特許第6856748号(P6856748)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱パワー株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6856748-軸流回転機械 図000002
  • 特許6856748-軸流回転機械 図000003
  • 特許6856748-軸流回転機械 図000004
  • 特許6856748-軸流回転機械 図000005
  • 特許6856748-軸流回転機械 図000006
  • 特許6856748-軸流回転機械 図000007
  • 特許6856748-軸流回転機械 図000008
  • 特許6856748-軸流回転機械 図000009
  • 特許6856748-軸流回転機械 図000010
  • 特許6856748-軸流回転機械 図000011
  • 特許6856748-軸流回転機械 図000012
  • 特許6856748-軸流回転機械 図000013
  • 特許6856748-軸流回転機械 図000014
  • 特許6856748-軸流回転機械 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856748
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】軸流回転機械
(51)【国際特許分類】
   F01D 11/02 20060101AFI20210405BHJP
   F01D 5/02 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   F01D11/02
   F01D5/02
【請求項の数】16
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2019-525348(P2019-525348)
(86)(22)【出願日】2018年6月6日
(86)【国際出願番号】JP2018021706
(87)【国際公開番号】WO2018230411
(87)【国際公開日】20181220
【審査請求日】2019年11月28日
(31)【優先権主張番号】特願2017-115364(P2017-115364)
(32)【優先日】2017年6月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱パワー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】門間 和弘
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 茂樹
【審査官】 岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02292897(EP,A1)
【文献】 米国特許第03529904(US,A)
【文献】 特開2011−174451(JP,A)
【文献】 特開2011−080452(JP,A)
【文献】 特開2012−137006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 11/02
F01D 5/02
F01D 9/00 − 9/04
F01D 25/00
F16J 15/3292
F16J 15/447
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を中心として回転するロータと、
前記ロータの外周側を覆うケーシングと、
前記ケーシングの内側に設けられ、前記軸線に対する周方向に並んでいる複数の静翼と、
前記軸線に対する径方向に延びる媒体流変更面を有する媒体流変更部材と、
を備え、
前記ケーシングは、作動媒体を内部に導く媒体入口と、前記媒体入口よりも前記軸線が延びる軸線方向における下流側である軸線下流側に位置する媒体出口と、を有し、
前記ロータは、前記軸線を中心として、前記軸線が延びる軸線方向に長いロータ軸と、前記周方向に並んで前記ロータ軸に固定されている複数の動翼と、を有し、
複数の前記静翼及び複数の前記動翼は、いずれも、前記軸線方向で前記媒体入口と前記媒体出口との間に配置され、複数の前記動翼は、複数の前記静翼よりも前記軸線下流側に配置され、
複数の前記静翼は、いずれも、前記径方向に延びて翼形を成す翼体と、前記翼体の前記軸線に対する径方向内側に設けられている内側シュラウドと、前記内側シュラウドの前記径方向内側に設けられている一以上のシールフィンと、を有し、
前記ロータ軸には、前記径方向内側に向かって凹んで前記軸線を中心として環状を成し、前記内側シュラウド及び一以上の前記シールフィンが非接触で入り込む環状溝が形成され、
前記環状溝は、前記軸線に対する径方向外側を向く溝底面と、前記溝底面の前記軸線下流側の端から前記径方向外側に向かって広がる下流側溝側面と、を有し、
前記媒体流変更面は、前記軸線方向で前記軸線下流側とは反対側の軸線上流側を向き、且つ前記溝底面から前記径方向外側に向かって広がり、
前記内側シュラウドで最も前記軸線下流側の端から前記下流側溝側面までの前記軸線方向の距離が距離Lであり、
前記媒体流変更面は、前記下流側溝側面よりも前記軸線上流側に配置され、
一以上の前記シールフィンのうちで最も前記軸線下流側の最下流シールフィンから前記媒体流変更面までの前記軸線方向の距離Lfは、前記軸線下流側に前記距離L以下である、
軸流回転機械。
【請求項2】
請求項1に記載の軸流回転機械において、
前記内側シュラウドは、前記軸線下流側を向いて前記下流側溝側面と対向する下流側端面を有し、
前記下流側端面は、前記径方向外側に向かうに連れて次第に前記軸線下流側に向う傾斜面を含む、
軸流回転機械。
【請求項3】
請求項2に記載の軸流回転機械において、
前記媒体流変更面の前記径方向外側の端から、前記媒体流変更面に対して170°の方向に前記傾斜面が存在する、
軸流回転機械。
【請求項4】
軸線を中心として回転するロータと、
前記ロータの外周側を覆うケーシングと、
前記ケーシングの内側に設けられ、前記軸線に対する周方向に並んでいる複数の静翼と、
前記軸線に対する径方向に延びる媒体流変更面を有する媒体流変更部材と、
を備え、
前記ケーシングは、作動媒体を内部に導く媒体入口と、前記媒体入口よりも前記軸線が延びる軸線方向における下流側である軸線下流側に位置する媒体出口と、を有し、
前記ロータは、前記軸線を中心として、前記軸線が延びる軸線方向に長いロータ軸と、前記周方向に並んで前記ロータ軸に固定されている複数の動翼と、を有し、
複数の前記静翼及び複数の前記動翼は、いずれも、前記軸線方向で前記媒体入口と前記媒体出口との間に配置され、複数の前記動翼は、複数の前記静翼よりも前記軸線下流側に配置され、
複数の前記静翼は、いずれも、前記径方向に延びて翼形を成す翼体と、前記翼体の前記軸線に対する径方向内側に設けられている内側シュラウドと、前記内側シュラウドの前記径方向内側に設けられている一以上のシールフィンと、を有し、
前記ロータ軸には、前記径方向内側に向かって凹んで前記軸線を中心として環状を成し、前記内側シュラウド及び一以上の前記シールフィンが非接触で入り込む環状溝が形成され、
前記環状溝は、前記軸線に対する径方向外側を向く溝底面と、前記溝底面の前記軸線下流側の端から前記径方向外側に向かって広がる下流側溝側面と、を有し、
前記媒体流変更面は、前記軸線方向で前記軸線下流側とは反対側の軸線上流側を向き、且つ前記溝底面から前記径方向外側に向かって広がり、
前記内側シュラウドは、前記軸線下流側を向いて前記下流側溝側面と対向する下流側端面を有し、
前記下流側端面は、前記径方向外側に向かうに連れて次第に前記軸線下流側に向う傾斜面を含み、
前記媒体流変更面は、前記下流側溝側面よりも前記軸線上流側であって、一以上の前記シールフィンのうちで最も前記軸線下流側の最下流シールフィンよりも前記軸線下流側に位置し、
前記媒体流変更面の前記径方向外側の端から、前記媒体流変更面に対して170°の方向に前記傾斜面が存在し、
前記内側シュラウドで最も前記軸線下流側の端から前記下流側溝側面までの前記軸線方向の距離が距離Lであり、
前記最下流シールフィンから前記媒体流変更面までの前記軸線方向の距離が距離Lfである、
軸流回転機械。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載の軸流回転機械において、
前記内側シュラウドは、前記径方向外側に前記翼体が設けられているシュラウド本体と、前記シュラウド本体の前記径方向内側に固定され、一以上の前記シールフィンが径方向内側に設けられているシールリングと、を有し、
前記シールリングは、前記傾斜面を有する、
軸流回転機械。
【請求項6】
請求項2から4のいずれか一項に記載の軸流回転機械において、
前記内側シュラウドは、前記径方向外側を向き、前記翼体が形成されているガスパス面を有し、
前記傾斜面は、前記内側シュラウドの前記ガスパス面から、前記径方向内側に向って、前記内側シュラウドの前記径方向の厚さの半分の距離の位置までの範囲内に少なくとも存在する、
軸流回転機械。
【請求項7】
請求項6に記載の軸流回転機械において、
前記傾斜面の前記径方向内側の端は、前記内側シュラウドの前記ガスパス面から、前記径方向内側に向って、前記内側シュラウドの前記径方向の厚さの半分の距離の位置までの範囲内に位置する、
軸流回転機械。
【請求項8】
請求項2から7のいずれか一項に記載の軸流回転機械において、
前記媒体流変更面は、前記軸線方向で、前記傾斜面が存在する領域内に位置する、
軸流回転機械。
【請求項9】
請求項2から8のいずれか一項に記載の軸流回転機械において、
前記溝底面から前記媒体流変更面の前記径方向外側の端までの前記径方向の距離である変更面高さは、前記溝底面から前記傾斜面の前記径方向内側の端までの前記径方向の距離である傾斜面高さより低い、
軸流回転機械。
【請求項10】
請求項2から9のいずれか一項に記載の軸流回転機械において、
前記傾斜面から前記径方向外側に向かいつつ前記軸線下流側に向う仮想延長線は、前記下流側溝側面と交わらない、
軸流回転機械。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の軸流回転機械において、
前記媒体流変更面の前記径方向外側の端から前記内側シュラウドまでの最短距離は、前記距離L以下である、
軸流回転機械。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の軸流回転機械において、
前記距離Lfは、前記距離Lの0.5倍以上の距離である、
