特許第6856977号(P6856977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856977
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】クランプ、閉鎖装置及び薬液回路
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/28 20060101AFI20210405BHJP
   A61M 5/168 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   A61M39/28
   A61M5/168 502
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-25524(P2016-25524)
(22)【出願日】2016年2月15日
(65)【公開番号】特開2017-143851(P2017-143851A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2019年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】391039313
【氏名又は名称】株式会社根本杏林堂
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(72)【発明者】
【氏名】根本 茂
(72)【発明者】
【氏名】吹越 由美子
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 尚
【審査官】 鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−537678(JP,A)
【文献】 特開2000−88120(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0060655(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/104338(WO,A1)
【文献】 特表2012−512993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/28
A61M 5/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブを閉鎖するクランプであって、
前記チューブを支持する支持部と、
前記支持部に向かって突出する突出部と、
前記支持部と前記突出部とを接続すると共に、前記突出部が前記チューブを押し潰す際に変形する変形部と、
前記クランプの外面において前記突出部と重なる位置に設けられ、前記クランプが取り付けられる閉鎖装置の押圧部材の位置決めをする位置決め部とを備え、
前記突出部に間隙部が形成されており、前記間隙部は、前記クランプの内側に向かって凹んだ溝、又は前記突出部を貫通する貫通穴である、クランプ。
【請求項2】
前記支持部は、前記突出部と対向する凹面を有する、請求項1に記載のクランプ。
【請求項3】
前記支持部は、前記凹面の両側に設けられた一対の突起を有し、
前記一対の突起のそれぞれの頂面は平坦である、請求項2に記載のクランプ。
【請求項4】
前記位置決め部は、前記クランプの内側に向かって凹んだ凹部、又は前記クランプの外側に向かって突出する位置決め突起である、請求項1から3のいずれか項に記載のクランプ。
【請求項5】
前記チューブが挿入される穴部をさらに備え、
前記穴部は前記変形部に挟まれている、請求項1から4のいずれか項に記載のクランプ。
【請求項6】
前記支持部の前記突出部とは反対の側に形成された一対の中央凹部をさらに備え、
前記一対の中央凹部は内壁によって互いに分離されている、請求項1から5のいずれか項に記載のクランプ。
【請求項7】
チューブを閉鎖するクランプが取り付けられた閉鎖装置であって、
前記クランプを押圧する押圧部材と、
前記押圧部材を駆動するアクチュエーターと、
前記クランプを保持する保持部と、を備え、
前記クランプは、前記チューブを支持する支持部と、前記支持部に向かって突出する突出部と、前記支持部と前記突出部とを接続すると共に、前記突出部が前記チューブを押し潰す際に変形する変形部と、前記クランプの外面において前記突出部と重なる位置に設けられ、前記押圧部材の位置決めをする位置決め部とを備え、
前記閉鎖装置が開放状態にあるときに、前記押圧部材の先端が前記保持部内に突出している、閉鎖装置。
【請求項8】
前記押圧部材の先端は前記位置決め部と相補的な形状を有する、請求項7に記載の閉鎖装置。
【請求項9】
前記保持部は、前記クランプの外側形状と相補的な内側形状を有する、請求項7又は8に記載の閉鎖装置。
【請求項10】
チューブを閉鎖するクランプが取り付けられた、請求項7から9のいずれか一項に記載の閉鎖装置と、
第1薬液が流れる第1ベースラインと、
第2薬液が流れる第2ベースラインと、
前記第2ベースラインに接続されるトランスデューサラインと、
前記第1ベースライン及び前記第2ベースラインに接続される被験者ラインと、を備え、
前記第1ベースライン、前記第2ベースライン及び前記トランスデューサラインの少なくともいずれか1つは、ブレードチューブを有しており、
前記閉鎖装置は、前記ブレードチューブに取り付けられている、薬液回路。
【請求項11】
請求項1から6のいずれか一項に記載のクランプが前記閉鎖装置に取り付けられている、請求項10に記載の薬液回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路を閉鎖するクランプ、クランプを備えた閉鎖装置、及び閉鎖装置を備えた薬液回路に関する。
【背景技術】
【0002】
薬液の流路を閉鎖するクランプを備えた閉鎖装置として、例えば、特許文献1には、第1シリンジに連結される第1チューブと第2シリンジに連結される第2チューブとを個々に遮断する第1及び第2遮断機構が記載されている。この第1遮断機構は第1保持部材と第1押圧部材とを有しており、第2遮断機構は第2保持部材と第2押圧部材とを有している。また、第1保持部材は第1チューブを介して第1押圧部材に対向して配置されており、第2保持部材は第2チューブを介して第2押圧部材に対向して配置されている。そして、第1シリンジから被験者に造影剤を注入する場合は、第2遮断機構によって第2チューブを遮断する。同様に、第2シリンジから被験者に生理食塩水を注入する場合は、第1遮断機構によって第1チューブを遮断する。
【0003】
また、特許文献2には、可撓性チューブを押し潰して流路を閉塞するクランピング機構が記載されている。このクランピング機構は、チューブを押圧する一対のクランプ部材を有しており、駆動源からの駆動力によってクランプ部材が動かされて、可撓性チューブを押し潰す。さらに、特許文献2には、チューブに当接する角部を有するクランプ部材、当該角部と略相補的なV型の溝を有するクランプ部材、及び曲面状に突出した突出部を有するクランプ部材等が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−065736号公報
