特許第6856926号(P6856926)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人 岡山大学の特許一覧

<>
  • 特許6856926-RNA結合タンパク質 図000002
  • 特許6856926-RNA結合タンパク質 図000003
  • 特許6856926-RNA結合タンパク質 図000004
  • 特許6856926-RNA結合タンパク質 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856926
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】RNA結合タンパク質
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/47 20060101AFI20210405BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   C07K14/47ZNA
   C12N15/12
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-244305(P2016-244305)
(22)【出願日】2016年12月16日
(65)【公開番号】特開2017-110006(P2017-110006A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2019年11月5日
(31)【優先権主張番号】特願2015-245404(P2015-245404)
(32)【優先日】2015年12月16日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、生物系特定産業技術研究支援センター、「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】世良 貴史
【審査官】 池上 京子
(56)【参考文献】
【文献】 Cell,2002年,vol.110,p.501-512
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00−19/00
C12N 15/00−15/90
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリピートモチーフを有し、この複数のリピートモチーフのN末端に結合したN末端側ドメインと、C末端に結合したC末端ドメインとを有するRNA結合タンパク質において、
N末端側ドメインのアミノ酸配列が
GRSRLLEDFRNNRYPNLQLREIAG
で、C末端ドメインのアミノ酸配列が
HIATLRKYTYGKHILAKLEKYYMKNGVDLG
であり、
R1’- R1-R2-R3-R4-R5-R6-R5-R8-R8’で示されるアミノ酸配列を有する、人工RNA結合タンパク質:
式中、R1〜R8、R1'及びR8'は以下のアミノ酸配列を示す。
R1 :HIMEFSQDQHGSRFIQLKLERATPAERQLVFNEILQ
R2 :AAYQLMVDVFGNYVIQKFFEFGSLEQKLALAERIRG
R3 :HVLSLALQMYGCRVIQKALEFIPSDQQNEMVRELDG
R4 :HVLKCVKDQNGNHVVQKCIECVQPQSLQFIIDAFKG
R5 :QVFALSTHPYGCRVIQRILEHCLPDQTLPILEELHQ
R6 :HTEQLVQDQYGNYVIQHVLEHGRPEDKSKIVAEIRG
R8 :ALYTMMKDQYANYVVQKMIDVAEPGQRKIVMHKIRP
R1':GRSRLLEDFRNNRYPNLQLREIAG
R8':HIATLRKYTYGKHILAKLEKYYMKNGVDLG
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RNA結合タンパク質に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高い結合能と選択性を有するRNA結合タンパク質の一つとして、human Pumilio and FBF homology (hPUF)タンパク質が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
このhPUFタンパク質は、アミノ酸配列と長さが異なる、8つのリピートモチーフを有しており、1つのリピート内の3つのアミノ酸残基が1塩基を認識することが知られている。説明の便宜上、8つのリピートモチーフをN末端側から、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8と呼ぶこととする。各リピートモチーフのアミノ酸配列は以下の通りである。
R1 :HIMEFSQDQHGSRFIQLKLERATPAERQLVFNEILQ(配列番号1)
R2 :AAYQLMVDVFGNYVIQKFFEFGSLEQKLALAERIRG(配列番号2)
R3 :HVLSLALQMYGCRVIQKALEFIPSDQQNEMVRELDG(配列番号3)
R4 :HVLKCVKDQNGNHVVQKCIECVQPQSLQFIIDAFKG(配列番号4)
R5 :QVFALSTHPYGCRVIQRILEHCLPDQTLPILEELHQ(配列番号5)
