特許第6856861号(P6856861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856861
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】取付具
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/00 20060101AFI20210405BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20210405BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20210405BHJP
【FI】
   E04D13/00 KETD
   E04D13/18
   H02S20/23 B
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-1596(P2019-1596)
(22)【出願日】2019年1月9日
(65)【公開番号】特開2020-51238(P2020-51238A)
(43)【公開日】2020年4月2日
【審査請求日】2020年2月29日
(31)【優先権主張番号】特願2018-178858(P2018-178858)
(32)【優先日】2018年9月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000129079
【氏名又は名称】株式会社カナメ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和浩
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−141632(JP,A)
【文献】 特開2014−227667(JP,A)
【文献】 特開2017−193918(JP,A)
【文献】 特開2013−032679(JP,A)
【文献】 特許第5715682(JP,B1)
【文献】 特開2014−025252(JP,A)
【文献】 特開2017−078309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/00
E04D 13/18
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一ピースと、
第二ピースと、
締付具を有する取付具であって、
前記第一ピースは、
天板部と、
該天板部より下方に支持脚及び垂下部が形成されており、
該支持脚は、
下端近傍に第一挟持部が形成されており、
前記垂下部は、
締付具保持部が形成されており、
前記第二ピースは、
断面略C字状であり、
一端に連結部と、
他端に第二挟持部が形成され、
前記連結部と前記第二挟持部の間に長孔が形成されており、
前記連結部によって第一ピースの外側に回動可能に連結されるとともに、
前記第二挟持部が垂下部の下端近傍より第一ピースの内側に挿通されており、
前記締付具は、
第一ピースの締付具保持部に保持され、
第二ピースの長孔に挿通され、
第一ピース及び第二ピースに係合されており、
前記取付具は、
縦葺き屋根材の突条部の左右に支持脚及び垂下部が配置され、
締付具が締め付けられると、
第一挟持部と第二挟持部とが近接され、
第一挟持部と第二挟持部によって縦葺き屋根材の突条部が挟持される取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、太陽光発電モジュール等の屋根上設置物を屋根上に取り付けるための取付具を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
従来技術について、図10及び図11で説明する。
【0003】
図10は、特許第5218641号公報にて公開されている屋根上の取付金具に関する技術である。この先行技術では、屋根上の取付金具が、左右一対の横向きの第一及び第二の上部板部が上下となって重なり合うと共に、左右一対の第一及び第二の下部板部の相対する第一及び第二の先端が屋根材の左右に配置され相互の開口部が対向するように配置される左右一対の第一及び第二の挟持部材を備えている。さらに、この第一及び第二の上部板部に上下向きの第一及び第二の貫通部を連通可能に形成し、これら第一及び第二の貫通部に直線状軸を貫通すると共に、直線状軸に雌螺子部材を緊諦して第一及び第二の上部板部を固定することで、第一及び第二の先端が屋根材の左右を挟着する屋根上の取付金具である。
