特許第6856863号(P6856863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6856863バーチャル・リアリティー・ヘッドマウント装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856863
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】バーチャル・リアリティー・ヘッドマウント装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20210405BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20210405BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20210405BHJP
【FI】
   G06F3/01 510
   G02B27/02 Z
   G06F3/0346 423
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-546360(P2019-546360)
(86)(22)【出願日】2018年2月26日
(65)【公表番号】特表2020-514887(P2020-514887A)
(43)【公表日】2020年5月21日
(86)【国際出願番号】CN2018077285
(87)【国際公開番号】WO2018153371
(87)【国際公開日】20180830
【審査請求日】2019年10月1日
(31)【優先権主張番号】201710109486.6
(32)【優先日】2017年2月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520015461
【氏名又は名称】アドバンスド ニュー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】チャン ホン
【審査官】 岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−121254(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/150747(WO,A1)
【文献】 特開平11−249588(JP,A)
【文献】 独国実用新案第202016104179(DE,U1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0169730(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
A61B 3/00− 3/18
G02B 27/00−30/60
G09G 5/00− 5/40
H04N 5/64− 5/655
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーチャル・リアリティー・ヘッドマウント装置であって、
凸レンズを設けられた本体と、
前記本体に設けられた、カメラ、および赤外光を反射するための部分反射部分透過レンズとを備え、前記部分反射部分透過レンズは、前記凸レンズの、ユーザにより近い側に位置し、前記部分反射部分透過レンズのレンズ表面は、前記ユーザの眼の赤外線画像を前記カメラに向けて斜めに反射するように斜めに配設され
前記部分反射部分透過レンズは、斜めに配設された上側レンズ構造および下側レンズ構造を含み、前記上側レンズ構造および前記下側レンズ構造の接合部は前記ユーザに面し、前記本体には第1のカメラおよび第2のカメラが設けられ、前記第1のカメラは前記本体の頂部に位置し、前記第1のカメラのレンズは、前記上側レンズ構造に対応して斜めに下向きに配設され、前記第2のカメラは前記本体の底部に位置し、前記第2のカメラのレンズは、前記下側レンズ構造に対応して斜めに上向きに配設される、装置。
【請求項2】
