(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記部材1及び/又は前記部材2が、液晶表示パネル;有機EL表示パネル;保護パネル;タッチパネル、環境光センサー、近接センサー、指紋センサー、認証センサーなどのセンサー;カメラ;ガラス又はプラスチック板及びプラスチックフィルムからなる群から選ばれる少なくとも1種の部材である請求項1〜3のいずれか1項記載の複合体の製造方法。
前記複合体が、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びタッチパネル表示体からなる群から選ばれる少なくとも1種の器材である請求項1〜4のいずれか1項記載の複合体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔複合体と貼合体〕
本発明1は、例えば、液晶表示パネル;有機EL表示パネル;保護パネル;タッチパネル;環境光センサー、近接センサー、指紋センサー、認証センサーなどのセンサー;カメラ;ガラス又はプラスチック板;ラスチックフィルム等の複数の部材を貼合した貼合体を備える複合体である液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル表示体、等の情報表示装置が挙げられ、さらに、これらの情報表示装置とその他の電子素子を備える複合体である電子手帳、携帯電話、スマートフォン、携帯オーディオプレーヤー、携帯情報端末(PDA)、タブレット端末等の携帯電子端末、パソコン、TV、カーナビゲーションシステム等の情報処理機器が挙げられる。
【0012】
上記の貼合体は、複合体の一層の小型化・薄型化・情報高繊細化に対応し、種々材質の部材が使用される。
例えば、LCDモジュールや有機ELモジュール等の情報表示モジュールを保護するために、その上に透明な保護パネルが貼合されている場合、保護パネルとしては、従来、ガラスパネルが使用されてきたが、近年では電子機器の軽量化を図るうえで樹脂フィルムや樹脂板等の基材が使用されている。
また、例えば、近年のディスプレイ分野においては、ディスプレイの軽量化や薄厚化、樹脂化等の技術の進展により、落としても割れにくいディスプレイ、折り曲げ・巻き取り可能なディスプレイ、引き伸ばし可能なディスプレイ等の開発が進められている。
例えば、折り曲げ可能なディスプレイとして、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、電子ペーパーなどが挙げられ、これらはディスプレイ基板に対し、タッチパネルや保護フィルム、偏光板等の部材を貼合した貼合体として作製される。
【0013】
以上のような貼合体及び複合体も考慮すると、貼合体の大きさは、
好ましくは長さ5〜3000mm、幅5〜3000mm、厚さ0.5〜100mmの直方体領域に内包される大きさであり、
より好ましくは長さ10〜2000mm、幅10〜2000mm、厚さ1〜70mmの直方体領域に内包される大きさでありであり、
更に好ましくは長さ20〜1000mm、幅20〜1000mm、厚さ2〜50mmの直方体領域に内包される大きさである。
【0014】
〔異高部分〕
本発明1における部材1及び部材2は、少なくとも一方の部材の表面に異高部分を備える。異高部分としては、ディスプレイ基板の場合であれば、少なくとも一方の部材の表面に付された加飾部分、印刷、FPC接続部分、ベゼル、筐体の凸部等の異高部分を挙げることができる。
【0015】
本発明1では、異高部分を備える部材の表面と当該異高部分の境界線で囲まれる平面と、当該平面に平行な面が切り取る異高部分の交面(交点を含む)との最大の距離(以下「異高部分の高さ」という)は、好ましくは0.001〜5mm、より好ましくは0.005〜3mm、更に好ましくは0.01〜2mm、更に好ましくは0.01〜1mmである。
【0016】
部材1の異高部分を備える表面Sと部材2の表面Sに対向して貼合される部材2の所定表面の材質は、後述するゲル状組成物の粘着性を考慮すると、ガラス、PET、TAC、COP、ポリイミド、PMMA、ポリカーボネート、塩化ビニル、PVA、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコン、グラファイト、アルミニウム、銅、SUS等が好ましく、部材の表面に有機ハードコート層や無機ハードコート層が処理されていても良く、導電性を持たせるためにITOやIZO、カーボンナノチューブなどの透明導電性材料が処理されていても良く、電極や配線材料として表面に銀、銅などの金属がパターニングされていても良い。
【0017】
部材1の異高部分の材質は、後述するゲル状組成物の粘着性を考慮すると、ガラス、PET、TAC、COP、ポリイミド、PMMA、ポリカーボネート、塩化ビニル、PVA、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコン、グラファイト、アルミニウム、銅、SUS、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、その他インク材料等が好ましく、部材の表面に有機ハードコート層や無機ハードコート層が処理されていても良く、導電性を持たせるためにITOやIZO、カーボンナノチューブなどの透明導電性材料が処理されていても良く、電極や配線材料として表面に銀、銅などの金属がパターニングされていても良く、着色として顔料や染料を含有していても良い。
【0018】
〔ゲル状組成物〕
本発明1及び2におけるゲル状組成物は、レベリング性及び気泡低残留性の観点から、
0〜150℃で液状−ゲル状転移温度(Tc)を有し、
前記ゲル状組成物の貯蔵剛性率が、
30℃<Tcの場合は25℃で、0℃≦Tc≦30℃の場合はTc−20℃で、0.01〜10000kPaである。
Tc及び貯蔵剛性率の測定は実施例に記載された条件で行う。
【0019】
ゲル状組成物が、0〜150℃で液状−ゲル状転移温度(Tc)を有するとは、ゲル状組成物が物理架橋ゲルであることを意味する。
【0020】
一般に、ゲル状組成物とは、組成物を構成する化合物が架橋されて個々の化合物の熱運動が抑制されるため、組成物全体の流動性が大きく低減した物質であり、架橋の構造・寿命により、化学架橋ゲルと物理架橋ゲルに分類される。
化学架橋ゲルは共有結合で架橋されたゲルで、構成化合物の熱運動では結合が切れず、架橋寿命は実質的に無限大である。化学架橋ゲルの連結構造(トポロジカルな3次元構造)は、ゲルが生成した時点のまま不変に保たれる。一方、
物理架橋ゲルは、水素結合、疎水性凝集、イオン結合などの非共有結合で架橋されているゲルで,温度変化により架橋が生成消滅するため、Tcを有する(熱可逆ゲルとも呼ばれる)ことになる。
【0021】
本発明1及び2に適用できる好適なゲル状組成物は、レベリング性と気泡低残留性の観点から、一部化学架橋されていても、全体が物理架橋ゲルであることが好ましく、化学架橋されていない物理架橋ゲルであることがより好ましい。
【0022】
本発明1及び2に適用できるゲル状組成物は、そのような物理架橋ゲル組成物のゲル状態の貯蔵剛性率が、30℃<Tcの場合は25℃で、0℃≦Tc≦30℃の場合はTc−20℃で、0.01〜10000kPaであることで、レベリング性及び気泡低残留性を好適に確保している。
【0023】
ゲル状組成物がTcを有するとは、ゲル状組成物はTc以上で液状となり、温度Tc未満では自然流動しないゲル状態(即ち、ゲル状組成物)であることを意味する。
【0024】
ゲル状組成物は、レベリング性及び気泡低残留性の観点から、好ましくは10〜100℃の間で、より好ましくは20〜90℃の間で、更に好ましくは30〜80℃の範囲でTcを有する。
【0025】
ゲル状組成物の貯蔵剛性率が上記範囲にあると、以下の効果を奏する:
工程1で、温度Tc未満で、表面Sをゲル状組成物で被覆して部材1とゲル状組成物の積層体を得る際に、ゲル状組成物を表面S上でシート状に成形することが容易であるが、他の部材に流出して汚染させるほど流動性はなく、ゲル状組成物自体が柔軟であるため、異高部分の周辺に残留気泡の原因となる空隙が生じ難くなるという効果;
工程2で、積層体中のゲル状組成物をTc以上の温度に加温するので、ゲル状組成物が液状となり、工程1で被覆下の異高部分に由来するゲル状組成物状の凹凸が生じていても、ゲル状組成物状の凹凸がレベリングされて平滑なゲル状組成物の外部表面を得ることができ、工程1で残留気泡が発生し難い又は発生しても容易に除去することができるという効果。
【0026】
本発明1及び2に適用できる好適なゲル状組成物としては、以下を例示できる。
(1)特定の(メタ)アクリレート系ブロック共重合体化合物と媒質とが相溶してなる相溶組成物(以下「組成物X1」ともいう);
(2)特定のグラフト共重合体化合物と媒質とが相溶してなる相溶組成物(以下「組成物X2」ともいう);及び
(3)特定のスチレン系ブロック共重合体化合物と媒質とが相溶してなる相溶組成物(以下「組成物X3」ともいう);及び
(4)Tcを有しない液状媒質にレオロジー調整剤を添加してTcを有するに至った組成物(以下「組成物X4」ともいう)が挙げられる。
【0027】
(1)組成物X1
〈組成物X1として好適な相溶性組成物〉
組成物X1としては、
ブロック共重合体化合物と媒質とが相溶してなる相溶組成物であって、
前記ブロック共重合体化合物は、
(メタ)アクリレート単位を主体とする重合体ブロックaと、
(メタ)アクリレート単位を主体とする重合体ブロックbとのブロック共重合体であり、
前記重合体ブロックaを構成する(メタ)アクリレート単位だけで構成される重合物のガラス転移温度が50℃超180℃以下であり、
前記重合体ブロックbを構成する(メタ)アクリレート単位だけで構成される重合物のガラス転移温度が−100℃以上50℃以下であり、
前記ブロック共重合体化合物は、25℃超150℃以下で液状−ゲル状転移温度(Tc)を有さず、
前記相溶組成物は、25℃超150℃以下で液状−ゲル状転移温度(Tc)を有する相溶組成物を挙げることができる。
【0028】
組成物X1の好適な態様は、特開2017−66368号公報に詳細が記載されているが、本発明1においてより好ましい態様を説明する。なお、特開2017−66368号公報と同一の用語は特開2017−66368号公報記載と同じ内容を意味し、特開2017−66368号公報では上記ブロック共重合体化合物は化合物A、媒質は化合物Bと記載されており、本明細書でも同様に記載する。
【0029】
重合体ブロックa又は重合体ブロックbを構成可能な(メタ)アクリレート化合物としては、
好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
メトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ置換アルキル(メタ)アクリレート;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ置換アルキル(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;及び
ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノルボルネン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環構造含有(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、ジエチルアクリルアミド等のアクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも2種の化合物であり、
より好ましくは、
メタクリル酸メチル(メチルメタクリレート)及びアクリル酸n−ブチル(ブチルアクリレート)の組み合わせであって、
それぞれの化合物が単独で重合物を構成したときに示すTgに基づいて、重合体ブロックa又は重合体ブロックbの構成単位とする。
【0030】
重合体ブロックaは、(メタ)アクリレート単位だけで構成されていることが好ましいが、0〜150℃で、ブロック共重合体化合物が液状−ゲル状転移温度(Tc)を有さず、後述する相溶化合物が液状−ゲル状転移温度(Tc)を有する限り、共重合可能な他の化合物単位が含まれていることが許容される、(メタ)アクリレート単位を主体とする重合体構造である。
【0031】
重合体ブロックa中の(メタ)アクリレート単位のモル比は、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、更に好ましくは99〜100モル%である。
【0032】
重合体ブロックbは、(メタ)アクリレート単位だけで構成されていることが好ましいが、0〜150℃で、ブロック共重合体化合物が液状−ゲル状転移温度(Tc)を有さず、後述する相溶化合物が液状−ゲル状転移温度(Tc)を有する限り、共重合可能な他の化合物単位が含まれていることが許容される、(メタ)アクリレート単位を主体とする重合体構造である。
