【氏名又は名称】アイシーティー インテグレーテッド サーキット テスティング ゲゼルシャフト フィーア ハルプライタープリーフテヒニック エム ベー ハー
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プロキシ電極が、軸外後方散乱粒子の通過を可能にする2つ以上の第2の開口を備え、および/または前記プロキシ電極が、前記荷電粒子ビーム装置の前記光軸に対して20°より大きい角度を有する軸外後方散乱粒子の通過を可能にするように適合される、請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置。
前記プロキシ電極の前記少なくとも1つの開口が、リングの一部分のような形状、円形の形状、または方形の形状を有する、請求項1または2に記載の荷電粒子ビーム装置。
前記試料を支持する試料ステージをさらに備え、前記プロキシ電極と前記試料ステージとの間の距離が、前記磁気静電対物レンズと前記試料ステージとの間の距離より小さい、請求項1から3のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置。
前記プロキシ電極が、前記1次ビームに対する中心孔を有するグリッドとして少なくとも部分的に成形され、および/または前記プロキシ電極の前記第1の開口が、前記荷電粒子ビームの前記光軸に一致する、請求項1から5のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
様々な実施形態を次に詳細に参照する。実施形態の1つまたは複数の例を図に示す。以下の図面の説明内で、同じ参照番号は同じ構成要素を指す。概して、個々の実施形態に関する違いについてのみ説明する。各例は、説明として提供され、限定を意味するものではない。さらに、一実施形態の一部として図示または説明する特徴は、さらなる実施形態を得るために、他の実施形態でまたは他の実施形態に関連して使用することができる。説明は、そのような修正形態および変形形態を含むことが意図される。
以下、本出願の保護範囲を限定することなく、荷電粒子ビーム装置またはその構成要素を例示的に、2次電子および/または後方散乱電子の検出を含む電子ビーム装置と呼び、また2次電子および/または後方散乱電子をともに信号電子と呼ぶ。本明細書に記載する実施形態はさらに、試料画像または検査結果を得るために、電子もしくはイオン、光子、X線、または他の信号の形の2次および/または後方散乱荷電粒子などの微粒子を検出する装置および構成要素に適用することができる。概して、微粒子を参照するとき、微粒子は光信号として理解され、微粒子は光子ならびに粒子であり、微粒子はイオン、原子、電子、または他の粒子である。
【0009】
本明細書で参照する「試験片」、「試料」、または「ウエハ」は、それだけに限定されるものではないが、半導体ウエハ、半導体加工物、およびメモリディスクなどの他の加工物を含む。実施形態は、構築されたまたは材料がその上に堆積された任意の加工物に適用することができる。試験片、試料、またはウエハは、撮像および/もしくは構築すべき表面または層がその上に堆積される表面、エッジ、ならびに典型的には斜角を含む。本明細書に記載する他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、装置および方法は、電子ビーム検査(EBI)、臨界寸法測定、および欠陥レビューの適用分野向けに構成または適用され、本明細書に記載する実施形態による顕微鏡および方法は、指定の適用分野の高いスループットに対する所望に照らして有益に使用することができる。本明細書に記載するいくつかの実施形態によれば、Eビーム検査(EBI)、臨界寸法測定(CD)ツール、および/または欠陥レビュー(DR)ツールを提供することができ、高い分解能、大きい視野、および高い走査速度を実現することができる。
【0010】
本明細書に記載する実施形態によれば、ウエハ撮像システムまたはウエハSEM検査ツールは、EBIツール、CDツール、またはDRツールを指し、これらは当業者には理解される特有のツールである。
本明細書に記載する実施形態によれば、試料を撮像および/または検査する荷電粒子ビーム装置が提供される。荷電粒子ビーム装置は、荷電粒子の1次ビームを放射するビーム放射器と、試料に衝突する前に1次ビームを減速させる減速電界型装置とを含む。減速電界型装置は、磁気静電対物レンズおよびプロキシ電極を含む。本明細書に記載する実施形態によれば、荷電粒子ビーム装置は、1次ビームを荷電粒子ビーム装置の鏡筒内で光軸に沿って試料へ案内し、試料から解放された2次粒子および試料から跳ね返る後方散乱粒子を生成するように適合される。プロキシ電極は、1次荷電粒子ビームの通過を可能にする第1の開口と、軸外後方散乱粒子の通過を可能にする少なくとも1つの第2の開口とを含む。いくつかの実施形態では、1次ビームに対する第1の開口は、荷電粒子ビーム装置の光軸とほぼ位置合わせされる。
【0011】
概して、1次ビームは、荷電粒子ビーム装置を通って進み、その後、撮像および/または検査すべき試料に当たる。1次ビームが試料に衝突したとき、試料上または試料内で異なる反応が現れる。たとえば、試料から2次粒子が解放される。試料に衝突した1次ビームは、特に1次ビームの粒子によって提供されるエネルギーによって、試料内の他の粒子を解離させる。1次ビームの粒子によって試料から分解された解離粒子を、2次粒子と呼ぶ。2次粒子は、試料から分解された後、試料を離れ、適した検出器によって検出することができる。しかし1次ビームは、さらなる影響を引き起こす。1次ビームの粒子は試料から(表面から、または特定の深さまで試料内へ入った後)跳ね返り、再び試料を離れる。試料から跳ね返って試料を離れた1次ビームの粒子を、後方散乱粒子と呼ぶ。また、後方散乱粒子は、いくつかの条件下で検出することができる。典型的には、2次粒子および後方散乱粒子をともに信号粒子または信号電子と呼ぶことができる。
