(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態の概要]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示に従った回転テーブル装置は、基台部と、前記基台部に設置された軸受と、前記軸受を介して前記基台部に対して回転可能に支持されたテーブルと、前記基台部に対して前記テーブルを前記軸受の回転方向に回転させるモータと、を備える。前記テーブルには、前記軸受の径方向に凹むテーブル溝部が全周にわたって外周面に環状に形成されている。前記基台部は、前記テーブル溝部に進入し、前記テーブル溝部に沿うように配置される環状のコイルベースを含む。前記モータは、第1モータと、第2モータと、を含む。前記第1モータは、前記テーブル溝部を規定する前記テーブルの壁面に、前記軸受の回転方向に沿って複数配置された磁石の列である第1磁石列と、前記コイルベースの第1表面に、前記第1磁石列と相対するように複数配置されたコイルの列である第1コイル列と、を含む。前記第2モータは、前記テーブル溝部を規定する前記テーブルの壁面に、前記軸受の回転方向に沿って複数配置された磁石の列である第2磁石列と、前記軸受の軸方向において、前記第1表面とは反対側に位置する前記コイルベースの第2表面に、前記第2磁石列と相対するように複数配置されたコイルの列である第2コイル列と、を含む。
【0009】
従来、ダイレクトドライブサーボモータによって駆動され、ワークを所定位置に位置決めする回転テーブル装置が知られている。このような回転テーブル装置は、テーブルに他部品のワーク等を取り付け、ワークを回転させる目的で使用されることが多い。また、回転角は、例えば、60°に設定し、或いは、360°回転するように構成されている。このような目的において、取り付けられるワークが大型で重い場合であっても回転動作を確実に実行できるように、回転テーブル装置の駆動力は大きいことが好ましい。一方で、従来の装置との置き換えや他部品との適合性を考慮すると、回転テーブル装置は、コンパクトで、従来の装置と大幅に異ならない寸法に収められていることが望ましい。
【0010】
モータの駆動力を向上させようとするとき、モータを構成するコイルや磁石の仕様を変更することが考えられる。しかしながら、コイルや磁石を変更することなく駆動力を向上させることが望まれる場合もある。このニーズに対応して、回転テーブル装置の回転軸方向にモータを2段に重ねることが着想された。そして、この構成によれば、コイルや磁石を変更することなく、かつ、回転テーブル装置の径方向および周方向の寸法を変えることなく、リニアモータの駆動力を向上できることが見出された。さらなる検討の結果、2段に重ねたモータの配置を次の構成とすることが見出された。すなわち、回転テーブル装置に備えられるテーブルにおいて、テーブルの外周面の全周にわたって軸受の径方向に凹むテーブル溝部を形成すること。また、コイルが配置されるコイルベースを、テーブル溝部に進入し、かつ、テーブル溝部に沿うように配置すること。さらに、前記コイルベースの両面に、それぞれコイルを配置することである。
【0011】
この構成によれば、従来のモータ(1段のモータ)を備える回転テーブル装置と比較して回転テーブルの径方向および周方向の寸法を変えることなく、2つのモータを配置できる。また、モータを2段に重ねながらも、軸方向の寸法の増大を抑制できる。このため、コンパクトな構成で、かつ、2つのモータから駆動力を得られる回転テーブル装置が提供される。
【0012】
前記の回転テーブル装置において、コイルベースの第1表面には、第1コイル列が配置される第1凹部が形成され、コイルベースの第2表面には、第2コイル列が配置される第2凹部が形成されているものとできる。この構成によれば、回転テーブル装置における軸方向の寸法をより抑制できることが可能で、さらにコンパクトな回転テーブル装置が得られる。
【0013】
前記の回転テーブル装置において、テーブル溝部を規定するテーブルの壁面は、コイルベースの第1表面と相対する第1壁面と、コイルベースの第2表面と相対する第2壁面と、を含んでよい。前記第1壁面は凹部である第1テーブル壁面部分を有し、前記第1磁石列は前記第1テーブル壁面部分内に配置されるものとできる。前記第2壁面は凹部である第2テーブル壁面部分を有し、前記第2磁石列は前記第2テーブル壁面部分内に配置されるものとできる。この構成によれば、回転テーブル装置における軸方向の寸法をより抑制でき、さらにコンパクトな回転テーブル装置が得られる。
