(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
弁孔に挿入される弁体部の挿入量を調整することにより流体流路を流通する流体の流量を調整する流体機器が知られている。また、流体流路とそれに隣接する隣接空間とを隔離する薄膜状のダイヤフラム部を弁体部に連結した流体機器が知られている。
発明者らは、ダイヤフラム部を備える流体機器において、流体流路と流体との摩擦により内部に静電気が発生した場合、薄膜状のダイヤフラム部を形成する樹脂材料が絶縁破壊に至りやすいとの知見を得た。薄膜状のダイヤフラム部が絶縁破壊に至ると、流体流路を流通する流体がダイヤフラム部から流出してしまう不具合が発生する。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、薄膜状のダイヤフラム部が絶縁破壊に至って流体流路を流通する流体がダイヤフラム部から流出してしまう不具合を抑制した流体機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明の一態様にかかる流体機器は、半導体製造装置に用いられる
薬液を流通させる配管に設置され、軸線に沿って移動可能な弁体部と、前記弁体部が挿入される弁孔および
前記薬液を流通させる流体流路が内部に形成された本体部と、前記弁体部に連結されて前記流体流路と該流体流路に隣接する隣接空間とを隔離する薄膜状のダイヤフラム部と、を備え、前記ダイヤフラム部の前記
薬液に直接的に接触する部分が、
粉末状のフッ素樹脂材料と該フッ素樹脂材料に分散したカーボンナノチューブとを
溶融混錬して成形された導電性フッ素樹脂材料により形成されており、該導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率が1.0×10
3Ω・cmより大きくかつ1.0×10
4Ω・cm未満である。
【0008】
本発明の一態様にかかる流体機器によれば、弁体部に連結された流体流路とそれに隣接する隣接空間とを隔離する薄膜状のダイヤフラム部が、体積抵抗率が1.0×10
3Ω・cmより大きくかつ1.0×10
4Ω・cm未満である導電性フッ素樹脂材料により形成されている。導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率をダイヤフラム部と流体との摩擦による帯電を抑制するのに十分な値とし、ダイヤフラム部に帯電が発生することを抑制することができる。したがって、薄膜状のダイヤフラム部が絶縁破壊に至って流体流路を流通する流体がダイヤフラム部から流出してしまう不具合を抑制することができる。
【0009】
本発明の一態様にかかる流体機器においては、前記導電性フッ素樹脂材料が、前記カーボンナノチューブを0.020重量%以上かつ0.030重量%以下の割合で含有する構成が好ましい。流体に直接的に接触するダイヤフラム部を形成する導電性フッ素樹脂材料に0.020重量%以上のカーボンナノチューブをフッ素樹脂材料に分散させることで、ダイヤフラム部に一定の導電性を付与して帯電を抑制することができる。これは、所定の長さを有するチューブ状のカーボンナノチューブを導電性物質として用いることで、カーボンブラックや鉄粉等の他の粒状の導電性物質に比べて少量で導電性を付与することができるためである。
【0010】
また、導電性フッ素樹脂材料に含まれるカーボンナノチューブの割合を0.030重量%以下の微小な割合とすることにより、カーボンブラックや鉄粉等の他の粒状の導電性物質と比べ、流体流路と流体との接触による流体の汚染を抑制することができる。
このように本構成の流体機器によれば、ダイヤフラム部と流体との摩擦による帯電とダイヤフラム部と流体との接触による流体の汚染の双方を抑制した流体機器を提供することができる。
【0011】
本発明の一態様にかかる流体機器は、前記隣接空間に配置される金属部材を備える構成としてもよい。本構成の流体機器においては、ダイヤフラム部が帯電すると、ダイヤフラム部から隣接空間に配置される金属部材へ向けた放電現象が発生しやすい。放電現象が発生すると、ダイヤフラム部が絶縁破壊に至ってしまう可能性がある。本構成の流体機器は、金属部材が隣接して配置されるダイヤフラム部を形成する導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率が1.0×10
3Ω・cmより大きくかつ1.0×10
4Ω・cm未満である。そのため、ダイヤフラム部の堆積抵抗率を流体との摩擦による帯電を抑制するのに十分な値とし、ダイヤフラム部に帯電が発生することを抑制することができる。
【0012】
上記構成の流体機器においては、前記金属部材が、前記弁体部に前記軸線に沿った方向の付勢力を付与するスプリングであってもよい。このようにすることで、ダイヤフラム部から隣接空間に配置されるスプリングへ向けた放電現象が発生してダイヤフラム部が絶縁破壊に至る不具合を抑制することができる。
【0013】
上記の流体機器は、前記スプリングおよび前記ダイヤフラム部に接触した状態で取り付けられる金属製の導通部材を備えていてもよい。このようにすることで、スプリングがダイヤフラム部と同電位に維持され、ダイヤフラム部から隣接空間に配置されるスプリングへ向けた放電現象の発生が抑制される。
