【実施例1】
【0019】
図3は、実施例1に係る給湯システムを示している。
図3において、
図1と同一部分には同一符号を付している。
この実施例1の給湯システム2では燃料電池ユニット42、給湯ユニット44およびバックアップ給湯ユニット46が備えられる。
燃料電池ユニット42には燃料電池48、熱交換器50および循環ポンプ52が備えられる。燃料電池48は熱源の一例であり、発電時の発熱を熱源に利用する。熱交換器50は、燃料電池48の排気ME3の熱を蓄熱タンク8側の熱媒ME1に熱交換する。循環ポンプ52は熱媒ME1の循環路54に設置され、駆動時、蓄熱タンク8の下層側から熱媒ME1を熱交換器50に循環させるとともに、熱交換後の熱媒ME1を蓄熱タンク8の上層側に戻す。
燃料電池48の発電時、循環ポンプ52を駆動し、蓄熱タンク8の下層側から熱媒ME1を熱交換器50に循環させ、熱媒ME1に排気ME3の熱を熱交換し、加熱された熱媒ME1が蓄熱タンク8の上層側に戻される。これにより、蓄熱タンク8で成層蓄熱が行われる。熱交換器50の入側には温度センサー56が設置され、蓄熱タンク8の下層側の熱媒ME1の温度が検出される。熱交換器50の出側には温度センサー58が設置され、蓄熱タンク8の上層側に戻される熱媒ME1の温度が検出される。
【0020】
給湯ユニット44には蓄熱タンク8とともに、プレート熱交換器60が備えられる。プレート熱交換器60に蓄熱タンク8の熱媒ME1を流す循環路62には与熱ポンプ64および温度センサー22が備えられる。与熱ポンプ64の駆動時、蓄熱タンク8の上層部から熱媒ME1がプレート熱交換器60に循環し、蓄熱タンク8の下層側に戻される。温度センサー22は蓄熱タンク8の上層側の熱媒温度を検出する。蓄熱タンク8に設置された温度センサー66はタンク内の熱媒ME1の温度を検出する。
給水管14には水道管などが接続され、給水Wが供給される。給水管14にはミキシング弁68、水量センサー70、温度センサー72が備えられるとともに、ミキシング弁68およびバイパス管16を介して出湯管18が接続されている。出湯管18には水制御弁74、温度センサー76、78が備えられる。バイパス管16は、ミキシング弁68により分流させた給水Wを出湯管18側に流し込む。水制御弁74は、出湯管18から出湯する温水HWまたは給水Wの水量を制御する。温度センサー76はプレート熱交換器60の出側の温水温度を検出する。温度センサー78は、温水HWと給水Wとをミキシングした温水HWの温度を検出する。
【0021】
バックアップ給湯ユニット46には、プレート熱交換器80および熱交換器82が備えられる。プレート熱交換器80には入側に給水管30、その出側に出湯管40が備えられる。給水管30には給湯ユニット44から給水Wまたは温水HWを流し込み、温度センサー84、水量センサー85、水制御弁86が備えられるとともに、バイパス管36を分岐させるミキシング弁88が接続されている。温度センサー84は、給湯ユニット44から流入する温水HWまたは給水Wの温度を検出する。水量センサー85は、給湯ユニット44から流入する温水HWまたは給水Wの水量を検出し、水制御弁86は、その水量を制御する。
出湯管40には温度センサー90、92が備えられる。温度センサー90はプレート熱交換器80の出側の温水温度を検出する。温度センサー92はバイパス管36からの給水Wまたは温水HWと出湯管40側の温水HWとを混合した温水HWの温度を検出する。
プレート熱交換器80には循環路94が備えられ、熱媒ME2を循環させる。循環路94には熱交換器82、循環ポンプ96、開放タンク98、温度センサー100が備えられる。循環ポンプ96は、駆動時、熱媒ME2を循環路94に循環させる。プレート熱交換器80は、熱媒ME2の熱を給水Wまたは温水HWに熱交換する。熱交換器82は、バーナー102の燃焼熱を熱媒ME2に熱交換する。開放タンク98は、循環路94に循環する熱媒ME2の体積変動を吸収する。
【0022】
<給湯システム2の制御部20>
図4は、給湯システム2の制御部20(