【0033】
重合体ブロックb中の(メタ)アクリレート単位のモル比は、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、更に好ましくは99〜100モル%である。
【0034】
ブロック共重合体化合物中の重合体ブロックa及びbは、それぞれ重合物a及びbとほぼ同等の重合構造を有すると考えられので、ブロック共重合体化合物のガラス転移点は、重合物a及びbのガラス転移点が含まれる温度範囲、即ち、50℃超180℃以下の温度範囲と、−100℃以上50℃以下の温度範囲とにガラス転移温度を有することが好ましい。ガラス転移点の測定は実施例に記載した条件で行う。
【0035】
ブロック共重合体化合物は、後述する相溶組成物の液状−ゲル状転移性の観点から、
重合体ブロックbの両末端に前記重合体ブロックaが結合したトリブロック構造を少なくとも1つ有することが好ましく、
トリブロック構造だけで構成されていることがより好ましいが、
0〜150℃で、ブロック共重合体化合物が液状−ゲル状転移温度(Tc)を有さず、
後述する相溶組成物が液状−ゲル状転移温度(Tc)を有する範囲で、
トリブロック構造以外の構造(例えば、重合体ブロックaと重合体ブロックbが結合するジブロック構造)が含まれてよい。
【0036】
上記観点から、ブロック共重合体化合物中のトリブロック構造のモル比は、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、更に好ましくは99〜100モル%である。
【0037】
ブロック共重合体化合物としては、市販品である「KURARITY」(登録商標、クラレ社)(例えば、LA2140、LA2250、LA4285、LA2330、LA2270、LA1114、LA1892)を使用することができる。
【0038】
ブロック共重合体化合物は、後述するゲル状の相溶組成物及び相溶組成物粘弾性体の弾性と粘着性を向上する観点から、重合体ブロックaと重合体ブロックbとのブロック共重合体の末端又は側鎖に、ラジカル反応性基、カチオン反応性基、アニオン反応性基及び湿気反応性基からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性官能基を有することによって反応性がさらに付与されていることが好ましい。これらの反応性基の好適な態様は特開2017−66368号公報に記載されている。
【0039】
組成物X1における媒質は、ブロック共重合体化合物と相溶して、0〜150℃で液状−ゲル状転移温度(Tc)を有する本発明の相溶組成物(以下、相溶組成物ともいう)を構成する化合物である。
【0040】
媒質としては、ブロック共重合体化合物との相溶組成物が流動性を有することができる化合物を目安として選択するとよく、(メタ)アクリレート系モノマー、(メタ)アクリルアミド系モノマー等のラジカル重合性不飽和結合含有モノマー、可塑剤、溶剤などであってよい。
【0041】
ブロック共重合体化合物との相溶組成物が流動性を有することができるモノマー化合物としては、
好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ置換アルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ置換アルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;4−tert−ブチルシクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノルボルネン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、等の脂環構造含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルフォリン、ジエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、
より好ましくは、イソデシルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート及び4−tert−ブチルシクロヘキシルアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0042】
ブロック共重合体化合物との相溶組成物が流動性を有することができる可塑剤としては、
好ましくは、ジブチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル;
アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジイソノニル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル等の多価カルボン酸エステル;
安息香酸アルキル;
トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル;
トリメリット酸エステル;
(水添)ポリイソプレン、水酸基含有(水添)ポリイソプレン、(水添)ポリブタジエン、水酸基含有(水添)ポリブタジエン、ポリブテン等のゴム系ポリマー;
熱可塑性エラストマー;
石油樹脂;
脂環族飽和炭化水素樹脂;
テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂等のテルペン系樹脂;
ロジンフェノール等のロジン系樹脂;
不均化ロジンエステル系樹脂、重合ロジンエステル系樹脂、水添ロジンエステル系樹脂等のロジンエステル系樹脂;
キシレン樹脂;及び
アクリルポリマー、アクリルコポリマー等のアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、
より好ましくは、多価カルボン酸エステル及びロジンエステル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0043】
ブロック共重合体化合物に対して溶剤として作用する媒質としては、
好ましくは、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン、n−ヘキサン、メチルシクロヘキサン、スチレンなどの炭化水素類;
ジエチルエーテルなどのエーテル類;
酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、炭酸プロピレンなどのエステル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコールなどのケトン類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの窒素類;
ブチルグリコール、メチルジグリコール、ブチルジグリコール、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラヒドロフランなどのグリコールエーテル類;
塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼンなどの塩素類;
ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;ギ酸、酢酸等のカルボン酸類;及び水からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、
より好ましくは、アルコール類、炭化水素類、エステル類及びケトン類からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、
更に好ましくは、アセトン、ヘキサン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール及び炭酸ジエチルからなる群から選ぶことができる。
【0044】
媒質の粘度は、ブロック共重合体化合物と相溶して、0〜150℃で液状−ゲル状転移温度(Tc)を有する本発明の相溶組成物を製造できる範囲であればよいが、
ブロック共重合体化合物との相溶組成物を容易に製造する観点から、媒質の粘度は、
好ましくは0.001〜10Pa・sであり、より好ましくは0.001〜1Pa・sであり、更に好ましくは0.001〜0.5Pa・sである。
【0045】
なお、媒質がオリゴマー等の場合で温度Tcよりも低温環境で高粘度又は固体の場合でも、温度Tcよりも高温環境では低粘度になったり、低粘度の他の媒質には溶解したり、溶剤に溶解したりするので、これらを組合せてブロック共重合体化合物と混錬して相溶組成物を製造できる。
【0046】
ブロック共重合体化合物と媒質とが相溶してなる相溶組成物は、0〜150℃で、ブロック共重合体化合物は液状−ゲル状転移温度(Tc)を有さず、相溶組成物は液状−ゲル状転移温度(Tc)を有する組成物である。
【0047】
相溶組成物は、
温度Tc以上(好ましくは温度Tcよりも10℃以上高温、より好ましくは温度Tcよりも15℃以上高温、更に好ましくは温度Tcよりも20℃以上高温)の温度では、大気圧下で水平なガラスプレート上に0.01g以上滴下すると自然流動する液状体であるが、
温度Tc未満(好ましくは温度Tcよりも10℃以上低温、より好ましくは温度Tcよりも15℃以上低温、更に好ましくは温度Tcよりも20℃以上低温)の温度では、大気圧下で水平なガラスプレート上に0.01g以上静置しても流動しないゲル状体である。
【0048】
相溶組成物は、温度Tcの前後(好ましくはTc±10℃の温度範囲、より好ましくはTc±15℃の温度範囲、更に好ましくはTc±20℃の温度範囲)の温度で、ゲル状体と液状体に可逆的に変化する。
【0049】
相溶組成物をゲル状で使用できる温度範囲が広く、あまり高温で液状にする必要がないという観点から、温度Tcは、好ましくは10〜100℃、より好ましくは20〜90℃、更に好ましくは30〜80℃である。
【0050】
温度Tcは、
重合物aのTgが高い(メタ)アクリレート単位でブロック重合体aを構成するか、媒質の配合比率を少なくすると、高温側に設定でき、
重合物aのTgが低い(メタ)アクリレート単位でブロック重合体aを構成するか、媒質の配合比率を大きくすると、低温側に設定できる。
【0051】
相溶性組成物は、液状時の部材への塗付性及びゲル状時の部材同士の接着性並びに相転移性の観点から、化合物A100質量部に対して、化合物Bの質量部は、好ましくは200〜1000質量部、より好ましくは250〜800質量部である。
【0052】
相溶性組成物が相溶組成物粘弾性体である場合、粘弾性特性の観点から、化合物B中の反応性化合物の含有割合は、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは25〜70質量%、更に好ましくは30〜60質量%である。
【0053】
相溶性組成物が相溶組成物粘弾性体である場合、加える重合開始剤は、少なくとも化合物A及び化合物Bの合計に対して、好ましく1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、更に好ましくは2.5〜7.5質量%である。
【0054】
〈組成物X1として好適な相溶組成物粘弾性体〉
相溶性組成物は、ゲル状の相溶組成物及び硬化時の相溶組成物の弾性と粘着性を向上する観点から、化合物A(好ましくは、反応性がさらに付与された化合物A)、化合物Bとしてラジカル反応性、カチオン反応性、アニオン反応性及び湿気反応性からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性を有する反応性化合物(好ましくは、更に可塑剤との組合せ)並びに重合開始剤を含有することが好ましい(以下、化合物A(好ましくは、反応性がさらに付与された化合物A)、化合物Bとしてラジカル反応性、カチオン反応性、アニオン反応性及び湿気反応性からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性を有する反応性化合物(好ましくは、更に可塑剤との組合せ)並びに重合開始剤を含有するゲル状の相溶性組成物を相溶組成物粘弾性体ともいう)。
【0055】
相溶組成物粘弾性体は、相溶組成物でシートを構成するのに適した弾性及び強度(以下、これらをまとめて粘弾性特性ともいう)を有することが好ましく、このような粘弾性特性を有する相溶組成物粘弾性体は、異高部分を有する表面S1及び表面S2を貼合するのに好適な粘着シートとして使用できる。
【0056】
以下に説明する組成物X1の相溶組成物粘弾性体の好適物性は、組成物X1、X2及びX3並びに組成物Yの相溶組成物粘弾性体の好適物性でもある。
【0057】
シートを構成できる程度の弾性率としては、
