(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
倉庫に格納された物品をピッキングするロボットと、前記物品が格納された格納棚を搬送する搬送車と、前記ロボット及び前記搬送車と通信する管理計算機と、を有するピッキングシステムであって、
前記倉庫は、前記ロボットが前記格納棚から前記物品をピッキングするロボット作業エリアと、作業員が前記格納棚から前記物品をピッキングする人作業エリアとを含み、
前記搬送車は、前記格納棚を前記ロボット作業エリアに搬送し、
前記ロボットは、前記格納棚に格納された物品のうち、前記作業員によるピッキングが可能でない位置に格納された物品を、当該格納棚の中で前記作業員によるピッキングが可能な位置に移動し、
前記ロボットによる前記物品の移動が終了すると、前記搬送車は、前記格納棚を前記ロボット作業エリアから前記人作業エリアに搬送し、
前記管理計算機は、前記ロボットが移動した物品のピッキングを前記作業員に指示する情報を出力することを特徴とするピッキングシステム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施例のピッキングシステムが適用される倉庫のピッキングエリアの説明図である。
【0017】
図1に示す倉庫のピッキングエリアは、格納エリア101、人作業エリア104およびロボット作業エリア109を含む。格納エリア101は、これから仕分けられ、各配送先に出荷される物品を保管するための領域であり、複数の格納棚102が置かれる。各格納棚102には複数の格納箱103が格納され、各格納箱103には一つ以上の物品を格納することができる。
【0018】
人作業エリア104は、仕分作業員105が格納棚102に格納された物品をピッキングして、その仕分作業を行うための領域であり、ゲート106及び仕分棚107が設置される。仕分棚107には複数の仕分箱108が格納され、各仕分箱108には仕分けられた物品が格納される。ロボット作業エリア109は、ロボット110が格納棚102に格納された物品をピッキングして、その仕分作業を行うための領域であり、ロボット110及び仕分棚107が設置される。
図1には人作業エリア104及びロボット作業エリア109をそれぞれ一つずつ示しているが、実際には倉庫内に複数の人作業エリア104及びロボット作業エリア109が設けられてもよい。
【0019】
なお、格納箱103及び仕分箱108は、複数の物品を収容でき、かつ、ロボット110及び仕分作業員105によるピッキング等の作業が可能な形状又は構造を有する容器であれば、例えばカゴ又は袋など、箱以外のものであってもよい。
【0020】
搬送車111は、格納棚102の下にもぐりこみ、それを持ち上げて走行することで、当該格納棚102を搬送する。仕分作業の対象となる格納棚102は、搬送車111によって格納エリア101から人作業エリア104又はロボット作業エリア109に搬送され、仕分け作業が終了すると格納エリア101に搬送される。
【0021】
仕分作業によって完成した(すなわち仕分けられた物品が格納された)仕分箱108は、仕分箱交換作業員112によって次の仕分作業の対象となる(すなわちこれから仕分けられる物品が格納される)仕分箱108と交換される。完成した仕分箱108は例えばコンベア113によって次工程(梱包、出荷など)を実施するエリアへと配送される。仕分箱交換作業員112に対する作業の指示等は指示端末114を介して行われる。
【0022】
上位システム115は倉庫全体を管理する計算機システムであり、全体管理コンピュータ116は倉庫内でのピッキングシステムを管理する計算機システムである。例えば、上位システム115は、各配送先からの注文(オーダ)を受け付け、そのオーダに関する仕分作業を全体管理コンピュータ116に指示してもよい。全体管理コンピュータ116は、そのオーダに対する仕分作業を行うために、搬送車111、仕分作業員105、ロボット110及び仕分箱交換作業員112に対する指示を作成してそれらに送信してもよい。ピッキングシステムが仕分け作業を完了すると、上位システム115はその報告を全体管理コンピュータ116から受信し、梱包などの次工程の実行を関係するシステムへと指示してもよい。
【0023】
図2は、本発明の実施例のピッキングシステムが適用される倉庫において使用される格納棚102の説明図である。
【0024】
格納棚102は、複数の棚板201によって区切られた複数の段202を有し、各段202に複数の格納箱103が収容される。各段202の空間は、複数の領域に分割されていてもよい。
図2の例では、各段202の空間が、格納棚102の四つの側面のうちの一つである棚面203側の領域と、棚面203の反対側の側面である棚面204側の領域とに分割されている。各段202の各棚面側の領域は、さらに複数の領域に分割されてもよい。
図2の例では、各段202の各棚面側の領域がさらに三つの領域に分割され、各領域に一つの格納箱103が収容される。これらの領域を間口とも記載する。各格納箱103には保管のために倉庫に入庫した物品が格納される。原則として、一つの格納箱103には一つの種別の物品が格納される。
【0025】
なお、本実施例では一つの間口がさらに複数の小間口に分割されてもよい。また、本実施例では、後述するように、ある間口の格納箱103に格納された物品を、例えば仕分作業員105がピッキング可能とするために、別の間口に移し替える場合がある。格納棚102は、このような移し替え先の間口として使用される専用の間口を一つ以上有してもよい。そのような間口を以下の説明において移し替え用間口と記載する場合がある。一方、移し替え用間口以外の間口を格納間口と記載する場合がある。
【0026】
図3は、本発明の実施例のピッキングシステムが適用される倉庫において使用される仕分棚107の説明図である。
【0027】
なお、
図3(a)は仕分棚107をある方向から観察した斜視図であり、
図3(b)は同じ仕分棚107を別の方向から観察した斜視図である。
【0028】
仕分棚107は、複数の棚板301によって区切られた複数の段302を有し、各段302に複数の仕分箱108が収容される。各段302の空間は、複数の領域に分割されていてもよい。
図3の例では、各段302の空間が三つの領域(間口)に分割され、各間口に一つの仕分箱108が収容される。各仕分箱108には仕分けられた物品が格納される。原則として、一つの仕分箱108には一つの配送先に配送される物品が格納される。なお、以下の説明において、仕分棚107の間口を仕分間口と記載する場合がある。
【0029】
仕分棚107の四つの側面のうち、仕分作業を行う仕分作業員105に向いている面には、間口ごとに入力部303及び出力部304が設けられる(
図3(a)参照)。出力部304は、仕分作業員105が行う仕分作業に関する情報を出力する。例えば、出力部304がランプである場合、ある配送先に配送される物品の仕分作業が行われているときに、当該配送先に対応する仕分箱108が置かれている間口の出力部304が点灯してもよい。あるいは、出力部304が少なくとも数字を表示できる表示装置であり、当該配送先に配送される当該物品の個数を表示してもよい。出力部304が数字に限らず任意の文字を表示できる場合には、当該物品の種別等を表示してもよい。
【0030】
仕分作業員105は、仕分けた物品を配送先に対応する仕分箱108に格納すると、その仕分箱108が置かれた間口の入力部303を操作する。それによって、全体管理コンピュータ116は、当該配送先に関する物品の仕分作業が終了したと判定して、当該配送先に関する次の物品の仕分作業、又は別の配送先に関する仕分作業を仕分作業員105に指示することができる。入力部303は、例えば押しボタン等であってもよい。
【0031】
図4は、本発明の実施例のピッキングシステムが適用される倉庫において使用されるゲート106の説明図である。
【0032】
ゲート106は、人作業エリア104に設置される。仕分作業のために人作業エリア104に搬送された格納棚102は、ピッキングが行われる棚面がゲート106を挟んで仕分作業員105と正対するように置かれる。ゲート106は、そのようにして置かれた格納棚102の各段202に対応する複数の開口部401と、各間口に対応する入力部402及び出力部403とを有する。
【0033】
ただし、ゲート106は、格納棚102の全ての段202に対応する開口部401、全ての間口に対応する入力部402及び出力部403を有していない場合がある。例えば、作業効率又は安全確保等の観点から、特定の段(例えば高所の段など)を対象とした仕分作業員105のピッキング作業が禁止されている(又は不可能である)場合に、ゲート106は、その段に対応する開口部401、入力部402及び出力部403を有しなくてもよい。
【0034】
例えば、
図1、
図2及び
図4に示すゲート106は、格納棚102の下側の三つの段202に対応する開口部401と、それらの段202の各間口に対応する入力部402及び出力部403とを有しているが、それらより上の段202に対応する開口部401、入力部402及び出力部403を有していない。これは、上の段202が仕分作業員105による作業の対象ではないことを示している。
【0035】
出力部403は、仕分作業員105が行う仕分作業に関する情報を出力する。例えば、出力部403が少なくとも数字を表示できる表示装置である場合、これから行うべきピッキングの対象である物品が格納されている格納箱103が置かれた間口の出力部403が、ピッキングされるべき当該物品の数量を表示してもよい。出力部403が数字に限らず任意の文字を表示できる場合には、当該物品の種別等を表示してもよい。
【0036】
仕分作業員105は、例えば出力部403の表示に従って、指示された間口から物品をピッキングした後に、当該間口の入力部402を操作する。それによって、全体管理コンピュータ116は、当該物品のピッキングが終了したと判定する。入力部402は、例えば押しボタン等であってもよい。
【0037】
図5は、本発明の実施例のピッキングシステムが適用される倉庫において使用されるロボット110の説明図である。
【0038】
ロボット110は、一つ以上のロボットアーム501を有する。各ロボットアーム501は、格納箱103、仕分箱108又は物品を把持するグリッパ502を有する。
図5の例では、それぞれグリッパ502A及び502Bを有するロボットアーム501A及び501Bを有する。以下の説明において各ロボットアーム501A、501B及び各グリッパ502A、502Bを区別する必要がない場合には、それぞれロボットアーム501及びグリッパ502と記載する場合がある。
【0039】
グリッパ502は、例えば負圧を利用して対象物を吸着するいわゆる吸着グリッパであってもよいし、複数の爪で対象物を挟むことによって対象物を保持するタイプのグリッパであってもよい。例えば一方のロボットアーム501Bが格納箱103を把持して格納棚102の間口から引き出し、もう一方のロボットアーム501Aが当該格納箱103からピッキング対象の物品を取り出し、その後、ロボットアーム501Bが当該格納箱103を間口に戻して解放し、当該物品の配送先に対応する仕分箱108を仕分棚107の間口から引き出し、ロボットアーム501Aが把持している物品を当該仕分箱108に格納してもよい。これによってピッキング作業を含めた仕分作業が実行される。また、ロボット110は、同様の手順で、いずれかの格納箱103に格納された物品を他の格納箱103に移し替えることもできる。
【0040】