図1)を示している。この制御部20には電池制御部104、給湯ユニット制御部106、バックアップ制御部108、リモコン制御部110が備えられる。電池制御部104は燃料電池ユニット42を制御する。給湯ユニット制御部106は給湯ユニット44を制御する。バックアップ制御部108はバックアップ給湯ユニット46を制御する。リモコン制御部110はリモコン装置に備えられ、電池制御部104、給湯ユニット制御部106およびバックアップ制御部108と有線または無線により連係する。
電池制御部104はコンピュータで構成され、プロセッサ112、メモリ部114、入出力部(I/O)116、システム通信部118が備えられる。プロセッサ112はメモリ部114にあるOS(Operating System)や電池制御プログラムを実行する。メモリ部114にはROM(Read-Only Memory)やRAM(Random-Access Memory)を備え、OSや電池制御プログラムを格納する。システム通信部118はリモコン制御部110、給湯ユニット制御部106のシステム通信部126、バックアップ制御部108のシステム通信部134と制御データの送受を行う。I/O116には温度センサー56、58の検出温度が制御情報として入力されるとともに、循環ポンプ52の制御出力が得られる。
【0023】
給湯ユニット制御部106はコンピュータで構成され、プロセッサ120、メモリ部122、入出力部(I/O)124、システム通信部126が備えられる。プロセッサ120はメモリ部122にあるOSや給湯制御プログラムを実行する。メモリ部122にはROM、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory )やRAMを備え、OSや給湯制御プログラムを格納する。システム通信部126はリモコン制御部110、電池制御部104のシステム通信部118、バックアップ制御部108のシステム通信部134と制御データの送受を行う。I/O124には温度センサー22、66、72、76、78の検出温度、水量センサー70の検出水量が制御情報として入力されるとともに、与熱ポンプ64およびミキシング弁68の制御出力が得られる。
バックアップ制御部108はコンピュータで構成され、プロセッサ128、メモリ部130、入出力部(I/O)132、システム通信部134が備えられる。プロセッサ128はメモリ部130にあるOSやバックアップ制御プログラムを実行する。メモリ部130にはROM、EEPROMやRAMを備え、OSやバックアップ制御プログラムを格納する。システム通信部134はリモコン制御部110、電池制御部104のシステム通信部118、給湯ユニット制御部106のシステム通信部126と制御データの送受を行う。I/O132には温度センサー84、90、92、100の検出温度、水量センサー85の検出水量が制御情報として入力されるとともに、循環ポンプ96およびミキシング弁88の制御出力が得られる。
【0024】
<熱媒ME1による給湯制御>
図5のAは、給湯設定温度(以下単に「設定温度」と称する)が35〔℃〕の場合の給水温度と最低熱媒温度の関係、
図5のBは、設定温度が40〔℃〕の場合の給水温度と最低熱媒温度の関係、
図5のCは、設定温度が45〔℃〕の場合の給水温度と最低熱媒温度の関係を示している。
これらの関係から、
図6は、設定温度をパラメータとする給水温度と最低熱媒温度の関係グラフで示している。
図6において、Aは設定温度=35〔℃〕、Bは設定温度=40〔℃〕、Cは設定温度=45〔℃〕の場合である。
この関係からたとえば、給水温度が15〔℃〕で設定温度が40〔℃〕であれば、最低熱媒温度は60〔℃〕であることが必要である。
【0025】
<熱媒ME1で設定温度の給湯が可能な場合>
図7のAは、熱媒ME1で設定温度の給湯が可能な場合の動作を示している。
図7のAにおいて、太線は給水W、温水HW、熱媒ME1の流動を示している。
熱媒ME1で設定温度の給湯が可能な場合、給湯ユニット44では、温度センサー76の検出温度To1が設定温度よりたとえば、5〔℃〕だけ高い値(設定温度+5〔℃〕)(熱交換の第1の目標温度)になるように、与熱ポンプ64の回転数を制御する。温度センサー78の検出温度Tm1が設定温度になるように、ミキシング弁68のポートa、bの開度を制御する。
【0026】
