特許第6856812号(P6856812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6856812電極用結着剤組成物、電極用塗工液組成物、蓄電デバイス用電極及び蓄電デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6856812
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】電極用結着剤組成物、電極用塗工液組成物、蓄電デバイス用電極及び蓄電デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20210405BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20210405BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20210405BHJP
   H01G 11/06 20130101ALI20210405BHJP
   H01G 11/38 20130101ALI20210405BHJP
【FI】
   H01M4/139
   H01M4/62 Z
   H01M4/13
   H01G11/06
   H01G11/38
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-176840(P2020-176840)
(22)【出願日】2020年10月21日
【審査請求日】2020年10月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003506
【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179578
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和弘
(72)【発明者】
【氏名】松本 真昌
(72)【発明者】
【氏名】西川 明良
(72)【発明者】
【氏名】坂本 紘一
(72)【発明者】
【氏名】東崎 哲也
【審査官】 結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/099520(WO,A1)
【文献】 特開2013−134884(JP,A)
【文献】 特開2019−016457(JP,A)
【文献】 特開2019−016456(JP,A)
【文献】 特開2007−200897(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/133030(WO,A1)
【文献】 特開2020−187991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/139
H01G 11/06
H01G 11/38
H01M 4/13
H01M 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン樹脂を水に分散させたポリウレタン樹脂水分散体と、
カーボンナノチューブと、
界面活性剤と、を含む電極用結着剤組成物であって、
前記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤と、シリコン系界面活性剤と、フッ素系界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1つを含み、
前記界面活性剤の含有量は、前記ポリウレタン樹脂と前記カーボンナノチューブと前記界面活性剤との合計量に対し、0.1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする、
電極用結着剤組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の電極用結着剤組成物であって、
前記カーボンナノチューブの含有量に対する前記界面活性剤の含有量の比率(界面活性剤/カーボンナノチューブ)が、0.05以上10以下であることを特徴とする、
電極用結着剤組成物。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電極用結着剤組成物であって、
前記ポリウレタン樹脂の含有量に対する前記界面活性剤の含有量の比率(界面活性剤/ポリウレタン樹脂)が、0.001以上0.3以下であることを特徴とする、
電極用結着剤組成物。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の電極用結着剤組成物であって、
前記界面活性剤は非イオン性界面活性剤であり、
前記非イオン性界面活性剤の含有量は、前記ポリウレタン樹脂と前記カーボンナノチューブと前記非イオン性界面活性剤との合計量に対し、0.5質量%以上15質量%以下であることを特徴とする、
電極用結着剤組成物。
【請求項5】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の電極用結着剤組成物であって、
前記界面活性剤はシリコン系界面活性剤であり、
前記シリコン系界面活性剤の含有量は、前記ポリウレタン樹脂と前記カーボンナノチューブと前記シリコン系界面活性剤との合計量に対し、0.5質量%以上13質量%以下であることを特徴とする、
電極用結着剤組成物。
【請求項6】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の電極用結着剤組成物であって、
前記界面活性剤はフッ素系界面活性剤であり、
前記フッ素系界面活性剤の含有量は、前記ポリウレタン樹脂と前記カーボンナノチューブと前記フッ素系界面活性剤との合計量に対し、0.5質量%以上15質量%以下であることを特徴とする、
電極用結着剤組成物。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の電極用結着剤組成物であって、
さらに、カルボキシメチルセルロース又はその塩を含むことを特徴とする、
電極用結着剤組成物。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の電極用結着剤組成物であって、
前記ポリウレタン樹脂の含有量に対する前記カーボンナノチューブの含有量の比率(カーボンナノチューブ/ポリウレタン樹脂)が、0.001以上0.2以下であることを特徴とする、
電極用結着剤組成物。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の電極用結着剤組成物を含有することを特徴とする電極用塗工液組成物。
【請求項10】
請求項9に記載の電極用塗工液組成物の固形分を含有することを特徴とする蓄電デバイス用電極。
【請求項11】
請求項10に記載の蓄電デバイス用電極を備えることを特徴とする蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極用結着剤組成物、電極用塗工液組成物、蓄電デバイス用電極及び蓄電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ノート型パソコンや、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末の電源として、二次電池を用いることが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1,2,3には、二次電池の電極に用いる結着剤として、スチレンブタジエンゴム(SBR)が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−21068号公報