【0004】
図11は、特開2017−48506号公報にて公開されている折板屋根用取付金具に関する技術である。この先行技術では、ハゼ部を左右両側から挟持する左右一対の挟持片を設ける。両挟持片を連結してハゼ部に固定する締付ボルトを設ける。ハゼ部に固定された両挟持片に保持される取付ボルトを設ける。挟持片を合成樹脂材にて被覆する。両挟持片の上面に装着する合成樹脂製のカバー体を設ける。カバー体を介して挟持片上に構造物を取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5218641号公報
【特許文献2】特開2017−48506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図10に示した先行技術では、屋根材の様々な形状に対応するために、その形状にあわせた左右一対の第一及び第二の挟持部材をそれぞれ準備する必要がある。そのようにしないと、取付金具が傾いて取り付けられてしまったり、上下にずれやすくなったり、しっかりと固定された状態にならない。
【0007】
図11に示した先行技術では、図10に示した先行技術同様、屋根材の様々な形状に対応するために、その形状にあわせた左右一対の挟持片をそれぞれ準備する必要がある。そのようにしないと、しっかりと固定された状態にならない。また、折板屋根用取付金具が傾いて取り付けられないように、合成樹脂製のカバー体を用いているので、部材点数が増え、製造コストが高くなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は、第一ピースと、第二ピースと、締付具を有する取付具である。第一ピースは、天板部と、天板部より下方に支持脚及び垂下部が形成されている。支持脚は、下端近傍に第一挟持部が形成されている。垂下部は、締付具保持部が形成されている。第二ピースは、断面略C字状であり、一端に連結部と、他端に第二挟持部が形成され、連結部と第二挟持部の間に長孔が形成されている。連結部によって第一ピースの外側に回動可能に連結されるとともに、第二挟持部が垂下部の下端近傍より第一ピースの内側に挿通されている。締付具は、第一ピースの締付具保持部に保持され、第二ピースの長孔に挿通され、第一ピース及び第二ピースに係合されている。取付具は、縦葺き屋根材の突条部の左右に支持脚及び垂下部が配置され、締付具が締め付けられると、第一挟持部と第二挟持部とが近接され、第一挟持部と第二挟持部によって縦葺き屋根材の突条部が挟持される。
【発明の効果】
【0009】
本願は、締付具の締め付け具合によって、屋根材の様々な形状に対応することができる。そのため、取付具が上下にずれにくく、しっかりと固定された状態になる。
【0010】
また、本願は、図11に示した先行技術に比べ、少ない部材点数で同様の効果を得ることができる。そのため、製造コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本願の取付具の実施例(実施例1)を示す説明図である。
図2】本願の取付具の第一ピースの実施例(実施例1)を示す説明図である。
図3】本願の取付具の第一ピースの実施例(実施例1)を示す説明図である。
図4】本願の取付具に組み合わされる他部材の実施例(実施例1)を示す説明図である。
図5】本願の取付具の第二ピースの実施例(実施例1)を示す説明図である。
図6】本願の取付具の実施例(実施例1)を示す説明図である。
図7】本願の取付具を縦葺き屋根材に固定した実施例(実施例1)を示す説明図である。
図8】本願の取付具に屋根上設置物を取り付けた実施例(実施例1)を示す説明図である。
図9】本願の取付具の実施例(実施例2)を示す説明図である。
図10】従来技術の説明図である。
図11】従来技術の説明図である。
【実施例】
【0012】
本願は、第一ピースT1と、第二ピースT2と、締付具T3を有する取付具Tである。そのほか、上方に向けて立設される取付ボルトT4、屋根上設置物Pを上部に取り付けるための押え具T5及びナットT6等を用いてもよい。
【0013】
本願の取付具Tは、縦葺き屋根上に、屋根上設置物Pを取り付けるのに用いられる。この縦葺き屋根とは、立平葺き、折板といった縦葺き屋根材Yが取り付けられた屋根を指す。縦葺き屋根材Yは、ハゼ等の突条部Y1が形成されている。本願の取付具Tは、この突条部Y1を第一ピースT1及び第二ピースT2で挟持することによって、固定される構造である。
【0014】
本願において、屋根上設置物Pとは、太陽光発電パネル、太陽熱集熱パネル、看板といったものを指す。このほか、屋根上設置物Pは、太陽光発電パネルを取り付けるために用いられる長尺材等も含む。