【0012】
特に、後方散乱電子の検出は、半導体産業での3D構造の撮像および検査にとってますます望ましいものとなっている。たとえば、3D FinFETおよび3D NANDのような装置は、アスペクト比の大きい構造を有しており、2次粒子を使用する荷電粒子ビーム装置で撮像するのが困難である。たとえば、大きいアスペクト比は、試料内の構造の深さと構造の開口幅との比が、約5:1以上、10:1など、さらに20:1以上であると理解することができる。1つの簡略化された例では、構造は、以下でより詳細に説明するように、試料内で実質上円筒形の孔とすることができ、試料内への深さおよび実質上円筒形の孔の直径にほぼ対応する幅を提供する。
2次電子などの2次粒子は、アスペクト比の大きい構造からほとんど逃げることができず、妥当な信号対雑音比で検出することができず、特にアスペクト比の高いトレンチおよびコンタクトホールの底部CD測定は難題である。本明細書に記載する実施形態によれば、アスペクト比の大きい構造を撮像および/または検査する動作モードに対して、後方散乱粒子を使用することができる。後方散乱粒子は外へ出るのに十分なエネルギーを有しており、2次粒子に対して使用されるように後方散乱粒子を検出するために必ずしも抽出場が使用されるわけではないため、後方散乱粒子は、孔およびトレンチを離れることができる。さらに、1次ビームの適した(適度な)入射エネルギーを受けて、後方散乱粒子は側壁を通過することができ、試料を離れることができ、その結果、より多くの数の後方散乱粒子が、全体的な後方散乱粒子信号に寄与することができる。小角度後方散乱粒子(アスペクト比高い特徴から離れた)を検出することができる効率的な後方散乱粒子検出器の配置、ならびに周辺の材料を通過した大角度後方散乱粒子を検出することができる配置が望ましい。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、後方散乱粒子の小さい角度は、荷電粒子ビーム装置の光軸に対して約0°〜約15°の角度として理解することができる。本明細書に記載するいくつかの実施形態によれば、後方散乱粒子の大きい角度は、荷電粒子ビーム装置の光軸に対して約20°〜約75°の角度として理解することができる。
いくつかの実施形態によれば、荷電粒子ビーム装置または光学配置の「光軸」は、1次ビームがそれに沿って装置またはシステム中を伝搬する経路を画定する想像線である。たとえば、電子ビーム光学素子を含む荷電粒子ビーム装置内で、軸は、素子の中心を通過することができる。光軸は、システムの機械的または幾何学的な対称軸に一致することができるが、必ずしもそうである必要はない。
【0014】
図の以下の説明では、荷電粒子ビーム装置について、電子ビーム装置であるものとして図示および説明する。電子ビーム装置は、前述したように、一例であり、実施形態を電子ビームに限定するものではない。
図1は、本明細書に記載する実施形態による減速電界型装置100の一例を示す。減速電界型装置100は、磁気静電対物レンズ110およびプロキシ電極130を含む。概して、減速電界型装置では、鏡筒内の電子エネルギーが最終入射エネルギーまで低減される。減速電界型装置の全体的な性能は、たとえば、鏡筒エネルギーと入射エネルギーとの比である浸入係数によって判定することができる。浸入エネルギーが強ければ強いほど、性能はより良好である。
【0015】
本明細書に記載するいくつかの実施形態では、減速電界型装置は、試料から解放された2次粒子に対する抽出場を生成するように適合される。たとえば、1次ビームに対する減速レンズとして作用する対物レンズは、2次粒子に対する加速レンズとして作用することができる。対物レンズは、1次ビームを減速させかつ2次粒子を加速する目的で動作パラメータを調整するように制御することができる。低い入射エネルギーおよび低いSE抽出場の場合、対物レンズの焦点屈折力は、静電減速電界型レンズ装置によってますます実行される傾向がある。
【0016】
本明細書に記載する実施形態の文脈で、保護範囲を限定することなく、荷電粒子ビーム装置向けの減速電界型装置は、荷電粒子の最初に高い加速が試験片またはウエハに当たる直前に入射エネルギーまで減速される荷電粒子ビーム向けの装置について説明することを意図する。荷電粒子が荷電粒子ビーム装置の鏡筒を通って案内される加速度v
accと、荷電粒子が試験片に当たる入射速度v
landingとの間のエネルギーまたは速度比v
acc/v
landingは、少なくとも約4以上、たとえば8以上とすることができる。さらに、入射エネルギーは、10keV以下、たとえば5keV以下、1keVなどとすることができる。
いくつかの実施形態によれば、プロキシ電極は、試料または試料ステージに最も近い荷電粒子ビーム装置の電極であると理解することができる。一例では、プロキシ電極と試料ステージまたは試料との間の距離は、磁気静電対物レンズと試料ステージまたは試料との間の距離より小さい。いくつかの実施形態によれば、素子と試料ステージまたは試料との間の距離は、試料ステージ(または試料)に面している素子の表面と試料ステージ(または試料)の表面との間の距離によって判定することができる。
【0017】
図1で、減速電界型装置100の光軸を、図の参照符号101で示す。
図1の減速電界型装置の例は、試料ステージ(図示せず)上に設けることができる試料140をさらに示す。本明細書に記載するいくつかの実施形態によれば、減速電界型装置100は、プロキシ電極を通過した後方散乱粒子に対する第1の検出器120を含む。第1の検出器120は、減速電界型装置の対物レンズ本体内に配置することができ、以下で詳細に参照する。
本明細書に記載する実施形態による荷電粒子ビーム装置は、(対物)レンズを通じた従来の2次粒子および小角度後方散乱粒子の検出を維持することを可能にする。本明細書に記載する実施形態は、効率的な大角度後方散乱粒子の検出を追加して、1次ビームの性能、特に分解能(スポットサイズなど)に対する負の影響を回避することができる。
