特許第6856784号(P6856784)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスゼット ディージェイアイ テクノロジー カンパニー リミテッドの特許一覧

特許6856784固体光検出及び測距(LIDAR)システム、固体光検出及び測距(LIDAR)分解能を改善するためのシステム及び方法
<>
  • 特許6856784-固体光検出及び測距(LIDAR)システム、固体光検出及び測距(LIDAR)分解能を改善するためのシステム及び方法 図000011
  • 特許6856784-固体光検出及び測距(LIDAR)システム、固体光検出及び測距(LIDAR)分解能を改善するためのシステム及び方法 図000012
  • 特許6856784-固体光検出及び測距(LIDAR)システム、固体光検出及び測距(LIDAR)分解能を改善するためのシステム及び方法 図000013
  • 特許6856784-固体光検出及び測距(LIDAR)システム、固体光検出及び測距(LIDAR)分解能を改善するためのシステム及び方法 図000014
  • 特許6856784-固体光検出及び測距(LIDAR)システム、固体光検出及び測距(LIDAR)分解能を改善するためのシステム及び方法 図000015
  • 特許6856784-固体光検出及び測距(LIDAR)システム、固体光検出及び測距(LIDAR)分解能を改善するためのシステム及び方法 図000016
  • 特許6856784-固体光検出及び測距(LIDAR)システム、固体光検出及び測距(LIDAR)分解能を改善するためのシステム及び方法 図000017
  • 特許6856784-固体光検出及び測距(LIDAR)システム、固体光検出及び測距(LIDAR)分解能を改善するためのシステム及び方法 図000018
  • 特許6856784-固体光検出及び測距(LIDAR)システム、固体光検出及び測距(LIDAR)分解能を改善するためのシステム及び方法 図000019
  • 特許6856784-固体光検出及び測距(LIDAR)システム、固体光検出及び測距(LIDAR)分解能を改善するためのシステム及び方法 図000020
  • 特許6856784-固体光検出及び測距(LIDAR)システム、固体光検出及び測距(LIDAR)分解能を改善するためのシステム及び方法 図000021
  • 特許6856784-固体光検出及び測距(LIDAR)システム、固体光検出及び測距(LIDAR)分解能を改善するためのシステム及び方法 図000022
  • 特許6856784-固体光検出及び測距(LIDAR)システム、固体光検出及び測距(LIDAR)分解能を改善するためのシステム及び方法 図000023
  • 特許6856784-固体光検出及び測距(LIDAR)システム、固体光検出及び測距(LIDAR)分解能を改善するためのシステム及び方法 図000024
  • 特許6856784-固体光検出及び測距(LIDAR)システム、固体光検出及び測距(LIDAR)分解能を改善するためのシステム及び方法 図000025
  • 特許6856784-固体光検出及び測距(LIDAR)システム、固体光検出及び測距(LIDAR)分解能を改善するためのシステム及び方法 図000026
  • 特許6856784-固体光検出及び測距(LIDAR)システム、固体光検出及び測距(LIDAR)分解能を改善するためのシステム及び方法 図000027
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856784
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】固体光検出及び測距(LIDAR)システム、固体光検出及び測距(LIDAR)分解能を改善するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20210405BHJP
   G01S 17/894 20200101ALI20210405BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   G01S7/481 A
   G01S17/894
   G01C3/06 120Q
   G01C3/06 140
【請求項の数】15
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-570985(P2019-570985)
(86)(22)【出願日】2017年8月31日
(65)【公表番号】特表2020-531794(P2020-531794A)
(43)【公表日】2020年11月5日
(86)【国際出願番号】CN2017100039
(87)【国際公開番号】WO2019041268
(87)【国際公開日】20190307
【審査請求日】2020年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】513068816
【氏名又は名称】エスゼット ディージェイアイ テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SZ DJI TECHNOLOGY CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン グオグァン
(72)【発明者】
【氏名】ホン シャオピン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ミンユ
【審査官】 東 治企
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−517921(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/091810(WO,A1)
【文献】 特開2016−075564(JP,A)
【文献】 特開2015−007615(JP,A)
【文献】 特開2017−032355(JP,A)
【文献】 特開2007−192835(JP,A)
【文献】 特開2008−021890(JP,A)
【文献】 特開2017−054123(JP,A)
【文献】 特表2009−531655(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0228249(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48−7/51
G01S 17/00−17/95
G01C 3/00−3/32
G01B 11/00−11/30
G02B 5/00−5/32
G02B 13/00−13/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビームを発射するように構成された光源と、
前記発射された光ビームを均質化するように構成された1つ又は複数の光学素子を含むセンサシステムであって、前記発射された光ビームは前記センサシステムの視界(FOV)の方向に向けられる、センサシステムにおいて、さらに、
複数の光検出装置を有する検出器であって、前記複数の光検出装置の各光検出装置は、前記センサシステムのFOV内の1つ又は複数の物体から後方反射される光ビームの光子エネルギーの少なくとも一部分を受信するように、そして前記受信された光子エネルギーに基づき少なくとも1つの電気信号を生成するように、構成された検出器を含み、
前記1つ又は複数の光学素子はホログラフィックフィルタを含み、
前記1つ又は複数の光学素子は前記ホログラフィックフィルタに続く一対のレンズを含み、前記一対のレンズはテレセントリック光場を生成するように構成される、
センサシステム。
【請求項2】
前記光源は1つ又は複数のレーザダイオード又は面発光レーザを含む、請求項に記載のセンサシステム。
【請求項3】
前記検出器内の前記複数の光検出装置の少なくとも1つはアバランシェフォトダイオード(APD)装置を含む、請求項に記載のセンサシステム。
【請求項4】
前記APD装置は、前記少なくとも1つの生成された電気信号に基づき1つ又は複数の光検出事象を読み出すように動作する読み出し集積回路(ROIC)へ結合される、請求項に記載のセンサシステム。
【請求項5】
前記光ビームの波長は約905nm又は1550nmである、請求項に記載のセンサシステム。
【請求項6】
前記1つ又は複数の光学的素子はビーム拡大器を含む、請求項に記載のセンサシステム。
【請求項7】
前記ビーム拡大器は前記光ビームが均質化される前に前記光ビームを拡大するように構成される、請求項に記載のセンサシステム