【特許文献2】国際公開第2014/104338号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のクランプにおいて、クランプ又はその一部は、チューブを押し潰すように変位する。しかし、正しい方向に変位しない場合、チューブ内を流れる液体によってチューブが膨らむと、その膨らむ力によって押し潰した状態を維持できないことがある。例えば、一対の突出部によってチューブを挟む場合に、突出部がチューブに対して傾いた方向に押圧すると、チューブが膨らむ際に一対の突出部が互いにずれてしまうことがある。そして、突出部がずれてしまうと、チューブ内に流体が流れる空間が生じて流路の閉鎖を維持できない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一例としてのクランプは、チューブを閉鎖するクランプであって、前記チューブを支持する支持部と、前記支持部に向かって突出する突出部と、前記支持部と前記突出部とを接続すると共に、前記突出部が前記チューブを押し潰す際に変形する変形部と、前記クランプの外面において前記突出部と重なる位置に設けられ、前記クランプが取り付けられる閉鎖装置の押圧部材の位置決めをする位置決め部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の他の例としての閉鎖装置は、チューブを閉鎖するクランプが取り付けられた閉鎖装置であって、前記クランプを押圧する押圧部材と、前記押圧部材を駆動するアクチュエーターと、前記クランプを保持する保持部とを備え、前記クランプは、前記チューブを支持する支持部と、前記支持部に向かって突出する突出部と、前記支持部と前記突出部とを接続すると共に、前記突出部が前記チューブを押し潰す際に変形する変形部と、前記クランプの外面において前記突出部と重なる位置に設けられ、前記押圧部材の位置決めをする位置決め部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の他の例としての薬液回路は、チューブを閉鎖するクランプが取り付けられた閉鎖装置と、第1薬液が流れる第1ベースラインと、第2薬液が流れる第2ベースラインと、前記第2ベースラインに接続されるトランスデューサラインと、前記第1ベースライン及び前記第2ベースラインに接続される被験者ラインとを備え、前記第1ベースライン、前記第2ベースライン及び前記トランスデューサラインの少なくともいずれか1つは、ブレードチューブを有しており、前記閉鎖装置は、前記ブレードチューブに取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
これにより、閉鎖装置の押圧部材が正しい方向にクランプを押圧することができる。そのため、クランプの突出部が正しい方向に変位するので、突出部のずれを抑制して、確実に流路を閉鎖することができる。
【0010】
本発明のさらなる特徴は、添付図面を参照して例示的に示した以下の実施例の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】薬液回路の概略図である。
図2】閉鎖装置の概略正面図である。
図3】第1実施形態に係るクランプの概略斜視図である。
図4】第1実施形態に係るクランプの概略正面図である。
図5】第1実施形態に係るクランプの動作の説明図である。
図6】第1実施形態に係るクランプの概略断面図である。
図7】第2実施形態に係るクランプの概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態で説明する寸法、材料、形状及び構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において耐圧とは、例えば100psi以上の高圧、特に1000psi以上の超高圧に耐えることができる性質を意味する。また、本明細書におけるクランプ及び閉鎖装置の説明では、押圧部材を上側とした場合に、その反対側が下側に対応する。また、注入装置の説明では、シリンジが搭載される側が前側に対応し、その反対側が後側に対応する。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、例えば心臓カテーテル検査に使用される薬液回路500の概略図である。なお、薬液回路500は後述する閉鎖装置100を備えているが、説明の便宜上、図1においては閉鎖装置100のクランプのみを図示している。
【0014】
薬液回路500は、造影剤等の医療用の第1薬液と生理食塩水等の医療用の第2薬液とを、それぞれ薬液供給源からシリンジ内に吸引すると共に、被写体である被験者に注入する際に用いられる。そして、薬液回路500には、第1薬液供給源としての造影剤チャンバ601と、第2薬液供給源としての生理食塩水チャンバ602とが接続される。
【0015】
また、薬液回路500は、造影剤ライン501と生理食塩水ライン502とを備えている。造影剤ライン501は、造影剤チャンバ601にドリップチャンバー付スパイク針607を介して接続される。そして、生理食塩水ライン502は、生理食塩水チャンバ602にドリップチャンバー付スパイク針607を介して接続される。また、造影剤ライン501及び生理食塩水ライン502は、薬液が流れるチューブとして、例えば吸引用チューブを有している。なお、ラインとは、液体が流れる流路であり、各部材(各種チューブ、T字コネクター、オスコネクター、メスコネクター、一方弁、接続管、ミキシングデバイス、ストップコック、及びローテータ等)からなる。
【0016】
造影剤チャンバ601は、例えば、造影剤が充填されたボトル状の容器であり、不図示の吊り具(例えば、注入装置608に取り付けられた吊り具)に吊り下げられて使用される。そして、造影剤チャンバ601から流れ出た造影剤は、ドリップチャンバー付スパイク針607のドリップチャンバー内に滴下して、造影剤ライン501へと流れる。また、生理食塩水チャンバ602は、例えば、生理食塩水が充填されたバッグ状の容器であり、不図示の吊り具に吊り下げられて使用される。そして、生理食塩水チャンバ602から流れ出た生理食塩水は、ドリップチャンバー付スパイク針607のドリップチャンバー内に滴下して、生理食塩水ライン502へと流れる。
【0017】
さらに、薬液回路500には、造影剤チャンバ601及び生理食塩水チャンバ602から薬液を吸引すると共に、被験者に薬液を注入する注入装置608が接続される。そして、注入装置608には、第1シリンジとしての造影剤シリンジ604と、第2シリンジとしての生理食塩水シリンジ605とが搭載される。なお、両シリンジは、プランジャー(不図示)が取り付けられた状態でシリンジ保護ケースに固定されている。そして、シリンジ保護ケースは、シリンジクランパーによって注入装置608に固定されている。
【0018】
注入装置608は、シリンジのプランジャーと係合するプレッサー(不図示)を有している。そして、注入装置608は、プランジャーを前方向(前進)又は後方向(後退)に移動するように構成されている。また、注入装置608は、操作部609を有している。この操作部609には、前進ボタン、後退ボタン、スタートボタン、及びプライミングボタン等の操作ボタンが設けられている。
【0019】
また、注入装置608は、床面に置かれたキャスタースタンドに回動自在に接続される。これにより、注入装置608の前側を床面に向ける姿勢と、注入装置608の後側を床面に向ける姿勢とに注入装置608を回動できる。なお、注入装置608は、左右方向に回動できるようにキャスタースタンドに接続されることが好ましい。また、注入装置608は、天井から天吊するように天吊部材に接続することもできる。さらに、注入装置608は、カテテーブルに接続することもできる。
【0020】
さらに、注入装置608は、制御装置(不図示)に有線又は無線接続されており、例えば、ヘッドケーブルを介して接続されている。この制御装置は、タッチパネルを備えると共に、注入装置608のコントローラーとして機能する。また、制御装置には、動作パターン(注入プロトコル)のデータ及び薬液のデータ等が予め記憶されている。そして、被験者に薬液を注入する場合、オペレーターは、タッチパネルを操作して、注入速度、注入量、注入時間及び体重等の被験者の身体的データと、ヨード量及び薬液の種類等の薬液データとを制御装置に入力する。
【0021】
制御装置は、入力されたデータと予め記憶されているデータに応じて、最適な注入条件を算出し、算出された注入条件に基づいて、被験者に注入する薬液の量及び注入プロトコルを決定する。その後、オペレーターの操作に従って、注入装置608は、決定された注入プロトコルに応じて薬液を注入する。なお、制御装置は、動作パターン(注入プロトコル)のデータ及びその他データ等を、外部の記憶媒体から取得することもできる。
