【文献】
MANNICK J B,MTOR INHIBITION IMPROVES IMMUNE FUNCTION IN THE ELDERLY,SCIENCE TRANSLATIONAL MEDICINE,2014年12月24日,VOL:6, NR:268,PAGE(S):268RA179/1-7,URL,http://dx.doi.org/10.1126/scitranslmed.3009892
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
本発明は、被験体における免疫応答の促進および/または増強のために同時、別個または逐次的に使用するための、(a)RAD001または薬学的に許容されるその塩、および(b)BEZ235または薬学的に許容されるその塩を含む組合せに関する。
【0021】
本明細書で使用される一般用語は、別段明示的に記載されない限り、以下の意味により定義される。
【0022】
用語「含む(comprising)」および「含む(including)」は、本明細書において別段の注記がない限り、それらのオープンエンドで非限定的な意味で使用される。
【0023】
本発明を記載する文脈において(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)、用語「1つの(a)」および「1つの(an)」および「その(the)」ならびに類似の参照用語は、本明細書において別段示されない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。複数形が化合物、塩等に対して使用される場合、このことは、単一の化合物、塩等も意味すると解釈される。
【0024】
用語「組合せ」または「薬学的組合せ」は、本明細書において、一単位の剤形による固定された組合せ、固定されない組合せ、または組合せ投与のためのパーツのキット(kit of parts)のいずれかを指すように定義され、RAD001または薬学的に許容されるその塩、およびBEZ235または薬学的に許容されるその塩は独立に、同時に、または組合せパートナーが協同的、例えば相乗的効果を示すことが可能な時間間隔内で別個に投与され得る。
【0025】
用語「固定された組合せ」は、活性成分または治療剤、例えばRAD001およびBEZ235が、単一の実体または剤形の形態で患者に同時に投与されることを意味する。
【0026】
用語「固定されない組合せ」は、活性成分または治療剤、例えばRAD001およびBEZ235が、同時に、並行してまたは特別な時間制限なしに逐次的に、別個の実体または剤形として患者に共に投与されることを意味し、このような投与は、それを必要とする被験体、例えば哺乳動物またはヒトの体内に、2種の化合物の治療上有効なレベルをもたらす。
【0027】
用語「医薬組成物」は、本明細書において、被験体に影響を及ぼす特定の疾患または状態を処置するために、被験体、例えば哺乳動物またはヒトに投与される少なくとも1種の治療剤を含有する混合物または溶液を指すために定義される。
【0028】
用語「薬学的に許容される」は、本明細書において、適切な医学的判断の範囲内で、被験体、例えば哺乳動物またはヒトの組織と、過度の毒性、刺激アレルギー応答および問題となる他の合併症なしに接触させるのに適しており、妥当な利益/危険性比に見合う、化合物、生物学的薬剤、材料、組成物および/または剤形を指すために定義される。
【0029】
用語「組合せ投与」は、本明細書で使用される場合、単一の被験体、例えば哺乳動物またはヒトへの、選択された治療剤の投与を包含するように定義され、薬剤が、必ずしも同じ投与経路によって、または同時に投与されない処置レジメンを含むことを企図する。
【0030】
用語「処置すること」または「処置」は、本明細書で使用される場合、被験体における少なくとも1つの症状を軽減、低減もしくは緩和するか、または疾患、状態および/もしくは障害の進行の遅延に影響を及ぼす処置を含む。例えば、処置は、障害の1つもしくはいくつかの症状の縮小、または障害の完全な根絶であり得る。また、用語「処置する」は、本発明の意味の範囲内では、発病(すなわち疾患の臨床的症状発現の前の期間)を抑止する、それを遅らせる、および/または疾患を発症または悪化させる危険性を低減することを示す。
【0031】
用語「共同で治療上活性な」または「共同治療効果」は、本明細書で使用される場合、処置される温血動物、特にヒトにおいて、(好ましくは相乗的)相互作用(共同治療効果)を好ましくはまだ示しているような時間間隔で、治療剤が、別個に(時間上交互になった方式(chronologically staggered manner)、特に順序特異的な方式で)投与され得ることを意味する。その場合に当てはまるかどうかは、中でも、両方の治療剤が、少なくともある特定の時間間隔中に、処置されるヒトの血中に存在することを示す血中レベルに従って決定することができる。
【0032】
治療剤の組合せの「薬学的に有効な量」または「治療有効量」という用語は、免疫応答の促進および/または増強のベースラインとなる臨床的に観察可能な徴候および症状を上回る、観察可能な改善をもたらすのに十分な量である。
【0033】
用語「相乗効果」は、本明細書で使用される場合、2種の薬剤、例えば(a)RAD001または薬学的に許容されるその塩と(b)BEZ235または薬学的に許容されるその塩などの作用が、例えば、被験体における免疫応答を、各薬物それ自体を投与した場合の効果の単なる加算を上回って促進および/または増強する効果をもたらすことを指す。相乗効果は、例えば適切な方法、例えばSigmoid−Emax方程式(Holford, N. H. G.およびScheiner, L. B.、Clin. Pharmacokinet.6巻:429〜453頁(1981年))、Loewe相加性の方程式(equation of Loewe additivity)(Loewe, S.およびMuischnek, H.、Arch. Exp. Pathol Pharmacol.114巻:313〜326頁(1926年))および半有効方程式(median−effect equation)(Chou, T. C.およびTalalay, P.、Adv. Enzyme Regul.22巻:27〜55頁(1984年))を使用して算出することができる。先に言及した各方程式を、実験データに適用して対応するグラフを作成して、薬物の組合せの効果を評価する一助にすることができる。先に言及した方程式と関連する対応するグラフは、それぞれ、濃度効果曲線、アイソボログラム曲線および組合せ指数曲線である。
【0034】
用語「被験体」または「患者」は、本明細書で使用される場合、免疫応答を促進および/もしくは増強することができ、ならびに/または加齢に関係する状態を有する動物を含む。被験体の例として、哺乳動物、例えばヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラットおよびトランスジェニックの非ヒト動物が挙げられる。好ましい実施形態では、被験体は、ヒト、例えば加齢に関係する状態に罹患しているか、その状態に罹患する危険性があるか、またはその状態に潜在的に罹患する可能性があるヒトである。
【0035】
用語「約」または「およそ」は、所与の値または範囲の10%以内、より好ましくは5%以内の意味を有するものとする。
【0036】
免疫応答の文脈における用語「促進する」または「増強する」は、免疫応答の増大、例えば中でも免疫細胞ががん細胞を標的とし、および/または死滅させる能力、病原体および病原体感染細胞を標的とし、および/または死滅させる能力、ならびにワクチン接種後の防御免疫の増大を指す。一部の実施形態では、防御免疫は、同じ抗原を発現する病原体によるその後の感染症から防御するか、または新しい病原体に対して防御するのに十分な免疫応答の存在(例えば抗体力価)を指す。
【0037】
用語「免疫老化または免疫老化の」は、例えば中でも、がん、ワクチン接種、感染性病原体への減損した免疫応答をもたらす免疫機能の低下を指す。この用語は、特にワクチン接種による、感染症に応答する宿主の能力および長期的免疫記憶の発生の両方を含む。この免疫不全は、普遍的であり、実際の経過時間ではなく平均余命に対する種の年齢の関数として、長命種および短命種の両方において見出される。免疫不全は、高齢被験体の罹患率および死亡率の頻度を増大する主な寄与因子とみなされる。免疫老化は、無作為な劣化現象ではなく、進化的パターンを逆に繰り返すように思われ、免疫老化によって影響を受けるパラメータのほとんどは、遺伝的に調節されると思われる。また免疫老化は、時として、ウイルスおよび細菌などの様々な抗原に対する避けられない曝露の連続的負荷の結果と想定され得る。
【0038】
免疫老化は、例えば高齢集団において多くの病理学的に重大な健康問題をもたらす多因子的な状態である。加齢依存性の生物学的な変化、例えば造血性幹細胞機能の低下、PD1+リンパ球の増大、貪食細胞、マクロファージ、樹状細胞、単球、T細胞、B細胞およびNK細胞の機能の低下、ならびに先天性、細胞媒介性または液性免疫の低下は、免疫老化の発生に寄与する。一態様では、免疫老化は、免疫細胞のテロメア長を測定することによって、個体において測定され得る(例えば、米国特許第5741677号を参照されたい)。免疫老化はまた、個体において、正常数よりも少ないナイーブCD4および/もしくはCD8 T細胞数、初期プロB細胞およびプレB細胞の減少、TおよびB細胞レパートリーの減少、PD1を発現するT細胞数の増大、例えば正常数よりも少ないPD−1陰性T細胞数、CD8+CD28neg T細胞の増大、CD57+および/もしくはKLRG1+CD8+T細胞の増大、LAG−3−陽性T細胞数の増大、T細胞表面糖タンパク質の変化、ICOS、CTLA−4、Tim−3および/もしくはLAG−3を発現するCD4 T細胞の増大、または被験体が加齢するときの被験体のワクチン接種に対する応答の低下を実証することによって決定され得る。
【0039】
