特許第6857075号(P6857075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6857075圧縮空気貯蔵発電装置及び圧縮空気貯蔵発電方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857075
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】圧縮空気貯蔵発電装置及び圧縮空気貯蔵発電方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 6/16 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
   F02C6/16
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-83148(P2017-83148)
(22)【出願日】2017年4月19日
(65)【公開番号】特開2018-178946(P2018-178946A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】松隈 正樹
(72)【発明者】
【氏名】猿田 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】松尾 裕治
(72)【発明者】
【氏名】坂本 佳直美
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−034211(JP,A)
【文献】 特開2016−205439(JP,A)
【文献】 特開2016−121675(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/185906(WO,A1)
【文献】 特開2016−153656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 1/02
F02C 6/16
F17C 1/00−13/12
H02J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電力により駆動されるモータと、
前記モータと機械的に接続され、空気を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機と流体的に接続され、前記圧縮機により圧縮された圧縮空気を貯蔵する複数の蓄圧タンクと、
前記蓄圧タンクに設けられ、前記蓄圧タンクの圧力を測定する複数の圧力センサと、
前記蓄圧タンクと流体的に接続され、前記蓄圧タンクから供給された圧縮空気によって駆動される膨張機と、
前記膨張機と機械的に接続された発電機と、
前記圧力センサによって測定された各前記蓄圧タンクの圧力に基づいて、充電を行う場合には前記圧縮空気を貯蔵する前記蓄圧タンクの順番を、充電効率を高めるように決定し、放電を行う場合には前記膨張機に前記圧縮空気を供給する前記蓄圧タンクの順番を、放電効率を高めるように決定する制御部と
を備える、圧縮空気貯蔵発電装置。
【請求項2】
前記制御部は、所定の基準圧力よりも低い圧力を有する前記蓄圧タンクのうち、圧力が高い前記蓄圧タンクから順番に前記圧縮空気を貯蔵する、請求項1に記載の圧縮空気貯蔵発電装置。
【請求項3】
前記制御部は、複数の前記蓄圧タンクのうち圧力が高い前記蓄圧タンクから順番に前記膨張機に前記圧縮空気を供給する、請求項1に記載の圧縮空気貯蔵発電装置。
【請求項4】
各前記蓄圧タンクは、貯蔵側弁を含む貯蔵流路によって前記圧縮機と流体的に接続され、放出側弁を含む放出流路によって前記膨張機と流体的に接続されており、
前記制御部は、充電を行う場合には、前記圧縮空気を貯蔵する順番に基づいて前記貯蔵側弁を開閉し、放電を行う場合には、前記膨張機に前記圧縮空気を供給する順番に基づいて前記放出側弁を開閉する、請求項1から3のいずれか1項に記載の圧縮空気貯蔵発電装置。
【請求項5】
前記制御部は、複数の前記蓄圧タンクのうち圧力が高い前記蓄圧タンクから順番に前記膨張機に前記圧縮空気を供給する際、前記圧縮空気を前記膨張機に供給中の第1の蓄圧タンクの第1の圧力と、前記圧縮空気を前記膨張機に供給していない第2の蓄圧タンクの第2の圧力とを比較し、前記第1の圧力が前記第2の圧力に達したとき、前記第1の蓄圧タンク及び前記第2の蓄圧タンクから前記圧縮空気を前記膨張機に供給する、請求項3に記載の圧縮空気貯蔵発電装置。
【請求項6】
入力電力により駆動されるモータと、
