特許第6856959号(P6856959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6856959情報処理装置、システム、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6856959
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】情報処理装置、システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 17/00 20060101AFI20210405BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20210405BHJP
   G06T 7/20 20170101ALI20210405BHJP
【FI】
   H04N17/00 Z
   G06Q30/02 300
   G06T7/20 300B
【請求項の数】15
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2020-73382(P2020-73382)
(22)【出願日】2020年4月16日
【審査請求日】2020年5月27日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】318011370
【氏名又は名称】株式会社THEATER GUILD
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 壮太郎
【審査官】 益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−344904(JP,A)
【文献】 特開2009−159073(JP,A)
【文献】 特開2002−057765(JP,A)
【文献】 特表2011−524656(JP,A)
【文献】 特表2010−520554(JP,A)
【文献】 特開2013−114595(JP,A)
【文献】 特開2007−3618(JP,A)
【文献】 特開2014−127896(JP,A)
【文献】 特開2017−41673(JP,A)
【文献】 特開2006−293979(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2020/0000390(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 17/00
H04N 21/00
G06Q 30/02
G06T 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、記憶部とを備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
映像コンテンツを視聴する1または複数の視聴者を撮影した時系列の画像データから、前記視聴者の目を識別して検知し、前記視聴者の目の開き度合いを取得する開き度合い取得部と、
前記画像データから、前記視聴者の目を識別して検知し、前記視聴者のまばたきの回数を取得するまばたき回数取得部と、
前記画像データから、または前記視聴者が自己の耳に装着する音声出力装置に設けられたセンサから出力された時系列の検知信号から、前記視聴者の顔の動きを取得する動き取得部と、
前記検知信号から、前記視聴者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記開き度合い、前記まばたきの回数、前記視聴者の顔の動き、及び前記視聴者の生体情報をパラメータとして、前記視聴者の前記映像コンテンツに対する時系列の満足度を算出する算出部と、を備え、
前記音声出力装置は、前記映像コンテンツを視聴する施設の管理者により管理され、
前記画像データに撮影されている前記視聴者の動きを把握し、前記視聴者を識別する情報と、前記センサから出力された検知信号と、前記画像データに撮影されている前記視聴者との対応付けを行い、
前記記憶部は、前記視聴者を識別する情報に紐づけ、前記視聴者ごとに、あらかじめ記憶されている前記視聴者の属性情報と、前記センサから出力された検知信号と、前記視聴者の前記満足度とを記憶する、情報処理装置。
【請求項2】
前記動き取得部は、前記音声出力装置に設けられたジャイロセンサから出力された検知信号から、前記視聴者の顔を傾けた動き、または前記視聴者の顔の向きを移動させた動きを取得する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記生体情報取得部は、前記視聴者が装着する音声出力装置に設けられた脈拍センサから出力された検知信号から、前記視聴者の脈拍または血圧の情報を前記生体情報として取得する、請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生体情報取得部は、前記視聴者が装着する音声出力装置に設けられた温度センサから出力された検知信号から、前記視聴者の体温の情報を前記生体情報として取得する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記算出部は、前記パラメータのそれぞれの値の所定の時刻における基準値と比較した差分、前記基準値との変化率、所定の時間内における変化の値、所定の時間内における変化率のいずれか1つまたは複数に基づき、前記満足度を算出する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記算出部は、前記パラメータのそれぞれの値に対して所定の関数による演算を行い、演算後のそれぞれの値を加算して前記満足度を算出する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記算出部は、前記パラメータまたは演算後のそれぞれの値に対して、それぞれ所定の係数を乗算し、乗算後のそれぞれの値を加算して前記満足度を算出する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記算出部は、
一部の前記パラメータまたは演算後のそれぞれの所定の値に対して、正の値の係数を乗算し、
前記一部のパラメータまたは演算後のそれぞれの所定の値とは異なる、他の一部の前記パラメータまたは演算後のそれぞれの所定の値に対して、負の値の係数を乗算し、乗算後のそれぞれの値を加算する、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記開き度合い取得部は、前記視聴者の目を開いた部分の面積を算出し、前記視聴者の目の開き度合いとして取得する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記開き度合い取得部は、前記視聴者の目を開いた部分における、上瞼と下瞼との接点と、上瞼の上方の端点、または虹彩と上瞼との接点と、下瞼の下方の端点、または虹彩と下瞼との接点と、の位置の情報を算出し、前記位置の情報に基づき、前記視聴者の目の開き度合いとして取得する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記まばたき回数取得部は、前記視聴者を撮影した画像データの所定時間における前記視聴者のまばたきの回数を取得する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記まばたき回数取得部は、前記視聴者の目が閉じた状態から、所定の時間内に前記視聴者の目が開いた状態になったとき、前記視聴者のまばたきと認識して回数をカウントする、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
カメラと、情報処理装置と、を備えるシステムであって、
前記カメラは、映像コンテンツを視聴する視聴者を撮影し、画像データを生成して前記情報処理装置に取得させ、
前記情報処理装置は、制御部と、記憶部とを備え、
前記制御部は、
映像コンテンツを視聴する1または複数の視聴者を撮影した時系列の画像データから、前記視聴者の目を識別して検知し、前記視聴者の目の開き度合いを取得する開き度合い取得部と、
前記画像データから、前記視聴者の目を識別して検知し、前記視聴者のまばたきの回数を取得するまばたき回数取得部と、
前記画像データから、または前記視聴者が自己の耳に装着する音声出力装置に設けられたセンサから出力された時系列の検知信号から、前記視聴者の顔の動きを取得する動き取得部と、
前記検知信号から、前記視聴者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記開き度合い、前記まばたきの回数、前記視聴者の顔の動き、及び前記視聴者の生体情報をパラメータとして、前記視聴者の前記映像コンテンツに対する時系列の満足度を算出する算出部と、を備え、