軸流回転機械。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の軸流回転機械において、
前記溝底面から前記媒体流変更面の前記径方向外側の端までの前記径方向の距離である変更面高さは、前記溝底面から前記内側シュラウドの前記径方向内側の端までの径方向の距離であるシール面高さ以下である、
軸流回転機械。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の軸流回転機械において、
前記溝底面から前記媒体流変更面の前記径方向外側の端までの前記径方向の距離である変更面高さは、一以上の前記シールフィンの前記径方向の長さであるフィン高さ以下である、
軸流回転機械。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の軸流回転機械において、
前記ケーシングは、蒸気タービンケーシングであり、
前記蒸気タービンケーシングは、前記作動媒体としての蒸気を内部に導く前記媒体入口としての蒸気入口と、前記媒体出口としての蒸気出口と、を有する、
軸流回転機械。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか一項に記載の軸流回転機械において、
前記ケーシングは、ガスタービンケーシングであり、
前記ガスタービンケーシングは、前記作動媒体としての燃焼ガスを内部に導く前記媒体入口としての燃焼ガス入口と、前記媒体出口としての燃焼ガス出口と、を有する、
軸流回転機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動媒体により回転するロータと、このロータの外周側を覆うケーシングと、を備える軸流回転機械に関する。
本願は、2017年6月12日に日本国に出願された特願2017−115364号に基づき優先権を主張し、この内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
軸流回転機械の一種である蒸気タービンは、軸線を中心として回転するロータと、ロータの外周側を覆うケーシングと、ケーシングの内側に設けられている複数の静翼と、を備える。ロータは、軸線を中心として、軸線が延びる軸線方向に長いロータ軸と、ロータ軸に固定されている複数の動翼と、を有する。動翼は、翼形を成す翼体と、プラットフォームとを有する。プラットフォームは、ロータ軸に固定されている。また、静翼は、翼形を成す翼体と、内側シュラウドとを有する。ロータ軸には、軸線に対する径方向内側に向かって凹んで軸線を中心として環状の環状溝が形成されている。静翼の内側シュラウドは、この環状溝内に非接触で入っている。ケーシング内で、複数の動翼の各翼体及び複数の静翼の各翼体が存在している空間は、軸線を中心として環状の空間である。この環状の空間は、蒸気が流れる蒸気主流路を形成する。
【0003】
以上のような構成の蒸気タービンでは、ケーシング内に流入した蒸気が蒸気主流路を通過する過程で、その一部がキャビティ入口から環状溝内に漏れ蒸気として流入する。この漏れ蒸気は、内側シュラウドと環状溝の溝底面との間を経て、キャビティ出口から蒸気主流路に戻る。なお、キャビティ入口は、環状溝の開口のうちで内側シュラウドよりも軸線上流側の部分である。また、キャビティ出口は、環状溝の開口のうちで内側シュラウドよりも軸線下流側の部分である。内側シュラウドと環状溝の溝底面との間を通過し、キャビティ出口に向かう漏れ蒸気は、径方向の流速成分を含んでいる。この漏れ蒸気のうち、環状溝の下流側溝側面に沿った漏れ蒸気の流れは、この下流側溝側面から軸線上流側に離れた漏れ蒸気の流れよりも、径方向の流速成分が大きい。蒸気主流路中の主蒸気は、軸線下流側に向う。蒸気主流路中を径方向下流側に流れる主蒸気流れ中には、径方向内側から径方向外側に向かう漏れ蒸気が流入する。この結果、主蒸気と漏れ蒸気との混合部分より下流側に、複雑な流れの二次流れが生じる。
【0004】
蒸気主流路中に二次流れが生じると、蒸気タービンの効率が低下する。このため、以下の特許文献1では、二次流れ損失を抑えるために、環状溝の溝底面から径方向外側に延びるフィンを設けている。このフィンは、軸線方向で、内側シュラウドと環状溝の下流側側面との間の位置に配置されている。特許文献1に記載の技術では、このフィンの存在により、環状溝の下流側側面に沿った漏れ蒸気の流れにおける径方向の流速成分を抑えることで、二次流れ損失を抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2292897号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
軸流回転機械業界では、軸流回転機械の効率のさらなる向上が望まれている。
【0007】
そこで、本発明は、二次流れ損失をより抑えて、軸流回転機械の効率をさらに高めることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための発明に係る第一態様の軸流回転機械は、
軸線を中心として回転するロータと、前記ロータの外周側を覆うケーシングと、前記ケーシングの内側に設けられ、前記軸線に対する周方向に並んでいる複数の静翼と、前記軸線に対する径方向に延びる媒体流変更面を有する媒体流変更部材と、を備える。前記ケーシングは、作動媒体を内部に導く媒体入口と、前記媒体入口よりも前記軸線が延びる軸線方向における下流側である軸線下流側に位置する媒体出口と、を有する。前記ロータは、前記軸線を中心として、前記軸線が延びる軸線方向に長いロータ軸と、前記周方向に並んで前記ロータ軸に固定されている複数の動翼と、を有する。複数の前記静翼及び複数の前記動翼は、いずれも、前記軸線方向で前記媒体入口と前記媒体出口との間に配置されている。複数の前記動翼は、複数の前記静翼よりも前記軸線下流側に配置されている。複数の前記静翼は、いずれも、前記径方向に延びて翼形を成す翼体と、前記翼体の前記軸線に対する径方向内側に設けられている内側シュラウドと、前記内側シュラウドの前記径方向内側に設けられている一以上のシールフィンと、を有する。前記ロータ軸には、前記径方向内側に向かって凹んで前記軸線を中心として環状を成し、前記内側シュラウド及び一以上の前記シールフィンが非接触で入り込む環状溝が形成されている。前記環状溝は、前記軸線に対する径方向外側を向く溝底面と、前記溝底面の前記軸線下流側の端から前記径方向外側に向かって広がる下流側溝側面と、を有する。前記媒体流変更面は、前記軸線方向で前記軸線下流側とは反対側の軸線上流側を向き、且つ前記溝底面から前記径方向外側に向かって広がっている。前記内側シュラウドで最も前記軸線下流側の端から前記下流側溝側面までの前記軸線方向の距離が距離Lである。前記媒体流変更面は、前記下流側溝側面よりも前記軸線上流側に配置されている。一以上の前記シールフィンのうちで最も前記軸線下流側の最下流シールフィンから前記媒体流変更面までの軸線方向の距離Lfは、前記軸線下流側に前記距離L以下である。
【0009】
軸流回転機械では、媒体主流路を流れる主媒体の一部が、環状溝の開口のうちで、内側シュラウドよりも軸線上流側のキャビティ入口から漏れ媒体として環状溝内に流入する。この漏れ媒体は、内側シュラウドと環状溝の溝底面との間を軸線下流側に向って流れる。内側シュラウドと環状溝の溝底面との間を通過した漏れ媒体は、内側シュラウドの下流側端面と環状溝の下流側溝側面との間を主として径方向外側に流れる。そして、この漏れ媒体は、環状溝の開口のうちで、内側シュラウドよりも軸線下流側のキャビティ出口から媒体主流路内に戻る。
【0010】
この漏れ媒体は、媒体主流路中を軸線下流側に流れる主媒体の流れ中に混入する。この結果、主媒体と漏れ媒体との混合部分より下流側に、複雑な流れの二次流れが生じる。媒体主流路中に二次流れが生じると、軸流回転機械の効率が低下する。
【0011】
内側シュラウドと環状溝の溝底面との間を通過し、軸線下流側に流れる漏れ媒体が、仮に、環状溝の下流側溝側面に当たると、この漏れ媒体は、主として、下流側溝側面に沿って、ほぼ径方向外側に流れる。このため、軸線下流側に流れる漏れ媒体が、仮に、環状溝の下流側溝側面に当たると、内側シュラウドの下流側端面と環状溝の下流側溝側面との間を流れる漏れ媒体のうち、下流側溝側面に沿って径方向外側に流れる漏れ媒体は、下流側溝側面から軸線上流側に離れた位置を径方向外側に流れる漏れ媒体よりも、径方向の流速成分が大きくなる。
【0012】
本態様の軸流回転機械では、一以上のシールフィンのうち、最下流シールフィンの径方向内側の端と環状溝の溝底面との間を通過した漏れ媒体は、主として、溝底面に沿って軸線下流側に流れる。この漏れ媒体は、下流側溝側面よりも軸線上流側に存在する媒体流変更面に当たる。この漏れ媒体は、媒体流変更面に当たると、主として、媒体流変更面に沿って、ほぼ径方向外側に流れる。この漏れ媒体は、その後、内側シュラウドの下流側端面と環状溝の下流側溝側面との間を主として径方向外側に流れる。そして、この漏れ媒体は、キャビティ出口を経て、媒体主流路内に戻る。
【0013】
本態様の軸流回転機械では、一以上のシールフィンを内側シュラウドに設けたので、前述したように、最下流シールフィンの径方向内側の端と環状溝の溝底面との間に通過した漏れ媒体の流れが、主として溝底面に沿った流れになる。このため、内側シュラウドのシール面と環状溝の溝底面との間に通過した漏れ媒体の多くを媒体流変更面に当てることができる。よって、本態様の軸流回転機械では、この媒体流変更面に沿って、ほぼ径方向外側に流れる漏れ媒体の流量を多くすることができる。
【0014】
しかも、本態様の軸流回転機械では、最下流シールフィンから媒体流変更面までの軸線方向の距離が、内側シュラウドで最も軸線下流側の端から下流側溝側面までの軸線方向の距離L以下であるため、下流側溝側面よりも軸線上流側の位置で、主たる漏れ媒体の流れを径方向外側の流れに変えることができる。
【0015】
よって、本態様の軸流回転機械では、下流側溝側面に沿って径方向外側に流れる漏れ媒体の流量が少なくなる上に、この漏れ媒体の径方向の流速も小さくなる。一方で、本態様の軸流回転機械では、下流側溝側面から軸線上流側に離れた位置を径方向外側に流れる漏れ媒体の流量が多くなる上に、この漏れ媒体の径方向の流速も大きくなる。すなわち、本態様の軸流回転機械では、キャビティ出口における漏れ媒体の径方向の流れに関する流速分布が均一化され、径方向の最大流速も小さくなる。
【0016】
このため、本態様の軸流回転機械では、二次流れ損失を抑えることができるので、軸流回転機械の効率を高めることできる。さらに、本態様の軸流回転機械では、内側シュラウドに一以上のシールフィンを設けているので、漏れ媒体の流量を抑えることができ、この観点からも、軸流回転機械の効率を高めることができる。