前記モータと機械的に接続され、空気を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機と流体的に接続され、前記圧縮機により圧縮された圧縮空気を貯蔵する複数の蓄圧タンクと、
前記蓄圧タンクに設けられ、前記蓄圧タンクの圧力を測定する複数の圧力センサと、
前記蓄圧タンクと流体的に接続され、前記蓄圧タンクから供給された圧縮空気によって駆動される膨張機と、
前記膨張機と機械的に接続された発電機と
を備える圧縮空気貯蔵発電装置の圧縮空気貯蔵発電方法において、
前記圧力センサによって測定された各前記蓄圧タンクの圧力に基づいて、充電を行う場合には前記圧縮空気を貯蔵する前記蓄圧タンクの順番を、充電効率を高めるように決定し、放電を行う場合には前記膨張機に前記圧縮空気を供給する前記蓄圧タンクの順番を、放電効率を高めるように決定するように制御する、圧縮空気貯蔵発電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気貯蔵発電装置及び圧縮空気貯蔵発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の圧縮空気貯蔵発電装置は、少なくとも2つの容量の異なるタンクを有している。長周期と短周期の各変動電力に対して容量の異なるタンクをそれぞれ使用し、長周期と短周期の各変動電力を平準化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−34211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧縮空気貯蔵発電装置の充放電効率は、充電又は放電に使用する蓄圧タンクの圧縮空気の貯蔵量によって変化する。しかし、特許文献1では、充電又は放電に使用する蓄圧タンクを選択する際に、蓄圧タンクの圧縮空気の貯蔵量は考慮されていない。
【0005】
本発明は、充放電効率を向上できる圧縮空気貯蔵発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、入力電力により駆動されるモータと、前記モータと機械的に接続され、空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機と流体的に接続され、前記圧縮機により圧縮された圧縮空気を貯蔵する複数の蓄圧タンクと、前記蓄圧タンクに設けられ、前記蓄圧タンクの圧力を測定する複数の圧力センサと、前記蓄圧タンクと流体的に接続され、前記蓄圧タンクから供給された圧縮空気によって駆動される膨張機と、前記膨張機と機械的に接続された発電機と、前記圧力センサによって測定された各前記蓄圧タンクの圧力に基づいて、充電を行う場合には前記圧縮空気を貯蔵する前記蓄圧タンクの順番を、充電効率を高めるように決定し、放電を行う場合には前記膨張機に前記圧縮空気を供給する前記蓄圧タンクの順番を、放電効率を高めるように決定する制御部とを備える、圧縮空気貯蔵発電装置を提供する。
【0007】
複数の蓄圧タンクのそれぞれが圧縮機と膨張機に流体的に接続されているため、それぞれの蓄圧タンクについて充電又は放電に使用するかどうかを決定できる。また、それぞれの蓄圧タンクには、圧力センサが設けられているため、それぞれの蓄圧タンクについて圧縮空気の貯蔵量がわかる。このため、充電又は放電に使用する蓄圧タンクを各蓄圧タンクの圧力に基づいて決定することで、圧縮空気貯蔵発電装置全体の充放電効率に関わらず、充放電効率を向上できる。
【0008】
また、複数の蓄圧タンクのそれぞれは、圧縮機と膨張機に流体的に接続されているため、圧縮空気貯蔵発電装置全体と同様の圧縮空気の貯蔵容量を有する1つの蓄圧タンクを使用する場合と比較して、1つの蓄圧タンク当たりの圧縮空気の貯蔵容量を低減できる。このため、大容量の蓄圧タンクを製造する必要がなく、輸送も容易になるため、圧縮空気貯蔵発電装置のコストを低減できる。さらに、圧縮空気貯蔵発電装置全体を停止させることなく、個々の蓄圧タンクを修理又は交換できる。
【0009】
前記制御部は、所定の基準圧力よりも低い圧力を有する前記蓄圧タンクのうち、圧力が高い前記蓄圧タンクから順番に前記圧縮空気を貯蔵してもよい。
【0010】
複数の蓄圧タンクのうち、圧力を基準圧力に到達させるために必要な圧縮空気の量が少ないものから順番に圧縮空気を貯蔵することで、短時間で圧縮空気の貯蔵が完了する。このため、短時間でより多くの基準圧力を有する蓄圧タンクが得られる。ここで、所定の基準圧力とは、蓄圧タンクの圧縮空気の貯蔵量が適切であり、効率良く充電可能な状態の蓄圧タンクが示す圧力である。
【0011】