前記音声出力装置は、前記映像コンテンツを視聴する施設の管理者により管理され、
前記画像データに撮影されている前記視聴者の動きを把握し、前記視聴者を識別する情報と、前記センサから出力された検知信号と、前記画像データに撮影されている前記視聴者との対応付けを行い、
前記記憶部は、前記視聴者を識別する情報に紐づけ、前記視聴者ごとに、あらかじめ記憶されている前記視聴者の属性情報と、前記センサから出力された検知信号と、前記視聴者の前記満足度とを記憶する、システム。
【請求項14】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータにより実行されるための方法であって、
前記方法は、前記プロセッサが、
映像コンテンツを視聴する1または複数の視聴者を撮影した時系列の画像データから、前記視聴者の目を識別して検知し、前記視聴者の目の開き度合いを取得するステップと、
前記画像データから、前記視聴者の目を識別して検知し、前記視聴者のまばたきの回数を取得するステップと、
前記画像データから、または前記視聴者が自己の耳に装着する音声出力装置に設けられたセンサから出力された時系列の検知信号から、前記視聴者の顔の動きを取得するステップと、
前記検知信号から、前記視聴者の生体情報を取得するステップと、
前記開き度合い、前記まばたきの回数、前記視聴者の顔の動き、及び前記視聴者の生体情報をパラメータとして、前記視聴者の前記映像コンテンツに対する時系列の満足度を算出するステップと、を実行する、方法であって、
前記音声出力装置は、前記映像コンテンツを視聴する施設の管理者により管理され、
前記画像データに撮影されている前記視聴者の動きを把握し、前記視聴者を識別する情報と、前記センサから出力された検知信号と、前記画像データに撮影されている前記視聴者との対応付けを行い、
前記メモリは、前記視聴者を識別する情報に紐づけ、前記視聴者ごとに、あらかじめ記憶されている前記視聴者の属性情報と、前記センサから出力された検知信号と、前記視聴者の前記満足度とを記憶する、方法。
【請求項15】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
映像コンテンツを視聴する1または複数の視聴者を撮影した時系列の画像データから、前記視聴者の目を識別して検知し、前記視聴者の目の開き度合いを取得するステップと、
前記画像データから、前記視聴者の目を識別して検知し、前記視聴者のまばたきの回数を取得するステップと、
前記画像データから、または前記視聴者が自己の耳に装着する音声出力装置に設けられたセンサから出力された時系列の検知信号から、前記視聴者の顔の動きを取得するステップと、
前記検知信号から、前記視聴者の生体情報を取得するステップと、
前記開き度合い、前記まばたきの回数、前記視聴者の顔の動き、及び前記視聴者の生体情報をパラメータとして、前記視聴者の前記映像コンテンツに対する時系列の満足度を算出するステップと、を実行させる、プログラムであって、
前記音声出力装置は、前記映像コンテンツを視聴する施設の管理者により管理され、
前記画像データに撮影されている前記視聴者の動きを把握させ、前記視聴者を識別する情報と、前記センサから出力された検知信号と、前記画像データに撮影されている前記視聴者との対応付けを行わせ、
前記メモリに、前記視聴者を識別する情報に紐づけ、前記視聴者ごとに、あらかじめ記憶されている前記視聴者の属性情報と、前記センサから出力された検知信号と、前記視聴者の前記満足度とを記憶させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像コンテンツを制作するためのコストを確実に回収するため、または映像コンテンツの趣向を分析するためのマーケティングを目的として、映像コンテンツを視聴する機会を提供し、当該映像コンテンツに対する評価情報を取得する手法が検討されている。映像コンテンツ自体がデジタル化により容易に編集することが可能になったこともあり、例えばA/Bテストのようなマーケティング手法を用いて、映像コンテンツに対する評価を分析することが考えられている。
【0003】
インターネット上の動画に対する評価手法については、いくつかの実施例がある。特許文献1には、インターネット上の動画共有サービスにおける動画に対する、いわゆる投げ銭により、動画を評価するソーシャルプラットフォームが開示されている。特許文献1に記載のソーシャルプラットフォームでは、投げ銭を行うためのアイテム画像を表示させると、そのアイテム画像に対応する金額の投げ銭の決済が行われる決済手段が設けられ、投げ銭機能が実装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−120098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、未公開の映像コンテンツ、例えば映画のような映像コンテンツに対する評価を得るためには、試写会のような場所でアンケートを取るような手法しかないのが現状であり、このような映像コンテンツに対する視聴者の反応を示す情報を、例えばシーンごとに取得することが可能な技術が望まれていた。
【0006】
そこで、本開示では、映像コンテンツを視聴する視聴者の満足度を算出することが可能な技術について説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態によると、制御部を備える情報処理装置が提供される。制御部は、映像コンテンツを視聴する視聴者を撮影した画像データから、視聴者の目を検知し、視聴者の目の開き度合いを取得する開き度合い取得部と、画像データから、視聴者の目を検知し、視聴者のまばたきの回数を取得するまばたき回数取得部と、開き度合い、及びまばたきの回数をパラメータとして、視聴者の映像コンテンツに対する満足度を算出する算出部と、を備える。
【0008】
本開示の一実施形態によると、カメラと、情報処理装置と、を備えるシステムが提供される。カメラは、映像コンテンツを視聴する視聴者を撮影し、画像データを生成して情報処理装置に取得させ、情報処理装置は、制御部を備え、制御部は、映像コンテンツを視聴する視聴者を撮影した画像データから、視聴者の目を検知し、視聴者の目の開き度合いを取得する開き度合い取得部と、画像データから、視聴者の目を検知し、視聴者のまばたきの回数を取得するまばたき回数取得部と、開き度合い、及びまばたきの回数をパラメータとして、視聴者の映像コンテンツに対する満足度を算出する算出部と、を備える。
【0009】
一実施形態によると、プロセッサを備えるコンピュータにより実行されるための方法が提供される。方法は、プロセッサが、映像コンテンツを視聴する視聴者を撮影した画像データから、視聴者の目を検知し、視聴者の目の開き度合いを取得するステップと、画像データから、視聴者の目を検知し、視聴者のまばたきの回数を取得するステップと、開き度合い、及びまばたきの回数をパラメータとして、視聴者の映像コンテンツに対する満足度を算出するステップと、を実行する。
【0010】
また、一実施形態によると、プロセッサを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。プログラムは、プロセッサに、映像コンテンツを視聴する視聴者を撮影した画像データから、視聴者の目を検知し、視聴者の目の開き度合いを取得するステップと、画像データから、視聴者の目を検知し、視聴者のまばたきの回数を取得するステップと、開き度合い、及びまばたきの回数をパラメータとして、視聴者の映像コンテンツに対する満足度を算出するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、映像コンテンツを視聴する視聴者を撮影した画像データから、視聴者の目の開き度合い、及びまばたきの回数を取得し、これらに基づき、視聴者の映像コンテンツに対する満足度を算出する。そのため、映像コンテンツに対する視聴者の反応を示す情報を、例えばシーンごとに取得することが可能である。これにより、映像コンテンツに対する評価を分析することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】満足度算出システム1の全体の構成を示す図である。
図2】満足度算出システム1が設置された施設の外観の例を示す鳥瞰図である。
図3】音声出力装置30の外観の例を示す斜視図である。
図4】実施の形態1の満足度算出システム1を構成するサーバ10の機能的な構成を示すブロック図である。
図5図4の開き度合い取得モジュール1034における目の開き度合いを算出する具体的手法を示す模式図である。
図6】実施の形態1の満足度算出システム1を構成する音声出力装置30の機能的な構成を示す図である。
図7】サーバ10が記憶する映像コンテンツデータベース181、視聴者データベース184のデータ構造を示す図である。