用語「減損した免疫応答」は、被験体が、例えば中でも、がん、ワクチン接種、病原体感染症に対する適切な免疫応答を有していない状態を指す。一部の実施形態では、減損した免疫応答を有する被験体は、予防的ワクチン接種後の防御的抗体力価レベルに達しないと予測され、またはそのような場合において被験体は、治療的ワクチン接種後に細胞媒介性免疫または疾患の負担が低減しない。被験体はまた、免疫機能が低下していることが既知であるか、または高齢者、化学療法処置を受けている被験体、無脾症の被験体、免疫無防備状態の被験体、もしくはHIV/エイズを有する被験体などの、免疫機能低下の履歴がある集団の一員である場合、減損した免疫応答を有している可能性もある。本明細書に記載の方法は、低い免疫増強性の用量のmTOR阻害剤、例えばRAD001などのアロステリックmTOR阻害剤を投与することによって、減損した免疫応答を処置することができる。
【0040】
用語「低い免疫増強性の用量」は、mTOR阻害剤、例えばアロステリックmTOR阻害剤、例えばRAD001もしくはラパマイシン、または触媒性mTOR阻害剤と併用される場合、例えばP70 S6キナーゼ活性の阻害によって測定される通り、mTOR活性を完全には阻害しないが部分的に阻害するmTOR阻害剤の用量を指す。本明細書では、例えば、P70 S6キナーゼの阻害によってmTOR活性を評価するための方法が論じられる。その用量は、完全な免疫抑制をもたらすには不十分であるが、免疫応答を増強するには十分である。一実施形態では、低い免疫増強性の用量のmTOR阻害剤は、PD−1陽性T細胞の数もしくは百分率の減少、および/またはPD−1陰性T細胞の数もしくは百分率の増大、またはPD−1陰性T細胞/PD−1陽性T細胞の比率の増大をもたらす。一実施形態では、低い免疫増強性の用量のmTOR阻害剤は、ナイーブT細胞の数を増大する。一実施形態では、低い免疫増強性の用量のmTOR阻害剤は、以下:
マーカーLAG−3、CTLA−4、ICOSまたはTim−3を発現するT細胞の百分率の低下、
例えばメモリーT細胞、例えばメモリーT細胞前駆体上の以下のマーカー:CD62L
high、CD127
high、CD27
+、およびBCL2の1つまたは複数の発現の増大、
例えばナイーブまたはメモリーT細胞、例えばメモリーT細胞前駆体上のKLRG1またはCD57の発現の低下、ならびに
メモリーT細胞前駆体、例えば以下の特徴:増大したCD62L
high、増大したCD127
high、増大したCD27
+、低減したKLRG1、および増大したBCL2のいずれか1つまたは組合せを有する細胞の数の増大
の1つまたは複数をもたらし、前述の変化のいずれかは、例えば非処置被験体と比較して、例えば少なくとも一過的に生じる。
【0041】
一実施形態では、ある用量のmTOR阻害剤は、少なくとも5%から90%以下、少なくとも10%から90%以下、少なくとも15%から90%以下、少なくとも20%から90%以下、少なくとも30%から90%以下、少なくとも40%から90%以下、少なくとも50%から90%以下、少なくとも60%から90%以下、または少なくとも70%から90%以下のmTOR阻害と関連するか、またはそのようなmTOR阻害をもたらす。
【0042】
一実施形態では、ある用量のmTOR阻害剤は、少なくとも5%から80%以下、少なくとも10%から80%以下、少なくとも15%から80%以下、少なくとも20%から80%以下、少なくとも30%から80%以下、少なくとも40%から80%以下、少なくとも50%から80%以下、または少なくとも60%から80%以下のmTOR阻害と関連するか、またはそのようなmTOR阻害をもたらす。
【0043】
一実施形態では、ある用量のmTOR阻害剤は、少なくとも5%から70%以下、少なくとも10%から70%以下、少なくとも15%から70%以下、少なくとも20%から70%以下、少なくとも30%から70%以下、少なくとも40%から70%以下、または少なくとも50%から70%以下のmTOR阻害と関連するか、またはそのようなmTOR阻害をもたらす。
【0044】
一実施形態では、ある用量のmTOR阻害剤は、少なくとも5%から60%以下、少なくとも10%から60%以下、少なくとも15%から60%以下、少なくとも20%から60%以下、少なくとも30%から60%以下、または少なくとも40%から60%以下のmTOR阻害と関連するか、またはそのようなmTOR阻害をもたらす。
【0045】
一実施形態では、ある用量のmTOR阻害剤は、少なくとも5%から50%以下、少なくとも10%から50%以下、少なくとも15%から50%以下、少なくとも20%から50%以下、少なくとも30%から50%以下、または少なくとも40%から50%以下のmTOR阻害と関連するか、またはそのようなmTOR阻害をもたらす。
【0046】
一実施形態では、ある用量のmTOR阻害剤は、少なくとも5%から40%以下、少なくとも10%から40%以下、少なくとも15%から40%以下、少なくとも20%から40%以下、少なくとも30%から40%以下、または少なくとも35%から40%以下のmTOR阻害と関連するか、またはそのようなmTOR阻害をもたらす。
【0047】
一実施形態では、ある用量のmTOR阻害剤は、少なくとも5%から30%以下、少なくとも10%から30%以下、少なくとも15%から30%以下、少なくとも20%から30%以下、または少なくとも25%から30%以下のmTOR阻害と関連するか、またはそのようなmTOR阻害をもたらす。
【0048】
一実施形態では、ある用量のmTOR阻害剤は、少なくとも1、2、3、4もしくは5%から20%以下、少なくとも1、2、3、4もしくは5%から30%以下、少なくとも1、2、3、4もしくは5%から35%以下、少なくとも1、2、3、4もしくは5%から40%以下、または少なくとも1、2、3、4もしくは5%から45%以下のmTOR阻害と関連するか、またはそのようなmTOR阻害をもたらす。
【0049】
一実施形態では、ある用量のmTOR阻害剤は、少なくとも1、2、3、4または5%から90%以下のmTOR阻害と関連するか、またはそのようなmTOR阻害をもたらす。
【0050】
本明細書で論じられる通り、mTOR阻害の程度は、P70 S6K阻害の程度として表すことができ、例えばmTOR阻害の程度は、P70 S6K活性の低下レベルによって、例えばP70 S6K基質のリン酸化の低下によって決定され得る。mTOR阻害のレベルは、本明細書に記載の方法によって、例えばBoulayアッセイによって評価され得る。
【0051】
免疫応答の文脈における用語「促進する」または「増強する」は、免疫応答の増大、例えば中でも免疫細胞ががん細胞を標的とし、および/または死滅させる能力、病原体および病原体感染細胞を標的とし、および/または死滅させる能力、ならびにワクチン接種後の防御免疫の増大を指す。一部の実施形態では、防御免疫は、同じ抗原を発現する病原体によってその後の感染症から防御するのに十分な免疫応答の存在(例えば抗体力価)を指す。
【0052】
mTOR阻害剤
本明細書で使用される場合、用語「mTOR阻害剤」は、細胞内のmTORキナーゼを阻害する化合物、またはリガンド、または薬学的に許容されるその塩を指す。一実施形態では、mTOR阻害剤は、アロステリック阻害剤である。一実施形態では、mTOR阻害剤は、触媒性阻害剤である。
【0053】
アロステリックmTOR阻害剤には、中性三環式化合物ラパマイシン(シロリムス)、ラパマイシンに関係する化合物、すなわち例えば、ラパマイシン誘導体、ラパマイシン類似体(ラパログ(rapalog)とも呼ばれる)およびmTOR活性を阻害する他のマクロライド化合物を含む、ラパマイシンと構造的および機能的に類似性を有する化合物が含まれる。
【0054】
ラパマイシンは、式Aで示される構造を有する、Streptomyces hygroscopicusによって生成された公知のマクロライド抗生物質である。
【化1】
【0055】
例えば、McAlpine, J.B.ら、J. Antibiotics(1991年)44巻:688頁;Schreiber, S.L.ら、J. Am. Chem. Soc.(1991年)113巻:7433頁;米国特許第3,929,992号を参照されたい。ラパマイシンについて、様々な番号付けスキームが提案されている。混乱を回避するために、本明細書において特定のラパマイシン類似体が命名される場合、その名称は、式Aの番号付けスキームを使用したラパマイシンを参照することによって付与される。
【0056】
本発明において有用なラパマイシン類似体は、例えば、ラパマイシンのシクロヘキシル環上のヒドロキシル基が、OR
1(R
1は、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシアルキル、アシルアミノアルキル、またはアミノアルキルである)によって置き換えられているO置換類似体;例えばその内容が参照によって組み込まれる米国特許第5,665,772号およびWO94/09010に記載の通り、エベロリムスとしても公知のRAD001である。他の適切なラパマイシン類似体には、26位または28位で置換されているものが含まれる。ラパマイシン類似体は、先に言及した類似体のエピマー、特に40位、28位または26位で置換されている類似体のエピマーであってよく、任意選択で、例えばその内容が参照によって組み込まれる米国特許第6,015,815号、WO95/14023およびWO99/15530に記載の通り、さらに水素化されてよく、例えばその内容が参照によって組み込まれる米国特許第7,091,213号、WO98/02441およびWO01/14387に記載の、ゾタロリムスまたはラパマイシン類似体としても公知のABT578、例えばリダフォロリムスとしても公知のAP23573であってよい。
【0057】
