2の端部3104と、周囲面3106と、周囲面3106の反対側にある内面3108とを有する細長カテーテル本体3100を含む。内面3108は細長カテーテル本体3100の第1の端部3102と第2の端部3104との間に延在する内腔3110を画定する。内腔3110は、カテーテルの送達中にカテーテル300の少なくとも一部を内腔3110の内部に収容するだけの十分なサイズ及び形状からなる。例えば、アンカー部材336及び少なくとも2つの細長刺激部材314を、細長本体302の少なくとも一部とともに、内腔3110内に位置決めすることができる。アンカー部材336、少なくとも2つの細長刺激部材314、及び細長本体302の少なくとも一部は、カテーテル300の送達及び留置中に肺動脈カテーテル391の遠位端3104から展開することができる。
【0058】
肺動脈カテーテル391は、細長カテーテル本体3100の周囲面3106上に膨張性バルーン3112を更に含むことができる。膨張性バルーン3112は、細長カテーテル本体3100の周囲面3106の一部とともに流体密封体積部3118を画定する内面3116を有するバルーン壁3114を有する。肺動脈カテーテル391は、細長カテーテル本体3100を貫通して延在する膨張内腔3120を更に含み、膨張内腔3120は、本明細書において論じられるように、膨張性バルーン3112の流体密封体積部3116への第1の開口部3122と、第1の開口部3122より近位にあり、バルーン3112を膨張及び収縮させるために流体密封体積部3118の中に流体が流動できるようにする第2の開口部3124とを有する。
図3に示されるカテーテルシステムを用いて、本明細書において論じられるように、患者の主肺動脈及び/又は肺動脈のうちの一方若しくは両方内にカテーテル300を位置決めすることができる。少なくとも2つの細長刺激部材314及びアンカー部材336を覆うように、細長本体302に対して細長カテーテル本体3100を後退させることによって、少なくとも2つの細長刺激部材314及びアンカー部材336を肺動脈カテーテル391の内腔3110内に位置決めし直すことができる。
【0059】
図3に示されるカテーテルシステムは、本明細書において論じられるように、任意選択で位置決めゲージを含むことができる。
【0060】
種々の実施形態の場合に、電極は種々の構成及びサイズを有することができる。例えば、本明細書において論じられる電極は、電極がその上に位置する本体を完全に取り囲むリング電極とすることができる。また、本明細書において論じられる電極は部分リングとすることができ、電極は、電極がその上に位置する本体の一部のみを取り囲む。例えば、電極は、本明細書において論じられるように、主肺動脈及び/又は肺動脈の内腔面のみと接触することが好ましい部分リング電極とすることができる。この構成は、本明細書において論じられるような刺激電気エネルギーを血管及び隣接する組織構造(例えば、自律神経線維)の中に局在させ、血液から離すのを助けることができる。本明細書において提供される電極及び導電性要素は、導電性生体適合金属又は合金から形成することができる。そのような導電性生体適合金属又は合金の例は、限定はしないが、チタン、プラチナ、又はその合金を含む。他の生体適合金属又は合金も既知である。
【0061】
ここで
図4を参照すると、本開示によるカテーテル400が示される。図示されるように、カテーテル400は、第1の端部404と、第1の端部404より遠位にある第2の端部406とを有する細長本体402を含む。図示されるように、細長本体402は、細長本体402の第1の端部404及び第2の端部406を貫通して延在する細長ラジアル軸408を含む。図示されるように、第1の平面410が、細長本体402の長さにわたって、細長ラジアル軸408を通って延在する。カテーテル400は、細長本体402から延在する、本明細書において論じられるような少なくとも2つの細長刺激部材414を更に含む。少なくとも2つの細長刺激部材414−1及び414−2はそれぞれ、第1の平面410によって少なくとも部分的に画定される第1の体積部416の中に湾曲する。例えば、少なくとも2つの細長刺激部材414は、細長本体402の概ね第2の端部406から第1の体積部416の中に延在する。
【0062】
また、
図4は、少なくとも2つの細長刺激部材414のそれぞれの上にある少なくとも1つの電極418も示す。細長刺激部材414上にある電極418は、第1の体積部416上に電極アレイを形成する。また、カテーテル400は、細長刺激部材414のそれぞれを貫通して延在する導電性要素420も含む。本明細書において論じられるように、導電性要素420は、電極418のうちの2つ以上の組み合わせに電流を流すことができる。
【0063】
少なくとも2つの細長刺激部材414はそれぞれ刺激部材細長本体422を含み、刺激部材細長本体422はそれぞれ細長本体402から延在する遠位端424を有する。
図4に示されるように、少なくとも2つの細長刺激部材414は、第1の平面410によって少なくとも部分的に画定される第1の体積部416内にのみ湾曲する。また、
図4は、第1の平面410によって少なくとも部分的に画定され(第1の体積部416の反対側にあり)、電極を含まない第2の体積部430も示す。また、
図4は、少なくとも2つの細長刺激部材414が第1の細長刺激部材414−1及び第2の細長刺激部材414−2を含む実施形態も示し、本明細書において上記で論じられたように、第1の細長刺激部材414−1は第1の四分体積部432の中に湾曲し、第2の細長刺激部材414−2は第2の四分体積部434の中に湾曲する。また、カテーテル400は、細長本体402から第2の体積部430の中に延在するアンカー部材436を含む。図示されるように、アンカー部材436は電極を含まない。アンカー部材436は、上記で論じられたように、細長本体438を含む。任意選択で、アンカー部材436は、本明細書において論じられるように、電極418のうちの1つ又は複数を含むように構成することができる。
【0064】
少なくとも2つの細長刺激部材414及びアンカー部材436はそれぞれ、刺激部材細長本体422及び細長本体438をそれぞれ貫通して長手方向に延在するワイヤ466を含むこともできる。ワイヤ466は、2つの細長刺激部材414及びアンカー部材436のそれぞれに所定の形状を与えることができる。例えば、少なくとも2つの細長刺激部材414及びアンカー部材436のそれぞれのワイヤ466は、それぞれ刺激部材細長本体422及び細長本体438に湾曲を与えるコイル又は螺旋構成を有することができる。ワイヤ466は、患者の血管系内の複数の条件下で所定の形状を維持するのに十分な剛性を刺激部材細長本体422に与えることもできる。したがって、例えば、ワイヤ466は、患者の血管系内に配置されるときに少なくとも2つの細長刺激部材414をその湾曲した構成に弾性的に戻すだけの十分な剛性及び可撓性を刺激部材細長本体422に与える。ワイヤ466は、本明細書において論じられるような種々の金属又は合金から形成することができる。
【0065】
少なくとも2つの細長刺激部材414は、刺激部材細長本体422を貫通して長手方向に延在するアンカーワイヤ444を含むこともできる。アンカーワイヤ444は、細長本体402から延在する第1の端部446と、アンカーリング構造(例えば、かかり)を有する第2の端部448とを含む。刺激部材細長本体414から離れるようにアンカーリング構造を延長するために、アンカーワイヤ444の第1の端部446に加えられる長手方向の力が刺激部材細長本体414を通してアンカーワイヤ444を前進させる。任意選択で、アンカーワイヤ444は、電極として構成し、本開示の刺激システムとともに使用することができる。
