(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記突出部は、前記外側スリーブが前記第1の構成から前記第2の構成へと並進移動するにしたがって前記隆起状規制部の第1の側部に沿って移動し、また、前記突出部は、前記外側スリーブが前記第2の構成から前記第3の構成へと並進移動するにしたがって前記隆起状規制部の第2の側部に沿って移動するものである、請求項1に記載の注入器。
前記隆起状規制部の前記第1の側部に沿った移動によって前記屈曲性アーム部の撓みが生じ、また、前記外側スリーブが前記第2の構成に達すると、前記突出部が前記隆起状規制部から外れて打面と接触し、それによって、可聴なまたは触覚的なフィードバックがユーザに与えられるものである、請求項3に記載の注入器。
前記第3の構成において、前記突出部は前記隆起状規制部と固定部材の間に配置され、それによって前記内側スリーブと前記外側スリーブの相対的な並進移動が制限されるものである、請求項1に記載の注入器。
前記注入器はさらにキャップを含み、前記注射器はさらに針カバーを含み、前記キャップは、前記注入器からの前記キャップの取外しによって前記注射器から前記針カバーが取り外されるように、前記針カバーと係合するよう構成されるものである、請求項1に記載の注入器。
前記突出部は、前記外側スリーブが前記第1の構成から前記第2の構成へと並進移動するにしたがって前記隆起状規制部の第1の側部に沿って移動し、また、前記突出部は、前記外側スリーブが前記第2の構成から前記第3の構成へと並進移動するにしたがって前記隆起状規制部の第2の側部に沿って移動するものである、請求項9に記載の注入器。
前記隆起状規制部の前記第1の側部に沿った移動によって前記屈曲性アーム部の撓みが生じ、また、前記外側スリーブが前記第2の構成に達すると、前記突出部が前記隆起状規制部から外れて打面と接触し、それによって、可聴なまたは触覚的なフィードバックがユーザに与えられるものである、請求項11に記載の注入器。
前記第3の構成において、前記突出部は前記隆起状規制部と固定部材の間に配置され、それによって前記内側スリーブと前記外側スリーブの相対的な並進移動が制限されるものである、請求項9に記載の注入器。
前記注入器はさらにキャップを含み、前記注射器はさらに針カバーを含み、前記キャップは、前記注入器からの前記キャップの取外しによって前記注射器から前記針カバーが取り外されるように、前記針カバーと係合するよう構成されるものである、請求項9に記載の注入器。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
好ましい実施形態のこの説明は、図面と関連付けて読まれるよう意図されており、図面は、本発明の記載された説明全体の一部と見なされる。図面は必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、本発明の或る特徴は、明確性および簡潔性のために縮尺的に誇張してまたは幾分か概略的な形態で示されることがある。説明において、相対的な用語、例えば、“水平な”(horizontal)、“垂直な”(vertical)、“上の”(up)、“下の”(down)、“頂部の”(top)および“底部の”(bottom)、並びにそれらの派生語(例えば、“水平に”(horizontally)、“下方に”(downwardly)、“上方に”(upwardly)、等)は、そのとき説明されるようなまたは考察中の図面に示されるような方位または配向を指す、と解釈されるべきである。これらの相対的な用語は、説明の便宜上のものであり、通常、特定の方位または配向を必要とするよう意図するものではない。“内向きに”(inwardly)対“外向きに”(outwardly)、“長手方向の”(longitudinal)対“側方の”(lateral")、等を含む用語は、必要に応じて、互いに相対的なものとして、または伸長軸または回転軸もしくは回転中心に対するものとして、解釈されるものである。例えば“連結された”または“接続された”(connected)および“相互連結された”または“相互接続された”(interconnected)のような、取り付け、結合、等に関する用語は、特に明記しない限り、構造が直接または間接的に介在構造体を介して互いに固定(固着)されまたは取り付けられた関係、並びに可動なまたは剛性の双方の取付けまたは関係を指す。“作動的にまたは作動可能に連結(接続)された”(operatively or operably connected)という用語は、その関係によって意図されるように適切な構造が動作することが可能になるような取付け、結合または連結もしくは接続である。請求の範囲において、手段プラス機能(means-plus-function)の節は、使用される場合には、構造的な均等手段だけでなく均等な構造体も含めて、列挙された機能を実行するための記載された説明または図面によって記載され、示唆されまたは明らかにされる構造体を包含(カバー)するよう意図されている。ここで使用される“薬剤”(medicament)または“薬物”(drug)という用語は、標的に送達するための任意の物質を指す。例えば、これらの用語は、抗凝固剤(anticoagulants)、ワクチン(vaccines)、生物製剤(biologics)、および任意の注入可能な流体を含む。
【0012】
