【実施例1】
【0023】
[1 遊技機全体の概要]
実施例1のパチンコ機P1は、
図1に示す様に、外枠A、中枠B、遊技盤C、前枠D、上の球受け皿E、下の球受け皿F、発射装置G及び施錠装置Hを備えている。
【0024】
遊技盤Cは、障害釘11や風車12が植設された遊技領域10の中央にセンター役物30が取り付けられ、センター役物30の中央直下に始動入賞装置7が備えられ、大入賞口15、誘導レール17、普通入賞口18、アウト口19等が備えられている。センター役物30は、大型装飾体31、ステージ32、ワープ通路33を備えるリング状を呈し、左上部には障害釘に代わる障害ブロック34が設けられている。パチンコ機P1は、大当たり等の際には「右打ち遊技」とするタイプであって、右打ち通路35を備え、右側遊技領域20には、ゲート37と第2始動入賞装置27が設置されている。この第2始動入賞装置27は、ゲート37を遊技球が通過したことを契機に実行される普通図柄抽選結果に基づいて開閉動作される電動式チューリップを備えている。
【0025】
図2(B),(D)に示す様に、前枠Dには、上部所定位置に遊技盤Cの透視保護窓Wが備えられ、下部所定位置に、上の球受け皿E、下の球受け皿F及び発射装置Gが組み付けられている。前枠Dには、
図2(A)に示す様に、音声演出に用いるスピーカSPl,SPr、発光演出に用いる装飾ランプLDl,LDl,…、LDr,LDr,…、LDu,LDu,…も備えられている。
【0026】
前枠Dには、
図2(D)に示す様に、スピーカSPl,SPr、装飾ランプLDl、LDr、LDu、発射装置Gの駆動制御用の基板KBspl,KBspr,KBldl,KBldr,KBldu,KBgが内蔵されている。
【0027】
これら駆動制御用の基板KBspl,KBspr,KBldl,KBldr,KBldu,KBgには、中枠Bに設置した本体側コネクタCNT1と前枠Dに設置した組付部材側コネクタCNT2とを接合させることにより、中枠Bから電源及び制御信号等が入力される構成となっている。
【0028】
また、遊技盤Cは、
図2(E),(F)に示す様に、遊技盤Cは、障害釘等を設置した板部材C1と、板部材C1の裏側に組み付けられた裏ユニットC2とから構成されている。裏ユニットC2には、液晶表示装置LCDを覗かせる中央開口41が設けられると共に、演出用可動体KDdwn,KDswing、玉排出路構成部材42〜44が前面側に組み付けられている。本体側コネクタCNT1は、裏ユニットC2の前面側に突出する様に設けられ、板部材C1に形成された切り欠き部CUT1を介して組付部材側コネクタCNT2を前方から接合可能とされている。また、本体側コネクタCNT1には、切り欠き部CUT1を介して視認可能な位置に、通電状態表示用のLEDランプLDcntが備えられている。LEDランプLDcntは、例えば、本体側コネクタCNT1が通電状態にないときは消灯し、通電状態にあるときは点滅するといった発光態様によって通電状態を知らせる役割を持っている。
【0029】
中枠Bには、
図1(D)に示す様に、機構板500が嵌め込まれている。遊技盤Cは、機構板500の所定位置に組み付けられ、裏ユニットC2の背面側に液晶表示装置LCDが取り付けられる。こうして遊技盤C、液晶表示装置LCDを組み付けた機構板500の背面側には、主制御基板310、演出制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340、インタフェース基板350、電源基板360、演出表示制御基板370及び電源中継基板380が、それぞれ基板ケース510,520,530,540,550,560,570,580で覆われた状態にて設置され、互いにハーネスで接続されている。
【0030】
主制御基板310を収納した基板ケース510には、演出制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340、及び電源中継基板380に対してハーネスを接続するためのソケットを背面側に臨ませるソケット開口が形成されると共に、これらのソケット開口から演出制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340、及び電源中継基板380に対してハーネスを配線するためのハーネスダクトが、背面側に突出する様に形成されている。
