(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0012】
幾つかの例示的な実施形態により、組織を生体内で評価する方法において、体内に位置する電極において検知された信号の分析により、標的組織の少なくとも1つの誘電特性を特定することと、特定された誘電特性に基づいて組織状態を推定することとを含む方法が提供される。
【0013】
幾つかの実施形態によれば、組織状態は、組織焼灼により形成されるリージョンの状態を示す。
【0014】
幾つかの実施形態によれば、信号は、電極を備える電気回路からの信号出力を含み、電極は、標的組織と交わる電場を確立するに当たり、電極が作用する体内位置に位置決めされる。
【0015】
幾つかの実施形態によれば、推定することは、信号出力に影響する組織について推定される解剖学的情報に更に基づく。
【0016】
幾つかの実施形態によれば、推定することは、受信されるデータ構造に更に基づく。
【0017】
幾つかの実施形態によれば、データ構造は機械学習法により得られる。
【0018】
幾つかの実施形態によれば、少なくとも1つの誘電特性は、誘電パラメータ値のベクトルを含み、推定することは、誘電パラメータ値のベクトルと組織状態との統計学的相関に基づき、統計学的相関はデータ構造により記述される。
【0019】
幾つかの実施形態によれば、本方法は、推定することから組織状態を示すことを含む。
【0020】
幾つかの実施形態によれば、特定すること及び推定することは、標的組織での焼灼中、繰り返し実行される。
【0021】
幾つかの実施形態によれば、焼灼は、推定することに基づいて制御される。
【0022】
幾つかの実施形態によれば、体内位置における電極は、焼灼を実行するに当たり作用する。
【0023】
幾つかの実施形態によれば、本方法は、焼灼に関連付けられた有害事象のリスク上昇を示す推定することに基づいて、焼灼を低減又は終了することを含む。
【0024】
幾つかの実施形態によれば、焼灼は、心房細動の治療のために心臓組織内でのリージョンの形成を含む。
【0025】
幾つかの実施形態によれば、推定することは、標的組織の状態の予測を含み、状態は、焼灼が焼灼のパラメータに従って実行された後の標的組織の状態であると予測され、焼灼のパラメータは、標的組織の予測状態が、焼灼後の標的組織の標的状態に一致するように調整される。
【0026】
幾つかの実施形態によれば、本方法は、計画に従って標的組織を焼灼して、標的状態を生成することを含む。
【0027】
幾つかの実施形態によれば、組織状態は、生理学的組織特性、解剖学的組織特性、及び機能的組織特性からなる群からの少なくとも1つを含む。
【0028】
幾つかの実施形態によれば、組織状態は、リージョン深度、リージョン容積、リージョン貫壁性の程度、組織浮腫の特徴、機能的不活性化の特徴、組織炭化の潜在性についての分類、及びスチームポップの潜在性についての分類からなる群からの少なくとも1つを含む。
【0029】
幾つかの例示的な実施形態により、組織評価の方法において、誘電パラメータの値を組織状態の少なくとも1つのパラメータの値に相関付けるデータ構造を受信することと、体内の標的組織の近傍に位置する少なくとも1つの電極を備える電気回路からの信号出力に基づいて、標的組織の少なくとも1つの誘電パラメータの値を特定することと、標的組織の少なくとも1つの誘電パラメータの特定された値及び受信されるデータ構造に基づいて、組織状態の少なくとも1つのパラメータの値を推定することと、推定を示すフィードバックを提供することを含む方法が提供される。
【0030】
幾つかの実施形態によれば、標的組織はリージョン組織を含む。
【0031】
幾つかの実施形態によれば、データ構造は機械学習法により得られる。
【0032】
幾つかの実施形態によれば、特定すること及び推定することは、標的組織での焼灼中、繰り返し実行される。
【0033】
幾つかの実施形態によれば、焼灼は推定することに基づいて終了される。
【0034】
幾つかの実施形態によれば、焼灼の少なくとも1つのパラメータは、焼灼中、推定することに基づいて変更される。
【0035】
幾つかの実施形態によれば、焼灼の制御される少なくとも1つのパラメータは、焼灼の持続時間、焼灼に供給される電力、焼灼に使用される周波数、及び焼灼への電極の選択からなる群のうちの少なくとも1つを含む。
【0036】
幾つかの実施形態によれば、焼灼の制御される少なくとも1つのパラメータは、焼灼率を含む。
【0037】
幾つかの実施形態によれば、焼灼は、体内の標的組織の近傍に位置する少なくとも1つの電極を通して実行される。
【0038】
幾つかの実施形態によれば、本方法は、焼灼に関連付けられた有害事象のリスク上昇を示す推定することに基づいて、焼灼を低減又は終了することを含む。
【0039】
幾つかの実施形態によれば、有害事象は組織炭化又は流体蒸発である。
【0040】
幾つかの実施形態によれば、焼灼は、心房細動の治療のために心臓組織内でのリージョンの形成を含む。
【0041】
幾つかの実施形態によれば、特定すること及び推定することは、標的組織の焼灼プロトコールの少なくとも部分が実行される前に実行され、推定することは、組織状態の少なくとも1つのパラメータの値の予測を含み、値は、焼灼プロトコールの部分が実行された後の状態として予測され、推定することは、焼灼のプロトコールのパラメータに更に基づく。
【0042】
幾つかの実施形態によれば、フィードバックは、推定することが基づく状況下で標的リージョン結果を首尾よく達成する確率の指示を含む。
【0043】
幾つかの実施形態によれば、フィードバックは、焼灼の進行を阻止することを含む。
【0044】
幾つかの実施形態によれば、フィードバックは、更なる焼灼を制御するに当たり使用される調整プロトコールを提供することを含む。
【0045】
幾つかの実施形態によれば、本方法は、標的組織の部分を焼灼することを含む。
【0046】
幾つかの実施形態によれば、特定すること及び推定することは、標的組織の部分を焼灼して、リージョンを形成した後、実行される。
【0047】
幾つかの実施形態によれば、フィードバックは、焼灼により形成されるリージョン内のギャップの指示を含む。
【0048】
幾つかの実施形態によれば、標的組織は心筋壁を含み、ギャップは、リージョンが不完全に貫壁性である領域を含む。
【0049】
幾つかの実施形態によれば、ギャップは、不可逆的にリージョンされない領域を含み、領域は少なくとも直径1.3mmである。
【0050】
幾つかの実施形態によれば、フィードバックは、焼灼の領域内のリージョンの不可逆性の推定を含む。
【0051】
幾つかの実施形態によれば、組織状態の少なくとも1つのパラメータはリージョン深度を含む。
【0052】
幾つかの実施形態によれば、組織状態の少なくとも1つのパラメータはリージョン容積を含む。
【0053】
幾つかの実施形態によれば、少なくとも1つの誘電パラメータの値は値のベクトルを含み、推定することは、誘導パラメータ値のベクトルと組織状態の少なくとも1つのパラメータとの統計学的相関に基づき、統計学的相関は、データ構造により記述される。
【0054】
幾つかの実施形態によれば、推定することは、電気回路の信号出力に影響する組織について推定される解剖学的情報に更に基づく。
【0055】
幾つかの実施形態によれば、特定することは、電気回路の信号出力の周波数応答挙動の分析を含む。
【0056】
幾つかの実施形態によれば、提供することは、フィードバックを提供して、焼灼デバイスを制御することを含む。
【0057】
幾つかの実施形態によれば、データ構造は、標的組織のタイプに従って特定される誘電パラメータの値を含む。
【0058】
幾つかの実施形態により、組織評価のシステムにおいて、標的組織の近傍に位置決め可能な体内カテーテル上の少なくとも1つの電極と、少なくとも1つの電極及び標的組織を備える電気回路の出力信号のパラメータを測定するように構成される電場測定デバイスであって、出力信号パラメータの測定は、標的組織の誘電パラメータの値の測定を含む、電場測定デバイスと、組織の誘電パラメータの値を組織状態に相関付けるデータ構造を含む分析器モジュールとを備え、分析器モジュールは、標的組織の誘電パラメータの測定値を受信し、データ構造に基づいて、標的組織の状態の推定を測定値から生成するように構成されるシステムが提供される。
【0059】
幾つかの実施形態によれば、分析器は、電気回路に含まれる組織の生体構造、体内カテーテルの位置、及び皮膚パッチ電極の位置からなる群からの少なくとも1つに関連する追加情報を受信するようにも構成される。
【0060】
幾つかの実施形態によれば、分析器モジュールは、標的組織の状態の推定を焼灼コントローラに提供するように構成され、焼灼コントローラは、標的組織の推定状態に基づいて、焼灼プローブにより焼灼を制御するように構成される。
【0061】
幾つかの実施形態によれば、体内カテーテル上に位置決め可能な少なくとも1つの電極は、焼灼プローブとしても作用する。他の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び/又は科学用語は、本発明が関連する分野の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様又は均等な方法及び材料が、本発明の実施形態の実施又はテストに使用可能であるが、例示的な方法及び/又は材料が以下に記載される。競合する場合、定義を含め、本特許明細書が優先される。加えて、材料、方法、及び例は単なる例示であり、必ずしも限定を意図しない。
【0062】
当業者により理解されるように、本発明の態様は、システム、方法、又はコンピュータプログラム製品として実施し得る。したがって、本発明の態様は、全体的にハードウェアの実施形態、全体的にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)、又はソフトウェア態様とハードウェア態様とを組み合わせた実施形態の形態をとり得、これらは全て一般に、本明細書では「回路」、「モジュール」、又は「システム」と呼ばれ得る。さらに、本発明の幾つかの実施形態は、コンピュータ可読プログラムコードが具現される1つ又は複数のコンピュータ可読媒体で具現されるコンピュータプログラム製品の形態をとり得る。本発明の幾つかの実施形態の方法及び/又はシステムの実施態様は、選択されたタスクを手動、自動、又はそれらの組合せで実行及び/又は完了することを含むことができる。さらに、本発明の方法及び/又はシステムの幾つかの実施形態の実際の命令及び機器に従って、幾つかの選択されたタスクは、例えば、オペレーティングシステムを使用して、ハードウェアにより、ソフトウェア又はファームウェアにより、及び/又はそれらの組合せにより実施することができる。
【0063】
ソフトウェアとして、本発明の幾つかの実施形態による選択されたタスクは、任意の適するオペレーティングシステムを使用してコンピュータにより実行される複数のソフトウェア命令として実施することができる。本発明の例示的な実施形態では、本明細書に記載されるような方法及び/又はシステムの幾つかの例示的な実施形態による1つ又は複数のタスクは、複数の命令を実行する計算プラットフォーム等のデータプロセッサにより実行される。任意選択的に、データプロセッサは、命令及び/又はデータを記憶する揮発性メモリ並びに/或いは命令及び/又はデータを記憶する不揮発性記憶装置、例えば、磁気ハードディスク及び/又はリムーバブル媒体を含む。任意選択的に、ネットワーク接続も同様に提供される。ディスプレイ及び/又はキーボード又はマウス等のユーザ入力デバイスも同様に、任意選択的に提供される。
【0064】
1つ又は複数のコンピュータ可読媒体の任意の組合せが、本発明の幾つかの実施形態に利用可能である。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読記憶媒体であり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、又は半導体のシステム、装置、デバイス、又は上記の任意の組合せであり得るが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(非排他的リスト)としては以下が挙げられる:1つ又は複数のワイヤを有する電気接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD−ROM)、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、又は上記の任意の適する組合せ。本文書に関連して、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、若しくはデバイスにより使用されるか、又は組み合わせて使用されるプログラムを含むか、又は記憶することができる任意の有形媒体であり得る。
【0065】
コンピュータ可読信号媒体は、例えば、ベースバンドに又は搬送波の一部として内部に具現されるコンピュータ可読プログラムコードを有する伝搬データ信号を含み得る。そのような伝搬信号は、電磁、光学、又はそれらの任意の適する組合せを含むが、これらに限定されない任意の様々な形態をとり得る。
【0066】
コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、又はデバイスにより使用されるか、又は組み合わせて使用されるプログラムを通信、伝搬、又は輸送することができる任意のコンピュータ可読媒体であり得る。
【0067】
コンピュータ可読媒体に具現されるプログラムコード及び/又はそれにより使用されるデータは、無線、有線、光ファイバケーブル、RF等、又は上記の任意の適する組合せを含むが、これらに限定されない任意の適する媒体を使用して伝送し得る。
【0068】
