(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、走行用モータで駆動輪を駆動させる車両(EV)や、走行用モータとエンジンとを組み合わせて車両の駆動力を得るようにしたハイブリッド車両が開発され、実用化が進んでいる。ハイブリッド車両としては、発電機をエンジンにより駆動させて発電し、走行用モータに給電を行うバッテリを充電する車両(HEV)だけでなく、バッテリを外部の商用電源でも充電可能な車両(PHEV)の開発、実用化が進んでいる。
【0003】
このような電動車両では、例えば、アクセルペダルを離して減速走行している時や惰性走行している時には、駆動輪からのエネルギーを受けて走行用モータが回転し、電気エネルギーを発生させて所定のブレーキ力(回生ブレーキ力)が得られるようになっている。そして、摩擦係数が低い路面(低いμ路)を走行する場合に、回生ブレーキ力を小さくして駆動輪(車輪)のスリップを防止するようにしている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1の技術では、路面の摩擦係数(路面μ)に応じて回生ブレーキ力を制御しているので、運転者に違和感を与えることなく走行安定性を向上させることができる。しかし、運転者が目標の回生ブレーキ力を設定している場合、路面μの状況に応じて回生ブレーキ力を制御すると、走行安定性を向上させることはできるものの、運転者が設定した(期待した)ブレーキ力(回生ブレーキ力)とは異なるブレーキ力で電動車両が走行することになり、運転者に違和感を与える虞があった。
【発明の概要】
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、路面の摩擦係数(路面μ)の状況に応じて、回生ブレーキ力の制御の状況を運転者に認識させることができる電動車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の電動車両は、バッテリから電力が供給され、駆動輪に駆動力を伝える走行用モータを備えた電動車両において、運転者が期待して設定するブレーキ力を、前記駆動輪の目標回生ブレーキ力として設定する目標回生ブレーキ力設定手段と、走行中における前記駆動輪の実際の回生ブレーキ力を導出する実回生ブレーキ力導出手段と、前記目標回生ブレーキ力設定手段で設定された目標回生ブレーキ力、及び、前記実回生ブレーキ力導出手段で導出された実回生ブレーキ力を同時に表示する表示手段とを備え、前記表示手段の表示部位は、上側から下側に向けて表示部の幅が漸次狭くされ、下側に向かい回生量が小さくなっていることを示して
おり、前記目標回生ブレーキ力設定手段で設定された前記目標回生ブレーキ力、及び、前記実回生ブレーキ力導出手段で導出された前記実回生ブレーキ力を比較する比較手段を備え、前記目標回生ブレーキ力設定手段は、複数の強さのブレーキ力から任意の強さのブレーキ力が設定される手段であり、前記目標回生ブレーキ力に対して前記実回生ブレーキ力が小さい場合、前記比較手段で比較された前記目標回生ブレーキ力と前記実回生ブレーキ力の差に応じて、設定される目標回生ブレーキ力を、複数のブレーキ力の中から現在のブレーキ力よりも弱い側のブレーキ力に変更することを特徴とする。
また、上記目的を達成するための請求項2に係る本発明の電動車両は、バッテリから電力が供給され、駆動輪に駆動力を伝える走行用モータを備えた電動車両において、運転者が期待して設定するブレーキ力を、前記駆動輪の目標回生ブレーキ力として設定する目標回生ブレーキ力設定手段と、走行中における前記駆動輪の実際の回生ブレーキ力を導出する実回生ブレーキ力導出手段と、前記目標回生ブレーキ力設定手段で設定された目標回生ブレーキ力、及び、前記実回生ブレーキ力導出手段で導出された実回生ブレーキ力を同時に表示する表示手段とを備え、前記表示手段の表示部位は、ブレーキ力の目盛りが下側から上側に向けて複数段階で設定され、上側に向かいブレーキ力が強くなっていることを示して
おり、前記目標回生ブレーキ力設定手段で設定された前記目標回生ブレーキ力、及び、前記実回生ブレーキ力導出手段で導出された前記実回生ブレーキ力を比較する比較手段を備え、前記目標回生ブレーキ力設定手段は、複数の強さのブレーキ力から任意の強さのブレーキ力が設定される手段であり、前記目標回生ブレーキ力に対して前記実回生ブレーキ力が小さい場合、前記比較手段で比較された前記目標回生ブレーキ力と前記実回生ブレーキ力の差に応じて、設定される目標回生ブレーキ力を、複数のブレーキ力の中から現在のブレーキ力よりも弱い側のブレーキ力に変更することを特徴とする。
