(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る弾球遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明に係る弾球遊技機として、パチンコ遊技機を例にとって説明する。
【0011】
<1.構成の概要:
図1および
図2>
図1に示すパチンコ遊技機1は、木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(
図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。この遊技領域3aの前側には、透明ガラスを支持したガラス扉6が設けられている。
【0012】
ガラス扉6の下側には、ヒンジ(図示せず)により前枠2に開閉自在に枢支された前面操作パネル7が配置されている。前面操作パネル7には、上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。
【0013】
また上受け皿ユニット8には、上受け皿9に貯留された遊技球をパチンコ遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14と、遊技球貸出装置(図示せず)に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン11と、遊技球貸出装置に挿入した有価価値媒体の返却を要求するためのカード返却ボタン12とが設けられている。また上受け皿ユニット8には、遊技者が操作可能に構成され、その操作に応じて演出に変化をもたらすための「演出用ボタン13(手操作手段)」が設けられている。
【0014】
また前面操作パネル7の右端部側には、発射装置32(
図3参照)を作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。また前枠2の上部の両側と発射操作ハンドル15の上側とには、音響により音演出効果(効果音)を奏するスピーカ46が設けられている。また、ガラス扉6の各所には、光の装飾により光演出効果を奏する、複数の装飾ランプ45が設けられている。
【0015】
次に
図2を参照して、遊技盤3の構成について説明する。本実施形態に係る遊技盤3には、図示のように、発射された遊技球を案内する球誘導レール5が盤面区画部材として環状に装着されている。この球誘導レール5取り囲まれた略円形状の領域が遊技領域3aとなっており、四隅は非遊技領域となっている。
【0016】
この遊技領域3aの略中央部には、液晶表示装置(LCD)36が設けられている。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下、たとえば3つ(左、中、右)の表示エリア(図柄変動表示領域)において、独立して数字やキャラクタや記号などによる複数種類の装飾図柄(たとえば、左図柄(左表示エリア対応)、中図柄(中表示エリア対応)、右図柄(右表示エリア対応))の変動表示動作(変動開始および変動停止を一セットする変動表示動作)を含む、種々の演出を画像により表示する。
【0017】
また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り48が設けられている。センター飾り48は、遊技盤3の前面側に沿って設けられ、遊技盤3に固定される前面装着板48aと、センター飾り48の外周囲を形成し液晶表示装置36の表示画面を取り囲む鎧枠部48bとを一体に備えている。このセンター飾り体48の上面と球誘導レール5との間には遊技球が通過可能な遊動領域が形成され、センター飾り48の右側へも遊技球が案内されるようになっている。発射装置32により遊技領域3aの上部側に打ち込まれた遊技球は、遊技球の打ち出しの強さまたはストローク長によって、鎧枠部48bの上部側で左右に振り分けられ、センター飾り体48の左側の左流下経路3bと右側の右流下経路3cとのいずれかを流下する。
【0018】
また遊技盤3の右上縁付近(右上隅)の非遊技領域は各種機能表示部となっており、7セグメント表示器(ドット付)を上始動口34(第1の特別図柄用)と下始動口35(第2の特別図柄用)に対応させて横に並べて構成される特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示手段)と特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示手段)とが設けられている。特別図柄表示装置38a、38bでは、7セグにより表現される「特別図柄」の変動表示動作(変動開始および変動停止を一セットする変動表示動作)により特別図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。なお上記の液晶表示装置36は、この特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示するもので、種々の予告演出(演出画像)とともに装飾図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。
【0019】
また各種機能表示部には、特別図柄表示装置38a、38bの隣りに、7セグメント表示器(ドット付)からなる複合表示装置(保留複合表示用LED表示器)38cが配設されている。複合と称したのは、特別図柄1の作動保留球数(保留記憶数)の表示、特別図柄2の作動保留球数(保留記憶数)の表示、変動時間短縮機能作動中(時短中)および高確率状態中(高確中)の状態報知という、5つの表示機能を有する保留・時短・高確複合表示装置(以下単に「複合表示装置」と称する)であるからである。
【0020】
また各種機能表示部には、複合表示装置38cの隣りに、複数個(この実施形態では2個)のLEDを配置してなる普通図柄表示装置39a(普通図柄表示手段)が設けられている。この普通図柄表示装置39aでは、2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作により普通図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。たとえば、変動表示動作として、LEDによる普通図柄がシーソー的に交互に点灯と消灯を繰り返し、いずれかの側が点灯した状態で停止することで、普通図柄変動表示ゲームの当否が判明するようになっている。また、この普通図柄表示装置39aに隣接して3個のLED(第1〜第3ラウンド表示LED)を配置してなるラウンド数表示装置39bが設けられている。このラウンド数表示装置39bは、3つのLEDの点灯・消灯状態の組合せにより、大当りに係る規定ラウンド数(最大ラウンド数)を報知する。
【0021】
センター飾り48の下方には、上始動口34(第1の特別図柄始動口:第1の始動手段)と、下始動口35(第2の特別図柄始動口:第2の始動手段)を備える普通変動入賞装置41とが上下に設けられ、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ34a、35a(上始動口センサ34a、下始動口センサ35a:
図3参照)が形成されている。
【0022】
第1の特別図柄始動口である上始動口34は、特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置)における第1の特別図柄(以下、「特別図柄1」と称し、場合により「特
図1」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、始動口開閉手段(始動口を開放または拡大可能にする手段)を有しない「入賞率固定型の入賞装置」として構成されている。本実施形態の場合、遊技領域3a内の遊技球落下方向変換部材(たとえば、遊技くぎ(図示せず)、風車44、センター飾り48など)の作用により、上始動口34へは、左流下経路3bを流下してきた遊技球については入球(入賞)容易な構成であるのに対し、右流下経路3cを流下してきた遊技球については入球困難または入球不可能な構成となっている。
【0023】
上始動口34については、右流下経路3cからの遊技球については、入賞困難または入賞不可能となっている。すなわち、遊技領域3a内の遊技くぎやその他の遊技部品の配置は、左流下経路3bを流下して来た遊技球について、これを上始動口34へ誘導し得るが、右流下経路3cを流下してきた遊技球については、これを上始動口34へ誘導困難または誘導しない、という誘導路を形成するように配設されている。
【0024】
普通変動入賞装置41は、始動口開閉手段により始動口の遊技球の入賞率を変動可能な「入賞率変動型の入賞装置」として構成されている。本実施形態では、始動口開閉手段として、第2の特別図柄始動口である下始動口35を、開放または拡大可能にする左右一対の可動翼片(可動部材)47を備える、いわゆる「電動チューリップ型の入賞装置」として構成されている。
【0025】
普通変動入賞装置41の下始動口35は、特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示装置)における第2の特別図柄(以下、「特別図柄2」と称し、場合により「特
図2」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、この下始動口35の入賞領域は、可動翼片47の作動状態(作動または非作動)に応じて、入賞を容易とする開状態(入賞容易状態)と、その開状態よりも入賞を困難にし、または入賞を不可能にする閉状態(入賞困難状態)とに変換される。本実施形態では、可動翼片47が非作動の場合、右始動口35への入賞が不可能とする閉状態(入賞不可能状態)を保持している。
【0026】
また下始動口35については、可動翼片47が開いた状態(始動口開状態)であれば、左右のいずれの流下経路からも入賞が可能となっている。ただし、下始動口35を開閉する可動翼片47は、遊技領域3aの右側に位置する普通図柄始動口37への遊技球の通過(入賞)がその作動条件となっているので、下始動口35は、実質的には右流下経路3cにのみに属する入賞口といえる。なお、この可動翼片47は、後述の電サポ有り状態を伴う遊技状態になると、通常状態よりも有利な開閉パターンで動作するようになっている。
【0027】
普通変動入賞装置41の両側には、一般入賞口43が左側に3つ、右側に1つ、計4つ配設されており、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43a(
図3参照)が形成されている。
【0028】
また普通変動入賞装置41の右斜め上方、つまり右流下経路3cの中間部より上部側には、遊技球が通過可能な通過ゲート(特定通過領域)からなる普通図柄始動口37(第3の始動手段)が設けられている。この普通図柄始動口37は、普通図柄表示装置39aにおける普通図柄の変動表示動作に係る入賞口であり、その内部には、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(
図3参照)が形成されている。なお本実施形態では、普通図柄始動口37は右流下経路3c側にのみに形成され、左流下経路3b側には形成されていない形態となっているが、左流下経路3bのみに形成してもよいし、双方の流下経路に形成しても良い。
【0029】
右流下経路3c内の普通図柄始動口37から普通変動入賞装置41へかけての経路途中には、突没式の開放扉52bにより大入賞口50を開放または拡大可能に構成された特別変動入賞装置52(特別電動役物)が設けられており、その内部には大入賞口50に入球した遊技球を検出する大入賞口センサ52a(
図3参照)が形成されている。この大入賞口50については、右流下経路3cからの遊技球だけが入賞可能となっている。
【0030】
大入賞口50の周囲は、遊技盤3の表面から膨出した膨出部(装飾部材)55となっており、この膨出部55の上辺55aが右流下経路3cの下流案内部を形作っている。そして開放扉52bにより大入賞口50が閉鎖状態(大入賞口閉状態)であれば、この膨出部55の上辺55aと連続する面を形成することによって、右流下経路3cの下流案内部(上辺55a)の一部を形作るようになっている。また右流下経路3cの下流域には、膨出部55の上辺55aの上方の領域、正確には大入賞口50の上方の遊技領域において、遊技球の流下方向にほぼ平行に流路修正板51dが突設されており、流下する遊技球を大入賞口50の方向に寄せる働きをするようになっている。
【0031】
大入賞口50への遊技球の入球過程は次のようになる。センター飾り48の上面と球誘導レール5との間の遊動領域を通過した遊技球は、遊技盤3より突出していて遊技球のガイドとして機能する膨出部55の頂面(上辺)55a上に沿って流下して来る。そして、その遊技球が遊技盤3面から突出している流路修正板51dの右端に接触し、これにより、当該遊技球の流下方向は大入賞口50の方向(下方向)に修正される。このとき、突没式の開放扉52bにより大入賞口50が蓋をされている状態(大入賞口閉状態)であれば、この上を遊技球が転動して、さらに図示しない所定配列の遊技くぎにより、チューリップ式の普通変動入賞装置41(下始動口35)の方向に導かれる。このとき、下始動口35が入賞可能状態(始動口開状態)であれば、下始動口35に遊技球が入賞し得る。他方、開放扉52bが遊技盤面内に後退していて大入賞口50が開いている状態(大入賞口開状態)であれば、遊技球が大入賞口50内に導かれる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技者が特別変動入賞装置52側に発射位置を狙い定めた場合(遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた場合)、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。したがって「大入賞口閉状態」であれば、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞が困難または不可能とされるようになっている。
【0032】
本実施形態の場合、遊技者がどのような打ち方をすれば有利な状況となるかについては、遊技状態が後述の電サポ無し状態を伴う遊技状態であれば、遊技球が左流下経路3bを通過するように狙いを定める「左打ち」が有利とされ、後述の電サポ有り状態を伴う遊技状態であれば、遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定める「右打ち」が有利とされるようになっている。
【0033】
なお、各入賞手段については、本発明の効果を奏するものであれば、その個数、形状、形成位置などについては自由に変更することができる。
【0034】
本実施形態のパチンコ遊技機1においては、遊技領域3aに設けられた各種入賞口のうち、普通図柄始動口37以外の入賞口への入賞があった場合には、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数(たとえば、上始動口34または下始動口35は3個、大入賞口40は13個、一般入賞口43は10個)が遊技球払出装置19から払い出されるようになっている。なお上記の各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、または入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなく、通過型のゲートからなる入賞口(たとえば、普通図柄始動口37)である場合は、そのゲートを遊技球が通過したりすることをいい、実際には入賞口ごとに形成された各入賞検出スイッチにより遊技球が検出された場合、その入賞口に「入賞」が発生したものとして扱われる。この入賞に係る遊技球を「入賞球」とも称する。なお、入賞口に遊技球が入球すれば、その遊技球は入賞検出スイッチにより検出されることとなるため、本明細書中では特に断りのない限り、入賞検出スイッチに遊技球が検出された場合に限らず、入賞口に遊技球が入球した場合を含めて「入賞」と称する場合がある。
【0035】
また遊技盤の領域内には遊技球の流下を妨害しない位置に複数の可動体役物が配設されている。これら可動体役物は、その動作態様により視覚的演出効果を発揮する。本例ではセンターケース48内の右上側、つまり右流下経路3cを通る遊技球の流下を妨害しない位置に第1の可動体役物(時計型役物)80が配設され、その右斜め下側に第2の可動体役物(花型役物)90が配設されている。また第3の可動体役物(回転灯62および発光装置を納めた半透明の球状の可動体73)が演出用ボタン13内に揺動および回転可能に一体的に組み込まれている。
【0036】
第1の可動体役物は、時計盤部81と、この時計盤部81上を回動し、必要に応じて時分を示すことができる短針および長針からなる時計針82とを有し、全体として時計型役物80として構成されている。この時計型役物80は、時計針82の動作態様により当選期待度を示す働きをする。
【0037】
また第2の可動体役物90は、花心A1の周りに複数枚の花弁からなる花冠A2を配し、花心A1および花冠A2を上下方向に移動(落下移動)可能に構成した第1可動体91と、その花冠A2の外側周囲に位置する萼B1を茎部B2の先端に取り付け、萼B1および茎部B2を左右方向に移動(突出移動)可能に構成した第2可動体92とから構成される。第1可動体91と第2可動体92は、液晶画面の片側近く(右側方)に位置し、互いに独立に動作可能であり、第1可動体91(花心A1および花冠A2)が第2可動体92の茎部B2の先端部において所定の回転動作をすると共に、半透明の花心A1、花冠A2および萼B1が後方からランプやフルカラーLEDにより照らされて美しく光色する。これらの作用により、当選期待度を示す働きをする。
【0038】
演出用ボタン13は、
図2に概略を示すように、受け皿ユニット8と表面が一体をなすように構成された透明枠71内に、比較的大きな表面積を持つ透明な押圧ボタン型筒体72を上下動可能に組み込み、この押圧ボタン型筒体72内またはその下方(以下、単に押圧ボタン型筒体72内と略す。)において、第3の可動体役物としての可動体73をローリング可能につまり回転可能かつ複数方向に揺動可能に組み込んだ構造となっている。
可動体73(第3の可動体役物)は、押圧ボタン型筒体72内に配置され、遊技者から見て横軸を中心に回転可能かつ左右方向に揺動できるように装置した半透明の球状の空枠と、この空枠内に納めた回転灯62および発光装置から構成されている。押圧ボタン型筒体72を押したとき、またはその前後の所定のタイミングにおいて、可動体73がローリング動作(回転および揺動運動)し、その動作の様を空枠内部または周囲から有色光で照明して、遊技者が外部から視認できる構造となっている。回転灯ボタン66は、赤色半透明の包囲体64中に、光源としてのランプ(またはLED)62aと、このランプ62aからの光を反射させる反射体としての反射鏡62bとを備えた回転灯62からなり、反射鏡62bを回転させることで、光源から発光された光の進行方向を変化させるように構成されている。この第3の可動体役物は、大当り確定の当確予告演出をなす演出手段として作用する。
【0039】
<2.制御装置:
図3>
図3を参照して、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の制御装置は、遊技動作全般に係る制御(遊技動作制御)を統括的に司る主制御部(主制御手段)20と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、画像と光と音についての演出動作制御(演出現出制御)を統括的に司る演出制御部(演出制御手段)24と、賞球の払い出し制御を行う払出制御基板(払出制御手段)29と、外部電源(図示せず)から遊技機に必要な電源を生成し供給する電源基板(電源制御手段)31と、を中心に構成される。また演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。なお、
図3において電源供給ルートは省略してある。
【0040】
(2−1.主制御部20)
主制御部20は、CPU201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に必要な種々のデータを格納するROM202(主制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM203(主制御RAM)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータ(Z80システム相当品)を構成している。
【0041】
また図示はしていないが、主制御部20は、Z80システムに周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC(Counter Timer Circuit)、CPUに割込み信号を付与するタイマ割込などの割込許可/割込禁止機能を発揮する割込コントローラ回路、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成するためのカウンタ回路(16ビットカウンタ)なども備えている。上記カウンタ回路は、乱数を生成する乱数生成回路と、その乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含んで構成され、全体として16ビットカウンタとして働く。CPU201は、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数生成回路が示している数値を内部抽選用乱数値(大当り判定用乱数)として取得し、その乱数値を大当り抽選に利用する。なお、内部抽選用乱数は、当り狙い打ち等のゴト行為を防ぐために、適宜なソフトウェア処理で生成しているソフト乱数値と、ハード乱数値とを加算したものを取得している。
【0042】
主制御部20には、上始動口34への入賞を検出する上始動口34aと、下始動口35への入賞を検出する下始動口センサ35aと、普通図柄始動口37の通過を検出する普通図柄始動口センサ37aと、大入賞口50への入賞を検出する大入賞口センサ52aと、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43aと、パチンコ遊技機1に対する不正行為(ゴト行為)を検出する不正検出センサ99とが接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。
主制御部20には、上始動口34への入賞を検出する上始動口34aと、下始動口35への入賞を検出する下始動口センサ35aと、普通図柄始動口37の通過を検出する普通図柄始動口センサ37aと、大入賞口50への入賞を検出する大入賞口センサ52aと、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43aと、パチンコ遊技機1に対する不正行為を検出するための不正検出センサ99(たとえば、振動センサ、磁気センサ等)とが接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。
【0043】
また主制御部20には、下始動口35の可動翼片47を開閉制御するための普通電動役物ソレノイド41cと、大入賞口50の開放扉52bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド52cとが接続され、主制御部20はこれらを制御するための制御信号を送信可能となっている。
【0044】
また主制御部20には、特別図柄表示装置38aと特別図柄表示装置38bとが接続され、主制御部20は、特別図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また、主制御部20には、普通図柄表示装置39aが接続され、普通図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
【0045】
また主制御部20には、複合表示装置38cが接続され、主制御部20は、これに表示される各種情報を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また主制御部20には、ラウンド数表示装置39bが接続され、主制御部20は、大当りによる規定ラウンド数を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
【0046】
また主制御部20には、枠用外部集中端子基板21が接続され、主制御部20は、この枠用外部集中端子基板21を介して、遊技機外部に設けられたホールコンピュータHCに対し、所定の遊技情報(たとえば、大当り情報、賞球数情報、図柄変動表示ゲームの実行情報等)を送信可能となっている。ホールコンピュータHCは、主制御部20からの遊技情報を監視して、パチンコホールの遊技機の稼働状況を統括的に管理する。
【0047】
また主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続され、この払出制御基板29には、発射装置32を制御する発射制御基板(発射制御部)28と、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19とが接続されている。主制御部20は、払出制御基板29に対し、払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する払出制御コマンド)を送信可能となっている。この払出制御基板29の主な役割は、主制御部20からの払出制御コマンドの受信、払出制御コマンドに基づく遊技球払出装置19の賞球払い出し制御、主制御部20への払出状態信号の送信などである。主制御部20は、払出状態信号に基づき、遊技球払出装置19の機能が正常か否か(玉詰まりや賞球の払い出し不足などが生じたか否か)を監視している。
【0048】
また払出制御基板29は、発射制御基板28に対し発射制御信号を送信可能になっている。発射制御基板28は、上記発射制御信号に基づき、発射装置32に設けられた発射ソレノイド(図示せず)への通電を制御し、発射操作ハンドル15の操作による遊技球発射動作を実現している。
【0049】
また払出制御基板29は発射制御基板28に対し発射制御信号を送信可能になっている。発射制御基板28は、上記発射制御信号に基づき、発射装置32に設けられた発射ソレノイド(図示せず)への通電を制御し、発射操作ハンドル15の操作による遊技球発射動作を実現している。
【0050】
また主制御部20は、処理状態に応じて、特別図柄変動表示ゲームに関する情報やエラーに関する情報などを含む種々の演出制御コマンドを、演出制御部24に対して送信可能となっている。ただし、ゴト行為を防止するために、主制御部20は演出制御部24に対して信号を送信するのみで、演出制御部24からの信号を受信不可能な片方向通信の構成となっている。
【0051】
(2−2.演出制御部24)
演出制御部24は、CPU241(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、演出制御処理に要する演出データを格納したROM242(演出制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM243(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音源IC、タイマ割込/割込禁止機能などを備える割込みコントローラ回路、ハードウェア的に乱数を生成するためのカウンタ回路などが設けられている。
【0052】
この演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の選択決定、液晶表示装置36の画像表示制御、スピーカ46の音制御、装飾ランプ45や各種LED(演出用LED:図示せず)の発光制御、可動体役物の動作制御などである。
【0053】
また演出制御部24は、液晶表示装置36の表示制御を司る表示制御部(図示せず)を備えている。この表示制御部は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDP(Video Display Processor)と、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラムやその表示制御に必要な種々のデータを格納する液晶制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する液晶制御RAMと、を中心に構成されている。
【0054】
また演出制御部24は、種々の演出(光演出や音演出や可動体演出)を現出させるために、装飾ランプ45や時計型役物80の時計盤部(数字表示部)81や各種LEDを含む光表示装置45aに対する光表示制御部、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音制御部(音源LSI)、および可動体役物モータ61、61a、61b、63、73aに対する駆動制御部(モータ駆動回路)などを備えている。ここで、可動体役物モータ61は時計型役物80を構成する時計針82の駆動用、可動体役物モータ61a、61bは花型役物90を構成する可動体91、92の駆動用、可動体役物モータ63は回転灯62を構成する反射鏡62bの駆動用、可動体役物モータ73aはローリングボタン70を構成する可動体73の駆動用である。演出制御部24は、これらの駆動制御部に対し、演出手段に関する制御信号を送信可能となっている。
【0055】
また演出制御部24には、時計針82に対する位置検出スイッチ97と、花型役物90の第1可動体91、第2可動体92に対する位置検出スイッチ97a、97bとが接続され、演出制御部24はこれらからの検出信号を受信可能となっている。演出制御部24は、各位置検出スイッチ97、97a、97bからの検出信号に基づき、可動体役物の現在の動作位置(たとえば、原点位置からの移動量)を監視しながらその動作態様を制御し、また可動体役物の動作の不具合(正常動作か否か(たとえば、動作後、原点位置に正しく戻っているか否かなど))を監視する。
【0056】
また演出制御部24には、遊技者が操作可能な第1、第2演出ボタンのスイッチ、つまり演出用ボタン13のスイッチおよび回転灯スイッチ65が接続され、演出制御部24は、これらの演出ボタン13A、66からの操作検出信号を受信可能となっている。
【0057】
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンドに基づき、あらかじめ用意された複数種類の演出パターンの中から抽選によりあるいは一意に決定し、必要なタイミングで各種演出手段を制御する。これにより、演出パターンに対応する液晶表示装置36による演出画像の表示、スピーカ46からの音の再生、装飾ランプ45やLEDの点灯点滅駆動が実現され、種々の演出パターン(装飾図柄変動表示、予告演出など)が時系列的に展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。
【0058】