【0017】
前記目的を達成するための発明に係る第二態様の軸流回転機械は、
前記第一態様の軸流回転機械において、前記内側シュラウドは、前記軸線下流側を向いて前記下流側溝側面と対向する下流側端面を有する。この場合、前記下流側端面は、前記径方向外側に向かうに連れて次第に前記軸線下流側に向う傾斜面を含む。
【0018】
本態様の軸流回転機械では、環状溝内で、内側シュラウドと環状溝の下流側溝側面との間を径方向外側に流れる漏れ媒体の一部が、傾斜面に当たり、この傾斜面に沿って流れることになる。この傾斜面に沿って流れる漏れ媒体は、径方向外側に向かうに連れて次第に軸線下流側に向う。このため、本態様の軸流回転機械では、この漏れ媒体の流速成分中で径方向の流速成分を小さくすることできる。
【0019】
前記目的を達成するための発明に係る第三態様の軸流回転機械は、
前記第二態様の軸流回転機械において、前記媒体流変更面の前記径方向外側の端から、前記媒体流変更面に対して170°の方向に前記傾斜面が存在する。
【0020】
媒体流変更面の径方向外側の端の位置での漏れ媒体の流れ方向は、媒体流変更面に対する角度がほぼ170°の方向になる。このため、本態様の軸流回転機械では、媒体流変更面に沿って径方向外側に流れた漏れ媒体の多くを傾斜面に沿って流すことができる。このため、本態様の軸流回転機械では、傾斜面による効果を高めることができる。
【0021】
前記目的を達成するための発明に係る第四態様の軸流回転機械は、
軸線を中心として回転するロータと、前記ロータの外周側を覆うケーシングと、前記ケーシングの内側に設けられ、前記軸線に対する周方向に並んでいる複数の静翼と、前記軸線に対する径方向に延びる媒体流変更面を有する媒体流変更部材と、を備える。前記ケーシングは、作動媒体を内部に導く媒体入口と、前記媒体入口よりも前記軸線が延びる軸線方向における下流側である軸線下流側に位置する媒体出口と、を有する。前記ロータは、前記軸線を中心として、前記軸線が延びる軸線方向に長いロータ軸と、前記周方向に並んで前記ロータ軸に固定されている複数の動翼と、を有する。複数の前記静翼及び複数の前記動翼は、いずれも、前記軸線方向で前記媒体入口と前記媒体出口との間に配置されている。複数の前記動翼は、複数の前記静翼よりも前記軸線下流側に配置されている。複数の前記静翼は、いずれも、前記径方向に延びて翼形を成す翼体と、前記翼体の前記軸線に対する径方向内側に設けられている内側シュラウドと、前記内側シュラウドの前記径方向内側に設けられている一以上のシールフィンと、を有する。前記ロータ軸には、前記径方向内側に向かって凹んで前記軸線を中心として環状を成し、前記内側シュラウド及び一以上の前記シールフィンが非接触で入り込む環状溝が形成されている。前記環状溝は、前記軸線に対する径方向外側を向く溝底面と、前記溝底面の前記軸線下流側の端から前記径方向外側に向かって広がる下流側溝側面と、を有する。前記媒体流変更面は、前記軸線方向で前記軸線下流側とは反対側の軸線上流側を向き、且つ前記溝底面から前記径方向外側に向かって広がっている。前記内側シュラウドは、前記軸線下流側を向いて前記下流側溝側面と対向する下流側端面を有する。前記下流側端面は、前記径方向外側に向かうに連れて次第に前記軸線下流側に向う傾斜面を含む。前記媒体流変更面は、前記下流側溝側面よりも前記軸線上流側であって、一以上の前記シールフィンのうちで最も前記軸線下流側の最下流シールフィンよりも前記軸線下流側に位置する。前記媒体流変更面の前記径方向外側の端から、前記媒体流変更面に対して170°の方向に前記傾斜面が存在する。前記内側シュラウドで最も前記軸線下流側の端から前記下流側溝側面までの前記軸線方向の距離が距離Lである。前記最下流シールフィンから前記媒体流変更面までの前記軸線方向の距離が距離Lfである。
【0022】
本態様の軸流回転機械でも、第一態様の軸流回転機械と同様に、媒体流変更部材を有し、一以上のシールフィンが内側シュラウドに設けられているので、第一態様と同様に、二次流れ損失を抑えることができ、軸流回転機械の効率を高めることできる。さらに、本態様の軸流回転機械でも、内側シュラウドに一以上のシールフィンを設けているので、漏れ媒体の流量を抑えることができ、この観点からも、軸流回転機械の効率を高めることができる。
【0023】
さらに、本態様の軸流回転機械では、環状溝内で、内側シュラウドと環状溝の下流側溝側面との間を径方向外側に流れる漏れ媒体の一部が、傾斜面に当たり、この傾斜面に沿って流れることになる。この傾斜面に沿って流れる漏れ媒体は、径方向外側に向かうに連れて次第に軸線下流側に向う。このため、本態様の軸流回転機械では、この漏れ媒体の流速成分中で径方向の流速成分を小さくすることできる。
【0024】
媒体流変更面の径方向外側の端の位置での漏れ媒体の流れ方向は、媒体流変更面に対する角度がほぼ170°の方向になる。このため、本態様の軸流回転機械では、媒体流変更面に沿って径方向外側に流れた漏れ媒体の多くを傾斜面に沿って流すことができる。このため、本態様の軸流回転機械では、傾斜面による効果を高めることができる。
【0025】
前記目的を達成するための発明に係る第五態様の軸流回転機械は、
前記第二態様から前記第四態様のいずれかの軸流回転機械において、前記内側シュラウドは、前記径方向外側に前記翼体が設けられているシュラウド本体と、前記シュラウド本体の前記径方向内側に固定され、一以上の前記シールフィンが径方向内側に設けられているシールリングと、を有する。この場合、前記シールリングは、前記傾斜面を有する。
【0026】
前記目的を達成するための発明に係る第六態様の軸流回転機械は、
前記第二態様から前記第四態様のいずれかの軸流回転機械において、前記内側シュラウドは、前記径方向外側を向き、前記翼体が形成されているガスパス面を有する。この場合、前記傾斜面は、前記内側シュラウドの前記ガスパス面から、前記径方向内側に向って、前記内側シュラウドの前記径方向の厚さの半分の距離の位置までの範囲内に少なくとも存在する。
【0027】
本態様の軸流回転機械では、環状溝内で、内側シュラウドと環状溝の下流側溝側面との間を径方向外側に流れる漏れ媒体の一部を、径方向でキャビティ出口に近い位置で、傾斜面に沿わせることができる。よって、本態様の軸流回転機械では、キャビティ出口における漏れ媒体の流速成分中で径方向の流速成分を小さくすることできる。
【0028】
前記目的を達成するための発明に係る第七態様の軸流回転機械は、
前記第六態様の軸流回転機械において、前記傾斜面の前記径方向内側の端は、前記内側シュラウドの前記ガスパス面から、前記径方向内側に向って、前記内側シュラウドの前記径方向の厚さの半分の距離の位置までの範囲内に位置する。
【0029】
傾斜面の径方向内側の端の位置が、軸線方向で、最下流シールフィンと位置関係から制限を受ける場合がある。この場合、この端を径方向外側に位置させる方が、傾斜面の傾斜方向が軸線方向の向きに近くなる。傾斜面の傾斜方向が軸線方向の向きに近くなると、この傾斜面に沿って流れる漏れ媒体の流速成分中で径方向の流速成分が小さくなる。よって、本態様の軸流回転機械では、この端の位置を径方向内側に位置させる場合よりも、キャビティ出口における漏れ媒体の径方向の流速成分を小さくすることができる。
【0030】
前記目的を達成するための発明に係る第八態様の軸流回転機械は、
前記第二態様から前記第七態様のいずれかの軸流回転機械において、前記媒体流変更面は、前記軸線方向で、前記傾斜面が存在する領域内に位置する。
【0031】
本態様の軸流回転機械では、最下流シールフィンから媒体流変更面までの軸線方向の距離Lfが短くなる。このため、媒体流変更面に沿って径方向外側に流れる漏れ媒体の軸線方向の位置を、より軸線上流側にさせることができる。さらに、本態様の軸流回転機械では、媒体流変更面に沿って径方向外側に流れた漏れ媒体の多くを傾斜面に導くことができる。このため、キャビティ出口における漏れ媒体の径方向の流れに関する流速分布が、より均一化され、径方向の最大流速も小さくなる。
【0032】
前記目的を達成するための発明に係る第九態様の軸流回転機械は、
前記第二態様から前記第八態様のいずれかの軸流回転機械において、前記溝底面から前記媒体流変更面の前記径方向外側の端までの前記径方向の距離である変更面高さは、前記溝底面から前記傾斜面の前記径方向内側の端までの前記径方向の距離である傾斜面高さより低い。
【0033】
ケーシングとロータとの熱膨張差により、ケーシングに固定されている静翼が、ロータに対して相対的に移動しても、内側シュラウドの下流側端面と媒体流変更部材との接触を回避する必要がある。
【0034】
本態様の軸流回転機械では、傾斜面の径方向内側に端が内側シュラウドで最も軸線下流側の端よりも、軸線上流側に位置している。このため、媒体流変更面から傾斜面の径方向内側の端までの軸線方向の距離が、媒体流変更面から内側シュラウドで最も軸線下流側の端までの軸線方向の距離より長くなる。よって、本態様の軸流回転機械では、ケーシングとロータとの熱膨張差により、静翼がロータに対して相対移動しても、内側シュラウドの下流側端面と媒体流変更部材との接触を回避することができる。
【0035】
前記目的を達成するための発明に係る第十態様の軸流回転機械は、
前記第二態様から前記第九態様のいずれかの軸流回転機械において、前記傾斜面から前記径方向外側に向かいつつ前記軸線下流側に向う仮想延長線は、前記下流側溝側面と交わらない。
【0036】
本態様の軸流回転機械では、傾斜面に沿って流れた漏れ媒体が下流側溝側面にあたる量を少なくすることができる。
【0037】
前記目的を達成するための第十一態様の軸流回転機械は、
前記第一態様から前記第十態様のいずれかの軸流回転機械において、前記媒体流変更面の前記径方向外側の端から前記内側シュラウドまでの最短距離は、前記距離L以下である。
【0038】
媒体流変更面の径方向外側の端とこの端から最短距離の位置にある内側シュラウドの部分との間をキャビティ内下流側流路の入口とし、このキャビティ下流側流路の出口をキャビティ出口とする。本態様の軸流回転機械では、媒体流変更面の径方向外側の端から内側シュラウドまでの最短距離が距離L以下である。よって、本態様の軸流回転機械のキャビティ内下流側流路は、入口の開口面積に対して出口の開口面積が大きい拡張流路である。しかも、本態様の軸流回転機械では、キャビティ内下流側流路の出口は、キャビティ内下流側流路の入口よりも軸線下流側に位置している。このため、本態様の軸流回転機械では、キャビティ内下流側流路の出口、つまりキャビティ出口から流出する漏れ媒体の速度成分のうち、軸線方向成分を大きくし、径方向成分を少なくすることができる。
