(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記舵角演算部が、前記舵角として、前記第1検出値から得られた前記ボディの第1回転角に対する前記第2検出値から得られた前記操舵部の第2回転角の差を演算する請求項1に記載の車載器。
ボディ及び前記ボディに操舵軸を介して支持された操舵部を有する車両に搭載され、前記操舵部に取り付けられるユーザインターフェース、カメラ、又はアンテナと、前記ボディに取り付けられ、前記ボディの回転に合わせて回転させた座標系であるボディ座標系の各軸の第1角速度又は前記ボディ座標系の各軸の第1加速度を、第1検出値として検出する第1センサ部と、前記操舵部に取り付けられ、前記操舵部の回転に合わせて回転させた座標系である操舵座標系の各軸の第2角速度又は前記操舵座標系の各軸の第2加速度を、第2検出値として検出する第2センサ部と、を備える車載器の演算装置であって、
前記第1検出値を取得し、前記第1検出値に基づき第1回転角を取得する第1回転角取得部と、
前記第2検出値を取得し、前記第2検出値に基づき第2回転角を取得する第2回転角取得部と、
前記第1回転角及び前記第2回転角に基づいて前記ボディに対する前記操舵部の舵角を演算し、出力する舵角演算部と、
を備える演算装置。
ボディ及び前記ボディに操舵軸を介して支持された操舵部を有する車両に搭載され、前記操舵部に取り付けられるユーザインターフェース、カメラ、又はアンテナと、前記ボディに取り付けられ、前記ボディの回転に合わせて回転させた座標系であるボディ座標系の各軸の第1角速度又は前記ボディ座標系の各軸の第1加速度を、第1検出値として検出する第1センサ部と、前記操舵部に取り付けられ、前記操舵部の回転に合わせて回転させた座標系である操舵座標系の各軸の第2角速度又は前記操舵座標系の各軸の第2加速度を、第2検出値として検出する第2センサ部と、を備える車載器のコンピュータを、
前記第1検出値を取得し、前記第1検出値に基づき第1回転角を取得する第1回転角取得部、
前記第2検出値を取得し、前記第2検出値に基づき第2回転角を取得する第2回転角取得部、及び
前記第1回転角及び前記第2回転角に基づいて前記ボディに対する前記操舵部の舵角を演算し、出力する舵角演算部、
として機能させるプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る各種実施形態について、図面を用いて説明する。
【0019】
<第1の実施形態>
本発明に係る車載器の第1の実施形態について、
図1〜
図4を参照して説明する。
【0020】
(全体構成)
車載器100の全体構成について説明する。
本実施形態において、車載器100は、車両ナビゲーションシステムであって、
図1に示すように、二輪車BKに搭載される。
【0021】
二輪車BKは、ボディBDと、ハンドルHDL(操舵部)と、ハンドル軸SHT(操舵軸)を備える。ハンドルHDLは、ボディBDにハンドル軸SHTを介して支持される。
【0022】
車載器100は、二輪車BKのハンドルHDLに設ける部分と、ボディBDに設ける部
分と
の、少なくとも2つに分離して取り付けられる。
【0023】
また、本実施形態では、車載器100は、GNSS(Global Navigation Satellite System)を利用すると共に、後述する各種センサの測定情報による自律航法を併用し、二輪車BKの測位を行う。したがって、車載器100は、GNSS衛星からの電波の受信の可否にかかわらず、二輪車BKの測位を行い、二輪車BKの現在位置を順次取得し、運転支援、運転分析等を行う。
【0024】
車載器100は、本体部10と、第1センサ部20と、を備える。
本実施形態では、本体部10が、二輪車BKのハンドルHDLに取り付けられ、第1センサ部20が、二輪車BKのボディBDに取り付けられる。
本体部10と、第1センサ部20とは、各情報の送受信のため、有線又は無線の通信回線により接続されている。
【0025】
ここで直交系について説明する。
本実施形態では、路面直交系Qw、ボディ直交系Qb及びハンドル直交系Qhの3つの直交系が定義される。
【0026】
図1に示すように、路面直交系Qwは、XY平面を路面GSとするX軸、Y軸、及びZ軸からなる直交系である。二輪車BKが、