R6 :HTEQLVQDQYGNYVIQHVLEHGRPEDKSKIVAEIRG(配列番号6)
R7 :NVLVLSQHKFASNVVEKCVTHASRTERAVLIDEVCTMNDGPHS(配列番号7)
R8 :ALYTMMKDQYANYVVQKMIDVAEPGQRKIVMHKIRP(配列番号8)
【0004】
しかしながら、RNAへの結合に際して、8つのリピートモチーフR1〜R8のみで結合するのに充分であるかどうかが不明であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】X. Wang, et. al. Cell, Vol. 110, 501#512, August 23, 2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、可溶化できるRNA結合タンパク質を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者は、この点を検討しようとし、まず、hPUFタンパク質における8つのリピートモチーフR1〜R8以外のドメイン、すなわち、N末端のドメインと、C末端のドメインが、RNA認識に必要なのかどうかを明らかにすることを試みた。ここで、説明の便宜上、N末端のドメインをR1'ドメインと呼び、C末端のドメインをR8'ドメインと呼ぶこととする。なお、R1'ドメインとR8'ドメインのアミノ酸配列は以下の通りである。
R1':GRSRLLEDFRNNRYPNLQLREIAG(配列番号9)
R8':HIATLRKYTYGKHILAKLEKYYMKNGVDLG(配列番号10)
【0008】
R1'ドメインとR8'ドメインがRNA認識に必要なのかどうかを明らかにするために、野生型のhPUFタンパク質のほかに、以下の3つのhPUFタンパク質変異体を作製した。
1)hPUFタンパク質のN末端のR1'ドメイン欠損体
2)hPUFタンパク質のC末端のR8'ドメイン欠損体
3)hPUFタンパク質のR1'/R8'ドメイン欠損体
【0009】
ここで、野生型のhPUFタンパク質の合成は、以下のように行った。
まず、野生型のhPUFタンパク質の遺伝子のコドンをチェックし、大腸菌でのレアコドンを排除し、かつPCRで正しい順番にアッセンブルされるように遺伝子配列を改変した。
その改変した遺伝子を8つのフラグメントに分割し、それぞれのフラグメントに対応する1対のオリゴマーを化学合成した。
それぞれのペアのオリゴマー同士を加熱した後、温度を下げてアニーリングした。
個別に作製した、それぞれのDNAフラグメントをひとつに集めてPCRにより正しい順番に連結して、野生型のhPUFタンパク質の遺伝子を合成した。
その遺伝子を大腸菌発現ベクターpET24aに組み込むことにより、大腸菌での高発現ベクターを構築した。
【0010】
次いで、野生型hPUFタンパク質遺伝子を基にして、上記の1)〜3)の欠損体の遺伝子をそれぞれ分子生物学的に作製し、野生型と同じように大腸菌発現ベクターpET24aにクローニングすることとした。
【0011】
すなわち、野生型hPUFタンパク質の発現ベクターを発現用大腸菌株BL21(DE3)に導入した後、OD600が〜0.65になった時にIPTGを添加して、37℃で3時間培養して、タンパク質を発現させた。
【0012】
しかしながら、上記の1)〜3)の欠損体はいずれも不溶化し、このままでは、RNA結合実験に使用できるタンパク質が得られないという問題が生じた。
【0013】
このことは、逆に、可溶化する野生型hPUFタンパク質は、可溶化条件を満たしていることを示唆しているものであり、この知見に基づいて本発明を成すに至ったものである。
【0014】
さらに、本発明者は、野生型hPUFタンパク質における8つのリピートモチーフR1〜R8において、R7をR5に置換した人工RNA結合タンパク質を設計及び発現させたところ、可溶化した状態で発現することを確認した。さらに、発現させたR7をR5に置換した人工RNA結合タンパク質であるhPUF#MT(R7→R5)を用いたゲルシフトアッセイにより、この人工RNA結合タンパク質は、RNAに結合することを確認した。
【0015】
hPUF_MT(R7→R5)におけるR1-R2-R3-R4-R5-R6-R5-R8の各ドメインのアミノ酸配列を以下に示す。
R1 :HIMEFSQDQHGSRFIQLKLERATPAERQLVFNEILQ(配列番号1)
R2 :AAYQLMVDVFGNYVIQKFFEFGSLEQKLALAERIRG(配列番号2)
R3 :HVLSLALQMYGCRVIQKALEFIPSDQQNEMVRELDG(配列番号3)
R4 :HVLKCVKDQNGNHVVQKCIECVQPQSLQFIIDAFKG(配列番号4)
R5 :QVFALSTHPYGCRVIQRILEHCLPDQTLPILEELHQ(配列番号5)
R6 :HTEQLVQDQYGNYVIQHVLEHGRPEDKSKIVAEIRG(配列番号6)
R5 :QVFALSTHPYGCRVIQRILEHCLPDQTLPILEELHQ(配列番号5)
R8 :ALYTMMKDQYANYVVQKMIDVAEPGQRKIVMHKIRP(配列番号8)
【0016】
本発明のRNA結合タンパク質では、複数のリピートモチーフを有し、この複数のリピートモチーフのN末端に結合したN末端側ドメインと、C末端に結合したC末端ドメインとを有するRNA結合タンパク質において、N末端側ドメインのアミノ酸配列を
