特許第6856891号(P6856891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6856891作業車用ヘッド、作業車及びヘッド取付用品質評価センサユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856891
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】作業車用ヘッド、作業車及びヘッド取付用品質評価センサユニット
(51)【国際特許分類】
   A01G 23/08 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
   A01G23/08 501A
   A01G23/08 501B
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-163468(P2016-163468)
(22)【出願日】2016年8月24日
(65)【公開番号】特開2018-29516(P2018-29516A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2019年8月23日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行者名 :一般社団法人 日本森林学会(東京都千代田区六番町7 日林協会館内) 刊行物名 :第127回日本森林学会大会学術講演集 発行年月日 :2016年3月27日 〔刊行物等〕 集会名 :第127回日本森林学会大会 開催場所 :日本大学生物資源科学部(神奈川県藤沢市亀井野1866) 開催日 :平成28年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】508107630
【氏名又は名称】株式会社南星機械
(73)【特許権者】
【識別番号】591153477
【氏名又は名称】株式会社坂本電機製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】501186173
【氏名又は名称】国立研究開発法人森林研究・整備機構
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100150968
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 悠有子
(72)【発明者】
【氏名】草野 喜行
(72)【発明者】
【氏名】田中 誠一郎
(72)【発明者】
【氏名】金澤 豊
(72)【発明者】
【氏名】山本 保則
(72)【発明者】
【氏名】加藤 英雄
(72)【発明者】
【氏名】上村 巧
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−186586(JP,A)
【文献】 特開2011−130713(JP,A)
【文献】 特開2013−029429(JP,A)
【文献】 特開2012−019702(JP,A)
【文献】 特開2007−232698(JP,A)
【文献】 実開平02−006228(JP,U)
【文献】 特開2006−053045(JP,A)
【文献】 特開2001−289758(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0057946(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0131162(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 23/00−23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材を側方から把持する左右一対のクラブアームと、
前記木材の品質を評価するセンサと、
前記センサを開口端から突出するように摺動可能に格納し、把持された前記木材の側面に前記開口端が当接するように配置された複数のシリンダロッドと、を備えたことを特徴とする作業車用ヘッド。
【請求項2】
前記木材を前記木材の長手方向に送る送材手段をさらに備え、
前記シリンダロッドは、前記送材手段に隣接して配置された請求項1に記載の作業車用ヘッド。
【請求項3】
前記送材手段は、左右一対の各前記クラブアームに設けられた請求項2に記載の作業車用ヘッド。
【請求項4】
前記シリンダロッドは、前記送材手段に隣接して配置された前記シリンダロッドと対角に信号を送受信可能な位置にさらに配置された請求項2または3記載の作業車用ヘッド。
【請求項5】
左右一対の前記クラブアームの支点側端部の間に、前記クラブアーム内側面と共に木材を把持する当接片をさらに備え、
前記シリンダロッドは、前記当接片に配置された請求項4記載の作業車用ヘッド。
【請求項6】
前記クラブアームの端面の外側上方に設けられ前記把持された木材を切断する切断手段をさらに備え、
前記シリンダロッドは、前記切断手段に配置された請求項4または5記載の作業車用ヘッド。
【請求項7】
前記センサは、先端に針を有し、測定時において前記シリンダロッド内を摺動することにより前記針を前記開口端から突出させる請求項1〜6の何れか1項に記載の作業車用ヘッド。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の作業車用ヘッドを備えたことを特徴とする作業車。