図6は、本発明の実施例のピッキングシステムが適用される倉庫において使用される搬送車111の説明図である。
【0041】
搬送車111は、台車603に取り付けられた複数の車輪601及びリフト602を有する。搬送車111は、全体管理コンピュータ116から受信した指示に従って倉庫内を走行し、格納棚102を搬送する。具体的には、搬送車111は、搬送対象の格納棚102の直下に移動して、リフト602によって最下部の棚板201を押し上げることによって、格納棚102を積載する。そして、車輪601を駆動して、積載した格納棚102を格納エリア101から人作業エリア104又はロボット作業エリア109へ搬送し、仕分作業が終了したら格納エリア101に戻すことができる。
図6では省略されているが、搬送車111は、積載した格納棚102を水平方向に回転させるターンテーブルを有してもよい。
【0042】
図7は、本発明の実施例のピッキングシステムのハードウェア構成の説明図である。
【0043】
全体管理コンピュータ116、上位システム115、指示端末114、搬送車111、ロボット110、ゲート106及び仕分棚107は、ネットワーク701を介して接続される。ネットワーク701は、それを介してデータの通信が可能である限り、有線ネットワーク、無線ネットワーク又はそれらの組合せのいずれであってもよい。
【0044】
全体管理コンピュータ116は、中央制御装置702、主記憶装置703、入力装置704、出力装置705、通信装置706及び補助記憶装置707を有する計算機である。
【0045】
中央制御装置702は、主記憶装置703に記憶されたプログラムを実行することによって種々の処理を実行するプロセッサである。入力装置704は、全体管理コンピュータ116の使用者から情報の入力を受け付ける装置であり、例えばキーボード及びマウス等であってもよい。出力装置705は、全体管理コンピュータ116の使用者に情報を出力する装置であり、例えば文字及び画像等を表示する表示装置であってもよい。通信装置706は、ネットワーク701を介して当該ネットワーク701に接続された上位システム115等の各機器と通信する装置である。
【0046】
主記憶装置703は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの記憶装置であり、中央制御装置702によって実行されるプログラム等を保持する。
図7に示す主記憶装置703は、オーダ処理部708を保持する。これは、中央制御装置702によって実行されるプログラムである。したがって、以下の説明においてオーダ処理部708が実行する処理は、実際には、中央制御装置702が主記憶装置703に保持されたプログラムに従って実行する。プログラムに従って実行される処理の詳細については後述する(
図27〜
図30参照)。
【0047】
補助記憶装置707は、例えばハードディスクドライブ又はフラッシュメモリなどの記憶装置であり、中央制御装置702が実行する処理のために必要となる情報等を保持する。
図7に示す補助記憶装置707は、倉庫状態管理情報712、倉庫定義情報713、オーダ情報714及び作業計画情報715を保持する。これらの情報の詳細については後述する(
図8〜
図26参照)。なお、これらの情報の少なくとも一部が必要に応じて主記憶装置703にコピーされ、中央制御装置702によって参照されてもよい。また、中央制御装置702が実行するプログラムも補助記憶装置707に格納され、それらの少なくとも一部が必要に応じて主記憶装置703にコピーされてもよい。
【0048】
指示端末114は、相互に接続された中央制御装置731、主記憶装置732、補助記憶装置733、入力装置734、出力装置735及び通信装置736を有する計算機である。
【0049】
中央制御装置731は、主記憶装置732に記憶されたプログラム(図示省略)を実行することによって種々の処理を実行するプロセッサである。入力装置734は、仕分箱交換作業員112から情報の入力を受け付ける装置であり、例えばキーボード、マウス及びタッチセンサ等であってもよい。出力装置735は、仕分箱交換作業員112に情報を出力する装置であり、例えば文字及び画像等を表示する表示装置であってもよい。入力装置734及び出力装置735は、例えばいわゆるタッチパネルのように一体化されてもよい。通信装置736は、ネットワーク701を介して全体管理コンピュータ116と通信する装置である。
【0050】
主記憶装置732は、例えばDRAMなどの記憶装置であり、中央制御装置731によって実行されるプログラム等を保持する。補助記憶装置733は、例えばハードディスクドライブ又はフラッシュメモリなどの記憶装置であり、中央制御装置731が実行する処理のために必要となる情報等を保持する。
【0051】
上位システム115は、各配送先(例えば倉庫に格納されている物品を入荷して販売する店舗等)からのオーダを受信してオーダ情報を生成し、全体管理コンピュータ116に送信する計算機である。上位システム115のハードウェア構成は全体管理コンピュータ116と同様であってよいため、図示及び説明を省略する。
【0052】
次に、全体管理コンピュータ116が保持する情報について説明する。
【0053】
図8は、本発明の実施例の全体管理コンピュータ116が保持する倉庫状態管理情報712の説明図である。
【0054】
倉庫状態管理情報712は、倉庫の状態、具体的には倉庫内の各格納棚102、各仕分棚107及び各搬送車111の状態を管理するための情報であり、格納棚数801、格納棚情報802、仕分棚数803、仕分棚情報804、搬送車台数805及び搬送車情報806を含む。
【0055】
格納棚数801は、倉庫内にある格納棚102の総数である。格納棚情報802は、各格納棚102の状態を示す情報である。
図8には格納棚情報802として倉庫内の一つの格納棚102に関する格納棚情報A、及び、倉庫内の別の格納棚102に関する格納棚情報Bの二つを示している。
図8では省略されているが、実際には倉庫内の全ての格納棚102の各々について格納棚情報802が保持される。格納棚情報802の詳細については後述する(
図15参照)。
【0056】
仕分棚数803は、倉庫内にある仕分棚107の総数である。仕分棚情報804は、各仕分棚107の状態を示す情報である。
図8には仕分棚情報804として倉庫内の一つの仕分棚107に関する仕分棚情報C、及び、倉庫内の別の仕分棚107に関する仕分棚情報Dの二つを示している。
図8では省略されているが、実際には倉庫内の全ての仕分棚107の各々について仕分棚情報804が保持される。仕分棚情報804の詳細については後述する(
図19参照)。
【0057】
搬送車台数805は、倉庫内にある搬送車111の総数である。搬送車情報806は、各搬送車111の状態を示す情報である。
図8には搬送車情報806として倉庫内の一つの搬送車111に関する搬送車情報E、及び、倉庫内の別の搬送車111に関する搬送車情報Fの二つを示している。
図8では省略されているが、実際には倉庫内の全ての搬送車111の各々について搬送車情報806が保持される。搬送車情報806の詳細については後述する(
図21参照)。
【0058】
図9は、本発明の実施例の全体管理コンピュータ116が保持する倉庫定義情報713の説明図である。
【0059】
倉庫定義情報713は、位置座標数901、位置ID/座標902、物品種別数903、物品種別情報904、移し替え箱種別数905、移し替え箱種別情報906、仕分箱種別数907、仕分箱種別情報908、ゲート数909、ゲート情報910、ロボット台数911、ロボット情報912及び人作業可能最大段数913を含む。
【0060】
位置座標数901は、倉庫内の空間を管理するために全体管理コンピュータ116に保持される位置座標の数である。例えば、倉庫内の格納エリア101、人作業エリア104、ロボット作業エリア109及びそれらのエリア間で搬送車111が格納棚102を搬送する通路のエリアを含む全体のエリアが、所定の大きさの格子状の区画に分割され、各区画の識別情報及び位置座標が位置ID/座標902として保持される。各区画の大きさは、例えば、一つの格納棚102を設置可能な大きさである。
図9には、位置ID/座標902として位置G ID/座標及び位置H ID/座標を示している。これらは、倉庫内の全ての区画のうち二つに関する位置ID/座標902を例示したものであり、実際には倉庫内の全ての区画に関する位置ID/座標902が保持される。
【0061】
物品種別数903は、倉庫に格納されている物品の種別の数である。物品種別情報904は、それぞれの物品の種別に関する情報である。
図9には、物品種別情報904として物品種別情報I及び物品種別情報Jを示している。これらは、倉庫内に格納されている全ての物品の種別のうち二つに関する物品種別情報904を例示したものであり、実際には倉庫内に格納されている全ての物品の種別に関する物品種別情報904が保持される。物品種別情報904の詳細については後述する(
図22参照)。
【0062】
移し替え箱種別数905は、倉庫内で使用されている移し替え箱の種別の数である。移し替え箱とは、格納箱に格納されている物品を、仕分作業員105によるピッキングを可能に(又は容易に)するために一時的に移し替えるための箱である。移し替え箱種別情報906は、それぞれの移し替え箱の種別に関する情報である。
図9には、移し替え箱種別情報906として移し替え箱種別情報K及び移し替え箱種別情報Lを示している。これらは、倉庫内で使用されている全ての移し替え箱の種別のうち二つに関する移し替え箱種別情報906を例示したものであり、実際には全ての移し替え箱の種別に関する移し替え箱種別情報906が保持される。移し替え箱種別情報906の詳細については後述する(
図23参照)。
【0063】
仕分箱種別数907は、倉庫内で使用されている仕分箱108の種別の数である。仕分箱種別情報908は、それぞれの仕分箱108の種別に関する情報である。
図9には、仕分箱種別情報908として仕分箱種別情報M及び仕分箱種別情報Nを示している。これらは、倉庫内で使用されている全ての仕分箱108の種別のうち二つに関する仕分箱種別情報908を例示したものであり、実際には全ての仕分箱108の種別に関する仕分箱種別情報908が保持される。仕分箱種別情報908の詳細については後述する(
図24参照)。
【0064】
ゲート数909は、倉庫内に設置されているゲート106の数である。ゲート情報910は、それぞれのゲート106に関する情報である。
図9には、ゲート情報910としてゲート情報O及びゲート情報Pを示している。これらは、倉庫内に設置されている全てのゲート106のうち二つに関するゲート情報910を例示したものであり、実際には全てのゲート106に関するゲート情報910が保持される。ゲート情報910の詳細については後述する(
図25参照)。
【0065】
ロボット台数911は、倉庫内に設置されているロボット110の数である。ロボット情報912は、それぞれのロボット110に関する情報である。
図9には、ロボット情報912としてロボット情報Q及びロボット情報Rを示している。これらは、倉庫内に設置されている全てのロボット110のうち二つに関するロボット情報912を例示したものであり、実際には全てのロボット110に関するロボット情報912が保持される。ロボット情報912の詳細については後述する(
図26参照)。
【0066】
人作業可能最大段数913は、格納棚102の段202のうち、仕分作業員105によるピッキング作業が可能な段の数を示す。
図1及び