【0014】
前記の回転テーブル装置において、前記テーブルは、板状部を含む第1部材と、前記第1部材に対して前記軸受の軸方向に積み重ねられている板状部を含む第2部材と、を含むものとできる。また、前記軸受はクロスローラ軸受であり、前記クロスローラ軸受の外輪は、前記第1部材と前記第2部材とに挟持されるものとできる。この構成によれば、第1部材と第2部材とによって軸受のハウジングを構成し、第1部材と第2部材とで軸受の外輪を直接挟み込んで保持できる。この構成によれば、回転テーブル装置の加工および組み立てが容易になる。また、軸受を確実に保持し、モータの駆動力を損失することなく回転動作に利用できる。
【0015】
前記の回転テーブル装置において、軸受とコイルベースとは、軸受の軸方向における中心位置が同じであるものとできる。軸受とコイルベースとの、軸受の軸方向における中心位置が同じということは、水平方向に見た時に、軸受とコイルベースとが同じ高さに配置されているということである。本開示の回転テーブル装置は、コイルベースの両面のそれぞれにモータが備えられており、2つのモータのトルクの和が回転テーブル装置の駆動力となる。コイルベースと軸受とが同じ高さに配置されていると、回転テーブル装置の駆動力が軸受に対して偏荷重を発生させることなく伝達されるため、好ましい。
【0016】
前記の回転テーブル装置において、第1コイル列と第1磁石列との間に、コイルベースに固定された第1基板をさらに備え、第2コイル列と第2磁石列との間に、コイルベースに固定された第2基板をさらに備え、前記第1コイル列は前記第1基板に、前記第2コイル列は前記第2基板に、それぞれ固定されている構成としてもよい。コイルと磁石との間に基板を配置することによって、コイルと磁石との間隔を維持できる。また、基板によって、コイルが収められたコイルベースの凹部の上面を覆うことができる。この構成によって、凹部への埃等の侵入を防止することもできる。
【0017】
前記の回転テーブル装置において、駆動回路と、前記駆動回路を制御する制御回路と、をさらに備え、前記第1モータおよび前記第2モータは前記駆動回路に対して電気的に並列に制御されているものとできる。この構成によれば、第1モータおよび第2モータが1つの駆動回路によって制御され、1つの信号(電流)に基づいて第1モータおよび第2モータが同時に動く。このため、2つのモータの動作にずれが生じることなく、2つのモータが生み出すトルクの和を有効に利用できる。
【0018】
[実施形態の具体例]
次に、本開示の回転テーブルの具体的な実施の形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における回転テーブル装置の構造を示す概略斜視図である。
図1において、Z軸方向は、回転テーブル装置のテーブルの回転軸(軸受の回転軸)Rが延びる方向である。
図2は、回転テーブル装置の構造を示す概略断面図であり、
図1中のA−Aで切断した状態を示す。
図15は、回転テーブル装置の構造を示す概略平面図である。
【0020】
まず、回転テーブル装置1の概略的な構成を説明する。
図1を参照して、実施の形態1における回転テーブル装置1は、固定部である基台部10と、基台部10に対して回転可能であるテーブル20と、を備える。基台部10は、支持台であるベッド40と、ベッドの4隅に備えられた支柱41(41a〜41d)と、支柱41a〜41dに支持され、支柱41a〜41dを介してベッド40に固定されたコイルベース50と、を含む。支柱41a〜41dは互いに同じ高さであり、コイルベース50は水平に設けられる。
図2を参照して、実施の形態1における回転テーブル装置1は、基台部10とテーブル20とが、軸受30を介して接続されている。軸受30は基台部10に設置されている。軸受30の内輪31は基台部10に固定され、軸受30の外輪32はテーブル20に固定されている。
【0021】
