特許第6857070号(P6857070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857070
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】部品挿入機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
   H05K13/04 C
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-74927(P2017-74927)
(22)【出願日】2017年4月5日
(65)【公開番号】特開2018-181922(P2018-181922A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100098420
【弁理士】
【氏名又は名称】加古 宗男
(72)【発明者】
【氏名】田中 克典
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−049499(JP,A)
【文献】 特開昭61−177800(JP,A)
【文献】 特開昭57−018390(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/038087(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 − 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リード挿入型部品を供給する部品供給装置と、前記部品供給装置により供給されるリード挿入型部品を2つのチャック爪で挟んでピックアップするチャック装置と、前記チャック装置の2つのチャック爪の開閉動作を駆動する開閉駆動装置を制御する制御装置とを備え、前記チャック装置でピックアップしたリード挿入型部品の両側から下方に突出するリードを回路基板の挿入孔に挿入する部品挿入機において、
前記チャック装置は、前記リード挿入型部品をピックアップする際に当該リード挿入型部品の両側のリードをそれらの外側から前記2つのチャック爪で挟んでピックアップするように構成され、
前記チャック装置の開閉駆動装置は、前記制御装置からの指示に従って前記2つのチャック爪の閉じ量を調整するように構成され、
前記制御装置は、前記チャック装置の開閉駆動装置に対して前記2つのチャック爪の閉じ量を指示して当該2つのチャック爪の閉じ量を調整することで当該2つのチャック爪で挟んだ前記リード挿入型部品の両側のリードを各チャック爪の閉じ方向に変形させて当該両側のリード先端の間隔(以下「両側のリード先端の間隔」を「リード間隔」という)を調整した状態で当該両側のリードを前記回路基板の挿入孔に挿入するように構成され、
前記各チャック爪の先端には、それぞれ閉じ動作時に各リードに当接する当接部が回転可能に設けられ、各リードの変形に合わせて各当接部の角度が変化するように構成されている、部品挿入機。
【請求項2】
前記チャック装置は、前記2つのチャック爪で前記リード挿入型部品の両側のリードを挟む際に当該リード挿入型部品のボディ部分を上方から押さえる押さえ部材と、前記押さえ部材を下方に付勢する弾性部材とを備える、請求項1に記載の部品挿入機。
【請求項3】
前記チャック装置でピックアップした前記リード挿入型部品を撮像するカメラを備え、 前記制御装置は、前記カメラで撮像した画像を処理して前記リード挿入型部品のリード間隔を測定して、当該リード間隔の測定値が許容ばらつき範囲内であるか否かを判定し、当該リード間隔の測定値が当該許容ばらつき範囲から外れている場合には、リード間隔調整不良と判断して当該リード挿入型部品を回収する、請求項1又は2に記載の部品挿入機。
【請求項4】
前記カメラは、前記チャック装置でピックアップした前記リード挿入型部品を下方又は横方向から撮像する部品撮像用カメラが用いられ、
前記制御装置は、前記カメラで撮像した画像を処理して前記リード挿入型部品のピックアップ姿勢を認識する際に前記リード間隔を測定する、請求項に記載の部品挿入機。
【請求項5】
前記制御装置は、生産中に前記リード間隔調整不良の連続発生回数又は発生頻度が所定値を超えたときに当該リード間隔調整不良発生時のリード間隔の測定値に基づいて前記2つのチャック爪の閉じ量の指示値を修正する、請求項又はに記載の部品挿入機。
【請求項6】
前記制御装置は、生産中に前記リード間隔調整不良の連続発生回数又は発生頻度が所定値を超えたときに当該リード間隔調整不良発生時のリード間隔の測定値を統計処理して、その統計処理値に基づいて前記2つのチャック爪の閉じ量の指示値を修正する、請求項に記載の部品挿入機。