このとき、バックアップ給湯ユニット46では、温度センサー84の検出温度Ti2が設定温度以上となるので、ミキシング弁88はポートd側を100〔%〕の開度に制御する。バーナー102は燃焼させないので、ミキシング弁88はポートc側の通水がない。たとえば、設定温度=40〔℃〕、温度センサー72の検出温度Ti1=20〔℃〕の場合、ミキシング弁68のポートa側の流量およびポートb側の流量の比率は、a:b=4:1とすればよい。バックアップ給湯ユニット46のミキシング弁88ではポートd側が100〔%〕の水量となる。つまり、熱媒ME1で設定温度の給湯が可能な場合には、給湯システム2に流れる全水量の五分の四が熱交換器60に流れ、全水量の五分の一がバイパス管16に流れる。これにより、全水量の五分の四が熱交換器60の影響を受けることになる。
【0027】
<熱媒ME1では設定温度の給湯ができない場合>
図7のBは、熱媒ME1で設定温度の給湯ができない場合の動作を示している。
図7のBにおいて、太線は給水W、温水HW、熱媒ME1、ME2の流動を示している。
この場合、プレート熱交換器60に対する熱媒タンク8からの熱媒ME1の循環量を抑制するとともに、給水Wの分配量を低減させる制御を行う。熱媒ME1では設定温度の給湯ができない場合、給湯ユニット44では、温度センサー76の検出温度To1が温度センサー22の検出温度T1よりたとえば、5〔℃〕だけ低い値(T1−5〔℃〕)になるように、与熱ポンプ64の回転数を制御する。つまり、プレート熱交換器60の熱交換の目標温度として、検出温度T1よりたとえば、5〔℃〕だけ低い値(T1−5〔℃〕)に制御し、プレート熱交換器60に対する熱媒ME1の循環量を低減させる。このとき、温度センサー78の検出温度Tmlが限りなく設定温度に近づくようにミキシング弁68の開度を制御する。この場合、ミキシング弁68のポートa側に100〔%〕の給水Wが流れる。
【0028】
このとき、バックアップ給湯ユニット46では、循環ポンプ96を動作させるとともに、バーナー102を燃焼させ、温度センサー100の検出温度TjがTj=80〔℃〕になるように制御する。この場合、温度センサー84の検出温度Ti2は、Ti2=T1−5〔℃〕であるから、温度センサー90の検出温度To2≒80〔℃〕の温水HWとミキシングし、温度センサー92の検出温度Tm2が設定温度になるように、ミキシング弁88の開度を制御する。
この場合、温度センサー84の検出温度Ti2と、温度センサー90の検出温度To2を比較すると、設定温度は40〔℃〕付近になるため、温度センサー84の検出温度Ti2が温度センサー90の検出温度To2より設定温度に近い値である。このため、ミキシング弁88のポートc、dの流量を比較すると、c側流量<d側流量となる。
【0029】
たとえば、設定温度=40〔℃〕、Ti1=20〔℃〕の場合、T1=40〔℃〕とすると、To1=35〔℃〕となる。この場合、ミキシング弁68のポートa側流量:ポートb側流量を対比すると、a側流量:b側流量=1:0となる。
このとき、Ti2=35〔℃〕であるから、To2≒80〔℃〕の温水HWとTi2=35〔℃〕の温水HWをミキシングし、Tm2=40〔℃〕に制御すると、ミキシング弁88のポートc側流量およびポートd側流量は、c側流量:d側流量≒1:8となる。
従って、給湯システム2の全水量の100〔%〕が熱交換器60の影響を受け、全水量の九分の一が熱交換器80の影響を受けることになる。このとき、熱交換器60、80による圧力損失が最大となる。このような給水形態による圧力損失の改善が本発明の課題であり、斯かる課題は
図8に示す制御により改善される。
【0030】
<熱媒ME1による熱交換不可の場合>
図7のCは、熱媒ME1による熱交換不可の場合の動作を示している。
図7のCにおいて、太線は給水W、熱媒ME2の流動を示している。
熱媒ME1による熱交換不可の場合、給湯ユニット44では蓄熱が低く、給湯のための熱交換に利用できないため、ミキシング弁68はポートb側に100〔%〕の給水Wを流すように制御し、与熱ポンプ64は停止状態とする。
この場合、給水Wの100〔%〕が給湯ユニット44を通過し、バックアップ給湯ユニット46に流れ込むので、温度センサー78の検出温度Tmlは、温度センサー84の検出温度Ti1と同じ温度になる。
【0031】
バックアップ給湯ユニット46では、循環ポンプ96を動作させ、バーナー102を燃焼させ、温度センサー100の検出温度TjをTj=80〔℃〕に制御する。