【特許文献2】特開平11−7948号公報
【特許文献3】特開2001−210318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、二次電池の電極に用いる結着剤には、優れた結着性のみならず、優れた作業性が求められる。作業性の具体的な特性として、例えば、塗膜面の平滑性や塗料の脱泡性等が挙げられる。一般に、塗膜面の平滑性や塗料の脱泡性を向上させる方法として、結着剤に界面活性剤を混合する方法が考えられる。しかし、一般に、界面活性剤を結着剤に加えると、結着剤の結着性が低下する傾向にある。このため、結着性と作業性とに優れた結着剤に関する技術の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することができる。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、電極用結着剤組成物が提供される。この電極用結着剤組成物は、ポリウレタン樹脂を水に分散させたポリウレタン樹脂水分散体と、カーボンナノチューブと、界面活性剤と、を含む電極用結着剤組成物であって、前記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤と、シリコン系界面活性剤と、フッ素系界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1つを含み、前記界面活性剤の含有量は、前記ポリウレタン樹脂と前記カーボンナノチューブと前記界面活性剤との合計量に対し、0.1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする。
【0008】
この形態によれば、結着性と作業性とに優れた結着剤を提供できる。
【0009】
(2)上記形態の電極用結着剤組成物において、前記カーボンナノチューブの含有量に対する前記界面活性剤の含有量の比率(界面活性剤/カーボンナノチューブ)が、0.05以上10以下であってもよい。
【0010】
この形態によれば、結着性と作業性とに優れた結着剤を提供できる。
【0011】
(3)上記形態の電極用結着剤組成物において、前記ポリウレタン樹脂の含有量に対する前記界面活性剤の含有量の比率(界面活性剤/ポリウレタン樹脂)が、0.001以上0.3以下であってもよい。
【0012】
この形態によれば、結着性と作業性とに優れた結着剤を提供できる。
【0013】
(4)上記形態の電極用結着剤組成物において、前記界面活性剤は非イオン性界面活性剤であり、前記非イオン性界面活性剤の含有量は、前記ポリウレタン樹脂と前記カーボンナノチューブと前記非イオン性界面活性剤との合計量に対し、0.5質量%以上15質量%以下であってもよい。
【0014】
この形態によれば、結着性と作業性とに優れた結着剤を提供できる。
【0015】
(5)上記形態の電極用結着剤組成物において、前記界面活性剤はシリコン系界面活性剤であり、前記シリコン系界面活性剤の含有量は、前記ポリウレタン樹脂と前記カーボンナノチューブと前記シリコン系界面活性剤との合計量に対し、0.5質量%以上13質量%以下であってもよい。
【0016】
この形態によれば、作業性に優れつつ、結着性により優れた結着剤を提供できる。
【0017】
(6)上記形態の電極用結着剤組成物において、前記界面活性剤はフッ素系界面活性剤であり、前記フッ素系界面活性剤の含有量は、前記ポリウレタン樹脂と前記カーボンナノチューブと前記フッ素系界面活性剤との合計量に対し、0.5質量%以上15質量%以下であってもよい。
【0018】
この形態によれば、作業性に優れつつ、結着性により優れた結着剤を提供できる。
【0019】
(7)上記形態の電極用結着剤組成物において、さらに、カルボキシメチルセルロース又はその塩を含んでもよい。
【0020】
この形態によれば、分散安定性に優れた結着剤を提供できる。
【0021】
(8)上記形態の電極用結着剤組成物において、前記ポリウレタン樹脂の含有量に対する前記カーボンナノチューブの含有量の比率(カーボンナノチューブ/ポリウレタン樹脂)が、0.001以上0.2以下であってもよい。
【0022】
この形態によれば、結着性と作業性とに優れた結着剤を提供できる。
【0023】
(9)本発明の他の形態によれば、上記形態の電極用結着剤組成物を含有する電極用塗工液組成物を提供できる。
【0024】
(10)本発明の他の形態によれば、上記形態の電極用塗工液組成物の固形分を含有する蓄電デバイス用電極を提供できる。
【0025】
(11)本発明の他の形態によれば、上記形態の蓄電デバイス用電極を備える蓄電デバイスを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0027】
<ポリウレタン樹脂水分散体>
本発明の実施形態である電極用結着剤組成物は、ポリウレタン樹脂を水に分散させたポリウレタン樹脂水分散体と、カーボンナノチューブと、界面活性剤と、を含む。本実施形態の界面活性剤は、非イオン性界面活性剤と、シリコン系界面活性剤と、フッ素系界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1つを含む。そして、本実施形態の界面活性剤の含有量は、ポリウレタン樹脂とカーボンナノチューブと界面活性剤との合計量に対し、0.1質量%以上20質量%以下である。
【0028】
一般に、界面活性剤を結着剤に加えた場合、結着性が低下する傾向にある。しかし、この形態の電極用結着剤組成物によれば、特定の界面活性剤を予め定められた量用いることにより、結着性を維持しつつ、作業性に優れる結着剤を提供できる。
【0029】
<ポリウレタン樹脂水分散体>
ポリウレタン樹脂水分散体は、ポリイソシアネート化合物と、ポリオールとを構成単量体とする。
【0030】
(ポリイソシアネート化合物)
ポリイソシアネート化合物としては、特に限定されないが、例えば、有機ポリイソシアネート等が挙げられる。有機ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート等を挙げることができる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等を挙げることができる。脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。また、ポリイソシアネート化合物としては、これらの有機ポリイソシアネートの2量体又は3量体や、ビュレット化イソシアネート等の変性体を挙げることができる。ポリイソシアネート化合物は、一種のみを使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
【0031】
ポリイソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネートとが好ましく、脂環族ポリイソシアネートがより好ましい。具体的には、ポリイソシアネート化合物としては、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましく、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ−トがより好ましい。
【0032】
(ポリオール)
ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリクロロプレンポリオール等が挙げられる。この中では、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールが好ましく、ポリブタジエンポリオールがより好ましい。
【0033】
また、ポリオールとして、ポリカーボネートポリオールを用いてもよい。ポリカーボネートポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、当該技術分野で一般的に使用されるポリカーボネートポリオールを使用することができる。ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールのカーボネートポリオール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールのカーボネートポリオール、1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールのカーボネートポリオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールのカーボネートポリオール等が挙げられる。より具体的には、旭化成社製のPCDL T−6001、T−6002、T−5651、T−5652、T−5650J、T−4671、T−4672や、クラレ社製のクラレポリオールC−590、C−1050、C−1050R,C−1090,C−2050、C−2050R,C−2070、C−2070R、C−2090、C−2090R、C−3090、C−3090R、C−4090、C−4090R、C−5090、C−5090R、C−1065N、C−2065N、C−1015N、C−2015Nや、宇部興産社製のETERNACOLL(登録商標) UH−50、UH−100、UH−200、UH−300、UM−90(3/1)、UM−90(1/1)、UM−90(1/3)、UC−100等が挙げられる。
【0034】
(その他の構成単量体)
ポリウレタン樹脂水分散体は、ポリイソシアネート化合物及びポリオール以外に、例えば、親水基と1個以上の活性水素基とを有する化合物を構成単量体として含んでいてもよい。本明細書において、「親水基」としては、アニオン性親水基と、カチオン性親水基と、ノニオン性親水基とが挙げられる。アニオン性親水基としては、例えば、カルボキシ基及びその塩、スルホン酸基及びその塩が挙げられる。カチオン性親水基としては、例えば、第3級アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩が挙げられる。ノニオン性親水基としては、例えば、エチレンオキシドの繰り返し単位からなる基、エチレンオキシドの繰り返し単位とその他のアルキレンオキシドの繰り返し単位からなる基等が挙げられる。
【0035】
活性水素基とカルボキシ基(又はその塩)を各1個以上含有する化合物としては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸、ジオキシマレイン酸、2,6−ジオキシ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸等のカルボン酸含有化合物及びこれらの誘導体並びにそれらの塩に加え、これらを使用して得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。また、アラニン、アミノ酪酸、アミノカプロン酸、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、ヒスチジン等のアミノ酸類、コハク酸、アジピン酸、無水マレイン酸、フタル酸、無水トリメリット酸等のカルボン酸類も挙げられる。
【0036】
活性水素基とスルホン酸基(又はその塩)を各1個以上有する化合物としては、例えば、2−オキシエタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホコハク酸、5−スルホイソフタル酸、スルファニル酸、1,3−フェニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、2,4−ジアミノトルエン−5−スルホン酸等のスルホン酸含有化合物及びこれらの誘導体、並びにこれらを共重合して得られるポリエステルポリオール、ポリアミドポリオール、ポリアミドポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0037】
これらのカルボキシ基又はスルホン酸基を中和して塩にすることにより、最終的に得られるポリウレタンを水分散性にすることができる。この場合の中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の不揮発性塩基、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類、アンモニア等の揮発性塩基等が挙げられる。中和は、ウレタン化反応前、反応中、又は反応後の何れにおいても行うことができる。
【0038】
1個以上の活性水素基と第3級アンモニウム塩を含有する化合物の例としては、例えば、メチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。これらを、ギ酸、酢酸などの有機カルボン酸、または塩酸、硫酸などの無機酸で中和して塩にすることにより、ポリウレタンを水分散性にすることができる。中和は、ウレタン化反応前、反応中、又は反応後の何れにおいても行うことができる。これらのうち、乳化の容易性の観点から、メチルジエタノールアミンを有機カルボン酸で中和したものが好ましい。
【0039】
1個以上の活性水素基と第4級アンモニウム塩を有する化合物の例としては、例えば、前述のメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミンを、塩化メチル、臭化メチルなどのハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸などのジアルキル硫酸により4級化した化合物等が挙げられる。これらのうち、乳化の容易性の観点からは、メチルジエタノールアミンをジメチル硫酸等で4級化した化合物が好ましい。
【0040】
活性水素基とノニオン性親水基を各1個以上有する化合物は、特に限定されないが、エ
チレンオキシドの繰り返し単位を少なくとも30質量%以上含有し、数平均分子量300〜20,000の化合物が好ましく、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体グリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシブチレン共重合体グリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシアルキレン共重合体グリコール又はそのモノアルキルエーテル等のノニオン性基含有化合物、或いはこれらを共重合して得られるポリエステルポリエーテルポリオール等が挙げられる。
【0041】
(鎖伸長剤)
ポリウレタン樹脂の鎖伸長剤としては、特に限定されないが、例えば、ジアミン、トリアミン、テトラミン等が挙げられる。ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ピペラジン、イソホロンジアミン等が挙げられる。トリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン等が挙げられる。テトラミンとしては、例えば、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。鎖伸長剤としては、ジアミンが好ましく、エチレンジアミンがより好ましい。