【請求項8】
記1つ又は複数の光学素子は、前記光ビームを前記センサシステムの前記FOV内の様々な角度へ向けるように前記光ビームの入射角を調整するように構成された調整可能ミラーを含む、請求項に記載のセンサシステム。
【請求項9】
前記複数の光検出装置は所定の構成で配置される、請求項に記載のセンサシステム。
【請求項10】
前記1つ又は複数の光学素子は前記センサシステムの周囲環境を走査するように前記光ビームを操舵するように構成された1つ又は複数のビーム操舵装置を含む、請求項に記載のセンサシステム。
【請求項11】
前記検出器は前記センサシステムのFOV内の前記1つ又は複数の物体の距離情報を検出するように動作し、データフレームが、前記センサシステムの前記FOV内の前記距離情報を表すために使用される、請求項に記載のセンサシステム。
【請求項12】
前記データフレームは複数の画素を含み、前記複数の画素の各画素は前記FOVの特定セクション内の反射点の距離情報を含む、請求項11に記載のセンサシステム。
【請求項13】
前記複数の光検出装置の1つの光検出装置により生成される前記少なくとも1つの電気信号は前記センサシステムの前記FOVを表すデータフレーム内の特定画素に対応する、請求項に記載のセンサシステム。
【請求項14】
センサシステムの視野(FOV)内の1つ又は複数の物体を感知する方法であって、
光ビームを均質化するように1つ又は複数の光学素子を構成する工程であって、前記光ビームは光源から発射され、前記均質化された光ビームは前記センサシステムの前記FOV方向に向けられる、工程と、
複数の光検出装置により検出器を構成する工程であって、前記複数の光検出装置の各光検出装置は、前記センサシステムの前記FOV内の1つ又は複数の物体から後方反射される光ビームの光子エネルギーの少なくとも一部を受信し、前記受信された光子エネルギーに基づき少なくとも1つの電気信号を生成するように構成される、工程を含み、
前記1つ又は複数の光学素子はホログラフィックフィルタを含み、
前記1つ又は複数の光学素子は前記ホログラフィックフィルタに続く一対のレンズを含み、前記一対のレンズはテレセントリック光場を生成するように構成される、
方法。
【請求項15】
前記1つ又は複数の光学素子は、前記光ビームが均質化される前に前記光ビームを拡大するように構成されたビーム拡大器を含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される実施形態は、一般的には感知に関し、具体的には、限定しないが光感知に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば可動又は静止物体により様々なタイプの操作を行うためのセンサは重要である。特に、ロボット、有人車両及び無人車両などの可動物体は周囲環境を感知するための様々なセンサを利用し得る。例えば、可動物体は、未知環境内の経路計画、障害物検出及び回避を行うために周囲状況に気付く必要がある。これは、本発明の実施形態が対処しようとする通常の領域である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書で説明されるのは、光検出及び測距を行うための技術的解決策を提供するシステム及び方法である。センサシステムは、光ビームを発射するように構成された光源を含み得る。さらに、センサシステムは、センサシステムの視界(FOV:field of view)方向に導かれる発射光ビームを均質化するように構成された1つ又は複数の光学素子を含む。加えて、センサシステムは、複数の光検出装置を有する検出器を含み、複数の光検出装置の各光検出装置は、センサシステムのFOV内の1つ又は複数の物体から後方反射される光ビームの光子エネルギーの少なくとも一部を受信し、受信された光子エネルギーに基づき少なくとも1つの電気信号を生成するように構成される。
【0004】
又、本明細書で説明されるのは、光検出及び測距を行うための技術的解決策を提供するシステム及び方法である。センサシステムは、複数のユニットを有する検出器を含み得、検出器は、第1の構成では、1つ又は複数の物体上の第1の複数の点から後方反射される光ビームの受信光子エネルギーに基づき第1組の電気信号を生成するように構成される。加えて、検出器は、第2の構成では、1つ又は複数の物体上の第2の複数の点から後方反射される光ビームの受信される光子エネルギーに基づき第2組の電気信号を生成するように構成され、第1の構成と第2の構成は所定の相関を有する。さらに、検出器は、1つ又は複数の物体上の第1の複数の点及び第2の複数の点の各点までの距離を第1組の電気信号及び第2組の電気信号に基づき判断し得る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明の様々な実施形態による例示的光検出及び測距(LIDAR)感知システムの概要図を示す。
図2】本発明の様々な実施形態による例示的固体LIDARセンサシステムの概要図を示す。
図3】本発明の様々な実施形態による視界(FOV)照明の例示的図解を示す。
図4】本発明の様々な実施形態による例示的FOV照明方式の図解を示す。
図5】本発明の様々な実施形態による代替の例示的FOV照明方式の図解を示す。
図6】本発明の様々な実施形態によるFOV照明のためのホログラフィックフィルタを使用する図解を示す。
図7】本発明の様々な実施形態による例示的FOV照明システムを示す。
図8】本発明の様々な実施形態によるホログラフィックフィルタを有する例示的FOV照明方式を示す。
図9】本発明の様々な実施形態によるLIDARセンサシステムにおける光検出の例示的図解を示す。
図10】本発明の様々な実施形態による光検出装置のアレイを有する検出器の例示的図解を示す。
図11】本発明の様々な実施形態によるLIDARセンサシステムを使用して周囲環境を感知するフローチャートを示す。
図12】本発明の様々な実施形態による画素シフト方式の例示的図解を示す。
図13】本発明の様々な実施形態による画素シフト方式を適用することからの例示的結果データフレームを示す。
図14】本発明の様々な実施形態による代替の画素シフト方式の例示的図解を示す。
図15】本発明の様々な実施形態による画素シフト方式において平坦プレートレンズを使用する例示的図解を示す。
図16】本発明の様々な実施形態による平坦プレートレンズを回転することにより引き起こされる画素シフト効果の例示的図解を示す。
図17】本発明の様々な実施形態によるLIDARセンサシステムにおいて画素シフトを支援するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、同様な参照符号が同様な要素を示す添付図面の図内に、限定するのではなく一例として示される。本開示における「1つの」実施形態又は「一」実施形態又は「いくつかの」実施形態への参照は必ずしも同じ実施形態ではなく、このような参照は少なくとも1つの実施形態を意味するということに注意すべきである。
【0007】
以下の本発明の説明は光感知システムの一例として光検出及び測距(LIDAR)センサシステムを使用する。他のタイプの光感知システムが限定されることなく使用され得るということが当業者には明らかになる。
【0008】
様々な実施形態によると、光検出及び測距を行うための技術的解決策が提供され得る。センサシステムは光ビームを発射するように構成された光源を含み得る。さらに、センサシステムは、センサシステムの視界(FOV)方向に導かれる発射光ビームを均質化するように構成される1つ又は複数の光学素子を含む。加えて、センサシステムは、複数の光検出装置を有する検出器を含み、複数の光検出装置の各光検出装置は、センサシステムのFOV内の1つ又は複数の物体から後方反射される光ビームの光子エネルギーの少なくとも一部を受信し、受信された光子エネルギーに基づき少なくとも1つの電気信号を生成するように構成される。
【0009】
様々な実施形態によると、光検出及び測距を行うための技術的解決策が提供され得る。センサシステムは、複数のユニットを有する検出器を含み得、検出器は、第1の構成では、1つ又は複数の物体上の第1の複数の点から後方反射される光ビームの受信光子エネルギーに基づき第1組の電気信号を生成するように構成される。加えて、検出器は、第2の構成では、1つ又は複数の物体上の第2の複数の点から後方反射される光ビームの受信光子エネルギーに基づき第2組の電気信号を生成するように構成され、第1の構成と第2の構成は所定の相関を有する。さらに、検出器は、1つ又は複数の物体上の第1の複数の点及び第2の複数の点の各点までの距離を第1組の電気信号及び第2組の電気信号に基づき判断し得る。