図1、2、15を参照して、軸受30の内輪31の固定構造の概略を説明する。基台部10は上述の構成に加えて、ベッド40の中央の円形穴に沿ってベッド40から立ち上がる円筒状の第1中央部42と、第1中央部42の上方に連続する第2中央部43と、を含む。ベッド40と第1中央部42とは、ねじ45で固定される。第1中央部42と第2中央部43とは、ねじ46で固定される。第1中央部42は大略的に円筒状の部材であるが、その上部の外周が凹部とされており、第2中央部43の下面と組み合わさることで、軸受30の内輪31のハウジングを構成する。すなわち、軸受30の内輪31は、第1中央部42と第2中央部43とによって挟持固定される。軸受30は、ころ33を備えるクロスローラ軸受である。軸受30において、内輪31と外輪32との間には、シール34が備えられている。軸受30の外輪32の固定構造は、後述する。
【0022】
図1、
図2、
図15を参照して、軸受30の上部には、環状に延在する上シャッター91が配置されている。上シャッター91によって、軸受30上部の内輪31と外輪32との間隙が覆われている。上シャッター91は、ねじ48で第2中央部43に固定されている。軸受30の下部には、環状に延在する下シャッター92が配置されている。下シャッター92によって、軸受30下部の内輪31と外輪32との間隙が覆われている。下シャッター92は、ねじ44でベッド40に固定されている。下シャッター92の上部は、下シャッター92の上端から中心に向かって下向きに傾斜する斜面に形成されている。下シャッター92をこの形状とすることで、軸受30から潤滑剤が漏洩し、下シャッター92で潤滑剤を受ける場合であっても、潤滑剤がモータやその他の部分に侵入することを回避できる。上シャッター91および下シャッター92は、樹脂製または鋼製の部材であってよい。なお、軸受30にシール34がある場合は、シャッター91、92を削除することもできる。また、シャッター91、92がある場合は、軸受30のシール34を削除することもできる。さらに、シール34及びシャッター91、92の両方を削除することもできる。
【0023】
図2を参照して、テーブル20には、その外周の全周にわたって、軸受30の径方向(
図2中のXY方向)に、外周から内方に凹むテーブル溝部である凹部60が形成されている。コイルベース50は、凹部60に進入し、凹部60に沿うように配置されている。コイルベース50の第1表面50aに、コイル101が配置されている。コイル101と相対するように、テーブル20の壁面20aに磁石201が配置されている。また、コイルベース50の第2表面50bに、コイル301が配置されている。コイル301と相対するように、テーブル20の壁面20bに磁石401が配置されている。
【0024】
磁石201は、軸受30の回転方向に並んで複数配置された磁石の列である第1磁石列200の一部をなす。コイル101は、第1磁石列200と相対するように並行して複数配置されたコイルの列である第1コイル列100の一部をなす。第1コイル列100および第1磁石列200は、第1モータ150を構成する。また、磁石401は、軸受30の回転方向に並んで複数配置された磁石の列である第2磁石列400の一部をなす。コイル301は、第2磁石列400と相対するように複数配置されたコイルの列である第2コイル列300の一部をなす。第2コイル列300および第2磁石列400は第2モータ350を構成する。つまり、回転テーブル装置1は、第1モータ150および第2モータ350の2つのモータを備える。
【0025】
次に、回転テーブル装置1のテーブル20についてより詳しく説明する。
図3は、テーブル20を取り出して示す斜視図である。
図4はテーブル20の側面図である。
図5Aは、テーブル20の断面図である。
図5Bは、テーブル20および軸受30を取り出して示す断面図である。
【0026】
図3、
図4を参照して、テーブル20は、第1部材21と第2部材22とが回転テーブル装置の軸方向(Z方向)に積み重ねられている。第1部材21は、大略的に円環板状である第1円環部23と、第1円環部23の内周から下方に軸方向に延びる円筒状部分である第1筒部24と、を含む。第2部材22は、大略的に円環板状である第2円環部25と、第2円環部25の内周から立ち上がって軸方向に延びる円筒状部分である第2筒部26と、を含む。第1筒部24の端面と第2筒部26の端面とが、互いに接している。第1部材21には、第1円環部23および第1筒部24を貫通するねじ穴27aが形成されている。実施の形態1においては周方向に等間隔に16箇所のねじ穴27aが形成されている。また、第2部材22の第2筒部26における第1筒部24と接する端面には、ねじ穴27aに対応するねじ穴27b(