【0039】
前記目的を達成するための第十二態様の軸流回転機械は、
前記第一態様から前記第十一態様のいずれかの軸流回転機械において、前記距離Lfは、前記距離Lの0.5倍以上の距離である。
【0040】
本態様の軸流回転機械では、ケーシングとロータとの熱膨張差により、静翼がロータに対して相対移動しても、内側シュラウドの下流側端面と媒体流変更部材との接触を回避することができる。
【0041】
前記目的を達成するための発明に係る第十三態様の軸流回転機械は、
前記第一態様から前記第十二態様のいずれかの軸流回転機械において、前記溝底面から前記媒体流変更面の前記径方向外側の端までの前記径方向の距離である変更面高さは、前記溝底面から前記内側シュラウドの前記径方向内側の端までの径方向の距離であるシール面高さ以下である。
【0042】
本態様の軸流回転機械では、ケーシングとロータとの熱膨張差により、静翼がロータに対して相対移動しても、内側シュラウドの下流側端面と媒体流変更部材との接触を、より確実に回避することができる。
【0043】
前記目的を達成するための発明に係る第十四態様の軸流回転機械は、
前記第一態様から前記第十二態様のいずれかの軸流回転機械において、前記溝底面から前記媒体流変更面の前記径方向外側の端までの前記径方向の距離である変更面高さは、一以上の前記シールフィンの前記径方向の長さであるフィン高さ以下である。
【0044】
本態様の軸流回転機械では、ケーシングとロータとの熱膨張差により、静翼がロータに対して相対移動しても、内側シュラウドの下流側端面と媒体流変更部材との接触を、より確実に回避することができる。
【0045】
ここで、前記第一態様から前記第十四態様のいずれかの軸流回転機械において、前記ケーシングは、蒸気タービンケーシングであり、前記蒸気タービンケーシングは、前記作動媒体としての蒸気を内部に導く前記媒体入口としての蒸気入口と、前記媒体出口としての蒸気出口と、を有してもよい。すなわち、前記軸流回転機械は、蒸気タービンであってもよい。
【0046】
また、前記第一態様から前記第十四態様のいずれかの軸流回転機械において、前記ケーシングは、ガスタービンケーシングであり、前記ガスタービンケーシングは、前記作動媒体としての燃焼ガスを内部に導く前記媒体入口としての燃焼ガス入口と、前記媒体出口としての燃焼ガス出口と、を有してもよい。すなわち、前記軸流回転機械は、ガスタービンであってもよい。
【発明の効果】
【0047】
本発明の一態様に係る軸流回転機械では、二次流れ損失を抑えて、軸流回転機械の効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明に係る第一実施形態における軸流回転機械の全体断面図である。
図2】本発明に係る第一実施形態における軸流回転機械の要部断面図である。
図3】本発明に係る第一実施形態における軸流回転機械の内側環状溝及び内側シュラウド周りの断面図である。
図4】比較例における軸流回転機械の内側環状溝及び内側シュラウド周りの断面図である。
図5】本発明に係る第二実施形態における軸流回転機械の内側環状溝及び内側シュラウド周りの断面図である。
図6】本発明に係る第三実施形態における軸流回転機械の内側環状溝及び内側シュラウド周りの断面図である。
図7】本発明に係る第四実施形態における軸流回転機械の内側環状溝及び内側シュラウド周りの断面図である。
図8】本発明に係る第五実施形態における軸流回転機械の内側環状溝及び内側シュラウド周りの断面図である。
図9】本発明に係る、変形例の媒体流変更部材を含む軸流回転機械の内側環状溝及び内側シュラウド周りの断面図である。
図10】本発明に係る、第一変形例の傾斜面を含む軸流回転機械の内側環状溝及び内側シュラウド周りの断面図である。
図11】本発明に係る、第二変形例の傾斜面を含む軸流回転機械の内側環状溝及び内側シュラウド周りの断面図である。
図12】本発明に係る変形例における軸流回転機械の全体断面図である。
図13】本発明に係る変形例における軸流回転機械の要部断面図である。
図14】本発明に係る変形例における軸流回転機械の環状溝及び内側シュラウド周りの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明に係る軸流回転機械の各種実施形態、及び各種変形例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0050】
「第一実施形態」
本発明に係る軸流回転機械の第一実施形態について、図1図4を参照して説明する。
【0051】
第一実施形態の軸流回転機械は、蒸気タービンである。この蒸気タービンは、図1に示すように、軸線Arを中心として回転するロータ20と、ロータ20の外周側を覆う蒸気タービンケーシング10と、蒸気タービンケーシング10に固定されている複数の静翼列41と、を備える。なお、以下では、軸線Arが延びている方向を軸線方向Daとし、この軸線Arを中心とした周方向を単に周方向Dcとし、軸線Arに対して垂直な方向を径方向Drとする。さらに、この径方向Drで軸線Arに近づく側を径方向内側Dri、その反対側を径方向外側Droとする。
【0052】
蒸気タービンケーシング10は、蒸気が外部から流入する流入部11と、胴部12と、蒸気を外部に排気する排気部15と、を有する。なお、以下では、蒸気タービンケーシングを単にケーシングという。流入部11には、内部に作動媒体である蒸気を導く蒸気入口(媒体入口)11iが形成されている。胴部12は、軸線Arを中心としてほぼ筒状を成している。排気部15には、蒸気を外部に排気する蒸気出口(媒体出口)15oが形成されている。流入部11、胴部12、排気部15は、この順序で軸線方向Daに並んでいる。なお、以下では、軸線方向Daで、排気部15に対して流入部11が存在する側を軸線上流側Dau、その反対側を軸線下流側Dadとする。
【0053】
ロータ20は、軸線Arを中心として軸線方向Daに延びるロータ軸21と、このロータ軸21に取り付けられている複数の動翼列31と、を有する。複数の動翼列31は、軸線方向Daに並んで、筒状の胴部12の径方向内側Driに配置されている。各動翼列31は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼32で構成される。
【0054】
複数の静翼列41は、軸線方向Daに並んでいる。各静翼列41は、複数の動翼列31のうちのいずれか一の動翼列31の軸線上流側Dauに配置されている。各静翼列41は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の静翼42で構成される。各静翼42は、いずれも、筒状の胴部12の径方向内側Driに配置され、この胴部12に固定されている。
【0055】
ロータ軸21の軸線上流側Dauの端は、ケーシング10内から軸線上流側Dauに突出している。また、ロータ軸21の軸線下流側Dadの端は、ケーシング10内から軸線下流側Dadに突出している。ケーシング10の流入部11で、ロータ軸21が外部に貫通している部分には、上流側軸封16uが設けられている。また、ケーシング10の排気部15で、ロータ軸21が外部に貫通している部分には、下流側軸封16dが設けられている。ロータ軸21で、上流側軸封16uよりも軸線上流側Dauの部分は、上流側軸受17uで支持されている。また、ロータ軸21で、下流側軸封16dよりも軸線下流側Dadの部分は、下流側軸受17dで支持されている。ロータ20は、上流側軸受17u及び下流側軸受により、軸線Arを中心として回転可能に支持されている。
【0056】
動翼32は、図2に示すように、翼形を成し径方向Drに延びる翼体33と、翼体33の径方向外側Droに設けられている外側シュラウド34と、を有する。翼体33は、ロータ軸21に固定されている。外側シュラウド34の径方向内側Driの面は、ガスパス面35を形成する。なお、ここで例示している動翼32は、外側シュラウド34を有するが、この外側シュラウド34が省略される場合もある。
【0057】
ケーシング10の胴部12で、動翼32の外側シュラウド34と径方向Drで対向する部分には、外側環状溝13が形成されている。この外側環状溝13は、径方向外側Droに凹んで、軸線Arを中心として環状を成す。動翼32の外側シュラウド34は、この外側環状溝13内に配置されている。外側環状溝13の溝底面には、この溝底面から径方向内側Driに延びる複数のシールフィン14が設けられている。動翼32の外側シュラウド34は、この外側環状溝13及び複数のシールフィン14と非接触状態で、この外側環状溝13内に配置されている。
【0058】
静翼42は、翼形を成し径方向Drに延びる翼体43と、翼体43の径方向内側Driに設けられている内側シュラウド44と、内側シュラウド44の径方向内側Driに設けられている複数のシールフィン49と、を有する。内側シュラウド44は、シュラウド本体45と、このシュラウド本体45の径方向内側Driに固定されているシールリング46と、を有する。この静翼42は、前述したように、筒状の胴部12の径方向内側Driに配置され、この胴部12に固定されている。シールリング46の径方向内側Driには、このシールリング46から径方向内側Driに延びる複数のシールフィン49が設けられている。複数のシールフィン49は、軸線方向Daに並んでいる。
【0059】
ロータ軸21で、静翼42の内側シュラウド44と径方向Drで対向する部分には、内側環状溝22が形成されている。この内側環状溝(以下、単に環状溝とする)22は、径方向内側Driに凹んで、軸線Arを中心として環状を成す。内側シュラウド44及び複数のシールフィン49は、この環状溝22と非接触状態で、この環状溝22内に配置されている。この環状溝22の開口のうちで、内側シュラウド44よりも軸線上流側Dauの部分は、キャビティ入口26を成す。また、この環状溝22の開口のうちで、内側シュラウド44よりも軸線下流側Dadの部分は、キャビティ出口27を成す。
【0060】
環状溝22は、径方向外側Droを向く溝底面23と、溝底面23の軸線上流側Dauの端から径方向外側Droに向かって広がる上流側溝側面24と、溝底面23の軸線下流側Dadの端から径方向外側Droに向かって広がる下流側溝側面25と、を有する。上流側溝側面24と下流側溝側面25とは、軸線方向Daで互いに対向している。
【0061】