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)の各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、CPU201(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部24にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、CPU241(演出制御CPU)が確実にコマンドを受信可能とする所定期間、CPU201によりアクティブ状態に制御される。
【0059】
また演出制御部24(CPU241)は、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、この割込処理において演出制御コマンドが取得されるようになっている。またCPU241は、CPU201とは異なり、ストローブ信号の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
【0060】
<3.動作の概説>
次に、上記制御装置(
図3)を用いた本実施形態のパチンコ遊技機1に係る遊技動作について説明する。
【0061】
(3−1.図柄変動表示ゲーム)
(3−1−1.特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲーム)
本実施形態のパチンコ遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「大当り抽選」が行なわれる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、特別図柄表示装置38a、38bに特別図柄1、2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる。
【0062】
ここで本実施形態では、上始動口34への入賞に基づく大当り抽選と、下始動口35への入賞に基づく大当り抽選とは別個独立して行われる。このため、上始動口34に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38a側で、下始動口35に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38b側で導出されるようになっている。具体的には、特別図柄表示装置38a側においては、上始動口34に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄1を変動表示して第1の特別図柄変動表示ゲームが開始され、他方、特別図柄表示装置38b側においては、下始動口35に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄2を変動表示して第2の特別図柄変動表示ゲームが開始されるようになっている。そして、特別図柄表示装置38a、または特別図柄表示装置38bにおける特別図柄変動表示ゲームが開始されると、所定の変動表示時間経過後に、大当り抽選結果が「大当り」の場合には所定の「大当り」態様で、それ以外の場合には所定の「ハズレ」態様で、変動表示中の特別図柄が停止表示され、これによりゲーム結果(大当り抽選結果)が導出されるようになっている。
【0063】
なお本明細書中では、説明の便宜上、特別図柄表示装置38a側の第1の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム1」と称し、特別図柄表示装置38b側の第2の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム2」と称する。また特に必要のない限り、「特別図柄1」と「特別図柄2」とを単に「特別図柄」と称し(場合により「特図」と略す)、また「特別図柄変動表示ゲーム1」と「特別図柄変動表示ゲーム2」とを単に「特別図柄変動表示ゲーム」と称する。
【0064】
また上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、液晶表示装置36に装飾図柄(演出的な遊技図柄)を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が展開される。そして、特別図柄変動表示ゲームが終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了し、特別図柄表示装置には大当り抽選結果を示す所定の特別図柄が、そして液晶表示装置36には当該大当り抽選結果を反映した装飾図柄が導出表示されるようになっている。すなわち、装飾図柄の変動表示動作を含む演出的な装飾図柄変動表示ゲームにより、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映表示する。
【0065】
したがってたとえば、特別図柄変動表示ゲームの結果が「大当り」である場合(大当り抽選結果が「大当り」である場合)、装飾図柄変動表示ゲームではその結果を反映させた演出が展開される。そして特別図柄表示装置において、特別図柄が大当りを示す表示態様(たとえば、7セグが「7」の表示状態)で停止表示されると、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、装飾図柄が「大当り」を反映させた表示態様(たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示状態)で停止表示される。
【0066】
この「大当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了して、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了し、その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後、特別変動入賞装置52の大入賞口ソレノイド52c(
図3参照)が作動して開放扉52bが所定のパターンで開閉動作を行い、これにより大入賞口50が開閉され、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、開放扉52bにより、大入賞口の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、29.8秒)経過するまでか、または大入賞口に入賞した遊技球数(大入賞口50への入賞球)が所定個数(最大入賞数:役物の1回の作動によりその入口が開き、または拡大した入賞口に対して許容される入賞球数の上限個数:たとえば、9個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満した場合に大入賞口が閉鎖される、といった「ラウンド遊技」が、あらかじめ定められた規定ラウンド数(たとえば、最大16ラウンド)繰り返される。なお、大入賞口50が閉鎖される条件はこれに限らず、大入賞口の開放時間のみに基づくものであっても良いし、大入賞口に入賞した遊技球数のみに基づくものであっても良い。
【0067】
上記大当り遊技が開始すると、最初に大当りが開始された旨を報知するオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後、ラウンド遊技があらかじめ定められた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。そして、規定ラウンド数終了後には、大当りが終了される旨を報知するエンディング演出が行われ、これにより大当り遊技が終了する。すなわち、大当り遊技は、大別すると、オープニング演出、ラウンド遊技、およびエンディング演出の各遊技期間から構成される。ただし、大入賞口閉状態であるオープニング演出期間とエンディング演出期間とを除いたラウンド遊技実行期間を、大当り遊技期間と捉えても良い。
【0068】
上記の装飾図柄変動表示ゲームの実行に必要な情報に関しては、まず主制御部20が、上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aにより遊技球が検出されて始動条件(特別図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、「大当り」、「小当り」、または「ハズレ」のいずれであるかを抽選する‘当落抽選(当否種別抽選)’と、「大当り」であったならばその大当り種別を、「小当り」であったならばその小当り種別を、「ハズレ」であったならばそのハズレ種別を抽選する‘図柄抽選(当選種別(当り種別)抽選)’とを含む大当り抽選を行い(ハズレが1種類の場合は、ハズレ種別の抽選を行う必要がないため、その抽選を省略することができる)、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターンや、当選種別に応じて最終的に停止表示させる特別図柄(以下、「特別停止図柄」と称する)を決定する。そして、処理状態を特定する演出制御コマンドとして、少なくとも特別図柄の変動パターン情報(たとえば、大当り抽選結果および特別図柄の変動時間に関する情報など)を含む「変動パターン指定コマンド」を演出制御部24側に送信する。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。なお本実施形態では、演出のバリエーションを豊富なものとするべく、特別停止図柄の情報(図柄抽選結果情報(当り種別に関する情報))を含む「装飾図柄指定コマンド」も演出制御部24に送信するようになっている。
【0069】
上記特別図柄の変動パターン情報には、特定の予告演出(たとえば、後述の「リーチ演出」や「疑似連演出」など)の発生の有無を指定する情報を含むことができる。詳述するに、特別図柄の変動パターンは、大当り抽選結果に応じて、当りの場合の「当り変動パターン」と、ハズレの場合の「ハズレ変動パターン」に大別される。これら変動パターンには、たとえば、リーチ演出の発生を指定する‘リーチ変動パターン’、リーチ演出の発生を指定しない‘通常変動パターン’、疑似連演出とリーチ演出との複合発生を指定する‘疑似連有りリーチ変動パターン’、疑似連演出の発生を指定し、リーチ演出の発生は指定しない‘疑似連有り通常変動パターン’など、複数種類の変動パターンが含まれる。なお、変動パターンに係る変動時間については、リーチ演出や疑似連演出を指定する変動パターンの方が、演出時間を確保する関係上、通常変動パターンよりも変動時間が長く定められている。
【0070】
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンド(ここでは、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンド)に含まれる情報に基づいて、装飾図柄変動表示ゲーム中に時系列的に展開させる演出内容(演出シナリオ)や、最終的に停止表示する装飾図柄(装飾停止図柄)を決定し、特別図柄の変動パターンに基づくタイムスケジュールに従い装飾図柄を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームを実行させる。これにより、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、液晶表示装置36による装飾図柄が変動表示され、特別図柄変動表示ゲームの期間と装飾図柄変動表示ゲーム中の期間とが、実質的に同じ時間幅となる。また演出制御部24は、演出シナリオに対応するように、液晶表示装置36または光表示装置45aあるいは音響発生装置46aをそれぞれ制御し、装飾図柄変動表示ゲームにおける各種演出を展開させる。これにより、液晶表示装置36での画像の再生(画像演出)と、効果音の再生(音演出)と、装飾ランプ45やLEDなどの点灯点滅駆動(光演出)とが実現される。
【0071】
このように特別図柄変動表示ゲームと装飾図柄変動表示ゲームとは不可分的な関係を有し、特別図柄変動表示ゲームの表示結果を反映したものが装飾図柄変動表示ゲームにおいて表現されることとしているので、この2つの図柄変動表示ゲームを等価的な図柄遊技と捉えても良い。本明細書中では特に必要のない限り、上記2つの図柄変動表示ゲームを単に「図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
【0072】
(3−1−2.普通図柄変動表示ゲーム)
またパチンコ遊技機1においては、普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「補助当り抽選」が行なわれる。この抽選結果に基づき、LEDにより表現される普通図柄を普通図柄表示装置39aに変動表示させて普通図柄変動表示ゲームを開始し、一定時間経過後に、その結果をLEDの点灯と非点灯の組合せにて停止表示するようになっている。たとえば、普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置39aの表示部を特定の点灯状態(たとえば、2個のLED39が全て点灯状態、または「○」と「×」を表現するLEDのうち「○」側のLEDが点灯状態)にて停止表示させる。
【0073】
この「補助当り」となった場合には、普通電動役物ソレノイド41c(
図3参照)が作動し、これにより可動翼片47が逆「ハ」の字状に開いて下始動口35が開放または拡大されて遊技球が流入し易い状態(始動口開状態)となり、通常遊技状態よりも遊技者に有利な補助遊技状態(以下、「普電開放遊技」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の可動翼片47により、下始動口35の開放時間が所定時間(たとえば、0.2秒)経過するまでか、または下始動口35に入賞した遊技球数が所定個数(たとえば、4個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満たした場合に下始動口35を閉鎖する、といった動作が所定回数(たとえば、最大2回)繰り返されるようになっている。なお、下始動口35が閉鎖される条件はこれに限らず、下入賞口の開放時間のみに基づくものであっても良いし、下入賞口に入賞した遊技球数のみに基づくものであっても良い。
【0074】
ここで本実施形態では、特別/装飾図柄変動表示ゲーム中、普通図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、または普電開放遊技中などに、上始動口34または下始動口35もしくは普通図柄始動口37に入賞が発生した場合、すなわち上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aもしくは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力があり、対応する始動条件(図柄遊技開始条件)が成立した場合、これを変動表示ゲームの始動権利に係るデータとして、変動表示中にかかわるものを除き、所定の上限値である最大保留記憶数(たとえば、最大4個)まで保留記憶されるようになっている。この図柄変動表示動作に供されていない保留中の保留データまたはその保留データに係る遊技球を、「作動保留球」とも称する。この作動保留球の数を遊技者に明らかにするため、パチンコ遊技機1の適所に設けた専用の保留表示器(図示せず)、または液晶表示装置36による画面中にアイコン画像として設けた保留表示器を点灯表示させる。
【0075】
また本実施形態では、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球をそれぞれ最大4個までRAM203の該当記憶領域に保留記憶し、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留する。なお、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球数の最大記憶数(最大保留記憶数)は特に制限されず、各図柄の最大保留記憶数が異なっていてもよく(たとえば、特別図柄1側の最大保留記憶数を4個、特別図柄2側の最大保留記憶数を2個、普通図柄側の最大保留記憶数を6個など)、その数は遊技性に応じて適宜定めることができる。たとえば特別図柄1および特別図柄2に関し、大当り抽選により得られる利益が相対的に高くなる特図側の最大保留記憶数を多く設定することができる。
【0076】
(3−2.遊技状態)
本実施形態に係るパチンコ遊技機1では、特別遊技状態である上記大当りの他、複数種類の遊技状態を発生可能に構成されている。本発明の理解を容易なものとするために、先ず、種々の遊技状態の発生に関連する機能(手段)について説明する。
【0077】
本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20(CPU201)がその機能部を担う「確率変動(以下、「確変」と略す)機能」を備えている。これには特別図柄に係る確変機能(以下、「特別図柄確変機能」と称する)と普通図柄に係る確変機能(以下、「普通図柄確変機能」と称する)の2種類がある。
【0078】
特別図柄確変機能は、大当りの抽選確率を所定確率(通常確率)の低確率(たとえば、399分の1)から高確率(たとえば、39.9分の1)に変動させて、通常遊技状態よりも有利な「高確率状態」を発生させる機能である。この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態(高確率状態)下では、大当り抽選確率が高確率となることから、大当りが生起され易くなる。したがって、遊技者が期待する遊技状態は、この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態であるといえる。
【0079】
普通図柄確変機能は、補助当り抽選確率が所定確率(通常確率)である低確率(たとえば、256分の1)から高確率(たとえば、256分の255)に変動させて、通常遊技状態よりも有利な「補助当り確変状態」を発生させる機能である。この普通図柄確変機能が作動中の遊技状態(補助当り確変状態)下では、補助当り抽選確率が高確率状態となることから補助当りが生起され易くなり、普電開放遊技が頻繁に発生して、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄確変機能の作動開始条件は、後述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
【0080】
また、本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「変動時間短縮(以下、「時短」と称する)機能」を備えている。これには特別図柄に係る時短機能(以下、「特別図柄時短機能」と称する)と普通図柄に係る時短機能(以下、「普通図柄時短機能」と称する)の2種類がある。
【0081】
特別図柄時短機能は、1回の特別図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(特別図柄が変動を開始してから確定表示される迄の平均時間(特別図柄の平均変動時間))を短縮する「特別図柄時短状態」を発生させる機能である。特別図柄時短機能が作動中の遊技状態(特別図柄時短状態)下では、1回の特別図柄変動表示ゲームにおける特別図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、リーチなしハズレ変動に要する平均時間が8秒から2秒に短縮される)、通常遊技状態よりも単位時間当りの大当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、特別図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、特別図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。
【0082】
普通図柄時短機能は、1回の普通図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(普通図柄が変動を開始してから確定表示されるまでの平均的な時間(普通図柄の平均変動時間))を短縮する「普通図柄時短状態」を発生させる機能である。普通図柄時短機能が作動中の遊技状態(普通図柄時短状態)下では、1回の普通図柄変動表示ゲームにおける普通図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、10秒から1秒に短縮される)、通常遊技状態よりも単位時間当りの補助当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、普通図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。また本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄時短機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
【0083】
さらにまた、本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「開放延長機能」を備えている。
【0084】
開放延長機能は、普通変動入賞装置41の可動翼片47の開動作期間(可動翼片47の開放時間およびその開放回数の少なくともいずれか一方)を延長した「開放延長状態」を発生させる機能である。この開放延長状態は、いわゆる「電チューサポート状態」と称される。上記開放延長機能が作動中の遊技状態(開放延長状態)下では、可動翼片47の開動作期間(始動口開状態時間)が、たとえば0.2秒から1.7秒に延長され、またその開閉回数が、たとえば1回(開放延長機能が非作動中のとき)から2回(開放延長機能が作動中のとき)に延長されて、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、開放延長機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。したがって、開放延長状態中は、普通図柄確変機能および普通図柄時短機能も作用するため、可動翼片47の作動率が著しく向上した遊技状態が発生する。
【0085】
以上のような各機能を1または複数種類作動させることにより、遊技機の内部的な遊技状態(内部遊技状態)に変化をもたらすことができる。ここで本実施形態では、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能の作動開始条件は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件としているので、各機能が同じ契機にて動作することになる。以下では、説明の便宜上、特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能が作動する遊技状態を「確変状態」と称し、これらの機能のうちから特別図柄確変機能を除去した遊技状態を「時短状態」と称し、特別図柄確変機能のみが作動する遊技状態を「潜伏確変状態(潜確または潜確状態)」と称し、全機能が作動中でない(非作動)状態を「通常遊技状態(通常状態)」と称する。したがって、これらの遊技状態における大当り抽選確率に着目すれば、遊技状態が「時短状態」または「通常遊技状態」である場合には少なくとも大当り抽選確率が‘低確率状態’となり、遊技状態が「潜確状態」または「確変状態」の場合においては少なくとも大当り抽選確率が‘高確率状態’となる。また当り中は大入賞口が開閉される当り遊技が発生するが、上記各機能については全ての機能が非作動とされ、基本的には、上記通常遊技状態と同じ遊技状態下に置かれる。
【0086】
(3−2−1.高ベース遊技状態)
本実施形態では、上記の普通図柄に関する機能、すなわち普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっているので、これら3つの機能が同じ契機にて動作することになる。しかし、上記の普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能を個々に着目した場合、これらの機能のうち少なくともいずれか1つが作動すると、上記の可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となり下始動口35への入賞頻度が上昇することから、遊技状態としては、大当りの抽選結果を導出する特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高まる「高ベース遊技状態(始動条件向上状態)」となる。なお、ここでいう「高ベース遊技状態」とは、普通図柄に関する機能が作動する場合の遊技状態をいい、特別図柄に関する機能、すなわち特別図柄確変機能および特別図柄時短機能の少なくともいずれか一方が作動する場合の遊技状態とは異なる。
【0087】
他方、特別図柄に関する機能(特別図柄確変機能と特別図柄時短機能)を個々に着目した場合、上記特別図柄確変機能が作動する場合には大当り抽選確率が通常遊技状態より高まる「高確率状態」となり、上記特別図柄時短機能が作動する場合には、特別図柄変動表示ゲームの消化時間が通常遊技状態よりも早い「特別図柄時短状態」となる。この点において、特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高くなる上記「高ベース遊技状態」とは区別される。
【0088】
また本実施形態では上記「高ベース遊技状態」の一例として、少なくとも開放延長機能が付与された電チューサポート状態を「高ベース遊技状態」として扱う。電チューサポート状態下では、普通変動入賞装置41の可動翼片47の作動率(開放時間や開放回数)が向上して下始動口35への入賞率が高まり、単位時間当りの入賞頻度が上昇することから、電チューサポート状態でない場合(低ベース遊技状態)と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態になる。この電チューサポート状態の有無に着目した場合、遊技状態が「通常遊技状態」または「潜確状態」の場合には‘電チューサポート状態無し(以下、「電サポ無し状態」と称する)’となり、遊技状態が「時短状態」または「確変状態」である場合には‘電チューサポート状態有り(以下、「電サポ有り状態」と称する)’となる。なお、大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況に着目した遊技状態を「内部遊技状態」と称する。本実施形態では、上述の通常遊技状態や潜確状態や確変状態等の内部遊技状態の別を識別するデータとして「遊技状態判定番号(YJ)」を設けている。
【0089】
なお本実施形態では、上述の内部遊技状態に関連した多様な演出を実現するために、一の内部遊技状態をさらに分類して管理している。たとえば、上記確変状態には、「確変A状態(ST前半)」、「確変B状態(ST後半)」、および「ST最終」といった複数種類の確変状態が含まれ、それぞれ異なる遊技状態として管理することができる。詳細は後述するが本実施形態の確変状態は、図柄変動表示ゲームの実行回数(特別図柄の変動回数)が規定回数(74回転)終了した場合に終了されるようになっており、上述の「ST前半」とは、確変状態開始から図柄変動表示ゲームが所定回数(たとえば、67回転)終了するまでの遊技区間を指し(1回転目〜67回転目まで)、「ST後半」とは、ST前半の67回転終了後の68回転目〜73回転目までの遊技区間を指し、「ST最終」とは最終の74回転目を指す。すなわち、内部遊技状態は同じ「確変状態」であるが、内部的には「ST前半」「ST後半」「ST最終」という遊技状態として管理されており、遊技進行状況に応じて、いずれかの状態に切り替え制御される。
【0090】
これにより、大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況、すなわち「内部遊技状態」に着目した場合に、同じ「確変状態」でありながらも、特別図柄の変動パターンに関しては、「ST前半」、「ST後半」、および「ST最終」という遊技状態ごとに定められた1または複数種類の変動パターンのうちから目的の変動パターンを選択的に決定(本実施形態の場合、抽選により決定)することができるようになっている。
【0091】
(変動パターン選択モード(変動パターン振分指定番号(Tcode))、遊技状態判定番号(YJ)について)
本実施形態では、上記の「ST前半」や「ST後半」等の遊技状態の別を識別するデータとして「変動パターン振分指定番号(Tcode)」を設けている。すなわち、この「変動パターン振分指定番号(Tcode)」は、「通常状態、ST前半、ST後半、ST最終、CZ」という遊技状態の別を識別するデータである。換言すれば、変動パターン振分指定番号(Tcode)は、特別図柄の変動パターンの決定に関する遊技状態を識別するデータであり、「変動パターン選択モード」を指定するデータとして働く。
【0092】
内部遊技状態を上記「遊技状態判定番号(YJ)」で区別すれば、通常遊技状態(電サポ無し状態、低確率)は「YJ=00H」、潜確状態(電サポ無し状態、高確率)は「YJ=02H」、確変状態(電サポ有り状態、高確率)」は「YJ=03H」となっている(時短状態(電サポ有り状態、低確率)を含む場合は、たとえば、「YJ=05H」など)。また特別図柄の変動パターンの決定に関する遊技状態(変動パターン選択モード)を「変動パターン選択モード(Tcode)」で区別すれば、「通常状態」は「Tcode=00H」、「ST前半(確変)」は「Tcode=01H」、「ST後半(確変)」は「Tcode=02H」、「ST最終」は「Tcode=05H」、後述の「CZ(CHANCE ZONE)」は「Tcode=03H」、「潜確状態」は「Tcode=04H」となっている(時短状態を含む場合は、たとえば、「Tcode=06H」など)。したがって、変動パターン選択モード(Tcode)は、上記のような遊技状態を識別する点で、後述の遊技状態判定番号(YJ)のように内部遊技状態そのものを識別するデータとは異なる。
【0093】
また演出制御部24側においては、各遊技状態(内部遊技状態および/または変動パターン選択モード)に対応した演出モードを現出可能に構成され、遊技状態に関連した演出を適切に現出可能な構成となっている。たとえば「ST前半(変動パターン振分指定番号「01H」)」や「ST後半(変動パターン振分指定番号「02H」)」等に対応した演出モードを設け、遊技状態に関連した演出を適切に現出可能な構成となっている。なお演出モードについての詳細は後述する。
【0094】
本実施形態の場合、上記「内部遊技状態」の種類には、通常遊技状態、確変状態および潜確状態が含まれ(時短状態を含んでも良い)、特別図柄の変動パターンの決定に関する「変動パターン選択モード」の種類には、内部遊技状態の種類よりも多い、「通常状態」、「潜確状態」、「ST前半」、「ST後半」、「ST最終」、および「CZ」が含まれる(時短状態を含んでも良い)。このように、上記大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能に着目した場合の「内部遊技状態」と、特別図柄の変動パターンの決定(演出の決定)に着目した「変動パターン選択モード(変動パターン振分指定番号(Tcode))」とを異なるものとして管理することにより、同一の内部遊技状態(たとえば、確変状態)であっても、変動パターン選択モード(たとえば、ST前半とST後半とST最終)に対応した特別図柄の変動パターンを選択することができるようになっている。この結果、同一の内部遊技状態でありながらも、図柄変動表示ゲームの変動時間(ゲーム消化時間)や、これに関連する演出をダイナミックに変化させることができ、同一の内部遊技状態下における演出のバリエーションが豊富化することができるようになっている。