図6)が形成されている。ねじ穴27aおよび27bにわたるねじを挿入し、締結するすることによって、第1部材21と第2部材22とが固定される。第2部材22の第2円環部25の外周には、位置スケールを固定するための固定穴730が設けられている。
【0027】
図4、
図5を参照して、第1筒部24および第2筒部26の外径は、互いに等しい。つまり、第1筒部24の外周面と第2筒部26の外周面は面一である。第1円環部23および第2円環部25の外径と、第1筒部24および第2筒部26の外径との差によって、テーブル溝部60が形成されている。第1筒部24の外周面および第2筒部26の外周面が、テーブル溝部60を規定する内周壁面60cを構成している。第1部材21の第1円環部23における、コイルベース50と相対する側の壁面20a(
図2)は、テーブル溝部60の第1壁面60aを構成している。第2部材22の第2円環部25における、コイルベース50と相対する側の壁面20b(
図2)は、テーブル溝部60の第2壁面60bを構成している。テーブル溝部60は、テーブル20の外周面から内方に軸受の径方向に凹む、ドーナツ状(中空円筒状)の溝である。
【0028】
図5Aを参照して、第1円環部23における第2部材22と相対する側の表面、すなわち、テーブル溝部60の第1壁面60aには、周方向に延在する環状の凹部61が形成されている。また、第2円環部25における第1部材21と相対する側の表面、すなわち、テーブル溝部60の第2壁面60bには、凹部61と同じ径および深さを有し、周方向に延在する環状の凹部62が形成されている。また、第1円筒部24および第2円筒部26の内周側には、径方向に外方に凹む、凹部28が形成されている。
図5Bを参照して、凹部28に、軸受30の外輪32が挟持される。すなわち、凹部28は、軸受30の外輪32のハウジングを構成している。外輪32は、テーブル20の第1部材21および第2部材22によって挟持されている。具体的には、外輪32は、テーブル20に対して、第1部材21と第2部材22とを締結するねじ47(
図1、
図15)の締結力によって固定されている。外輪32とテーブル20とを確実に固定するために、挟持による固定に加えて接着剤等を用いて接着してもよい。また、凹部28における第1部材21および第2部材22の境界部では、第1部材21及び第2部材22の角が面取りされてなる溝29が形成されている。第1部材21および第2部材22を面取りすることによって、軸受30を挿入しやすくできる。
【0029】
図6は、テーブル20の第2部材22のみを取り出して示す斜視図である。
図7は、第2部材22と第2磁石列400との収まりを示す図である。
図6、
図7を参照して、第2部材22は、第2円環部25と、第2円環部25の内周から立ち上がって軸方向に延びる円筒状部分である第2筒部26と、を含む。第2円環部25の上面(図に現われている面)は、テーブル溝部60の第2壁面60bを構成する。第2壁面60bには、周方向に延在する環状の凹部62が形成されている。
【0030】
凹部62には、軸受の回転方向(周方向)に沿って、磁石401が並べて配置されている。磁石401は、回転中心に向かって収束する略台形状の面を有する板状の磁石である。凹部62の深さは、磁石401の厚みとほぼ等しく形成されている。すなわち、磁石401は凹部62内にほぼ収められ、テーブル20の表面からの突出はわずかである。互いに隣接して配置された21個の磁石401が、第2磁石列400を構成している。磁石401は、凹部62の全周360°のうち、約315°にわたって配置されている。凹部62の底面にはピン穴620が形成されている。ピン穴620を利用して、磁石401を配置する際の開始点の位置決めを容易にできる。第2磁石列400において、磁石401は、N極とS極が互いに交互になるように配置されている。なお、実施の形態1では、第2磁石列400は、21個の磁石401が約315°にわたって配列されてなるが、磁石の個数や配列の形態は、これに制限されない。例えば、凹部62の全周(360°)にわたって磁石を配置することもできる。磁石の個数や配列の形態は、磁石のサイズや性能、モータに要求されるトルクや回転速度、回転テーブル装置のその他の構成(例えばリミットセンサの配置)等に応じて、適宜変更されうる。