【0066】
カテーテル400は、本明細書において論じられるような肺動脈カテーテル491を更に含む。図示されるように、カテーテルシステムを提供するために、肺動脈カテーテル491(カテーテル400の細部を示すために部分的に示される)をカテーテル400とともに使用することができる。肺動脈カテーテル491は、第1の端部4102と、第2の端部4104と、周囲面4106と、周囲面4106の反対側にある内面4108とを有する細長カテーテル本体4100を含む。内面4108は細長カテーテル本体4100の第1の端部4102と第2の端部4104との間に延在する内腔4110を画定する。内腔4110は、カテーテルの送達中にカテーテル400の少なくとも一部を内腔4110の内部に収容するだけの十分なサイズ及び形状である。例えば、アンカー部材436及び少なくとも2つの細長刺激部材414を、細長本体402の少なくとも一部とともに、内腔4110内に位置決めすることができる。アンカー部材436、少なくとも2つの細長刺激部材414、及び細長本体402の少なくとも一部は、カテーテル400の送達及び留置中に肺動脈カテーテル491の遠位端4104から展開することができる。
【0067】
肺動脈カテーテル491は、細長カテーテル本体4100の周囲面4106上に膨張性バルーン4112を更に含むことができる。膨張性バルーン4112は、細長カテーテル本体4100の周囲面4106の一部とともに流体密封体積部4118を画定する内面4116を有するバルーン壁4114を有する。肺動脈カテーテル491は、細長カテーテル本体4100を貫通して延在する膨張内腔4120を更に含み、膨張内腔4120は、本明細書において論じられるように、膨張性バルーン4112の流体密封体積部4116への第1の開口部4122と、第1の開口部4122より近位にあり、バルーン4112を膨張及び収縮させるために流体密封体積部4118の中に流体が流動できるようにする第2の開口部4124とを有する。
図4に示されるカテーテルシステムを用いて、本明細書において論じられるように、患者の主肺動脈及び/又は肺動脈のうちの一方若しくは両方内にカテーテル400を位置決めすることができる。少なくとも2つの細長刺激部材414及びアンカー部材436を覆うように、細長本体402に対して細長カテーテル本体4100を後退させることによって、少なくとも2つの細長刺激部材414及びアンカー部材436を肺動脈カテーテル491の内腔4110内に位置決めし直すことができる。
【0068】
図4に示されるカテーテルシステムは、本明細書において論じられるように、任意選択で位置決めゲージを含むことができる。
【0069】
ここで
図5A及び
図5Bを参照すると、本開示によるカテーテル(例えば、カテーテル100、200、300又は400)とともに使用することができる肺動脈カテーテル591の代替の実施形態が示される。図示されるように、肺動脈カテーテル591は、第1の端部5102と、第2の端部5104と、周囲面5106と、周囲面5106の反対側にある内面5108とを有する細長カテーテル本体5100を含む。内面5108は細長カテーテル本体5100の第1の端部5102と第2の端部5104との間に延在する内腔5110を画定する。内腔5110は、カテーテルの送達中にカテーテル100、200、300又は400の少なくとも一部を内腔5110の内部に収容するだけの十分なサイズ及び形状からなる。例えば、アンカー部材及び少なくとも2つの細長刺激部材は、細長本体の少なくとも一部とともに、内腔5110内に位置決めすることができる。アンカー部材、少なくとも2つの細長刺激部材、及び細長本体の少なくとも一部は、カテーテル100、200、300又は400の送達及び留置中に肺動脈カテーテル591の遠位端5104から展開することができる。
【0070】
肺動脈カテーテル591は膨張性バルーン5112を含む。図示されるように、膨張性バルーン5112は、バルーン内腔5302を通り抜ける細長膨張カテーテル本体5300上に位置決めされる。バルーン内腔5302は、細長カテーテル本体5100の第1の端部5102から第2の端部5104を貫通して延在することができる内腔面5304によって画定される。バルーン内腔5302は、細長膨張カテーテル本体5300がバルーン内腔5302内を長手方向に移動できるようにする断面寸法を有する。したがって、膨張性バルーン5112は、肺動脈カテーテル591の遠位端5104に対して移動することができる。
【0071】
膨張性バルーン5112は、細長膨張カテーテル本体5300の周囲面5106の一部とともに流体密封体積部5118を画定する内面5116を有するバルーン壁5114を有する。細長膨張カテーテル本体5300は、細長膨張カテーテル本体5300を貫通して延在する膨張内腔5120を更に含み、膨張内腔5120は、膨張性バルーン5112の流体密封体積部5116への第1の開口部5122と、第1の開口部5122より近位にあり、バルーン5112を膨張及び収縮させるために流体密封体積部5118の中に流体が流動できるようにする第2の開口部5124とを有する。流体(例えば、生理食塩水又は気体(例えば、酸素)を含む注射器又は他の既知のデバイスを用いて、バルーン5112を膨張及び収縮させることができる。また、バルーン内腔5302の断面寸法は、完全に収縮した状態にある膨張性バルーン5112を内腔5302内に収容できるようにするのに十分である。膨張性バルーン5112を膨張させることになるときに、膨張性バルーン5112は、細長膨張カテーテル本体5300の少なくとも一部とともに第2の端部5104から延在することができる。
【0072】
図5Bは、本開示によるカテーテル100、200、300又は400とともに使用することができる肺動脈カテーテル591の代替の実施形態を示す。
図5Aに示される肺動脈カテーテル591と同様に、肺動脈カテーテル591は、第1の端部5102と、第2の端部5104と、周囲面5106と、周囲面5106の反対側にある内面5108とを有する細長カテーテル本体5100を含む。内面5108は細長カテーテル本体5100の第1の端部5102と第2の端部5104との間に延在する内腔5110を画定する。内腔5110は、カテーテルの送達中にカテーテル100、200、300又は400の少なくとも一部を内腔5110の内部に収容するだけの十分なサイズ及び形状からなる。例えば、アンカー部材及び少なくとも2つの細長刺激部材を、細長本体の少なくとも一部とともに、内腔5110内に位置決めすることができる(
図5Bに示される実施形態は完全に内腔5110内部にあるカテーテル100、200、300又は400を有する)。アンカー部材、少なくとも2つの細長刺激部材、及び細長本体の少なくとも一部は、カテーテル100、200、300又は400の送達及び留置中に肺動脈カテーテル591の遠位端5104から展開することができる。
【0073】
また、
図5Bに示される肺動脈カテーテル591は、膨張性バルーン5112のうちの2つも含む(