米国特許第5,665,772号から、本発明において使用するのに適したラパマイシン類似体の例として、40−O−ベンジル−ラパマイシン、40−O−(4’−ヒドロキシメチル)ベンジル−ラパマイシン、40−O−[4’−(1,2−ジヒドロキシエチル)]ベンジル−ラパマイシン、40−O−アリル−ラパマイシン、40−O−[3’−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4(S)−イル)−プロパ−2’−エン−1’−イル]−ラパマイシン、(2’E,4’S)−40−O−(4’,5’−ジヒドロキシペンタ−2’−エン−1’−イル)−ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシ)エトキシカルボニルメチル−ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−(6−ヒドロキシ)ヘキシル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、40−O−[(3S)−2,2−ジメチルジオキソラン−3−イル]メチル−ラパマイシン、40−O−[(2S)−2,3−ジヒドロキシプロパ−1−イル]−ラパマイシン、40−O−(2−アセトキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−(2−ニコチノイルオキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−[2−(N−モルホリノ)アセトキシ]エチル−ラパマイシン、40−O−(2−N−イミダゾリルアセトキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−[2−(N−メチル−N’−ピペラジニル)アセトキシ]エチル−ラパマイシン、39−O−デスメチル−39,40−O,O−エチレン−ラパマイシン、(26R)−26−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−(2−アミノエチル)−ラパマイシン、40−O−(2−アセトアミノエチル)−ラパマイシン、40−O−(2−ニコチンアミドエチル)−ラパマイシン、40−O−(2−(N−メチル−イミダゾ−2’−イルカルボエトキサミド)エチル)−ラパマイシン、40−O−(2−エトキシカルボニルアミノエチル)−ラパマイシン、40−O−(2−トリルスルホンアミドエチル)−ラパマイシンおよび40−O−[2−(4’,5’−ジカルボエトキシ−1’,2’,3’−トリアゾール−1’−イル)−エチル]−ラパマイシンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0058】
本発明において有用な他のラパマイシン類似体は、ラパマイシンのシクロヘキシル環上のヒドロキシル基および/または28位のヒドロキシ基が、ヒドロキシエステル基で置き換えられている類似体であり、それらは、例えばUS RE44,768に見出されるラパマイシン類似体、例えばテムシロリムスとして公知である。
【0059】
本発明において有用な他のラパマイシン類似体には、例えばその内容が参照によって組み込まれるWO95/16691およびWO96/41807に記載の通り、16位のメトキシ基が、別の置換基、好ましくは(任意選択でヒドロキシ置換)アルキニルオキシ、ベンジル、オルトメトキシベンジルもしくはクロロベンジルで置き換えられている類似体、および/または39位のメトキシ(mexthoxy)基が、39位の炭素と一緒になって欠失し、その結果、ラパマイシンのシクロヘキシル環が、39位のメトキシ(methyoxy)基が欠如しているシクロペンチル環となる類似体が含まれる。類似体はさらに、ラパマイシンの40位のヒドロキシがアルキル化され、および/または32−カルボニルが還元されるように修飾され得る。
【0060】
WO95/16691のラパマイシン類似体には、16−デメトキシ(demthoxy)−16−(ペンタ−2−イニル)オキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−(ブタ−2−イニル)オキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−(プロパルギル)オキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−(4−ヒドロキシ−ブタ−2−イニル)オキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−ベンジルオキシ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−ベンジルオキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−オルト−メトキシベンジル−ラパマイシン、16−デメトキシ−40−O−(2−メトキシエチル)−16−ペンタ−2−イニル)オキシ−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−ホルミル−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−ヒドロキシメチル−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−カルボキシ−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)カルボニル−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−(モルホリン−4−イル)カルボニル−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−[N−メチル,N−(2−ピリジン−2−イル−エチル)]カルバモイル−42−ノル−ラパマイシンおよび39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−(p−トルエンスルホニルヒドラゾノメチル)−42−ノル−ラパマイシンが含まれるが、それらに限定されない。
【0061】
WO96/41807のラパマイシン類似体には、32−デオキソ−ラパマイシン、16−O−ペンタ−2−イニル−32−デオキソ−ラパマイシン、16−O−ペンタ−2−イニル−32−デオキソ−40−O−(2−ヒドロキシ−エチル)−ラパマイシン、16−O−ペンタ−2−イニル−32−(S)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、32(S)−ジヒドロ−40−O−(2−メトキシ)エチル−ラパマイシンおよび32(S)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシンが含まれるが、それらに限定されない。
【0062】
別の適切なラパマイシン類似体は、その内容が参照によって組み込まれる米国特許出願第2005/0101624号に記載のウミロリムス(umirolimus)である。
【0063】
哺乳動物細胞では、ラパマイシンの標的(target of rapamycin)(mTOR)キナーゼは、栄養素およびエネルギーの利用可能性を感知し、成長因子およびストレスシグナル伝達からのインプットを統合する、mTORC1複合体またはmTORC2複合体として説明されている多タンパク質複合体として存在する。mTORC1複合体は、ラパマイシンなどのアロステリックmTOR阻害剤に対して感受性があり、mTOR、GβL、およびmTORの制御的な関連タンパク質(ラプトル)から構成され、ペプチジル−プロリル異性化酵素FKBP12タンパク質(FK506−結合タンパク質1A、12kDa)に結合する。それとは対照的に、mTORC2複合体は、mTOR、GβL、およびmTORのラパマイシン非感受性のコンパニオンタンパク質(リクトル)から構成され、in vitroでFKBP12タンパク質に結合しない。
【0064】
mTORC1複合体は、タンパク質翻訳調節に関与し、成長および増殖制御のために、成長因子および栄養素感受性装置として作動することが示されている。mTORC1は、リボソームタンパク質P70 S6をリン酸化するP70 S6キナーゼ、およびeIF4E制御性cap依存性翻訳のモジュレーションにおいて非常に重要な役割を果たす真核生物の翻訳開始因子4E結合タンパク質1(4EBP1)の、2種の非常に重要な下流基質を介してタンパク質翻訳を制御する。mTORC1複合体は、細胞のエネルギーおよび栄養素恒常性に応答して細胞成長を制御し、mTORC1の脱制御は、多種多様なヒトのがんによく見られる。mTORC2の機能は、Aktのリン酸化を介する細胞生存の制御およびアクチン細胞骨格動態のモジュレーションを含む。
【0065】
mTORC1複合体は、FKBP12との細胞内複合体の形成、およびmTORのFKBP12−ラパマイシン結合(FRB)ドメインへの結合に関与する、ラパマイシンの作用様式に主に起因して、ラパマイシンおよび誘導体などのアロステリックmTOR阻害剤に対して感受性がある。このことにより、mTORC1の足場タンパク質であるラプトルとの相互作用を変え、弱め、次にP70 S6K1などの基質がmTORに近接し、リン酸化されるのを妨害すると考えられるmTORC1のコンホメーション変化が生じる。ラパマイシンおよびRAD001などのラパログ(rapalogue)は、良性増殖障害および悪性増殖障害の両方と関連するmTORの過剰活性化を阻害することによって、臨床的な関連を得た。
【0066】
RAD001は、他にはエベロリムス(Afinitor(登録商標))としても公知であり、化学名(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28E,30S,32S,35R)−1,18−ジヒドロキシ−12−{(1R)−2−[(1S,3R,4R)−4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−19,30−ジメトキシ−15,17,21,23,29,35−ヘキサメチル−11,36−ジオキサ−4−アザ−トリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ−16,24,26,28−テトラエン−2,3,10,14,20−ペンタオンおよび以下の化学構造
【化2】
を有する。
【0067】