GRSRLLEDFRNNRYPNLQLREIAG(配列番号9)
で、C末端ドメインのアミノ酸配列を
HIATLRKYTYGKHILAKLEKYYMKNGVDLG(配列番号10)
とした人工RNA結合タンパク質である。
【0017】
上記複数のリピートモチーフとしては、上記のR1〜R8から選択される複数のリピートモチーフを挙げることができ、複数とは好ましくは4〜16個であり、より好ましくは6〜12個であり、例えば、8個である。但し、本発明の人工RNA結合タンパク質には、天然のhPUFタンパク質は含まない。上記複数のリピートモチーフとしては、天然のhPUFタンパク質におけるR3をR5に置換した変異体、即ち、R1-R2-R5-R4-R5-R6-R7-R8を一例として挙げることができる。即ち、本発明の人工RNA結合タンパク質の一例としては、
R1'- R1-R2-R5-R4-R5-R6-R7-R8-R8'
で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質を挙げることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、可溶性のRNA結合タンパク質を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】GSTとMBPの可溶化タグの融合によるR1'欠損体の可溶性の比較結果である。
図2】精製したMBP融合野生型タンパク質の純度を示す図である。
図3】野生型及び欠損体のタンパク質を用いたゲルシフトアッセイの結果である。
図4】認識リピートを置換した人工タンパク質を用いたゲルシフトアッセイの結果である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のRNA結合タンパク質では、複数のリピートモチーフを有し、この複数のリピートモチーフのN末端に結合したN末端側ドメインと、C末端に結合したC末端ドメインとを有するRNA結合タンパク質において、N末端側ドメインが配列表の配列番号9のアミノ酸配列、C末端ドメインが配列表の配列番号10のアミノ酸配列としたRNA結合タンパク質である。
【0021】
以下において、N末端側ドメインとC末端ドメインが、可溶化において重要であることを示す。
【0022】
<RNA結合タンパク質の変異体の可溶化>
上述した欠損体の可溶化を改善するために、可溶化を促進することが知られている2つのタグタンパク質の融合を行った。使用したタグタンパク質は、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)と、マルトース結合タンパク質(MBP)とした。
【0023】
まず、R1'ドメイン欠損体のN末に、タグタンパク質をそれぞれ融合させるため、R1'ドメイン欠損体の遺伝子の5'側にそれぞれのタグタンパク質遺伝子を分子生物学的に融合させた。
【0024】
それぞれのタンパク質の可溶性を比較したところ、図1に見られるように、GSTのタグタンパク質融合体では改善が見られなかったが、MBPのタグタンパク質融合体において大幅な改善が見られ、R1'欠損体をほぼ完全に可溶化させることができた。
【0025】
残り2つの欠損体へも、同様にMBPタグタンパク質を融合させ、可溶化されることを確認した。また、このMBPタグタンパク質の融合によるRNA結合能の違いをなくすため、可溶性を確認した野生型hPUFタンパク質についても、MBPタグタンパク質を融合させ、可溶化されることを確認した。
【0026】
<可溶化RNA結合タンパク質の精製>
次いで、MBPタグ化した野生型hPUFタンパク質および3つの欠損体のタンパク質を、それぞれ発現用大腸菌株BL21(DE3)に導入し、各タンパク質を大腸菌で大量発現させた。
【0027】
大腸菌を超音波破砕した後、遠心し得た上清をアフィニティーカラムを用いて、精製した。最初に野生型hPUFタンパク質を用いて、アフィニティーカラムへの吸着及び脱離条件を最適化した後、残り3つの欠損体の精製を最適化した条件下で行った。すべて高純度に精製することができた。その一例として、野生型hPUFタンパク質の純度を図2に示す。
【0028】
<ゲルシフトアッセイによる結合能の比較・評価>
作製した野生型および3種類の欠損タンパク質の結合能をゲルシフトアッセイで評価した。
【0029】
反応緩衝液(10 mM Tris-HCl、pH 7.5、100 mM NaCl、1 mM EDTA、1 mM DTT、10% Glycerol、0.05% BSA、0.2 U RNase inhibitor)の中に、遠赤外の680nmに吸収のあるAlexa680でラベルした標的RNAプローブ(終濃度:0.5 nM)と作製した各種タンパク質(終濃度:10〜1000 nM)を4℃で1時間混合した後、0.5×TBE緩衝液で平衡化ずみの垂直型の6%非変性ポリアクリルアミドゲル(大きさ:16×16 cm、厚さ:1 mm)にアプライして、コールドルーム(4℃)内で1時間泳動した。
【0030】
色素マーカーが3cm流れたところで泳動を止め、装置から取り出したゲル内の蛍光を、遠赤外検出器を用いてスキャンしながら検知することにより、RNAの各バンドを視覚化した。何度も実験を行い、再現性をチェックした。その結果の代表例を図3に示す。