図8】実施の形態1の満足度算出システム1による映像コンテンツ出力処理を行う流れの一例を示すフローチャートである。
図9】実施の形態1の満足度算出システム1による満足度算出処理を行う流れの一例を示すフローチャートである。
図10】満足度算出処理における各パラメータの推移を表示したサーバ10の画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0014】
<概要>
以下、満足度算出システムにおける、映像コンテンツを視聴した視聴者の満足度の算出処理について説明する。満足度算出システムは、映画のような映像コンテンツを表示(上映)して視聴者に視聴する機会を提供し、そのときに視聴者が当該映像コンテンツを視聴している状態を撮影するとともに、視聴者の状態をセンサで取得し、撮影した画像データ及びセンサの検知信号から、視聴者の分析を行い、満足度を算出するシステムである。
【0015】
ここで、満足度とは、映像コンテンツを視聴した視聴者の生体反応等から推測される、映像コンテンツに対する満足の度合いを数値化したものである。一般に、(映像コンテンツに限らず)何かを視聴している者がその対象について集中して視聴している場合、目(瞼)の開きが大きくなり、まばたきの回数が減少し、顔の動き(回数及び動きの大きさ)が少なくなり、脈拍数及び体温が増加することが経験的に知られている。そのため、映像コンテンツを視聴している視聴者が、上記のような反応を示している場合、当該視聴者はその映像コンテンツの視聴に集中していると考えられる。
【0016】
また、映像コンテンツを視聴している視聴者は、その映像コンテンツを面白い、楽しいと感じている場合、集中力が上昇すると考えられ、その映像コンテンツをつまらない、退屈なものだと感じている場合、集中力が散漫になって低下すると考えられる。以上より、視聴者の目の開き、まばたきの回数、顔の動き、脈拍数及び体温と、視聴した映像コンテンツの満足度との間に因果関係があると考えられる。
【0017】
そこで、本開示の満足度算出システムでは、視聴者が当該映像コンテンツを視聴している状態をカメラで撮影し、撮影した画像データから、視聴者の顔を識別してそれぞれの視聴者の目を検知する。画像データにおける視聴者の目の動きから、目の開き度合いと、まばたきの回数を取得する。また、視聴者の顔の動き、及び生体情報を検知するセンサの検知信号により、視聴者の顔の動きを取得し、視聴者の生体情報を取得する。取得した目の開き度合い、まばたきの回数、顔の動き、及び生体情報に基づき、映像コンテンツに対する満足の度合いを示す満足度を算出する。このように構成することで、視聴者の生体反応に基づく、視聴者の映像コンテンツに対する満足度を確実に取得することを可能にしている。
【0018】
また、本開示の満足度算出システムでは、映像コンテンツを視聴する際に、ヘッドホンやイヤホンのような音声出力装置を装着し、音声出力装置から音声を聞くように構成されている。その音声出力装置には、上記のセンサが配置され、視聴者が音声出力装置を装着することで、視聴者の顔の動き及び視聴者の生体情報を検知できるようになっている。このように構成することで、視聴者の顔の動き、及び視聴者の生体情報を確実に取得することを可能にしている。
【0019】
さらに、本開示の満足度算出システムでは、映像コンテンツを視聴している視聴者をそれぞれ識別し、視聴者ごとに満足度を算出している。これにより、視聴者の属性ごとに満足度を取得し、映像コンテンツに対する評価を分析することを可能にしている。
【0020】
<第1の実施の形態>
以下、満足度算出システム1について説明する。
【0021】
<1 満足度算出システム1の全体構成>
図1は、満足度算出システム1の全体の構成を示す図である。満足度算出システムは、映画のような映像コンテンツを表示(上映)して視聴者に視聴する機会を提供し、そのときの視聴者の分析を行い、満足度を算出するためのシステムである。図1に示すように、満足度算出システム1は、サーバ10と、映像出力装置20と、複数の音声出力装置(図1では、音声出力装置30A及び音声出力装置30Bを示している。以下、総称して「音声出力装置30」ということもある)と、カメラ40とを含む。サーバ10と映像出力装置20と音声出力装置30とカメラ40とは、ネットワーク80を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク80は、有線または無線ネットワークにより構成される。
【0022】
サーバ10は、視聴者に視聴させる映像コンテンツや、視聴者を撮影した画像データ、センサによる視聴者の検知信号、及び、視聴者ごとの映像コンテンツに対する満足度の情報を管理する装置である。サーバ10は、映像コンテンツの映像データを映像出力装置20へ送信し、音声データを音声出力装置30へ送信する。また、サーバ10は、視聴者を撮影した画像データ及びセンサの検知信号を取得し、視聴者の満足度を算出する。
【0023】
サーバ10は、ネットワーク80を介して映像出力装置20、音声出力装置30及びカメラ40と通信可能に接続される。サーバ10は、4G、5G、LTE(Long Term Evolution)等の通信規格に対応した無線基地局81、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11などの無線LAN(Local Area Network)規格に対応した無線LANルータ82等の通信機器と通信することにより、ネットワーク80に接続される。ネットワーク80のその他の構成として、各装置間を無線または有線で接続してもよく、無線で接続する場合、通信プロトコルとして例えば、Z−Wave(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等が使用されてもよく、有線で接続する場合、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により接続してもよい。
【0024】
サーバ10は、ネットワーク80に接続されたコンピュータである。サーバ10は、通信IF(Interface)12と、入出力IF13と、メモリ15と、ストレージ16と、プロセッサ19とを備える。
【0025】
通信IF12は、サーバ10が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。入出力IF13は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置(例えば、マウス等のポインティングデバイス、キーボード)、及び、ユーザに対し情報を提示するための出力装置(ディスプレイ、スピーカ等)とのインタフェースとして機能する。メモリ15は、プログラム、及び、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。ストレージ16は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)である。プロセッサ19は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路などにより構成される。
【0026】
映像出力装置20は、サーバ10からの指示により、映像コンテンツの映像データを受信して映像として表示(上映)を行う装置であり、例えば、フレームの縁にLED素子を配列したLEDパネルや、有機ELディスプレイ、または液晶ディスプレイにより構成されている。この映像出力装置20は、映画館のような上映施設等に設けられている。なお、映像出力装置20は、例えば複数のLEDパネルを並列に配置して数100インチ程度の大型ビジョンとして構成し、一度に大人数の視聴者により視聴が可能に構成してもよい。さらに、映像出力装置20は1つに限られず、複数の映像出力装置20により構成してもよく、複数の映像出力装置20を備えた施設を1のサーバ10で、例えば遠隔により制御するように構成してもよい。
【0027】
音声出力装置30は、サーバ10からの指示により、映像コンテンツの音声データを音声として出力する装置であり、音声出力装置30から出力される音声は、映像出力装置20に上映される映像と同期するように構成されている。なお、上記のように複数の映像出力装置20が設けられ、それぞれ異なる映像コンテンツが上映されている場合、上映されている映像コンテンツに対応する音声が出力されるように構成し、複数の音声が出力されるチャネルから選択可能に構成してもよい。
【0028】
音声出力装置30は、映像コンテンツを視聴する視聴者の耳を覆うように装着され、サーバ10の制御により、映像コンテンツの音声を無線通信により受信して音声として出力するワイヤレスヘッドホン等により実現される。この他、音声出力装置30は、例えば有線で接続されるヘッドホンや、視聴者の耳を覆うものに限られず、無線または有線で接続されるイヤホンであるとしてもよい。
【0029】