【0014】
本発明の一態様にかかる流体機器は、前記本体部が、前記導電性フッ素樹脂材料により形成されていてもよい。このようにすることで、本体部の体積抵抗率を本体部と流体との摩擦による帯電を抑制するのに十分な値とし、本体部に帯電が発生することを抑制することができる。したがって、本体部が帯電して絶縁破壊に至る不具合を抑制することができる。
【0015】
本発明の一態様にかかる流体機器は、前記弁体部と該弁体部に連結される前記ダイヤフラム部とが、前記導電性フッ素樹脂材料により一体に形成されていてもよい。このようにすることで、タイヤフラム部およびダイヤフラム部と一体に形成される弁体部の体積抵抗率をこれらと流体との摩擦による帯電を抑制するのに十分な値とし、ダイヤフラム部および弁体部に帯電が発生することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、薄膜状のダイヤフラム部が絶縁破壊に至って流体流路を流通する流体がダイヤフラム部から流出してしまう不具合を抑制した流体機器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態の流量調整装置(流体機器)100について図面を参照して説明する。本実施形態の流量調整装置100は、半導体製造装置等に用いられる流体(薬液、純水等の液体)を流通させる配管に設置される流体機器である。
図1に示す流量調整装置100の正面図には、
図2に示す流量調整装置100の右側面図におけるI-I矢視断面が部分的に示されている。また、
図3は、
図2に示す流量調整装置100のII-II矢視断面図となっている。
【0019】
図1から
図3に示すように、流量調整装置100は、本体部110と、上部ハウジング120と、下部ハウジング130と、導通部材140と、導通部材145と、締結ボルト150と、弁体部160と、第1ダイヤフラム部170と、スプリング(金属部材)180と、第2ダイヤフラム部190と、を備える。
以下、流量調整装置100が備える各構成について説明する。
【0020】
本体部110は、流入口111から流出口112へ流体を導く流体流路(後述する流体流路113,上流側流体室114,下流側流体室115)が内部に形成された部材である。後述するように、本体部110は、フッ素樹脂材料とフッ素樹脂材料に分散したカーボンナノチューブを含む導電性フッ素樹脂材料により形成されている。
【0021】
本体部110の内部に形成される流体流路は、流体流路113と、上流側流体室(流体流路)114と、下流側流体室(流体流路)115とを有する。流体流路113は、上流側配管(図示略)から流体が導かれる流入口111と連通した上流側流路113aと、下流側配管(図示略)へ流体を導く流出口112と連通した下流側流路113bとを有する。上流側流路113aに流入した流体は上流側流体室114へ導かれ、上流側流体室114へ導かれた流体は下流側流体室115へ導かれ、下流側流体室115へ導かれた流体は下流側流路113bへ導かれる。
【0022】
上部ハウジング120は、本体部110の上方に配置されるとともに本体部110との間に形成される空間に第2ダイヤフラム部190を収容する部材である。
下部ハウジング130は、本体部110の下方に配置されるとともに本体部110との間に形成される空間に弁体部160および第1ダイヤフラム部170を収容する部材である。
図1に示すように、本体部110と、上部ハウジング120と、下部ハウジング130とは、本体部110を挟んだ状態で上部ハウジング120と下部ハウジング130とを締結ボルト150により締結することにより、一体化されている。
【0023】
導通部材140は、本体部110と上部ハウジング120との間に本体部110に接触した状態で取り付けられる金属製の部材である。導通部材140は、接地電位に維持される接地ケーブル10に接続されている。
導通部材145は、後述する金属製のスプリング180と導電性が付与された第1ダイヤフラム部170とを電気的に接続することで、スプリング180と第1ダイヤフラム部170とを同電位に維持する部材である。
図3に示すように、導通部材145は、接地電位に維持される接地ケーブル11に接続されている。そのため、スプリング180および第1ダイヤフラム部170は、それぞれ接地電位に維持される。
【0024】
弁体部160は、
図3に示すように、軸線X1に沿った軸状に形成されるとともに上流側流体室114から下流側流体室115へ流体を導く弁孔115aに挿入される部材である。弁体部160は、後述する圧力室121が発生させる対向力により、軸線X1に沿って移動可能となっている。
上流側流体室114は、上流側流路113aと連通するとともに弁体部160を軸線X1回りに取り囲むように形成される環状の空間である。下流側流体室115は、上流側流体室114および下流側流路113bと連通するとともに本体部110と第2ダイヤフラム部190の下面との間に形成される空間である。
【0025】
第1ダイヤフラム部170は、