【請求項7】
前記部品供給装置は、スティックフィーダ、トレイフィーダ、テープフィーダのいずれかであり、供給するリード挿入型部品のボディ部分を載置する載置部が凸状に形成され、当該載置部の両側の凹部に当該リード挿入型部品の両側のリードが収容されていると共に、当該リードの先端が当該凹部の底面に接触しないように当該載置部の高さが形成されている、請求項1乃至のいずれかに記載の部品挿入機。
【請求項8】
前記部品供給装置により供給するリード挿入型部品のリード間隔は、当該両側のリードを挿入する回路基板の挿入孔の間隔よりも広くなるように形成されている、請求項1乃至のいずれかに記載の部品挿入機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、チャック装置でピックアップしたリード挿入型部品の両側から下方に突出するリードを回路基板の挿入孔に挿入する部品挿入機に関する技術を開示したものである。
【背景技術】
【0002】
部品ボディの両側から下方に突出するリードを備えたリード挿入型部品を回路基板に装着する場合は、その両側のリードを回路基板の挿入孔に挿入するようにしている。一般に、部品挿入機は、吸着ノズルでリード挿入型部品を吸着して回路基板に装着するものが多いが、リード挿入型部品の両側のリード先端の間隔が当該両側のリードを挿入する回路基板の挿入孔の間隔と一致しない場合があり、この場合は、リードを回路基板の挿入孔に挿入できず、装着不良が発生する。
【0003】
また、部品挿入機の装着ヘッドに、吸着ノズルに代えて、チャック装置を取り付けて、このチャック装置の2つのチャック爪でリード挿入型部品のボディ部分を挟んでピックアップする場合もあるが、この場合も、リード挿入型部品の両側のリード先端の間隔が回路基板の挿入孔の間隔と一致しなければ、リードを回路基板の挿入孔に挿入できず、装着不良が発生する。
【0004】
そこで、特許文献1(特開平6−37492号公報)に記載されているように、チャック装置に、リード挿入型部品のボディ部分を挟んでピックアップする2つのチャック爪の他に、ピックアップしたリード挿入型部品のリードの曲りを矯正するリード矯正装置を設け、このリード矯正装置によってリード挿入型部品の両側のリード先端の間隔を矯正してリードを回路基板の挿入孔に挿入するようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−37492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1の構成では、チャック装置に、2つのチャック爪の他に、リードの曲りを矯正するリード矯正装置を設ける構成であるため、チャック装置が大型化したり、重量が増加したり、高価格化する欠点がある。しかも、チャック装置の2つのチャック爪でリード挿入型部品のボディ部分を挟んでピックアップした後に、リードをカメラで撮像して、画像処理によりリードの曲り量を測定して、リードの曲りに対する補正量を設定してリード矯正装置を動作させてリードの曲りを矯正するようにしているため、リード挿入型部品のピックアップから回路基板への装着までの時間(サイクルタイム)が延びてしまい、生産性が低下するという欠点もある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、リード挿入型部品を供給する部品供給装置と、前記部品供給装置により供給されるリード挿入型部品を2つのチャック爪で挟んでピックアップするチャック装置と、前記チャック装置の2つのチャック爪の開閉動作を駆動する開閉駆動装置を制御する制御装置とを備え、前記チャック装置でピックアップしたリード挿入型部品の両側から下方に突出するリードを回路基板の挿入孔に挿入する部品挿入機において、前記チャック装置は、前記リード挿入型部品をピックアップする際に当該リード挿入型部品の両側のリードをそれらの外側から前記2つのチャック爪で挟んでピックアップするように構成され、前記チャック装置の開閉駆動装置は、前記制御装置からの指示に従って前記2つのチャック爪の閉じ量を調整するように構成され、前記制御装置は、前記チャック装置の開閉駆動装置に対して前記2つのチャック爪の閉じ量を指示して当該2つのチャック爪の閉じ量を調整することで当該2つのチャック爪で挟んだ前記リード挿入型部品の両側のリードを各チャック爪の閉じ方向に変形させて当該両側のリード先端の間隔(以下「両側のリード先端の間隔」を「リード間隔」という)を調整した状態で当該両側のリードを前記回路基板の挿入孔に挿入するように構成され、更に、前記各チャック爪の先端には、それぞれ閉じ動作時に各リードに当接する当接部が回転可能に設けられ、各リードの変形に合わせて各当接部の角度が変化するように構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