図1のように、路面GSに対し傾くことなく鉛直方向に直立し、X軸正方向に向かって走行している場合、二輪車BKを前から見て左方向がY軸正方向とされ、上方向がZ軸正方向とされる。
【0027】
ボディ直交系Qbは、路面GSに対する二輪車BKのボディBDの回転に合わせて路面直交系Qwを回転させた直交系である。ボディ直交系Qbは、Xb軸、Yb軸、Zb軸からなる。Xb軸はX軸に関連し、Yb軸はY軸に関連し、Zb軸はZ軸に関連している。
【0028】
ハンドル直交系Qhは、路面GSに対する二輪車BKのハンドルHDLの回転に合わせて路面直交系Qwを回転させた直交系である。ハンドル直交系Qhは、Xh軸、Yh軸、Zh軸からなる。Xh軸はX軸に関連し、Yh軸はY軸に関連し、Zh軸はZ軸に関連している。
【0029】
(第1センサ部)
第1センサ部20の詳細について説明する。
第1センサ部20は、後述する第1角速度を、第1検出値として検出する。
本実施形態では、第1センサ部20は、ジャイロセンサを有し、3軸の角速度を測定する。
また、本実施形態では、第1センサ部20は、二輪車BKのボディBDに固定されている。このため、第1センサ部20は、ボディ直交系QbのXb軸、Yb軸及びZb軸の各軸に沿った3軸の角速度を測定する。
第1センサ部20は、測定された第1角速度を、第1検出値として検出し、第1検出値を後述する測位チップ12に出力する。
【0030】
(本体部)
本体部10の詳細について説明する。
図2に示すように、本体部10は、CPU11と、測位チップ12(演算装置)と、GNSSアンテナ13と、ユーザインターフェース16と、カメラ17と、加速度センサ18と、地磁気センサ19と、を備える。
本実施形態では、本体部10は、二輪車BKのハンドルHDLに固定されている。
【0031】
CPU11は、後述するプログラムを実行することにより、測位された二輪車BKの位置情報を取得し、運転支援、運転分析等のための各種アプリケーションを実行する。
【0032】
測位チップ12は、第1検出値を取得し、第1検出値に対して演算を行う。測位チップ12は、GNSSアンテナ13、ユーザインターフェース16、及びカメラ17とそれぞれ接続されている。
測位チップ12は、GNSSアンテナ13から取得した電波および各種測定情報に基づき二輪車BKの現位置を取得する。
【0033】
GNSSアンテナ13は、複数のGNSS衛星からの電波を取得し、測位チップ12へ出力する。
【0034】
ユーザインターフェース16は、操作者からの情報入力や操作者への情報出力を行う。本実施形態では、ユーザインターフェース16として、タッチパネル、スイッチ、ボタン、ディスプレイ、スピーカ等を備える。
【0035】
カメラ17は、二輪車BKから見た画像を撮影する。
本実施形態では、本体部10が二輪車BKのハンドルHDLに固定されているので、カメラ17は、二輪車BKが旋回した方向を、さらにハンドルHDLの舵角で回転した方向の画像を撮影する。
【0036】
加速度センサ18は、3軸の加速度を測定する。本実施形態では、本体部10が、二輪車BKのハンドルHDLに固定されているので、加速度センサ18は、ハンドル直交系Qhの3軸方向の加速度を測定する。
【0037】
地磁気センサ19は、地磁気の向きから方位を測定する。本実施形態では、本体部10が二輪車BKのハンドルHDLに固定されているので、地磁気センサ19は、ハンドルHDLの方位を測定する。
【0038】
(演算装置)
測位チップ12は、測位演算部14と、前処理演算部15とを備える。
測位演算部14と、前処理演算部15とは、互いの各情報を送受信可能なように接続されている。
以下に測位演算部14及び前処理演算部15について詳細に説明する。
【0039】
(測位演算部)
測位演算部14の詳細について説明する。
測位演算部14は、GNSSアンテナ13が受信した電波を取得可能なように、GNSSアンテナ13と接続されている。測位演算部14は、第1センサ部20から角速度情報を取得可能なように、前処理演算部15を介して、第1センサ部20と接続されている。
【0040】