図4に示すように、上流側流体室114に配置された弁体部160の下端部160bの外周面に連結される薄膜部171と、薄膜部171の外周側に連結される基部172とを有する部材である。
第1ダイヤフラム部170は、後述する導電性フッ素樹脂材料により弁体部160と一体に形成されている。薄膜部171は、軸線X1回りに環状に形成されるとともに0.2mmから0.5mmの厚さの薄膜状に形成されている。そのため、薄膜部171は、弁体部160が軸線X1に沿って移動することに応じて変形する可撓性を有する。
【0026】
図3に示すように、第1ダイヤフラム部170は、本体部110と下部ハウジング130との間に基部172が挟まれた状態で配置される部材である。第1ダイヤフラム部170は、その上面と本体部110との間に上流側流体室114を形成するとともに、その下面と下部ハウジング130との間にスプリング収容室(隣接空間)131を形成する。
このように、第1ダイヤフラム部170は、弁体部160に連結されて上流側流体室114と上流側流体室114に隣接するスプリング収容室131とを隔離する。
【0027】
スプリング(金属部材)180は、弁体部160の軸線X1に沿って弁体部160を弁孔115aへ接触させる方向の付勢力を発生させる金属製(例えば、ステンレス製)の部材である。スプリング180の下端部はスプリング収容室131の一部を形成する下部ハウジング130に接触した状態で配置され、スプリング180の上端部はスプリング支持部185に接触した状態で配置される。スプリング支持部185の上端は弁体部160の下端部160bに連結されている。そのため、スプリング180が発生させる付勢力は、スプリング支持部185を介して弁体部160の下端部160bに伝達される。
【0028】
第2ダイヤフラム部190は、
図3および
図5に示すように、下流側流体室115へ挿入された弁体部160の上端部160aに連結される円板状の基部191と、基部191の外周側に連結されるとともに軸線X1回りに環状に形成される薄膜部192とを有する部材である。
第2ダイヤフラム部190は、後述する導電性フッ素樹脂材料により基部191および薄膜部192を一体に形成したものである。また、薄膜部192は、0.2mmから0.5mmの厚さの薄膜状に形成されている。そのため、薄膜部192は、弁体部160が軸線X1に沿って移動することに応じて変形する可撓性を有する。
【0029】
図3に示すように、第2ダイヤフラム部190は、本体部110と上部ハウジング120との間に挟まれた状態で配置される部材である。第2ダイヤフラム部190は、その下面と本体部110との間に下流側流体室115を形成するとともに、その上面と上部ハウジング120との間に圧力室(隣接空間)121を形成する。
このように、第2ダイヤフラム部190は、弁体部160に連結されて下流側流体室115と下流側流体室115に隣接する圧力室121とを隔離する。
【0030】
圧力室121は、外部の圧縮空気供給源(図示略)から空気導入部122を介して圧縮空気が導入される空間となっている。圧力室121は、導入された圧縮空気により、弁体部160を軸線X1に沿って弁孔115aから離間させる方向の対向力を発生させる。
流量調整装置100は、圧力室121が発生させる対向力を調整することにより、弁孔115aと弁体部160との間に形成される間隙(縮径部)116の断面積を調整する。間隙116の断面積が大きくなると間隙116を流通する流体の流量が増加し、間隙116の断面積が小さくなると間隙116を流通する流体の流量が減少する。弁孔115aと弁体部160とが接触した遮断状態においては、間隙116を流通する流体の流量がゼロとなる。
【0031】
間隙116は、上流側流体室114と下流側流体室115との間に配置されるとともに本体部110に形成される流体流路の流路断面積を局所的に減少させる縮径部となっている。そのため、間隙116の断面積が小さくなって間隙116を通過する流体の流速が上昇すると、間隙116の近傍の本体部110と流体との摩擦により本体部110に帯電が発生し易い状態となる。
【0032】
下流側流体室115は、
図6に示すように、間隙116を通過した流体を連通流路115bから導入し、下流側流路113bと連通する流出孔115cへ導く流路となっている。下流側流体室115は、連通流路115bから流入する流体を流出孔115cに至るまで軸線X1回りに略一周に渡って一定の流路形状が維持される流路となっている。そのため、下流側流体室115の各位置での流体の流速が略一定となって安定した流れが形成され、不安定な流れによる不具合を抑制することができる。
【0033】
連通流路115bは、流出孔115cと隣接する位置に配置される阻止壁115dに隣接しかつ阻止壁115dにより流出孔115cから隔離された位置に流体を導く。阻止壁115dは、連通流路115bから下流側流体室115へ流入した流体が流出孔115cへ最短距離で導かれることを阻止するとともに、下流側流体室115を流通して流出孔115cへ到達した流体が下流側流体室115を周回して再び連通流路115bが設けられる位置に到達することを阻止する。
【0034】
次に、本体部110、弁体部160、第1ダイヤフラム部170、および第2ダイヤフラム部190を形成する材料について説明する。
