(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6856789
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジ
(51)【国際特許分類】
B65D 50/08 20060101AFI20210405BHJP
B65D 43/08 20060101ALI20210405BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20210405BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
B65D50/08
B65D43/08 200
B65D83/00 G
B41J2/175 119
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-20760(P2020-20760)
(22)【出願日】2020年2月10日
【審査請求日】2020年2月10日
(31)【優先権主張番号】201911219194.3
(32)【優先日】2019年12月3日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】316012197
【氏名又は名称】珠海中潤靖傑打印科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】劉克平
【審査官】
石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−63098(JP,A)
【文献】
特表2007−529376(JP,A)
【文献】
中国実用新案第201009523(CN,Y)
【文献】
特開2001−19012(JP,A)
【文献】
特開2011−157106(JP,A)
【文献】
特開2020−40391(JP,A)
【文献】
特許第4202669(JP,B2)
【文献】
特許第4808372(JP,B2)
【文献】
特許第4961845(JP,B2)
【文献】
特開2007−22035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 50/08
B41J 2/175
B65D 43/08
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部(1)と、スナップキャップ(2)とを備え、前記胴部(1)の上端にインク供給ノズル(3)を有する横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジであって、前記胴部(1)の上端の片側に逃げ部(5)を更に有する、前記スナップキャップ(2)の片側に、下に突出して延びた横開き式係合キャップ(6)を有し、前記スナップキャップ(2)は胴部(1)の一端に係合し、インク供給ノズル(3)を覆うと共に、前記横開き式係合キャップ(6)は逃げ部(5)を整合的に覆い、且つ上へ動かされる時、横開き式係合キャップ(6)は、スナップキャップ(2)と胴部(1)を片側から次第に分離させるように動かし、スナップキャップ(2)の横開きを実現させる、前記横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジ。
【請求項2】
前記スナップキャップ(2)の内側壁に、第1アンダーカット(7)が設けられ、前記横開き式係合キャップ(6)とスナップキャップ(2)との接続箇所に第2アンダーカット(8)が設けられ、前記第2アンダーカット(8)は横開き式係合キャップ(6)の内部に位置し、前記胴部(1)の上端に係合部(9)が設けられ、前記係合部(9)の外表面に凸状リブ(10)が設けられ、前記スナップキャップ(2)は胴部(1)の係合部(9)に係合し、且つ前記第1アンダーカット(7)及び第2アンダーカット(8)は凸状リブ(10)を係留することを特徴とする
請求項1に記載の前記横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジ。
【請求項3】
前記凸状リブ(10)は環状となる又はストリップ状となる凸状リブであり、前記ストリップ状となるリブは2本以上であり、各ストリップ状となる凸状リブは、第1アンダーカット(7)及び第2アンダーカット(8)に一対一に対応することを特徴とする
請求項2に記載の前記横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジ。
【請求項4】
前記凸状リブ(10)の外表面は、円弧面であることを特徴とする
請求項3に記載の前記横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジ。
【請求項5】
前記横開き式係合キャップ(6)の縁とスナップキャップ(2)の縁との接続箇所に凹溝(11)が設けられることを特徴とする
請求項2に記載の前記横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジ。
【請求項6】
前記横開き式係合キャップ(6)の縁の下端に動かすための溝(14)が設けられることを特徴とする
請求項5に記載の前記横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジ。
【請求項7】
前記横開き式係合キャップ(6)、第1アンダーカット(7)、第2アンダーカット(8)及びスナップキャップ(2)は一体型構造となり、前記係合部(9)、凸状リブ(10)及び胴部(1)は一体型構造となることを特徴とする
請求項5に記載の前記横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジ。
【請求項8】
前記係合部(9)はボスであり、前記インク供給ノズル(3)はボスの上表面に設けられるか、又は前記係合部(9)は環状となる凸状壁であり、前記インク供給ノズル(3)は環状となる凸状壁の中央に設けられることを特徴とする
請求項5に記載の前記横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジ。
【請求項9】