【0095】
また本実施形態では、内部遊技状態の「通常遊技状態」には「CZ」および「通常状態」といった変動パターンの決定に関する複数種類の遊技状態(変動パターン選択モード)が設けられており、また内部遊技状態の「潜確状態」には「潜確状態」および「CZ」といった複数種類の変動パターン選択モードが設けられている。つまり「潜確状態」と「通常遊技状態」とは、共通の「CZ(Tcode=03H)」という変動パターン選択モードを有するが、CZには、その実体が、内部遊技状態が‘潜確状態’の「CZ(潜確)」と、‘通常遊技状態’が「CZ(通常)」とがある。
【0096】
したがって、上記「CZ」期間中は,それぞれ異なる内部遊技状態でありながらも、同じ変動パターン選択モード下の変動パターン種別を選択することができる。換言すれば、異なる内部遊技状態でありながらも、同じ演出モード下における演出を発生させることができるようなっている。これにより、「CZ」期間中は、演出上、大当り抽選確率を秘匿することができるようになっている(各遊技状態の移行条件や、演出内容を指定する特別図柄の変動パターンに関する詳細については後述する)。なお説明の便宜上、本明細書中では特に必要のない限り、上記内部遊技状態(YJ)と、特別図柄の変動パターンの決定(演出の決定)に着目した場合の変動パターン選択モード(変動パターン振分指定番号(Tcode)))とを区別せずに、単に「遊技状態」と称する場合がある。
【0097】
<4.当りについて>
次に、本実施形態に係るパチンコ遊技機の「当り」について説明する。
【0098】
(4−1.当り種別)
本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、複数種類の当りを対象に大当り抽選(当り抽選)を行うようになっている。この当り種別には、「16R長開放確変大当り」、「10R長開放確変大当り」、「4R長開放確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」、および「小当り」などの複数種類の当りが含まれる。
【0099】
これらの当りのうち、「16R長開放確変大当り」、「10R長開放確変大当り」、「4R長開放確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」は条件装置の作動契機となる「大当り」種別に属する当りであり、「小当り」は条件装置の作動契機とならない「非大当り」種別に属する当りである。ここで「条件装置」とは、その作動がラウンド遊技を行うための役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている装置で、特定の特別図柄の組合せが表示され、または遊技球が大入賞口内の特定の領域を通過した場合に作動するものをいう。上記「大当り」種別に属する当りや、「非大当り」種別に属する当り(小当り)は、いずれも大入賞口の開閉動作を伴う特別遊技状態(当り遊技)への移行契機(発生契機)となる当りである。したがって、「非大当り」種別に属する当りは、単なる「ハズレ」とは異なる。
【0100】
上記‘大当り’種別に属する当りのうち、「16R長開放確変大当り(16R確変大当り)」、「10R長開放確変大当り(10R確変大当り)」、「4R長開放確変大当り(4R確変大当り)」、および「2R短開放潜確大当り(2R潜確大当り)」は、その大当り遊技終了後の遊技状態を、少なくとも高確率状態を伴う遊技状態(本実施形態では、確変状態または潜確状態)に移行させる「確変大当り」に属する大当り種別となっている。また「小当り」は、当選時の遊技状態を継続させる当り種別となっている。なお「小当り」は‘非大当り’種別に属する当りではあるが、説明の便宜上、特に必要がない限り上記の大当りと区別することなく、大当り種別の一つとして同列に扱うことにする。なお、特
図1側と特
図2側とで、大当り抽選対象の当り種別を同じにしているが、特
図1側と特
図2側とで、大当り抽選対象の当り種別を異ならせることもできる。
【0101】
(4−2.当り遊技)
次に、上記した各当りによる当り遊技について説明する。
【0102】
(4−2−1.16R長開放確変大当りによる当り遊技)
16R長開放確変大当りによる当り遊技(以下、「16R確変大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を16ラウンドとする大当りであり、本実施形態では、1回のラウンド遊技における右大入賞口50の最大開放時間が「長開放時間」の‘29.8秒’に設定される。ここで「長開放時間」とは、その時間内に大入賞口への入賞数が上記最大入賞数(たとえば、9個)に達する可能性がある(最大入賞数に達する可能性が十分ある)時間幅として定めたものである。
【0103】
ラウンド遊技が開始されて右大入賞口50が開放された後、上記の最大開放時間が経過した場合は右大入賞口50が閉鎖されて今回のラウンド遊技が終了し、規定ラウンド数の16ラウンドに達していなければ、「ラウンド間インターバル時間」が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。ただし、最大開放時間経過前であっても右大入賞口50に入賞した遊技球数(入賞球数)が最大入賞数(たとえば、9個)に達した場合は、右大入賞口50が閉鎖されて今回のラウンド遊技が終了し、ラウンド間インターバル時間が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。つまり、大入賞口の最大開放時間が経過した場合か、または大入賞口に入賞した遊技球数が最大入賞数に達した場合かのいずれか一方の条件を満たすと、開放された大入賞口が閉鎖され、所定のインターバル時間を挟んで、次のラウンド遊技に移行されるようになっている(後述の「10R長開放確変大当り」、「4R長開放確変大当り」、および「2R短開放潜確大当り」も同様)。なお上記のラウンド間インターバル時間は、「残存球排出時間(たとえば、1980ms)」と、この残存球排出時間が経過してから次のラウンド遊技が開始されるまで「開放前インターバル時間(たとえば、20ms)」とからなる。上記「残存球排出時間」とは、大入賞口の閉鎖後における大入賞口内部の残存球を排出するための余裕時間を指し、その時間幅として、大入賞口が閉鎖される直前に入賞した遊技球が大入賞口内部に形成された入賞検出スイッチ(下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52a)を通過するまでに要する十分な時間が確保されている。
【0104】
(4−2−2.10R長開放確変大当りによる当り遊技)
10R長開放確変大当りによる当り遊技(以下、「10R確変大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を10ラウンドとする以外は、上述した16R確変大当り遊技の内容と基本的には同じある。したがって、この10R確変大当り遊技は、上記16R確変大当り遊技よりも相対的に低い利益が付与される大当り遊技となる(本実施形態では、6ラウンド分の賞球数差がある)。
【0105】
(4−2−3.4R長開放確変大当りによる当り遊技)
4R長開放確変大当りによる当り遊技(以下、「4R確変大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を4ラウンドとする以外は、上述した16R確変大当り遊技や10R確変大当り遊技の内容と同じある。したがって、この4R確変大当り遊技は、上記16R確変大当り遊技または10R確変大当り遊技よりも相対的に低い利益が付与される大当り遊技となる。
【0106】
(4−2−4.2R短開放潜確大当りによる当り遊技)
2R短開放潜確大当りによる当り遊技(以下、「2R潜確大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を2ラウンドとする大当りであり、本実施形態では、1回のラウンド遊技における大入賞口(大入賞口50)の最大開放時間は「短開放時間」の0.1秒に設定される。したがって、2R潜確大当り遊技では、大入賞口が短開放時間(0.1秒)しか開放されずに、そのラウンド遊技数も2ラウンド分と少ないことから、実質的には賞球が殆ど得られない大当り遊技となっている(正確には、大入賞口への入賞も発生する可能性はあるが、各ラウンド遊技の大入賞口の最大開放時間が短開放時間に設定される関係上、その可能性は低くなり、実質的に、賞球が殆ど得られない)。
【0107】
(4−2−5.小当りによる当り遊技)
小当りによる当り遊技(以下、「小当り遊技」と称する)では、それぞれ大入賞口50の開放が2回行われ、1回あたりの大入賞口50の最大開放時間が2R潜確大当り遊技の最大開放時間(短開放時間)に相当する0.1秒に設定され、1回目の大入賞口50の閉鎖後、2回目の大入賞口50開放までのインターバル時間が2R潜確大当り遊技のラウンド間インターバル時間と同じ時間幅が設定される。また小当り遊技における大入賞口50の閉鎖条件に関しては、大入賞口50の最大開閉動作時間(大入賞口50の開放を2回分実行するための開閉動作時間)が経過した場合か、または大入賞口50に入賞した遊技球数が最大入賞数(たとえば、9個)に達した場合かのいずれか一方の条件が満たされた場合となっている。本実施形態の場合、上記最大開閉動作時間内に、大入賞口50に入賞した遊技球数が最大入賞数に達することがないため、実際には、大入賞口50の最大開閉動作時間が経過した後、具体的には、大入賞口の一連の開閉動作が実行された後、小当り遊技が終了されることになる。つまり、この小当り遊技中において外見から捉えた大入賞口50の開閉動作が、上記2R潜確大当り遊技のものと実質的に同一の動作態様で制御されるようになっている。
【0108】
この「小当り」は「条件装置」の作動契機とはならない当り種別であることから、「大当り」のようなラウンド遊技は実行されない。しかし2R潜確大当り遊技と実質的に同一の動作態様で大入賞口50を開閉制御することにより、疑似的なラウンド遊技を実現させて、見た目上、あたかも2R短開放潜確大当りに当選したかの如く装うことを可能にしている。また小当り遊技中の当り中演出(当り遊技中に現出される演出)は、2R潜確大当り遊技中の当り中演出と実質的同一(同一または酷似)の演出が現出されるようになっている。つまり、当り中演出を含む小当り遊技に係る動作は、2R短開放潜確大当りに係る遊技動作と実質的に同一挙動を示し、遊技者側から見て、どちらの当り遊技が実行されているかの識別が困難または不可能とされる。これにより、小当りに当選した場合であっても、高確率状態への移行契機となる「2R短開放潜確大当り」への当選期待感を遊技者に与えることができるようになっている。
【0109】
(4−3.当り遊技終了後の遊技状態:
図4)
次に
図4を参照して、上記の各当り遊技後に移行される遊技状態について説明する。
図4は、各当り遊技後に移行する遊技状態の説明に供する説明図である。図示の各遊技状態は、内部遊技状態ではなく、変動パターン選択モードに着目した遊技状態を示してある。
【0110】
(4−3−1.16R、10R、4R確変大当り遊技終了後の遊技状態)
16R、10R、または4R確変大当り遊技終了後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態にかかわらず「確変状態」に移行される。この「確変状態」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームの実行回数(特別図柄の変動回数)が、所定の規定回数(たとえば、74回転)が終了するまでか、またはその規定回数内で大当りに当選するまで(正確には、大当り遊技が開始されるまで)確変状態が継続し、その規定回数内で大当りに当選することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには確変状態が終了して、次ゲームから「通常遊技状態」に移行されるようになっている。本実施形態では、確変状態中に、特別図柄変動表示ゲーム1および2の合計変動回数(特別図柄1および2の合計変動回数)が規定回数消化されると、大当り抽選確率が高確率状態から低確率状態に移行するとともに、電サポ有り状態であれば電サポ無し状態に移行される。
【0111】
本実施形態のパチンコ機1は、大当り抽選確率が少なくとも高確率となる遊技状態(潜確状態、確変状態)に移行された後、大当り(ただし、内部遊技状態の移行契機とならない「小当り」は除く)に当選することなく特別図柄変動表示ゲームが所定回数終了した場合、当該高確率状態を終了させて大当り抽選確率を低確率に移行させる「回数切りの確変機(ST機)」となっている。以下、必要に応じて、この高確率状態が継続される特別図柄変動表示ゲーム(特別図柄の変動回数)の上限回数を「規定ST回数」と称する。なお、特別図柄変動表示ゲームの実行回数とは、特別図柄変動表示ゲーム1および特別図柄変動表示ゲーム2の合計実行回数(特
図1および特
図2の合計変動回数)であってもよいし、いずれか一方の実行回数(たとえば、特別図柄変動表示ゲーム2の実行回数)であってもよい。
【0112】
(4−3−2.2R潜確大当り遊技終了後の遊技状態)
2R潜確大当り遊技後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、当選時の遊技状態が「通常状態」であった場合には「CZ(潜確)」に、潜確状態であった場合は「潜確状態」に、「CZ(通常)」であった場合には「CZ(潜確)」に、「CZ(潜確)」であった場合は「潜確状態」に、確変状態であった場合には「確変状態」に移行されるようになっている。なお、当選時の遊技状態が潜確状態であった場合、潜確状態ではなく、確変状態に移行させても良い。
【0113】
本実施形態では、当選時の遊技状態が「CZ」の場合、内部遊技状態に応じて次のような移行制御がなされる。当選時における遊技状態が、内部遊技状態が通常遊技状態である「CZ(通常)」であった場合には、内部遊技状態が潜確状態の「CZ(潜確)」に移行され、内部遊技状態が潜確状態の「CZ(潜確)」であった場合には「潜確状態」に移行される。なお、変動パターン選択モード(変動パターン振分指定番号(Tcode))について、「CZ(潜確)」は、「CZ(通常)」と同じ変動パターン選択モード(Tcode=03H)として管理されるが、その実体は、内部遊技状態が‘潜確状態’の「CZ」である。
【0114】
上記「CZ(潜確)」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(たとえば、20回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りするまで当該「CZ(潜確)」が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該「CZ(潜確)」が終了して、次ゲームから「潜確状態」に移行され、潜確状態である旨を演出上から、遊技者に明らかにするようになっている(後述の演出モードが「CZ演出モード」から潜確演出モードに移行される)。なお図中では、「CZ(20回:潜確)」と表記している。
【0115】
なお、潜確状態の終了条件は、確変状態と同じであり、図柄変動表示ゲームの規定ST回数(74回転)の実行を以って終了される。混同してはならないのは、「CZ(潜確)」の実体は、内部遊技状態が‘潜確状態’の「CZ」であり、変動パターン選択モードが「CZ」というだけである。したがって、「CZ(潜確)」が20回実行された場合には、この回数も規定ST回数の消化分としてカウントされ、潜確状態は残り54回となる。
【0116】
(4−3−3.小当り遊技終了後の遊技状態)
小当り遊技後に関しては、その小当り当選時の内部遊技状態がそのまま継続され、小当り当選に起因した内部遊技状態の移行制御は行われない。したがって、小当り当選時の内部遊技状態とその小当り遊技後の内部遊技状態とは、いずれも同じ内部遊技状態となる。この点、内部遊技状態の移行制御が行われうる「大当り」とは性質を異にする。
【0117】
ただし本実施形態では、小当り当選に起因した‘内部遊技状態’の移行制御は行わない一方、特別図柄の変動パターンの決定(演出の決定)に関する‘変動パターン選択モード’の移行制御は行うようになっている。このような移行形態を利用し、たとえば、小当り遊技後の遊技状態と2R潜確大当り遊技後の遊技状態とを同じ変動パターン選択モードに移行させた場合には、双方で同じ演出モードに滞在させ、小当り遊技後であっても、2R潜確大当り遊技後と同じ演出モード下の演出を発生させることが可能になる。これにより、演出上からは、2R短開放潜確大当りに当選して「潜確状態」に移行したかも知れない、という高確率状態への突入期待感を遊技者に与えることができるようになっている。
【0118】
なお本実施形態では、どの大当りに当選しても「時短状態」が発生しない構成となっているが本発明はこれに限られない。たとえば、大当り遊技終了後に「時短状態」を発生させる「時短大当り」を設けてもよい。この場合、時短状態の終了条件としては、たとえば、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当り当選を条件とすることができる。また上記の「時短大当り」の規定ラウンド数は特に制限されず、適宜定めることができる。
【0119】
また本実施形態では、少なくとも高確率状態に移行された場合、規定ST回数(74回)まで確変状態が継続するものとして説明した。しかし本発明はこれに限らず、特別図柄変動表示ゲームの実行回数に関係なく、次回の大当りの当選となるまで高確率状態を継続させる大当り(非ST確変大当り)を設けてもよい。また、当り遊技後に何ら特典(時短状態や確変状態や潜確状態)を付与しない、通常遊技状態への移行契機となる「通常大当り」を設けてもよい。
【0120】
また「回数切り確変状態」への移行契機となる「ST確変大当り」、「小当り」、潜確状態に移行契機となる「潜確大当り」、「時短大当り」、「非ST確変大当り」、および「通常大当り」は、それぞれ1または複数種類含むことができる。また、これらのうち、いずれの当り種別を設けるかも自由である。たとえば、複数種類の確変大当り、1種類の潜確大当り、1種類の時短大当りを設けることができる。
【0121】
<5.演出について>
(5−1.演出モード)
次に、演出モード(演出状態)について説明する。本実施形態のパチンコ遊技機1には、遊技状態(少なくとも変動パターン選択モード(Tcode))に関連する演出をなす複数種類の演出モードが設けられており、遊技状態の移行に対応して、各演出モード間を移行制御可能に構成されている。上記演出モードには、「通常状態」の場合は「通常演出モード」、「CZ」の場合は「CZ演出モード」、「潜確状態」の場合は「潜確演出モード」、「確変状態」の場合は「確変演出モード」(「時短状態」を含む場合は「時短演出モード」)といった各遊技状態に応じた複数種類の演出モードが設けられている。
【0122】
本実施形態の場合、確変状態が「ST前半」「ST後半」「ST最終」に分けられているため、「確変演出モード」には、「ST前半」に関連する演出(ST前半用演出)が現出される「ST前半演出モード(第1の確変演出モード)」と、「ST後半」に関連する演出(ST後半用演出)が現出される「ST後半演出モード(第2の確変演出モード)」と、「ST最終」に関連する演出(ST最終用演出)が現出される「ST最終演出モード(第3の確変演出モード)」とが設けられている。
【0123】
また「潜確状態」も確変状態と同様に規定ST回数で高確率状態が終了する。したがって、潜確状態を確変状態と同様に、遊技期間を前半・後半・最終に分けてもよい。たとえば、潜確状態を「潜確前半(1〜67回転)」と「潜確後半(68回転〜73回転)」と「潜確最終(74回転)」といった複数種類の遊技状態として管理する。この場合、潜確演出モードについては、「潜確前半」に関連する演出が現出される「潜確前半演出モード(第1の潜確演出モード)」と、「潜確後半」に関連する演出が現出される「潜確後半演出モード(第2の潜確演出モード)」と、「潜確最終」に関連する演出(潜確最終用演出)が現出される「潜確最終演出モード(第3の潜確演出モード)」とを設けることができる。
【0124】
なお上記「CZ」である、「CZ(通常)」と「CZ(潜確)」とは、内部遊技状態が潜確状態(高確率状態)であるか通常遊技状態(低確率状態)であるかにかかわらず、同一の遊技状態として管理され、「CZ(通常)」または「CZ(潜確)」中の場合は、演出モードが同じ「CZ演出モード」下に置かれる。これにより、演出上からは、現在の大当り抽選確率状態(内部遊技状態)が秘匿状態とされるようになっている。上記「CZ演出モード」は、大当り抽選確率状態を演出上から秘匿状態とする「秘匿演出モード」としての役割を果たす。斯様な「秘匿演出モード」は、遊技者に高確率状態の期待感を煽る演出をなす演出モードとして働く。ただし、内部遊技状態に応じた、潜確状態(高確率状態)下における「本物のCZ演出モード(第1の秘匿演出モード)」と、通常遊技状態(低確率状態)下における「ガセのCZ演出モード(第2の秘匿演出モード)」とを設け、当り後の内部遊技状態に応じて、これら演出モードに移行制御可能に構成しても良い。この場合、「本物のCZ演出モード」と「ガセのCZ演出モード」とで、特定の演出(たとえば、特定のキャラクタ画像)の出現率を異ならせることにより、遊技者に対して、いずれの演出モードに滞在しているかの推測要素を与えることができる。
【0125】
また通常遊技状態についても、確変状態と同様に、複数種類の遊技状態(たとえば、通常Aと通常B)に分けて管理し、各遊技状態に対応する演出モードを設けることができる。通常Aと通常Bの切り替えは、図柄変動表示ゲームが所定回数実行されたことを契機に、または所定の移行抽選に当選したことを契機に、通常Aから通常Bに移行させることができる。また本実施形態では、変動パターン選択モード(Tcode)に関連した演出モードを設けた例ついて説明したが、本発明はこれに限らず、内部遊技状態(YJ)に関連した演出モードを設けてもよい。
【0126】
演出制御部24(CPU241)は、複数種類の演出モード間を移行制御する機能部(演出状態移行制御手段)を有する。演出制御部24(CPU241)は、主制御部20(CPU201)から送られてくる特定の演出制御コマンド、具体的には、現在の遊技状態(内部遊技状態を含むこともできる)を指定したり、遊技状態が移行される旨を指定したりする、といった主制御部20側で管理される遊技状態に関する情報を含む「特定の演出制御コマンド」に基づいて、主制御部20側で管理される遊技状態(変動パターン選択モード(Tcode)や内部遊技状態)と整合性を保つ形で、複数種類の演出モード間を移行制御可能に構成されている。本実施形態の場合、この「特定の演出制御コマンド」には、変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、遊技状態指定コマンド、当り中に送信される所定のコマンド(「大当り開始インターバルコマンド(大当り開始コマンド)」、「大当り終了インターバルコマンド(大当り終了コマンド)」)などがある。また演出制御部24は、遊技状態に関連した演出モードを管理する機能部(演出状態管理手段)を有する。演出制御部24(演出状態管理手段)は、上記の特定の演出制御コマンドにより、主制御部20側で管理される内部遊技状態および変動パターン選択モード(Tcode)を把握し、主制御部20側と整合性を保つ形で、演出モードを管理可能に構成されている。
【0127】
(5−1−1.各演出モード下の演出)
また各演出モードでは、遊技者がどのような遊技状態に対応した演出モード下に滞在しているのかを把握できるように、演出モードのそれぞれにおいて、装飾図柄の変動表示画面のバックグラウンドとしての背景表示が、それぞれ異なる背景演出に切り替え制御されるようになっている。各演出モードに対応して現出されるデフォルトの背景画像表示(基本背景表示(基本背景画像))として、たとえば、通常演出モードの場合は時間帯を表現した「昼背景(以下「通常背景」とも称する)」であり、その他、CZ演出モード、潜確演出モード、時短演出モードおよび確変演出モードの場合は、それぞれ、季節を表現(描写)した「春背景」「夏背景」「秋背景」「冬背景」等である。なお確変演出モードについては、ST前半演出モード、ST後半演出モードおよびST最終演出モードが含まれるので、それぞれの演出モードについては上記「冬背景」をベース背景画像とし、その冬背景表示中の一部のオブジェクトとして、たとえば、ST前半演出モードは雪山が表示される「雪山背景表示」、ST後半演出モードは夜空に光輝くオーロラを表示した「オーロラ背景表示」、ST最終演出モードは女性キャラクタが冬服を着用した「キャラ背景表示」などである。なお上記した各演出モードに対応した基本背景表示は、特定の予告演出が実行された場合に、他の背景画像(各演出モードに対応した、基本背景画像以外の背景画像)に切り替え表示されうる(たとえば、昼背景から夜背景に切り替わるなど)。
【0128】
また背景画像演出を各演出モードに応じて変化させるものに限らず、各演出モードに対応した異なる絵柄の装飾図柄を利用したり、音演出や光演出などを変化させたりすることにより各演出モードを示唆することもできる。また遊技状態(変動パターン選択モード(Tcode))自体の移行はないが(遊技状態の移行とは無関係に)、特定の予告演出中(たとえば、特定のリーチ演出)等の所定の切替契機によっても、バックグラウンドとしての背景表示が異なる背景演出に切り替え制御される場合がある。
【0129】
(5−1−2.ST期間中の演出)
本実施形態の場合、「確変演出モード」には、上記したように、「ST前半」に対応する「ST前半演出モード」と、「ST後半」に対応する「ST後半演出モード」と、「ST最終」に対応する「ST最終演出モード」とが含まれる。換言すれば、ST期間は、ST前半演出モード、ST後半演出モード、ST最終演出モードの3つに区分され、この3つのST区分のいずれに滞在しているかはST区分演出としての背景演出の切り替わりにより遊技者に報知される。この各ST区分内の演出(ST区分内演出)として、ST区分演出(背景演出)に重なる形で、上記のST前半用演出、ST後半用演出、ST最終用演出が当り種別に応じて現出される。なお、確変状態に限らず、通常遊技状態、潜確状態、時短状態など、1つの内部遊技状態が複数種類の遊技状態(変動パターン選択モード(Tcode))に区分され、これら遊技状態に対応した演出モードを設ける場合についても同様である。
【0130】
ST期間中の演出モードを区分することとなる「ST区分演出」については、「ST前半演出モード」、「ST後半演出モード」、「ST最終演出モード」の各演出モードで、この順に色が濃くなるように定めた特定色(ダーク系の色)の背景色に切り替えられ、これにより段階的にST中の特別図柄の変動回数が最終回目(74回目)に近づいて来ていることが報知される。したがって、遊技者の緊張感は背景色が切り替わるたびに強まり、ST最終演出モードの背景色に至ったときに最も強くなる。また、これらのST区分演出(背景演出)の切り替え制御とは別に、各演出モードにおいて、それぞれに関連するST区分内演出として、「ST前半用演出:たとえば演出ボタンを絡め無い演出」、「ST後半用演出:たとえば演出ボタンを絡めた最終前あがきチャンス演出」、「ST最終用演出:たとえば演出ボタンを絡めた最終あがきチャンス演出」の切り替え制御が行われる。このST区分演出とST区分内演出の2つが切り替えられるにより、遊技者の緊張感はST段階が進むにつれて高まり、ST最終段階で最大となる。
【0131】
(5−2.演出手段)
パチンコ遊技機1による各種の演出は、遊技機に配設された演出手段により現出される。斯様な演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることにより演出効果を発揮し得る刺激伝達手段であれば良く、装飾ランプ45やLED装置などの光発生手段(光演出手段)、スピーカ46などの音響発生装置(音演出手段)、液晶表示装置36などの演出表示装置(表示手段)、操作者の体に振動を伝える加振装置、遊技者の体に風圧を与える風圧装置、ないし、その動作により視覚的演出効果を発揮する可動体役物などは、その代表例である。ここで演出表示装置は、画像表示装置と同じく視覚に訴える表示装置であるが、画像によらないもの(たとえば、7セグメント表示器)も含む点で画像表示装置と異なる。画像表示装置と称する場合は主として画像表示により演出を現出するタイプを指し、7セグメント表示器のように画像以外により演出を現出するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。
【0132】
本実施形態のパチンコ遊技機1は、可動体役物として、上記の第1の可動体役物(時計型役物80)、第2の可動体役物(花型役物90)、第3の可動体役物(回転灯62)を搭載している。ローリングボタン70は、押圧ボタン型筒体72内またはその下方に、可動体73を回転可能かつローリング可能に組み込んだ構造となっているので、第3の可動体役物としても機能する。
【0133】
(5−3.予告演出)
次に、予告演出について説明する。演出制御部24は、上述した演出モード下において、主制御部20からの演出制御コマンドの内容、具体的には、少なくとも変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報(たとえば、当落抽選結果、リーチ演出の有無、および特別図柄の変動時間など)に基づき、上記演出モードと大当り抽選結果とに関連した様々な予告演出を現出制御する機能部(予告演出現出制御手段)を備える。本実施形態の予告演出現出制御手段は、変動パターン指定コマンドおよび/または装飾図柄指定コマンドに含まれる情報(たとえば当落抽選結果情報、リーチ演出の有無、特別停止図柄種別情報(当り種別情報)、特別図柄の変動時間情報など)に基づき、様々な予告演出を現出制御可能に構成されている。
【0134】
斯様な予告演出態様は、当り種別に当選したか否かの信頼度または期待度(以下、「当選期待度」と称する)を示唆(予告)し、遊技者の当り種別への当選期待感を煽るための「煽り演出」として働く。予告演出として代表的なものは、所謂「リーチ演出」の他、「疑似連演出」や「先読み予告演出」などがある。
【0135】
(5−3−1.リーチ演出)
上記「リーチ演出」とは、リーチ状態を伴う演出態様をいい、具体的には、リーチ状態を経由して最終的なゲーム結果を導出表示するような演出態様をいう。勿論、リーチ状態が形成されたからといって、図柄変動表示ゲームの結果が必ずしも「大当り」になるとは限らず、最終的に導出された結果が当りに対応した停止表示態様でない場合は、今回のゲーム結果は「ハズレ」となる。
