(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856834
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】ロールペーパーホルダー
(51)【国際特許分類】
A47K 10/36 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
A47K10/36 D
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-63856(P2017-63856)
(22)【出願日】2017年3月8日
(65)【公開番号】特開2018-143736(P2018-143736A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年5月29日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591075043
【氏名又は名称】楠本 義夫
(74)【代理人】
【識別番号】100071892
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆一
(72)【発明者】
【氏名】楠本 義夫
【審査官】
下井 功介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−041229(JP,A)
【文献】
特開平02−034129(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3121775(JP,U)
【文献】
特開平09−103389(JP,A)
【文献】
特開平11−089746(JP,A)
【文献】
特開昭50−118869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K10/00〜10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールペーパー保持部材を回転可能に軸架する1対の側部材と、
該側部材を連結する背面部材と、
前記側部材と前記背面部材で囲まれる空間部上方にて起伏し、正面端縁にペーパー切断機能を具備するカバー体とよりなるロールペーパーホルダーであって、
前記対となる側部材のうち一方の側部材は、前記ロールペーパー保持部材の基端回転軸を回転可能に軸架する内側面を具備するケーシングを背面部材の一方の側縁に取り付け、
前記ケーシングには前記ロールペーパー保持部材の回転駆動手段を内装し、
該回転駆動手段は、前記ケーシング内に於ける基端回転軸に固着された板カム、錘及び基端回転軸の軸心線と平行な位置関係に設けられた案内ピンを基端回転軸と供回り可能に取り付け、
前記板カムの上方には板カムの回転運動を上下運動に変換する従節シャフトを設け、該従節シャフトの上端には案内ピン係止片を、下端には接触片を設け、
板カムが前記従節シャフトを上昇させることで案内ピン係止片が最上位置に達したときに、案内ピンが案内ピン係止片に当接係止可能に、基端回転軸の軸心を中心とする板カムの最突出縁部と案内ピンの離隔角度は設定され、
基端回転軸の軸心を中心として案内ピン取付位置と錘の重心位置の離隔角度は0度を越えて180度未満に設定され、且つロールペーパー保持部材の回転方向に於いて前方側に錘が設けられ、
前記対となる側部材のうち他方の側部材は、前記ロールペーパー保持部材の先端回転軸を軸架可能な軸孔を設けた板状物を前記背面部材の他方の側縁に枢着し、
他方の側部材を前記背面部材と鈍角をなすように回動させると、ロールペーパーを先端回転軸側からロールペーパー保持部材に取り付け可能に先端回転軸は他方の側部材から解放され、
他方の側部材を一方の側部材内側面と平行な位置関係にすると、他方の側部材に先端回転軸を軸架可能にしたことを特徴とするロールペーパーホルダー。
【請求項2】
上記ロールペーパー保持部材は、上記基端回転軸の内端に設けた取付部に横方向に長く外面が湾曲面よりなる1対の挿し込み片を凹部を対向させて取り付け、
一方の挿し込み片の基部は前記取付部に固定的に取り付けられ、先端内側面には立上り片を設け、該立上り片には前記基端回転軸と同軸上に設けられる先端回転軸を具備すると共に、係合受け部を有し、
他方の挿し込み片の基部は一方の挿し込み片の基部に枢着されて前記取付部に取り付けられ、先端内側面には前記係合受け部と係合可能な係止爪を設けたことを特徴とする請求項1に記載のロールペーパーホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバー体の正面端縁に設けたペーパー切断刃でロールペーパーを切断後に、ロールペーパーが自動的に正面方向に一定量周回し、次に使用する際の摘み代としてカバー体の正面端縁から一定長さのペーパーが繰り出し垂下するようにしたロールペーパーホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
