特許第6857076号(P6857076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6857076塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進剤組成物及び硬化促進方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857076
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進剤組成物及び硬化促進方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 24/12 20060101AFI20210405BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20210405BHJP
   C04B 24/28 20060101ALI20210405BHJP
   C04B 24/32 20060101ALI20210405BHJP
   C08G 18/18 20060101ALI20210405BHJP
   C08G 18/20 20060101ALI20210405BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   C04B24/12 A
   C04B28/02
   C04B24/28 Z
   C04B24/32 A
   C08G18/18
   C08G18/20
   C08G18/08 038
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-87174(P2017-87174)
(22)【出願日】2017年4月26日
(65)【公開番号】特開2018-184320(P2018-184320A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田口 裕之
(72)【発明者】
【氏名】森 一平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏一
【審査官】 手島 理
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−542835(JP,A)
【文献】 特開平11−079820(JP,A)
【文献】 特開2006−206354(JP,A)
【文献】 特開2002−285155(JP,A)
【文献】 特開2007−045980(JP,A)
【文献】 特開平04−288050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00−32/02
C04B 40/00−40/06
C08G 18/00−18/87
C08G 71/00−71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、ポリイソシアネート、希釈剤、セメント、骨材及び水を含有してなる塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進剤組成物であって、2−(ジメチルアミノ)エタノールとN−(3−アミノプロピル)モルホリンとから成り、2−(ジメチルアミノ)エタノールは45〜65重量部、N−(3−アミノプロピル)モルホリンは35〜55重量部から成ることを特徴とする塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進剤組成物。
【請求項2】
請求項1記載の塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進剤組成物を塗床用水硬性ポリマーセメント組成物のポリイソシアネート100重量部に対して1.5〜18.0重量部配合することを特徴とする塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進方法。
【請求項3】
請求項1記載の硬化促進剤組成物を水に溶解させて成る塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進剤組成物。
【請求項4】
2−(ジメチルアミノ)エタノールとN−(3−アミノプロピル)モルホリンの混合物は5〜15重量部、水は85〜95重量部から成ることを特徴とする請求項3記載の塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進剤組成物。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載の塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進剤組成物を塗床用水硬性ポリマーセメント組成物のポリイソシアネート100重量部に対して、2−(ジメチルアミノ)エタノールとN−(3−アミノプロピル)モルホリンの混合物が1.5〜18.0重量部となるように配合することを特徴とする塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオール、ポリイソシアネート、希釈剤、セメント、骨材及び水を含有してなる塗床用水硬性ポリマーセメント組成物にその施工時に添加して硬化を促進する塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