図5Bにおいて5112−1及び5112−2として示される)。図示されるように、膨張性バルーン5112−1及び5112−2はそれぞれ別々の細長膨張カテーテル本体5300−1及び5300−2上に位置決めされ、細長膨張カテーテル本体5300−1及び5300−2はそれぞれ、バルーン内腔5302−1及び5302−2を通り抜ける。図示されるように、各バルーン内腔5302−1及び5302−2はそれぞれ内腔面5304−1及び5304−2によって画定され、内腔面は細長カテーテル本体5100の第1の端部5102から第2の端部5104を貫通して延在することができる。バルーン内腔5302−1及び5302−2はそれぞれ、細長膨張カテーテル本体5300−1及び5300−2がそれぞれのバルーン内腔5302−1及び5302−2内で長手方向に移動できるようにする断面寸法を有する。したがって、膨張性バルーン5112−1及び/又は5112−2はそれぞれ肺動脈カテーテル591の遠位端5104に対して独立して移動することができる。
図5Aと同様に、各バルーン内腔5302−1及び5302−2の断面寸法は、完全に収縮した状態にある膨張性バルーン5112−1及び5112−2をそれぞれの内腔5302−1及び5302−2内に収容できるようにするのに十分である。膨張性バルーン5112−1及び/又は5112−2を膨張させることになるときに、各膨張性バルーン5112−1及び5112−2は、細長膨張カテーテル本体5300−1及び5300−2の一部とともに第2の端部5104から独立して延在することができる。
【0074】
膨張性バルーン5112−1及び5112−2はそれぞれ、細長膨張カテーテル本体5300−1及び5300−2の周囲面5106の一部とともに、それぞれ流体密封体積部5118−1及び5118−2を画定する内面5116−1及び5116−2を有するバルーン壁5114−1及び5114−2を有する。細長膨張カテーテル本体5300は、細長膨張カテーテル本体5300−1及び5300−2をそれぞれ貫通して延在する膨張内腔5120−1及び5120−2を更に含み、膨張内腔5120−1及び5120−2は、膨張性バルーン5112−1及び5112−2の流体密封体積部5116−1及び5116−2への第1の開口部5122−1及び5122−2と、第1の開口部5122−1及び5122−2より近位にあり、バルーン5112−1及び5112−2を膨張及び収縮させるために流体密封体積部5118−1及び5118−2の中に流体が流動できるようにする第2の開口部5124−1及び5124−2とを有する。膨張性バルーン5112−1及び5112−2はそれぞれ、本明細書において論じられるように、細長本体5100の第2の端部5104に対して独立して移動することができ、独立して膨張することができる。
【0075】
肺動脈カテーテル591は更に、位置決めゲージ552を含む。位置決めゲージ552は、第1の端部556と、第1の端部556より遠位にあるバンパー端558とを有する細長ゲージ本体554を含む。細長ゲージ本体554は、細長カテーテル本体5100を貫通して延在する表面によって画定される内腔550内で長手方向に移動することができる。細長ゲージ本体554は、細長カテーテル本体5100の第2の端部5104を越えてバンパー端558を位置決めするために、細長カテーテル本体5100の第1の内腔550を貫通して延在する。位置決めゲージ552の第1の端部556は、細長カテーテル本体5100の第1の端部5102から延在し、細長ゲージ本体554は、細長カテーテル本体5100の第2の端部5104と位置決めゲージ552のバンパー端558との間の長さを示すマーキング5200を含む。
【0076】
また、肺動脈カテーテル591は、細長カテーテル本体5100の周囲面5106から横方向に延在する第1のアンカー529を含むこともできる。図示されるように、第1のアンカー529は、開放フレームワークを形成する支柱531を有する。支柱531は、第1のアンカー529が展開されるときに、主肺動脈及び/又は肺動脈のうちの一方又は両方の表面と係合できるようにする最大外側寸法を有する周囲面533を有する。肺動脈カテーテル591及びカテーテル100、200、300、400が患者の中に導入されていくとき、展開されていない状態にある第1のアンカー529をシースが覆い、保持することができる。
【0077】
図5A及び
図5Bに示されるカテーテルシステムを用いて、本明細書において説明されるように、カテーテル100、200、300及び/又は400を患者の主肺動脈及び/又は肺動脈のうちの一方若しくは両方内に位置決めすることができる。これを果たすために、肺動脈カテーテル591が、内腔5110内に位置決めされたカテーテルとともに、経皮切開を通して血管系内に導入され、既知の技法を用いて右心室まで誘導される。
図5Aのカテーテルシステムの場合、バルーン5112を上記のように膨張させることができ、それにより、肺動脈カテーテル591及びカテーテル100を、右心室から主肺動脈又は肺動脈のうちの一方まで血流によって搬送できるようにする。肺動脈カテーテル591及びカテーテル100、200、300、400が右心室から主肺動脈又は肺動脈のうちの一方の中に搬送されると、シースを引っ込めることができ、それにより、第1のアンカー529が主肺動脈内で展開できるようになる。第1のアンカー529を覆うようにシースを戻す(シースを前進させる)ことによって、第1のアンカー529をその展開されていない状態に戻すことができる。
【0078】
第1のアンカー529が展開された位置にある場合、位置決めゲージ552を用いて、細長カテーテル本体5100の第2の端部5104と、主肺動脈の上部(例えば、肺動脈弁より遠位にあり、両方の肺動脈に隣接する場所)との間の長さを特定することができる。この長さがわかると、カテーテル100、200、300、400を、細長カテーテル本体5100の内腔5110から、細長カテーテル本体5100の第2の端部5104と主肺動脈の上部との間の場所まで前進させることができる。この場所は、細長カテーテル本体5100の第1の端部5102から近位に延在するカテーテル100、200、300、400の細長本体の一部の上にあるマーキング(例えば、ミリメートル単位の長さを与えるマーキング)用いて特定することができる。ここで
図6A〜
図6Dを参照すると、本開示によるカテーテル600の更なる実施形態が示される。カテーテル600は、第1の端部603及び第2の端部605を有する細長カテーテル本体601を含む。また、細長カテーテル本体601は、周囲面607と、細長カテーテル本体601の第1の端部603と第2の端部605との間に少なくとも部分的に延在する膨張内腔611(破線で示される)を画定する内面609とを含む。
【0079】
カテーテル600は、細長カテーテル本体601の周囲面607上に膨張性バルーン613を含む。膨張性バルーン613は、細長カテーテル本体601の周囲面607の一部とともに流体密封体積部619を画定する内面617を有するバルーン壁615を含む。膨張内腔611は、膨張性バルーン613の流体密封体積部619への第1の開口部621と、第1の開口部621より近位にあり、バルーン613を膨張及び収縮させるために体積部619の中に流体が流動できるようにする第2の開口部623とを有する。
【0080】
カテーテル600は、細長カテーテル本体601の周囲面607に沿って位置決めされる複数の電極625を更に含む。複数の電極625は、細長カテーテル本体601の膨張性バルーン613と第1の端部603との間に位置する。導電性要素627が細長カテーテル本体601を貫通して延在し、導電性要素627は、複数の電極625のうちの少なくとも1つの電極のうちの2つ以上の組み合わせに電流を流す。
【0081】