【0022】
さらに、薬液回路500は、第1薬液としての造影剤が流れる第1ベースライン508を備えている。そして、第1ベースライン508は、第1上流チューブ506aを介して、第1チューブ504及び造影剤ライン501に接続される。この第1チューブ504の上流側のメスコネクターは、造影剤シリンジ604の先端、又は造影剤シリンジ604に接続されたチューブ(不図示)に接続される。また、第1チューブ504は、第1T字コネクターT1によって、第1上流チューブ506a及び造影剤ライン501に接続されている。
【0023】
第1ベースライン508は、上流側から順に第1ブレードチューブB1及び第1下流チューブ507aを有している。そして、第1ブレードチューブB1は、接続管を介して第1下流チューブ507aに接続されている。なお、第1ブレードチューブB1は、第1上流チューブ506aの下流側のオスコネクターに接続されており、第1上流チューブ506aを介して第1チューブ504に接続されている。
【0024】
また、薬液回路500は、第2薬液としての生理食塩水が流れる第2ベースライン509を備えている。そして、第2ベースライン509は、第2上流チューブ506bを介して、第2チューブ505及び生理食塩水ライン502に接続される。この第2チューブ505の上流側のメスコネクターは、生理食塩水シリンジ605の先端、又は生理食塩水シリンジ605に接続されたチューブ(不図示)に接続されている。また、第2チューブ505は、第2T字コネクターT2によって、第2上流チューブ506b及び生理食塩水ライン502に接続されている。
【0025】
第2ベースライン509は、上流側から順に第2ブレードチューブB2、第3ブレードチューブB3及び第2下流チューブ507bを有している。そして、第2ブレードチューブB2は、第3T字コネクターT3によって第3ブレードチューブB3及び第4ブレードチューブB4に接続されている。また、第3ブレードチューブB3は、接続管を介して第2下流チューブ507bに接続されている。なお、第2ブレードチューブB2は、第2上流チューブ506bの下流側のオスコネクターに接続されており、第2上流チューブ506bを介して第2チューブ505に接続されている。
【0026】
さらに、薬液回路500は、第2ベースライン509に接続されるトランスデューサラインとしての第4ブレードチューブB4を備えている。そして、第4ブレードチューブB4は、トランスデューサ603に接続される。このトランスデューサ603は、被験者の血圧を検出して脈をモニタリングするために、被験者の脈の波形を表示するディスプレイ(不図示)に接続されている。また、第4ブレードチューブB4は、第2ベースライン509に接続されている。
【0027】
また、薬液回路500は、第1ベースライン508及び第2ベースライン509に接続される被験者ライン503を備えている。そして、被験者ライン503の下流側には、ローテータを介してストップコックCが取り付けられている。また、被験者ライン503は、ストップコックCを介して、被験者に穿刺されるカテーテル(不図示)に接続される。このカテーテルの先端は、例えば、心臓カテーテル検査においては冠動脈に移送され、カテーテルの先端から薬液が冠動脈へ注入される。また、被験者ライン503は、薬液が流れるチューブとして、例えば耐圧チューブを有している。なお、被験者ライン503は、ミキシングデバイスS(例えば、株式会社根本杏林堂製の「SPIRAL FLOW」(登録商標))を介して第1ベースライン508及び第2ベースライン509に接続される。なお、ミキシングデバイスSに代えて、T字コネクターを用いてもよい。
【0028】
被験者ライン503、第4ブレードチューブB4、第1ベースライン508及び第2ベースライン509は、少なくともその一部が使い捨て可能に構成されている。例えば、第1ベースライン508の第1ブレードチューブB1は、第1一方弁V1を介して第1上流チューブ506aに取り外し可能に接続されている。また、第2ベースライン509の第2ブレードチューブB2は、第2一方弁V2を介して第2上流チューブ506bに取り外し可能に接続されている。これにより、薬液回路500における、第1上流チューブ506aよりも下流側に位置する部分、及び第2上流チューブ506bよりも下流側に位置する部分は、使い捨て可能に構成することができる。
【0029】
なお、被験者ライン503は、第1ベースライン508及び第2ベースライン509に取り外し可能に接続されてもよい。また、第4ブレードチューブB4は、第2ベースライン509と取り外し可能に接続されてもよい。これにより、被験者ライン503又は第4ブレードチューブB4を使い捨て可能に構成することができる。
【0030】
上述した第1チューブ504、第1上流チューブ506a、第1下流チューブ507a、第2チューブ505、第2上流チューブ506b、及び第2下流チューブ507bは、耐圧チューブである。また、第1ブレードチューブB1、第2ブレードチューブB2、第3ブレードチューブB3及び第4ブレードチューブB4は、耐圧ブレードチューブである。この耐圧ブレードチューブは、1200psiの高圧に耐えることができることが好ましく、例えば、ポリエステル製のブレードが編みこまれたポリウレタン製の内層及び外層を有する。なお、耐圧ブレードチューブに代えて、例えば、ポリアミド製の内層と、ポリウレタン製の外層とを有する耐圧チューブを用いることもできる。
【0031】
また、薬液回路500は、第1一方弁V1、第2一方弁V2、第3一方弁V3、第4一方弁V4、第5一方弁V5及び第6一方弁V6を備えている。これらの各一方弁は、いずれも耐圧一方弁であり、下流方向への流れを許容し上流方向への流れを遮断するように構成されている。なお、図1においては、各一方弁に付した三角マークによって薬液を遮断する方向を示しており、三角形の先端は薬液が流れない方向を指し示している。例えば、造影剤ライン501に接続された第3一方弁V3に付された三角形は、造影剤が造影剤チャンバ601(上流方向)に向かって流れないことを意味している。
【0032】
第1一方弁V1は、第1ブレードチューブB1に取り付けられている。そして、第1ブレードチューブB1は、第1一方弁V1を介して第1上流チューブ506aに接続される。また、第1一方弁V1は、被験者ライン503に向かう方向の流れを許容すると共に、造影剤シリンジ604に向かう方向の流れを遮断する。
【0033】
第2一方弁V2は、第2ブレードチューブB2に取り付けられている。そして、第2ブレードチューブB2は、第2一方弁V2を介して第2上流チューブ506bに接続される。また、第2一方弁V2は、被験者ライン503に向かう方向の流れを許容すると共に、生理食塩水シリンジ605に向かう方向の流れを遮断する。
【0034】
第3一方弁V3は、第1T字コネクターT1に取り付けられている。そのため、造影剤ライン501は、第3一方弁V3及び第1T字コネクターT1を介して第1チューブ504に接続されている。また、第3一方弁V3は、造影剤シリンジ604に向かう方向の流れと第1ベースライン508に向かう方向の流れとを許容すると共に、造影剤チャンバ601に向かう方向の流れを遮断する。
【0035】
第4一方弁V4は、第1上流チューブ506aに取り付けられている。そのため、造影剤ライン501は、第3一方弁V3、第1T字コネクターT1及び第4一方弁V4を介して第1上流チューブ506aに接続されている。また、第4一方弁V4は、第1ベースライン508に向かう方向の流れを許容すると共に、造影剤シリンジ604に向かう方向の流れを遮断する。
【0036】
第5一方弁V5は、第2T字コネクターT2に取り付けられている。そのため、生理食塩水ライン502は、第5一方弁V5及び第2T字コネクターT2を介して第2チューブ505に接続されている。また、第5一方弁V5は、生理食塩水シリンジ605に向かう方向の流れと第2ベースライン509に向かう方向の流れとを許容すると共に、生理食塩水チャンバ602に向かう方向の流れを遮断する。