本発明の幾つかの実施形態の動作を実行するコンピュータプログラムコードは、Java、Smalltalk、C++等のオブジェクト指向プログラミング言語及び「C」プログラミング言語等の従来の手続き型プログラミング言語又は同様のプログラミング言語を含む1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれ得る。プログラムコードは、全体的にユーザのコンピュータで、部分的にユーザのコンピュータで、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ及び部分的にリモートコンピュータで、又は全体的にリモートコンピュータ若しくはサーバで実行し得る。全体的にリモートコンピュータ又はサーバで実行される状況では、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)若しくは広域ネットワーク(WAN)を含め、任意のタイプのネットワークを通してユーザのコンピュータに接続してもよく、又は外部コンピュータ(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを通して)に対して接続を行ってもよい。
【0069】
本発明の幾つかの実施形態は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して以下に説明し得る。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック及びフローチャート図及び/又はブロック図でのブロックの組合せが、コンピュータプログラム命令により実施可能なことが理解される。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されて、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートで指定される機能/動作及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックを実施する手段を生成するようなマシンを生成し得る。
【0070】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイスに、コンピュータ可読媒体に記憶された命令が、フローチャートで指定される機能/動作及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックを実施する命令を含む製品を生成するような特定の様式で機能するように指示することができるコンピュータ可読媒体に記憶することもできる。
【0071】
コンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイスにロードされて、一連の動作ステップをコンピュータ、他のプログラマブル装置、又は他のデバイスで実行させて、コンピュータ又は他のプログラマブル装置で実行される命令が、フローチャートで指定される機能/動作及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックを実施するプロセスを提供するようなコンピュータ実施プロセスを生成することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0074】
本発明は、本発明の幾つかの実施形態では、組織リージョンの計画、生成、及び/又は評価のシステム及び方法に関し、排他的ではなくより詳細には、体内電極からの検知を使用することによる組織リージョンの計画、生成、及び/又は評価に関する。
【0075】
本発明の幾つかの実施形態の態様は、焼灼進行に関連する誘電特性測定のフィードバック制御下での組織の焼灼に関する。
【0076】
本発明の幾つかの実施形態では、組織領域の測定誘電特性は、そのような組織領域で既知及び/又は予期される特性(例えば、前に特定された相関を記述するデータ構造を通して)及びその組織への治療の計画、送達、及び/又は評価で使用される関連に関する。幾つかの実施形態では、送達される治療は、組織の焼灼(例えば、焼灼してリージョンを形成及び/又は腫瘍又は他の異常な成長を除去)を含む。幾つかの実施形態では、組織の測定誘電特性を使用して、焼灼リージョンが1つ又は複数の標的基準を満たすか否かを判断する。例えば、心房細動の治療の場合、任意選択的に、組織のリージョン形成領域が、インパルス伝導の不可逆的ブロックを生成するのに十分なサイズ、十分な連続性、及び/又は十分な程度の組織変成のもの(瘢痕化及び/又は細胞破壊等により)であるか否かが判断される。任意選択的に、焼灼は、カテーテル焼灼による:例えば、RF焼灼、冷凍焼灼、超音波焼灼、レーザ焼灼、電気穿孔焼灼、又は別の形態の焼灼。
【0077】
特に、RF焼灼と組み合わせて誘電特性測定を使用することの潜在的な利点は、同じ電極(及び/又は電極プローブ)を任意選択的に焼灼エネルギーの送達と、焼灼の標的となる組織及び/又は焼灼された組織へのアクセスに使用される電場の提供との両方に使用可能なことである。
【0078】
任意選択的に、焼灼される組織は、心房細動の治療の場合、心房壁の領域、例えば、肺動脈周囲の左心房壁の領域である。任意選択的に、他の組織、例えば、心筋を焼灼して、肥大性閉塞性心筋症で生じる流出閉塞を除去し、神経調節による治療の場合、神経組織を焼灼し、腫瘍治療の場合、がん組織を焼灼し、様々な治療目的で別の組織又はこれらの組織の1つを焼灼する。
【0079】
幾つかの実施形態では、焼灼のパラメータは、誘電特性測定に基づいて、焼灼中に選択される。任意選択的に、焼灼のパラメータは、焼灼中、繰り返し変更される。焼灼パラメータの例としては、デューティサイクル、総持続時間、周波数、及び/又は電力レベルが挙げられる。本発明の幾つかの実施形態の態様は、焼灼前に行われる誘電特性測定に基づく焼灼パラメータの決定に関する。
【0080】
誘電特性測定は、例えば、標的組織を含む電気回路から測定される出力信号の周波数応答特性(例えば、周波数依存インピーダンス、共振、及び/又は位相遅延の特性)に基づいて行われる。
【0081】
幾つかの実施形態では、誘電特性測定は、焼灼(例えば、リージョンを形成するため及び/又は腫瘍又は他の異常な成長を除去するための)前に行われて、焼灼結果及び/又は標的結果に潜在的に影響する初期状況を特定する。幾つかの実施形態では、組織の測定誘電特性を使用して、焼灼リージョンが1つ又は複数の標的基準を満たすか、及び/又は満たすことになるかを判断する。例えば、心房細動治療の場合、任意選択的に、インパルス伝導の不可逆的ブロックを生成するのに十分なサイズ、十分な連続性、及び/又は十分な程度の組織変成を含むように、組織の領域をいかにリージョンさせるか(瘢痕化及び/又は細胞破壊等により)が決定される。例えば、誘電特性測定は任意選択的に、プローブ電極により接触する組織の厚さ又は組織の質に関連する(例えば、前に確立される較正データを介して)。任意選択的に、焼灼のパラメータ(例えば、持続時間又は電力レベル)は、誘電特性測定に相関する相対的な組織の厚さに従って選ばれる−例えば、標的が貫壁性リージョンの達成である幾つかの実施形態では、心筋壁が厚いほど、長い持続時間又は高い電力レベルが焼灼に選ばれる。幾つかの実施形態では、焼灼のパラメータは、焼灼状況の質を反映するように選択され、状況が適切である場合のみ、焼灼が任意選択的に進められる。例えば、誘電特性測定が、標的組織との比較的不良又は断続的な接触を反映する場合、焼灼は任意選択的に回避され、及び/又はデバイスオペレータは、現在の焼灼状況が不適切な結果のリスクに関連することの警告を受け取る。
【0082】
本発明の幾つかの実施形態の態様は、焼灼後に行われる誘電特性測定に基づく焼灼効果の評価に関する。
【0083】
幾つかの実施形態では、治療焼灼(例えば、リージョンを形成し、及び/又は腫瘍又は他の異常な成長を除去するための)は潜在的に、可逆的効果及び不可逆的効果の一方又は両方に関連付けられる。例えば、心筋の場合、潜在的に可逆的な効果は、励起性及び/又はシグナル伝達の非活性化を含む。そのような非活性化から復元した場合のシグナル伝達の再開は、標的結果が伝達の永久的なブロックである場合、治療の失敗に繋がる恐れがある。幾つかの実施形態では、誘電測定値は潜在的に、逆転作用を阻止する土台をなす構造的変化を明らかにする(又はそのような構造的変化がないことを明らかにする)。例えば、細胞膜完全性及び/又は流体チャネル形成は潜在的に、誘電測定の態様の土台をなす電荷移動に影響を及ぼす。これらは潜在的に、機能非活性化の逆転に必要な細胞構造の完全性も反映する。
【0084】
幾つかの実施形態では、誘電パラメータとリージョン不可逆性との関係は、観測された相関により確立される。例えば、誘電特性及び関連するリージョン結果の別個の測定を含むデータ構造が編纂され(任意選択的に、このデータ構造は、特定の電極構成、例えば、焼灼に使用される電極又は電極アレイを記述する)、次に、続く誘電特性測定値が、このデータ構造と比較され、及び/又はこのデータ構造から生成される連想ルールに従って分析されて、1つ又は複数のリージョン形成位置でのリージョン不可逆性の関連する評価を特定する。任意選択的に、データ構造はデータベースとして構築される。任意選択的に、誘電特性測定は、焼灼後に行われて、不可逆性リージョン形成に関連する変化が発生したことを確認する。任意選択的に、測定値は、焼灼後測定値を焼灼前測定値と比較することを含む。
【0085】
幾つかの実施形態では、治療標的は焼灼の連続領域である。任意選択的に、心房細動での治療標的は、連続焼灼ライン(例えば、肺動脈周囲のリング)の形成である。代替又は追加として、治療標的は、完全貫壁性リージョンの形成である。本発明の幾つかの実施形態では、焼灼領域の誘電特性は、潜在的にリージョンにわたる再接続に繋がる恐れがある焼灼パターンでのいかなるギャップも高い信頼性で検出するように、複数の電極配置及び/又は電極ドラッグによりマッピングされる。幾つかの実施形態では、許容可能な最大ギャップは、例えば、約1.0mm、約1.3mm、約1.5mm、又は別のより大きな、より小さな、若しくは中間のギャップである。本発明の幾つかの実施形態の態様は、誘電特性に基づく望ましくない発生の検出及び/又は予期に関連する。
【0086】
望ましくない発生の例としては、例えば、「スチームポップ」(局所流体蒸発)又は炭化が挙げられる。これらの事象は潜在的に、合併症(例えば、心臓壁穿孔)のリスク上昇に繋がるという点で悪影響である。幾つかの実施形態では、そのような有事状況と相関する誘電プロファイルが特定される(例えば、較正パラメータに基づいて)。任意選択的に、1つ又は複数の誘電プロファイルは、そのような有事事象の発生に先行する状況に対応するものとして判断される。任意選択的に、有事事象のそのような誘電プロファイルが検出されると、1つ又は複数の是正手段がとられる:例えば、リージョン形成の中止、オペレータへの警告、電力レベルの低減、又は焼灼率を低減する別の是正措置。本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明の用途が必ずしも、以下の説明に説明され、及び/又は図面に示される構成要素及び/又は方法の構築及び構成の詳細に限定されるわけではないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、又は様々な方法で実施若しくは実行することが可能である。
【0087】
誘電特性に基づく組織評価−心臓組織等の特定の組織に関して説明される場合であっても−が任意選択的に、他の組織:例えば、神経組織、腫瘍組織(例えば、がん)、いぼ等の他の異常成長組織、皮膚組織、粘膜、又は別の組織の誘電評価に、必要に応じて変更されて適用されることを理解されたい。組織評価が任意選択的に、リージョン形成前、リージョン形成中、及び/又はリージョン形成後の組織評価等の例として使用される用途に限定されないことも理解されたい。任意選択的に、誘電評価(必要に応じて、例の詳細から変更される)は、例えば、組織のタイプ、状態、広がり、及び/又は他の組織特性の特徴付けを含む。
【0088】
誘電特性を測定するシステム
これより
図1Aを参照し、
図1Aは、本開示の幾つかの例示的な実施形態による、組織誘電特性を測定するシステム100を概略的に示す。
図1Bも参照し、
図1Bは、本開示の幾つかの例示的な実施形態による、標的組織106の近傍にあるシステム100のプローブ111を示す。
【0089】
幾つかの実施形態では、組織の誘電特性は、組織リージョンの検出、計画、作成、及び/又は評価について評価される。幾つかの実施形態では、評価されるリージョンは、例えば、心房細動、肥大性閉塞性心筋症、神経調節、及び/又は腫瘍(例えば、癌性腫瘍)の治療で作られるリージョンを含む。誘電特性測定は、例えば、標的組織を含む電気回路の周波数及び/又は時間依存応答特性に基づいて行われる。幾つかの実施形態では、回路応答特性は、1つ又は複数の駆動入力に応答する出力信号(例えば、電位変化)を含む。
【0090】
幾つかの実施形態では、システム100は、1組のカテーテル電極103に接続される電場測定デバイス101B及び1組の皮膚パッチ電極105を備えて、間の時変電場104の特性(例えば、電位及び電位がいかに変化するか)を測定する。電場は電場生成器101Aにより生成され、電場生成器101Aは任意選択的に、結合電場生成/測定デバイス101に一緒に含まれる。幾つかの実施形態では、カテーテル電極103を備えるカテーテルプローブ111が、カテーテル109により、焼灼される組織の領域(標的組織領域106)に導入される。測定のために、カテーテル電極103は任意選択的に、標的領域の、検知に標的領域を選択するのに十分近くに配置される。幾つかの実施形態では、検知への選択は、標的領域と交わる電場を確立するに当たり作用する場所に電極を位置決めすることを含む。好ましくは(特に同じ電極が焼灼にも使用される場合)、接触がなされるが、ある程度の任意選択的な隔たり、例えば、標的領域から1mmまで、2mmまで、3mmまで、又は別のより大きな、より小さな、若しくは中間の距離が潜在的に、誘電特性の分離に十分な近傍に対応する。幾つかの実施形態では、皮膚パッチ電極は、例えば、患者の体の外部に適用される。その結果、電場104は、組織102(例えば、患者の体の組織)内に誘導され、カテーテル電極103と皮膚パッチ電極105とを分ける。任意選択的に、電場はまた、標的組織領域106を通って延びる。標的領域106は任意選択的に、リージョン評価及び/又は焼灼(リージョン形成)の一方又は両方の標的とされる。
図1Aの要素の幾つかの概略斜視図を所与として、
図1Bは、組織領域50(例えば、心臓壁)での貫壁性リージョン52の評価及び/又は作成のための標的組織領域106のカテーテルプローブ111及び電極103による標的化を示す。この図は