25℃において、好ましくは0.3〜1000kPa、より好ましくは0.5〜500kPa、更に好ましくは0.5〜200kPaであり、
25℃において、弾性率が0.3kPa未満の場合は、温度Tc−20℃において、好ましくは0.5〜500kPa、より好ましくは1〜200kPaである。
【0058】
なお、相溶組成物粘弾性体の弾性率は実施例に記載した測定条件で測定する。
【0059】
シートを構成できる程度の伸びとして、
好ましくは10〜1000%、より好ましくは30〜800%、更に好ましくは50〜500%であり、
シートを構成できる程度の破壊強度として、
好ましくは1×10
2〜1×10
7Pa、より好ましくは1×10
2〜1×10
6Pa、更に好ましくは1×10
3〜1×10
5Paである。
【0060】
なお、相溶組成物粘弾性体の伸びと破断強度は、ダンベル引張試験によって測定することができる。具体的には、相溶組成物粘弾性体の弾性率が、
25℃で0.3Pa以上の場合は25℃で、
0.3Pa未満の場合は温度Tc−20℃で、以下の条件で測定できる。
【0061】
《ダンベル試験》
(1)相溶組成物粘弾性体を温度Tc+20℃で液状にした後ダンベルの型に流し込み温度Tc未満の温度に冷却(実際は室温)して厚み1mmのダンベル試験片を作製する。
(2)ダンベル試験片を引張試験機(ミネベア製テクノグラフ、TG−2kN)にて10mm/minの引張り速度で引張り、測定結果から伸び率及び破断強度を読み取る。
【0062】
相溶組成物粘弾性体はこの粘着性によって、例えば、粘着シートを構成したときに、粘着シートを部材の表面に安定して貼合わせることができるため、工程1において安定した表面S1及び表面S2の貼合作業をすることができる。
【0063】
さらに、相溶組成物粘弾性体の層に加熱、光照射及び加湿からなる群から選ばれる少なくとも1の処理をして、相溶組成物粘弾性体の層を熱硬化、光硬化及び湿硬化からなる群から選ばれる少なくとも1種の硬化をさせて、液状−ゲル状転移温度(Tc)を有さない硬化体にすることで、硬化した相溶組成物粘弾性体の層が温度Tc以上の高温環境でも流動性のない粘弾性体のままとなり、耐久性のある貼合体を作製できる。
【0064】
(2)組成物X2
〈組成物X2として好適な相溶組成物〉
組成物X2としては、
グラフト共重合体化合物と媒質とが相溶してなる相溶組成物であって、
前記グラフト共重合体化合物は、
(メタ)アクリレート単位を主体とする重合体ブロックaと、
(メタ)アクリレート単位を主体とする重合体ブロックbとのグラフト共重合体化合物であり、
前記重合体ブロックaを構成する(メタ)アクリレート単位だけで構成される重合物のガラス転移温度が30℃超180℃以下であり、
前記重合体ブロックbを構成する(メタ)アクリレート単位だけで構成される重合物のガラス転移温度が−100℃以上30℃以下であり、
前記グラフト共重合体化合物は、0〜150℃で液状−ゲル状転移温度(Tc)を有さず、
前記相溶組成物は、0〜150℃で液状−ゲル状転移温度(Tc)を有する相溶組成物を挙げることができる。
【0065】
重合体ブロックaを構成する(メタ)アクリレート単位は、それ単体で構成される重合物(以下、重合物aという)のガラス転移温度が30℃超180℃以下となる(メタ)アクリレート化合物が重合した際に形成される。なお、ガラス転移温度の安定性の観点から、重合物aの重量平均分子量は、好ましくは1×10
5以上、より好ましくは1×10
5〜1×10
9、更に好ましくは1×10
5〜1×10
7である。
【0066】
重合体ブロックbを構成する(メタ)アクリレート単位は、それ単体で構成される重合物(以下、重合物bという)のガラス転移温度が−100℃以上30℃以下となる(メタ)アクリレート化合物が重合した際に形成される。なお、ガラス転移温度の安定性の観点から、重合物bの重量平均分子量は、好ましくは1×10
5以上、より好ましくは1×10
5〜1×10
9、更に好ましくは1×10
5〜1×10
7である。
【0067】
なお、重量平均分子量は、GPCに基づいて測定されたものであり、好ましくは、以下の条件で測定される:
測定装置:島津製作所社製GPCシステム;
カラムの種類:有機溶媒系SECカラム(東ソー社製);
溶剤の種類:テトラヒドロフラン(THF)。
【0068】
重合体ブロックa又は重合体ブロックbを構成可能な(メタ)アクリレート化合物としては、
好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
メトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ置換アルキル(メタ)アクリレート;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ置換アルキル(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;及び
ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノルボルネン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環構造含有(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、ジエチルアクリルアミド等のアクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも2種の化合物であり、
より好ましくは、少なくともどちらかがメタクリレート化合物である。
【0069】
それぞれの化合物が単独で重合物を構成したときに示すTgに基づいて、重合体ブロックa又は重合体ブロックbの構成単位とする。
【0070】
重合体ブロックaは、(メタ)アクリレート単位だけで構成されていることが好ましいが、0〜150℃で、化合物Aが液状−ゲル状転移温度(Tc)を有さず、後述する相溶化合物が液状−ゲル状転移温度(Tc)を有する限り、共重合可能な他の化合物単位が含まれていることが許容される、(メタ)アクリレート単位を主体とする重合体構造である。
【0071】
重合体ブロックa中の(メタ)アクリレート単位のモル比は、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、更に好ましくは99〜100モル%である。
【0072】
重合体ブロックbは、(メタ)アクリレート単位だけで構成されていることが好ましいが、0〜150℃で、化合物Aが液状−ゲル状転移温度(Tc)を有さず、後述する相溶化合物が液状−ゲル状転移温度(Tc)を有する限り、共重合可能な他の化合物単位が含まれていることが許容される、(メタ)アクリレート単位を主体とする重合体構造である。
【0073】
重合体ブロックb中の(メタ)アクリレート単位のモル比は、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、更に好ましくは99〜100モル%である。
【0074】
化合物A中の重合体ブロックa及びbは、それぞれ重合物a及びbとほぼ同等の重合構造を有すると考えられので、化合物Aのガラス転移点は、重合物a及びbのガラス転移点が含まれる温度範囲、例えば、30℃超180℃以下の温度範囲と、−100℃以上30℃以下の温度範囲とにガラス転移温度を有することが好ましい。
【0075】
グラフト共重合体化合物は、重合体ブロックaと重合体ブロックbとのグラフト共重合体であり、
例えば、重合体ブロックaは(メタ)アクリレート単位が線状に結合した構造で、重合体ブロックaの構成単位の少なくとも一つが、さらに重合体ブロックbを構成する(メタ)アクリレート単位と結合して重合体ブロックaから枝分かれしたように重合体ブロックbが結合した構造をとる。
【0076】
重合体ブロックaの複数の構成単位のそれぞれに重合体ブロックbが結合している場合、重合体ブロックaを幹、それぞれの重合体ブロックbを枝と呼ぶ。
【0077】
グラフト共重合体化合物は、重合体ブロックaを幹、重合体ブロックbを枝とするグラフト共重合体でもよいし、重合体ブロックbを幹、重合体ブロックaを枝とするグラフト共重合体でもよい。
【0078】
グラフト共重合体化合物は、例えば、重合体ブロックaを予め製造し、重合体ブロックaの末端を構成するアクリレート単位a
eと(メタ)アクリレート単位b
eとを共重合して、(メタ)アクリレート単位b
eと(メタ)アクリレート単位a
eとの共重合体で幹が構成される場合がある。
この場合、幹中の(メタ)アクリレート単位a
eを(メタ)アクリレート単位b
eに置き換えた(メタ)アクリレート単位b
eの重合物を重合体ブロックbとみなし、重合体ブロックaから(メタ)アクリレート単位a
eを除いた重合体ブロックaの部分を枝とみなす。
【0079】
枝を重合体aで構成する場合、後述する相溶組成物が液状−ゲル状転移性の観点から、GPC法による数平均分子量が好ましくは3000〜100000、好ましくは5000〜50000であり、ガラス転移温度は30℃超180℃以下、好ましくは40℃超180℃以下、より好ましくは50℃超180℃以下、更に好ましくは枝の片末端が好ましくは60℃超180℃以下であり、(メタ)アクリロイル基を有する、好ましくはメタクリレート単位、より好ましくはメチルメタクリレート単位(MMA)等のメタクリレート単位であり(但し、メタクリル酸、アクリル酸エステル、アクリロニトリルなどのビニルモノマ−単位が少量含まれていてもよい)で構成される。
【0080】
幹を重合体bで構成する場合、後述する液相溶組成物が液状−ゲル状転移性の観点から、GPC法による数平均分子量が好ましくは5000〜200000、好ましくは10000〜150000であり、ガラス転移温度は−100℃以上30℃以下、好ましくは−100℃以上20℃以下、より好ましくは−100℃以上10℃以下、更に好ましくは−100℃以上0℃以下であり、好ましくはてエチルアクリレート単位(EA)、n−ブチルアクリレート単位(nBA)及びラウリルメタクリレート単位(LMA)からなる群から選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリレート単位、より好ましくはエチルアクリレート単位(EA)及び/又はn−ブチルアクリレート単位(n−BA)で構成される。
【0081】
グラフト共重合体化合物の合計量W及び数平均分子量(重量平均分子量)Mとからグラフト共重合体化合物の総モル数NをN=W/Mで算出し、
枝を構成する予め合成した重合体ブロックaの合計量w
a及び数平均分子量(重量平均分子量)m
aとから、重合体ブロックaの総モル数n
aをn
a=w
a/m
aで算出して、
幹1本を構成する重合体ブロックbの数平均分子量(重量平均分子量)m
bと幹1本当たりの枝の数n
xを、m
b+n
x・m
a=M、n
x=n
a/N と定義して、m
bを算出し、これを重合体ブロックbの数平均分子量(重量平均分子量)としてもよい。
【0082】
後述する相溶組成物の液状−ゲル状転移性の観点から、グラフト共重合体化合物を構成する重合体ブロックaと重合体ブロックbの質量比(a/b)は、好ましくは5〜95/95〜5、より好ましくは10〜90/90〜10、更に好ましくは15〜85/85〜15である。
【0083】
後述する液相溶組成物が液状−ゲル状転移性の観点から、グラフト共重合体化合物の重量平均分子量は好ましくは8000〜300000、より好ましくは15000〜280000、更に好ましくは30000〜250000である。
【0084】
グラフト共重合体化合物は、例えば、特開平5−170838号公報、特開平6−234822号公報に記載された製造方法で得ることができ、例えば、表1に記載した三菱レイヨン社の市販品を使用できる。
【0086】
〈組成物X2として好適な相溶組成物粘弾性体〉
組成物X1として好適な相溶組成物と同様の観点から、組成物X2として好適な相溶組成物も、ゲル状の相溶組成物及び硬化時の相溶組成物の弾性と粘着性を向上する観点から、化合物A(好ましくは、反応性がさらに付与された化合物A)、化合物Bとしてラジカル反応性、カチオン反応性、アニオン反応性及び湿気反応性からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性を有する反応性化合物(好ましくは、更に可塑剤との組合せ)並びに重合開始剤を含有することが好ましい(以下、化合物A(好ましくは、反応性がさらに付与された化合物A)、化合物Bとしてラジカル反応性、カチオン反応性、アニオン反応性及び湿気反応性からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性を有する反応性化合物(好ましくは、更に可塑剤との組合せ)並びに重合開始剤を含有するゲル状の相溶性組成物を相溶組成物粘弾性体ともいう)。
【0087】