本実施形態の蒸気タービンは、媒体流変更部材60をさらに備える。この媒体流変更部材60は、板状を成し、その一部がロータ軸21に埋め込まれ、残りの部分がロータ軸21から径方向外側Droに突出している。この媒体流変更部材60は、媒体流変更面61を有する。媒体流変更面61は、軸線上流側Dauを向き、且つ溝底面23から径方向外側Droに向かって広がっている。この媒体流変更面61は、環状溝22の下流側溝側面25よりも軸線上流側Dauであって、複数のシールフィン49のうちで最も軸線下流側Dadの最下流シールフィン49dよりも軸線下流側Dadに位置する。
【0062】
内側シュラウド44は、軸線上流側Dauを向いて上流側溝側面24と対向する上流側端面51と、軸線下流側Dadを向いて下流側溝側面25と対向する下流側端面52と、径方向外側Droを向くガスパス面56と、径方向内側Driを向くシール面57と、を有する。上流側端面51と下流側端面52とは、軸線方向Daで背合わせの関係である。ガスパス面56上には、翼体43が形成されている。ガスパス面56とシール面57とは、径方向Drで背合わせの関係である。下流側端面52は、下流側溝側面25と実質的に平行な平行面53と、下流側溝側面25に対して傾斜している傾斜面54とを含む。平行面53は、下流側端面52中の径方向外側Droの面を形成する。傾斜面54は、径方向外側Droに向かうに連れて次第に軸線下流側Dadに向う面である。この傾斜面54は、下流側端面52中の径方向内側Driの面を形成する。この傾斜面54は、内側シュラウド44のシュラウド本体45と、この内側シュラウド44のシールリング46とにわたって形成されている。
【0063】
複数の動翼32の各翼体33、及び複数の静翼42の各翼体43が存在している空間は、軸線Arを中心として環状の空間である。この環状の空間は、作動媒体である蒸気が流れる媒体主流路18を形成する。この媒体主流路18は、静翼42の内側シュラウド44におけるガスパス面56と、ケーシング10の内周面のうち、この内側シュラウド44と径方向Drで対向する部分と、ロータ軸21の外周面内であって動翼32が固定されている部分と、動翼32の外側シュラウド34におけるガスパス面35とで、画定される。
【0064】
次に、媒体流変更面61の軸線方向Daの位置や、径方向Drの高さについて、図3を用いて説明する。
【0065】
ここで、内側シュラウド44で最も軸線下流側Dadの端58から下流側溝側面25までの軸線方向Daの距離を距離Lとする。この場合、最下流シールフィン49dから媒体流変更面61までの軸線方向Daの距離Lfは、距離L以下で且つ距離(0.5×L)以上である。すなわち、距離Lと距離Lfとの関係は、以下の通りである。
0.5×L≦Lf≦L
但し、本実施形態で、媒体流変更面61は、内側シュラウド44で最も軸線下流側Dadの端58よりも軸線下流側Dadに位置している。
【0066】
また、溝底面23から媒体流変更面61の径方向外側Droの端62までの径方向Drの距離である変更面高さHcと、他の高さ等との関係は、以下の通りである。
Hg<(Hg+Hh)=Hp<Hc
Hg:溝底面23からシールフィン49の径方向内側Driの端までの径方向Drの距離であるシール隙間
Hf:シールフィン49の径方向Drの長さであるフィン高さ
Hp:溝底面23から内側シュラウド44のシール面57までの径方向Drの距離であるシール面高さ
【0067】
次に、本実施形態の蒸気タービンの効果について説明する前に、図4を参照して、比較例の蒸気タービンについて説明する。
【0068】
比較例の蒸気タービンも、本実施形態の蒸気タービンと同様、ロータ20と、複数の静翼42xと、を有する。ロータ20は、本実施形態のロータ20と完全同一である。静翼42xも、本実施形態の静翼42と同様に、翼体43と、内側シュラウド44xと、複数のシールフィン49とを有する。内側シュラウド44xは、本実施形態の内側シュラウド44と同様、上流側端面51と、下流側端面52xと、ガスパス面56と、シール面57と、を有する。但し、この下流側端面52xは、本実施形態の傾斜面54を含まない。つまり、この下流側端面52xは、その全体が下流側溝側面25と実質的に平行な平行面である。また、比較例の蒸気タービンは、本実施形態の蒸気タービンにおける媒体流変更部材60を有していない。
【0069】
比較例の蒸気タービンでは、媒体主流路18を流れる主蒸気Smの一部が、キャビティ入口26から漏れ蒸気Slとして環状溝22内に流入する。この漏れ蒸気Slは、内側シュラウド44xのシール面57と環状溝22の溝底面23との間を軸線下流側Dadに向って流れる。但し、内側シュラウド44xのシール面57と環状溝22の溝底面23との間には、複数のシールフィン49が存在するため、内側シュラウド44xのシール面57と環状溝22の溝底面23との間を通過する漏れ蒸気Slの流量が抑えられる。複数のシールフィン49を通過した漏れ蒸気Slは、内側シュラウド44xの下流側端面52xと環状溝22の下流側溝側面25との間を主として径方向外側Droに流れる。そして、この漏れ蒸気Slは、キャビティ出口27から媒体主流路18内に戻る。
【0070】
この漏れ蒸気Slは、媒体主流路18中を軸線下流側Dadに流れる主蒸気Smの流れ中に混入する。この結果、主蒸気Smと漏れ蒸気Slとの混合部分より下流側に、複雑な流れの二次流れSsが生じる。媒体主流路18中に二次流れSsが生じると、蒸気タービンの効率が低下する。
【0071】
複数のシールフィン49のうち、最下流シールフィン49dの径方向内側Driの端と環状溝22の溝底面23との間を通過した漏れ蒸気Slは、主として、溝底面23に沿って軸線下流側Dadに流れる。この漏れ蒸気Slは、下流側溝側面25に当たると、主として、下流側溝側面25に沿って、ほぼ径方向外側Droに流れる。このため、内側シュラウド44xの下流側端面52xと環状溝22の下流側溝側面25との間を流れる漏れ蒸気Slのうち、下流側溝側面25に沿って径方向外側Droに流れる漏れ蒸気Slは、下流側溝側面25から軸線上流側Dauに離れた位置を径方向外側Droに流れる漏れ蒸気Slよりも、径方向Drの流速成分が大きくなる。すなわち、キャビティ出口27における漏れ蒸気Slの径方向Drの流れに関する流速分布は、図4中の二点鎖線で示すようになる。この流速分布が示すように、軸線方向Daで下流側溝側面25に近い位置での径方向Drの流速が極め大きい。また、比較例では、流速値が最大に位置から軸線上流側Dauの位置にずれるに従って、急激に径方向Drの流速が小さくなる。
【0072】
次に、本実施形態の蒸気タービンの効果について、図3を参照して説明する。
【0073】
本実施形態の蒸気タービンでも、比較例の蒸気タービンと同様、媒体主流路18を流れる主蒸気Smの一部が、キャビティ入口26から漏れ蒸気Slとして環状溝22内に流入する。この漏れ蒸気Slは、内側シュラウド44のシール面57と環状溝22の溝底面23との間を軸線下流側Dadに向って流れる。本実施形態でも、内側シュラウド44のシール面57と環状溝22の溝底面23との間に、複数のシールフィン49が存在するため、内側シュラウド44のシール面57と環状溝22の溝底面23との間を通過する漏れ蒸気Slの流量が抑えられる。
【0074】
複数のシールフィン49のうち、最下流シールフィン49dの径方向内側Driの端と環状溝22の溝底面23との間を通過した漏れ蒸気Slは、主として、溝底面23に沿って軸線下流側Dadに流れる。以上までの漏れ蒸気Slの流れは、比較例の蒸気タービンにおける漏れ蒸気Slの流れと同じである。
【0075】
最下流シールフィン49dの径方向内側Driの端と環状溝22の溝底面23との間を通過し、溝底面23に沿って軸線下流側Dadに流れる漏れ蒸気Slは、下流側溝側面25よりも軸線上流側Dauに存在する媒体流変更面61に当たる。この漏れ蒸気Slは、媒体流変更面61に当たると、主として、媒体流変更面61に沿って、ほぼ径方向外側Droに流れる。
【0076】
この漏れ蒸気Slは、その後、内側シュラウド44の下流側端面52と環状溝22の下流側溝側面25との間を主として径方向外側Droに流れる。そして、この漏れ蒸気Slは、キャビティ出口27を経て、媒体主流路18内に戻る。
【0077】
本実施形態では、複数のシールフィン49を内側シュラウド44に設けたので、前述したように、最下流シールフィン49dの径方向内側Driの端と環状溝22の溝底面23との間に通過した漏れ蒸気Slの流れが、主として溝底面23に沿った流れになる。このため、内側シュラウド44のシール面57と環状溝22の溝底面23との間に通過した漏れ蒸気Slの多くを媒体流変更面61に当てることができる。よって、本実施形態では、この媒体流変更面61に沿って、ほぼ径方向外側Droに流れる漏れ蒸気Slの流量を多くすることができる。
【0078】
しかも、本実施形態では、最下流シールフィン49dから媒体流変更面61までの軸線方向Daの距離Lfが、前述したように、内側シュラウド44で最も軸線下流側Dadの端58から下流側溝側面25までの軸線方向Daの距離L以下であるため、下流側溝側面25よりも軸線上流側Dauの位置で、主たる漏れ蒸気Slの流れを径方向外側Droの流れに変えることができる。
【0079】
よって、本実施形態では、比較例と比べて、下流側溝側面25に沿って径方向外側Droに流れる漏れ蒸気Slの流量が少なくなる上に、この漏れ蒸気Slの径方向Drの流速も小さくなる。一方で、本実施形態では、比較例と比べて、下流側溝側面25から軸線上流側Dauに離れた位置を径方向外側Droに流れる漏れ蒸気Slの流量が多くなる上に、この漏れ蒸気Slの径方向Drの流速も大きくなる。すなわち、本実施形態では、キャビティ出口27における漏れ蒸気Slの径方向Drの流れに関する流速分布が比較例に比べて均一化され、径方向Drの最大流速も小さくなる。
【0080】
さらに、本実施形態では、内側シュラウド44に、比較例では形成されていない傾斜面54が形成されている。このため、媒体流変更面61に沿ってほぼ径方向外側Droに流れた漏れ蒸気Slの少なくとも一部が傾斜面54に当たり、この傾斜面54に沿って流れることになる。傾斜面54は、前述したように、径方向外側Droに向かうに連れて次第に軸線下流側Dadに向う面である。よって、傾斜面54に沿って流れる漏れ蒸気Slは、径方向外側Droに向かうに連れて次第に軸線下流側Dadに向う。このため、この漏れ蒸気Slの流速成分中で径方向Drの流速成分は、比較例よりも小さくなる。すなわち、本実施形態では、傾斜面54により、キャビティ出口27における漏れ蒸気Slの径方向Drの流速成分を、比較例よりも小さくすることができる。
【0081】
以上、本実施形態では、媒体流変更面61及び傾斜面54の存在により、キャビティ出口27における漏れ蒸気Slの径方向Drの流れに関する流速分布が、図3中の二点鎖線で示すように、比較例に比べて均一化され、径方向Drの最大流速も小さくなる。
【0082】