塗床用水硬性ポリマーセメント組成物は、熱水による洗浄を高頻度で行ない且つ年中無休状態で稼動する食品工場床等の下地コンクリート上に直接塗付され硬化して塗り床と成るものであるが、特に冬季の15℃以下の低温時に施工すると硬化が遅延し、施工翌日にも硬化が不十分となって床として使用できない場合があるという課題がある。
【0003】
これに対して、実用上十分な可使時間を持ち、低温硬化性に優れる硬化性ポリマーセメント組成物が提案されている。該硬化性ポリマーセメント組成物は、ポリオール、触媒、ポリイソシアネート、セメント、骨材及び水を含有して成る硬化性ポリマーセメント組成物において、触媒としてイミダゾール化合物及びジモルホリノジエチルエーテルを用いることを特徴とする硬化性ポリマーセメント組成物である(特許文献1参照)。
【0004】
また、良好な仕上がり外観を与えるポリウレタン系セメント組成物として、(a)水硬性セメント、(b)骨材、(c)イソシアネート基を含む化合物、(d)水、(e)3級アミン化合物触媒、および(f)活性水素含有化合物(ただし水および3級アミン化合物触媒を除く)、を必須成分とするポリウレタン系セメント組成物が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−67419号公報
【特許文献2】特開平11−79820号公報
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の3級アミン化合物、イミダゾール化合物、ジモルホリノジエチルエーテルを使用すると、十分な硬化促進効果が得られない場合があり、また可使時間が短くなって施工が出来なくなる場合があるという課題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、15℃以下のいずれの温度下においても、材料を混合後に下地コンクリート上に施工可能な所謂可使時間を十分に有すると共に8時間以内に硬化して塗り床として使用が可能となり、硬化後の塗膜(塗り床)に炭酸ガス等による膨れ、発泡(ピンホール)がなく、さらには塗膜(塗り床)の性能が低下することがない、塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進剤組成物及び硬化促進方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、ポリオール、ポリイソシアネート、希釈剤、セメント、骨材及び水を含有してなる塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進剤組成物であって、2−(ジメチルアミノ)エタノールとN−(3−アミノプロピル)モルホリンとから成り、2−(ジメチルアミノ)エタノールは45〜65重量部、N−(3−アミノプロピル)モルホリンは35〜55重量部から成ることを特徴とする塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進剤組成物を提供する。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進剤組成物を塗床用水硬性ポリマーセメント組成物のポリイソシアネート100重量部に対して1.5〜18.0重量部配合することを特徴とする塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進方法を提供する。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の硬化促進剤組成物を水に溶解させて成る塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進剤組成物を提供する。
【0011】
また、請求項4記載の発明は、2−(ジメチルアミノ)エタノールとN−(3−アミノプロピル)モルホリンの混合物は5〜15重量部、水は85〜95重量部から成ることを特徴とする請求項3記載の塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進剤組成物を提供する。
【0012】
また、請求項5記載の発明は、請求項3又は請求項4記載の塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進剤組成物を塗床用水硬性ポリマーセメント組成物のポリイソシアネート100重量部に対して、2−(ジメチルアミノ)エタノールとN−(3−アミノプロピル)モルホリンの混合物が1.5〜18.0重量部となるように配合することを特徴とする塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の塗り床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進剤組成物及び硬化促進方法は、ポリオール、ポリイソシアネート、希釈剤、セメント、骨材及び水を含有してなる塗床用水硬性ポリマーセメント組成物を15℃以下の低温時に下地コンクリート上に施工する際に該塗床用水硬性ポリマーセメント組成物に配合するが、塗床用水硬性ポリマーセメント組成物は低温になるにしたがって硬化時間が遅くなるため、これに応じて本発明の硬化促進剤組成物の配合量を増やすことで、いずれの温度下でも所定の硬化性を得ることが出来る効果がある。