【0136】
上記の「リーチ演出」は、当選期待度に関連付けられた複数種類のリーチ演出が含まれる。たとえば、「ノーマルリーチ演出(Nリーチ)」、Nリーチよりも当選期待度が高い「スーパーリーチ演出(SPリーチ)」、大当り当選確定を報知するプレミアムリーチ演出(プレミアリーチ)などが含まれる。SPリーチやプレミアリーチの多くは、遊技者の大当りに対する当選期待感を大いに煽るべく、Nリーチによりも相対的に長い演出時間(変動時間)を持ち、また派手な演出を伴うようになっている。
【0137】
本実施形態のリーチ演出には、複数種類のリーチ演出が設けられている。具体的には、Nリーチ種別には「NリーチA、NリーチB」が、SPリーチ種別には「SPリーチA、SPリーチB、SPリーチC」が、プレミアリーチ種別には「プレミアリーチA、プレミアリーチB」などが含まれる。なお、同種のリーチ演出における当選期待度の関係については、Nリーチ種別は「NリーチA<NリーチB」の関係、SPリーチ種別は「SPリーチA(弱SPリーチ)<SPリーチB(中SPリーチ)<SPリーチC(強SPリーチ)」の関係となっており、SPリーチA、Bは低期待度リーチに属し、SPリーチCは高期待度リーチに属するものとなっている。またプレミアムリーチの場合は、当選確定を報知するものであるので、当選期待度についてはプレミアリーチA、Bともに、当選期待度100%である。なお、実際の当選期待度は、他の予告演出(たとえば、後述の疑似連演出や先読み予告演出など)が伴うか否かに応じて変化しうる。たとえば、「SPリーチA」が出現した場合であっても、当選期待度の高い他の予告演出が絡めば、「SPリーチB」と同等もしくはそれ以上の当選期待度となりうる。
【0138】
なお、当選期待度に関し、「高期待度」とは、大当り抽選結果がハズレの場合には相対的に低い確率で選択され(低出現率)、当りの場合には相対的に高い確率で選択(高出現率)される、といった高い当選期待度を持つ予告演出(高期待度予告)であり、一般的には、当選期待度が所定値(たとえば、当選期待度30〜40%程度)以上の予告演出を指すが(当該所定値未満が「低期待度」の予告演出(低期待度予告)となる)、機種によってその値は異なる。
【0139】
リーチ演出が現出される場合、具体的には、リーチ演出を含む演出シナリオの場合(リーチ変動パターンに基づく演出態様の場合)、上記リーチ状態形成後に所定の演出時間幅で発生する「リーチタイトル(リーチタイトル演出)中」と、そのリーチタイトル演出後に所定の演出時間幅で発生する「リーチ演出中」とを介して、リーチ演出の終了後に所定の演出時間幅で発生する装飾図柄の「図柄仮停止状態」が終了した後、ゲーム結果が導出表示され(装飾図柄の確定停止表示)、これを以って、図柄変動表示ゲームが終了されるようになっている。たとえば、Nリーチを含む演出シナリオの場合は、少なくとも「Nリーチ中(Nリーチ演出中)」と「図柄仮停止状態」とを含む演出シナリオで構成され、SPリーチを含む演出シナリオの場合は、少なくとも「リーチタイトル中」と「SPリーチ中」と「図柄仮停止状態」とを含む演出シナリオで構成される。
【0140】
(5−3−2.疑似連演出)
上記「疑似連」とは、装飾図柄の疑似的な連続変動表示状態(疑似変動)を伴う演出態様をいう。「疑似変動」とは、装飾図柄変動表示ゲーム中において、装飾図柄の一部または全部を仮停止状態とし、その仮停止状態から装飾図柄の再変動表示動作を実行する、といった表示動作を1回または複数回繰り返すことにより、1回の図柄変動表示ゲーム中に、装飾図柄の変動表示動作が複数回実行されているように表現する変動表示態様をいう。疑似連には、見た目上、装飾図柄の変動表示動作が複数回実行されているかのように表現する演出態様だけでなく、疑似連専用図柄を利用して、疑似変動の発生可能性を遊技者に報知しながら(たとえば、疑似連の発生を遊技者が認識可能な演出態様で)、疑似変動が実行される演出態様を含むことができる。
【0141】
「疑似連」は、基本的には、疑似変動回数が多くなるほど当選期待度が高まるようにその発生率が定められており、たとえば、疑似変動回数に応じて、当選期待度が相対的に高いリーチ種別(SPリーチ)の発生期待感を煽るための予告演出として利用される。つまり、疑似変動回数が多くなるほど当選期待度が相対的に高いSPリーチ種別やプレミアリーチの発生が期待できるようになっている。疑似連とリーチ演出を含む演出シナリオの場合(疑似連有りリーチ変動パターンに係る演出態様の場合)、疑似連は、主として、リーチ状態が形成される前段階(リーチ演出の前段階)に発生される。すなわち、疑似連は、リーチ演出の発生可能性がある旨や特定のリーチ種別の発生可能性がある旨の予告として、1または複数回の疑似変動を行い、その後、リーチ演出が現出されて、最終的なゲーム結果が導出表示される。また、リーチ演出を含まない演出シナリオの場合(疑似連有り通常変動パターンに係る演出態様の場合)、疑似変動が終了した後、通常変動が実行されて最終的なゲーム結果が導出表示される。ここで、疑似変動終了後の変動表示動作を「本変動」とも称し、リーチ状態を経由するリーチ変動の場合には、この本変動にてリーチ演出が実行され、最終的なゲーム結果が導出表示され、リーチ状態を経由しない通常変動の場合には、本変動にて通常変動が実行され、最終的なゲーム結果が導出表示されることになる。なお、疑似連とリーチ演出とが複合的に現出される「疑似連+リーチ演出」については、説明の便宜のため「リーチ演出」と同列に扱う。なお上記では、疑似変動はリーチ演出前に現出されるものとして説明したが、リーチ演出中にも現出させることができる。たとえば、SPリーチC(強SPリーチ)の場合、Nリーチ後に、SPリーチCに発展するものや、Nリーチ後にSPリーチAに発展し、その後、さらにSPリーチCに発展するというリーチ演出シナリオもある。この場合、Nリーチ前、Nリーチ後〜SPリーチCの所定のタイミングで疑似変動を現出させることができる。具体例としては、Nリーチ後に所定の仮停止図柄態様(たとえば、「7↓7」のリーチ状態から「767」や「7☆7」(「☆」は疑似連図柄))で仮停止状態とした後、疑似変動を介して、SPリーチに発展させるなどである。
【0142】
以下、「疑似N回(たとえば、N≦4回)」と表記する場合、疑似変動回数「N回」を意味する。たとえば、「疑似N+SPリーチA」の表記は、「疑似変動N回+本変動のSPリーチA」、つまり疑似変動N回後、SPリーチAを実行する、といった変動表示動作態様を意味する。
【0143】
(5−3−3.先読み予告演出)
また予告演出には、未だ図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)には供されていない作動保留球(未消化の作動保留球)について、大当りの当選可能性がある旨(当選期待度)を事前に報知する先読み予告演出がある。この先読み予告演出については、まず主制御部20において、作動保留球が発生した場合(始動条件が成立した場合)、当該作動保留球が図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)に供される前に、当該作動保留球に係る大当り抽選結果を事前に判定する「先読み当り判定」が行われる。
【0144】
さらに上記「先読み当り判定」結果を利用して、将来、その作動保留球が図柄変動表示ゲームの実行に供された際の特別図柄の変動パターンを事前に判定する「先読み変動パターン判定」が行われる。この事前に判定される特別図柄の変動パターンを「先読み変動パターン」と称する。この先読み変動パターン判定では、たとえば、どのようなリーチ状態を経由する「リーチ変動パターン」となるのか、それともリーチ状態を経由しない「通常変動パターン」となるのかについて事前に判定される。
【0145】
なお上記先読み変動パターンは、少なくとも当落抽選結果(本実施形態では、当落抽選および図柄抽選の事前判定結果)を利用して判定されるため、演出制御部24側に送信される先読み変動パターン情報には、リーチの有無や疑似連の有無・その回数などの情報だけでなく、変動開始時の変動パターンが、大当り(小当りを含む)当選時の「当り変動パターン」であるか、ハズレ当選時の「ハズレ変動パターン」であるかの情報も含まれる。この先読み変動パターンの情報が主制御部20から演出制御部24に送信されると、演出制御部24において先読み予告演出に関する演出制御処理が行われる。このように、先読み当り判定を経て先読み変動パターンを判定する一連の処理を「先読み判定」と称する。
【0146】
詳しくは、先読み判定時の作動保留球数(今回発生した作動保留球を含めた現存する作動保留球数)を指定する「保留加算コマンド」と、上記先読み判定結果の情報(少なくとも当落結果を先読み判定した情報)を含む「入賞時コマンド」とが主制御部20から演出制御部24に送信され(
図5参照)、これらのコマンドを演出制御部24が受信すると、そのコマンドに含まれる情報に基づき、先読み予告演出に関する演出制御処理が行われる。
【0147】
上記保留加算コマンドと入賞時コマンドとは、それぞれ2バイトで構成される。本実施形態の場合、「保留加算コマンド」は、特別図柄種別情報(特
図1、2の別)を特定可能とする上位バイト側のデータと、先読み判定時の作動保留球数情報を特定可能とする下位バイト側データとから構成され、「入賞時コマンド」は、当落結果を指定する上位バイト側のデータ(MODE1)と、先読み変動パターンの内容を特定可能とする下位バイト側データ(EVENT)とから構成される。
【0148】
ただし演出制御部24は、必ずしも先読み予告演出を現出させるわけではなく、先読み予告演出の実行可否を抽選により決定し、先読み予告演出実行可と決定した場合には、作動保留球の発生したタイミングで、または先に行われる図柄変動表示ゲームの開始と同時に、あるいはその図柄変動表示ゲーム中の所定のタイミングで、今回の作動保留球を対象とした先読み予告演出を現出させるようになっている。
【0149】
なお作動保留球発生時の先読み判定により得られる「先読み変動パターン」は、必ずしも作動保留球が実際に変動表示動作に供されるときに得られる「変動開始時の変動パターン」そのものではある必要はない。これについて、たとえば、上記変動開始時の変動パターンが「疑似2+SPリーチA」を指定する変動パターンであるケースを代表的に説明する。
【0150】
このケースでは、先読み変動パターンにより指定される内容が、「疑似2+SPリーチA」というリーチ演出の種類そのものではなく、その骨子である「SPリーチA」種別である旨、具体的には、「SPリーチA」という同系統の変動パターンを纏めて分類した「SPリーチA種別」である旨を指定することができる。本実施形態の場合、「SPリーチA」という同系統の変動パターンとは、SPリーチA(疑似無し)、疑似2+SPリーチA、疑似3+SPリーチAなどを指す。このケースに係る先読み予告演出では、「SPリーチA」という同系統の変動パターンを纏めて分類した「SPリーチA種別」に関連した演出態様が現出されることになる。したがって先読み予告演出により報知される主な情報は、将来的に実行される図柄変動表示ゲームに関し、当選期待度が高い煽り演出(本ケースではSPリーチA種別)が発生する可能性が高いか低いかといった情報、換言すれば、大当りの当選可能性が高いか低いかといった情報であり、このような情報を作動保留球が消化される前段階において事前に遊技者に報知することにより、今回の図柄変動表示ゲームだけでなく、将来的に実行される図柄変動表示ゲームにも遊技者の関心を向けさせて、遊技の面白みを向上させている。
【0151】
(5−3−3−1.先読み予告演出態様:
図5、
図6)
次に
図5および
図6を参照しながら、先読み予告演出態様について説明する。
図5および
図6は、本実施形態に係るパチンコ遊技機1における先読み予告演出の説明に供する説明図であり、先読み予告演出の一例を示したものである。
【0152】
まず
図5を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機1では、液晶表示装置36の画面内の一部に(図示では、装飾図柄の表示エリアの下方左側)、特別図柄1側の作動保留球数を表示する保留表示領域76と、特別図柄2側の作動保留球数を表示する保留表示領域77とが設けられており、作動保留球の有無に関しては、その旨を点灯状態(作動保留球あり:通常色である白色の作動保留球ありの場合(通常保留表示態様)は白丸印で、また青、黄、緑、赤、D柄、虹色などの色付きの作動保留球ありの場合(専用保留表示態様)はハッチングを施した丸印で示す)か、あるいは消灯状態(作動保留球なし:図示の破線の丸印で示す)にて示し、現在の作動保留球数に関する情報が報知されるようになっている。
【0153】
この作動保留球の有無に関する表示(以下、「保留表示」と称する)は、その発生順(入賞順)に順次表示され、各保留表示領域76、77には最大4個の保留表示が可能となっている。具体的には、各保留表示領域76、77において、一番左側の作動保留球が、当該保留表示内の全作動保留球のうち時間軸上で一番先に生じた(つまり最も古い)作動保留球として表示される。本実施形態では、図示のように、液晶表示装置36の画面内の一部に、最大保留記憶数と同数(4個)だけ設けた保留アイコン(保留表示画像)からなる保留表示部a1〜d1(特
図1側に対応)、a2〜d2(特
図2側に対応)が設けられている。これらの保留表示部a1〜d1、a2〜d2は、通常は、先読み判定する際に存在する作動保留球数と同数、たとえば3個だけ、その表示態様が作動状態(点灯状態)に切り替える。したがって、この保留表示部が作動保留数を表示する保留表示手段(保留数表示手段)として働く。しかし、先読み予告演出を実行する場合は、保留表示部a1〜d1、a2〜d2のうちの該当する一の保留表示部の保留表示態様を所定の先読み予告表示態様(専用保留表示態様)に変更し、これにより先読み予告演出を発生させる手段(先読み予告手段)として働く。
【0154】
また、保留表示領域76、77の左側には、現に特別図柄変動表示ゲームに供されている作動保留球(以下「ゲーム実行中保留」と称する。)を示すための変動中表示領域78が設けられている。この実施形態の場合、変動中表示領域78は、受座Mのアイコン上に、現在ゲームに供されているゲーム実行中保留Kのアイコンが載る形の画像が現れるように構成されている。すなわち、特別図柄1または特別図柄2の変動表示が開始される際に、保留表示領域76、77に表示されていた最も古い保留a1またはa2のアイコン(アイコン画像)が、ゲーム実行中保留Kのアイコンとして、変動中表示領域78おける受座Mのアイコン上に移動し、その状態が所定の表示時間にわたり維持される。このゲーム実行中保留Kが受座J上に載る際には、基本的には、保留表示領域76、77での保留表示態様と同じ表示態様が維持され、今回の図柄変動表示ゲームに係る作動保留球を対象とした先読み予告表示態様(専用保留表示態様)が当該ゲーム中においても遊技者に報知される。これにより、遊技者に対し、大当りへの当選期待感を煽ることができるようになっている。
【0155】
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる上記入賞時コマンドと保留加算コマンドとを受けた場合、上記保留表示に関連する表示制御処理の一環として、先読み予告演出の実行可否を抽選する先読み予告抽選を行う。この先読み予告抽選に当選した作動保留球が、先読み予告演出の対象の作動保留球となる(たとえば、
図5のハッチングを施した保留表示部b1が該当する)。上記先読み予告抽選による当選確率は、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また当選期待度が相対的に高いリーチ種別の場合の方が高確率となっており、先読み予告演出が発生するか否かにより、大当りへの当選期待度が示される。なお本実施形態では、先読み予告抽選実行条件として、現存する作動保留球に係る先読み変動パターンの中に、リーチ変動パターン種別がないことを条件とする。これは、連続的に発生している先読み予告演出の途中に他のリーチ演出が介在して、本来の先読み予告演出が寸断され、その演出効果が希薄になってしまうのを回避するためである。
【0156】
先読み予告抽選に当選した場合には、上記保留表示部a1〜d1、a2〜d2の保留アイコンのうちで、その先読み予告対象となった保留アイコンが、たとえば、通常の保留表示の白色から、予告表示の青色、黄色、緑色、赤色、D柄、または虹色などの専用保留色に変化するといった「保留表示変化系」の先読み予告演出が行われる。ここで、保留アイコンの青色、黄色、緑色、赤色、D柄、虹色の表示は、この色の順に、当選期待度が高いことを意味しており、特に虹色の保留アイコンの表示は、大当り確定(当確)表示となるプレミアム的な保留アイコンとなっている。いずれの保留色に変化させるかについては、先読み変動パターンの内容に基づいて抽選により決定される。具体的には、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また当選期待度が相対的に高いリーチ種別の場合の方が、当選期待度の高い保留色が高確率で選択されるようになっている。この「保留表示変化系」の先読み予告演出態様としては、上述のように保留色を変化させることに限らず、保留アイコンの形状、模様、色彩またはこれらの結合について保留表示態様(デザイン)を変化させることが可能であり、たとえば点滅表示させたり、特殊なキャラクタ画像やアイテム画像などに変化するようにしても良い。このような「保留表示変化系」の先読み予告演出(以下、「保留変化予告」とも称する)は、作動保留球発生時に現出されることから「入賞時変化系」の先読み予告演出とも称される。
【0157】
上記では作動保留球に関する保留表示(保留アイコン)について、保留変化予告が発生した場合、その変化後の当選期待度に関連した色彩および模様の少なくとも一方または形状による表示態様により、次のような遊技情報を報知することができる。たとえば、保留色を代表例にとり説明すれば、上述のように「白、青、黄、緑、赤、D柄、虹色」の順に当りの当選期待度が高いことを報知する他、保留色に応じて、リーチ演出の発生の可能性がある旨(たとえば、保留色が青以上)や、リーチ演出の発生が確定的である旨(たとえば、保留色が黄色以上)や、リーチ演出種別に関する情報(たとえば、保留色が黄色ならばNリーチ以上確定、緑色であればSPリーチ確定以上、赤色であればSPリーチ種別のうち、相対的に当選期待度が高いSPリーチ種別確定(たとえば、SPリーチB確定)、疑似連の有無やその回数などを報知することができる。
【0158】
現存する作動保留球は、図柄変動表示ゲームの実行を契機に順次消化される。このとき、主制御部20から、作動保留球が図柄変動表示ゲームに供された旨、つまり減算後の作動保留球数情報を含む「保留減算コマンド」が送られてくる。演出制御部24は、この保留減算コマンドにより、今回の作動保留球数消化後の残余作動保留球数を把握する。作動保留球が図柄変動表示ゲームに供されて消化された場合、作動保留球が1つ消化したことを表現するべく、現存する作動保留球に対応した保留表示部の表示位置を繰り上げ移行され(順次左側にシフト)、その表示個数が減じられるといった表示制御(シフト表示)が行われるが、上記した通常と異なる保留表示態様は、この間も保留表示の表示位置を変えながら連続的に表示され続ける。この点、上記の保留表示変化系(入賞時変化系)の先読み予告演出は、複数回の図柄変動表示ゲーム(複数回の図柄変動表示動作)に跨って専用の予告演出を現出させるといった「連続予告演出」の一態様であるといえる。この連続予告演出は複数回の図柄変動表示ゲームに跨って実行される点で、疑似連のように、1回の図柄変動動作中に行われる予告演出とは異なる。
【0159】
また保留変化予告は、入賞時を契機とし、演出制御部24側での先読み予告演出の実行抽選がなされ、その抽選結果に従って実行されるものである。演出制御部24は、保留変化予告を実行すると決定した場合、保留変化予告に関する演出シナリオ(保留変化予告シナリオ)を決定し、そのシナリオに従い、保留変化予告を現出させる。この保留変化予告シナリオには、専用保留表示をどのようなタイミングで現出させ、どのような保留色に変化させるか等の演出内容が定められている。すなわちシナリオの現出タイミング情報に応じ、(i)新たな保留アイコン(保留記憶)が発生した時点を専用保留表示態様で表示させるタイミングとするケースの他、(ii)新たな保留アイコン(保留記憶)が発生した時点では通常の基本保留表示態様(たとえば白色)で表示させ、所定のシフト後に、当該保留記憶に係る保留アイコンを専用保留表示態様で表示させる「突然保留変化」(突然に白色から青色、緑色、赤色などに変化)をさせるケースや、(iii)新たな保留アイコン(保留記憶)が発生した時点では相対的に当選期待度の低い第1の専用保留表示態様(たとえば青色、黄色など)で表示させ、所定のシフト後に、当該保留記憶に係る保留アイコンを、相対的に当選期待度の高い第2の専用保留表示態様(たとえば緑色や赤色など)で表示させる「発展的保留変化」(青色、黄色などから緑色や赤色などに変化)をさせるケースなど、が生じうるように構成される。
【0160】
また保留変化予告は、保留変化対象となる保留アイコンが保留表示領域76、77に表示されている期間に限らず、ゲーム実行中保留Kとして表示される際にも発生する場合がある。具体的には、ゲーム実行中保留Kの表示態様が、受座J上に載る際、または今回の図柄変動表示ゲーム中の所定のタイミングで、保留表示領域76、77での保留表示態様と異なる保留表示態様(別の保留色や別の形状)に変化しうる。たとえば、当選期待度が相対的に高い保留表示態様に変化したり、所定の遊技情報(たとえば、疑似連発生やその回数、あるいは、リーチ演出やその種別など)を示唆するキャラクタ画像やアイテム画像などに変化したりする。これにより、図柄変動表示ゲーム中も、保留表示を利用した当選期待感を煽ることができるようになっている。
【0161】
また本実施形態では、上述の「入賞時変化系」の先読み予告演出とは異なり、図柄変動表示ゲームが開始したことを契機としてなされる「変動開始時変化系」の先読み予告演出を現出可能となっている。この「変動開始時変化系」の先読み予告演出とは、たとえば、液晶表示装置36の画面に先読み専用の予告画像を表示させ、これを1または複数回の図柄変動表示ゲームにて実行し、単発的にまたは連続表示させるといった「画像表示変化系」の先読み予告演出である。すなわち、「変動開始時変化系」の先読み予告演出は、一の図柄変動表示ゲーム中に始動口に遊技球が入賞して始動条件が成立した場合、その始動条件成立に係る図柄変動表示ゲームを実行する権利を一旦保留記憶するとともに、先読み予告演出を行うか否かに関し先読み予告抽選を行い、この先読み予告抽選に当選した場合には、その時点で現存する作動保留球(保留記憶)が複数個存在する場合には、それら全てまたは一部の保留記憶について、それらの図柄変動表示ゲームを何らかの関連性を有した表現にすることができる。たとえば、記憶順にみて最も古い作動保留球から先読み予告対象の作動保留球のうちの全てまたは一部の図柄変動表示ゲームにおいて、液晶表示装置36の画面に先読み専用の予告画像(たとえば、
図6の稲妻を模した予告画像(稲妻画像))を表示させる。この点、「変動開始時変化系」の先読み予告演出(以下、「稲妻連続予告」とも称する)も、上記した「入賞時変化系」の先読み予告演出(保留変化予告)と同じく、複数回の特別図柄変動表示ゲームに跨って専用の予告演出を現出させるといった「連続予告演出」の一態様であるといえる。なお、「変動開始時変化系」の先読み予告演出は、各図柄変動表示ゲームにおいて、異なる先読み予告画像を現出させてもよい。
【0162】
先読み予告演出の実行形態については、保留変化予告および/または稲妻連続予告を現出可能に構成することができる。具体的には、先読み予告抽選には、保留変化予告抽選と稲妻連続予告抽選とが含まれ、それぞれ独立して抽選が実行されるように構成することができる。したがって、(イ)保留変化予告が現出した場合であっても、必ずしも稲妻連続予告が現出するとは限らず、またその逆に、(ロ)稲妻連続予告が現出した場合であっても、必ずしも保留変化予告が現出するとは限らない。また、(ハ)保留変化予告と稲妻連続予告とが重複的(同時)に発生することもある。なお、上記(イ)〜(ハ)の実行形態のうち、全部または一部を採用することができる。
【0163】
(5−3−3−2.先読み予告演出態様例:
図6)
次に
図6を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機1が織り成す先読み予告演出態様について説明する。
【0164】
図中(1)は、図柄変動表示ゲーム中(図示の「↓」は装飾図柄が変動表示中であることを示している)に上始動口34に入賞して特別図柄1側の作動保留球数が3個になったとし、その3個目のうち、第2番目に変動開始動作が実行される作動保留球が先読み予告演出の対象(ここでは、入賞時変化系の先読み予告抽選と変動開始時変化系の先読み予告抽選とに重複当選)となったケースを示している。またここでは、先に保留されていた第1番目と後に保留された第3番目の作動保留球については、先読み予告抽選非当選の作動保留球であったとする。
【0165】
演出制御部24は、同図(1)示すように、先読み予告の対象となった第2番目の作動保留球の保留表示を通常とは異なる先読み専用の保留表示(以下、「専用保留表示」と称する)に変化させる。このとき、先読み予告の対象ではない第1番目および第3番目の作動保留球に対応する保留表示は、通常の保留表示(以下「通常保留表示」と称する)のまま維持される。図示では、先読み予告の対象となった第2番目の作動保留球の保留表示を、通常保留表示(白丸(○)印)から専用保留表示(ハッチング付き丸印)に表示態様が変化した場合を示している。これにより、遊技者に対して先読み予告演出が開始された旨が報知される。なお同図(1)は、現在実行中であった図柄変動表示ゲームが終了して、装飾図柄が「246」で停止表示されたものを示している(結果は「ハズレ」とする)。
【0166】
遊技進行は同図(2)に移り、主制御部20は、上記第1番目(最も古い作動保留球)であった特別図柄1側の作動保留球に基づく特別図柄変動表示ゲームを開始してその作動保留球を消化(1つ消化)し、演出制御部24は、その特別図柄変動表示ゲームの開始とともに、各作動保留球に対応する保留表示態様をそれぞれ左へシフトさせ、作動保留球が1つ消化された状態を示す保留表示態様とし、当該第1番目であった作動保留球に基づく装飾図柄変動表示ゲームを開始させる。このとき、「変動開始時変化系」の先読み予告演出として、液晶表示装置36の画面内に先読み予告演出用の背景画像(稲妻画像表示による稲妻演出(専用予告画像))を表示させる。これにより、液晶表示装置36の画面は、同図(2)に示すような表示態様となる。
【0167】
そして遊技進行は同図(3)に移り、現在実行中であった図柄変動表示ゲームが終了して装飾図柄が「351」で停止表示されたとする(結果は「ハズレ」とする)。
【0168】
続いて遊技進行は同図(4)に移り、主制御部20は、上記第2番目であった作動保留球、つまり先読み予告演出の対象となった作動保留球に基づく特別図柄変動表示ゲームを開始してその作動保留球を消化し、演出制御部24は、その特別図柄変動表示ゲームの開始とともに、各作動保留球に対応する保留表示態様をそれぞれ左へシフトさせ、当該第2番目であった作動保留球に基づく装飾図柄変動表示ゲームを開始させる。このとき、入賞時変化系の「専用保留表示」は上記シフト時に画面から消え、今回の図柄変動表示ゲームの開始を契機(その作動保留球の消化とともに)に終了され、その後は、ゲーム実行保留Kとして表示される。また変動開始時変化系の専用予告画像(ここでは稲妻演出)も今回の図柄変動表示ゲーム中の発生を最後に終了される。この同図(4)は、図柄変動表示ゲーム開始直後の液晶表示装置36の画面表示を例示したものである。
【0169】
このようにして、一連の先読み予告演出が終了したことになる。その後、先読み予告となった作動保留球が図柄変動表示ゲームに供され、当該図柄変動表示ゲーム中において、高期待度の予告演出(疑似連やSPリーチ)が発生すれば、先読み予告演出の内容と相まって、大当りへの期待感はより一層高まることになる。なお同図(4)において、変動開始時変化系の稲妻演出が、今回の図柄変動表示ゲーム中の発生を最後に終了されると説明したが、当該ゲームは、先読み予告対象となった作動保留球に係る図柄変動表示ゲームであることから、当該ゲームで稲妻演出を発生させる必要性に乏しい。したがって、先読み予告対象となった作動保留球に係る図柄変動表示ゲームにおいて変動開始時変化系の稲妻演出を現出させない構成としても良い。この場合、変動開始時変化系の先読み予告演出は、入賞時変化系の「専用保留表示」の終了とともに終了される。
【0170】
このように本実施形態のパチンコ遊技機1では、連続予告演出の一態様として、上記のような先読み予告演出を発生可能に構成されている。これにより、演出のバリエーションを豊富なものとすることができるので、遊技の面白みを向上させることができる。
【0171】
<13.音演出について>
本実施形態のパチンコ遊技機では、遊技者の興趣を高める遊技演出として、液晶表示承知36に現出される画像による「画像表示演出(以下、「表示演出」と略す)」の他に、「光演出」、「可動体演出」、「音演出」等が用いられる。以下では、本発明と関連の深い「音演出」を中心的に説明する。
【0172】
「音演出」はスピーカ46などの音出力部(音響発生装置46a)から出力される音による演出であり、図柄変動表示動作中に、BGM演出として楽曲のフレーズを演奏させたり、比較的長い演出時間幅を持つ「当り中演出」や「リーチ演出」や「疑似連」等の予告演出の一環として、表示演出と関連して楽曲音や効果音などを発声させるもの等が含まれる。また表示演出とは直接に関連しない音演出として、入賞音、エラー報知音、図柄変動開始音、図柄停止音などの音演出も扱う。これらの音演出は、演出制御部24の音制御部(音源LSI)により制御される。なお、遊技者が操作可能な手操作手段(たとえば、演出用ボタン13または適所に配設された操作手段)を利用して、段階的(たとえば、10段階の設定)に音量を調節可能な「音量調節手段」を備える場合には、その設定値がデフォルトの音量(基準音量)として設定される。本実施形態では、遊技者が任意に設定した設定値の音量が、現在の音演出の最大の音量として設定され、基準音量をベースとして、種々の音演出の音量が定まる。
【0173】
以下、図柄変動表示動作中に楽曲のフレーズを演奏するBGM演出を例にして、本実施形態を説明する。
【0174】
音制御部(音源LSI)は、音データROM、デコーダ、出力インターフェースなどを含んで構成される。音データROMには、音演出に使用する音データ(楽曲のフレーズや効果音などの再生すべき各種の音源データを収録した音データ)が圧縮して記憶されている。デコーダは、演出制御部24からのコマンドに基づき音データROMから圧縮音データを読み出してデコードする。また、デコーダは32個の再生チャンネル(0ch〜31ch)を備え、独立して32種類の音声を同時に再生可能である。したがって、2チャンネルずつペアにして音楽や効果音を再生することで、16種類のステレオ音声が同時再生可能となっている。出力インターフェースは、デコーダの各チャンネルにおいて再生された音データをミックスした後、デジタルデータからアナログデータに変換し、さらにそのアナログデータを増幅してスピーカ46から音を出力する。