図11Cのものと同様である。例えば、
図2に関連して説明するように、この構成から生じる電気回路内の周波数依存インピーダンスの測定は、電場が延びる組織の電気特性(特に誘電特性)を反映する。そして、組織の誘電特性は、例えば、組織がリージョン形成を受ける際、影響を受ける。
【0091】
任意選択的に、カテーテル電極の数は2、3、又は4の電極である。任意選択的に、より多数又はより少数のカテーテル電極が使用される。
【0092】
任意選択的に、皮膚パッチ電極の数は4、5、又は6の電極である。
【0093】
任意選択的に、より多数又はより少数の皮膚パッチ電極が使用される。
【0094】
任意選択的に、時変電場104の特性は、実行される測定機能に適切であるように選ばれる。通常(測定機能の場合)、使用される電場の周波数は40kHz〜2MHzの範囲である。任意選択的に、使用される周波数の数は、10以下の周波数である。任意選択的に、周波数は、選ばれた周波数の全範囲にわたり分散する(例えば、均等に分散する)。任意選択的に、選ばれた周波数は、ある特定の周波数範囲に集中する。例えば、リージョン評価の場合、この範囲の上部の周波数が任意選択的に使用される(例えば、1MHz〜2MHzの範囲の周波数)。印加電圧は、好ましくは、人間での使用に安全な範囲、例えば、100ミリボルト〜500ミリボルトであり、及び/又は1ミリアンペア以下の電流である(典型的な体の抵抗は約100Ωである)。その結果生じる電場の強度は、例えば、1cm当たり数ミリボルトの範囲、例えば、5mV/cm、10mV/cm、20mV/cm、又は別のより大きな、より小さな、若しくは中間の値である。データ取得の要件に基づいて、周波数及び/又は電極対の高速自動切り替えを含む実施形態では、検知時間は任意選択的に測定当たり約10ms(又はより長い若しくはより短い期間、例えば、約100ms若しくは1秒)である。
【0095】
幾つかの実施形態では、任意選択的に、相関方法を使用して、組織の測定電気特性(特に誘電関連特性)をリージョン結果に関連付ける(そのような方法は、例えば、
図3に関連して説明される)。周波数の任意の十分に密なサンプリングをまず、特定のシステム及び1組の組織条件に関して測定して、どの周波数が最も有用な結果を示すかを特定し得ることを理解することができる。現場での使用に実用的な数への低減は、どの周波数が、結果との最大の統計学的相関を有するデータをもたらすかに基づくことができる。本発明者らにより、例えば、40kHz〜2MHz内に分散する10以下の周波数が、組織評価(例えば、リージョンサイズ評価)を可能にするのに有用なことが判明している。幾つかの実施形態では、例えば、測定に選ばれる1組の周波数は、40kHz、100kHz、700kHz、1MHz、1.2MHz、及び/又は1.7MHzを含む。
【0096】
なお、心臓を含む多くの組織の公表されている誘電率及び導電率は、述べた範囲内の数百kHzの範囲にわたり対数:対数プロットで概ね線形であり、密な周波数サンプリングを必要とせずに組織タイプを潜在的に区別することができる。
【0097】
幾つかの実施形態では、カテーテルプローブ111は任意選択的に、測定にも使用されるカテーテル電極103を通して送られるRF焼灼エネルギーにより、焼灼に使用される。任意選択的に、カテーテル電極103は、回路を駆動、検知、及び/又は分析して、誘電特性分析に適するデータを取得可能なシステムと共に動作する標準カテーテルプローブの一部として提供される。
【0098】
幾つかの実施形態では、他の電極、別のカテーテルプローブ、及び/又は別の焼灼デバイス及び/又は方法、例えば、冷凍焼灼、超音波焼灼、レーザ焼灼、電気穿孔焼灼、又は別の形態の焼灼が使用される。
【0099】
幾つかの実施形態では、電場生成及び/又は電場測定デバイス101A、101Bは、コントローラ120の制御下であり、コントローラ120はそれ自体、任意選択的に、ユーザインタフェース150を通してユーザ制御下にある。コントローラ120は任意選択的に、CPUを有するコンピュータ又はプログラムコードに従って動作する他のデジタルハードウェアを含む。コントローラ120は、本明細書では、多機能モジュールとして説明されるが、コントローラ120の機能が任意選択的に、システムの2つ以上のモジュールに分散することを理解されたい。例えば、誘電測定に使用されるハードウェア要素の制御は任意選択的に、測定モジュール120Aにより実行される。
【0100】
例えば、インピーダンス測定により組織の誘電特性をプロービングするためのデバイス101による電場生成は、コントローラ120の制御下であり得る。例えば、デバイス101からの、誘電特性の測定に使用されるインピーダンス特性の測定は、コントローラ120に通信される。幾つかの実施形態では、コントローラ120は焼灼コントローラでもある(直接又は間接的に)。焼灼は任意選択的に、デバイス101又は例えば本明細書に記載されるような別の焼灼デバイスにより生成される電場(例えば、RF電場)を介する。
【0101】
幾つかの実施形態では、コントローラ120は、1つ又は複数の追加のパラメータに測定を関連付ける測定分析器120Bでもある(任意選択的に、別個の測定分析器が提供される)。例えば、140において提供される状態入力は任意選択的に例えば、カテーテル電極103及び/又は皮膚パッチ電極105の位置を含む測定に関連する任意の状態並びに/或いは組織102及び/又は標的領域106の生体構造の詳細を含む。幾つかの実施形態では、生体構造の詳細は、電場104が誘導される位置での組織タイプを与える画像データを含む。任意選択的に、生体構造の詳細は、生体構造の誘電特性モデル、例えば、画像データから推測される誘電特性及び/又は異なる組織タイプの典型的な誘電特性を含む。任意選択的に、誘電特性モデルは、電極検知により受信される追加データ、例えば、カテーテル電極103及び/又は皮膚パッチ電極105からの検知により改良される。幾つかの実施形態では、ユーザインタフェース150に制御機構及び/又はディスプレイが提供されて、コントローラ120が利用可能な状態入力をいかに使用するか−例えば、データ−モデルレジストレーションのレビュー及び/又は修正、モデルパラメータの調整等のために−を支配する。任意選択的にユーザインタフェース150は、数値及び/又はスライダー位置入力、選択肢リスト、テーブル、調整可能なグラフ若しくは画像、又は別の制御要素、表示要素、若しくは制御/表示要素の組合せの操作により調整を行う1つ又は複数の制御機構(例えば、グラフィカル又はハードウェア)及び/又はディスプレイを備える。
【0102】
任意選択的に、システム100は、コントローラ120に機能的に接続される相関データ構造130を含む。任意選択的に、相関データ構造130はコントローラ120の一部である。幾つかの実施形態では、相関データ構造は、測定電場特性(特に標的組織の誘電特性に関連するもの)を対象となる他の組織パラメータにリンクするデータを含む。対象となる組織パラメータは任意選択的に、標的組織106及び/又はその近傍のリージョン形成を反映するパラメータを含む。組織パラメータは任意選択的に、組織、任意選択的に特にリージョン形成組織の深度、容積、及び/又は広がりを含む。任意選択的に、リージョン形成組織の他のパラメータが測定される。任意選択的に、組織パラメータは、正常、傷あり、永久的又は可逆的に非活性化、浮腫、及び/又は炭化等の1つ又は複数のリージョン形成又は非リージョン形成組織タイプ又は状態についての分類を含み得る。本明細書では、組織状態(又は組織の状態)は、機能的、生理学的、及び/又は解剖学的組織特性、すなわち、組織の1つ又は複数の機能的、生理学的、及び/又は解剖学的パラメータの値(例えば、数又は分類)及び例えば、今列挙したもののうちの1つ又は複数を含むものとして理解されるべきである。任意選択的に、組織状態のパラメータは非誘電パラメータである。ベクトルという用語での考察が適用される場合、組織状態は、成分として1つ又は複数のパラメータの値を有する状態ベクトルとして理解し得る。この理解は、必要に応じて変更して、「リージョン状態」又は「リージョンの状態」という用語の使用にも該当すべきである。
【0103】
リンクは任意選択的に(例えば)、統計学相関(例えば、計算統計の技法を使用して)、相関データへの方程式近似(例えば、数学的最適化による)の使用、及び/又は機械学習技法の使用による。幾つかの実施形態では、使用される機械学習技法は、決定木学習、相関ルール学習、人工ニューラルネットワーク、帰納的論理プログラミング、サポートベクターマシン、クラスタ分析、ベイジアンネットワーク、強化学習、表現学習、類似度及び計量学習、及び/又は機械学習の分野からの別の技法の1つ又は複数の実施を含む。
【0104】
幾つかの実施形態では、相関は、1つ又は複数の物理的特性の効果のモデリングにより補足される:例えば、温度並びに/或いは流体(血液等)及び/又はガス(空気等)の時変充填。幾つかの実施形態では、データ構造は、前に記録された較正データへのそのようなリンク方法のうちの1つ又は複数の適用により編纂される。例えば、リージョンは、較正で使用するために形成され、誘電特性及び対応するリージョンサイズ(並びに/或いはリージョンタイプ及び/又は状況等の他のリージョン状態情報)の別個の測定が実行される。任意選択的に、追加データ、例えば、状態データ(例えば、状態入力140により提供される)もデータ構造に組み込まれる。
【0105】
幾つかの実施形態では、任意選択的に状態入力140からの情報で補足された電場生成/測定デバイス101からの誘電特性のベクトルを使用して、リージョンサイズ(例えば、リージョンの深度、幅、及び/又は容積)及び/又はタイプ又は状況(例えば、可逆的、不可逆的、貫壁性、線維性、及び/又は浮腫性)等のデータ構造130内の他のリージョン特性を推定することができるように、測定間の関係が特定され、相関データ構造130により記憶される。幾つかの実施形態では、リージョン特性、例えば、サイズ測定は、常時可変である。幾つかの実施形態では、リージョン特性はカテゴリ割り当てを含む−例えば、リージョンは、複数のリージョン深度カテゴリのうちの1つ内に属するものとして推定される。幾つかの実施形態では、リージョン特性は定性的状態評価を含む:例えば、「貫壁性」、「不可逆性」、及び/又は「浮腫性」。任意選択的に、特性には確率の推定が関連付けられる:例えば、標準偏差及び/又は信頼水準。
【0106】
幾つかの実施形態では、リージョン特性は、リージョンの形状の態様を含む。例えば、リージョン深度は任意選択的に、約4mmまで、約6mmまで、約8mmまで、約10mmまで、又は別のより大きな、より小さな、若しくは中間の深度の範囲内で推定される。任意選択的に、リージョン深度は壁総厚に関して推定される:例えば、70%、80%、90%、100%、又は別のより低い若しくは中間の貫壁性の程度。任意選択的に、リージョン形状は、リージョンの広がりに沿ったギャップの存在の評価を含む。幾つかの実施形態では、許容可能な最大ギャップは、例えば、約1.0mm、約1.3mm、約1.5mm、又は別のより大きな、より小さな、若しくは中間のギャップ。
【0107】
幾つかの実施形態では、リージョン特性は、リージョンの領域内の組織構造の態様を含む。任意選択的に、誘電特性を使用して、健康な組織と線維性組織との組織構造状態を区別する。任意選択的に、誘電特性を使用して、完全なままの細胞膜構造を有する組織と破壊された細胞膜構造を有する組織とを区別する。任意選択的に、誘電特性を使用して、浮腫組織と非浮腫組織とを区別する。
【0108】
幾つかの実施形態では、リージョン特性は、リージョンの領域での組織機能の態様を含む。例えば、組織の領域は、電気生理学的に活性である状態とない状態及び/又は能動的に収縮する状態としない状態との間で区別される。
【0109】
誘電組織状態評価の概説
これより
図12を参照し、
図12は、本開示の幾つかの例示的な実施形態による、組織の1つ又は複数の誘電特性に基づく解剖学的、生理学的、及び/又は機能的組織状態を評価する方法を概説するフローチャートである。
【0110】
ブロック1204において、幾つかの実施形態では、方法は、体内電極103の位置決めで開始される。幾つかの実施形態では、電極は、電極が標的組織106と交わる電場104を確立するに当たり作用する体内位置に位置決めされる。体内電極103は任意選択的に、例えば、体表に配置される体外にある第2の電極105(体表電極)と一緒に作用する。任意選択的に、第2の電極は別の体内電極103である。
【0111】
ブロック1206において、幾つかの実施形態では、標的組織の1つ又は複数の誘電特性が、例えば、電場生成器101A及び電場測定デバイス101Bの動作により特定される。誘電特性の特定の例は、例えば、本明細書において
図2のブロック206及び208に関連して詳述される。
【0112】
ブロック1208において、幾つかの実施形態では、解剖学的、生理学的、及び/又は機能的組織状態の特性が、特定された誘電特性に基づいて推定される(例えば、そのような状態の例は、例えば、
図1A及び
図1Bに関連して説明される)。幾つかの実施形態では、推定することは、対応性(例えば、誘電特性と、それと同時に発生する組織状態との相関を記述するデータ構造130へのデジタルコンピュータのアクセスを含む。任意選択的に、データ構造は、例えば、これもまた
図1A、
図1B、及び
図2に関連して説明されるように、機械学習技法又は別の方法の使用により生成される。任意選択的に、追加の状態入力140(例えば、患者の生体構造の態様を記述する入力又は状態入力140に関連して本明細書に説明したような他の入力)が、推定に使用される。
【0113】
誘電特性の測定
これより
図2を参照し、
図2は、本開示の幾つかの実施形態による、組織リージョン特性を測定及び/又は推定する、任意選択的に他の状況パラメータに関連して組織誘電特性を測定する方法のフローチャートである。
【0114】
図2は任意選択的に、2つの測定フェーズ−較正用の測定又はリージョン若しくは他の組織特性評価用の測定−の何れか一方に適用される。
【0115】
図2のブロックを詳細に進める前に、これより、インピーダンス測定の手短な概説を提供する。インピーダンスの基本測定を説明するために、以下の評価が使用される。