【0010】
図1は本発明の様々な実施形態による例示的LIDAR感知システムの概要図100を示す。図1に示すように、センサシステム110は、周囲環境を走査し、センサシステム110の視界(FOV)内のセンサシステム110と1つ又は複数の物体(例えば物体103)との間の距離を検出するために使用され得る。
【0011】
センサシステム110は、レーザビームなどの光ビームを生成し得る光源(例えば発光ダイオード(LED)などのレーザ発射器101)を含み得る。例えば、レーザビームは単一レーザパルス又は一連のレーザパルスであり得る。様々な実施形態によると、光ビームはセンサシステム110のFOV内の周囲環境を走査するために使用され得る。例えば、光ビームは、物体103に達し得、物体103の表面上の点(又は部分)104からセンサシステム110に向かって後方反射され得る。さらに、センサシステム110(例えばLIDARセンサシステム)は、物体103の距離情報を検出するために光がセンサシステム110と点104との間を伝搬する時間(すなわち飛行時間)(TOF:time−of−flight)を測定し得る。
【0012】
加えて、多くのタイプの従来のLIDARが存在する。前述の飛行時間(TOF)LIDARに加えて、周波数変調型連続波(FMCW)LIDARが存在する。TOF LIDARは、送信及び受信されたレーザパルスの時間を測定し、したがって通常は、長距離実施形態において見出される。FMCW LIDARシステムは、優れた撮像が必要とされる短距離アプリケーションにおいて優勢であり得る。FMCW LIDARシステムでは、レーザ発射器から出て来るレーザビームの周波数が時間とともに変化する。発射されたレーザビームにおける周波数と時間との関係に基づき、往復伝搬時間が、発射されたレーザビームと受信されたままの反射レーザビームとの間の周波数の差から計算され得、結局、標的物体までの距離が計算され得る。
【0013】
本発明の様々な実施形態によると、検出器102は、反射光の少なくとも一部を受信し得、受信された光エネルギーを電気信号へ変換し得る。例えば、検出器105は、高感度半導体電子装置である1つ又は複数のアバランシェフォトダイオード(APD)装置などの1つ又は複数の光装置を巧みに利用し得る。APD装置は受信された光エネルギーを、光電流効果を活用することにより電気に変換し得る。
【0014】
本発明の様々な実施形態によると、物体103までの距離を検出するために、TOFを測定するための飛行時間(TOF)ユニット105などの測定回路系が使用され得る。例えば、TOFユニット105は、式t=2D/cに基づき距離を計算し得、ここで、Dはセンサシステム110と物体103との間の距離であり、cは光速であり、tは、光がセンサシステム110から物体103へそしてセンサシステム110まで戻る往復にかかる時間である。したがって、センサシステム110は、光源101による光パルス111の発射と検出器105による戻り光112の受信との間の経過時間(又は時間差)に基づき物体103までの距離を測定し得る。
【0015】
様々な実施形態では、レーザ発射器101は光をナノ秒(ns)レベルで発射し得る。例えば、発光体101は10nsに近い期間を有するレーザパルスを生成し得、検出器105は同様な期間の間戻り信号を検出し得る。さらに、受信処理は、例えば、測定された電気パルスの立ち上りエッジを検出することによりパルス受信時間を判断し得る。又、検出は多段増幅処理を巧みに利用し得る。したがって、センサシステム110は距離情報を判断するために飛行時間(TOF)情報を計算するためのパルス発射時間情報及びパルス受信時間情報を使用し得る。
【0016】
図2は、本発明の様々な実施形態による例示的固体LIDARセンサシステムの概要図200を示す。図2に示すように、LIDARセンサシステム210は、レーザビームなどの光ビームを発射し得る光源201(例えばレーザ発射器)を含み得る。例えば、レーザ発射器は単一レーザパルス又は一連のレーザパルスのいずれかを生成し得る。
【0017】
様々な実施形態によると、光源201は1つ又は複数のレーザダイオードを巧みに利用し得る。例えば、光源201は、高出力LEDなどの単一レーザダイオードを含み得る。代替的に、光源201は、光の一様性を改善するためにレーザダイオード(例えばチップ内)のマルチダイ(multi−die)パッケージを含み得る。
【0018】
様々な実施形態によると、光源201は面発光装置を巧みに利用し得る。例えば、光源201は垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)装置を含み得る。VCSELレーザは、ウェーハレベルでレーザアレイを形成するのが従来の端発光レーザより容易である面発光レーザであるので、光の一様性を改善する際に有益であり得る。又、VCSELレーザは性能がより安定している可能性がある。例えば、VCSELレーザは温度変化にあまり敏感でない(例えば、VCSELレーザの波長温度係数は一般的レーザ波長温度係数の1/5以下であり得る)。
【0019】
さらに、発光体により発射される光ビームは、測距及び感知アプリケーションに最適化された波長を有し得る。例えば、光ビームの波長は、雑音を低減するために強い太陽光の波長を避けるように構成され得る。一例では、光ビームの波長は約905nmとなるように構成され得る。別の例では、光ビームの波長は約1550nmとなるように構成され得る。
【0020】
様々な実施形態によると、LIDARセンサシステム210は、LIDARセンサシステム210の大きな視界(FOV)211を実現するために、光源201から発射される光ビームを拡大する1つ又は複数の光学素子202を採用し得る。図2に示すように、拡大された光は、1つ又は複数の物体が存在し得るセンサシステム210のFOV211へ導かれ得る。その後、光は、FOV211内の1つ又は複数の物体からセンサシステム210方向へ後方反射され得る。加えて、LIDARセンサシステム210は、光エネルギーを捕捉し、導き、光エネルギーの受信を改善するために1つ又は複数の光学素子(例えばレンズ203)を採用し得る。
【0021】
様々な実施形態によると、反射光は検出器204などの受信装置により受信され得る。図2に示すように、検出器204は、高感度半導体電子装置であるアバランシェフォトダイオード(APD)装置のアレイなどの複数の光起電装置(又はユニット)を含み得る。様々な実施形態では、APD装置のアレイは一次元又は多次元的に(例えば2次元行列形式で)位置合わせされ得る。又、アレイ内の各個々のAPD装置は、受信された光エネルギーを、光電流効果を活用することにより電気へ別々に変換し得る。
【0022】
したがって、センサシステム210(例えばLIDARセンサシステム)は、センサシステム210のFOV211内の1つ又は複数の物体上の様々な面点の距離情報を、飛行時間(TOF)すなわち光がセンサシステム110と各表面点との間を伝搬する時間を測定することに基づき、検出し得る。
【0023】
様々な実施形態によると、固体レーザレーダにおいて使用され得るセンサシステムは高出力及びより良い効率を有するレーザを巧みに利用し得る。例えば、レーザビームを拡大することは、拡大された光ビームの強度が拡大に起因して元の発射強度から著しく低減され得るので、安全性を改善する際(特に、高出力レーザが使用される場合)に有益である。従来の機械式走査レーザとは異なり、センサシステム内の(例えば固体レーザレーダ内の)レーザ強度は、レーザが大きなFOVを実現するために拡大された後に低減され得る。したがって、センサシステム内のレーザ源の出力(例えば固体レーザレーダにおいて使用するための)は従来の機械式走査レーザレーダにおいて使用されるレーザ源の出力よりはるかに高い可能性がある。比較目的のために、従来の機械式走査レーザシステムは、しばしばより小さな発射角を有する(すなわちより小さなFOVを有する)ように構成されるので、レーザエネルギーをより集中されたものにする傾向がある。したがって、機械式走査レーザのレーザ発射出力は、レーザ強度が安全規制内に入ることを保証するために様々な安全基準に準拠するために制限される必要がある。
【0024】
図3は、本発明の様々な実施形態による視界(FOV)照明の例示的図解300を示す。図3に示すように、センサシステム210内のタイマ305が、レーザビームを発射するために光源201をトリガし得、レーザビームは周囲環境内のFOV211方向に導かれる。例えば、タイマ305は、センサシステム210のコントローラ(図示せず)の一部であってもよいしそれに付随してもよい。