【0042】
鎖伸長剤の配合量としては、特に限定されないが、ポリウレタン樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上3質量部以下が好ましく、0.2質量部以上1質量部以下がより好ましい。
【0043】
ポリウレタン樹脂水分散体中のポリウレタン樹脂の固形分としては、特に限定されないが、作業性の観点から、ポリウレタン樹脂水分散体100質量部に対して、1質量部以上60質量部以下が好ましく、3質量部以上55質量部以下がより好ましく、4質量部以上50質量部以下がさらに好ましい。
【0044】
<ポリウレタン樹脂水分散体の製造方法>
ポリウレタン樹脂水分散体の製造方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。ポリウレタン樹脂水分散体の製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、ポリイソシアネート化合物、ポリオール等を30℃〜130℃で0.5時間〜10時間程度の反応条件で反応させた後、必要に応じてこれを5℃〜45℃に冷却することにより、ウレタンプレポリマーを得る。尚、溶媒として、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの任意の有機溶媒を使用することができる。その後、ウレタンプレポリマーを乳化、鎖伸張することにより、ポリウレタン樹脂水分散体を製造する。乳化の際には水を添加する。乳化に使用する水は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して、100〜900質量部であることが好ましい。
【0045】
<カーボンナノチューブ>
本実施形態のカーボンナノチューブは、特に限定されないが、例えば、シングルウォールカーボンナノチューブ(SWCNT)、マルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT)等が挙げられる。少量で電子伝導性を高めることができるため、カーボンナノチューブとしては、シングルウォールカーボンナノチューブ(SWCNT)が好ましい。
【0046】
カーボンナノチューブの繊維径や繊維長は特に限定されないが、数平均繊維径が0.5nm以上20nm以下であることが好ましく、数平均繊維長が0.5μm以上1mm以下であることが好ましい。数平均繊維径を0.5nm以上とすることにより、粘度が高くなりすぎることを抑制できるため、電極用塗工組成物の調製が安易となる。また、数平均繊維径を20nm以下とすることにより、柔軟性が向上するため、電池にした際の耐久性が向上する。数平均繊維径は、1nm以上10nm以下がより好ましく、2nm以上8nm以下がさらに好ましい。また、数平均繊維長を0.5μm以上とすることにより、得られる電極の耐久性が向上し、得られる電池のサイクル寿命が向上する。数平均繊維長を1mm以下とすることにより、カーボンナノチューブのレオロジー制御が容易となる。数平均繊維長は、1μm以上10μm以下とすることがより好ましく、2μm以上7μm以下とすることがさらに好ましい。数平均繊維長および数平均繊維径は、例えば透過電子顕微鏡写真、走査型プローブ型顕微鏡写真で無作為に選んだカーボンナノチューブ100個の長軸及び径を測定し、その数平均として算出できる。
【0047】
カーボンナノチューブは、所定の媒体に分散された状態で用いることが好ましい。カーボンナノチューブの分散体はカーボンナノチューブを公知の手法でナノサイズまで媒体中に分散させることで作製される。媒体については通常、水が用いられるが、アルコール、ケトン系溶媒などの極性溶媒、またはそれらの極性有機溶媒と水との混合溶媒も使用できる。
【0048】
カーボンナノチューブを分散させる分散剤としては、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びそのアルカリ金属塩、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース等のセルロース類が使用できる。中でも、カルボキシメチルセルロース又はその塩を用いることがより好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を特に好適に使用することができる。本実施形態の電極用接着剤組成物では、ナノセルロース繊維を含まないが、含んでいてもよい。
【0049】
<界面活性剤>
本実施形態の電極用接着剤組成物は界面活性剤を含み、本実施形態の界面活性剤は、非イオン性界面活性剤と、シリコン系界面活性剤と、フッ素系界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1つを含む。そして、界面活性剤の含有量は、ポリウレタン樹脂とカーボンナノチューブと界面活性剤との合計量に対し、0.1質量%以上20質量%以下である。
【0050】
本明細書において、非イオン性界面活性剤とは、水に溶けてもイオン性を示さないが、界面活性を示す界面活性剤を意味する。非イオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系非イオン性界面活性剤等が挙げられる。アセチレングリコール系非イオン性界面活性剤としては、例えば、日信化学工業社製のサーフィノール420、サーフィノール423、サーフィノール424、サーフィノール425、サーフィノール440、サーフィノール465や、ダウ・ケミカル社製のTRITON(登録商標)HW−1000等が挙げられる。
【0051】
界面活性剤が非イオン性界面活性剤である場合、接着性を向上させる観点から、非イオン性界面活性剤の含有量は、ポリウレタン樹脂とカーボンナノチューブと非イオン性界面活性剤との合計量に対し、0.5質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。
【0052】
シリコン系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ダウ・東レ社製のDOWSIL(登録商標)FS Antifoam 92、DOWSIL(登録商標)FS Antifoam 1277、DOWSIL(登録商標)FS Antifoam 013A、DOWSIL(登録商標)1313 Antifoam Emulsion等が挙げられ、ビックケミー・ジャパン社のBYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349、BYK−3400、BYK−3410、BYK−3441、BYK−3450、BYK−3451、BYK−3480、BYK−3481等が挙げられる。
【0053】
界面活性剤がシリコン系界面活性剤である場合、接着性を向上させる観点から、シリコン系界面活性剤の含有量は、ポリウレタン樹脂とカーボンナノチューブとシリコン系界面活性剤との合計量に対し、0.5質量%以上13質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上8質量%以下であることがさらに好ましい。
【0054】