図2の例では、格納棚102の段202のうち、下側の3段に格納された物品を仕分作業員105がピッキングすることができるが、それより上の段に格納された物品は、仕分作業員105の手が届かない、又は、安全確保のために禁止されているなどの理由で、ピッキングをすることができない。この場合、人作業可能最大段数913としてそのことを示す情報が保持される。
【0067】
図10は、本発明の実施例の全体管理コンピュータ116が保持するオーダ情報714の説明図である。
【0068】
オーダ情報714は、各配送先から受けた物品のオーダ、すなわち、各配送先に配送すべき物品の種別及び数量を示す情報である。具体的には、オーダ情報714は、オーダID1001、配送先情報1002、オーダ物品種別数1003、物品種別ID1004及び物品種別オーダ数1005を含む。人作業エリア104及びロボット作業エリア109における仕分作業は、オーダ情報714に従ってオーダされた種別の物品をオーダされた数量だけ格納棚102からピッキングして当該オーダを行った配送先に対応する仕分箱108に格納することによって実行される。
【0069】
オーダID1001は、各オーダを識別する情報である。例えば一つの配送先から受けた1回のオーダに関する情報が一つのオーダIDによって識別される。
図10には例として一つの配送先から受けた1回のオーダに関する情報のみを示しているが、複数の配送先から1回または複数回のオーダを受けてもよい。その場合の対応方法の一例として、オーダ情報714は配送先ごとに作成され、同一の配送先のオーダは一つに纏められ、それぞれのオーダ情報714に固有のオーダIDが割り振られる。
【0070】
配送先情報1002は、オーダを行った配送先を示す情報、すなわち、オーダされた物品の配送先を示す情報である。オーダ物品種別数1003は、オーダされた物品の種別の数、すなわち、配送先に配送されるべき物品の種別の数である。
【0071】
物品種別ID1004及び物品種別オーダ数1005は、オーダされた物品の種別及びオーダされた当該種別の物品の数量である。複数の種別の物品がオーダされた場合、物品種別ID1004及び物品種別オーダ数1005の複数の組がオーダ情報714に含まれる。
【0072】
図10には、物品種別ID1004及び物品種別オーダ数1005の組として、物品種別SID及び物品種別Sオーダ数の組と、物品種別TID及び物品種別Tオーダ数の組とを例示しているが、実際にはオーダ情報714がさらに他の種別の物品に関する物品種別ID1004及び物品種別オーダ数1005の組を含んでもよい。
【0073】
図11は、本発明の実施例の全体管理コンピュータ116が保持する作業計画情報715の説明図である。
【0074】
作業計画情報715は、倉庫内でこれから行われる仕分作業の計画に関する情報であり、オーダID1101、仕分棚ID1102、仕分間口ID1103、仕分箱種別ID1104、搬送格納棚数1105及び格納棚搬送情報1106を含む。
【0075】
オーダID1101は、作業計画の対象となるオーダの識別情報である。仕分棚ID1102、仕分間口ID1103及び仕分箱種別ID1104は、それぞれ、作業計画の対象となるオーダの配送先に対応する仕分箱108が格納された仕分棚107を識別する情報、当該仕分棚107において当該仕分箱108が格納された間口を識別する情報、及び、当該仕分箱108の種別を識別する情報である。
【0076】
搬送格納棚数1105は、当該作業計画において搬送される格納棚102の数である。格納棚搬送情報1106は、各格納棚102の搬送に関する情報である。例えば作業計画の対象となるオーダに従って配送されるべき物品の仕分作業を行うために、複数の格納棚102からのピッキングを行う必要がある場合、それらの格納棚102を人作業エリア104又はロボット作業エリア109の少なくともいずれかに搬送する必要がある。この場合、それらの格納棚102の数が搬送格納棚数1105として保持され、搬送する必要がある各格納棚102の搬送に関する情報が格納棚搬送情報1106として保持される。
【0077】
図11には格納棚搬送情報1106として格納棚搬送情報U及び格納棚搬送情報Yを例示しているが、実際には搬送する必要がある全ての格納棚102について格納棚搬送情報1106が保持される。格納棚搬送情報1106の詳細については後述する(
図12参照)。
【0078】
図12は、本発明の実施例の全体管理コンピュータ116が保持する格納棚搬送情報1106の説明図である。
【0079】
格納棚搬送情報1106は、仕分作業の対象となる格納棚102を搬送車111が搬送する作業に関する情報であり、格納棚搬送ID1201、対象格納棚ID1202、対応搬送車ID1203、移し替え要否1204、個別仕分作業数1205、棚積載用経路情報1206、仕分用経路情報1207、棚返却用経路情報1208、移し替えロボットID1209、移し替え用経路情報1210及び個別仕分作業情報1211を含む。
【0080】
格納棚搬送ID1201は、当該格納棚搬送情報1106の対象である格納棚102の搬送作業を識別する情報である。対象格納棚ID1202は、当該搬送作業によって搬送される格納棚102を識別する情報である。対応搬送車ID1203は、当該搬送作業において格納棚102を搬送する搬送車111を識別する情報である。移し替え要否1204は、当該搬送作業において、格納棚102のいずれかの格納箱103又はいずれかの格納箱103に格納された物品の移し替えが必要か否かを示す。個別仕分作業数1205は、当該搬送作業によって搬送された格納棚102に対して実行される仕分作業の数である。
【0081】
棚積載用経路情報1206は、当該搬送作業においてこれからピッキングが行われる格納棚102を格納エリア101から人作業エリア104又はロボット作業エリア109に搬送するために、搬送車111が格納エリア101内の現在当該格納棚102が置かれている地点まで移動するための経路の情報である。仕分用経路情報1207は、人作業エリア104又はロボット作業エリア109に搬送するための経路の情報である。仕分用経路情報1207は、移し替え要否1204が移し替え不要であった場合は、格納エリア101内の現在当該格納棚102が置かれている地点が開始地点となり、移し替え要否1204が移し替え要であった場合は、移し替え作業を行うロボット110が設置されたロボット作業エリア109が開始地点となる。棚返却用経路情報1208は、仕分作業が終了した後で当該格納棚102を格納エリア101に返却するための搬送の経路の情報である。
【0082】
移し替えロボットID1209は、移し替え要否1204が移し替え要であった場合に、移し替え作業を行うロボット110を識別する情報であり、移し替え用経路情報1210は当該ロボット110が設置されたロボット作業エリア109までの経路の情報である。移し替え要否1204が移し替え不要であった場合、移し替えロボットID1209及び移し替え用経路情報1210は不要である。
【0083】
個別仕分作業情報1211は、当該搬送作業によって搬送された格納棚102における単一物品種別に対して実行される仕分作業に関する情報である。
図12には個別仕分作業情報1211として個別仕分作業情報W及び個別仕分作業情報Xを例示しているが、実際には実行されるべき全ての物品種別に対する仕分作業(すなわち個別仕分作業数1205として登録された数の仕分作業)について個別仕分作業情報1211が保持される。個別仕分作業情報1211の詳細については後述する(
図14参照)。
【0084】
図13は、本発明の実施例の全体管理コンピュータ116が保持する経路情報1300の説明図である。
【0085】
図12に示した棚積載用経路情報1206、仕分用経路情報1207、棚返却用経路情報1208及び移し替え用経路情報1210は、共通する形式の経路情報1300として保持される。経路情報1300は、経由点数1301、経由点位置ID1302及び経由点向きID1303を含む。
【0086】
経由点数1301は、経路の始点から終点まで(例えば仕分用経路情報1207の場合、格納エリア101内の現在格納棚102が置かれている地点から人作業エリア104又はロボット作業エリア109まで)の経路上の、搬送車111が経由すべき地点の数である。例えば上記のように倉庫内の空間が格子状の区画に分割されて管理される場合、経由点数1301は、始点から終点までの経路上の、搬送車111が経由すべき区画の数であってもよい。
【0087】
経由点位置ID1302及び経由点向きID1303は、それぞれ、各経由点(例えば経由する各区画)の識別情報、及び、当該経由点における搬送車111の向きである。経路上に複数の経由点が存在する場合、経由点ごとに、経由点位置ID1302及び経由点向きID1303の組が保持される。
図13の例では、経由点位置ID1302及び経由点向きID1303の組として、経由点Y位置ID及び経由点Y向きIDの組と、経由点Z位置ID及び経由点Z向きIDの組とが保持されているが、必要に応じてさらに他の経由点に関する経由点位置ID1302及び経由点向きID1303の組が保持されてもよい。
【0088】
図14は、本発明の実施例の全体管理コンピュータ116が保持する個別仕分作業情報1211の説明図である。
【0089】
個別仕分作業情報1211は、個別仕分作業ID1401、対象物品種別ID1402、対象物品数1403及び移し替え要否1404を含む。
【0090】
個別仕分作業ID1401は、搬送された格納棚102における単一物品種別に対して実行される仕分作業を識別する情報である。対象物品種別ID1402及び対象物品数1403は、当該仕分作業の対象となる物品の種別及び数を示す情報である。移し替え要否1404は、搬送された格納棚102における当該物品種別について移し替え作業が必要か否かを示す。
【0091】
移し替え作業が必要である場合、個別仕分作業情報1211は、さらに、移し替え方法ID1405、移し替え先間口ID1406及び移し替え先小間口ID1407を含む。移し替え方法ID1405は、実行される移し替え作業の方法を識別する情報である。移し替え作業の方法としては、例えば、物品ごとに移し替える方法と、格納箱103ごと移し替える方法とがある。前者は、いずれかの格納箱から物品を取り出して別の格納箱(移し替え箱)に移し替える方法である。後者は、いずれかの間口から格納箱103を取り出して、別の格納箱と交換する方法である。
【0092】
移し替え先間口ID1406は、移し替え先の間口を識別する情報である。移し替え先小間口ID1407は、移し替え先の小間口を識別する情報である。
【0093】
図15は、本発明の実施例の全体管理コンピュータ116が保持する格納棚情報802の説明図である。
【0094】
格納棚情報802は、格納棚ID1501、格納棚段数1502、格納棚列数1503、格納棚段高さ1504、格納棚列位置1505、移し替え用間口数1506、搬送予約数1507、格納棚位置ID1508、格納棚向きID1509、格納間口情報1510及び移し替え用間口情報1511を含む。
【0095】
格納棚ID1501は、格納棚102を識別する情報である。格納棚段数1502は、当該格納棚102が有する段202の数である。格納棚列数1503は、当該格納棚102の各棚面が有する列の数である。当該格納棚102の棚面、段及び列によって、当該格納棚102の間口を特定することができる。格納棚段高さ1504は、当該格納棚102の各段202の高さを示す。格納棚列位置1505は、当該格納棚102の各列の位置を示す。移し替え用間口数1506は、当該格納棚102に設けられた移し替え用間口の数を示す。
