(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856980
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】グリッパ織機におけるグリッパ経路からの不良緯糸の空気式除去装置及び方法
(51)【国際特許分類】
D03D 47/24 20060101AFI20210405BHJP
D03D 47/34 20060101ALN20210405BHJP
【FI】
D03D47/24
!D03D47/34
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-117190(P2016-117190)
(22)【出願日】2016年6月13日
(65)【公開番号】特開2017-36534(P2017-36534A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2019年3月25日
(31)【優先権主張番号】102015000024151
(32)【優先日】2015年6月16日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515355022
【氏名又は名称】イテマ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】ITEMA S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ファビオ・ラボリーニ
(72)【発明者】
【氏名】ディエゴ・ポレッティ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・ナヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルテル・グエリノーニ
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−133551(JP,A)
【文献】
実開昭60−117884(JP,U)
【文献】
特開平05−321078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 47/24
D03D 47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの弁(1)によって開閉制御される1つ以上の圧縮空気の流れを有する種類であり、前記圧縮空気の流れは、織機の緯糸供給レバー(F)と製織されている織物の縁との間に含まれる領域において前記織機に配置される、グリッパ織機におけるグリッパ経路からの不良緯糸の除去装置であって、
前記圧縮空気の流れは、前記不良緯糸を搬送グリッパガイド(G)から垂直方向に離れるように動かすための空気噴流を形成するために方向付けられていることを特徴とする、グリッパ織機におけるグリッパ経路からの不良緯糸の除去装置。
【請求項2】
前記空気流れが搬送グリッパガイド(G)の近傍に配置されている、請求項1に記載のグリッパ織機におけるグリッパ経路からの不良緯糸の除去装置。
【請求項3】
前記空気の流れは、小径管(3)の側面に横向きに備えられた複数の開口(4)により放出され、
前記小径管(3)は、電磁弁(1)を介して圧縮空気が軸方向に提供されており、開口(4)が上向きになるように搬送グリッパガイド(G)に関連づけられている、請求項2に記載のグリッパ織機におけるグリッパ経路からの不良緯糸の除去装置。
【請求項4】
前記開口(4)は、小径管(3)の軸に平行な線に沿って整列している、請求項3に記載のグリッパ織機におけるグリッパ経路からの不良緯糸の除去装置。
【請求項5】
前記開口(4)は、前記小径管(3)の軸に平行な線を挟んで互い違いに設けられている、請求項3に記載のグリッパ織機におけるグリッパ経路からの不良緯糸の除去装置。
【請求項6】
前記開口は空気の流れのために、連続的な又は離散的な穴又はスリットを有している、請求項3、4又は5のいずれかに記載のグリッパ織機におけるグリッパ経路からの不良緯糸の除去装置。
【請求項7】
前記空気の流れは、前記搬送グリッパガイドGの溝に備えられた複数の開口によって放出される、請求項2に記載のグリッパ織機におけるグリッパ経路からの不良緯糸の除去装置。
【請求項8】
不良緯糸の挿入が検知されたときに、織機中央制御装置が織機急停止処置を始める種類のグリッパ織機におけるグリッパ経路からの不良緯糸の除去方法であって、更に、前記織機急停止処置の開始後すぐに又は同時に、前記織機の緯糸供給レバー(F)と製織されている織物の縁との間に含まれた領域において前記織機に配置された1つ以上の圧縮空気を作動させることを含み、
前記圧縮空気の流れは、不良緯糸を搬送グリッパガイド(G)から垂直方向に離れるように動かすための空気噴流を形成するために方向付けられているという特徴を有する、不良緯糸の除去方法。