さらに、測位演算部14は、加速度センサ18から加速度情報を取得可能なように、前処理演算部15を介して、加速度センサ18に接続されている。また、測位演算部14は、地磁気センサ19から方位情報を取得可能なように、前処理演算部15を介して、地磁気センサ19に接続されている。
【0041】
測位演算部14は、GNSSアンテナ13から取得した電波に基づき二輪車BKの現在位置を演算する。
本実施形態では、測位演算部14は、信号処理によって、取得した電波から、複数のGNSS衛星から発信された各電波が車載器100に到達するまでのそれぞれの時間を求める。各時間からそれぞれのGNSS衛星との距離を求めることによって、測位演算部14は、搭載された二輪車BKの緯度及び経度を求める。
【0042】
また、測位演算部14は、少なくとも、加速度センサ18から取得した加速度情報及び第1センサ部20から取得した角速度情報に基づき、二輪車BKの位置を補正する。これにより、地下、トンネルの中、高層ビルの影等において、GNSS衛星からの電波の受信が困難な場合、測位演算部14は、加速度センサ18が取得した加速度情報及び第1センサ部20が取得した角速度情報を利用した自律航法(デッドレコニング)を行う。
【0043】
本実施形態では、測位演算部14は、GNSS衛星からの電波に基づき取得された最新の位置を、加速度センサ18によって取得された加速度情報及び第1センサ部20によって取得された角速度情報で補正する。これにより、測位演算部14は、GNSS衛星からの電波の受信が困難な場合でも、現在の位置を推定することができる。
【0044】
したがって、車載器100は、GNSS衛星からの電波の受信の可否にかかわらず、二輪車BKの測位を行い、二輪車BKの現在位置を順次取得し、CPU11において、運転支援、運転分析等を行う。
【0045】
(前処理演算部)
前処理演算部15の詳細について説明する。
【0046】
前処理演算部15は、加速度センサ18、地磁気センサ19及び第1センサ部20から取得する各種検出情報を取得可能なように、それぞれに接続されている。
前処理演算部15は、加速度センサ18、地磁気センサ19及び第1センサ部20から取得する各種検出情報に対し、それぞれローパスフィルタ処理や補正演算を行う。
前処理演算部15は、傾き取得部15aを備える。
【0047】
傾き取得部15aは、二輪車BKのボディBDの姿勢として、第1検出値に基づき二輪車BKのボディBDの左右方向への傾きを、傾き角度θとして取得する。傾き取得部15aは、取得した傾き角度θで、加速度センサ18、地磁気センサ19及び第1センサ部20から取得する各種検出情報を補正する。
ここで「ボディBDの左右方向への傾き」とは、YZ平面内での鉛直方向に対する二輪車BKのボディBDの傾きをいう。
【0048】
傾き角度θは、以下のような処理によって取得する。
まず、二輪車BKのボディBDが、水平な路面GSに対し傾くことなく、鉛直方向に直立した状態において、傾き取得部15aは、傾き角度を0として記憶する。
この状態を基準として、傾き取得部15aは、第1センサ部20によって測定された第1角速度のうち、Xb軸の角速度を順次取得する。
傾き取得部15aは、演算処理により取得したXb軸の角速度を1回積分して、傾き角度θを取得する。
ここで、Xb軸周りの回転の角速度は、「Xb軸の角速度」と記載される。以下、他の角速度も、同様に記載される。
【0049】
前処理演算部15は、傾き角度θを、水平面に対する第1センサ部20の左右方向の傾き角度であるとして、第1センサ部20によって測定された角速度を補正する。
【0050】
例えば、二輪車BKのボディBDが、二輪車BKを前からみて右側に、Z軸に対して角度θで傾きつつ、路面GSに対してZ軸の角速度ωで旋回する場合について説明する。
図3に示すように、第1センサ部20は、二輪車BKのボディBDの傾きに連れられて角度θで傾き、ボディ直交系Qbも連れられて角度θで傾く。その結果、第1センサ部20は、実際の角速度ωをボディ直交系QbのZb軸に投影した大きさの角速度ω’(=ωcosθ)でしか角速度を検出できない。
【0051】
したがって、第1センサ部20がZb軸の角速度をω’と検出し、傾き取得部15aが傾き角度θを検出した場合、前処理演算部15は、ω=ω’/cosθを演算して、角速度ω’を角速度ωに補正する。そして、前処理演算部15は、補正された角速度ωを第1検出値として、測位演算部14に出力する。