【請求項9】
木材を側方から把持する左右一対のクラブアームを有する作業車用ヘッドに取り付けられる木材の品質評価センサユニットであって、
前記木材の品質を評価するセンサと、
前記センサを開口端から突出するように摺動可能に格納するシリンダロッドと、
把持された前記木材の側面に前記シリンダロッドの開口端が当接するように配置されるものであるヘッド取付用品質評価センサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伐木など機械による木材の品質評価を行える作業車用ヘッド、作業車及びヘッド取付用品質評価センサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
木材の品質評価センサの一例としてのヤング率判定用センサは、原木にセンサ先端を打ち込むことで音速を測定してヤング率を判定する。原木の品質判定として、このようなヤング率判定用センサを用いるが、これまでは、山ではヤング率の判定はほとんど行われなかった。
特許文献1は、銘木や街路樹を対象として非破壊で診断を行う検査方法及び装置を提案している。
ヤング係数を判定する他の方法としては、製材した木を実際に曲げて判定する方法や、木の木口をたたいて音速を測定する方法がある。
木材の消費者は、ヤング率を判定して強度的に保証された木材があれば、歩留まりが上がることを知っている。
ところで、車両系伐木造材機械の一つとしてハーベスタがある。ハーベスタのような作業車は、原木送り装置、枝払いナイフ、玉切り装置、測尺装置を備え、原木をつかんで伐木、造材、及び集積やはい積を行う(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−53045号公報
【特許文献2】特開2011−130713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
山で木のヤング率を計測するには、破損しやすいセンサと、重量のある音波発生装置とを持ち運び、木にセンサを打ち込む作業が必要であることから、山で計測することは敬遠されている。
またヤング率を音波で判定するには、センサ間の距離が重要となるが、木に刺したセンサ間の距離を測ることが難しかった。
このようなことから、山でヤング率などにより木材の品質を評価するには、計測に必要な機材を人力で運搬することなく、1名でも計測できることが必要である。
【0005】
そこで、本発明は木材の品質評価センサを保護することができ、測定を容易に行うことができる作業車用ヘッド、作業車及びヘッド取付用品質評価センサユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る作業車用ヘッドは、上述した課題を解決するために、木材を側方から把持する左右一対のクラブアームと、前記木材の品質を評価するセンサと、前記センサを開口端から突出するように摺動可能に格納し、把持された前記木材の側面に前記開口端が当接するように配置された複数のシリンダロッドと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の作業車用ヘッド、作業車及びヘッド取付用品質評価センサユニットにおいては、作業車で把持した木材の品質評価を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の作業車の一実施の形態の側面図
図2】本発明の一実施の形態の作業車用ヘッドの正面図
図3】同作業車用ヘッドの左側面図
図4】同作業車用ヘッドの背面図
図5】同作業車用ヘッドのシリンダロッドの配置を示す底面図
図6】同作業車用ヘッドのシリンダロッドの配置を示す写真
図7】同作業車用ヘッドの原木送り装置に隣接させて配置したシリンダロッドの配置を示す図
図8図7のVIII-VIII線に沿う縦断面図
図9】同作業車用ヘッドの原木送り装置及びシリンダロッドを示す要部斜視図
図10】同作業車用ヘッドのシリンダロッド及びヤング率判定用センサを示す断面図
図11】同作業車用ヘッドで小径木材を把持した非測定時の状態での原木送り装置及びシリンダロッドを示す図
図12】同作業車用ヘッドで小径木材を把持した測定時の状態での原木送り装置及びシリンダロッドを示す図
図13】同作業車用ヘッドで大径木材を把持した測定時の状態での原木送り装置及びシリンダロッドを示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の作業車の一実施の形態の側面図である。
作業車1は、原木送り装置、枝払いナイフ、玉切り装置、測尺装置などを備え、原木をつかんで伐木、造材、及び集積やはい積など一連の作業を一台で行うハーベスタ(車両系伐木造材機械)である。
作業車1は、くの字状に形成されたブーム2と、ブーム2に接続されたアーム3とを備えている。アーム3の先端部には、4節リンク機構Mを介して作業車用ヘッド5が接続されている。なお、作業車用ヘッド5の枢動(揺動)のために4節リンク機構MのピンP1は、アーム3のブーム2の反対側の端部に設けられた突設部E1に油圧により伸縮自在の油圧シリンダH1を介して接続されている。