【0175】
32個の各チャンネルにおいて再生される音データの種類は、予め決められている。具体的には、BGMについては0chと1ch、効果音については2chと3ch、入賞音については20chと21chと定められている。チャンネル番号が大きいほど出力する音楽や報知音の重要度が高い設定となっており、たとえばエラー報知音は重要度が高いため30chと31chに割り当てられ、BGMは重要度が低いため0chと1chに割り当てられている。スピーカ46から出力される音演出の音響(出力態様:音量レベル、音像を定位される位置、エコーなどエフェクトの有無)は、各チャンネル毎に調整することが可能であり、したがってBGM、効果音、入賞音についてそれぞれ独立して音量等が調整可能になっている。
【0176】
(BGM演出の種別)
BGM音演出は、図柄変動表示ゲーム(特別図柄(装飾図柄)変動表示)中や、当り遊技中などの所定の遊技区間において楽曲を再生させるのが通常であるが、本実施形態ではBGMの音源データとして楽曲だけにこだわらず、環境の中で自然に発生する環境音(雨音、川のせせらぎ、鳥のさえずり)もBGMとして扱い、さらに効果音や入賞音などが付帯(混合)する場合もBGMの一態様として捉える。
【0177】
本実施形態で扱うBGMを、BGMが再生される状況により分類すると、
(1)「通常背景時」において再生されるBGM、つまり特
図1側の作動保留球数または特
図2側の作動保留球数が0〜4個(または合計0〜8個)で存在する状況下で、図柄変動表示ゲーム(特別図柄(装飾図柄)の変動表示が行われている間)において再生されるBGM(以下「通常背景BGM」と称する。)と、
(2)図柄変動表示ゲーム中において、SPリーチや疑似連などの特定の予告演出の一環として、通常背景時(たとえば、昼背景)から切り替わった「特定の背景時(たとえば、夜背景)」において再生される専用BGM、ここでは「夜背景」となっている背景共通時に再生される専用BGM(以下「夜背景BGM」と称する。)と、
(3)特定の背景(たとえば、夜背景)となっていて上記夜背景BGMが再生されると共に、その背景表示中に現れる特定の予告演出(煽り演出)が現出されることに合わせて(たとえば、所謂「ステップアップ予告演出」において、特定の煽り演出画像が低速アニメーション〜高速アニメーション(たとえば、1倍速〜5倍速)で段階的に変化する)に段階的に変化することに合わせて)、専用環境効果音(SE)も付加的に再生されるBGM(専用BGM+SE)(以下「夜倍速背景BGM」と称する)と、
(4)入賞音発生時の次の変動開始時に再生される専用BGM(以下「入賞音連係BGM」と称する)とがある。
【0178】
<13−1.通常背景BGM>
上記(1)の「通常背景BGM」(使用チャンネル;00ch〜01ch)について説明すると、これにはメロディ主体BGMと環境音主体BGMの2種類が使用される。ここで「メロディ主体BGM」とは、楽曲のフレーズを演奏した音楽によるメロディを主体とし、これに効果音などが所要のタイミングで重ね合わされたBGMをいう。また「環境音主体BGM」とは、雨音、川のせせらぎ、鳥のさえずりのように、通常の音楽ではなく環境の中で自然に発生する環境音を主体とし、これに効果音などが所要のタイミングで重ね合わされたBGMをいう。これらは上記(3)の夜倍速背景時の「専用BGM+SE」と類似するが、専用BGMではなくメロディや環境音を主体とするものである点で相違する。以下では説明を簡単にするため、効果音は考慮せず、メロディだけを扱った「メロディBGM」と、環境音だけを扱った「環境音BGM」との2つをBGMとして演奏する場合を例にして説明する。
【0179】
(13−1−1.メロディBGM)
まずメロディBGMについて説明する。1曲中の数秒または数小節の短いメロディのフレーズからなる「フレーズ(楽句、楽節)」を一つの単位とし、少なくとも1曲中で異なる2単位(楽曲音パート)のフレーズ(2種類のメロディ)に着目する。そして1の楽曲をBGMとして用いる場合においては、当該楽曲を構成する上記2単位のフレーズのうち、メロディを聴いた場合に相対的に印象度の弱い楽曲音パートの方を冒頭用フレーズ(第1フレーズ)として決定し、またメロディを聴いた場合に相対的に印象度の高い楽曲音パートの方を、上記冒頭用フレーズに続く反復用フレーズ(第2フレーズ)として決定する。
【0180】
そして、BGMに用いる複数の曲の各メロディ(旋律)についても、それぞれのうちで、印象度の弱い楽曲音パートである「冒頭用フレーズ(第1フレーズ)」をBGM前半用フレーズとして採用し、また印象度の高い楽曲音パートである「反復用フレーズ(第2フレーズ)」をBGM後半用フレーズとして採用し、これを複数曲分だけ用意する。
【0181】
一般に楽曲は、「イントロ(前奏)」、「Aメロ(曲の最初のメロディ)」、「Bメロ(Aメロの次に来るメロディ。Aメロとサビを繋ぐ重要な部分)」、「サビ(曲の中で、最も盛り上がる部分であり、曲の主張そのもの)」、「間奏(フレーズの切れ目に入る部分。歌手は休憩。演奏は、ソロ演奏などで最大の見せ場となる)」、「Cメロ(最後のサビに続く旋律)」「アウトロ(後奏)」、といった要素を組み合わせて、一曲が完成する。そこで、本実施形態では、冒頭用フレーズ(BGM前半用フレーズ)として曲の「イントロ」の部分を選定し、何度も繰り返して聴かせたい反復用フレーズ(BGM後半用フレーズ)として曲の「サビ」の部分を選定する。このようにすると、曲中で印象的な部分となる「サビ」のメロディの前に、曲を自然に展開して行く序奏である「イントロ」が存在することになるので、「サビ」の印象度がより一層引き立てられることになる。
【0182】
(13−1−2.環境音BGM)
「環境音BGM」は、雨音、川のせせらぎ、鳥のさえずりのような環境音だけを扱ったBGMである。メロディBGMの場合と同様に、音を時間的経過として聴いた場合に相対的に印象度の弱い方を冒頭用フレーズ(第1フレーズ)として用い、また音を時間的経過として聴いた場合に相対的に印象度の高い方を反復用フレーズ(第2フレーズ)として用いる。これらのフレーズの長さは、時間的な長さとして適宜定める。
【0183】
(13−1−3.BGM制御)
本実施形態において、BGM制御部(演出制御部24)は、スピーカ46などの音出力部(音響発生装置46a)と、音出力部を制御して、所定の期間中に音演出を実行制御することが可能な音制御手段(CPU241、演出制御側メイン処理)と、を有し、
音演出は、イントロ部分とサビ部分とを有する楽曲のイントロ部分および/またはサビ部分のフレーズをBGMとして演奏する演出を含み、
音制御手段が、
図柄変動表示動作中において、現在の作動保留球数(保留記憶個数)を監視し、作動保留球が所定個数以上である場合は作動保留数域(保留記憶数域)が多域にあると判断し、所定個数未満である場合は作動保留数域が少域にあると判断する作動保留数域判別手段と、
図柄変動表示動作中に楽曲の演奏しているイントロ部分またはサビ部分のフレーズの終りが到来した場合、監視対象の作動保留球数について、多域と少域間での作動保留数域の変更があったか否かを判断し、作動保留数域の変更があった場合は現在演奏されている楽曲と異なる楽曲の演奏に移行し、また作動保留数域に変更がない場合は、現在演奏されている楽曲のフレーズを繰り返し演奏する第1の演奏フレーズ決定手段と、
図柄変動表示動作の切り替わりが到来した場合、その切り替わりの前後において、多域と少域間での作動保留数域の変更があったか否かを判断し、作動保留数域の変更があった場合は現在演奏されている楽曲と異なる楽曲の演奏に移行し、また作動保留数域に変更がない場合は、現在演奏されている楽曲のフレーズを繰り返し演奏する第2の演奏対象フレーズ決定手段と、を有する。
すなわち、所定の判断契機(たとえば、図柄変動表示動作中に楽曲の演奏しているイントロ部分またはサビ部分のフレーズの終りなど)が到来した場合、当該到来時の作動保留球が多域であるか少域であるかを判断する(作動保留数域監視手段)。(α)判断結果が「多域」であり、現在演奏中の楽曲が多域用楽曲(たとえば、BGM、背景BGM等)である場合には(判断時前後において作動保留数域が「多域→多域」のケース)、そのまま楽曲を変更せずに現在演奏されている楽曲のフレーズを繰り返し演奏し(現在の音演出を継続して実行する)、他方、判断結果が「少域」であり、現在演奏中の楽曲が多域用楽曲である場合には(判断時前後において作動保留数域が「多域→少域」のケース)、現在演奏されている楽曲と異なる楽曲(たとえば、少領域用楽曲)に切り替え演奏する。また判断結果が「少域」であり、現在演奏中の楽曲が少域用楽曲である場合には(判断時前後において作動保留数域が「少域→少域」のケース)、そのまま楽曲を変更せずに、現在演奏されている楽曲のフレーズを繰り返し演奏し(現在の音演出を継続して実行する)、一方、判断結果が「多域」であり、現在演奏中の楽曲が少域用楽曲である場合には(判断時前後において作動保留数域が「少域→多域」のケース)、現在演奏されている楽曲と異なる楽曲(たとえば、多領域用楽曲)に切り替える(第1の演奏対象フレーズ決定手段)。(β)図柄変動表示動作の切り替わりが到来した場合も同様に、判断時前後において作動保留数域が「多域→多域」のケースまたは判断時前後において作動保留数域が「少域→少域」のケースであれば、現在演奏中の楽曲を変更せずに継続して演奏し(現在の音演出を継続して実行する)、他方、判断時前後において作動保留数域が「多域→少域」のケースまたは判断時前後において作動保留数域が「少域→多域」のケースであれば、現在演奏されている楽曲と異なる楽曲に切り替える(第2の演奏対象フレーズ決定手段)。
【0184】
上記のように図柄変動表示動作中において、現在の作動保留球数が所定個数以上である場合は作動保留数域が多域にあると判断し、所定個数未満である場合は作動保留数域が少域にあると判断するようにしたのは、作動保留球数がたとえば0〜2個の「少域」に在る場合は、一般的に、比較的変動時間の長い変動パターン(たとえば、ハズレ変動パターンの場合、8〜12s)が選択されやすく、逆に、保留記憶個数がたとえば3〜4個の「多域」に在る場合は、比較的変動時間の短い変動パターン(たとえば、ハズレ変動パターンの場合、3〜5s)が選択されやすいことを考慮したものである。すなわち、図柄変動表示動作における変動時間の長短に合わせて、BGMの演出内容を「テンポが良い」、「リラックスできる」、「リズミカル」とかのように、変化させることができる為である。また、作動保留数域の判断対象となる作動保留球数については、今回の変動表示動作が実行される特別図柄の作動保留数域が「多域」であるか「少域」であるかを判断する。なお、詳細は後述するが、特
図1および特
図2の合算作動保留球数(本実施形態の場合、特
図1側4個+特
図2側4個の最大8個)を対象に、「多域」であるか「少域」であるかを判断可能に構成することができる。上記特
図1および特
図2の合算作動保留球数を対象とする場合は、任意の作動保留球数にて2以上の領域に分け(たとえば、作動保留球数が0〜4個の帯域を「少域」、5個〜8個を「多域」として分け)それぞれの領域における変動時間の長短に合わせて、BGMのフレーズの変更または継続を決定するようにしてもよい。また「メロディBGM」の場合だけでなく、「環境音BGM」のBGM制御の場合も同様である。
【0185】
なお、演出制御部24は、主制御部20から送られて来る「保留加算コマンド」により作動保留球の増加を、また「保留減算コマンド」により、作動保留球数消化後の残余作動保留球数を把握可能となっている。演出制御部24は、これらコマンドの作動保留球情報により、現在の作動保留球数を監視し、作動保留数域が上記「少域」であるか「多域」であるかを判断し、所定の作動保留数域判断契機が到来した場合、その作動保留数域に変化があったか否かを判断可能となっている。上述の「所定の作動保留数域判断契機が到来した場合」とは、たとえば、
図7の時刻t6、t13、
図8の時刻t6a、t13等の音パートのフレーズの終りの到来や、
図7の時刻t10、t12、t15、
図8の時刻t10、t12、t15等の図柄変動表示動作の切り替わりの到来などである。
【0186】
また、変動パターン選択モード(Tcode)、内部遊技状態(YJ)、または演出モード種別のうち、少なくともいずれか一つに応じて、作動保留数域の判断対象となる特別図柄種別を変更してもよい。たとえば、電サポ無し状態を伴う遊技状態(たとえば、通常状態または潜確状態)である場合には、左打ち有利となるので、特
図1側の作動保留球(上始動口34への入賞)が発生し易い状態となり、他方、電サポ有り状態を伴う遊技状態(たとえば、確変状態または時短状態)である場合には、右打ち有利となるので特
図2側の作動保留球(下始動口35への入賞)が発生し易い状態となる。この点を考慮し、作動保留数域の判断対象となる特別図柄種別を変更する。すなわち、現在の遊技が「電サポ無し状態」に係る‘変動パターン選択モード、内部遊技状態、または演出モード(通常演出モード、CZ演出モード、潜確演出モード)’である場合には、作動保留数域の判断対象となる特別図柄種別を特
図1側とし、現在の遊技が「電サポ有り状態」に係る‘変動パターン選択モード、内部遊技状態、または演出モード(確変演出モード、時短演出モード)」である場合には、作動保留数域の判断対象となる特別図柄種別を特
図2側とすることができる。これについて「メロディBGM」の場合だけでなく、「環境音BGM」のBGM制御の場合も同様である。
【0187】
また、イントロ部分とサビ部分とを有する楽曲について、そのイントロ部分とサビ部分とを分けて考え、イントロ部分および/またはサビ部分のフレーズをBGMとして演奏するようにしたのは、サビ部分は印象の強い楽音パートであることから、サビ部分のフレーズの終りが到来しても、イントロ部分を経由せずにサビ部分のフレーズを繰り返し演奏できるようにするためである。
【0188】
上記はメロディBGMのBGM制御について説明したが、「環境音BGM」のBGM制御も同様であり、メロディBGMの場合と同様に、
環境音を時間的経過として聴いた場合に相対的に印象度の弱い方(たとえば川のせせらぎ音)を冒頭用フレーズ(第1フレーズ)として扱い、また環境音を時間的経過として聴いた場合に相対的に印象度の高い方(たとえば鳥の鳴き声音)を反復用フレーズ(第2フレーズ)として扱い、
図柄変動表示動作中に環境音の再生している冒頭用フレーズまたは反復用フレーズの終りが到来した場合、作動保留球数(保留記憶個数)に多域と少域間での作動保留数域の変更があったか否かを判断し、作動保留数域の変更があった場合は現在再生されている環境音と異なる環境音の再生に移行し、また作動保留数域に変更がない場合は、現在再生されている環境音のフレーズを繰り返し再生する(現在の音演出を継続して実行する)第1の再生フレーズ決定手段と、
図柄変動表示動作の切り替わりが到来した場合、その切り替わりの前後において、作動保留球数に多域と少域間での作動保留数域の変更があったか否かを判断し、作動保留数域の変更があった場合は現在再生されている環境音と異なる環境音の再生に移行し、また作動保留数域に変更がない場合は、現在再生されている環境音のフレーズを繰り返し再生する(現在の音演出を継続して実行する)第2の再生フレーズ決定手段と、を有する、という構成にする。
【0189】
環境音について2つの音パートを考え、印象度の弱い方(たとえば川のせせらぎ音)を冒頭用フレーズ(第1フレーズ)とし、印象度の高い方(たとえば鳥の鳴き声音)を反復用フレーズ(第2フレーズ)として扱い、そのフレーズをBGMとして演奏するようにしたのは、印象の強い楽音パートである反復用フレーズの終りが到来しても、冒頭用フレーズを経由せずに反復用フレーズを繰り返し演奏できるようにするためである。
【0190】
(13−1−3.通常背景BGMのフレーズの切替例1:
図7)
図7および
図8は、それぞれ通常背景BGMのフレーズの切替例を示したもので、ここでは第1BGMとしてメロディBGMを扱い、第2BGMとして環境音BGMを扱っている。
【0191】
この切替例におけるBGMは、第1BGMとして採択したBGMの「冒頭用フレーズ」から再生が始まり、再生内容が次の2つを契機として変化する。この契機の1つは、BGMとして再生される予定フレーズの終り(メロディBGMの場合は冒頭用フレーズの終り、環境音BGMの場合は所定長さの冒頭用フレーズの終り)が到来したことであり、予定フレーズの終りが到来すると、次のBGM部分として「反復用フレーズ」(たとえば第1BGMのイントロ部分からサビの部分)へ切り替えられる。この契機によるBGM変化は、特別図柄が変動を開始してから停止するまでの一変動表示動作の途中において行われる。したがって図柄変動表示ゲームの途中で、同じBGMについてその再生内容が変化することになる。
【0192】
再生内容が変化する契機の他の1つは、一の特別図柄変動表示動作が終了して次の一の特別図柄変動表示動作が開始したとき、すなわち、今回の図柄変動表示ゲームが終了して作動保留球が消化されて次の図柄変動表示ゲームが開始したとき、その前後で、つまり当該特別図柄変動表示動作(図柄変動表示ゲーム)を跨いで作動保留球数に大小の変化があったことである。具体的には、一の特別図柄変動表示動作が終了して次の一の特別図柄変動表示動作が開始する場合、当該変動表示を跨ぐ作動保留球数、つまり図柄変動表示動作が行われる前と後の作動保留球数を監視し、作動保留球数が「少域」(保留記憶の上限値が4個の場合、0個、1個、2個のいずれかの状態)から「多域」(保留記憶の上限値が4個の場合、3個、4個のいずれかの状態)へ変化し、またはその逆に変化した場合は、BGMを別のBGM(たとえば第1BGMから第2BGM)に切り替える。ただし、作動保留球数が同じ「少域(2個以下の状態)」を維持しているか、または「多域(3個以上の状態)」を維持している場合は、BGMの切替えを行わない(たとえば、第1BGMの反復用フレーズを維持して同じメロディを反復させる)。なお、上記「特別図柄変動表示動作が終了して次の一の特別図柄変動表示動作が開始したとき」とは、特別図柄に同調して実行される「一の装飾図柄変動表示動作が終了して次の一の装飾図柄変動表示動作が開始したとき」と等価的な意味である。
【0193】
図7において、特別図柄は、時刻t0〜t2まで変動して時刻t2〜t3で停止表示し(時刻t2〜t3は、確定表示時間(たとえば、500ms))、時刻t3〜t9まで変動して時刻t9〜t10で停止し・・といった動作を繰り返している。この特別図柄の変動中に上始動口34または下始動口35に入賞すると作動保留球数が1個増え、図柄変動表示動作が行われると作動保留球数が1個消化される(作動保留球数が1個減少する)。
図7の例では、作動保留球数が時刻t0〜t2の変動中の時刻t1で1個増え、時刻t3で図柄変動表示動作が行われて1個消化されて0個になる。
【0194】
この時刻t3で開始される図柄変動表示動作は、所定のハズレ変動パターンが選択されるものとする。図柄変動表示動作に係る変動パターンは、「変動パターン抽選処理(後述の
図14中の特別図柄変動開始処理(S306))」で決定される。この変動パターン抽選処理では、少なくとも当落抽選結果(本実施形態の場合、図柄抽選結果)と、残余作動保留球数(今回の図柄変動表示ゲームにより作動保留球1個が消化されたときの作動保留球数:0〜3個)とに関連付けられた複数種類の変動パターンのうちから、いずれかの変動パターンが抽選により決定されるようになっている。時刻t3で開始される図柄変動表示ゲームの場合、大当り抽選が「ハズレ」、かつ残余作動保留球数0個という情報に基づいて、たとえば、ハズレ変動パターンとして、通常変動12sが80%、通常変動10sが15%、リーチが5%(NリーチやSPリーチ種別を含む)の割合で選択される。ここでは通常変動12sが選択されて図柄変動表示動作が12秒間継続する。
【0195】
その後、時刻t3〜t9の変動中に0個から4個まで増え(時刻t4〜t8)、時刻t10で図柄変動表示動作が行われて1個消化されて3個になる。したがって、この時刻t10で開始される図柄変動表示動作は、ハズレ変動パターンとして、たとえば、作動保留球数が4個(変動直後の作動保留球数3個)であったときの通常変動5sが85%、通常変動3sが12%、リーチが3%(NリーチやSPリーチ種別を含む)の割合で選択される。ここでは、通常変動5sが選択されて、図柄変動表示動作が5秒間継続する。
【0196】
その後、時刻t10〜t11の変動中に作動保留球数の増加はなく、3個のままで、時刻t12で図柄変動表示動作が行われて1個消化されて2個になる。したがって、この時刻t12で開始される図柄変動表示動作は、ハズレ変動パターンとして、たとえば、作動保留球数が3個(変動直後の作動保留球数2個)であったときの通常変動8sが90%、通常変動10sが5%、リーチが5%(NリーチやSPリーチ種別を含む)の割合で選択される。ここでは、通常変動8sが選択されて、図柄変動表示動作が8秒間継続する。
【0197】
その後、時刻t12〜t14の変動中に作動保留球数の増加はなく、2個のままで、時刻t15で図柄変動表示動作が行われて1個消化されて1個になる。したがって、この時刻t15で開始される図柄変動表示動作は、ハズレ変動パターンとして、たとえば、作動保留球数が2個(変動直後の作動保留球数1)であったときの通常変動12sが70%、通常変動10sが25%、リーチが5%(NリーチやSPリーチ種別を含む)の割合で選択される。図示はしていないが、ここでは通常変動12sが選択されて図柄変動表示動作が12秒間継続する。
【0198】
上記の状況下において、BGMは次のように変化する。
図7の待機時(時刻t0)からの打出開始時には、作動保留球数がゼロである。本例の場合、遊技状態が「通常状態」にあり、最初は第1BGMとして「メロディBGM」が頭から、つまり「冒頭用フレーズ(イントロ部分)」から再生される。
【0199】
時刻t3で特別図柄の変動表示動作が終了し、当該図柄変動を跨ぐ作動保留球数の変化についての監視が行われるが、このとき作動保留球数は1個から0個に減少するだけで、作動保留球数は「少域」(作動保留球数が0〜2個の範囲)から変化していない。そこで、時刻t3で特別図柄変動表示動作が終了しても、第1BGMの「冒頭用フレーズ」のメロディ、つまりメロディBGMの「イントロ部分」のメロディが継続して再生される。
【0200】
やがて第1BGMについてイントロ部分のメロディが終了し(時刻t6)、図柄変動表示ゲームの途中であっても、第1BGMの再生箇所は「反復用フレーズ」として用意された第1BGMの「サビの部分」へと移る。この結果、BGMは、同じ第1BGM(メロディBGM)の曲ではあるが、再生される箇所が、イントロからサビへと変化することになる。
【0201】
その後、作動保留球数が3個、4個と増え続け、時刻t10で特別図柄変動表示動作が行われて1個消費され、作動保留球数が3個になる。時刻t10で特別図柄変動表示動作が終了した際、作動保留球数は多い状態の「多域(3〜4個)」から変化していない。そこで、時刻t10で特別図柄変動表示動作が終了しても、第1BGM(メロディBGM)の「反復用フレーズ」のメロディ、つまりサビ部分のメロディが継続して再生される。
【0202】
その後、時刻t10〜t11までの期間中、作動保留球数が3個を維持しながら遊技が進行し、時刻t12で特別図柄変動表示動作が開始されて1個消費され、作動保留球数が3個から2個になる。時刻t11で特別図柄変動表示動作が終了した際、作動保留球数は「多域(3〜4個)」から「少域(0〜2個)」に変化する。そこで、時刻t12で特別図柄変動表示動作が終了した際、BGMは、第1BGMから第2BGMに切り替えられる。具体的には、第1BGM(メロディBGM)の反復用フレーズ(曲のサビの部分)のメロディから、第2BGM(環境音BGM)の冒頭用フレーズの音(たとえば川のせせらぎ)に変更される。
【0203】
その後、図柄変動途中の時刻t13において、第2BGM(環境音BGM)について、「冒頭用フレーズ」のフレーズ長さ分の再生が終了する。ここで第2BGM(環境音BGM)の再生内容は、「冒頭用フレーズ」の音(川のせせらぎ)から「反復用フレーズ」の音(たとえば鳥の鳴き声)に変更される。
【0204】
その後、作動保留球数が2個の状態下で、時刻t14〜t15で特別図柄変動表示動作が行われて1個消費され、作動保留球数が2個から1個になる。時刻t15で特別図柄変動表示動作が終了した際、作動保留球数は「少域(0〜2個の範囲)」から変化していないので、時刻t15で特別図柄変動表示動作が終了しても、第2BGMの反復用フレーズの音(鳥の鳴き声)が継続して再生される。
【0205】
(13−1−4.通常背景BGMのフレーズの切替例2:
図8)
図8は、通常背景BGMのフレーズを切替える他の例を、背景画像も加えて示したものである。背景画像は、時刻t0〜t7が“学校外観”の画像、時刻t7〜t10が“環境1(川のせせらぎ)”の画像、時刻t10〜t12が“環境2(鳥が鳴く様)”の画像、時刻t12〜t13が“学校の外観”の画像、時刻t13以降が“学校の教室内”の画像となるものとしている。
【0206】
図7との大きな相違は、時刻t0から続いている第1BGMの冒頭用フレーズ(イントロ)について、その終了時点時刻t6aが、時刻t7で作動保留球数が2個から3個に増えた後に変わっている点(
図8では時刻t7が時刻t6aより前に来ている点)である。すなわち、この
図8では、第1BGMのイントロが終了した時刻t6aの時点で、作動保留球数が「少域(2個以下)」から「多域(3個以上)」に移行している。
【0207】
そこで時刻t6において第1BGMの冒頭用フレーズ(イントロ)が終了すると、BGMは第1BGMから新たな第2BGMに切り替わる。具体的には、環境音BGMの冒頭用フレーズ(川のせせらぎ音)に切り替わる。背景画像もこれに対応して、“学校外観”の画像から“環境1(川のせせらぎ)の画像に切り替わる。
【0208】
時刻t10において、次の図柄変動表示動作が開始する。このとき、作動保留球数が4個から3個になり、これは「多域(3個以上)」同士間での移行になるので、BGMの変化は、同じ環境音BGMにおいて冒頭用フレーズ(川のせせらぎ音)から、反復用フレーズ(鳥の鳴き声)に切り替わる。背景画像もこれに対応して、“環境1(川のせせらぎ)”から“環境2(鳥が鳴く様)”の画像に切り替わる。
【0209】
時刻t12において、次の図柄変動表示動作が開始する。このとき、作動保留球数が3個から2個になり、これは「多域(3個以上)」から「少域(2個以下)」への移行になるので、BGMは、BGM2から次のBGM1に変更される。すなわち、環境音BGMの反復用フレーズ(鳥の鳴き声)からメロディBGMの冒頭用フレーズ(イントロ)に切り替わる。背景画像もこれに対応して、“環境2(鳥が鳴く様)”の画像から“学校外観”の画像に切り替わる。
【0210】
時刻t13において第1BGMの冒頭用フレーズ(イントロ)が終了すると、BGMは第1BGMの反復用フレーズ(サビ)に切り替わる。背景画像もこれに対応して、“学校外観”の画像から“学校の教室内”の画像に切り替わる。このように背景画像が、一の背景から他の背景へまたは同一背景へ切り替わる場面においては、
図8中の時刻t3に点線の囲みで示唆するように、両者間に“暗転予告画像(暗転演出)”を挟んで行うことができる。暗転予告画像とは、表示画面を全体的に‘ブラックアウト状態(暗転表示)’にすることで当選期待感を煽るといった予告演出の一態様であり、主に画像表示演出の視認性を通常の状態(基準状態)よりも低くし、画像表示を視認困難または視認不可能に変化させる演出態様を指す。
【0211】
さらに時刻t15において、次の図柄変動表示動作が開始する。このとき、作動保留球数が2個から1個になり、これは「少域(2個以上)」同士間での移行になるので、BGMの変化は、同じ第1BGM(メロディBGM)における反復用フレーズ(サビ)の部分が繰り返される。背景画像もこれに対応して、“学校の教室内”の画像が継続される。
【0212】
なお、本実施形態では、BGMに用いる曲のメロディについて、曲の「サビ」の部分を反復用フレーズとして選定したが、「サビ」以外の部分であっても、冒頭用フレーズ部との対比において「冒頭のフレーズとは異なる楽節」となっているフレーズの部分、または曲を聴いた際に印象的に残るフレーズの部分であれば、それらは反復用フレーズ部として採用し得る。たとえば「サビ」以外の他のフレーズ部分として、Aメロ、Bメロなどと言った歌詞付きのメロディ部分を、反復用フレーズ部として採用することができる。
【0213】
(変形例1)
図7、
図8の例では、メロディBGMと環境音BGMの2種類を用い、作動保留球数が少ないときは環境音BGMが再生され、作動保留球数が多くなるとメロディBGMが再生するように構成した。しかし、BGMの種類は任意に定めることができ、たとえばメロディBGMとメロディBGMの組合せ、または環境音BGMと環境音BGMの組合せで用いることもできる。
【0214】
また作動保留球数については、特
図1または特
図2の最大保留記憶数が4個である場合を例にして説明したが、特
図1と特
図2の最大保留記憶数の合計である上限値8個にも適用することができる。この保留記憶される上限値が8個である場合は、BGMの種別を3種類以上に増やし、作動保留球数0〜8個の帯域を幾つかに分割して3つ以上の保留数域に分け(たとえば「0〜2個の少数域」、「3〜4個の中数域」、「5個〜8個の多数域」の3つに分け)、現に記憶されている作動保留球数の値が、少数域、中数域、多数域へと進むほど、遊技者にとって興趣を味わえる楽曲(たとえば曲のテンポが上がる楽曲)が「メロディBGM1」、「メロディBGM2」、「メロディBGM3」として選択されるように構成することができる。
【0215】
また上記の「5個〜8個の多数域」をさらに細分化して、「7個〜8個の超多数域」を追加的に設け、現在の作動保留球数が最大の8個に至った場合には、それまでの印象度の異なるフレーズの特殊BGMとして「メロディBGM4」の歌部分である“軍歌1”を流すように構成することもできる。この構成については、好ましくは、電サポ無し状態である場合、換言すれば、電サポ無し状態に係る「変動パターン振分指定番号(Tcode)、内部遊技状態(YJ)、または演出モード」等である場合(通常状態または潜確状態や、これに関連する演出モード中)に、“軍歌1”を再生するように構成する。これは、電サポ無し状態下の場合は、作動保留球が8個貯まることがまれであることに着目し、その達成を祝う祝福的な演出として扱うことが好ましいからである。勿論、これに限らず、電サポ有り状態下の場合(たとえば、確変状態または時短状態)であっても、本構成を適用することができる。
【0216】
本変形例の場合、保留記憶が8個貯まったときから、特殊BGMのフレーズとして「メロディBGM4」の歌部分である“軍歌1(たとえば、軍歌1の歌詞1番)”を再生するものである。さらにまた、保留記憶数が最大の8個に至った後も作動保留球数が「7個〜8個の超多数域」を維持できていて、かつ“軍歌1”が最終まで再生できたときは、次に用意された別のメロディBGM5として“軍歌2(たとえば、軍歌2の歌詞1番)”に切り替え、当該軍歌2の歌フレーズ部が最終まで再生できた場合は軍歌3(たとえば、軍歌3の歌詞1番)”に切り替え、・・という操作を繰り返し、複数種類用意された特殊BGMの最後の「メロディBGM5」として国歌である“君が代”が再生され、“君が代”が最後まで再生できたときは「最終特殊BGM6」として歓喜する“歓声”が流れる、という構成にすることができる。