前記逃げ部(5)は、胴部(1)の側面から上へ係合部(9)の片側まで次第に延びる切欠きであり、前記切欠きは、胴部(1)の厚さ方向に沿って胴部(1)を貫通することを特徴とする
請求項2に記載の前記横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジ。
【請求項10】
前記横開き式係合キャップ(6)の外側表面に横開き方向識別部(12)が設けられることを特徴とする
請求項1に記載の前記横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷消耗品技術分野に属し、特に、横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市場における従来の扁平状インクタンク型インクカートリッジは、胴部と、スナップキャップとを備える。しかしながら、出願人は、これらの扁平状インクタンク型インクカートリッジにおいて、スナップキャップと胴部が一般的にはネジ構造で固着されており、スナップキャップ開閉時に、スナップキャップを繰り返して螺回させる必要があり、操作が極めて煩雑であり、時間がかかり、且つネジ構造の加工の困難性が高く、コストが低く、また印刷に要求される容量を満たすために胴部の寸法が大きくなり、組立時にプリンタの印刷ユニットに引っ掛かって動かなくなってしまい、正常に使用するために人工的補助を必要とし、そうでなければ、胴部が転倒するリスクがあり、また異なる品番のプリンタに汎用できず、汎用性が低いことを発見した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術における上記課題を解消するために、本発明は、開放しやすく、操作が簡単かつ迅速で、組立時に引っ掛かって動かなくなることなく、汎用性が高く、且つ構造が簡単かつコンパクトで、生産加工しやすい横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記技術的課題を解決するために、本発明は以下の技術的解決手段を用いる。
【0005】
横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジであって、胴部と、スナップキャップとを備え、前記胴部の上端にインク供給ノズルを有し、前記胴部の上端の片側に逃げ部を更に有し、前記スナップキャップの片側に、下に突出して延びた横開き式係合キャップを有し、前記スナップキャップは胴部の一端に係合し、インク供給ノズルを覆うと共に、前記横開き式係合キャップは逃げ部を整合的に覆い、且つ上へ動かされる時、横開き式係合キャップは、スナップキャップと胴部を片側から次第に分離させるように動かし、スナップキャップの横開きを実現させる。
【0006】
更に、前記スナップキャップの内側壁に、第1アンダーカットが設けられ、前記横開き式係合キャップとスナップキャップとの接続箇所に第2アンダーカットが設けられ、前記胴部の上端に係合部が設けられ、前記係合部の外表面に凸状リブが設けられ、前記スナップキャップは胴部の係合部に係合し、且つ前記第1アンダーカット及び第2アンダーカットは凸状リブを係留する。
【0007】
更に、前記凸状リブは環状となる又はストリップ状となる凸状リブであり、前記ストリップ状となるリブは2本以上であり、各ストリップ状となる凸状リブは、第1アンダーカット及び第2アンダーカットに一対一に対応する。
【0008】
更に、前記凸状リブの外表面は、円弧面である。
【0009】
更に、前記横開き式係合キャップの縁とスナップキャップの縁との接続箇所に凹溝が設けられる。
【0010】
更に、前記横開き式係合キャップの縁の下端に動かすための溝が設けられる。
【0011】
更に、前記横開き式係合キャップ、第1アンダーカット、第2アンダーカット及びスナップキャップは一体型構造となり、前記係合部、凸状リブ及び胴部は一体型構造となる。
【0012】
更に、前記係合部はボスであり、前記インク供給ノズルはボスの上表面に設けられるか、又は前記係合部は環状となる凸状壁であり、前記インク供給ノズルは環状となる凸状壁の中央に設けられる。
【0013】
更に、前記逃げ部は、胴部の側面から上へ係合部の片側まで次第に延びる切欠きであり、前記切欠きは、胴部の厚さ方向に沿って胴部を貫通する。
【0014】
更に、前記横開き式係合キャップの外側表面に横開き方向識別部が設けられる。
【0015】
更に、前記横開き方向識別部及びスナップキャップは一体型構造である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以下の有益な効果を主に有する。
本発明は上記技術的解決手段により、スナップキャップの横開きを実現させることができる。片手で操作を完了することができる。スナップキャップが開放しやすく、操作が非常に簡便かつ迅速なで、また胴部を組み立てる時に、プリンタの一部の印刷ユニットが逃げ部内に位置し、組立時に引っ掛かって動かなくなることなく、汎用性が高く、且つ構造が簡単かつコンパクトで、生産加工しやすく、大量生産及び普及に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジの構成を示す概略図である。
【
図2】本発明に係る横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジを示す分解図である。
【
図3】本発明に係る横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジを示す断面図である。
【
図4】本発明に係る横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジにおけるスナップキャップの構成を示す概略図である。
【
図5】本発明に係る横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジにおけるスナップキャップの局所的な構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照して、本発明をさらに詳しく説明する。ここに記載される具体的な実施例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないと理解すべきである。