ブーム2の一方側の端部は、作業車1に枢動自在に支持され、同様に作業車1からブーム2の両側にピンP3で結合される油圧シリンダH2によりブーム2を枢動させる。ブーム2のくの字状の外側の部分の近傍において突設部E2が設けられ、この突設部E2とアーム3の端部E3とが油圧シリンダH3を介してピンP4,P5で結合される。そして、アーム3の内側部分E4とブーム2とがピンP6で結合される。これにより、油圧シリンダH3を伸縮させることによりアーム3がピンP6を支点として枢動することとなる。
【0010】
作業車1のアーム3の先端部には、水平面に対して平行に回転でき、且つ、アーム3の先端部を支点に枢動できるように作業車用ヘッド5が設けられている。具体的には、作業車用ヘッド5の上部両側においてピン支持されたアーム6により保持され、アーム6の上面中央部に回転駆動されるベアリング7により支持され、ベアリング7が揺動可能なようにピンP7により4節リンク機構Mに接続される。
【0011】
図2は本発明の一実施の形態の作業車用ヘッドの正面図、図3は同作業車用ヘッドの左側面図、図4は同作業車用ヘッドの背面図である。
作業車用ヘッド5は、木材を側方から把持するクラブアーム8と、木材を長手方向に送るための原木送り装置9(送材手段)と、木材を切断する玉切り装置10(切断手段)と、枝払いのために枝を切る枝払いナイフ13とを備えている。
クラブアーム8は、一方のクラブアーム8aと他方のクラブアーム8bを対向して配置し、それぞれの上端部を支点11として回動する。一方のクラブアーム8aの支点11側端部と他方のクラブアーム8bの支点11側端部との間には、当接片12を設けている。木材は、一方のクラブアーム8aの内側面と、他方のクラブアーム8bの内側面と、当接片12とで把持される。
それぞれのクラブアーム8a,8bは、木材を把持しやすいように、内側が略くの字形状に湾曲して形成される。また、クラブアーム8が閉じた際に、他方のクラブアーム8bを構成する枠体の内側に、一方のクラブアーム8aを構成する枠体が通過できるように、他方のクラブアーム8bの枠体は一方のクラブアーム8aの枠体よりも一回り大きく構成されている。このように構成することにより、クラブアーム8は、その開閉を調整して、小径の木材を把持することができる。
一方のクラブアーム8aの枠体内の支点11側には原木送り装置9aが配置され、他方のクラブアーム8bの枠体内の支点11側には原木送り装置9bが配置されている(図5)。原木送り装置9は、回転式のゴムローラやローラチェーンなどで構成され、把持した木材を木材の長手方向に送ることができる。
玉切り装置10は、チェーンソーなどで構成され、クラブアーム8の端面の外側上方に設けられている。
【0012】
枝払いナイフ13は、クラブアーム8と同様に、枝払いナイフ13a,13bを対向して配置し、それぞれの上端部を支点11として回動する。
各枝払いナイフ13a,13bは、木材を把持しやすいように、内側が略くの字形状に湾曲して形成される。また、枝払いナイフ13が閉じた際に、枝払いナイフ13bを構成する枠体の内側に、枝払いナイフ13aを構成する枠体が通過できるように、枝払いナイフ13bの枠体は枝払いナイフ13aの枠体よりも一回り大きく構成されている。
【0013】
図5は本発明の一実施の形態の作業車用ヘッドのシリンダロッドの配置を示す底面図、図6は同作業車用ヘッドのシリンダロッドの配置を示す写真、図7は同作業車用ヘッドの原木送り装置に隣接させて配置したシリンダロッドの配置を示す図、図8図7のVIII-VIII線に沿う縦断面図、図9は同作業車用ヘッドの原木送り装置及びシリンダロッドを示す要部斜視図である。
【0014】
図5及び図6に示すように、作業車用ヘッド5は、一方のクラブアーム8aの原木送り装置9aに隣接させて配置した複数のシリンダロッド21,22と、他方のクラブアーム8bの原木送り装置9bに隣接させて配置した複数のシリンダロッド23,24と、当接片12に配置したシリンダロッド25と、玉切り装置10の底面に配置したシリンダロッド26とを備えている。シリンダロッド21,22,23,24,25,26内には、木材のヤング率を判定するヤング率判定用センサを格納している。ヤング率判定用センサは、本発明に係るヘッド取付用品質評価センサの一例である。
【0015】
図7から図9に示すように、原木送り装置9aに隣接させて配置されたシリンダロッド21,22は、シリンダロッド21,22の開口端20が、把持した木材の側面に当接するように、取付具30によって原木送り装置9aに固定される。また、原木送り装置9bに隣接させて配置されたシリンダロッド23,24も同様に、シリンダロッド23,24の開口端20が、把持した木材の側面に当接するように、取付具30によって原木送り装置9bに固定される。
図5及び6に示すように、シリンダロッド25は、開口端20が把持した木材の側面に当接するように当接片12内に取り付けられる(埋め込まれる)。また、シリンダロッド26は、開口端20が把持した木材の側面に当接するように取付具によって玉切り装置10に固定される。
このように、本実施の形態によれば、原木送り装置9a,9bや当接片12、玉切り装置10にシリンダロッド21〜26を配置することで、シリンダロッド21〜26の開口端20を木材の側面に確実に当接させることができる。
【0016】
図10は本発明の一実施の形態の作業車用ヘッドのシリンダロッド及びヤング率判定用センサを示す断面図であり、図10(a)は非測定時の状態、図10(b)は測定時の状態を示している。なお、図10ではシリンダロッド21について説明するが、他のシリンダロッド22,23,24,25,26についても同一構成である。