運動量は速度の二乗に比例するため、キャビティ出口27における流速分布が均一化されて、径方向Drの最大流速が小さくなればなるほど、主蒸気Smと漏れ蒸気Slとの混合位置よりも軸線下流側Dadに形成される二次流れSsの成長を抑えることができる。このため、本実施形態では、比較例よりも二次流れSsの成長を抑えることができ、二次流れ損失を抑えることができる。
【0083】
本実施形態では、以上のように、二次流れ損失を抑えることができるので、蒸気タービンの効率を高めることできる。さらに、本実施形態では、内側シュラウド44に複数のシールフィン49を設けているので、漏れ蒸気Slの流量を抑えることができ、この観点からも、蒸気タービンの効率を高めることができる。
【0084】
ところで、変更面高さHcが高く、且つ媒体流変更面61が内側シュラウド44の下流側端面52に近いほど、キャビティ出口27における漏れ蒸気Slの径方向Drの流れに関する流速分布の均一化を図ることができる。一方で、ケーシング10とロータ20との熱膨張差により、ケーシング10に固定されている静翼42が、ロータ20に対して相対的に移動しても、内側シュラウド44の下流側端面52と媒体流変更部材60との接触を回避する必要がある。
【0085】
ここで、内側シュラウド44で最も軸線下流側Dadの端58から下流側溝側面25までの軸線方向Daの距離Lは、ケーシング10とロータ20との熱膨張差により、ケーシング10に固定されている静翼42が、ロータ20に対して相対的に軸線下流側Dadに最大限移動しても、静翼42の内側シュラウド44とロータ20の下流側溝側面25とが接触し得ない寸法に設定されている。
【0086】
本実施形態では、最下流シールフィン49dから媒体流変更面61までの軸線方向Daの距離Lfが距離Lより短いものの、内側シュラウド44の下流側端面52中で径方向内側Driの部分には、傾斜面54が形成されているため、内側シュラウド44で最も軸線下流側Dadの端58よりも内側シュラウド44の下流側端面52中で径方向内側Driの部分が軸線上流側Dauに逃げている。しかも、本実施形態では、最下流シールフィン49dから媒体流変更面61までの軸線方向Daの距離Lfが距離(0.5×L)以上である。このため、本実施形態では、ケーシング10とロータ20との熱膨張差により、静翼42がロータ20に対して相対移動しても、内側シュラウド44の下流側端面52と媒体流変更部材60との接触を回避することができる。
【0087】
なお、本実施形態では、内側シュラウド44の下流側端面52が傾斜面54を含むが、この傾斜面54を含まなくてもよい。この場合、内側シュラウド44の製作コストを抑えることができる一方で、傾斜面54による効果を得ることができなくなる。よって、内側シュラウド44の下流側端面52が傾斜面54を含まない場合、内側シュラウド44に設けた複数のシールフィン49及び媒体流変更部材60により、キャビティ出口27における漏れ蒸気Slの径方向Drの流れに関する流速分布の均一化を図ることができるものの、本実施形態よりも、流速分布の均一化効果が小さい。
【0088】
「第二実施形態」
本発明に係る軸流回転機械の第二実施形態について、図5を参照して説明する。
【0089】
本実施形態の軸流回転機械も、第一実施形態と同様、蒸気タービンである。本実施形態の蒸気タービンは、第一実施形態の蒸気タービンにおける傾斜面54の角度等を変更したもので、その他の構成は第一実施形態の蒸気タービンの構成と基本的に同じである。
【0090】
本実施形態の内側シュラウド44aの下流側端面52aも、第一実施形態の下流側端面52と同様、下流側溝側面25と実質的に平行な平行面53aと、下流側溝側面25に対して傾斜している傾斜面54aとを含む。平行面53aは、下流側端面52a中の径方向外側Droの面を形成する。傾斜面54aは、径方向外側Droに向かうに連れて次第に軸線下流側Dadに向う面である。この傾斜面54aは、下流側端面52a中の径方向内側Driの面を形成する。この傾斜面54aは、内側シュラウド44aのシュラウド本体45aと、この内側シュラウド44aのシールリング46aとにわたって形成されている。
【0091】
本実施形態の傾斜面54aに関する仮想延長線であって、この傾斜面54aから径方向外側Droに向かいつつ軸線下流側Dadに向う仮想延長線lvは、下流側溝側面25と交わらない。言い換えると、この仮想延長線lvは、下流側溝側面25から径方向外側Droに延びる仮想延長線と交わる。
【0092】
また、本実施形態では、媒体流変更面61の径方向外側Droの端62から内側シュラウド44aまでの最短距離Lsが、内側シュラウド44aで最も軸線下流側Dadの端58から下流側溝側面25までの軸線方向Daの距離L以下である。すなわち、距離Lと距離Lsとの関係は、以下の通りである。
Ls≦L
【0093】
なお、本実施形態における距離L、距離Lf、変更面高さHc、シール隙間Hg、フィン高さHf、シール面高さHpは、いずれも、第一実施形態の対応寸法と同じである。
【0094】
本実施形態でも、前述したように、媒体流変更面61に沿ってほぼ径方向外側Droに流れた漏れ蒸気Slの少なくとも一部が傾斜面54aに当たり、この傾斜面54aに沿って流れることになる。この傾斜面54aに沿って流れる漏れ蒸気Slは、径方向外側Droに向かうに連れて次第に軸線下流側Dadに向う。
【0095】
仮に、傾斜面に関する仮想延長線lvが、下流側溝側面25と交わるとする。この場合、傾斜面に沿って流れた漏れ蒸気Slの一部が、下流側溝側面25に当たることになる。漏れ蒸気Slの一部が下流側溝側面25に当たると、この漏れ蒸気Slは、下流側溝側面25に沿って径方向外側Droに流れる。このため、この場合、径方向Drにおけるキャビティ出口27の位置で且つ軸線方向Daで下流側溝側面25に近い位置での径方向Drに流れる漏れ蒸気Slの流速が大きくなると共にこの漏れ蒸気Slの流量が多くなる。よって、この場合、傾斜面の効果が低下する。このため、本実施形態のように、傾斜面54aの仮想延長線lvが下流側溝側面25と交わらないようにして、この傾斜面54aの効果を高めることが好ましい。
【0096】
ここで、媒体流変更面61の径方向外側Droの端62とこの端62から最短距離Lsの位置にある内側シュラウド44aの部分59との間をキャビティ内下流側流路の入口とする。さらに、このキャビティ下流側流路の出口をキャビティ出口27とする。本実施形態では、前述したように、媒体流変更面61の径方向外側Droの端62から内側シュラウド44aまでの最短距離Lsが距離L以下である。よって、本実施形態のキャビティ内下流側流路は、入口の開口面積に対して出口の開口面積が大きい拡張流路である。しかも、本実施形態では、キャビティ内下流側流路の出口は、キャビティ内下流側流路の入口よりも軸線下流側Dadに位置している。このため、本実施形態では、キャビティ内下流側流路の出口、つまりキャビティ出口27から流出する漏れ蒸気Slの速度成分のうち、軸線方向Da成分を大きくし、径方向Dr成分を少なくすることができる。よって、本実施形態では、主蒸気Smと漏れ蒸気Slとの混合位置よりも軸線下流側Dadに形成される二次流れSsの成長を抑えることができる。
【0097】
「第三実施形態」
本発明に係る軸流回転機械の第三実施形態について、図6を参照して説明する。
【0098】
本実施形態の軸流回転機械も、以上の実施形態と同様、蒸気タービンである。本実施形態の蒸気タービンは、第一実施形態の蒸気タービンにおける傾斜面54の位置を変更したもので、その他の構成は第一実施形態の蒸気タービンの構成と基本的に同じである。
【0099】
本実施形態の内側シュラウド44bの下流側端面52bも、第一実施形態の下流側端面52と同様、下流側溝側面25と実質的に平行な平行面53bと、下流側溝側面25に対して傾斜している傾斜面54bとを含む。本実施形態の平行面53bは、以上の各実施形態と異なり、下流側端面52b中の径方向内側Driの面を形成する。傾斜面54bは、径方向外側Droに向かうに連れて次第に軸線下流側Dadに向う面である。本実施形態の傾斜面54bは、下流側端面52中の径方向外側Droの面を形成する。よって、この傾斜面54bは、ガスパス面56から、このガスパス面56とシール面57との間の距離の半分の位置、言い換えると、内側シュラウド44の厚さの半分の位置Phまでの範囲内に存在する。また、本実施形態の傾斜面54bは、前述したように、下流側端面52b中の径方向外側Droの面を形成するため、この傾斜面54bからの仮想延長線は、第二実施形態と同様、下流側溝側面25と交わらない。また、本実施形態の傾斜面54bは、媒体流変更面61の径方向外側Droの端62から、媒体流変更面61に対して170°の方向に存在する。
【0100】
本実施形態でも、以上の各実施形態と同様に、内側シュラウド44で最も軸線下流側Dadの端58から下流側溝側面25までの軸線方向Daの距離Lと、最下流シールフィン49dから媒体流変更面61までの軸線方向Daの距離Lfとの関係は、以下の通りである。
0.5×L≦Lf≦L
【0101】
また、本実施形態でも、第二実施形態と同様に、媒体流変更面61の径方向外側Droの端62から内側シュラウド44bまでの最短距離Lsと前記距離Lとの関係は、以下の通りである。
Ls≦L
【0102】
また、本実施形態の変更面高さHc、シール隙間Hg、フィン高さHf、シール面高さHpは、いずれも、第一実施形態の対応寸法と同じである。本実施形態では、溝底面23から傾斜面54の径方向内側Driの端までの径方向Drの距離である傾斜面高さHsは、変更面高さHcよりも高い。
【0103】
本実施形態では、環状溝22内で、内側シュラウド44bと下流側溝側面25との間を径方向外側に流れる漏れ蒸気Slの一部を、径方向Drでキャビティ出口27に近い位置で、傾斜面54bに沿わせることができる。よって、本実施形態では、キャビティ出口27における漏れ蒸気Slの流速成分中で径方向Drの流速成分を小さくすることできる。よって、本実施形態では、第一及び第二実施形態よりも、キャビティ出口27における漏れ蒸気Slの径方向Drの流れに関する流速分布を均一化することができる。
【0104】
媒体流変更面61の径方向外側Droの端62の位置での漏れ蒸気Slの流れ方向は、媒体流変更面61に対する角度αがほぼ170°の方向になる。すなわち、漏れ蒸気Slは、媒体流変更面61に当たると、径方向外側Droに流れつつ、若干、軸線上流側Dauに流れる。なお、この170°は、コンピュータによる流れ解析の結果得られた角度である。本実施形態では、前述したように、媒体流変更面61の径方向外側Droの端62から、媒体流変更面61に対して170°の方向に傾斜面54bが存在する。このため、本実施形態では、媒体流変更面61に沿ってほぼ径方向外側Droに流れた漏れ蒸気Slの多くを傾斜面54bに向わせることができる。よって、媒体流変更面61の径方向外側Droの端62から、媒体流変更面61に対して170°の方向に傾斜面54bを存在させることで、この傾斜面54bの効果を高めることができる。