本明細書に記載するいくつかの実施形態によれば、大角度後方散乱粒子の検出を可能にすることは、大角度後方散乱粒子の検出のための入口窓としてプロキシ電極を使用することによって実現することができる。プロキシ電極はまた、減速電界型装置または減速電界型レンズの一部として、1次ビームを減速させるために使用することができる。プロキシ電極は、2次粒子に対する抽出場強度を制御することをさらに可能にすることができる。
【0018】
典型的には、プロキシ電極は、1次ビームの通過のための第1の開口を有することができる。第1の開口は、実質上荷電粒子ビーム装置の光軸の位置に配置され、および/または荷電粒子ビーム装置の光軸に実質上一致するように配置および位置することができる。たとえば、第1の開口は、1次ビームが試料への経路上でプロキシ電極を通過するように適合および配置される。いくつかの実施形態では、第1の開口は、プロキシ電極の(幾何学的)中心を含む。1次ビームは、少なくとも減速電界型装置を通る経路上で、
図1に光軸101として示すように、実質上光軸に沿って進むことができる。プロキシ電極130の実施形態のさらなる詳細(特に、荷電粒子ビーム装置の下から見た図)は、後述する
図2a〜2dに示す。
【0019】
本明細書に記載する実施形態によれば、プロキシ電極は、軸外後方散乱粒子の通過を可能にする第2の開口を含む。本明細書に記載するいくつかの実施形態によれば、軸外後方散乱粒子は、大角度後方散乱粒子として理解することができる。特に、軸外後方散乱粒子は、実質上荷電粒子ビーム装置の光軸に沿って進まない。いくつかの実施形態では、軸外後方散乱粒子は、荷電粒子ビーム装置の光軸から典型的には約20°より大きい、より典型的には約25°より大きい、さらに典型的には30°より大きい角度で進む後方散乱粒子として理解することができる。たとえば、光軸から約20°より大きい角度で試料から跳ね返る後方散乱粒子を、軸外後方散乱粒子と呼ぶことができる。
【0020】
図1は、後方散乱粒子のいくつかの例を矢印によって示す。光軸101の右側(
図1の投影面で見たとき)に配置された矢印は、軸方向の後方散乱粒子を示すと理解することができる。軸方向の後方散乱粒子は、光軸に対する粒子の近接(たとえば、光軸から10°の角度内の近接)のため、プロキシ電極130の第1の開口を通って進む。軸方向の後方散乱粒子は、偏向器180によって偏向させることができ、対物レンズ内または対物レンズ後に検出することができる(後方散乱粒子の進行方向で見たとき)。光軸の左側(この場合も
図1の投影面で見たとき)の2つの矢印は、光軸101に対して約20°より大きい角度を有する軸外後方散乱粒子の例を示す。たとえば、矢印の一方は、光軸101に対して約45°の角度を有することができ、他方の矢印は、光軸に対して約65°の角度を有することができる。軸外後方散乱粒子は、本明細書に記載する実施形態によるプロキシ電極の第2の開口を通過することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、プロキシ電極の第2の開口は、プロキシ電極の軸外開口と呼ぶことができる。プロキシ電極の軸外開口は、軸外粒子ビームを通過させるように配置されおよび/または位置する開口として理解することができる。いくつかの実施形態によれば、軸外開口について、荷電粒子ビームの光軸またはプロキシ電極の中心を含まない開口として説明することができる。
本明細書に記載する実施形態によるプロキシ電極によって、大きい放射角度で始まる後方散乱粒子は、プロキシ電極を「貫通」することができ、プロキシ電極と対物レンズとの間に位置する第1の検出器の配置に到達することができる。検出器自体(たとえば、シンチレータまたはピンダイオード)は、機械的設計の柔軟性のため、焦点距離または作業距離(WD)の増大の必要なく、対物レンズ内へ組み込むことができる。
【0022】
減速電界型装置の対物レンズは、試料と荷電粒子ビーム装置の鏡筒との間に、典型的には5keV、15keV、またはさらに30keVより大きい著しい電位差を有するため、プロキシ窓を貫通する後方散乱粒子は、検出器に到達する前に加速される。これは、効率の高い検出にとって有利である。後方散乱粒子を加速させることは、低い入射エネルギー(たとえば、10keV未満、たとえば3keV未満、もしくはさらに1keV)の後方散乱粒子を検出するとき、または後方散乱粒子が試料材料を通って進むときにエネルギーの一部を失ったとき、特に有益である。鏡筒が接地電位に位置し、入射エネルギーがカソード電位と試料電位との間の差として画定される場合、ピンダイオードのような半導体装置による検出は、検出器ならびに検出器電子機器も接地電位に位置するため、実現可能とすることができる。
【0023】
概して、高分解能のSEMにとっては、短い作業距離(WD)が望ましい。減速電界型SEMにおける現況技術の検出方法は、レンズ検出によるものである。1次ビームに対する減速電界型光学系(複合光学系)は、2次粒子および後方散乱粒子に対する抽出場を生成する。2次粒子のほとんどは、抽出場によって集めることができ、対物レンズを通って集束されるが、より高エネルギーの後方散乱粒子に抽出場が与える影響は制限されているため、わずかな量の後方散乱粒子しか対物レンズによって受け入れることができない(小角度後方散乱粒子など)。対物レンズを通過した後、後方散乱粒子および2次粒子は、分離することができ、独立して検出することができる。その結果、ほぼすべての2次粒子および小角度後方散乱粒子は、現況技術の高分解能のSEMで検出することができる。大角度後方散乱粒子を検出するために、知られているシステム内ではレンズ後後方散乱粒子検出器が使用される。レンズ後検出器を有する構成には、後方散乱粒子検出器が可能な限り平坦に構築された場合でも、対物レンズの有効焦点距離および対物レンズの収差が増大されるという欠点がある。