【0031】
図8は、テーブル20の第1部材21のみを取り出して示す斜視図である。
図9は、第1部材21と第1磁石列200との収まりを示す図である。第1部材21は第2部材22と大部分において同様の形態である。ここでは異なる構成を主に説明する。第1部材21の第1円環部23の辺縁の一箇所に、ストッパ固定部210が形成されている。ストッパ固定部210は、凹部として形成されている。ストッパ固定部210が凹部として形成されていることによって、第1部材21の下面に配置されるストッパを固定する固定ねじ211(
図1)を挿入した時に、固定ねじ211の頭部がテーブル20の表面に突出しない。また、第1部材21の第1円環部23の外径は、第2部材22の第2円環部25の外径よりもやや大きい。第1円環部23には、第1円環部23を厚み方向に貫通するねじ穴9が形成されている。実施の形態1において、ねじ穴9は周方向に等間隔に8箇所設けられているが、この数は特に限定されない。ねじ穴9は、回転テーブル装置1を他部材のワーク等に取り付けるために用いられる。第1円筒部24には、第1部材を厚み方向に貫通するねじ穴27aが設けられている。ねじ穴27aは、第2部材22のねじ穴27bに対応する。第1部材21の上面からねじ47(
図1、
図15)をねじ穴27a、27bに挿入して締結することによって、第1部材21と第2部材22とが互いに固定される。
【0032】
図8、
図9を参照して、第1円環部23の下面(図に現われている面)は、テーブル溝部60の第1壁面60aを構成する。第1壁面60aには、周方向に延在する環状の凹部61が形成されている。凹部61には、軸受の回転方向(周方向)に沿って、磁石201が並べて配置されている。互いに隣接して配置された21個の磁石201が、第1磁石列200を構成している。第1磁石列200の構成は、第2磁石列400の構成と同様である。凹部61の底面にはピン穴610が形成されており、第1磁石列200の開始位置決めが容易にされている。第1磁石列200と、第2磁石列400とは、回転テーブル装置の周方向における同位置に配置される。
【0033】
次に、回転テーブル装置1のコイルベース50についてより詳しく説明する。
図10は、コイルベース50のみを取り出して示す斜視図である。
図11は、コイルベース50を
図10中のC−Cで切断した状態を示す断面斜視図である。コイルベース50の全体は鋼製の板状部材である。
図10を参照して、コイルベース50の中央には、軸受の回転軸(テーブル20の回転軸)Rを中心とする円形の穴が形成されている。円形穴を規定する周壁50dは、テーブル20の第1筒部24の外周面と第2筒部26の外周面、つまり、テーブル溝部60を規定する内周壁面60c(
図4)と、離隔しつつ対向する。周壁50dが規定する円の直径は、テーブル溝部60の内周壁面60cの直径よりも、わずかに大きい。
【0034】
図10を参照して、コイルベース50の4隅には、コイルベース50を支柱41に固定するためのねじ穴58が形成されている。コイルベース50の4隅は、回転軸Rを中心とする円の円弧の一部をなす弧状とされている。またコイルベース50は、ベッド40が規定する四角形よりも外方に張り出した、拡張部55を有する。拡張部55には、コイルベース50をエンコーダヘッド710(
図1)に固定するねじを挿入するねじ穴59が形成されている。
【0035】
図10、
図11を参照して、コイルベース50は第1表面50aおよび第2表面50bを有する。
図10には、コイルベース50の第1表面50aが表れている。第1表面50aには、軸受の回転の周方向に延在する環状の凹部である、第1凹部51が形成されている。
図11を参照して、第2表面50bにも、軸受の回転の周方向に延在する環状の凹部である第2凹部52が形成されている。第1凹部51と第2凹部52とは互いに同じ幅および深さを有する。第1凹部51の底面には、コイルを固定するための固定用ピン(
図12)を挿入するための穴57が周方向に複数形成されている。穴57は、第1表面50aから第2表面50bまで貫通し、2つの穴を一組として配列されている。一組の2つの穴のうちの一方には第1表面50aからピンが挿入され、他方には第2表面50bからピンが挿入される。