【0031】
演出制御基板320を収納した基板ケース520には、主制御基板310及び演出表示制御基板370に対してハーネスを接続するためのソケットを背面側に臨ませるソケット開口が形成されると共に、主制御基板310との接続用のソケット開口から主制御基板310に対してハーネスを配線するためのハーネスダクトが、背面側に突出する様に形成されている。
【0032】
払出制御基板330、及び発射制御基板340の基板ケース530,540には、主制御基板310に対してハーネスを接続するためのソケットを背面側に臨ませるソケット開口が形成されると共に、これらのソケット開口から主制御基板310に対してハーネスを配線するためのハーネスダクトが、背面側に突出する様に形成されている。
【0033】
演出表示制御基板370の基板ケース570には、演出制御基板320に対してハーネスを接続するためのソケットを背面側に臨ませるソケット開口が形成されている。なお、電源中継基板380の基板ケース580には、主制御基板310との間を接続するハーネスのためのソケット開口381と、電源基板360との間を接続するハーネスのためのソケット開口が形成されている。そして、電源基板360の基板ケース560には、電源中継基板380との間を接続するハーネスのためのソケット開口が形成されている。さらに、払出制御基板330の基板ケース530には、インタフェース基板350との間を接続するハーネスのためのソケット開口も形成されていて、インタフェース基板350の基板ケース550には、払出制御基板330との間を接続するハーネスのためのソケット開口とハーネスダクトが形成されている。
【0034】
[2 性能表示モニタ]
図3(A)に示す様に、主制御基板310には、性能表示モニタ600が設置されている。性能表示モニタ600は、当該遊技機における通常時(低確時短なし)のベース(払出数/発射数)を表示するために遊技機への搭載が義務付けられている。
【0035】
性能表示モニタ600は、
図3(B)に示す様に、四連の7セグメント表示器610〜640からなり、四桁の数値を表示可能となっている。各表示器610〜640は、それぞれ、第1〜第8のセグメント611,621,631,641〜618,628,638,648を備えている。そして、各表示器610〜640は、それぞれ、第1,第2,第3,第4,第5,第6のセグメントを点灯させることで「0」、第1,第2のセグメントを点灯させることで「1」、・・・、第1,第2,第3,第4,第6,第7のセグメントを点灯させることで「9」、といった具合に、数字の「0]〜「9」を表示する。なお、各表示器610〜640の第8のセグメント618,628,638,648は、小数点を意味する「ドット」を表示するときに点灯する。
【0036】
性能表示モニタ600は、
図4(A)に示す様に、8本のデータ線DAT1〜DAT8と、4本の出力端子OUT1〜OUT4とを備えるマイコン基板650によって点灯制御されるダイナミック点灯回路を備えている。出力端子OUT1〜OUT4は、それぞれ、各桁の7セグメント表示器610〜640に個々に接続され、データ線DAT1はセグメント611,621,631,641、データ線DAT2はセグメント612,622,632,642、・・・、データ線DAT8はセグメント618,628,638,648へと共通に接続されている。なお、この回路は一例であり、ダイナミック点灯回路をアノードコモン、カソードコモンのいずれで構成することも、スタティック点灯回路によって構成することも妨げるものではない。
【0037】
マイコン基板650は、
図4(B)に示す様に、出力端子OUT1〜OUT4を、繰り返し周期t=1ms〜10msにて、各桁の7セグメント表示器610〜640に対し、点灯回路を順次有効化する制御を常時実施している。マイコン基板650は、これと併せて、点灯回路が有効化された桁の表示器に表示すべき数字に対応する様に、データ線DAT1〜DAT8のON/OFF状態を、各繰り返し周期tに従って切り換えている。
【0038】