【0096】
搬送予約数1507は、当該格納棚102の搬送車111による搬送が予約されている回数を示す。この回数は現在実行中の搬送も含む。格納棚位置ID1508は、当該格納棚102の格納エリア101における保管位置を示す。格納棚向きID1509は、当該格納棚102が格納エリア101において保管される際の向きを示す。例えば当該格納棚102の棚面のうち一つが表面として指定されている場合に、その表面の向きと、倉庫内の基準方向とがなす角度(0°、90°、180°又は270°等)が格納棚向きID1509として保持されてもよい。
【0097】
格納間口情報1510は、当該格納棚102が有する各格納間口に関する情報である。
図15には格納間口情報1510の例として格納間口情報a及び格納間口情報bを示しているが、実際には当該格納棚102が有する全ての格納間口について格納間口情報1510が保持される。格納間口情報1510の詳細については後述する(
図16参照)。
【0098】
移し替え用間口情報1511は、当該格納棚102が有する各移し替え用間口に関する情報である。
図15には移し替え用間口情報1511の例として移し替え用間口情報c及び移し替え用間口情報dを示しているが、実際には当該格納棚102が有する全ての移し替え用間口について移し替え用間口情報1511が保持される。移し替え用間口情報1511の詳細については後述する(
図18参照)。
【0099】
図16は、本発明の実施例の全体管理コンピュータ116が保持する格納間口情報1510の説明図である。
【0100】
格納間口情報1510は、格納間口ID1601、間口基本情報1602、格納物品種別ID1603及び格納物品数1604を含む。
【0101】
格納間口ID1601は、格納間口を識別する情報である。間口基本情報1602は、当該格納間口の格納棚102における位置を示す情報である。間口基本情報1602の詳細については後述する(
図17参照)。格納物品種別ID1603及び格納物品数1604は、それぞれ、当該格納間口に置かれた格納箱103に格納された物品の種別を識別する情報、及び、格納されている当該物品の数を示す情報である。
【0102】
図17は、本発明の実施例の全体管理コンピュータ116が保持する間口基本情報1602の説明図である。
【0103】
間口基本情報1602は、格納棚面ID1701、格納棚段ID1702及び格納棚列ID1703を含む。これらは、それぞれ、当該間口が位置する棚面(例えば表面又は裏面)、段及び列を識別する情報である。これらの情報によって、格納棚102における各間口の配置が特定される。
【0104】
図18は、本発明の実施例の全体管理コンピュータ116が保持する移し替え用間口情報1511の説明図である。
【0105】
移し替え用間口情報1511は、移し替え用間口ID1801、間口基本情報1602、移し替え箱タイプID1802、移し替え箱種別ID1803、移し替え小間口数1804、小間口内最大種別数1805、小間口ID1806、小間口物品種別ID1807及び小間口物品種別物品数1808を含む。
【0106】
移し替え用間口ID1801は、移し替え用間口を識別する情報である。間口基本情報1602は、当該移し替え間口の格納棚102における位置を示す情報である(
図17参照)。移し替え箱タイプID1802は、当該移し替え間口に置かれる移し替え箱のタイプを識別する情報である。例えば当該移し替え間口が複数の小間口に分割されている場合に、当該移し替え間口には、複数の小間口に対応する複数の移し替え箱が置かれてもよいし、複数の小間口に対応する複数の空間に内部が仕切られた一つの移し替え箱が置かれてもよい。そのような移し替え箱のタイプを識別する情報が移し替え箱タイプID1802として保持される。
【0107】
移し替え箱種別ID1803は、当該移し替え箱の種別を識別する情報である。例えば、ピッキングシステム内にサイズの異なる移し替え箱が複数存在する場合、サイズ毎に移し替え箱種別情報906が定義され、そのIDが割り振られる。移し替え小間口数1804は、当該移し替え用間口が複数の小間口に分割されている場合に、それらの小間口の数を示す。小間口内最大種別数1805は、各小間口に格納されている物品の種別の数のうち最大のものを示す。
【0108】
小間口ID1806、小間口物品種別ID1807及び小間口物品種別物品数1808は、それぞれ、各小間口を識別する情報、各小間口に格納されている物品の種別を識別する情報、及び、各小間口に格納されている物品の数を示す情報である。小間口に複数の物品が格納されている場合、一つの小間口ID1806に対応して小間口物品種別ID1807及び小間口物品種別物品数1808の複数の組が保持される。
【0109】
図18の例では、小間口ID1806の例として小間口eID及び小間口fIDが保持されている。小間口eIDに対応する小間口物品種別ID1807及び小間口物品種別物品数1808の組の例として、小間口e物品種別gID及び小間口e物品種別g物品数の組と、小間口e物品種別hID及び小間口e物品種別h物品数の組と、が保持されている。さらに、小間口fIDに対応する小間口物品種別ID1807及び小間口物品種別物品数1808の組の例として、小間口f物品種別iID及び小間口f物品種別i物品数の組が保持されている。これらは一例であり、実際には全ての小間口に格納された全ての種別の物品について上記と同様の情報が保持される。
【0110】
図19は、本発明の実施例の全体管理コンピュータ116が保持する仕分棚情報804の説明図である。
【0111】
仕分棚情報804は、仕分棚ID1901、仕分棚段数1902、仕分棚列数1903、仕分棚段高さ1904、仕分棚列位置1905、仕分タイプID1906、対応ゲートID1907、対応ロボットID1908及び仕分間口情報1909を含む。
【0112】
仕分棚ID1901は、仕分棚107を識別する情報である。仕分棚段数1902は、当該仕分棚107が有する段302の数である。仕分棚列数1903は、当該仕分棚107の各棚面が有する列の数である。当該仕分棚107の段及び列によって当該仕分棚107の間口を特定することができる。仕分棚段高さ1904は、当該仕分棚107の各段302の高さを示す。仕分棚列位置1905は、当該仕分棚107の各列の位置を示す。
【0113】
仕分タイプID1906は、当該仕分棚107において実行される仕分作業のタイプを識別する情報である。ここで、仕分作業のタイプとは、ゲート106を介した仕分作業員105による仕分作業、及び、ロボット110による仕分作業である。当該仕分棚107において仕分作業員105による仕分作業が行われる場合、その仕分作業において使用されるゲート106を識別する情報が対応ゲートID1907として保持される。一方、当該仕分棚107においてロボット110による仕分作業が行われる場合、その仕分作業を実行するロボット110を識別する情報が対応ロボットID1908として保持される。
【0114】
仕分間口情報1909は、当該仕分棚107が有する各仕分間口に関する情報である。
図19には仕分間口情報1909の例として仕分間口情報j及び仕分間口情報kを示しているが、実際には当該仕分棚107が有する全ての仕分間口について仕分間口情報1909が保持される。仕分間口情報1909の詳細については後述する(
図20参照)。
【0115】
図20は、本発明の実施例の全体管理コンピュータ116が保持する仕分間口情報1909の説明図である。
【0116】
仕分間口情報1909は、仕分間口ID2001、仕分棚段ID2002、仕分棚列ID2003、オーダ割り当て有無2004、割り当てオーダID2005、仕分箱種別ID2006及び仕分箱ID2007を含む。
【0117】
仕分間口ID2001は、仕分間口を識別する情報である。仕分棚段ID2002及び仕分棚列ID2003は、それぞれ、当該仕分間口が位置する段及び列を識別する情報である。
【0118】
オーダ割り当て有無2004は、当該仕分間口にオーダが割り当てられているか否かを示す情報である。割り当てオーダID2005は、当該仕分間口にオーダが割り当てられている場合に、その割り当てられているオーダを識別する情報である。仕分箱種別ID2006は、当該仕分間口に置かれている仕分箱108の種別を識別する情報である。仕分箱ID2007は、当該仕分間口に置かれている仕分箱108を識別する情報である。
【0119】
図21は、本発明の実施例の全体管理コンピュータ116が保持する搬送車情報806の説明図である。
【0120】
搬送車情報806は、搬送車ID2101、移動速度2102、旋回角速度2103、搬送割り当て有無2104、搬送車位置ID2105、搬送車向きID2106、割り当て搬送数2107、オーダID2108、格納棚搬送ID2109、搬送車状態ID2110及び移動手順ID2111を含む。
【0121】
搬送車ID2101は、搬送車111を識別する情報である。移動速度2102及び旋回角速度2103は、それぞれ、当該搬送車111の移動速度及び旋回角速度を示す。搬送割り当て有無2104は、当該搬送車111に搬送が割り当てられているかを示す。
【0122】
搬送車位置ID2105及び搬送車向きID2106は、それぞれ、当該搬送車111の現在の位置及び向きを示す。例えば当該搬送車111の前進方向の向きと、倉庫内の基準方向とがなす角度(0°、90°、180°又は270°等)が搬送車向きID2106として保持されてもよい。
【0123】
割り当て搬送数2107は、当該搬送車に搬送が割り当てられている場合に、割り当てられている搬送の数を示す。ここで、搬送車に割り当てられている搬送とは、当該搬送車が現在実行中の搬送とこれから実行すべき搬送を意味している。また、例えば、一つのオーダに対応する一つの格納棚102の搬送が一つの搬送として計数され、それは格納棚搬送情報1106として定義される。
【0124】
オーダID2108及び格納棚搬送ID2109は、割り当てられている搬送に対応するオーダ情報714及び格納棚搬送情報1106を識別する情報である。当該搬送車に複数の搬送が割り当てられている場合、オーダID2108及び格納棚搬送ID2109の複数の組が保持される。
図21の例では、オーダID2108及び格納棚搬送ID2109の組の例として、搬送lオーダID及び搬送l格納棚搬送IDの組と、搬送mオーダID及び搬送m格納棚搬送IDの組とが保持されている。
【0125】
搬送車状態ID2110は、当該搬送車111の状態、例えば、当該搬送車111が移動中又は待機中のいずれであるかを示す。移動手順ID2111は、当該搬送車111が移動中である場合は、その移動が該当する手順を示し、待機中である場合は、次の移動が該当する手順を示す。移動が該当する手順として、例えば、これから当該搬送車111が格納棚102を積載しようとするときに当該格納棚102の位置まで移動する手順、積載した格納棚102からの仕分作業を行うために人作業エリア104又はロボット作業エリア109に移動する手順、仕分作業が終了した格納棚102を格納エリア101に返却するために移動する手順、及び、格納棚102に格納されている物品の移し替えのためにロボット作業エリア109に移動する手順等があり得る。
【0126】
図22は、本発明の実施例の全体管理コンピュータ116が保持する物品種別情報904の説明図である。
【0127】
物品種別情報904は、物品種別ID2201、物品形状データ2202、物品模様データ2203、物品把持位置姿勢2204、格納箱形状データ2205、格納箱模様データ2206、格納箱把持位置姿勢2207及びロボット作業可否2208を含む。