【0008】
請求項1、請求項2に係る本発明では、目標回生ブレーキ力設定手段で設定された目標回生ブレーキ力と、実回生ブレーキ力導出手段で導出された実回生ブレーキ力とが表示手段に同時に表示される。これにより、目標回生ブレーキ力に対して実回生ブレーキ力が一致してないときに、運転者は、一致していないことを目視により認識することができる。
そして、目標回生ブレーキ力となる車速である基準車速の値と実回生ブレーキ力となる駆動輪の回転速度の値とを比較手段で比較し、所定以上の差が生じた時に、例えば、基準車速に対して駆動輪の回転速度が速い状態の時に、スリップが生じていると判断し、目標回生ブレーキ力(基準車速)と実回生ブレーキ力(駆動輪の回転速度)が一致していないとされて、現在のブレーキ力よりも弱い側のブレーキ力に目標回生ブレーキ力が変更され、弱いブレーキ力の目標回生ブレーキ力に回生ブレーキ力を追従させる制御に移行する。これにより、路面の摩擦係数に拘わらず走行安定性を維持することができる。
【0009】
従って、路面の摩擦係数(路面μ)の状況に応じて、回生ブレーキ力の制御の状況を運転者に認識させることが可能になる。
【0010】
そして、
請求項3に係る本発明の電動車両は、請求項1もしくは請求項2に記載の電動車両において、前記表示手段は、目標回生ブレーキ力と実回生ブレーキ力の大きさ表示を重ねて表示し、
前記目標回生ブレーキ力の大きさと、前記実回生ブレーキ力の大きさとの差の部位を、差がない部分に対して異なる色で表示することを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る本発明では、目標回生ブレーキ力と実回生ブレーキ力の大きさ表示の差の部位を異なる色で表示するので、異なる色の大きさの表示があった際に、目標回生ブレーキ力と実回生ブレーキ力に差が生あることを、一目で確認することができる。この場合、異なる色の部位を点滅させたり、注意を喚起する印を表示させたりすることが可能である。
【0012】
また、
請求項4に係る本発明の電動車両は、請求項1
から請求項3のいずれか一項に記載の電動車両において、前記駆動輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段を備え、前記実回生ブレーキ力導出手段は、前記車輪速度検出手段で検出された前記駆動輪の回転速度により
前記実回生ブレーキ力を求める手段であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る本発明では、車輪速度検出手段で駆動輪の回転速度を検出することで実回生ブレーキ力を求めることができる。
【0016】
比較手段では、駆動輪の回転速度の変化率、基準車速の変化率、もしくは、加速度センサーの情報を用いて減速度合いを比較し、目標回生ブレーキ力と実回生ブレーキ力の比較を行うことも可能である。また、車輪速度検出手段として、例えば、走行用モータの出力軸の回転速度を検出して車速を求める車速検出手段を適用することができる。また、車速の値と駆動輪の回転速度の値とに所定以上の差が生じた時に、路面の摩擦係数を計測する手段により、実際の路面の摩擦係数を把握し、スリップが生じていることを確認することも可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電動車両は、路面の摩擦係数(路面μ)の状況に応じて、回生ブレーキ力の制御の状況を運転者に認識させることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1、
図2に基づいて電動車両の構成を説明する。
図1には本発明の一実施例に係る電動車両の全体の概略構成、
図2には本発明の一実施例に係る電動車両のコンビネーションメーター装置の一例を示してある。
【0020】
図1に示すように、電動車両(車両)1には、駆動輪2に動力を伝える走行用モータ3が備えられている。尚、図には駆動輪2を2つ示してあるが、4輪の全てが駆動輪となる車両に対しても、同様に走行用モータ3から動力を伝えることができる。走行用モータ3の駆動力は図示しない動力伝達機構を介して駆動輪2に伝達される。走行用モータ3にはインバータ等を介してバッテリ4が接続されている。乗員のアクセルペダル5の操作に応じた電力が、バッテリ4から走行用モータ3に供給される。