ロールペーパーホルダーとしては、鋸歯状の歯車部が形成されロールペーパーと供回り可能に構成された軸と、カバーから垂下して揺動可能に取り付けられカバーが軸から離間する際にのみ軸の歯車部と噛合する歯付き部材と、ロールペーパーが繰り出される直前にロールペーパーの最外周部を一旦浮かせる剥離部材とを備え、カバーの押し下げ及び解除によりロールペーパーを所定角度回転させて繰り出し可能にし、任意の長さを引き出し後、カバーを押し下げてロールペーパーを切断し、カバーより手を離すと、次の使用に最適な長さが引き出されるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示のロールペーパーホルダーであると、手がカバーに触れ、手指に付着している大腸菌等の雑菌や糞尿がカバーに付着するおそれがあり不衛生であるという問題点があった。
カバー本体の押し下げ後の、押し下げ前のカバー体位置への復元により芯部材を回転駆動する手段によりロール体を回転させ、ロールペーパー先端部を垂下させるロールペーパーホルダーが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に開示のロールペーパーホルダーであると、カバー体を手で押し下げるために、カバー体に手指に付着した大腸菌等の雑菌や糞尿が付着するおそれがあり、カバー体の衛生状態が保持されないという問題点があった。
上部にピンを有し円弧状溝内に沿って回転動可能な刃部の廻り止め辺を具備した回転支持アームと、先端にフック部を設けたクランクとをフック部とピンが係脱可能に設けられた自動摺動突出引込み機構と、裏面先端に爪を表面中央に突起を、裏面先端にストッパー辺を具備した刃部とを有し、ホルダー本体内を昇降するケースにロールペーパーを抱持させ、ホルダー本体の側端縁部及びケースの端縁部の相互部位に架設されたロールペーパーの引き出された先端縁部が挟持され、ペーパー端部を手前に引きロールペーパーを回転しペーパーが適宜量繰り出されると、ホルダー本体の側端縁部よりカッターを突出させ、このカッター刃部の突出により引っ張られたペーパーは切断され、突起と側端縁部が外れ刃部はホルダー本体の側端縁部に引き込み、ペーパーの端部をホルダー本体の側端縁部の外に残存させて、次の使用の摘み代とするようにしたロールペーパーホルダーが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許文献3に開示の片手操作によるロールペーパーホルダーは、ペーパーを引かなくなると、突起と側端縁部による係止状態が解除され、刃部はスプリングの復元力で側端縁部より引き込む構成であり、本願発明の構成とは別異である。
押込み回動板と追従紙切板を重合してカバー体として装着し、押込回動板及び扇状歯形板を手で押さえ込んだ状態でロールペーパーを手前に繰り出し先端部を追従紙切板で切離後、押込回動板から手を離すという作業を、使用後に再度行い所望量のペーパーをカバー体の正面端縁から正面方に露出させることが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特許文献4に開示の巻紙保持機器具であると、押込回動板及び扇状歯形板を手で押圧しなければペーパーの切断ができず面倒であり、特に、爪に装飾を施した女性にとっては爪が痛むおそれがあるという問題点があった。又、次の使用の便宜のために、使用後に自動的に摘み用の紙が出てくるのではなく、押込回動板及び扇状歯形板を手で押圧状態下で、ペーパーを手前に引き出すという人為的作業をする必要があり、排便後の人の手指に付着した大腸菌等の雑菌や糞尿が押込回動板及び扇状歯形板に付着するおそれがあり、カバー体の衛生状態が保持されないという問題点があった。
又、上記特許文献1〜4に開示の発明は何れもペーパーを切断するときにロールペーパーが回転するので、切断が困難であるという問題点があった。
上記従来例の問題点に鑑みて、本願発明者はロールペーパーをカバー体正面端縁の切断刃で切断と同時に自動的にロールペーパーが正面方に回転させることで、カバー体の正面端縁よりロールペーパーが一定長さ繰り出されるロールペーパーホルダーを創案し、特願2014−177513として特許出願した(特許文献5参照)。特許文献5に開示のロールペーパーホルダーは、使用のためのロールペーパー切断と同時に次の使用のためのロールペーパーの摘み部がカバー体正面端縁から正面方に垂下するので、手指がロールペーパーホルダーやカバー体等を触れることなく衛生的であり、また、使用者の爪等を損傷しないという長所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−472号公報