例えば、主制御基板310からの信号に基づいて「1234」という4桁の数字を表示する場合、マイコン基板650は、
図4(C)に示す様に、出力端子OUT1〜OUT4のON/OFFの切り換えタイミングにあわせて(1/4)tごとに、データ線DAT1〜DAT8のON/OFF状態を切り換える制御を実行する。これにより、最上位桁の表示器610に「1」、次の桁の表示器620に「2」、さらに次の桁の表示器630に「3」、最下位桁の表示器640に「4」を表示する。
【0039】
[3 制御装置の概要]
次に、本実施例のパチンコ機P1のゲーム性等について説明する。まず、制御系統について
図5に基づいて説明する。CPU,ROM,RAM,クロック等を備えた主制御基板310に対して、始動入賞装置7に備えられている第1特図スイッチSW1、第2始動入賞装置27に備えられている第2特図スイッチSW2、ゲート37に備えられている普図スイッチSW4、大入賞口15に備えられた入賞検知スイッチSW7、普通入賞口18に備えられた入賞検知スイッチSW11,SW12、及び裏ユニットJの所定位置に設けられた球排出通路に備えられた排出球検知スイッチSW41〜43からの検知信号が入力される様になっている。主制御基板310には、前枠Dの開閉状態を示す開閉検知スイッチ50の検出信号も入力されている。
【0040】
また、主制御基板310からは、演出制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340、特図表示器TKZ、性能表示モニタ600、大入賞口15の開閉用ソレノイドSOL7、第2始動入賞装置27の普通電動役物開閉用ソレノイドSOL27へとコマンドが出力される様になっている。払出制御基板330は、主制御基板310に対して信号を入力する様にも接続されている。また、払出制御基板330と発射制御基板340との間でも互いに信号の入出力がなされている。この結果、本実施例においては、発射制御基板340から払出制御基板330を経由して主制御基板310に対して信号入力が可能となっている。
【0041】
制御系統には、この他、BCユニット335、インタフェース基板350、電源基板360、演出表示制御基板370、電源中継基板380、球貸し操作基板390、ホールコンピュータ400、カードユニットCDU等も備えられている。
【0042】
演出制御基板320は、主制御基板310からの演出指令信号に基づいて、遊技盤Cに設置された役物に内蔵したLEDを発光制御する役物発光制御基板KBldc、可動体役物を駆動するモータやソレノイドを駆動制御するモータ駆動制御基板KBmt、ソレノイド駆動制御基板KBsol、スピーカーSPl,SPrによる音声出力を制御するスピーカ駆動制御基板KBspl,KBspr、前枠Dに設置された装飾ランプLDl、LDr、LDuを発光制御する前枠発光制御基板KBldl,KBldr,KBldu等に対して制御信号を出力して役物発光演出、枠発光演出、音声演出、可動体演出等を実行すると共に、演出表示制御基板370へと演出表示のためのコマンドを出力し、液晶表示装置LCDによる表示演出を実行させている。
【0043】
なお、前枠Dに設置された演出操作ボタンSの押下信号は演出制御基板320に入力され、貸し玉ボタンQ,カード取り出しボタンRの押下信号は球貸し操作基板390に入力されている。
【0044】
主制御基板310は、特
図1スイッチSW1からの検知信号の入力を契機として取得した特
図1判定用乱数を最大4個、特
図2スイッチSW2の検知信号入力を契機として取得した特
図2判定用乱数を最大4個、それぞれ保留記憶しておくため、RAM内に、特
図1保留記憶部311及び特
図2保留記憶部312を備えている。特
図1判定用乱数及び特
図2判定用乱数は、それぞれ、「当たり/はずれ判定用乱数(乱数1:SW1−1,SW2−1)」、「特図振分判定用乱数(乱数2:SW1−2,SW2−2)」、「演出実行判定用乱数(乱数3:SW1−3,SW2−3)」、及び「変動パターン振分用乱数(乱数4:SW1−4,SW2−4)」から構成される。乱数1は、特図スイッチ検知信号の入力を契機としてハードウェアロジックによって取得され、乱数2〜4は、特図スイッチ検知信号の入力を契機としてソフトウェアロジックによって取得される。