本開示内容は、標的部位に薬剤を注入するための注入器を実現する。注入器は、患者または他の介護者(介護士)による容易な使用を提供し、長期間保管された後での信頼性ある使用のために構成される。さらに、注入器は少数の部品を利用するので、それは安価で製造が容易である。ここに記載された注入器は、例えば、エピネフリン(epinephrine)、ケタミン(ketamine)、モキシフロキサシン(moxifloxacin)、エルタペネム(ertapenem)、アトロピン(atropine)、ジアゼパム(diazepam)またはナロキソン(naloxone)を投与するために使用することができる。
【0013】
図1は、出荷時の構成における注入器100の等角図を示している。注入器100は、本体102およびキャップ103を含んでいる。キャップ103が本体102に係合された状態では、注入器100の内容物を分配するように注入器100を動作させまたは操作することは不可能である。また、注入器はラベル101を含むことができる。ラベル101は、本体103と、キャップ103の少なくとも一部との双方を包み込んで、キャップ103の不用意なまたは不注意な取り外しを防止することができる。さらに、本体102、キャップ103およびラベル101のこの配置によって、注入器100内に収容されている注入器の無菌性を維持することができる。そのラベルは、ラベル101の引き裂きおよびキャップ103の取り外しを可能にする穿孔部分101aを含むことができる。その穿孔は、キャップ103の近似的に近位端部に配置することができ、それによってラベル101の引き裂きおよびキャップ103の取り外しが可能になる。ラベル101は、例えば、
図1Bに示されるように、本体102に対してキャップ103を回転させることによって、複数の穿孔部で引き裂くことができる。幾つかの実施形態において、複数の穿孔部はラベル101を完全には貫通していない(即ち、複数の穿孔部はラベルに部分的にのみ侵入またはラベルを部分的にのみ貫通している)。そのような実施形態において、本体102およびキャップ103をラベル101で包囲することによって、注入器100への物質(材料)の流入が制限される。例えば、ラベル101は、水が注入器に流入するのを防止する耐水性を提供してもよい。これによって、注入器100の内容物が有利に保護される。
【0014】
図2の分解図で分かるように、本体102は、外側スリーブ104および内側スリーブ106を含んでいる。本体102内に注射器(シリンジ)108が配置される。外側スリーブ104は、長手方向の軸Aを画定する。組立ての後、内側スリーブ106は部分的に外側スリーブ104内に配置される。図示された実施形態において、外側スリーブ104および内側スリーブ106は、概して円筒形の形状である。しかし、外側スリーブ104および内側スリーブ106は、任意の適切な形状とすることができ、その形状は所望の外観を与えるように選択される。
【0015】
注射器108は、薬剤が予め充填されて、バレル(注射筒)110、針112(
図5Aに示されている)、針カバー113、シール部(封止部)114、およびプランジャ・ロッド116を含んでいる。注射器108は薬剤が予め充填される。バレル110は、ガラス・バレル、例えば真っ直ぐな円筒状(cane:ケイン状)ガラスで形成されたガラス・バレル、とすることができる。代替的に、バレル110はポリマー材料で形成することができる。バレル110は、バレル110と薬剤の間の化学的相互作用を減少させるための材料で被覆することができる。針112は、バレル110の遠位端部に取り付けられ、薬剤をバレル110から標的部位へと通して送達することができる管腔(lumen)を画定する。針112は、例えば杭打ち(staking)および接着剤のような任意の適切な方法を使用して、バレル110に取り付けることができる。シール部114は、バレル110内に配置され、バレル110内で軸方向に並進運動(translate:平行移動)するよう構成される。シール部114は、エラストマ材料で形成することができ、使用前の薬剤の無菌性を維持するためにバレル110の内壁部に対して(接触して)シール部を形成することができる。プランジャ・ロッド116は、シール部に嵌合(嵌入)または係合し、バレル110の近位端部から伸びる細長い部分と、キャップ116aとを含んでいる。
【0016】
出荷時の構成において、
図1Aに示されているように、キャップ103は針カバー113に係合(嵌合)する。従って、本体からキャップ103を取り外すと、注入器から針カバー113が外される。
図2Aに示されているように、キャップ103は、針カバー113の遠位端部に係合(嵌合)する複数の突出部103aを含んでいる。針カバー113は、その遠位端部に隣接してフランジ113aを含み得る。突出部103aは、フランジ113aに係合(嵌合)するよう構成された複数の歯状部103bを含み得る。このように、キャップ103が取り外されると、針カバー113も同様に取り外される。複数の突出部103aは、針カバー113へのアクセス(接近)を与えるために、内側スリーブ106の遠位端部における開孔部を貫通する(を通って挿入される)。
【0017】
また、取り外し中の本体102に対するキャップ103の回転によって、注射器108に対する針カバー113の回転が生じ得る。この回転は、注射器108への針カバー113の任意の固着(sticking)を克服するのを助けることができ、それによって、キャップ103および針カバー113の取り外しが使用者にとってより容易になる。
【0018】
また、注入器100は付勢部材(biasing member)117を含むことができる。その付勢部材は、