【0217】
また、特殊BGMのフレーズが再生された場合(上述のメロディBGM4、5、6の軍歌1〜軍歌3)、その再生中において、背景画像または背景画像の一部(たとえば、背景画像の一部として表示されている特定のオブジェクト画像(昼背景であれば太陽、夜背景であれば月など表示画像))を、「特殊BGM用画像(専用背景画像)」に切替表示してもよい。この場合、各BGMに対応した、それぞれ異なる特殊BGM用画像を表示してもよい。また最後のメロディBGM5の“君が代”が再生された場合、あるいは、最終特殊BGM6の“歓声”が流れた場合に限り、祝福的な演出表示として、特殊BGM用画像を表示してもよい。上記のように、特殊BGMに対応した背景画像を表示させることにより、作動保留域に応じた深みのある演出を現出させることができる。その結果、演出のバリエーションが多彩になって大当り当選までの遊技進行上の演出が単調化せず、遊技者の遊技興趣を向上させることができる。この特殊BGM用画像を表示する構成は、作動保留域に対応した音演出(BGM)の変化に付随して背景画像が変化する点に特徴がある。なお、特殊BGM用画像を表示する構成は、特
図1と特
図2の合計最大保留記憶8個を対象とした例ついて説明したが、特
図1または特
図2の最大保留記憶4個を対象に適用してもよい。
【0218】
(上記具体例の効果)
図7、
図8の具体例には次のような特徴がある。図柄変動を跨ぐ際は、作動保留球数を監視し、作動保留球数の少域と多域の行き来に関して同じ条件の場合(少域と多域の同一域間を行き来する場合)はBGMの反復用フレーズをループさせ続け、同じBGMを頭から繰り返し再生させない。すなわち、図柄変動動作に供されて作動保留球数が1減算された場合、その減算の前後における保留球数が、あらかじめ定めた作動保留球数が少ない帯域として定めた「少域」と、作動保留球数が多い帯域として定めた「多域」との間の行き来である場合は、新たなBGMに切り替えられて、その新たなBGMが再生される。しかし、減算の前後における保留球数が、あらかじめ定めた「少域」と「多域」間の行き来ではなく、同じ「少域」間または「多域」間での移行である場合は、同じBGMについて、冒頭用フレーズが継続して再生されるか、または反復用フレーズが繰り返し再生される。
【0219】
この作用は、「客待ち待機画面」を経由してBGMが開始される場合も同様に発揮される。この客待ち待機画面とは、図柄変動表示ゲームが終了した後、作動保留球が存在せずに所定時間経過した場合に表示される客待ち状態下の演出である。したがって、冒頭用フレーズの再生(メロディBGMの場合はその頭のイントロ部分からの再生)は、待機画面を経由して作動保留球数ゼロからBGMが開始された最初の時点であるか、BGMが新たなBGMに切り替えられて、新たなBGMが開始された最初の時点でのみ起こりうる。それ以外では、反復用フレーズの再生が繰り返されるので、多くの場合は、反復用フレーズの再生が繰り返されている状況が多く生まれる。つまり、本実施形態の場合、図柄変動表示動作がなされる度に常にBGMの再生内容に変化が起こるという訳でもなく、また、図柄変動表示動作がなされてBGMの再生内容に変化が起こる場合でも、図柄変動表示動作を跨ぐ作動保留球数の変化が作動保留球数の少域と多域を行き来するものであるか否かに関わっているため、常に冒頭用フレーズから再生される訳でもない、という変化に富んだBGM演出ができる点に特色がある。
【0220】
(13−1−5.暗転予告背景(暗転演出)の前後で背景およびBGMが変化する具体例:
図9)
図9は、
図8の時刻t13で示唆した暗転予告背景の前後で背景およびBGMが切り替わる具体例を示したものである。
【0221】
時刻t13を拡大すると、暗転予告画像が現出する期間t13a〜t13bがあり、この暗転予告の期間t13a〜t13bの前端または後端もしくはその中間において、背景画像が“学校外観”の画像から“学校の教室内”の画像に切替移行される。
図9は、暗転予告の期間t13a〜t13bの後端において、背景画像が切替えられる例となっていて、暗転予告の終わる時刻t13bまで第1BGMの冒頭用フレーズ(イントロ)が続き、時刻t13bで“学校の教室内”の画像に切り替えられる。なお、暗転予告中に、第1BGMを「フェードアウト(音量を次第に小さくして消える音演出効果)」させてもよい。
【0222】
図9では、時刻t12〜t14の図柄変動表示動作中に、計3回の疑似連が生起する例となっており、最初の仮停止状態中に暗転予告画像を現出するケースを示している。装飾図柄は、最初の“学校外観”の背景画像時(時刻t12〜t13a)に1回目の疑似連が行われ、暗転予告の背景画像時(時刻t13a〜t13b)で仮停止し、その後の“学校の教室内”の背景画像時(時刻t13b〜td)に2回目と3回目の疑似連が繰り返される(図中の時刻tcにおいて、2回目と3回目の疑似連中の仮停止期間は図示を省略してある)。そしてリーチ演出(リーチ状態)を経て装飾図柄が停止し(時刻td〜t14、t15)、リーチ中は背景画像としてSPリーチA用の画像が現出される。一の図柄変動表示動作について疑似連が3回も継続すること、およびSPリーチA用の画像が現出することの両面から、この一連の予告演出は、高期待度であるSPリーチBまたはCと同等の当選期待度を持つ、当選期待度の高い図柄変動表示動作であることが遊技者に報知される。
【0223】
BGMは、この当選期待度が高いことへの緊張感を損なわないように、暗転予告を挟んでまたは暗転予告の前端、後端、途中の任意の時点から、背景が“学校外観”から“学校教室内”へ切り替わることに合わせて、メロディBGMの冒頭用フレーズ(イントロ)から反復用フレーズ(サビ)に変更される。またSPリーチA用画像の現出時には、それ専用BGMに切り替わり期待感を煽る。
【0224】
図9では運悪く当りに当選しなかったケースとなっており、時刻t15から特別図柄が変動表示を開始し、背景画像は“学校教室内”に戻り、BGMは第1BGMの反復用フレーズが再生される。
【0225】
<13−2.夜背景BGMと夜倍速背景BGM>
本実施形態においては、夜背景となっている背景共通時に専用BGMとして「夜背景BGM」が再生される(使用チャンネル;00ch〜01ch)。この夜背景BGMが再生される場合は、通常背景BGMは再生させない。夜背景時に、つまり夜背景の画像中に「煽り演出」として倍速変化画像が重なって現出した場合には、その倍速変化画像の効果音として専用環境SEが加わって再生される。この効果音が加わった場合の夜背景BGMを「夜倍速背景BGM」と称して区別することがある。
【0226】
(13−2−1.夜背景BGMと夜倍速背景BGMの具体例:
図10)
図10は通常BGMから夜背景BGMに変化しかつ効果音が途中から加わる例を示したものである。
【0227】
図10において、時刻t0〜t1では、特別図柄が変動表示中(図柄変動表示ゲーム中)であり、このとき背景画像は「通常背景」であり、BGMとして通常背景BGMが最大(MAX)の音量または基準音量で再生される。図柄変動表示が終了し(時刻t1)、確定表示時間が経過して今回の図柄変動表示ゲームが終了すると、次の作動保留球が消化されて、新たな特別図柄の変動表示(次回の図柄変動表示ゲーム)が開始される(時刻t2)。
図10では、当選期待度が高期待度リーチである「SPリーチC」が現出される図柄変動表示ゲーム中を例示しており、図柄変動表示ゲーム中の所定のタイミングにて(本例では、図柄変動開始時の時刻t2)、背景画像が「通常背景(たとえば、昼背景)」から「予告演出用背景(たとえば、夜背景)」に切り替わる例となっている。この背景画像の切り替えは、たとえばSPリーチのリーチ変動パターンの到来に基づいて行われる。また、背景画像の切り替えは、演出モードの移行契機の到来に基づいても行うことができる。たとえば、ST中において、ST前半終了時(ST前半最終の67回転目の終了時)や、ST後半突入時(ST後半開始の68回転目の図柄変動表示ゲーム開始時)や、ST後半終了時(ST後半最終の73回転目の終了時)や、ST最終突入時(ST最終の74回転目の図柄変動表示ゲーム開始時)などである。
【0228】
時刻t2で背景画像が「通常背景」から「夜背景」に切り替わったことに起因して、その夜背景中に煽り演出として霊魂の「幻影画像」(たとえば白い火炎状の画像)が1倍速変化(ステップアップ1)にて現出し(時刻t2)、これが時刻t3まで続く。また背景画像が「夜背景」に切り替わったことに起因して(時刻t2)、BGMはそれまでの通常背景BGMから夜背景の専用BGMである「夜背景BGM」に切り替わる。この夜背景BGMの音量は、背景画像が「夜背景」に切り替わった時点(時刻t2)で一旦ゼロに下がり、時刻t3までの間に、徐々に音量が最大のMAXまで増大して行く。この音量の上昇カーブは、直線的な上昇カーブ、または指数関数的な上昇カーブのいずれでもよい。指数関数的な上昇カーブによる場合は、幻影1倍速画像の現出区間(時刻t2〜t3)のうちで、前半区間taよりも後半区間tbになる程、印象度の盛り上がり感が強くなるので好ましい。
【0229】
時刻t3になると、夜背景中に、煽り演出として霊魂の「幻影画像」が2倍速変化(ステップアップ2)にて現出し始め、時刻t4まで続き、当選期待度の高い「チャンス」が到来したことを遊技者に告げる。この夜背景中の幻影2倍速によるチャンス予告区間においては、専用のBGMとして夜背景BGMが再生され続ける。
【0230】
次いで、時刻t4になると、夜背景中に煽り演出として現出される「幻影画像」が5倍速変化(ステップアップ3)に高まり、当選期待度が非常に高い「激熱」の到来を遊技者に告げる。この夜背景中の幻影5倍速による激熱予告区間においては、専用のBGMとして夜背景BGMが再生され続けると共に、これに上乗せする形で効果音の専用環境SEが再生される。
【0231】
<13−3.入賞音連係BGM>
入賞音連係BGMは、特別図柄の変動表示中に始動口に遊技球が入賞して、通常とは異なる特定の入賞音(この例では、先読み予告演出に係る「チャンス音」)が発生したことに基づき、当該入賞音発生時の図柄変動表示動作の次回以降の図柄変動表示動作が開始されることで、再生が開始される専用BGMである。いわば、特定の入賞音が発生したことに基づいて再生されることが約束されるが、次の図柄変動表示動作が開始されることを条件として(特定の入賞音が発生した図柄変動表示ゲームが終了されることを条件として)実行される専用BGMである。換言すれば、特定の入賞音が発生したことが通常背景BGMの停止条件となる。1つ前の図柄変動表示中に発生した特定の入賞音と連係して発生することから「入賞音連係BGM」と称している。
【0232】
遊技球が始動口に入賞して「通常とは異なる特定の入賞音(チャンス音)」が発生されるためには、入賞時の取得情報の先読み判定の結果として、たとえば、新たに発生した作動保留球が、保留変化予告または稲妻連続予告を対象とする先読み予告演出抽選に当選することが第1条件(必要な最低限の条件)となる。なお、チャンス音は、遊技者の関心を引き付けるものであり、当選期待感を煽る「煽り演出」の一態様として働くので、他の条件を付加して、高期待度予告の場合に、その予告音として現出させるように構成することが好ましいといえる。したがって、上述の第1条件に加え、その後にチャンス音発生抽選に当選するなど、他の条件が満たされることを条件とすることが好ましい。チャンス音発生抽選は、先読み予告演出抽選が当選したことを条件として従属的に抽選されるものであってもよいし、先読み予告演出抽選とは別途独立して抽選される独立抽選形態としてもよい。なお、チャンス音発生抽選を独立抽選形態とする場合には、保留変化予告等の先読み予告が現出せずとも、チャンス音だけが発生するケースがありうる。そこでチャンス音だけが単独発生する場合よりも、保留変化予告等とチャンス音とが同時的にあるいは重複的に発生した方が、当選期待度が高まるように構成する。これにより、チャンス音だけが発生した場合であっても当選期待感を煽ることができる。また、上述の他の条件として、高期待度に属する先読み予告演出(たとえば、保留変化予告において、緑色保留以上の保留色を持つ保留表示に変化する場合)に当選したことを条件としてもよい。
【0233】
したがって、同じ図柄変動表示中にたとえば3個の入賞(作動保留記憶)が発生した場合において、その最初の1個目の入賞で「チャンス音」が発生しても、同じ図柄変動表示中において生じた残りの2個目、3個目の入賞については、連続的に先読み予告抽選に当選したり(上記第1条件が満たされること)、上記他の条件が満たされることは稀なケースであり、チャンス音が発生しないのが普通である。
【0234】
しかし、一度でもチャンス音が発生されれば、そのとき発生した作動保留球が図柄変動表示動作に供されるまでの間、遊技者は大当りの期待度が高まったと判断している。しかるに、同じ図柄変動表示中に生じた1個目の入賞でチャンス音が発生した場合、チャンス音の対象となった最初(1個目)の作動保留球(以下、「基準作動保留球」と称する)に対して関心を集中させるべく、2個目、3個目の入賞に対しても連続的にチャンス音を発生させて、遊技者の当選期待感を煽ることが遊技興趣を高める上で好ましい。そこで本実施形態では、同じ図柄変動表示中に複数個の入賞(作動保留記憶)が発生し、その最初の入賞である基準作動保留球で「チャンス音」が発生した場合、同じ図柄変動表示中において次々と生じた他の入賞(作動保留記憶)についても、「チャンス音」を発生させる。なお、連続して入賞が発生した場合、2個目以降のチャンス音は、基準作動保留球のチャンス音とは異なる音とすることができる。このようにすれば、チャンス音の対象となった基準作動保留球と、その後に発生した作動保留球とを区別することができるので、いずれの作動保留球が当りの期待感を持てるものかを遊技者が把握し易くなる。この場合、2個目以降を基準作動保留球と同一のチャンス音としてもよいし、それぞれ異なるチャンス音としてもよい。また異なるチャンス音とする場合には、BGM自体を異ならせても良いし、音量を異ならせてもよい(たとえば、1個目、2個目・・と段階的に音量を上げる等)。また、2個目以降のチャンス音は、基準作動保留球の当選期待度に応じて、異なるチャンス音としてもよい。
【0235】
(13−3−1.入賞音連係BGMの具体例、
図11)
図11は、入賞音が変化したことに基づき、次の図柄変動表示動作を待ってBGMが変化する「入賞音連係BGM」の具体例を示したものである。
【0236】
図11において、時刻t0〜t4は1回目の図柄変動表示中の期間を、時刻t5〜t7は2回目の図柄変動表示中の期間を、時刻t8〜t9は3回目の図柄変動表示中の期間を、時刻t10〜t12は大当り中の期間を、時刻t12からは4回目の図柄変動表示中の期間を示す。ここでは1回目の図柄変動表示の期間中(時刻t0〜t4)に、上始動口センサまたは下始動口センサに、入賞球が3回検出され、保留Y1、Y2、Y3の保留記憶が発生したものとしている。また、3回目の図柄変動表示中および4回目の図柄変動表示中にそれぞれ1つの入賞があり、保留Y4、Y5の作動保留球(保留記憶)が発生したものとしている。以下、説明を簡単にするため、保留Y1〜Y4についての先読み判定結果は、保留Y2=“大当り、SPリーチA”であり、他の保留Y1、Y3〜Y4=“、Nリーチ”であったとする。
【0237】
図11においては、1回目の図柄変動表示中において、
図7で説明した通常背景BGM(メロディBGMまたは環境音BGM)の冒頭用フレーズまたは反復用フレーズが再生されている。この状態下で、3回入賞があり、保留Y1、Y2、Y3が発生する。
【0238】
1番目の入賞(時刻t1)に係る「保留Y1」が生じたとき、先読み判定結果は“ハズレ、Nリーチ”であるので、入賞音は「通常音」が発生される。
【0239】
そして、2番目の入賞(時刻t2)に係る「保留Y2」が発生したときには、先読み判定結果が“大当り、SPリーチA”であるので、1番目の入賞時の「通常音」とは異なり、特定の入賞音として「チャンス音」(たとえば「ピュィ♪」という音)が発生する。すなわち、2番目の入賞時の先読み判定にて(基準作動保留球の先読み判定結果にて)、“将来において当該2番目の入賞に係る作動保留球(保留Y2)が図柄変動表示動作(時刻t8)に供された場合、当り抽選に当選してSPリーチAの変動パターン(SPリーチA指定当り変動パターン)が選択される”との判断がなされ、その先読み判定結果情報が入賞時コマンドにより演出制御部24に送信され(時刻t2)、演出制御部24側でチャンス音を発生させるとチャンス音発生抽選の抽選結果として、「チャンス音」の「ピュィ」という音が発生する。この「チャンス音」が発生したことで、「次の図柄変動表示動作が開始されたこと(時刻t5の到来)を条件として、専用BGMが再生されること」が確定する。つまり、BGMの発生は、2回目の図柄変動表示動作(時刻t5〜t7)が開始されるまで留保され、2回目の図柄変動表示動作(時刻t5〜t7)が開始されることでBGM(専用BGM)の再生が実行される。
【0240】
この例の場合、最初のチャンス音(時刻t2)が発生した後も、同じ1回目の図柄変動表示動作が終了する(時刻t4)までの間に、新たな入賞による「保留Y3」が生れており(時刻t3)、これについても入賞音が発生する。この時刻t3において発生する入賞音も、通常音ではなく「チャンス音」である。何故なら、当り保留である「保留Y2」が図柄変動表示動作に供されるのは、時刻t8であり、当該図柄変動表示動作が終了するまでの期間(t2〜t9:チャンス音フラグONの期間中)において発生した保留記憶(保留Y3、Y4)についての入賞音は、すべて大当りが発生する可能性を示唆する「チャンス音」とすべきであるからである。換言すれば、保留Y2がまだ通常保留表示態様または専用保留表示態様を続けており、保留Y2の実行が留保されている期間(t2〜t7)および3回目の図柄変動表示動作中において発生した保留記憶は「チャンス音」とすべきである。「保留Y3」も、そのような保留記憶の1つであるので、入賞音として「チャンス音」を発生させる。
【0241】
その後、時刻t5において保留Y1が消化されて2回目の変動表示動作が開始されると、最初のチャンス音(時刻t2)に連係した専用BGMが発生する(時刻t5)。すなわちBGMが、それまでの「通常背景BGM」から「入賞音連係BGM」に切り替わる。これは、時刻t5が到来したことで専用BGM発生の開始条件が整うことから、時刻t2で将来的のものとして留保されていた「専用BGMの発生」の停止が外れ、留保されていた「専用BGMの発生」が実行されたためである、と理解することができる。
【0242】
「入賞音連係BGM」として再生される専用BGMは、たとえば、通常のチャンス音(低期待度入賞音)の場合は「弱BGM」に変更され、高期待度入賞音(当選期待度の高い場合に行う激熱入賞音)または当確入賞音(当選時だけに行われる当り確定のプレミアム入賞音)の場合は「強BGM」に変更される。変更されたBGM(弱BGM、強BGM)は、低期待度入賞音や高期待度入賞音などに対応する図柄変動表示ゲームが終了するまで継続して実行される。ただし、SPリーチが開始された場合は、入賞音よりもSPリーチ用の音演出の方を優先して流すことが好ましい。したがって、BGMはSPリーチ前まで継続して実行するものとする。
【0243】
2回目の変動表示動作の途中の時刻t6で新たな入賞があり、「保留Y4」が生まれる。その際も「チャンス音」が発生する。「保留Y4」は、当り保留である「保留Y2」が時刻t8で3回目の図柄変動表示動作に供されるまでの期間(時刻t2〜t7:チャンス音フラグがONしている期間)中において発生した保留記憶であるからである。
【0244】
その後、保留Y2による3回目の図柄変動表示が開始し、チャンス音フラグをOFFにし(時刻t8)、SPリーチAの変動パターンに基づく図柄変動と演出がなされ(時刻t8〜t9)、大当り図柄が停止して(時刻t9)、確定表示時間経過後(時刻t9〜t10)、大当り遊技が開始する(時刻t10)。この時点で「入賞音連係BGM」は終了し、大当り遊技中のBGMである「大当り中BGM」に切り替えられる(オープニング演出に係るBGMに切り替えられる)。この大当り中に保留Y5の入賞があるが、このときの入賞音は「通常音」である。大当り中の入賞音を「通常音」とする、つまり、入賞音を含めた先読み予告を禁止している。その理由は、次の通りである。大当り遊技中は、大当り種別(小当りは除く)、また大当り当選時の遊技状態にもよらず、内部遊技状態が低確率状態かつ電サポ無し状態下に置かれる。このため、たとえば、今回の大当りが確変大当りであり、たとえ大当り遊技終了後に確変状態に移行が約束されている場合であっても、大当り中に発生した作動保留球に係る先読み判定は、確変状態(高確率状態)下による先読み判定ではなく、低確率状態下における先読み判定となる。つまり、大当り中の入賞による保留Y5は、高確率状態下での大当り抽選が実行されるにもかかわらず、先読み判定は低確率状態下で判定されることになり、先読み予告演出に矛盾が生じてしまう可能性があり、先読み予告を現出する上で不都合が生じうるからである。
【0245】
そして大当り遊技が終了すると、保留Y3が消化されて4回目の図柄変動表示が開始し、BGMは「大当り中BGM」から「通常背景BGM」に切り替わる。
【0246】
上記実施形態では、大当り遊技が開始した時点(時刻t10)で、チャンス音フラグがOFFするとしている。しかし、3回目の図柄変動表示動作が終了した時点(時刻t9)でチャンス音フラグがOFFするとしてもよい。また、チャンス音フラグは、2回目の図柄変動表示動作が終了する時刻t7まで、または3回目の図柄変動表示動作が開始する時刻t8までとして、その時点の到来でOFFするように構成しても良い(
図11中のチャンス音フラグの点線部分を参照)。時刻t7または時刻t8でチャンス音フラグをOFFさせる場合は、入賞音連係BGMもこれに合わせて終了させ、3回目の図柄変動表示動作中はリーチ状態専用のBGMに切り替えても良い。
【0247】
上記のようにすると、大当り入賞に係る「保留Y2」が図柄変動表示動作(時刻t8)に供されるまで、または3回目の図柄変動表示動作中に、新たに入賞(保留Y3、Y4)があった場合、その入賞の度に「チャンス音」が発生するため、遊技者は保留Y2について当選期待度が高いことを知ることができ、最初にチャンス音に切り替わったとき(時刻t2)の緊張度を、その後の、3回目の図柄変動表示動作が開始するまで、または3回目の図柄変動表示動作中も維持することができる。
【0248】
図11では、保留Y2の発生後、チャンス音フラグがONしている期間中に生じている作動保留球(保留記憶)は2つであるとして説明した。すなわち1回目の変動表示動作が行われている間(時刻t2〜t4)に生じる作動保留球(入賞球)は、保留Y3だけであり、また保留Y1を消化して2回目の変動表示動作が行われている間(時刻t5〜t7)に生じる保留(入賞)は、保留Y4だけであるとして説明した。しかし、チャンス音フラグがONしている期間(時刻t2〜t4や時刻t5〜t7や時刻t8〜t9)の間に、さらに最大保留記憶数(4個または8個)までの入賞が発生することがあり得るが、そのように多くの保留記憶が発生した場合でも、その個々の保留記憶が生じた入賞毎に「チャンス音」が発生する。大当りの保留Y2は3回目の図柄変動表示動作に供されるので、それ以前のチャンス音フラグON中に生じた入賞に係る保留記憶は、すべて当該保留Y2の大当りを煽る演出として働からせるのがよいからである。なお、最大保留記憶数を越える入賞があった場合は保留記憶がなされないが、それらの入賞についても、入賞音として「チャンス音」を発生させる。しかし最大保留記憶数を越える入賞については、入賞音それ自体を発生させないように構成することもできる。
【0249】
(変形例2)
上記実施形態では、通常状態中に係る通常背景BGMのフレーズ切替例について説明したが、確変状態、潜確状態、CZ(CHANCE ZONE)、または時短状態のBGMにも適用することができる。すなわち、たとえば、確変状態では確変用第1BGM(冒頭用、反復用フレーズ)〜確変用第2BGM(冒頭用、反復用フレーズ)として適用することができる。また、CZでは、CZ用第1BGM(冒頭用、反復用フレーズ)〜CZ用第2BGM(冒頭用、反復用フレーズ)があり、潜確状態では潜確用第1BGM(冒頭用、反復用フレーズ)〜潜確用第2BGM(冒頭用、反復用フレーズ)があり、時短状態では時短用第1BGM(冒頭用、反復用フレーズ)〜時短用第2BGM(冒頭用、反復用フレーズ)があり、それぞれ上記通常状態時(
図7、
図8の通常背景BGM)と同様にして、対応するBGMフレーズを再生しまたはリピート再生させることができる。
【0250】
(変形例3)
上記実施形態では、音演出(第1BGMの冒頭用、反復用フレーズ、第2BGMの冒頭用、反復用フレーズ)について説明したが、光演出(第1発光パターン〜第4発光パターン)に置き換えても良い。また、音演出に光演出を追加した形態(第1BGMの冒頭用フレーズ+第1発光パターン、第1BGMの反復用フレーズ+第2発光パターン、第2BGMの冒頭用フレーズ+第3発光パターン、第2BGMの反復用フレーズ+第4発光パターン)に置き換えてもよい。また可動体演出(たとえば、第1可動体役物による演出〜第4可動体役物による演出)に置き換えてもよい。また風圧装置を利用した第1風圧〜第4風圧による風圧演出に置き換えてもよい。
【0251】
(変形例4)
上記実施形態では、音制御手段が、図柄変動表示動作中において、現在の作動保留球数(保留記憶個数)を監視し、作動保留球が所定個数以上である場合は作動保留数域(保留記憶数域)が多域にあると判断し、所定個数未満である場合は作動保留数域が少域にあると判断する作動保留数域判別手段を有し、
図柄変動表示動作中に演奏している冒頭用フレーズの終り(
図7のt6、t13、
図8のt6a、t13)が到来した場合、監視対象の作動保留球数について、多域と少域間での作動保留数域の変更があったか否かを判断し、作動保留数域の変更があった場合(
図8のt6a)は現在演奏されているBGM(メロディBGMまたは環境音BGM、
図8のt6aの場合はメロディBGMにおける冒頭用フレーズ“イントロ部分”)と異なるBGM(環境音BGMまたはメロディBGM、
図8のt6aの場合は環境音BGMにおける反復用フレーズ“鳥の鳴き声”)の演奏に移行し、
また作動保留数域に変更がない場合(
図7のt6、t13、
図8のt13)は、現在演奏されているBGMのフレーズを繰り返し演奏する第1の演奏フレーズ決定手段〔
図7のt6の場合はメロディBGMにおける冒頭用フレーズ“イントロ部分”を繰り返し演奏し、
図7のt13の場合は冒頭用フレーズ“川のせせらぎ音”から反復用フレーズ“鳥の鳴き声”に移行して、同じ環境音BGMの演奏を続ける手段〕と、
図柄変動表示動作の切り替わりが到来した場合(
図7のt3、t10、t12、t15、
図8のt3、t10、t12、t15)、その切り替わりの前後において、多域と少域間での作動保留数域の変更があったか否かを判断し、
作動保留数域の変更があった場合は(
図7のt12、
図8のt12)、現在演奏されているBGM(メロディBGMまたは環境音BGM)と異なるBGM(環境音BGMまたはメロディBGM)の演奏に移行し〔
図7のt12の場合はメロディBGMにおける反復用フレーズ“サビ部分”から環境音BGMにおける冒頭用フレーズ“川のせせらぎ音”へ移行し、
図8のt12の場合は環境音BGMにおける反復用フレーズ“鳥の鳴き声”からメロディBGMにおける冒頭用フレーズ“イントロ部分”へ移行し〕、
また作動保留数域に変更がない場合(
図7のt3、t10、t15、
図8のt3、t6a、t13)は、現在演奏されているBGMのフレーズを繰り返し演奏する第2の演奏フレーズ決定手段〔
図7のt3の場合はメロディBGMにおける冒頭用フレーズ“イントロ部分”、
図7のt10の場合はメロディBGMにおける反復用フレーズ“サビ部分”、
図7のt15の場合は環境音BGMにおける反復用フレーズ“鳥の鳴き声”を繰り返し演奏し、また、
図8のt3の場合はメロディBGMにおける冒頭用フレーズ“イントロ部分”、
図8のt10の場合は環境音BGMにおける反復用フレーズ“鳥の鳴き声”、
図8のt15の場合はメロディBGMにおける反復用フレーズ“サビ部分”を繰り返し演奏する手段〕と、有する構成とした。
つまり、上記構成の下では、すべてのBGMの再生が、「フォアグラウンド(スピーカから音出力がされている状態)」で再生されることを前提としていた。
【0252】
しかし、作動保留数域の少域用と多域用にそれぞれ比較的長い再生時間のBGM(少域用BGMと多域用BGM)を用意し、作動保留数域が少域と多域間で移行される度に、一方の少域用BGMをフォアグラウンド(スピーカから音出力がされている状態)で再生し、他方の多域用BGMをバックグラウンド(CH再生はされているが音出力はされていない状態)で再生するように構成することもできる(継続的実行形態)。たとえば、電源投入と同時、または電源投入後に最初の図柄変動表示ゲーム時に時で、少域用BGMとして“メロディBGM”のフォアグラウンド再生を開始し、これと並行して多域用BGMのバックグラウンド再生を開始する。その後、作動保留数域が少域から多域に移行した場合、多域用BGMをバックグラウンド再生からフォアグラウンド再生に変更し、同時に、少域用BGMをフォアグラウンド再生からバックグラウンド再生に変更する。以下同様にして、作動保留数域が少域と多域間で移行される度に、少域用BGMについてフォアグラウンド再生とバックグラウンド再生の切替制御を実行し、多域用BGMについてもフォアグラウンド再生とバックグラウンド再生の切替制御を実行して行く。このように構成すれば、少域から多域、多域から少域へ頻繁に移行するケースであっても、その都度、BGMが頭出し的再生にならずに、遊技者が受ける耳障り感を軽減することができる。なお、フォアグラウンド再生とバックグラウンド再生とを実行中のBGMの終了契機については、内部遊技状態または変動パターン選択モード(Tcode))の変更があった場合に終了させることができる。当該変更後は、内部遊技状態または変動パターン選択モード(Tcode))に対応したBGMに切替えて、開始契機の到来時(新たな内部遊技状態または変動パターン選択モード(Tcode))に移行後、最初の図柄変動表示ゲーム実行時など)、に再生する。また遊技停止中の待機画面(デモ画面中)に終了させてもよい。また、たとえば確変状態に移行した後、転落抽選が図柄変動表示動作の毎に行われ、転落抽選に当選すると確変状態から時短状態(低確率、電サポ無し状態)や通常状態(低確率、電サポ無し状態)に移行するいわゆる「転落抽選機」において、バックグラウンド再生を挟むフォアグラウンド再生時が到来する度に、確変用BGMが継続して再生中、つまり同じ確変少域用BGMまたは同じ確変多域用BGMが再生されれば「確変継続中」とし、確変用BGMから非確変用BGM(時短用BGMや通常用BGM)に変更(切替)再生されれば「転落移行」する、といったように、現在の遊技状態(内部遊技状態または変動パターン選択モード(Tcode))に関する情報を、作動保留球数に応じたBGMにより遊技者に報知することができる。