【0045】
主制御基板310は、所定のタイミングで実行する判定処理において、乱数1が予め設定された「大当たり判定値」と一致するときに「大当たり」と判定し、一致しない場合は「はずれ」と判定する。特図振分判定用乱数(乱数2)は、特別遊技のラウンド数など、大当たり種別を振り分けるための乱数である。演出実行判定用乱数(乱数3)は、リーチ演出を行うか否かを決定するための乱数である。リーチ演出は、「当たり」の場合だけでなく、「はずれ」においても所定の割合で実行する構成となっている。変動パターン振分用乱数(乱数4)は、変動パターンを振り分けるための乱数である。なお、乱数1で「大当たり」となった場合、乱数2による大当たり種別振り分けにより、例えば、「2R」「7R」「15R」など、遊技者に対する有利さの異なる複数種類の当たり種別のいずれかに振り分けられる。
【0046】
演出制御基板320には、音声演出、表示演出、発光演出、及び可動体演出を実行するための演出データ記憶手段325が備えられている。演出データ記憶手段325には、特別図柄変動ゲーム中に実行する変動ゲーム中演出データDH、大当たり遊技中に実行する大当たり中演出データDV、デモ中に実行するデモ中演出データDM、特図変動ゲームにおいて実行される変動パターンに応じた飾り図柄変動ゲームを表示するための飾り図柄変動演出データDKZが記憶されている。
【0047】
変動ゲーム中演出データDHは、背景表示用データ、キャラクタ表示用データ、発光演出用データ、音声演出用データ、及び可動体演出用データの組み合わせとなっている。変動ゲーム中演出データDHは、主制御基板310による抽選結果(ノーマルはずれ、ノーマル当たり、リーチはずれ、リーチ当たり、スーパーリーチはずれ、スーパーリーチ当たりなど)に対して、それぞれ複数種類のパターンが備えられている。これらのパターンにおいて、例えば、可動体演出を伴わない変動ゲーム中演出を行うデータは、可動体演出データがブランクデータで構成される。
【0048】
大当たり中演出データDVも、変動ゲーム中演出データDHと同様に、背景表示用データ、キャラクタ表示用データ、発光演出用データ、音声演出用データ、及び可動体演出用データの一部又は複数の組み合わせ又は全部の組み合わせによって構成され、大当たり種別に応じて複数パターンが備えられている。
【0049】
デモ中演出データDMも、変動ゲーム中演出データDHと同様に、背景表示用データ、キャラクタ表示用データ、発光演出用データ、音声演出用データ、及び可動体演出用データの一部又は複数の組み合わせ又は全部の組み合わせによって構成され、デモ1用、デモ2用など複数パターンが備えられている。
【0050】
飾り図柄変動演出データDKZは、ノーマルはずれ、ノーマル当たり、リーチはずれ、リーチ当たり、スーパーリーチはずれ、スーパーリーチ当たりなど、主制御基板310による抽選の結果に基づいて指令される変動パターンに対応したデータとして記憶されている。このため、本実施例においては、通常状態用変動パターンテーブル315に対応する飾り図柄変動時間となる通常状態用飾り図柄変動演出データDKZaと、変短状態用変動パターンテーブル316に対応する飾り図柄変動時間となる変短状態用飾り図柄変動演出データDKZbとが、演出制御基板320の演出データ記憶手段325に記憶されている。
【0051】
演出表示制御基板370は、演出制御基板320から指令される背景表示用データに従って液晶表示装置LCDに表示した背景画像に対して重ね合わせる様にして、変動パターンに対応する飾り図柄変動演出データDKZを表示する。また、この表示演出においては、キャラクタ表示データが存在する場合はキャラクタ画像を重ねて表示する演出も実行される。
【0052】
ここで、本実施例においては、変動ゲーム中演出データDHは、変動パターンに対して1対1対応となっている訳ではなく、例えば、変動パターン1に対して演出1,演出2,…などと複数の中から振り分けによって演出制御基板320側で決定する構成となっている。同じく、飾り図柄変動演出データDKZも、例えば、変動パターン1に対しては変動時間1、変動パターン1に対しては変動時間2、…、と1対1の対応であるが、各変動時間に対して複数の飾り図柄変動パターンが備えられていて、これら複数の中から振り分けによって演出制御基板320が決定する構成となっている。これら振り分け可能な演出データDHや飾り図柄変動パターンDKZは、変動パターンが大当たりの場合に振り分けられ易く、はずれの場合に振り分けられ難いグループと、その逆のグループといった具合に、信頼度グループを構成する様に振り分け確率を設定している。