【0021】
走行用モータ3の出力軸には車速センサー11が備えられ、アクセルペダル5にはアクセルスイッチ12が備えられている。また、駆動輪2の車輪速度を検出する車輪速度検出手段としての車輪速度センサー13が駆動輪2の回転軸にそれぞれ備えられている。また、ハンドル14には、複数の強さのブレーキ力から任意の強さの回生ブレーキ力を選択する選択スイッチ15が備えられている。
【0022】
車速センサー11の検出情報、アクセルスイッチ12の検出情報、車輪速度センサー13の検出情報、選択スイッチ15で選択された回生ブレーキ力の強さの要求情報は、制御装置16に入力される。
【0023】
制御装置16からは、入力された情報に基づいて各種機器に動作指令(制御指令)が出力され、走行用モータ3により所望の走行状態に制御されて車両1の力行が実施される。また、アクセルペダル5を離して(アクセルスイッチ12がオフ状態になって)減速走行している時や惰性走行している時には、駆動輪2からのエネルギーを受けて走行用モータ3が回転し、電気エネルギーを発生させて所定のブレーキ力(回生ブレーキ力)を得ている(回生運転)。
【0024】
回生運転は、例えば、アクセルスイッチ12のオフが検出された際に実施される。制御装置16では、選択スイッチ15で選択された強さの回生ブレーキ力に基づいて目標回生ブレーキ力が設定される(目標回生ブレーキ力設定手段)。そして、走行中における駆動輪2の回転速度が車輪速度センサー13で検出され、車輪速度センサー13の検出情報に基づいて実際の回生ブレーキ力(実回生ブレーキ力)が算出(導出)される(実回生ブレーキ力導出手段)。回生運転が実施される場合、制御装置16からは、目標回生ブレーキ力の情報がコンビネーションメーター装置21(表示部)に送られる。
【0025】
図2に示すように、コンビネーションメーター装置21には、放電充電の領域が示されると共に、車速が表示されるメーター表示部22を備えている。また、例えば、バッテリ4(
図1参照)の残量が表示される残量表示部23と、航続可能距離を表示する距離表示部24が備えられている。
【0026】
そして、コンビネーションメーター装置21には、目標回生ブレーキ力の情報として、目標回生ブレーキ力の大きさを面積の増減で表示する、表示手段としての回生ブレーキ力表示部25が備えられている。回生ブレーキ力表示部25には、ブレーキ力が一番強いS位置が最上部に設定され、一番弱いW位置が最下部に設定されている。そして、例えば、W位置からS位置に向けて、B1、B2、B3、B4、B5の順にブレーキ力が徐々に強くなる領域の目盛りが付され、実回生ブレーキ力の情報として、実回生ブレーキの位置が指示針26で示される構成となっている。
【0027】
回生ブレーキ力表示部25での表示は、上側側(S位置)から下側(W位置)に向けて回生量が小さくなることを示しているため、上側側(S位置)から下側(W位置)に向けて、表示部位の幅が漸次狭くなっている。これにより、運転者は回生ブレーキ力表示部25を目視することで、上下に変化する表示と合わせて、表示の幅を確認することができ、下側に向かい回生力が小さくなっていることを明確に確認することができる。
【0028】
制御装置16では、目標回生ブレーキ力設定手段で設定された目標回生ブレーキ力と、実回生ブレーキ力導出手段で算出された実回生ブレーキ力とが比較される(比較手段)。比較手段で比較された回生ブレーキ力の差が予め設定された差以上になった場合、例えば、目標回生ブレーキ力に対して実回生ブレーキ力が、予め設定された差以上に小さくなった場合(駆動輪2の回転速度が設定車速に対して設定された差以上に速くなった場合)、目標回生ブレーキ力の大きさの表示に加えて、実回生ブレーキ力の大きさの表示が回生ブレーキ力表示部25に表示されることになる。
【0029】
例えば、駆動輪2にスリップが生じると、実回生ブレーキ力が予め設定された差以上小さくなるので、目標回生ブレーキ力の大きさと、実回生ブレーキ力の大きさが異なった状態で回生ブレーキ力表示部25に表示される。この場合、詳細は後述するが、実回生ブレーキ力の位置を指す指示針26は、W位置に近い側(例えば、B2)の位置を指すことになる。そして、目標回生ブレーキ力の大きさの位置(例えば、B5)と、指示針26が指している位置との間(B2とB5の間)の領域が異なる色で表示されるようになっている。