エベロリムスは、進行した腎臓がんの処置のためのFDA認可薬物であり、腫瘍学におけるいくつかの他の第III相臨床治験で調査されている。前臨床研究は、エベロリムスが、おそらくラパマイシン感受性のmTORC1機能の抑制によって、in vitroおよびin vivoの両方において多種多様な腫瘍細胞株の増殖を阻害できることを示した。ラパマイシン誘導体としてのエベロリムスは、mTORC1機能の阻害部分、すなわちP70 S6キナーゼ(P70 S6K)および下流P70 S6K基質P70 S6において非常に強力なアロステリックmTOR阻害剤である。エベロリムス(および他のラパマイシン類似体)のようなアロステリックmTOR阻害剤には、mTORC2経路を阻害するか、または結果として生じるそのAktシグナル伝達を活性化する効果が、ほとんどまたは全くない。アロステリックmTOR阻害剤のさらなる例として、シロリムス(ラパマイシン、AY−22989)、40−[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロパノエート]−ラパマイシン(テムシロリムスまたはCCI−779とも呼ばれる)およびリダフォロリムス(AP−23573/MK−8669)が挙げられる。アロステリックmTOR阻害剤の他の例として、ゾタロリムス(ABT578)およびウミロリムスが挙げられる。
【0068】
あるいはまたはさらには、触媒性ATP競合的mTOR阻害剤は、mTORキナーゼドメインを直接的に標的とし、mTORC1およびmTORC2の両方を標的とすることが見出されている。これらの阻害剤はまた、4EBP1−T37/46リン酸化およびcap依存性翻訳などのラパマイシン耐性mTORC1アウトプットをモジュレートするので、ラパマイシンのようなアロステリックmTOR阻害剤よりも完全なmTORC1阻害剤である。
【0069】
BEZ235は、化学名2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルおよび以下の化学構造
【化3】
を有する、触媒性mTOR阻害剤である。
【0070】
BEZ235はまた、そのモノトシル酸塩形態で使用することができる。BEZ235の合成は、WO2006/122806に記載されている。
【0071】
触媒性mTOR阻害剤としてのBEZ235は、ラパマイシン感受性(P70 S6Kのリン酸化、およびその後P70 S6のリン酸化)機能およびラパマイシン非感受性(4EBP1のリン酸化)機能の両方を含むmTORC1複合体の完全な機能を、停止させることができる。BEZ235は、使用される薬物濃度に従って示差的な効果を有し、それによってmTOR阻害は、低濃度(100nmol/L未満)で優勢であるが、二重PI3K/mTOR阻害は、比較的より高い濃度(およそ500nmol/L)で優勢である。
【0072】
コード番号、一般名または商品名によって識別された活性成分の構造は、標準概論「The Merck Index」の実際版から、またはデータベース、例えば国際特許(例えば、IMS World Publications)から得ることができる。対応するその内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0073】
(a)RAD001または薬学的に許容されるその塩、および(b)BEZ235または薬学的に許容されるその塩を含む組合せを、以下、本発明の組合せと呼ぶ。
【0074】
一実施形態では、本発明は、被験体における免疫応答の増強または促進のために同時、別個または逐次的に使用するための、(a)RAD001または薬学的に許容されるその塩、および(b)BEZ235または薬学的に許容されるその塩を含む組合せである。
【0075】
本発明の組合せの一実施形態では、RAD001は、中性形態である。本発明の組合せの別の実施形態では、BEZ235は、モノトシル酸塩である。本発明の組合せの別の実施形態では、RAD001は、1.01〜0.2mgの投与量範囲で、例えば0.1mgで投与される。本発明の組合せのさらに別の実施形態では、BEZ235は、1〜20mgの投与量範囲で、例えば10mgで投与される。
【0076】
本発明の組合せの一実施形態では、組合せは、即時放出剤形である。本発明の組合せの別の実施形態では、組合せは、週1回投与される。本発明の組合せのさらに別の実施形態では、組合せは、1日1回投与される。
【0077】
本発明の組合せの一実施形態では、被験体は、免疫無防備状態である。本発明の組合せの別の実施形態では、被験体は、HIV+であるか、またはエイズを有する。本発明の組合せのさらに別の実施形態では、被験体は、感染性疾患を有する。
【0078】
本発明の組合せの一実施形態では、被験体は、減損した免疫応答を有する。本発明の組合せの別の実施形態では、被験体は、免疫老化状態である。本発明の組合せのさらに別の実施形態では、加齢に関係する状態、例えば免疫老化、筋肉減少症、筋肉の消耗、腱の硬直(tendon stiffness)、腱損傷、腱炎、アキレス腱断裂、肩の癒着性関節包炎、足底筋膜炎、リウマチ性多発筋痛、肩腱板断裂、脊柱管狭窄症、テニス肘、デュピュイトラン拘縮、不穏下肢症候群、骨粗鬆症、変形性関節症、関節リウマチ、自己免疫疾患、多発性筋炎、痛風、認知症、ハンチントン病、アルツハイマー病、脳委縮、加齢に関係する運動不能(例えば、虚弱)、認知機能低下、加齢に関係する認知症、記憶機能障害、レビー小体認知症、前頭側頭認知症、パーキンソン病、軽度認知機能障害、血管性認知症、脳卒中、一過性脳虚血発作、三叉神経痛、神経障害、睡眠障害、不眠症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、高血圧、心臓機能不全、例えば心肥大、収縮機能不全、または拡張機能不全、心不全、拡張型心筋症、駆出率が保たれた心不全、不整脈、心臓弁膜症、慢性閉塞性肺疾患、慢性閉塞性肺疾患増悪、肺気腫、特発性肺線維症、肺高血圧症、肺塞栓症、呼吸困難、NASHおよび肝硬変を含む肝疾患、胆石、腎結石、バレット食道、痔核、褥瘡性潰瘍、憩室炎、便秘、結腸ポリープ、痔核、便失禁、悪液質、吸収不全、勃起機能不全、性欲減退、白内障、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜変性症、網膜剥離、ドライアイ、老視、転倒、めまい、良性前立腺肥大、前立腺がん、平均余命の短縮、減損した腎機能、慢性腎不全、急性腎不全、糸球体硬化症、糸球体硬化症、腎硬化症、脱水、神経因性膀胱、尿路感染症、膀胱炎、尿失禁、がん、肥満、メタボリック症候群、前糖尿病、糖尿病、皮膚萎縮症、皮膚老化、皺、脂漏性角化症、光線角化症、皮膚がん、日焼けで損傷を受けた皮膚、酒さ、爪甲真菌症、毛髪の白髪化、脱毛症、加齢性難聴、耳鳴症、嗅覚喪失、歯周疾患、虫歯、口内乾燥、甲状腺疾患、ミトコンドリアの機能不全と関連する疾患、ウェルナー症候群およびハッチンソンギルフォードプロジェリア症候群を含む早期老化症候群および早老症、貧血、葉酸欠乏性貧血、凝固障害、深部静脈血栓症、悪液質、うつ、ならびに平均余命の短縮について、被験体を処置することを含む。
【0079】
本発明の一実施形態では、本発明は、本発明の組合せおよび少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である。
【0080】
本発明の別の実施形態では、本発明は、被験体における免疫応答を促進または増強する方法であって、免疫応答を促進または増強するのに共同で治療上有効な量の本発明の組合せを、前記被験体に投与するステップを含む方法である。
【0081】
本発明のさらに別の実施形態では、本発明は、加齢に関係する状態を有する被験体を処置する方法であって、前記加齢に関係する状態、例えば筋肉減少症、皮膚萎縮症、筋肉の消耗、脳委縮、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、変形性関節症、高血圧、勃起機能不全、認知症、ハンチントン病、アルツハイマー病、白内障、加齢黄斑変性症、前立腺がん、脳卒中、平均余命の短縮、減損した腎機能、ならびに加齢性難聴、加齢に関係する運動不能(例えば、虚弱)、認知機能低下、加齢に関係する認知症、記憶機能障害、腱の硬直、心臓機能不全、例えば心肥大ならびに収縮および拡張機能不全、免疫老化、がん、肥満、ならびに糖尿病に対して共同で治療上有効な量の本発明の組合せを、前記被験体に投与するステップを含む方法である。
【0082】
本発明の一実施形態では、本発明は、免疫応答の促進または増強のための医薬を調製するための、本発明の組合せの使用である。
【0083】
別の実施形態では、本発明は、加齢に関係する状態、例えば筋肉減少症、皮膚萎縮症、筋肉の消耗、脳委縮、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、変形性関節症、高血圧、勃起機能不全、認知症、ハンチントン病、アルツハイマー病、白内障、加齢黄斑変性症、前立腺がん、脳卒中、平均余命の短縮、減損した腎機能、ならびに加齢性難聴、加齢に関係する運動不能(例えば、虚弱)、認知機能低下、加齢に関係する認知症、記憶機能障害、腱の硬直、心臓機能不全、例えば心肥大ならびに収縮および拡張機能不全、免疫老化、がん、肥満、ならびに糖尿病の処置のための医薬を調製するための、本発明の組合せの使用である。
【0084】
一実施形態では、本発明は、RAD001または薬学的に許容されるその塩と、免疫応答の促進または増強においてBEZ235または薬学的に許容されるその塩と同時、別個または逐次的に使用するための指示とを含む、商業用パッケージである。
【0085】
別の実施形態では、本発明は、RAD001または薬学的に許容されるその塩と、加齢に関係する状態の処置においてBEZ235または薬学的に許容されるその塩と同時、別個または逐次的に使用するための指示とを含む、商業用パッケージである。
【0086】
さらなる利益は、より低用量の本発明の組合せの活性成分を使用できること、例えば投与量が、しばしばより少量で済むだけでなく、より低頻度で適用され、または組合せパートナーの1つを単独で用いる場合に観測される副作用の発生率を減少させるために使用できるということである。このことは、処置を受ける患者の願望および要件に合致する。
【0087】