カテーテル600は、細長本体601の周囲面607から横方向に延在する第1のアンカー629を更に含み、第1のアンカー629は、開放フレームワークを形成する支柱631を有する。支柱631は、膨張性バルーン613の最大外側寸法(例えば、その最大直径)より大きい最大外側寸法を有する周囲面633を有する。図示されるように、第1のアンカー629は、周囲面633に対する中心点635を有し、その中心点は、周囲面607に対する細長カテーテル本体601の中心点637から外れている。
【0082】
図6A及び
図6Bはいずれも第1のアンカー629を示す。
図6Aは、膨張性バルーン613と、細長カテーテル本体601の周囲面607に沿って位置決めされる複数の電極625との間に位置決めされる第1のアンカー629を示す。
図6Bは、細長カテーテル本体601の周囲面607に沿って位置決めされる複数の電極625と、細長カテーテル本体601の第1の端部603との間に位置決めされる第1のアンカー629を示す。
【0083】
図6Aに示されるカテーテル600の場合、長手方向において圧縮された状態にあるとき、複数の電極625を含む細長カテーテル本体601の部分639が所定の径方向に湾曲する。複数の電極625を含むこの部分639を設けるために、細長カテーテル本体601にプレストレスを加えることができ、及び/又は壁が、細長カテーテル本体601が長手方向において圧縮された状態にあるときに所定の径方向に湾曲できるようにする厚さを有することができる。それに加えて、又はその代わりに、単位長さあたり異なる巻き数を有するワイヤのコイル又は螺旋のような構造を部分639の細長カテーテル本体601内に配置することができる。これらの構造のうちの1つ又は複数を用いて、長手方向への圧縮が部分639において所定の径方向の湾曲を引き起こすことができるようにする。長手方向への圧縮を達成するために、第1のアンカー629を患者の血管系内(例えば、肺動脈内)で展開させることができ、第1のアンカー629は、細長本体601が長手方向に移動しないようにする場所又は抵抗点を与える。したがって、これにより、複数の電極625が存在する細長カテーテル本体601の部分639が所定の径方向に湾曲するだけの十分な圧縮力を、細長カテーテル本体601内に生成できるようになる。
【0084】
図6Cは、長手方向において圧縮された状態にあるときに、細長カテーテル本体601の部分639が所定の径方向に湾曲した図を与える。
図6Cに示されるカテーテル600は
図6Aに示されており、本明細書において説明されている。図示されるように、カテーテル600は、患者の心臓の主肺動脈6500内に少なくとも部分的に位置決めされており(カテーテル600は、図示されるように、右肺動脈内に少なくとも部分的に位置決めすることもできる)、バルーン613及び第1のアンカー629が左肺動脈6502の内腔に配置される。この位置から、細長カテーテル本体601に加えられる圧縮力によって、複数の電極625が存在する細長カテーテル本体601の部分639が所定の径方向に湾曲することができる。これにより、複数の電極625が、主肺動脈の内腔面に向かって延在し、及び/又は接触できるようになる。好ましくは、複数の電極625を主肺動脈の所定の位置に動かし、及び/又は主肺動脈の内腔面と接触させる。
【0085】
細長カテーテル本体601の第1の端部603において回転トルクを与えることによって、内腔面に対して複数の電極625を移動させるのを助けることができる。これにより、専門家が、主肺動脈の内腔面に沿った異なる位置に複数の電極625を「スイープする(sweep:素早く動かす)」ことができるようになる。本明細書において論じられるように、これにより、肺動脈の内腔面に沿った種々の場所において、刺激電気エネルギーに対する患者の心臓反応を監視し、記録できるようになる。このようにして、主肺動脈の内腔面に沿った電極625の位置のための好ましい場所を特定することができる。
【0086】
代替的には、
図6Bに示されるカテーテル600の場合、細長カテーテル本体601は、第1の端部603から第2の端部605に向かって延在する成形内腔643を画定する第2の内面641も含むことができる。また、
図6Bのカテーテル600は、第1の端部647及び第2の端部649を有する成形ワイヤ645も含むことができる。成形内腔643は、成形ワイヤ645が成形内腔634を通り抜けることができるようにするのに十分なサイズ(例えば、直径)を有し、成形ワイヤ645の第1の端部647は細長カテーテル本体601の第1の端部603より近位にあり、成形ワイヤ645の第2の端部649が細長カテーテル本体601に接合され、それにより、成形ワイヤ645に張力が加えられるときに、成形ワイヤ645が複数の電極625を有する細長カテーテル本体601の部分639の中に湾曲を与える。
【0087】
図6Dは、本明細書において論じられるように、成形内腔及び成形ワイヤを使用するときに細長カテーテル本体601の部分639が所定の径方向に湾曲した図を与える(
図6Dに示されるカテーテル600は
図6Bに示されており、本明細書において説明されている)。図示されるように、カテーテル600は、患者の心臓の主肺動脈6500内に少なくとも部分的に位置決めされており、バルーン613が左肺動脈6502の内腔内に配置され、第1のアンカー629が主肺動脈6504内に配置される。この位置から、成形ワイヤ645に張力が加えられるとき、成形ワイヤを用いて、複数の電極625を有する細長カテーテル本体601の部分639の中に湾曲を与えることができる。これにより、複数の電極625が、主肺動脈の内腔面に向かって延在し、及び/又は接触できるようになる(カテーテル600は、図示されるように、右肺動脈内に少なくとも部分的に位置決めすることもできる)。好ましくは、複数の電極625を主肺動脈の所定の位置に動かし、及び/又は主肺動脈の内腔面と接触させる。
【0088】
細長カテーテル本体601の第1の端部603において回転トルクを与えることによって、主肺動脈(場合によっては、右肺動脈又は左肺動脈)の内腔面に対して複数の電極625を移動させるのを助けることができる。これにより、主肺動脈の内腔面に沿った電極625の位置のための好ましい場所を特定するために、専門家が、本明細書において論じられるように、主肺動脈の内腔面に沿った異なる位置に複数の電極625を「スイープする」ことができるようになる。
【0089】
図6A及び
図6Bのカテーテル600はいずれも、細長本体601の周囲面607にわたって延在する内腔653を有する細長送達シース651を含む。細長送達シース651は、第1の位置において、細長送達シース651の内腔653内に位置決めされた第1のアンカー629を有することができる。細長送達シース651が細長本体601の周囲面607に対して移動するにつれて、第1のアンカー629が細長本体601の周囲面607から延在する。
【0090】
ここで
図7を参照すると、本開示によるカテーテル700の更なる実施形態が示される。カテーテル600の場合に説明されたように、カテーテル700は、第1の端部703と、第2の端部705と、周囲面707と、膨張内腔711を画定する内面709とを有する細長カテーテル本体701を含み、膨張内腔711は、細長カテーテル本体701の第1の端部703と第2の端部705との間に少なくとも部分的に延在する。カテーテル700は、細長カテーテル本体701の周囲面707上に膨張性バルーン713を含み、膨張性バルーン713は、細長カテーテル本体701の周囲面707の一部とともに流体密封体積部719を画定する内面717を有するバルーン壁715を有する。膨張内腔711は、膨張性バルーン713の流体密封体積部719への第1の開口部721と、第1の開口部721より近位にあり、バルーン713を膨張及び収縮させるために体積部719の中に流体が流動できるようにする第2の開口部723とを有する。