組成物X2における媒質は、グラフト共重合体化合物と相溶して、0〜150℃で液状−ゲル状転移温度(Tc)を有する本発明の相溶組成物(以下、相溶組成物ともいう)を構成する化合物であり、例えば組成物X1における媒質を好適に挙げることができる。
【0088】
グラフト共重合体化合物と媒質とが相溶してなる相溶組成物は、0〜150℃で、化合物Aは液状−ゲル状転移温度(Tc)を有さず、
相溶組成物は液状−ゲル状転移温度(Tc)を有する組成物であり、
組成物X1における相溶組成物と同様の性状を有することが好ましい。
【0089】
なお、温度Tcは、
重合物aのTgが高い(メタ)アクリレート単位でブロック重合体aを構成するか、化合物Bの配合比率を少なくすると、高温側に設定でき、
重合物aのTgが低い(メタ)アクリレート単位でブロック重合体aを構成するか、化合物Bの配合比率を大きくすると、低温側に設定できる。
【0090】
相溶性組成物は、液状時の部材への塗付性及び相転移性の観点から、グラフト共重合体化合物100質量部に対して、媒質の質量部は、好ましくは200〜1000質量部、より好ましくは250〜800質量部である。
【0091】
相溶性組成物が相溶組成物粘弾性体である場合、耐久性、応力緩和性に適した粘弾性特性の観点から、媒質の反応性化合物の含有割合は、好ましくは20〜100質量%、より好ましくは25〜95質量%、更に好ましくは30〜90質量%である。
【0092】
相溶性組成物が相溶組成物粘弾性体である場合、加える重合開始剤は、少なくともグラフト共重合体化合物及び媒質の合計に対して、好ましく1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、更に好ましくは2.5〜7.5質量%である。
【0093】
(3)組成物X3
〈組成物X3として好適な相溶性組成物〉
組成物X3としては、
ブロック共重合体化合物と媒質とが相溶してなる相溶組成物であって、
前記ブロック共重合体化合物は、
スチレン系化合物単位を主体とする重合体ブロックaと、
アルケン系化合物、ジエン系化合物及びアルキン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の炭化水素系化合物の単位を主体とする重合体ブロックb
1、又は(メタ)アクリレート単位を主体とする重合体ブロックb
2とのブロック共重合体構造を有する化合物であり、
前記重合体ブロックb
2を構成する(メタ)アクリレート単位だけで構成される重合物のガラス転移温度が−100℃以上50℃以下であり、
前記相溶組成物は、0〜150℃で液状−ゲル状転移温度(Tc)を有する相溶組成物を挙げることができる。
【0094】
以下、重合体ブロックaと重合体ブロックb
1とのブロック共重合体構造を有する化合物を化合物A
1といい、重合体ブロックaと(メタ)アクリレート単位を主体とする重合体ブロックb
2とのブロック共重合体構造を有する化合物を化合物A
2という。
【0095】
重合体ブロックaを構成するスチレン系化合物単位は、スチレン系化合物であるスチレン及び/又はビニル基と芳香環構造を維持したスチレンの誘導体が重合した際に形成される。以下、重合に使用するスチレン又はスチレンの誘導体をベース化合物と呼ぶ。
【0096】
重合体ブロックaを構成可能なスチレン系化合物としては、後述する硬化性樹脂組成物の相溶性と液状−ゲル状転移性の観点から、
好ましくは、スチレン;α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、4−ヘキシルスチレンなどのアルキル基置換スチレン;p−ヒドロキシスチレンなどのヒドロキシル基置換スチレン;p−メトキシスチレン、4−tert−ブトキシスチレンなどのアルコキシ基置換スチレン;4−アミノスチレンなどのアミノ基置換スチレン;及び4−クロロスチレン、4−ブロモスチレンなどのハロゲン置換スチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種のスチレン系化合物、
より好ましくは、スチレンである。
【0097】
重合体ブロックaは、スチレン系化合物単位だけで構成されていることが好ましいが、後述する硬化性樹脂組成物が相溶性と液状−ゲル状転移性を有する限り、共重合可能な他の化合物単位が含まれていることが許容される、スチレン系化合物単位を主体とする重合体構造である。
【0098】
重合体ブロックa中のスチレン系化合物単位のモル比は、後述する硬化性樹脂組成物の液状−ゲル状転移性の観点から、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、更に好ましくは99〜100モル%である。
【0099】
なお、重量平均分子量は、GPCに基づいて測定されたものであり、好ましくは、以下の条件で測定される(以下、同様である):
測定装置:島津製作所社製GPCシステム;
カラムの種類:有機溶媒系SECカラム(東ソー社製);
溶剤の種類:テトラヒドロフラン(THF)。
【0100】
(3.1)化合物A
1
重合体ブロックb
1を構成する特定炭化水素系化合物単位は、後述する特定炭化水素系化合物が重合した際に形成される。
【0101】
重合体ブロックb
1を構成可能な特定炭化水素系化合物としては、後述する硬化性樹脂組成物の相溶性と液状−ゲル状転移性の観点から、
アルケン系化合物としては、エチレン、プロピレン等のアルケン及び/又はこれらの(共)重合体並びにこれらの水添化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
ジエン系化合物としては、ブタジエン、イソプレン等のジエン及び/又はこれらの(共)重合体並びにこれらの水添化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
アルキン系化合物としては、アセチレン等のアルキン及び/又はこれらの(共)重合体
並びにこれらの水添化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
なお、本明細書では、重合体又は共重合体を「(共)重合体」と表記する。
【0102】
重合体ブロックb
1を構成可能な特定炭化水素系化合物としては、後述する硬化性樹脂組成物の相溶性と液状−ゲル状転移性の観点から、上述の化合物の中では、水添化合物の態様であることが好ましい。
【0103】
上述の好適な特定炭化水素系化合物において、同様の観点から、
ベースとなるアルケンとしては、好ましくはエチレン及び/又はプロピレンであり、
ベースとなるジエンとしては、好ましくはブタジエン及び/又はイソプレンであり、
ベースとなるアルキンとしては、好ましくはアセチレンである。
なお、本明細書では、例えば、「アルケン」、「アルケンの重合体」及び「アルケンの重合体の水添加物」の構成要素のアルケンを「ベースとなるアルケン」という。
【0104】
上述の好適な特定炭化水素系化合物において、同様の観点から、ベースとなる炭化水素としては、
好ましくはジエン及び/又はアルキンであり、より好ましくはジエンであり、
更に好ましくはブタジエン、イソプレン及びアセチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の炭化水素化合物であり、更に好ましくはブタジエン及び/又はイソプレンである。
【0105】
重合体ブロックb
1は、特定炭化水素系化合物単位だけで構成されていることが好ましいが、後述する硬化性樹脂組成物が相溶性と液状−ゲル状転移性を有する限り、共重合可能な他の化合物単位が含まれていることが許容される、特定炭化水素系化合物単位を主体とする重合体構造である。
【0106】
後述する硬化性樹脂組成物の相溶性と液状−ゲル状転移性の観点から、
重合物b
2の重量平均分子量は、好ましくは1×10
5以上、より好ましくは1×10
5〜1×10
9、更に好ましくは1×10
5〜1×10
7であり、
重合体ブロックb
1中の特定炭化水素系化合物単位のモル比は、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、更に好ましくは99〜100モル%である。
【0107】
硬化性樹脂組成物の相溶性と液状−ゲル状転移性の観点から、化合物A
1の重量平均分子量は、好ましくは10000〜500000、より好ましくは30000〜400000、更に好ましくは50000〜300000である。
【0108】
硬化性樹脂組成物の相溶性と液状−ゲル状転移性の観点から、化合物A
1は、
重合体ブロックb
1の両末端に重合体ブロックaが結合したトリブロック体構造又は重合体ブロックaと重合体ブロックb
1が結合するジブロック体構造であることが好ましく、トリブロック体構造であることがより好ましい。
【0109】
後述する硬化性樹脂組成物の相溶性と液状−ゲル状転移性の観点から、
重合体ブロックaと重合体ブロックb
1の合計質量中の重合体ブロックaの質量%が高い方が好ましい。
【0110】
後述する硬化性樹脂組成物の相溶性と液状−ゲル状転移性の観点から、化合物A中の重合体ブロックa及び重合体ブロックb
1の合計のモル%は、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、更に好ましくは99〜100モル%である。
【0111】
化合物A
1の重合体ブロックaと重合体ブロックb
1の各構造と結合形態は、後述する硬化性樹脂組成物が相溶性と液状−ゲル状転移性を有するように選択すればよく、例えば表1に挙げた市販品から選択することができる。
【0112】
なお、表2において、ハイブラー、セプトン、クレイトン及びタフテックは登録商標であり、
Sはスチレンをベース化合物とする単位、Bはブタジエンをベースとする単位、Iはイソプレンをベースとする単位、n−BAはn−ブチルアクリレートをベース化合物とする単位であり、
「a」は重合体ブロックa、「b
1」は重合体ブロックb
1、「b
2」は重合体ブロックb
2、「a−b
1」は重合体ブロックaと重合体ブロックb
1のジブロック共重合体、「a−b
1−a」「a−b
2−a」はそれぞれ重合体ブロックaと重合体ブロックb
1又はb
2のトリブロック共重合体をそれぞれ表す。
【0114】
(3.2)化合物A
2
重合体ブロックb
2を構成する(メタ)アクリレート単位は、それ単体で構成される重合物(以下、重合物b
2という)のガラス転移温度が−100℃以上50℃以下となる(メタ)アクリレート化合物が重合した際に形成される。なお、ガラス転移温度の安定性の観点から、重合物b
2の重量平均分子量は、好ましくは1×10
5以上、より好ましくは1×10
5〜1×10
9、更に好ましくは1×10
5〜1×10
7である。
【0115】
重合体ブロックb
2を構成可能な(メタ)アクリレート化合物としては、
好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
メトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ置換アルキル(メタ)アクリレート;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ置換アルキル(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;及び
ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノルボルネン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環構造含有(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、ジエチルアクリルアミド等のアクリルアミドからなる群から選ばれる化合物であり、
より好ましくは、アクリル酸n−ブチル(ブチルアクリレート)である。
【0116】
後述する硬化性樹脂組成物が相溶性と液状−ゲル状転移性の観点から、重合体ブロックb
2は、(メタ)アクリレート単位だけで構成されていることが好ましいが、0〜150℃で、化合物Aが液状−ゲル状転移温度(Tc)を有さず、後述する相溶化合物が液状−ゲル状転移温度(Tc)を有する限り、共重合可能な他の化合物単位が含まれていることが許容される、(メタ)アクリレート単位を主体とする重合体構造である。
【0117】
後述する硬化性樹脂組成物が相溶性と液状−ゲル状転移性の観点から、重合体ブロックb
2中の(メタ)アクリレート単位のモル比は、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、更に好ましくは99〜100モル%である。
【0118】
化合物A
2中の重合体ブロックb
2は、重合物b
2とほぼ同等の重合構造を有すると考えられので、化合物A
2のガラス転移点は、重合物b
2のガラス転移点が含まれる温度範囲、即ち、−100℃以上50℃以下の温度範囲にガラス転移温度を有することが好ましい。