【0128】
物品種別ID2201は、物品の種別を識別する情報である。物品形状データ2202は、当該種別の物品の形状を示すデータである。物品模様データ2203は、当該種別の物品の表面の模様を示すデータである。物品把持位置姿勢2204は、当該種別の物品をロボット110のグリッパ502が把持する場合の、当該種別の物品に対するグリッパ502の相対位置及び姿勢を示す。
【0129】
格納箱形状データ2205は、格納箱103の形状を示すデータである。格納箱模様データ2206は、格納箱103の表面の模様を示すデータである。格納箱把持位置姿勢2207は、格納箱103をロボット110のグリッパ502が把持する場合の、格納箱103に対するグリッパ502の相対位置及び姿勢を示す。
【0130】
ロボット作業可否2208は、当該種別の物品のピッキングをロボット110が実行可能か否かを示す。例えば、当該種別の物品が、ロボット110によるピッキングができない形状を有している場合に、ロボット作業可否2208として当該種別の物品のピッキングをロボット110が実行できないことを示す情報が保持される。
【0131】
一般に、グリッパ502によって把持可能な対象物の形状等は、当該グリッパ502の形式及び形状等によって異なる。このため、倉庫内に複数のロボット110が設置されている場合、ロボットごとにロボット作業可否2208が保持される。
図22には、ロボット作業可否2208の例として、ロボットQ作業可否及びロボットR作業可否が保持されている。
【0132】
図23は、本発明の実施例の全体管理コンピュータ116が保持する移し替え箱種別情報906の説明図である。
【0133】
移し替え箱種別情報906は、移し替え箱種別ID2301、移し替え箱形状データ2302、移し替え箱模様データ2303及び移し替え箱把持位置姿勢2304を含む。
【0134】
移し替え箱種別ID2301は、移し替え箱の種別を識別する情報である。移し替え箱形状データ2302は、当該種別の移し替え箱の形状を示すデータである。移し替え箱模様データ2303は、当該種別の移し替え箱の表面の模様を示すデータである。移し替え箱把持位置姿勢2304は、当該種別の移し替え箱をロボット110のグリッパ502が把持する場合の、当該移し替え箱に対するグリッパ502の相対位置及び姿勢を示す。
【0135】
図24は、本発明の実施例の全体管理コンピュータ116が保持する仕分箱種別情報908の説明図である。
【0136】
仕分箱種別情報908は、仕分箱種別ID2401、仕分箱形状データ2402、仕分箱模様データ2403及び仕分箱把持位置姿勢2404を含む。
【0137】
仕分箱種別ID2401は、仕分箱108の種別を識別する情報である。仕分箱形状データ2402は、当該種別の仕分箱108の形状を示すデータである。仕分箱模様データ2403は、当該種別の仕分箱108の表面の模様を示すデータである。仕分箱把持位置姿勢2404は、当該種別の仕分箱108をロボット110のグリッパ502が把持する場合の、当該仕分箱108に対するグリッパの相対位置及び姿勢を示す。
【0138】
図25は、本発明の実施例の全体管理コンピュータ116が保持するゲート情報910の説明図である。
【0139】
ゲート情報910は、ゲートID2501、搬送車停止位置ID2502、ゲート正面方向ID2503及び物品仕分時間2504を含む。
【0140】
ゲートID2501は、ゲート106を識別する情報である。搬送車停止位置ID2502は、当該ゲート106を介したピッキング作業が行われるときに、当該ピッキング作業の対象となる格納棚102を搬送する搬送車111が停止すべき位置を識別する情報である。
【0141】
ゲート正面方向ID2503は、当該ゲート106の正面方向を識別する情報である。例えば、当該ゲート106の正面方向と倉庫内の基準方向とがなす角度(0°、90°、180°又は270°等)がゲート正面方向ID2503として保持されてもよい。物品仕分時間2504は、当該ゲート106を介して行われるピッキング作業を含む仕分作業の所要時間の目安を示す。
【0142】
図26は、本発明の実施例の全体管理コンピュータ116が保持するロボット情報912の説明図である。
【0143】
ロボット情報912は、ロボットID2601、搬送車停止位置ID2602、ロボット正面方向ID2603、物品仕分時間2604及び格納箱入れ替え時間2605を含む。
【0144】
ロボットID2601は、ロボット110を識別する情報である。搬送車停止位置ID2602は、当該ロボット110によるピッキング作業が行われるときに、当該ピッキング作業の対象となる格納棚102を搬送する搬送車111が停止すべき位置を識別する情報である。
【0145】
ロボット正面方向ID2603は、当該ロボット110の正面方向を識別する情報である。例えば、当該ロボット110の正面方向と倉庫内の基準方向とがなす角度(0°、90°、180°又は270°等)がロボット正面方向ID2603として保持されてもよい。物品仕分時間2604は、当該ロボット110によって行われるピッキング作業を含む仕分作業の所要時間の目安を示す。格納箱入れ替え時間2605は、当該ロボット110によって行われる格納箱103の入れ替え作業の所要時間の目安を示す。
【0146】
次に、本発明の実施例1の全体管理コンピュータ116が実行する処理について説明する。
【0147】
図27は、本発明の実施例1の全体管理コンピュータ116のオーダ処理部708が実行する処理を示すフローチャートである。
【0148】
最初に、全体管理コンピュータ116は、上位システム115からオーダを受信する(ステップ2701)。受信したオーダは、オーダ情報714(
図10)として補助記憶装置707に保持される。
【0149】
次に、全体管理コンピュータ116のオーダ処理部708は、上位システム115から受信したオーダに対する作業計画を作成する(ステップ2702)。この処理について
図28を参照して説明する。
【0150】
図28は、本発明の実施例1の全体管理コンピュータ116のオーダ処理部708が作業計画を作成するために実行する処理を示すフローチャートである。
【0151】
最初に、オーダ処理部708は、受信したオーダに従って物品を収集すべき作業エリアを決定する(ステップ2801)。具体的には、オーダ処理部708は、オーダ情報714に含まれる全ての物品種別について、物品種別情報904のロボット作業可否2208(
図22)を参照し、各物品種別の作業が可能なロボット110の有無を判定する。その結果、全ての物品種別について作業が可能なロボット110がある場合に、ロボット作業エリア109が物品を収集すべき作業エリアとして決定される。一方、全ての物品種別について作業が可能なロボット110がない場合に、人作業エリア104が物品を収集すべき作業エリアとして決定される。
【0152】
次に、オーダ処理部708は、オーダに対応する仕分間口、仕分箱108の種別、及び、ゲート106又はロボット110を決定する(ステップ2802)。
【0153】
具体的には、ステップ2801においてロボット作業エリア109が決定された場合、オーダ処理部708は、全ての物品種別の作業が可能なロボット110を一つ選択する。さらに、オーダ処理部708は、仕分棚情報804(
図19)を参照して、仕分タイプID1906が「ロボット」であり、かつ、対応ロボットID1908として上記の選択されたロボット110のID(識別情報)を含む仕分棚107を一つ選択して、そのIDを作業計画情報715(
図11)の仕分棚ID1102として登録する。
【0154】
一方、ステップ2801において人作業エリア104が決定された場合、オーダ処理部708は、仕分棚情報804を参照して、仕分タイプID1906が「ゲート」である仕分棚107を一つ選択して、そのIDを作業計画情報715の仕分棚ID1102として登録する。
【0155】
そして、オーダ処理部708は、仕分棚情報804(
図19)及び仕分間口情報1909(
図20)を参照して、選択した仕分棚107から、オーダ割り当て有無2004が「無」である(すなわちまだオーダが割り当てられていない)仕分間口を一つ選択し、その仕分間口をオーダに対応させる。これによって、作業計画情報715(
図11)の仕分間口ID1103に当該仕分間口のIDが登録される。
【0156】
さらに、オーダ処理部708は、オーダ情報714(
図10)及び物品種別情報904(
図22)を参照して、全ての物品種別について、オーダ数1005及び物品形状データ2202から占有容積を求め、それに基づいて、オーダされた全ての物品を収容するために必要な仕分箱108のサイズを計算する。そして、オーダ処理部708は、仕分箱種別情報908(
図24)の仕分箱形状データ2402を参照して、必要なサイズを満たす仕分箱種別を選択し、そのIDを作業計画情報715(
図11)の仕分箱種別ID1104として登録する。
【0157】
次に、オーダ処理部708は、オーダされた各物品について搬送対象となる格納棚102を決定する(ステップ2803)。具体的には、オーダ処理部708は、オーダ情報714(
図10)、格納棚情報802(
図15)及び格納間口情報1510(
図16)を参照して、オーダ情報714に含まれる各種別の物品を格納している格納棚102を検索し、検索された格納棚102を搬送対象として抽出する。もし、候補となる格納箱103が複数ある場合、格納棚情報802(
図15)の搬送予約数1507の少ないものを優先して選出する。そして、オーダ処理部708は、搬送対象として抽出して格納棚102の数を作業計画情報715(
図11)の搬送格納棚数1105として登録する。
【0158】
さらに、オーダ処理部708は、登録した棚数分の格納棚搬送情報1106(
図12)を作成し、搬送対象として抽出した格納棚102のIDを対象格納棚ID1202として登録する。
【0159】
さらに、オーダ処理部708は、搬送対象の格納棚102ごとに、オーダに応じて当該格納棚からピッキングされるべき物品の種別の数を個別仕分作業数1205として登録し、その作業数分の個別仕分作業情報1211(
図14)を作成する。オーダ処理部708は、それぞれの作業の対象となる物品種別及び当該種別の物品の数を、それぞれの個別仕分作業情報1211の対象物品種別ID1402及び対象物品数1403として登録する。
【0160】
次に、オーダ処理部708は、各物品について、格納間口の移し替えの要否を確認する。そして、移し替えが必要と判定した場合、移し替え方法、移し替え先間口及び当該移し替えを行うロボット110を決定する(ステップ2804)。
【0161】
具体的には、ステップ2801において決定された作業エリアがロボット作業エリア109である場合、オーダ処理部708は、格納間口の移し替えの必要がないと判定する。ステップ2801において決定された作業エリアが人作業エリア104である場合、オーダ処理部708は、オーダ内の各物品種別に対応する格納棚102の格納間口について、格納棚段ID1702(
図17)が人作業可能最大段数913(
図9)を超えているかを判定する。その結果、格納棚段ID1702が人作業可能最大段数913を超えていないと判定された場合、オーダ処理部708は、格納間口の移し替えの必要がないと判定する。
【0162】