前記部分反射部分透過レンズは、可視光に対する高い透過率、および赤外光に対する低い透過率を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記部分反射部分透過レンズは赤外線ダイクロイック・ミラーを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記カメラは、前記ユーザに対し、前記凸レンズの可視エリア外に位置する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記部分反射部分透過レンズはプレート形状を有し、前記部分反射部分透過レンズの前記レンズ表面は上向きに傾けられ、前記カメラは前記本体の頂部に位置し、前記カメラのレンズは、斜めに下向きに配設される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記部分反射部分透過レンズはプレート形状を有し、前記部分反射部分透過レンズの前記レンズ表面は下向きに傾けられ、前記カメラは前記本体の底部に位置し、前記カメラのレンズは、斜めに上向きに配設される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記上側レンズ構造および前記下側レンズ構造は、水平面に対して対称である、請求項に記載の装置。
【請求項8】
保護フレームを更に備え、前記保護フレームは、前記部分反射部分透過レンズおよび前記凸レンズを収容し、固定するために、前記部分反射部分透過レンズおよび前記凸レンズに適合された収容空間を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
調整コンポーネントを更に備え、前記調整コンポーネントは、前記カメラのレンズが、前記部分反射部分透過レンズにおいて形成される前記眼の前記赤外線画像のバーチャル画像に向かったままにされるように、前記カメラの上で角度調節を行う、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、バーチャル・リアリティーの技術分野に関し、特に、バーチャル・リアリティー・ヘッドマウント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バーチャル・リアリティー(VR)技術は、コンピュータ上で対話型の3次元インタラクション環境を生成してユーザに没入型の体験を提供するために、コンピュータ・グラフィック・システムおよび様々な制御インタフェースを総合的に利用する技術である。関連技術において、ユーザは、対応するVR体験を得るために、VRメガネ、VRヘルメット、または別のVR装置等のVRヘッドマウント装置を装着することができる。
【0003】
VRシナリオの独特の特性に起因して、モバイル・フォンまたはPC等の従来の電子デバイスのための技術的解決策は、VRシナリオに適用可能でない場合がある。例えば、VR装置を装着しているユーザの眼の赤外線画像を取得するには、VR装置内の構造的制限に起因して、従来の方法のための画像取得条件は、満たすことが難しい場合があり、結果として、生体認証、視線追跡等のような対応するタスクの完了に成功するのが困難となる。
【発明の概要】
【0004】
これらの制限に鑑みて、本出願は、ユーザの眼の赤外線画像の取得精度を改善することができるVRヘッドマウント装置を提供する。
【0005】
上述した目的を達成するために、本出願は、以下の技術的解決策を提供する。
【0006】
本出願の第1の態様によれば、VRヘッドマウント装置が提供され、このVRヘッドマウント装置は、
凸レンズを設けられた本体と、
本体に設けられた、カメラ、および赤外光を反射するための部分反射部分透過レンズとを備え、部分反射部分透過レンズは、凸レンズの、ユーザにより近い側に位置し、部分反射部分透過レンズのレンズ表面は、ユーザの眼の赤外線画像をカメラに向けて斜めに反射するように斜めに配設される。
【0007】
任意選択で、部分反射部分透過レンズは、可視光に対する高い透過率、および赤外光に対する低い透過率を有する。
【0008】
任意選択で、部分反射部分透過レンズは赤外線ダイクロイック・ミラーを含む。
【0009】
任意選択で、カメラは、ユーザに対し、凸レンズの可視エリア外に位置する。
【0010】
任意選択で、部分反射部分透過レンズはプレート形状を有し、部分反射部分透過レンズのレンズ表面は上向きに傾けられ、カメラは本体の頂部に位置し、カメラのレンズは、斜めに下向きに配設される。
【0011】
任意選択で、部分反射部分透過レンズはプレート形状を有し、部分反射部分透過レンズのレンズ表面は下向きに傾けられ、カメラは本体の底部に位置し、カメラのレンズは、斜めに上向きに配設される。
【0012】
任意選択で、部分反射部分透過レンズは、斜めに配設された上側レンズ構造および下側レンズ構造を含み、上側レンズ構造および下側レンズ構造の接合部はユーザに面し、本体には第1のカメラおよび第2のカメラが設けられ、第1のカメラは本体の頂部に位置し、第1のカメラのレンズは、上側レンズ構造に対応して斜めに下向きに配設され、第2のカメラは本体の底部に位置し、第2のカメラのレンズは、下側レンズ構造に対応して斜めに上向きに配設される。
【0013】