図5A(第1の構成)に示されているように、内側スリーブ106に少なくとも部分的に近接して配置され、内側スリーブ106を伸長(伸展)位置に付勢することができる。付勢部材117の遠位端部は内側スリーブ106に接触することができ、一方、付勢部材117の近位端部はプランジャ・ロッド116または外側スリーブ104に接触することができる。付勢部材117は、エネルギを貯蔵して放出(解放)することができる任意の適切な部材とすることができる。例えば、付勢部材117は、例えばコイル状バネまたはヘリカル状バネのようなバネ、エラストマ・スリーブ、または外側スリーブ104から伸びる柔軟な(可撓性の)アーム部、とすることができる。ここでさらに説明するように、付勢部材117は、針を標的に挿入する前に内側スリーブ106を伸長位置に維持し、また、注入器100が標的位置から引き抜いて外された後で内側スリーブ106を伸長させる(伸ばす)。付勢部材117の剛性は、他の注入器において使用されるものよりもかなり小さく(低く)することができる。例えば、一実施形態において、付勢部材117は、約0.50ポンド/インチ(8.93kg/m)乃至0.60ポンド/インチ(10.71kg/m)のバネ定数(レート)を有する圧縮バネである。別の実施形態において、バネ定数は、約0.25ポンド/インチ(4.46kg/m)乃至0.75ポンド/インチ(13.39kg/m)である。別の実施形態において、バネ定数は、約0.10ポンド(1.79kg/m)/インチ乃至0.50ポンド/インチ(8.93kg/m)である。他の注入器よりも剛性が小さい付勢部材を使用すると、付勢部材自体のコストが低減される。さらに、注入器の他の部分のコストは、より大きい力に耐えるよう構成される必要がないので、より低くすることができる。
【0019】
図3に示されているように、外側スリーブ104は、近位端部120および遠位端部122を画定する概して円筒状の形状の側壁部118を有する。図示のように、外側スリーブは、リビング(一体成形)ヒンジによって第2の部分123に連結(接続)される第1の部分121を有するクラムシェル・タイプ(二枚貝型)の配置で構築することができる。組立て期間中、第1の部分121および第2の部分123は、一緒に結合されて、外側スリーブ104を固定的に閉じる。代替的に、第1の部分121および第2の部分123は、別々の構成要素または部品(即ち、リビング・ヒンジによって接続されないもの)であってもよい。そのような実施形態において、別々の第1の部分121および第2の部分123は、組立て期間中に一緒にされる(組み立てられる)。外側スリーブ104は、第1の部分121および第2の部分123を、保管および使用のために固定関係に保持するための機能または特徴を含むことができる。例えば、第1の部分121または第2の部分123のうちの一方は、反対側の部分上の凹所(recesses:凹部)またはキャビティ(cavities:空洞)と係合(嵌合)するよう構成された屈曲性アーム部を有することができる。代替的に、第1の部分121および第2の部分123は、ヒート・ステイキング・プロセス(heat staking process:熱カシメ(成型)法)を使用して連結することができ、その際、第1の部分121と第2の部分123のうちの一方上のスタッド(stud)が熱で広げられて(拡大されて)反対部分の穴が埋められる(充填される)。代替的に、第1の部分121および第2の部分123は超音波溶接または別の方法を用いて互いに溶接することができる。
【0020】
また、組立て期間中に、プランジャ・ロッド116は、外側スリーブ104に、例えば近位端部120で、係合する。このように、プランジャ・ロッド116および外側スリーブ104は、プランジャ・ロッド116および外側スリーブ104が注入器100の動作中に一体的なもの(ユニット)として並進運動するような、固定された空間的関係にある。一実施形態において、側壁部118はキー溝または鍵穴124を画定し、プランジャ・ロッド116は対応するキーまたは鍵125を含んでいる。組立て期間中、キー125は、プランジャ・ロッド116と外側スリーブ104の間の相対移動を防止するために、キー溝124内に配置される。代替的に、圧入インタフェース、プランジャ・ロッドの外側スリーブへの接着、ネジ山の噛合せ(螺合、嵌合)、またはプランジャ・ロッドを外側に接続するピン、を含む任意の適切な方法を用いて、プランジャ・ロッド116を外側スリーブ104に係合させることができる。
【0021】
また、
図3に最もよく示されているように、外側スリーブ104は隆起状規制部(raised curb:浮出し制限部、凸状制限部、突起状制限部)126も含んでいる。隆起状規制部126は側壁部118から伸びている。隆起状規制部126は、長手方向の軸Aに平行な長手方向の成分と、外側スリーブ104の円周に沿って伸びる円周方向の成分とを有する経路に沿って伸びる。幾つかの実施形態において、隆起状規制部126は側壁部118における凹所(凹部)128内に配置される。凹所128によって、内側スリーブ106に半径方向に内向きの力を与えることなく、隆起状規制部126は内側スリーブ106と連係する(interface with:と連動する、と相互作用する、に連結する)ことが可能になる。さらに、凹所128は、隆起状規制部126の近位端部に打面(strike face:打撃面、衝撃面)129を画定する。少なくとも1つの実施形態において、外側スリーブ104は少なくとも2つの隆起状規制部126を含んでいる。図示の実施形態において、外側スリーブは、互いに角度180°(互いに正反対の位置)の位置関係で配置された2つの隆起状規制部126を含んでいる。これによって、内側スリーブおよび外側スリーブに釣り合う各力(balanced forces)が形成される。