【0037】
第6一方弁V6は、第2上流チューブ506bに取り付けられている。そのため、生理食塩水ライン502は、第5一方弁V5、第2T字コネクターT2及び第6一方弁V6を介して第2上流チューブ506bに接続されている。また、第6一方弁V6は、第2ベースライン509に向かう方向の流れを許容すると共に、生理食塩水シリンジ605に向かう方向の流れを遮断する。
【0038】
これらの一方弁により、造影剤が第1ベースライン508の上流側、すなわち造影剤シリンジ604に向かって吸引された場合、造影剤は造影剤ライン501から造影剤シリンジ604及び第1ベースライン508に向かって流れることになる。また、造影剤が第1ベースライン508の上流側からその下流側、すなわち被験者ライン503に向かって排出された場合、造影剤は造影剤ライン501に逆流することはない。
【0039】
また、生理食塩水が第2ベースライン509の上流側、すなわち生理食塩水シリンジ605に向かって吸引された場合、生理食塩水は生理食塩水ライン502から生理食塩水シリンジ605及び第2ベースライン509に向かって流れることになる。また、生理食塩水が第2ベースライン509の上流側からその下流側、すなわち被験者ライン503に向かって排出された場合、生理食塩水は生理食塩水ライン502に逆流することはない。
【0040】
また、薬液回路500は、各チューブを閉鎖するクランプが取り付けられた閉鎖装置として、第1閉鎖装置100a、第2閉鎖装置100b、第3閉鎖装置100c及び第4閉鎖装置100dを備えている。そして、第1閉鎖装置100a、第2閉鎖装置100b、第3閉鎖装置100c及び第4閉鎖装置100dは、それぞれ第1ブレードチューブB1、第2ブレードチューブB2、第3ブレードチューブB3及び第4ブレードチューブB4に取り付けられている。また、各閉鎖装置は、外部のコントローラーに無線又は有線接続されており、コントローラーからの制御信号に応じて動作し、後述するクランプを押圧して各ブレードチューブを閉鎖する。なお、以下の説明においては、注入装置608がコントローラーとして機能する。
【0041】
このような薬液回路500は、トランスデューサ603及び注入装置608を備える薬液回路システムの一部として機能する。この薬液回路システムによれば、造影剤及び生理食塩水の注入を自動で行うことができる。以下、薬液回路500の使用方法について説明する。なお、以下の説明において注入装置608は、二つのプレッサーを別々に前進又は後退させることもできるし、同時に前進又は後退させることもできる。
【0042】
[エア抜き]
薬液の注入前には、エア抜きを目的としたプライミングが行われる。プライミングは、オペレーターが注入装置608の操作部609のプライミングボタンを押し下げることによって開始することができる。また、プライミングは、所定のタイミングで注入装置608が自動で行うことができる。さらに、プライミングは、オペレーターが所定の操作を行うことにより手動で行うこともできる。なお、プライミングを行う前に、オペレーターはストップコックCを開いて被験者ライン503に接続されているカテーテル内のエア抜きが可能な状態にする。
【0043】
プライミングが開始されると、注入装置608は、造影剤シリンジ604のプランジャーを前進させ、造影剤シリンジ604から造影剤を排出する。そして、造影剤は、第1チューブ504、第1上流チューブ506a、及び第1ベースライン508を満たす。なお、造影剤の排出前に、造影剤チャンバ601内の造影剤を吸引してもよく、この場合、注入装置608は造影剤シリンジ604のプランジャーを後退させる。これにより、造影剤ライン501及び第1チューブ504を介して造影剤シリンジ604内に造影剤が充填される。また、注入装置608は、第1チューブ504から被験者ライン503までを造影剤で満たしてもよい。
【0044】
次いで、注入装置608は、生理食塩水シリンジ605のプランジャーを前進させ、生理食塩水シリンジ605から生理食塩水を排出する。そして、生理食塩水は、第2チューブ505、第2上流チューブ506b、第2ベースライン509、第4ブレードチューブB4、及び被験者ライン503を満たす。なお、生理食塩水の排出前に、生理食塩水チャンバ602内の生理食塩水を吸引してもよく、この場合、注入装置608は生理食塩水シリンジ605のプランジャーを後退させる。これにより、生理食塩水ライン502及び第2チューブ505を介して生理食塩水シリンジ605内に生理食塩水が充填される。
【0045】
これにより、薬液回路500全体が薬液で満たされ、エアが抜かれた状態となる。なお、造影剤及び生理食塩水を同時に排出してプライミングを行ってもよい。また、生理食塩水を排出した後に造影剤を排出してプライミングを行ってもよい。
【0046】
[薬液の注入]
注入装置608の制御装置は、タッチパネルを有しており、薬液の量及び注入プロトコルが決定すると、所定のデータ又はグラフ等をタッチパネルに表示させる。オペレーターは、タッチパネルの表示を確認し、薬液の注入を開始するならばタッチパネルの決定ボタン又は操作部609のスタートボタンを押す。すると、制御装置が注入装置608に薬液の注入指令を送信する。
【0047】
薬液の注入前に、注入装置608は、造影剤又は生理食塩水がトランスデューサ603に向かって流れないように、第4閉鎖装置100dを制御して第4ブレードチューブB4を閉鎖する。このとき、第1閉鎖装置100a、第2閉鎖装置100b及び第3閉鎖装置100cは、クランプを押圧しない開放状態である。なお、注入装置608は、必要であれば第1閉鎖装置100a、第2閉鎖装置100b及び第3閉鎖装置100cを制御して第1ブレードチューブB1、第2ブレードチューブB2及び第3ブレードチューブB3を開放する。
【0048】
その後、注入装置608は、造影剤シリンジ604のプランジャーを前進させて、造影剤シリンジ604から造影剤を排出する。このとき、第3一方弁V3は、造影剤チャンバ601に向かう方向の流れを遮断する。そのため、造影剤は、第1チューブ504、第1上流チューブ506a及び第1ベースライン508を介してミキシングデバイスSに流入する。
【0049】
さらに、造影剤と生理食塩水とを同時に注入する場合、注入装置608は、生理食塩水シリンジ605のプランジャーを前進させて、生理食塩水シリンジ605から生理食塩水を排出する。このとき、第5一方弁V5は、生理食塩水チャンバ602に向かう方向の流れを遮断する。そのため、生理食塩水は、第2チューブ505、第2上流チューブ506b及び第2ベースライン509を介してミキシングデバイスSに流入する。これにより、造影剤及び生理食塩水がミキシングデバイスSに流入し、ミキシングデバイスS内において混合される。その後、造影剤及び生理食塩水の混合薬液は、被験者ライン503及びカテーテルを介して所定の撮像部位(例えば、被験者の冠動脈)へと注入される。
【0050】
また、造影剤のみを注入する場合、注入装置608は、造影剤がトランスデューサ603に向かって流れないように、第3閉鎖装置100cを制御して第3ブレードチューブB3を閉鎖する。このとき、第1閉鎖装置100aは開放状態であり、第2閉鎖装置100b及び第4閉鎖装置100dは開放状態又はクランプを押圧する閉鎖状態のいずれであってもよい。なお、注入装置608は、必要であれば第1閉鎖装置100aを制御して第1ブレードチューブB1を開放する。そして、注入装置608は、造影剤シリンジ604のプランジャーを前進させて、造影剤シリンジ604から造影剤を排出する。
【0051】
[フラッシュ]