【0025】
様々な実施形態によると、センサシステム210は、大きなFOV211を有する一様(又は一様分散)光場を取得するためにレーザビーム拡大処理(例えばレーザ拡大器202による)などの光学的処理を巧みに利用し得る。例えば、レーザビーム拡大は発射光ビームの反射及び/又は透過に基づき得る。さらに、ビーム拡大システムは単一段階又は複数段階で実施され得る。代替的に、センサシステム210は、発射されたレーザビームを大きなFOVを実現するために周囲環境中に反射するために1つ又は複数の2次元マイクロ電子機械システム(MEMS)マイクロミラー(角度調整可能である)などの1つ又は複数のミラーを使用し得る。例えば、MEMSマイクロミラーとレーザビームとの間の角度を調整することにより、反射されたレーザ光の角度は、時間とともに変化し得、大きな2次元角度へ発散し得る。加えて、ホログラフィックフィルタが、多くの小さなレーザビームからなる大角度レーザビームを生成するために使用され得る。加えて、レーザダイオードアレイが、レーザビーム拡大処理を使用する必要無く、複数の光ビームを生成するために直接使用され得る。
【0026】
様々な実施形態によると、光は、入射光の偏向を誘起し得るビーム操舵装置(図示せず)方向に導かれ得る。ビーム操舵装置は、センサシステム110を取り囲む環境を走査するためにレーザ光を操舵し得る。例えば、ビーム操舵(ステアリング)装置は、プリズム、ミラー、格子、光学フェイズドアレイ(例えば、液晶制御された格子)又はそれらの任意の組み合せなどの様々な光学素子を含み得る。又、これらの様々な光学素子のそれぞれは、光を様々な方向に操舵するために、ほぼ共通である軸(以降、過度の制限無く共通軸と呼ばれる)を中心として回転し得る。すなわち、様々な光学素子の回転軸間の角度は同じであってもよいし若干異なってもよい。例えば、様々な光学素子の回転軸間の角度は0.01度、0.1度、1度、2度、5度、又はそれ以上の範囲内であり得る。
【0027】
図4は、本発明の様々な実施形態による例示的FOV照明方式の図解を示す。図4に示すように、センサシステム400において、光源401は光ビームを光拡散器などのホモジナイザ402方向に発射し得る。光ビームはコリメートされてもよいしコリメートされなくてもよい。例えば、ホモジナイザ402は、コリメート光ビームを拡散又は均質化し得る回折光学素子であり得る。回折光学素子は単一又はマルチモードレーザビームを所望形状及び強度プロファイルを有する十分に規定された出力ビームへ変換し得る。
【0028】
本発明の様々な実施形態によると、センサシステム400のFOVを構成するために凸レンズ404が光軸に沿って配置され(すなわち、同軸で配置され)得る。例えば、凸レンズは、ホモジナイザ402が凸レンズ404の前焦点面に位置するように光軸に沿った位置に配置され得る。さらに、センサシステムは、十分に均質化された出射光の一部分を取得するために開口403を使用し得る。したがって、センサシステムの視界(FOV)と相関がある出力ビームサイズは、ホモジナイザ402の絞りサイズ、拡散角、及び凸レンズ404の焦点長に基づき判断され得る。代替的に、凹レンズが、センサシステム400の視界を構成するために使用され得る。
【0029】
図5は、本発明の様々な実施形態による代替の例示的FOV照明方式の図解を示す。図5に示すように、センサシステム500において、光源501は光ビームを光拡散器などのホモジナイザ502方向に発射し得る。光ビーム(例えばレーザビーム)はコリメートされてもよいしコリメートされなくてもよい。例えば、ホモジナイザ502は光ビームを拡散又は均質化し得る回折光学素子であり得る。例えば、回折光学素子は単一又はマルチモードレーザビームを所望の形状及び強度プロファイルを有する十分に規定された出力ビームへ変換し得る。
【0030】
本発明の様々な実施形態によると、ミラー504(球状ミラー、楕円ミラー、又は放物面ミラーのいずれか)がセンサシステム500のFOVを構成するために使用され得る。例えば、光源501及びホモジナイザ502は、光ビームを拡大するミラー面反射を実現するためにミラーの前に配置され得、光ビームは次に他の光学的処理を使用することによりさらに拡大又は操作され得る。
【0031】
さらに、センサシステム500は、十分に均質化された出射光を取得するために絞り(aperture:図示せず)を使用し得る。加えて、ホモジナイザ502は、光源の背後に配置され得、ミラー504からの反射光を回折又は均質化するために使用され得る。
【0032】
図6は、本発明の様々な実施形態によるFOV照明のためのホログラフィックフィルタを使用する図解を示す。図6に示すように、センサシステム600における光源601は光ビームを発射し得、光ビームは光拡散器/ホモジナイザ(例えばホログラフィックフィルタ602)へ達する前にレンズ603によりコリメートされ得る。
【0033】
本発明の様々な実施形態によると、その透過面上の各点において、ホログラフィックフィルタ602は、光ビームを、視界(FOV)方向の複数の光円錐(又はドット)に変換し得る。これらの光円錐のそれぞれは通常の光ビーム内よりも高い一様性でもって生成され得る。さらに、ホログラフィックフィルタ602は、様々なアプリケーションを支援するためにFOVと光円錐又はドットの分布との両方を構成するための様々なホログラフィック処方箋(prescriptions)(サイズ、光濃度、波長範囲、及び材料又は基板など)が適用され得る。
【0034】
図7は、本発明の様々な実施形態による例示的FOV照明システムを示す。図7に示すように、FOV照明システム700は、発射段階701、コリメーション段階702、ビーム拡大段階703、均質化(homogenization)段階704及びFOV増大段階705などの複数の段階を含み得る。
【0035】
図7に示すように、レーザ発射器711などの光源は発射段階701においてレーザビームを生成し得る。例えば、レーザ発射器201は単一レーザパルス又は一連のレーザパルスのいずれかを生成し得る。次に、発射されたレーザビームはコリメーション段階702において例えばレンズ712を介しコリメートされ得る。
【0036】
様々な実施形態によると、点光源により生成される光をコリメートするためのコリメータが使用され得る。当業者により知られているように、コリメート光は、光が伝搬するにつれて実質的に拡散し得ない平行光線を有する光を指す。例えば、光源により生成される光をコリメートするためのレンズが使用され得る。代替的に、点光源により生成される光をコリメートするための球面ミラー及び/又は放物面ミラーなどのミラーが使用され得る。例えば、レンズを使用する代わりに、光線を発射方向にほぼ平行なやり方で反射するためのミラーが光源の背後に置かれ得る。
【0037】
さらに、図7に示すように、ビーム拡大段階703は、大きなFOVを実現するためにレーザビームを拡大するために使用され得る。様々な実施形態によると、様々なビーム拡大機構が採用され得る。例えば、単純なガリレオビーム拡大器は、光ビームを拡大するために使用される凹レンズ713とビーム拡大を停止するために使用される凸レンズ714とを含む。他方で、光軸上に共通焦点を有する2つの凸レンズを含むケプラービーム拡大器が同様な効果を実現するために使用され得る。
【0038】
又、図7に示すように、ビームホモジナイザ710が、ビーム均質化段階704において均一レーザビームプロファイルを生成するために使用され得る。例えば、ビームホモジナイザ710は、ガウスエネルギー分布を有するレーザを、フラットトップ強度を有する均質化レーザへ変換し得る。様々な実施形態によると、様々なタイプの均質化機構が光ビームを均質化するために採用され得る。例えば、ビームホモジナイザ710は、暗濁色ガラス、回折ビームホモジナイザ、又はマイクロレンズアレイ(MLA)であり得る。又、ビームホモジナイザ710はホログラフィックフィルタを含み得る。
【0039】
加えて、図7に示すように、凸レンズ715がFOV増大段階705においてセンサシステムのFOVをさらに拡大するために使用され得る。例えば、凸レンズ715の構成を調整することにより、センサシステムは、より短い検出範囲を有するより大きなFOV又はより長い検出範囲におけるより狭いFOVを実現し得る。
【0040】
様々な実施形態によると、様々な段階は再配置、修正、又はバイパスされ得る。又、追加段階が、限定しないが適用及び組み合わせられ得る。図7に示すように、ビーム拡大段階703は、コリメーション段階702に続いてであるが均質化段階704の前に構成され得る。代替的に、ビーム拡大段階703は均質化段階704に続いて構成され得る。又、FOV増大段階705は修正又は削除され得る。