この場合、温度センサー84の検出温度Ti2は、設定温度未満であるから、温度センサー90の検出温度To2≒80〔℃〕の温水HWと、給水Wとを混合し、温度センサー92の検出温度Tm2が設定温度になるように、ミキシング弁88の開度を制御する。
設定温度は40〔℃〕に近い値になるため、検出温度Ti2は検出温度To2より設定温度に近い値であるので、ミキシング弁88のポートc側流量、ポートd側流量を対比すると、c側流量<d側流量となる。
【0032】
たとえば、設定温度=40〔℃〕、Ti1=20〔℃〕の場合、温度センサー22の検出温度T1をT1=20〔℃〕とすると、与熱ポンプ64は停止状態となる。
ミキシング弁68のポートa側流量およびポートb側流量を対比すると、a側流量:b側流量=0:1となり、ポートb側に全水量のl00〔%〕が流れる。
検出温度Ti2=20〔℃〕になるので、検出温度To2≒80〔℃〕の温水HWと、検出温度Ti2の給水Wをミキシングして設定温度=40〔℃〕に制御する場合、ミキシング弁88のポートc側流量、ポートd側流量を対比すると、c側流量:d側流量≒1:2となる。従って、全水量の三分の一が熱交換器80の影響を受け、熱交換器60による圧力損失は生じない。
【0033】
<熱媒ME1の蓄熱が低い場合の熱交換器60、80の給水量の制御>
図8は、熱媒ME1の蓄熱が低い場合の熱交換器60、80の給水量の制御を示している。
給湯ユニット44では、検出温度To1が検出温度T1より一定温度たとえば、5〔℃〕だけ低い値(T1−5〔℃〕)(熱交換の第2の目標温度)になるように、与熱ポンプ64の回転数を制御する。つまり、蓄熱タンク8から熱交換器60への熱媒ME1の循環量を抑制するように与熱ポンプ64の回転数を低減させる。このとき、検出温度Tm1の値に関係なく、ミキシング弁68の開度制御を行い、ポートa側に流れる水量を制限する。これにより、熱交換器60による圧力損失を低減できる。
この圧力損失を低減するには、ミキシング弁68の制御について、次の制御パターンから選択すればよい。
(1) 制御パターン1:ポートa側水量およびポートb側水量の固定値化(分配量の一定化)
ミキシング弁68のポートa側とポートb側に設定する水量を固定値とする。たとえば、a側流量:b側流量=1:1とする。この場合、ポートa側流量を減少させることが好ましい。
【0034】
(2) 制御パターン2:蓄熱が設定温度の給湯が可能な場合のミキシング弁68の開度を基準に、ポートa側の開度を所定値に絞る。
給水温度や設定温度に応じてミキシング弁68の開度は変化するが、蓄熱が設定温度の給湯が可能な場合のミキシング弁68の開度を基準に、ポートa側の開度を1/2や1/3に絞った開度にする。
たとえば、蓄熱が設定温度の給湯が可能な場合に、a側流量:b側流量=4:1であれば、a側流量:b側流量=2:3またはa側流量:b側流量=4:11のように変更する。
【0035】
(3) 制御パターン3:制御パターン2では、ミキシング弁68の開度が所定値に固定化されるが、制御パターン3では、検出温度To1により、その開度を変化させる。たとえば、給水温度=20〔℃〕、設定温度=40〔℃〕の場合、ミキシング弁68のa側流量:b側流量=4:1を基準に、検出温度To1=35〔℃〕では、a側流量:b側流量=3:2、検出温度To1=30〔℃〕ではa側流量:b側流量=2:3、検出温度To1=25〔℃〕ではa側流量:b側流量=1:4にミキシング弁68の全水量の分配量を変更する。このような分配量の変更によれば、給湯ユニット44で得られる温水HWが設定温度に近いほど、バックアップ給湯ユニット46による加熱量を低減でき、バックアップ給湯ユニット46側で生じる圧力損失が少なく、給水温度に近づくにつれ、バックアップ給湯ユニット46による加熱量が増加し、その結果、バックアップ給湯ユニット46で生じる圧力損失が増加する。
つまり、蓄熱が設定温度の給湯を得るに充分な熱量であれば、ミキシング弁68の開度制御を温度センサー78の検出温度Tm1が設定温度になるように行い、その開度を基準に蓄熱量の低減に伴って段階的に切り換えることにより、熱交換器60、80による圧力損失を低減させるだけでなく変動量も低減することができる。
【0036】