【0253】
(変形例5)
また、予めBGMに使用する楽曲や環境音のフレーズを複数種類用意しておき、作動保留数域が少域にある期間中においてのみ、BGMとする楽曲や環境音のフレーズを遊技者により自由に変更できる構成としてもよい。また逆に作動保留数域が多域中にある期間中においてのみBGMとする楽曲や環境音のフレーズを遊技者により自由に変更できる構成としてもよい。
【0254】
(変形例6)
特
図1側の図柄変動表示ゲーム中に、特
図2側の作動保留球が割り込む状況が生まれることがある。たとえば次のようなケースである。
(ケース1)通常状態(低確率、電サポ無し状態)下において、特
図1の図柄変動中において補助当り抽選に当選し、短時間開いた下始動口35(普通変動入賞装置41)に、偶々、遊技球が入賞した場合、特
図2側の作動保留球が生じる。
(ケース2)大当り後に電サポ有り状態を伴う遊技状態に移行した場合、特
図2側の作動保留球がゼロとなっており、それまでに溜まっていた特
図1側の作動保留球に係る図柄変動中に、下始動口35が開いて入賞した場合、特
図2の保留が生じる。
(ケース3)遊技盤における遊技球の流下経路に特に左右のいずれが有利であるかの区別がなく、左右のいずれの流路からも下始動口35に入賞し得る遊技機において、特
図1の図柄変動中において補助当り抽選に当選し、短時間開いた下始動口35に入賞した場合、特
図2の保留が生じる。
(ケース4)遊技盤面内に特
図1側始動口・特
図2側始動口へ振り分ける入賞球振分装置を有し、これに入った遊技球を交互に特
図1側と特
図2側の始動口に振り分ける遊技機においては、特
図1の入賞球と特
図2の入賞球とが交互に生じるため、特
図1の図柄変動中に次の作動保留球として特
図2の保留が生じうる。
これらのケースのように、特
図1の図柄変動中に特
図2の保留が割り込んだ時、つまり特
図1の入賞に係る保留記憶の消化中に特
図2の入賞に係る新たな保留記憶が発生した場合、その事象の発生を契機として、予め用意しておいた特
図2用の変動BGMに切り替えるようにしてもよい。
【0255】
(変形例7)
また、作動保留数域の少域と多域とで、保留表示(保留アイコン画像)を異ならせてもよい。たとえば、保留アイコンのデザイン、アニメーション、保留変化態様などを作動保留数域の少域と多域とで異ならせてもよい。
【0256】
(変形例8)
また、作動保留数域の少域中と多域中では、抽選される予告演出の種類または発生する予告演出の種類が異なるようにしてもよい。たとえば、少域と多域のいずれか一方でしか現出しない予告演出(作動保留数域別予告演出)を設けてもよいし、この作動保留域別予告を当選期待度と関連せしめて複数種類設けてもよい。このようにすれば、作動保留域別予告演出のバリエーションを豊富なものとすることができる。また、少域と多域とで1または複数種類の同一の作動保留域別予告演出を設け、当選期待度が作動保留域の少域と多域で異なるように構成してもよい。このようにすれば、同一の作動保留域別予告演出が現出された場合であっても、そのときの作動保留数域に応じて当選期待度が異なるので、当り当選への推測要素が増え、遊技の面白みに深みを持たせることができる。
【0257】
(変形例9)
また、遊技者によるBGM変更許容設定手段を設けることができる。具体的には、遊技者が操作可能な操作手段(たとえば、枠演出ボタン13)により設定可能な事項の一つとして、作動保留域が少域から多域、多域から少域に移行する時のBGMの変更について、操作手段を利用して、遊技者が任意に変更しないことを設定可能に構成してもよい。また、作動保留域の少域から多域、多域から少域への移行に伴いBGMが変更されたとしても、変更後のBGMを継続させるか、または変更前の元のBGMに戻すかを、操作手段を利用して、遊技者が任意に決定可能に構成してもよい。このように構成した場合、次回の図柄変動表示ゲーム開始時や、遊技者によりBGMを変更しないまたは元のBGMに戻すことが決定されたタイミングから、新たなBGMが再生されることになる。当然ながら、この時再生されるBGMの内容は保留球数に影響されることはない。
【0258】
(変形例10)
また、作動保留域の少域と多域とで、再生するBGMの尺(再生時間長さ)を異ならせてもよい(少域用BGMと多域用BGMとで音演出時間幅を異ならせる)。遊技中は、図柄変動表示ゲームの実行期間(変動時間)が長くなるほど、作動保留球数が増加する可能性が高くなる。また、作動保留球が相対的に多い場合には、変動時間が相対的に短い変動パターンが選択されうる(たとえば、変動開始時の作動保留球(作動保留球消化時の現存する作動保留球数)が0〜1個の場合よりも2個〜3個の方が、相対的に短時間の変動パターンが選択されうる)。このため、少域用BGMよりも多域用BGMを短尺とすることが好ましい。
【0259】
(変形例11)
また、作動保留域の少域と多域とで、BGM音量を異ならせるようにしてもよい。また、光演出(発光態様)を演奏中のBGMと調和するように、たとえば、「BGMのテンポ(曲演奏の速さ)」および/または「BGMのリズム(音量の強弱や音が出るタイミングなど)」に合わせて発光態様(光量を含む)に合わせて変化させる(BGMと連動的、連係的な光演出を現出する)ようにしてもよい。
【0260】
(変形例12)
また、作動保留域の少域と多域とで、背景演出(背景ステージ)の種類を異ならせるようにしてもよい。たとえば、作動保留域の少域では背景演出の種類が多く、多域では背景演出の種類が少ない構成とすることができる。また、各遊技状態に応じて、作動保留域の少域と多域とで、背景演出(背景ステージ)の種類を異ならせるようにしてもよい。詳述するに、遊技状態が電サポ無しの遊技状態(通常状態や潜確状態など)の場合は、電サポ有りの遊技状態(確変状態や時短状態など)の場合よりも、作動保留球がたまり難い。すなわち、電サポ無しの遊技状態下は、作動保留域の少域の滞在期間が多域の滞在期間よりも長くなり、逆に、電サポ有りの遊技状態下は、作動保留域の多域の滞在期間が少域の滞在期間よりも長くなる。したがって、電サポ無しの遊技状態の場合には、滞在期間の長い少域では背景演出の種類が多く、滞在期間の短い多域では背景演出の種類が少ない構成とすることが好ましい。他方、電サポ有りの遊技状態の場合には、滞在期間の短い少域では背景演出の種類が少なく、滞在期間の長い多域では背景演出の種類が多い構成とすることが好ましい。
【0261】
(変形例13)
また当り変動パターン(当り変動)専用のBGM、当り変動専用の光演出、当り変動専用の背景演出などを設け、作動保留域の変更後(少域と多域間の移行後)に当り変動の作動保留球が保留内に存在する場合、BGM、光演出および背景演出の少なくともいずれか一つを、通常時の内容(演出)から当り変動専用の内容に変更可能に構成してもよい。また、上述した当り変動専用の演出に限らず、当選期待度が高い「高信頼度予告演出」専用のBGM、光演出、背景演出などを設け、作動保留域の変更後(少域と多域間の移行後)に高信頼度予告を指定する変動パターン(たとえば、リーチ演出のうちでも相対的に当選期待度が高まるSPリーチを指定するリーチ変動パターン)の作動保留球が保留内に存在する場合に、BGM、光演出および背景演出の少なくともいずれか一つを、通常時の内容から高信頼度予告演出専用の内容に変更可能に構成してもよい。なお、通常時の内容(演出)から、上記当り変動専用の内容または高信頼度予告演出専用の内容に変更するか否かは、所定の変更抽選(たとえば、10%の確率で変更する)によって決定してもよい。
【0262】
(変形例14)
また、疑似連演出と関連させ、疑似連の進行度合(たとえば、疑似3であれば、疑似1⇒疑似2⇒疑似3の切替わり時の進行)に合わせて、BGMの種類(メロディBGM、環境音BGM)やフレーズなどを変更可能に構成してもよい。
【0263】
(変形例15)
上記実施形態または各変形例では作動保留個数に応じて、つまり作動保留域の少域と多域とで、BGMなどの演出(BGM、光演出、背景演出など)を切り替える構成について説明した。しかし本発明はこれに限らず、その他の条件で切り替えるようにしてもよい。たとえば、特定の変動パターンの実行、特定の予告演出の抽選または選択あるいは実行時などを契機として、BGMなどの演出を切り替えてもよい。また、実際に切り替えるタイミングについても、変動開始時や作動保留数の変化タイミングに限定されず、たとえば、所定の切替条件を満たした以降の図柄変動中であれば、図柄変動表示ゲーム期間の所定のタイミング(たとえば、リーチ演出実行発生時や、当確演出の発生時や、特定回数の疑似連実行時(たとえば、疑似3であれば、疑似連3回目の実行時)、その他、特定の予告演出(たとえば、リーチ中カットイン演出、操作手段を利用したボタン予告演出など)の実行時など)をタイミングとして切り替えるようにしてもよい。
【0264】
(変形例16)
また、BGMの切り替え時には、新たなBGMをフェードイン再生したり、停止又は中断させるBGMをフェードアウト再生したりするように構成してもよい。好ましくは、フェードイン/フェードアウトを行う期間は、光演出や画像表示演出を実行する期間に同期させる。たとえば、暗転演出の実行中にBGMをフェードイン/フェードアウト再生するなど、現在実行中の演出シナリオの進行状態に合わせて実行することが好適である。
【0265】
<主制御部側の処理:
図12〜
図14>
次に
図12〜
図14を参照して、本実施形態の主制御部20側における遊技動作処理について説明する。主制御部20側の処理は、主に、所定のメイン処理(主制御側メイン処理:
図12)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(主制御側タイマ割込処理:
図13)とを含んで構成される。
【0266】
<20.主制御側メイン処理:
図12>
図12は、主制御部20側のメイン処理を示すフローチャートである。パチンコ遊技機1に電源が投入されると、電源基板31によって各制御基板に電圧が供給され、主制御部20(CPU201)が
図12に示す主制御側メイン処理を開始する。
【0267】
この主制御側メイン処理において、CPU201は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を実行する(ステップS011)。
【0268】
次いで、図示してない入力ポートを介して入力されるRAMクリアスイッチの出力信号であるRAMクリア信号のON/OFF状態を判定する(ステップ012)。ここでRAMクリア信号とは、RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、通常、パチンコ店員が操作するRAMクリアスイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。
【0269】
RAMクリア信号がON状態である場合(ステップS012:YES)、RAMの全領域がゼロクリアされ、電源遮断時にバックアップされた遊技情報がすべてクリアされる(ステップS016)。したがって、電源遮断時に設定されたバックアップフラグの値は、他のチェックサム値などと共にゼロとなり、また遊技状態は初期状態の通常状態に設定され、作動保留記憶に関する保留データも全てクリアされる。
【0270】
次いで、RAM領域がゼロクリアされたことを報知するための「RAMクリア表示コマンド」を初期化コマンドとして各制御基板に送信する(ステップS017)。そして、RAMクリア報知タイマに、RAMクリアされた旨を報知するための時間として、たとえば、30000msを設定する(ステップS018)。
【0271】
次いで、タイマ割込み動作を起動する割込み信号を出力するCTCを初期設定して(ステップS019)、CPUを割込み許可状態に設定する。その後は、割込みが発生するまで割込禁止状態と割込許可状態とを繰り返すとともに、その間に、各種乱数更新処理を行う(ステップS020〜S022)。この各種乱数更新処理(ステップS021)では、特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに利用される各種乱数を更新する。たとえば、インクリメント処理によって所定数値範囲を循環している、大当り抽選に利用される乱数(図柄抽選に利用される特別図柄判定用乱数)や、補助当り抽選に利用される乱数(補助当りの当落抽選に利用される補助当り判定用乱数)や、特別図柄や普通図柄に係る変動パターンの選択の際に利用する変動パターン用乱数等を更新する。CPU201は、間欠的に実行されるタイマ割込処理を行っている間を除いて、各種乱数更新処理を繰り返し実行して各種のソフト乱数を生成している。
【0272】
ステップS012の判定処理に戻って説明を続けると、停電状態からの復旧時には、RAMクリアスイッチ(RAMクリア信号)はOFF状態である(ステップS012:NO)。そこで、このような場合、ステップS012の判定処理に続き、バックアップフラグ値を判定する(ステップS013)。バックアップフラグがON状態であれば(ステップS013:YES)、続いて、チェックサム値を算出するため、RAM203のワーク領域を対象とする8ビット加算演算(チェックサム演算)を実行し、チェックサム値を算出して、電源遮断時のチェックサム値と一致するか否かを判定する(ステップS014)。チェックサム値が一致する場合には(ステップS014:YES)、正常であるとして、バックアップデータに基づき、電源遮断前におけるスタックポインタを復帰し、電源遮断時の処理状態から遊技を開始するために必要な遊技復旧処理を行い(ステップS015)、その後は、ステップS019の処理に進み、ステップS020〜S022の処理を繰り返し実行する。
【0273】
しかし、電源遮断時にチェックサム演算が実行できなかった場合や、実行できても、その後、メイン処理のチェックサム演算の実行時までの間に、ワーク領域のデータが破損している場合もあり、このような場合にはステップS014の判定結果は不一致となる。判定結果の不一致によりデータ破損が検出された場合には(ステップS014:NO)、ステップS016の処理に進みRAMクリア処理を行い、遊技機の動作状態を初期状態に戻し、ステップS017以降の処理を実行する。またステップS013の判定処理において、電源投入時や停電状態からの復旧時である場合には、通常では、バックアップフラグがON状態のはずである。ただし、何らかの理由で電源遮断までに所定の処理が完了しなかったような場合には、バックアップフラグはリセット(OFF)状態になる。したがって、バックアップフラグがOFF状態となる場合には(ステップS013:NO)、ステップS016のRAMクリア処理に移行させて遊技機の動作を初期状態に戻して、ステップS017以降の処理を実行する。
【0274】
<21.主制御側タイマ割込処理:
図13>
次に
図13を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。
図13は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(4ms程度)ごとの割込みで起動され、
図12の主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
【0275】
図13において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後、まず電源制御基板からの電源の供給状態を監視する電源異常チェック処理を行う(ステップS051)。この電源異常チェック処理では、主に、電源が正常に供給されているかを監視して、異常が発生した場合には、電源復帰時に支障なく遊技を復帰できるように、電源遮断時にバックアップ処理等が行われるようになっている。
【0276】
次いで、遊技動作制御に用いられるタイマを管理するタイマ管理処理を行う(ステップS052)。パチンコ遊技機1の遊技動作制御に用いるタイマのタイマ値はここで管理(更新)される。
【0277】
次いで、入力管理処理を行う(ステップS053)。この入力管理処理では、パチンコ遊技機1に設けられた各種センサ類による検出情報を監視し、その検出情報に応じた入力処理を行う。ここでの各種センサ類による検出情報とは、たとえば、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、大入賞口センサ52a、一般入賞口センサ43aなどの入賞検出センサから出力される入賞信号のON/OFF情報(入賞検出情報)や、不正検出センサ99による不正検出信号などである。これにより、各入賞口において遊技球を検出(入賞が発生)したか、不正行為があったか否かが割込みごとに監視される。ここでは、たとえば、各入賞口に係るセンサが遊技球を検出した場合には、各入賞口別に設けられた入賞カウンタ(入賞球数を計数するカウンタ)を更新したり、不正検出センサ99からの検出情報に基づき、不正行為の有無を監視したりする。
【0278】
次いで、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新するタイマ割込内乱数管理処理を行う(ステップS054)。この定期乱数更新処理では、乱数カウンタのカウント値をランダムなものとするために、乱数の更新(割込み毎に+1加算)と、乱数カウンタが一周するごとに、乱数カウンタのスタート値を変更する処理を行う。
【0279】
次いで、エラー管理処理を行う(ステップS055)。このエラー管理処理は、上記ステップS053の入力管理処理で得られた検出情報に基づき、遊技動作状態の異常の有無を監視し、生じたエラー種別に応じたエラー処理およびそのエラーが解除された際のエラー解除処理などを行う。
【0280】
次いで、賞球管理処理を行う(ステップS056)。この賞球管理処理では、上記入賞カウンタの確認を行い、入賞がある場合には、賞球数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板29に送信する。払出制御基板29は、払出制御コマンドを受信した場合、これに含まれる賞球数情報に基づき、遊技球払出装置19を制御して、指定された賞球数の払い出し動作を行わせる。
【0281】
次いで、普通図柄管理処理を行う(ステップS057)。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲームを実行させるために必要な処理を行う。具体的には、補助当り抽選、その補助当り抽選結果に基づく普通図柄の変動パターンの選択および普通図柄の停止表示態様(普通停止図柄)の決定、普通図柄を変動表示動作させるためのLED表示用データの作成などである。この普通図柄管理処理は、普通図柄始動口37への入賞を契機に(普通図柄始動口センサ37aが遊技球を検出したことに基づき)、所定の遊技情報を取得する普通図柄取得手段と、その遊技情報に基づき、補助当りに関する抽選を実行する補助当り抽選手段と、上記普通図柄取得手段により取得された遊技情報を、普通図柄の変動表示動作に供されるまで、あらかじめ定めた最大保留記憶個数を上限として保留記憶する普通図柄保留記憶手段と、普通図柄の変動表示動作(変動表示および停止表示)を制御する普通図柄表示制御手段(後述のステップS062のLED管理処理を含む)として機能する。
【0282】
次いで、普通電動役物管理処理を行う(ステップS058)。この普通電動役物管理処理では、上記ステップS057の普通図柄管理処理の補助当り抽選の抽選結果に基づき、普電開放遊技の実行に必要な処理を行う。具体的には、普通電動役物ソレノイド41aに対するソレノイド制御用データの生成および設定処理を行う。ここで設定されたデータに基づき、後述のステップS064のソレノイド管理処理にて、励磁信号が普通電動役物ソレノイド41aに対して出力され、これにより、可動翼片47の動作パターンが制御される。この普通電動役物管理処理は、普通図柄が特定の停止表示態様で停止表示された場合、普電開放遊技を実行制御する補助当り遊技制御手段として機能する。
【0283】
次いで、特別図柄管理処理を行う(ステップS059)。この特別図柄管理処理では、主に、特別図柄変動表示ゲームを実行させるために必要な処理を行う。詳細は
図13にて後述するが、この特別図柄管理処理の主な役割は、作動保留球(保留データ)の保留記憶処理(入賞を契機に、各種カウンタから取得した大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数などの保留記憶処理)、大当り抽選(当落抽選、図柄抽選)、大当り抽選に基づく特別図柄の変動パターンの選択および特別図柄の停止表示態様(特別停止図柄)の決定、特別図柄を変動表示動作させるためのLED表示用データの作成、遊技状態間の移行制御等である。この特別図柄管理処理は、所定の始動条件(始動口34、35への入賞を契機に(始動口センサ34a、35aが遊技球を検出したことに基づき))、所定の遊技情報を取得する取得手段と、その遊技情報に基づき、当りに関する抽選を実行する(複数種類の当りを対象に抽選を実行する)抽選手段と、上記取得手段により取得された遊技情報を、特別図柄(遊技図柄)の変動表示動作に供されるまで、あらかじめ定めた最大保留記憶個数を上限として保留記憶する保留記憶手段と、特別図柄の変動表示動作(変動表示および停止表示)を制御する図柄表示制御手段(後述のステップS062のLED管理処理を含む)として機能する。
【0284】
次いで、特別電動役物管理処理を行う(ステップS060)。この特別電動役物管理処理では、大当り抽選結果に基づき、その抽選結果に対応した当り遊技(大当り遊技や小当り遊技)を実行するために必要な設定処理を行う。具体的には、当り遊技に対応した大入賞口の開放動作制御(大入賞口ソレノイド52aに対するソレノイド制御用データの生成および設定処理、ラウンド遊技の実行、大入賞口50への最大入賞数の監視など)を行う。ここで設定されたソレノイド制御用データに基づき、後述のステップS064のソレノイド管理処理にて、励磁信号が大入賞口ソレノイド52aに対して出力され、これにより、大入賞口50の開閉動作パターンが制御される。この特別電動役物管理処理は、特別図柄が特定の停止表示態様で停止表示された場合、当り遊技(上記抽選手段による抽選結果に応じた当り遊技)を実行制御する当り遊技制御手段として機能する。
【0285】
次いで、右打ち報知情報管理処理を行う(ステップS061)。この右打ち報知情報管理処理では、「当り遊技」または電サポ有り状態が生起する遊技状態である場合、つまり「右打ち有利」な遊技状態である場合には、右打ち指示情報を報知する「右打ち報知演出(第1発射位置誘導演出)」を、電サポ無し状態の「通常状態」である場合、つまり「左打ち有利」な遊技状態である場合には、左打ち指示情報を報知する「左打ち報知演出(第2発射位置誘導演出)」を、演出手段により現出させるために必要な処理を行う。
【0286】
次いで、LED管理処理を行う(ステップS062)。このLED管理処理では、普通図柄表示装置39a、特別図柄表示装置38a、38bに対して表示データを出力する。これにより、普通図柄や特別図柄の一連の変動表示動作(変動表示および停止表示)が行われる。なおステップS057の普通図柄管理処理で作成された普通図柄の表示データや、ステップS059の特別図柄管理処理中の特別図柄表示データ更新処理(後述の
図14のステップS309)で作成される特別図柄の表示データは、このLED管理処理で出力される。
【0287】
次いで、外部端子管理処理を行う(ステップS063)。この外部端子管理処理では、枠用外部集中端子基板21を通して、パチンコ遊技機1の動作状態情報をホールコンピュータHCや島ランプなどの外部装置に対して出力する。
【0288】
次いで、ソレノイド管理処理を行う(ステップS064)。このソレノイド管理処理では、ステップS058の普通電動役物管理処理で作成されたソレノイド制御データに基づき、普通電動役物ソレノイド41c対する励磁信号の出力処理、およびステップS060の特別電動役物管理処理で作成されたソレノイド制御データに基づき、大入賞口ソレノイド52aに対して対する励磁信号の出力処理を行う。
【0289】
以上のステップS051〜ステップS064の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させて(レジスタ復帰処理)、割込み許可状態に設定する(ステップS065)。これにより、タイマ割込処理を終了して、割込み前の上記主制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで主制御側メイン処理を行う。
【0290】
(21−1.特別図柄管理処理:
図14)
次に、
図13中の特別図柄管理処理(ステップS059)について説明する。
図14は、ステップS059の特別図柄管理処理の詳細を示すフローチャートである。
【0291】
(21−1−1.始動口チェック処理:ステップS301、S302)
図14において、CPU201は、まず特
図1側に関する特
図1始動口チェック処理を行い(ステップS301)、次いで、特
図2側に関する特
図2始動口チェック処理を行う(ステップS302)。上記第1始動口チェック処理では、特
図1側の特別図柄変動表示ゲーム1を実行させるための開始前処理を行い、上記第2始動口チェック処理では、特
図2側の特別図柄変動表示ゲーム2を実行させるための開始前処理を行う。なお、特
図1始動口チェック処理の処理内容と特
図2始動口チェック処理の処理内容とは、特
図1側の上始動口34に関するものであるか、特
図2側の下始動口35に関するものであるかの違いだけでその処理内容は実質的に同じである。したがってここでは、重複記載を避けるために、第1始動口チェック処理を代表的に説明する。
【0292】
上記第1始動口チェック処理では、上始動口34において入賞を検出した場合、最大保留記憶数未満であれば、特
図1側の作動保留球数(特
図1作動保留球数)の加算処理を行い、次いで、特別図柄変動表示ゲームに用いる各種乱数(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数等)を取得し、その取得した乱数値を保留データとして、RAM203の該当保留記憶エリアに上限値(最大保留記憶数の4個)まで保留記憶する。この保留記憶エリアには、上記保留データが特
図1の変動表示動作に供されるまで、始動条件の成立順(入賞順)に保留記憶されて行き、変動開始時おいて当該保留データが参照され消化される。なお本実施形態の場合、特
図1側の作動保留球数と特
図2側の作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特
図2作動保留球を優先的に消化させる。
【0293】
次いで、先読み判定処理を行う。ここでは、作動保留球に係る大当り抽選結果を事前に判定する先読み当り判定処理と、先読み当り判定処理の結果を利用して、その作動保留球が図柄変動表示ゲームの実行に供された際の特別図柄の変動パターンを事前に判定する「先読み変動パターン判定処理を行い、先読み変動パターンを判定する。
【0294】
次いで、現在の作動保留球情報(特
図1、2の別と作動保留球数)を指定する「保留加算コマンド」と、先読み変動パターンを特定可能な「入賞時コマンド」とを作成し、これを演出制御部24に送信する。
【0295】
以上により、特
図1始動口チェック処理を抜けて、続いて、下始動口35の入賞に関する特
図2始動口チェック処理(ステップS302)を行う。
【0296】
上記第1および第2始動口チェック処理を終えると、小当り中フラグの状態を判定する(ステップS303)。この「小当り中フラグ」とは、小当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグであり、当該フラグがON状態(5AH)であれば小当り遊技中である旨を示し、OFF状態(00H)であれば小当り遊技中ではない旨を示す。
【0297】
上記小当り中フラグがOFF状態の場合(ステップS303:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS304)。この「条件装置作動フラグ」とは、大当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグであり、当該フラグがON状態(5AH)であれば大当り遊技中である旨を示し、OFF状態(00H)であればいずれの当り遊技中ではない旨を示す。
【0298】
条件装置作動フラグがOFF状態(00H)の場合(ステップS304:≠5AH)、すなわち、小当り遊技中でもなく大当り遊技中でもない場合(ステップS303:≠5AH、かつステップS304:≠5AH)、特別図柄の変動表示動作が実行可能状態(図柄変動表示ゲーム実行可能状態)であるとして、特別図柄動作ステータス(00H〜03H)に応じて、ステップS306〜S308の処理を行う。この特別図柄動作ステータスとは、現在の特別図柄の挙動(特別図柄に関する処理状態)を指定する値であり、特別図柄動作ステータス値に応じて、特別図柄の変動表示動作に関するステップS306〜S308のいずれかの処理が行われるようになっている。具体的には、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」、「変動中(02H)」、「確認中(03H)」のいずれであるかに応じて、後述の特別図柄変動開始処理(S306)、特別図柄変動中処理(ステップS307)、または特別図柄確認時間中処理(ステップS308)を行う。
【0299】
なお、上述の「待機中」とは、特別図柄の挙動が次回変動のための待機状態である旨を示し、「変動中」とは特別図柄の挙動が変動中である旨を示し、上記「確認中」とは特別図柄の変動が終了して停止(確定)表示中である旨を示す。特別図柄の変動表示を開始する際には、「特別図柄変動開始処理(S306)→特別図柄変動中処理(ステップS307)→特別図柄確認時間中処理(ステップS308)」の流れで処理が行われ、これらの処理により、特別図柄の変動表示動作が実現される。
【0300】
(21−2.特別図柄変動開始処理:ステップS306)
上記特別図柄変動開始処理(ステップS306)において、CPU201は、まず特
図2作動保留球数がゼロか否かを判定し、特
図2作動保留球数がゼロでない場合には、特
図2側の変動表示に供する作動保留球を対象とした特
図2に関する変動開始時の処理を行う(特
図2側優先変動処理)。しかし特
図2作動保留球数がゼロである場合、特
図1作動保留球数がゼロか否かを判定し、特
図1作動保留球数がゼロでない場合には、特
図1側の変動表示に供する作動保留球を対象とした特
図1に関する変動開始時の処理を行う。したがって、特
図2作動保留球の作動保留球数がゼロではない限り、特別図柄変動表示ゲーム2が実行され、特別図柄変動表示ゲーム1は実行されない、という特別図柄変動表示ゲーム2よりも特別図柄変動表示ゲーム1を優先的に実行させる「特
図2優先変動」タイプとなっている。
【0301】