ステップ2801において決定された作業エリアが人作業エリア104であり、かつ、ステップ2804において格納棚段ID1702が人作業可能最大段数913を超えていると判定された場合、対象格納棚に格納されたピッキング対象の物品のうち少なくとも一つは仕分作業員105によるピッキングが可能でない間口に格納されており、かつ、対象格納棚に格納されたピッキング対象の物品の種別のうち少なくとも一つはロボット110によるピッキングが可能でない。この場合、ロボット110による格納間口の移し替え、すなわち、仕分作業員105による作業ができない段202の間口に格納されている物品を、作業が可能な段202の間口に移し替える作業が必要であると判定される。その場合、オーダ処理部708は、対応する格納棚搬送情報1106(
図12)の移し替え要否1204、及び、対応する物品種別の個別仕分作業情報1211(
図14)の移し替え要否1404を「要」に変更する。
【0163】
そして、オーダ処理部708は、物品種別情報904(
図22)に基づいて、当該格納棚102において移し替えが必要と判定された各物品種別について、各ロボット110が作業可能かを判定し、作業可能な物品種別の数が最も多いロボット110を選択して、当該ロボット110のIDを格納棚搬送情報1106(
図12)の移し替えロボットID1209として登録する。
【0164】
当該格納棚102に移し替え用間口がない場合、当該格納棚102における全ての移し替え作業は、格納箱103ごと行われる。この場合、個別仕分作業情報1211(
図14)の移し替え方法ID1405として「格納箱」が登録される。また、仮に当該格納棚102に移し替え用間口があったとしても、移し替えが必要と判定された種別の物品の数が所定の閾値を超えた場合、及び、当該物品種別に対する作業をロボット110が行えない場合、格納箱ごとの移し替えが必要となり、移し替え方法ID1405として「格納箱」が登録される。
【0165】
上記のような場合、オーダ処理部708は、仕分作業員105による作業が可能な段202にあり、かつ、他の個別仕分作業のいずれの対象物品にも対応していない間口を、移し替え先間口として選択して、その間口のIDを個別仕分作業情報1211(
図14)の移し替え先間口ID1406として登録する。
【0166】
一方、当該格納棚102に移し替え用間口があり、移し替えが必要と判定された種別の物品の数が所定の閾値を超えず、かつ、当該物品種別に対する作業をロボット110が行える場合、移し替え用間口に、作業の対象の数の物品が移し替えられる。この場合、移し替え方法ID1405として「物品」が登録される。移し替え先間口として移し替え用間口が選択され、その移し替え用間口に含まれる小間口の一つのIDが移し替え先小間口ID1407として登録される。
【0167】
なお、オーダ処理部708は、一つの格納棚102において複数の物品種別の移し替えを行う必要がある場合、異なる物品種別の移し替え先の小間口が同一にならないように、各物品種別の移し替え先間口及び移し替え先小間口を選択することが望ましい。
【0168】
次に、オーダ処理部708は、ステップ2803で搬送対象と決定された格納棚102のうち、搬送車111がまだ割り当てられていないものがあるかを判定する(ステップ2805)。具体的には、格納棚搬送情報1106の中で対応搬送車ID1203が登録されていないものを探索する。それらが複数存在する場合は、格納棚情報802(
図15)の搬送予約数1507が少ないものを優先的に搬送車111の割り当ての対象とする。
【0169】
ステップ2805において、搬送車111がまだ割り当てられていない格納棚102があると判定された場合(ステップ2805:Yes)、オーダ処理部708は、その格納棚102を搬送する搬送車111を決定する(ステップ2806)。このとき、搬送車111は、例えば次のような優先順位に従って決定してもよい。
【0170】
すなわち、オーダ処理部708は、搬送車情報806(
図21)に基づいて、搬送が割り当てられていない搬送車111に、割り当ての対象の格納棚102に近い順に、高い優先順位を与えてもよい。
【0171】
あるいは、オーダ処理部708は、搬送が割り当てられている搬送車111に、割り当てられている全ての搬送から算出される予想所要時間が短い順に、高い優先順位を与えてもよい。ここで、予想所要時間は次の式(1)で算出される。
【0172】
予想所要時間
=残りの経由点間距離の総和÷移動速度
+残りの経由点間角度の総和÷旋回角速度
+残りの仕分物品数の総和×物品仕分時間
+残りの移し替え物品数の総和×物品仕分時間
+残りの移し替え格納箱の総和×格納箱入れ替え時間 ・・・(1)
【0173】
次に、オーダ処理部708は、ステップ2806で決定された搬送車111の搬送経路を計画する(ステップ2807)。この計画の一例について説明する。
【0174】
ここで、倉庫内の領域が格子状の区画に分割され、各区画に対して位置IDと座標との組が記録されているものとする(
図9参照)。この場合、搬送車111の搬送経路は格子に沿って計画される。すなわち、オーダ処理部708は、格子に沿った直線移動と旋回との組合せによって、搬送車111の開始位置・向きから、終点位置・向きまでの経路を計画する。その経路のうち直線移動の各区間の端点が当該経路の経由点となる。
【0175】
図12を参照して説明したように、搬送車111の経路には、棚積載用経路、仕分用経路及び棚返却用経路の3種類があり、さらに移し替え用経路が必要となる場合もある。オーダ処理部708は、まず、棚積載用経路を計画する。オーダ処理部708は、経路を計画する対象の搬送車111に他の(すなわちこれから計画する経路を使用して実行される搬送より前に実行される)搬送が割り当てられているかを確認する。
【0176】
他の搬送が割り当てられていない場合、当該搬送車111の現在の位置及び向きが開始位置・向きとなる。一方、他の搬送が割り当てられている場合、それらのうち最後に行われる搬送の棚返却用経路の終点位置・向きがこれから計画する棚積載用経路の開始位置・向きとなる。そして、オーダ処理部708は、搬送の対象である格納棚102の保管位置及び向きを終点位置・向きとして設定して、開始位置・向きから終点位置・向きまでの経路を計画する。
【0177】
ここで、移し替え要否1404(
図14)が「要」である場合、オーダ処理部708は、移し替え用経路を計画する。このとき、オーダ処理部708は、搬送の対象である格納棚102の保管位置及び向きを移し替え用経路の開始位置・向きとして設定し、移し替えを行うロボット110の搬送車停止位置ID2602(
図26)が示す位置を終点位置として設定し、移し替えの対象物品が格納された格納間口のある棚面がロボット110の正面に正対する向きを終点向きとして設定する。
【0178】
続いて、オーダ処理部708は、仕分用経路を計画する。このとき、オーダ処理部708は、仕分作業が人作業エリア104で行われる場合には当該人作業エリア104のゲート106の搬送車停止位置ID2502(
図25)が示す位置を終点位置として設定し、仕分作業の対象物品が格納された格納間口がある棚面がゲート106の正面に正対する向きを終点向きとして設定する。
【0179】
一方、仕分け作業がロボット作業エリア109で行われる場合、オーダ処理部708は、当該ロボット作業エリア109のロボット110の搬送車停止位置ID2602(
図26)が示す位置を終点位置として設定し、仕分作業の対象物品が格納された格納間口のある棚面がロボット110の正面に正対する向きを終点向きとして設定する。
【0180】
なお、搬送の対象である格納棚102に対する移し替え作業が行われない場合には、仕分用経路の開始位置・向きとして、当該格納棚102の保管位置及び向きが設定される。一方、当該格納棚102に対する移し替え作業が行われる場合には、仕分用経路の開始位置・向きとして、移し替え用経路の終点位置・向きが設定される。
【0181】
続いて、オーダ処理部708は、棚返却用経路を計画する。このとき、オーダ処理部708は、棚返却用経路の開始位置・向きとして、搬送の対象である格納棚102の保管位置及び向きを設定する。
【0182】
オーダ処理部708は、上記のように計画した棚積載用経路、仕分用経路、棚返却用経路及び移し替え用経路を、それぞれ、棚積載用経路情報1206、仕分用経路情報1207、棚返却用経路情報1208及び移し替え用経路情報1210として格納棚搬送情報1106に登録する(
図12、
図13参照)。
【0183】
オーダ処理部708は、上記のように経路を計画した後、対応する格納棚情報802(
図15)と搬送車情報806(
図21)を更新する。具体的には、オーダ処理部708は、格納棚情報802の搬送予約数1507を1増やし、搬送車情報806の割り当て搬送数2107を1増やしオーダID2108と格納棚搬送ID2109との組を追加する。さらに、オーダ処理部708は、搬送割り当て有無2104が「無」であった場合は「有」に変更し、搬送車状態ID2110を「待機中」に設定し、移動手順ID2111を「棚積載用」に設定する。一方、搬送割り当て有無2104が「有」であった場合は、オーダ処理部708は搬送割り当て有無2104、搬送車状態ID2110及び移動手順ID2111を変更しない。
【0184】
オーダ処理部708は、ステップ2807を実行した後、再びステップ2805を実行する。
【0185】
ステップ2805において、搬送車111がまだ割り当てられていない格納棚102がないと判定された場合(ステップ2805:No)、
図28の処理が終了する。
【0186】
再び
図27を参照する。オーダ処理部708は、ステップ2702において
図28の処理を実行した後、ステップ2802で決定された仕分間口に対応する仕分棚情報804(
図19)内の仕分間口情報1909(
図20)のオーダ割り当て有無2004を「有」に更新し、割り当てオーダID2005に当該オーダのIDを登録し、仕分箱種別ID2006に決定した仕分箱種別を登録する。
【0187】
次に、オーダ処理部708は、指示端末114に対して、対象仕分間口(すなわち
図28のステップ2802で決定された仕分間口)への仕分箱108の設置の指示を送信する(ステップ2703)。この指示は、ステップ2802で決定された仕分箱種別を指定する情報を含む。
【0188】
指示端末114は、当該指示を出力装置735(例えば表示装置、
図7参照)から出力する。仕分箱交換作業員112は、出力された指示に従って対象仕分間口に指定された種別の仕分箱108を設置して、設置が完了したことを示す情報を入力装置734に入力する。このとき、仕分箱交換作業員112は、設置した仕分箱108(対象仕分箱)のIDも入力する。仕分箱108のIDは、例えば、ラベルとして仕分箱108に貼り付けられ、仕分箱交換作業員112はそのラベルを読み取って、入力装置734に入力する。あるいは、仕分箱108のIDはバーコードとして仕分箱108に貼り付けられ、入力装置734はバーコードリーダを備え、仕分箱交換作業員112はそのバーコードリーダを操作して仕分箱108のIDを読み取らせることで入力してもよい。指示端末114は、対象仕分箱のIDを含む、対象仕分箱の設置の完了報告を全体管理コンピュータ116に送信する。
【0189】
全体管理コンピュータ116が指示端末114から対象仕分箱の設置の完了報告を受信すると、オーダ処理部708は、完了報告に含まれる対象仕分箱のIDを、対応する仕分間口情報1909(
図20)の仕分箱ID2007として登録する(ステップ2704))。
【0190】