図1に音声出力装置30Bとして示すように、音声出力装置30は、通信IF32と、センサ部33と、スピーカ34と、メモリ35と、記憶部36と、プロセッサ39とを備える。
【0030】
通信IF32は、音声出力装置30が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。センサ部33は、映像コンテンツを視聴している視聴者の顔の動きと生体情報とを取得する装置であり、例えば、視聴者の顔の動きを角速度として検知するジャイロセンサと、脈拍や体温を検知する温度センサや光センサ等の心電センサにより構成されている。センサ部33は、センサ及びその他の部品を集積化したMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)により構成してもよい。すなわち、センサ部33は、振動検知、体温計、脳波計、心拍計のような機能を備えている。
【0031】
スピーカ34は、音声信号を音声に変換し、ユーザに対し情報を音声として出力するための出力装置である。メモリ35は、プログラム、及び、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。記憶部36は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)である。プロセッサ39は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路などにより構成される。
【0032】
カメラ40は、サーバ10からの指示により、映像コンテンツを視聴している視聴者を撮影する装置であり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の撮像装置と、撮影した画像をデジタル信号からなる画像データに変換するA/D変換装置とを備えるデジタルカメラ等により構成されている。カメラ40は、サーバ10の制御により撮影する方向を変更するように構成してもよく、広範囲を撮影可能にするために撮影方向を適宜動かせるように構成してもよい。
【0033】
カメラ40は、映像コンテンツを視聴している視聴者を動画として撮影し、または所定の時間間隔で静止画として撮影し、動画または静止画の画像データへの変換を行う。また、カメラ40は、撮影した画像データをサーバ10へ送信する。なお、カメラ40は1つに限られず、1つの施設に複数のカメラ40が設けられてもよい。また、カメラ40は単体の装置とは限られず、例えば、移動体通信システムに対応したスマートフォン、タブレット等の携帯端末に設けられたカメラ機能により構成してもよい。
【0034】
<1.1 映像出力装置20及び音声出力装置30の構成>
図2は、満足度算出システム1が設置された施設の外観の例を示す鳥瞰図である。図2に示す満足度算出システム1は、例えば映画館のように映像コンテンツの上映を行うスペースに設置された例を示している。また、満足度算出システム1は、視聴者がヘッドホン等の音声出力装置30を装着して音声を取得するように構成されているため、映像コンテンツを視聴する以外の、飲食やその他の作業も可能となっており、いわゆるカフェスペースも併設され、多目的スペースを構成している施設である。さらに、満足度算出システム1は、例えば視聴者の自宅等で構成してもよい。例えば、サーバ10をクラウドサーバ等で構成し、サーバ10からオンデマンド等のサービスで、視聴者が使用するテレビやディスプレイ等により構成する映像出力装置20に映像を出力させ、視聴者が使用するヘッドホン等により構成する音声出力装置30に音声を出力させ、視聴者が使用するスマートフォン等により構成するカメラ40で視聴者を撮影してその画像データをサーバ10へ送信させてもよい。
【0035】
図2に示す満足度算出システム1は、映像コンテンツの上映を行う上映スペースと、カフェスペースとが併設されたフロアFに設けられ、フロアFの所定の箇所(図2に示す右上方向)に映像出力装置20とカメラ40とが設置されている。映像出力装置20が映像コンテンツの映像情報を上映する正面側には、映像コンテンツを視聴者Wが視聴するために着座する席が設けられている。視聴者Wは、前述のように映像コンテンツを視聴する際に音声出力装置30を装着する。
【0036】
この施設では、視聴者Wが入室するためには会員登録が必要であり、視聴者Wの氏名、性別、年齢等の属性情報を管理し、それぞれの視聴者の動きがカメラ40による撮影により把握されるようになっている。また、この音声出力装置30は、当該施設の管理者により貸与されたものである。これにより、会員登録されている視聴者Wの属性情報と、センサ部33が取得した視聴者Wの情報と、カメラ40が撮影した視聴者Wの画像データとが対応付けられるようになっており、視聴者Wの属性ごとの満足度を把握することが可能になっている。
【0037】
さらに、このような構成により、視聴者Wは周囲の状況を気にすることなく、映像コンテンツの視聴に集中することが可能となっており、また、カフェスペースの利用者のように映像コンテンツを視聴していない者は、映像コンテンツの音声を気にすることなく飲食やその他の行為が可能となっている。
【0038】
また、映像出力装置20はLEDパネル等により構成されているため、一定の明るさの光を視聴者W側に照射する。そのため、カメラ40は、その光により視聴者Wを一定の解像度で撮影することが可能になっている。
【0039】
満足度算出システム1が設置された施設は、図2に示すように、映画館のような閉鎖空間とは限られず、例えばコンビニエンスストアのイートインコーナーや、イベントスペースのような商業施設の空間であってもよい。また、飲食店内や、ホテルのラウンジ、マンションのような集合住宅の共有スペースのように、一定の静音性が確保されているスペースに満足度算出システム1を設置してもよい。さらに、パチンコやパチスロ店のような遊技施設や、ゲームセンター、アミューズメント施設のように、一定の雑音がある施設に満足度算出システム1を設置してもよい。
【0040】
図3は、音声出力装置30の外観の例を示す斜視図である。音声出力装置30は、図3に示すように、映像コンテンツを視聴する視聴者が音声を聞くため、頭部から両耳を挟むようにして装着するヘッドホンで構成され、両耳をそれぞれ覆う一対の耳収容部37と、一対の耳収容部37を支持すると共に視聴者の頭部を適度な圧力で押圧することで耳収容部37を視聴者の耳に装着させるアーム部38とから構成されている。なお、音声出力装置30はこのような構成に限られず、例えば、アーム部38を備えずに耳収容部37が視聴者の耳たぶに係止するように装着するような構成であってもよく、視聴者の耳の孔の中に挿入するようなカナル型イヤホンであってもよい。
【0041】
図3に示すように、一対の耳収容部37の内側における、視聴者の耳の周辺の皮膚に接触する位置には、センサ部33が設けられている。センサ部33が取得する生体情報により、耳収容部37における位置は特定の位置に限られず、耳収容部37内に複数設けられてもよい。また、センサ部33が取得する生体情報の種類により、視聴者の皮膚に直接接触するように配置してもよく、視聴者の皮膚から離隔するように配置してもよい。なお、このような構成であるため、音声出力装置30にはイヤーパッドを装着しないで使用することが望ましいが、イヤーパッドを装着することを妨げるものではない。
【0042】
<1.2 サーバ10の機能的な構成>
図4は、実施の形態1の満足度算出システム1を構成するサーバ10の機能的な構成を示す図である。図4に示すように、サーバ10は、通信部101と、記憶部102と、制御部103としての機能を発揮する。
【0043】
通信部101は、サーバ10が外部の装置と通信するための処理を行う。
【0044】
記憶部102は、サーバ10が使用するデータ及びプログラムを記憶する。記憶部102は、映像コンテンツデータベース181と、センサ検知信号データベース182と、カメラ撮影画像データベース183と、視聴者データベース184等を記憶する。
【0045】
映像コンテンツデータベース181は、満足度算出システム1において提供する映像コンテンツ及びその上映時間の情報、すなわち映像出力装置20の上映スケジュールを保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0046】
センサ検知信号データベース182は、満足度算出システム1を利用する視聴者が装着する、音声出力装置30のセンサ部33からの検知信号を時系列で保持するためのデータベースである。センサ部33の検知信号は、日時情報が付加されて音声出力装置30からサーバ10へ送信されるので、その検知信号が格納される。
【0047】
カメラ撮影画像データベース183は、満足度算出システム1を利用する視聴者を撮影した、カメラ40の画像データを時系列で保持するためのデータベースである。カメラ40の画像データは、日時情報が付加されてカメラ40からサーバ10へ送信されるので、その検知信号が格納される。