【0036】
図12は、コイルベース50と基板とを取り出して示す斜視図である。
図10、
図12を参照して、第1基板81が、コイルベース50の第1表面50aに接するように配置される。第1基板81は、第1凹部51の全周を覆うように取り付けられる。第1基板81のコイルベース50と対向する側の表面には、コイルが取り付けられている(
図13、
図14参照)。また、第2表面50bにおいても同様である。すなわち、第2基板82(
図2)が、第2表面50bに接するように配置される。第2基板82は、第2凹部52の全周を覆うように取り付けられる。第2基板82のコイルベース50と対向する側の表面には、コイルが取り付けられている。この構成によって、コイルが、コイルベース50の両面に設けられた第1凹部51および第2凹部52のそれぞれに収められる。第1基板81および第2基板82は、例えばプリント基板である。第1基板81および第2基板82にはそれぞれ、U相、V相、W相に対応する3本の電線が接続されている。3本の電線のそれぞれが、第1基板81および第2基板82に取り付けられた第1コイル列100および第2コイル列300に、U相、V相、W相の電流を供給する。第1基板81および第2基板82を介して、第1コイル列100および第2コイル列300が、後述する駆動回路600に接続される。
【0037】
図13および
図14は、基板とコイルとを取り出して示す斜視図である。
図13は、第1基板81のテーブル20と対向する側(
図2参照)を示す。
図14は、第1基板81のコイルベース50と対向する側を示す。
図14を参照して、第1基板81の表面に、第1基板81の周に沿って、12個のコイル101が互いに隣接して配列されている。コイル101のそれぞれに、カラー110が配設され、カラー110には固定用孔111が形成されている。コイル100は、固定用孔111およびコイルベース50の穴57(
図10)にわたるよう挿入された固定用ピン(不図示)によって、コイルベース50に固定される。第2基板82も、同様の構成であり説明を省略する。第1基板81、第2基板82には、絶縁フィルム(不図示)が貼付されている。
【0038】
図14を参照して、コイル101はそれぞれ、扁平で環状に巻回されたコアレスコイルである。12個のコイル101が、第1のコイル列100を構成している。コイル101は3相コイルであり、第1のコイル列100においては、一方の端からU相、V相、W相の順に繰り返して配列されている。なお、実施の形態1においてコイル列には12個のコイルが含まれるが、コイル列に含まれるコイルの数や配置は、モータの大きさや必要なトルクに応じて変更できる。
図2、
図14を参照して、コイルベース50の両面にそれぞれ、第1コイル列100および第2コイル列300が配設される。第1コイル列100および第2コイル列300を構成するコイルの数は、互いに等しい。また、第1コイル列100および第2コイル列300において、周方向における同じ位置には、同じ相のコイルが位置するように配置できる。この構成によって、2つのモータから出力されるトルクの方向を合わせて、大きなトルクを得ることができる。
【0039】
次に、回転テーブル装置が備えるモータについて詳しく説明する。
図2を参照して、コイルベース50の第1表面50aに、コイル101が配置されている。コイル101と相対するように、テーブル20の壁面20aに磁石201が配置されている。前述のとおり、コイル101は第1コイル列100を構成し、磁石201は第1磁石列200を構成する。第1コイル列100と第1磁石列200の間には第1基板81が存在し、第1コイル列100と第1磁石列200は互いに離隔している。第1コイル列100および第1磁石列200は、第1モータ150を構成する。コイルベース50の第2表面50bにおいても同様である。すなわち、コイルベースの第2表面側では、第2コイル列300と第2磁石列400とが相対し、第2モータ350を構成する。
【0040】
本開示の回転テーブル装置1では、コイルベース50の両面に凹部が形成され、その凹部内にそれぞれコイル列が収められている。また、コイルベース50は、テーブル20の溝部60に進入するように配置される。さらに、テーブル20におけるコイルベース50と対向する面には凹部が設けられ、その凹部内に磁石列が収められている。これらの構成によって、モータを2段に重ねた場合であっても、軸方向の寸法の増加を抑制し、コンパクトな回転テーブル装置が実現できる。