W−1組の周波数。
C−1組のカテーテル電極。
P−1組のパッチ電極。
【0116】
上記のそれぞれのパラメータ及び/又は値は、例えば、
図1A及び
図1Bに関連して説明したようなものである。
【0117】
インピーダンス測定は任意選択的に、Z(t)={Z
w,c,p(t)|w∈W,c∈C,p∈P}として表現され、式中、Z(t)はカテーテル電極cとパッチ電極pとの間で時間t及び周波数wで測定される複素インピーダンス(抵抗及びリアクタンス)である。
【0118】
任意の単一の電極対及び/又は周波数からの相関情報は一般に、結論を導き出すには不十分な根拠である。リージョン評価及び/又は他の組織の特性評価を可能にするのに十分に強力な相関を抽出するためには、多くのベクトル成分を有する(例えば、複数の電極対間の複数の周波数での測定)ことが潜在的に有利である。任意選択的に、カテーテル電極の数は2、3、若しくは4の電極又はより多数若しくはより少数のカテーテル電極である。任意選択的に、皮膚パッチ電極の数は4、5、若しくは6の電極又はより多数若しくはより少数の皮膚パッチ電極である。任意選択的に、2〜10の周波数が使用される(電場が印加される)か、又はより多数の周波数が使用される。
【0119】
本明細書では、インピーダンス測定と組織特性評価との相関の特定及び適用は、提示の都合上、ベクトルの形態で説明される。幾つかの実施形態では、相関は追加又は代替として、別の形態で取得、表現、及び/又は使用されることを理解されたい。幾つかの実施形態では、機械学習技法を使用して、相関を確立する:例えば、決定木学習、相関ルール学習、人工ニューラルネットワーク、帰納的論理プログラミング、サポートベクターマシン、クラスタ分析、ベイジアンネットワーク、強化学習、表現学習、類似度及び計量学習、及び/又は機械学習の分野からの別の技法の1つ又は複数の実施。任意選択的に、技法の選択は、相関データの記憶、表現、及び/又は検索に影響を及ぼす。例えば、相関は任意選択的に、接続されたノード及び接続重みに関して表現される人工ニューラルネットワークとして表現される機械学習パラダイムの使用により確立及び/又は読み出される。幾つかの実施形態では、特定された相関は相関ルールに関して表現される:例えば、1つ又は複数の関数(任意選択的に較正データに近似される)。幾つかの実施形態では、相関は1つ又は複数の誘電特性に関して表現される。例えば、特定の状態(例えば、瘢痕化、炭化、温度、又はリージョン貫壁性)の発生に対応する誘電プロファイルが定義される。任意選択的に、プロファイルは、特定の状態が1つ又は複数の対応する範囲内で発生する1つ又は複数のインピーダンス測定に相関することを示す、較正中の観測に基づいて定義される。これらの範囲は任意選択的に、特定の状態が観測されたとき、特定の状態の指示として機能する誘電プロファイルとして確立される。
【0120】
複数のインピーダンス測定の使用は潜在的に、インピーダンス測定と局所組織特性との相関の分離を支援する。例えば、各カテーテル電極c
i近傍の略共通する組織領域が、各対の電極(c
i,(p
1,・・・,p
m))間で測定されるインピーダンスZ(t)に寄与することを考慮することができる。この共通領域は潜在的に、それらの電極対のそれぞれ間で行われるインピーダンス測定の相関を増大させる。
【0121】
逆に、電極プローブと任意の所与のパッチ電極p
jとを隔てる、電極プローブからより離れた組織のインピーダンス寄与は潜在的に、各対((c
1,・・・,c
n),p
j)間の相関に符号化される。
【0122】
異なる組織(カテーテルの近く又はカテーテルから遠く)のインピーダンス相互作用は潜在的に、測定への結合効果において非線形であるが、上記に基づいて、局所組織及び離れた組織の寄与が潜在的に、相関特性に基づいて互いからいかに分離可能であるかを理解することができる。任意選択的に、相関は、時間の経過に伴って生じる変化から導出される。例えば、実際のリージョン状態は、リージョン形成中に生じる誘電測定の変化の程度に相関する。
【0123】
インピーダンスに影響する組織の特徴は潜在的に、例えば、
・リージョン形成時に破壊される区画に電荷を分ける組織の細胞組織、
・これもまた潜在的に、例えば、リージョン形成時にタンパク質の変性により変わる組織の線維組織、及び/又は
・温度であって、幾つかの実施形態では、潜在的に誘電特性の温度依存変化に関連付けられる、リージョン形成中(例えば、RF焼灼リージョン形成中)に遷移変化を受ける、温度
を含む。
【0124】
例えば、高周波数でのリアクタンス(すなわち、測定インピーダンスの虚数成分)は、非焼灼領域と比較して、焼灼場所では比較的低い。これは潜在的に、焼灼組織での電荷分離膜の損失及び/又は破壊を反映する。幾つかの実施形態では、リージョン形成により誘導される組織移動性の変化は、誘電測定の変動の低減(例えば、心拍サイクル依存変動)の低減として検出される。
【0125】
幾つかの実施形態では、組織変化と相関することが元々観測された誘電特性(例えば、インピーダンス特性)は後に、これらの変化のマーカーとして使用される。より詳細には、本発明者らは、例えば、人工ニューラルネットワーク及び/又は他の機械学習ツールを使用して、統計学的影響の方法論により特定、テスト、及び/又は検証されるインピーダンスの測定とリージョンサイズ及び/又は重症度の測定との間の相関を観測した。
【0126】
これより
図2のブロック202を参照すると、幾つかの実施形態では、皮膚パッチ電極が、患者の体と良好な電気接触状態で患者の体に位置決めされる。任意選択的に、パッチ電極は、例えば、直径約5cm〜15cmである。この構成は、例えば、患者の実際の治療に関連して使用される。
【0127】
代替的には、幾つかの実施形態では、電極は、較正試料と併用されるように構成される(較正試料の例は、例えば、
図6A〜
図Tに関連して示され考察される)。
【0128】
ブロック204において、幾つかの実施形態では、カテーテル電極は、例えば、リージョンが存在し、及び/又は作成される組織領域(例えば、左心房)にカテーテルを通してナビゲートすることにより定位置に運ばれる。
【0129】
較正標本と共に使用される場合、例えば、
図6A〜
図6Tに関連して説明するように、ロボット位置決めが任意選択的に使用される。
【0130】
ブロック206において、幾つかの実施形態では、選択された周波数の電場が、カテーテル電極Cと皮膚パッチ電極(又は例えば、較正に使用されるような他の電極)Pとの間に印加される。任意選択的に、電場は1つ又は複数の対になったカテーテル電極C間に印加される。電場の測定(例えば、電場測定器101Bによる)は、ブロック208において測定される各周波数及び各電極選択での特性信号を含み、1組のインピーダンス測定Z(t)を生成する。任意選択的に、特性信号は、インピーダンス測定及び/又は誘電パラメータの別の測定を含む。
【0131】
任意選択的に、ブロック209及び/又はブロック211において、状態評価が行われる。評価される状態は、例えば、サイズ等のリージョン特性である。状態評価は、リージョン評価又は他の組織特性評価を指し得る。状態評価は任意選択的に、較正及び/又は測定のための評価である。例えば:
・幾つかの実施形態(例えば、誘電特性を組織の状態に関連付ける、較正データ構造130についてのデータが収集中である場合)、状態は直接評価される(例えば、リージョンのジオメトリを含む状態は直接測定される)。この情報は任意選択的に、インピーダンス及び/又はインピーダンス変化と状態及び/又はその状態の変化との統計学的相関の特定に使用される。トライアルは任意選択的に、例えば、
図6A〜
図6T及び本明細書での他の図に関連して説明されるように、生体内データ及び生体外データの一方又は両方を含む。較正データは任意選択的に、様々な較正結果に関して様々な条件下で取得される。任意選択的に、取得は、各条件/結果で2回以上行われて、変動及び測定ノイズの管理を促進する。
・追加又は代替として、幾つかの実施形態では、状態評価は、インピーダンス測定とその状態との前に観測された相関に基づいて、状態を推定することを含む。
【0132】
ブロック209での任意選択的な状態評価は任意選択的に、オンライン評価、例えば、誘電特性(例えば、インピーダンス特性)及び/又はリージョン状態の直接観測(妥当な場合:例えば、較正のためのリージョン形成組織試料標本の表示)に基づいて、状態(例えば、リージョン状態又は他の組織の状態)の推定を含む、リージョン形成中の評価を表す。ブロック211における任意選択的な状態評価は、オフライン評価(例えば、較正データの編纂に使用される組織状態の特定のため):例えば、生体内医療撮像による過去の組織検査又は評価を表す。
【0133】
幾つかの実施形態では、測定インピーダンスに関連する状況に関連する他のパラメータ(例えば、状態入力140)が、ブロック207において(インピーダンス測定前、測定後、及び/又は測定中に)行われる推定及び/又は測定から得られ、ブロック209において、状態評価を生成する。
【0134】
幾つかの実施形態では、記録されたデータ(例えば、インピーダンス及び関連する状況データを含む)は、X(t)=(Z(t),A(t))、t=t
0,t
1,t
2,・・・等の時系列として表現され、式中、X(t)は状況及び測定の関数としての全ての測定を表し、Z(t)は測定のインピーダンス成分であり、A(t)は、インピーダンス測定の関連する状況、例えば、既知の解剖学的属性、他の事前情報、又は他の同時に特定される情報(例えば、臓器タイプ及び測定位置)を表す。
【0135】
別のベクトルY(t)は、組織の状態の評価を記述する。
【0136】
評価された状態は、焼灼処置から生じる組織属性(例えば、リージョンの深度、幅、容積、及び/又はタイプ)及び/又は生じ得る有害事象を示す組織属性を示すことができる。有害事象は、例えば、壁貫通、炭化、及び/又はスチームポップを含む。処置の較正は、例えば、Y(t)及びX(t)の別個に特定される状態間の相関を特定する統計学的分析及び/又は機械学習を含む。応用では、これらの相関を使用して、X(t)の観測状態に基づいて、Y(t)により記述される存在する確率が高い状態を選択する。
【0137】
幾つかの実施形態では、評価された状態Y(t)は、リージョンのサイズ及び/又は形状に関連する。例えば、心臓壁のリージョンは、深度、容積、及び/又は幅について評価される。任意選択的に、評価される状態は、組織壁に沿った様々な位置に沿ったリージョン深度等のパラメータを含む。任意選択的に、深度は「貫壁性」−リージョンが組織壁を横断する程度(例えば、完全な貫壁性であるか否か、又は70%、80%、90%、100%等の完全貫壁性のうちの割合)−として表現される。任意選択的に、リージョンは、連続性及び/又は準連続性について評価される。例えば、リング形リージョンは、ギャップ(任意選択的に、ギャップは不十分な貫壁性の領域を含む)について評価される。幾つかの実施形態では、ギャップは、ギャップを横断する伝達を潜在的に許すギャップの閾値に相対して評価される。例えば、幾つかの状況で、伝達をブロックするのに十分に小さいギャップとしての1.3mmのギャップが、例えば、RanjanらによりCirc.Arrythmia Electrophysiol.2011;4:279−286)において報告されている。
【0138】
幾つかの実施形態では、別の状態が評価される。例えば、焼灼エネルギーは潜在的に、炭化及び/又は局所沸騰(「スチームポップ」と呼ばれることもある)等の望ましくない影響を生成する。幾つかの実施形態では、組織インピーダンス変化は、組織焼灼の標的ポイントを超えて生じ続け、望ましくない事象が潜在的に生じる状況(例えば、温度)に繋がる。幾つかの実施形態では、標的焼灼状況に達する前のインピーダンス変化は、そのような望ましくない影響(例えば、速すぎる変化は潜在的に、熱エネルギーが、良好なリージョン深度を達成するため又はスチームポップを回避するために適切に分散されていないことを示す)の危険を示す。
【0139】
幾つかの実施形態では、データ及び/又は処置較正の収集は、リージョン形成(焼灼)パラメータL(t)を、任意選択的にΔX(t)の一環として、インピーダンス測定に生じた変化ΔZ(t)に関連付けること及び/又はリージョン形成(焼灼)パラメータL(t)を、任意選択的にX(t)の一環として、絶対値Z(t)に関連付けること(例えば、相関により)を含む。任意選択的に、焼灼パラメータL(t)には、リージョン結果ベクトルY(t)及び/又はそれらの変化ΔY(t)が関連付けられる。
【0140】
幾つかの実施形態では、これらの関連付けを使用して、現在の測定状態X(t)と次の状態X(t+1)及び/又は標的状態X(t+i)との間のナビゲーションに利用可能な焼灼パラメータのレパートリーを生成する。予測される結果及び達成される結果が異なる場合、焼灼を制御するパラメータは任意選択的に、「パスに戻す」ように調整することができ、及び/又は標的状態への新しい経路を決定することができる。
【0141】
幾つかの実施形態では、焼灼パラメータ(例えば、RF焼灼等の電気生理学的焼灼法でのパラメータ)は、標的状況を達成するように、及び/又は有事状況を回避するように選ばれる。
【0142】
パラメータは、例えば、指定時間内又は時間範囲内での送達、指定電力又は電力範囲での送達、指定周波数又は周波数範囲での送達、焼灼率の選択、及び/又は焼灼で使用される電極の選択を含む。
【0143】
心房細動の焼灼処置での標的の例は、収縮誘導のトリガーインパルス源からの伝導を妨げるように位置決めされた(例えば、一方又は両方の肺動脈を囲むことにより)永久的な貫壁線維性瘢痕の作成である。通常、焼灼パラメータは、幾つかの焦点、例えば、トリガー領域とトリガー受信領域との間のブロックとして機能する焼灼の連続した広がりを形成するように配置される焦点を含む焼灼の標的パターンの選択を含む。任意選択的又は代替的には、リージョン形成は、計画された境界に沿って焼灼プローブをドラッグすることを含む。
【0144】
通常、焼灼の標的時間(任意選択的な複数の焼灼焦点のそれぞれの)は、例えば、約10秒〜30秒内、約10秒〜40秒内、約10秒〜60秒内、又は同じ、より高い、低い、及び/又は中間の値を有する別の時間範囲内である。例えば、RF焼灼により組織を加熱して焼灼する場合、典型的な電力送達は、例えば、約10W、約20W、約30W、約35W、又は別のより高い、より低い、若しくは中間の値である。RF焼灼と併用される典型的な無線周波数は、例えば、約460kHz〜550kHzの範囲内、一般的には約500kHzである。任意選択的に、別の焼灼様式が使用されることを理解されたい。