【0053】
[4 主制御基板における遊技性に関する制御処理の概要]
主制御基板310は、特図スイッチSW1,SW2、入賞検知センサSW7,SW11,SW12からの入賞検知信号が入力されると、各スイッチに対応する賞球払出個数に対応する賞球払出コマンドを払出制御基板330に対して出力する賞球払出処理を実行している。これを受けて、払出制御基板330は、遊技球の入賞口に対応して予め定められた個数の賞球の払出動作を実行する。主制御基板310は、この賞球の払い出し個数は、「通常遊技」、「時短遊技」「大当たり遊技」等の遊技状態ごとに累積値を記憶する。主制御基板310は、また、これら遊技状態ごとの排出球の個数を排出球検知スイッチSW41〜43からの検知信号に基づいて累積値として記憶している。そして、主制御基板310は、これら賞球払出個数の累積値と排出球数の累積値に基づいて、各遊技状態におけるベース(払出数/(発射数=排出数))を算出している。これら遊技状態ごとのベースの内、「通常遊技」について算出した値は、主制御基板310から性能表示モニタ600のマイコン基板650へと送信され、性能表示モニタ600に数値表示される。なお、所定の操作をすることにより、性能表示モニタ600を用いて、「時短遊技」や「大当たり遊技」におけるベースの表示をすることもできる様になっている。
【0054】
また、主制御基板310は、特図スイッチSW1,SW2のいずれかから検知信号が入力されると、特別図柄を決定するための乱数を取得し、その結果を始動保留情報としてRAMに記憶する特図入力処理を実行している。本実施例においては、始動保留情報として第1特図スイッチSW1による検知信号に基づく始動保留情報(特
図1始動保留情報)を最大4個、第2特図スイッチSW2による検知信号に基づく始動保留情報(特
図2始動保留情報)を最大4個記憶することができる構成となっている。
【0055】
主制御基板310は、こうしてRAM内に記憶された始動保留情報を読み出し、「当たり/はずれ」に応じた特別図柄変動を特図表示器TKZに実行させると共に、演出制御基板320を介して音声演出、発光演出、表示演出、可動体演出等を実行させるための特図開始処理を実行している。この特図開始処理では、始動保留情報に基づく抽選処理の結果により、「変動パターン」および「最終停止図柄」を決定し、演出制御基板320に対し、所定の制御コマンドを所定のタイミングで出力する。具体的には、主制御基板310は、変動パターンを指定すると共に図柄変動の開始を指示する変動パターン指定コマンドを出力すると共に、変動パターンで特定された演出時間の計測を開始する。これと同時に、主制御基板310は、特図変動表示を開始させるように特図表示器TKZを制御する。また、主制御基板310は、最終停止図柄となる特別図柄を指示するための特図指定コマンドを出力する。こうして、主制御基板310は、特図開始処理を終了する。その後、特図開始処理とは別の処理において、主制御基板310は、指定した変動パターンに定められている演出時間に基づいて、決定した最終停止図柄を表示させるように特図表示器TKZの表示内容を制御する。また、主制御基板310は、指定した変動パターンに定められている演出時間に基づいて、演出制御基板320に対して飾図の変動停止を指示し、図柄組み合わせを確定停止表示させるための全図柄停止コマンドを出力する。
【0056】
[5 演出御基板における遊技性に関する制御処理の概要]
演出制御基板320は、主制御基板310からの変動コマンドを受信することによって変動演出を実行する。この変動演出は、特別遊技中でなく、デモ表示状態でもないときに実行される。演出制御基板320は、変動コマンドを受信したら、今回の表示演出に用いる飾り図柄変動演出データDKZと変動ゲーム中演出データDHとを決定する。