上記変動開始時の処理では、今回変動表示させる特図側の作動保留球数を1減算して、その減算後の作動保留球数を特定可能な「保留減算コマンド」を演出制御部24に送信し、その変動表示させる特図について、上記始動口チェック処理(ステップS301またはステップS302)にて取得した大当り判定用乱数値に基づき、大当り、小当りおよびハズレの別を抽選する「当落抽選」と、当落抽選結果と特別図柄判定用乱数値とに基づき、その当選種別を抽選する「図柄抽選」とを行う。当落抽選による当り抽選確率や図柄抽選による当選種別に対応した抽選確率は、適宜定めることができる。
【0302】
この当落抽選により、「大当り」当選となった場合には大当り判定フラグが「5AH」に設定され、「小当り」当選となった場合には小当り判定フラグが「5AH」に設定され、それ以外の場合には「大当り」および「小当り」のいずれにも当選しなかった‘ハズレ’となり、いずれの判定フラグも「00H」に設定される。また当落抽選により大当りに当選した場合には、図柄抽選により、16R長開放確変大当り、10R長開放確変大当り、4R長開放確変大当り、2R短開放潜確大当りのいずれに当選したのかが決定される。上記当落抽選および図柄抽選を経て、当選種別に対応して特別図柄表示装置38a、38bに停止表示させる特別停止図柄種別を決定する。この特別停止図柄種別を識別する「特別図柄判定データ」と、特別図柄表示装置38a、38bに表示する特別停止図柄種別を識別する「特別停止図柄番号」は、RAM203の所定領域に格納される。
【0303】
次いで、変動パターン用乱数を利用した変動パターン抽選処理を行い、少なくとも当落抽選結果(本実施形態の場合、図柄抽選結果)に関連付けられた複数種類の変動パターンのうちからのいずれかの変動パターンを抽選により決定し、その決定された変動パターンに対応する変動時間を特別図柄役物動作タイマ(遊技動作を管理するタイマ)に設定する。そして、演出制御コマンドとして、変動パターンに関する情報を特定可能な「変動パターン指定コマンド」を演出制御部24側に送信する。また図柄抽選結果に基づき、装飾図柄指定コマンドを作成し、これを演出制御部24に送信する。この装飾図柄指定コマンドには、今回の変動側の特別図柄種別と当選種別(図柄抽選結果)とに関する情報が含まれる。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。なお、上記変動パターン指定コマンドには、少なくとも当落結果情報と変動パターン情報とが含まれるので、演出制御部24は、この変動パターン指定コマンドに基づいて、今回の図柄変動表示ゲームに係る演出態様や装飾停止図柄を決定し、図柄変動表示ゲームを実行させることができる。
【0304】
またここでは、現在の遊技状態が電サポ有り状態を伴う遊技状態(確変状態や時短状態)である場合に、電サポ有り状態の残余回数(残余電サポ回数)に関する情報を含む「残り時短回数コマンド」も演出制御部24に送信される。この「残り時短回数コマンド」により、演出制御部24側は、残りの電サポ回数を把握することができる。そして、特別図柄動作ステータスを「変動中(02H)」に切り替え(更新し)、判定用乱数記憶エリアに00Hを格納する(ゼロクリアする)。これにより特別図柄変動開始処理を抜けて、ステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行う。
【0305】
(21−3.特別図柄変動中処理:ステップS307)
次に、上記特別図柄変動中処理(ステップS307)について説明する。特別図柄変動中処理において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否か、つまり特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定する。変動時間が経過していないならば、そのまま何もせずに本処理を抜ける。変動時間が経過したならば、特別図柄の変動が終了した旨を知らせる「変動停止コマンド」を演出制御部24に送信する。これにより、演出制御部24は、今回の図柄変動表示ゲームが終了したことを把握する。
【0306】
次いで、特別図柄の変動停止時に要する処理として、特別図柄役物動作タイマに「確定表示時間(500ms)」を設定し、特別図柄動作ステータスを「確認中(03H)」に更新する。上記「確定表示時間」とは、特別図柄の変動表示が終了して特別図柄の停止表示した際、その停止表示態様である特別停止図柄、つまり図柄抽選結果が視認可能な時間幅として定めたものである。これにより特別図柄変動開始処理を抜けて、ステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行う。
【0307】
(24−4.特別図柄確認時間中処理:ステップS308)
次に、上記特別図柄確認時間中処理(ステップS308)について説明する。特別図柄確認時間中処理において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否か、つまり、確定表示時間が経過したか否かを判定する。確定表示時間が経過していないならば、そのまま何もせずに本処理を抜ける。確定表示時間が経過したならば、特別図柄動作ステータスを「待機中(01H)」に更新し、次いで今回の当落抽選結果(大当り判定フラグと小当り判定フラグの値)に応じて、以下の処理を行う。
【0308】
(1)ハズレの場合には、確変状態(ST)または潜確状態の継続回数、つまり、残り規定ST回数を管理する「ST管理処理」を行う。ST管理処理では、残り規定ST回数がゼロであるか否かを判定し、ゼロでないならば、残り規定ST回数をカウントする「STカウンタ」をデクリメントし、その結果がゼロであれば、確変状態または潜確状態の終了回数に達したとして、確変状態または潜確状態を指定する機能の作動状態をクリアして、確変状態等を終了させる。これにより次ゲームから、電サポ無し状態かつ低確率状態と、すなわち「通常遊技状態」下に置かれることになる。またここでは、遊技状態を指定する「遊技状態コマンド」を演出制御部24に送信する。
(2)大当りの場合には、大当り遊技開始に必要な処理(大当り図柄停止時の各種設定処理)として、大当り判定フラグ、確変状態および時短状態を指定する各機能(特別図柄確変機能、普通図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄時短機能および開放延長機能等)の作動状態、STカウンタ、変動パターン指定振分番号等をそれぞれOFF状態とし(00Hを設定)、条件装置作動フラグをON状態する(5AHを設定)。そして、この特別図柄確認時間中処理を抜ける。
(3)小当りの場合には、小当り遊技開始に必要な処理(小当り図柄停止時の各種設定処理)として、小当り判定フラグをOFF状態にし(00Hを設定)、小当り中フラグをON状態にする(5AHを設定)。その後、ハズレの場合と同様の上記「ST管理処理」を行う。小当りの場合はハズレの場合と同様に、内部遊技状態の移行は無いからである。したがって、確変状態または潜確状態中に小当りに当選しても、残り規定ST回数については、今回の図柄変動表示ゲーム分が減算されることになる。
これにより特別図柄変動開始処理を抜けて、ステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行う。
【0309】
上記ステップS306〜S308のいずれかの処理を終えると、ステップS309の「特別図柄表示データ更新処理」を行う。この特別図柄表示データ更新処理では、特別図柄が変動中であるか否かを判定し、変動中であれば、所定時間(たとえば0.2秒)毎に点滅を繰り返す特別図柄のデータ(特別図柄変動中の7セグ点滅表示用データ)を作成し、特別図柄が変動中でなければ、上記特別停止図柄種別(特別停止図柄番号)に対応した停止表示用のデータ(特別図柄停止表示中の7セグ点滅表示用データ)を作成する。ここで作成した特別図柄の表示データは、
図13のLED管理処理(ステップS062)で出力される。これにより、特別図柄表示装置38a、38b上における特別図柄の変動表示および停止表示が実現される。そして特別図柄管理処理を抜けて、
図13のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
【0310】
なお、小当り遊技中または大当り遊技中である場合(ステップS303:=5AH、ステップS304:=5AH)、ステップS306〜S308の特別図柄の変動表示動作に関する処理を行わずに、そのままステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行う。したがって、小当り遊技中または大当り遊技中のいずれかである場合には、特別図柄の変動表示動作は行われず、特別図柄表示装置の特別図柄の表示状態は、小当り後または大当り後に停止表示された特別停止図柄が保持されている。
【0311】
<31.演出制御側の処理:
図15>
次に、
図15を参照して、本実施形態の演出制御部24側における演出制御処理について説明する。演出制御部24側の処理は、主に、所定のメイン処理(演出制御側メイン処理:
図15)と、定時割込みで起動されるタイマ割込処理(演出制御側タイマ割込処理:図示せず)とを含んで構成される。この演出制御側タイマ割込処理は、演出制御側メイン処理実行中に所定時間毎(1ms程度)に割り込んで実行され、演出動作に必要な種々の処理が含まれる。
【0312】
(31.演出制御側メイン処理:
図15)
図15は、演出制御部側のメイン処理(演出制御側メイン処理)を示すフローチャートである。演出制御部24(CPU241)は、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、
図15に示す演出制御側のメイン処理を開始する。
【0313】
この演出制御側のメイン処理において、演出制御部410(サブCPU)は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う(ステップS071)。
【0314】
ステップS071の初期設定処理を終えると、正常動作時の処理として、所定時間ごとにステップS073〜S078のメインループ処理を行い、それ以外ではステップS079の演出用ソフト乱数更新処理を繰り返し行う。
【0315】
ステップS072の処理において、演出制御部410は、メインループ更新周期用カウンタ値を参照して、メインループ処理の実行契機となるメインループ更新周期が到来したか否かを判定する(ステップS072)。上記メインループ更新周期用カウンタは、不図示の演出制御側タイマ割込処理中の所定の処理(メインループ更新処理)でカウントされる。このメインループ更新処理では、メインループ更新周期用カウンタを割込みごとに更新している(メインループ更新周期用カウンタ+1)。メインループ更新周期用カウンタは、たとえばインクリメント処理によって16の倍数の範囲(たとえば、0〜31)を循環するカウンタである。なお本実施形態では、16ms程度ごとにメインループ処理を行うようになっている。このメインループ更新周期が到来するまでは(ステップS072:NO)、各種演出抽選用乱数の更新を行う(ステップS079:各種演出用ソフト乱数更新処理)。演出抽選用乱数は、演出制御部410側による演出抽選等に利用される。
【0316】
上記メインループ更新周期が到来した場合(ステップS072:YES)、CPU241は、受信コマンド解析処理を行う(ステップS073)。この受信コマンド解析処理では、コマンド受信バッファに演出制御コマンドが格納されているか否かを監視し、演出制御コマンドが格納されていればこのコマンドを読み出し、読み出した演出制御コマンドに対応した演出制御処理を行う。
【0317】
演出制御コマンドの受信については、演出制御部24(CPU241)は、
図15に示すメイン処理実行中に主制御部20側からのストローブ信号に基づく割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させて、受信した演出制御コマンドをRAM243のコマンド受信バッファに格納し、退避していたレジスタの内容を復帰させる(コマンド受信割り込み処理)。これにより、コマンド受信割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御部側メイン処理に戻り、次の上記ストローブ信号に基づく割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。このように、主制御部20から送られてくる各種演出制御コマンドを受けた場合、このコマンド受信割込処理が実行されて、演出制御コマンドを受信した時点で、そのコマンドがコマンド受信バッファに格納される。この演出制御コマンドの中には、既に説明した、変動パターン指定コマンドや装飾図柄指定コマンドや入賞時コマンドなどが含まれる。なお、上記コマンド受信割り込み処理は、主制御部20から演出制御コマンドを受信した場合、後述する演出制御側タイマ割込処理(
図16)よりも優先的に実行される。
【0318】
ステップS073の受信コマンド解析処理では、たとえば、少なくとも変動パターン指定コマンドが受信され、それが受信バッファに格納されている場合(本実施形態では、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンドとが受信され、それらが受信バッファに格納されている場合)、コマンド解析処理において、そのコマンドに含まれる情報(変動パターン情報と当選情報(または当選種別情報))に基づいて、1または複数種類の演出パターンを決定する。ここで決定される演出パターンは、演出シナリオを構成する要素としての「パーツ演出」として働く。続いて、上記決定された演出パターン(パーツ演出)を、どのようなタイミングで、どれだけの演出時間幅をもって現出させるかについてのタイムスケジュールを決定し、これにより演出シナリオを構成して、その演出シナリオのデータをRAM243のシナリオ設定領域に格納する。この演出シナリオに組み込まれた種々の演出パターン(パーツ演出)が、次々に、あるいは複数同時展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。
【0319】
(31−1.先読み予告に関する演出処理:
図5)
受信コマンド解析処理では、保留加算コマンドおよび入賞時コマンドを受信した場合、これに含まれる作動保留球数情報や先読み変動パターン情報を利用して、先読み予告演出の現出に必要な設定処理を行う「入賞時コマンド受信処理」を行う。この入賞時コマンド受信処理では、保留変化予告や稲妻連続予告等の先読み予告演出を実行するか否かに関する先読み予告抽選処理や、先読み予告抽選に当選した場合に(たとえば保留変化予告に当選した場合)、先読み変動パターンに基づき、変化先の保留表示態様とするか、そして保留変化予告の演出シナリオをどのようなシナリオとするかを抽選により決定する先読み予告シナリオ抽選処理や、その演出シナリオを設定する先読み予告シナリオ設定処理、先読み予告抽選にハズレとなった場合には、通常保留表示態様(白色保留)とする通常保留表示処理などを実行する。また「入賞時コマンド受信処理」では、チャンス音の現出に関するチャンス音制御処理も実行される。
【0320】
(31−2.図柄変動表示ゲーム中の演出に関する演出処理)
また受信コマンド解析処理では、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンドを受信した場合、これらコマンドに含まれる変動パターン情報や図柄抽選結果情報を利用して、今回の図柄変動表示ゲーム中の演出として、装飾図柄の表示態様(疑似連中の仮停止図柄、リーチ図柄、停止装飾図柄など)、予告演出の内容(画像表示演出、音演出、光演出および可動体演出に関する演出内容)などが決定され、今回の変動表示ゲームに係る演出シナリオが構成される。そして、そのシナリオデータをRAM243のシナリオ設定領域に格納し、保留表示に関するシフト表示処理などの装飾図柄変動表示ゲーム開始に要する各種の設定処理を行い、装飾図柄変動表示ゲームを開始させる。
【0321】
(31−3.作動保留球数、作動保留数域の監視処理:
図7〜
図11)
作動保留球の発生時には、主制御部20から保留加算コマンドと入賞時コマンドが送られてくる(
図14中の特
図1始動口チェック処理(ステップS301)または特
図2始動口チェック処理(ステップS302))。また変動表示開始時には、保留減算コマンド、変動パターン指定コマンド、および装飾図柄指定コマンドが送られてくる(
図14中の特別図柄変動開始処理(ステップS306))。演出制御部24では、保留加算コマンドおよび保留減算コマンドに含まれる情報に基づく現在の作動保留球数をRAM243の作動保留球数格納領域に記憶し、その記憶情報に基づき現在の作動保留球数を把握可能な構成となっている。これにより、現在の作動保留球数を含め、作動保留球数の推移(作動保留域の変化)を監視している。具体的には、演出制御部24は、現在の作動保留球数を監視対象として、当該作動保留数域が所定個数以上の「多域」であるか、それとも当該所定個数未満である「少域」であるかを判断し、その判断結果を利用して、作動保留数域に変化があったか否かを判断する機能部(作動保留数域監視手段)と、作動保留域に応じて所定の音パートのフレーズを再生対象に設定する再生フレーズ設定手段とを備えている。そして再生フレーズ設定手段は、所定の契機が到来した場合、作動保留域に変化があったか否かに応じて、再生すべきBGMに係る音演出シナリオを作成し設定する機能部(再生フレーズ設定手段)を備えている。これにより、
図7〜
図11で説明した各種BGMの再生が実現する。
【0322】
ステップS073の受信コマンド解析処理を終えると、シナリオ更新処理を行う(ステップS074)。このシナリオ更新処理では、演出パターンの実行に必要なタイマの内容を更新する。上記タイマの代表的なものは、演出の発生タイミングに関するタイムスケジュールを管理する演出シナリオタイマである。たとえば、特別図柄が変動表示されている変動期間(特別図柄変動期間)内と実質的に同一期間内である、装飾図柄が変動表示されている変動期間(装飾図柄変動期間)内において、その時間軸上で、どのような演出パターンを、どれだけの時間幅をもって、演出手段に現出させるかについての時間的なスケジュールがこのタイマにより管理される。斯様な演出シナリオタイマは、後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)や演出役物制御データ更新処理(ステップS077)などに関する演出処理においても利用される。ここでは、この演出シナリオタイマを監視し、一の演出の発生時期が到来すると、演出シナリオの内容に基づいて、スピーカ46用の音データと、画像表示制御用の液晶コマンドとを作成し、それぞれをRAM243の指定領域に設定する。この液晶コマンドは、後述の演出制御側タイマ割込処理中の液晶コマンド送信処理(
図16のステップS093)において表示制御部(液晶制御基板460の液晶制御CPU)に対して送信され、液晶表示装置6に対する画像表示制御を実行させる。なお光表示装置用のLEDデータに関しては後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)で作成され、可動体役物用のモータ制御データに関しては後述の演出役物制御データ更新処理(ステップ077)で作成される。
【0323】
次いで、LEDデータ更新処理を行う(ステップS075)。このLEDデータ更新処理では、演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、装飾ランプ13やLEDなどの光表示装置用のLEDデータを作成し、RAM243の指定領域に設定する。ここで作成されたLEDデータは、後述の演出制御側タイマ割込処理中の演出LED管理処理(
図16のステップS095)において、当該LEDデータに基づく制御信号が光表示制御部を通じて装飾ランプ部45やLEDに対して出力され、これにより、演出シナリオに沿った光演出が実現される。
【0324】
次いで、サウンド出力処理を行う(ステップS076)。このサウンド出力処理では、ステップS074のシナリオ更新処理で作成された音データを取得し、再生する音データが有る場合には、音制御部(音源LSI)を通じてスピーカ46を含む音響発生装置46aからBGMや効果音を出力させる。これにより、演出シナリオに沿った音演出が実現され、また、
図7〜
図11で説明した各種BGMを対象とした音演出が実現される。
【0325】
次いで、演出役物制御データ更新処理を行う(ステップS077)。この演出役物制御データ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、可動体役物モータ61の制御データを作成し、RAM243の指定領域に設定する。ここで作成された制御データは、後述の演出制御側タイマ割込処理中の演出役物動作管理(
図16中のステップS094)において、当該データに基づく制御信号が役物モータに対して出力される。これにより、演出シナリオに沿った可動体演出が実現される。
【0326】
次いで、音源LSIなどの誤作動を監視するノイズ対策管理処理を行う(ステップS078)。誤作動によりプログラムが暴走状態となった場合は、ウォッチドッグタイマがタイムアップし、CPUが自動的にリセットされて上記暴走状態から復帰する。これにより、メインループ処理を終了して、次のメインループ更新周期が到来するまで、ステップS079の演出用ソフト乱数更新処理を行う。
【0327】
<40.演出制御側タイマ割込処理:
図16>
次に
図16を参照して、演出制御側のタイマ割込処理について説明する。
図16は、演出制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この演出制御側タイマ割込処理は、一定時間(1ms程度)ごとの割込みで起動され、演出制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
【0328】
図16において、CPU241は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後(ステップS091)、演出ボタン入力管理処理を行う(ステップS092)。この演出ボタン入力管理処理では、演出用ボタン13からの操作(ON操作)検出信号の入力の有無を監視し、当該操作検出信号を受信したことを確認した場合、その検出情報をRAM243の所定領域に格納する。この情報は、ボタン予告演出に利用される。
【0329】
次いで、液晶コマンド送信処理を行う(ステップS093)。この液晶コマンド送信処理では、
図24の演出制御側メイン処理中のシナリオ更新処理(ステップS074)で作成された液晶コマンドが有る場合には、表示制御部(液晶制御CPU)に液晶コマンドを送信して、液晶表示装置36に対する画像表示制御を実行させる。これにより、演出シナリオに沿った画像演出が実現される。
【0330】
次いで、演出役物動作管理を行う(ステップS094)。この演出役物動作管理では、演出役物制御データ更新処理(ステップS077)で作成された可動体役物用のモータ制御データに基づき、駆動制御部を通じて可動体役物モータ97aまたは可動体役物モータ98aに制御信号を出力する。これにより、演出シナリオに沿った可動体役物(時計型役物の時計針97、花型役物98)による視覚的演出が実現される。
【0331】
次いで、演出LED管理を行う(ステップS095)。この演出LED管理では、LEDデータ更新処理(ステップS075)で作成されたLEDデータに基づき、光表示制御部を通じて装飾ランプ部45やLEDを点灯点滅させる。これにより、演出シナリオに沿った光演出が実現される。
【0332】
次いで、メインループ更新周期を管理するメインループ更新処理を行う(ステップS096)。このメインループ更新処理では、メインループ更新周期用カウンタを割込みごとに更新する(メインループ更新周期用カウンタ+1)。メインループ更新周期用カウンタは、たとえばインクリメント処理によって16の倍数の範囲(たとえば、0〜31)を循環するカウンタである。
【0333】
以上のステップS091〜ステップS096の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させる(ステップS097)。これにより、このタイマ割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。
【0334】
(好ましい形態のまとめ)
好ましい形態についてまとめると、次のようになる。
【0335】
始動条件が成立したことに基づいて、所定の遊技情報を取得する取得手段と(
図14の特別図柄管理処理)、
前記取得手段により取得された遊技情報に基づき、当りに関する抽選を実行する抽選手段と(
図14の特別図柄管理処理)、
遊技図柄の変動表示動作を行い、遊技図柄の停止表示態様により前記抽選手段による抽選結果を報知可能に構成された図柄表示手段(特別図柄表示装置38a、38b)と、
前記取得手段により取得された遊技情報を、前記遊技図柄の変動表示動作に供されるまで、あらかじめ定めた最大保留記憶個数を上限として保留記憶する保留記憶手段(RAM203の保留記憶エリア)と、
前記図柄表示手段における遊技図柄の変動表示動作を制御する図柄表示制御手段(主制御部20)と、
音演出を実行する音演出手段(スピーカ46、音響発生装置46a)と、
前記音演出手段による音演出を実行制御する音制御手段(演出制御部24(音制御部))と、
を備える弾球遊技機であって、
前記音制御手段は、
前記遊技図柄の変動表示動作の実行中に第1音演出を実行可能に構成されており、
前記保留記憶個数が変化したことに応じて前記第1音演出を前記第1音演出とは異なる第2音演出に変更可能な音演出変更手段と、
所定の条件が成立していない場合、前記保留記憶個数が変化した場合であっても前記第1音演出を前記第2音演出に変更せずに継続して実行する音演出継続手段と、を含む、
ことを特徴とする弾球遊技機。
【0336】
より具体的には、
(1)始動条件が成立したことに基づいて、複数種類の遊技情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された遊技情報に基づき、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるか否かを抽選する抽選手段(特別図柄変動開始処理中の特別電動役物作動判定用乱数判定処理)と、
図柄遊技として特別図柄の変動開始および変動停止を一セットとする図柄変動表示動作を行い、当該特別図柄の変動停止時の表示態様により前記抽選手段による抽選結果を報知するための図柄表示手段(特別図柄表示装置38、特別図柄管理処理中の特別図柄表示データ更新処理)と、
前記取得手段により取得された遊技情報を、前記図柄変動表示動作に供されるまで、あらかじめ定めた最大保留記憶個数を上限として保留記憶する保留記憶手段(RAM203の保留記憶エリア、
図14の特別図柄管理処理)と、
前記最大保留個数と同数だけ設けられ、前記保留記憶手段に保留記憶された保留記憶個数分だけ作動状態となる保留数表示手段と〔
図5の保留表示器a1〜d1、a2〜d2〕、
前記図柄表示手段および前記保留数表示手段における表示を制御する表示制御手段と、
を備える弾球遊技機であって、
音出力部(スピーカ46、音響発生装置46a)と、
前記音出力部を制御して、所定の期間中に音演出を実行制御することが可能な音制御手段(CPU241、演出制御側メイン処理)と、を有し、
前記音演出は、イントロ部分とサビ部分とを有する楽曲のイントロ部分および/またはサビ部分のフレーズをBGMとして演奏する演出を含み(
図7、
図8)、
前記音制御手段は、
前記図柄変動表示動作中において、前記作動状態となっている保留記憶個数を監視し、前記作動状態となっている保留記憶個数が所定個数以上である場合は作動保留数域が多域にあると判断し、前記所定個数未満である場合は作動保留数域が少域にあると判断する作動保留数域判別手段と(CPU241、演出制御側メイン処理)、
前記図柄変動表示動作中に前記楽曲の演奏しているイントロ部分またはサビ部分のフレーズの終りが到来した場合(
図7の時刻t6、t13、
図8のt6a、t13)、当該フレーズが演奏されている間(
図7の時刻t0〜t6、t12〜t13、
図8のt0〜t6a、t12〜t13)において、前記作動状態となっている保留記憶個数に前記多域と前記少域間での前記作動保留数域の変更があったか否かを判断し、前記作動保留数域の変更があった場合は現在演奏されている楽曲と異なる楽曲のイントロ部分のフレーズを演奏対象に設定し、また前記作動保留数域に変更がない場合は、現在演奏されている楽曲のフレーズ(イントロ部分の場合は同じイントロ部分のフレーズ、サビ部分の場合は同じサビ部分のフレーズ)を演奏対象に設定する第1の再生フレーズ決定手段と、
を有する、
ことを特徴とする遊技機。
【0337】
(2)前記音制御手段は、
前記図柄変動表示動作の切り替わりが到来した場合(
図7の時刻t10、t12、t15、
図8の時刻t10、t12、t15)、その切り替わりの前後において、前記作動状態となっている保留記憶個数に前記多域と前記少域間での前記作動保留数域の変更があったか否かを判断し、前記作動保留数域の変更があった場合は現在演奏されている楽曲と異なる楽曲のイントロ部分のフレーズを演奏対象に設定し、また前記作動保留数域に変更がない場合は、現在演奏されている楽曲のフレーズを演奏対象に設定する第2の再生フレーズ決定手段を、さらに有する、
ことを特徴とする上記(1)に記載の遊技機。
【0338】
(3)前記第1の再生フレーズ決定手段と前記第2の再生フレーズ決定手段は、
前記作動保留数域の変更があった場合は現在演奏されている楽曲と異なる楽曲のイントロ部分を演奏し、また前記作動保留数域に変更がない場合であって、現在演奏されている楽曲のフレーズが当該楽曲のイントロ部分であるときは、当該イントロ部分のフレーズを演奏対象に設定し、また現在演奏されている楽曲のフレーズが当該楽曲のサビ部分であるときは、当該サビ部分のフレーズを演奏対象に設定する、ことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の遊技機。
【0339】
(4)前記音制御手段は、
前記音演出として、前記楽曲のイントロ部分および/またはサビ部分のフレーズをBGMとして演奏する演出を実行制御する、ことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の遊技機。
【0340】
前記抽選手段による抽選結果に基づき、あらかじめ定められた複数種類の変動パターンのうちからいずれかを選択的に決定する変動パターン決定手段(特別図柄変動開始処理中の特別図柄変動パターン作成処理)と、
前記変動パターン決定手段により決定された変動パターンに基づき、前記図柄表示手段における前記図柄変動表示動作を制御する図柄表示制御手段(特別図柄管理処理中の特別図柄変動中処理)と、を有し、
前記変動パターンには図柄変動時間の異なる複数種類の変動パターンが含まれており、
前記変動パターン決定手段は、前記作動状態となっている保留記憶個数が前記作動保留数域の前記多域にある場合には、比較的変動時間の短い変動パターンを多く選択し、前記少域にある場合には、比較的変動時間の長い変動パターンを多く選択する、ことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の遊技機。