特許第6856924号(P6856924)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856924
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】スクロール流体機械
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/02 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
   F04C18/02 311G
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-233957(P2016-233957)
(22)【出願日】2016年12月1日
(65)【公開番号】特開2018-91189(P2018-91189A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】599170010
【氏名又は名称】宏和商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】特許業務法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 岑夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 哲夫
【審査官】 井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−022775(JP,A)
【文献】 特開昭54−139107(JP,A)
【文献】 特開2014−132158(JP,A)
【文献】 特開平05−018372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと,上記ケーシングに固定されたステータと,上記ケーシングに回転可能に支持された回転軸と,上記回転軸に固定されたロータと,上記回転軸に偏心して回転可能に支持された旋回軸と,上記旋回軸の自転を防止する自転防止装置と,上記ケーシングに固定された固定スクロールと,上記旋回軸に取り付けられた旋回スクロールとを有し,上記固定スクロールと上記旋回スクロールとの間に変圧室が形成されたスクロール流体機械であって,上記ケーシングに回転可能に支持され,かつ上記旋回軸の端部を回転可能に支持する回転支持手段を設け,上記ケーシングに上記回転支持手段を上記回転軸の中心線の方向に移動可能に支持し,上記ケーシングと上記回転支持手段との間に受圧室を形成し,上記旋回スクロール,上記旋回軸,上記回転支持手段に上記変圧室と上記受圧室とを連通する連通孔を設けたことを特徴とするスクロール流体機械。
【請求項2】
ケーシングと,上記ケーシングに固定されたステータと,上記ケーシングに回転可能に支持された回転軸と,上記回転軸に固定されたロータと,上記回転軸に偏心して回転可能に支持された旋回軸と,上記旋回軸の自転を防止する自転防止装置と,上記ケーシングに固定された固定スクロールと,上記旋回軸に取り付けられた旋回スクロールとを有し,上記固定スクロールと上記旋回スクロールとの間に変圧室が形成されたスクロール流体機械であって,上記ケーシングに回転可能に支持され,かつ上記旋回軸の端部を回転可能に支持する回転支持手段を設け,上記回転支持手段と上記旋回軸の端部との間に受圧室を形成し,上記旋回スクロール,上記旋回軸に上記変圧室と上記受圧室とを連通する連通孔を設けたことを特徴とするスクロール流体機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気圧縮機,真空ポンプ,冷媒ガス圧縮機,酸素吸入機用圧縮機,発電機等として用いられるスクロール流体機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には,モータの回転軸に旋回軸を偏心して回転可能に支持し,旋回軸に旋回スクロールを取り付け,旋回軸とケーシングとの間に自転防止装置を設け,旋回軸に第1の筒状体を固定し,旋回スクロールに第2の筒状体を固定し,第1の筒状体と第2の筒状体とを係合して,旋回軸と旋回スクロールとを旋回軸の中心軸方向に相対的に移動可能に連結し,第1,第2の筒状体によって形成された圧力室と旋回スクロールと固定スクロールとの間に形成された変圧室とを連通したスクロール流体機械が記載されている。