造影剤の注入が完了し薬液回路500内の残圧が十分に低下した後、注入装置608は、生理食塩水が第1ベースライン508に向かって流れないように、第1閉鎖装置100aを制御して第1ブレードチューブB1を閉鎖する。このとき、第4閉鎖装置100dは閉鎖状態であり、第2閉鎖装置100b及び第3閉鎖装置100cは開放状態である。なお、注入装置608は、必要であれば第2閉鎖装置100b及び第3閉鎖装置100cを制御して第2ブレードチューブB2及び第3ブレードチューブB3を開放する。そして、注入装置608は、生理食塩水シリンジ605のプランジャーを前進させて、生理食塩水シリンジ605から生理食塩水を排出する。生理食塩水は、第2チューブ505、第2上流チューブ506b、第2ベースライン509、被験者ライン503、及びカテーテルを介して所定の撮像部位へと注入される。これにより、生理食塩水による造影剤のフラッシュが行われる。
【0052】
[血圧の検出]
その後、注入装置608は、第2閉鎖装置100bを制御して第2ブレードチューブB2を閉鎖する。同時に、注入装置608は、第4閉鎖装置100dを制御して第4ブレードチューブB4を開放する。このとき、第1閉鎖装置100aは閉鎖状態であり、第3閉鎖装置100cは開放状態である。なお、注入装置608は、必要であれば第3閉鎖装置100cを制御して第3ブレードチューブB3を開放する。これにより、トランスデューサ603よりも被験者側の加圧状態が解除される。
【0053】
そして、被験者ライン503、第2下流チューブ507b、第3ブレードチューブB3及び第4ブレードチューブB4を通じて血圧ルートが確立される。その結果、トランスデューサ603が血圧を検出できる状態となる。なお、第1一方弁V1及び第2一方弁V2よりも上流側に向かう液体の流れは、両一方弁によって遮断されている。そのため、第1一方弁V1及び第2一方弁V2よりも上流側の回路に血液が流れることは防止される。
【0054】
[薬液の吸引]
造影剤シリンジ604内の造影剤の量が所定量よりも少なくなった場合、注入装置608は造影剤の吸引を行う。すなわち、注入装置608は、造影剤シリンジ604のプランジャーを後退させることで、造影剤チャンバ601から造影剤シリンジ604に向かって造影剤を吸引する。
【0055】
このとき、第3一方弁V3は、第1チューブ504を介して造影剤シリンジ604に向かう方向の流れと、第1ベースライン508に向かう方向の流れとを許容する。そして、第3一方弁V3は、造影剤ライン501を介して造影剤チャンバ601に向かう方向の流れは遮断する。また、第4一方弁V4及び第1一方弁V1は、第1ベースライン508に向かう方向の流れは許容するが、造影剤シリンジ604に向かう方向の流れは遮断する。
【0056】
また、生理食塩水シリンジ605内の生理食塩水の量が所定量よりも少なくなった場合、注入装置608は生理食塩水の吸引を行う。すなわち、注入装置608は、生理食塩水シリンジ605のプランジャーを後退させることで、生理食塩水チャンバ602から生理食塩水シリンジ605に向かって生理食塩水を吸引する。
【0057】
このとき、第5一方弁V5は、第2チューブ505を介して生理食塩水シリンジ605に向かう方向の流れと、第2ベースライン509に向かう方向の流れとを許容する。そして、第5一方弁V5は、生理食塩水ライン502を介して生理食塩水チャンバ602に向かう方向の流れは遮断する。また、第6一方弁V6及び第2一方弁V2は、第2ベースライン509に向かう方向の流れは許容するが、生理食塩水シリンジ605に向かう方向の流れは遮断する。
【0058】
その後、注入装置608は、造影剤シリンジ604のプランジャーを前進させることで、吸引した造影剤を第1ベースライン508に向かって排出することができる。同様に、注入装置608は、生理食塩水シリンジ605のプランジャーを前進させることで、吸引した生理食塩水を第2ベースライン509に向かって排出することができる。
【0059】
次に、図2を参照して、上述した第1閉鎖装置100a、第2閉鎖装置100b、第3閉鎖装置100c及び第4閉鎖装置100dについて、まとめて閉鎖装置100として説明する。なお、図2は、開放状態の閉鎖装置100を示す概略正面図である。また、クランプ120は、チューブに取り付けた状態で閉鎖装置100に嵌め込まれるが、説明の便宜上、チューブの図示は省略している。
【0060】
チューブを閉鎖するクランプ120が取り付けられた閉鎖装置100は、クランプ120を押圧する押圧部材112と、押圧部材112を駆動するアクチュエーター111と、クランプ120を保持する保持部114とを備えている。また、閉鎖装置100は、チューブが挿入され且つ保持部114の両側に形成された一対の挿入口113を備えている。そして、アクチュエーター111は、モータ及び流体シリンダ等の駆動源を有している。また、押圧部材112は、アクチュエーター111からの駆動力によって進退自在に駆動される。なお、押圧部材112は棒状の形状を有しており、押圧部材112の先端は曲面を有している。
【0061】
保持部114は、クランプ120の外側形状と相補的な内側形状を有する凹部である。具体的に、クランプ120は、正面から見た場合に略楕円形の外側形状を有している。そして、保持部114の少なくとも一部は、クランプ120の外側形状に沿って湾曲する内側形状を有している。また、保持部114には、外部に連通する貫通穴115が形成されている。そして、閉鎖装置100が開放状態にあるときに、押圧部材112の先端は保持部114内に突出している。なお、図2においては、正面からは視認できない貫通穴115を点線で図示している。
【0062】
閉鎖装置100にクランプ120を取り付ける場合、オペレーターはクランプ120をわずかに変形させながら保持部114に嵌め込む。このとき、押圧部材112の先端が保持部114内に突出しているので、クランプ120の上面の一部を押圧部材112の先端が押し下げて変形させる。その後、クランプ120が取付位置に到達すると、変形していたクランプ120が元の形状に復帰して、オペレーターはクリック感を得ることができる。これにより、オペレーターは、正しい取付位置にクランプ120を取り付けたことを確認できる。
【0063】
さらに、後述するクランプ120の変形部は弾性を有している。そのため、クランプ120の上面に形成された位置決め部は、変形部によって付勢されて押圧部材112に密接する。これにより、クランプ120が保持部114から不用意にはずれることがないので、複雑な固定作業をすることなく簡単にクランプ120を取り付けることができる。さらに、造影剤等の粘性が高い液体がクランプ120に付着した場合であっても、クランプ120を容易に取り外して清掃できる。そのため、こびりついた汚れによる閉鎖装置100の動作不良を容易に回避できる。
【0064】
開放状態から閉鎖状態に移行する場合、アクチュエーター111は押圧部材112をクランプ120に向かって押し下げる。押圧部材112に押圧されると、クランプ120の突出部140は矢印Aで示す方向に変位する。これにより、突出部140によってチューブが押し潰され、チューブ内の薬液が流れる空間が閉鎖される。一方、閉鎖状態から開放状態に移行する場合、アクチュエーター111は押圧部材112をクランプ120から引き上げる。押圧部材112が上方に移動するにつれて、クランプ120の突出部140は元の位置に復帰する。これにより、チューブが元の形状に復帰し、チューブ内に薬液が流れる空間が生じる。
【0065】
続いて、図3から図5を参照してクランプ120について説明する。なお、図3は上方から見たクランプ120の概略斜視図であり、穴部151に挿入されるチューブ190が点線で図示されている。また、図4はクランプ120の長手方向に沿った概略正面図である。また、図5は、チューブを押し潰す様子を示す概略図である。
【0066】
図3に示すように、チューブ190を閉鎖するクランプ120は、挿入されたチューブ190を支持する支持部130と、支持部130に向かって突出する突出部140とを備えている。また、クランプ120は、支持部130と突出部140とを接続すると共に、突出部140がチューブ190を押し潰す際に変形する変形部150と、クランプ120の外面において突出部140と重なる位置に設けられた位置決め部160とを備えている。さらに、クランプ120は、突出部140に形成された間隙部141と、チューブ190が挿入される穴部151とを備えている。