【0048】
視聴者データベース184は、満足度算出システム1を利用する視聴者の情報と、視聴者ごとに視聴した映像コンテンツの満足度の情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。なお、視聴者データベース184は、施設に登録されている会員情報(属性情報を含む)を格納してもよい。
【0049】
制御部103は、サーバ10のプロセッサがプログラムに従って処理を行うことにより、各種モジュールとして受信制御モジュール1031、送信制御モジュール1032、映像コンテンツ出力制御モジュール1033、開き度合い取得モジュール(開き度合い取得部)1034、まばたき回数取得モジュール(まばたき回数取得部)1035、顔動き取得モジュール(動き取得部)1036、生体情報取得モジュール(生体情報取得部)1037、及び満足度算出モジュール(算出部)1038に示す機能を発揮する。
【0050】
受信制御モジュール1031は、サーバ10が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0051】
送信制御モジュール1032は、サーバ10が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。
【0052】
映像コンテンツ出力制御モジュール1033は、映像コンテンツを視聴者に視聴させるため、映像コンテンツの映像データを映像出力装置20へ送信し、音声データを音声出力装置30へ送信する処理を制御する。映像コンテンツ出力制御モジュール1033は、映像コンテンツデータベース181を参照し、映像コンテンツを上映させる日時を示すスケジュール情報に基づき、映像コンテンツの画像データ及び音声データを送信すると共に、映像コンテンツを上映させるように制御信号を送信し、映像コンテンツのデータ容量やデータ形式、解像度等の情報も送信する。
【0053】
このとき、映像コンテンツ出力制御モジュール1033は、映像出力装置20及び音声出力装置30に対して、画像データ及び音声データを一括送信して上映させてもよく、ストリーミング形式で順次送信して上映させてもよい。なお、映像コンテンツ出力制御モジュール1033は、映像コンテンツの上映時間やクリエイターの氏名または名称等のクレジット情報を送信してもよい。
【0054】
開き度合い取得モジュール1034は、カメラ40が撮影した画像データを取得し、画像データを解析して視聴者の目を認識して検知し、視聴者の目の開き度合いを取得する処理を制御する。開き度合い取得モジュール1034は、視聴者の目を識別する手法として、公知技術である機械学習等による画像認識技術が用いられる。
【0055】
例えば、開き度合い取得モジュール1034は、画像データを解析して視聴者の目を検知し、画像データにおける視聴者の目を開いた部分の面積を算出し、この面積を目の開き度合いとして取得する。また、開き度合い取得モジュール1034は、画像データを解析して視聴者の目を検知し、画像データにおける視聴者の目を開いた部分における、上瞼と下瞼との接点(目の左右の端点)と、上瞼の上方の端点、または虹彩(いわゆる黒目)と上瞼との接点と、下瞼の下方の端点、または虹彩と下瞼との接点との位置の情報を算出し、位置の情報に基づき、視聴者の目の開き度合いとして取得する。
【0056】
図5は、図4の開き度合い取得モジュール1034における目の開き度合いを算出する具体的手法を示す模式図である。上記の目の開き度合いを算出する手法について、図5を用いて説明する。図5には、視聴者の目を模式的に示した目Eが示されており、目Eには、上瞼L1と、下瞼L2と、虹彩L3とが示されている。ここで、図5(a)は、虹彩L3が上瞼L1及び下瞼L2と接している場合の例であり、図5(b)は、虹彩L3が上瞼L1及び下瞼L2と接していない場合の例である。
【0057】
図5(a)に示すように、虹彩L3が上瞼L1及び下瞼L2と接している場合、画像データを解析することにより、上瞼L1と下瞼L2との接点P1,P2と、虹彩L3と上瞼L1との接点P3,P4と、虹彩L3と下瞼L2との接点P5,P6との位置を認識することが可能である。そこで、視聴者の目Eの画像データにおける、接点P1〜P6の座標を算出し、座標の位置情報に基づき、視聴者の目の開き度合いを取得する。
【0058】
また、図5(b)に示すように、虹彩L3が上瞼L1及び下瞼L2と接していない場合、画像データを解析することにより、上瞼L1と下瞼L2との接点P1,P2と、上瞼L1の上方の端点P7と、下瞼L2の下方の端点P8との位置を認識することが可能である。そこで、視聴者の目Eの画像データにおける、接点P1,P2、端点P7,P8の座標を算出し、座標の位置情報に基づき、視聴者の目の開き度合いを取得する。なお、例えば虹彩L3が上瞼L1と接しているが、下瞼L2と接していないような場合には、上瞼L1については図5(a)に示す手法で接点P3,P4を認識し、下瞼L2については図5(b)に示す手法で端点P8を認識してもよく、逆の場合も同様である。
【0059】
まばたき回数取得モジュール1035は、カメラ40が撮影した画像データを取得し、画像データを解析して視聴者の目を認識して検知し、視聴者の目におけるまばたきの回数を取得する処理を制御する。まばたき回数取得モジュール1035は、視聴者の目を識別する手法として、開き度合い取得モジュール1034と同様に、公知技術である機械学習等による画像認識技術が用いられる。なお、人の目のまばたきを画像データとして取得するためには、一般には50fps(frame per second)以上のフレームレートが必要とされているため、カメラ40では、50fps以上のフレームレートで撮影が行われる。
【0060】
例えば、まばたき回数取得モジュール1035は、画像データを解析して視聴者の目を検知し、所定時間(例えば、1分)における視聴者のまばたきの回数を取得する。また、まばたき回数取得モジュール1035は、視聴者の目が閉じた状態になり、その状態から所定の時間(例えば、1秒)内に視聴者の目が開いた状態になったとき、視聴者がまばたきをしたと認識し、まばたきの回数としてカウントする。このような構成は、視聴者の目が閉じた状態になり、一定時間以上目が開かない場合、当該視聴者はその間映像コンテンツを視聴しているとはいえず、例えば睡眠状態であると考えられるため、睡眠状態と区別するために設定している。
【0061】
顔動き取得モジュール1036は、視聴者が映像コンテンツを視聴している際に装着している音声出力装置30から、センサ部33が検知して出力した検知信号を取得し、検知信号を解析して視聴者の顔の動きを取得する処理を制御する。顔動き取得モジュール1036は、センサ部33を構成するジャイロセンサが検知する角速度とその動きの時間から、視聴者の顔の動きを取得する。
【0062】
例えば、顔動き取得モジュール1036は、センサ部33を構成するジャイロセンサが検知する角速度とその動きの時間から、視聴者が顔を前後左右に傾けた動き、または視聴者が顔の向きを移動させた動き(左右方向に回転させた動き)を取得する。ここで、視聴者が顔を傾けた動きとは、首を動かすことによる動きでもよく、体幹部分を動かすことによる上半身全体の動きであってもよい。また、取得する視聴者の顔の動きの具体例は、視聴者が所定時間(例えば、10分)内に所定の移動範囲以上に顔を動かした回数でもよく、顔を動かした角度や移動距離でもよい。
【0063】
生体情報取得モジュール1037は、視聴者が映像コンテンツを視聴している際に装着している音声出力装置30から、センサ部33が検知して出力した検知信号を取得し、検知信号を解析して視聴者の生体情報を取得する処理を制御する。生体情報取得モジュール1037は、センサ部33を構成する心電センサが検知する、視聴者の脈拍、血圧や体温を取得する。
【0064】
満足度算出モジュール1038は、開き度合い取得モジュール1034が取得した目の開き度合い、まばたき回数取得モジュール1035が取得したまばたきの回数、顔動き取得モジュール1036が取得した顔の動き、及び生体情報取得モジュール1037が取得した生体情報をパラメータとして、視聴者の映像コンテンツに対する満足度を算出する処理を制御する。満足度算出モジュール1038は、パラメータとして目の開き度合い及びまばたきの回数のみから満足度を算出してもよく、またはパラメータとして顔の動きを加えてもよく、またはパラメータとして生体情報を加えてもよい。満足度とは、上記のように映像コンテンツを視聴した視聴者の生体反応等から推測される、映像コンテンツに対する満足の度合いを所定時間(例えば、1分)ごとに時系列で数値化したものであり、視聴者ごとに当該視聴者の満足度として算出され、または複数の視聴者の満足度が合計値や平均値として算出されて当該映像コンテンツの評価指標とするものである。また、この満足度は、所定時間ごとの時系列の推移として取得してもよい。