【0041】
図8は、本発明の様々な実施形態によるホログラフィックフィルタを有する例示的FOV照明方式を示す。図8に示すように、FOV照明システム800は、発射段階801、コリメーション段階802、ビーム拡大段階803、及び均質化段階804などの複数の段階を含み得る。様々な実施形態によると、様々な段階は再配置、修正、又はバイパスされ得る。又、追加段階が、限定しないが適用及び組み合わせられ得る。
【0042】
図8に示すように、レーザ発射器811などの光源が放射段階801においてレーザビームを生成し得る。次に、発射されたレーザビームはコリメーション段階802において例えばレンズ812を介しコリメートされ得る。さらに、ビーム拡大段階803がレーザビームを拡大するために構成され得る。例えば、凹レンズ813が光ビームを拡大するために使用され得、凸レンズ814はビーム拡大を停止し光ビームを再コリメートするために使用され得る。
【0043】
様々な実施形態によると、ホログラフィックフィルタ(又はプレート)810が、ビーム拡大803の有無にかかわらず光ビームを拡散又は均質化するために使用され得る。透過面の各点において、ホログラフィックフィルタ810は光ビームを視野(FOV)内の複数の光円錐(又はドット)に変換し得る。これらの光円錐のそれぞれは通常の光ビーム内よりも高い一様性でもって生成され得る。
【0044】
図8に示すように、ホログラフィックフィルタ810に続くレンズ815は、ホログラフィックフィルタ810から送信された平行光線の各グループをレンズ815の焦点面(すなわち照明面)上の特定点へ導き得る。したがって、ホログラフィックフィルタ810の透過面上の様々な点における様々な円錐(又はドット)は照明面において互いの上へ効果的に重畳し得る(照明面はレンズ815から焦点長だけ離れているので)。加えて、レンズ815と同じ焦点長を有し得る別のレンズ816が照明プラン上に置かれ得る。したがって、レンズ816は、照明面から出るテレセントリック円錐角の発散を補正し得るとともに、様々な光測距又は距離検出アプリケーションに有益であるテレセントリック光場805(すなわち、主光線が光軸と平行である)を生成し得る。
【0045】
図2に戻って参照すると、光源201から発射される光の一部は、センサシステムの周囲環境内の視界(FOV)211内の1つ又は複数の物体(図示せず)から後方反射され得る。
【0046】
図9は、本発明の様々な実施形態によるLIDARセンサシステムにおける光検出の例示的図解900を示す。図9に示すように、反射光はセンサシステム内の検出器204(例えば受信装置)方向に導かれ得る。例えば、どこで反射が発生するかと、どの方向へ光が反射されるかと、に依存して、反射光を捕捉して検出器204方向に導くための1つ又は複数の光学素子(例えばレンズ203)が使用され得る。
【0047】
本発明の様々な実施形態によると、検出器204は、受信された光信号を電気信号へ変換するために複数の光検出装置(又はユニット)(例えばAPD装置)を含み得る。又、図9に示すように、反射光はFOV211の様々なセクション内に入り得、各セクション内の反射光は対応光検出装置により受信され得る。各光検出装置は、FOV211の対応セクション内の1つ又は複数の物点(又は部分)の距離情報を示す1つ又は複数の電気信号を生成し得る。さらに、センサシステムは、FOV21内の1つ又は複数の物体の表面上の様々な点(又は部分)までの距離を検出し得る。したがって、センサシステムは、それぞれがFOV211の対応セクション内の1つ又は複数の物点(又は部分)の距離情報を含む複数の画素を有するデータフレームを構築するための情報を構築又は提供し得る。
【0048】
例えば、FOV211のセクション911内の反射光は、検出器204内の対応光検出装置912により受信され得る。次に、センサシステムは、反射が発生する物体の表面上の点(部分)までの距離を、光検出装置912により生成される1つ又は複数の電気信号に基づき検出し得る。
【0049】
本発明の様々な実施形態によると、検出器912の各別個の光検出装置(又はユニット)が電気信号を独立に生成し得る。さらに、センサシステムは、タイマ905からの生成電気信号(光ビームの発射をトリガするために使用され得る)に関係するタイミング情報を取得し得る。したがって、センサシステムは、センサシステムのFOV内の複数の点を同時に(又はほぼ同時に)走査することにより高い効率を実現し得る。本発明の様々な実施形態によると、データプロセッサ906は距離情報をポイントクラウドデータ907に変換し得る。したがって、センサシステムは周囲環境内の様々な物体の距離及び形状を感知し得る。
【0050】
例えば、データプロセッサ906は、様々な反射点の距離情報を、電気信号が様々なセルにおいて生成される時点と光が発射される時点との間の時間差(すなわち各反射点のTOF情報)に基づき取得し得る。このような距離情報は、センサシステムの周囲環境を表すポイントクラウドデータ907に変換され得るデータフレームを生成するために使用され得る。
【0051】
上に説明したような固体LIDARシステムを使用することにより、センサシステムは視界211内のすべてのセクションを同時に又はほぼ同時に走査し得る。比較のために、機械式走査型LIDARシステムは、視界の走査を完了するのに著しく長い時間がかかる点毎走査方式に限定される。したがって、固体LIDARシステムの走査周波数は機械式走査型LIDARシステムの走査周波数より著しく高い可能性がある。すなわち、固体LIDARシステムが周囲環境の単一走査を行う時間は、機械式走査型LIDARシステムが周囲環境の単一走査を行う時間より著しく短い可能性がある。
【0052】
加えて、センサシステムは、信号対雑音比を増加するために同じ領域を複数回走査することにより高い走査効率を巧みに利用し得る。エコー信号強度が低い及び/又は信号対雑音比が低いケースでは、感知結果の品質は複数のサンプリング結果を平均化することにより大幅に改良され得る。例えば、単一回サンプリングの信号対雑音比が1であると仮定すると、N回サンプリングの信号対雑音比はSNRN Sample=N1/2であり、これは、N回サンプリングが信号対雑音比を元の信号雑音比のN1/2へ増加し得るということを示す。したがって、固体LIDARを使用することにより、センサシステムは、走査結果における信号対雑音比を改善するために高いサンプリング周波数を巧みに利用し得る。高いサンプリング周波数は、センサシステムが通常アプリケーションへの最小影響を保証する一方で複数サンプリング方法を使用できるようにする。
【0053】
図10は、本発明の様々な実施形態による光検出装置のアレイを有する検出器の例示的図解1000を示す。
【0054】
図10(a)は、光検出装置のアレイ1002を含み得る検出器1001の断面図である。各光検出装置1002は検出ユニット(例えばAPDセル)を含み得る。任意選択的に、各光検出装置1002は又、APDセルに対応する読み出し集積回路(ROIC)を含み得る。ROICユニットは、対応APDセルにより生成された電気信号に基づき光検出事象を読み出すために使用され得る。様々な実施形態によると、APDセル及びROICは同じチップ内に組み込まれ得る。代替的に、ROICは、様々なパッケージ技術を使用することによりまとめてボンディングされ得る別個のチップ内に実装され得る。
【0055】
本発明の様々な実施形態によると、マイクロレンズ1003は、光が近隣セルへのより少ない反射によりAPDセル方向に焦点を合わせられ得るように、検出器1001の各検出ユニットの上に配置され得る。したがって、センサシステムは、様々な検出セル間に発生し得る光学的クロストークなどの干渉を低減し得る。任意選択的に、様々なタイプの光学フィルタ及び反射防止膜1004がミラーとAPDセルとの間に配置され得る。例えば、反射防止膜は光信号の受信を強化するためにレーザ波長の1/4の厚さを有し得る。
【0056】
さらに、図10(b)は、光検出装置のアレイ1002を含み得る検出器1001の平面図である。図10(b)に示すように、光検出装置1002はアレイ(例えば2Dアレイ又はマトリックス形式)で配置され得る。又、検出器1001は列選択論理ユニット1005及び/又は行選択論理ユニット1006を含み得る。例えば、列選択論理ユニット1005及び/又は行選択論理ユニット1006は、列又は行内の様々なセルを起源とする検出事象を、TOF情報をそれぞれ評価するための論理ユニットへ導き得る。したがって、列又は行内の複数のセルは、効率を改善すると共に費用を低減するための同じTOF論理ユニットを共有し得る。