【特許文献2】特開2013−198714号公報
【特許文献3】特開2008−220899号公報
【特許文献4】特開2009−106717号公報
【特許文献5】特開2016−41229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明は特願2014−177513に係る出願発明と比較して、ロールペーパーの把持力を向上させ、又、少ない部品点数で軽量化、低コスト化、及び耐久性を図ったロールペーパーホルダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本願発明のうち請求項1に記載の発明は、ロールペーパー保持部材を回転可能に軸架する1対の側部材と、該側部材を連結する背面部材と、前記側部材と前記背面部材で囲まれる空間部上方にて起伏し、正面端縁にペーパー切断機能を具備するカバー体とよりなるロールペーパーホルダーであって、前記対となる側部材のうち一方の側部材は、前記ロールペーパー保持部材の基端回転軸を回転可能に軸架する内側面を具備するケーシングを背面部材の一方の側縁に取り付け、前記ケーシングには前記ロールペーパー保持部材の回転駆動手段を内装し、該回転駆動手段は、前記ケーシング内に於ける基端回転軸に固着された板カム、錘及び基端回転軸の軸心線と平行な位置関係に設けられた案内ピンを基端回転軸と供回り可能に取り付け、前記板カムの上方には板カムの回転運動を上下運動に変換する従節シャフトを設け、該従節シャフトの上端には案内ピン係止片を、下端には接触片を設け、板カムが
前記従節
シャフトを上昇させることで案内ピン係止片が最上位置に達したときに、案内ピンが案内ピン係止片に当接係止可能に、基端回転軸の軸心を中心とする板カムの最突出縁部と案内ピンの離隔角度は設定され、基端回転軸の軸心を中心として案内ピン取付位置と錘の重心位置の離隔角度は0度を越えて180度未満に設定され、且つロールペーパー保持部材の回転方向に於いて前方側に錘が設けられ、前記対となる側部材のうち他方の側部材は、前記ロールペーパー保持部材の先端回転軸を軸架可能な軸孔を設けた板状物を前記背面部材の他方の側縁に枢着し、他方の側部材を
前記背面
部材と鈍角をなすように回動させると、ロールペーパーを先端回転軸側からロールペーパー保持部材に取り付け可能に先端回転軸は他方の側部材から解放され、他方の側部材を一方の側部材内側面と平行な位置関係にすると、他方の側部材に先端回転軸を軸架可能にしたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のロールペーパーホルダーのロールペーパー保持部材を、上記基端回転軸の内端に設けた取付部に横方向に長く外面が湾曲面よりなる1対の挿し込み片を凹部を対向させて取り付け、一方の挿し込み片の基部は前記取付部に固定的に取り付けられ、先端内側面には立上り片を設け、該立上り片には前記基端回転軸と同軸上に設けられる先端回転軸を具備すると共に、係合受け部を有し、他方の挿し込み片の基部は一方の挿し込み片の基部に枢着されて前記取付部に取り付けられ、先端内側面には前記係合受け部と係合可能な係止爪を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
使用のためのペーパー切断と略同時に同一長さのペーパーがカバー体正面端縁より繰り出されて垂下し、この繰り出されたペーパーが次の使用の摘み代となるので、カバー体等に手指が触れることがなく、自動的に摘み代としてのペーパーが繰り出されるので衛生的であるという効果がある。
案内ピンが案内ピン係止片に係止され、使用者はロールペーパー周回停止状態下でペーパーを切断するので、ロールペーパーを幅方向に一直線状に切断できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】カバー体を開いた状態において、案内ピンが案内ピン係止片に当接する直前の側部材内部状態を示すロールペーパーホルダーの一部切欠正面説明図である。(実施例1)
【
図2】カバー体を開いた状態における、錘が最下位置に移動したときの側部材内部状態を示すロールペーパーホルダーの一部切欠正面説明図である(実施例1)
【
図3】ロールペーパーの先端を正面方に引き出しているときの錘、板カム、案内ピン、及び案内ピン係止片の作動状態を示す側面説明図である。(実施例1)
【
図4】引き出されたロールペーパーを切断直後の錘、板カム、案内ピン、及び案内ピン係止片の作動状態を示す側面説明図である。(実施例1)
【
図5】繰り出されたペーパーと、錘が最下位置に移動した側面説明図である。(実施例1)
【
図6】側部材の内部構造を示す斜視説明図である。(実施例1)