【0041】
次に、その他の構成について説明する。
図1、
図15を参照して、コイルベース50の4隅のうちの2個所に、ストッパ220が取り付けられている。2つのストッパ220の互いに向き合う側にはそれぞれ、樹脂部222が備えられる。また、2つのストッパ220の間に、テーブル20のストッパ固定部210が位置している。ストッパ固定部210の下部には、回転方向においてストッパ220と対向するストッパが固定されている。コイルベース50に取り付けられる2つのストッパ220は固定されており、テーブルに取り付けられるストッパはテーブルとともに回転する。ストッパ220によって、テーブル20の回転過剰が防止される。
【0042】
図1を参照して、テーブル20の第2部材22の外周側面に、周方向に延在するスケール709(
図16)が貼付される。スケール709は、支柱41a、支柱41bの背後に相当する部分に設けられることが好ましい。スケール709に対向してエンコーダヘッド710が設けられる。回転テーブル装置の外側から見て、支柱の背後にスケール709を配置することで、埃の付着等を防止できる。エンコーダヘッド710に信号線が結線される。また、コイル101、301に三相電流を供給するための電線が配設される。
【0043】
図16は回転テーブル装置1の電気的な接続を示す模式図である。特に、第1モータ150と第2モータ350との電気的な接続を示す。
図16を参照して、回転テーブル装置1は、駆動ドライバ700と、駆動ユニット410と、駆動ユニットに取り付けられるスケール709と、駆動ユニット410の動作を検知するエンコーダヘッド710と、を含む。エンコーダヘッド710は、後述の制御回路500に接続されている。スケール709とエンコーダヘッド710により、エンコーダシステム720が構成されている。エンコーダシステム720は、制御回路500に接続されている。制御回路500は、エンコーダ710の出力信号に応じて駆動回路600を制御するようになっている。駆動ドライバ700は、制御回路500と、駆動回路600と、を含む。駆動ドライバ700には、図示していない電源が接続されている。制御回路500は、予め設定されたプログラムに応じて、また、エンコーダヘッド710からの信号に応じて、駆動回路600を制御する。駆動回路600はU相、V相、W相のそれぞれに応じた位相の電流を送出する。電線L
1,L
2,L
3は、それぞれ分岐されて、第1モータ150および第2モータ350に接続されている。すなわち、第1モータ150および第2モータ350は、駆動回路600に対して電気的に並列に接続されている。この構成によれば、1つの駆動回路によって2つのモータが同時に動作させられる。このため、モータを同調させる制御が不要であり、確実かつ容易に2つのモータを動かし、2つのモータからのトルクを得ることができる。本開示の回転テーブル装置1は、駆動回路600からの電流によって第1モータ150および第2モータ350が作動され、発生したトルクによってテーブル20が動かされるダイレクトドライブ型装置である。
【0044】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、請求の範囲によって規定され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【解決手段】基台部10と、前記基台部10に設置された軸受30と、前記基台部10に対して回転可能に支持されたテーブル20と、前記テーブル20を回転させるモータとを備える。前記テーブル20には、前記軸受30の径方向に凹むテーブル溝部60が全周にわたって環状に形成されており、前記モータは、第1モータ150と、第2モータ350とを含む。前記第1モータ150は、前記テーブル20の壁面に、複数配置された磁石の列である第1磁石列200と、前記第1磁石列200と相対するように複数配置された第1コイル列100と、を含み、前記第2モータ350は、前記テーブル20の壁面に、複数配置された磁石の列である第2磁石列400と、前記第2磁石列400と相対するように複数配置された第2コイル列300と、を含む、回転テーブル装置1。