い。
【0119】
化合物A
2は、後述する液相溶組成物が液状−ゲル状転移性の観点から、
重合体ブロックb
2の両末端に前記重合体ブロックaが結合したトリブロック構造を少なくとも1つ有することが好ましく、
トリブロック構造だけで構成されていることがより好ましいが、
0〜150℃で、化合物Aが液状−ゲル状転移温度(Tc)を有さず、
後述する相溶組成物が液状−ゲル状転移温度(Tc)を有する範囲で、
トリブロック構造以外の構造(例えば、重合体ブロックaと重合体ブロックb
2が結合するジブロック構造)が含まれてよい。
【0120】
上記観点から、化合物A
2中のトリブロック構造のモル比は、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、更に好ましくは99〜100モル%である。
【0121】
化合物A
2としては、アルケマ社から市販されるスチレンを単位とする重合体ブロックaとn−ブチルアクリレートを単位とする重合体ブロックb
2とするトリブロック構造物(重合体ブロックa−重合体ブロックb
2−重合体ブロックa)を使用することができる。
【0122】
硬化性樹脂組成物の相溶性と液状−ゲル状転移性の観点から、化合物A
2の重量平均分子量は、好ましくは10000〜500000、より好ましくは30000〜400000、更に好ましくは50000〜300000である。
【0123】
(3.3)媒質
組成物X3における媒質は、化合物A
1又はA
2と相溶して、0〜150℃で液状−ゲル状転移温度(Tc)を有する組成物X
3における相溶組成物(以下、相溶組成物ともいう)を構成する化合物であり、例えば組成物X3における媒質を好適に挙げることができる。
【0124】
(3.4)相溶組成物
化合物A
1又はA
2と媒質とが相溶してなる相溶組成物は、
0〜150℃で、
化合物A
1又はA
2は液状−ゲル状転移温度(Tc)を有さず、
相溶組成物は液状−ゲル状転移温度(Tc)を有する組成物であり、
組成物X1における相溶組成物と同様の性状を有することが好ましい。
【0125】
相溶性組成物は、液状時の部材への塗付性及び相転移性の観点から、化合物A
1又はA
2100質量部に対して、媒質の質量部は、好ましくは200〜1000質量部、より好ましくは250〜800質量部である。
【0126】
〈組成物X3として好適な相溶性組成物粘弾性体〉
組成物X1として好適な相溶組成物と同様の観点から、組成物X3として好適な相溶組成物も、ゲル状の相溶組成物及び硬化時の相溶組成物の弾性と粘着性を向上する観点から、化合物A
1又はA
2(好ましくは、反応性がさらに付与された化合物A
1又はA
2)、化合物Bとしてラジカル反応性、カチオン反応性、アニオン反応性及び湿気反応性からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性を有する反応性化合物(好ましくは、更に可塑剤との組合せ)並びに重合開始剤を含有することが好ましい(以下、化合物A
1又はA
2(好ましくは、反応性がさらに付与された化合物A
1又はA
2)、化合物Bとしてラジカル反応性、カチオン反応性、アニオン反応性及び湿気反応性からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性を有する反応性化合物(好ましくは、更に可塑剤との組合せ)並びに重合開始剤を含有するゲル状の相溶性組成物を相溶組成物粘弾性体ともいう)。
【0127】
相溶性組成物が相溶組成物粘弾性体である場合、粘弾性特性の観点から、媒質中の反応性化合物の含有割合は、好ましくは20〜100質量%、より好ましくは25〜95質量%、更に好ましくは30〜90質量%である。
【0128】
相溶性組成物が相溶組成物粘弾性体である場合、加える重合開始剤は、少なくとも化合物A
1又はA
2及び媒質の合計に対して、好ましく1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、更に好ましくは2.5〜7.5質量%である。
【0129】
組成物X1、X2又はX3における相溶組成物は、液状−ゲル状転移温度(Tc)を有するという性状を阻害しない範囲で、後述するような媒質以外の添加剤を任意に配合することができ、その場合の媒質以外の添加剤の配合量は、配合物の全質量中、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜30質量%である。
【0130】
相溶組成物は、相転移性及び/又は粘弾性特性を阻害しない範囲で、例えば、酸化防止剤、濡れ剤、界面活性剤、イオン性液体、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、無機、有機各種フィラー、ポリマー等の添加剤を含めることができる。
【0131】
なお、相溶組成物中の添加剤とは、相溶組成物中に配合される添加剤と、相溶組成物と共に配合される添加剤を併せたものをいう。
【0132】
組成物X1、X2及びX3は、フィラーのような光を散乱させる化合物を添加させなければ、透明にすることができ、好ましくは0.3mmの厚みにおけるHAZE値1.0以下にすることができるので、光硬化性を利用する場合に効率のよい光照射をすることができる。
【0133】
HAZE値は、相溶性組成物の全光線透過率における、拡散透過率の割合を表し、効率のよい光照射の観点から、HAZE値は、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.2以下にするとよい。
(4)組成物X4
【0134】
組成物X4を調整する際に使用できる媒質としては、
水、アルコール、酢酸、ギ酸、アセトン、アセトニトリル、エチレングリコール、グリセリン等の水系媒質;
ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、ヘキサン、酢酸エチル、炭酸ジエチル等の非水系媒質;及び
油脂、鉱油、石油系溶媒等の油系媒質等が挙げられ、
これらに反応性の低いレオロジー調整剤を添加しTcを有させて組成物X4とすることができる。
【0135】
レオロジー調整剤としては、例えば、
シリカ、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、石綿粉、酸化銅、水酸化銅、酸化鉄、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉛、マグネシア、酸化スズ等の金属酸化物粒子、炭酸カルシウム、カーボン、シリカ、マイカ、スメクタイト、カーボンブラック等の無機微粒子;
ポリスチレンビーズ、ポリエチレン粒子、アクリル粒子、ポリシロキサン樹脂粒子、イソプレンゴム粒子、ポリアミド粒子等の有機微粒子;
ポリエチレン、ポリシロキサン、ポリアクリル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、アルキル変性セルロース、ペプチド、ポリペプチド等の高分子化合物;及び
アマイドワックス、水添ひまし油誘導体、1,3,5−トリス(トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレート、変性ポリエステルポリオール、エチルセルロース、メチルセルロース、セルロース誘導体、有機ベントナイト等の有機化合物などを挙げることができる。
【0136】
レオロジー調整剤として、さらに具体的には、以下を挙げることができる:
特開2017-066278号公報に例示されるアマイドワックス、水添ひまし油、1,3,5−トリス(トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレート等の有機化合物;ヒュームドシリカ、カーボンブラック等の無機化合物;
エチルセルロース、BYK−405、410、411、415、420、425、420、430、431等(ビック・ケミー株式会社)、Disparlonチクソトロピック剤シリーズ(楠本化成)等の市販品;
ポリシロキサン、ポリアクリル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、アルキル変性セルロース、ペプチド、ポリペプチド、及びこれらのうち2つ以上の構造を有する共重合体;
ポリスチレンビーズ、ポリエチレン粒子、アクリル粒子、ポリシロキサン樹脂粒子、イソプレンゴム粒子、ポリアミド粒子等の有機微粒子;
特開2014-082328号公報に例示される酸化銅、水酸化銅、酸化鉄、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉛、マグネシア、酸化スズ等の金属酸化物粒子、炭酸カルシウム、カーボン、シリカ、マイカ、スメクタイト等の無機微粒子;及び
特開2014-019802号公報に例示される揺変剤とも呼ばれる、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ及び石綿粉等の無機揺変剤;有機ベントナイト、変性ポリエステルポリオール、脂肪酸アマイド等の有機揺変剤;水添ヒマシ油誘導体、脂肪酸アマイドワックス、ステアリル酸アルミニウム、ステアリル酸バリウム等。
【0137】
組成物X4におけるTcを有しない液状媒質としては、組成物X1〜3で挙げた好適な媒質が使用できる。
【0138】
組成物X4におけるレオロジー調整剤としては、
シリカ、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、アマイドワックス、水添ひまし油誘導体、セルロース誘導体が好ましく、
アマイドワックス、水添ひまし油誘導体、セルロース誘導体がより好ましく、
アマイドワックスが更に好ましい。
【0139】
(5)より好適なゲル状組成物
本発明1及び2に適用されるゲル状組成物は、例えば、シート状に成形して、シート状ゲル状組成物に工程2で貼合体を作成後に、湿気、熱又は光によって適度に硬化することで、貼合状態がより安定しアライメントズレが生じ難くなる。
【0140】
例えば、組成物X1、X2及びX3における化合物A及び化合物Bについていえば、以下のような態様が好適である。
【0141】
化合物Aは、硬化時の相溶組成物の弾性と粘着性を向上する観点から、重合体ブロックaと重合体ブロックbとのブロック共重合体の末端又は側鎖に、ラジカル反応性基、カチオン反応性基、アニオン反応性基及び湿気反応性基からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性官能基を有することによって反応性がさらに付与されていることが好ましい。
【0142】
なお、本明細書では空気中の水分(湿気)によって重合反応する反応性基のことを湿気反応性基といい、硬化性組成物中の湿気反応性基の重合反応による硬化性組成物の硬化を湿硬化という。
【0143】
ゲル状の相溶組成物及び硬化時の相溶組成物の弾性と粘着性を向上する観点から、前述のラジカル反応性基としては、
好ましくは、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ウレタン(メタ)アクリレート、ビニル基、ビニルエーテル、アリルエーテル、マレイミド及び無水マレイン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の、
より好ましくは、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ウレタン(メタ)アクリレート及びビニルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の、
更に好ましくは、(メタ)アクリレート及びウレタン(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル反応性基である。
【0144】
ゲル状の相溶組成物及び硬化時の相溶組成物の弾性と粘着性を向上する観点から、前述のカチオン反応性基としては、
好ましくは、エポキシ、オキセタン及びビニルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオン反応性基である。
【0145】
ゲル状の相溶組成物及び硬化時の相溶組成物の弾性と粘着性を向上する観点から、前述のアニオン反応性基としては、好ましくはエポキシ、オキセタン及びビニルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオン反応性基である。
【0146】
ゲル状の相溶組成物及び硬化時の相溶組成物の弾性と粘着性を向上する観点から、前述の湿気反応性基としては、好ましくはイソシアネート基及び/又はアルコキシシリル基である。
【0147】
化合物Bは、硬化時の相溶組成物の強度、弾性及び粘着性を向上する観点から、ラジカル反応性、カチオン反応性、アニオン反応性及び湿気反応性からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性を有する反応性化合物を使用することが好ましい。