次に、オーダ処理部708は、ステップ2702で計画された作業において搬送されるべき格納棚102のうち少なくとも一つが未搬送であるかを判定する(ステップ2705)。少なくとも一つの格納棚102が未搬送であると判定された場合(ステップ2705:Yes)、オーダ処理部708は、そのうちの一つの格納棚102(対象格納棚)を積載する指示を、対象格納棚に割り当てられた搬送車111(対象搬送車)に送信する(ステップ2706)。この指示を送信した後、オーダ処理部708は、対象搬送車に対応する搬送車情報806(
図21)の搬送車状態ID2110を「移動中」に更新する。
【0191】
ステップ2706で送信された指示を受信した対象搬送車は、ステップ2702で計画された棚積載用経路を通って対象格納棚の位置まで移動し、対象格納棚を積載し、格納棚積載の完了報告を全体管理コンピュータ116に送信する。
【0192】
全体管理コンピュータ116が対象搬送車から格納棚積載の完了報告を受信すると、オーダ処理部708は、対象搬送車に対応する搬送車情報806(
図21)の搬送車状態ID2110を「待機中」に更新し、移動手順ID2111を「移し替え用」に更新する(ステップ2707)。
【0193】
次に、オーダ処理部708は、ステップ2702において間口の移し替えが計画されているか否かを判定する(ステップ2708)。移し替えが計画されている場合(ステップ2708:Yes)、オーダ処理部708は、移し替えが計画されている間口(対象格納間口)の移し替えの指示を送信し、移し替えが完了すると完了報告を受信する(ステップ2709)。この処理について
図29を参照して説明する。
【0194】
図29は、本発明の実施例1の全体管理コンピュータ116のオーダ処理部708が格納間口の移し替え作業を指示するために実行する処理を示すフローチャートである。
【0195】
最初に、オーダ処理部708は、対象搬送車に、計画されている移し替え作業を実行するロボット110(対象ロボット)の前まで対象格納棚を搬送する指示を送信する(ステップ2901)。オーダ処理部708は、この指示を送信した後、対象搬送車に対応する搬送車情報806(
図21)の搬送車状態ID2110を「移動中」に更新する。
【0196】
対象搬送車は、受信した指示に従って対象格納棚を搬送し、搬送が完了すると完了報告を全体管理コンピュータ116に送信し、オーダ処理部708が完了報告を受信する(ステップ2902)。オーダ処理部708は、完了報告を受信した後、対象搬送車に対応する搬送車情報806(
図21)の搬送車状態ID2110を「待機中」に更新し、移動手順ID2111を「仕分用」に更新する。
【0197】
次に、オーダ処理部708は、計画されている移し替えの少なくとも一つが未実施であるかを判定する(ステップ2903)。少なくとも一つの移し替えが未実施である場合(ステップ2903:Yes)、そのうちの一つについて、オーダ処理部708は、対象格納間口の移し替えを実行する指示を対象ロボットに送信する(ステップ2904)。この指示は、
図28のステップ2804における決定の結果が反映されるように作成される。対象ロボットは指示に従って移し替えを実行し、完了すると完了報告を全体管理コンピュータ116に送信する。
【0198】
オーダ処理部708は、対象ロボットから完了報告を受信すると(ステップ2905)、実行された移し替えの結果が反映されるように、対象格納棚に対応する格納棚情報802(
図15)の格納間口情報1510及び移し替え用間口情報1511を更新する。その後、オーダ処理部708は、再びステップ2903を実行する。
【0199】
ステップ2903において、計画されている移し替えに未実施のものがない(すなわち全ての移し替えが完了した)と判定された場合(ステップ2903:No)、
図29の処理が終了する。
【0200】
再び
図27を参照する。オーダ処理部708は、ステップ2709において
図29に示す処理が終了すると、次にステップ2710を実行する。また、オーダ処理部708は、ステップ2708において移し替えが計画されていないと判定された場合(ステップ2708:No)、対象搬送車に対応する搬送車情報806(
図21)の移動手順ID2111を「仕分用」に更新した後、ステップ2709を実行せずにステップ2710を実行する。
【0201】
ステップ2710において、オーダ処理部708は、対象格納棚の物品仕分作業の指示を送信し、物品仕分け作業が完了すると完了報告を受信する。この処理について
図30を参照して説明する。
【0202】
図30は、本発明の実施例1の全体管理コンピュータ116のオーダ処理部708が物品仕分作業を指示するために実行する処理を示すフローチャートである。
【0203】
最初に、オーダ処理部708は、対象搬送車に、計画されている仕分作業が行われる人作業エリア104のゲート106(対象ゲート)又はロボット作業エリア109のロボット110(対象ロボット)の前まで対象格納棚を搬送する指示を送信する(ステップ3001)。オーダ処理部708は、この指示を送信した後、対象搬送車に対応する搬送車情報806(
図21)の搬送車状態ID2110を「移動中」に更新する。
【0204】
対象搬送車は、受信した指示に従って対象格納棚を搬送し、搬送が完了すると完了報告を全体管理コンピュータ116に送信し、オーダ処理部708が完了報告を受信する(ステップ3002)。オーダ処理部708は、完了報告を受信した後、対象搬送車に対応する搬送車情報806(
図21)の搬送車状態ID2110を「待機中」に更新し、移動手順ID2111を「棚返却用」に更新する。
【0205】
次に、オーダ処理部708は、計画されている仕分作業の少なくとも一つが未実施であるかを判定する(ステップ3003)。少なくとも一つの仕分作業が未実施である場合(ステップ3003:Yes)、そのうちの一つについて、オーダ処理部708は、対象物品の仕分作業を実行する指示を送信する(ステップ3004)。
【0206】
仕分作業が人作業エリア104で実行される場合、仕分作業を実行する指示は当該人作業エリア104のゲート106(対象ゲート)及び仕分棚107(対象仕分棚)に送信される。例えば、対象ゲートは、受信した指示に従って、ピッキングの対象物品が格納された間口の出力部403から、ピッキングされるべき対象物品の数量を示す情報を出力してもよい。
【0207】
同様に、対象仕分棚は、受信した指示に従って、ピッキングされた物品を格納すべき間口の出力部304から、格納されるべき対象物品の数量を示す情報を出力してもよい。指示された作業を完了した仕分作業員105によって、対象ゲートの入力部402及び対象仕分棚の入力部303が操作されると、その操作の情報が完了報告として全体管理コンピュータ116に送信される。
【0208】
仕分作業がロボット作業エリア109で実行される場合、仕分作業を実行する指示は当該ロボット作業エリア109のロボット110(対象ロボット)に送信される。対象ロボットは指示に従って移し替えを実行し、完了すると完了報告を全体管理コンピュータ116に送信する。
【0209】
オーダ処理部708は、対象ゲートと対象仕分棚との組、又は対象ロボットから完了報告を受信すると(ステップ3005)、実行された仕分作業の結果が反映されるように、対象格納棚に対応する格納棚情報802(
図15)の格納間口情報1510及び移し替え用間口情報1511を更新する。その後、オーダ処理部708は、再びステップ3003を実行する。
【0210】
ステップ3003において、計画されている仕分作業に未実施のものがない(すなわち全ての仕分作業が完了した)と判定された場合(ステップ3003:No)、
図30の処理が終了する。
【0211】
再び
図27を参照する。オーダ処理部708は、ステップ2710において
図30に示す処理が終了すると、次に、対象搬送車に対して、格納エリア101への格納棚搬送の指示を送信する(ステップ2711)。この指示を送信した後、オーダ処理部708は、対象搬送車に対応する搬送車情報806(
図21)の搬送車状態ID2110を「移動中」に更新する。対象搬送車は、指示に従って対象格納棚を格納エリア101に搬送し、搬送が終了すると完了報告を全体管理コンピュータ116に送信する。
【0212】
オーダ処理部708は、完了報告を受信すると(ステップ2712)、対象搬送車に対応する搬送車情報806(
図21)の搬送車状態ID2110を「待機中」に更新し、移動手順ID2111を「棚積載用」に更新する。さらに、オーダ処理部708は、完了した搬送に対応するオーダID2108と格納棚搬送ID2109との組を削除し、割り当て搬送数2107を1減らす。その結果、割り当て搬送数2107が0になった場合、オーダ処理部708は、搬送割り当て有無2104を「無」に更新する。また、オーダ処理部708は、対象格納棚搬送に対応する格納棚情報802の搬送予約数1507を1減らす。
【0213】
その後、オーダ処理部708は、再びステップ2705を実行する。
【0214】
ステップ2705において、未搬送の格納棚102がないと判定された場合(ステップ2705:No)、受信したオーダに対して計画された全ての搬送が終了したことになる。すなわち、当該オーダに対応する配送先に配送されるべき全ての物品が、当該配送先に対応する仕分箱108(対象仕分箱)に格納されたことになる。このため、オーダ処理部708は、指示端末114に対して、対象仕分箱を梱包エリア(図示省略)に発送する指示を送信する(ステップ2713)。
【0215】
指示端末114は、例えば、受信した指示を出力装置735から出力する。仕分箱交換作業員112は、例えば、出力された指示に従って対象仕分箱を対象仕分棚から搬出してコンベア113等に乗せることで、対象仕分箱を梱包エリアに発送する。その後、仕分箱交換作業員112が対象仕分棚の発送の完了を示す情報を入力装置734に入力すると、指示端末114は、仕分箱発送の完了報告を全体管理コンピュータ116に送信する。
【0216】
オーダ処理部708は、指示端末114から仕分箱発送の完了報告を受信すると(ステップ2714)、上位システム115に、オーダに対応する仕分箱108(すなわち発送が完了した対象仕分箱)のIDと共に、完了報告を送信する(ステップ2715)。その後、オーダ処理部708は、対象仕分箱を搬出した間口に対応する仕分間口情報1909(
図20)のオーダ割り当て有無2004を「無」に更新し、仕分箱ID2007を「無」に更新する。
【0217】
図31は、本発明の実施例のピッキングシステムが適用される倉庫において実行される物品の移し替えの説明図である。
【0218】
具体的には、
図31には、例として、格納棚102の最上段の間口に格納された物品を仕分作業員105がピッキングできないという条件下で、ピッキング対象の物品が最上段の格納箱に格納されている場合の移し替えの手順を示す。
【0219】
図31(a)及び
図31(b)は、
図29のステップ2902において搬送車111が格納棚102をロボット作業エリア109に搬送し、ロボット110がステップ2904の指示を受信したときに実行される移し替えの動作を示す側面図である。この例では、ピッキング対象の物品が格納棚102の最上段の格納箱103Aに格納されている。一方、仕分作業員105がピッキング可能な上から2番目の段に、移し替え箱3101が置かれている。
【0220】
ロボット110は、2本のアーム501のうち一方を用いて格納箱103Aを引き出し、もう一方のアーム501を用いて格納箱103Aから物品を取り出す(
図31(a))。その後、ロボット110は、格納箱103Aを元の位置に戻して、移し替え箱3101を引き出し、格納箱103Aから取り出した物品を移し替え箱3101に格納する(