本発明の組合せが、本明細書で先に記載した有益な効果をもたらすことが、確立された試験モデルによって示され得る。当業者は、このような有益な効果を証明するための関連試験モデルを十分に選択することができる。本発明の組合せの薬理学的活性は、例えば、以下に本質的に記載する通り、臨床試験において、またはin vivoもしくはin vitro試験手順で実証することができる。
【0088】
一態様では、本発明は、被験体における免疫応答の促進および/または増強に共同で治療上有効な量の本発明の組合せを含む医薬組成物を提供する。この組成物では、組合せパートナー(a)および(b)は、任意の適切な経路によって、単一製剤または単位剤形で投与される。単位剤形は、固定された組合せであってもよい。
【0089】
さらなる一態様では、本発明は、被験体における免疫応答の促進および/または増強に共同で治療上有効な量の、並行してだが別個に投与されるか、または逐次的に投与される組合せパートナー(a)および組合せパートナー(b)を別個に含む、医薬組成物を提供する。
【0090】
組合せパートナーの別個の投与のため、または固定された組合せによる投与のための医薬組成物、すなわち本発明の組合せを含む単一の生薬(galenical)組成物は、それ自体公知の方式で調製することができ、被験体に経腸(例えば経口または直腸)および非経口投与するのに適しており、治療有効量の少なくとも1つの組合せパートナーを、例えば先に示されている通り単独で、または1種もしくは複数種の薬学的に許容される担体と組み合わせて含む組成物である。
【0091】
新規な医薬組成物は、約0.1%〜約99.9%、好ましくは約1%〜約60%の活性成分を含有し得る。
【0092】
さらに別の実施形態では、本発明は、被験体が65歳超である、前述の実施形態のいずれかによる本発明の組合せである。
【0093】
別の実施形態では、本発明は、被験体がCOPDを有する、前述の実施形態のいずれかによる本発明の組合せである。
【0094】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、正常な呼吸を妨害し、完全には可逆的でない肺気流の慢性閉塞によって特徴付けられる肺疾患である。よりよく知られている用語「慢性気管支炎」および「肺気腫」は、もはや使用されないが、今もCOPD診断に含まれている。COPDは、単に「喫煙者の咳」ではなく、生命を危うくする、過小診断されている肺疾患である。COPD診断は、肺活量測定と呼ばれる簡単な試験によって確認され、この測定は、どれ程人が深く呼吸できるか、および空気がどれ程速く肺を出入りできるかを測定するものである。このような診断は、咳、痰生成、もしくは呼吸困難(呼吸困難または努力性呼吸)の症状、および/または疾患の危険因子に曝露された履歴を有する任意の患者において考慮されるべきである。肺活量測定が利用できない場合、COPD診断は、あらゆる利用可能なツールを使用して行われるべきである。臨床症状および徴候、例えば異常な息切れおよび努力呼気時間の増大は、診断の一助にするために使用され得る。低ピーク流は、COPDと合致するが、他の肺疾患によって、および試験中の不良な成績によって引き起こされることがあるので、COPDに特異的でない場合がある。慢性の咳および痰生成は、しばしば、気流制限の何年も前から生じるが、咳および痰生成を有するすべての個体が、COPDを発症するわけではない。
【0095】
別の実施形態では、本発明は、被験体が、ナーシングホーム施設に居住している、前述の実施形態のいずれかによる本発明の組合せである。
【0096】
さらに別の実施形態では、本発明は、被験体が、生活介護施設に居住している、前述の実施形態のいずれかによる本発明の組合せである。
【0097】
さらに別の実施形態では、本発明は、被験体が、高度看護施設に居住している、前述の実施形態のいずれかによる本発明の組合せである。
【0098】
さらに別の実施形態では、本発明は、被験体が、リハビリテーション施設に居住している、前述の実施形態のいずれかによる本発明の組合せである。
【0099】
さらに別の実施形態では、本発明は、被験体が、1つまたは複数の日常生活活動に援助を必要とする、前述の実施形態のいずれかによる本発明の組合せである。
【0100】
日常生活活動(ADL)は、援助を必要とせずに毎日行う傾向がある日常的な活動である。飲食、入浴、更衣、排泄(toileting)、移動(歩行)および自制(continence)の6つの基本的なADLがある。ADLを実施する個体の能力は、長期ケアの種類(例えばナーシングホームケアまたは在宅ケア)、および個々が必要とする補償(coverage)(すなわちメディケア(Medicare)、メディケイド(Medicaid)または長期ケア保険)を決定するために重要である。
【0101】
ADL(日常生活活動):自力による飲食、入浴、更衣、身支度、作業、家事、および娯楽などの、自己ケアのために行う任意の日常活動を含む、日常生活で普通に行う事柄。ADLの実施可能または実施不可能は、多くの障害における能力/不能の非常に実用的な尺度として使用され得る。
【0102】
さらに別の実施形態では、本発明は、被験体が運動不能を有している、前述の実施形態のいずれかによる本発明の組合せである。
【0103】
運動不能または運動機能障害は、人が自身の四肢の1つまたは複数を使用不可能であること、または歩行する、掴む、もしくは物体を持ち上げる力がないことを指す。車椅子、松葉杖、または歩行器の使用は、運動の一助にするために利用することができる。運動機能障害は、疾患、事故、または先天性障害などのいくつかの因子によって引き起こされる場合があり、神経筋および整形外科的機能障害から生じる場合がある。
【0104】
経腸または非経口投与のための、固定された組合せまたは固定されない組合せを含む組合せ治療のための医薬組成物は、例えば単位剤形の組成物、例えば糖コーティング錠剤、錠剤、カプセル剤もしくは坐剤、またはアンプルである。別段示されない限り、これらは、例えば様々な従来の混合、粉砕、造粒、糖コーティング、溶解、凍結乾燥プロセス、または当業者に容易に明らかとなる製造技術を用いることによって、それ自体公知の方式で調製される。必要な有効量は、複数の投与量単位の投与によって達成され得るので、個々の用量の各剤形に含有されている組合せパートナーの単位含量は、それ自体が有効量を構成する必要がないことが理解されよう。非経口投与のための組合せパートナーの単位含量は、投与前に有効な投与量に希釈される、より高投与量の組合せパートナーを含有し得ることが、さらに理解されよう。
【0105】
薬剤の組合せまたは薬剤の組合せの個々の薬剤を含有する単位剤形は、カプセル剤、例えばゼラチンカプセル剤内に封入されたマイクロ錠剤の形態であり得る。この形態のために、医薬製剤に用いられるゼラチンカプセル剤、例えばPfizerから利用可能なCAPSUGEL(商標)として公知の硬質ゼラチンカプセル剤を使用することができる。
【0106】
本発明の単位剤形は、任意選択で、治療薬のために使用される追加の従来の担体または賦形剤をさらに含むことができる。このような担体の例として、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、流動促進剤、安定剤、ならびに充填剤、希釈剤、着色剤、矯味矯臭剤および防腐剤が挙げられるが、それらに限定されない。当業者は、剤形の特定の所望の特性に関して、前述の担体の1種または複数種を、日常的な実験方法によって任意の過度の負担なしに選択することができる。使用される各担体の量は、当技術分野で従来用いられている範囲内で変わり得る。すべて参照によって本明細書に組み込まれる以下の参考文献は、経口剤形を製剤化するために使用される技術および賦形剤を開示している。The Handbook of Pharmaceutical Excipients、第4版、Roweら編、American Pharmaceuticals Association(2003年);およびRemington: the Science and Practice of Pharmacy、第20版、Gennaro編、Lippincott Williams & Wilkins(2003年)を参照されたい。
【0107】
これらの任意選択の追加の従来の担体は、溶融造粒前もしくはその最中に1種もしくは複数種の従来の担体を初期混合物に組み込むことによって、または1種もしくは複数種の従来の担体を経口剤形において顆粒と組み合わせることによって、経口剤形に組み込むことができる。後者の実施形態では、組み合わされた混合物は、例えばV−ブレンダーによってさらにブレンドされ、その後、錠剤、例えばモノリシック型錠剤に圧縮もしくは成形され、カプセルによってカプセル化され、または小袋に充填され得る。
【0108】
薬学的に許容される崩壊剤の例として、デンプン;粘土;セルロース;アルギネート;ガム;架橋ポリマー、例えば、架橋ポリビニルピロリドンまたはクロスポビドン、例えばInternational Specialty Products(ニュージャージー州、ウェイン)製のPOLYPLASDONE XL(商標);架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはクロスカルメロースナトリウム、例えばFMC製のAC−DI−SOL(商標);および架橋カルボキシメチルセルロースカルシウム;大豆ポリサッカライド;ならびにグアーガムが挙げられるが、それらに限定されない。崩壊剤は、組成物の約0重量%〜約10重量%の量で存在し得る。一実施形態では、崩壊剤は、組成物の約0.1重量%〜約5重量%の量で存在する。
【0109】
薬学的に許容される結合剤の例として、デンプン;セルロースおよびその誘導体、例えば微結晶性セルロース、例えばFMC(ペンシルベニア州、フィラデルフィア)製のAVICEL PH(商標)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロースおよびヒドロキシルプロピルメチルセルロース、Dow Chemical Corp.(ミシガン州ミッドランド)製のMETHOCEL(商標);スクロース;ブドウ糖;コーンシロップ;ポリサッカライド;ならびにゼラチンが挙げられるが、それらに限定されない。結合剤は、組成物の約0重量%〜約50重量%、例えば2〜20重量%で存在し得る。