【請求項9】
前記圧縮空気の流れの作動は、少なくとも搬送グリッパの杼口への搬入が完了するまで継続する、請求項8に記載のグリッパ織機におけるグリッパ経路からの不良緯糸の除去方法。
【請求項10】
前記圧縮空気の流れは、前記搬送グリッパガイド(G)の基端において発生しているか、又は、直接前記ガイド(G)から発生し、その方向は上方を向いている、請求項9に記載のグリッパ織機におけるグリッパ経路からの不良緯糸の除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリッパ織機におけるグリッパ経路からの不良緯糸の除去装置及びそのような装置を使用する不良緯糸の除去方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、不良緯糸の挿入の結果生じた織機の停止過渡時(stop transient)における、杼口の外側の不良緯糸を一時的に除去する前述した装置に関する。
【背景技術】
【0003】
前記織機の正常な運転の間、前記織機の片側から正常に挿入された前記緯糸が反対側に到達しないような、緯糸の挿入が一部分のみ行われるということが起こることがある。このような機能不全は、杼口へ緯糸が搬送される間の緯糸の機械的破損を引き起こす緯糸の欠陥若しくは挿入中に緯糸に付加された過度な圧力、搬送グリッパ若しくは引張グリッパからの緯糸の早期解放、又は杼口の中間で引張グリッパが搬送グリッパと緯糸の受け渡しを行う際の引張グリッパの緯糸掴みの失敗、に起因することがある。簡潔に言えば、前記3つの異常な緯糸挿入の場合は以下のように示される。
緯糸切れ(broken weft)、
緯糸の欠落(lost weft)、
グリッパ間での受け渡しミス(missed exchange between the grippers)、
又は、総じて“不良緯糸”と示す。
【0004】
これらの異常な緯糸挿入のうちの1つが起きたとき、織機の受け取り側に配置された特別なセンサーを通る緯糸の通過がないことによって、織機中央制御装置は、すぐさま異常な緯糸挿入を検知し、前記織機の予備的な停止(piloted stop)が起きる。
【0005】
しかしながら、この停止は、多くの場合で、不良緯糸が発生した緯糸挿入サイクルと同一の緯糸挿入サイクルで終了せず、それどころかその後に続くサイクルの間に終了する。これは、織機の動作部品の慣性に起因すると共に、不良緯糸に起因する停止がいつ起きたか、機械の動作速度、及びその高さに依存する。従って、一度停止が決定すると、前記不良緯糸が挿入された位置と同じ位置まで戻すために、前記織機を必要なサイクル数(通常は1回又は2回)逆方向に運転し、手動又は自動で当該緯糸を除去し、その後織機を再起動する必要がある。
【0006】
前記織機の停止が実行されている前記した過渡時において、不良緯糸は、前進端が前記杼口の中間点にしか達しておらず、多かれ少なかれ弛んでいる。それゆえに、一部分は前記杼口の内側に、一部分は前記杼口の外側において輪を形成しているため、故障が発生する可能性がある。
【0007】
前記杼口の内側において弛んだ前記緯糸は、経糸の交差及び筬による筬打ちによりすぐさま捕捉されるため、いかなる不都合も生じさせないが、反対に、前記杼口の外側において弛んだ前記緯糸は、任意の経路に沿って配置されている。そのため、緯糸が過渡的なアイドル停止(idle stop transient)を実行する前記搬送グリッパによって偶発的に引っかかり、そのようなグリッパによって前記杼口の内側に置き違えられる危険性が高く、織物不良の原因となり得る。実際に、前記供給装置及び緯糸切断装置は前記織機の停止指示と同時に止まるため、前記不良緯糸はまだ切断されておらず、更には交差した前記経糸に捕捉されたままである。従って、前記緯糸の靱性によっては、そのような故障は重大なものとなり、前記搬送グリッパによって引っ張られた前記不良緯糸が経糸を一定数切断又は引き裂いた場合には、故障の重大性は増加し、修理時間は長くなる。
【0008】
前述した問題は、先行技術によって今までに十分には処置されてこなかった。先行技術では、多数の装置で既に混雑している領域において前記織機の構造を複雑にする電気式又は空気駆動式の緯糸捕捉フックの形式の機械的な把持装置が提案されたが、それらの速度と介入の有効性は不満足なものだった。実際、前記織機停止信号と、織機停止過渡時の杼口への搬送グリッパの継続的な進入との間における利用可能な時間は非常に短く、更に、前記不良緯糸は弛んでいるため、機械的なフックに緯糸を捕捉させることは簡単ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従って、従来の装置と比較して、完全に異なる構想と動作を有し、織機停止過渡時に不良緯糸が搬送グリッパの進入経路を横切って存在することを確実に阻止することで、前述した故障を簡潔で効率的に解決することができる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的は、添付の請求項1及び請求項8で規定された特徴を有する不良緯糸の空気式除去装置及び関連する利用方法を用いて達成される。そのような装置と関連する利用方法のその他の好ましい特徴は従属請求項で規定する。