【
図7】係合受け部から係止爪を離脱させた状態のロールペーパー保持部材の背面図である。(実施例1)
【
図8】ロールペーパー保持部材の拡大左側面図である。(実施例1)
【
図9】
図7のA−A線拡大断面図である。(実施例1)
【
図10】ラチェットギアとラチェット爪が取り付けられたロールペーパー保持部材の一端面を示す斜視説明図である。(実施例1)
【
図11】ロールペーパー保持部材にロールペーパーを取り付ける方法を示す正面説明図である。(実施例1)
【
図12】ロールペーパー保持部材にロールペーパーに挿し込んで装着した状態を示す正面説明図である。(実施例1)
【
図13】係合受け部に係止爪を係合した状態を示す拡大断面説明図である。(実施例1)
【
図14】係合受け部から係止爪を離脱させている状態を示す拡大断面説明図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0008】
板カムが従節シャフトを上昇させることで案内ピン係止片が最上位置に達したときに、案内ピンが案内ピン係止片に当接係止可能に基端回転軸の軸心を中心とする板カムの最突出縁部と案内ピンの離隔角度は設定されていることで、基端回転軸が停止状態でロールペーパーを切断し、基端回転軸の軸心を中心として案内ピン取付位置と錘の重心位置の離隔角度は0度を越えて180度未満に設定され、且つ基端回転軸に錘が案内ピンの回転方向前側に設けられていることで、ロールペーパー切断後に錘の重力により基端回転軸は錘が基端回転軸の真下に位置するように正面方に回転し、この回転量分のロールペーパーがカバー体正面端縁より繰り出され垂下し次の使用のための摘み代となることを実現した。
【実施例1】
【0009】
図面に基いて実施例1を説明する。ロールペーパーホルダー1は、壁面に取り付けるための背面部材2と、一方の側部材3と、他方の側部材4と、一方の側部材3と他方の側部材4と背面部材と2で囲まれる空間部の上方にて起伏動する正面端縁に紙切断機能を具備するカバー体5、及び一方の側部材3と他方の側部材4との間に回転可能に軸架されるロールペーパー保持部材6よりなる。一方の側部材3は背面部材2の一方の側縁に固着され、他方の側部材4は背面部材2の他方の側縁に枢着され、一方の側部材3と他方の側部材4は対向する位置に設けられている。
【0010】
背面部材2は矩形板状物よりなり、壁面への取り付け手段を具備する。背面部材2の対向する縦方向に延びる両側縁には側部材3、4を設け、側部材3、4のうち一方の側部材3はケーシングよりなる。一方の側部材3内側面301は、背面部材2の正面と90度の角度を有して正面方に延設されている。基端回転軸7は内側面301を回転可能に貫通して一方の側部材3の内側面301に軸架されている。
【0011】
基端回転軸7のうち一方の側部材3の中空部に配設される部分には、板カム8、案内ピン用腕杆9及び錘用腕杆10が基端回転軸7と供回りするように固着されている。案内ピン用腕杆9の外端には、基端回転軸7と平行な位置関係で、且つ先端が内側面301を向く案内ピン11が設けられている。錘用腕杆10の外端には錘12が設けられている。板カム8の真上には、板カム8の回転運動を上下運動に変換する従節シャフト13が配設されている。支持部14は内側面301の内壁に固定的に取り付けられ、従節シャフト13が摺動する摺動溝が上下方向に貫設されている。基端回転軸7と従節シャフト13は、従節シャフト13の軸心線の下方延長線が基端回転軸7の軸心線と直交する位置関係に配設されている。従節シャフト13の下端には接触片15を設けている。基端回転軸7の回転により、板カム8の縁部のうち最も突出する最突出縁部801が接触片15に当接し、従節シャフト13を上昇させるようにしている。従節シャフト13の上端には、案内ピン係止片16を設けている。案内ピン係止片16は、基端回転軸7の回転方向(正面方向)とは反対側面を案内ピン11の周面を係止可能な案内ピン係止壁17に形成され、上端縁は背面側から正面側にかけて下傾する傾斜面に形成されている。接触片15の上面と支持部14の下面との間には、接触片15を押し下げる方向に付勢するバネ18を介在させている。接触片15の一側面には、歯を外側を向けてラック19が取り付けられている。ラック19は、従節シャフト13の軸心線と平行な位置関係になるように接触片15の背面に取り付けられている。内側面301の内壁には、ラック19と噛合するピニオン20が取り付けられている。
【0012】