【0065】
例えば、視聴者の個々の満足度の推移を把握することで、ある映像コンテンツに対する満足度の推移が近い視聴者をグルーピングしたり、グループごとの視聴者の属性等を分析したりすることで、映像コンテンツのマーケティングの指標値として使用してもよい。また、満足度の推移が近い視聴者をレコメンドしたり、満足度の推移が近い他の視聴者が視聴した映像コンテンツを当該視聴者にとっても満足度が高いと推測することで、その映像コンテンツをレコメンドしたりしてもよい。
【0066】
ここで、目の大きさやまばたきの回数、顔の動き、生体情報は視聴者の生体活動に依存する値であるため、個人差が大きいものと考えられる。そのため、満足度算出モジュール1038は、例えば最初に取得した視聴者の目や顔、身体状態を初期値(基準値)とし、その後のそれぞれの値の変化、または変化率から満足度を算出してもよく、所定の時間内におけるそれぞれの値の変化、または変化率から満足度を算出してもよく、一般的な視聴者の目や顔、身体状態(例えば、平均値)との差で満足度を算出してもよい。
【0067】
例えば、満足度算出モジュール1038は、上記の例により数値化された目の開き度合い、まばたきの回数、顔の動き、及び生体情報の値をパラメータとして、それぞれ所定の演算を行い、演算後のそれぞれの値を加算することで満足度を算出する。具体的には、目の開き度合いを算出する関数Jを、取得した開き度合いの値jの関数とする。関数Jは、例として、
J=αj+β
のような1次関数でもよく、
J=αj^n+βj^(n−1)+・・・+γ
のような高次関数でもよく、
J=α^(j+n)+β
のような指数関数であってもよい。同様に、まばたきの回数を算出する関数Kを、取得したまばたきの回数の値kの関数とする。顔の動きを算出する関数Lを、取得した顔の動きの値lの関数とする。生体情報を算出する関数Mを、取得した生体情報の値mとする。ここで、それぞれの関数は、それぞれの値をそのまま使用するものであってもよい。満足度Pは、以下の式のようにそれぞれの関数を加算し、
P=J+K+L+M
のように算出される。
【0068】
また、例えば、満足度算出モジュール1038は、上記の例により目の開き度合い、まばたきの回数、顔の動き、及び生体情報の関数に対して、それぞれ異なる所定の係数を重み付けとして乗算し、乗算後のそれぞれの値を加算することで満足度を算出する。上記の例の場合、満足度Pは、以下の式
P=aJ+bK+cL+dM
により算出される。ここで、a,b,c,dは、それぞれ所定の係数である。
【0069】
また、上記のように、映像コンテンツを視聴している者が集中して視聴している場合、目の開きが大きくなり、まばたきの回数が減少し、顔の動きが少なくなり、脈拍数及び体温が増加することが経験的に知られている。そのため、係数a,dを正の値の係数とし、係数b,cを負の値の係数として、満足度を算出してもよい。また、上記それぞれの値は、視聴している映像コンテンツのジャンルによっては、変化の値や割合が異なると考えられる。そのため、映像コンテンツのジャンルごとに係数a,b,c,dの重み付けを変更してもよい。さらに、上記それぞれの値は、視聴している映像コンテンツのジャンルやシーンごとの視聴者の感情によっては、視聴者が反応するまでタイムラグが発生することがあると考えられる。そのため、タイムラグを補正してそれぞれの値を取得してもよい。
【0070】
さらに、例えば、満足度算出モジュール1038は、上記の例による目の開き度合い、及びまばたきの回数の関数を加算して、集中度とし、集中度に対して所定の演算を行うことで満足度を算出してもよい。上記の例の場合、集中度Qは、以下の式
Q=aJ+bK
により算出され、満足度Pは、以下の式
P=αQ+βR
により算出される。ここで、Rは、顔の動き、及び生体情報の関数に対して所定の演算を行った関数または値でもよく、その他の値をパラメータとして算出した関数または値でもよい。
【0071】
<1.3 音声出力装置30の機能的な構成>
図6は、実施の形態1の満足度算出システム1を構成する音声出力装置30の機能的な構成を示す図である。図6に示すように、音声出力装置30は、通信部301と、検知部302と、記憶部303と、制御部304としての機能を発揮する。
【0072】
通信部301は、音声出力装置30が外部の装置と通信するための処理を行う。
【0073】
検知部302は、音声出力装置30が視聴者の顔の動きと生体情報とを取得するための処理を行う。上記のジャイロセンサと心電センサとにより構成されている。
【0074】
記憶部303は、音声出力装置30が使用するデータ及びプログラムを記憶する。記憶部303は、ジャイロセンサ検知信号データベース381と、生体センサ検知信号データベース382等を記憶する。
【0075】
ジャイロセンサ検知信号データベース381は、検知部302を構成するジャイロセンサの検知信号を時系列で保持するためのデータベースである。
【0076】
生体センサ検知信号データベース382は、検知部302を構成する心電センサの検知信号を時系列で保持するためのデータベースである。
【0077】
制御部304は、音声出力装置30のプロセッサがプログラムに従って処理を行うことにより、各種モジュールとして受信制御モジュール3031、送信制御モジュール3032、音声出力モジュール3033、ジャイロセンサ制御モジュール3034、生体センサ制御モジュール3035に示す機能を発揮する。
【0078】
受信制御モジュール3031は、音声出力装置30が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0079】
送信制御モジュール3032は、音声出力装置30が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。
【0080】
音声出力モジュール3033は、サーバ10から送信された音声データを、スピーカ34から映像コンテンツの音声として出力する処理を制御する。
【0081】
ジャイロセンサ制御モジュール3034は、検知部302を構成するジャイロセンサの動作処理を制御する。また、ジャイロセンサ制御モジュール3034は、検知信号をサーバ10へ送信する。
【0082】
生体センサ制御モジュール3035は、検知部302を構成する心電センサの動作処理を制御する。また、生体センサ制御モジュール3035は、検知信号をサーバ10へ送信する。
【0083】
<2 データ構造>
図7は、サーバ10が記憶する映像コンテンツデータベース181、視聴者データベース184のデータ構造を示す図である。
【0084】
図7に示すように、映像コンテンツデータベース181のレコードのそれぞれは、項目「施設ID」と、項目「施設名」と、項目「コンテンツ上映情報」等を含む。
【0085】
項目「施設ID」は、満足度算出システム1が設置された施設それぞれを識別する情報である。1つの施設に映像出力装置20が複数設置され、それぞれ異なる映像コンテンツを上映する場合、異なる値の項目「施設ID」が付与され、別々に管理される。
【0086】
項目「施設名」は、満足度算出システム1が設置された施設の名称を示す情報である。
【0087】
項目「コンテンツ上映情報」は、満足度算出システム1を利用する施設で上映される映画等の映像コンテンツの上映スケジュールの情報であり、具体的には、項目「開始日時」と、項目「終了時刻」と、項目「コンテンツ名」等を含む。図7に示すように、1の項目「施設ID」に対して、1または複数の項目「コンテンツ上映情報」が時系列で格納されている。
【0088】
項目「開始日時」は、当該施設で上映される映像コンテンツの開始日及び開始時刻を示す情報である。
【0089】
項目「終了時刻」は、当該施設で上映される映像コンテンツの終了時刻を示す情報である。
【0090】
項目「コンテンツ名」は、当該施設で上映される映像コンテンツの名称を示す情報である。
【0091】
サーバ10は、施設の管理者から映像コンテンツの上映情報の入力を受け付けることに伴って、映像コンテンツデータベース181を更新する。
【0092】
視聴者データベース184のレコードのそれぞれは、「視聴者ID」と、項目「視聴者名」と、項目「視聴コンテンツ」と、項目「満足度情報」等を含む。
【0093】
項目「視聴者ID」は、満足度算出システム1を利用する施設で上映された映像コンテンツを視聴した視聴者それぞれを識別する情報である。
【0094】
項目「視聴者名」は、満足度算出システム1を利用する施設で上映された映像コンテンツを視聴した視聴者の氏名を示す情報である。なお、当該施設で視聴者の氏名情報が取得できなかった場合は、図7に示す項目「視聴者ID」が「#0202」で示すレコードのように、格納されなくてもよい。
【0095】
項目「視聴コンテンツ」は、当該視聴者が視聴した映像コンテンツの名称を示す情報であり、映像コンテンツデータベース281の項目「コンテンツ名」に対応している。
【0096】