【0014】
また、15℃以下のいずれの温度下においても塗床用水硬性ポリマーセメント組成物と硬化促進剤組成物を混合後に下地コンクリート上に施工可能な所謂可使時間が十分に確保されると共に8時間以内に硬化してその後塗り床として使用することが出来る効果がある。
【0015】
また、硬化促進剤組成物を配合して硬化した塗膜(塗り床)には炭酸ガス等による膨れ、発泡(ピンホール)が無く、更には塗膜(塗り床)の性能が低下することが無い、という効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明について詳細に説明する。
【0017】
まず、ポリオール、ポリイソシアネート、希釈剤、セメント、骨材及び水を含有してなる塗床用水硬性ポリマーセメント組成物について説明する。
【0018】
塗床用水硬性ポリマーセメント組成物に使用するポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10− デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の低分子量ポリオール、アンモニア及びメチルアミン、エチルアミン、アニリン、フェニレンジアミン、イソホロンジアミン等の活性水素を2 個以上有する低分子量アミン化合物のエチレンオキシド重付加物又はエチレンオキサイド/ プロピレンオキシド共重付加物、ひまし油系ポリオール、ビスフェノールA骨格を有する4官能ポリオール、ポリエンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリシリコンポリオール等の高分子量ポリオール等を使用することが出来る。
【0019】
また、塗床用水硬性ポリマーセメント組成物に使用するポリイソシアネートとしては、作業性が良好となり、また低温での速硬化性さらには硬化後の強度が高いことより、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートからなるポリメリックMDI(ポリメチルポリフェニルポリイソシアネート)を使用することが好ましく、NCO当量は100〜150が好ましい。NCO当量が100未満では硬化物が発泡による膨れが生じる等で仕上がりが不良となり、NCO当量が150超では硬化後の強度が不十分となる。もちろん、他の脂肪族ポリイソシアネートや芳香族ポリイソシアネートや脂環式ポリイソシアネート等も使用することもでき、また併用することも可能である。
【0020】
また、塗床用水硬性ポリマーセメント組成物に使用する希釈剤としては、アルキルスルホン酸エステル化合物、アジピン酸エステル等を単独又は併用することができ、組成物を低粘度として下地コンクリート上に容易に塗付可能する。アルキルスルホン酸エステル化合物は非フタル酸系の可塑剤であり、市販品としてメザモール(商品名、100%アルキルスルホン酸エステル化合物、バイエル社製)がある。またアジピン酸エステルとしてはアジピン酸ジイソノニルが好ましい。上記ポリオールと希釈剤と水を混合して1液とし、主剤として形成することが好ましい。また該主剤には塗材を着色するためのトナーを配合することが出来る。この場合上記ポリイソシアネートは硬化剤となる。
【0021】
また、塗床用水硬性ポリマーセメント組成物に使用するセメントとしては、塗り床として特定の色調が付与できるように、主として白色ポルトランドセメントを使用することが好ましい。勿論普通ポルトランドセメント、アルミナセメント、高炉セメント、早強ポルトランドセメントを単独又は併用することができる。
【0022】
また、塗床用水硬性ポリマーセメント組成物に使用する骨材としては、粒子径が0.5〜3.0mmのガイシ粉や、粒子径が0.6〜2.36mmの硅砂(3号硅砂)、粒子径が0.21〜1.18mmの硅砂(4号硅砂)、粒子径が0.15〜0.85mmの硅砂(5号硅砂)、粒子径が0.053〜0.60mmの硅砂(6号硅砂)等を使用することができる。
【0023】
塗床用水硬性ポリマーセメント組成物は上記ポリオール、ポリイソシアネート、希釈剤、セメント、骨材及び水から成り、材料を混合後に金鏝等で下地コンクリート上に塗り拡げて自然にレベリングさせるセルフレベリングタイプ、ローラ刷毛で塗付するタイプ、木鏝等で押さえ込みながら表面を平滑に仕上るモルタルタイプ等があり、セメント及び骨材と、ポリオール、ポリイソシアネート、希釈剤との配合割合は、これらのタイプによって、また設計される塗膜強度、下地コンクリートとの付着強度、耐衝撃性、耐熱衝撃性によって、使用する材料や配合が決定される。
【0024】