【0091】
カテーテル700は、細長カテーテル本体701の周囲面707に沿って位置決めされる複数の電極725を含む。複数の電極725は、細長カテーテル本体701の膨張性バルーン713と第1の端部703との間に位置する。導電性要素727が細長カテーテル本体701を貫通して延在し、導電性要素727は、複数の電極725のうちの少なくとも1つの電極のうちの2つ以上の組み合わせに電流を流す。
【0092】
カテーテル700は、細長本体701の周囲面707から横方向に延在する第1のアンカー729及び第2のアンカー755を更に含む。第1のアンカー729及び第2のアンカー755はいずれも、アンカーのための開放フレームワークを形成する支柱731を有する。支柱731は、膨張性バルーン713の最大外側寸法(例えば、その最大直径)より大きい最大外側寸法を有する周囲面733を有する。図示されるように、第1のアンカー729は、周囲面733に対する中心点735を有し、その中心点は、周囲面707に対する細長カテーテル本体701の中心点737から外れている。対照的に、第2のアンカー755は周囲面733に対する中心点735を有し、その中心点は、周囲面707に対する細長カテーテル本体701の中心点737と同心である。
【0093】
カテーテル700は、細長本体701の周囲面707にわたって延在する内腔753を有する細長送達シース751を含む。細長送達シース751は、第1の位置において、細長送達シース751の内腔753内に位置決めされた第1のアンカー729及び第2のアンカー755を有することができる。細長送達シース751が細長本体701の周囲面707に対して移動するにつれて、第1のアンカー729が細長本体701の周囲面707から延在する。細長送達シース751が膨張性バルーン713から更に離れるように周囲面707に対して移動するにつれて、第2のアンカー755が細長本体701の周囲面707から延在する。
【0094】
図示されるように、複数の電極725は第1のアンカー729と第2のアンカー755との間に位置する。複数の電極725を含む細長カテーテル本体701の部分739は、種々の方法において所定の径方向に湾曲するように構成することができる。例えば、複数の電極725を含む細長カテーテル本体701の部分739は、長手方向において圧縮された状態になるとき(本明細書において論じられる)、所定の径方向に湾曲するように構成することができる。カテーテル600と同様に、複数の電極725を含むこの部分739を設けるために、細長カテーテル本体701にプレストレスを与えることができ、及び/又は壁が、細長カテーテル本体701が長手方向において圧縮された状態にあるときに所定の径方向に湾曲できるようにする厚さを有することができる。それに加えて、又はその代わりに、単位長さあたり異なる巻き数を有するワイヤのコイル又は螺旋のような構造を部分739の細長カテーテル本体701内に配置することができる。これらの構造のうちの1つ又は複数を用いて、長手方向への圧縮が部分739において所定の径方向の湾曲を引き起こすことを可能にすることができる。
【0095】
長手方向への圧縮を達成するために、本明細書において論じられるように、第1のアンカー729を患者の血管系内で展開させることができ、第1のアンカー729は、細長本体701が長手方向に移動しないようにする場所又は抵抗点を与える。本明細書において論じられるように、これは、第1のアンカー729が細長本体701の周囲面707から延在できるようにするために、細長本体701の周囲面707に対して細長送達シース751を移動させることによって果たすことができる。展開されると、第1のアンカー729によって、複数の電極725が存在する細長カテーテル本体701の部分739が所定の径方向に湾曲するだけの十分な圧縮力を細長カテーテル本体701内に生成できるようになる。所定の径方向において湾曲が形成されると、第2のアンカー755が細長本体701の周囲面707から延在できるようにするために、細長送達シース751が、膨張性バルーン713から更に離れるように周囲面707に対して動かされる。
【0096】
代替的には、カテーテル700の細長カテーテル本体701は、第1の端部703から第2の端部705に向かって延在する成形内腔743を画定する第2の内面741を含むことができる。また、カテーテル700は、第1の端部747及び第2の端部749を有する成形ワイヤ745を含むこともでき、成形内腔743は、成形ワイヤ745が成形内腔743を通り抜けることができるようにするだけの十分なサイズ(例えば、直径)を有し、成形ワイヤ745の第1の端部747は細長カテーテル本体701の第1の端部703より近位にあり、成形ワイヤ745の第2の端部749は細長カテーテル本体701に接合され、それにより、成形ワイヤ745に張力が加えられるときに、成形ワイヤ745は複数の電極725を有する細長カテーテル本体701の部分739の中に湾曲を与える。
【0097】
ここで
図8を参照すると、カテーテル800の更なる実施形態が示される。上記で論じられたように、カテーテル800は、第1の端部803と、第2の端部805と、周囲面807と、膨張内腔811を画定する内面809とを有する細長カテーテル本体801を含み、膨張内腔811は、細長カテーテル本体801の第1の端部803と第2の端部805との間に少なくとも部分的に延在する。また、カテーテル800は、本明細書において論じられるように、細長カテーテル本体801の周囲面807上に膨張性バルーン813を含み、膨張性バルーン813は、細長カテーテル本体801の周囲面807の一部とともに流体密封体積部819を画定する内面817を有するバルーン壁815を有する。膨張内腔811は、膨張性バルーン813の流体密封体積部819への第1の開口部821と、第1の開口部821より近位にあり、バルーン813を膨張及び収縮させるために体積部819の中に流体が流動できるようにする第2の開口部823とを有する。
【0098】
また、細長カテーテル本体801は、細長カテーテル本体801の周囲面807から横方向に延在することができる第1のアンカー829を含む。本明細書において論じられるように、第1のアンカー829は、開放フレームワークを形成する支柱831を含み、周囲面833が膨張性バルーン813の最大外側寸法(例えば、その最大直径)より大きい最大外側寸法を有する。図示されるように、第1のアンカー829は、周囲面833に対する中心点835を有し、その中心点は、周囲面807に対する細長カテーテル本体801の中心点837から外れている。
【0099】
カテーテル800は、電極細長本体859と、電極細長本体859の周囲面861に沿って位置決めされる複数の電極825とを有する電極カテーテル857を更に含む。導電性要素863が電極カテーテル857の電極細長本体859を貫通して延在し、導電性要素863は、複数の電極825のうちの少なくとも1つの電極の2つ以上の組み合わせに電流を流す。図示されるように、第1のアンカー829は、膨張性バルーン813と、電極細長本体859の周囲面に沿って位置決めされる複数の電極825との間に位置決めされる。
【0100】