フッ素系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ネオス社製のフタージェント100(100C)、フタージェント150(150CH)、フタージェント212M、フタージェント251、フタージェント400SW等が挙げられ、AGCセイミケミカル社製のサーフロンS−211、サーフロンS−221、サーフロンS−231、サーフロンS−232、サーフロンS−233等が挙げられ、3M社製のFC−4430、FC−4432等が挙げられる。
【0055】
界面活性剤がフッ素系界面活性剤である場合、接着性を向上させる観点から、フッ素系界面活性剤の含有量は、ポリウレタン樹脂とカーボンナノチューブとフッ素系界面活性剤との合計量に対し、0.5質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。
【0056】
本実施形態の電極用結着剤組成物において、カーボンナノチューブの含有量に対する界面活性剤の含有量の比率(界面活性剤/カーボンナノチューブ)は特に限定されないが、0.05以上10以下であることが好ましく、0.5以上8以下であることがより好ましく、0.5以上3以下がさらに好ましく、1以上2以下が特に好ましい。
【0057】
本実施形態の電極用結着剤組成物において、ポリウレタン樹脂の含有量に対するカーボンナノチューブの含有量の比率(カーボンナノチューブ/ポリウレタン樹脂)は特に限定されないが、0.006以上0.2以下であることが好ましく、0.01以上0.1以下であることがより好ましく、0.02以上0.1以下がさらに好ましく、0.03以上0.08以下が特に好ましい。
【0058】
本実施形態の電極用結着剤組成物において、ポリウレタン樹脂の含有量に対する界面活性剤の含有量の比率(界面活性剤/ポリウレタン樹脂)は特に限定されないが、0.001以上0.3以下であることが好ましく、0.01以上0.15以下であることがより好ましく、0.02以上0.1以下がさらに好ましく、0.025以上0.05以下が特に好ましい。
【0059】
さらに、本実施形態の電極用結着剤組成物には、必要に応じて、一般的に使用される各種添加剤を使用することができる。このような添加剤としては、特に限定されないが、例えば、耐候剤、抗菌剤、抗カビ剤、顔料、防錆剤、染料、造膜助剤、シランカップリング剤、ブロッキング防止剤、粘度調整剤、レベリング剤、消泡剤、分散安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、有機充填剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤等が挙げられる。
【0060】
次に、本発明の他の実施形態の電極用塗工液組成物について説明する。電極用塗工液組成物は、電極用結着剤組成物と、後述する活物質と、導電助剤と、分散剤とを含有してもよい。
【0061】
電極用塗工液組成物において、ポリウレタン樹脂が電極用塗工液組成物固形分に対して0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。ポリウレタン樹脂が上記範囲内である場合、電極合材層の結着性と電極の電子伝導性とを両立できる。また、カーボンナノチューブは、電極用塗工液組成物固形分に対して0.06質量%以上2質量%以下であることが好ましい。カーボンナノチューブの含有量が上記範囲内である場合、電極用塗工液組成物のレオロジー特性、および電極合材層の結着性と電極の電子伝導性とを両立できる。界面活性剤が電極用塗工液組成物固形分に対して0.005質量%以上3質量%以下であることが好ましい。また、分散剤は、電極用塗工液組成物固形分に対し0.4質量%以上10質量%以下含有することが好ましい。活物質は、電極用塗工液組成物固形分に対し80質量%以上93質量%以下含有することが好ましい。導電助剤は、電極用塗工液組成物固形分に対し0.5質量%以上3質量%以下含有することが好ましい。
【0062】
分散剤としては、特に限定されないが、分散機能を有する公知のものを使用することができ、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びそのアルカリ金属塩、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどのセルロース類;特許5626828号、特許5921960号に記載のような化学変性セルロースナノファイバーのようなセルロースナノファイバー類;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダなどのポリカルボン酸系化合物;ポリビニルピロリドンなどのビニルピロリドン構造を有する化合物;ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリルアマイド、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、アルギン酸ソーダ、キサンタンガム、カラギーナン、グアーガム、カンテン、デンプンなどから選択された1種又は2種以上が使用可能である。なかでも、カルボキシメチルセルロース塩が好適に使用できる。
【0063】
導電助剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料を使用することができる。一般に、アセチレンブラックやケッチンブラック等のカーボンブラックが使用されるが、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人造黒鉛、カーボンウイスカー、炭素繊維や金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金等)粉末、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を用いてもよい。これらは1種又は2種以上の混合物として使用することができる。その添加量は活物質量に対して0.1〜30重量%が好ましく、特に0.2〜20重量%が好ましい。なお、本実施形態の電極用結着剤組成物の構成成分であるカーボンナノチューブは導電助剤としても機能する。
【0064】
なお、本実施形態の蓄電デバイスの電極用塗工液組成物は、上記電極材料の混合の方法・順序等は特に限定されず、例えば、導電助剤と分散剤と電極用結着剤組成物とを予め混合して用いる事も可能である。組成物の混合・分散処理に用いる混合・分散装置としては、特に限定されず、例えば、ホモディスパー、プラネタリーミキサー、プロペラミキサー、ニーダー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ビーズミル、サンドミル、高圧ホモジナイザー等を用いることができる。
【0065】
本発明の蓄電デバイスとしては、公知の蓄電デバイスを挙げることができ、特に限定されないが、例えば、リチウム二次電池、リチウムイオンキャパシタ等が挙げられる。
【0066】
次に本実施形態の蓄電デバイスとしてのリチウム二次電池について説明する。本実施形態のリチウム二次電池に用いられる正極及び負極は、電極活物質、導電剤、電極活物質の集電体、及び電極活物質並びに導電剤を集電体に結着させる結着剤等から構成される。
【0067】
本実施形態のリチウム二次電池は、上記実施形態の電極用結着剤組成物を使用して製造された電極から構成されるものである。上記結着剤は正極と負極とのいずれにも利用可能であり、正極と負極とのいずれか一方に用いられる。
【0068】