【0024】
本明細書に記載する実施形態による荷電粒子ビーム装置、特に本明細書に記載する実施形態によるプロキシ電極は、当技術分野では知られているシステムの問題を回避するのに役立ち、同時に大角度後方散乱粒子を検出するのに役立つ。大角度後方散乱粒子を検出することで、試料を検査および/または撮像するときに得られる情報の量を増大させる。画像の品質または検査結果もまた増大する。本明細書に記載する実施形態による後方散乱粒子の検出は、1次ビームの性能に負の影響を与える可能性がある光学設計の修正なく、広い範囲の1次ビーム入射エネルギーで効率的な後方散乱粒子の検出を可能にする。
図2aは、1次ビームを通過させる第1の開口131と、後方散乱粒子を通過させる少なくとも1つの第2の開口132とを有するプロキシ電極130の一実施形態を示す。いくつかの実施形態によれば、第2の開口132は、スタビライザバーなどの梁133または棒133によって区分けされる。
【0025】
本明細書に記載するいくつかの実施形態によれば、プロキシ電極の第2の開口は、後方散乱粒子に対する入口窓と呼ぶことができ、またはそのように作用することができる。プロキシ電極内の入口窓は、リング、リングの一部分、円周方向および/もしくは径方向に分散された1つもしくは複数の円形もしくは方形の開口などの異なる形状を有することができ、または荷電粒子ビーム装置の光軸に対して大きい角度(たとえば、20°より大きい角度)を有する後方散乱粒子がプロキシ電極を通過することを可能にする任意の他の適した形状を有することができる。いくつかの実施形態では、重ね合わされた導電グリッドを使用して、荷電粒子ビーム装置の鏡筒から試料への電界の浸入を低減させ、1次ビームに対して起こりうる影響を回避することができる。本明細書に記載する他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、中心孔を有するグリッドの形状のプロキシ電極は、本出願の範囲内である。いくつかの実施形態では、プロキシ電極は、1次ビームに対して実質上等エネルギー平面として作用するように設計および動作される。プロキシ電極設計の例のいくつかを、以下の図に示すが、範囲内のプロキシ電極の可能な形状および設計に対する限定を提示するものではない。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、第2の開口は、第1の開口を取り囲むことができる。たとえば、第2の開口は、一方の側(たとえば、内側)では第1の開口の周辺によって、また他方の側(たとえば、外側)では電極材料によって、制限することができる。いくつかの実施形態では、第2の開口の領域は、第2の開口の外側境界によって囲まれる領域から第1の開口の領域を引いた領域によって画定することができる。
図2bは、1次ビームに対する第1の開口131と、後方散乱粒子に対する第2の開口132とを有するプロキシ電極130の一例を示す。
図2aと同様に、第2の開口132を安定化させるために、安定化棒133が設けられる。
図2bに示す例では、プロキシ電極の第2の開口132上に導電グリッド134が重ね合わされる。いくつかの実施形態によれば、グリッド134は、第2の開口132を通過する後方散乱粒子の経路を妨げないように選択および寸法設定することができる。いくつかの実施形態では、グリッド134は、プロキシ電極130の構造部品として設けることができる。いくつかの実施形態によれば、導電グリッド134は、プロキシ電極に対してわずかな(数ミリメートルの範囲内)距離をあけて設けることができる。たとえば、導電グリッド134は、別個の電源を備えることができる。
【0027】
図2cは、本明細書に記載する実施形態によるプロキシ電極130の一例を示す。プロキシ電極130は、1次ビームに対する第1の開口131と、後方散乱粒子に対する第2の開口132とを含む。第2の開口132内には、プロキシ電極の構造部品としてグリッド134が設けられる。典型的には、グリッド134はまた、1次ビームに対する影響を低減および/または回避するという意図される目的を失うことなくプロキシ電極130の第2の開口132を安定化させるタスクを担うために使用することができる。
図2dは、本明細書に記載するいくつかの実施形態によるプロキシ電極の一例を示す。プロキシ電極130は、1次ビームに対する第1の開口131と、後方散乱粒子に対する第2の開口132とを含む。
図2dに示すプロキシ電極の例の第2の開口132は、実質上方形、特に実質上正方形の形状を有する。第2の開口132は、棒133によって区分けされる。棒133は、上記で説明したように安定化棒と呼ぶことができる。
【0028】
本明細書に記載する実施形態によれば、本明細書では、「実質上」という用語は、「実質上」とともに示す特徴から特定のずれが存在しうることを意味することができる。たとえば、「実質上方形」という用語は、1方向の全体的な延長または長方形の各角の角度の約1〜10%のずれなど、厳密な方形の形状から特定のずれを有することができる形状を指す。さらなる例によれば、「実質上位置する」という用語は、素子の総延長の約数パーセント、たとえば位置決めすべき素子の延長の最高10%の範囲など、その位置の周りの範囲内に素子を位置決めすることを指すことができる。
【0029】
図3a〜3eは、後方散乱粒子の異なる状況を示す。
図3aは、1次ビームが試料140に衝突する際の後方散乱状況の簡略化された例を示す。試料表面、1次ビームのエネルギー、試料の材料、および他のパラメータに応じて、1次ビームの粒子は試料から跳ね返り、1次ビームが来た方向に後方散乱粒子として後方散乱される。本説明の文脈で使用される用語を説明するために、