【0052】
同様に、前処理演算部15は、加速度センサ18によって取得された加速度や地磁気センサ19によって取得された方位を補正することができる。
【0053】
さらに、第1センサ部20の角速度の検出精度を補うために、前処理演算部15は、加速度センサ18によって取得された加速度、地磁気センサ19によって取得された方位及び測位演算部14によって、GNSS衛星からの電波に基づき取得された位置を用いてもよい。
【0054】
例えば、第1センサ部20によって測定される角速度のバイアスを排除するため、加速度センサ18、地磁気センサ19及びGNSS測位を利用する。具体的には、二輪車BKの静止を、加速度センサ18、地磁気センサ19及びGNSS測位によって検出し、その時、第1センサ部20で測定される角速度が0となるように、前処理演算部15は、第1センサ部20で測定される角速度を補正する。
【0055】
(作用及び効果)
本実施形態の作用及び効果について説明する。
車載器100は、二輪車BKのボディBDに取り付けられた第1センサ部20によって角速度を検出する。このため、車載器100は、GNSSアンテナ13、ユーザインターフェース16及びカメラ17が、二輪車BKのハンドルHDLに搭載されても、二輪車BKのボディBDの傾きに関連させて角速度を検出することができる。
【0056】
第1センサ部20が、Zb軸の角速度を検出する場合について、本実施形態と参考例とについて比較して説明する。
参考例として、第1センサ部20がハンドルHDLに取り付けられているとする。
【0057】
図4に示すように、微小時間Δtにおいて、ボディBDが、路面GSに対しZb軸に沿う軸周りを角度Δφbで回転し、ハンドルHDLが、ボディBDに対しZb軸に沿う軸周りを角度Δφhで回転したとする。
この場合、路面GSに対するボディBDのZb軸に沿う軸周りの角速度の大きさは、Δφb/Δtとなる。
また、ボディBDに対するハンドルHDLのZb軸に沿う軸周りの角速度の大きさΔφh/Δtとなる。
【0058】
第1センサ部20は、路面GSを静止系として、Zb軸の角速度を検出するので、参考例の場合、第1センサ部20で検出される角速度の大きさは、(Δφh+Δφb)/Δtとなり、ハンドルHDLの角速度が混じってしまう。
【0059】
これに対し、本実施形態の場合、第1センサ部20がボディBDに取り付けられているので、第1センサ部20で検出される角速度の大きさは、Δφb/Δtとなり、ボディBD自身の角速度の大きさが検出される。
【0060】
したがって、本実施形態の第1センサ部20は、ボディBD自身の角速度を検出することができるため、検出される角速度に関して、二輪車BKのハンドルHDLの動きの影響を受けにくい。
【0061】
他方、ハンドルHDLにある方が利便性の高い構成が、ハンドルHDLに搭載されている。
例えば、ユーザインターフェース16が、二輪車BKのハンドルHDLに搭載されているので、運転者がユーザインターフェース16にアクセスしやすい構造となっている。また、GNSSアンテナ13が、二輪車BKのハンドルHDLに搭載されているので、車載器100は、二輪車BKのハンドルHDLの動きに合わせたナビゲーションを運転者に提供することができる。さらに、カメラ17が、二輪車BKのハンドルHDLに搭載されているので、車載器100は、二輪車BKのハンドルHDLの動きに合わせた撮影が可能となる。
【0062】
車載器100は、二輪車BKのボディBDの傾きに関連させて角速度を検出するので、車載器100は、検出した角速度から二輪車BKのボディBDの傾きを取得することが可能となる。
したがって、車載器100は、取得された角速度、加速度及び方位に対して、二輪車BKのボディBDの傾きを補正することができる。
【0063】
<第2の実施形態>
本発明に係る車載器の第2の実施形態について、
図5及び
図6を参照して説明する。
【0064】
本実施形態の車載器は、第1の実施形態と基本的に同じであるが、二輪車BKのボディBDだけではなく、二輪車BKのハンドルHDLにも角速度センサを設け、ハンドルHDLの舵角を取得する点が異なっている。以下異なる点について詳しく説明する。