カテーテル800は、電極カテーテル857に接合され、第1のアンカー829及び膨張性バルーン813の両方より近位にある細長カテーテル本体801の周囲面861の周囲に位置決めされるアタッチメントリング865を更に含む。アタッチメントリング865は、電極カテーテル857の遠位端867を細長カテーテル本体801に対して固定された関係に保持する。この位置から、複数の電極825を含む電極細長本体859の部分839は、上記で論じられたように、所定の径方向に湾曲するように構成することができる。複数の電極825を含む電極細長本体859の部分839の湾曲する構成は、本明細書において論じられるとおりにすることができる。
【0101】
また、
図8は、細長カテーテル本体801及び電極カテーテル857の周囲面にわたって延在する内腔853を有する細長送達シース851を示す。細長送達シース851は、第1の位置において、細長送達シース851の内腔853内に位置決めされた第1のアンカー829を有することができる。細長送達シース851が細長本体801の周囲面807及び電極カテーテル857の周囲面861に対して移動するにつれて、第1のアンカー829が細長本体801の周囲面807から延在する。
【0102】
ここで
図9を参照すると、カテーテルシステム969が示される。カテーテルシステム969は、第1の端部904と、第2の端部906と、周囲面976と、内面984とを有する細長カテーテル本体902を含み、内面984は細長カテーテル本体902の第1の端部904と第2の端部906との間に少なくとも部分的に延在する膨張内腔994を画定する。細長カテーテル本体902は、第1の平面910と、第1の平面910に対して垂直な第2の平面912との交差によって画定される細長ラジアル軸908を含み、細長ラジアル軸908は、細長カテーテル本体902の第1の端部904と第2の端部906とを貫通して延在する。
【0103】
カテーテルシステム969は、細長カテーテル本体902の周囲面976上に膨張性バルーン978を更に含む。膨張性バルーン978は、細長カテーテル本体902の周囲面976の一部とともに流体密封体積部992を画定する内面990を有するバルーン壁988を有する。膨張内腔944は、膨張性バルーン978の流体密封体積部992への第1の開口部996と、第1の開口部996より近位にあり、バルーン978を膨張及び収縮させるために体積部992の中に流体が流動できるようにする第2の開口部998とを有する。
【0104】
カテーテルシステム969は、細長カテーテル本体902の周囲面976から離れ、膨張性バルーン978に向かって径方向に延在するリブ971のうちの2つ以上を有する電極ケージ9690を更に含む。図示されるように、電極ケージ9690のリブ971のうちの2つ以上はそれぞれ細長カテーテル本体901から離れて膨張性バルーン978に向かって延在する第1の端部9692を有する。電極ケージ9690のリブ971のうちの2つ以上の第1の端部9692はそれぞれ、リブ971のうちの2つ以上のリブの1つおきの第1の端部に対して独立している。さらに、電極ケージ9690のリブ971のうちの2つ以上は、第1の平面910の第1の半分916の中に湾曲する。また、電極ケージ9690のリブ971はそれぞれ1つ又は複数の電極925も含む。リブ971のそれぞれの上にある1つ又は複数の電極925は、第1の平面910の第1の半分916上に電極アレイを形成する。カテーテルシステム969は、電極ケージ969のリブ971のうちの2つ以上と、細長カテーテル本体901とを貫通して延在する導電性要素920を更に含み、導電性要素920は、電極アレイ内の2つ以上の電極925の組み合わせに電流を流す。
【0105】
また、カテーテルシステム969は、細長カテーテル本体901の周囲面976から離れ、膨張性バルーン978に向かって径方向に延在するリブ971のうちの2つ以上を有するアンカーリングケージ973を含む。図示されるように、アンカーリングケージ973のリブ971のうちの2つ以上は第1の平面910の第2の半分934の中に湾曲し、アンカーリングケージ973のリブ971の2つ以上は電極を含まない。
【0106】
カテーテルシステム969は、細長カテーテル本体の周囲面上に第2の膨張性バルーンを更に含むことができる。例えば、細長カテーテル本体は、第3の端部と、細長カテーテル本体の第1の端部と第3の端部との間に少なくとも部分的に延在する第2の膨張内腔を画定する第2の内面とを更に含むことができる。第2の膨張性バルーンは、細長カテーテル本体の第3の端部に隣接する細長カテーテル本体の周囲面上に位置する。第1の膨張性バルーンと同様に、第2の膨張性バルーンは、細長カテーテル本体の周囲面の一部とともに流体密封体積部を画定する内面を有するバルーン壁を含む。第2の膨張内腔は、第2の膨張性バルーンの流体密封体積部への第1の開口部と、第1の開口部より近位にあり、第2のバルーンを膨張及び収縮させるために体積部の中に流体が流動できるようにする第2の開口部とを有する。
【0107】
また、
図9は、細長カテーテル本体901の周囲面と、電極ケージ9690及びアンカーリングケージ973の両方のリブ971とにわたって延在する内腔953を有する細長送達シース951も示す。細長送達シース951は、第1の位置において、細長送達シース951の内腔953内に電極ケージ9690及びアンカーリングケージ973の両方のリブ971を有することができる。細長送達シース951が細長本体901の周囲面907に対して移動するにつれて、電極ケージ9690のリブ971が細長本体901から延在し、第1の平面910の第1の半分916の中に湾曲し、アンカーリングケージ973のリブ971が細長本体901から延在し、第1の平面910の第2の半分934の中に湾曲する。
【0108】
本明細書において論じられるカテーテル及び/又はカテーテルシステムはそれぞれ、細長本体上に存在する1つ又は複数の電極より近位に位置決めされる1つ又は複数の基準電極を更に含むことができる。これらの1つ又は複数の基準電極はそれぞれ、1つ又は複数の基準電極をカテーテル及び/又はカテーテルシステムの細長本体上の1つ又は複数の電極のうちの1つ又は複数を通して送達される電流のための共通電極又はリターン電極として使用できるようにするために、カテーテル及び/又はカテーテルシステムから延在する絶縁導電性リードを含む。
【0109】
本開示のカテーテル及びカテーテルシステムを用いて、種々の心臓疾患の患者を治療することができる。そのような心臓疾患は、限定はしないが、数ある中でも、急性心不全を含む。本明細書において論じられるように、カテーテル上に存在する1つ又は複数の電極を、主肺動脈及び/又は肺動脈のうちの一方又は両方内に位置決めすることができる。好ましくは、1つ又は複数の電極は、主肺動脈の内腔面と接触する(例えば、主肺動脈の後部の表面と物理的に接触する)ように位置決めされる。本明細書において論じられることになるように、本明細書において提供されるカテーテル及び/又はカテーテルシステム上にある1つ又は複数の電極を用いて、電極及び/又は基準電極間に電気エネルギーのパルスを与えることができる。本開示の電極は、単極、双極及び/又は多極構成のいずれか1つにおいて使用することができる。位置決めされると、本開示のカテーテル及びカテーテルシステムは、患者に補助心臓治療(例えば、電気的心臓神経調節)を提供する目的で、主肺動脈及び/又は肺動脈の一方若しくは両方の周囲にある神経線維(例えば、自律神経線維)を刺激するために刺激電気エネルギーを与えることができる。
【0110】