任意選択で、上側レンズ構造および下側レンズ構造は、水平面に対して対称である。
【0014】
任意選択で、装置は、
保護フレームを更に備え、保護フレームは、部分反射部分透過レンズおよび凸レンズを収容し、固定するために、部分反射部分透過レンズおよび凸レンズに適合された収容空間を形成する。
【0015】
任意選択で、装置は、
調整コンポーネントを更に備え、調整コンポーネントは、カメラのレンズが、部分反射部分透過レンズにおいて形成される眼の赤外線画像のバーチャル画像に向かったままにされるように、カメラの上で角度調節を行う。
【0016】
上記の技術的解決策から見て取ることができるように、本出願において、部分反射部分透過レンズがVRヘッドマウント装置に設けられ、部分反射部分透過レンズのレンズ表面が斜めに配設される。ユーザがVR表示コンテンツを見るのと干渉することなく、ユーザの眼の赤外線画像を斜めに反射することによって、眼の赤外線画像の取得中のカメラの偏角を低減することができ、これにより、眼の赤外線画像の変形および歪みが低減され、眼の赤外線画像の取得精度を改善するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本出願の第1の例示的な実施形態によって提供されるVRヘルメットの側断面図である。
図2】本出願の第2の例示的な実施形態によって提供されるVRヘルメットの側断面図である。
図3】本出願の第3の例示的な実施形態によって提供されるVRヘルメットの側断面図である。
図4】本出願の第4の例示的な実施形態によって提供されるVRヘルメットの側断面図である。
図5】本出願の第4の例示的な実施形態によって提供されるVRヘルメットの側断面図である。
図6】本出願の第4の例示的な実施形態によって提供されるVRヘルメットの側断面図である。
図7】本出願の例示的な実施形態によって提供されるカメラの角度の制御の概略図である。
図8】本出願の例示的な実施形態によって提供される保護フレームを通じた部分反射部分透過レンズおよび凸レンズの提供の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本出願を更に説明するために、以下の実施形態は、本出願のVRヘッドマウント装置の関連構造を紹介するためにVRヘルメットを例として用いて提供される。
【0019】
図1は、本出願の例示的な実施形態によって提供されるVRヘルメットの側断面図である。図1に示すように、VRヘルメットは、本体1を含むことができ、本体1には、凸レンズ2およびVR再生コンポーネント5が設けられる。更に、本体1には、赤外光を反射するための部分反射部分透過レンズ3が更に設けられる。部分反射部分透過レンズ3は、凸レンズ2のユーザにより近い側に位置する(すなわち、部分反射部分透過レンズ3は、凸レンズ2とユーザの眼6との間に位置する)。部分反射部分透過レンズ3は、(赤外光と比較して)可視光に対し高い透過率を有し、(可視光と比較して)赤外光に対し低い透過率を有するため、VR再生コンポーネント5によって再生されるVR表示コンテンツは、可視光S1の形態で、ほとんど影響を受けずに部分反射部分透過レンズ3を通過し、ユーザの眼6は、VR表示コンテンツを見るために可視光S1を受けるのに対し、ユーザの眼6から放出される赤外光S2は、部分反射部分透過レンズ3によって大部分がまたはほぼ完全に反射される。対応する反射された赤外光S2’は、本体1に設けられたカメラ4によって取得され、眼6の赤外線画像は、視線追跡および虹彩認識等の機能を達成するために、反射された赤外光S2’から形成することができる。
【0020】
より具体的には、部分反射部分透過レンズ3のレンズ表面30は、斜めに配設され、部分反射部分透過レンズ3およびカメラ4の位置は互いに対応し、それによって、部分反射部分透過レンズ3のレンズ表面30が、眼6の赤外線画像に対応する赤外光S2をカメラ4に向けて斜めに反射することができる。例えば、図1に示す実施形態において、カメラ4は、ユーザ側(すなわち、図1における左側)に近い本体1の下縁に位置することができ、カメラ4のレンズは、上述した反射された赤外光S2’を取得するために、部分反射部分透過レンズ3に向かって内側を向く。次に、カメラ4と赤外光S2との間の角度がαに維持されると仮定すると、部分反射部分透過レンズ3のレンズ表面30は、反射された赤外光S2’を形成するようにカメラ4に向かって赤外光S2を反射するように斜めに配設されるため、カメラ4と反射された赤外光S2’との間の角度βは、上述した角度αよりも必然的に小さい。このため、カメラ4によって取得された眼の赤外線画像の生じ得る変形および歪みを低減することができ、これは、眼6の赤外線画像の取得精度を改善し、虹彩認識および視線追跡等の後続の処理の精度および正確さを更に改善するのに役立つ。