【0065】
車載器100’の全体構成について説明する。
本実施形態において、車載器100’は、車両ナビゲーションシステムであって、
図5
に示すように、二輪車BKに設けられている。
車載器100’は、二輪車BKのハンドルHDLに設ける部分と、ボディBDに設ける
部分と
の、少なくとも2つに分離して取り付けられる。
【0066】
車載器100’は、本体部10’と、第1センサ部20と、を備える。
本実施形態では、本体部10’が、二輪車BKのハンドルHDLに取り付けられ、第1センサ部20が、二輪車BKのボディBDに取り付けられる。
本体部10’と、第1センサ部20とは、各情報の送受信のため、有線又は無線の通信回線により接続されている。
【0067】
本体部10’の詳細について説明する。
図6に示すように、本体部10’は、CPU11’と、測位チップ12’(演算装置)と、GNSSアンテナ13と、ユーザインターフェース16と、カメラ17と、加速度センサ18と、地磁気センサ19と、第2センサ部21と、を備える。
本実施形態では、本体部10’は、二輪車BKのハンドルHDLに固定されている。
【0068】
CPU11’は、後述するプログラムを実行することにより、測位された二輪車BKの位置情報を取得し、運転支援、運転分析等のための各種アプリケーションを実行する。
【0069】
測位チップ12’は、第1検出値を取得し、第1検出値に対して演算を行う。測位チップ12’は、GNSSアンテナ13、ユーザインターフェース16、カメラ17、及び第2センサ部21とそれぞれ接続されている。
測位チップ12’は、GNSSアンテナ13から取得した電波および各種測定情報に基づき二輪車BKの現位置を取得する。
【0070】
第2センサ部21は、後述する第2角速度を、第2検出値として検出する。
本実施形態では、第2センサ部21は、ジャイロセンサを有し、3軸の角速度を測定する。
また、本実施形態では、本体部10’が二輪車BKのハンドルHDLに固定されることによって、第2センサ部21は、二輪車BKのハンドルHDLに固定さている。このため、第2センサ部21は、ハンドル直交系QhのXh軸、Yh軸及びZh軸の各軸に沿った3軸の角速度を測定する。
第2センサ部21は、測定された第2角速度を、第2検出値として検出し、第2検出値を測位チップ12’に出力する。
【0071】
測位チップ12’の詳細について説明する。
測位チップ12’は、測位演算部14’と、前処理演算部15’とを備える。
測位演算部14’と、前処理演算部15’とは、互いの各情報を送受信可能なように接続されている。
【0072】
測位演算部14’は、第2センサ部21から角速度情報を取得可能なように、前処理演算部15’を介して、第2センサ部21と接続されている。
【0073】
前処理演算部15’は、加速度センサ18、地磁気センサ19、第1センサ部20及び第2センサ部21から取得する各種検出情報を取得可能なように、それぞれに接続されている。
前処理演算部15’は、加速度センサ18、地磁気センサ19及び第1センサ部20から取得する各種検出情報に対し、それぞれローパスフィルタ処理や補正演算を行う。
前処理演算部15’は、第1回転角取得部15a’と、第2回転角取得部15b’と、舵角演算部15c’とを備える。
【0074】
第1回転角取得部15a’は、第1検出値を取得し、二輪車BKのボディBDの姿勢として、第1検出値に基づき第1回転角を取得する。
第2回転角取得部15b’は、第2検出値を取得し、二輪車BKのハンドルHDLの姿勢として、第2検出値に基づき第2回転角を取得する。
舵角演算部15c’は、第1回転角及び第2回転角に基づいてボディBDに対するハンドルHDLの舵角を演算し、出力する。
具体的には以下のとおりである。
【0075】
まず、二輪車BKのボディBDが、水平な路面GSに対し傾くことなく、鉛直方向に直立した状態において、第1回転角取得部15a’は、二輪車BKのボディBDの各軸の回転角度を0として記憶する。
この状態を基準として、第1回転角取得部15a’は、第1センサ部20によって測定された各軸の第1角速度を順次取得する。
第1回転角取得部15a’は、演算処理により取得した各軸の第1角速度をそれぞれ1回積分して、二輪車BKのボディBDの各軸の回転角度を取得する。