この構成では、リード挿入型部品の両側のリードをそれらの外側からチャック装置の2つのチャック爪で挟んでピックアップする際に、当該2つのチャック爪の閉じ量を調整することで当該2つのチャック爪で挟んだ当該両側のリードを各チャック爪の閉じ方向に変形させてリード間隔を調整するようにしているため、チャック装置の2つのチャック爪でリード挿入型部品の両側のリードを挟んでピックアップする動作を利用してリード間隔を調整することができる。このため、リード挿入型部品のピックアップ後にはリード間隔を調整する動作を行う必要がなく、リード間隔の調整によるサイクルタイムの遅延を防ぐことができ、生産性を向上できる。しかも、チャック爪の閉じ動作でリード間隔を調整するため、専用のリード矯正装置をチャック装置に設ける必要がなく、チャック装置の大型化、重量増加、高価格化を回避することができる。
【0009】
この場合、各チャック爪の先端には、それぞれ閉じ動作時に各リードに当接する当接部を回転可能に設け、各リードの変形に合わせて各当接部の角度が変化するように構成しているため、各チャック爪の先端部分がリードに片当たりすることを防止できて、各チャック爪の閉じ動作中及びその後でも、各チャック爪の当接部と各リードとの接触面積をほぼ一定に保つことができる。これにより、リード間隔を安定して調整できると共に、ピックアップしたリード挿入型部品を安定して保持して回路基板の上方へ搬送でき、搬送中のリード挿入型部品の脱落や位置ずれを防止できる。
【0010】
ところで、2つのチャック爪で両側のリードを挟む際に、リードの形状、材質、剛性等によっては、そのリードの弾性力によってリード挿入型部品が浮き上がってリード挿入型部品の把持位置がずれる可能性がある。
【0011】
この対策として、前記チャック装置は、前記2つのチャック爪でリード挿入型部品の両側のリードを挟む際に当該リード挿入型部品のボディ部分を上方から押さえる押さえ部材と、前記押さえ部材を下方に付勢する弾性部材とを備えた構成としても良い。このようにすれば、2つのチャック爪で両側のリードを挟む際に、そのリードの弾性力によりリード挿入型部品が浮き上がることを、弾性部材で下方に付勢された押さえ部材によって防止することができ、リード挿入型部品の把持位置がずれることを防止でき、リード間隔を安定して調整できる。
【0012】
また、前記チャック装置でピックアップした前記リード挿入型部品を撮像するカメラを備え、前記制御装置は、前記カメラで撮像した画像を処理して前記リード挿入型部品のリード間隔を測定して、当該リード間隔の測定値が許容ばらつき範囲内であるか否かを判定し、当該リード間隔の測定値が当該許容ばらつき範囲から外れている場合には、リード間隔調整不良と判断して当該リード挿入型部品を回収するようにしても良い。このようにすれば、リード間隔調整不良が発生した場合には、当該リード間隔調整不良のリード挿入型部品を回収することができ、リード間隔調整不良による装着不良を未然に防止できる。
【0013】
この場合、前記カメラは、前記チャック装置でピックアップした前記リード挿入型部品を下方又は横方向から撮像する部品撮像用カメラを使用して、前記制御装置は、前記カメラで撮像した画像を処理して前記リード挿入型部品のピックアップ姿勢を認識する際に前記リード間隔を測定するようにすると良い。このようにすれば、リード挿入型部品のピックアップ姿勢を認識する画像処理の過程でリード間隔も測定できるため、リード間隔の撮像や画像処理を単独で行う必要がなく、リード間隔の撮像や画像処理によるサイクルタイムの遅延を防止することができる。
【0014】
また、前記制御装置は、生産中に前記リード間隔調整不良の連続発生回数又は発生頻度が所定値を超えたときに当該リード間隔調整不良発生時のリード間隔の測定値に基づいて前記2つのチャック爪の閉じ量の指示値を修正するようにしても良い。例えば、生産中にリード間隔の測定値が許容ばらつき範囲よりも大きくなる傾向があれば、2つのチャック爪の閉じ量を大きくするようにその指示値を修正し、その反対に、リード間隔の測定値が許容ばらつき範囲よりも小さくなる傾向があれば、2つのチャック爪の閉じ量を小さくするようにその指示値を修正すれば良い。これにより、生産中に2つのチャック爪の閉じ量の指示値を随時修正することができ、リード間隔調整不良の発生頻度を少なくすることができる。