【0021】
更に、ユーザの眼6は凸レンズ2よりも小さい傾向にあるため、眼6と凸レンズ2との間に形成される可視エリアは、図1に示すような台形形状を有する場合があり(断面は台形であるが、実際には、凸レンズ2は丸いため、可視エリアに対応する3D形状はほぼ円錐である)、本体1の上面および底面は平坦である。次に、カメラ4が本体1の底面の縁部内に位置する例では、カメラが凸レンズ2に近づくように動くにつれ、カメラ4の設置スペースが小さくなり、カメラが眼6に近づくように動くにつれ、カメラ4の設置スペースが大きくなることが明らかである。このため、カメラ4の設置位置が(例えば、図1に示す実施形態において)眼6に近いとき、(例えば、反射された赤外光S2’とより平行にするために)カメラ4の設置角度を調整し、上述した角度βを低減するために、(カメラ4の設置位置が凸レンズ2に近い状況と比較して)より大きな設置スペースを得ることができ、それによって、眼6の赤外線画像についてのカメラ4の取得精度が改善する。
【0022】
本出願の技術的解決策は、任意のタイプのVRヘッドマウント装置に適用することができることに留意するべきである。例えば、図1に示すように、VRヘルメットは、統合されたスタイルのVRヘッドマウント装置とすることができ、すなわち、VRヘルメットは、外部装置に頼ることなくVR再生機能を独立して実施することができる。VR再生コンポーネント5は、VR表示コンテンツのレンダリングおよび表示等の再生機能を実施するためにVRヘルメットに予め内蔵される。代替的に、VRヘルメットは、分割スタイルのVRヘッドマウント装置であってもよい。例えば、VRヘルメット装置がモバイル・フォンまたはタブレット等のモバイル装置とペアリングされるとき、VR再生コンポーネント5は、VRヘルメットに設置されたモバイル装置を含むことができ、モバイル装置は、プロセッサ、グラフィック・カード・チップ等を通じてレンダリングを実施することができ、スクリーン・コンポーネントを通じてコンテンツ表示を行うことができる。別の例として、VRヘルメットがPCホスト、ゲーム・コンソールまたは別の外部装置とペアリングされているとき、VR再生コンポーネント5は、VRヘルメットに内蔵された表示コンポーネントとすることができ、上述した外部装置が、VR表示コンテンツ等をレンダリングするのに用いられる。
【0023】
本出願の技術的解決策において、赤外光を反射するための部分反射部分透過レンズ3は、赤外スペクトルについて低い透過率を有し、可視光等の他のスペクトルについて高い透過率を有するレンズを指す。低透過率の赤外スペクトルを可能な限りブロックすることによって、部分反射部分透過レンズ3は、赤外スペクトルを反射する。すなわち、「部分反射」である。一方、高透過率の可視光等の他のスペクトルは、部分反射部分透過レンズ3を通じて可能な限り透過することができ、それによって、可視光等の他のスペクトルに対する部分反射部分透過レンズ3’のブロックまたは影響を最小限にすることができる。すなわち、「部分透過」である。
【0024】
例えば、赤外光を反射するための上述した部分反射部分透過レンズ3は、可視スペクトルをほぼ完全に透過することができ、赤外スペクトルをほぼ完全に反射することができるようになっている、赤外線ダイクロイック・ミラーとすることができる。特に、或る場合には、TiO2−Ag−TiO2赤外線反射性フィルム、またはZnS−Ag−ZnS赤外線反射性フィルム等の赤外線反射性フィルムを、赤外線ダイクロイック・ミラーを形成するために、可視光について高い透過率を有する(可視スペクトルをほぼ完全に透過することができる)光レンズの表面上にコーティングすることができる。別の場合には、赤外線ダイクロイック・ミラーを形成するために、上述した赤外線反射性フィルムにおける材料または類似の調整材料に完全に基づいてレンズを作製することができる。
【0025】
上記の技術的解決策から見て取ることができるように、本出願において、部分反射部分透過レンズ3がVRヘッドマウント装置に設けられ、部分反射部分透過レンズ3のレンズ表面30が斜めに配設される。ユーザがVR表示コンテンツを見るのと干渉することなく、ユーザの眼の赤外線画像は斜めに反射され、眼の赤外線画像の取得中のカメラ4の偏角を低減することができ、これにより、眼の赤外線画像の変形および歪みが低減され、眼の赤外線画像の取得精度を改善するのに役立つ。
【0026】