シリンダロッド21は、堅牢な金属製であり、伐木造材時においてもヤング率判定用センサ40が破壊されることなく使用可能なようにヤング率判定用センサ40を保護するケーシングとしても機能する。
ヤング率判定用センサ40は、シリンダロッド21内に油圧駆動により摺動可能に格納されている。非測定時には、ヤング率判定用センサ40の針41は開口端20から突出しない。測定時には、ヤング率判定用センサ40の針41は、開口端20から突出する。針41は、ヤング率判定用センサ40の先端に固定されており、ヤング率判定用センサ40から送受信される音波の送受信機として機能する。ヤング率判定用センサ40には、配線が接続されており、シリンダロッド21の開口端20とは反対の端部から排出される。また、シリンダロッド21の端部には、配線を保護するためのホースが取り付けられている。ヤング率判定用センサ40と接続された情報処理装置(例えばパーソナルコンピュータ)は、所定位置に配置される。例えば、信号増幅装置が作業車用ヘッド5内の所定位置に、パーソナルコンピュータがショベル運転室(キャビン)内に配置される。
ヤング率判定用センサ40としては、例えば特開2006−53045号公報に開示されているような、ピエゾ素子を用いて発信器と受信器とを兼用した音響波センサが適している。なお、ヤング率判定用センサ40には、非破壊検査方法として用いられている、圧電型衝撃センサなど、他のヤング率測定方法に用いるセンサであってもよい。
【0017】
図11は本発明の一実施の形態の作業車用ヘッドで小径木材を把持した非測定時の状態での原木送り装置及びシリンダロッドを示す図、図12は同作業車用ヘッドで小径木材を把持した測定時の状態での原木送り装置及びシリンダロッドを示す図、図13は同作業車用ヘッドで大径木材を把持した測定時の状態での原木送り装置及びシリンダロッドを示す図である。
図11に示すように、クラブアーム8a,8bで木材W1を把持した状態では、ヤング率判定用センサ40の針41は、シリンダロッド21,23,25の開口端20から突出していない。
測定時には、図12及び図13に示すように、ヤング率判定用センサ40の針41は、シリンダロッド21,23,25の開口端20から突出し、木材W1、W2に打ち込まれる。また、図示はされていないが、所要のシリンダロッド22,24,26も、木材W1、W2に打ち込まれる。ヤング率判定用センサ40は、位置に応じて6チャンネルの送信器または受信器となり、対角に音波(信号)を送受信する。例えば、原木送り装置9aに隣接して配置されたシリンダロッド21とシリンダロッド23,26とは、対角に信号を送受信可能な位置に配置されている。また、原木送り装置9aに隣接して配置されたシリンダロッド22とシリンダロッド24,25とは、対角に信号を送受信可能な位置に配置されている。さらに、原木送り装置9bに隣接して配置されたシリンダロッド23とシリンダロッド21,25とは、対角に信号を送受信可能な位置に配置されている。原木送り装置9bに隣接して配置されたシリンダロッド24とシリンダロッド22,26とは、対角に信号を送受信可能な位置に配置されている。これにより、木材W1,W2の中心のヤング率を判定することができる。
なお、図13に示す大径の木材W2では、図12に示す小径の木材W1と比較して、シリンダロッド21〜26から突出する針41間の距離は大きくなる。
【0018】
このように、本実施の形態における作業車用ヘッド5によれば、左右一対のクラブアーム8a、8bにそれぞれシリンダロッド21〜24を配置し、また当接片12にシリンダロッド25を、玉切り装置10にシリンダロッド26を配置することで、木材の径に対応した距離をもって容易に配置することができる。例えば、作業車用ヘッド5は、把持、送材可能な木材の径であれば、種々の径、例えば直径125mm〜500mmの木材を測定することができる。
また、ヤング率判定用センサ40は、非測定時及び測定時においてシリンダロッド21〜26内に格納され保護されているため、精密な測定機器にとって適した作業環境とはいえない森林内における伐木作業時においても、破壊されることなく保持される。とくに、ヤング率判定用センサ40は、測定時のみ摺動しシリンダロッド21〜26から突出するため、非測定時(非使用時)には十分に保護されることができる。
さらに、作業車用ヘッド5にヤング率判定用センサ40を取り付けたため、シリンダロッド21〜26の開口端20が、把持した木材の側面に好適に当接しセンサの位置決めをすることができるため、測定作業を容易に行うことができる。
【0019】
本発明の作業車は、本発明の作業車用ヘッドを装着できるものであればとくに制限するものではなく、ハーベスタを取り付けるようなもの、例えばトラクタやクレーンローダも含む。
また、本発明のヘッド取付用品質評価センサユニットは、ヤング率の他に、木材の密度や硬さ、含水量、空洞の有無または大きさなどを評価することのできるセンサ(例えば密度センサ)を用いてもよい。その場合においても、センサはシリンダロッド21〜26のようなケーシングに格納され、必要に応じて摺動して使用される。
【符号の説明】
【0020】
2 ブーム
8,8a,8b クラブアーム
9,9a,9b 原木送り装置
10 玉切り装置
12 当接片
20 開口端
21,22,23,24,25,26 シリンダロッド
40 ヤング率判定用センサ
41 針
W1,W2 木材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13