図8の場合では、制御パターン1ないし3のいずれを選択しても、バックアップ給湯ユニット46では、循環ポンプ96を動作させ、バーナー102を燃焼させ、温度センサー100の検出温度Tj=80〔℃〕に制御する。
温度センサー84の検出温度Ti2は検出温度T1より5〔℃〕だけ低い値(T1−5〔℃〕)〜Ti1〔℃〕であるから、この温水HWと、検出温度To2≒80〔℃〕の温水HWをミキシングし、検出温度Tm2が設定温度になるようにミキシング弁88の開度を制御する。検出温度Ti2は検出温度To2より設定温度に近いので、ミキシング弁88のポートc側流量、ポートd側流量はc側流量<d側流量となる。
たとえば、設定温度=40〔℃〕、Ti1=20〔℃〕の場合、T1=40〔℃〕とすると、To1=35〔℃〕となる。このとき、制御パターン2では、ミキシング弁68のポートa側流量、ポートb側流量はa側流量:b側流量=2:3(1/2に絞った場合)に制御され、検出温度Tm1=26〔℃〕となる。検出温度Ti2=26〔℃〕であれば、検出温度To2≒80〔℃〕とミキシングし、検出温度Tm2=40〔℃〕にミキシング弁88の開度を制御すれば、c側流量:d側流量≒1:3となる。従って、全水量の五分の二が熱交換器60の影響を受け、四分の一が熱交換器80の影響を受けることになる。この制御パターンでは圧力損失は蓄熱が設定温度の給湯が可能な場合に比較して小さくなる。
【0037】
<給湯システム2の制御>
図9は、給湯システム2の制御の処理手順を示している。この制御にはリモコン制御部110、電池制御部104、給湯ユニット制御部106およびバックアップ制御部108の各制御が含まれ、各制御が連係して実行される。
リモコン制御部110ではイニシャライズ(S101)の後、入力受付処理(S102)、表示出力処理(S103)が繰り返し実行される。表示出力処理では電池制御部104、給湯ユニット制御部106またはバックアップ制御部108で得られる状態情報をLCD(Liquid Crystal Display)に表示する。
【0038】
電池制御部104ではイニシャライズ(S104)の後、入力受付処理(S102)により運転スイッチのON/OFFを受け、
図10に示す熱回収処理(S105)に移行し、この熱回収処理で得られる状態情報をリモコン制御部110に提供する。
給湯ユニット制御部106ではイニシャライズ(S106)の後、入力受付処理(S102)により設定温度の指示を受け、
図11に示す給湯処理(S107)に移行し、この給湯処理で得られる状態情報をリモコン制御部110に提供する。
バックアップ制御部108ではイニシャライズ(S108)の後、入力受付処理(S102)により設定温度の指示を受け、
図14に示すバックアップ給湯処理(S109)に移行し、このバックアップ給湯処理で得られる状態情報をリモコン制御部110に提供する。
【0039】
<熱回収処理>
図10は、電池制御部104による熱回収処理の処理手順を示している。この処理手順ではリモコン制御部110の入力受付処理(S102)の運転スイッチの操作を監視し(S201)、運転スイッチ=ONであれば(S201のYES)、燃料電池48を駆動し(S202)、温度センサー58の出力温度がたとえば、75〔℃〕になるように循環ポンプ52の回転を制御する。
運転スイッチ=OFFであれば(S201のNO)、燃料電池48を停止し(S204)、循環ポンプ52を停止させる。
【0040】
<給湯処理>
図11は、給湯ユニット44の給湯処理の処理手順を示している。この処理手順では、給湯使用か否かを判断し(S301)、給湯使用でなければ(S301のNO)、与熱ポンプ64を停止し(S302)、この処理を終了する。
給湯使用であれば(S301のYES)、検出温度T1が設定温度の供給が可能な温度以上であるかを判断する(S303)。検出温度T1が設定温度の供給が可能な温度以上であれば(S303のYES)、
図7のAに示す給湯処理を実行する(S304)。この処理では、検出温度To1が設定温度より一定温度ΔTたとえば、5〔℃〕だけ高い温度(=設定温度+ΔT)になるように与熱ポンプ64の回転を制御し(S305)、同時に検出温度Tm1が設定温度になるようにミキシング弁68の開度を制御する(S306)。
【0041】