本実施形態のリチウム二次電池において、上記電極用結着剤組成物を使用しない方の電極用結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンやパーフルオロメチルビニルエーテル及びテトラフルオロエチレンとの共重合体などのポリフッ化ビニリデン共重合体樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴムなどのフッ素系樹脂や、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−アクリロニトリル共重合体などのポリマーが使用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
本実施形態のリチウム二次電池の正極に使用する正極活物質としては、リチウムイオンの挿入、脱離が可能であるものであれば、特に限定されることはない。例としては、CuO、CuO、MnO、MoO、V、CrO、MoO、Fe、Ni、CoO等の金属酸化物、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiFePO等のリチウムと遷移金属との複合酸化物や、TiS、MoS、NbSe等の金属カルコゲン化物、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子化合物等が挙げられる。上記の中でも、一般に高電圧系と呼ばれる、コバルト、ニッケル、マンガン等の遷移金属から選ばれる1種以上とリチウムとの複合酸化物がリチウムイオンの放出性や、高電圧が得られやすい点で好ましい。コバルト、ニッケル、マンガンとリチウムとの複合酸化物の具体例としては、LiCoO、LiMnO、LiMn、LiNiO、LiNiCo(1−x)、LiMnNiCo(a+b+c=1)などが挙げられる。また、これらのリチウム複合酸化物に、少量のフッ素、ホウ素、アルミニウム、クロム、ジルコニウム、モリブデン、鉄などの元素をドーブしたものや、リチウム複合酸化物の粒子表面を、炭素、MgO、Al、SiO等で表面処理したものも使用できる。上記正極活物質は2種類以上を併用することも可能である。
【0070】
本実施形態の負極に使用する負極活物質としては、金属リチウム又はリチウムイオンを挿入/脱離することができるものであれば公知の活物質を特に限定なく用いることができる。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素などの炭素材料を用いることができる。また、金属リチウムや合金、スズ化合物などの金属材料、リチウム遷移金属窒化物、結晶性金属酸化物、非晶質金属酸化物、ケイ素化合物、導電性ポリマー等を用いることもでき、具体例としては、LiTi12、NiSi等が挙げられる。
【0071】
本実施形態のリチウム二次電池の正極及び負極には導電剤が用いられる。導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば、特に限定なく使用することができる。通常、アセチレンブラックやケッチンブラック等のカーボンブラックが使用されるが、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人造黒鉛、カーボンウイスカー、炭素繊維や金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金等)粉末、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料でもよい。これらは2種類以上の混合物として使用することもできる。その添加量は活物質量に対して0.1〜30質量%が好ましく、特に0.2〜20質量%が好ましい。
【0072】
本実施形態のリチウム二次電池の電極活物質の集電体としては、構成された電池において悪影響を及ぼさない電子伝導体であれば何でも使用可能である。例えば、正極用集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス等の他に、接着性、導電性、耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅等の表面を、カーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理した物を用いることができる。また、負極用集電体としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、チタン、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金等の他に、接着性、導電性、耐酸化性向上の目的で、銅等の表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理したものを用いることができる。これらの集電体材料は表面を酸化処理することも可能である。また、その形状については、フォイル状の他、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされた物、ラス体、多孔質体、発泡体等の成形体も用いられる。厚みは特に限定はないが、1〜100μmのものが通常用いられる。
【0073】
本実施形態のリチウム二次電池の電極は、電極活物質、導電剤、電極活物質の集電体、及び電極活物質並びに導電剤を集電体に結着させる結着剤等を混合してスラリー状の電極材料を調製し、集電体となるアルミ箔又は銅箔等に塗布して分散媒を揮発させることにより製造することができる。
【0074】
本実施形態の電極材料には、スラリー化の粘性調整剤として、水溶性高分子などの増粘剤を使用できる。具体的には、カルボキシメチルセルロース塩、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダなどのポリカルボン酸系化合物;ポリビニルピロリドンなどのビニルピロリドン構造を有する化合物;ポリアクリルアマイド、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、アルギン酸ソーダ、キサンタンガム、カラギーナン、グアーガム、カンテン、デンプンなどから選択された1種又は2種以上が使用可能であり、中でもカルボキシメチルセルロース塩が好ましい。
【0075】
上記電極材料の混合の方法や順序等は特に限定されず、例えば、活物質と導電剤とは予め混合して用いることが可能であり、その場合の混合には、乳鉢、ミルミキサー、遊星型ボールミル又はシェイカー型ボールミルなどのボールミル、メカノフュージョン等を用いることができる。
【0076】
本実施形態のリチウム二次電池に使用するセパレータは、通常のリチウム二次電池に用いられるセパレータを特に限定なしに使用でき、その例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン等よりなる多孔質樹脂、セラミック、不織布等が挙げられる。
【0077】
本実施形態のリチウム二次電池に使用する電解液は通常のリチウム二次電池に用いられる電解液であればよく、有機電解液およびイオン液体等の一般的なものを使用することができる。
【0078】
