(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857059
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】ケーブル
(51)【国際特許分類】
H01B 7/18 20060101AFI20210405BHJP
H02G 9/02 20060101ALN20210405BHJP
【FI】
H01B7/18 A
H01B7/18 B
!H02G9/02
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-52138(P2017-52138)
(22)【出願日】2017年3月17日
(65)【公開番号】特開2018-156806(P2018-156806A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2020年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 稔尚
(72)【発明者】
【氏名】林 正幸
(72)【発明者】
【氏名】清水 洋一
(72)【発明者】
【氏名】内田 桂
(72)【発明者】
【氏名】光森 啓二
【審査官】
北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2016/106152(WO,A1)
【文献】
特開2002−163938(JP,A)
【文献】
特開2006−147410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/18
H02G 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気または光を伝達し、かつ延在方向に延在する伝達媒体と、
前記伝達媒体を被覆し、前記延在方向に延在する絶縁体と、
前記絶縁体を被覆し、外周面から半径方向内側に凹む凹部が周方向に複数形成され、かつ前記延在方向に延在するシースと、
を備えるケーブルであり、
前記外周面は、周方向に隣り合う前記凹部により複数の分割外周面に分割され、
前記凹部は、前記延在方向から見た場合に、第一傾斜面および第二傾斜面により形成され、
前記第一傾斜面は、半径方向外側端部が周方向に隣り合う前記分割外周面のうち、一方の前記分割外周面と連結しており、
前記第二傾斜面は、半径方向外側端部が周方向に隣り合う前記分割外周面のうち、他方の前記分割外周面と連結しており、
前記第一傾斜面および前記第二傾斜面は、
前記第一傾斜面の半径方向内側端部と前記第二傾斜面の半径方向内側端部とが頂点部で連結しており、
前記頂点部と前記シースの中心とを結ぶ仮想線に対する前記第一傾斜面の角度である第一傾斜角度は、前記仮想線に対する前記第二傾斜面の角度である第二傾斜角度よりも大きく、
前記伝達媒体は、各前記凹部の半径方向内側にある、
ことを特徴とするケーブル。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブルにおいて、
前記第二傾斜角度は、0度である、
ケーブル。
【請求項3】
請求項1または2に記載のケーブルにおいて、
前記延在方向から見た場合に、前記第一傾斜面と前記第二傾斜面とのなす角度である傾斜面間角度は、30度〜45度である、
ケーブル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のケーブルにおいて、
前記延在方向から見た場合に、周方向に隣り合う前記頂点部間の前記シースの中心に対するなす角度である頂点部間角度は、5度〜30度である、
ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、景観や防災の面から、道路上における電柱の無電中化が推進されている。したがって、建物に対して電力の送電などを行うケーブルは、電柱を介さずに建物まで敷設されることとなる。そのため、上記ケーブルは、地中に埋設して敷設されることが要望される。ケーブルを地中に敷設する際には、数十センチメートル程度の深さに埋設することも想定され、深さが浅い層には砕石が敷き詰められていることも想定される。ケーブルを地中に敷設する際には、数十メートルから数百メートルのケーブルを敷設対象である地中に直接敷設することとなる。ケーブルを直接地中に敷設する場合は、作業員が地表面から敷設する方向に沿って掘り、土砂などを一旦取り除き、空間部を形成する。作業員は、空間部にケーブルを設置し、砕石等を敷き詰め、取り除いた土砂などを空間部に戻す。つまり、地中におけるケーブルは、砕石や土砂などの中に埋設されることとなる。一方、ケーブルとしては、シースの外周面に、半径方向内側に凹む凹部が周方向に複数形成されているものがある(特許文献1〜3参照)。