【0148】
ゲル状の相溶組成物及び硬化時の相溶組成物の強度、弾性及び粘着性を向上する観点から、化合物Bにおけるラジカル反応性化合物としては、
好ましくは、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ウレタン(メタ)アクリレート、ビニル基、ビニルエーテル、アリルエーテル、マレイミド及び無水マレイン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の、
より好ましくは、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ウレタン(メタ)アクリレート及びビニルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の、
更に好ましくは、(メタ)アクリレート及びウレタン(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル反応性基(ラジカル反応の速度と安定性の観点からは好ましくは2官能以上の多官能)を有する反応性化合物である。
【0149】
ゲル状の相溶組成物及び硬化時の相溶組成物の強度、弾性及び粘着性を向上する観点から、化合物Bにおけるカチオン反応性化合物としては、
好ましくは、エポキシ、オキセタン及びビニルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオン反応性を有する反応性化合物である。
【0150】
ゲル状の相溶組成物及び硬化時の相溶組成物の強度、弾性及び粘着性を向上する観点から、アニオン反応性化合物としては、好ましくはエポキシ、オキセタン及びビニルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオン反応性化合物である。
【0151】
ゲル状の相溶組成物及び硬化時の相溶組成物の強度、弾性及び粘着性を向上する観点から、化合物Bにおける湿気反応性化合物としては、好ましくはイソシアネート基及び/又はアルコキシシラン基である。
【0152】
ゲル状の相溶組成物及び硬化時の相溶組成物の強度、弾性及び粘着性を向上する観点から、好ましくは、
ラジカル反応性基を有する化合物Aとラジカル反応性化合物である化合物Bとの組合せ、
カチオン反応性基を有する化合物Aとカチオン反応性化合物である化合物Bとの組合せ、
アニオン反応性基を有する化合物Aとアニオン反応性化合物である化合物Bとの組合せ、及び、
湿気反応性基を有する化合物Aと湿気反応性化合物である化合物Bとの組合せからなる群から選ばれる少なくとも1の組合せによって相溶性組成物を構成する。
【0153】
ゲル状の相溶組成物及び硬化時の相溶組成物の強度、弾性及び粘着性を向上する観点と相溶性組成物の利用し易さの観点から、相溶組成物は、反応性化合物の種類に応じて適切な重合開始剤を含有していることが好ましい。
【0154】
反応性化合物がラジカル反応性化合物の場合は、重合開始剤としては、
好ましくは、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−メチルチオ]フェニル]−2−モルホリノプロパンー1−オン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、イソプロピルチオキサントン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン、2,4−ジエチルチオキサントン、2ークロロチオキサントン、エチルアントラキノン、ベンゾフェノンアンモニウム塩、チオキサントンアンモニウム塩、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、1,4ジベンゾイルベンゼン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2,2’ビス(o−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)1,2’−ビイミダゾール、2,2’ビス(o−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイル ビフェニル、4−ベンゾイルジフェニルエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、o−メチルベンゾイルベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル、活性ターシャリアミン、カルバゾール・フェノン系光反応開始剤化合物、アクリジン系光反応開始剤化合物、及び、トリアジン系光反応開始剤化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
より好ましくは、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン及び/又は2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキシドである。
【0155】
反応性化合物がカチオン反応性化合物の場合は、重合開始剤としては、
好ましくはアリールジアゾニウム塩、ジアリールハロニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリホスホニウム塩、鉄アレン錯体、チタノセン錯体及びアリールシラノールアルミニウム錯体からなる群から選ばれる少なくとも1種のイオン性光酸発生剤化合物、並びに/又は、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、燐酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン及びN−ヒドロキシイミドスルホナートからなる群から選ばれる少なくとも1種の非イオン性光酸発生剤化合物である。
【0156】
反応性化合物がアニオン反応性化合物の場合は、重合開始剤としては、
好ましくは、1,10−ジアミノデカン、4,4’−トリメチレンジピペラジン、カルバメート類化合物及びその誘導体、コバルト−アミン錯体類化合物、アミノオキシイミノ類化合物及びアンモニウムボレート類化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0157】
反応性化合物が湿気反応性化合物の場合は、重合開始剤としては、
好ましくは、シラノール縮合触媒としてテトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、チタンテトラアセチルアセトナート及びビスアセチルアセトナトジイソプロポキシチタンからなる群から選ばれる少なくとも1種のチタン化合物、
ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫フタレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノレート、ジブチル錫ジメチルマレエート、ジブチル錫ジエチルマレエート、ジブチル錫ジブチルマレエート、ジブチル錫ジオクチルマレエート、ジブチル錫ジトリデシルマレエート、ジブチル錫ジベンジルマレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジエチルマレエート、ジオクチル錫ジオクチルマレエート、ジブチル錫ジメトキサイド、ジブチル錫ジノニルフェノキサイド、ジブテニル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ジエチルアセトアセトナート、ジブチル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物及びジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物からなる群から選ばれる少なくとも1種の4価の有機錫化合物、
アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機アルミニウム化合物、
ジルコニウムテトラアセチルアセトナートなどのジルコニウム化合物、
アミン系化合物、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルとアミン系化合物との反応物、飽和または不飽和の多価カルボン酸またはその酸無水物、カルボン酸化合物とアミン系化合物との塩など反応物、オクチル酸鉛、並びに、
イソシアネート反応触媒からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0158】
イソシアネート反応触媒としては、
好ましくは、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン、N,N´,N´−トリメチルアミノエチルピペラジン、トリエチレンジアミン及びジメチルエタノールアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種のアミン類化合物、
トリエチルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン類化合物、
ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、錫オクトエート及びジブチル錫ジエチルヘキサノレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機スズ化合物、
ジ(2−エチルヘキサン酸)鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、並びに、ナフテン酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0159】
相溶性組成物が硬化性である場合、耐久性、及び応力緩和性の観点から、化合物B中の反応性化合物の含有割合は、好ましくは20〜100質量%、より好ましくは25〜95質量%、更に好ましくは30〜90質量%である。
【0160】
相溶性組成物が硬化性である場合、加える重合開始剤は、少なくともブロック共重合体化合物及び媒質の合計に対して、好ましく1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、更に好ましくは2.5〜7.5質量%である。
【0161】
湿気硬化する化合物としては、例えば、イソシアネート基、アルコキシシリル基、又はケイ素原子に結合した水酸基若しくは加水分解性基を有しシロキサン結合を形成することにより架橋し得る反応性ケイ素基等の湿気反応性基を有する有機化合物が挙げられ、湿気反応性基の加水分解反応等によって架橋することで硬化物が得られる。
【0162】
熱硬化する成分化合物としては、硬化剤及び/又は熱重合開始剤の存在下で加熱することにより反応するエポキシ系、オキセタン系、ビニルエーテル系、フェノール系、熱硬性ポリウレタン系、不飽和ポリエステル系、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリルアミド系、(メタ)アクリロニトリル系、ビニル系化合物、アリルエーテル系、マレイミド及び無水マレイン酸、エポキシアリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等のモノマー及び/又はオリゴマーが挙げられる。
【0163】
光硬化する成分化合物としては、例えば光重合開始剤及び/又は光増感剤の存在下で紫外線照射により反応するエポキシ系、オキセタン系、ビニルエーテル系、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリルアミド系、(メタ)アクリロニトリル系、ビニル系、ビニルエーテル系、アリルエーテル系、マレイミド及び無水マレイン酸、エポキシアリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等のモノマー及び/又はオリゴマーが挙げられる。
【0164】
ゲル状組成物の硬化体は、貼合体の安定性の観点から、弾性率の範囲が、25℃おいて、好ましくは0.1〜10000000kPa、より好ましくは1〜1000000kPa、更に好ましくは10〜100000kPaである。
【0165】
上述したようにゲル状組成物は、部材1及び部材2の貼合材として使用する際にシート状であることが好ましいので、容易にシート化できるという観点から組成物X1、X2又はX3であることが好ましい。
【0166】