【0067】
なお、クランプ120は、3.7mmの外径と1.5mmの内径とを有するチューブ190を閉鎖する場合、長手方向において例えば28mmの長さを有する。また、クランプ120の長手方向に直交する幅方向の長さは、例えば9mmである。さらに、クランプ120の上下方向における高さは、例えば17mmである。このようなクランプ120は、可撓性樹脂(例えば、ポリプロピレン、ナイロン及びポリアセタール等)を成型することによって形成できる。
【0068】
支持部130は、クランプ120の全幅に渡って設けられている。この支持部130は、突出部140と対向する凹面131を有している。そして、凹面131は、クランプ120の長手方向における略中央に位置しており、円弧状に僅かに湾曲している。例えば、凹面131の曲率は20Rであるが、より大きくすることもできる。また、支持部130は、凹面131の両側に設けられた一対の突起132を有している。そして、一対の突起132は、凹面131の中央を境に線対称に配置されている。なお、凹面131の最深部から突出部140までの距離は、チューブ190外径(例えば、3.7mm)に最深部の深さ(例えば、1mm)を加えた長さである。ここで、最深部の深さは、凹面131の最も深い箇所から一対の突起132の頂面までの高さと等しい。
【0069】
一対の突起132のそれぞれの頂面は平坦である。そして、突出部140に対して対称にチューブ190を支持するように、凹面131の最深部から両頂面までの高さは略同一である(例えば、1mm)。これにより、チューブ190は、突出部140に対して均等な位置で突起132に支持される。また、平坦な頂面によって安定してチューブ190を支持できるため、支持されたチューブ190が突出部140に対して傾くことが防止される。なお、クランプ120の長手方向において、突起132の頂面の長さは、例えば2mmであり、2つの突起132同士の間隔は、例えば12mmである。
【0070】
突出部140は、先細り形状を有しており、クランプ120の全幅に渡って設けられている。ただし、突出部140は、クランプ120の長手方向における略中央に位置していればよく、クランプ120の幅方向における略中央にのみ設けてもよい。また、突出部140は、凹面131の最深部と対向している。なお、突出部140の上下方向における長さは、例えば6mmである。
【0071】
間隙部141は、クランプ120の内側に向かって凹んだ溝であり、クランプ120の全幅に渡って突出部140に形成されている。また、間隙部141は、クランプ120の長手方向において、突出部140の略中央に形成されている。さらに、間隙部141は、クランプ120の幅方向において、位置決め部160を横切って延在している。つまり、位置決め部160内に間隙部141と連通する開口が存在している。
【0072】
そして、押圧部材112が位置決め部160に当接して突出部140が下方に変位すると、間隙部141は、図4の矢印Bで示す方向にすぼまるように変形する。このように、突出部140が変位する際に、最初に間隙部141が変形を開始する。そのため、間隙部141がクランプ120の変形の起点となり、変形部150は均等に変形する。なお、間隙部141は、位置決め部160を避けるように、位置決め部160を挟んで正面側及び背面側に2つ形成されてもよい。
【0073】
変形部150は、湾曲した板状の弾性部材であり、チューブを閉鎖する際には間隙部141に続いて変形する。また、図3に示すように、変形部150は、クランプ120の片側に2つずつ設けられており、合計で4つの変形部150が設けられている。そして、変形部150は、クランプ120の長手方向の略中央を境に線対称となるように均等に配置されている。そのため、チューブを閉鎖する際に、突出部140の両側の変形部150の変形量は均等である。なお、変形部150は、断面円形又は楕円形の細長い弾性部材であってもよい。
【0074】
穴部151は、支持部130の両側に形成されており、チューブ190の外径と同じ内寸(例えば、3.7mm)を有している。また、穴部151は、変形部150に挟まれるに、2つの変形部150の間に形成されている。そのため、チューブ190が幅方向に動いた場合であっても、穴部151の両側の変形部150によってチューブ190の位置ずれを規制することができる。
【0075】
位置決め部160は、クランプ120の内側に向かって凹んだ凹部であり、略半球状の窪みによって構成されている。また、位置決め部160は、クランプ120の長手方向における略中央に形成されており、クランプ120が取り付けられる閉鎖装置の押圧部材112と当接して押圧部材112の位置決めをする。そのため、押圧部材112の先端は、位置決め部160と相補的な形状を有することが好ましい。なお、位置決め部160の形状は半球には限られず、押圧部材112の先端形状に合わせて、逆円錐、逆円錐台、逆三角錐又は逆四角錐であってもよい。
【0076】
ここで、図5を参照して、押圧部材112の位置決めについて説明する。なお、図5においては、説明の便宜上、押し潰されたチューブ190の断面を示している。また、チューブ190が完全に押し潰された状態において、突出部140と支持部130との間の距離は、例えば0.6mmである。
【0077】
押圧部材112が理想的に押し下げられると、位置決め部160に当接する押圧部材112は、図5において実線で示されるように、チューブ190の軸方向に対して略垂直に押し下げられる。そして、突出部140も、チューブ190の軸方向に対して略垂直に変位する。一方、押圧部材112は、位置決め部160に対して相対的に傾いた状態で当接してしまう場合がある。例えば、押圧部材112自身が傾くこと、又はクランプ120が押圧部材112に対して傾いて取り付けられることがある。この相対的に傾いた状態の押圧部材112’を、図5においては点線で示している。
【0078】
このような状態であっても、押圧部材112’は、押し下げに伴って位置決め部160の内面に沿って突出部140の直上に案内される。すなわち、押圧部材112’は、押し下げられるにつれて位置決め部160の内面上を摺動するように相対的に移動する。そして、押圧部材112’は、実線で示した正しい位置(突出部140の直上の位置)まで案内される。
【0079】
正しい位置に案内された押圧部材112がさらに押し下げられると、突出部140の周囲の変形部150’が、点線で示す位置まで均等に変形する。これにより、押圧部材112は、変形部150’によって囲まれることになるので、正しい位置からさらに移動することはなく、確実に正しい位置に位置決めされる。すなわち、押し下げ開始直後において、押圧部材112’がチューブ190に対して相対的に傾いた方向に押し下げられても、押圧部材112’が正しい位置に案内される。その結果、突出部140は、正しい方向、すなわちチューブ190の軸方向に対して略垂直な方向に変位できる。
【0080】
特に、位置決め部160が押圧部材112の先端と相補的な形状を有する場合、押圧部材112は、位置決め部160の外縁によって規制されるため、正しい位置に対して相対的に移動しない。そのため、正しい位置からの位置ズレを防止して、押圧部材112を正しい位置に維持できる。なお、上述した押圧部材112’の相対的な移動には、押圧部材112’が正しい位置に案内されるように、クランプ120又はその一部が押圧部材112’に対して移動することも含まれる。
【0081】
また、上述したように、支持部130の一対の突起132は突出部140に対して均等な位置に配置されている。そのため、図5に示すように、突出部140によって押し潰されたチューブ190は、突出部140に対して均等に変形する。また、間隙部141が突出部140の略中央に形成されているため、最初に変形を開始する間隙部141によって、変形部150を均等に変形させることができる。これにより、押圧部材112を正しい位置に維持できると共に、突出部140は、正しい方向にチューブ190を押し潰すことができる。