【0105】
さらに、本実施形態では、最下流シールフィン49dから媒体流変更面61までの軸線方向Daの距離Lfが距離Lより短いものの、媒体流変更面61の高さHcが傾斜面高さHsよりも低い上に、傾斜面54bよりも径方向内側Driに存在する平行面53bが内側シュラウド44bで最も軸線下流側Dadの端58よりも軸線上流側Dauに逃げている。このため、本実施形態では、ケーシング10とロータ20との熱膨張差により、静翼42がロータ20に対して相対移動しても、内側シュラウド44の下流側端面52bと媒体流変更部材60との接触を回避することができる。
【0106】
「第四実施形態」
本発明に係る軸流回転機械の第四実施形態について、図7を参照して説明する。
【0107】
本実施形態の軸流回転機械も、以上の実施形態と同様、蒸気タービンである。本実施形態の蒸気タービンは、第三実施形態の蒸気タービンにおける媒体流変更面61の位置を変更したもので、その他の構成は第三実施形態の蒸気タービンの構成と基本的に同じである。
【0108】
本実施形態では、最下流シールフィン49dから媒体流変更部材60aの媒体流変更面61aまでの軸線方向Daの距離Lfを第三実施形態の同距離より短くして、軸線方向Daで、傾斜面54bが存在する領域内に媒体流変更面61aを位置させている。なお、本実施形態でも、最下流シールフィン49dから媒体流変更面61aまでの軸線方向Daの距離Lfは、内側シュラウド44で最も軸線下流側Dadの端58から下流側溝側面25までの軸線方向Daの距離Lより短い。
【0109】
このように、最下流シールフィン49dから媒体流変更面61aまでの軸線方向Daの距離Lfを短くすることで、媒体流変更面61aに沿って径方向外側Droに流れる漏れ蒸気Slの軸線方向Daの位置を、以上の各実施形態よりも軸線上流側Dauに位置させることができる。さらに、本実施形態では、媒体流変更面61aに沿って径方向外側Droに流れた漏れ蒸気Slの多くを傾斜面54bに導くことができる。このため、本実施形態では、キャビティ出口27における漏れ蒸気Slの径方向Drの流れに関する流速分布が、以上の各実施形態よりも、均一化され、径方向Drの最大流速も小さくなる。
【0110】
但し、最下流シールフィン49dから媒体流変更面61aまでの軸線方向Daの距離Lfを短くすると、ケーシングとロータ20との熱膨張差により、静翼42がロータ20に対して相対移動した場合に、内側シュラウド44の下流側端面52と媒体流変更部材60aとの接触の可能性が高まる。このため、変更面高さHcを、シール面高さHp以下、好ましくはフィン高さHf以下にするとよい。
【0111】
なお、本実施形態は、第三実施形態の変形例であるが、第一及び第二実施形態においても、本実施形態と同様に、軸線方向Daで、傾斜面が存在する領域内に媒体流変更面61を位置させてもよい。
【0112】
また、以上の各実施形態、及び、以下で説明する第五実施形態における変更面高さHcも、シール面高さHp以下、又は、フィン高さHf以下にしてもよい。
【0113】
「第五実施形態」
本発明に係る軸流回転機械の第五実施形態について、図8を参照して説明する。
【0114】
本実施形態の軸流回転機械も、以上の実施形態と同様、蒸気タービンである。本実施形態の蒸気タービンも、第三実施形態の蒸気タービンにおける媒体流変更面61の位置を変更したもので、その他の構成は第三実施形態の蒸気タービンの構成と基本的に同じである。
【0115】
以上の各実施形態では、最下流シールフィン49dから媒体流変更面61までの軸線方向Daの距離Lfが、内側シュラウド44で最も軸線下流側Dadの端58から下流側溝側面25までの軸線方向Daの距離L以下である。一方、本実施形態では、最下流シールフィン49dから媒体流変更部材60bの媒体流変更面61bまでの軸線方向Daの距離Lfが、内側シュラウド44で最も軸線下流側Dadの端58から下流側溝側面25までの軸線方向Daの距離Lより大きい。
【0116】
しかしながら、本実施形態では、第三実施形態と同様に、媒体流変更面61bの径方向外側Droの端62bから、媒体流変更面61bに対して170°の方向に傾斜面54bが存在する。このため、本実施形態でも、媒体流変更面61bに沿ってほぼ径方向外側Droに流れた漏れ蒸気Slの少なくとも一部が傾斜面54に当たり、この漏れ蒸気Slを傾斜面54に沿った流れにすることができる。
【0117】
よって、本実施形態でも、第三実施形態と同様に、傾斜面54の効果を得ることができる。
【0118】
「媒体流変更部材の変形例」
以上の各実施形態の媒体流変更部材は、板状を成し、その一部をロータ軸21に埋め込んだ部材である。すなわち、以上の各実施形態の媒体流変更部材は、ロータ軸21とは独立した部材である。
【0119】
しかしながら、ロータ軸素材からロータ軸21を加工する過程で、このロータ軸素材からロータ軸21と共に媒体流変更部材を加工してもよい。すなわち、図9に示すように、媒体流変更部材60cは、ロータ軸21との間に接合部分がなく、ロータ軸21と一体であってもよい。また、本変形例の媒体流変更部材60cは、断面がブロック状を成し、その径方向内側Driの面63が下流側溝側面25に直接つながっている。しかしながら、ロータ軸21と一体である媒体流変更部材60cは、断面がブロック状である必要性はなく、その径方向内側Driの面が下流側溝側面25につながっている必要性もない。このため、ロータ軸21と一体である媒体流変更部材60cは、以上の各実施形態の媒体流変更部材60,60a,60bと同様に板状であってもよい。
【0120】
以上のように、媒体流変更部材は、その媒体流変更面の高さ及び軸線方向Daの位置が重要であり、ロータ軸21との接続関係や媒体流変更部材の軸線方向Daの厚さ等は、適宜変更してもよい。
【0121】
「傾斜面の変形例」
以上の各実施形態の傾斜面は、内側シュラウドの下流側端面中の一部のみに存在する。
【0122】
しかしながら、図10に示すように、内側シュラウド44cにおける下流側端面52cの全てが傾斜面であってもよい。
【0123】
また、図11に示すように、内側シュラウド44dにおける傾斜面54dの径方向外側Droの端55が、内側シュラウド44dのガスパス面56における軸線下流側Dadの端58と直接つながっていなくてもよい。
【0124】
なお、傾斜面の径方向内側Driの端の位置が、軸線方向Daで、最下流シールフィン49dと位置関係から制限を受ける場合がある。この場合、図10図11とを比較すると理解できるように、この端を径方向外側Droに位置させる方が、傾斜面の傾斜方向が軸線方向Daの向きに近くなる。傾斜面54の傾斜方向が軸線方向Daの向きに近くなると、この傾斜面に沿って流れる漏れ蒸気Slの流速成分中で径方向Drの流速成分が小さくなる。よって、この端の位置を径方向外側Droに位置させた方が、この端の位置を径方向内側Driに位置させる場合よりも、キャビティ出口27における漏れ蒸気Slの径方向Drの流速成分を小さくすることができ、二次流れSsの成長を抑えることができる。以上のことから、傾斜面の径方向内側Driの端の位置は、内側シュラウドのガスパス面56から、径方向内側Driに向って、内側シュラウドの径方向Drの厚さの半分の距離の位置Phまでの範囲内にあることが好ましい。
【0125】
また、傾斜面は、平面でなくてもよく、曲面であってもよい。この場合、傾斜面は、径方向外側Droに向かうに連れて、次第に軸線下流側Dadに変位する量が多くなる曲面であることが好ましい。
【0126】
「軸流回転機械の変形例」
以上の各実施形態及び以上の各変形例は、いずれも、軸流回転機械の一種である蒸気タービンを例にしたものである。しかしながら、軸流回転機械は、蒸気タービンに限定されない。例えば、軸流回転機械は、ガスタービンであってもよい。そこで、以下では、軸流回転機械の変形例として、軸流回転機械がガスタービンの場合について、図12図14を用いて説明する。
【0127】
図12に示すように、本変形例のガスタービン100は、空気Aを圧縮する圧縮機170と、圧縮機170で圧縮された空気中で燃料Fを燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器180と、燃焼ガスにより駆動されるタービン101と、中間ケーシング105と、を備えている。
【0128】
圧縮機170は、軸線Arを中心として回転する圧縮機ロータ171と、圧縮機ロータ171を覆う圧縮機ケーシング178と、複数の静翼列174と、を有する。なお、本変形例でも、軸線Arが延びている方向を軸線方向Daとし、この軸線Arを中心とした周方向を単に周方向Dcとし、軸線Arに対して垂直な方向を径方向Drとする。この径方向Drで軸線Arに近づく側を径方向内側Dri、その反対側を径方向外側Droとする。さらに、軸線方向Daの一方側を軸線上流側Dau、他方側を軸線下流側Dadとする。
【0129】
圧縮機ロータ171は、その軸線Arを中心として軸線方向Daに延びるロータ軸172と、このロータ軸172に取り付けられている複数の動翼列173と、を有する。複数の動翼列173は、軸線方向Daに並んでいる。各動翼列173は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼で構成されている。複数の動翼列173の各軸線下流側Dadには、複数の静翼列174のうちのいずれか一の静翼列174が配置されている。各静翼列174は、圧縮機ケーシング178の内側に設けられている。各静翼列174は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の静翼で構成されている。ロータ軸172の径方向外周側Droと圧縮機ケーシング178の径方向内周側Driとの間であって、軸線方向Daで静翼列174及び動翼列173が配置されている領域の環状の空間は、空気が流れつつ圧縮される空気圧縮流路179を成す。
【0130】
燃焼器180は、図13に示すように、高温高圧の燃焼ガスGをタービン101内に送る燃焼筒(又は尾筒)181と、この燃焼筒181内に圧縮機170で圧縮された空気と共に燃料Fを噴射する燃料噴射器182と、を有する。燃料噴射器182には、燃料Fが流れる燃料ライン185が接続されている。この燃料ライン185には、燃料調節弁186が設けられている。
【0131】