前記制御部は、複数の前記蓄圧タンクのうち圧力が高い前記蓄圧タンクから順番に使用して前記膨張機に前記圧縮空気を供給してもよい。
【0012】
各前記蓄圧タンクは、貯蔵側弁を含む貯蔵流路によって前記圧縮機と流体的に接続されてもよく、放出側弁を含む放出流路によって前記膨張機と流体的に接続されてもよく、前記制御部は、充電を行う場合には、前記圧縮空気を貯蔵する順番に基づいて前記貯蔵側弁を開閉してもよく、放電を行う場合には、前記膨張機に前記圧縮空気を供給する順番に基づいて前記放出側弁を開閉してもよい
また、前記制御部は、複数の前記蓄圧タンクのうち圧力が高い前記蓄圧タンクから順番に前記膨張機に前記圧縮空気を供給する際、前記圧縮空気を前記膨張機に供給中の第1の蓄圧タンクの第1の圧力と、前記圧縮空気を前記膨張機に供給していない第2の蓄圧タンクの第2の圧力とを比較し、前記第1の圧力が前記第2の圧力に達したとき、前記第1の蓄圧タンク及び前記第2の蓄圧タンクから前記圧縮空気を前記膨張機に供給してもよい。
【0013】
本発明の他の態様によれば、入力電力により駆動されるモータと、前記モータと機械的に接続され、空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機と流体的に接続され、前記圧縮機により圧縮された圧縮空気を貯蔵する複数の蓄圧タンクと、前記蓄圧タンクに設けられ、前記蓄圧タンクの圧力を測定する複数の圧力センサと、前記蓄圧タンクと流体的に接続され、前記蓄圧タンクから供給された圧縮空気によって駆動される膨張機と、前記膨張機と機械的に接続された発電機とを備える圧縮空気貯蔵発電装置の圧縮空気貯蔵発電方法において、前記圧力センサによって測定された各前記蓄圧タンクの圧力に基づいて、充電を行う場合には前記圧縮空気を貯蔵する前記蓄圧タンクの順番を、充電効率を高めるように決定し、放電を行う場合には前記膨張機に前記圧縮空気を供給する前記蓄圧タンクの順番を、放電効率を高めるように決定するように制御する、圧縮空気貯蔵発電方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の圧縮空気貯蔵発電装置では、充放電効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る圧縮空気貯蔵発電装置の模式的な系統図。
図2図1の蓄圧タンク群の模式的な構成図。
図3】圧縮空気貯蔵発電方法の充電方法のフローチャート。
図4】圧縮空気貯蔵発電方法の発電方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る圧縮空気貯蔵発電装置を説明する。
【0017】
図1を参照すると、圧縮空気貯蔵発電装置1は、外部発電装置2及び電力系統3と電気的に接続されている(破線参照)。外部発電装置2は、風力発電装置又は太陽光発電装置のような自然エネルギを利用した発電装置である。
【0018】
本実施形態の圧縮空気貯蔵発電装置1は、圧縮機10と、4つの蓄圧タンク群(蓄圧タンク)20A,20B,20C,20Dと、膨張機30と、制御部40とを備える。圧縮機10と4つの蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dとは、貯蔵流路50によってそれぞれ流体的に接続されている。膨張機30と4つの蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dとは、放出流路60によってそれぞれ流体的に接続されている。
【0019】
圧縮機10は、モータ11と機械的に接続されており、モータ11によって駆動される。圧縮機10の吐出口10aは、貯蔵流路50によって蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dとそれぞれ流体的に接続されている。圧縮機10は、モータ11によって駆動されると吸気口10bから空気を吸気し、圧縮して吐出口10aより貯蔵流路50に吐出する。
【0020】
モータ11は、外部発電装置2に電気的に接続されており、外部発電装置2から供給される電力(入力電力)により駆動される。
【0021】
蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dは、放出流路60によって膨張機30と流体的に接続されている。図2を参照すると、蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dは、3つの蓄圧タンク24A,24B,24Cを備える。蓄圧タンク24A,24B,24Cは、圧縮機10から吐出された圧縮空気を貯蔵する。また、蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dは、圧力センサ21A,21B,21C,21Dをそれぞれ備える。圧力センサ21A,21B,21C,21Dは、蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dの圧力をそれぞれ測定する。