前述したように、本体部110の内部には流体流路が形成されており、流体流路を通過する流体と本体部110との摩擦により本体部110に帯電が発生し易い。特に、間隙116の近傍においては、流体の流速が上昇するため、帯電の発生し易さが顕著である。
また、第1ダイヤフラム部170の薄膜部171および第2ダイヤフラム部190の薄膜部192は、それぞれ薄膜状に形成されるため薄膜部171および薄膜部192が流体との摩擦により帯電すると絶縁破壊に至りやすい。
【0035】
そこで、本実施形態においては、本体部110、弁体部160、第1ダイヤフラム部170、および第2ダイヤフラム部190に導電性を付与してこれらに帯電が発生すること抑制している。
具体的には、導通部材140を介して本体部110を接地ケーブル10に電気的に接続することにより、本体部110が接地電位に維持される。また、導通部材145を介して第1ダイヤフラム部170を接地ケーブル11に電気的に接続することにより、第1ダイヤフラム部170と弁体部160と第2ダイヤフラム部190とが接地電位に維持される。弁体部160と第2ダイヤフラム部190が接地電位に維持されるのは、弁体部160が第1ダイヤフラム部170に連結され、第2ダイヤフラム部190が弁体部160に連結されるからである。
【0036】
本実施形態の本体部110、弁体部160、第1ダイヤフラム部170、および第2ダイヤフラム部190は、フッ素樹脂材料とフッ素樹脂材料に分散したカーボンナノチューブとを含む導電性フッ素樹脂材料により形成されている。一方、上部ハウジング120、下部ハウジング130、スプリング支持部185は、カーボンナノチューブが分散されていない非導電性フッ素樹脂材料により形成されている。
【0037】
ここで、フッ素樹脂材料とは、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)である。
フッ素樹脂材料としては、粉末状のもの(例えば、旭硝子製のPTFE G163)を用いることができる。
【0038】
また、カーボンナノチューブとしては、例えば、以下の特性を備えるものを用いるのが望ましい。
・50μm以上かつ150μm以下の繊維長を有する。
・5nm以上かつ20nm以下の繊維径を有する。
・10mg/cm
3以上かつ70mg/cm
3以下の嵩密度を有する。
・G/D比が0.7以上かつ2.0以下である。
・純度が99.5%以上である。
・多層(例えば、4〜12層)に形成されている。
ここで、カーボンナノチューブの繊維長を50μm以上としているのは、カーボンナノチューブをフッ素樹脂材料に分散させた場合に、少量で十分な導電性を付与するためである。
【0039】
また、G/D比とは、カーボンナノチューブのラマンスペクトルに現れるG−bandのピークとD−bandのピークの比を示す値である。G−bandはグラファイト構造に由来するものであり、D−bandは欠陥に由来するものである。G/D比は、カーボンナノチューブの欠陥濃度に対する結晶の純度の比率を示している。
【0040】
発明者等は、フッ素樹脂材料に分散させるカーボンナノチューブの添加量〔重量%〕と、フッ素樹脂材料とそれに分散したカーボンナノチューブとを含む導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率〔Ω・cm〕との関係について調べたところ、
図7に示す結果を得た。
図7に示す結果は、JIS K 7194に規定される「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に基づいて試験片の体積抵抗率を測定した結果である。
【0041】
試験片として、混練機により溶融混練した後に圧縮成形機により圧縮成形したものを、JIS K 7194に準拠したサイズに加工したものを複数作成した。
試験片を作成するのに用いたフッ素樹脂材料は、旭硝子製のPTFE G163である。
【0042】
また、体積抵抗率の測定には、JIS K 7194に準拠した4探針法を用いる抵抗率計を用いた。4探針法は、試験片に4本の針状の探針(電極)を接触させ,外側の2本の探針間に流した電流と内側の2本の探針間に生じる電位差とから試験片の抵抗を求める方法である。
体積抵抗率は、複数の試験片それぞれから複数箇所で得た測定値を平均化することにより算出した。
【0043】
図7に示す結果によれば、カーボンナノチューブの添加量を0.020重量%以上かつ0.030重量%以下の範囲とすることにより、導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率が1.0×10
3Ω・cmより大きくかつ1.0×10
4Ω・cm未満の範囲となった。この体積抵抗率の値は、カーボンナノチューブが分散されていないフッ素樹脂材料の体積抵抗率の値(10
18Ω・cm)に比べて十分に低い。
【0044】
発明者等は、カーボンナノチューブの添加量を0.025重量%とした導電性フッ素樹脂材料で本体部110、弁体部160、第1ダイヤフラム部170、および第2ダイヤフラム部190を形成した流量調整装置100を用い、流体流路113に50kPaの空気を流通させた状態で流体流路113に発生する帯電電圧を測定した。その結果は、流体流路113に発生する帯電電圧は、約0.2kVで維持される測定結果となった。