【0145】
幾つかの実施形態では、パラメータは、炭化又はスチームポップ等の有事状況を回避し、及び/又は現在の組織標的の特性、例えば、組織の厚さに従って適宜焼灼するように選ばれ、及び/又は焼灼中、変更される。焼灼プロトコールにモニタリング及び/又は柔軟性を追加するフィードバックを提供することは、システムにとって潜在的な利点である。例えば、心房壁の厚さは潜在的に、例えば、1mm〜6mmの範囲内で大きく変動する。この変動は時に、1つの心房内で見ることができる。焼灼プロトコール中、貫壁焼灼を達成するには、壁厚に応じてより大きな又はより小さな焼灼エネルギーを使用する。しかし、過剰焼灼は潜在的に、心臓穿孔、食道の損傷、及び/又は横隔神経線維の損傷等のダメージに繋がる。幾つかの実施形態では、薄い組織壁では、(厚い壁と比較して)プローブ電極により検知される誘電特性はある程度異なり、潜在的に、標的状況に合うように焼灼パラメータを調整することができる。追加又は代替として、壁厚は、解剖学的測定(例えば、MRI及び/又はCT像データのコンピュータ分析)及びリージョンパラメータの決定への入力として提供される厚さデータに従って特定される。
【0146】
幾つかの実施形態では、上記焼灼パラメータ及び/又は要件のうちの1つ又は複数は、一定である(例えば、事前設定及び/又はユーザ選択により)。任意選択的に、標的結果を達成するように調整される他のパラメータ。任意選択的に、調整は、進行中の焼灼の1つ又は複数のパラメータを変更することを含む。追加又は代替として、調整は、エンドポイント状況、例えば、標的焼灼レベルに達したとき又は標的組織の過熱等の潜在的に安全ではない状況に達したとき、焼灼を中止することを含む。
【0147】
幾つかの実施形態では、選択肢は、
・Mモード(手動):電力レベルは一定であり、全体焼灼時間は、オペレータの選択に従って変更される、
・Aモード(自動モード):ユーザは、結果目標への選択を制限し、その目標に到達するパスは、システムにより自動的に決定される、
・Tモード(時間モード):焼灼の時間は一定であり(又はある範囲内で固定される)、システムはそれに合うように電力を変更する、
・Pモード(電力モード):電力は一定であり(Mモードと同様)、時間等の他のパラメータは、標的結果を達成するように自動的に変更される、
のうちの1つ又は複数を含むモードパレットとしてユーザに提示される。
【0148】
ブロック207の関連する状況に戻る:インピーダンスと組織の評価状態との関係は潜在的に、インピーダンス測定の他の状況により影響を受ける。任意選択的に、これらの状況は、処置の開始時に特定される(例えば、前に取得された画像及び/又は前のモデリングに基づいて)。追加又は代替として、これらの状況は、例えば、運動及び/又は位置の測定に基づいて、処置中に更新される。
【0149】
そのような状況の例は、2つの電極の近傍の組織及び/又は2つの電極間の組織の組成及び/又は厚さ、電極接触の質、及び/又は組織の動き(例えば、心臓の収縮及び/又は呼吸に起因する)を含む。幾つかの実施形態では、状況情報は電極の位置を含む。幾つかの実施形態では、電極の位置は、既知であり、及び/又は例えば、放射線撮像及び/又は電場内の電極の位置の特定からのナビゲーション情報に基づいて推測される。
【0150】
幾つかの実施形態では、関連する状況の時間履歴が考慮される:例えば、心拍及び/又は呼吸に応じた振動並びに/或いは最近記録された最大/最小値。
【0151】
ブロック210において、幾つかの実施形態では、処置の継続について判断される。例えば、フィードバック制御焼灼処置では、ブロック209において評価された状態を使用して、焼灼(又は追加の焼灼)を実行すべきか否かを判断する。代替的には、幾つかの実施形態では、判断は、較正データを取得するように設計されるプロトコールに従うことにより行われる。幾つかの実施形態では、処置完了後のある時間にわたり、焼灼なしのサイクルループを継続して、時間にわたりリージョンの誘電特性がいかに変化するかをモニタし、及び/又は異なる位置での誘電測定を可能にする。
【0152】
ブロック212において、幾つかの実施形態では、焼灼は任意選択的に実行される。焼灼は任意選択的に、部分的又は完全に実行される。幾つかの実施形態では、ブロック206〜212を通してのループシーケンスが、ブロック210において終了状況によりループから出るまで、各ループ中に追加の焼灼及び/又は継続した焼灼を実行して実行される。代替的には、焼灼は、フィードバック制御なしで1期間において実行される。幾つかの実施形態では、特定のループ中に焼灼するか否かは、例えば、接触の質の推定又は焼灼の時間履歴の特定(例えば、リージョンが予期される率で作成されているか否か)に基づいて判断される。焼灼は任意選択的に、後続ループ中に続けられ、後続ループ中、適切な状況が復活する。
【0153】
幾つかの実施形態では、焼灼パラメータ自体(焼灼のシングルショット又は次の増分フェーズでの)は、状況(ブロック207)、状態(ブロック209)、及び/又はインピーダンス(208)に基づいて決定される。例えば、リージョンサイズとインピーダンス値との前に特定された関連は、組織へのより大きな又はより小さな焼灼エネルギーの送達が必要とされることを示し得る。
【0154】
幾つかの実施形態では、焼灼(例えば、加熱エネルギー)は、例えば、組織加熱を生じさせる適切な「抵抗」損失を誘導する周波数でのRFエネルギーとして、組織の誘電特性を反映するインピーダンス値の測定に使用されるものと同じ電極又は同じ電極のうちの幾つかを通して送達される。同じ電極を使用して焼灼及び測定を行うことは、潜在的な利点である。例えば、それにより、必要とされる機器を減らし、必要とされる位置決め座標を減らし、及び/又は行われる測定と達成される結果との関係をより直接的なものにすることができる。追加又は代替として、幾つかの実施形態では、測定及び焼灼は、別個の機器(例えば、異なる電極)により実行される。これもまた上述したように、焼灼は任意選択的に、既知の任意の焼灼方法によるものである。
【0155】
リージョン評価
これより
図3を参照し、
図3は、本開示の幾つかの例示的な実施形態による、容積、深度、及び/又は不可逆性等のパラメータに関する焼灼リージョンの計画、作成、及び/又は評価を行う方法のフローチャートである。
【0156】
任意選択的に、リージョンは、組織の焼灼により形成されて、例えば、治療効果を生み出す。焼灼の処置では、
・選択されたリージョン特性が達成されるようにリージョンをいかに誘導するかを事前に推定することが可能であり、
・焼灼中、リージョンがいかに形成されるかを特定することが可能であり、焼灼パラメータのリアルタイムでの調整が可能であり、及び/又は
・焼灼後、達成された焼灼結果を推定することが可能である
ことは、潜在的な利点である。
【0157】
心房細動を治療する焼灼の場合、以下は任意選択的な標的リージョン考慮事項である。
・選択的破壊−心筋組織は、機能的特性及び機械的特性の両方を備える。焼灼は任意選択的に、かなりの機械的強度をそのままにしながら、特定の機能特性(特に、筋細胞間の電気インパルスの伝達)を破壊することを目標とする。組織学的に、これは潜在的に、「凝固壊死」として現れ、凝固壊死では、膜画定及び/又は細胞質構造は大方破壊されるが、線維構造は保持される(潜在的に変更された形態、例えば、部分的に変性して)。凝固壊死は、例えば、液化壊死と対比することができ、液化壊死は、元の構造要素が大方なく、流体充填空間を残す。
・貫壁性−リージョンは、リージョンの位置にわたる収縮インパルス伝達をブロックするのに十分に、心筋壁の厚さを通って延びるべきである。幾つかの実施形態では、リージョンは、好ましくは、貫壁性であるが、壁の機械的完全性を損なう(穿孔又は過度に弱化させる)ことがない。
・連続性−リージョンの全程度は、心筋拍動伝達が渡ることができるのに十分に大きなギャップなしで、心筋壁の領域に沿って(例えば、焦点間に)延びるべきである。幾つかの実施形態での許容可能な最大ギャップサイズは、例えば、1.3mm未満である。
【0158】
実際には、リージョンは任意選択的に、リージョン焦点の連鎖から形成される。例えば、心房壁では、焦点は、機能ブロックの連続領域にリンクする(例えば、そこを渡る心筋電気インパルス伝達を阻止する)ように互いに沿って配置される。焼灼処置で標的とされる1つ(しかし、この1つのみではない)の典型的なリージョンジオメトリは、肺動脈への心房開口部を囲む統合リージョン焦点のリングであり、典型的な目標は、心房細動を生じさせ得る動脈及び/又は動脈開口部の領域から生じるシグナルの伝達阻止である。
【0159】
リージョン焦点は、一定の接触領域から拡散した焼灼又は表面にわたり焼灼電極をドラッグする等の別の方法により形成することができる。各リージョン焦点は潜在的に、空間的に不均一である。例えば、任意選択的に、中心(例えば、焼灼電極接触領域)から開始され、そこから、焼灼エネルギーが拡散する。追加又は代替として、焼灼中に焦点を移動させることにより、移動速度、接触の質、組織特性、又は別のパラメータの結果として、不均一性が生じ得る。幾つかの領域での過剰焼灼は、構造弱化(潜在的に漏出又は破裂に繋がる)等の問題を生じさせ、一方、焼灼不足は、不十分な機能ブロック(潜在的にリージョン介入の失敗に繋がる)に繋がり得る。
【0160】
幾つかの実施形態では、誘電リージョン評価は、ある期間のリージョン形成から潜在的に復元可能な組織と、永久的に破壊される組織とを区別する。例えば、機能伝達ブロック(これもまた、リージョン後に電気的に評価することができる)は潜在的に、機能的に非活性化されるが、細胞は破壊されないリージョン領域での一時的のみである。幾つかの実施形態では、誘電特性測定を行うように構成される電極は、進行中の電気的活動を検知するようにも構成され、検知される活性化の損失に従って電気ブロックを少なくとも部分的に特定できるようにする。しかし、細胞完全性を維持する領域は潜在的に、リージョンから復元される。これは、電気ブロックの特定のみに基づいて、リージョン直後に長期の処置結果を機能的に評価することを難しくし得る。機能的電気ブロックからの復元は、心房細動を再開させる電気的化活動の復元に繋がる恐れがある。しかし、潜在的に−例えば、組織誘電特性を決める幾つかのメカニズムは、そのままの細胞膜に依存するため−誘電評価は、単なる非活性化組織と、細胞構造自体が損なわれた組織とを区別することができる。潜在的には、不可逆的に焼灼された組織でのギャップ又は潜在的なギャップを素早く検出することは、利点である。任意選択的に、焼灼は、それに応答して継続及び/又はルート変更することができる。潜在的には、これは、将来の焼灼試行の結果を妨げ得る、浮腫等の焼灼後組織変化が完全に生じる前に行われる。例えば、焼灼後の誘電特性測定は、焼灼が100ms、1秒、10秒、20秒の間隔、又は別のより長い、より短い、若しくは中間の間隔内で完了した後、実行される。
【0161】
そのようなリージョンブロックの機能的評価(例えば、肺動脈から左心房への電気生理学的伝達の評価)が潜在的に、時間がかかるものである−電極の再位置決め及び/又はアデノシン等の物質の注入を含み得る−ことにも留意されたい。これに関して、誘電リージョン評価は、リージョン形成完了の直後又は略直後にリージョン評価するという潜在的な利点を提供する。
【0162】
誘電測定に基づくリージョン評価は任意選択的に、焼灼前、焼灼中、及び/又は焼灼後に実行される。リージョン形成前、そのような評価は、焼灼計画、位置決め、安全性を助けることができ、及び/又は状況により、完全なリージョン形成を行うことができる可能性が高くなるまで、リージョン形成を開始しないことを保証するのに役立つことができる。リージョン形成中、そのような評価(例えば、リージョン形成のフィードバック制御で使用される)は、安全ではない状況が生じる前に、完了へのリージョン形成継続が終了し、及び/又は安全ではない状況を回避する一連の中間段階を通してガイドされることを保証するのに役立つことができ、並びに/或いは所望のようにリージョンを形作るのに役立つことができる。リージョン形成後、そのような評価を使用して、リージョン形成が計画通りに行われたことを確認することができる−又はそうではない場合、リージョン形成を後に妨げる恐れがあるリージョン反応状況が完全に形成される(例えば、浮腫として)前に、より多くの焼灼を適用することができるように十分に高速で実行することができる。
【0163】
焼灼形成中又は焼灼形成後のリージョン特性の評価はまた、接触力測定の結果を組み込むインデックスベースの方法よりも優れた潜在的な利点を提供する。リージョン形成中の接触力は、得られる結果との何らかの相関を有することが示されているが、それ自体は、得られる結果の測定を含まない。誘電測定リージョン評価では潜在的に、予期されるリージョン形成結果及び達成されたリージョン形成結果に関するフィードバックループを閉じることができる。
【0164】
幾つかの実施形態では、他の疾患状況でのリージョン治療の支援での誘電特性測定が実行される。例えば:
・幾つかの実施形態では、閉塞性肥大型心筋症(HOCM)心室流出路焼灼が実行されて、心臓からの血液流出をブロックしている組織の容積を低減する。任意選択的に、誘電特性測定は、例えば、計画、焼灼、及び/又は評価に使用される。
・幾つかの実施形態では、神経調節による焼灼が実行される。任意選択的に、標的神経組織の誘電特性を使用して、焼灼標的位置を区別し、焼灼の案内し(例えば、限られた焼灼が実行されるべき場合、停止状況をガイドするフィードバックを有することは潜在的な利点である)、及び/又は焼灼を検証する。
・幾つかの実施形態では、焼灼は、腫瘍の低減及び/又は転移の制御等の腫瘍状況で使用される。がん成長に関連する誘導特性の存在を評価することは、位置決め、計画、及び検証にとって潜在的な利点である。
・幾つかの実施形態では、様々なタイプの腫瘍に関連する誘電特性は、腫瘍学データベースに保持し、及び/又は腫瘍学データベースで参照され、潜在的に、腫瘍状態、予後、及び/又は行うべき好ましい治療等の誘電特性に基づく推論を可能にする。腫瘍の区別に有用であることが判明した周波数は、例えば、1MHz前後の周波数を含む。