【0003】
このスクロール流体機械においては,圧力室内の圧力により,旋回スクロールが固定スクロール側に押されるから,変圧室から被変圧ガスが漏れることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−22775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし,このようなスクロール流体機械においては,圧力室内の圧力により,旋回軸が固定スクロール側とは反対側に押されるから,旋回軸を支持する軸受に大きなスラスト力が作用するので,旋回軸を支持する軸受として大きなスラスト力を受けることができるものを用いる必要がある。
【0006】
本発明は上述の課題を解決するためになされたもので,変圧室から被変圧ガスが漏れることがなく,しかも旋回軸を支持する軸受に作用するスラスト力が小さいスクロール流体機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため,本発明の実施形態は,ケーシングと,上記ケーシングに固定されたステータと,上記ケーシングに回転可能に支持された回転軸と,上記回転軸に固定されたロータと,上記回転軸に偏心して回転可能に支持された旋回軸と,上記旋回軸の自転を防止する自転防止装置と,上記ケーシングに固定された固定スクロールと,上記旋回軸に取り付けられた旋回スクロールとを有し,上記固定スクロールと上記旋回スクロールとの間に変圧室が形成されたスクロール流体機械であって,上記ケーシングに回転可能に支持され,かつ上記旋回軸の端部を回転可能に支持する回転支持手段を設け,上記ケーシングに上記回転支持手段を上記回転軸の中心線の方向に移動可能に支持し,上記ケーシングと上記回転支持手段との間に受圧室を形成し,上記旋回スクロール,上記旋回軸,上記回転支持手段に上記変圧室と上記受圧室とを連通する連通孔を設けたことを特徴とする。
【0008】
また,本発明の実施形態は,ケーシングと,上記ケーシングに固定されたステータと,上記ケーシングに回転可能に支持された回転軸と,上記回転軸に固定されたロータと,上記回転軸に偏心して回転可能に支持された旋回軸と,上記旋回軸の自転を防止する自転防止装置と,上記ケーシングに固定された固定スクロールと,上記旋回軸に取り付けられた旋回スクロールとを有し,上記固定スクロールと上記旋回スクロールとの間に変圧室が形成されたスクロール流体機械であって,上記ケーシングに回転可能に支持され,かつ上記旋回軸の端部を回転可能に支持する回転支持手段を設け,上記回転支持手段と上記旋回軸の端部との間に受圧室を形成し,上記旋回スクロール,上記旋回軸に上記変圧室と上記受圧室とを連通する連通孔を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るスクロール流体機械においては,連通孔によって変圧室と受圧室とが連通されているから,変圧室内の圧力が上昇すると,それに伴って受圧室内の圧力も上昇する。このため,受圧室内の圧力によって,旋回軸が固定スクロール側に押されるから,旋回スクロールが固定スクロール側に押される。この結果,変圧室から被変圧ガスが漏れることがない。しかも,変圧室内の圧力によって旋回軸に作用する力と受圧室内の圧力によって旋回軸に作用する力とが相殺されるため,旋回軸を支持する軸受に作用するスラスト力を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係るスクロール流体機械を示す概略断面図である。
図2図1の拡大A−A断面図である。
図3図1図2に示したスクロール流体機械の一部を示す拡大概略断面図である。
図4】本発明の他の実施の形態に係るスクロール流体機械の一部を示す概略断面図である。
図5】本発明の他の実施の形態に係るスクロール流体機械の一部を示す概略断面図である。
図6】本発明の他の実施の形態に係るスクロール流体機械の一部を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係るスクロール流体機械を図1図3により説明する。ケーシング1にステータ2が固定されている。ケーシング1に軸受支え3,4が固定されている。軸受支え3,4に軸受5,6を介して回転軸7が回転可能に支持されている。すなわち,ケーシング1に回転軸7が回転可能に支持されている。回転軸7にロータ8が固定されている。そして,ケーシング1,ステータ2,回転軸7,ロータ8等によりモータ9が構成されている。