【0045】
一方、カーボンナノチューブを添加しないフッ素樹脂材料で本体部110、弁体部160、第1ダイヤフラム部170、および第2ダイヤフラム部190を形成した比較例の流量調整装置を用い、流体流路113に50kPaの空気を流通させた状態で流体流路113に発生する帯電電圧を測定した。その結果は、流体流路113に発生する帯電電圧は、約3.0kV以上で維持される測定結果となった。
また、比較例の流量調整装置において、更に導通部材140を接地ケーブル10に接続しない状態とした場合、流体流路113に発生する帯電電圧は、約16.0kV以上で維持される測定結果となった。
【0046】
以上の結果から、本実施形態においては、流量調整装置100の本体部110、弁体部160、第1ダイヤフラム部170、および第2ダイヤフラム部190を形成する導電性フッ素樹脂材料が、カーボンナノチューブを0.020重量%以上かつ0.030重量%以下の割合で含有するものとした。また、本体部110が、導通部材140を介して接地ケーブル10に接続されるようにした。また、第1ダイヤフラム部170が、導通部材145を介して接地ケーブル11に接続されるようにした。これにより、導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率が1.0×10
3Ω・cmより大きくかつ1.0×10
4Ω・cm未満の範囲となり、流体流路113に発生する帯電電圧を約0.2kVという低い値に維持することができる。
【0047】
また、発明者等は、カーボンナノチューブの添加量を0.025重量%とした導電性フッ素樹脂材料で本体部110、弁体部160、第1ダイヤフラム部170、および第2ダイヤフラム部190を形成した流量調整装置100を用い、流体流路113を流通する流体に含有される微粒子(パーティクル)を測定した。
図8は、流体流路113に純水を流通させた通水時間とパーティクルカウンター(図示略)により測定されるパーティクル数の関係を示す測定結果である。
【0048】
ここで、パーティクル数とは、純水1mlあたりに含まれる0.04μm以上のサイズのパーティクルの数をいう。
また、
図8に示す測定においては、流体流路113を流通する純水の流量を0.5リットル/分とした。また、弁体部160を弁孔115aに接触させて純水の流通を遮断する遮断状態と、弁体部160を弁孔115aから離間させて純水の流通を流通させる流通状態とを5秒間隔で切り替えた。また、純水の温度は25℃とした。
【0049】
図8では図示を省略しているが、測定開始時(通水時間がゼロ)におけるパーティクル数は約340個であった。その後、通水時間の経過とともにパーティクル数が徐々に減少し、通水時間が3時間を経過した後は、10個以下に維持されている。
このように、本実施形態の本体部110は、導電性フッ素樹脂材料に含まれるカーボンナノチューブの割合が0.030重量%以下の微小な割合であるため、カーボンブラックや鉄粉等の他の粒状の導電性物質とは異なり、流体流路113と流体との接触による流体の汚染を抑制することができる。
【0050】
以上説明した本実施形態の流量調整装置100が奏する作用及び効果について説明する。
本実施形態の流量調整装置100によれば、弁体部160に連結されて上流側流体室114とそれに隣接するスプリング収容室131とを隔離する第1ダイヤフラム部170が、体積抵抗率が1.0×10
3Ω・cmより大きくかつ1.0×10
4Ω・cm未満である導電性フッ素樹脂材料により形成されている。また、弁体部160に連結されて下流側流体室115とそれに隣接する圧力室121とを隔離する第2ダイヤフラム部190が、体積抵抗率が1.0×10
3Ω・cmより大きくかつ1.0×10
4Ω・cm未満である導電性フッ素樹脂材料により形成されている。
【0051】
このように、導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率を第1ダイヤフラム部170と流体との摩擦による帯電を抑制するのに十分な値とし、第1ダイヤフラム部170に帯電が発生することを抑制することができる。同様に、導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率を第2ダイヤフラム部190と流体との摩擦による帯電を抑制するのに十分な値とし、第2ダイヤフラム部190に帯電が発生することを抑制することができる。
しがって、ダイヤフラム部が絶縁破壊に至って流体流路を流通する流体がダイヤフラム部から流出してしまう不具合を抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態の流量調整装置100は、導電性フッ素樹脂材料が、カーボンナノチューブを0.020重量%以上かつ0.030重量%以下の割合で含有する。流体に直接的に接触するダイヤフラム部を形成する導電性フッ素樹脂材料に0.020重量%以上のカーボンナノチューブをフッ素樹脂材料に分散させることで、ダイヤフラム部に一定の導電性を付与して帯電を抑制することができる。これは、所定の長さを有するチューブ状のカーボンナノチューブを導電性物質として用いることで、カーボンブラックや鉄粉等の他の粒状の導電性物質に比べて少量で導電性を付与することができるためである。