【0165】
図3のフローチャートは、例えば、
図2に関連して説明したようなブロック204後、患者の準備後及び標的組織領域への1つ又は複数のプローブの導入(好ましくはカテーテルを介して)後の時間から開始される。
【0166】
プローブは任意選択的に、焼灼プローブ及び測定プローブを含み、任意選択的に、これら2つのプローブは同じプローブである。
【0167】
ブロック302において、幾つかの実施形態では、フローチャートが開始され、測定電極に接触し、焼灼の標的となる組織の初期状態が任意選択的に、特定される。任意選択的な初期状態特定は、標的結果を生成するための焼灼の選択及び/又は指針でのベースラインとして使用される。
【0168】
幾つかの実施形態では、初期状態は、測定、例えば、ユーザインタフェースを介したユーザによる手動の測定、前に取得された解剖学的データに従った自動的な測定、及び/又は1つ又は複数の誘電特性測定に基づく自動的な測定により特定される厚さを含む。厚さは、幾つかの実施形態では、患者の1つ又は複数の解剖学的画像から計算される(例えば、左心房壁厚−LAWTは、患者のCT像から計算される)。任意選択的に、組織の厚さは、許される焼灼及び/又は標的焼灼の程度(例えば、完全又は部分的な貫壁焼灼)を定義する。
【0169】
幾つかの実施形態では、使用されるベースライン状態は、組織の別の特性の評価、例えば、繊維状態(例えば、予め存在する治療リージョン及び/又は疾病由来のリージョン)の評価を含む。
【0170】
幾つかの実施形態では、使用されるベースライン状態は、組織との接触の質の評価を含む。任意選択的に、接触の質は、接触電極の組織環境の誘電特性に基づいて特定される(良好な接触は、例えば、測定される誘電特性が、血液ではなく接触している心筋組織の誘電特性に一致する場合、存在すると見なされる)。任意選択的に、接触の質は接触力の関数である。なお、接触の質の評価への誘電特性の使用は、例えば、接触角から実質的に独立していることにより、そのような接触力の使用よりも潜在的に有利である。
【0171】
幾つかの実施形態では、誘電特性測定に基づくベースライン状態の特定は、測定インピーダンス特性について、インピーダンス特性Zを組織特性Yに相関付けるデータセットを参照することを含む。
【0172】
任意選択的に、参照することは、例えば、
図2のブロック209及び211に関連して説明したように、他の状況の測定値及び/又は計算値を考慮することを含む。例えば、撮像スキャンから推測される近傍組織の誘電特性はモデリングされて、リージョン形成する組織に関連する測定成分の分離を支援する。また、例えば、初期状態特定302は任意選択的に、心臓サイクルのフェーズ及び/又は呼吸サイクルのフェーズの特定を含む。潜在的には、これにより、収縮組織若しくは弛緩組織に関して又は周期的運動に起因する組織とプローブ電極との接触の時変品質に関して、誘電特性測定を参照することができる。
【0173】
幾つかの実施形態では、ベースライン状態の特定は、任意選択的に厚さ又は線維性状況等の特定の物理的な状態の表現としての解釈なしで、誘電特性測定に基づく。
【0174】
例えば、較正データセットの分析は任意選択的に、ベクトル相関の集まりを確立する。幾つかの実施形態では、初期に特定される誘電特性及び他の特性から導出されるベースライン状態ベクトルX(t
0)は、データ構造内の標的リージョン状態Y(t
n)の生成にリンクされる。その場合、任意選択的に、厚さ等の構造的特性に関して組織初期状態を記述することを省き、代わりに、測定誘電状態はベースラインである。ブロック304において、幾つかの実施形態では、焼灼の計画が実行される。
【0175】
幾つかの実施形態では、焼灼の計画は、測定状態ベクトルXと標的リージョン状態ベクトルYとの前に特定された相関に従う。例えば、ベースライン状態は、前の較正が潜在的に初期状態を標的状態に変換することが可能であることを示した計画焼灼プロトコールを通して標的状態にリンクされる。
【0176】
変換は任意選択的に、複数の段階を経る。例えば、変換は任意選択的に、一連の誘電/他の状況の状態ベクトルX(t
1),・・・,X(t
n)を通して標的部位を変化させる、計画され、及び/又はフィードバックガイドされる焼灼エネルギーの適用を通して行われ、これは、t=1とt=nとの間で適用される一連の増分焼灼(任意選択的に、減分又は連続して適用される)として見なし得、そこで、較正データセットが、標的リージョン状態Y(t
n)と相関付けられる測定状態を有する測定状態X(t
n)を実質的に識別する。
【0177】
幾つかの実施形態では、焼灼はフィードバック制御下で適用される。例えば、焼灼パラメータは、少なくとも1つの測定中間状態X(t
i)後、任意選択的に、複数のそのような状態測定後、調整される。任意選択的に、調整は、焼灼を停止すること(例えば、X(t
i)が焼灼終了状態又は有事状況の存在及び/又は形成の可能性を示す状態に相関する場合)を含む。任意選択的に、調整は、例えば、焼灼率を加速又は減速させる送達エネルギーの効果的な増大又は低減を含む。
【0178】
代替的には、焼灼の開ループ適用が計画される:例えば、計算データセットを蓄積する際に収集された結果に基づいて、状態X(t
0)での組織に適用される特定の焼灼プロトコールは、標的リージョン状態Y(t
n)を生成すると予期される。
【0179】
焼灼パラメータがX(t)の1つ又は複数の測定に基づいて決定及び/又は制御される実施形態では、Y(t)の対応するリージョン状態(任意選択的に、リージョン深度、容積、及び/又は幅等のパラメータを記述する)は任意選択的に、推定されるか、又は推定されない。しかし、較正データセットにより、焼灼中に検出され、標的焼灼状態であるX(t)の少なくとも幾つかの値でY(t)を推定することが好ましい(同様に実際的にその可能性が高い)。
【0180】
追加又は代替として、幾つかの実施形態では、シミュレートされる焼灼は任意選択的に、特定された初期状態に基づいて選択される(例えば、そのようなシミュレーションのデータセットから)。シミュレーションは、例えば、経験データ(較正データセット等)及び/又は熱力学方程式に基づいて、モデルを使用して計算される。
【0181】
任意選択的に、シミュレーションは、焼灼プローブの位置に従った焼灼のシミュレーションである。位置は、焼灼プローブのリアルタイム位置、シミュレートされた位置、又はそれらの任意の他の位置であり得る。任意選択的に、シミュレーションは、シミュレートされるプローブの先端部と、標的組織近傍の組織との間のシミュレートされる最適接触力に従って実行される。任意選択的に、シミュレーションは、現在の推定接触力に従って実行される。任意選択的に、焼灼のシミュレーションは、1つ又は複数の焼灼パラメータ(例えば、電圧、電流、電力、周波数、及び/又は焼灼電極表面積寸法)に従う。
【0182】
なお、幾つかの実施形態では、標的組織を焼灼するシミュレーションの選択は(代替又は追加として)、測定及び/又は焼灼プローブ、焼灼周波数、及び焼灼プローブと併用される電力等のパラメータの選択に使用される事前計画フェーズ(すなわち、カテーテル挿入前の計画)の一環である。任意選択的に、シミュレーションは、シミュレーションの予測成功基準をユーザ(例えば、医師)に提供して、ユーザがこれらのパラメータを選択できるようにする。選択、シミュレーション、及び予測のプロセスは任意選択的に、最適に計画される結果が得られるまで、繰り返される。
【0183】
幾つかの実施形態では、シミュレーションはそれ自体、選択時(例えば、焼灼中及び/又は事前計画中)に実行される。
【0184】
幾つかの実施形態では、1つ又は複数の追加の安全及び/又は成功チェックが、焼灼自体が開始される前に実行される。例えば、ユーザは、現在の状況では、シミュレーション及び/又は較正データセットから特定される利用可能な経路に基づいて、装置が達成できないか、又は達成できないリスクが高い焼灼要件(貫壁性、永久的リージョン等)を設定していることがある。
【0185】
任意選択的に、そのような場合、システムは、この状態をユーザに警告し、及び/又は焼灼の開始を拒絶する(任意選択的に、オーバーライドを受信せずに拒絶する)。例えば、「部分的」結果が治療の有効性を下げ得るか、又は「完全な」結果へのパスが、炭化及び/又はスチームポップ等の安全でない又は好ましくは回避される状況に直面することになり得るため、これは潜在的な利点である。例えば、部分的焼灼は潜在的に、続く反復で問題を修正することができない可能性が高い浮腫を生じさせる。例えば、浮腫は潜在的に、領域を焼灼するエネルギーを上げる。しかし、幾つかの実施形態では、部分的焼灼が、それにもかかわらず生じる場合、潜在的に、リージョン形成後、浮腫が完全に形成される前に更なるリージョン形成サイクルを再び行うことができるのに十分素早く、誘電測定により評価されることに留意されたい。例えば、リージョン部位を「仕上げる」前、冷却のための短い一時停止及び/又は小さなプローブ移動後、より許容される結果を達成することができる。なお、浮腫は、焼灼後、十分に長い間隔後(例えば、約1分又は2分後)、誘電的にであっても焼灼状態を正確に検知することを難しくし得る。
【0186】
追加又は代替として(例えば、潜在的な有事状態の特定が、事前計画中になされる場合)、リージョン要件を満たすことに問題を検出したシステムは、所望の結果を達成する代替の手法を提供する。例えば、システムは、エネルギー源、カテーテル、及び/又は組織へのカテーテル先端部角度の変更を可能にし、及び/又は示唆する。幾つかの実施形態では、システムは、好ましくは焼灼ラインギャップの導入を回避しながら、異なる領域を迂回する代替の焼灼ラインを可能にし、及び/又は示唆する。
【0187】
ブロック306において、幾つかの実施形態では、処理コードの制御下で動作中のプロセッサは、標的組織近傍の組織及び/又は標的組織を含む組織の1つ又は複数の誘電パラメータの値の1つ又は複数の測定値を受信する(例えば、
図2に関連して本明細書に記載したように)。測定値は任意選択的に、カテーテル焼灼要素に接触している心筋組織及び/又は他の組織(例えば、血液)の測定値である。測定は、1つ又は複数のプローブ電極により実行し得る。
【0188】
任意選択的に、測定は、標的組織の焼灼前(例えば、焼灼計画のため)、焼灼中(例えば、誘電測定結果に基づいて焼灼計画を繰り返し調整するため)、及び/又は標的組織の焼灼後(例えば、焼灼結果を評価するため)、実行される。
【0189】
誘電測定は任意選択的に、例えば、
図1A及び
図1Bに関連して記載したパラメータに従って、1つ又は複数のプローブ電極及び/又は電極パッチを使用して、2つ以上の周波数(例えば、約10までの周波数)で実行される。
【0190】
幾つかの実施形態では、時間tでのブロック306での測定の結果は、インピーダンス測定データを含む時間依存測定ベクトルX(t)である。ブロック308において、幾つかの実施形態では、次の焼灼期間は任意選択的に、利用可能な情報、事前計画された焼灼パラメータ、及び/又は焼灼結果標的に基づいて計画される。
【0191】
幾つかの実施形態では、処理コードの制御下で動作しているプロセッサは、最後に測定された状態ベクトルX(t)を使用して、較正データセット内で特定される相関に基づいて、対応するリージョン状態ベクトルY(t)を選択する。標的リージョン状態ベクトルの選択により、状態ベクトルY(t)の成分及びそこから推定可能な他のパラメータに従って、リージョン容積、リージョン深度、リージョンの広がり、リージョン貫壁性、リージョン状態(例えば、浮腫)、及び/又はリージョンパラメータの推定が可能である。幾つかの実施形態では、状態ベクトルY(t)の成分は、安全性及び/又は有事状態に関連するパラメータの推定についての情報を含み、及び/又は含む。例えば、炭化、スチームポップ、壁穿孔、又は別の好ましくは回避される状況の現在のリスク及び/又は確率が推定される。
【0192】
幾つかの実施形態では、処理コードの制御下で動作しているプロセッサは、ベクトルX(t)及び/又はY(t)の時間履歴を処理して、初期(例えば、発生中又は潜在的な)安全関連状況を推定する。例えば、リージョンがリージョン焦点から適宜拡散する(例えば、熱伝導により)前に、炭化等の安全性問題が生じる可能性が高いことが予測される場合、焼灼エネルギー送達率は任意選択的に低減される。これは任意選択的に、実際の有事安全性状況が判断される前であり、幾つかの実施形態では、完了前の焼灼処置のシャットダウンを強制することができる。
【0193】
幾つかの実施形態では、ブロック308における次の焼灼期間の計画は、ブロック310においていずれの判断分岐が任意選択的に選択されるかに従って、「継続/非継続」判断を含む。例えば、標的状態Y(t
n)に達した場合、焼灼は停止する。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の追加の基準は、停止条件として使用される:例えば、許容される最大焼灼時間又は温度安全閾値。任意選択的に、ユーザは焼灼を手動で停止する。任意選択的に、焼灼の誘電的に測定される進行並びに/或いは経過時間及び/又は温度等の焼灼の1つ又は複数のパラメータは、例えば、1つ又は複数の表示、トーンとしてユーザに示される。オペレータは任意選択的に、そのような指示に基づいて焼灼の継続又は停止を決定する。
【0194】
さらに、幾つかの実施形態では、焼灼パラメータL(t)自体は動的に決定される。例えば、電力は任意選択的に増減され、電力周波数はシフトされ、及び/又は電力パルスは調整されて、標的リージョン結果を達成する確率を高める。例では、焼灼電力を低減して、熱が近傍組織に広がる機会を有する前、焼灼電極近傍の組織の過熱を回避する。別の例では、RF焼灼周波数は、組織による吸収があまり効率的ではない周波数に変更される。ここでも、これは潜在的に、熱伝導時間が熱をより均等に分散させて、局所過熱を回避できるようにする。
【0195】
幾つかの実施形態では、L(t)の決定は、測定特性ベクトルX(t)及び関連する結果ベクトルY(t)の一方又は両方に関して、である。例えば、エネルギー送達は任意選択的に、Y(t)の望ましくない(予測された)値を回避するように選択される。追加又は代替として、エネルギー送達は任意選択的に、X(t)の時変(測定)値を、測定誘電特性のリージョン結果への統計学的関連がより予測可能であり、及び/又は測定自体が標的状態に向けてより確実に調整される誘電特性状態空間の領域に持ち込むように調整される。