【0012】
回転軸7内を旋回軸10が貫通している。回転軸7に軸受11,12を介して旋回軸10が回転可能に支持されている。回転軸7の中心線と旋回軸10の中心線とは平行である。回転軸7の中心線と旋回軸10の中心線とは偏っている。すなわち,旋回軸10は回転軸7に偏心して回転可能に支持されている。
【0013】
ケーシング1に支え部材13を介して支持部材14が固定されている。支持部材14に移動板15が図2紙面上下方向に移動可能に支持されている。支持部材14に正方形の穴16が設けられている。旋回軸10が穴16を貫通している。移動板15に長方形の穴17が設けられている。穴17の長手方向は移動板15の移動方向と直交する方向すなわち図2紙面左右方向である。旋回軸10が穴17を貫通している。旋回軸10の穴17を貫通する部分の両側に切欠面18が設けられている。切欠面18は旋回軸10の中心線と平行な面である。両側の切欠面18は平行である。切欠面18が穴17の幅方向すなわち図2紙面上下方向と直角な面に係合している。そして,支持部材14,移動板15等により旋回軸10の偏心旋回を許容しかつ旋回軸10の自転を防止する自転防止装置が構成されている。また,モータ9,旋回軸10,自転防止装置等により偏心旋回駆動装置が構成されている。
【0014】
ケーシング1に固定スクロール19が固定されている。固定スクロール19には渦巻状のラップが設けられている。旋回軸10に旋回スクロール20が取り付けられている。旋回スクロール20には固定スクロール19のラップと同一形状のラップが設けられている。固定スクロール19のラップと旋回スクロール20のラップとが重なり合っており,複数の圧縮室21が形成されている。すなわち,固定スクロール19と旋回スクロール20との間に圧縮室21が形成されている。固定スクロール19に吸入口22が設けられている。固定スクロール19に吐出口23が設けられている。吸入口22,吐出口23は圧縮室21に連通している。そして,固定スクロール19,旋回スクロール20等により,偏心旋回駆動装置によって駆動される流体圧縮装置が構成されている。
【0015】
ケーシング1に凹部24が形成されている。凹部24の図1図3紙面に直角な面で切断した形状は円形である。凹部24の中心線は回転軸7の中心線と一致している。凹部24に受圧部材25が回転可能かつ図1図3紙面上下方向に移動可能に支持されている。ケーシング1と受圧部材25との間に受圧室26が形成されている。ケーシング1に支持部材27の円柱部27aが回転可能かつ図1図3紙面上下方向(回転軸7の中心線の方向)に移動可能に支持されている。支持部材27は円柱部27aと一体の支持部27bを有する。支持部27bに凹部28が形成されている。凹部28の図3紙面に直角な面で切断した形状は円形である。円柱部27aの中心線と凹部28の中心線とは平行である。円柱部27aの中心線と凹部28の中心線との距離は,回転軸7の中心線と旋回軸10の中心線との距離と同一である。凹部28に旋回軸10の端部が回転可能に支持されている。旋回スクロール20,旋回軸10,支持部材27,受圧部材25に圧縮室21と受圧室26とを連通する連通孔29が設けられている。そして,受圧部材25,支持部材27により,ケーシング1に回転可能かつ回転軸7の中心線の方向に移動可能に支持され,しかも旋回軸10の端部を回転可能に支持する回転支持手段30が構成されている。
【0016】
図1図3に示したスクロール流体機械においては,モータ9のステータ2の巻線に通電すると,回転軸7,ロータ8が回転し,旋回軸10は回転軸7の中心線を中心として偏心旋回するが,自転防止装置が設けられているから,旋回軸10は自転しない。このため,旋回スクロール20がケーシング1,固定スクロール19に対して回転せずに偏心旋回するから,固定スクロール19と旋回スクロール20との間に形成された圧縮室21が徐々に縮小する。したがって,空気等の被圧縮流体は吸入口22から吸引され,圧縮室21で圧縮されて吐出口23から吐出される。
【0017】
また,連通孔29によって圧縮室21と受圧室26とが連通されているから,圧縮室21内の圧力が上昇すると,それに伴って受圧室26内の圧力も上昇する。このため,受圧室26内の圧力によって,受圧部材25,支持部材27,旋回軸10が固定スクロール19側(図1紙面上方)に押されるから,旋回スクロール20が固定スクロール19側に押される。この結果,圧縮室21から被圧縮ガスが漏れることがないので,被圧縮ガスを有効に圧縮することができる。しかも,圧縮室21内の圧力によって旋回軸10が図1紙面下方に押される力と,受圧室26内の圧力によって旋回軸10が図1紙面上方に押される力とが相殺される。したがって,軸受5,6,11,12に作用するスラスト力は小さいから,軸受5,6,11,12として大きなスラスト力を受けることができるものを用いる必要がない。