【0003】
地表面を車両が通過するなどにより、地表面に荷重が作用すると、地中の砕石や土砂が押圧されることとなる。ここで、砕石や砂利などは、鋭利なものがあるため、ケーブルの最外層であるシースに刺さる場合がある。砕石や砂利などは、シースに刺さった際に、シースの半径方向内側端部まで到達すると、絶縁層により被覆されてはいるものの、電気または光を伝達する伝達媒体を損傷するおそれがある。そこで、従来では、シースの厚さを厚くすることで、シースに刺さった砕石や砂利などがシースの半径方向内側まで到達することが抑制されている。一般的に、地中に埋設されるケーブルは、太く、重いことから軽量化を図るため、シースの外周面に、半径方向内側に凹む凹部を周方向に複数形成することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−54839号公報
【特許文献2】特開2004−178876号公報
【特許文献3】特開2004−158238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、凹部が形成されたケーブルは、ケーブルの延在方向から見た場合において、凹部を形成する底面からシースの半径方向内側端部までのシースの厚みが、シースの外周面からシースの半径方向内側端部までのシースの厚みよりも薄い。したがって、鋭利な砕石や砂利などが底部に刺さった場合、シースと絶縁体との境界まで到達するおそれがある。
【0006】
本発明は、上述の点に鑑みて、軽量化を図ることができ、損傷が絶縁体まで到達することを抑制することができるケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るケーブルは、電気または光を伝達し、かつ延在方向に延在する伝達媒体と、前記伝達媒体を被覆し、前記延在方向に延在する絶縁体と、前記絶縁体を被覆し、外周面から半径方向内側に凹む凹部が周方向に複数形成され、かつ前記延在方向に延在するシースと、を備えるケーブルであり、前記外周面は、周方向に隣り合う前記凹部により複数の分割外周面に分割され、前記凹部は、前記延在方向から見た場合に、第一傾斜面および第二傾斜面により形成され、前記第一傾斜面は、半径方向外側端部が周方向に隣り合う前記分割外周面のうち、一方の前記分割外周面と連結しており、前記第二傾斜面は、半径方向外側端部が周方向に隣り合う前記分割外周面のうち、他方の前記分割外周面と連結しており、前記第一傾斜面および前記第二傾斜面は、前記第一傾斜面の半径方向内側端部と前記第二傾斜面の半径方向内側端部とが頂点部で連結しており、前記頂点部と前記シースの中心とを結ぶ仮想線に対する前記第一傾斜面の角度である第一傾斜角度は、前記仮想線に対する前記第二傾斜面の角度である第二傾斜角度よりも大きい
ことを特徴とし、前記伝達媒体は、各前記凹部の半径方向内側にある、ことを特徴とする。
【0008】
また、上記ケーブルにおいて、前記第二傾斜角度は、0度である、ものでもよい。
【0009】
また、上記ケーブルにおいて、前記延在方向から見た場合に、前記第一傾斜面と前記第二傾斜面とのなす角度である傾斜面間角度は、30度〜45度である、ものでもよい。
【0010】
また、上記ケーブルにおいて、前記延在方向から見た場合に、周方向に隣り合う前記頂点部間の前記シースの中心に対するなす角度である頂点部間角度は、5度〜30度である、ものでもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るケーブルは、凹部が底面を有さず、第一傾斜面が第二傾斜面よりも半径方向に対して傾斜が緩いので、傾斜が緩い第一傾斜面に砕石や砂利などが案内され、頂点部において砕石や砂利などが刺さることを抑制することができ、軽量化を図ることができ、損傷が絶縁体まで到達することを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態に係るケーブルの一部断面斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るケーブルの断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るケーブルの動作説明図である。
【
図4】
図4は、変形例に係るケーブルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係るケーブルの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。また、下記の実施形態における構成要素は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0014】