【0196】
そのような手法の潜在的な利点は、較正を実行する必要がある状態空間の領域を低減することである。任意選択的に、誘電パラメータとリージョン結果との相関の主要「トランク」が、所与のシステム構成に対して確立され、相関の主要トランク内で及び相関の主要トランクに沿って、結果は信頼性が高く、豊富な統計学的履歴を生成することができる。Xのベクトル値がこのトランクに入る場合、標的状態にするために焼灼パラメータをいかに繰り返し適用するかは統計学的に明確である。Xがトランクから離れている(例えば、状態空間のより疎にサンプリングされる領域にある)場合、十分にサンプリングされるトランクは任意選択的に、アトラクタとして扱われる。焼灼パラメータは、現在測定されている状態を高信頼性でサンプリングされたトランク(厳密に、トランク内の容易に制御される場所又は容易に制御されない場所)のある領域に向けて動かす可能性が統計学的に最も高いパラメータに調整される。しかし、このより信頼性の高い領域に入ると、よりよく利用可能な統計が潜在的に、焼灼パラメータの適用により、標的結果状態に関連する状態への測定状態のより確実な「ナビゲーション」を可能にする。
【0197】
任意選択的に、焼灼電極は、焼灼中、組織にわたりドラッグされる。任意選択的に、オペレータは、誘電特性フィードバックに基づいて、ドラッグ中、焼灼電極位置を変更する(例えば、局所焼灼状態に応じてより遅く又はより速く)。幾つかの実施形態では、現在の焼灼状態の自動評価及び/又は次の焼灼期間の焼灼計画は、組織上の電極の位置及び/又は位置履歴についての情報を組み込む。例えば、許される最大焼灼持続時間は、焼灼電極が移動した場合、拡張される。追加又は代替として、電極が焼灼中に動いたことの認識は、焼灼進行が、認識がなれば、送達される焼灼エネルギーに基づいて予期されるものと見合わない例外状況であるように見え得ることの「説明」として考慮される。
【0198】
ブロック310において、幾つかの実施形態では、更なる焼灼が必要であるか否かが判断される。これは、例えば、ブロック308の計画に基づく。追加又は代替として、ユーザは、焼灼を手動で停止すると判断することができる。焼灼が停止される場合、フローチャートは終わる。
【0199】
その他の場合、焼灼は、ブロック312において、現在の焼灼パラメータに従って継続する。任意選択的に、焼灼パラメータは一定であり、代替的には、例えば、焼灼パラメータベクトルL(t)の本明細書での説明(例えば、
図2に関する)に従って設定される。幾つかの実施形態では、リージョン評価に使用される少なくとも1つの電極は、焼灼エネルギーの供給にも使用される(例えば、RF焼灼及び誘電リージョン評価が、同じ電極を用いて実行される)。幾つかの実施形態では、リージョン評価に使用される電極は、焼灼を生じさせる電極又は他のプローブ要素とは別個である。焼灼電極及び評価電極が同じであることは、これにより潜在的に、2つの電極間での最も近い結合が可能であるため、潜在的な利点である。
【0200】
任意選択的に、測定は、ブロック306において、別のループ反復で続けられる。
【0201】
幾つかの実施形態では、焼灼は開ループである−例えば、測定状態の初期特定及び焼灼計画の初期決定のみがあり、これらは、処置が終わる前、ブロック312において実行される。これより
図4を参照し、
図4は、幾つかの実施形態によるリージョンマッピングプロセスの概略フローチャートである。
【0202】
幾つかの実施形態では、リージョンマッピングプロセスが実行され、このプロセスは、広い組織エリア(左心房壁等)にわたるリージョン領域及び非リージョン領域を評価することを含む。任意選択的に、リージョンマッピングは、リージョン情報それ自体とは別個の手順を含む。例えば、オペレータは任意選択的に、1つ又は複数の特定の焦点でのリージョン形成前又は後、一般領域をマッピングする。リージョン形成前、このマッピングは、例えば、組織の一般状態が何であるかを特定すること−例えば、ベースライン誘電特性マップを評価すること、前に作成されたリージョン(例えば、リージョントラック)を見つけること、及び/又は線維性心臓領域等の疾患関連リージョンをマッピングすることであることができる。追加又は代替として、リージョンマッピングは、リージョン形成後に実行されて、作成されたリージョンの全体構造を確認する−それにより、例えば、リージョン間の潜在的なギャップを識別し、ギャップから肺動脈接続を潜在的に行うことができる。
【0203】
ブロック404において、幾つかの実施形態では、フローチャートが開始され、1つ又は複数の測定電極を第1の位置に運ぶ。位置は任意選択的に、任意の適する方法により、例えば、X線モニタリング、電場に基づく位置モニタリング、磁場モニタリング、又は別の方法によりモニタされる。幾つかの実施形態では、位置モニタリングは少なくとも部分的に、誘電特性自体の測定に依存する:例えば、心筋壁に接触する位置は、誘電特定に基づいて確認される。
【0204】
ブロック406において、幾つかの実施形態では、電極の1つ又は複数の位置での誘電特性のリアルタイム測定が、例えば、
図1A及び
図1Bに関連して本明細書に記載したように行われる。
【0205】
ブロック408において、幾つかの実施形態では、誘電特性及び位置は、相関付けられ、そのような特性の(空間)マップに追加される。追加又は代替として、誘電特性は、別のマッピング状態(例えば、推定リージョン深度、線維状態、又は別の状態)に変換され、電極位置に相関付けられる。変換は、例えば、本明細書に記載のように、データ構造130に基づく。
【0206】
ブロック410において、マッピングを継続するか否かが判断される。継続しない場合、フローチャートは終わる。継続する場合、フローチャートはブロック404に続き、電極は新しい位置に移動する。
【0207】
そのようなマッピングが任意選択的に、計画フェーズ又はリージョン形成フェーズ中であっても、システムにより受信される任意の位置/誘電特性データに基づいて常に実行されることを理解されたい。この潜在的な利点は、処置作業フローの流動性/透明性が増大することである。例えば、ドラッグされるか、又は複数焦点リージョントラックが形成中であってさえも、ユーザは任意選択的に、検知電極をあちこちドラッグして、現在状況をマッピング又は再マッピングする。これは、動的計画及び/又は再計画にとって利点であることができる。
【0208】
心房細動の治療でのリージョン形成
これより、
図11A〜
図11Cを参照し、
図11A〜
図11Cは、本開示の幾つかの実施形態による、例えば、心房細動の治療で組織伝導性をブロックするリージョン形成の態様を概略的に示す。
【0209】
幾つかの実施形態では、組織領域50(例えば、心房の心臓組織)の焼灼治療は、導電へのブロックとして機能する組織の略連続したリージョンの形成を含む。幾つかの実施形態では、ブロックの標的領域はリージョン経路54に沿い、リージョン経路54は、略連続してリージョン経路54に沿って配置される複数の部分リージョン52から形成される。
図11A及び
図11Bに示されるのは、例えば、右心房の2つの肺動脈48を囲むリージョン経路54である(心房内部からの図が示されている)。
【0210】
幾つかの実施形態では、焼灼電極として機能する少なくとも1つの電極103を備えるカテーテルプローブ111は、経路54に沿って順次移動し、複数の位置で焼灼して、各位置で連鎖部分リージョン52を作成する。幾つかの実施形態では、電極103は、電極103の近傍の組織の誘電特性の検知電極としても機能する。任意選択的に、焼灼は、別のプローブ、例えば、側で動作するプローブにより、及び/又は代替では、誘電特性の検知電極として動作する電極103を用いて行われる。
【0211】
心房細動等の不規則インパルス伝導疾患の有効的なブロック治療は潜在的に、ブロックが破れるか、又は不完全な場合、失敗する。
図11Bでは、インパルス55は、肺動脈48の近傍から生じて示されている。インパルスが、完成したリージョン52に直面する場合(例えば、境界55Aにおいて)、伝導は停止する。しかし、ギャップ52Bは潜在的に、インパルス57を周囲組織に逃し、周囲組織での不規則な心拍の一因になり得る。伝導を許す最小サイズのギャップは、例えば、約1.0mm、約1.3mm、約1.5mm、又は別のより大きな、より小さな、若しくは中間の値であることができる。本明細書に示され、考察される(例えば、
図6A〜
図10Hに関連して)例は、心臓組織内のリング様リージョンパターン(生体外に形成されるが)の例も示し、パターンの幾つかは、部分ギャップ又は完全ギャップも含む。
【0212】
図11Cは、リージョン深度の検知がいかに、比較的有効な伝導ブロック又は非有効的な伝導ブロックの潜在性の判断に関連するかを示す。組織領域50は、一連のリージョン52、52A、52D、52Cが既に形成された状態で示されている。これらのリージョンの様々な深度は、点線放物体53として概略的に輪郭が示されている。
【0213】
電極103は、リージョン及び標的組織エリア52Cにわたり、組織50の表面に接触して示されている。ここで、リージョンは、領域53Cにおいて組織50の反対表面にわたり拡散し始めている程度まで、貫壁性である。任意選択的に、電極103は、この領域において誘電特性を検知する。例えば、誘電特性と組織状態との前に特定された相関に基づいて、任意選択的に、完全貫壁性リージョンが生成され、それ以上、考慮する必要がないと判断される。仮に電極103が標的リージョン52Aに配置されていた場合、それでもなお、深いリージョンに一致する誘電特性を検出するであろうが、貫壁性の程度は潜在的により低い(例えば、小さな距離53Aが残されている)。ギャップ53Aが、インパルス伝導を許すには小さすぎる場合、これは考慮する理由ではない。
【0214】
しかし、リージョン52Dでは、リージョンは浅すぎ、ギャップ53Dは、インパルス57が渡るのに十分に大きい。任意選択的に、電極103は、ここでは、不完全なリージョンの誘電特性に一致する組織の誘電特性を検出する。任意選択的に、この判断は、測定された誘電特性を、誘電特性とリージョン深度との相関を記述するデータ構造と比較することを含む。任意選択的に、比較は、壁厚等の解剖学的特性−任意選択的に、例えば、別個の測定(例えば、撮像)から、誘電測定から、及び/又は解剖学的アトラスデータ等のより一般的な解剖学的知識を参照して既知又は推測される−の比較への包含により促進される。
【0215】
リージョン評価の例
これより、
図5A及び
図5Bを参照し、
図5A及び
図5Bは、幾つかの実施形態による、計画された焼灼又は完了した焼灼の推定深度と測定深度との関係をグラフに描く。
【0216】
図5A及び
図5Bのグラフは、
図9Bに断面で示されるものと同様の生体外ブタ右心室心壁表現を使用して取得されるデータを表す。
【0217】
リージョン形成は、貫壁性心房壁リージョンの生成に臨床的に妥当なパラメータに従って実行された。例えば、RF焼灼下で、リージョン焦点部位当たり約20秒の焼灼が、RF周波数約500kHzを使用して約30W電力で実行された。本明細書に示される幾つかの例(例えば、
図6A〜
図6T、
図7A〜
図7G、又は
図10A〜
図10Hの非貫壁性リージョン)では、リージョン時間及び/又は電力は意図的に、幾つかの焦点で低減した。
【0218】
図5Aでの推定深度(縦軸)は、非リージョン形成心臓壁組織に接触した電極による誘電測定に基づいて得られた。推定は、トレーニングされた分類器により事前焼灼誘電測定から予測された値を表し、一方、測定値は、組織断面から測定されるリージョン厚を表す。幾つかの実施形態では、分類器(例えば、人工ニューラルネットワークに基づく分類器)は、少なくとも数千サンプル(例えば、約5000、約10000、又は別のより大きな、より小さな、若しくは中間の数のサンプル)のトレーニングセットでトレーニングされた。分類は任意選択的に、連続厚さデータに基づき、これは、不連続的にカテゴリ化される厚さデータ(例えば、約3mm厚、約4mm厚、及び約5mm厚でセンタリングされたビンを含むカテゴリ)に基づいてリージョン形成プロトコールを選択する方法に比較して潜在的な利点を提供する。
【0219】
図5Bの推定深度(縦軸)は、リージョン形成心臓壁組織に接触した電極による誘電測定に基づいて得られた。推定は、トレーニングされた分類器により事前焼灼誘電測定から予測された値を表し、一方、測定値は、切断された組織断面から測定されるリージョン厚を表す。
【0220】
両事例で、大半の推定は断面で測定された1mmの値以内であった。なお、焼灼後推定は、焼灼前推定よりも小さな二乗平均平方根誤差(RMSE)を有し、より高いr値(R)に基づく線形相関を有する。
【0221】
これより、表1を参照し、表1は、ブタ心臓での生体内焼灼実験からの実験結果をまとめたものである。リージョン形成は、生体内RF焼灼カテーテルを使用して実行された。推定量が、リージョン形成前及び/又はリージョン形成後に測定された誘電特性データに適用されて、生じた貫壁性ギャップが何らかの許容可能な範囲内にあるか(許容される非貫壁性ギャップである)否かを推定した。真陽性率(TPR)及び偽陽性率(FPR)は、リージョン後推定量のみの場合及びリージョン前データをリージョン後データと組み合わせた推定量の場合の両方で得られる。
【0222】
これより
図14を参照し、
図14は、リージョン形成前及びリージョン形成後誘電特性測定に基づいて、リージョンの推定される貫壁性をユーザに示すために任意選択的に使用される表示要素1410、1412、1413、1414を示す。
【0223】
幾つかの実施形態では、推定貫壁性は、簡易化グラフィカル要素の使用によりユーザに通信される。
図14の要素は、完全な円1413、1414の形態をとり、リージョン貫壁性の正の推定を示し、不完全な円1412、1410(例えば、3/4の円)の形態をとり、リージョン貫壁性の負の推定を示す。任意選択的に、内円1412、1413は、リージョン形成前測定に基づく推定を示すのに使用される。任意選択的に、外円1410、1414は、リージョン形成後測定に基づく推定を示すのに使用される。