項目「満足度情報」は、満足度算出システム1を利用する施設で上映された映像コンテンツを視聴した視聴者の満足度の情報であり、具体的には、項目「経過時刻」と、項目「満足度」等を含む。図7に示すように、1の項目「視聴者ID」に対して、1または複数の項目「満足度情報」が所定時間(例えば、1分)ごとの時系列で格納されている。
【0097】
項目「経過時刻」は、当該映像コンテンツの開始からの所定時間ごとの経過時刻を示す情報である。
【0098】
項目「満足度」は、項目「経過時刻」の時刻における、当該映像コンテンツを視聴した視聴者の満足度を示す情報であり、満足度算出モジュール1038で算出された満足度の値である。
【0099】
サーバ10の満足度算出モジュール1038は、映像コンテンツを視聴した視聴者の満足度を算出するごとに、視聴者データベース184を更新する。
【0100】
<3 動作>
以下、図8及び図9を参照しながら、第1の実施の形態における満足度算出システム1による満足度算出の各処理について説明する。
【0101】
図8は、実施の形態1の満足度算出システム1による映像コンテンツ出力処理を行う流れの一例を示すフローチャートである。
【0102】
ステップS111において、サーバ10の映像コンテンツ出力制御モジュール1033は、映像コンテンツデータベース181を参照し、映像コンテンツを上映させる日時を管理する。映像コンテンツ出力制御モジュール1033は、映像コンテンツを上映するために送信すべき時間になると、ステップS112の処理へ進む。
【0103】
ステップS112において、サーバ10の映像コンテンツ出力制御モジュール1033は、映像コンテンツを視聴者に視聴させるため、映像コンテンツの映像データを映像出力装置20へ送信し、音声データを音声出力装置30へ送信する。
【0104】
ステップS122において、映像出力装置20は、サーバ10が送信する映像コンテンツの映像データを受け付ける。音声出力装置30は、サーバ10が送信する映像コンテンツの音声データを受け付ける。
【0105】
ステップS123において、映像出力装置20は、受け付けた映像コンテンツの映像データを映像として上映する。音声出力装置30は、受け付けた映像コンテンツの音声データを音声として出力する。
【0106】
以上のように、満足度算出システム1は、所定の時間になると映像コンテンツの映像データを映像出力装置20へ送信し、音声データを音声出力装置30へ送信する。映像出力装置20は、映像データを映像として上映し、音声出力装置30は、音声データを音声として出力する。これにより、映像コンテンツの上映が行われ、視聴者は音声出力装置30を装着して視聴する。
【0107】
図9は、実施の形態1の満足度算出システム1による満足度算出処理を行う流れの一例を示すフローチャートである。
【0108】
ステップS211において、音声出力装置30のジャイロセンサ制御モジュール3034は、検知部302を構成するジャイロセンサの動作制御を行い、ジャイロセンサの検知信号を、通信部301を介してサーバ10へ送信する。また、生体センサ制御モジュール3035は、検知部302を構成する生体センサの動作制御を行い、生体センサの検知信号を、通信部301を介してサーバ10へ送信する。
【0109】
ステップS231において、カメラ40は、撮影した画像データをサーバ10へ送信する。
【0110】
ステップS221において、サーバ10は、音声出力装置30から送信された検知信号を、通信部101を介して受け付ける。また、サーバ10は、カメラ40から送信された画像データを、通信部101を介して受け付ける。サーバ10は、受け付けた検知信号をセンサ検知信号データベース182に、受け付けた画像データをカメラ撮影画像データベース183に、それぞれ格納する。
【0111】
ステップS222において、サーバ10の開き度合い取得モジュール1034は、カメラ撮影画像データベース183に格納されている画像データを取得する。開き度合い取得モジュール1034は、画像データを解析して視聴者の目を認識して検知し、視聴者の目における目の開き度合いを取得する。
【0112】
ステップS223において、サーバ10のまばたき回数取得モジュール1035は、カメラ撮影画像データベース183に格納されている画像データを取得する。まばたき回数取得モジュール1035は、画像データを解析して視聴者の目を認識して検知し、視聴者のまばたきの回数を取得する。
【0113】
ステップS224において、サーバ10の顔動き取得モジュール1036は、センサ検知信号データベース182に格納されている検知信号を取得する。顔動き取得モジュール1036は、ジャイロセンサの検知信号を解析し、検知信号の角速度とその動きの時間から視聴者の顔の動きを取得する。
【0114】
ステップS225において、サーバ10の生体情報取得モジュール1037は、センサ検知信号データベース182に格納されている検知信号を取得する。生体情報取得モジュール1037は、心電センサの検知信号を解析し、視聴者の生体情報(視聴者の脈拍や体温)を取得する。
【0115】
ステップS226において、サーバ10の満足度算出モジュール1038は、ステップS222で取得した目の開き度合い、ステップS223で取得したまばたきの回数、ステップS224で取得した顔の動き、ステップS225で取得した生体情報に基づき、視聴者の映像コンテンツに対する満足度を算出する。
【0116】
ステップS227において、サーバ10の満足度算出モジュール1038は、算出した満足度を視聴者データベース184に格納し、データベースを更新する。
【0117】
以上のように、満足度算出システム1のサーバ10は、視聴者を撮影した画像データから目の開き度合い、及びまばたきの回数を取得し、センサが検知した検知信号から顔の動き、及び生体情報を取得する。これらの情報から、映像コンテンツに対する満足度を算出する。これにより、映像コンテンツに対する評価を分析することが可能になる。
【0118】
<4 画面例>
以下、図10を参照しながら、満足度算出システム1による各パラメータの推移を表示した画面例について説明する。
【0119】
図10は、満足度算出処理における各パラメータの推移を表示したサーバ10の画面例を示す図である。図10の画面例は、サーバ10の入出力IF13(ディスプレイ)に、目の開き度合い、まばたきの回数、顔の動き、及び生体情報(脈拍)の時系列の推移を表示した画面例を示す。図9のステップS226による算出結果に相当する。
【0120】
図10に示すように、サーバ10の入出力IF13(ディスプレイ)には、視聴者の目の開き度合い、まばたきの回数、顔の動き、及び生体情報(脈拍)の時系列の推移を示すグラフ1031aが例として表示されている。このグラフ1031aは、映像コンテンツの開始時点の目の開き度合い、まばたきの回数、顔の動き、及び脈拍を100とし、その後の経過による各パラメータの変化率を算出し、グラフ化したものである。また、映像コンテンツの上映時間は2時間である。
【0121】
図10のグラフ1031aを参照すると、目の開き度合い、及び脈拍は、映像コンテンツの開始以降減少を続け、開始後30分の時点で上昇に反転し、開始後90分の時点をピークに減少を続け、映像コンテンツの終了時点で100付近の値になっている。また、まばたきの回数、及び顔の動きは、映像コンテンツの開始以降上昇を続け、開始後30分の時点をピークに減少に反転し、開始後90分の時点で上昇に反転し、映像コンテンツの終了時点で100付近の値になっている。
【0122】
上記のように、映像コンテンツを視聴している者が集中して視聴している場合、目の開きが大きくなり、まばたきの回数が減少し、顔の動きが少なくなり、脈拍数が増加する傾向があることから、図10に示す例の場合、開始後30分の時点が最も集中していない状態であり、開始後90分の時点が最も集中している状態であることが分かる。そのため、満足度を算出する際の係数は、目の開き度合い、及び脈拍が大きい場合に満足度が高くなるように(正の係数)設定し、まばたきの回数、及び顔の動きが小さい場合に満足度が高くなるように(負の係数)設定する。
【0123】
<小括>
以上のように、本実施形態によると、視聴者を撮影した画像データを解析し、目の開き度合い、及びまばたきの回数を取得する。センサが検知した検知信号から、顔の動き、及び生体情報を取得する。これらの情報に基づき、映像コンテンツに対する満足度を算出する。そのため、映像コンテンツに対する視聴者の反応を示す情報を取得することが可能である。これにより、映像コンテンツに対する評価を分析することが可能になる。
【0124】
また、目の開き度合い、まばたきの回数、顔の動き、及び生体情報を所定時間ごとに取得し、所定時間ごとに満足度を算出する。これにより、映像コンテンツの時間経過ごとに細かく視聴者の反応を示す情報を取得することが可能である。これにより、映像コンテンツのシーンごとの評価を分析することが可能になり、例えば、プロモーション等に使用される重要なシーンの抽出を容易に行うことが可能になる。