これにより、第1回転角取得部15a’は、二輪車BKのボディBDの各軸の回転角度を取得することで、二輪車BKのボディBDの姿勢を得ることができる。
【0076】
同様に、二輪車BKのボディBDが、水平な路面GSに対し傾くことなく、鉛直方向に直立した状態において、第2回転角取得部15b’は、二輪車BKのハンドルHDLの各軸の回転角度を0として記憶する。
この状態を基準として、第2回転角取得部15b’は、第2センサ部21によって測定された各軸の第2角速度を順次取得する。
第2回転角取得部15b’は、演算処理により取得した各軸の第2角速度それぞれ1回積分して、二輪車BKのハンドルHDLの各軸の回転角度を取得する。
これにより、第2回転角取得部15b’は、二輪車BKのハンドルHDLの各軸の回転角度を取得することで、二輪車BKのハンドルHDLの姿勢を得ることができる。
【0077】
舵角演算部15c’は、相対姿勢角として、二輪車BKのボディBDの姿勢に対する二輪車BKのハンドルHDLの姿勢の差を、クォータニオンや回転行列を使って求める。
例えば、クォータニオンを使って相対姿勢角を求める場合、舵角演算部15c’は、以下の式(1)〜式(3)の演算を用いて相対姿勢角を求める。
【0081】
ここで式(1)は、求めるべきクォータニオンであり、二輪車BKのボディBDの姿勢から二輪車BKのハンドルHDLの姿勢に回転するためのクォータニオンである。
式(2)は、式(1)の複素共役となるクォータニオンである。
rは、二輪車BKのボディBDの姿勢ベクトルであって、第1回転角取得部15a’によって取得された二輪車BKのボディBDの各軸の回転角度に関連する。
r’は、二輪車BKのハンドルHDLの姿勢ベクトルであって、第2回転角取得部15b’によって取得された二輪車BKのハンドルHDLの各軸の回転角度に関連する。
舵角演算部15c’は、式(3)を満たすクォータニオンとして式(1)を求める。
【0082】
変形例として、さらに、舵角演算部15c’は、以下の式(4)及び式(5)の演算を用いて相対姿勢角を求めてもよい。
【0085】
式(4)は、各時刻ステップのうち、kステップ目の回転を示すクォータニオンである。
各時刻のクォータニオンを求め、以下の式(5)に示すように毎時刻ステップの回転を表すクォータニオンの積を求めることによって、舵角演算部15c’は、二輪車BKのボディBDの姿勢から二輪車BKのハンドルHDLの姿勢に回転するためのクォータニオンを求める。
【0086】
本実施形態の作用及び効果について説明する。
車載器100’は、二輪車BKのハンドルHDLの舵角を検出することができる。このため、車載器100’は、取得した情報に舵角情報を加えることができる。例えば、車載器100’は、カメラ17による映像を撮影時に、ハンドルHDLの舵角を取得することができる。
【0087】
また、車載器100’は、舵角と車両のボディの角速度又は加速度との関係を利用した運転分析を行うことができる。例えば、カーブを曲がるときの二輪車BKのボディBDの傾きとハンドルHDLの舵角との関係に基づき、車載器100’は、運転車の技能や二輪車BKの性能を評価することができる。
【0088】
さらに、舵角情報を測位の演算に加えることによって、車載器100’は、測位の精度を向上することもできる。
【0089】
<変形例>
以下に上記各実施形態の変形例について説明する。
【0090】
上記各実施形態では、加速度センサ18、地磁気センサ19及びGNSSアンテナが、二輪車BKのハンドルHDLに設けられている。
変形例として、加速度センサ18、地磁気センサ19及びGNSSアンテナの少なくとも一つが、二輪車BKのハンドルHDLになくてもよい。
【0091】
上記各実施形態では、GNSSアンテナ13、ユーザインターフェース16、及びカメラ17が全て、ハンドルHDLに取り付けられている。
変形例として、車載器は、GNSSアンテナ13、ユーザインターフェース16、カメラ17の少なくとも一つがハンドルHDLに取り付けられる構成であれば、どのような構成であってもよい。
GNSSアンテナ13、ユーザインターフェース16、カメラ17の少なくとも一つがハンドルHDLに取り付けられることによって、利便性の高い車載器が構成される。