図3aは、後方散乱粒子によって提供される角度の範囲を示す。後方散乱粒子の角度は、上記のパラメータ、1次ビームの衝突角度、1次ビーム内の粒子の種類などのいくつかのパラメータに依存する。
図3aは、可能な後方散乱角度の例を示す。例示的に示す角度は、後方散乱粒子によって概して場合によって提供される角度を限定するものではないことが、当業者には理解されよう。後方散乱粒子は、試料140から遠ざかる方向に動く。本明細書に記載するいくつかの実施形態によれば、後方散乱粒子の一部151は、「小角度後方散乱粒子」に属するものとして分類される。小さい角度は、荷電粒子ビーム装置の光軸101に対して0°〜約15°の角度とすることができる。本明細書に記載するいくつかの実施形態によれば、後方散乱粒子の一部150は、「大角度後方散乱粒子」に属するものとして分類される。大きい角度は、荷電粒子ビーム装置の光軸101に対して典型的には約20°〜約90°、より典型的には約20°〜約80°、さらに典型的には約20°〜約75°の角度とすることができる。大きい角度は、約90°までの範囲とすることができるが、実用上の理由のため、本明細書に記載する実施形態によるプロキシ電極は、光軸101に対して90°未満の角度を有する後方散乱粒子の通過を主に可能にすることが、当業者には理解されよう。
【0030】
図3bは、試料140内に実質上円筒形の孔を含む試料140の構造141を示す。構造141は、試料内へ幅142および深さ143を有する。典型的には、実質上円筒形の孔の幅142は、孔の直径を判定することによって判定することができる。本明細書に記載するいくつかの実施形態によれば、
図3bに例示的に示す構造141は、高いアスペクト比を有し、本明細書に記載するいくつかの実施形態によれば、これは、3:1以上、典型的には10:1以上のアスペクト比とすることができる。アスペクト比は、本明細書に記載する実施形態による荷電粒子ビーム装置によって検査および/または測定すべき構造の深さと幅の比によって判定することができる。
【0031】
図3cは、大きいアスペクト比を有する
図3bの試料140内の構造141を示す。1次ビーム160は、試料140内の構造141の底部に当たる。2次粒子が深い構造141から逃げることができないのに対して、後方散乱粒子150は、構造の壁を通過することができ、上記で説明した大きい角度で試料から離れることができる。本明細書に記載する実施形態によるプロキシ電極および本明細書に記載する実施形態による荷電粒子ビーム装置は、大きい角度で試料から離れる後方散乱粒子の検出を可能にする。
図3dは、試料140上または試料140内に存在する構造145の一例を示す。典型的には、構造145は、FinFET構造、FinFET構造の一部などとすることができる。検査および/または撮像すべき構造145に対して、異なる材料147および144を使用することもできる。いくつかの実施形態によれば、1次ビーム160は、たとえば異なる材料147および144間の境界で構造に衝突することができる。後方散乱粒子150は、衝突のために結果として生じることができる。後方散乱粒子は、試料140から離れるとき、荷電粒子ビーム装置の光軸に対して大きい角度を有することができる。
【0032】
図3eは、試料140内または試料140上の構造146の一例を示す。構造146は、3D NAND構造、3D NAND構造の一部などとすることができる。構造146内の試料140内の孔の中に、異なる材料(NAND構造の第1の材料148およびNAND構造の第2の材料149など)が提供される。いくつかの実施形態によれば、1次ビーム160は、第1の材料148および第2の材料149を通過することができる。一例として、
図3eは、第1の材料148および第2の材料149内の異なる偏向角を示す。構造146の底部では、1次ビームが跳ね返り、後方散乱粒子150は第2の材料149および試料140の材料を通過する。これらの図は簡略化された例のみを指すことが、当業者には理解されよう。たとえば、
図3eに関して、後方散乱粒子はまた、全体的な体積から、また第1の材料148および材料148/149の境界からからくることができることが、当業者には理解されよう。よりよい概略のため、第2の材料149と試料材料との境界からの後方散乱粒子のみを示す。いくつかの実施形態によれば、後方散乱粒子(たとえば異なる材料を通って進むときにエネルギーが失われる)は、特に減速電界型装置の静電界によって加速させることができる。後方散乱粒子150は、上記で説明した大きい角度で構造146から離れることができ、プロキシ電極を通過して後方散乱粒子の次の検出を可能にすることができる。いくつかの実施形態によれば、1次ビームの挙動(たとえば、1次ビームが異なる材料を通過するかどうか、または異なる材料のどの境界で1次ビームが跳ね返るかなど)は、1次ビームのエネルギー、1次ビームの入射角、1次ビームのタイプ、荷電粒子ビーム装置内で使用される光学素子などの動作パラメータに依存することができる。1次ビームの挙動はまた、試料の材料、試料上または試料内に存在する構造、構造に使用される材料、試料の温度、試料の電荷などの試料関連パラメータに依存することができる。
【0033】
図4は、SEM撮像装置、すなわちウエハ撮像システムなどの荷電粒子ビーム装置300を示す。電子ビーム鏡筒20は、第1のチャンバ21、第2のチャンバ22、および第3のチャンバ23を提供する。第1のチャンバは、銃室と呼ぶこともでき、放射器31および抑制器32を有する電子源30を含む。
本明細書に記載する実施形態によれば、放射器は、放射器に電圧を提供する電源331に接続される。本明細書に記載する例の場合、放射器に提供される電位は、電子ビームが20keV以上のエネルギーまで加速されるような電位である。したがって、典型的には、放射器は、−20keVの電位またはより高い負電圧にバイアスされる。上記のように、負電位の放射器31を有することは典型的な実施形態であり、鏡筒およびビーム案内管が接地または適度な電位に位置することができるという利益がある。