【0053】
また、導電性フッ素樹脂材料に含まれるカーボンナノチューブの割合を0.030重量%以下の微小な割合とすることにより、カーボンブラックや鉄粉等の他の粒状の導電性物質と比べ、流体流路と流体との接触による流体の汚染を抑制することができる。
このように本実施形態の流量調整装置100によれば、ダイヤフラム部と流体との摩擦による帯電とダイヤフラム部と流体との接触による流体の汚染の双方を抑制した流量調整装置を提供することができる。
【0054】
本実施形態の流量調整装置100は、スプリング収容室131に配置される金属製のスプリング180を備える。本実施形態の流量調整装置100においては、第1ダイヤフラム部170が帯電すると、第1ダイヤフラム部170の薄膜部171からスプリング収容室131に配置されるスプリング180へ向けた放電現象が発生しやすい。放電現象が発生すると、第1ダイヤフラム部170が絶縁破壊に至ってしまう可能性がある。本実施形態の流量調整装置100は、スプリング180が隣接して配置される第1ダイヤフラム部170を形成する導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率が1.0×10
3Ω・cmより大きくかつ1.0×10
4Ω・cm未満である。そのため、第1ダイヤフラム部170の体積抵抗率を流体との摩擦による帯電を抑制するのに十分な値とし、第1ダイヤフラム部170に帯電が発生することを抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態の流量調整装置100は、スプリング180および第1ダイヤフラム部170に接触した状態で取り付けられる金属製の導通部材145を備える。このようにすることで、スプリング180が第1ダイヤフラム部170と同電位に維持され、第1ダイヤフラム部170からスプリング収容室131に配置されるスプリング180へ向けた放電現象の発生が抑制される。
【0056】
また、本実施形態の流量調整装置100は、本体部110が、導電性フッ素樹脂材料により形成されている。このようにすることで、本体部110の体積抵抗率を本体部110と流体との摩擦による帯電を抑制するのに十分な値とし、本体部110に帯電が発生することを抑制することができる。したがって、本体部110が帯電して絶縁破壊に至る不具合を抑制することができる。
【0057】
以上の説明においては、本体部110が導電性フッ素樹脂材料により形成されるものとしたが、本体部110が非導電性フッ素樹脂材料により形成されていてもよい。この場合、弁体部160と第1ダイヤフラム部170と第2ダイヤフラム部190とが、導電性フッ素樹脂材料により形成される。この場合であっても、薄膜部171および薄膜部192が導電性フッ素樹脂材料により形成されるので、特に絶縁破壊に至りやすい薄膜部171および薄膜部192の帯電を適切に抑制することができる。
【0058】
以上の説明においては、上部ハウジング120、下部ハウジング130、およびスプリング支持部185を、カーボンナノチューブが分散されていない非導電性フッ素樹脂材料により形成するものとしたが、他の態様であってもよい。
例えば、スプリング支持部185を導電性フッ素樹脂材料により形成してもよい。この場合、薄膜部171がスプリング支持部185を介してスプリング180に電気的に接続されるため、薄膜部171とスプリング180との間で絶縁破壊が発生する不具合をより確実に抑制することができる。
また、例えば、上部ハウジング120、下部ハウジング130、およびスプリング支持部185のすべてを、導電性フッ素樹脂材料により形成してもよい。このようにすることで、流量調整装置100を構成する各部材が帯電することによる不具合をより確実に抑制することができる。
【0059】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態の流量調整装置200について図面を参照して説明する。本実施形態の流量調整装置200は、半導体製造装置等に用いられる流体(薬液、純水等の液体)を流通させる配管に設置される流体機器である。
【0060】
図9に示すように、流量調整装置200は、本体部210と、上部ハウジング220と、下部ハウジング230と、弁体部260と、ダイヤフラム部270と、金属製(例えば、ステンレス製)のスプリング(金属部材)280と、を備える。
図9に示すように、本体部210と、上部ハウジング220と、下部ハウジング230とは、本体部210を挟んだ状態で上部ハウジング220と下部ハウジング230とを締結ボルト250により締結することにより、一体化されている。
【0061】