検出温度T1が設定温度の供給が可能な温度以上でなければ(S303のNO)、検出温度T1が給水温度より一定温度ΔTたとえば、5〔℃〕だけ高い温度(=給水温度+ΔT)以上かを判断する(S307)。検出温度T1が温度(=給水温度+ΔT)以上であれば(S307のYES)、
図8に示す給湯処理を実行する(S308)。この処理では、検出温度To1が検出温度T1より一定温度ΔTたとえば、5〔℃〕だけ低い温度(=T1温度−ΔT)になるように与熱ポンプ64の回転を制御し(S309)、同時にミキシング弁68の開度を制御する(S310)。このミキシング弁68の開度制御は
図12のA、Bまたは
図13の何れかである。
検出温度T1が温度(=給水温度+ΔT)以上でなければ(S307のNO)、
図7のCに示す処理を実行する(S311)。この処理では、与熱ポンプ64を停止させ(S312)、ポートbに100〔%〕の流水が得られるようにミキシング弁68を制御する(S313)。
【0042】
<ミキシング弁68の開度制御1>
図12のAは、ミキシング弁68の開度制御1を示している。この制御1では、ミキシング弁68のポートa、bに所定割合たとえば、1:1になるように、ミキシング弁68の開度を固定値に制御する(S401)。
【0043】
<ミキシング弁68の開度制御2>
図12のBは、ミキシング弁68の開度制御2を示している。この制御2では、検出温度To1が設定温度+Tとして、給水温度と検出温度To1の温水HWにより、検出温度Tm1が設定温度になるポートa、bの開度割合を算出する(S501)。この開度をx、yとする。
この算出処理の後、ポートaに流れる流量を減少するようにミキシング弁68の開度を制御する(S502)。たとえば、開度を半減し、ポートa、bの開度割合について、a:b=x/2:(y+x/2)になるようにミキシング弁68の開度を制御する。
【0044】
<ミキシング弁68の開度制御3>
図13のAは、ミキシング弁68の開度制御3を示している。この制御3では、検出温度To1が設定温度+Tとして、給水温度と検出温度To1の温水HWにより、検出温度Tm1が設定温度になるポートa、bの開度割合を算出する(S601)。この開度をx、yとする。
この算出処理の後、ポートaに流れる流量を減少するようにミキシング弁68の開度を制御する(S602)。その際、検出温度T1によりも減少量を変える。
たとえば、高温では、a:b=x/2:(y+x/2)、また、
中温では、a:b=x/3:(y+2x/3)、また、
低温では、a:b=x/4:(y+3x/4)
にミキシング弁68の開度を制御する。
【0045】
<バックアップ給湯処理>
図14は、バックアップ給湯処理の処理手順を示している。この処理手順では、給湯使用か否かを判断する(S801)。この判断は水量センサー85の検出水量により判断すればよい。
給湯使用でなければ(S801のNO)、給湯動作を停止し(S802)、このバックアップ給湯処理を終了する。
給湯使用であれば(S801のYES)、検出温度Ti2が設定温度より低いかを判断する(S803)。検出温度Ti2が設定温度より低ければ(S803のYES)、給水加熱に移行し、必要熱量に応じた回転数で循環ポンプ96を動作させる(S804)。このとき、検出温度Tjが所定温度たとえば、80〔℃〕になるようにバーナー102の燃焼を制御する(S805)。同時に検出温度Tm2が設定温度になるようにミキシング弁88の開度比率を制御する(S806)。
検出温度Ti2が設定温度以上であれば(S803のNO)、加熱動作を停止し、ポートd側に100〔%〕の水量となるように、ミキシング弁88の開度比率を制御する。
【0046】
<実施例1の効果>
この実施例1によれば、次の効果が得られる。
(1) 蓄熱タンク8の蓄熱に応じてその熱量を給湯に利用することができる。
(2) 蓄熱が低く、給湯に利用できない場合には給湯ユニット44を通過させた給水Wをバックアップ給湯ユニット46で設定温度まで加熱し、設定温度での給湯が可能である。
(3) 設定温度まで給水Wを昇温させることができないが、ある程度の熱交換が可能な蓄熱では、熱交換器60に流す給水量を抑え、圧力損失の低減や与熱ポンプ64の回転数を抑制し、効率的な蓄熱利用を図ることができる。
(4) 蓄熱が低い場合、強制的な熱媒循環を回避でき、蓄熱タンク8の成層状態を乱すことがない。