【0018】
本発明の他の実施の形態に係るスクロール流体機械を図4により説明する。ケーシング1に凹部31が形成されている。凹部31の図4紙面に直角な面で切断した形状は円形である。凹部31の中心線は回転軸7の中心線と一致している。凹部31に回転支持部材32の円柱部32aが回転可能に支持されている。回転支持部材32は円柱部32aと一体の支持部32bを有する。支持部32bに凹部33が設けられている。凹部33の図4紙面に直角な面で切断した形状は円形である。円柱部32aの中心線と凹部33の中心線とは平行である。円柱部32aの中心線と凹部33の中心線との距離は,回転軸7の中心線と旋回軸10の中心線との距離と同一である。凹部33に旋回軸10の端部が回転可能に支持されている。回転支持部材32と旋回軸10との間に受圧室34が形成されている。旋回スクロール20,旋回軸10に圧縮室21と受圧室34とを連通する連通孔35が設けられている。そして,回転支持部材32により,ケーシング1に回転可能に支持され,かつ旋回軸10の端部を回転可能に支持する回転支持手段が構成されている。また,他の構成は図1図3に示した構成と同様である。
【0019】
図4に示したスクロール流体機械においては,連通孔35によって圧縮室21と受圧室34とが連通されているから,圧縮室21内の圧力が上昇すると,それに伴って受圧室34内の圧力も上昇する。このため,受圧室34内の圧力によって,旋回軸10が固定スクロール19側(図4紙面上方)に押されるから,旋回スクロール20が固定スクロール19側に押される。この結果,圧縮室21から被圧縮ガスが漏れることがないので,被圧縮ガスを有効に圧縮することができる。しかも,圧縮室21内の圧力によって旋回軸10が図4図1)紙面下方に押される力と,受圧室34内の圧力によって旋回軸10が図4紙面上方に押される力とが相殺される。したがって,軸受5,6,11,12に作用するスラスト力は小さいから,軸受5,6,11,12として大きなスラスト力を受けることができるものを用いる必要がない。また,図1図3に示したスクロール流体機械と比較して構造が簡単である。
【0020】
本発明の他の実施の形態に係るスクロール流体機械を図5により説明する。ケーシング1に凹部41が形成されている。凹部41の図5紙面に直角な面で切断した形状は円形である。凹部41の中心線は回転軸7の中心線と一致している。凹部41にクランク部材42の第1円柱部42aが回転可能に支持されている。クランク部材42は第1円柱部42aと一体の第2円柱部42bを有する。第1円柱部42aの中心線と第2円柱部42bの中心線とは平行である。第1円柱部42aの中心線と第2円柱部42bの中心線との距離は,回転軸7の中心線と旋回軸10の中心線との距離と同一である。旋回軸10の端部に凹部43が形成されている。凹部43の図5紙面に直角な面で切断した形状は円形である。凹部43の中心線は旋回軸10の中心線と一致している。凹部43に第2円柱部42bが回転可能に支持されている。第2円柱部42bと旋回軸10との間に受圧室44が形成されている。旋回スクロール20,旋回軸10に圧縮室21と受圧室44とを連通する連通孔45が設けられている。そして,クランク部材42により,ケーシング1に回転可能に支持され,かつ旋回軸10の端部を回転可能に支持する回転支持手段が構成されている。また,他の構成は図1図3に示した構成と同様である。
【0021】
図5に示したスクロール流体機械においては,連通孔45によって圧縮室21と受圧室44とが連通されているから,圧縮室21内の圧力が上昇すると,それに伴って受圧室44内の圧力も上昇する。このため,受圧室44内の圧力によって,旋回軸10が固定スクロール19側(図5紙面上方)に押されるから,旋回スクロール20が固定スクロール19側に押される。この結果,圧縮室21から被圧縮ガスが漏れることがないので,被圧縮ガスを有効に圧縮することができる。しかも,圧縮室21内の圧力によって旋回軸10が図5図1)紙面下方に押される力と,受圧室44内の圧力によって旋回軸10が図5紙面上方に押される力とが相殺される。したがって,軸受5,6,11,12に作用するスラスト力は小さいから,軸受5,6,11,12として大きなスラスト力を受けることができるものを用いる必要がない。また,図1図3に示したスクロール流体機械と比較して構造が簡単である。