本体部210は、流入口211から流出口212へ流体を導く上流側流路213、流体室214、および下流側流路215が内部に形成された部材である。本体部210は、フッ素樹脂材料とフッ素樹脂材料に分散したカーボンナノチューブを含む導電性フッ素樹脂材料により形成されている。ここで、第2実施形態の導電性フッ素樹脂材料は、第1実施形態の導電性フッ素樹脂材料と同様であるものとする。
本体部210は、金属製の導通部材(図示略)により設置電位に維持される接地ケーブル(図示略)に接続されて接地電位に維持されている。
【0062】
弁体部260は、
図10に示すように、軸線X2に沿った軸状に形成されるとともに上流側流路213から流体室214へ流体を導く弁孔214aに挿入される部材である。弁体部260は、後述する圧力室221が発生させる対向力により、軸線X2に沿って移動可能となっている。
流体室214は、上流側流路213および下流側流路215と連通するとともに本体部210とダイヤフラム部270の下面との間に形成される空間である。
【0063】
ダイヤフラム部270は、
図10に示すように、流体室214に配置された弁体部260の外周面に連結される薄膜部271と、薄膜部271の外周側に連結される基部272とを有する部材である。
ダイヤフラム部270は、導電性フッ素樹脂材料により弁体部260と一体に形成されている。薄膜部271は、軸線X2回りに環状に形成されるとともに0.2mmから0.5mmの厚さの薄膜状に形成されている。そのため、薄膜部271は、弁体部260が軸線X2に沿って移動することに応じて変形する可撓性を有する。
【0064】
図9に示すように、ダイヤフラム部270は、本体部210と下部ハウジング230との間に基部272が挟まれた状態で配置される部材である。ダイヤフラム部270は、その下面と本体部210との間に流体室214を形成するとともに、その上面と上部ハウジング220との間に隣接空間231を形成する。
このように、ダイヤフラム部270は、弁体部260に連結されて流体室214と流体室214に隣接する隣接空間231とを隔離する。
【0065】
スプリング(金属部材)280は、弁体部260の軸線X2に沿って弁体部260を弁孔214aから離間させる方向の付勢力を発生させる金属製(例えば、ステンレス製)の部材である。スプリング280の下端部は上部ハウジング220に接触した状態で配置され、スプリング280の上端部はピストン部285に接触した状態で配置される。ピストン部285の下端は弁体部260の上端に連結されている。そのため、スプリング280が発生させる付勢力は、ピストン部285を介して弁体部260の上端に伝達される。
【0066】
本実施形態の流量調整装置200は、本体部210の内部に流体流路が形成されており、流体流路を通過する流体と本体部210との摩擦により本体部210に帯電が発生し易い。また、ダイヤフラム部270の薄膜部271が薄膜状に形成されるため、薄膜部271が流体との摩擦により帯電するとスプリング280との間で絶縁破壊に至りやすい。そこで、本実施形態においては、本体部210、弁体部260、およびダイヤフラム部270に導電性を付与してこれらに帯電が発生すること抑制している。
具体的には、導通部材(図示略)を介して本体部210を接地ケーブル(図示略)に電気的に接続することにより、本体部210、弁体部260、およびダイヤフラム部270が接地電位に維持される。
【0067】
本実施形態の本体部210、弁体部260、およびダイヤフラム部270は、フッ素樹脂材料とフッ素樹脂材料に分散したカーボンナノチューブとを含む導電性フッ素樹脂材料により形成されている。一方、上部ハウジング220、下部ハウジング230、ピストン部285は、カーボンナノチューブが分散されていない非導電性フッ素樹脂材料により形成されている。
【0068】
以上の説明においては、本体部210が導電性フッ素樹脂材料により形成されるものとしたが、本体部210が非導電性フッ素樹脂材料により形成されていてもよい。この場合、弁体部260とダイヤフラム部270とが、導電性フッ素樹脂材料により形成される。また、この場合、弁体部260およびダイヤフラム部270は、金属製の導通部材(図示略)により設置電位に維持される接地ケーブル(図示略)に接続されて接地電位に維持されている。本実施形態によれば、薄膜部271が導電性フッ素樹脂材料により形成されるので、特に絶縁破壊に至りやすい薄膜部271の帯電を適切に抑制することができる。
【0069】
以上の説明においては、上部ハウジング220、下部ハウジング230、およびピストン部285を、カーボンナノチューブが分散されていない非導電性フッ素樹脂材料により形成するものとしたが、他の態様であってもよい。
例えば、ピストン部285を導電性フッ素樹脂材料により形成してもよい。この場合、薄膜部271がピストン部285を介してスプリング280に電気的に接続されるため、薄膜部271とスプリング280との間で絶縁破壊が発生する不具合をより確実に抑制することができる。
また、例えば、上部ハウジング220、下部ハウジング230、およびピストン部285のすべてを、導電性フッ素樹脂材料により形成してもよい。このようにすることで、流量調整装置200を構成する各部材が帯電することによる不具合をより確実に抑制することができる。