【0022】
膨張機30は、発電機31と機械的に接続されている。膨張機30の給気口30aから圧縮空気を給気された膨張機30は、給気された圧縮空気により作動し、発電機31を駆動する。すなわち、膨張機30は、蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dに貯蔵していた圧縮空気を膨張させて発電に利用している。
【0023】
発電機31は、電力系統3に電気的に接続されており、発電機31で発電した電力(発電電力)は、電力系統3に供給される。
【0024】
貯蔵流路50には、貯蔵側弁22A,22B,22C,22Dが設けられている。貯蔵側弁22A,22B,22C,22Dは、開閉することで、蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dへの圧縮空気の貯蔵を許容又は防止する。
【0025】
放出流路60には、放出側弁23A,23B,23C,23Dが設けられている。放出側弁23A,23B,23C,23Dは、開閉することで、蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dから膨張機30への圧縮空気の供給を許容又は防止する。
【0026】
制御部40は、圧力センサ21A,21B,21C,21Dと、貯蔵側弁22A,22B,22C,22Dと、放出側弁23A,23B,23C,23Dと電気的に接続されている(一点鎖線参照)。制御部40は、圧力センサ21A,21B,21C,21Dによって測定された蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dの圧力に基づいて、充電を行う場合には、圧縮空気を貯蔵する蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dの順番を決定する。また、制御部40は、圧力センサ21A,21B,21C,21Dによって測定された蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dの圧力に基づいて、放電を行う場合には、膨張機30に圧縮空気を供給する蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dの順番を決定する。制御部40は、貯蔵側弁22A,22B,22C,22D及び放出側弁23A,23B,23C,23Dの開閉を制御し、圧縮空気の貯蔵又は放出を行う蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dを切り替える。
【0027】
蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dは、圧縮機10と膨張機30に流体的に接続されているため、それぞれの蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dについて充電又は放電に使用するかどうかを決定できる。また、それぞれの蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dには、圧力センサ21A,21B,21C,21Dが設けられているため、それぞれの蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dについて圧縮空気の貯蔵量がわかる。このため、充電又は放電に使用する蓄圧タンク群を各蓄圧タンク群の圧力に基づいて決定することで、圧縮空気貯蔵発電装置1全体の充放電効率に関わらず、充放電効率を向上できる。
【0028】
また、蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dは、圧縮機10と膨張機30に流体的に接続されているため、圧縮空気貯蔵発電装置1全体の圧縮空気の貯蔵容量と同様の圧縮空気の貯蔵容量を有する1つの蓄圧タンクを使用する場合と比較して、1つの蓄圧タンク当たりの圧縮空気の貯蔵容量を低減できる。このため、大容量の蓄圧タンクを製造する必要がなく、輸送も容易になるため、圧縮空気貯蔵発電装置のコストを低減できる。さらに、圧縮空気貯蔵発電装置全体を停止させることなく、個々の蓄圧タンクを修理又は交換できる。