【0030】
従って、運転者は、目標回生ブレーキ力に対して実回生ブレーキ力が一致してないことを、回生ブレーキ力表示部25の表示の色の違いで認識することができ、路面の摩擦係数に応じて、回生ブレーキ力の制御の状況を運転者に認識させることが可能になる。
【0031】
図3に基づいて制御装置16の回生運転を行う機能構成を説明する。
図3には制御装置16のブロック構成を示してある。
【0032】
図に示すように、制御装置16には、選択スイッチ15の選択情報、車輪速度センサー13の検出情報、車速センサー11の検出情報が入力される。制御装置16には、目標回生ブレーキ力設定手段としての目標回生ブレーキ力設定部31が備えられ、選択スイッチ15の選択情報に基づいて目標回生ブレーキ力が設定される。
【0033】
一方、制御装置16には、実回生ブレーキ力導出手段としての実回生ブレーキ力演算部32が備えられ、車輪速度センサー13の検出情報に基づいて実回生ブレーキ力が算出される。また、制御装置16には、比較手段としてのスリップ判定部33が備えられ、目標回生ブレーキ力と実回生ブレーキ力の差が予め設定された差以上になった場合(駆動輪2の回転速度が設定車速に対して予め設定された差以上速くなった場合)、路面μが低い路面(低μ路)を走行しているためにスリップが生じ、回生ブレーキ力が十分に得られない状況であることが判定される。
【0034】
回生運転が指示された場合、制御装置16からは、走行用モータ3(バッテリ4)に制御指令が出力され、目標回生ブレーキ力により回生運転が実施される。また、制御装置16からは、コンビネーションメーター装置21に、目標回生ブレーキ力と実回生ブレーキ力の情報が出力され、目標回生ブレーキ力の大きさに加えて、実回生ブレーキ力の大きさを回生ブレーキ力表示部25に同時に表示させる。
【0035】
図4に基づいて制御装置16の処理の流れを説明する。合わせて、
図5に基づいて回生ブレーキ力表示部25での表示の状況を説明する。
図4には本発明の一実施例に係る電動車両における制御装置16の処理の流れを説明する制御フローチャート、
図5にはコンビネーションメーター装置21の回生ブレーキ力表示部25での具体的な表示例を示してある。
【0036】
図4に示すように、ステップS1でシステムが起動され、ステップS2で、アクセルスイッチ12、車輪速度センサー13、選択スイッチ15の情報が読込まれる。必要に応じて車速センサー11の情報も合わせて読込まれる。ステップS3で回生運転の指示があるか否かが判断される。例えば、選択スイッチ15で任意の強さの回生ブレーキ力が選択され、アクセルスイッチ12のオフが検出された場合、減速走行している時や惰性走行している時に回生ブレーキ力を得る設定になっていると判断される(回生運転の指示があったと判断される)。
【0037】
ステップS3で回生運転の指示がなかったと判断された場合、リターンとなり処理が終了する。ステップS3で回生運転の指示があったと判断された場合、ステップS4で目標回生ブレーキ力により回生運転が実施される。ステップS4で目標回生ブレーキ力により回生運転が実施され、目標回生ブレーキ力と実回生ブレーキ力とが同時に表示される。
【0038】
目標回生ブレーキ力により回生運転が実施されると、ステップS5で、目標回生ブレーキ力と、実回生ブレーキ力とが比較される。即ち、目標回生ブレーキ力と実回生ブレーキ力との差が、予め設定された差以上になったか否かが判断される。例えば、ステップS5では、車輪速度センサー13で検出された駆動輪2(
図1参照)の回転速度と、目標回生ブレーキ力による車速である設定車速との差の絶対値が、予め設定された差である所定値(例えば、Xkm/h)以上か否かが判断される。
【0039】
ステップS5で差の絶対値が所定値を下回ると判断された場合、実回生ブレーキ力が目標回生ブレーキ力と略等しくなっている(差が予め設定された差未満)と判断され、駆動輪2(
図1参照)にはスリップが生じていない、つまり、路面μは低くないと判断される。ステップS5で差の絶対値が所定値を下回ると判断された場合、リターンとなる。
【0040】
この場合、回生ブレーキ力表示部25(
図2参照)に、目標回生ブレーキ力の大きさが表示されると同時に、目標回生ブレーキと同じ大きさの位置に指示針26(
図2参照)が示される。即ち、
図5(a)に示すように、例えば、運転者により目標回生ブレーキ力がB5のブレーキ力が選択されている場合、B5までの領域(図中網目で示してある)が表示される。そして、実回生ブレーキ力の印となる指示針26の位置がB5の位置とされる。