【0057】
ここで、本実施例においては、演出データ記憶手段325には、各変動パターン(変動時間)に対して、それぞれ複数個の飾り図柄変動演出データDKZが記憶されているから、主制御基板310からの入力によって変動パターンが特定されたことにより、当該変動パターンについて選択し得る複数個のDKZの中から、今回の変動ゲーム中演出において使用する一つのDKZを抽選によって決定する。
【0058】
また、演出データ記憶手段325には、各変動パターン(変動時間)に対して、それぞれ複数個の変動ゲーム中演出データDHが記憶されているから、主制御基板310からの入力によって変動パターンが特定されたことにより、当該変動パターンについて選択し得る複数個のDHの中から、今回の変動ゲーム中演出において使用する一つのDHを抽選によって決定する。
【0059】
こうして決定したDH,DKZに対応するデータを演出データ記憶手段325から読み出し、変動演出を開始する。変動ゲーム中演出データDHによる演出は、主制御基板310から全図柄停止コマンドを受信したときに、飾り図柄変動演出における確定図柄の停止を行って終了する。この飾り図柄変動表示における確定図柄停止のタイミングは、主制御基板310による特図表示器TKZへの特別図柄確定のタイミングと同期している。
【0060】
なお、特別遊技中であるときは、変動ゲーム中演出データDHではなく大当たり中演出データDVを読み出し、大当たり中演出を実行する。また、デモ表示タイミングであるときは、デモ中演出データDMを読み出し、デモ中演出を実行する。
【0061】
本実施例においては、これら変動ゲーム中演出、大当たり中演出、デモ中演出での発光演出として、遊技盤Cに備えた装飾ランプによる役物発光演出に加えて、前枠Dに備えた装飾ランプによる枠発光演出も実行している。演出制御基板320の演出データ記憶手段325には、変動ゲーム中演出において実行する枠発光演出のためのデータについても、変動パターンが大当たりの場合に振り分けられ易く、はずれの場合に振り分けられ難いグループと、その逆のグループといった具合に、信頼度グループを構成する様に振り分け確率を設定した複数の演出データを記憶させてある。
【0062】
[6 性能表示モニタ制御処理]
本実施例では、主制御基板310は、
図6(A)に示す制御系統により、性能表示モニタ600のマイコン基板650に制御信号を出力し、7セグメント表示器610〜640におけるベース表示を実行している。この制御処理において、電源投入時に、主制御基板310は、7セグメント表示器610〜640において接触不良や端子間短絡が生じているか否かを検査担当者やホール管理者等が確認するための確認用表示を、マイコン基板650に実行させる。
【0063】
主制御基板310は、
図6(B)に示す様に、電源投入時である場合は(S10:YES)、マイコン基板650に対して確認表示を実行させるための確認信号を出力する(S20)。主制御基板310は、その後、確認表示の完了を待って(S30:YES)、通常遊技状態のベースを表示するための信号を出力する(S40)。なお、主制御基板310は、所定の操作により、時短遊技や大当たり遊技に対応する遊技状態のベース表示への変更が指令された場合は(S50:YES)、当該変更指令に対応するベースを表示させるための信号をマイコン基板650に対して出力する(S60)。ここで、S30における確認表示が完了した否かは、確認信号を出力した後の経過時間によって判断している。
【0064】
マイコン基板650は、
図6(C)に示す様に、主制御基板310から入力される信号に従って4桁の7セグメント表示器610〜640に対する表示を実行している。マイコン基板650は、確認信号が入力されたとき(S100:YES)、第1期間用の信号を出力する(S110)。
【0065】
マイコン基板650は、
図7(A)に示す様に、出力端子OUT1〜OUT4に対し、繰り返し周期t=1ms〜10msにて、各桁の7セグメント表示器610〜640に対し、点灯回路を順次有効化する制御を常時実施している。そして、第1期間用の信号は、