【0057】
本発明の様々な実施形態によると、検出器1001内の光検出装置1002同士の位置合わせは異なるやり方で構成され得る。例えば、光検出ユニットは、光信号をより良く検出するために円又はリング又は任意の特別な幾何学形状で配置され得る。
【0058】
図11は、本発明の様々な実施形態によるLIDARセンサシステムを使用して周囲環境を感知するフローチャートを示す。図11に示すように、工程1101において、LIDARセンサシステムは光ビームを均質化するために1つ又は複数の光学素子を使用(又は構成)し得、ここでは、光ビームは光源から発射され、均質化された光ビームはセンサシステムのFOV方向に導かれる。工程1102において、LIDARセンサシステムは複数の光検出装置を有する検出器を使用(又は構成)し得る。複数の光検出装置の各光検出装置は、センサシステムのFOV内の1つ又は複数の物体から後方反射される光ビームの光子エネルギーの少なくとも一部を受信し、受信された光子エネルギーに基づき少なくとも1つの電気信号を生成するように構成される。
【0059】
本発明の様々な実施形態によると、センサシステムは、反射が発生する表面点(又は部分)の(すなわち、FOVの特定セクション内の)距離情報をそれぞれが含む複数の画素を有するデータフレームを構築(又は構築するための情報を提供)し得る。図9に戻って参照すると、センサシステムは、複数の光検出装置(又はユニット)(例えばAPDアレイ)を有する検出器204を含み得る。検出装置のそれぞれは、視界(FOV)の特定セクション内の1つ又は複数の物体から後方反射された光エネルギーの一部分を受信し得る。又、各検出装置はFOVの特定セクションから受信される光エネルギーを1つ又は複数の電気信号に変換し得る。したがって、検出器204は、対応光検出ユニットにより生成される電気信号に基づきFOVの特定セクションの距離情報を検出し得る(例えばFOVの特定セクションのTOF情報を計算することにより)。
【0060】
図9に示すように、光検出装置912はFOV211のセクション911から反射される光エネルギーを受信し得る。さらに、光検出装置912はそれに応じて1つ又は複数の電気信号を生成し得る。次に、センサシステムは、データフレーム内の画素として表され得るFOVのセクション911の距離情報を取得し得る。
【0061】
本発明の様々な実施形態によると、センサシステムの検出分解能はセンサシステムのFOVと画素数(すなわち検出器204内の光検出装置の数)とに基づき判断され得る。様々な実施形態では、センサシステムのFOVは水平方向の画角及び垂直方向の画角を使用することにより規定され得る。例えば、水平方向のセンサシステムの画角はαであり、垂直方向の画角はβである。光検出装置のアレイが2次元(2D)マトリックス形式(例えばM×Nのサイズを有し、ここで、Mは水平方向の画素数であり、Nはデータフレームの垂直方向の画素数である)であれば、センサシステムの角度分解能は水平方向ではα/Mであり、垂直方向ではβ/Nである。
【0062】
本発明の様々な実施形態によると、センサシステムは画素シフト方式を巧みに利用することにより検出分解能を改善し得る。例えば、1つ又は複数の画素シフト操作が、FOV211内の反射光と検出器204との間の相対的空間関係を調整するために行われ得る。FOV211内の受信された光と検出器204との間の相対的空間関係に対するこのような調整は、FOV211のセクションと検出器204内の光検出装置のアレイとの間の対応関係(図9に示すような)に影響を与え得る。例えば、1つ又は複数の画素シフト操作が行われた後、光検出装置912はFOVの元のセクション911から1つ又は複数のオフセットでもってシフトされるFOVのセクションから反射される光エネルギー(図示せず)を受信し得る。
【0063】
本発明の様々な実施形態によると、画素シフト方式は高分解能でもって周囲環境を走査するために使用され得る。画素シフト方式を適用することにより、検出器204(例えばアレイ検出装置を有する)は様々な組の電気信号を生成し得る。各電気信号はFOV内の特定点(又は部分)の距離情報を示し得、各組の電気信号はセンサシステムのFOV内の異なる組の点(又は部分)に対応し得る。したがって、センサシステムは、より高い分解能を有する結果データフレームを取得し得る。
【0064】
図12は本発明の様々な実施形態による画素シフト方式1200の例示的図解を示す。図12に示すように、画素サイズ1211が画素間距離(すなわち画素ピッチサイズ1212と画素サイズ1211との間の差)より大きい場合、センサシステムは2つの異なる時点において2つの異なるデータフレームを生成することに関与する画素シフト方式1200を採用し得る。
【0065】
図12(a)に示すように、検出装置は、センサシステムに第1の構成が適用される場合はデータフレーム1201内の第1組の画素の距離情報を検出し得る。さらに、画素シフト方式(スキーム)1200は画素シフト操作1210を指示(prescribe)し得、これによりセンサシステムに第2の構成を効果的に適用させる。検出装置は、第2組の画素を有する異なるデータフレーム1202を構築するための距離情報を含む異なる組の電気信号を生成し得る。上に論述したように、データフレーム1201とデータフレーム1202のそれぞれはFOVのセクションと光検出装置のアレイとの間の対応関係に応じて構築され得る。
【0066】
本発明の様々な実施形態によると、画素シフト操作1210はセンサシステムを第1の構成と第2の構成との間で変更し得る。第1の構成と第2の構成は、データフレーム1201内の第1組の画素とデータフレーム1202内の第2組の画素との間の望ましい画素シフト効果を生じ得るように、所定通りに相関付けられ得る。例えば、画素シフト効果は、どのように画素シフト操作1210が指示及び/又は実行されるかに依存して併進的又は回転的であり得る。
【0067】
図12に示すように、データフレーム1201内の第1組の画素とデータフレーム1202内の第2組の画素との間の画素シフト(又はオフセット)は列方向と行方向のそれぞれの方向上の約1/2画素であり得る。代替的に、画素シフトは画素サイズの任意の小数となるように構成され得る。例えば、画素シフトは画素サイズの1/3又は画素サイズの2/3となるように構成され得る。
【0068】
さらに、検出分解能を改善する目的のために、データフレーム1202内の画素をデータフレーム1201内の画素の上に完全に効果的に重畳させ得る画素サイズ(又は画素ピッチサイズ)の倍数であるオフセットだけデータフレーム1202内の画素をシフトする(例えば、この場合、データフレーム1202内の画素1222がデータフレーム1201内の近隣画素の上に位置し得る)こと(これは追加情報を提供しない)を回避することが有益である。
【0069】
図13は、本発明の様々な実施形態による画素シフト方式を適用することからの例示的結果のデータフレームを示す。図12に示すような画素シフト方式を適用することにより、データプロセッサは、データフレーム1201内の第1組の画素及びデータフレーム1202内の第2組の画素に基づき、高い検出分解能(例えば2×分解能)を有し得る結果データフレーム1300を生成し得る。
【0070】
本発明の様々な実施形態によると、様々なデータ融合技術が、データフレーム1201内の第1組の画素及びデータフレーム1202内の第2組の画素に基づき結果データフレームを取得するために使用され得る。例えば、結果データフレームの各画素は、データフレーム1201及びデータフレーム1202内の重畳された画素内の距離情報に基づき(例えば平均化により)計算され得る。
【0071】
図12に示すように、データフレーム1201内の画素とデータフレーム1202内の画素との間のオフセットは列方向と行方向の両方向上で1/2画素である。例えば、データフレーム1202内の画素(例えば画素1222)はデータフレーム1201内の最大4つの近隣画素と重畳し得る。したがって、画素1222の値とデータフレーム1201内の4つの近隣画素の値が、結果データフレーム1300内の対応画素1302の値を計算するために使用され得る。同様に、結果データフレーム1300内の画素1301の値は画素1211の値とデータフレーム1202内の近隣画素の値に基づき計算され得る。したがって、結果データフレーム1300は、各データフレーム1201又は1202の分解能を2倍にする分解能を有し得る。
【0072】