【0022】
また、内側スリーブ106は、外側スリーブ104を参照して上述したように、クラムシェル型構成で設けることもできる。
図4に示されているように、内側スリーブ106は、近位端部132および遠位端部134を画定する側壁部130を含んでいる。上述のように、付勢部材117は、内側スリーブ106を伸長(伸展)位置に付勢するために近位端部132と接触した状態にすることができる。また、内側スリーブ106は、近位端部132と遠位端部134の間の側壁部130内に画定されたチャンバ内に伸びる1つ以上の係合(嵌合)部材135を含んでいる。以下でより詳しく説明するように、係合(嵌合)部材135は、動作(操作)中に、針112の標的位置への挿入深さを制限するように注射器108に接触するよう構成される。図示の実施形態において、係合(嵌合)部材135は遠位端部134から離間している。係合部材135が遠位端部134から離れている距離は、針112の挿入の深さを規定する。従って、内側スリーブ106の製造期間中に挿入深さを正確に制御することができる。注入が組織の所望の位置に確実に達するようにするために、各係合部材135と内側スリーブ106の遠位端部134との間の距離に、適切な公差(tolerances:許容誤差)を適用することができる。例えば、一実施形態において、針112は、内側スリーブ106の遠位端部から約16mm(0.62インチ)だけ伸びる(伸長する)。別の実施形態において、針112は、内側スリーブ106の遠位端部から約25mm(1.0インチ)だけ伸びる。別の実施形態において、針112は、内側スリーブ106の遠位端部から約38mm(1.5インチ)だけ伸びる。係合部材135は、内側スリーブ106と一体的に形成することができ、または代替的に、内側スリーブ106に組み付けられる別々の構成要素または部品とすることができる。
【0023】
図4に示されているように、内側スリーブ106は屈曲性アーム部(flex arm:柔軟性アーム部、屈曲性腕状部)136をも含んでいる。屈曲性アーム部136は、概して、長手方向の軸Aに平行に伸び、外側スリーブ104に向かって半径方向外向きに伸びる突出部(突起部)138を含んでいる。突出部138は、以下でさらに説明するように、注入器100の動作(操作)期間中に隆起状規制部126と連係する。図示の実施形態において、内側スリーブ106は、互いに180°(互いに正反対の位置)の位置関係で配置された2つの屈曲性アーム部136を含んでいる。上述のように、これによって、内側スリーブ106に加えられる各力が確実に釣り合うようになる。
【0024】
図5A〜8Cは、注入器100の動作の各工程の図を示している。使用前に、キャップ103が注入器100から取り外される。キャップ103が針カバー113に係合しているので、キャップ103を取り外すと、針カバー113が注射器108から外れる。そのキャップおよび針カバーは廃棄することができる。続いて、
図5Aに示されているように、内側スリーブ106の遠位端部134が標的位置に対して接触して(背にして)配置される。
図5Aで分かるように、この構成において、内側スリーブ106は、外側スリーブ104から第1の距離だけ伸び、針112を覆っている。さらに、この構成において、付勢部材117は相対的に消勢された状態にある。この消勢状態において、付勢部材117は、注入器100の各構成要素または部品に大きな力を加えることはない。これによって、注入器100を、その中の構成要素に損傷を与える危険性なしに長期間にわたって保管することが可能になる。
【0025】
図5Bに示されているように、この初期の構成において、屈曲性アーム部136の突出部138は最初に隆起状規制部126の遠位端部に位置決めされまたは配置される。その突出部は、隆起状規制部126の第1の側部(side:側面、側辺)に配置される。この構成において、屈曲性アーム部136は非応力状態にある(即ち、この構成では、突出部138と隆起状規制部126の相互作用によって屈曲性アーム部に撓み(偏位)を生じることはない)。これによって、保管の期間中にこれらの部品が徐々に変形(クリープ)したりまたは永久変形したりしないことが、確保される。これによって、構成要素(部品)を損傷する危険性なしにその装置を長期間保管することができ、それによって注入器の信頼性が向上する。
【0026】
図6A(第2の構成)に示されているように、遠位方向にその外側スリーブに加えられる力によって、外側スリーブ104が標的位置に向かって移動し、従って、外側スリーブからの内側スリーブの伸長(部)が第2の距離まで減少する。これは
図6Bの等角図でも分かる。プランジャ・ロッド116は外側スリーブ104に係合(嵌合)しているので、プランジャ・ロッド116は外側スリーブ104と共に並進運動する。プランジャ・ロッド116はシール部114を移動させ、また、シール部114がバレル110と密封(封止)嵌合(係合)しているのでシール部114とバレル110の間の静摩擦力によって注射器108が移動する。注射器108は、注射器108が係合(嵌合)部材135と接触するまで、外側スリーブ104と共に遠位方向に並進運動する。注射器108のこの並進運動によって、針112は標的位置に挿入される。係合部材135は、注射器のバレル110、またはバレル110に係合または嵌合するクリンプ・キャップまたは他の構成要素に接触することができる。