【0041】
図4に戻り、ステップS5で差の絶対値が所定値以上であると判断された場合、駆動輪2の回転速度が速い状態(設定車速に対して設定差以上の速度)であると判断され、実回生ブレーキ力が目標回生ブレーキ力よりも小さいと判断される。つまり、路面μが低くスリップが生じていると判断される。ステップS5で差の絶対値が所定値以上であると判断された場合、回生ブレーキ力表示部25(
図2参照)には、目標回生ブレーキ力及び実回生ブレーキ力の大きさが表示される。
【0042】
即ち、
図5(b)に示すように、例えば、運転者により目標回生ブレーキ力がB5のブレーキ力が選択され、実回生ブレーキ力がB2の状態になっている場合、B2までの領域(図中網目で示してある:例えば青色)が実回生ブレーキ力の大きさとして表示されると共に指示針26の位置がB2の位置とされる。そして、実回生ブレーキ力の大きさの位置(B2)から、目標回生ブレーキ力の大きさであるB5までの領域が異なる色の領域(図中斜線で示してある:例えば赤色)として表示される。
【0043】
このため、目標回生ブレーキ力に対して実回生ブレーキ力が小さくなった場合(駆動輪2の回転速度が設定車速に対して速くなった場合)、目標回生ブレーキ力の大きさの表示(B5までの表示)に加えて、実回生ブレーキ力の大きさの表示(B2までの表示)が回生ブレーキ力表示部25に重ねて表示される。この結果、運転者に対し、目標回生ブレーキ力と実回生ブレーキ力とに差があることを色の違いで認識させることができる。つまり、駆動輪2(
図1参照)にスリップが生じていることを、回生ブレーキ力表示部25の表示で運転者に認識させることができる。
【0044】
実回生ブレーキ力の大きさの位置(B2)から、目標回生ブレーキ力の大きさであるB5までの領域に対し、色を変更することに加え、異なる色の部位を点滅させたり、注意を喚起する印を表示させたりすることが可能である。
【0045】
図4に戻り、ステップS5で、駆動輪2の回転速度が速い状態(設定車速に対して設定差以上の速度)で、実回生ブレーキ力が目標回生ブレーキ力よりも小さいと判断された場合、ステップS6で、目標回生ブレーキ力を変更し(例えば、回生ブレーキ力の強さをB5からB2に変更し)、リターンとなる。つまり、運転者に対して、駆動輪2(
図1参照)にスリップが生じていることを認識させ、目標回生ブレーキ力を路面μの状態に応じて弱い回生ブレーキ力に変更し、スリップが生じない状態で回生運転が実施できるように制御される。
【0046】
尚、駆動輪2(
図1参照)の回転速度の変化率、基準車速の変化率、もしくは、加速度センサーの情報を用いて減速度合いを比較し、目標回生ブレーキ力と実回生ブレーキ力の比較を行うことも可能である。また、車輪速度検出手段として、車速センサー11の検出情報を適用することが可能である。また、基準車速の値と駆動輪2(
図1参照)の回転速度の値とに所定以上の差が生じた時に、路面の摩擦係数を計測する手段により、実際の路面の摩擦係数を把握し、スリップが生じていることを確認することも可能である。
【0047】
上述した電動車両では、回生ブレーキ力の差が予め設定された所定差以上になった際に、例えば、駆動輪2にスリップが生じて実回生ブレーキ力が低いと判断された際に、コンビネーションメーター装置21の回生ブレーキ力表示部25に目標回生ブレーキ力と実回生ブレーキ力が同時に表示されることになる。これにより、運転者は、目標回生ブレーキ力に対して実回生ブレーキ力が一致してないことを認識することができる。そして、目標回生ブレーキ力と実回生ブレーキが比較され、差が生じている場合には、目標回生ブレーキ力を路面μの状態に応じて弱い回生ブレーキ力に変更してスリップが生じない状態に制御される。
【0048】
この時、運転者は、路面μが低い路面(低μ路)を走行して駆動輪2にスリップが生じていることを認識することができる。言い換えれば、摩擦係数を検出するセンサー等を用いることなく、運転者は、走行中の路面μを認識することができる。
【0049】
従って、路面μの状況に応じて、回生ブレーキ力の制御の状況を運転者に認識させることが可能になる。このため、運転者が目標の回生ブレーキ力を設定している場合に、設定した回生ブレーキ力とは異なる回生ブレーキ力で電動車両が走行しても、運転者に与える違和感を大幅に減少させることができる。