【0022】
本発明の他の実施の形態に係るスクロール流体機械を図6により説明する。ケーシング1に凹部51が形成されている。凹部51の図6紙面に直角な面で切断した形状は円形である。凹部51の中心線は回転軸7の中心線と一致している。凹部51に回転支持部材52が回転可能に支持されている。回転支持部材52に凹部53が形成されている。凹部53の図6紙面に直角な面で切断した形状は円形である。凹部51の中心線と凹部53の中心線とは平行である。凹部51の中心線と凹部53の中心線との距離は,回転軸7の中心線と旋回軸10の中心線との距離と同一である。凹部53に旋回軸10の端部が回転可能に支持されている。回転支持部材52と旋回軸10との間に受圧室54が形成されている。旋回スクロール20,旋回軸10に圧縮室21と受圧室54とを連通する連通孔55が設けられている。そして,回転支持部材52により,ケーシング1に回転可能に支持され,かつ旋回軸10の端部を回転可能に支持する回転支持手段が構成されている。また,他の構成は図1図3に示した構成と同様である。
【0023】
図6に示したスクロール流体機械においては,連通孔55によって圧縮室21と受圧室54とが連通されているから,圧縮室21内の圧力が上昇すると,それに伴って受圧室54内の圧力も上昇する。このため,受圧室54内の圧力によって,旋回軸10が固定スクロール19側(図6紙面上方)に押されるから,旋回スクロール20が固定スクロール19側に押される。この結果,圧縮室21から被圧縮ガスが漏れることがないので,被圧縮ガスを有効に圧縮することができる。しかも,圧縮室21内の圧力によって旋回軸10が図6図1)紙面下方に押される力と,受圧室54内の圧力によって旋回軸10が図6紙面上方に押される力とが相殺される。したがって,軸受5,6,11,12に作用するスラスト力は小さいから,軸受5,6,11,12として大きなスラスト力を受けることができるものを用いる必要がない。また,図1図3に示したスクロール流体機械と比較して構造が簡単である。
【0024】
なお,上述実施の形態においては,スクロール流体機械が流体圧縮装置を有する圧縮機である場合について説明したが,スクロール流体機械が発電機である場合にも本願発明を適用できることは明らかである。すなわち,上述実施の形態においては,変圧室が圧縮室21であり,被変圧ガスが変圧室内で圧縮される場合について説明したが,変圧室が膨張室であり,被変圧ガスが変圧室内で膨張する場合にも本願発明を適用できることは明らかである。そして,スクロール流体機械が発電機である場合には,膨張室から被変圧ガスが漏れることがないので,有効に発電することができる。
【0025】
また,上述実施の形態においては,支持部材14,移動板15を有する自転防止装置を用いたが,ピンクランクを有する自転防止装置等を用いてもよい。また,連通孔を複数設けても良い。
【0026】
なお,ケーシング1と受圧部材25,円柱部27aとの間に回転部支持軸受を設けてもよい。また,その回転部支持軸受をシール構造としてもよい。さらに,ケーシング1と受圧部材25との間にシール材を設けてもよい。
【0027】
また,ケーシング1と円柱部32aとの間,ケーシング1と第1円柱部42aとの間,ケーシング1と回転支持部材52との間に,回転部支持軸受を設けてもよい。
【0028】
また,支持部27bと旋回軸10の端部との間,支持部32bと旋回軸10の端部との間,第2円柱部42bと旋回軸10の端部との間,回転支持部材52と旋回軸10の端部との間に,旋回軸支持軸受を設けてもよい。また,その旋回軸支持軸受をシール構造としてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1…ケーシング,2…ステータ,7…回転軸,8…ロータ,9…モータ,10…旋回軸,14…支持部材,15…移動板,19…固定スクロール,20…旋回スクロール,25…受圧部材,26…受圧室,27…支持部材,29…連通孔,30…回転支持手段,32…回転支持部材,34…受圧室,35…連通孔,42…クランク部材,44…受圧室,45…連通孔,52…回転支持部材,54…受圧室,55…連通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6