図6Aおよび6B
(第2の構成)に示されるようなこの時点で、注射器バレル(注射筒)110の継続的な並進運動が制限される。
【0027】
図5Aに示されている構成から
図6Aに示されている構成までの並進運動によって、付勢部材は圧縮されまたは付勢され、それによって後で解放(放出)されるエネルギが蓄積または貯蔵される。
【0028】
図6Cに示されているように、外側スリーブ104が内側スリーブ106に対して第1の構成から第2の構成まで並進運動するに従って、屈曲性アーム部136の突出部138は、隆起状規制部126の第1の側部126aに沿って移動する。そうすると、屈曲性アーム部136は、その非応力の自然位置から、
図6Cに示された撓み位置へと撓む。
【0029】
図7A(第2の構成)に示されているように、外側スリーブ104の継続的な変位によって、薬剤の注入が生じる。
図7Aおよび7B
(第2の構成)に示されているように、外側スリーブ104からの内側スリーブ106の伸長がさらに減少する。注射バレル110は係合部材135との接触によってそれ以上の(更なる)動きが制限されるので、外側スリーブ104およびプランジャ・ロッド116の継続的な変位によって、シール部114は注射器108のバレル110内で並進運動する。これによって、薬剤はバレル110から針112を通って標的内に放出される。さらに、付勢部材117はさらに圧縮されまたは付勢される。
【0030】
図7Cに示されているように、外側スリーブ104のこの継続的な並進運動によって、突出部138は隆起状規制部の近位端部に到達する。
図7Cから
図7Dへの並進運動に示されているように、薬剤の放出または排出が完了すると、突出部138は隆起状規制部126の第1の側部126aから係合が外れる。突出部の係合が外れると、屈曲性アーム部136に貯蔵された弾性エネルギによって、屈曲性アーム部136はその本来のまたは自然な位置に向かって戻る。そうすると、突出部138または屈曲性アーム部136の別の部分は、外側スリーブ104上の打面129に接触する。打面129との接触によって、薬剤の送達が完了したことを示す可聴なおよび/または触覚的な(tactile)フィードバックがユーザに提供される。
【0031】
図8A〜8C
(第3の構成)に示されているように、注入が完了し標的から注入器100が取り外された後、付勢部材117が消勢し、付勢部材117によって、内側スリーブ106が外側スリーブ104から第3の距離だけ伸びるように、内側スリーブ106が外側スリーブ104に対して遠位方向に並進運動する。第3の距離は、第1の距離と同じでもよいし、または代替的に異なってもよい。内側スリーブ106は、伸びると、針112を覆う。従って、注入器100の使用前と使用後の双方で、針112が覆われる。これによって、針刺しによる負傷が防止され、視界から針が隠され、これは、針を恐れる患者にとって特に重要である。
【0032】
内側スリーブ106が伸びる間に、突出部138は隆起状規制部126の第2の側部(側面、側辺)126bに沿って移動する。内側スリーブ106が完全に伸びると、突出部138は、隆起状規制部126の近位端部と固定(係止)部材139の間に形成されたキャビティ127内に係合または嵌入する。この位置において、その突出部は、内側スリーブ106の近位方向または遠位方向への並進運動を防止する。従って、内側スリーブは所定の位置に固定され、針112を露出させるように内側スリーブを並進運動させることはできない。少なくとも1つの実施形態において、その突出部がキャビティ127内に配置されたとき、屈曲性アーム部136は応力位置または変形位置にある。その結果、屈曲性アーム部136における内力によって突出部138が隆起状規制部126のその端部へと押し込まれ、さらに内側スリーブ106の後退が防止される。
【0033】
一実施形態において、突出部138は“L”字形の断面を有する。その結果、隆起状規制部126の端部に係合して屈曲性アーム部136を所定位置に固定(ロック)するノッチが形成される。
【0034】
他の実施形態において、
図9〜13に示されているように、格納可能な針を有する注射器が使用される。繰り返しの説明はここに含まれないが、そのような実施形態には、
図1〜8Cの実施形態に関して上述したものと同じ特徴、態様および構成の多くが含まれてもよい。そのような実施形態では、注射器の針は、注入の完了後に注射器のバレル(注射筒)内に後退するよう構成される。そのような注射器の一例は、米国ニュージャージー州のベクトン・ディキンソン社(Becton Dickinson)によって販売されているビーディー・インテグラ(BD INTEGRA(登録商標))注射器である。しかし、任意の格納式針注射器を使用することができる。注射器は、予め充填されていてもよく、または代替的に使用時にバイアル(vial:小瓶)から薬剤を引き込むことによって充填されていてもよい。使用時に充填する場合、バイアル・アダプタを使用することができる。
【0035】
図9〜12の注入器200は、本体202およびキャップ203を含んでいる。本体202は、外側スリーブ204および内側スリーブ206、並びに針スリーブ207を含んでいる。針スリーブ207は、内側スリーブ206内でおよび内側スリーブ206に対して軸方向に並進運動するよう構成されている。内側スリーブ206は、外側スリーブ204内でおよび外側スリーブ204に対して軸方向に並進運動するよう構成されている。