【0110】
薬学的に許容される滑沢剤および薬学的に許容される流動促進剤の例として、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、デンプン、タルク、リン酸三カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ポリエチレングリコール、粉末化セルロースおよび微結晶性セルロースが挙げられるが、それらに限定されない。滑沢剤は、組成物の約0重量%〜約10重量%の量で存在し得る。一実施形態では、滑沢剤は、組成物の約0.1重量%〜約1.5重量%の量で存在し得る。流動促進剤は、約0.1重量%〜約10重量%の量で存在し得る。
【0111】
薬学的に許容される充填剤および薬学的に許容される希釈剤の例として、製菓用糖(confectioner’s sugar)、圧縮性の糖(compressible sugar)、デキストレート(dextrate)、デキストリン、ブドウ糖、ラクトース、マンニトール、微結晶性セルロース、粉末化セルロース、ソルビトール、スクロースおよびタルクが挙げられるが、それらに限定されない。充填剤および/または希釈剤は、例えば、組成物の約0重量%〜約80重量%の量で存在し得る。
【0112】
毒性なしに有効性をもたらす本発明の組合せの治療剤の最適な比、個々の投与量および組み合わされた投与量、ならびに濃度は、標的部位への治療剤の有効性の動態に基づいて決まり、当業者に公知の方法を使用して決定される。
【0113】
本発明によれば、治療有効量の本発明の組合せの治療剤のそれぞれは、同時または逐次的に任意の順序で投与することができ、その構成要素は、別個に、または固定された組合せとして投与することができる。例えば、本発明による感染症または加齢に関係する疾患を処置する方法は、同時または逐次的に任意の順序で、共同で治療上有効な量で、好ましくは相乗的に有効な量で、例えば本明細書に記載の量に対応する1日投与量または間欠的投与量での、(i)遊離形態または薬学的に許容される塩形態の第1の薬剤(a)の投与、および(ii)遊離形態または薬学的に許容される塩形態の薬剤(b)の投与を含むことができる。本発明の組合せの個々の治療剤は、治療過程中異なる時点で別個に、または並行して、分割されたまたは単一の組合せ形態で投与することができる。さらに、用語「投与すること」はまた、in vivoで治療剤自体に変換される、治療剤のプロドラッグを使用することを包含する。したがって本発明は、あらゆるこのような同時または交互の処置レジメンを包含するものとして理解されるべきであり、用語「投与すること」は、そのように解釈されるべきである。
【0114】
本発明の組合せにおいて用いられる治療剤のそれぞれの有効な投与量は、投与様式において用いられる特定の治療剤または医薬組成物、治療を受ける状態、および治療を受ける状態の重症度に応じて変わり得る。したがって、本発明の組合せの投与レジメンは、投与経路、ならびに患者の腎臓および肝臓の機能を含む様々な因子に従って選択される。通常の技量を有する臨床医または医師は、状態を緩和し、対抗し、またはその進行を抑止するのに必要な単一活性成分の有効量を容易に決定し、処方することができる。
【0115】
本発明の組合せの治療剤のそれぞれの有効な投与量は、組合せ中のその他の治療剤と比較して、治療剤の1種のより頻繁な投与を必要とする場合がある。したがって、適切な投薬を可能にするために、パッケージされた医薬生成物は、化合物の組合せを含有する1つまたは複数の剤形、および治療剤の組合せの1つを含有するが、組合せのその他の治療剤を含有しない1つまたは複数の剤形を含有することができる。
【0116】
本発明の組合せにおいて用いられる組合せパートナーが、単一薬物として販売されている形態で適用される場合、それらの投与量および投与様式は、本明細書で別段言及されていない場合、販売されているそれぞれの薬物のパッケージ挿入物上に提示された情報に従うことができる。
【0117】
RAD001、特にその遊離形態は、好ましくは、毎日および/または毎週、約0.01mg〜約1mgの範囲の用量で経口投与される。好ましい一実施形態では、RAD001、特にその遊離形態の投与量は、0.1mg/日の投与量で成人に経口投与される。
【0118】
BEZ235、特にそのP−トルエンスルホン酸塩は、好ましくは、毎日および/または毎週、約1mg〜約20mgの範囲の用量で経口投与される。好ましい一実施形態では、BEZ235、特にP−トルエンスルホン酸塩の投与量は、1日10mgの投与量で成人に経口投与される。
【0119】
被験体における免疫応答の促進および/もしくは増強、ならびに/または被験体における加齢に関係する状態の処置のための各治療剤の最適な投与量は、公知の方法を使用して、個体ごとに経験的に決定することができ、それらに限定されるものではないが、疾患の進行度;個体の年齢、体重、全体的な健康状態、性別および食事;投与時間および投与経路;ならびに個体が摂取している他の医薬品を含む様々な因子に応じて変わる。最適な投与量は、当技術分野で周知の日常的な試験および手順を使用して確立され得る。
【0120】
単一剤形を生成するために担体材料と組み合わせることができる各治療剤の量は、処置される個体および特定の投与様式に応じて変わる。一部の実施形態では、本明細書に記載の治療剤の組合せを含有する単位剤形は、治療剤が単独で投与される場合に典型的に投与される組合せの各薬剤の量を含有する。
【0121】
投与量の頻度は、使用される治療剤および処置を受ける特定の状態に応じて変わり得る。一般に、有効な治療をもたらすのに十分な最小投与量を使用することが好ましい。患者は、一般に、治療を受ける状態に適した当業者によく知られたアッセイを使用して、治療有効性をモニタリングされ得る。
【0122】
一態様では、本発明は、被験体における免疫応答を促進および/または増強する方法であって、被験体における免疫応答を促進および/または増強するのに共同で治療上有効な量の本発明の組合せを、それを必要とする被験体に投与するステップを含む方法を提供する。
【0123】
さらに、本発明はまた、被験体における加齢に関係する状態を処置する方法であって、加齢に関係する状態を処置するのに治療上有効な量の本発明の組合せを、それを必要とする被験体に投与するステップを含む方法を提供する。
【0124】
一態様では、本発明は、免疫応答を促進および/もしくは増強するため、ならびに/または免疫応答の促進および/もしくは増強のための医薬を調製するための、本発明の組合せの使用を提供する。
【0125】
一態様では、本発明は、加齢に関係する状態を処置するため、および/または加齢に関係する状態の処置のための医薬を調製するための、本発明の組合せの使用を提供する。
【0126】
一態様では、本発明は、免疫応答の増強および/または処置において本発明の組合せを同時、別個または逐次的に使用するための指示と一緒に、活性成分としての本発明の組合せを含む、商業用パッケージを提供する。
【0127】
別の態様では、本発明は、加齢に関係する状態の処置において本発明の組合せを同時、別個または逐次的に使用するための指示と一緒に、活性成分としての本発明の組合せを含む、商業用パッケージを提供する。
【0128】
一態様では、本発明は、RAD001または薬学的に許容されるその塩と、免疫応答の促進および/または増強においてBEZ235または薬学的に許容されるその塩と同時、別個または逐次的に使用するための指示とを含む、商業用パッケージを提供する。
【0129】
別の態様では、本発明は、RAD001または薬学的に許容されるその塩と、加齢に関係する状態の処置においてBEZ235または薬学的に許容されるその塩と同時、別個または逐次的に使用するための指示とを含む、商業用パッケージを提供する。
【0130】
病原性感染症
別の態様では、本明細書で提供される方法は、被験体における病原体による感染症を処置するために使用され得る。一部の実施形態では、病原体は、ウイルス性病原体、例えばウイルス性病原体、例えばHIV、髄膜炎を引き起こすウイルス、脳炎を引き起こすウイルス、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、狂犬病ウイルス、ポリオウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、風疹、百日咳、パピローマウイルス、黄熱病ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、パルボウイルス、ノーウォークウイルス、チクングニアウイルス、エボラウイルス、デングウイルス、ジカウイルスを含む出血熱ウイルス、ならびにヘルペスウイルス、例えば水痘、サイトメガロウイルスおよびエプスタイン−バーウイルスである。一部の実施形態では、感染症は、ウイルス感染症、例えば慢性ウイルス感染症である。一部の実施形態では、慢性ウイルス感染症は、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、エプスタインバーウイルス、HIV、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス1、単純ヘルペスウイルス2、ヒトパピローマウイルス、アデノウイルス、およびカポジ肉腫関連ヘルペスウイルスから選択される。一部の実施形態では、慢性ウイルス感染症は、HIVを含む。
【0131】
例えば、Lichterfeldおよび同僚らは、HIVに特異的なCD8+T細胞が、テロメア長の短縮を示し、PD−1を阻害すると、テロメア長の延長およびテロメラーゼ活性の増大を示したことを観察した(例えば、Lichterfeld, Mら(2008年)Blood112巻(9号):3679〜3687頁を参照されたい)。別の例では、PD−1は、C型肝炎(HVC)に特異的なCD8+細胞傷害性Tリンパ球において著しく上方制御された(例えば、Golden−Mason, L(2007年)J. Virol.81巻(17号):9249〜9258頁を参照されたい)。
【0132】