【0015】
2つのチャック爪の閉じ量の指示値を修正する場合は、リード間隔の測定値が許容ばらつき範囲よりも大きいか小さいかで、指示値を所定値ずつ増加又は減少させるようにしても良いが、この場合は、生産中の指示値の修正回数が増える可能性がある。
【0016】
そこで、リード間隔調整不良発生時のリード間隔の測定値を統計処理して、その統計処理値を用いて2つのチャック爪の閉じ量の指示値を修正するようにしても良い。ここで、統計処理値は、例えば、平均値、中央値、最頻値等のいずれかであり、この統計処理値と許容ばらつき範囲(上限値、下限値、中央値等)との差分に応じて2つのチャック爪の閉じ量の指示値を修正するようにしても良い。このようにすれば、リード間隔調整不良発生時のリード間隔の測定値と許容ばらつき範囲との大小関係と両者の差分とに応じて1回の修正当たりの指示値の修正量を適正化することができ、生産中の指示値の修正回数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は一実施例における部品挿入機のシステム構成を示すブロック図である。
図2図2は2つのチャック爪を開いた状態でチャック装置をリード挿入型部品の上方へ移動させる動作を説明する図である。
図3図3図2の状態からチャック装置を下降させて押さえ部材をリード挿入型部品のボディ部分に押し当てる動作を説明する図である。
図4図4図3の状態からチャック爪を閉じ始めるときの状態を説明する図である。
図5図5図4の状態から更にチャック爪を閉じてリードを変形させる動作を説明する図である。
図6図6図5の状態から更にチャック爪を閉じてリード間隔調整を完了した状態を示す図である。
図7図7図6の状態からリード挿入型部品をピックアップして撮像位置へ搬送した状態を示す図である。
図8図8は部品供給装置によって供給されるリード挿入型部品の両側のリード先端の間隔とそのリードを挿入する回路基板の挿入孔の大小関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、一実施例を説明する。
まず、図1乃至図8を用いて部品挿入機のシステム構成を説明する。
【0019】
部品挿入機には、リード挿入型部品11を供給する部品供給装置12がセットされている。この部品供給装置12は、例えば、スティックフィーダ、トレイフィーダ、テープフィーダのいずれかであり、図2乃至図7に示すように、供給するリード挿入型部品11のボディ部分11aを載置する載置部13が凸状に形成され、当該載置部13の両側の凹部14に当該リード挿入型部品11の両側のリード15が収容されていると共に、当該リード15の先端が当該凹部14の底面に接触しないように当該載置部13の高さが形成されている。
【0020】
リード挿入型部品11のボディ部分11aを載置部13上に載置した状態で両側のリード15先端の間隔(以下「リード間隔」という)を調整することを考慮して、当該載置部13の横幅は、図6に示すように、調整後のリード間隔よりも少し狭くなるように形成されている。図8に示すように、部品供給装置12によって供給されるリード挿入型部品11の調整前のリード間隔は、両側のリード15を挿入する回路基板16の挿入孔17の間隔よりも広くなるように形成されている。尚、リード挿入型部品11のリード15の本数は、片側1本ずつの合計2本であっても良いし、片側複数本ずつの合計4本以上であっても良い。
【0021】
部品供給装置12がスティックフィーダの場合には、リード挿入型部品11をピックアップ位置へ搬送する部品搬送通路の中央部分に沿って載置部13が部品搬送方向に延びるように形成され、この載置部13の両側面と部品搬送通路の両側面との隙間が凹部14となっている。部品供給装置12がトレイフィーダの場合には、複数のリード挿入型部品11を載置するトレイに、リード挿入型部品11毎に載置部13が1個ずつ形成され、各載置部13の両側が凹部14となっている。部品供給装置12がテープフィーダの場合には、リード挿入型部品11を所定ピッチで配列して包装した部品供給テープの各部品収容凹部の中央部分に載置部13が1個ずつ形成され、各載置部13の両側面と各部品収容凹部の両側面との隙間が凹部14となっている。
【0022】