【0082】
さらに、突出部140がチューブ190の軸方向に対して垂直に押し下げられている結果、チューブ190の内面に薬液による圧力が加わっても、押圧部材112を押し上げない限り突出部140がずれることは無い。そのため、チューブ190の内面に圧力が加わっても、チューブ190の膨らむ力によって突出部140がずれてしまうことは無い。これにより、チューブ190内に薬液を流す場合であっても、突出部140のずれを抑制して流路を閉鎖できる。
【0083】
また、位置決め部160に向かって押圧部材112を押し下げるのみで、チューブ190を挟んで押し潰すことができる。そして、押圧部材112を押し上げるのみで、チューブ190の閉塞を解除して流路を開放することができる。これにより、押圧部材112の上下動による流路の開閉制御を容易に行うことができる。さらに、比較的に硬質な耐圧ブレードチューブを使用する場合、剛性によって突出部140がずれ易い。しかし、上述した閉鎖装置100及びクランプ120によれば、突出部140のずれを抑制できるため、ブレードチューブ内の流路をより確実に閉鎖できる。
【0084】
次にクランプ120の下側の構造について、概略断面図である図6を参照して説明する。なお、図6は、クランプ120の幅方向における略中央で切った場合の長手方向に沿った断面の概略図である。
【0085】
クランプ120は、支持部130の突出部140とは反対の側に形成された一対の中央凹部134を備えている。この一対の中央凹部134は、内壁133によって互いに分離されており、支持部130の下側において幅方向の略中央に形成されている。また、一対の中央凹部134は、突出部140に対して均等な位置に形成されており、内壁133を境に線対称に構成されている。
【0086】
内壁133は突出部140の直下に設けられており、一対の中央凹部134は内壁133を含む4つの壁にそれぞれ囲まれている。すなわち、各中央凹部134は、内壁133と、クランプ120の正面側の側壁と、クランプ120の背面側の側壁と、変形部150に連続する外壁135とによって囲まれている。そして、外壁135が外側に向かって湾曲しているため、中央凹部134においては、底部よりも開口の方が大きくなっている。なお、外壁135は、穴部151の下端を画定している。
【0087】
外壁135は、変形部150が変形する際に外側に向かって広がるように変形する。これにより、中央凹部134を形成しない場合、すなわち支持部130が中実である場合と比較して、より小さな力で変形部150を変形させることができる。
【0088】
以上説明した第1実施形態によれば、閉鎖装置100の押圧部材112は正しい方向にクランプ120を押圧することができる。そのため、クランプ120の突出部140が正しい方向に変位することによって、突出部140のずれを抑制できる。これにより、確実に流路を閉鎖して薬液の逆流を防止できる。
【0089】
特に、剛性の高いブレードチューブ内の流路を閉鎖する場合、又は超高圧で薬液を流す場合には、チューブを押し潰す際の抵抗が高いため突出部のずれが生じやすい。さらに、一対の突出部の一方が支点として機能し且つ他方が力点として機能するように突出部が互い違いに配置されている場合は、流路の閉鎖時にチューブが片支持となる。そのため、超高圧で薬液を流すと、チューブが膨らむ力によって突出部がずれ易い。この点、第1実施形態によれば、ブレードチューブを使用する場合又はチューブ内に超高圧で薬液を流す場合であっても、突出部140のずれを抑制して確実に流路を閉鎖することができる。
【0090】
また、第1実施形態に係る閉鎖装置100によれば、クランプ120の清掃及び取り付けが容易である。すなわち、カム等を使用して機構部が直接にチューブ190を挟む構造と比較して、閉鎖装置100を分解する必要がないため、クランプ120の清掃が極めて容易である。そのため、こびりついた汚れによる閉鎖装置100の動作不良を回避できる。さらに、第1実施形態に係る薬液回路500によれば、閉鎖装置100をブレードチューブに取り付けることにより、剛性の高いブレードチューブを使用する場合であっても確実に流路を閉鎖できる。
【0091】
なお、第1ベースライン508、第2ベースライン509及びトランスデューサライン(第4ブレードチューブB4)の1つ又は2つは、ブレードチューブを有していなくともよい。また、押圧部材112の位置ずれをより確実に防止するために、位置決め部160に滑り止めを施してもよい。このような滑り止めを設ける処理としては、例えば、位置決め部160の粗面化処理等が考えられる。また、突出部140の先端は平坦であってもよいが、チューブ190を傷つけないように、端面が湾曲していることがより好ましい。
【0092】
また、注入装置608から注入された薬液が流れる各チューブは、耐圧チューブであることが好ましい。ただし、各チューブは、例えば、10〜20psiの比較的に低い圧力に耐えるチューブであってもよい。このようなチューブを押し潰す場合であっても、クランプ120の突出部140が正しい方向に変位することによって、突出部140のずれを抑制できる。
【0093】
[第2実施形態]
続いて、図7を参照して第2実施形態に係るクランプ220について説明する。なお、図7はクランプ220の長手方向に沿った正面の概略図である。また、第2実施形態の説明においては、第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態で説明した構成要素については説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
【0094】
第2実施形態においては、突出部240と対向する支持部230が階段状の凹面231を有している。また、凹面231の最深部と対向する突出部240の先端は平坦に構成されており、略直方体の形状を有している。ただし、チューブ190を傷つけないように、突出部240の先端の角部は丸みを帯びている。そして、凹面231の最深部に対して両側の階段の段数は同一である。すなわち、凹面231は、その中央を境に線対称に構成されている。
【0095】
また、支持部230は凹面231の両側に設けられた一対の突起232を有しており、一対の突起232は凹面231の中央を境に線対称に配置されている。さらに、支持部230は、クランプ220の長手方向における略中央に位置している。そして、一対の突起232のそれぞれの頂面は平坦であり、凹面231の最深部から両頂面までの高さは略同一である。なお、支持部230及び突出部240は、クランプ220の全幅に渡って設けられている。
【0096】
また、第2実施形態においては、変形部250がV字状に折れ曲がった板状の弾性部材である。また、変形部250は、支持部230と突出部240とを接続しており、クランプ220の片側に2つずつ設けられ、合計で4つの変形部250が設けられている。そして、変形部250は、クランプ220の長手方向の略中央を境に線対称となるように均等に配置されている。そのため、突出部240の両側の変形部250の変形量は均等である。
【0097】
また、それぞれの変形部250において、屈曲部から突出部240に近い位置には変形凹部251が形成されている。これらの変形凹部251は、突出部240の中央に設定される対称軸を境に線対称となるように形成されている。そして、変形凹部251は、押圧部材212が位置決め部260に当接して突出部240が下方に変位すると内側にすぼまるように変形する。このように、変形部250が変形する際には、変形凹部251が初期段階で変形を開始する。そのため、クランプ220の両側を均等に変形させることができる。
【0098】