本発明の様々な実施形態によると、複数のデータフレーム又は複数組の画素が結果データフレーム1300を取得するために使用され得る。例えば、センサシステムは、3つのデータフレーム(例えば画素サイズの1/3のオフセットを有する1つのデータフレームと画素サイズの2/3のオフセットを有する別のデータフレーム)内の3組の画素に対応し得る3組の電気信号を生成し得る。したがって、結果データフレームは各データフレームの分解能を3倍にする分解能を有し得る(例えば様々なデータ融合技術を使用することにより)。
【0073】
本発明の様々な実施形態によると、センサシステムは、様々な構成をセンサシステムへ適用することにより(例えば光路に沿った光源、中間光学素子、又は検出器のうちの少なくとも1つの空間的位置を変更することにより)画素シフト効果を実現し得る。さらに、様々な機構が、LIDARセンサシステム内で画素シフト操作を行うために使用され得る。
【0074】
図2に戻って参照すると、センサシステム210は、発射光ビームが光源201から検出器204へ伝搬するための光路を変更するために画素シフト操作を行い得る。画素シフト操作を行うことにより、センサシステム210は、画素シフト方式を適用するために様々な構成をセンサシステム210に対し適用し得る。さらに、センサシステム210は、発射光ビームが所定周波数で光源201から検出器204へ伝搬するための光路を変更し続けるために振動機構を採用し得る。図2に示すように、光源201又は検出器204などのセンサシステム内の光学部品の任意の部品は、第1の構成では第1の相対的空間的位置又は配向そして第2の構成では第2の相対的空間的位置又は配向で構成され得、ここで、第1の相対的空間的位置又は配向と第2の相対的空間的位置又は配向は異なる。すなわち、センサシステム210は、光源201又は検出器204を受信光に対し併進的又は回転的のいずれかで移動させ得る。代替的に、センサシステム210は、光を検出器204に対し異なる経路に沿って伝搬させるためにセンサシステム210内の1つ又は複数の中間光学素子を併進的又は回転的のいずれかで移動させ得る。
【0075】
本発明の様々な実施形態によると、センサシステム210は、互いに隣接して位置合わせされる複数の光源を巧みに利用することにより画素シフト操作を行い得る。例えば、各光源から光の発射が別のやり方で指示されると、発射光ビームが光源から検出器へ伝搬するための光路がそれに応じて変更され得る。したがって、センサシステム210は様々な構成をセンサシステムに対し適用することにより画素シフト効果を実現し得る。さらに、センサシステム210の性能は、いかなる可動部品もセンサシステム210内に必要とされないのでより安定且つ一貫したものとなり得る。
【0076】
図14は、本発明の様々な実施形態による代替の画素シフト方式1400の例示的図解を示す。図14に示すように、画素サイズ1411は画素間距離(すなわち画素ピッチサイズ1412と画素サイズ1411との間の差)より小さい。
【0077】
センサシステムに第1の構成が適用されると、検出器(又は1つ又は複数の検出装置)は図14(a)に示すように第1組の画素1401を構築するための第1組の電気信号を生成し得る。次に、センサシステムは画素シフト操作1410を行い得、これによりセンサシステムに第2の構成を効果的に適用させる。したがって、検出装置は、図14(b)に示すように異なる組の画素1402を構築するための情報を含む異なる組の電気信号を生成し得る。
【0078】
本発明の様々な実施形態によると、センサシステムを所定の相関を有する第1の構成と第2の構成との間で変更する画素シフト操作1410は、第1組の画素1401と第2組の画素1402との間の画素シフト(又はオフセット)を引き起こし得る。例えば、第1組の画素1401と第2組の画素1402との間の画素シフトは、行及び/又は列方向のいずれかの方向上で約1/2画素又は1/3画素であり得る。
【0079】
さらに、データプロセッサは、第1組の画素1401及び第2組の画素1402に基づき結果データフレーム1420を生成し得る。例えば、画素シフトは画素サイズ(又は画素ピッチサイズ)の任意の小数(arbitrary fraction)となるように構成され得る。検出分解能を改善する目的のために、結果データフレーム1420内の画素を近隣画素の上に完全に重畳するようにシフトすることを回避することが有益である。
【0080】
図14に示すように、第1組の画素1401(例えば画素1411)と第2組の画素1402(例えば画素14121)との間のオフセットは列方向と行方向との両方向上で1/2画素間距離1412である。この結果、第1組の画素1401は第2組の画素1402と重畳しない。本発明の様々な実施形態によると、高い検出分解能を有する結果データフレームをデータフレーム1401及びデータフレーム1402に基づき取得するための様々なデータ融合技術が使用され得る。例えば、簡単な手法は、2つの別々のデータフレームを最初に構築すること無く、第1組の画素1401と第2組の画素1402とを組み合わせて(例えばマージして)、結果データフレーム1420内に入れることである。したがって、結果データフレーム1420は、各組の画素1201又は1202の元の分解能を2倍にする分解能を有し得る。
【0081】
本発明の様々な実施形態によると、複数組の画素が結果データフレーム1420を取得するために使用され得る。例えば、センサシステムは、3つのデータフレーム(例えば画素サイズの1/3のオフセットを有する1つのデータフレームと画素サイズの2/3のオフセットを有する別のデータフレーム)内の3組の画素に対応し得る3組の電気信号を生成し得る。したがって、結果データフレームは、例えば様々なデータ融合技術を使用することにより、各データフレームの分解能を3倍にする分解能を有し得る。
【0082】
したがって、画素シフト方式1400を使用することにより、センサシステムは、複数の異なるデータフレームを様々な時点で別々に生成する必要性無く、結果データフレーム1420を直接構築し得る又は構築するための情報を取得し得る。
【0083】
本発明の様々な実施形態によると、センサシステムは、画素シフト効果を実現するための光路に沿って平坦プレートレンズなどの1つ又は複数の特別な光学素子を増強し得る。
【0084】
図15は、本発明の様々な実施形態による画素シフト方式1500において平坦プレートレンズを使用する例示的例示を示す。図15(a)に示すように、平坦プレートレンズ1501は検出装置1502の前に位置し得る。図15(b)に示すように、センサシステムは、受信端部において光をシフトし得る平坦プレートレンズ1501を所定角度だけ回転することができる。平坦プレートレンズ1501の両面は互いに平行であるので、平坦プレートレンズが一定角度だけ回転された後、出射ビームは入射ビームと平行であり得るがオフセットを有する。
【0085】
本発明の様々な実施形態によると、センサシステムは様々な組の電気信号に基づき結果データフレーム(図示せず)を生成し得る。結果データフレームは、センサシステムの様々な構成に対応する複数組の画素を含み得る。
【0086】
図15に示すように、平坦プレートレンズ1501は第1の構成では入力光に対し第1の角度で構成され得、第2の構成では入力光に対し第2の角度で構成され得る。第1の角度及び第2の角度は、所望画素シフト効果を引き起こすために構成され得る。例えば、平坦プレートレンズ1501は第1の構成では入射光に対し垂直に配置され得る。次に、平坦プレートレンズは、第2の構成では、光を異なる経路(入力光と平行であるがオフセットを有する)で伝搬させるために入力光に垂直である軸を中心として回転され得る。代替的に、平坦プレートレンズ1501は、第1の構成では入射光に対し非垂直角度で配置され得る。次に、画素シフト操作が行われた後、平坦プレートレンズは、第2の構成では光を入射光からの異なるオフセットを有する異なる経路において伝搬させるために、光に対し垂直である軸を中心として回転され得る。さらに、本システムは、(結果データフレームの)複数の方向又は次元における画素シフトの技術的効果を実現するために平坦プレートレンズを様々な方向に同時又は順次に回転し得る(すなわち様々な軸を中心として)。
【0087】
別の例では、平坦プレートレンズ1501は、第1の構成では入力光に対し第1の角度で、第2の構成では入力光に対し第2の角度で、そして第3の構成では入力光に対し第3の角度で構成され得る。したがって、センサシステムは、3つの構成のために生成される3組の電気信号に基づき、結果データフレーム(元の分解能を3倍にし得る)を取得し得る。
【0088】