一部の実施形態では、ウイルス感染症は、ウイルス気道感染症を含む。一部の実施形態では、ウイルス気道感染症は、ライノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、アデノウイルス、および/またはパラインフルエンザによって引き起こされる。一部の実施形態では、ウイルス気道感染症は、肺炎である。一部の実施形態では、ウイルス気道感染症には、肺膿瘍が含まれる。一部の実施形態では、ウイルス気道感染症には、気管支炎が含まれる。
【0133】
一部の実施形態では、病原体は、細菌病原体、例えば中でも髄膜炎菌、ヘモフィルス、肺炎球菌、スタフィロコッカス、ストレプトコッカス、ナイセリア、モラクセラ、大腸菌、クレブシエラ、シュードモナス、エンテロバクター、プロテウス、セラチア、レジオネラ、サルモネラ、赤痢菌、アシネトバクター(Acinetobacer)、リステリア、クラミジア、およびマイコバクテリウムから選択される細菌病原体である。
【0134】
一部の実施形態では、病原体は、寄生生物病原体、例えばトキソプラズマ、リーシュマニアおよびマラリア、T.cruzii、蠕虫、例えば住血吸虫である。
【0135】
一部の実施形態では、病原体は、酵母または真菌病原体、例えば、カンジダ、Cryptococcus oCoccidioides、ブラストミセス、アスペルギルス、または粘菌類(mucormycetes)である。
【0136】
老化および他の障害
別の態様では、本明細書で提供される方法は、被験体における老化を処置するために使用され得る。本明細書で使用される場合、用語「老化」は、あらゆる種類の加齢を含むことを意味する。一部の実施形態では、老化は、免疫老化を含む。免疫老化は、加齢に伴う感染症への免疫応答の低下を含み、T細胞系統における胸腺退縮から生じ、T細胞の生成および輸出の低減をもたらす(例えば、Shimatani, Kら(2009年)PNAS106巻(37号):15807〜15812頁を参照されたい)。一部の実施形態では、PD−1の持続的発現によって定義される真性の加齢依存性CD4+またはCD8+T細胞集団が増大し、それによって抗原に対するT細胞の応答が阻害される(例えば、Shimatani, Kら(2009年)PNAS106巻(37号):15807〜15812頁;Nunes, Cら(2012年)Clinical Cancer Research18巻(3号):678〜687頁を参照されたい)。一部の実施形態では、老化は、細胞がもはや分裂しなくなった細胞老化を含む。一部の実施形態では、加齢に関係する免疫老化は、造血性幹細胞によるナイーブリンパ球の生成の低下を含む(Chen、Science Signalling、ra75、2009年)。細胞老化は、各細胞の分裂と共に生じるテロメアの進行性短縮、またはp16の細胞内発現と相関する。一部の実施形態では、老化は、好中球、リンパ球、NK細胞、マクロファージおよび/または樹状細胞の機能の、加齢に関係する低下を含む(例えばBoraschi Dら(2013年)Sci Transl Med5巻(185号):ps8;Kumar RおよびBurns EA.(2008年)Expert Rev. Vaccines 7巻(4号):467〜479頁を参照されたい)。
【0137】
用語「加齢に関係する状態」は、集団における発症率または個体の重症度が加齢の進行と相関する、任意の疾患、障害、または病理を指す。より具体的には、加齢に関係する状態は、発症率が、20〜30歳の間のヒト個体と比較して、100,000を超える個体の選択された集団において60歳超のヒト個体において少なくとも1.5倍高い、疾患、障害、または病理である。一態様では、本発明は、それらに限定されるものではないが、免疫老化、筋肉減少症、筋肉の消耗、腱の硬直、腱損傷、腱炎、アキレス腱断裂、肩の癒着性関節包炎、足底筋膜炎、リウマチ性多発筋痛、肩腱板断裂、脊柱管狭窄症、テニス肘、デュピュイトラン拘縮、不穏下肢症候群、骨粗鬆症、変形性関節症、関節リウマチ、自己免疫疾患、多発性筋炎、痛風、認知症、ハンチントン病、アルツハイマー病、脳委縮、加齢に関係する運動不能(例えば、虚弱)、認知機能低下、加齢に関係する認知症、記憶機能障害、レビー小体認知症、前頭側頭認知症、パーキンソン病、軽度認知機能障害、血管性認知症、脳卒中、一過性脳虚血発作、三叉神経痛、神経障害、睡眠障害、不眠症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、高血圧、心臓機能不全、例えば心肥大、収縮機能不全、または拡張機能不全、心不全、拡張型心筋症、駆出率が保たれた心不全、不整脈、心臓弁膜症、慢性閉塞性肺疾患、慢性閉塞性肺疾患増悪、肺気腫、特発性肺線維症、肺高血圧症、肺塞栓症、呼吸困難、NASHおよび肝硬変を含む肝疾患、胆石、腎結石、バレット食道、痔核、褥瘡性潰瘍、憩室炎、便秘、結腸ポリープ、痔核、便失禁、悪液質、吸収不全、勃起機能不全、性欲減退、白内障、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜変性症、網膜剥離、ドライアイ、老視、転倒、めまい、良性前立腺肥大、前立腺がん、平均余命の短縮、減損した腎機能、慢性腎不全、急性腎不全、糸球体硬化症、糸球体硬化症、腎硬化症、脱水、神経因性膀胱、尿路感染症、膀胱炎、尿失禁、がん、肥満、メタボリック症候群、前糖尿病、糖尿病、皮膚萎縮症、皮膚老化、皺、脂漏性角化症、光線角化症、皮膚がん、日焼けで損傷を受けた皮膚、酒さ、爪甲真菌症、毛髪の白髪化、脱毛症、加齢性難聴、耳鳴症、嗅覚喪失、歯周疾患、虫歯、口内乾燥、甲状腺疾患、ミトコンドリアの機能不全と関連する疾患、ウェルナー症候群およびハッチンソンギルフォードプロジェリア症候群を含む早期老化症候群および早老症、貧血、葉酸欠乏性貧血、凝固障害、深部静脈血栓症、悪液質、うつ、ならびに平均余命の短縮を含む状態の処置に関する。
【実施例】
【0138】
以下の実施例は、前述の本発明を例示しているが、いかなる方式でも本発明の範囲を制限することを意図しない。本発明の薬学的組合せの有益な効果は、当業者にそれ自体公知の他の試験モデルによって決定することもできる。
【0139】
本明細書に記載の本発明の組合せの実用性は、動物試験方法ならびに臨床研究においてin vitroで実証され得る。例えば、本発明による式(I)の化合物の実用性は、下記の方法に従って実証され得る。
【0140】
(実施例1:RAD001およびBEZ235の組合せの相乗効果)
臨床試験では、高齢ボランティアを、4つのmTOR阻害剤の投薬レジメン:0.5mg/日のRAD001、0.1mg/日のRAD001、10mg/日のBEZ235または0.1mg/日のRAD001+10mg/日のBEZ235のうち1つを用いて、6週間毎日処置した。RAD001およびBEZ235は、mTORの下流のS6Kおよび4EBP1経路をin vitroで相乗的に阻害することが示されたので、その組合せ処置アームも含まれていた。
図1、2および3を参照されたい。
【0141】
高齢ボランティアに6週間投薬した後、2週間の休薬期間を与え、次にインフルエンザワクチン接種を投与した。研究の結果は、mTOR阻害剤治療が、インフルエンザワクチン接種に対する応答を増強し、0.1mgのRAD001+10mgのBEZ235の組合せアームにおいて最も高い有効性が示されたことを示している。ワクチン接種から4週間後、プラセボと比較したGMT比は、RAD001+BEZ235の組合せアームにおける3/3ワクチン株、0.1mgおよび0.5mgのRAD001単剤治療アームにおける1/3株、およびBEZ235単剤治療アームにおける0/3株について>1.2であった。RAD+BEZが、インフルエンザのすべての3種の株に対する免疫応答を20%超増大し(臨床的に関連する増大)、一方で単剤治療は、3種の株のうち1種だけについて、このカットオフを満たしたことを示す
図4を参照されたい。すべての投薬レジメンは、比較的良好な耐容性を示した。mTOR阻害剤コホートでは、プラセボコホートと比較して、口の潰瘍、悪心、下痢および発疹の率が高いことが示された。しかし、これらの有害事象の大部分は、軽度の重症度であり、一過性であり、mTOR阻害剤の投薬を継続したにもかかわらず消散した。
【0142】
研究の一部として、被験体は、すべての感染症を日誌に記録するよう求められた。感染症の総数ならびに尿路感染症の数は、0.1mgのRAD001および10mgのBEZ235の組合せアームにおいて最も少なかった。事後分析では、気道感染症の発症率および重症度は、プラセボと比較してすべてのmTOR阻害剤処置アームにおいて低下した。その低下は、被験体が研究薬物を投与されている6週の間、最大であった。
【0143】
治験中、被験体のサブセットは、研究薬物を投与されている間の活力/運動能力の増大を、自発的に報告した。活力の増大を自発的に報告した被験体の大部分は、RAD001+BEZ235の組合せで処置したコホートに含まれていた。プラセボで処置した被験体は、活力の増大を自発的に報告しなかった。活力の増大を自発的に報告した被験体の大部分が、RAD+BEZコホートに含まれていたことを示す
図5および6を参照されたい。
【0144】
実施形態の列挙
第1の実施形態では、本発明は、被験体における免疫応答の増強または促進のために同時、別個または逐次的に使用するための、(a)RAD001または薬学的に許容されるその塩、および(b)BEZ235または薬学的に許容されるその塩を含む組合せである。
【0145】
第2の実施形態では、本発明は、RAD001が中性形態である、第1の実施形態による組合せである。
【0146】
第3の実施形態では、本発明は、BEZ235がモノトシル酸塩である、第1または第2の実施形態のいずれかの組合せである。
【0147】
第4の実施形態では、本発明は、0.01〜0.2mgのRAD001の投与を含む、第1〜第3の実施形態のいずれか1つによる組合せである。
【0148】
第5の実施形態では、本発明は、0.1mgのRAD001の投与を含む、第1〜第4の実施形態のいずれか1つによる組合せである。
【0149】
第6の実施形態では、本発明は、1〜20mgのBEZ235の投与を含む、第1〜第5の実施形態のいずれか1つによる組合せである。
【0150】