本開示のカテーテル及びカテーテルシステムに加えて、患者の上又は中に1つ又は複数の検知電極を配置することができる。数ある中でも、検知電極を用いて、種々の心臓パラメーターの変化を示す信号を検出することができ、これらの変化は、主肺動脈及び/又は肺動脈のうちの一方若しくは両方の周囲にある神経線維(例えば、自律神経線維)を刺激するために送達された刺激電気エネルギーのパルスの結果である可能性がある。そのようなパラメーターは、限定はしないが、数あるパラメーターの中でも、患者の心拍数(例えば、パルス)を含む。また、検知電極は、血管系の1つ又は複数の電気的パラメーター(心周期の電気的活動)の変化を示す信号を与えることもできる。そのような信号は、検被出信号を受信し、患者についての情報を与える既知のデバイス(例えば、心電図(ECG)モニタ)又は本明細書において論じられるような刺激システムを用いて、既知のように収集し、表示することができる。
【0111】
種々の心臓パラメーターの変化を示す種々の他の信号を検出し、測定するために、患者とともに他のセンサーを使用することもできる。そのようなパラメーターは、限定はしないが、血圧、血中酸素濃度及び/又は患者の呼気のガス組成を含むことができる。例えば、本開示のカテーテル及びカテーテルシステムは、膨張性バルーンのための膨張内腔内に、又は膨張内腔と直列に位置決めされる圧力センサーを更に含むことができる。圧力センサーからの信号を用いて、患者の血圧を検出し、かつ測定することができる。代替的には、本開示のカテーテル及びカテーテルシステムは、血圧及び/又は血中酸素濃度を検知し、測定するための集積回路を含むことができる。そのような集積回路は、0.18μmCMOS技術を用いて実現することができる。酸素センサーは、既知であるような光学的又は電気化学的技法を用いて測定することができる。そのような酸素センサーの例は、血中酸素濃度を特定するのを助けるために光センサーにおける被測定波長の吸光度の変化を使用する反射型又は透過型パルスオキシメトリセンサーを含む。これらの種々の実施形態の場合に、カテーテルの細長本体は、センサー(例えば、血中酸素センサー及び/又は圧力センサー)と、細長本体のそれぞれを貫通して延在する1つ又は複数の導電性要素を含むことができ、導電性要素は、血中酸素センサー及び/又は圧力センサーからの電気信号を伝導する。また、被検出信号は、被検出信号に応答して刺激電気エネルギーを与えるために刺激システムによって使用することもできる。例えば、カテーテル又はカテーテルシステムの1つ又は複数の電極に刺激電気エネルギーを送達するために、これらの信号のうちの1つ又は複数を刺激システムによって使用することができる。したがって、例えば、患者の心周期からの被検出信号(例えば、ECG波、波セグメント、波間隔又はECG波の合成波)を、検知電極及び/又は被検者の血圧のタイミングパラメーターを用いて検知することができる。刺激システムはこれらの被検出信号を受信し、信号(複数の場合もある)の特徴に基づいて、刺激電気エネルギーを生成し、カテーテル又はカテーテルシステムの1つ又は複数の電極に送達する。本明細書において論じられるように、刺激電気エネルギーは、患者に神経調節を提供するために、主肺動脈及び/又は肺動脈のうちの一方若しくは両方を包囲する神経線維のうちの1つ又は複数を刺激するのに十分な持続時間とともに、十分な電流及び電位からなる。
【0112】
ここで
図10を参照すると、心臓10502の主肺動脈10500の図が示される。主肺動脈10500は、約3センチメートル(1.2in)の直径と約5センチメートル(2.0in)の長さとを有する右心室10504の底部において開始する。主肺動脈10500は2つの肺動脈(左及び右)10501に枝分かれし、対応する肺に脱酸素化血液を送達する。図示されるように、主肺動脈10500は、左心房に覆いかぶさり、肺静脈に隣接する後面10506を有する。本明細書において論じられるように、本開示のカテーテル及びカテーテルシステムの1つ又は複数の電極は、電極が後面10506と接触するようにして、主肺動脈及び/又は肺動脈内に少なくとも部分的に位置決めされる。主肺動脈及び/又は肺動脈の内腔に沿った他の場所も可能である。
【0113】
好ましくは、本開示のカテーテル及びカテーテルシステムの1つ又は複数の電極は、主肺動脈10500及び/又は肺動脈10501の後面10506と接触している。この場所から、1つ又は複数の電極を通して送達される刺激電気エネルギーは、急性心不全のような種々の心血管の病状を患っている患者を、より良好に処置することができ、及び/又は治療(補助療法を含む)を患者に提供することができる場合がある。刺激電気エネルギーは、患者の心収縮性を調節するのを助けることができる自律神経系からの反応を引き出すことができる。刺激電気エネルギーは、心拍数以上に心収縮性に影響を及ぼし、それにより、望ましくない系統的影響を可能な限り最小限に抑えながら、血行動態調節を改善するのを助けることを意図している。
【0114】
本明細書において論じられるように、本開示のカテーテル及びカテーテルシステムは、患者の肺動脈内に位置決めすることができ、1つ又は複数の電極が主肺動脈の内腔面と接触する(例えば、主肺動脈の後部の表面と物理的に接触する)ように位置決めされる。刺激システムは通常、導電性要素を介して1つ又は複数の電極に結合され、刺激システムを用いて、主肺動脈を包囲する自律心肺線維(autonomic cardiopulmonary fiber)に刺激電気エネルギーを送達することができる。
【0115】
刺激システムを用いて、刺激電気エネルギーを引き起こし、カテーテル又はカテーテルシステムの1つ又は複数の電極に供給する。刺激システムは、1つ又は複数の電極にわたって送達される刺激電気エネルギーの種々のパラメーターを制御する。そのようなパラメーターは、各電極極性(例えば、陰極又は陽極として使用される)の制御、パルス動作モード(例えば、単極、双極及び/又は多極)、刺激電気エネルギーに関連付けられるパルス幅、振幅、周波数、電圧、電流、持続時間、波長及び/又は波形を含む。刺激システムは、刺激電気エネルギーを引き起こして、本明細書において論じられる基準電極を含む、様々な組み合わせ及び数の1つ又は複数の電極に供給することができる。刺激システムは、専門家が刺激システムをプログラムし、その性能を監視するのに使用するために、患者の人体の外部に存在することができる。代替的には、刺激システムは、患者の人体の内部に存在することができる。患者内に配置されるとき、刺激システムのハウジングは、検知及び単極パルス動作モードの両方のための基準電極として使用することができる。
【0116】
本明細書において論じられるように、刺激システムを用いて、主肺動脈の内腔面に沿った1つ又は複数の電極の位置のための好ましい場所を特定するのを助けることができる。このために、カテーテル又はカテーテルシステムの1つ又は複数の電極が患者に導入され、電極のための好ましい場所を特定するために、本明細書において論じられるように、刺激システムを使用して主肺動脈の内腔面に沿った種々の場所の試験が行われる。そのような試験中に、刺激システムを用いて、刺激電気エネルギーを開始し、そのパラメーターを調整することができる。そのようなパラメーターは、限定はしないが、刺激電気エネルギーのパターンを終了すること、速度を増加させること、速度を減少させること又は速度若しくはパターンを変更することを含む。また、刺激システムは、患者若しくは医療関係者による要求時に、又は患者から検知された信号若しくは信号の一部に応答して再プログラムされるときに、一時的に、連続的に、段階的に、まとめて、間欠的に刺激電気エネルギーを送達することもできる。
【0117】