本実施形態のリチウム二次電池に使用する電解質塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCl、LiBr、LiCFSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiI、LiAlCl、NaClO、NaBF、NaI等を挙げることができ、特に、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsFなどの無機リチウム塩、LiN(SO2x+1)(SO2y+1)で表される有機リチウム塩が好ましい。ここで、xおよびyは0又は1〜4の整数を表し、また、x+yは2〜8である。有機リチウム塩としては、例えば、LiN(SOF)、LiN(SOCF)(SO)、LiN(SOCF)(SO)、LiN(SOCF)(SO)、LiN(SO、LiN(SO)(SO)、LiN(SO)(SO)等が挙げられる。中でも、LiPF、LiBF、LiN(CFSO、LiN(SOF)、LiN(SOなどを電解質に使用すると、電気特性に優れるので好ましい。上記電解質塩は1種類用いても2種類以上用いても良い。このようなリチウム塩は、通常、0.1〜2.0モル/リットル、好ましくは0.3〜1.5モル/リットルの濃度で、電解液に含まれていることが望ましい。
【0079】
本実施形態のリチウム二次電池の電解質塩を溶解させる有機溶媒としては、通常のリチウム二次電池の非水電解液に用いられる有機溶媒であれば特に限定されず、例えば、カーボネート化合物、ラクトン化合物、エーテル化合物、スルホラン化合物、ジオキソラン化合物、ケトン化合物、ニトリル化合物、ハロゲン化炭化水素化合物等を挙げることができる。詳しくは、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレングリコールジメチルカーボネート、プロピレングリコールジメチルカーボネート、エチレングリコールジエチルカーボネート、ビニレンカーボネート等のカーボネート類、γ−ブチルラクトン等のラクトン類、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類、スルホラン、3−メチルスルホラン等のスルホラン類、1,3−ジオキソラン等のジオキソラン類、4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、アセトニトリル、ピロピオニトリル、バレロニトリル、ベンソニトリル等のニトリル類、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、その他のメチルフォルメート、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、イミダゾリウム塩、4級アンモニウム塩などのイオン性液体等を挙げることができる。さらに、これらの混合物であってもよい。
【0080】
これらの有機溶媒のうち、特に、カーボネート類からなる群より選ばれた非水溶媒を一種類以上含有することが、電解質の溶解性、誘電率および粘度において優れるので好ましい。
【0081】
本実施形態のリチウム二次電池において、ポリマー電解質又は高分子ゲル電解質を用いる場合は、使用可能な例として、高分子化合物であるエーテル、エステル、シロキサン、アクリロニトリル、ビニリデンフロライド、ヘキサフルオロプロピレン、アクリレート、メタクリレート、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、オキセタンなどの重合体又はその共重合体構造を有する高分子又はその架橋体などが挙げられ、高分子は一種類でも二種類以上でもよい。高分子構造は特に限定されるものではないが、ポリエチレンオキサイドなどのエーテル構造を有する高分子が特に好ましい。
【0082】
本実施形態のリチウム二次電池において、液系の電池は電解液、ゲル系の電池はポリマーを電解液に溶解したプレカーサー溶液、固体電解質電池は電解質塩を溶解した架橋前のポリマーを電池容器内に収容する。
【0083】
本実施形態に係るリチウム二次電池は、円筒型、コイン型、角型、その他任意の形状に形成することができ、電池の基本構成は形状によらず同じであり、目的に応じて設計変更して実施することができる。例えば、円筒型では、負極集電体に負極活物質を塗布してなる負極と、正極集電体に正極活物質を塗布してなる正極とを、セパレータを介して捲回した捲回体を電池缶に収納し、非水電解液を注入し上下に絶縁板を載置した状態で密封して得られる。また、コイン型リチウム二次電池に適用する場合では、円盤状負極、セパレータ、円盤状正極、およびステンレスの板が積層された状態でコイン型電池缶に収納され、非水電解液が注入され、密封される。
【実施例】
【0084】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。
【0085】
<ポリウレタン樹脂水分散体の製造>
(ポリウレタン樹脂水分散体A1)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ポリブタジエンポリオール(出光興産社製、PolybdR−45HT、平均水酸基価46.5mgKOH/g、活性水素基数2.32)71.3質量部と、4,4´−ジメチロールプロピオン酸(活性水素基数2)4.2質量部と、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート24.5質量部と、メチルエチルケトン100質量部と、を加えた。その後、75℃で4時間反応させることにより、ポリウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は2.5%であった。
【0086】
次に、この溶液を45℃まで冷却した後、水酸化ナトリウム1.25質量部を添加することによって中和させた。その後、この溶液に水300質量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散させた。得られた乳化分散体に、エチレンジアミン(活性水素基数2)1.6質量部を水100質量部に溶解させた水溶液を添加した後、1時間鎖伸長反応を行った。その後、反応溶媒であるメチルエチルケトンを50℃で減圧蒸留することにより、不揮発分(固形分)濃度が約30質量%であるポリウレタン樹脂水分散体A1を得た。
【0087】
(ポリウレタン樹脂水分散体A2)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ポリブタジエンポリオール(出光興産社製、PolybdR−45HT、平均水酸基価46.5mgKOH/g、活性水素基数2.32)34.2質量部と、ポリカーボネートポリオール(宇部興産社製、ETERNACOLL UH−100、平均水酸基価110.0mgKOH/g、活性水素基数2.0)34.0質量部と、ジメチロールプロピオン酸(活性水素基数2)4.2質量部と、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート27.8質量部と、メチルエチルケトン100質量部と、を加えた。その後、75℃で4時間反応させることにより、ポリウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は2.0%であった。
【0088】
次に、この溶液を45℃まで冷却した後、トリエチルアミン3.13質量部を添加することによって中和させた。その後、この溶液に水300質量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散させた。得られた乳化分散体に、エチレンジアミン(活性水素基数2)1.3質量部を水100質量部に溶解させた水溶液を添加した後、1時間鎖伸長反応を行った。その後、反応溶媒であるメチルエチルケトンを50℃で減圧蒸留することにより、不揮発分(固形分)濃度が約30質量%であるポリウレタン樹脂水分散体A2を得た。
【0089】