【0015】
図2及び図3は、第1ピースの実施例である。図2及び図3は、同じ実施例を異なる向きで示したものである。本実施例の第一ピースT1は、天板部T11が形成されている。本実施例の天板部T11は、上部に屋根上設置物Pを載置できるような平面である部分が形成されている。また、本実施例の天板部T11の略中央部に取付ボルト挿通孔T11aが形成されており、天板部T11の下面側(本実施例の第一ピースT1の内側)に取付ボルト保持部T11b・T11bが形成されている。この取付ボルト挿通孔T11aには下面側(本実施例の第一ピースT1の内側)から取付ボルトT4が挿通され、取付ボルト保持部T11b・T11bに取付ボルトT4の頭部T41が保持された状態になる構造である。このような構造にすることで、取付ボルトT4が落下しないように保持される上、取付ボルトT4に押え具T5が挿通され、ナットT6が締め付けられる際に、供回りしない構造になる。
【0016】
また、本実施例の第一ピースT1の天板部T11には、上面側(本実施例の第一ピースT1の外側)に他部材固定部T11c・T11cを形成させてもよい。この他部材固定部T11c・T11cには、上方に鋭利な突起を有するアース部材や、屋根上設置物Pの取付位置決め部材を他部材Eとして取り付けることができる。図4に示す実施例では、他部材Eは、取付ボルト挿通孔E1と、上方に鋭利な突起E2と、屋根上設置物Pの取付位置決め部E3とが形成されている。本実施例では、他部材Eの一対の対向する端縁が、第一ピースT1の他部材固定部T11c・T11cに組み合わせられている。
【0017】
他部材固定部T11c・T11cは、図2及び図3のようにスライド溝として形成させておいてもよい。その場合、他部材Eは、天板部T11上にスライド溝(他部材固定部T11c・T11c)に沿ってスライドされて組み合わせられる。そのあと、取付ボルトT4が他部材Eの取付ボルト挿通孔E1に挿通され、立設されることによって、他部材Eを所定の位置にしっかりと固定することができる。
【0018】
本願の第一ピースT1は、天板部T11より下方に支持脚T12及び垂下部T13が形成されている。すなわち、本実施例(実施例1)は、支持脚T12及び垂下部T13によって、天板部T11及びその上に載置される屋根上設置物Pが縦葺き屋根上に支持される構造である。
【0019】
本実施例の支持脚T12は、下端近傍(下端でもよい)に第一挟持部T12aが形成されている。この第一挟持部T12aは、第一ピースT1内側、斜め上方に延びるように形成されており、その先端が縦葺き屋根材Yの突条部Y1に当接されるようになっている。そのほか、本実施例の第一支持脚T12の下端には、外側向きの載置片T12bも形成されており、第一ピースT1が安定した状態で縦葺き屋根上に載置されるようになっている。
【0020】
本実施例の垂下部T13は、下端近傍(下端でもよい)に挿通部T13aが形成されている。挿通部T13aは、下端縁近傍の略中央部において、切り欠き、挿通孔といったかたちで開口される。この挿通部T13aは、第二ピースT2が回動されたときに、所定の範囲で可動である程度、開口されていればよい。このほか、本実施例の垂下部T13の下端には、フランジ状の載置片T13cが形成されており、第一ピースT1が安定した状態で縦葺き屋根材Y上に載置されるようになっている。
【0021】
図5は、第二ピースT2の実施例である。本実施例の第二ピースT2は、断面略C字状であり、一端に連結部T21と、他端に第二挟持部T22が形成されている。第二ピースT2は、この連結部T21によって、第一ピースT1の外側に形成されている被連結部T14に回動可能に連結される。そのとき、第二挟持部T22が第一ピースT1の内側に挿通部T13aから挿通されている。
【0022】
本実施例の連結部T21は、第一ピースT1において、第二支持脚T13の天板部T11近傍に形成された被連結部T14に組み合わされる。図6(a)及び(b)に示すように、連結された部分を軸に、第二挟持部T22が略円弧を描くように回動する。第二ピースT2は、断面略C字状であるため、第二挟持部T22は、縦葺き屋根材Yに取り付けられるときに、突条部Y1に対して、斜め下から当接される構造になっている。そのため、締付具T3が締め付けられると、第二挟持部T22の先端が縦葺き屋根材Yの突条部Y1に対して下から斜め上方向に強く押し当てられるので、取付具Tを上下にずれにくい状態に固定することができる。
【0023】