組成物X1、X2又はX3であれば、温度Tc以上で液状であるため、例えばシート成形するための型枠に容易に充填でき、温度Tc未満に冷却するだけでゲル状の流動性を有さない平滑なシートになり貼合材として好適なシートとなる。
【0167】
組成物X1、X2又はX3は、工程2を経て得られる前記部材1と前記貼合材と前記部材2の積層体がその後の複合体を製造する工程と複合体に組込まれた後にも、安定に積層体を維持するという観点から、好ましくは湿気、熱又は光等により、より好ましくは熱又は光により、更に好ましくは光により硬化する硬化性を有し、硬化後の組成物が特開2017-066368段落0062に説明される相溶組成物粘弾性体であることが好ましい。
【0168】
〔複合体の製造工程〕
貼合体の製造は、後述するゲルシートの製造工程における加温、工程2における加圧加温のように、ゲル状組成物を成形するためにTc以上に加温する以外は、好ましくはTc−5℃以下、より好ましくはTc−10℃以下、更に好ましくはTc−15℃以下に温度管理する。
【0169】
(ゲルシートの製造工程)
本発明1の工程1で使用するゲル状組成物は、少なくとも表面S1及び/又は表面S2の異高部分及びその周辺を被覆でき、好ましくは表面S1及び表面S2の所望の部分を被覆できる程度の形状及び面積を有し、貼合体全体の薄型化の観点から、所望の厚みを有するシートの形態(以下「ゲルシート」ともいう)であることが好ましい。
【0170】
ゲルシートは、ゲル状組成物を所定の深さの型枠に充填して、Tc以上に加温して流動化させると型枠の充填面が平滑になるので、好ましくはTc−5℃以下、より好ましくはTc−10℃以下、更に好ましくはTc−15℃以下に冷却すると、当該深さを厚みとし、型枠の底面形状の面を有するシートを得ることができる。
【0171】
ゲル状組成物を型枠に充填後、充填面を平滑なプレート又はフィルムで被覆して、プレート又はフィルム面とゲル状組成物が界面を有した状態で加温して冷却してもよい。
【0172】
ゲル状組成物をスリットコーターのような塗布装置を用いて部材1もしくは部材2にゲル状組成物を加温状態で塗布後、冷却することで部材上に直接シートを形成してもよいし、
ゲル状組成物をスリットコーターのような塗布装置を用いてフィルム上に塗布し、もう一方のフィルムで被覆して冷却することで、フィルムとフィルムで挟まれた状態のシートとしてもよい。
【0173】
(工程1)
工程1では、表面S1と表面S2の間に、異高部分を貼合材で被覆するように貼合材を配置し、部材1と貼合材と部材2の積層体を得る。
【0174】
(工程2)
工程2では、工程1で得た積層体をTc以上の温度範囲で加圧加温する、及び/又はオートクレーブでTc−30〜Tc+30℃の温度範囲で加圧加温する。
【0175】
加圧は、部材1又は部材2の貼合材の上部に載置された部材の自重によってもよいし、当該部材上をさらにプレスしてもよい。
【0176】
加圧は、異高部分に由来する貼合材の凹凸が、加温で平滑にレベリングする程度の弱い圧力(好ましくは1000〜500000Pa、より好ましくは3000〜1000000Pa)で実施することが好ましい。
【0177】
加温は、上記程度の圧力の下で、ゲルシートが低粘性化して、異高部分に由来する貼合材の凹凸が平滑にレベリングする程度であればよく、Tc〜Tc+50℃の温度範囲、好ましくはTc〜Tc+40℃の温度範囲、より好ましくはTc〜Tc+30℃の温度範囲更、更に好ましくはTc〜Tc+25℃の温度範囲、更に好ましくはTc〜Tc+20℃の温度範囲である、更に好ましくはTc〜Tc+15℃の温度範囲、更に好ましくはTc〜Tc+10℃の温度範囲である。
【0178】
気泡低残留性の観点からは、加圧加温はオートクレーブ内又はプレスに加えてさらにオートクレーブ内で行うことが好ましい。
【0179】
オートクレーブ内での加圧では、圧力を好ましくは200000〜700000Pa、より好ましくは300000〜600000Pa、更に好ましくは400000〜600000Paに設定することが好ましい。
【0180】
オートクレーブ内での加温では、好ましくはTc−30〜Tc+30℃で5〜60分、より好ましくはTc−20〜Tc+20℃で10〜40分、更に好ましくはTc−15〜Tc+15℃で15〜30分で加温する。
(貼合体の組み込み工程)
貼合体が、例えば、ディスプレイである場合、当該貼合体をバックライトユニットや電池、回路基板などとともに筐体内に複合化させることで複合体である携帯情報端末を製造する。
【0181】
(ゲル状組成物の実施態様例)
(1)組成物X1の実施態様例
表11を参照して説明する。
化合物a1を100g及び化合物b1を400g評量して、容器(材質SUS316製、容量2000ml)に充填し、80℃、大気圧下で、スリーワンモーター(新東科学社製)を使用して200回転/分で360分間攪拌して、実施態様例1−1の相溶組成物を得ることができる。
【0182】
化合物a1及び化合物b1を、表3及び4記載の化合物に置き換えて、表3及び4記載の配合で、実施態様例1−1と同様にして実施例1−2〜23の相溶組成物を得ることできる。
【0183】
〈組成物X1の化合物原料〉
(1−1)化合物A
重合体ブロックaがメチルメタクリレートで構成され、
重合体ブロックbがブチルアクリレートで構成された、
重合体ブロックa-重合体ブロックb-重合体ブロックaのトリブロック共重合体化合物及び重合体ブロックa-重合体ブロックbのジブロック共重合体化合物を使用した。
【0184】
ブチルアクリレートの重合物(重合物a)のガラス転移温度は−25℃、
メチルメタクリレートの重合物(重合物b)のガラス転移温度は140℃である。
【0185】
化合物a1:KURARITY LA2140(登録商標、クラレ社)
化合物a2:KURARITY LA2250(登録商標、クラレ社)
化合物a3:KURARITY LA2330(登録商標、クラレ社)
化合物a4:KURARITY LA4285(登録商標、クラレ社)
【0186】
重合体ブロックa及び重合体ブロックbの合計質量中、重合体ブロックaが、
LA2140では約20質量%、LA2250では約30質量%、
LA2330では約20質量%、LA4285は約50質量%、
LA1892では約50質量%、LA1114は約10質量%であり、
LA2140、LA2250、LA2330、LA4285はトリブロック体、
後述するLA1892、LA1114はジブロック体で、
分子量はLA2330>LA2140=LA2250=LA4285=LA1114=LA1892である。
【0187】
(1−2)化合物B
化合物b1:イソデシルアクリレート(サートマー社製、SR395)
化合物b2:4−tert−ブチルシクロヘキシルアクリレート(Rahn社製、genomer1119)
化合物b3:4−ヒドロキシブチルアクリレート(日本化成社製、4−HBA)
化合物b4:ジイソノニルシクロヘキシルジカルボキシレート(BASF社製、DINCH)
化合物b5:安息香酸アルキル(アルキルの炭素原子数12〜16)(Lipo Chemicals社製、Liponate NEB)
化合物b6:水添ロジンエステル(荒川化学工業社製、KE−311)
化合物b7:エポキシ系エステル(4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ビス(2−エチルヘキシル))(DIC社製、W150)
化合物b8:不均化ロジンエステル(荒川化学社製、ME−D)
化合物b9:トリエチレングリコール ビス(2−エチルヘキサノエート)(Proviron社製、Proviplast1783)
【0188】
(1−3)化合物B1(ラジカル反応性2官能化合物及び多官能化合物)
化合物b1-1:PPGウレタンアクリレート(KSM社製、UA10000B)
化合物b1-2:脂肪族ウレタンアクリレート(ダイセル・オルネクス社製、EB270)
化合物b1-3:1.9−ノナンジオールジアクリレート(共栄社化学社製、1,9−NDA)
化合物b1-4:ポリブタジエンウレタンアクリレート(日本曹達、TE−2000)
【0189】
(1−4)化合物B2(ラジカル反応性モノマー化合物)
化合物b2-1:4−ヒドロキシブチルアクリレート(日本化成社製、4−HBA)
化合物b2-2:ラウリルアクリレート(共栄社化学社製、LA)
化合物b2-3:イソデシルアクリレート(サートマー社製、SR395)
化合物b2-4:イソボルニルアクリレート(日本化薬社製、RM−1002)
化合物b2-5:4−tert−ブチルシクロヘキシルアクリレート(Rahn社製genomer1119)
化合物b2-6:ペンタメチルピペリジルメタクリレ−ト(日立化成社製、FA−711MM)
【0190】
(1−5)その他の化合物
化合物r1:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、I−184)
化合物r2:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルーフォスフィンオキサイド(BASF社製、I−TPO)
【0193】
(2)組成物X2の実施態様例
表5及び6を参照して説明する。
化合物a1を100g及び化合物b1を200g評量して、容器(材質SUS316製、容量2000ml)に充填し、80℃、大気圧下で、スリーワンモーター(新東科学社製)を使用して200回転/分で360分間攪拌して、実施態様例2−1の相溶組成物を得ることができる。
【0194】
実施態様例2−1における化合物a1及び化合物b1を、表5及び6記載の化合物に置き換えて、表5及び6記載の配合で、実施例態様例2−1と同様にして実施態様例2−2〜14を得ることができる。
【0195】
〈組成物X2の化合物原料〉
(2−1)化合物A
重合体ブロックaがメチルメタクリレート単位(MMA)で構成され、
重合体ブロックbがn−ブチルアクリレート単位(nBA)で構成され、
幹が重合体ブロックbで、枝が重合体ブロックaであるグラフト共重合体化合物を使用した。
【0196】
メチルメタクリレートの重合物(重合物a)のガラス転移温度は140℃、
n−ブチルアクリレートの重合物(重合物b)のガラス転移温度が−25℃である。
【0197】
化合物a-1:NB5015(三菱レイヨン社)
化合物a-2:NB5065(三菱レイヨン社)
化合物a-3:NB5066(三菱レイヨン社)
化合物a-4:NB5073(三菱レイヨン社)
化合物a-5:NB5088(三菱レイヨン社)
【0198】
(2−2)化合物B
化合物b-1:ライトアクリレートLA(ラウリルアクリレート、共栄社化学社)
化合物b-2:SR395(イソデシルアクリレート、サートマー社)
化合物b-3:Proviplast1783(トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート、Proviron社)
化合物b-4:DINCH(ジイソノニルシクロヘキシルジカルボキシレート、BASF社)
化合物b1-1:水添ロジンエステル(荒川化学工業社製、KE−311)
化合物b1-2:DINCH(ジイソノニルシクロヘキシルジカルボキシレート、BASF社)
化合物b2-1:TE−2000(ポリブタジエンウレタンアクリレート、日本曹達社)
化合物b2-2:脂肪族ウレタンアクリレート(ダイセル・オルネクス社製、EB270)
化合物b2-3:PPGウレタンアクリレート(KSM社製、UA10000B)
化合物b3-1:ライトアクリレートLA(ラウリルアクリレート、共栄社化学社)
化合物b3-2:ペンタメチルピペリジルメタクリレ−ト(日立化成社製、FA−711MM)
化合物b3-3:イソボルニルアクリレート(日本化薬社製、RM−1002)
【0199】
(2−3)その他の化合物
化合物r-1:I−184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASF社)
【0202】
(3)組成物X3の実施態様例
表7〜11を参照して説明する。
化合物A
1として化合物a1−1を100g及び化合物Bとして化合物b−4を200g評量して、容器(材質SUS316製、容量2000ml)に充填し、80℃、大気圧下で、スリーワンモーター(新東科学社製)を使用して200回転/分で360分間攪拌して、実施態様例3−1−1の相溶組成物を得ることができる。
【0203】
実施例3−1−1における化合物A
1を表8〜10記載の化合物A
1又はA
2に置き換え、化合物Bを表8〜10記載の他の化合物Bに置き換え、さらにその他の化合物を加えて、表8〜10記載の配合で、実施例3−1−1と同様にして実施例3−1−2〜16及び3−2−1〜3の相溶組成物を得ることができる。
【0204】
〈組成物X3の化合物原料〉
(3−1)化合物A
表7記載の化合物を使用できる。重合物b
2のガラス転移温度は−25℃である。
【0206】
(3−2)化合物B
化合物b-1:サラコス99(イソノナン酸イソノニル、日清オイリオ社)
化合物b-2:DINCH(ジイソノニルシクロヘキシルジカルボキシレート、BASF社)