本発明の塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進剤組成物は、上記、ポリオール、ポリイソシアネート、希釈剤、セメント、骨材及び水を含有してなる塗床用水硬性ポリマーセメント組成物の硬化促進剤組成物であって、2−(ジメチルアミノ)エタノールとN−(3−アミノプロピル)モルホリンとから成り、2−(ジメチルアミノ)エタノールは45〜65重量部、N−(3−アミノプロピル)モルホリンは35〜55重量部から成り、また該硬化促進剤組成物は、さらに水に溶解して使用することができ、水に溶解することで、施工現場での配合が容易になる。水に溶解する場合は、例えば2−(ジメチルアミノ)エタノールとN−(3−アミノプロピル)モルホリンの混合物は5〜15重量部、水は85〜95重量部とすることで、さらに取り扱いが容易となる。
【0025】
また該硬化促進剤組成物は、上記材料によって設計された塗床用ポリマーセメント組成物の施工時に施工現場にて15℃以下の低温時に配合され、配合量は、塗床用水硬性ポリマーセメント組成物中のポリイソシアネート100重量部に対して、2−(ジメチルアミノ)エタノールとN−(3−アミノプロピル)モルホリンの混合物として1.5〜18.0重量部が好ましい。1.5重量部未満では硬化促進効果が不十分であり、18.0重量部超では可使時間が短くなり、施工が難しくなり仕上がりが不良となる場合がある。
【0026】
以下、実施例及び比較例にて具体的に説明する。
【実施例】
【0027】
[実施例及び比較例]
ポリオールAとして、水酸基当量が350のヒマシ油系3官能ポリオールを35〜40重量部と、水酸基当量が360のビスフェノールA骨格を有する4官能ポリオールを3〜8重量部と、希釈剤としてアルキルスルホン酸エステル化合物(メザモール;商品名、バイエル社製)を20〜25重量部と、水(イオン交換水)30重量部を混合して全体として100重量部とした水酸基当量730の、ポリオールと希釈剤と水との混合物を使用し、ポリオールBとして、分子量が1000〜3000であって両末端に水酸基を持ち且つアルキレン側鎖を持つポリエステルポリオールであって、水酸基当量が500〜1500のポリエステルポリオール(例えば、2−ブチル−エチル−1、3プロパンジオールとアジピン酸の重縮合物)を使用し、希釈剤としてアジピン酸ジイソノニルを使用し、これらポリオールAとポリオールBと希釈剤に着色剤であるトナーを使用して表1又は表2の配合にしたがって混合して主剤とし、ポリイソシアネートとしてNCO当量135のポリメリックMDI(ポリメチルポリフェニルポリイソシアネート) ルプラネートMB−5S(商品名、BASF INOACポリウレタン株式会社製、NCO重量%:32%)を使用して硬化剤とし、骨材Aとして東北硅砂4号、骨材Bとして東北硅砂5号、骨材Cとして東北硅砂6号、骨材Dとして粒子径が0.5〜1.5mmのガイシ粉を使用し、セメントとして市販白セメントを使用し、これら骨材A、B、C、D、とセメントを混合して骨材部として表1又は表2に示す配合にて、それぞれ実施例1乃至実施例9、参考例1、比較例1乃至比較例12の塗床用水硬性ポリマーセメント組成物を調製した。実施例1乃至実施例3及び実施例7乃至実施例9及び参考例1及び比較例1乃至比較例12の塗床用水硬性ポリマーセメント組成物は主剤:硬化剤:骨材部の配合比が1:1:4(重量比)であり、実施例4乃至実施例6及び参考例2の塗床用水硬性ポリマーセメント組成物は主剤:硬化剤:骨材部の配合比が1:1:10(重量比)である。
【0028】
硬化促進剤組成物の配合及び配合量は、表1又は表2に示すとおりであり、各成分と水を混合し、塗床用水硬性ポリマーセメント組成物100重量部に対して1重量部又は2重量部又は3重量部を配合して実施例1乃至実施例9及び比較例1乃至比較例12とし、参考例1は主剤:硬化剤:骨材部の配合比が1:1:4の塗床用水硬性ポリマーセメント組成物のみ、参考例2は同1:1:10の塗床用水硬性ポリマーセメント組成物のみとした。硬化促進剤組成物として水に溶解したことにより、塗床用水硬性ポリマーセメント組成物に対して1%、2%、3%(重量%)と配合することができ、これにより施工現場にて容易に計量し混合することを可能としている。
【0029】
なお主剤:硬化剤:骨材部の配合比が1:1:4の塗床用水硬性ポリマーセメント組成物は下地コンクリート上に金鏝等で4mm程度の厚さに塗り拡げ、自然にレベリングするセルフレベリングタイプであり、主剤:硬化剤:骨材部の配合比が1:1:10の塗床用水硬性ポリマーセメント組成物は、下地コンクリート上に木鏝等で押さえ込みながら表面を平滑に仕上るモルタルタイプである。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
[評価項目及び評価方法]
【0033】
[塗膜外観]
実施例1、実施例4、実施例7、参考例1、参考例2、比較例1乃至比較例12については15℃環境下にて材料を混合し、実施例2、実施例5、実施例8については10℃環境下にて材料を混合し、実施例3、実施例6、実施例9については5℃環境下にて材料を混合し、それぞれ混合後ただちに実施例4、実施例5、実施例6以外については4mm厚さに下地コンクリート上に塗り拡げて24時間各環境下で硬化させる。実施例4、実施例5、実施例6については下地コンクリート上に7mm厚さで木鏝等で押さえ込みながら表面を平滑に仕上げて24時間各環境下で硬化させる。それぞれ目視にて塗膜に膨れ、発泡(ピンホール)が無いものを○、塗膜に、膨れ、発泡(ピンホール)があるものを×と評価した。