本出願の技術的解決策において、部分反射部分透過レンズ3が図1に示すようなプレート形状を有するとき、レンズ3は全体として、図1に示すように斜めに配置することができる。他の実施形態において、レンズ表面30は、他の方式で傾けることができる。例えば、図2に示すように、部分反射部分透過レンズ3が楔形の断面を有するとき、部分反射部分透過レンズ3の底面は垂直方向にあり、レンズ表面30は傾けられ、それによって、部分反射部分透過レンズ3の設置角度が繰り返し調整される必要がないため、部分反射部分透過レンズ3の設置難易度を低減するのに役立つ。
【0027】
人間の眼の構造的特性に起因して、図1または図2に示す実施形態が利用されるとき、すなわち、部分反射部分透過レンズ3のレンズ表面30が下向きに傾けられるとき、カメラ4は、本体1の底部に位置し、カメラ4のレンズは斜めに上向きに配設され、同じ条件下でユーザの眼6の赤外線画像をより完全に、明確にかつ精密に取得することができる。確かに、図3に示す実施形態が利用される場合、すなわち、部分反射部分透過レンズ3のレンズ表面30が上向きに傾けられる場合、カメラ4が本体1の頂部に位置し、カメラ4のレンズは斜めに下向きに配設され、眼6の赤外線画像も得ることができる。
【0028】
図4は、本出願の例示的な実施形態によって提供されるVRヘルメットの側断面図である。図4に示すように、図1図3に示す上述したプレート構造に加えて、部分反射部分透過レンズ3は他の構造を有する場合がある。例えば、図4における部分反射部分透過レンズ3は、斜めに配設された上側レンズ構造3Aおよび下側レンズ構造3Bを含むことができ、上側レンズ構造3Aおよび下側レンズ構造3Bの接合部は、ユーザに面する(すなわち、図4に示す実施形態において、上側レンズ構造3Aは下側部分が左方向に傾き、上側部分が右方向に傾き、下側レンズ構造3Bは上側部分が左方向に傾き、下側部分が右方向に傾く)。
【0029】
一方、本体1には第1のカメラ4Aおよび第2のカメラ4Bが設けられる。第1のカメラ4Aは、本体1の頂部に位置し、第1のカメラ4Aのレンズは、上側レンズ構造3Aに対応して斜めに下向きに配設され、第2のカメラ4Bは、本体1の底部に位置し、第2のカメラ4Bのレンズは、下側レンズ構造3Bに対応して斜めに上向きに配設される。
【0030】
実際に、VR装置を装着しているユーザは、頭部、顔および眼等の形質に関して異なる形状およびサイズを有する場合があり、VR装置は製造者によって均一に製造されるため、眼6と部分反射部分透過レンズ3との間の位置関係は、同じVR装置を装着する異なるユーザについて異なる場合がある。例えば、眼6は、図1図3に示すように本体1の中央位置に厳密に位置しない場合があり、その結果、カメラ4がユーザの眼の赤外線画像を完全に取得することができない場合がある。
【0031】
次に、上述した潜在的問題に対処するために、本出願は、図4に示すような実施形態を通じて、ユーザの眼に生じる場合がある上方向のシフトまたは下方向のシフト等の位置変化にかかわらず、ユーザの眼の赤外線画像を、第1のカメラ4Aおよび第2のカメラ4Bによって完全に取得することができることを確実にすることができる。
【0032】
例えば、眼6が本体1の中央位置の付近に位置するとき、眼6の赤外線画像の上側領域は、第1の赤外線S21に対応し、下側領域は、第2の赤外線S22に対応する。第1の赤外線S21は、上側レンズ構造3Aの上側レンズ表面30Aによって反射され、第1の反射赤外線S21’を形成することができ、これを第1のカメラ4Aによって取得することができる。第2の赤外線S22は、下側レンズ構造3Bの下側レンズ表面30Bによって反射され、第2の反射赤外線S22’を形成することができ、これを第2のカメラ4Bによって取得することができる。次に、第1の反射赤外線S21’および第2の反射赤外線S22’を組み合わせて、眼6の赤外線画像を得ることができる。
【0033】
別の例として、図5に示されるように眼6が上向きにシフトされるとき、第1の赤外線S21および第2の赤外線S22は共に、上側レンズ構造3Aに向けて発せられ、上側レンズ構造3Aの上側レンズ表面30Aによって反射されて、第1の反射赤外線S21’および第2の反射赤外線S22’を形成することができる。第1のカメラ4Aは、第1の反射赤外線S21’および第2の反射赤外線S22’を取得することができ、これらを結合して眼6の赤外線画像を形成することができる。
【0034】
別の例として、図6に示されるように眼6が下向きにシフトされるとき、第1の赤外線S21および第2の赤外線S22は共に、下側レンズ構造3Bに向けて発せられ、下側レンズ構造3Bの下側レンズ表面30Bによって反射されて、第1の反射赤外線S21’および第2の反射赤外線S22’を得ることができる。第2のカメラ4Bは、第1の反射赤外線S21’および第2の反射赤外線S22’を取得することができ、これらを結合して眼6の赤外線画像を形成することができる。