【0034】
電子ビーム源30によって、電子ビームが生成される。
図4の例では、ビームは、ビーム限界開口450に位置合わせされる。ビーム限界開口450は、ビームを成形するように、すなわちビームの一部分を阻止するように寸法設定される。次いでビームは、ビーム分離器380を通過することができ、ビーム分離器380は、1次電子ビームおよび2次電子ビーム(場合によっては、小角度後方散乱電子)を分離する。1次電子ビームは、対物レンズによって試料またはウエハ140上に集束される。試料は、試料ステージ50上の試料位置上に位置決めすることができる。電子ビームが衝突する際、たとえば2次または後方散乱電子が試料140から解放される。検出器398は、2次および小角度後方散乱電子を検出することができ、本明細書に記載する実施形態による荷電粒子ビーム装置に対する第2の検出器と呼ぶことができる。
【0035】
本明細書に記載する他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、集光レンズ420およびビーム成形またはビーム限界開口450が設けられる。集光レンズとビーム成形または限界開口450との間に、開口に対するビームの位置合わせのために、2段式の偏向システム440が設けられる。
【0036】
図4に示すように、対物レンズは、磁極片64/63およびコイル62を有する磁気レンズ構成要素161を有し、磁気レンズ構成要素161は、荷電粒子ビームを試料140上に集束する。
図4に示す対物レンズは、対物レンズの磁気レンズ構成要素60を形成する上部磁極片63、下部磁極片64、およびコイル62を含む。さらに、対物レンズの静電レンズ構成要素を形成する1つまたは複数の電極を設けることができる。
【0037】
本明細書に記載する実施形態によれば、磁気レンズ構成要素および静電レンズ構成要素は、互いに実質上重複して、複合レンズを形成する。実施形態によれば、磁気レンズ構成要素および静電レンズ構成要素の組合せを実現するために、2つの界は互いに実質上重複する。実施形態の1つの意味範囲内で、図面内の各界の分布の半値幅(HWFM)によって形成される領域は、少なくとも10%、典型的には少なくとも50%重複することを理解されたい。追加または別法として、静電レンズ構成要素の界の分布は、磁気レンズ構成要素の界の分布範囲内である。
典型的には、いくつかの適用分野では、試験片に衝突する電子の量が、試験片から解放されまたは離れる量に等しいことが望ましい。試験片の帯電は、低減または回避することができる。しかし、試料の帯電が適用分野によって所望される場合、適当な制御電圧と適した入射エネルギーとの組合せによって、正または負の試料の帯電を実現することもできる。したがって、たとえば
図4に見ることができる試料ステージ50の帯電を介して、試料の帯電を制御することができる。
【0038】
さらに、走査偏向器アセンブリ370が設けられる。走査偏向器アセンブリ370は、たとえば、磁気式、好ましくは静電式の走査偏向器アセンブリとすることができ、高いピクセル率に対して構成される。本明細書に記載する他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、走査偏向器アセンブリ370は、
図4に示す単段式のアセンブリとすることができる。別法として、2段式またはさらに3段式の偏向器アセンブリを設けることもできる。各段は、光軸101に沿って異なる位置に設けることができる。
【0039】
本明細書に記載するいくつかの実施形態によれば、2次および/または小角度後方散乱電子が試料またはウエハから抽出され、対物レンズ内でさらに加速される。ビーム分離器380は、2次電子および小角度後方散乱電子の1次および2次ビームを分離する。ビーム分離器は、ウィーンフィルタとすることができ、および/または少なくとも1つの磁気偏向器とすることができ、その結果、信号電子は光軸101から遠ざかる方へ偏向される。次いで2次および/または小角度後方散乱粒子は、ビームベンダ392、たとえば半球形のビームベンダおよびレンズ394によって第2の検出器398へ案内される。フィルタ396のようなさらなる要素を設けることもできる。さらなる修正形態によれば、第2の検出器は、試料における開始角に応じて信号電子を検出するように構成された分割検出器とすることができる。
【0040】
本明細書に記載する実施形態によれば、プロキシ電極130が設けられ、プロキシ電極130は、上記の実施形態、たとえば
図1〜2dに記載するプロキシ電極とすることができる。
図4に示す荷電粒子ビーム装置は、プロキシ電極130を通過する大角度後方散乱粒子(たとえば、電子)を検出する第1の検出器120または検出素子を含むことができる。検出素子120(たとえば、シンチレータ、ピンダイオード、または他の電子感応装置)は、測定タスクに応じて異なる形状を有することができる。たとえば、全体的な後方散乱粒子信号のみに関心がある場合、リング検出器で十分であろう。いくつかの実施形態によれば、トポグラフィコントラスト検出の場合、4象限検出器が可能な選択肢となりうる。いくつかの実施形態では、異なるリングゾーン(さらに区分けすることもできる)を使用して、角度的な後方散乱粒子の分布(角度および極性の区分けなど)の特有の部分を検出することができる。後方散乱粒子の角度分布の特有の部分を検出することによって、深さ情報を集めることができる。深さ情報を集めることで、試料の組成物(特に、例示的に
図3b〜3eに示す高いアスペクト比を有する構造)の3D情報を集めることが可能になる。後方散乱粒子の角度分布の検出と、1次ビームの入射エネルギーの変動とを組み合わせることによって、ある種の試料断層撮影法を実現することができる。
典型的には、後方散乱粒子に対する検出配置は、検出配置が1次ビームの性能(1次ビームの分解能など)に実質的な影響を与えないように選択および設計される。たとえば、対物レンズおよびプロキシ電極によって