【0029】
以下、図3及び図4を参照して、本実施形態に係る圧縮空気貯蔵発電装置1の圧縮空気貯蔵発電方法について説明する。
【0030】
(充電方法)
図3を参照して、本実施形態の圧縮空気貯蔵発電装置1の充電方法を説明する。圧縮空気貯蔵発電装置1は、外部発電装置2から入力電力が供給されると、充電を開始する。
【0031】
まず、制御部40は、蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dの圧力Pa,Pb,Pc,Pdを圧力センサ21A,21B,21C,21Dから取得する(ステップS1)。
【0032】
次に、ステップS1で取得した蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dの圧力Pa,Pb,Pc,Pdに基づいて圧縮空気を貯蔵する蓄圧タンク群の順番を決定する(ステップS2)。具体的には、蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dの圧力Pa,Pb,Pc,Pdを比較して、圧力Pa,Pb,Pc,Pdの大小関係を判断する。圧力Pa,Pb,Pc,Pdのうち、高いものから圧力P1,P2,P3,P4とし、圧力P1,P2,P3,P4を有する蓄圧タンク群をそれぞれ蓄圧タンク群T1,T2,T3,T4とする。圧縮空気の貯蔵は、蓄圧タンク群T1,T2,T3,T4の順番で行う。つまり、高い圧力を有する蓄圧タンク群から順番に圧縮空気を貯蔵する。
【0033】
蓄圧タンク群T1の圧力P1と所定の基準圧力Pとの大小関係を判断し(ステップS3)、蓄圧タンク群T1の圧力P1が所定の基準圧力P以下であれば、蓄圧タンク群T1に圧縮空気を貯蔵する(ステップS31)。ここで、所定の基準圧力Pとは、蓄圧タンク群の圧縮空気の貯蔵量が適切であり、効率良く充電可能な状態の蓄圧タンク群が示す圧力である。
【0034】
圧縮空気の貯蔵により、蓄圧タンク群T1の圧力P1が基準圧力Pに達した場合、又は最初から基準圧力Pよりも大きい場合は、ステップS4に進む。
【0035】
蓄圧タンク群T2の圧力P2と所定の基準圧力Pとの大小関係を判断し(ステップS4)、蓄圧タンク群T2の圧力P2が所定の基準圧力P以下であれば、蓄圧タンク群T2に圧縮空気を貯蔵する(ステップS41)。
【0036】
圧縮空気の貯蔵により、蓄圧タンク群T2の圧力P2が基準圧力Pに達した場合、又は最初から基準圧力Pよりも大きい場合は、ステップS5に進む。
【0037】
蓄圧タンク群T3の圧力P3と所定の基準圧力Pとの大小関係を判断し(ステップS5)、蓄圧タンク群T3の圧力P3が所定の基準圧力P以下であれば、蓄圧タンク群T3に圧縮空気を貯蔵する(ステップS51)。
【0038】
圧縮空気の貯蔵により、蓄圧タンク群T3の圧力P3が基準圧力Pに達した場合、又は最初から基準圧力Pよりも大きい場合は、ステップS6に進む。
【0039】
蓄圧タンク群T4の圧力P4と所定の基準圧力Pとの大小関係を判断し(ステップS6)、蓄圧タンク群T4の圧力P4が所定の基準圧力P以下であれば、蓄圧タンク群T4に圧縮空気を貯蔵する(ステップS61)。
【0040】
圧縮空気の貯蔵により、蓄圧タンク群T4の圧力P4が基準圧力Pに達した場合、又は最初から基準圧力Pよりも大きい場合は、充電を終了する。すなわち、全ての蓄圧タンク群T1,T2,T3,T4が基準圧力Pよりも高い圧力を有しているとき、充電を終了する。
【0041】
また、蓄圧タンク群T1,T2,T3,T4への空気の貯蔵は、外部発電装置2からの入力電力の供給が停止した場合にも終了する。
【0042】
全ての蓄圧タンク群T1,T2,T3,T4が基準圧力Pよりも高い圧力を有している場合でも、圧縮空気の貯蔵を終了せずに、複数の蓄圧タンク群に対して同時に、又は個別に圧縮空気の貯蔵を続行してもよい。
【0043】
この充電方法によれば、複数の蓄圧タンク群T1,T2,T3,T4のうち、圧力を基準圧力Pに到達させるために必要な圧縮空気の量が少ない蓄圧タンク群から順番に圧縮空気を貯蔵することで、短時間で圧縮空気の貯蔵が完了する。このため、短時間でより多くの基準圧力Pを有する蓄圧タンク群が得られる。
【0044】
(発電方法)
図4を参照して、本実施形態の圧縮空気貯蔵発電装置1の発電方法を説明する。圧縮空気貯蔵発電装置1は、電力系統3から給電指示を受けると発電を開始する。
【0045】
まず、制御部40は、蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dの圧力Pa,Pb,Pc,Pdを圧力センサ21A,21B,21C,21Dから取得する(ステップS7)。