〔実施形態〕
まず、実施形態に係るケーブルについて説明する。
図1は、実施形態に係るケーブルの一部断面斜視図である。
図2は、実施形態に係るケーブルの断面図である。
図3は、実施形態に係るケーブルの動作説明図である。ここで、ケーブルの延在方向とは、各構成要素の軸方向である。また、半径方向とは、ケーブルの半径方向であり、延在方向と直交する方向である。
【0015】
本実施形態におけるケーブル1は、地中に埋設して敷設される用途の地中化ケーブルである。ケーブル1は、地中、地中に設置された電線管などが敷設対象100となる。ケーブル1は、低圧、中圧、高圧電力用、各種通信用、電話用、保安用、防災用、移動用などの用途に用いられる。これらの用途に用いられるケーブル1に対しては、規格により用途が予め定められており、例えば、JIS規格において600V−CV、600V−CVD、600V−CVT、600V−CVQ、6600V−CV、6600V−CVD、6600V−CVT、6600V−CVQ、VVR、VVF、DV、CVV、SVVなどがある。
【0016】
ケーブル1は、延在方向に延在(例えば、数m〜数百メートル)して形成されており、
図1〜
図3に示すように、導体2と、絶縁体3と、シース4と、を備える。ケーブル1は、全体として可撓性を有することが好ましい。
【0017】
導体2は、伝達媒体であり、電力や電気信号などの電気を伝達するものである。導体2は、延在方向に延在して形成されている。導体2は、例えば単線の金属線、または複数本の金属素線が撚り合わされた撚線によって構成されている。撚線は、圧縮加工されていてもよい。金属線、または金属素線の材質としては、例えば、軟鋼、錫メッキ軟鋼、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などである。導体2は、単線の場合において直径は特に限定されないが、例えば、0.5mm以上10mm以下であり、撚線の場合において公称断面積は特に限定されないが、0.5mm
2以上200mm
2以下である。
【0018】
絶縁体3は、伝達媒体である導体2を被覆するものである。絶縁体3は、絶縁性を有するものであり、延在方向に延在して形成されている。絶縁体3は、重合成分として、例えば、ポリエチレン、または架橋ポリエチレンを含む。重合成分は1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。ポリエチレンとしては、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中低圧法高密度ポリエチレンなどである。架橋ポリエチレンは、例えば、上記ポリエチレンを架橋して得られる架橋物であり、放射線照射架橋、有機過酸化物架橋、またはシラン架橋によって、個々の分子鎖が三次元的に結合したポリエチレンである。絶縁体3の厚さは、JIS規格などの規格に準拠するが、例えば0.5mm以上5.0mm以下である。
【0019】
シース4は、絶縁体3を被覆するものであり、ケーブル1の最外層となるものである。シース4は、延在方向に延在して形成されており、外周面41から半径方向内側に凹む凹部42が周方向に複数形成されている。つまり、外周面41は、周方向に隣り合う凹部42により複数の分割外周面41aに分割される。本実施形態におけるシース4は、凹部42が等間隔に複数形成されている。シース4は、例えば、クロロプレンゴム混合物、クロロスルホン化ポリエチレン混合物、ケイ素ゴム混合物、ビニル混合物またはポリエチレンなどであり、本実施形態におけるシース4はポリ塩化ビニル(PVC)である。本実施形態におけるシース4は、ケーブル1の保護層として機能するため、絶縁体3よりも高い硬度で形成されている。シース4の厚さ、すなわち外周面41から半径方向内側の絶縁体3との境界までの距離は、JIS規格などの規格に準拠するが、例えば1.5mm以上5.0mm以下である。
【0020】
凹部42は、延在方向から見た場合に、第一傾斜面43および第二傾斜面44により形成されている。凹部42は、延在方向から見た場合に、半径方向外側に開口部を有するV字状に形成されている。本実施形態における各凹部42は、延在方向に延在して形成されている。
【0021】
第一傾斜面43は、シース4の接線方向および半径方向に対して傾斜している面である。第一傾斜面43は、半径方向外側端部が周方向に隣り合う分割外周面41aのうち、一方の分割外周面41aと連結し、半径方向内側端部が頂点部45において第二傾斜面44の半径方向内側端部と連結している。