図4に示す装置内に提供することができる上記の減速電界型装置の作業距離(WD)は、効率的な後方散乱粒子の検出を可能にするために増大させるべきではない。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、1次ビームに対する調節可能なエネルギー供給を提供することができる。概して、関心のある深さから解放された後方散乱粒子が周辺(
図3cに例示的に示す試料の構造の壁など)を貫通することができるのに十分なほど高い1次ビームのエネルギーが選択される。他方では、より深い試料層内への浸入を回避して不必要な深さ情報による信号対雑音比を低減させるのに高すぎることのない1次ビームのエネルギーが選択される。
本明細書に記載する実施形態のいずれかによれば、放射器、鏡筒、および電極の電位をシステム内で提供することができる。典型的な例として、ビーム案内管は、接地電位に位置することができる。したがって、電子は、接地電位にある鏡筒を通って進む。鏡筒のハウジングもまた、接地電位で提供することができる。接地電位にあるハウジングを、
図4に参照番号3によって示す。
【0042】
図5は、本明細書に記載する実施形態による荷電粒子ビームで試料を検査および/または撮像する方法500の流れ図を示す。典型的には、試料は、鏡筒と、光軸と、撮像および/または検査中に試料を支持するための試料ステージとを有する荷電粒子ビーム装置によって提供されている荷電粒子ビームによって検査および/または撮像される。方法500は、ボックス510に、1次荷電粒子ビームを放射することを含む。ビームは、上記のようにビーム放射器によって放射することができる。方法500のボックス520は、荷電粒子ビーム装置の鏡筒内で1次ビームを案内することを含む。いくつかの実施形態によれば、1次ビームは、荷電粒子ビーム装置の鏡筒内で案内および成形することができる。たとえば、放射器から放射された1次ビームを案内および/または成形する光学素子を設けることができる。
図4は、集光レンズ、開口、ビーム分離器などの光学素子の例を示す。荷電粒子ビーム装置は、たとえば計画された動作、試料、検査および/または撮像すべき構造、1次ビームに使用されるエネルギーなどに応じて、追加または代替の光学素子を含むことができることが、当業者には理解されよう。
【0043】
本明細書に記載する実施形態によれば、方法500は、ボックス530に、減速電界型装置によって1次粒子ビームを集束および減速させることを含む。1次ビームを減速させることは、1次ビームを約10keV以下、たとえば5keV以下、1keVなどの試料上の入射エネルギーまで減速させることなど、前述の範囲内で実行することができる。典型的には、減速電界型装置は、磁気静電対物レンズおよびプロキシ電極を含み、プロキシ電極は、磁気静電対物レンズと試料ステージとの間に位置する。対物レンズは、
図1または
図4を参照して上述したレンズとすることができる。1次荷電粒子ビームは、第1の開口を通ってプロキシ電極を通過する。いくつかの実施形態によれば、プロキシ電極の第1の開口は、荷電粒子ビーム装置内に取り付けられたとき、荷電粒子ビーム装置の光軸に一致するように提供および配置することができる。いくつかの実施形態では、プロキシ電極の第1の開口は、プロキシ電極の中心に位置する開口とすることができる。
【0044】
本明細書に記載するいくつかの実施形態によれば、プロキシ電極の第1の開口を通過した後の1次ビームは、試料に衝突し、信号粒子(2次粒子および後方散乱粒子など)を試料から離れさせ、特に試料から遠ざかる方向に向かわせる。後方散乱粒子は、小角度後方散乱粒子および大角度後方散乱粒子を含むことができる。小さいおよび大きい角度の角度範囲は、上記のようにすることができる。典型的には、大角度後方散乱粒子は、荷電粒子ビーム装置の光軸から広がるため、軸外後方散乱粒子と呼ぶことができる。小角度後方散乱粒子は、
図1に示すように光軸付近に留まるため、軸方向の後方散乱粒子と呼ぶことができる。特に、大角度後方散乱粒子または軸外後方散乱粒子は、小角度後方散乱粒子(または軸方向の後方散乱粒子)より、光軸に対して大きい角度を有する。
【0045】
本明細書に記載する実施形態によれば、ボックス540は、軸外後方散乱粒子がプロキシ電極内の少なくとも第2の開口を通ってプロキシ電極を通過するようにすることを含む。
図2a〜2dは、プロキシ電極内の第2の開口の例を示す。典型的には、プロキシ電極の第2の開口および全体としてのプロキシ電極の前述の特徴はまた、この方法、特に方法500のボックス540にも適用することができる。
【0046】
方法500のボックス550は、第1の検出器によって後方散乱粒子を検出し、第2の検出器によって試料から解放された2次粒子を検出することを含む。たとえば、第2の検出器は、試料ステージと対物レンズとの間に配置することができる。いくつかの実施形態では、第1の検出器は、対物レンズ内または対物レンズの外側、たとえば2次粒子の方向に対物レンズの後に設けることができる。いくつかの実施形態によれば、第1の検出器および第2の検出器は、荷電粒子ビーム装置に関して詳細に上述した検出器とすることができる。
【0047】
以下、実施形態による例について説明する。以下の例は、特徴が互いに矛盾しない限り、本説明および本明細書に記載する他の実施形態に記載の特徴と組み合わせることができる。
【0048】