【0035】
1つの実施形態において、図4図6に示す部分反射部分透過レンズ3の上側レンズ構造3Aおよび下側レンズ構造3Bは、水平面に対し対称とすることができ、それによって、上側レンズ構造3Aおよび下側レンズ構造3Bは、同じまたは類似の構造強度および安定性を有し、部分反射部分透過レンズ3は、より良好な全体安定性を有する。確実に、別の実施形態において、上側レンズ構造3Aおよび下側レンズ構造3Bは、非対称構造を有する場合もある。例えば、ほとんどの場合、眼の赤外線画像の取得のために、より大きな下側レンズ構造3Bが利用され、ユーザの眼6が上向きにシフトされる稀な場合には、眼の赤外線画像の取得のために、より小さな上側レンズ構造3Aが利用される。
【0036】
確実に、図4図6における実施形態に示すように、様々なユーザに適合するように特殊な形状を有する部分反射部分透過レンズ3を用いることに加えて、本出願は、他の処理方法も提供する。例えば、図7に示すように、本出願のVRヘッドマウント装置は、調整コンポーネント7を更に含むことができる。調整コンポーネント7は、カメラ4のレンズが、部分反射部分透過レンズ3において形成される眼の赤外線画像のバーチャル画像に向かったままにされるように、カメラ4上で角度調節を行うように各カメラ4に電気的に接続され、それによって、眼の完全で、明確かつ精密な赤外線画像が得られる。
【0037】
加えて、本出願の技術的解決策において、図1に示すような関連技術と比較して部分反射部分透過レンズ3が追加されるため、本出願のVRヘッドマウント装置は、図8に示すような保護フレーム8を更に含むことができる。保護フレーム8は、部分反射部分透過レンズ3および凸レンズ2を収容し固定するために、部分反射部分透過レンズ3および凸レンズ2に適合された収容空間を形成することができ、それによって構造上の統合性および安定性を改善する。
【0038】
用語「含む」、「備える」、または任意の他の派生形は、非排他的な包含をカバーすることを意図することにも留意するべきである。したがって、一連の要素を含むプロセス、方法、物品、またはデバイスは、これらの要素を含むだけでなく、明記されていないその他の要素をも含むか、または、そのプロセス、方法、物品、デバイスに固有な要素をも含む。更なる制限がなければ、「1つの〜を含む(include one…)」というフレーズによって定義される要素は、その要素を含むプロセス、方法、物品、またはデバイスにおける他の同じ要素を除外するものではない。
【0039】
ここで、例示的な実施形態を詳細に参照する。例示的な実施形態の例は、添付の図面に示されている。上記の説明は添付の図面を参照し、添付の図面において、別段の指定がない限り、異なる図面における同一の番号は、同一または同様の要素を表す。例示的な実施形態の上記の説明において示される実施態様は、本出願に一致する全ての実施態様を表しているわけではない。そうではなく、これらの実施態様は、添付の特許請求の範囲に記載されるような本出願に関連する態様に一致する装置および方法の例にすぎない。
【0040】
本出願において用いられる用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのみのものであり、本開示を制限することは意図されていない。文脈上そうでないと明示的に示されない限り、本出願および添付の特許請求の範囲において用いられる単数形の「一」、「上記」および「前記」は、複数形を含むと解釈されるべきである。また、本明細書において用いられる「および/または」という用語は、1つまたは複数の関連する記載項目のありとあらゆる可能な組み合わせを表し、含む。
【0041】
第1、第2および第3等の用語が、本明細書において様々な情報を説明するのに用いられる場合があるが、そのような情報は、これらの用語に限定されるべきではないことが理解されるべきである。これらの用語は、互いに同一の種類の情報を区別するためにのみ用いられる。例えば、本出願の範囲内で、第1の情報は、第2の情報と呼ばれる場合もあり、同様に、第2の情報は、第1の情報と呼ばれる場合もある。文脈に応じて、本明細書において用いられる「場合」という語は、「〜のとき」、または「〜の際」または「判断に応答して」と解釈される場合がある。
【0042】
上述した実施形態は、本出願の例示的な実施形態にすぎず、本出願を制限することを意図したものではない。本開示の趣旨および原則から逸脱することなく行われるあらゆる修正、同等の置き換えまたは改善は、本出願の保護範囲内にあるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8