【0046】
次に、ステップS7で取得した蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dの圧力Pa,Pb,Pc,Pdに基づいて膨張機30に圧縮空気を供給する蓄圧タンク群の順番を決定する(ステップS8)。具体的には、蓄圧タンク群20A,20B,20C,20Dの圧力Pa,Pb,Pc,Pdを比較して、圧力Pa,Pb,Pc,Pdの大小関係を判断する。圧力Pa,Pb,Pc,Pdのうち、高いものから圧力P1,P2,P3,P4とし、圧力P1,P2,P3,P4を有する蓄圧タンク群をそれぞれ蓄圧タンク群T1,T2,T3,T4とする。膨張機30への圧縮空気の供給は、蓄圧タンク群T1,T2,T3,T4の順番で行う。つまり、高い圧力を有する蓄圧タンク群から順番に膨張機30に圧縮空気を供給する。
【0047】
蓄圧タンク群T1の圧力P1と蓄圧タンク群T2の圧力P2との大小関係を判断し(ステップS9)、蓄圧タンク群T1の圧力P1が蓄圧タンク群T2の圧力P2以上であれば、蓄圧タンク群T1から発電に使用する圧縮空気を放出する(ステップS91)。
【0048】
圧縮空気の放出により、蓄圧タンク群T1の圧力P1が蓄圧タンク群T2の圧力P2に達した場合は、ステップS10に進む。
【0049】
蓄圧タンク群T2の圧力P2と蓄圧タンク群T3の圧力P3との大小関係を判断し(ステップS10)、蓄圧タンク群T2の圧力P2が蓄圧タンク群T3の圧力P3以上であれば、蓄圧タンク群T1及び蓄圧タンク群T2から発電に使用する圧縮空気を放出する(ステップS101)。
【0050】
圧縮空気の放出により、蓄圧タンク群T1の圧力P1及び蓄圧タンク群T2の圧力P2が蓄圧タンク群T3の圧力P3に達した場合は、ステップS11に進む。
【0051】
蓄圧タンク群T3の圧力P3と蓄圧タンク群T4の圧力P4との大小関係を判断し(ステップS11)、蓄圧タンク群T3の圧力P3が蓄圧タンク群T4の圧力P4以上であれば、蓄圧タンク群T1、蓄圧タンク群T2、及び蓄圧タンク群T3から発電に使用する圧縮空気を放出する(ステップS111)。
【0052】
圧縮空気の放出により、蓄圧タンク群T1の圧力P1、蓄圧タンク群T2の圧力P2、及び蓄圧タンク群T3の圧力P3が蓄圧タンク群T4の圧力P4に達した場合は、ステップS12に進む。
【0053】
ステップS12では、蓄圧タンク群T1、蓄圧タンク群T2、蓄圧タンク群T3、及び蓄圧タンク群T4から発電に使用する圧縮空気を放出する。
【0054】
本実施形態の発電方法は、電力系統3からの給電指示が停止した場合に、発電を終了する。
【0055】
本実施形態の発電方法では、圧縮空気を放出している蓄圧タンク群の圧力が、他の蓄圧タンク群の圧力未満になったときに、圧縮空気を放出する蓄圧タンク群を切り替えるが、圧縮空気を放出している蓄圧タンク群の圧力が所定の閾値未満になったときに切り替えてもよい。
【0056】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の変更が可能である。
【0057】
例えば、蓄圧タンク群の数は、2つであってもよいし、又は4つ以上であってもよい。
【0058】
また、蓄圧タンク群が備える蓄圧タンクの数は、3つに限定されず、蓄圧タンク群の間で異なってもよい。
【0059】
圧縮空気貯蔵発電装置は、複数の圧縮機を備えていてもよく、複数の膨張機を備えていてもよい。
【0060】
複数の蓄圧タンクは、互いに異なる空気の貯蔵容量を有していてもよい。
【0061】
1つの蓄圧タンクと他の蓄圧タンクとの間に弁が設けられていてもよく、個々の蓄圧タンクに圧力センサが設けられていてもよい。
【0062】
圧縮空気貯蔵発電方法において、充電と放電は同時に行われてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 圧縮空気貯蔵発電装置
2 外部発電装置
3 電力系統
10 圧縮機
10a 吐出口
10b 吸気口
11 モータ
20A,20B,20C,20D 蓄圧タンク群(蓄圧タンク)
21A,21B,21C,21D 圧力センサ
22A,22B,22C,22D 貯蔵側弁
23A,23B,23C,23D 放出側弁
24A,24B,24C 蓄圧タンク
30 膨張機
31 発電機
40 制御部
50 貯蔵流路
60 放出流路
Pa,Pb,Pc,Pd 圧力
P 基準圧力
P1,P2,P3,P4 圧力
T1,T2,T3,T4 蓄圧タンク群
図1
図2
図3
図4