タービン101は、図12及び図13に示すように、圧縮機170の軸線下流側Dadに配置されている。このタービン101は、軸線Arを中心として回転するタービンロータ120と、タービンロータ120を覆うタービンケーシング110と、複数の静翼列141と、を有する。
【0132】
圧縮機ロータ171とタービンロータ120とは、図12に示すように、同一軸線Ar上に位置して互いに連結されてガスタービンロータ102を成す。このガスタービンロータ102には、例えば、発電機189のロータが接続されている。中間ケーシング105は、圧縮機ケーシング178とタービンケーシング110と間に配置されている。圧縮機ケーシング178、中間ケーシング105、タービンケーシング110は、互いに連結されてガスタービンケーシング103を成す。燃焼器180は、中間ケーシング105に取り付けられている。
【0133】
タービンケーシング110は、図12及び図13に示すように、内部に作動媒体である燃焼ガスGを導く燃焼ガス入口(媒体入口)111と、燃焼ガスGを外部に排気する燃焼ガス出口(媒体出口)115と、を有する。燃焼ガス入口111には、燃焼器180の燃焼筒181が接続されている。燃焼ガス出口115は、燃焼ガス入口111に対して、軸線下流側Dadに位置している。
【0134】
タービンロータ120は、軸線Arを中心として軸線方向Daに延びるロータ軸121と、このロータ軸121に取り付けられている複数の動翼列131と、を有する。複数の動翼列131は、軸線方向Daに並んで、タービンケーシング110の径方向内側Driに配置されている。各動翼列131は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼132で構成される。
【0135】
複数の静翼列141は、軸線方向Daに並んでいる。各静翼列141は、複数の動翼列131のうちのいずれか一の動翼列31の軸線上流側Dauに配置されている。各静翼列141は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の静翼142で構成される。各静翼142は、いずれも、タービンケーシング110の径方向内側Driに配置され、このタービンケーシング110に固定されている。
【0136】
動翼132は、翼形を成し径方向Drに延びる翼体133を有する。翼体133は、ロータ軸121に固定されている。
【0137】
静翼142は、図13及び図14に示すように、翼形を成し径方向Drに延びる翼体143と、翼体143の径方向内側Driに設けられている内側シュラウド144と、内側シュラウド144の径方向内側Driに設けられている複数のシールフィン149と、を有する。内側シュラウド144は、シュラウド本体145と、このシュラウド本体145の径方向内側Driに固定されているシールリング146と、を有する。この静翼142は、前述したように、タービンケーシング110の径方向内側Driに配置され、このタービンケーシング110に固定されている。シールリング146の径方向内側Driには、このシールリング146から径方向内側Driに延びる複数のシールフィン149が設けられている。複数のシールフィン149は、軸線方向Daに並んでいる。
【0138】
ロータ軸121で、静翼142の内側シュラウド144と径方向Drで対向する部分には、環状溝122が形成されている。この環状溝122は、径方向内側Driに凹んで、軸線Arを中心として環状を成す。内側シュラウド144及び複数のシールフィン149は、この環状溝122と非接触状態で、この環状溝122内に配置されている。この環状溝122の開口のうちで、内側シュラウド144よりも軸線上流側Dauの部分は、キャビティ入口126を成す。また、この環状溝122の開口のうちで、内側シュラウド144よりも軸線下流側Dadの部分は、キャビティ出口127を成す。
【0139】
環状溝122は、径方向外側Droを向く溝底面123と、溝底面123の軸線上流側Dauの端から径方向外側Droに向かって広がる上流側溝側面124と、溝底面123の軸線下流側Dadの端から径方向外側Droに向かって広がる下流側溝側面125と、を有する。上流側溝側面124と下流側溝側面125とは、軸線方向Daで互いに対向している。
【0140】
本変形例のガスタービンは、媒体流変更部材160をさらに備える。この媒体流変更部材160は、板状を成し、その一部がロータ軸121に埋め込まれ、残りの部分がロータ軸121から径方向外側Droに突出している。この媒体流変更部材160は、媒体流変更面161を有する。媒体流変更面161は、軸線上流側Dauを向き、且つ溝底面123から径方向外側Droに向かって広がっている。この媒体流変更面161は、環状溝122の下流側溝側面125よりも軸線上流側Dauであって、複数のシールフィン149のうちで最も軸線下流側Dadの最下流シールフィン149dよりも軸線下流側Dadに位置する。
【0141】
内側シュラウド144は、軸線上流側Dauを向いて上流側溝側面124と対向する上流側端面151と、軸線下流側Dadを向いて下流側溝側面125と対向する下流側端面152と、径方向外側Droを向くガスパス面156と、径方向内側Driを向くシール面157と、を有する。上流側端面151と下流側端面152とは、軸線方向Daで背合わせの関係である。ガスパス面156上には、翼体143が形成されている。ガスパス面156とシール面157とは、径方向Drで背合わせの関係である。下流側端面152は、下流側溝側面25に対して傾斜している傾斜面154を含む。傾斜面154は、径方向外側Droに向かうに連れて次第に軸線下流側Dadに向う面である。この傾斜面154は、下流側端面152中の径方向内側Driの面を形成する。この傾斜面154は、内側シュラウド144のシュラウド本体145と、この内側シュラウド144のシールリング146とにわたって形成されている。
【0142】
複数の動翼132の各翼体133、及び複数の静翼142の各翼体143が存在している空間は、軸線Arを中心として環状の空間である。この環状の空間は、作動媒体である燃焼ガスGが流れる媒体主流路118を形成する。この媒体主流路118は、静翼142の内側シュラウド144におけるガスパス面156と、タービンケーシング110の内周面のうち、この内側シュラウド144と径方向Drで対向する部分と、ロータ軸121の外周面内であって動翼132が固定されている部分と、タービンケーシング110の内周面のうち、この動翼132と径方向Drで対向する部分とで、画定される。
【0143】
以上で説明した本変形例のガスタービン100における媒体流変更部材160の配置、この媒体流変更部材160の各種寸法、内側シュラウド144の傾斜面154の角度や位置等は、先に説明した、第一実施形態から第五実施形態、さらに各変形例のうちのいずれかと同様である。
【0144】
このように、先に説明した各実施形態及び各変形例の構成をガスタービン100に適用すると、先に説明した蒸気タービンの例と同様、環状溝122内を下流側溝側面125に沿って径方向外側Droに流れる漏れ燃焼ガスGlの流量が少なくなる上に、この漏れ燃焼ガスGlの径方向Drの流速も小さくなる。よって、本変形例でも、先に説明した蒸気タービンの例と同様、媒体主流路118を軸線下流側Dadに流れる主燃焼ガスGmと、環状溝122内から媒体主流路118内に流入する漏れ燃焼ガスGlとの混合位置よりも、軸線下流側Dadに形成される二次流れの成長を抑えることができ、二次流れ損失を抑えることができる。
【0145】
よって、本変形例でも、以上のように、二次流れ損失を抑えることができるので、ガスタービンの効率を高めることできる。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明の一態様に係る軸流回転機械では、二次流れ損失を抑えて、軸流回転機械の効率を高めることができる。
【符号の説明】
【0147】
10:蒸気タービンケーシング(又は、ケーシング)
11:流入部
11i:蒸気入口(媒体入口)
12:胴部
13:外側環状溝
14:シールフィン
15:排気部
15o:蒸気出口(媒体出口)
16u:上流側軸封
16d:下流側軸封
17u:上流側軸受
17d:下流側軸受
18:媒体主流路
20:ロータ
21:ロータ軸
22:内側環状溝(又は、単に環状溝)
23:溝底面
24:上流側溝側面
25:下流側溝側面
26:キャビティ入口
27:キャビティ出口
31:動翼列
32:動翼
33:翼体
34:外側シュラウド
35:ガスパス面
41:静翼列
42:静翼
43:翼体
44,44a,44b,44c,44d:内側シュラウド
45,45b:シュラウド本体
46,46a:シールリング
49:シールフィン
49d:最下流シールフィン
51:上流側端面
52,52a,52b,52c,52d:下流側端面
53,53a,53b:平行面
54,54a,54b,54d:傾斜面
55:(傾斜面で径方向外側の)端
56:ガスパス面
57:シール面
58:(内側シュラウドで最も軸線下流側の)端
60,60a,60b,60c:媒体流変更部材
61,61a,61b:媒体流変更面
62,62b:(媒体流変更面の径方向外側の)端
100:ガスタービン
101:タービン
102:ガスタービンロータ
103:ガスタービンケーシング
105::中間ケーシング
110:タービンケーシング
111:燃焼ガス入口(媒体入口)
114:シールフィン
115:燃焼ガス出口(媒体出口)
118:媒体主流路
120:タービンロータ
121:ロータ軸
122:環状溝
123:溝底面
124:上流側溝側面
125:下流側溝側面
126:キャビティ入口
127:キャビティ出口
131:動翼列
132:動翼
133:翼体
141:静翼列
142:静翼
143:翼体
144:内側シュラウド
145:シュラウド本体
146:シールリング
149:シールフィン
149d:最下流シールフィン
151:上流側端面
152:下流側端面
154:傾斜面
156:ガスパス面
157:シール面
160:媒体流変更部材
161:媒体流変更面
189:発電機
170:圧縮機
171:圧縮機ロータ
172:ロータ軸
173:動翼列
174:静翼列
178:圧縮機ケーシング
179:空気圧縮流路
180:燃焼器
181:燃焼筒(又は尾筒)
182:燃料噴射器
185:燃料ライン
186:燃料調節弁
A:空気
F:燃料
G:燃焼ガス
Gl:漏れ燃焼ガス
Gm:主燃焼ガス
Sm:主蒸気
Sl:漏れ蒸気
Ss:二次流れ
Da:軸線方向
Dau:軸線上流側
Dad:軸線下流側
Dc:周方向
Dr:径方向
Dri:径方向内側
Dro:径方向外側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14