【0224】
これより、
図6A〜
図6Tを参照し、
図6A〜
図6Tは、幾つかの実施形態による、対応するリージョンパターンと並べた表面誘電測定プロットを含む対を示す。
【0225】
ブタ心臓生体外心臓組織標本600は、リージョン焦点62の概してリング形(円形又は楕円形)パターン601でRF焼灼を受けた。リング形パターン601のサイズ及びリージョン焦点密度は、肺動脈の近傍の心房細動の治療で生体内において使用される典型的なパターンと同様である。プローブ電極103に対応する電極は、示される標本600の脇に配置され、これらの電極を除く電極(例えば、皮膚パッチ電極105に対応する)は、標本600の反対側に配置された。
【0226】
図6B、
図6D、
図6F、
図6H、
図6J、
図6L、
図6N、
図6P、
図6R、及び
図6Tは、リージョンパターン601の写真(カラーコントラストを伸張することにより組織差を強調するように強化されている)である。示される例では、リージョン形成及び/又は測定のプローブは、ロボット制御で位置決めされる。円周上に隣接する(ギャップで分離されない)リージョン焦点602のそれぞれの間隔は約1mmである。
【0228】
色で、色合いが明るいほど(例えば、領域606)、深いリージョン深度を示し、色合いが暗いほど(例えば、領域608)、浅いリージョン深度を示す。リージョン焦点は、概してリング形パターンで配置された異なる直径の円604として示されている。円の直径は、各リージョン焦点で達成される貫壁性の程度に対応する。
【0229】
各プロットにおいて、少なくとも1つのギャップ603(非リージョン形成焦点位置又はリージョン形成焦点位置に対応する)が、意図的にリージョン形成パターンに残された。なお、各事例での誘電測定に基づくプロットは、リージョン深度が低減した対応するギャップ605も示す。
【0230】
潜在的に、対応する生体内治療状況でのそのような測定は、リージョンパターン内のギャップの検出を可能にする。これより
図7A〜
図7Gを参照し、
図7A〜
図7Gは、幾つかの実施形態による、対応するリージョンパターンの写真及びリージョン深度の例示的な3Dプロットと並べた表面誘電測定プロットを含む2つの画像グループ(
図7A〜
図7C及び
図7D〜
図7G)を示す。
【0231】
図7A及び
図7Dは、例えば、
図6Aに関連して説明した慣例及び特徴を用いてプロットされた、誘電的に特定されたリージョン深度のプロットを含む。
図7B及び
図7Eは、例えば、
図6Bに関連して説明したように生体外ブタ心臓標本の色伸張写真を示す。
図7C及び
図7Gは、
図7A及び
図7Dに示されるデータにそれぞれ対応する3Dプロットを含む。例えば、マーカー線701は、
図7Aの12時位置702(上部中央)に対応する。マーカー線703は、リージョンギャップ704(
図7Bのギャップ603としても示される)の「6時30分)位置に対応する。円錐形707の各リングのサイズ及び形状は、
図7Aのデータから推測されるように、対応するリージョン形状に対応する。
図7Gでは、712及びマーカー714により示されるギャップ中心は、約8時にあり、
図7E及び
図7Fのギャップ713並びに
図7Dの712に対応する。
【0233】
図10D〜
図10Hでは、焼灼焦点の位置及び各焦点での焼灼深度は、円1002の位置及び色(暗いほど浅く、明るいほど深い)で示されている。焦点位置(しかし、焼灼深度ではない)は、
図10A〜
図10Cの円1001で示される。焼灼焦点は、例えば、
図6A及び
図6B並びに本明細書の他の図に関連して説明したように、リングパターンに配置される。
図10A〜
図10Cのリングパターンはギャップがなく、一方、
図10D〜
図10Hのパターンはギャップを有する。
【0234】
図10A〜
図10Cのそれぞれでは、閉リング焼灼パターンが、誘電特性深度マップにより明らかになる。
図10D〜
図10Hでは、暗い(浅い)焦点円で示される焼灼深度でのギャップは、誘電特性深度マップでの暗い(浅い)ギャップに対応する。
【0235】
組織リージョンに関連する構造変化
これより
図8A〜
図8Cを参照し、
図8A〜
図8Cは、幾つかの実施形態による、リージョン形成生体外ブタ心臓壁標本の色伸張写真(
図8A)及び標本の断面に対応する2つの顕微鏡写真(
図8B及び
図8C)を示す。
図9A〜
図9Cも参照し、
図9A〜
図9Cは、幾つかの実施形態による、リージョン形成生体外ブタ心臓壁標本の色伸張写真(
図9A)及び標本の断面に対応する2つの顕微鏡写真(
図9B及び
図9C)を示す。
【0236】
リージョン形成組織と非リージョン形成組織とでの顕微鏡的解剖学的再配置を示す細胞詳細は、組織の誘電特性変化としても潜在的に現れる差を示す。例えば、イオンの細胞区画化の破壊は潜在的に、誘電特性の差に繋がる。心筋帯の凝縮は潜在的に、電流伝導に利用可能な経路の電気特性を変える。
【0237】
マークされた領域810及び910は、
図8B及び
図8C並びに
図9B及び
図9Cの顕微鏡写真がそれぞれ撮影された
図8A及び
図9Aのリージョンパターン601のセクションを示す。
【0238】
図8Aでは、リージョンパターン601はギャップ603を含み、ギャップ603には、リージョンは存在するが、非貫壁性である。
図9Aでは、完全なギャップがリージョンパターンに残されている。
【0239】
図8B及び
図9Bでは、領域811、911(例えば)は生存心筋の非リージョン形成領域を示す。暗く染められた心筋帯は、顕微鏡写真の比較的連続した領域を埋める。
図8C及び
図9Cは、例えば、リージョン形成されて、凝固壊死の外観を生じさせている領域812、912を示す。例えば、心筋帯は比較的凝縮し、より暗くなり、間にギャップを開く。細胞外液の証拠はない。
【0240】
複数電極の段階的RF焼灼カテーテル
これより
図13を参照し、
図13は、幾つかの例示的な実施形態による、組織壁50に接触する段階的RF焼灼で動作可能な複数電極カテーテルプローブ112の概略図である。
【0241】
幾つかの実施形態では、カテーテル109は、複数電極プローブ112(任意選択的に、細部が必要に応じて変更されたバイポーラプローブ)を備える。示される例では、複数電極プローブ112は、曲線に配置された10の電極を備える。任意選択的に、別の電極配置が提供されることを理解されたい:例えば、直線、十字形、複数リブ、又は別の構成の任意の複数の電極。特に曲線配置の潜在的な利点は、例えば、心房の静脈基部を囲むリージョンの形状に概して適合することである。
【0242】
本発明の幾つかの実施形態では、リージョン形成は、一連のフェーズで個々の電極の異なる対間に電力を送達することを含む。適宜選択される場合、これは、リージョン形態を制御するという潜在的な利点を提供する。例えば、2つの異なる電極対はそれぞれ、電極間の共有領域を加熱し得、対の切り替えは、加熱デューティサイクルが低いことに起因して、非共有領域を比較的冷たいままにしながら、この共有領域を優先的に加熱し得る。加熱は、計画されたリージョンライン上に既に配置されている電極間のリージョンに誘導することもでき、これは、位置制御及び/又はリージョンギャップの導入回避という潜在的な利点を有する。幾つかの実施形態では、1つの電極を通して印加されるRF電力の対応する複数の回路経路を完成するように構成される複数の電極は、加熱効果がその1つの電極に最も近い領域に集中し、一方で、異なる組織領域がそれぞれ、加熱効果の比較的ごく一部しか受け取らないように、異なる組織領域に位置決めされる。
【0243】
本発明の幾つかの実施形態では、リージョン形成前、リージョン形成中、及びリージョン形成後の組織状態評価は、複数電極プローブ112の電極103により接触する複数の部位で、本明細書に記載したように(例えば、
図2〜
図4及び/又は
図12に関連して)実行される。任意選択的に、焼灼電力及び/又はタイミング(例えば、デューティサイクル)の少なくとも1つのパラメータは、組織表面50に接触しての電極103の配置により選択される異なるリージョン部位焼灼に対して変更される。例えば、平均電力及び/又は電力の持続時間は、例えば、本明細書に記載のように、比較的厚い壁の部位と比較して、比較的薄い壁の部位のリージョン形成に向けられるリージョン形成サイクルのフェーズで、又は別の理由で低減される。任意選択的に、電極103の対間の位相差(例えば、90°、45°)は、例えば、異なる電場パターンを得ることにより、異なるリージョン部位焼灼で異なる。
【0244】
本願から完成される特許の寿命中、多くの関連する焼灼方法が開発されることが予期される:焼灼方法という用語の範囲は先験的に、そのような新しい技術を全て包含することが意図される。
【0245】
数量又は値を参照して本明細書で使用される場合、「約〜」という用語は「〜の±10%以内」を意味する。
【0246】
「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有している」という用語及びそれらの変形は、「〜を含むが、それ(ら)に限定されない」を意味する。
【0247】
「〜からなる」という用語は、「〜を含み、〜に限定される」を意味する。
【0248】
「基本的に〜からなる」という用語は、組成物、方法、又は構造体が、追加の材料、ステップ、及び/又は部品が、請求項に記載される組成物、方法、又は構造体の基本的な新規特徴を実質的に変更しない場合のみ、追加の材料、ステップ、及び/又は部品を含み得ることを意味する。
【0249】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈により明らかに別段のことが示される場合を除き、複数の参照を含む。例えば、「化合物(a compound)又は「少なくとも1つの化合物(at least one compound)は、化合物の混合物を含め、複数の化合物を含み得る。
【0250】
「例」及び「例示的な」という言葉は、本明細書では、「例、事例、又は例示として機能する」ことを意味するものとして使用される。「例」又は「例示的な」として説明される任意の実施形態は必ずしも、他の実施形態よりも好ましい又は有利であるものとして解釈されず、及び/又は他の実施形態からの特徴の組み込みを除外しない。
【0251】
「任意選択的に」という言葉は、本明細書では、「幾つかの実施形態では提供され、他の実施形態では提供されない」ことを意味するものとして使用される。本発明の任意の特定の実施形態は、複数の「任意選択的な」特徴を、そのような特徴が競合する限りを除いて含み得る。
【0252】
本明細書で使用される場合、「方法」という用語は、化学、薬理学、生物学、生物化学、及び医学の分野の実施者に既知であるか、又はそれらの分野の実施者により既知の様式、手段、技法、及び手順から容易に開発される様式、手段、技法、及び手順を含むが、これらに限定されない、所与のタスクを達成する様式、手段、技法、及び手順を指す。
【0253】
本明細書で使用される場合、「治療」という用語は、疾患の進行の無効化、実質的な阻止、低速化、若しくは逆化、又は疾患の臨床的若しくは審美的症状の実質的な改善、又は疾患の臨床的若しくは審美的症状の出現の実質的な阻止を含む。
【0254】
本願全体を通して、本発明の実施形態は、範囲形式を参照して提示され得る。範囲形式での記載が単に、便宜及び簡潔さのためのであり、本発明の範囲への柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、具体的に開示される可能な全ての部分範囲及びその範囲内の個々の数値を有するものとして見なされるべきである。例えば、「1〜6」等の範囲の記載は、「1〜3」、「1〜4」、「1〜5」、「2〜4」、「2〜6」、「3〜6」等の具体的に開示される部分範囲及びその範囲内の個々の数字、例えば、1、2、3、4、5、及び6を有するものと見なされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0255】
本明細書において、数値範囲が示される(例えば、「10〜15」、「10から15」、又はこれらの別のそのような範囲指示によりリンクされる数字の任意の対)場合は常に、文脈により明らかに別段のことが示される場合を除き、範囲限度を含め、指示された範囲限度内の任意の数字(小数又は整数)を含むことが意味される。第1の指示数と第2の指示数「との間の範囲(range/ranging/ranges)」及び第1の指示数「から(from)」第2の指示数「への(to)範囲」、「に至るまでの(up to)範囲」、「までの(until)範囲」、又は「を通しての(thorugh)範囲」(又は別のそのような範囲指示用語)は、本明細書では、同義で使用され、第1及び第2の指示数並びにそれらの間の全ての小数及び整数を含むことが意味される。
【0256】
本発明は、本発明の特定の実施形態と併せて説明されたが、多くの代替、変更、及び変形が当業者に明らかになることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲内に入る全てのそのような代替、変更、及び変形を包含することが意図される。
【0257】
本明細書で触れられた全ての公開物、特許、及び特許出願は全体的に、個々の各公開物特許、又は特許出願が特に個々に参照により本明細書に援用されるかのような程度と同じ程度まで、参照により本明細書に援用される。加えて、本願での任意の参照文献の引用又は識別は、そのような参照文献が本発明への先行技術として利用可能なことを認めるものとして解釈されないものとする。項の見出しが使用される限りにおいて、必ずしも限定として解釈されるべきではない。
【0258】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で説明される本発明の特定の特徴が、単一の実施形態において組み合わせて提供することも可能なことが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載された本発明の様々な特徴は、別個に、又は任意の適する副組合せで、又は本明細書の任意の他の記載される実施形態において適宜、提供することも可能である。様々な実施形態の文脈で説明された特定の特徴は、実施形態がそのような要素なしでは動作不能ではない限り、それらの実施形態の必須の特徴として見なされるべきではない。