基端回転軸7のうち一方の側部材3の中空部に配設される部分には、案内ピン用腕杆9の基部が取り付けられている。案内ピン用腕杆9の先端には内側面301の内壁方に向く案内ピン11が取り付けられている。基端回転軸7の軸心から案内ピン用腕杆9の案内ピン11の取付位置までの基端回転軸7の半径外方向直線距離は、案内ピン係止片16が最上位置に位置したときの基端回転軸7の軸心から案内ピン係止壁17の縦方向中途位置と略同じで、案内ピン係止片16が下降したときの基端回転軸7の軸心から案内ピン係止壁17の頂部までの直線距離よりは長く設定されている。板カム8の最突出縁部801が接触片15を押し上げたときに、案内ピン係止壁17に案内ピン11が当接するように、最突出縁部801と案内ピン11の位置が設定されている。
【0013】
基端回転軸7のうち一方の側部材3の中空部に配設される部分に、錘用腕杆10が固定的に取り付けられている。錘用腕杆10の外端には錘12が設けられている。基端回転軸7の軸心を中心として、錘12の重心と案内ピン11との離隔角度は0度を超えて180度未満に設定されている。
【0014】
背面部材2の他方の上端には枢軸取付片21が設けられている。一方の側部材3の内側面301と枢軸取付片21にはカバー体5が起伏動可能に枢着されている。内側面301とカバー体5とを枢着する枢軸22にはレバー23が連続的に設けられている。内側面301の内壁には取付片24が固着され、捩じりバネ25の一端はレバー23に固着され、他端は取付片24に固着されて、枢軸22が正面方に回転するように付勢してカバー体5を伏せるようにしている。
【0015】
基端回転軸7にはロールペーパ保持部材6が取り付けられている。ロールペーパー保持部材6は、基端回転軸7の端部に設けた取付部26と、取付部26を介して取り付けられた1対の挿し込み片27、28と、挿し込み片27、28を離隔する方向に付勢するバネ29、挿し込み片27、28の先端を係合する手段及び先端回転軸30よりなる。基端回転軸7の端部には所定厚の取付部26を取り付けている。取付部26の内側面301と対向する一端面にはラチェット機構を有している。つまり、取付部の一端面には基端回転軸7をラチェット軸と共用してラチェットギア31を設けている。32はラチェット爪であって、ラチェットギア31の歯溝に食い込んで基端回転軸7の背面方向への回転を阻止する。挿し込み片27、28は、縦断面円弧状で外面が膨出した彎曲面の短冊状に形成されている。取付部26には挿し込み片27の基部が固着されている。挿し込み片28の基部が挿し込み片27の基部に枢着33されて取付部26に取り付けられている。挿し込み片27の先端内側面には立上り片34を設けている。立上り片34には、基端回転軸7と同軸上に設けられた先端回転軸30を設けている。立上り片34には、係合受け部35を設けている。挿し込み片28の先端内側面には、係合受け部35と係合可能な係止爪36を設けている。挿し込み片27と挿し込み片28の対向内側面間には離隔方向に付勢するバネ29を介在させている。
【0016】
次に作用について説明する。他方の側部材4を回動し背面部材2の正面と側部材4のなす角度を鈍角にし開く。係止爪36を係合受け部35に係合後、挿し込み片27、28をロールペーパー37の芯中空部に挿通してロールペーパー保持部材6にロールペーパー37を取り付ける。次に、係止爪36を係合受け部35から外すと、バネ29の復元力で挿し込み片27、28の対向面は離隔する。ロールペーパー37の中空芯には挿し込み片27、28の外面が圧接し、ロールペーパー37はロールペーパー保持部材6に安定的に保持される。錘12は重力により、基端回転軸7の真下に位置している。
ロールペーパー37を正面方に引き出すと、基端回転軸7及び先端回転軸30はロールペーパー37の回転動と共に同期回転する。錘12と案内ピン11及び板カム8は、基端回転軸7と供回りをする。錘12は基端回転軸7の真上を通過し、板カム8の最突出縁部801が接触片15を押し上げて従節シャフト13は上昇し、案内ピン係止片16も上昇する。案内ピン係止片16が上昇状態で、基端回転軸7の回転により案内ピン11が案内ピン係止壁17に係止され、錘12は基端回転軸7の正面方に位置した状態で基端回転軸7は停止する。基端回転軸7、つまりラチェット軸が停止状態で、ラチェット爪32と共にロールペーパー保持部材6は正面方向に回転動する。ロールペーパー37を切断すると、錘12の重力で基端回転軸7は正面方向に回転し、錘12は基端回転軸7の真下に移動して配設され、錘12の回転量と同量のロールペーパー37がカバー体5の正面端縁から繰り出されて次の使用のための摘み代となる。
【符号の説明】
【0017】
1 ロールペーパーホルダー
2 背面部材
3 一方の側部材
4 他方の側部材
5 カバー体
6 ロールペーパー保持部材
7 基端回転軸
8 板カム
801 最突出縁部
11 案内ピン
12 錘
13 従節シャフト
15 接触片
16 案内ピン係止片
17 案内ピン係止壁
26 取付部
27、28 挿し込み片
30 先端回転軸
33 枢着
34 立上り片
35 係合受け部
36 係止爪
37 ロールペーパー