一例として、刺激電気エネルギーは、約0.1マイクロボルト〜約75ボルト(V)の電圧を有することができ、1V〜50V、又は0.1V〜10Vの電圧値も可能である。刺激電気エネルギーは、約1ヘルツ(Hz)〜約100,000Hzの周波数において送達することができ、約2Hz〜約200Hzの周波数値も可能である。刺激電気エネルギーは、約100マイクロ秒〜約100ミリ秒のパルス幅を有することができる。また、刺激電気エネルギーは、例えば、方形波、二相方形波、正弦波又は他の電気的に安全で、実現可能な組み合わせのような種々の波形を有することもできる。刺激電気エネルギーは、複数の標的部位に同時に、又は順次に加えることができる。
【0118】
本開示とともに開ループ又は閉ループフィードバック機構を使用することができる。開ループフィードバック機構の場合、専門家が患者の心臓パラメーター及び心臓パラメーターの変化を監視することができる。心臓パラメーターに基づいて、専門家は自律心肺線維に加えられる刺激電気エネルギーのパラメーターを調整することができる。限定はしないが、監視される心臓パラメーターの例は、動脈圧、中心静脈圧、毛細管圧、収縮期圧変化、動脈血液ガス、心拍出量、全身血管抵抗、肺動脈楔入圧、患者の呼気のガス組成及び/又は混合静脈血酸素飽和度を含む。心臓パラメーターは、心電図、侵襲的血管動態、心エコー図、血圧測定又は心臓機能を測定するために当該技術分野において既知の他のデバイスによって監視することができる。体温及び呼吸数のような他のパラメーターもフィードバック機構の一部として監視し、処理することができる。
【0119】
閉ループフィードバック機構では、本明細書において論じられるように、患者の心臓パラメーターが刺激システムによって受信及び処理され、心臓パラメーターに少なくとも部分的に基づいて、刺激電気エネルギーのパラメーターが調整される。本明細書において論じられるように、センサーを用いて、心臓パラメーターを検出し、センサー信号を生成する。センサー信号はセンサー信号プロセッサによって処理され、センサー信号プロセッサは、信号発生器に制御信号を与える。次に、信号発生器は、カテーテル又はカテーテルシステムによって患者に加えられる刺激電気エネルギーのパラメーターのうちの1つ又は複数を有効にするか、又は調整することによって制御信号への応答を生成することができる。制御信号は、刺激電気エネルギーを開始するか、終了するか、増加させるか、減少させるか、又はそのパラメーターを変更することができる。センサー又は記録電極として、カテーテル又はカテーテルシステムの1つ又は複数の電極を使用することができる。必要に応じて、これらの検知電極又は記録電極は、本明細書において論じられるように、刺激治療を送達することもできる。
【0120】
ここで
図11を参照すると、刺激システム11600の一実施形態が示される。刺激システム11600は、本開示のカテーテル及びカテーテルシステムの導電性要素を着脱可能に接合する入力/出力コネクタ11602を含む。導電性要素120は刺激システムに永久に結合される(例えば、着脱不可能に結合される)ことも可能である。本明細書において論じられるセンサー信号(複数の場合もある)を受信するために、センサーからの入力も入力/出力コネクタ11602に着脱可能に結合することができる。
【0121】
入力/出力コネクタ11602は、アナログ/デジタル変換器11604に接続される。アナログ/デジタル変換器11604の出力は、アドレス線、データ線及び制御線を含む周辺バス11608を通して、マイクロプロセッサ11606に接続される。マイクロプロセッサ11606は、センサーデータが存在するときに、使用中のセンサーのタイプに応じて、種々の方法で処理することができる。また、マイクロプロセッサ11606は、本明細書において論じられるように、入力/出力コネクタ11602を介して1つ又は複数の電極に刺激電気エネルギーを送達するパルス制御出力発生器11610を制御することもできる。
【0122】
刺激電気エネルギーのパラメーターは、メモリ11612内にプログラムされ、プログラマブルパルス発生器11613によって実行される命令によって、必要に応じて制御及び調整することができる。プログラマブルパルス発生器11613に関するメモリ11612内の命令は、マイクロプロセッサ11606を介して、閉ループシステムからの入力に基づいて設定し、及び/又は変更することができる。また、プログラマブルパルス発生器11613に関するメモリ11612内の命令は、周辺バス11608を通して接続される入力11614を介して、専門家からの入力を通して設定し、及び/又は変更することもできる。そのような入力の例は、既知であるように、表示画面を用いるキーボード入力か、又はタッチスクリーン(図示せず)を通しての入力を含む。また、刺激システム11600は、周辺バス11608に接続する通信ポート11615を含むこともでき、通信ポートにおいて、マイクロプロセッサ11606及び/又はメモリ11612によってデータ及び/又はプログラミング命令を受信することができる。
【0123】
入力11614を介しての専門家からの入力、通信ポート11615からの入力、又はマイクロプロセッサ11606を介しての閉ループシステムからの入力のいずれかを用いて、刺激電気エネルギーのパラメーターを変更(例えば、調整)することができる。また、刺激システム11600は電力源11616を含むこともできる。電力源11616は、電池とすることができるか、又は外部電源(例えば、AC源に結合されるAC/DC電力変換器)から供給される電力源とすることができる。プログラマブルパルス発生器11612は、ハウジング11618を含むこともできる。
【0124】
マイクロプロセッサ11606は、刺激に閉ループフィードバック制御を与えるために、1つ又は複数のアルゴリズムを実行することができる。また、マイクロプロセッサ11606は、刺激電気エネルギーを開始し、終了し、及び/又はそのパラメーターを変更(例えば、調整)するために、入力11614を介して専門家によって制御することもできる。閉ループフィードバック制御を用いて、患者の心臓パラメーターのうちの1つ又は複数を、メモリ11612の中にプログラムされたしきい値に、又はしきい値範囲内に維持するのを助けることができる。例えば、閉ループフィードバック制御下で、測定された心臓パラメーター値(複数の場合もある)を比較することができ、その後、測定された値(複数の場合もある)が、しきい値又は所定の値範囲から外れているか否かを判断することができる。測定された心臓パラメーター値(複数の場合もある)がしきい値又は所定の値範囲から外れていない場合には、閉ループフィードバック制御は心臓パラメーター(複数の場合もある)を監視し続け、定期的に比較を繰り返す。しかしながら、センサーからの心臓パラメーター値(複数の場合もある)が、1つ又は複数の心臓パラメーターがしきい値又は所定の値範囲から外れていることを示す場合には、マイクロプロセッサ11606によって、刺激電気エネルギーのパラメーターのうちの1つ又は複数が調整されることになる。調整は、パルス制御出力発生器11610の制御を維持するために、プロセス制御ロジック(例えば、ファジー論理、負帰還等)を用いて行うことができる。
【0125】
本開示の好ましい例示的な変形形態がこれまでに説明されたが、本開示の実施形態から逸脱することなく、種々の変更及び修正を加えることができることは当業者には明らかであろう。添付の特許請求の範囲において、本開示の趣旨及び範囲に入る全てのそのような変更及び修正を含むことを意図している。