図7(B)に示す様に、最上位桁の表示器610の点灯回路を有効化するタイミングにおいて第1のセグメント611を点灯させるデータ線DAT1のみをONとし、次の桁の表示器620の点灯回路を有効化するタイミングにおいて第2のセグメント622を点灯させるデータ線DAT2のみをONとし、さらに次の桁の表示器630の点灯回路を有効化するタイミングにおいて第3のセグメント633を点灯させるデータ線DAT3のみをONとし、最下位桁の表示器640の点灯回路を有効化するタイミングにおいて第4のセグメント644を点灯させるデータ線DAT4のみをONとする信号となっている。
【0066】
マイコン基板650は、表示期間T1=300ms〜500msが経過するまでの間(S115:NO)、第1期間用の信号を出力し続ける(S110)。この結果、四桁の7セグメント表示器610〜640は、
図7(B)の右端に示す様な表示がなされた状態となる。この間、各表示器610〜640は、(1/4)tの間だけ対応するセグメントを点灯させる状態となっているが、人の目には、
図7(B)の右端に示す様に、四桁の表示器610〜640において、最上位桁側から順に、第1のセグメント611、第2のセグメント622、第3のセグメント633、第4のセグメント644が同時に点灯した状態として把握される。
【0067】
マイコン基板650は、第1の表示期間T1が経過したことを契機に(S115:YES)、第2期間用の信号を出力する(S120)。第2期間用の信号は、
図7(C)に示す様に、最上位桁の表示器610の点灯回路を有効化するタイミングにおいて第2のセグメント612を点灯させるデータ線DAT2のみをONとし、次の桁の表示器620の点灯回路を有効化するタイミングにおいて第3のセグメント623を点灯させるデータ線DAT3のみをONとし、さらに次の桁の表示器630の点灯回路を有効化するタイミングにおいて第4のセグメント634を点灯させるデータ線DAT4のみをONとし、最下位桁の表示器640の点灯回路を有効化するタイミングにおいて第5のセグメント645を点灯させるデータ線DAT5のみをONとする信号となっている。
【0068】
マイコン基板650は、表示期間T2=300ms〜500msが経過するまでの間(S125:NO)、第2期間用の信号を出力し続ける(S120)。この結果、四桁の7セグメント表示器610〜640は、
図7(C)の右端に示す様な表示がなされた状態となる。
【0069】
以下、第3の表示期間T3、第4の表示期間T4、第5の表示期間T5、第6の表示期間T6、第7の表示期間T7、と各桁の表示器610〜640のそれぞれにおいて、セグメントの並び順に沿って通電状態を切り換えるセグメントが、下位側の桁の表示器において点灯から消灯に切り換えられるセグメントを次に点灯するセグメントとする様に、各表示器におけるセグメントの並び順に沿って点灯するセグメントを変更しつつ通電状態の切り換えを順次実行する。なお、T3〜T7も、T1,T2と同じく、300ms〜500msとされている。
【0070】
そして、第7の表示期間T7が経過したら(S175:YES)、第8期間用の信号を出力する(S180)。第8期間用の信号は、
図7(D)に示す様に、最上位桁の表示器610の点灯回路を有効化するタイミングにおいて第8のセグメント616を点灯させるデータ線DAT8のみをONとし、次の桁の表示器620の点灯回路を有効化するタイミングにおいて第1のセグメント621を点灯させるデータ線DAT1のみをONとし、さらに次の桁の表示器630の点灯回路を有効化するタイミングにおいて第2のセグメント632を点灯させるデータ線DAT2のみをONとし、最下位桁の表示器640の点灯回路を有効化するタイミングにおいて第3のセグメント643を点灯させるデータ線DAT3のみをONとする信号となっている。
【0071】
マイコン基板650は、表示期間T8=300ms〜500msが経過するまでの間(S185:NO)、第8期間用の信号を出力し続ける(S180)。この結果、四桁の7セグメント表示器610〜640は、
図7(D)の右端に示す様な表示がなされた状態となる。
【0072】
こうして各表示器610〜640について、全てのセグメントを一つずつ順に点灯させる確認表示が完了したら(S185:YES)、マイコン基板650は、主制御基板310から入力されるベース表示用の信号に対応する数字を各桁に表示させる状態となる(S200)。