また、第2実施形態においては、間隙部241が突出部240を貫通する貫通穴である。そして、間隙部241は、位置決め部260とは連通していない。すなわち、第1実施形態とは異なり、位置決め部260内に間隙部241と連通する開口が形成されていない。また、間隙部241は、クランプ220の全幅に渡って突出部240に形成されている。さらに、間隙部241は、クランプ220の長手方向において、突出部240の略中央に形成されている。
【0099】
そして、間隙部241は、押圧部材212が位置決め部260に当接して突出部240が下方に変位すると、その内部の空間が押し潰されるように変形する。このように、突出部240が変位する際に、最初に間隙部241が変形を開始するため、間隙部241がクランプ220の変形の起点となる。これにより、クランプ220の両側を均等に変形させることができる。
【0100】
さらに、第2実施形態においては、位置決め部260が、クランプ220の外側に向かって突出する複数の位置決め突起である。この位置決め突起は略三角柱の形状を有しており、閉鎖装置100の押圧部材212の先端は位置決め部260と相補的な形状を有している。そして、位置決め突起は、それぞれ傾斜面を有しており、押圧部材212と当接し、突出部240に対して押圧部材212の位置決めをするように案内する。これにより、位置決め部260に当接した押圧部材212は、位置決め突起のそれぞれの傾斜面に沿って突出部240の直上に案内される。
【0101】
また、位置決め部260は、クランプ220の長手方向における略中央に形成されている。なお、位置決め部260は、押圧部材212を案内する湾曲面又は傾斜面を有していればよく、例えば、半円柱及び錐台等の他の形状を有していてもよい。
【0102】
これにより、押圧部材212は、正しい方向にクランプ220を押圧できる。そのため、突出部240は、チューブ190の軸方向に対して略垂直に変位して、チューブ190に対してずれることがない。その結果、突出部240と支持部230とは、チューブ190の軸方向に対して略垂直にチューブ190を押し潰すことができる。
【0103】
以上説明した第2実施形態によっても、閉鎖装置100の押圧部材212が正しい方向にクランプ220を押圧できるため、突出部240のずれを抑制できる。これにより、チューブ190を確実に閉鎖できるので、薬液の逆流を防止できる。特に、チューブ190内に超高圧で薬液を流す場合、又は剛性の高い耐圧チューブを使用する場合であっても、突出部240のずれを抑制できる。さらに、第2実施形態に係る閉鎖装置によっても、クランプ220の清掃及び取り付けは容易である。
【0104】
なお、第2実施形態のクランプ220も、チューブ190が挿入される穴部(不図示)を備えている。そして、この穴部は、支持部230の両側において、2つの変形部250の間に形成されている。さらに、第2実施形態のクランプ220は、支持部230の突出部240とは反対の側に形成された一対の中央凹部(不図示)を備えている。
【0105】
以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、各実施形態及び各変形形態は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【0106】
例えば、注入装置608に搭載されるシリンジは、薬液が充填されているシリンジ及び薬液が充填されていない空シリンジのいずれであってもよい。そして、薬液が充填されているシリンジには、予め薬液が充填されているプレフィルドシリンジ、オペレーターが吸引器若しくは充填器で空のシリンジに薬液を充填して得られたシリンジ、及びオペレーターが手動で空のシリンジに薬液を充填して得られたシリンジ等が含まれる。さらに、シリンジには、RFID(Radio Frequency Identifier)又はバーコードといったデーターキャリアを設けることができる。このデーターキャリアには、充填された薬液の情報等が記録されている。そして、注入装置608は、データーキャリアから記録された情報を読み取り、薬液の注入圧力等を制御できる。
【0107】
また、注入装置608は、撮像装置と有線又は無線接続することができる。そして、薬液の注入時及び画像の撮影時には、撮像装置と注入装置608との間で各種データが送受信される。この場合、例えば、注入装置608において撮像条件が設定又は表示されてもよく、撮像装置において注入条件が設定又は表示されてもよい。このような撮像装置としては、例えば、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、CT(Computed Tomography)装置、アンギオ撮像装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、CTアンギオ装置、MRアンギオ装置、超音波診断装置、及び血管撮像装置等の各種医療用撮像装置がある。
【0108】
また、注入装置608は、注入結果(注入履歴)に関する情報を、ネットワーク経由でRIS(Radiology Information System)、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)、及びHIS(Hospital Information System)等の外部記憶装置に送信し記憶させることもできる。
【0109】
さらに、注入装置608には、フットスイッチ及びハンドスイッチ等の遠隔操作装置が有線又は無線接続されていてもよい。オペレーターは、操作部609に代えて遠隔操作装置を操作して注入装置608を操作できる。
【0110】
また、第1閉鎖装置100a、第2閉鎖装置100b、第3閉鎖装置100c及び第4閉鎖装置100dは、それぞれ別体であってもよく、1つの閉鎖ユニット内に4つの閉鎖装置が一体的に設けられてもよい。
【0111】
また、造影剤チャンバ601とドリップチャンバー付スパイク針607との間、及び生理食塩水チャンバ602とドリップチャンバー付スパイク針607との間には、各チャンバ内の薬液量を監視するセンサーを設けてもよい。例えば、各チャンバ内の薬液が所定量未満になった場合、当該センサーは注入装置608に信号を送信する。そして、信号を受信した注入装置608は、薬液の吸引又は注入の停止、及び各チャンバの交換を促す報知の少なくとも一方を行う。
【0112】
また、被験者ライン503、第1下流チューブ507a又は第2下流チューブ507bには、気泡の存在を検出するエアセンサーを設けてもよい。例えば、各チューブ内の気泡を検出した場合、当該エアセンサーは注入装置608に信号を送信する。そして、信号を受信した注入装置608は、薬液の注入の停止、及びエア検出の報知(警告)の少なくとも一方を行う。
【0113】
また、閉鎖装置100は、クランプ120の内側(突出部140と支持部130の間)への異物進入を防止するように、クランプ120を覆うカバーを有していてもよい。さらに、閉鎖装置100は、クランプ120の内側に進入した異物(例えば、指等)を検出するセンサーを有していてもよい。例えば、進入した異物を検出した場合、当該センサーは閉鎖装置100に信号を送信する。そして、信号を受信した閉鎖装置100は、押圧部材112の押し下げ停止、及び異物検出の報知(警告)の少なくとも一方を行う。
【符号の説明】
【0114】
100:閉鎖装置、111:アクチュエーター、112:押圧部材、114:保持部、120:クランプ、130:支持部、131:凹面、132:突起、134:中央凹部、140:突出部、141:間隙部、150:変形部、151:穴部、160:位置決め部、190:チューブ、212:押圧部材、220:クランプ、230:支持部、231:凹面、232:突起、240:突出部、241:間隙部、250:変形部、260:位置決め部、500:薬液回路、503:被験者ライン、508:第1ベースライン、509:第2ベースライン、B4:トランスデューサライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7