さらに、平坦プレートレンズ1501と接続する機械的発振器などの振動機構が、発射光ビームが所定周波数で光源201から検出器204へ伝搬するための光路を変更し続けるために平坦プレートレンズ1501の角度を繰り返し回転又は交換するために使用され得る。例えば、このような手法を採用することにより、センサシステムは、上に説明したような画素シフト方式と複数サンプリング方法との両方を巧みに利用し得る。
【0089】
本発明の様々な実施形態によると、平坦プレートレンズ1501などの追加光学素子を使用することが有益である。例えば、追加光学素子を使用する1つの恩恵は、実装するのが容易であるということと、センサシステムの全体安定性を保証し得るということである(これは、センサシステムが、光路に沿った光源、光学素子、又は検出器などのセンサシステム内の様々な光学部品の構成を変更すること(難しく且つ間違いを起こし易い可能性がある)を回避することができるためである)。追加光学素子を使用するための別の恩恵は、追加光学素子が柔軟であるということである。例えば、センサシステムは、異なる画素シフト操作を指示及び実行することにより(例えば平坦プレートレンズ1501を図15に示すように構成し様々な角度で回転することにより)画素シフト方式を調整又は再構成し得る。
【0090】
図16は、本発明の様々な実施形態による平坦プレートレンズを回転することにより引き起こされる画素シフト効果の例示的図解を示す。図16に示すように、平坦プレートレンズ1601は検出装置1602の前に配置され得る。平坦プレートレンズ1601の両面は互いに平行であるので、出射ビームは平坦プレートレンズ1601が所定角度だけ回転された後入射ビームに対し平行である(例えばオフセットδを有し)。
【0091】
図16に示す例では、平坦プレートレンズ1601は角度θだけ回転する。次に、オフセットδは次式のように定義され得る。
【数1】

ここで、
【数2】
nは屈折率であり、dはプレート1401の厚さである。
【0092】
したがって、オフセットδは次式を使用して計算され得る。
【数3】
【0093】
さらに、θが小さな角度であると仮定すると、オフセットδは次の近似を使用して推定され得る。
【数4】
【0094】
別の例では、プレート1401がθからθへ回転すると、オフセットは次式を使用して計算され得る。
【数5】
【0095】
上記式において、回転された角度(Δθ=θ−θ)が小さいということを仮定すると、オフセットは次のように近似され得る。
【数6】
【0096】
したがって、センサシステムは、所望量の画素シフトを実現するために所定角度だけプレート1601を回転し得る。例えば、画素シフトが各方向上で画素の1/2であることが望ましければ(すなわち、
【数7】
及び
【数8】
)、回転角Δθ及びΔθは次のように判断され得る、
【数9】
ここで、I及びIはそれぞれx次元及びy次元上の各検出ユニットの画素寸法である。又、他の所望量の画素シフトを実現するためのプレート1601を回転する角度は同様なやり方で判断され得る。
【0097】
図17は、本発明の様々な実施形態によるLIDARセンサシステムにおいて画素シフトをサポートするフローチャートを示す。図17に示すように、工程1701では、LIDARセンサシステムは第1組の電気信号を取得するために第1の構成をセンサシステムへ適用し得、第1組の電気信号は、センサシステムの視界内の1つ又は複数の物体から後方反射される第1の光ビームの受信光子エネルギーに基づき、検出器により生成される。工程1702では、LIDARセンサシステムは第2組の電気信号を取得するために第2の構成をセンサシステムへ適用し得、第2組の電気信号は、1つ又は複数の物体から後方反射される第2の光ビームの受信光子エネルギーに基づき、検出器により生成され、第1の構成と第2の構成は異なる。工程1703では、LIDARセンサシステムは1つ又は複数の物体の距離情報を第1組の電気信号及び第2組の電気信号に基づき判断するためにデータプロセッサを使用し得る。
【0098】
本発明の多くの特徴は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせで、又はこれらを使用して、又はこれらの支援により行われ得る。したがって、本発明の特徴は、(例えば、1つ又は複数のプロセッサを含む)処理システムを使用することにより実施され得る。例示的プロセッサは、限定しないが、1つ又は複数の汎用マイクロプロセッサ(例えばシングルコアプロセッサ又はマルチコアプロセッサ)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け命令セットプロセッサ(ASIP)、グラフィック処理ユニット(GPU)、物理的処理ユニット(PPU)、ディジタル信号処理(DSP)ユニット、コプロセッサ、ネットワーク処理ユニット(NPU)、音声処理ユニット(APU)、暗号化処理ユニットなどを含み得る。
【0099】
本発明の特徴は、命令が格納された記憶媒体(媒体群)又はコンピュータ可読媒体(媒体群)であるコンピュータプログラム製品内に、又は同製品を使用することにより、又は同製品による支援により実施され得、本明細書に提示される特徴のうちの任意のものを行うように処理システムをプログラムするために使用され得る。記憶媒体は、限定しないが、フロッピーディスク、光ディスク、DVD、CD−ROM、マイクロドライブ、磁気光学ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、DRAM、VRAM、フラッシュメモリ装置、磁気又は光カード、ナノシステム(分子メモリICを含む)、又は命令及び/又はデータを格納するのに好適な任意のタイプの媒体又は装置を含む任意のタイプのディスクを含み得る。
【0100】
機械可読媒体(媒体群)の任意の1つに格納されるのは、本発明の特徴は処理システムのハードウェアを制御するためのそして本発明の結果を利用する他の機構と処理システムとが相互作用することを可能にするためのソフトウェア及び/又はファームウェアに取り込まれ得る。このようなソフトウェア又はファームウェアは、限定しないが、アプリケーションコード、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、及び実行環境/容器を含み得る。
【0101】
本発明の特徴は又、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)装置などのハードウェア部品を使用することによりハードウェアで実施され得る。本明細書で説明された機能を実行するようにハードウェアステートマシンを実施することは当業者にとって明らかである。
【0102】
加えて、本発明は、1つ又は複数の従来の汎用又は特化デジタルコンピュータ、コンピュータ装置、マシン、又はマイクロプロセッサ(1つ又は複数のプロセッサ、メモリ、及び/又は本開示の教示に従ってプログラムされるコンピュータ可読記憶媒体を含む)を使用することにより好都合に実施され得る。ソフトウェア技術における当業者にとって明らかとなるように、適切なソフトウェアコーディングが本開示の教示に基づき熟練したプログラマにより容易に用意され得る。
【0103】
本発明の様々な実施形態について上に説明したが、これらはほんの一例として提示したのであって制限するためではないということを理解すべきである。したがって、形式及び詳細の様々な変更が本発明の精神と範囲から逸脱することなくなされ得るということは当業者にとって明らかである。
【0104】
本発明は、規定された機能の性能及びその関係を示す機能ビルディングブロックの助けを借りて上に説明された。これらの機能ビルディングブロックの境界はしばしば、説明の都合上本明細書では任意に規定された。規定された機能及びその関係が適切に行われる限り代替の境界が規定され得る。したがっていかなるこのような代替の境界も本発明の範囲及び精神に入る。
【0105】
本発明の前術の説明は例示及び説明のために提示された。網羅的であることを目的としてない、又は開示された正確な形式に本発明を限定することを目的としていない。本発明の広さ及び範囲は上述の例示的実施形態のいかなるものによっても、制限されるべきではない。多くの修正及び変形形態が当業者にとって明らかになる。修正形態と変形形態は、開示された特徴の任意の関連組み合わせを含む。実施形態は、本発明の原理及びその実用化について最も良く説明するために、そしてこれにより当業者が、様々な実施形態の本発明と、企図される特定使用に適するような様々な修正を有する本発明とを理解できるようにするために、選択され説明された。本発明の範囲は以下の特許請求範囲とその等価物によって規定されるように意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17