【0073】
マイコン基板650には、確認信号を受信したときに、第1〜第8の表示期間T1〜T8に対して、データ線DAT1〜DAT8に対して出力する第1期間用〜第8期間用の確認信号が予め記憶させてある。各表示期間T1〜T8は、300ms〜500msの範囲内の一定の時間を設定してある。例えば、表示期間T1〜T8が500msの設定であった場合、本実施例では、
図8(A)に示した表示の切り替えが500ms毎に実行されることとなる。この確認用の表示は、四桁の7セグメント表示器610〜640のそれぞれにおいて、同時期に各一つのセグメントを点灯するから、合計32個のセグメントについて、断線または端子間の短絡が生じているか否かの確認を、わずか4秒程度で目視確認することができる。また、点灯位置の切り換えは同じ時間間隔で実行されリズミカルに生じる結果、見落としが生じ難い。なお、表示期間T1〜T8は、消灯から点灯への変化、点灯から消灯への変化、点滅の発生といった通電状態の切り換えを目視にて把握できる期間であればよく、300ms〜500msに限定するものではない。
【0074】
また、本実施例では、同時期に点灯するセグメントの位置が桁毎に異なる位置のセグメントとなる様に通電状態の切り換えを順次実行している。この結果、作業者は、隣の7セグメント表示器の表示と混乱することなく、点灯位置の変化を的確に確認することができる。
【0075】
さらに、本実施例では、4個の7セグメント表示器610〜640のそれぞれについて、通電状態を切り換えるセグメントを、各表示器におけるセグメントの並び順に沿って変更しつつ通電状態の切り換えを順次実行している。この結果、作業者は、点灯されるセグメントを予測しつつ点灯状態の変化を的確に確認することができる。
【0076】
加えて、本実施例では、電源投入時の通電確認において、4個の7セグメント表示器610〜640のそれぞれについて、下位側の桁の表示器において次の表示期間に点灯から消灯へと通電状態を切り換えられるセグメントを、次の表示期間に消灯から点灯へと通電状態を切り換えるセグメントとしている。この結果、作業者は、点灯されるセグメントをさらに予測し易くなっている。
【0077】
[7 変形例]
電源投入時の通電確認において、各表示器610〜640のそれそれにおいて、
図8(B)に示す様に、同時期に各一つのセグメントだけを消灯する点灯状態の切り換えを順次実行する確認信号をマイコン基板650に出力させる様に構成することもできる。
【0078】
また、電源投入時の通電確認において、各表示器610〜640のそれそれにおいて同時期に一つだけ点灯するセグメントを、
図9(A)に示す様に、同じ位置のセグメントとする確認信号をマイコン基板650に出力させる様に構成することもできる。
【0079】
さらに、電源投入時の通電確認において、各表示器610〜640のそれそれにおいて、
図9(B)に示す様に、同時期に点灯するセグメントを二つとし、各表示期間内において点滅状態とする確認信号をマイコン基板650に出力させる様に構成することもできる。この場合、端子間短絡の確認の観点から、各表示器において同時期に点滅させる二つのセグメントは、セグメントの並び順において最も遠い位置のものとするとよい。
【0080】
[8 実施例及び変形例の効果]
複数個の7セグメント表示器を備える遊技機において、断線や配線の脱落だけでなく、端子間の短絡についても短時間で検査することができる。
【0081】
以上、発明を実施するための実施例及び変形例を説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
【0082】
例えば、性能表示モニタ以外の特図表示、大当たりラウンド数表示、入賞個数表示などに当たって、複数桁の数値を表示するために備えた二連以上の7セグメント表示器の通電状態の確認に対して適用することもできる。もちろん、パチンコ機に限らず、図柄の変動表示が可能であって所定の抽選に当選したことを契機に特典が得られる様に構成されたスロットマシンに対しても、二連以上の7セグメント表示器の通電状態の確認に対して適用することができる。