【0022】
第二傾斜面44は、シース4の少なくとも接線方向に対して傾斜している面である。第二傾斜面44は、半径方向外側端部が周方向に隣り合う分割外周面41aのうち、他方の分割外周面41aと連結し、半径方向内側端部が頂点部45において第一傾斜面43の半径方向内側端部と連結している。
【0023】
頂点部45は、第一傾斜面43と第二傾斜面44との連結部であり、角度を有する頂点である。つまり、凹部42は、第一傾斜面43および第二傾斜面44を除き、面が非形成である。ここで、頂点部45とシース4の中心O(ケーブル1の中心)とを結ぶ仮想線Lに対する第一傾斜面43の角度を第一傾斜角度θ1とし、頂点部45とシース4の中心O(ケーブル1の中心)とを結ぶ仮想線Lに対する第二傾斜面44の角度を第二傾斜角度θ2とする。第一傾斜面43および第二傾斜面44は、第一傾斜角度θ1が第二傾斜角度θ2よりも大きくなるように形成されている。つまり、第一傾斜面43は、第二傾斜面44よりもシース4の接線方向に対して半径方向よりも緩やかに形成されている。本実施形態における第一傾斜面43は半径方向に対して傾斜している傾斜面であり、第二傾斜面44は半径方向に沿った傾斜面、すなわち第二傾斜角度θ2が0度の傾斜面である。
【0024】
ここで、第一傾斜面43および第二傾斜面44は、延在方向から見た場合に、第一傾斜面43と第二傾斜面44とのなす角度である傾斜面間角度θ3が30度〜45度となるように形成されている。また、凹部42は、延在方向から見た場合に、周方向に隣り合う頂点部45間のシースの中心Oに対するなす角度である頂点部間角度θ4は、5度〜30度となるように形成されている。
【0025】
次に、本実施形態におけるケーブル1の地中への敷設について説明する。ここでは、ケーブル1を地中に直接敷設する場合について説明する。まず、作業員は、ケーブル1を敷設する地面を掘り起こす。次に、作業員は、掘り起こした地面である敷設対象にケーブル1を設置する。作業員は、所定の位置から敷設対象に対してケーブル1を敷設方向に送り出す。このとき、ケーブル1は、敷設対象に対して延在方向に相対移動することとなる。次に、作業員は、目的の箇所までケーブル1を設置すると、掘り起こした地面に土砂などを被せ、ケーブル1を地中に埋設する。
【0026】
次に、ケーブル1に鋭利な砕石や砂利などの異物Sが刺さる場合について説明する。ケーブル1を敷設するためにケーブル1を送り出す際、土砂を被せる際、あるいは地表面を車両が通過するなどにより、地表面に荷重が作用し、地中の土砂が押圧される際などに、異物Sがケーブル1に刺さるおそれがある。ケーブル1の外周は、分割外周面41aおよび凹部42が周方向に繰り返し形成されている。従って、異物Sがシース4に対して刺さる場合は、
図3に示すように、分割外周面41a、および凹部42内でケーブル1に対して刺さることとなる。ここで、異物Sが半径方向に向かってシース4に対して刺さろうとする場合を説明する。分割外周面41aに異物Sが刺さる場合は、分割外周面41aからシース4の半径方向内側の絶縁体3との境界までの距離が十分にあるので、異物Sが刺さっても、異物Sがシース4と絶縁体3との境界に到達することを十分に抑制することができる。一方、凹部42内で異物Sが刺さる場合は、第一傾斜面43または第二傾斜面44のいずれかに刺さる。ここで、第一傾斜面43は、第二傾斜面44よりもシースの接線方向に対して半径方向よりも緩やか、すなわち傾斜が緩いため、第二傾斜面44よりも異物Sが対向しやすい。第一傾斜面43は、分割外周面41aや、頂点部45が面で形成されている場合と比較して、異物Sが傾斜に沿って滑りやすいため、異物Sが刺さりにくい。第一傾斜面43において刺さらなかった異物Sは、第一傾斜面43に案内され、第二傾斜面44と対向し、第二傾斜面44に刺さることとなる。このとき、異物Sは、第一傾斜面43に案内されることとなるので、半径方向に対して接線方向に向かって傾斜した状態で、第二傾斜面44に刺さることとなる。従って、異物Sが第一傾斜面43あるいは頂点部45において半径方向に向かって刺さった場合と比較して、異物Sの先端とシース4の半径方向内側の絶縁体3との境界までの距離を長くすることができる。
【0027】
以上のように、本実施形態におけるケーブル1は、シース4の外周面41に複数の凹部42が形成されているため、複数の凹部42が形成されていないケーブルと比較して軽量化を図ることができる。また、本実施形態におけるケーブル1は、凹部42が底面を有さず、第一傾斜面43が第二傾斜面44よりも半径方向に対して傾斜が緩いので、傾斜が緩い第一傾斜面43に異物Sが案内されることで、シース4の半径方向内側の絶縁体3との境界に近い頂点部45において砂利などが刺さることを抑制することができるので、シース4と絶縁体3との境界まで損傷が到達することを抑制することができる。従って、本実施形態におけるケーブル1は、軽量化を図ることができるとともに、損傷が絶縁体3まで到達することを抑制することができる。