【0034】
[硬化性]
実施例1、実施例4、実施例7、参考例1、参考例2、比較例1乃至比較例12については15℃環境下にて材料を混合し、実施例2、実施例5、実施例8については10℃環境下にて材料を混合し、実施例3、実施例6、実施例9については5℃環境下にて材料を混合し、それぞれ混合後ただちに実施例4、実施例5、実施例6及び参考例2以外については4mm厚さに下地コンクリート上に塗り拡げて8時間各環境下で硬化させる。実施例4、実施例5、実施例6及び参考例2については下地コンクリート上に7mm厚さで木鏝等で押さえ込みながら表面を平滑に仕上げて8時間各環境下で硬化させる。指触により十分に硬化し、塗膜上を歩行できる状態にあるものを○、それ以外を×と評価した。
【0035】
[可使時間]
実施例1、実施例4、実施例7、参考例1、参考例2、比較例1乃至比較例12については15℃環境下にて材料を混合し、実施例2、実施例5、実施例8については10℃環境下にて材料を混合し、実施例3、実施例6、実施例9については5℃環境下にて材料を混合し、それぞれ混合後10分後に実施例4、実施例5、実施例6以外については4mm厚さに下地コンクリート上に塗り拡げ、実施例4、実施例5、実施例6については下地コンクリート上に7mm厚さで木鏝等で押さえ込みながら表面を平滑に仕上げる。それぞれの作業が良好に行なえるものを○、硬化が始まって作業が行なうことが出来ないものを×と評価した。
【0036】
[圧縮強さ]
23℃下にて7日養生後の実施例及び比較例及び参考例の塗床用水硬性ポリマーセメント組成物(実施例及び比較例については硬化促進剤組成物を含む)の硬化物について、JISK6911の規定に準じて圧縮強さ(N/mm)を測定した。試験体の大きさは13mm×13mm×25mmとした。硬化促進剤組成物を含まないものと比較して強度の変化が10%以内のものを○と評価し、それ以外を×と評価した。
【0037】
[耐衝撃性]
23℃下でJISA5371の300mm×300mm×厚さ60mmの乾燥したコンクリート平板(ケット水分計HI−520コンクリートレンジにて表示値5%以下)の表面に、実施例、比較例及び参考例の塗床用水硬性ポリマーセメント組成物(実施例及び比較例については硬化促進剤組成物を含む)を、実施例4、実施例5、実施例6以外については4mm厚さに下地コンクリート上に塗り拡げて7日間硬化させ試験体とする。実施例4、実施例5、実施例6については下地コンクリート上に7mm厚さで木鏝等で押さえ込みながら表面を平滑に仕上げて7日間硬化させ試験体とする。試験体中央部に高さ1mから1kgの鋼球を30回落下させ、塗膜に割れ、剥がれ等の異常のないものを○、割れ、剥がれ等の異常が生じたものを×と評価した。
【0038】
[耐熱衝撃性]
23℃下でJISA5371の300mm×300mm×厚さ60mmの乾燥したコンクリート平板(ケット水分計HI−520コンクリートレンジにて表示値5%以下)の表面に、実施例、比較例及び参考例の塗床用水硬性ポリマーセメント組成物(実施例及び比較例については硬化促進剤組成物を含む)を、実施例4、実施例5、実施例6及び参考例2以外については4mm厚さに下地コンクリート上に塗り拡げて7日間硬化させ試験体とする。実施例4、実施例5、実施例6及び参考例2については下地コンクリート上に7mm厚さで木鏝等で押さえ込みながら表面を平滑に仕上げて7日間硬化させ試験体とする。その後試験体中央部に95℃熱水を5分流下させ次に20℃の冷水を10分流下させることを1サイクルとして、実施例4、実施例5、実施例6及び参考例2以外については2000サイクル繰り返し、実施例4、実施例5、実施例6及び参考例2については6000サイクル繰り返し、塗膜に剥がれ、浮き等異常が生じないものを○、異常が生じたものを×と評価した。
【0039】
[付着性]
23℃下でJISA5371の300mm×300mm×厚さ60mmの乾燥したコンクリート平板(ケット水分計HI−520コンクリートレンジにて表示値5%以下)の表面に、実施例、比較例及び参考例の塗床用水硬性ポリマーセメント組成物(実施例及び比較例については硬化促進剤組成物を含む)を、実施例4、実施例5、実施例6及び参考例2以外については4mm厚さに下地コンクリート上に塗り拡げて7日間硬化させ試験体とする。実施例4、実施例5、実施例6及び参考例2については下地コンクリート上に7mm厚さで木鏝等で押さえ込みながら表面を平滑に仕上げて7日間硬化させ試験体とする。建研式接着力試験器により、40×40mm部分の塗床用水硬性ポリマーセメント組成物とコンクリート平板との付着強さ(N/mm)を測定した。破壊状態は下地コンクリート100%凝集破壊を○と、それ以外を×と評価した。
【0040】
[評価結果]
評価結果を表3及び表4に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】