化合物b-3:サラコスP−8(パルミチン酸−2−エチルヘキシル、日清オイリオ社)
化合物b-4:genomer1119(4−tertブチルシクロヘキシルアクリレート、Rahn社)
化合物b-5:SR395(イソデシルアクリレート、サートマー社)
化合物b-6:KE−311(水添ロジンエステル、荒川化学社)
化合物b-7:アルコンP−100(炭化水素樹脂、荒川化学社)
化合物b-8:クリアロンM−105(水添芳香族変性テルペン樹脂、ヤスハラケミカル社)
化合物b-9:TE−2000(ポリブタジエンウレタンアクリレート、日本曹達社)
化合物b-10:1.9ND−A(ノナンジオールジアクリレート、共栄社)
化合物b-11:エステモールN−01(ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、日清オイリオ社)
化合物b-12:HOB(2−ヒドロキシブチルメタクリレート、共栄社)
【0207】
(3−3)その他の化合物
化合物r-1:I−184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASF社)
【0211】
〔実施例〕
組成物X1を製造して本発明1の実施例に供した。
【0212】
(1)化合物原料
(1−1)化合物A
化合物a1:KURARITY LA2250(登録商標、クラレ社製)
【0213】
(1−2)化合物B
化合物b1:ポリブタジエンウレタンアクリレート(TE−2000、日本曹達社製)
化合物b2:イソデシルアクリレート(SR395、サートマー社製)
化合物b3:イソボルニルアクリレート(RM1002、日本化薬社製)
化合物b4:不均化ロジンエステル(荒川化学社製、ME−D)
化合物b5:4−ヒドロキシブチルアクリレート(4−HBA、日本化成社製)
化合物b6:水添ロジンエステル(KE−311、荒川化学工業社製)
化合物b7:ラウリルアクリレート(ライトアクリレートLA、共栄社化学社)
化合物b8:ペンタメチルピペリジルメタクリレ−ト(FA−711MM、日立化成社製)
化合物b9:イソノナン酸イソノニル(サラコス99、日清オイリオ社)
化合物b10:4−tertブチルシクロヘキシルアクリレート(genomer1119、Rahn社)
【0214】
(1−3)その他の化合物
化合物r1:PPGウレタンアクリレート(UA10000B、KSM社製)
化合物r2:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(I−184、BASF社製)
【0215】
(2)ゲル状組成物
表11を参照して説明する。
【0216】
(2−1)化合物a1を100g及び化合物b1を300g評量して、容器(材質SUS316製、容量2000ml)に充填し、80℃、大気圧下で、スリーワンモーター(新東科学社製)を使用して200回転/分で360分間攪拌して、実施組成物X1の相溶組成物を得た。
【0217】
化合物a1及び化合物b1を、表11記載の化合物に置き換えて、表11記載の配合で、比較組成物1を得た。なお、比較組成物1は、UV硬化型粘着剤である。
【0218】
(2−2)実施組成物X1及び比較組成物1に対して、以下の物性を測定した。
【0219】
(2−2−1)液状−ゲル状転移温度(Tc)
(2−2−2)25℃における貯蔵剛性率(kPa)
(2−2−3)複素粘度(Pa・s)
(2−2−4)ブチルアクリレートの重合物(重合物a)及びメチルメタクリレートの重合物(重合物b)のガラス転移点。
【0221】
〈液状−ゲル状転移温度Tc及び貯蔵剛性率〉
ゲル状組成物の貯蔵剛性率G’と損失剛性率G”を、
レオメータ(Anton Paar社製)を使用し、
コーンローター(φ=25mm、ローター角度2°)、周波数1Hz、ひずみ1%で、
150℃から0℃に向けて、2℃/分で冷却して測定し、
25℃超150℃以下の範囲において、貯蔵剛性率G’と損失剛性率G”とが等しくなる温度をTcとする。
【0222】
<貯蔵剛性率>
レオメータ(Anton Paar社製)を使用し、コーンローター(φ=25mm、ローター角度2°)、周波数1Hz、ひずみ1%で、150℃から0℃に向けて、2℃/分で冷却して測定した。25℃で測定された貯蔵剛性率の数値を読み取った。ただし、転移温度が0℃≦Tc≦30℃の場合はTc−20℃における貯蔵剛性率とした。
【0223】
〈複素粘度η
v〉
レオメータ(Anton Paar社製)を使用し、コーンローター(φ=25mm、ローター角度2°)、25℃にて、剪断速度を0.01(sec
−1)から100(sec
−1)まで変化させて剪断速度vにおける粘度η
vを読み取る。
なお、コーンローターにゲル組成物の構造粘性に基づく抵抗が発生せずに測定値が計測できない場合は「測不」とした。
【0224】
〈ガラス転移点〉
重合物a、重合物b及びブロック共重合体化合物のそれぞれについて、200℃に設定した神藤金属工業株式会社製の油圧式熱プレス機を用い、10MPaの圧力で0.5mm厚みにシート成形する。その後、動的粘弾性測定に必要な45mm×10mm×0.5mmの短冊片を切り出す。
セイコーインスツルメンツ社製動的粘弾性装置(DMS6100)を使用し、
引っ張りモードにて、−100℃〜200℃の温度範囲(昇温速度3℃/分)、周波数11Hzなる条件で測定して得られたチャートにおける、
tanδのピーク温度を読み取って短冊片を構成する重合物a、重合物b及びブロック共重合体化合物それぞれのガラス転移点とする。
【0225】
(4)素材と機器
(4−1)素材
(4−1−1)部材1
ガラスプレート(NSGインテリア 社製、品番ガラス2.9T、10cm×10cm、厚み2.7mm)の中央に異高部分(スペーサー:厚さがそれぞれ15、30、45、60、70、90μmのフィラーテープ(SK焼入鋼))を貼り付けて、異高部分を備える部材1とした。
(4−1−2)部材2
透明なPETフィルム(パナック社製、品番ルミラー100T60)を38mm×25mm、厚み0.1mmにカットして部材2とした。
(4−1−3)離形フィルム1
東洋紡社製E7002、10cm×10cm、厚み38μm
(4−1−4)離形フィルム2
東洋紡社製E7006、10cm×10cm、厚み50μm
(4−1−5)スペーサー1
セロハンテープ(50μm)を3枚用いて作製
【0226】
(4−2)機器
(4−2−1)ローラー:品名:SA−1003−Bテープ圧着ロール手動型(テスター産業社製、2kg)
(4−2−2)紫外線照射装置:コンベア型紫外線照射装置(アイグフィック社製、メタルハライドランプ)
(4−2−3)オートクレーブ:東都テック社製、PBD−30
(4−2−4)レーザー顕微鏡:オリンパス社製、OLS−4000
(4−2−5)顕微鏡:キーエンス社製、UHX−500
【0227】
(5)貼合材の成形工程
(5−1)ガラスプレート上に外周にスペーサー1を配置した離型フィルム1を設置して組成物充填槽(型枠)を形成した。
【0228】
(5−2)実施組成物X1を組成物充填槽の中心にそれぞれ充填し、離型フィルム2で挟み、さらにもう1枚のガラスプレート部材で実施組成物X1を挟んだ後、80℃まで加熱して液状にしてから、25℃まで自然放冷して、離型フィルム1及び2に挟まれた、実施組成物X1のゲルシートを作製し実施貼合材とした。
【0229】
(5−3)比較組成物1を組成物充填槽の中心に充填し離型フィルム2で挟み、さらにもう1枚のガラスプレート部材で各実施組成物を挟んだ後、ガラスプレート部材側から紫外線照射装置を用いてピーク照度400mW/cm2、積算光量3000mJ/cm
2(オーク社製、波長350nm)で硬化さて粘着シートを作製し比較貼合材とした。
【0230】
(6)実施例1
(6−1)工程1
(6−1−1)実施貼合材及び比較貼合材を38mm×25mmにカットした後、片面の離型フィルム1を剥離し、同サイズの部材2に貼付け、各貼合材と部材2との積層体Aを作製した。
【0231】
(6−1−2)積層体Aの残った離型フィルム2を剥離した各貼合材に異高部分(高さ30μm)が対向するように部材1を配置して、部材1、貼合材及び部材2からなる積層体Bを得た。
【0232】
(6−1−3)積層体B上をローラーの自重で2回転がし、部材1、貼合材及び部材2の貼合を馴染ませた。
【0233】
(6−2)工程2
積層体Bを、部材2側の面を下にして、60℃に加温したホットプレート上に設置し5分間放置した後、室温25℃で自然冷却して、加圧加温された積層体B1を製造した。
積層体Bをオートクレーブに投入し、35℃、0.5MPで15分加圧した後、室温25℃で自然冷却して、加圧加温された積層体B2を製造した。
【0234】
(7)実施例2〜9及び比較例1〜2
(7−1)実施例2
異高部分の高さ45μmにした以外は実施例1と同手順で加圧加温された積層体B1及び積層体B2を製造した。
【0235】
(7−2)実施例3
異高部分の高さ60μmにした以外は実施例1と同手順で加圧加温された積層体B1及び積層体B2を製造した。
【0236】
(7−3)実施例4
異高部分の高さ90μmにした以外は実施例1と同手順で加圧加温された積層体B1及び積層体B2を製造した。
【0237】
(7−4)実施例5
工程2で異高部分の高さ70μmにした積層体BのPET面を下にして、60℃に加温したホットプレート上に設置し10分間放置した後、室温25℃で自然冷却して、加圧加温された積層体B1を製造した。
【0238】
(7−5)実施例6
工程2で異高部分の高さ70μmにした積層体BのPET面を下にして、50℃に加温したホットプレート上に設置し10分間放置した後、室温25℃で自然冷却して、加圧加温された積層体B1を製造した。
【0239】
(7−6)実施例7
異高部分の高さ70μmにした積層体Bの部材2側の面を下にして、40℃に加温したホットプレート上に設置し30分間放置した、室温25℃で自然冷却して、加圧加温された積層体B1を製造した。
【0240】
(7−7)実施例8
実施組成物X1を表11記載の実施組成物X2に置き換えて、実施例5と同じ条件でゲルシート、積層体B1及び積層体B2を製造した。
【0241】
(7−7)実施例9
実施組成物X1を表11記載の実施組成物X3に置き換えて、実施例5と同じ条件でゲルシート、積層体B1及び積層体B2を製造した。
【0242】
(8)レベリング性の評価
レーザー顕微鏡にて、実施ゲルシート及び比較粘着シートを貼り合わせた部材の表面についての加圧加温の前後の高さを測定し、加圧加温前の異高部分に該当する部分で最も高い高さh
Bと加圧加温後の高さ異高部分に該当する部分で最も高い高さh
Aと異高部分が存在しない部分の高さh
0の比h
A/h
0およびh
B/h
0を算出して、
h
A/h
0及びh
B/h
0<20%の場合を〇、
20%≦h
A/h
0及びh
B/h
0の場合を×、とした。
【0243】
(9)気泡低残留性の評価
工程2で得た加圧加温後の積層体Bについて、
顕微鏡観察をして、加圧加温の前後の異高部分近傍の気泡の残留を目視観察して、
気泡が消失している場合を〇、
気泡が残留している場合を×、とした。
【0244】
以上の実施例及び比較例の結果を表11にまとめた。
表11に示されるように、Tcを有しない化学架橋ゲルである比較組成物1で形成した比較貼合材を、本発明1の工程1及び2に適用した場合、レベリング性及び気泡低残留性が不十分であるが、
Tcを有する物理架橋ゲルである本発明2の実施組成物X1、X2及びX3で形成した実施貼合材(本発明2)を、本発明1の工程1及び2に適用した場合は、レベリング性及び気泡低残留性が良好である。
【0246】
実施例5及び比較例2について、工程2における加圧加温前後の積層体Bの幅方向の厚みを、レーザー顕微鏡を用いてスキャンニングして測定した。
図1に結果を示す。
【0247】
図1に示すように、
実施例5では、加圧加温前は異高部分に由来する凸部が生じていところ、加圧加温後は凸部が消失して積層体Bの表面が平滑になっていることがわかるが(
図1(a))、
比較例2では、加圧加温前に生じている異高部分に由来する凸部が、加圧加温後も消失しないことがわかる(
図1(b))。
【0248】
実施例1及び比較例1について、工程2における加圧加温前後の積層体Bを部材2(PETフィルム)側から平面視して、異高部分の境界近傍の気泡の残留状態を観察した。
図2に結果を示す。
【0249】
図2に示すように、異高部分の境界近傍において、
実施例5では、加圧加温前に発生した気泡が(
図2(a))、加圧加温後は凸部が消失していることがわかるが(
図2(b))、
比較例2では、加圧加温前に発生した気泡が(
図2(p))、加圧加温後は凸部が消失していないことがわかるが(
図2(q))。
なお、
図2(p)の差し棒が差す白いラインで囲まれた領域に横に幅広く一塊の気泡が存在しており、この気泡がオートクレーブ処理後も微小な気泡として残留して、図(q)では白く見えている。