部品挿入機は、回路基板16を搬送する基板搬送装置21と、後述するチャック装置31を交換可能に保持する装着ヘッド(図示せず)をXY方向(前後左右方向)とZ方向(上下方向)に移動させるヘッド移動装置22と、チャック装置31でピックアップしたリード挿入型部品11全体を下方から撮像する部品撮像用カメラ23と、回路基板16の基準位置マーク等を上方から撮像するマーク撮像用カメラ24とを備えている。部品撮像用カメラ23は、部品挿入機の所定位置に上向きに固定されている。或は、部品撮像用カメラ23を装着ヘッド側に横向きに取り付けて、チャック装置31でピックアップしたリード挿入型部品11全体を横方向から撮像するようにしても良い。マーク撮像用カメラ24は、装着ヘッド側に下向きに取り付けられ、装着ヘッドと一体的に移動する。
【0023】
部品挿入機の制御装置25は、コンピュータを主体として構成され、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置26と、液晶ディスプレイ、CRT等の表示装置27と、部品挿入機制御用の各種プログラムや後述するリード間隔の指示値等の各種データ等を記憶した記憶装置28等が接続されている。
【0024】
チャック装置31は、部品供給装置12により供給されるリード挿入型部品11の両側のリード15をそれらの外側から挟んでピックアップする2つのチャック爪32と、2つのチャック爪32の開閉動作を駆動する開閉駆動装置33(図1参照)と、2つのチャック爪32でリード挿入型部品11の両側のリード15を挟む際に当該リード挿入型部品11のボディ部分11aを上方から押さえて載置部13から浮き上がるのを防ぐ押さえ部材34と、この押さえ部材34を下方に付勢するばね等の弾性部材35とを備えた構成となっている。押さえ部材34は、チャック装置31に上下動可能に組み付けられ、この押さえ部材34を下方に付勢する弾性部材35の弾性力は、2つのチャック爪32でリード挿入型部品11の両側のリード15を挟んでピックアップした状態で弾性部材35の押し下げ力によりリード挿入型部品11がチャック爪32から押し出されないように設定されている。
【0025】
各チャック爪32の先端には、それぞれ閉じ動作時に各リード15に当接する当接部36が軸37を中心に回転可能に設けられ、閉じ動作時に各リード15の変形に合わせて各当接部36の角度が変化するように構成されている。
【0026】
チャック装置31の開閉駆動装置33は、例えばボールねじ装置によって構成され、制御装置25からの指示に従って2つのチャック爪32の閉じ量を調整するように構成されている。制御装置25は、チャック装置31の開閉駆動装置33に対して2つのチャック爪32の閉じ量を指示して当該2つのチャック爪32の閉じ量を調整することで当該2つのチャック爪32で挟んだリード挿入型部品11の両側のリード15を各チャック爪32の閉じ方向に変形させて当該両側のリード15先端の当接部36の間隔(以下「両側のリード15先端の当接部36の間隔」を「リード間隔」という)を調整する。チャック爪32の閉じ量の指示値は、リード挿入型部品11の種類毎に設定され、記憶装置28に記憶されている。
【0027】
次に、部品挿入機の稼働中(生産中)の動作を説明する。
部品挿入機の制御装置25は、基板搬送装置21を動作させて回路基板16を所定位置まで搬入してクランプ装置(図示せず)でクランプし、マーク撮像用カメラ24で回路基板16の基準位置マークを上方から撮像して、その画像を処理して基準位置マークの位置を認識し、その基準位置マークの位置を基準にして回路基板16の挿入孔17の位置(XY座標)を算出する。
【0028】
部品挿入機の制御装置25は、ヘッド移動装置22の動作を制御して、部品供給装置12によってピックアップ位置に供給されるリード挿入型部品11の上方へチャック装置31を移動させる。この際、図2に示すように、チャック装置31は、2つのチャック爪32が開いた状態に維持される。この状態から、制御装置25は、図3に示すように、チャック装置31を下降させて、弾性部材35によって下方に付勢された押さえ部材34をリード挿入型部品11のボディ部分11aの上面に軽く押し当てて、リード挿入型部品11のボディ部分11aを載置部13の上面に軽く押さえ付けた状態にする。
【0029】
この状態から、制御装置25は、チャック装置31の開閉駆動装置33に対して2つのチャック爪32の閉じ量を指示してチャック爪32の閉じ動作を開始する。この閉じ動作により、図4に示すように、まず、チャック爪32先端の当接部36の一部(図4の例では先端)がリード15の側面に当たる。その後、図5に示すように、チャック爪32が閉じるに従って、チャック爪32先端の当接部36が軸37を中心に回転して当接部36の側面がリード15の側面に面当たりした状態になる。
【0030】