図10に示されているように、注射器208は、注射器の針212が内側スリーブ206の遠位端部から伸びる(伸長する)ように、本体202内に挿入される。注射器208が本体202内に配置された後、外側スリーブ204は閉じることができる。
【0036】
この実施形態において、注射器のバレル210は、内側スリーブ206に対して固定位置にある。バレル210を所定位置に保持するために、バレル210のフランジ210aを内側スリーブ206のスロット(溝)240内に位置決めすることができる。フランジ210aは、バレル210と一体的に形成することができ、または代替的に、接着または他の手順によってバレル210に固定される別個の構成要素とすることができる。或る実施形態において、内側スリーブ206は2つ以上のスロットを含み、各スロットは異なる投与量に対応する。例えば、1つのスロットは0.3mgの投与量に対応してもよく、別の第2のスロットは0.15mgの投与量に対応してもよい。そのような実施形態において、その複数のスロットは、外側スリーブ204の近位端部から相異なる距離にあり、これによって相異なる投与量の送達が得られる。フランジ210aがスロット240内に配置された状態では、針212は少なくとも部分的に内側スリーブ206の遠位端部から伸びる。これによって、キャップ203は針カバー213に係合することが可能になる。
【0037】
図11に示されているように、キャップ203は、注射器208の針カバー213に係合(嵌合)するための機能または形状を含んでいる。一実施形態において、キャップ203は、上側部分244と下側部分246を連結するリビング・ヒンジ242を有するクラムシェル設計のものである。下側部分246は突出部248を含み、上側部分244は内壁部250を含んでいる。組立て期間中、キャップ203は、針カバー213の周囲で閉じられ、本体202に連結される。キャップ203が閉じられると、突出部248および内壁部250は針カバー213に係合する。その結果、本体202からキャップ203を取り外すと、
図12に示されているように、針カバー213が注入器208から外れる。
【0038】
キャップ203が注入器200から取り外されると、針スリーブ207は、内側スリーブ206に対して遠位方向に並進運動する。これは、針カバー213と針スリーブ207の間の接触によって生じてもよい。例えば、針カバー213のフランジ213a(
図10に示されている)は、針スリーブ207と接触していて、針カバー213が取り外されると針スリーブ207を引き抜き出すようになっていてもよい。その結果、針スリーブ207は、針212を覆い、不注意による針刺し傷害を防止する。針スリーブ207は、注入器が未だ使用されていないこと、および針がその中に含まれていること、をユーザに警告するために、例えば対比色のような可視的表示器または標識(インジケータ)を形成することができる。
【0039】
挿入の期間中、針スリーブ207は、標的内に挿入するように針212を露出させるために内側スリーブ206に対して近位方向に並進運動することができる。外側スリーブ204に継続的に力が加えられると、上述のように薬剤の注入が生じる。
【0040】
注入が完了すると、注射器208の針212は、注射器208のバレル210内に後退する。この実施形態では、注入後に外側スリーブ204に対して遠位方向に内側スリーブ206を並進運動させるための付勢部材が必要とされない。針212はバレル内に安全に閉じ込められるので、針刺し傷害が防止され、針212はユーザに見えない。
図13に示されているように、注入器200は、使用後にコンパクトであり、廃棄時により小さい空間を占有する。任意に、注射器208は、注入器200から取り外して鋭利物容器内に廃棄することができる。或る実施形態では、注入器200は、別の注射器を用いるその後の注入のために再利用することができる。
【0041】
別の実施形態において、
図14A〜14Eに示されているように、スプレイ・ノズル(噴射ノズル)300が設けられる。スプレイ・ノズル300は、注入器100または注入器200に取り付けることができる。スプレイ・ノズル300は、本体302と、本体302の遠位端部に配置された先端部304とを含んでいる。また、スプレイ・ノズル300は、本体302の近位端部に配置され得る1つ以上のフィンガ(指状)フランジ306を含むことができる。先端部304は、その遠位端部に1つ以上の穴308を含み、その穴を通って薬剤が出ることができる。
【0042】
スプレイ・ノズル300によって、薬剤を鼻腔内投与することが可能になり、それによって、患者への針の挿入の必要性が回避され、これは一部の患者、特に針を恐れる患者にとって、好ましいものであり得る。スプレイ・ノズル300付き注入器は、粘膜を横切って患者の血流に薬剤を送達(投与)することによって、有効用量の投与量を送達する。これは、例えばナロキソン(Naloxone)のようなオピオイド(opioid)過量投与を治療するのに使用される医薬に、特に有用であり得る。
【0043】