【0011】
本発明に係る空気式不良緯糸除去装置と関連する利用方法の更なる特徴と利点は、単なる非制限的な例として与えられ、添付図面に図示されている本発明の好適な実施形態に関する以下の詳細な説明によって、いずれにしてもより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】織機から取り外した本発明に係る不良緯糸除去装置の斜視図。
【
図2】織機(緯糸を挿入する側)の外部からの、適切に取り付けられた
図1の不良緯糸除去装置の斜視図。
【
図3】織機(緯糸を挿入する側)の内部からの、
図2の不良緯糸除去装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る不良緯糸の除去装置の構成は、
図1に明瞭に示してあるように、特に単純であり、上流と下流にそれぞれ圧縮空気供給部2と通気配分用の小径管3が接続され、織機制御装置によって制御される電磁弁1を含む。前記小径管3は、圧縮空気噴流の放出のためのノズルとして働く一連の穴部4をその側面に有する。
【0014】
電磁弁1は、小さく大変薄く、それ故に、
図2に示すように前記搬送グリッパバンドの摺動ガイドGの縁に何の問題もなく配置されることができる。その結果、小径管3は、前記緯糸供給機械の緯糸案内レバーFと、製織されている織物の縁、すなわち、杼口の入り口との間に含まれる領域においてガイドG(
図3)と平行に配置されることができる。杼口に挿入するためにグリッパ経路上に向かわせる緯糸は、緯糸案内レバーによって選択される。明らかに、電磁弁1はいかなる遠隔操作型弁に置き換えることができる。
【0015】
小径管3は、穴部4が圧縮空気噴流を搬送グリッパガイドGから縦方向に、好ましくは上方に離れる方向に導くように配置されるようにガイドGに沿って固定されている。前記穴部は、小径管3に沿って長手方向に整列されていてもよく、又は、互いに例えば交互に僅かに外側にずれていてもよい。前記穴部は、それぞれ、搬送グリッパガイドGと平行な同一平面上にある複数の圧縮空気噴流、又は、全体で所望の開口角度を有する空気の流れを形成するように前記平面に対して交互に傾斜した複数の圧縮空気噴流を提供する。
【0016】
代替的には、小径管3は、理想的な空気噴流の形成のために穴部4が開かれている搬送グリッパガイドGの内側に形成された特別な溝によって置き換えられてもよい。
【0017】
前記装置の動作もまた特に単純であり、効率的である。前記織機中央制御装置に導入されている前記装置のプログラムは、前記織機中央制御装置が前記不良緯糸の存在を検知したとき、通常の織機停止処置を開始することに加えて、電磁弁1の開弁状態への作動が直ちに制御されることをも提供する。これにより、圧縮空気の流れが小径管3の穴部4から放出され、その結果、当該領域にある弛んだ前記緯糸の上昇運動が起こる。ここで、前記通常の織機停止処置は、1,2回のサイクル内での前記グリッパの動作の制動及び停止をすることと、当該サイクルを空回りで(idly)、すなわち、緯糸の挿入がないように実行させるために、それと同時に起こる前記緯糸供給機械の非作動とを含む。
【0018】
前述した圧縮空気の流れに影響された前記不良緯糸は、各々の緯糸供給機械レバーFの糸案内から、また前記不良緯糸がまだ接続されている製織されている前記織物から広がりながら上昇し、その結果、前記不良緯糸は、ガイドGに沿った前記搬送グリッパの経路から大幅にかつ速やかに動き離れる。従って、実質的なグリッパのアイドルサイクル(idle cycle)における、前記不良緯糸と前記搬送グリッパとの間の干渉のいかなる危険も排除され、本発明の目的は十分に達成される。
【0019】
一度前記織機が停止すれば、又は前記搬送グリッパが前記杼口に入り終えるとすぐに前記織機が事実上停止する前でさえ、電磁弁1は閉じられ、従って、通常の不良緯糸の修復と織機の再始動操作を実行することができる。
【0020】
本発明は、たった1つの可能で好適な例示的な適用である前述した特定の実施形態に制限されると考えられるべきではなく、種々の型が可能である。例えば、前記空気の流れを引き起こす装置の形状及び配置、また、空気の流れがコンベヤ又は流量調整要素を用いて、間接的にというよりむしろ直接的に関心領域に向けて送られることに関して種々の型が可能であるということを意味する。そのような変更の全ては、当業者に実現可能な範囲内であり、従って、以下の請求項によって唯一定義される本発明の保護の範囲に入る。
【符号の説明】
【0021】
1 電磁弁
2 圧縮空気供給部
3 小径管
4 穴部
F 案内レバー
G 搬送グリッパガイド