第7の実施形態では、本発明は、10mgのBEZ235の投与を含む、第1〜第6の実施形態のいずれか1つによる組合せである。
【0151】
第8の実施形態では、本発明は、即時放出剤形である、第1〜第7の実施形態のいずれか1つによる組合せである。
【0152】
第9の実施形態では、本発明は、徐放剤形である、第1〜第7の実施形態のいずれか1つによる組合せである。
【0153】
第10の実施形態では、本発明は、週1回投与される、第1〜第9の実施形態のいずれか1つによる組合せである。
【0154】
第11の実施形態では、本発明は、1日1回投与される、第1〜第9の実施形態のいずれか1つによる組合せである。
【0155】
第12の実施形態では、本発明は、被験体が免疫無防備状態である、第1〜第11の実施形態のいずれか1つによる組合せである。
【0156】
第13の実施形態では、本発明は、被験体がHIV+であるか、またはエイズを有する、第1〜第11の実施形態のいずれか1つによる組合せである。
【0157】
第14の実施形態では、本発明は、被験体が感染性疾患を有する、第1〜第11の実施形態のいずれか1つによる組合せである。
【0158】
第15の実施形態では、本発明は、被験体が減損した免疫応答を有する、第1〜第11の実施形態のいずれか1つによる組合せである。
【0159】
第16の実施形態では、本発明は、被験体が免疫老化状態である、第1〜第11の実施形態のいずれか1つによる組合せである。
【0160】
第17の実施形態では、本発明は、加齢に関係する状態について被験体を処置することを含む、第1〜第11の実施形態のいずれか1つによる組合せである。
【0161】
第18の実施形態では、本発明は、加齢に関係する状態が、免疫老化、筋肉減少症、筋肉の消耗、腱の硬直、腱損傷、腱炎、アキレス腱断裂、肩の癒着性関節包炎、足底筋膜炎、リウマチ性多発筋痛、肩腱板断裂、脊柱管狭窄症、テニス肘、デュピュイトラン拘縮、不穏下肢症候群、骨粗鬆症、変形性関節症、関節リウマチ、自己免疫疾患、多発性筋炎、痛風、認知症、ハンチントン病、アルツハイマー病、脳委縮、加齢に関係する運動不能(例えば、虚弱)、認知機能低下、加齢に関係する認知症、記憶機能障害、レビー小体認知症、前頭側頭認知症、パーキンソン病、軽度認知機能障害、血管性認知症、脳卒中、一過性脳虚血発作、三叉神経痛、神経障害、睡眠障害、不眠症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、高血圧、心臓機能不全、例えば心肥大、収縮機能不全、または拡張機能不全、心不全、拡張型心筋症、駆出率が保たれた心不全、不整脈、心臓弁膜症、慢性閉塞性肺疾患、慢性閉塞性肺疾患増悪、肺気腫、特発性肺線維症、肺高血圧症、肺塞栓症、呼吸困難、NASHおよび肝硬変を含む肝疾患、胆石、腎結石、バレット食道、痔核、褥瘡性潰瘍、憩室炎、便秘、結腸ポリープ、痔核、便失禁、悪液質、吸収不全、勃起機能不全、性欲減退、白内障、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜変性症、網膜剥離、ドライアイ、老視、転倒、めまい、良性前立腺肥大、前立腺がん、平均余命の短縮、減損した腎機能、慢性腎不全、急性腎不全、糸球体硬化症、糸球体硬化症、腎硬化症、脱水、神経因性膀胱、尿路感染症、膀胱炎、尿失禁、がん、肥満、メタボリック症候群、前糖尿病、糖尿病、皮膚萎縮症、皮膚老化、皺、脂漏性角化症、光線角化症、皮膚がん、日焼けで損傷を受けた皮膚、酒さ、爪甲真菌症、毛髪の白髪化、脱毛症、加齢性難聴、耳鳴症、嗅覚喪失、歯周疾患、虫歯、口内乾燥、甲状腺疾患、ミトコンドリアの機能不全と関連する疾患、ウェルナー症候群およびハッチンソンギルフォードプロジェリア症候群を含む早期老化症候群および早老症、貧血、葉酸欠乏性貧血、凝固障害、深部静脈血栓症、悪液質、うつ、ならびに平均余命の短縮からなる群より選択される、第17の実施形態による組合せである。
【0162】
第19の実施形態では、本発明は、第1〜第11の実施形態のいずれか1つによる組合せ、および少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である。
【0163】
第20の実施形態では、本発明は、被験体における免疫応答を促進または増強する方法であって、前記被験体に、免疫応答を促進または増強するのに共同で治療上有効な量の、第1〜第11の実施形態のいずれか1つによる組合せを投与するステップを含む方法である。
【0164】
第21の実施形態では、本発明は、加齢に関係する状態を有する被験体を処置する方法であって、前記被験体に、前記加齢に関係する状態に対して共同で治療上有効な量の、第1〜第11の実施形態のいずれか1つによる組合せを投与するステップを含む方法である。
【0165】
第22の実施形態では、本発明は、加齢に関係する状態が、免疫老化、筋肉減少症、筋肉の消耗、腱の硬直、腱損傷、腱炎、アキレス腱断裂、肩の癒着性関節包炎、足底筋膜炎、リウマチ性多発筋痛、肩腱板断裂、脊柱管狭窄症、テニス肘、デュピュイトラン拘縮、不穏下肢症候群、骨粗鬆症、変形性関節症、関節リウマチ、自己免疫疾患、多発性筋炎、痛風、認知症、ハンチントン病、アルツハイマー病、脳委縮、加齢に関係する運動不能(例えば、虚弱)、認知機能低下、加齢に関係する認知症、記憶機能障害、レビー小体認知症、前頭側頭認知症、パーキンソン病、軽度認知機能障害、血管性認知症、脳卒中、一過性脳虚血発作、三叉神経痛、神経障害、睡眠障害、不眠症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、高血圧、心臓機能不全、例えば心肥大、収縮機能不全、または拡張機能不全、心不全、拡張型心筋症、駆出率が保たれた心不全、不整脈、心臓弁膜症、慢性閉塞性肺疾患、慢性閉塞性肺疾患増悪、肺気腫、特発性肺線維症、肺高血圧症、肺塞栓症、呼吸困難、NASHおよび肝硬変を含む肝疾患、胆石、腎結石、バレット食道、痔核、褥瘡性潰瘍、憩室炎、便秘、結腸ポリープ、痔核、便失禁、悪液質、吸収不全、勃起機能不全、性欲減退、白内障、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜変性症、網膜剥離、ドライアイ、老視、転倒、めまい、良性前立腺肥大、前立腺がん、平均余命の短縮、減損した腎機能、慢性腎不全、急性腎不全、糸球体硬化症、糸球体硬化症、腎硬化症、脱水、神経因性膀胱、尿路感染症、膀胱炎、尿失禁、がん、肥満、メタボリック症候群、前糖尿病、糖尿病、皮膚萎縮症、皮膚老化、皺、脂漏性角化症、光線角化症、皮膚がん、日焼けで損傷を受けた皮膚、酒さ、爪甲真菌症、毛髪の白髪化、脱毛症、加齢性難聴、耳鳴症、嗅覚喪失、歯周疾患、虫歯、口内乾燥、甲状腺疾患、ミトコンドリアの機能不全と関連する疾患、ウェルナー症候群およびハッチンソンギルフォードプロジェリア症候群を含む早期老化症候群および早老症、貧血、葉酸欠乏性貧血、凝固障害、深部静脈血栓症、悪液質、うつ、ならびに平均余命の短縮からなる群より選択される、第21の実施形態による方法である。
【0166】
第23の実施形態では、本発明は、免疫応答の促進または増強のための医薬を調製するための、第1〜第11の実施形態のいずれか1つによる組合せの使用である。
【0167】
第24の実施形態では、本発明は、加齢に関係する状態の処置のための医薬を調製するための、第1〜第11の実施形態のいずれか1つによる組合せの使用である。
【0168】
第25の実施形態では、本発明は、加齢に関係する状態が、免疫老化、筋肉減少症、筋肉の消耗、腱の硬直、腱損傷、腱炎、アキレス腱断裂、肩の癒着性関節包炎、足底筋膜炎、リウマチ性多発筋痛、肩腱板断裂、脊柱管狭窄症、テニス肘、デュピュイトラン拘縮、不穏下肢症候群、骨粗鬆症、変形性関節症、関節リウマチ、自己免疫疾患、多発性筋炎、痛風、認知症、ハンチントン病、アルツハイマー病、脳委縮、加齢に関係する運動不能(例えば、虚弱)、認知機能低下、加齢に関係する認知症、記憶機能障害、レビー小体認知症、前頭側頭認知症、パーキンソン病、軽度認知機能障害、血管性認知症、脳卒中、一過性脳虚血発作、三叉神経痛、神経障害、睡眠障害、不眠症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、高血圧、心臓機能不全、例えば心肥大、収縮機能不全、または拡張機能不全、心不全、拡張型心筋症、駆出率が保たれた心不全、不整脈、心臓弁膜症、慢性閉塞性肺疾患、慢性閉塞性肺疾患増悪、肺気腫、特発性肺線維症、肺高血圧症、肺塞栓症、呼吸困難、NASHおよび肝硬変を含む肝疾患、胆石、腎結石、バレット食道、痔核、褥瘡性潰瘍、憩室炎、便秘、結腸ポリープ、痔核、便失禁、悪液質、吸収不全、勃起機能不全、性欲減退、白内障、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜変性症、網膜剥離、ドライアイ、老視、転倒、めまい、良性前立腺肥大、前立腺がん、平均余命の短縮、減損した腎機能、慢性腎不全、急性腎不全、糸球体硬化症、糸球体硬化症、腎硬化症、脱水、神経因性膀胱、尿路感染症、膀胱炎、尿失禁、がん、肥満、メタボリック症候群、前糖尿病、糖尿病、皮膚萎縮症、皮膚老化、皺、脂漏性角化症、光線角化症、皮膚がん、日焼けで損傷を受けた皮膚、酒さ、爪甲真菌症、毛髪の白髪化、脱毛症、加齢性難聴、耳鳴症、嗅覚喪失、歯周疾患、虫歯、口内乾燥、甲状腺疾患、ミトコンドリアの機能不全と関連する疾患、ウェルナー症候群およびハッチンソンギルフォードプロジェリア症候群を含む早期老化症候群および早老症、貧血、葉酸欠乏性貧血、凝固障害、深部静脈血栓症、悪液質、うつ、ならびに平均余命の短縮からなる群より選択される、第24の実施形態による組合せの使用である。
【0169】
第26の実施形態では、本発明は、RAD001または薬学的に許容されるその塩と、免疫応答の促進または増強においてBEZ235または薬学的に許容されるその塩と同時、別個または逐次的に使用するための指示とを含む、商業用パッケージである。
【0170】
第27の実施形態では、本発明は、RAD001または薬学的に許容されるその塩と、加齢に関係する状態の処置においてBEZ235または薬学的に許容されるその塩と同時、別個または逐次的に使用するための指示とを含む、商業用パッケージである。