【0019】
図1から
図5に示すように、本発明の実施例に係る横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジは、胴部1と、スナップキャップ2とを備え、前記胴部1の上端にインク供給ノズル3を有し、前記胴部1の上端の片側に逃げ部5を更に有し、前記スナップキャップ2の片側に、下に突出して延びた横開き式係合キャップ6を有し、前記スナップキャップ2は胴部1の一端に係合し、インク供給ノズル3を覆うと共に、前記横開き式係合キャップ6は逃げ部5を整合的に覆う。具体的な構造は、以下のものであってもよい。前記スナップキャップ2の内側壁に、第1アンダーカット7が設けられ、前記横開き式係合キャップ6とスナップキャップ2との接続箇所に第2アンダーカット8が設けられ、前記第2アンダーカット8は上端がスナップキャップ2の内側の頂面に接続され、且つその外部に向かう片側に補強リブ13が設けられ、前記胴部1の上端に係合部9が設けられ、前記係合部9の外表面に凸状リブ10が設けられる。ここで、前記凸状リブ10は環状となる凸状リブであって、その外表面が円弧面であってもよい。前記係合部9はボスである。前記インク供給ノズル3はボスの上表面に設けられ、且つ横開き式係合キャップ6、第1アンダーカット7、第2アンダーカット8及びスナップキャップ2は一体型構造となる(例えば、横開き式係合キャップ6、第1アンダーカット7、第2アンダーカット8及びスナップキャップ2は一体に射出成形される)。前記逃げ部5は、胴部1の側面から上へ係合部9の片側まで次第に延びる切欠きであり、前記切欠きは、胴部1の厚さ方向に沿って胴部を貫通する。好ましい実施例として、該切欠きは、弧状となる退避位置であり、且つ凸状リブ10及び胴部1は一体型構造となる(例えば、係合部9、凸状リブ10及び胴部1は一体に射出成形される)。
【0020】
スナップキャップ2と胴部1を組み立てる時、前記スナップキャップ2は胴部1の係合部9に係合し、それと同時に横開き式係合キャップ6は逃げ部5を整合的に覆い、前記第1アンダーカット7及び第2アンダーカット8は凸状リブ10を係留する。この際、横開き式係合キャップ6を上へ動かすと、横開き式係合キャップ6は、スナップキャップ2と胴部1を片側から次第に分離させるように動かし(具体的には、横開き式係合キャップ6を上へ動かすと、横開き式係合キャップ6が外に向かって変形し、第2アンダーカット8と凸状リブ10を動かして分離させ、続いて、上へ動かして、続いて、第1アンダーカット7と凸状リブ10を分離させ、スナップキャップ2を片側から係合部9と分離させ、開放し)、スナップキャップ2の横開きを実現させる。
【0021】
従って、本発明に係る横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジはスナップキャップ2の横開きを実現させることができる。片手で操作を完了することができる。スナップキャップ2が開放しやすく、操作が非常に簡便かつ迅速なで、また胴部1を組み立てる時に、プリンタの一部の印刷ユニットが逃げ部5内に位置し、組立時に引っ掛かって動かなくなることなく、汎用性が高く、且つ構造が簡単かつコンパクトで、生産加工しやすく、大量生産及び普及に寄与する。
【0022】
図1,2及び4に示すように、本実施例において、前記横開き式係合キャップ6の縁とスナップキャップ2の縁との接続箇所に凹溝11が設けられる。前記凹溝11はU型凹部であってもよく、且つ横開き式係合キャップ6、第1アンダーカット7、第2アンダーカット8及びスナップキャップ2は一体型構造となる(例えば、横開き式係合キャップ6、第1アンダーカット7、第2アンダーカット8及びスナップキャップ2が一体に射出成形される)。従って、横開き式係合キャップ6が上へ動かされる時に外向きの変形特性を向上させ、横開きをより容易にし、操作をより簡単にし、使用しやすくする。
【0023】
図3、4及び5に示すように、本実施例において、前記横開き式係合キャップ6の縁の下端に動かすための溝14が設けられる。前記動かすための溝14は切欠き又は凹部である。スナップキャップ2を開放する時、動かすための溝14に指を掛け、横開き式係合キャップ6を外へ開放することをより容易かつ簡単にし、スナップキャップ2の横開きに寄与する。
【0024】
別の実施例として、前記凸状リブ10はストリップ状となる凸状リブであってもよく、前記ストリップ状となるリブは2本以上であり、各ストリップ状となる凸状リブは、第1アンダーカット7及び第2アンダーカット8に一対一に対応する。前記係合部9は環状となる凸状壁であってもよく、前記インク供給ノズル3は、環状となる凸状壁の中央に設けられる。
【0025】
図5に示すように、本実施例において、前記横開き式係合キャップ6の外側表面に横開き方向識別部12が設けられる。前記横開き方向識別部12及びスナップキャップ2は一体型構造となる(例えば、横開き方向識別部12とスナップキャップ2は一体に射出成形される)。該横開き方向識別部12によりスナップキャップの開放方向を明確に指示することができ、操作をより容易にする。
【0026】
以上の記載は本発明の好適な実施形態であり、当業者にとって、本発明の原理を逸脱しない前提で、若干の改良及び修飾をしてもよく、これらの改良及び修飾も本発明の保護範囲に含まれることに留意すべきである。
【要約】 (修正有)
【解決手段】横開き式の扁平状インクタンク型インクカートリッジは、胴部と、スナップキャップとを備え、前記胴部の上端にインク供給ノズルを有し、前記胴部の上端の片側に逃げ部を更に有し、前記スナップキャップの片側に、下に突出して延びた横開き式係合キャップを有し、前記スナップキャップは胴部の一端に係合し、インク供給ノズルを覆うと共に、前記横開き式係合キャップは逃げ部を整合的に覆い、且つ上へ動かされる時、横開き式係合キャップは、スナップキャップと胴部を片側から次第に分離させるように動かし、スナップキャップの横開きを実現させる。
【効果】スナップキャップが開放しやすく、操作が非常に簡便かつ迅速で、また胴部を組み立てる時に、プリンタの一部の印刷ユニットが逃げ部内に位置し、組立時に引っ掛かって動かなくなることなく、汎用性が高く、且つ構造が簡単かつコンパクトで、生産加工しやすく、大量生産及び普及に寄与する。
【選択図】
図2