本実施例の第二挟持部T22は、連結部T21から略C字状に延びるように形成されている。図7に示すように、締付部材の締め具合によって、第一ピースT1の挿通部T13aから第二ピースT2の第二挟持部T22までの距離が異なる状態にできる。すなわち、締付具T3を締め付ければ締め付けるほど、第二挟持部T22が第一ピースT1の内側に入り込んだ状態になる構造になっている。そのため、本実施例の取付具Tは、図7(a)〜(d)に示すような縦葺き屋根材Yが様々な突条部Y2形状であっても取り付けることができる。
【0024】
本実施例の締付具T3は、ボルトT31及びナットT32である。この締付具T3は、第一ピースT1の締付具保持部T13dに保持され、第二ピースT2の長孔T23に挿通され、第一ピースT1及び第二ピースT2に係合されている。本実施例では、第一ピースT1の垂下部T13に締付具挿通孔T13bが形成されており、内側からボルトT31が外側に向けて挿通され、ボルトT31の頭部が締付具保持部T13dで保持される構造になっている。一方、第二ピースT2には、長孔T23が形成されている。本実施例の長孔T23は、短径がナットT32より小さく設定されている。そのため、第二ピースT2の外側からナットT32が締め付けられると、ナットT32の座面によって、第二ピースT2が押圧される構造になっている。
【0025】
本実施例の取付具Tは、縦葺き屋根材Yの突条部Y1の左右に支持脚T12及び垂下部T13が配置され、縦葺き屋根材Y上に載置される。そして、締付具T3が締め付けられると、第一挟持部T12aと第二挟持部T22とが近接される。この第一挟持部T12aと第二挟持部T22によって縦葺き屋根材Yの突条部Y1が挟持されることによって、本実施例の取付具Tが、縦葺き屋根材Yに固定される。
【0026】
本実施例は、縦葺き屋根材Yに固定された取付具Tにおいて、天板部T11上の所定の位置に、屋根上設置物Pが載置される。このとき、図4に示したような他部材Eを用いてもよい。本実施例のような他部材Eが用いられることによって、取付位置決め部E3に屋根上設置物Pを当接させるだけで容易に所定の位置になる。また、それと同時に突起E2・E2・E2・E2が屋根上設置物P・Pに刺さる。屋根上設置物Pが太陽光発電パネルである場合、隣り合う太陽光発電パネル同士が載置されるだけで、他部材Eによってアース接続された状態になる。
【0027】
その後、天板部T11より立設されている取付ボルトT4に、取付ボルト挿通孔T51を有する押え具T5が挿通される。このとき、押え具T5の底面が屋根上設置物P上に当接される。その上からナットT6が締め付けられることによって、屋根上設置物Pが押え具T5と取付具Tの天板部T11とで上下に挟まれることによって固定される構造である。
【0028】
図9は、図1から図8までとは異なる形状の実施例(実施例2)である。本実施例は、垂下部T13の外側に、締付具保持部T13dが形成されている。この締付具保持部T13dには、ボルトT31の頭部が嵌められ、保持・回り止めされる。このボルトT31にナットT32が締め付けられ、第2ピースT2の第二挟持部T22が図9(a)及び(b)に示すように回動する。このとき、第2ピースT2の第二挟持部T22は、垂下部T13の下端の下より第一ピースT1の内側に挿通されている。
【0029】
本実施例(実施例2)は、第一支持脚T12と第二ピースT2で、屋根上設置物Pを支える構成になっている。本実施例では、第二挟持部T22は、連結部T21から略C字状に延びるように形成されている。そのため、支持脚T12と、断面略C字状の第二ピースT2で屋根上設置物Pを支える構造なので、締付具T3の締め付け具合、いいかえれば、第二挟持部T22の位置の影響が少なく、屋根上設置物Pを安定した状態で支えることができる。
【符号の説明】
【0030】
T 取付具
T1 第一ピース
T11 天板部
T11a 取付ボルト挿通孔
T11b 取付ボルト保持部
T11c 他部材固定部
T12 支持脚
T12a 第一挟持部
T12b 載置片
T13 垂下部
T13a 挿通部
T13b 締付具挿通孔
T13c 載置片
T13d 締付具保持部
T14 被連結部
T2 第二ピース
T21 連結部
T22 第二挟持部
T23 長孔
T3 締付具
T31 ボルト
T32 ナット
T4 取付ボルト
T41 頭部
T5 押え具
T51 取付ボルト挿通孔
T6 ナット
P 屋根上設置物
Y 縦葺き屋根材
Y1 突条部
E 他部材
E1 取付ボルト挿通孔
E2 突起
E3 取付位置決め部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11