【0092】
上記各実施形態では、GNSSアンテナが、二輪車BKのハンドルHDLに設けられているが、アンテナであれば、GNSSアンテナと同様に、二輪車BKのハンドルHDLの動きの影響を受けにくいという効果が得られる。
したがって、変形例として、車載器は、GNSSアンテナに限らず、少なくともアンテナが二輪車BKのハンドルHDLに設けられるように構成されてもよい。
例えば、車載器は、少なくともDSRC(Dedicated Short Range Communications)システムに用いられるDSRCアンテナが二輪車BKのハンドルHDLに設けられように構成されてもよい。
【0093】
上記各実施形態では、第1センサ部20が3軸の角速度を検出しているが、変形例として、第1センサ部20が、3軸加速度センサを有し、第1加速度として3軸の加速度を検出してもよい。
この場合、3軸加速度センサが二輪車BKのボディBDに取り付けられるので、車載器は、3軸の加速度から二輪車BKのボディBDの姿勢の回転を演算することができる。
また、3軸加速度センサが二輪車BKのボディBDに取り付けられることによって、車載器は、ハンドルHDLの動きの影響を受けないように、二輪車BKのボディBDの3軸の加速度を検出することができる。例えば、ハンドルHDLの動きの影響を受けないように、二輪車BKのボディBDの前後方向の加速度を検出できれば、二輪車BKのブレーキの評価が可能となる。
【0094】
さらに、他の変形例として、第1センサ部20は、3軸角速度センサと3軸加速度センサとを組み合わせた構成であってもよい。
すなわち、第1センサ部20は、二輪車BKの角速度及び加速度の少なくともいずれか一方を検出すればよい。
【0095】
同様に、上記第2の実施形態では、第2センサ部21が、ジャイロセンサを有し、3軸の角速度を検出しているが、変形例として、第2センサ部21が、3軸加速度センサを有し、第2加速度として3軸の加速度を検出してもよい。この場合、第2センサ部21は、3軸の加速度から二輪車BKのハンドルHDLの姿勢の回転を演算する。
さらに、他の変形例として、第2センサ部21は、3軸角速度センサと3軸加速度センサとを組み合わせた構成であってもよい。
すなわち、第2センサ部21は、二輪車BKの角速度及び加速度の少なくともいずれか一方を検出すればよい。
【0096】
上記各実施形態では、測位チップ内に、測位演算部と、前処理演算部とが、一体に設けられているが、変形例として、測位演算部と、前処理演算部とが、別々のチップに設けられてもよい。その場合、測位演算部と、前処理演算部とは、各情報の送受信のため、有線又は無線の通信回線により接続される。
【0097】
上記各実施形態では、測位チップが、測位演算部と、前処理演算部とを備えているが、変形例として、後述するプログラムを実行することにより、コンピュータを、測位演算部と、前処理演算部として機能させてもよい。
【0098】
上記各実施形態では、第一の実施形態の前処理演算部と第二の実施形態の前処理演算部とが、異なる構成となっているが、互いに組み合わせられてもよい。
例えば、第1の実施形態において、本体部10に、第2センサ部21がさらに設けられ、前処理演算部15に、第1回転角取得部15a’と、第2回転角取得部15b’と、舵角演算部15c’とがさらに設けられてもよい。
【0099】
上記各実施形態では、本体部が、二輪車BKのハンドルHDLに取り付けられ、第1センサ部が、二輪車BKのボディBDに取り付けられているが、二輪車BKに限らず、どのような車両に設けられてもよい。
変形例として、本体部が、四輪車のハンドルに取り付けられ、第1センサ部が、四輪車のボディBDに取り付けられてもよい。
【0100】
なお、各実施形態においては、CPU及びコンピュータの各種機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりを行うものとしている。ここで、コンピュータシステムのCPUの処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0101】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。