この状態を維持しながら、図6に示すように、2つのチャック爪32が閉じるに従って、両側のリード15がチャック爪32の閉じ方向に変形されてリード間隔が狭められる。この際、各リード15の変形に合わせて各当接部36の角度が変化して各当接部36の側面が各リード15の側面に面当たりした状態が維持される。各リード15を変形させる際に、そのリード15の弾性力によってリード挿入型部品11が載置部13から浮き上がろうとするが、弾性部材35によって下方に付勢された押さえ部材34がリード挿入型部品11のボディ部分11aを上方から押さえ付けているため、リード挿入型部品11が載置部13から浮き上がることが押さえ部材34の押さえ力によって防止され、リード挿入型部品11の把持位置がずれることが防止される。
【0031】
そして、リード15の閉じ量が指示値になった時点でリード15の閉じ動作を終了する。この後、制御装置25は、リード挿入型部品11を掴んだチャック装置31を上昇させてリード挿入型部品11を載置部13からピックアップした後、図7に示すように、チャック装置31を部品撮像用カメラ23の上方へ移動させて、チャック装置31でピックアップしたリード挿入型部品11全体の下面画像を下方から部品撮像用カメラ23で撮像する。尚、部品撮像用カメラ23が装着ヘッド側に横向きに取り付けられている場合は、載置部13からピックアップしたリード挿入型部品11を回路基板16の上方へ搬送する途中でリード挿入型部品11全体の側面画像を横方向から撮像すれば良い。
【0032】
制御装置25は、部品撮像用カメラ23で撮像した画像を処理して、リード挿入型部品11のピックアップ姿勢を認識すると共に、リード間隔を測定する。その後、制御装置25は、リード間隔の測定値が許容ばらつき範囲内であるか否かを判定し、当該リード間隔の測定値が当該許容ばらつき範囲から外れている場合には、リード間隔調整不良と判断して当該リード挿入型部品11を回路基板16に装着せずに回収する。ここで、許容ばらつき範囲は、リード挿入型部品11の両側のリード15を回路基板16の挿入孔17に挿入可能なリード間隔のばらつき範囲に相当し、事前にリード間隔の測定誤差、回路基板16の製造公差、部品挿入機の動作精度等を考慮して許容ばらつき範囲が設定され、記憶装置28に記憶されている。このように、リード間隔の測定値が許容ばらつき範囲から外れている場合に、リード間隔調整不良と判断してリード挿入型部品11を回収するようにすれば、リード間隔調整不良による装着不良を未然に防止できる。
【0033】
制御装置25は、リード間隔の測定値が許容ばらつき範囲内であれば、リード挿入型部品11を掴んだチャック装置31を回路基板16の上方へ移動させて、当該リード挿入型部品11の両側のリード15の先端を回路基板16の挿入孔17の真上に位置させるように位置決めした後、当該チャック装置31を下降させて当該リード挿入型部品11の両側のリード15を回路基板16の挿入孔17に挿入する。この後、制御装置25は、チャック装置31の2つのチャック爪32を開いてリード挿入型部品11を解放して当該チャック装置31を上昇させて部品供給装置12のピックアップ位置の上方へ移動させる。この際、2つのチャック爪32を開くと、リード挿入型部品11の両側のリード15がスプリングバックにより外側に開いて回路基板16の挿入孔17の縁部に圧接した状態となり、その圧接力によりリード15が挿入孔17から抜止めされる。以後、上述したリード挿入型部品11のピックアップ(リード間隔の調整)から回路基板16への装着までの動作を繰り返す。
【0034】
制御装置25は、生産中にリード間隔調整不良の連続発生回数又は発生頻度を監視してリード間隔調整不良の連続発生回数又は発生頻度が所定値を超えたときに、当該リード間隔調整不良発生時のリード間隔の測定値に基づいて2つのチャック爪32の閉じ量の指示値を修正する。例えば、生産中にリード間隔の測定値が許容ばらつき範囲よりも大きくなる傾向があれば、2つのチャック爪32の閉じ量を大きくするようにその指示値を修正し、その反対に、リード間隔の測定値が許容ばらつき範囲よりも小さくなる傾向があれば、2つのチャック爪32の閉じ量を小さくするようにその指示値を修正する。これにより、生産中に2つのチャック爪32の閉じ量の指示値を随時修正することができ、リード間隔調整不良の発生頻度を少なくすることができる。
【0035】
2つのチャック爪32の閉じ量の指示値を修正する場合は、リード間隔の測定値が許容ばらつき範囲よりも大きいか小さいかで、指示値を所定値ずつ増加又は減少させるようにしても良いが、この場合は、生産中の指示値の修正回数が増える可能性がある。
【0036】