スプレイ・ノズル300は、針がスプレイ・ノズル300の遠位端部に配置されるように、注入器と係合する。内側スリーブに対して外側スリーブを並進運動させることによって針を通して薬剤を分配すると、薬剤は、圧縮されて、患者に送達(投与)することができるスプレイ(噴霧液)になる。スプレイ・ノズル300を設けることによって、スプレイ・ノズルを通して粘膜に、または代替的に針を通して筋肉内に、皮下にまたは任意の他の適切な深さで、薬剤を送達(投与)することができる。これによって、ユーザまたは患者は投与時に選択肢が与えられ、それによって、彼らは彼らにとってより快適または効果的な投与方法を選択することが可能になる。或る実施形態において、スプレイ・ノズル300および注入器100または注入器200は、キット(kit:一式、セット)の形で、例えば共通のパッケージの形で、提供される。
【0044】
使用時に、まず、キャップ103が注入器100または200の本体102から取り外される。スプレイ・ノズル300は、
図14Dに最もよく示されているように、内側スリーブ106または206がスプレイ・ノズル300の本体302の遠位端部に当接するように、本体102上に配置される。内側スリーブ106、206の遠位端部は、スプレイ・ノズル300内の肩状部(ショルダ部)310に接触する。スプレイ・ノズル300の先端部304は、患者の鼻孔(nostril)に隣接して、または少なくとも部分的に患者の鼻孔内に配置される。次いで、外側スリーブ104または204に力が加えられて、その外側スリーブが、内側スリーブ106または206およびスプレイ・ノズル300に対して軸方向に並進運動させられる。この並進運動によって、最初に、注射器108または208は、針112または212が少なくとも部分的にスプレイ・ノズル300の先端部304内にある或る位置まで並進運動する。外側スリーブ104または204の更なる並進運動によって、上述のようにおよび
図14Cに示されているように、薬剤の分配または分散(distribution)が生じる。ユーザは、注入器を動作させる(操作する)ときに、反力(counterforce:対抗力)を与えるようにスプレイ・ノズル300のフィンガ・フランジ306を保持してもよい。
【0045】
一実施形態において、
図14Dおよび14Eに示されているように、隔壁部(セプタム)312がスプレイ・ノズル300の先端部304内に配置される。幾つかの実施形態において、隔壁部312は、使用前において先端部304の内側の無菌性を維持する。内側スリーブ106に対して外側スリーブ104を押し下げる(押圧する)と、針112が内側スリーブ106の外に伸びて(伸長して)隔壁部312を貫通する。隔壁部312は、エラストマ、シリコーンまたは他の任意の適切な材料を含む材料で構成(形成)することができる。外側スリーブ104、204が先端部304に向かってさらに並進運動すると、薬剤が放出される。隔壁部312は、薬剤が先端部304から外へ近位方向に移動するのを防止する。その結果、注射器の内容物は1つ以上の穴308を通して放出される。
【0046】
別の実施形態において、
図15に示されているように、内側スリーブ106がその遠位端部にルアー・コネクタ402を有する注入器400が実現される。他の態様において、その注入器は、上述の注入器100と実質的に同じであってもよい。これによって、注入器400は管(チューブ)セット404に接続することが可能になって、例えば静脈内(intravenous)または骨内(intraosseous)の輸液装置(infusion device)によって、薬剤を投与(送達)することが可能になる。ルアー・コネクタ(luer connector)402は、管セットの雌型ルアー取付け具406への接続用の雄型ルアー・コネクタとすることができる。代替的に、ルアー・コネクタ402は、雄型ルアー取付け具への接続用の雌型ルアー・コネクタとすることができる。注入器400は、ベクトン・ディキンソン社(Becton Dickinson)によって商品名ルアー−ロック(LUER-LOK(登録商標))およびルアー−スリップ(LUER-SLIP(米国商標))で販売されているもののような、ロック(固定)またはスリップ(滑動)タイプのルアー接続を使用して管セット404に取り付けることができる。
【0047】
動作について説明すると、キャップ103は注入器400の本体102から取り外される。次いで、ルアー取付け具406はルアー・コネクタ402に取り付けられる。次いで、外側スリーブ104を内側スリーブ106に対して並進運動させることによって、管セット404を通して薬剤を投与することができる。これによって、薬剤は、ルアー接続部、管セット404を通して患者に投与される。
【0048】
図16に示されているように、注入器100、200、400上に把持部(グリップ)500を設けることができる。把持部500は、例えば、外側スリーブ104、204上に一体的に形成することができ、または代替的に、把持部500は、例えば外側スリーブ104、204上でスライド(滑動)されるスリーブのような、別個の構成要素(部品)とすることができる。把持部500は任意のサイズとすることができる。例えば、把持部500は、外側スリーブ104、204全体を覆うことができる。代替的に、把持部500は、外側スリーブ104、204の一部分のみを覆うことができる。把持部500は、任意の適切な材料で形成することができる。例えば、把持部500は、サントプレーン(santoprene)または他のエラストマ材料から成型(モールド)することができる。その材料は、注入器100、200、400を(手で)操作する(扱う)能力を高めるように選択することができる。把持部500は、注入器100、200、400を(手で)操作する(扱う)能力をさらに高めるための質感(texture:触感)または模様(パターン)を含むことができる。例えば、把持部500は、ダイヤモンド・プレートに使用されるものと同様の、隆起した(凸状の)複数のダイヤモンド形状または線を含むことができる。