【0031】
図3から明らかなように、野生型で見られたタンパク質に結合したRNAの濃いバンドが、すべての欠損体において減少している。このことからN末端のR1'ドメインとC末端のR8'ドメインの両方が、hPUFタンパク質のRNA結合に非常に重要であることを示している。
【0032】
さらに、このN末端のR1'ドメインとC末端のR8'ドメインがなぜ重要かを解析した。
【0033】
hPUFタンパク質のR1'ドメインとC末端のR8'ドメインのアミノ酸配列を詳しく分析すると、疎水性のアミノ酸残基が多く含まれることがわかった。
【0034】
そこで、分子モデリングソフトでhPUFタンパク質の立体構造を詳しく調べると、これら疎水性アミノ酸残基が疎水性相互作用により会合して疎水性コアを形成し、両末端におけるこの疎水性コアの形成が、RNA塩基配列の認識に必要な8つのリピート部位を安定化していることが示唆された。
【0035】
野生型におけるこれらの疎水性残基をAlaに代えると結合能が大幅に落ちることからも、これらの疎水性残基の重要性が示唆された。
【0036】
それを裏付けるように、これらAla変異体の各欠損体では、野生型と比較すると、アフィニティーカラムへの親和性が極端に落ちており、疏水性アミノ酸残基の変異により、タンパク質構造の劇的な変化が生じていることを強く示唆している。
【0037】
以上得られた知見に基づき、人工のRNA結合タンパク質のデザインにおいては、R1'およびR8'ドメインをともに付加したhPUFタンパク質に基づいてデザインすることが望ましい。
【実施例】
【0038】
(1)ベクターのクローニング
hPUF_MT(R7→R5)をコードする遺伝子を全合成した。
hPUF_MT(R7→R5)とは、
R1'- R1-R2-R3-R4-R5-R6-R5-R8-R8'
で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質である。
【0039】
合成遺伝子をBsaIで切断し、同じくBsaIで切断したpET24-R1'-MSC-R8'とライゲーションすることで発現ベクターを構築した。
【0040】
(2)タンパク質の発現および精製
得られた各発現ベクターをそれぞれ大腸菌BL21(DE3)に形質導入した。2%グルコースを含むLB-Kan培地でOD600が0.6〜0.75程度になるまで振とう培養した後、0.01 mM IPTGを含むLB-Kan培地で25℃、316h振とう培養することでタンパク質の発現誘導を行った。
【0041】
大腸菌をペレット化し、Lysis Buffer (25 mM Tris-HCl (pH8.0), 500 mM NaCl)で懸濁した。凍結融解・ソニケーションを行った後、遠心上清をProfinityTM IMAC Ni-Charged Resin (Biorad)と混合し、4℃で13hロータリングすることで目的タンパク質を吸着させた。25 mM Tris-HCl (pH8.0), 500 mM NaClのBufferおよび25 mM Tris-HCl (pH8.0), 500 mM NaCl, 20 mM imidazoleのBufferで洗浄した後、25 mM Tris-HCl (pH8.0), 500 mM NaCl, 150 mM imidazoleのBufferで溶出を行った。限外濾過によって、50 mM Tris-HCl (pH7.5), 300 mM NaClへのBuffer交換および濃縮を行った。99.5%グリセロールおよび1 M DTTと混合し、25 mM Tris-HCl (pH 7.5), 150 mM NaCl, 50% グリセロール, 5 mM DTTの組成で-20℃保存した。
【0042】
(3)ゲルシフトアッセイ
両末端をAlexa680で蛍光標識した標的配列を含むRNA probe(OTS-1754)を合成した。
OTS-1754: 5'-Alexa680-CCAGAAUUAUAUAUAUUCG-Alexa680-3' (19 mer)(配列番号11)
【0043】
精製タンパク質をBinding Bufferで目的濃度まで希釈し、Binding Buffer およびRibonuclease Inhibitor, Cloned (Invitrogen)と混合した後、RNA probeを終濃度0.5 nMで混合した。結合反応におけるBufferの組成は、10%グリセロール, 100 mM NaCl, 10 mM Tris-HCl (pH 7.5), 0.05% BSA, Ribonuclease Inhibitor (0.2 U), 1 mM DTT, 1 mM EDTAである。4℃で30 min結合反応を行った後、溶液をピペッティングにより穏やかに混合し、再度4℃で30 min結合反応を行った。
【0044】
結合反応後の溶液を6% 非変性ポリアクリルアミドゲルにアプライして4℃, 200 Vで泳動した。泳動マーカー(6×Dye 2 μL + 1×Binding Buffer 10 μL)が0.5 cm移動したところで100 Vに変更し、泳動マーカーが3 cm移動するまで泳動を行った。最後にOdysseyでRNAを検出した。結果を図4に示す。本発明の人工RNA結合タンパク質は、RNAに結合することが示された。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]