そこで、本実施例では、リード間隔調整不良発生時のリード間隔の測定値を統計処理して、その統計処理値を用いて2つのチャック爪32の閉じ量の指示値を修正するようにしている。ここで、統計処理値は、例えば、平均値、中央値、最頻値等のいずれかであり、この統計処理値と許容ばらつき範囲(上限値、下限値、中央値等)との差分に応じて2つのチャック爪32の閉じ量の指示値を修正するようにしている。例えば、統計処理値と許容ばらつき範囲との差分に所定の修正係数を乗算して修正量を求め、2つのチャック爪32の閉じ量の指示値を上記修正量で修正するようにしても良い。このようにすれば、リード間隔調整不良発生時のリード間隔の測定値と許容ばらつき範囲との大小関係と両者の差分とに応じて1回の修正当たりの指示値の修正量を適正化することができ、生産中の指示値の修正回数を減らすことができる。
【0037】
ところで、許容ばらつき範囲を大きめに設定すると、生産中にリード間隔調整不良と判定される頻度は少なくなるが、リード挿入型部品11のリード15を回路基板16の挿入孔17に挿入できない装着不良が発生する頻度が増加する。そこで、生産中に装着不良の連続発生回数又は発生頻度を監視して装着不良の連続発生回数又は発生頻度が所定値を超えたときに、許容ばらつき範囲を狭めるように修正しても良い。このようにすれば、生産中に許容ばらつき範囲を適正化でき、装着不良の発生率を低減することができる。
【0038】
以上説明した本実施例によれば、リード挿入型部品11の両側のリード15をそれらの外側からチャック装置31の2つのチャック爪32で挟んでピックアップする際に、当該2つのチャック爪32の閉じ量を調整することで当該2つのチャック爪32で挟んだ当該両側のリード15を各チャック爪32の閉じ方向に変形させてリード間隔を調整するようにしているため、チャック装置31の2つのチャック爪32でリード挿入型部品11の両側のリード15を挟んでピックアップする動作を利用してリード間隔を調整することができる。このため、リード挿入型部品11のピックアップ後にはリード間隔を調整する動作を行う必要がなく、リード間隔の調整によるサイクルタイムの遅延を防ぐことができ、生産性を向上できる。しかも、チャック爪32の閉じ動作でリード間隔を調整するため、専用のリード矯正装置をチャック装置31に設ける必要がなく、チャック装置31の大型化、重量増加、高価格化を回避することができる。
【0039】
更に、本実施例では、各チャック爪32の先端に、それぞれ閉じ動作時に各リード15に当接する当接部36を回転可能に設け、各リード15の変形に合わせて各当接部36の角度が変化するように構成したので、各チャック爪32の先端部分が各リード15に片当たりすることを防止できて、各チャック爪32の閉じ動作中及びその後でも、各チャック爪32の当接部36と各リード15との接触面積をほぼ一定に保つことができる。これにより、リード間隔を安定して調整できると共に、ピックアップしたリード挿入型部品11を安定して保持して回路基板16の上方へ搬送でき、搬送中のリード挿入型部品11の脱落や位置ずれを防止できる。
【0040】
但し、本発明は、当接部36を省略して、各チャック爪32の先端部分の形状をリード間隔調整とピックアップを行いやすい形状にするようにしても良い。
【0041】
また、本実施例では、リード間隔の測定に用いるカメラとして、チャック装置31でピックアップしたリード挿入型部品11を下方(又は横方向)から撮像する部品撮像用カメラ23を使用するようにしているため、リード挿入型部品11のピックアップ姿勢を認識する画像処理の過程でリード間隔も測定することができ、リード間隔の撮像や画像処理を単独で行う必要がなく、リード間隔の撮像や画像処理によるサイクルタイムの遅延を防止することができる。
【0042】
但し、本発明は、部品撮像用カメラ23とは別に、リード間隔を撮像するための専用のカメラを設置した構成としても良い。
【0043】
その他、本発明は、上記実施例に限定されず、例えば、チャック装置31の構成、チャック爪32の形状や当接部36の形状等を適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0044】
11…リード挿入型部品、11a…ボディ部分、12…部品供給装置、13…載置部、14…凹部、15…リード、16…回路基板、17…挿入孔、23…部品撮像用カメラ、25…制御装置、31…チャック装置、32…チャック爪、33…開閉駆動装置、34…押さえ部材、35…弾性部材、36…当接部
図1
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