【0028】
また、本実施形態におけるケーブル1は、第二傾斜面44が半径方向に沿って形成されているので、半径方向から見た場合に、第二傾斜面44が面として構成されていない。従って、異物Sが半径方向に向かってシース4に対して刺さる場合において、凹部42に入り込んだ異物Sは、第二傾斜面44に直接刺さること、第二傾斜面44に案内され頂点部45に向かうことが抑制される。従って、本実施形態におけるケーブル1は、損傷が絶縁体3まで到達することをさらに抑制することができる。
【0029】
また、本実施形態におけるケーブル1は、傾斜面間角度θ3を30度〜45度とするので、第一傾斜面43において異物Sを案内し、第二傾斜面44のうちシース4の半径方向外側において異物Sが第二傾斜面44に刺さりやすくすることができ、異物Sが第一傾斜面43に直接刺さることを抑制することができる。傾斜面間角度θ3が30度未満である場合は、第一傾斜角度θ1および第二傾斜角度θ2が小さくなり、傾斜がともに半径方向に向かうため、第一傾斜面43による異物Sの案内ができても、案内先が頂点部45の近くとなり、第二傾斜面44に異物Sが刺さるとしても、シース4の半径方向内側端部の近い位置で刺さることになるためである。傾斜面間角度θ3が45度を超える場合は、第一傾斜角度θ1および第二傾斜角度θ2が大きくなり、傾斜がともにシース4の接線方向に向かうため、第一傾斜面43により異物Sを傾斜面に沿って案内しにくくなり、異物Sが第一傾斜面43に直接刺さることになるためである。
【0030】
また、本実施形態におけるケーブル1は、頂点部間角度θ4を5度〜30度とするので、適切に軽量化を図ることができ、頂点部45の近傍で異物Sが刺さることを抑制することができる。頂点部間角度θ4が5度未満の場合は、シース4の外周のうち、分割外周面41aが占める割合が小さくなり、凹部42が占める割合が大きくなるため、多くの異物Sが凹部42に入りやすくなり、頂点部45の近傍で異物Sが刺さる可能性が高くなり、シース4の半径方向内側端部に近い位置で異物Sが刺さることになるためである。
頂点部間角度θ4が30度を超える場合は、シース4の外周のうち、分割外周面41aが占める割合が大きくなり、凹部42が占める割合が小さくなるため、軽量化を図ることが困難であるためである。
【0031】
なお、本実施形態におけるケーブル1は、単層のシース4に凹部42を形成したが、これに限定されるものではない。
図4は、変形例に係るケーブルの断面図である。同図に示すように、ケーブル1のシース4は、内側シース4aと外側シース4bとを有していてもよい。この場合、内側シース4aは、外側シース4bよりも、硬度を低くすることが好ましい。これにより、シース4の一部を柔らかくすることができるので、ケーブル1の可撓性を向上することができる。
【0032】
また、本実施形態におけるケーブル1は、第二傾斜面44が半径方向に沿った傾斜面とであるが、これに限定されるものではない。第二傾斜面44は、同図に示すように、半径方向に対して傾斜している傾斜面であってもよい。
【0033】
また、本実施形態におけるケーブル1は、1つの導体2から構成される単芯のケーブルとしたが、これに限定されるものではない。ケーブル1は、2芯以上の複数の導体2から構成されるものであってもよい。この場合、各導体2は、図示しない絶縁体に被覆された状態で、さらに絶縁体3により被覆されることとなる。
【0034】
また、本実施形態におけるケーブル1は、延在方向と直交する平面の断面形状が円形状であるが、これに限定されるものではなく、楕円形状や平型形状(長方形状の長手方向における両端部を面取りした形状)であってもよい。
【0035】
また、本実施形態におけるケーブル1は、伝達媒体として、電気を伝達する導体2としたが、これに限定されるものではなく、伝達する対象を光とする導光体(コアとクラッドとにより構成)であってもよい。
【0036】
また、本実施形態におけるケーブル1は、各凹部42がケーブル1の延在方向に延在して形成されているが、これに限定されるものではなく、延在方向の一方向および周方向の一方向に延在するスプライン状に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 ケーブル
2 導体(伝達媒体)
3 絶縁体
4 シース
41 外周面
41a 分割外周面
42 凹部
43 第一傾斜面
44 第二傾斜面
45 頂点部