【0049】
把持部500が外側スリーブ104、204上で滑動する別個の構成要素である実施形態では、把持部500は、閉じた近位端部を有することができる。これによって、注入器100、200、400の近位端部をさらに封止(密封)することができ、異物の粒子または流体の侵入を防ぐことができる。
【0050】
例えば
図16に示されるような把持部は、戦闘状況において軍隊によって注入器が使用されるときに特に有利であり得る。これらのシナリオ(状況)で、注入器は、しばしば手袋を着用している軍隊によって過酷で湿った状態で使用される必要がある可能性がある。従って、注入器をしっかりと握ることは難しい可能性がある。さらに困難な状況でも握りやすい把持部を注入器に設けることによって、これらの潜在的な救命シナリオで注入器をより高い信頼性で使用することができる。
【0051】
別の実施形態において、注入器を動作させる(操作する)方法が実現される。その方法は、標的位置に対して(接触して、を背にして)内側スリーブの遠位端部を配置する工程(ステップ)を含んでいる。注入器が所定位置にある状態で、外側スリーブに力が加えられる。外側スリーブに力を加えると、(i)外側スリーブおよび注射器が内側スリーブに対して軸方向に並進運動し、(ii)注射器の針が内側スリーブの遠位端部から外に標的位置へと(標的位置内に)伸び、(iii)注射器が内側スリーブの係合部材に接触する。その後、継続的な力が外側スリーブに加えられる。外側スリーブに継続的な力を加えると、注射器内のプランジャ・ロッドおよび注射器内のシール部が並進運動して、それによって薬剤の投与(送達)が生じる。薬剤の投与後、注入器は標的位置から取り除かれる。付勢部材が内側スリーブに力を加えて、内側スリーブが外側スリーブに対して遠位方向に並進運動して注射器の針を覆うようにされ、それによって、内側スリーブが外側スリーブに対して所定位置に固定(ロック)されるようになる。
【0052】
別の実施形態において、格納式の針を有する注射器を有する注入器を動作させる(操作する)方法が実現される。注入器のキャップが取り外され、その際、キャップの取り外しによって注射器の針カバーも外される。その方法は、さらに、標的位置に対して(に接触して、を背にして)内側スリーブの遠位端部を配置する工程を含んでいる。注入器が所定位置にある状態で、外側スリーブに力が加えられる。外側スリーブに力を加えると、(i)外側スリーブおよび注射器が内側スリーブに対して軸方向に並進運動し、(ii)注入器の針が内側スリーブの遠位端部から外に標的位置へと(標的位置内に)伸び、(iii)注射器が内側スリーブの係合部材に接触する。その後、継続的な力が外側スリーブに加えられる。外側スリーブに継続的な力を加えると、注入器内のプランジャ・ロッドおよび注射器内のシール部が並進運動して、それによって薬剤の投与が生じる。薬剤の投与が完了した後、針は注射器のバレル内に格納される(引き込まれる)。
【0053】
別の実施形態において、薬剤を鼻腔内に送達するために注入器およびスプレイ・ノズルを使用する方法が実現される。まず、注入器のキャップが取り外される。スプレイ・ノズルは注入器に係合される。スプレイ・ノズルの先端部は、患者の鼻孔内にまたは患者の鼻孔に隣接して配置される。注入器の外側スリーブは、スプレイ・ノズルの先端部に向かって並進運動させられて、スプレイ・ノズルの先端部を通して患者に薬剤が放出される。
【0054】
別の実施形態において、薬剤を静脈内または骨内に送達するために、注入器を使用する方法が実現される。まず、注入器のキャップが取り外される。内側スリーブのルアー・コネクタがルアー取付け具に接続される。注入器の外側スリーブがルアー取付け具に向けて並進運動させられて、ルアー・コネクタを通し管セットを通して、患者に薬剤が投与される。
【0055】
前述の説明および図面は本発明の好ましいまたは例示的な実施形態を表しているが、特許請求の範囲の趣旨(精神)および範囲ならびに均等手段の範囲から逸脱することなく、様々な追加、変形および置換が施されてもよい。特に、本発明は、その趣旨または基本的な特徴から逸脱することなく、他の形態、構造、配置、割合、サイズで、および他の要素、材料および構成要素(部品)で具体化し得ることは、この分野の専門家にとって明らかである。さらに、ここに記載された方法/プロセスにおいて、本発明の趣旨から逸脱することなく多数の変形例を作成することができる。この分野の専門家は、さらに、本発明が、構造、配置、割合、サイズ、材料および構成要素の多くの変形と共に使用され得る、そうでなければ本発明の実施において使用され得るものであり、それらが、本発明の原理から逸脱することなく特定の環境および動作要件に特に適合化されること、を理解する。従って、ここで開示された実施の形態は、全ての点で例示的であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその均等手段によって規定され、前述の説明または実施形態に限定されない。むしろ、特許請求の範囲は、本発明の範囲および本発明の均等手段の範囲から逸脱することなくこの分野の専門家によって施され得る本発明の他の変形例および実施形態を含むように、広く解釈されるべきである。ここで特定された全ての特許および公開された特許出願を、ここにその全体を参照により組み込む。