【0125】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換及び変更を行なって実施することができる。これらの実施形態及び変形例ならびに省略、置換及び変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【0126】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を、以下に付記する。
【0127】
(付記1)制御部を備える情報処理装置であって、制御部は、コンテンツを視聴する視聴者を撮影した画像データから、視聴者の目を検知し、視聴者の目の開き度合いを取得する開き度合い取得部と、画像データから、視聴者の目を検知し、視聴者のまばたきの回数を取得するまばたき回数取得部と、開き度合い、及びまばたきの回数をパラメータとして、視聴者の映像コンテンツに対する満足度を算出する算出部と、を備える情報処理装置。
【0128】
(付記2)制御部は、さらに、画像データから、または視聴者が装着する音声出力装置に設けられたセンサから出力された検知信号から、視聴者の顔の動きを取得する動き取得部を備え、算出部は、顔の動きをパラメータとして、視聴者の映像コンテンツに対する満足度を算出する、(付記1)に記載の情報処理装置。
【0129】
(付記3)動き取得部は、視聴者が自己の耳に装着する音声出力装置に設けられたセンサから出力された検知信号から、視聴者の顔の動きを取得する、(付記2)に記載の情報処理装置。
【0130】
(付記4)動き取得部は、音声出力装置に設けられたジャイロセンサから出力された検知信号から、視聴者の顔を傾けた動き、または視聴者の顔の向きを移動させた動きを取得する、(付記2)または(付記3)に記載の情報処理装置。
【0131】
(付記5)制御部は、さらに、視聴者が装着する音声出力装置に設けられたセンサから出力された検知信号から、視聴者の生体情報を取得する生体情報取得部を備え、算出部は、生体情報をパラメータとして、視聴者の映像コンテンツに対する満足度を算出する、(付記1)から(付記4)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0132】
(付記6)生体情報取得部は、視聴者が装着する音声出力装置に設けられた脈拍センサから出力された検知信号から、視聴者の脈拍または血圧の情報を生体情報として取得する、(付記5)に記載の情報処理装置。
【0133】
(付記7)生体情報取得部は、視聴者が装着する音声出力装置に設けられた温度センサから出力された検知信号から、視聴者の体温の情報を生体情報として取得する、(付記5)または(付記6)に記載の情報処理装置。
【0134】
(付記8)算出部は、パラメータのそれぞれの値の所定の時刻における基準値と比較した差分、基準値との変化率、所定の時間内における変化の値、所定の時間内における変化率のいずれか1つまたは複数に基づき、満足度を算出する、(付記1)から(付記7)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0135】
(付記9)算出部は、パラメータのそれぞれの値に対して所定の関数による演算を行い、演算後のそれぞれの値を加算して満足度を算出する、(付記1)から(付記8)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0136】
(付記10)算出部は、パラメータまたは演算後のそれぞれの値に対して、それぞれ所定の係数を乗算し、乗算後のそれぞれの値を加算して満足度を算出する、(付記9)に記載の情報処理装置。
【0137】
(付記11)算出部は、パラメータまたは演算後のそれぞれの所定の値に対して、正の値の係数を乗算し、パラメータまたは演算後のそれぞれの所定の値に対して、負の値の係数を乗算し、乗算後のそれぞれの値を加算する、(付記10)に記載の情報処理装置。
【0138】
(付記12)算出部は、1または複数の視聴者をそれぞれ識別し、それぞれの視聴者ごとに満足度を算出する、(付記1)から(付記11)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0139】
(付記13)開き度合い取得部は、視聴者の目を開いた部分の面積を算出し、視聴者の目の開き度合いとして取得する、(付記1)から(付記12)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0140】
(付記14)開き度合い取得部は、視聴者の目を開いた部分における、上瞼と下瞼との接点と、上瞼の上方の端点、または虹彩と上瞼との接点と、下瞼の下方の端点、または虹彩と下瞼との接点と、の位置の情報を算出し、位置の情報に基づき、視聴者の目の開き度合いとして取得する、(付記1)から(付記12)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0141】
(付記15)まばたき回数取得部は、視聴者を撮影した画像データの所定時間における視聴者のまばたきの回数を取得する、(付記1)から(付記14)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0142】
(付記16)まばたき回数取得部は、視聴者の目が閉じた状態から、所定の時間内に視聴者の目が開いた状態になったとき、視聴者のまばたきと認識して回数をカウントする、(付記1)から(付記15)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0143】
(付記17)カメラと、情報処理装置と、を備えるシステムであって、カメラは、映像コンテンツを視聴する視聴者を撮影し、画像データを生成して情報処理装置に取得させ、情報処理装置は、制御部を備え、制御部は、映像コンテンツを視聴する視聴者を撮影した画像データから、視聴者の目を検知し、視聴者の目の開き度合いを取得する開き度合い取得部と、画像データから、視聴者の目を検知し、視聴者のまばたきの回数を取得するまばたき回数取得部と、開き度合い、及びまばたきの回数をパラメータとして、視聴者の映像コンテンツに対する満足度を算出する算出部と、を備える、システム。
【0144】
(付記18)プロセッサを備えるコンピュータにより実行されるための方法であって、方法は、プロセッサが、映像コンテンツを視聴する視聴者を撮影した画像データから、視聴者の目を検知し、視聴者の目の開き度合いを取得するステップと、画像データから、視聴者の目を検知し、視聴者のまばたきの回数を取得するステップと、開き度合い、及びまばたきの回数をパラメータとして、視聴者の映像コンテンツに対する満足度を算出するステップと、を実行する、方法。
【0145】
(付記19)プロセッサを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、プログラムは、プロセッサに、映像コンテンツを視聴する視聴者を撮影した画像データから、視聴者の目を検知し、視聴者の目の開き度合いを取得するステップと、画像データから、視聴者の目を検知し、視聴者のまばたきの回数を取得するステップと開き度合い、及びまばたきの回数をパラメータとして、視聴者の映像コンテンツに対する満足度を算出するステップと、を実行させる、プログラム。
【符号の説明】
【0146】
10 サーバ、20 映像出力装置、30 音声出力装置、40 カメラ、80 ネットワーク、12 通信IF、13 入出力IF、15 メモリ、16 ストレージ、19 プロセッサ、33 センサ部、101 通信部、102 記憶部、181 映像コンテンツデータベース、182 センサ検知信号データベース、183 カメラ撮影画像データベース、184 視聴者データベース、103 制御部、1033 映像コンテンツ出力制御モジュール、1034 開き度合い取得モジュール(開き度合い取得部)、1035 まばたき回数取得モジュール(まばたき回数取得部)、1036 顔動き取得モジュール(動き取得部)、1037 生体情報取得モジュール(生体情報取得部)、1038 満足度算出モジュール(算出部)
【要約】
【課題】映像コンテンツを視聴する視聴者の満足度を算出することが可能な技術を提供する。
【解決手段】満足度算出システム1のサーバ10は、その機能として、カメラが撮影した画像データを取得して解析し、視聴者の目における目の開き度合いを取得する開き度合い取得モジュール1034と、画像データを解析して視聴者の目におけるまばたきの回数を取得するまばたき回数取得モジュール1035と、目の開き度合い、及びまばたきの回数をパラメータとして、視聴者の映像コンテンツに対する満足度を算出する満足度算出モジュール1038と、を備える。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10