第1の例では、試料を撮像および/または検査する粒子ビーム装置について説明する。荷電粒子ビーム装置は、1次荷電粒子ビームを放射するビーム放射器と、試料に衝突する前に1次ビームを減速させる減速電界型装置とを含む。減速電界型装置は、磁気静電対物レンズおよびプロキシ電極を含む。荷電粒子ビーム装置は、1次ビームを光軸に沿って試料へ案内し、試料から解放された2次粒子および後方散乱粒子を生成するように適合される。プロキシ電極は、1次ビームの通過を可能にする第1の開口と、軸外後方散乱粒子の通過を可能にする少なくとも1つの第2の開口とを含む。第1の例と組み合わせることができる第2の例によれば、プロキシ電極は、軸外後方散乱粒子の通過を可能にする2つ以上の第2の開口を含むことができる。第1および/または第2の例と組み合わせることができる第3の例では、プロキシ電極は、荷電粒子ビーム装置の光軸に対して20°より大きい角度を有する軸外後方散乱粒子の通過を可能にするように適合することができる。第1から第3の例のいずれかと組み合わせることができる第4の例では、プロキシ電極の少なくとも1つの開口は、リングの一部分のような形状、円形の形状、グリッド状の構造、または方形の形状を有することができる。第1から第4の例のいずれかと組み合わせることができる第5の例によれば、荷電粒子ビーム装置は、プロキシ電極と磁気静電対物レンズとの間に後方散乱粒子に対する第1の検出器を含むことができる。第1から第5の例のいずれかと組み合わせることができる第6の例では、荷電粒子ビーム装置は、試料を支持する試料ステージをさらに含むことができ、プロキシ電極と試料ステージとの間の距離は、磁気静電対物レンズと試料ステージとの間の距離より小さい。第1から第6の例のいずれかと組み合わせることができる第7の例では、荷電粒子ビームは、荷電粒子ビーム装置の鏡筒から試料への電界の浸入を低減させるために、特に1次ビームに対する影響を回避または低減させるために、プロキシ電極上に重ね合わされた導電グリッドをさらに含むことができる。第1から第7の例のいずれかと組み合わせることができる第8の例によれば、プロキシ電極は、1次ビームに対する中心孔を有するグリッドとして少なくとも部分的に成形することができる。第1から第8の例のいずれかと組み合わせることができる第9の例では、後方散乱粒子に対する第1の検出器を磁気静電対物レンズ内に設けることができる。第1から第9の例のいずれかと組み合わせることができる第10の例によれば、減速電界型レンズ装置は、試料と荷電粒子ビーム装置の鏡筒との間に3keV〜30keVの電位差を提供することができる。
【0049】
第1から第10の例のいずれかと組み合わせることができる第11の例では、荷電粒子ビーム装置は、1次ビームの衝突の際に試料から解放されている2次粒子に対する第2の検出器をさらに含むことができ、特に、減速電界型レンズ装置は、2次粒子に対する抽出場を生成するように適合される。第1から第10の例のいずれかと組み合わせることができる第12の例によれば、荷電粒子ビーム装置は、1次ビームの衝突の際に試料から解放されている2次粒子に対する第2の検出器をさらに含むことができ、2次粒子に対する第2の検出器は、2次粒子の進行方向に見たとき、対物レンズ後に設けられ、荷電粒子ビーム装置は、2次粒子および後方散乱粒子を分離可能に検出することを可能にする。第1から第12の例のいずれかと組み合わせることができる第13の例では、プロキシ電極は、たとえばプロキシ電極に対してグリッドを設けることによって、1次ビームに対して実質上等エネルギー平面になるように構成することができる。第1から第13の例のいずれかと組み合わせることができる第14の例では、プロキシ電極は、プロキシ電極と磁気静電対物レンズとの間で軸外後方散乱粒子に対する第1の検出器に対する入口窓として作用するように適合させることができる。第1から第14の例のいずれかと組み合わせることができる第15の例では、第1の開口は、荷電粒子ビームの光軸に一致する。第1から第15の例のいずれかと組み合わせることができる第16の例では、放射器は、電子ビーム装置の鏡筒を通って進む1次電子ビームを放射するように適合させることができ、荷電粒子ビーム装置は、撮像および/または検査すべき試料を支持する試料ステージと、1次ビームを光軸に沿って試料へ案内し、試料から解放された2次電子および後方散乱電子を生成する電子ビーム光学装置と、後方散乱電子を検出する第1の検出器とをさらに含むことができ、第1の検出器は、試料ステージと磁気静電対物レンズとの間に設けられる。第17の例では、荷電粒子ビーム装置向けのプロキシ電極を設けることができる。プロキシ電極は、荷電粒子ビーム装置の1次荷電粒子ビームの通過を可能にする第1の開口と、荷電粒子ビーム装置の軸外後方散乱粒子の通過を可能にする少なくとも1つの第2の開口とを含むことができる。第17の例と組み合わせることができる第18の例によれば、プロキシ電極の第2の開口は、後方散乱粒子が第2の開口を通過することを可能にすることができ、後方散乱粒子は、電子ビーム装置の光軸に対して20°より大きい角度を有する。第19の例では、鏡筒および光軸を有する荷電粒子ビーム装置によって試料を撮像および/または検査する方法を提供することができる。この方法は、荷電粒子の1次ビームを放射することと、荷電粒子ビーム装置の鏡筒内で1次ビームを案内することと、減速電界型装置によって1次ビームを集束および減速させることであって、減速電界型装置が、磁気静電対物レンズおよびプロキシ電極を含み、プロキシ電極が、磁気静電対物レンズと、撮像および/または検査中に試料を支持する試料ステージとの間に位置し、1次荷電粒子ビームが、第1の開口を通ってプロキシ電極を通過することができる、集束および減速させることと、軸外後方散乱粒子がプロキシ電極内の少なくとも第2の開口を通ってプロキシ電極を通過するようにすることと、第1の検出器によって後方散乱粒子を検出し、第2の検出器によって試料から解放された2次粒子を検出することとを含むことができる。第19の例と組み合わせることができる第20の例によれば、軸外後方散乱粒子は、プロキシ電極を通過することができ、後方散乱粒子は、光軸に対して20°より大きい角度を有する。
【0050】
上記は実施形態を対象とするが、基本的な範囲から逸脱することなく、他のさらなる実施形態を考案することもでき、その範囲は、次の特許請求の範囲によって決定される。