(ポリウレタン樹脂水分散体A3)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ポリカーボネートポリオール(宇部興産社製、ETERNACOLL UH−100、平均水酸基価110.0mgKOH/g、活性水素基数2.0)51.3質量部と、ジメチロールプロピオン酸(活性水素基数2)5.1質量部と、トリメチロールプロパン(活性水素基数
2)2.6質量部、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート41.0質量部と、メチルエチルケトン100質量部と、を加えた。その後、75℃で4時間反応させることにより、ポリウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は3.0%であった。
【0090】
次に、この溶液を45℃まで冷却した後、トリエチルアミン3.8質量部を添加することによって中和させた。その後、この溶液に水300質量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散させた。得られた乳化分散体に、エチレンジアミン(活性水素基数2)1.9質量部を水100質量部に溶解させた水溶液を添加した後、1時間鎖伸長反応を行った。その後、反応溶媒であるメチルエチルケトンを50℃で減圧蒸留することにより、不揮発分(固形分)濃度が約30質量%であるポリウレタン樹脂水分散体A3を得た。
【0091】
<カーボンナノチューブ水分散体の製造>
単層カーボンナノチューブ(SWCNT)(OCSiAl社製 TUBALL BATT、CNT純度>93%、平均径1.6±0.5nm)1.0gを、カルボシキメチルセルロース塩(第一工業製薬社製、セロゲン 7A)の2wt%水溶液50gへ、ビーカー中で混合した後、攪拌後、ビーカーと超音波ホモジナイザー(US−600T 日本精機製作所社製)と循環ユニットとチューブポンプとを用いて、スラリーを循環させながら100μAの出力で90分間分散させることにより、カーボンナノチューブの水分散体を得た。得られたカーボンナノチューブの数平均繊維径は3nmであり、数平均繊維長は3000nmであり、アスペクト比は1000であった。
【0092】
なお、カーボンナノチューブの数平均繊維径、数平均繊維長は、走査型プローブ顕微顕微鏡(SPM)(日本電子社製、AFM−5300E)を用いて計測した。すなわち、カーボンナノチューブを固形分濃度0.01wt%まで水で希釈後、マイカ基板上に展開して溶媒を蒸発させた。そして、このサンプルのAFM像を観察し、先に述べた方法に従い、数平均繊維径、平均繊維長を算出した。また、これらの値を用いてアスペクト比を下記の式1に従い算出した。
【0093】
アスペクト比=平均繊維長(nm)/平均繊維径(nm)…(式1)
【0094】
<実験に用いる電極の作製方法>
(負極の作製)
負極活物質としてSiO(平均粒径4.5μm、比表面積5.5m/g)89質量部と、導電助剤としてアセチレンブラック(デンカ社製 Li−400)2部と、分散剤としてカルボキシメチルセルロース塩(第一工業製薬社製、BSH−6)0.45部と、電極用結着剤と、を混合後、ホモディスパーにて攪拌することにより、固形分40質量%となるように負極スラリー(電極用塗工液)を調製した。固形分の調製には純水を用いた。この電極用塗工液をロールコーター(サンクメタル社製、チビコーター)で厚み10μmの電解銅箔上に塗布した後、120℃で乾燥後、ロールプレス処理を行うことにより、負極活物質7〜8mg/cmの負極を得た。
【0095】
ここで、実施例1では、電極用接着剤として、ポリウレタン樹脂水分散体A1 9質量部と、カーボンナノチューブ0.2質量部と、非イオン性界面活性剤であるサーフィノール420(日信化学工業社製)0.3質量部とを用いた。
【0096】
<実施例2〜10、比較例1〜2>
後述する表の組成に変更した以外は実施例1記載の方法と同様の方法で負極を作製した。なお、実施例2,3,6では、負極活物質としてSiOに加え、さらに、グラファイト(平均粒径18μm、比表面積3.2m/g)を用いた。
【0097】
<作業性評価>
(塗膜面平滑性)
光学顕微鏡を用いて上記で得られた電極の塗膜面を目視した。そして、塗膜面1mあたりのピンホールの個数により、塗膜面平滑性を評価した。以下、電極として、負極を用いた。ピンホールの数が少ないほど、塗膜面平滑性に優れる。
【0098】
評価基準
5点:ピンホールが1個未満/1m
4点:ピンホールが1個以上5個未満/1m
3点:ピンホールが5個以上20個未満/1m
2点:ピンホールが20個以上100個未満/1m
1点:ピンホールが100個以上/1m
【0099】
(塗料脱泡性)
プラネタリーミキサーを用いて上記の負極スラリー(電極用塗工液)を攪拌しつつ、減圧することにより脱泡を行った。減圧により泡が消えるまでの時間を目視により確認した。泡が消えるまでの時間が短いほど、塗料脱泡性に優れる。
【0100】
評価基準
5点:30分未満で消泡
4点:30分以上1時間未満で消泡
3点:1時間以上3時間未満で消泡
2点:3時間以上5時間未満で消泡
1点:5時間で消泡せず
【0101】
<結着性評価>
上記で得られた電極の塗膜面を外側として、電極を180°折り曲げて戻した後に、塗膜面の活物質の脱落程度を目視で判断した。活物質の脱落が少ないほど、結着性に優れる。
【0102】
評価基準:
5点:脱落なし
4点:0%超25%以下脱落
3点:25%超50%以下脱落
2点:50%超75%以下脱落
1点:75%超脱落
【0103】
以下に実験結果を示す。
【0104】
【表1】
【0105】
実施例1〜10と比較例1とを比較することにより、本実施形態の界面活性剤を用いることにより、結着性を維持しつつ、作業性に優れることが分かった。また、実施例1〜10と比較例2とを比較することにより、界面活性剤の含有量を、ポリウレタン樹脂とカーボンナノチューブと界面活性剤との合計量に対して、20質量%以下とすることにより、結着性を維持しつつ、作業性に優れることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本実施形態の電極用結着剤組成物は、蓄電デバイス(例えば、リチウム二次電池用電極等)の電極の結着剤として利用でき、この結着剤を用いた電極は各種蓄電デバイスの製造に用いられる。つまり、本実施形態の電極用結着剤組成物を含有する電極用塗工液組成物を作製でき、この電極用塗工液の固形分を含有する電極を備える蓄電デバイスが得られる。得られた蓄電デバイスは、携帯電話、ノートパソコン、携帯情報端末(PDA)、ビデオカメラ、デジタルカメラなどの各種携帯型機器や、更には電動自転車、電気自動車などに搭載される中型又は大型蓄電デバイスに使用することができる。
【0107】
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【要約】
【課題】結着性を維持しつつ、作業性に優れる結着剤に関する技術を提供する。
【解決手段】ポリウレタン樹脂を水に分散させたポリウレタン樹脂水分散体と、カーボンナノチューブと、界面活性剤と、を含む電極用結着剤組成物であって、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤と、シリコン系界面活性剤と、フッ素系界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1つを含み、界面活性剤の含有量は、ポリウレタン樹脂とカーボンナノチューブと界面活性剤との合計量に対し、0.1質量%以上20質量%以下である。
【選択図】なし