【0070】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態の流量調整装置300について図面を参照して説明する。本実施形態の流量調整装置300は、半導体製造装置等に用いられる流体(薬液、純水等の液体)を流通させる配管に設置される流体機器である。
【0071】
図11に示すように、流量調整装置300は、本体部310と、上部ハウジング320と、下部ハウジング330と、弁体部360と、ダイヤフラム部370と、弁体部360を軸線X3に沿って移動させるモータ390と、金属製(例えば、ステンレス製)のモータ支持部(金属部材)380と、を備える。
【0072】
本体部310は、流入口311から流出口312へ流体を導く上流側流路313、流体室314、および下流側流路315が内部に形成された部材である。本体部310は、フッ素樹脂材料とフッ素樹脂材料に分散したカーボンナノチューブを含む導電性フッ素樹脂材料により形成されている。ここで、第3実施形態の導電性フッ素樹脂材料は、第1実施形態の導電性フッ素樹脂材料と同様であるものとする。
本体部310は、金属製の導通部材(図示略)により設置電位に維持される接地ケーブル(図示略)に接続されて接地電位に維持されている。
【0073】
弁体部360は、
図11に示すように、軸線X3に沿った軸状に形成されるとともに上流側流路313から流体室314へ流体を導く弁孔314aに挿入される部材である。弁体部360は、モータ390の駆動力により、軸線X3に沿って移動可能となっている。
流体室314は、上流側流路313および下流側流路315と連通するとともに本体部310とダイヤフラム部370の下面との間に形成される空間である。
【0074】
ダイヤフラム部370は、
図12に示すように、流体室314に配置された弁体部360の外周面に連結される薄膜部371と、薄膜部371の外周側に連結される基部372とを有する部材である。
ダイヤフラム部370は、導電性フッ素樹脂材料により弁体部360と一体に形成されている。薄膜部371は、軸線X3回りに環状に形成されるとともに0.2mmから0.5mmの厚さの薄膜状に形成されている。そのため、薄膜部371は、弁体部360が軸線X3に沿って移動することに応じて変形する可撓性を有する。
【0075】
図11に示すように、ダイヤフラム部370は、本体部310と下部ハウジング330との間に基部372が挟まれた状態で配置される部材である。ダイヤフラム部370は、その下面と本体部310との間に流体室314を形成するとともに、その上面と上部ハウジング320との間に隣接空間331を形成する。
このように、ダイヤフラム部370は、弁体部360に連結されて流体室314と流体室314に隣接する隣接空間331とを隔離する。
モータ支持部(金属部材)380は、モータ390を本体部310に対して支持するための金属製(例えば、ステンレス製)の部材である。
【0076】
本実施形態の流量調整装置300は、本体部310の内部に流体流路が形成されており、流体流路を通過する流体と本体部310との摩擦により本体部310に帯電が発生し易い。また、ダイヤフラム部370の薄膜部371が薄膜状に形成されるため、薄膜部371が流体との摩擦により帯電するとモータ支持部380との間で絶縁破壊に至りやすい。そこで、本実施形態においては、本体部310、弁体部360、およびダイヤフラム部370に導電性を付与してこれらに帯電が発生すること抑制している。
具体的には、導通部材(図示略)を介して本体部310を接地ケーブル(図示略)に電気的に接続することにより、本体部310、弁体部360、およびダイヤフラム部370が接地電位に維持される。
【0077】
本実施形態の本体部310、弁体部360、およびダイヤフラム部370は、フッ素樹脂材料とフッ素樹脂材料に分散したカーボンナノチューブとを含む導電性フッ素樹脂材料により形成されている。一方、上部ハウジング320、下部ハウジング330は、カーボンナノチューブが分散されていない非導電性フッ素樹脂材料により形成されている。
【0078】
以上の説明においては、本体部310が導電性フッ素樹脂材料により形成されるものとしたが、本体部310が非導電性フッ素樹脂材料により形成されていてもよい。この場合、弁体部360とダイヤフラム部370とが、導電性フッ素樹脂材料により形成される。また、この場合、弁体部360およびダイヤフラム部370は、金属製の導通部材(図示略)により設置電位に維持される接地ケーブル(図示略)に接続されて接地電位に維持されている。本実施形態によれば、薄膜部371が導電性フッ素樹脂材料により形成されるので、特に絶縁破壊に至りやすい薄膜部371の帯電を適切に抑制することができる。
【0079】
以上の説明においては、上部ハウジング320および下部ハウジング330を、カーボンナノチューブが分散されていない非導電性フッ素樹脂材料により形成するものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、上部ハウジング320および下部ハウジング330を、導電性フッ素樹脂材料により形成してもよい。このようにすることで、流量調整装置300を構成する各部材が帯電することによる不具合をより確実に抑制することができる。