図31(b))。ロボット110は、移し替え箱3101を元の位置に戻すと、移し替えの完了報告を全体管理コンピュータ116に送信する。
【0221】
その後、
図31(c)、
図31(d)の平面図に示すように、搬送車111は格納棚102をロボット作業エリア109から人作業エリア104に搬送する。人作業エリア104において、仕分作業員105は、移し替え箱3101を引き出して物品を取り出し(すなわちピッキングを行い)(
図31(e))、その物品を、オーダに対応する仕分箱108に格納する(
図31(f))。
【0222】
図31では省略されているが、例えば、同じオーダに対応する物品が、仕分作業員105によるピッキングが可能な段に置かれた別の格納箱103Bにも格納されている場合、仕分作業員105が格納箱103Bからも必要な数の物品を取り出して仕分箱108に格納する。
【0223】
図31の例において、格納箱103Aに格納された物品と格納箱103Bに格納された物品とがいずれも一つの配送先に配送される場合、それらの物品が仕分作業によって一つの仕分箱108に格納される。仮に、いずれの物品もロボット110によるピッキングが可能であれば、上記のような移し替えを行わずに、ロボット作業エリア109でそれらの物品の仕分作業を行うこともできる。
【0224】
しかし、仮に、格納箱103Bに格納されている物品が、ロボット110によるピッキングができない形状を有している場合には、上記のような移し替えを行わない限り、ロボット110が格納箱103Aからのピッキングを行い、仕分作業員105が格納箱103Bからのピッキングを行う必要がある。
【0225】
その場合、ロボット作業エリア109と人作業エリアのそれぞれに仕分箱108を用意して、それぞれの作業エリアでの仕分作業が終了した後で二つの仕分箱108の内容を合成するか、又は、仕分作業の実行に合わせて、一つの仕分箱108を作業エリア間で移動させる必要がある。
【0226】
これに対して、本実施例では、上記のように移し替えを実行することによって、二つの仕分箱108の合成又は一つの仕分箱108の移動のいずれも実行する必要がなくなり、作業工程が簡素化される。
【0227】
図32は、本発明の実施例のピッキングシステムが適用される倉庫において実行される物品の移し替えの別の例の説明図である。
【0228】
図31の例では、ロボット110が格納箱103Aに格納された物品を格納箱103Aから取り出して移し替え箱3101に移し替えた。これに対して、
図32の例では、ロボット110が格納箱103Aに格納された物品を格納箱103Aごと、仕分作業員105によるピッキングが可能な段に移し替える。
【0229】
例えば、格納箱103Aに格納された物品のうち、ピッキング対象の物品の数(すなわち移し替える必要がある物品の数)が所定の閾値を超えた場合、及び、格納箱103Aに格納された物品がロボット110によるピッキングができない形状を有している場合に、格納箱103Aごとの移し替えが行われる(
図28のステップ2804)。
【0230】
この場合、最初にロボット110が格納箱103Aを別の場所に一時的に移し替える。例えば、通常は格納箱103Aを置かない格納棚102の天板上に格納箱103Aを一時的に移し替えてもよい(
図32(a)、
図32(b))。次に、ロボット110は、仕分作業員105によるピッキングが可能な段に置かれたいずれかの格納箱103、
図32の例では格納箱103Cを取り出して、格納箱103Aが置かれていた(現在は空いている)間口に移し替える(
図32(c)、
図32(d))。図示した例では格納箱103Cに物品が格納されていないが、格納箱103Cに物品が格納されていてもよい。ただし、格納箱103Cは、これから行われるピッキングに対応するオーダと同じオーダによってピッキングされるべき物品を格納していない必要がある。
【0231】
次に、ロボット110は、一時的に移し替えた格納箱103Aを、格納箱103Cが置かれていた(現在は空いている)間口に移し替える(
図32(e)、
図32(f))。その後の仕分作業は
図31(c)〜
図31(f)と同様に実行される。
【0232】
なお、
図32の例では先に格納箱103Aを一時的に移し替えたが、それとは逆に、格納箱103Cを先に一時的に移し替えて、空いた間口に格納箱103Aを移し替え、それによって空いた間口に格納箱103Cを移し替えてもよい。
【0233】
図33は、本発明の実施例のピッキングシステムが適用される倉庫において使用され、移し替え用間口を有する格納棚102の間口及びそれに対応するゲート106の説明図である。
【0234】
図33(a)に示す格納棚102は、段202A〜202Dを有する。これらのうち、最上段である段202Aは、間口3301A〜3301Cを含む。ロボット110は間口3301A〜3301Cに対する作業を行うことができるが、仕分作業員105は行うことができない。一方、それ以外の段202B〜202Dの間口3301D〜3301Nに対する作業は、ロボット110及び仕分作業員105のいずれも行うことができる。
【0235】
図33(a)に示す間口3301A〜3301Nのうち間口3301A〜3301D及び間口3301H〜3301Nは、格納箱103が置かれる格納間口である。一方、間口3301E〜3301Gは、移し替え箱3101が置かれる移し替え先間口である。この例では、間口3301E〜3301Gを合わせた空間が一つの格納間口と同等の大きさの移し替え先間口であり、それが三つの移し替え先小間口3301E〜3301Gに分割されている。
【0236】
移し替え先小間口3301E〜3301Gに置かれる移し替え箱3101は、三つの移し替え先小間口3301E〜3301Gに対応する三つの移し替え箱3101Aであってもよいし、三つの移し替え先小間口3301E〜3301Gに対応する三つの空間に仕切られた一つの移し替え箱3101Bであってもよい。
【0237】
各移し替え先小間口が移し替え元の格納間口と対応付けられていてもよい。
図31(a)の例では、格納間口3301A、3301B及び3301Cに格納された物品が、それぞれ、移し替え先小間口3301E、3301F及び3301Gに移し替えられる。ただし、このような対応付けは一例であり、必要に応じて対応関係が変更されてもよい。また、例えば移し替えの対象の物品の種別の数及び各種別の物品の数等に応じて、一つの格納間口に複数の移し替え先小間口が対応付けられてもよいし、一つの移し替え先小間口に複数の格納間口が対応付けられてもよい。
【0238】
移し替え作業が発生する場合に移し替え元となる格納間口3301A〜3301Cに格納される物品は、例えば、出荷頻度に基づいて決定されてもよい。ここで、出荷頻度は、例えば過去の所定の期間の出荷頻度のように、過去の実績に基づいて算出したものであってもよい。例えばオーダ情報714(
図10)が過去のオーダに関する情報も含んでいれば、それに基づいて過去の出荷頻度を計算することができる。また、将来の出荷の見通しを利用できる場合にはその見通しに基づいて出荷頻度を算出してもよい。
【0239】
具体的には、
図33(a)の例では、格納棚102に格納される全物品のうち比較的出荷頻度が高い(言い換えるとピッキングの対象となる頻度が高い)ものを段202B〜202Dの格納間口に格納し、比較的出荷頻度が低いものを段202Aの格納間口3301A〜3301Cに格納してもよい。これによって、移し替えが発生する頻度が抑えられ、倉庫における物品の処理のスループットが向上する。
【0240】
さらに、上記の比較的出荷頻度が低い物品の中で、比較的出荷頻度が高い物品を、移し替え先間口に最も近い格納間口3301Bに格納し、それ以外の物品を格納間口3301A及び3301Cに格納してもよい。移し替え作業に要する時間は、移し替え元の格納間口と移し替え先間口との距離が小さいほど短いため、上記のように比較的出荷頻度が高い物品を移し替え先間口に最も近い格納間口3301Bに格納することで、移し替え作業に要する時間の合計を短縮することができ、倉庫における物品の処理のスループットが向上する。
【0241】
全体管理コンピュータ116は、各種別の物品が倉庫に入庫されるときに、上記のような方法でそれらを格納する格納間口を決定し、決定した格納間口に物品を格納する指示を入庫作業員(図示省略)が保持する端末装置等(図示省略)又は入庫作業を行うロボット(図示省略)に送信してもよい。この指示に従って入庫作業員又はロボットが物品を指示された格納棚の間口に格納することによって、上記のような物品の配置が実現される。
【0242】
あるいは、例えば、ある格納棚102の格納間口3301A又は3301Cに、格納間口3301Bに格納されているものより出荷頻度が高い物品が格納されている場合、その格納棚102がピッキング又は物品の移し替えのためにロボット作業エリア109に搬送されたときに、全体管理コンピュータ116は、目的のピッキング又は移し替えを行う指示と併せて、格納間口3301A又は3301Cの格納箱103と格納間口3301Bの格納箱103とを入れ替える指示を送信してもよい(
図27のステップ2710又は
図29のステップ2904)。ロボット110がこの指示に従って格納箱103を入れ替えることによって、上記のような物品の配置が実現される。
【0243】
なお、格納間口3301A〜3301Cのいずれかに格納された移し替え対象の物品の数量が所定の閾値より多い場合、又は、その物品をロボット110がピッキングすることができない場合には、当該格納間口に置かれた格納箱と、仕分作業員105による作業が可能な間口(例えば格納間口3301D又は3301H)に置かれた格納箱とを入れ替えることによって、物品の移し替えが行われる。
【0244】
図33(b)には、
図33(a)に示す格納棚102に対応するゲート106を示す。ゲート106には、格納棚102の各間口に対応する入力部402A〜402Nおよび出力部403A〜103Nが設けられる。それらのうち、入力部402E〜402Gおよび出力部403E〜403Gは、
図33(a)に示す格納棚102の移し替え先小間口3301E〜3301Gのそれぞれに対応する。このように移し替え先として専用に使用される間口と、それに対応する入力部402及び出力部403とを用意することによって、仕分作業員105による作業のミスが低減される。ここで、本実施例のピッキングシステムにおいて、ゲート106に移し替え先小間口3301E〜3301Gに対応する入力部402E〜402Gと出力部403E〜403Gが設けられていたとしても、全ての格納棚102が移し替え先小間口3301E〜3301Gを有する必要は無い。ある格納棚102の該当する間口が1つの格納間口であったとしても、入力部402E〜402G及び出力部403E〜403Gのいずれか一つの組をその格納間口用の入力部402と出力部403として扱うことで、移し変え先小間口の存在する格納棚102と存在しない格納棚102を同一ピッキングシステム内で混在させることが可能となる。
【0245】
以上のように、本発明の実施例のピッキングシステムは、倉庫に格納された物品をピッキングするロボット(例えばロボット110)と、物品が格納された格納棚(例えば格納棚102)を搬送する搬送車(例えば搬送車111)と、ロボット及び搬送車と通信する管理計算機(例えば全体管理コンピュータ116)と、を有し、倉庫は、ロボットが格納棚から前記物品をピッキングするロボット作業エリア(例えばロボット作業エリア109)と、作業員(例えば仕分作業員105)が格納棚から前記物品をピッキングする人作業エリア(例えば人作業エリア104)とを含み、搬送車は、格納棚をロボット作業エリアに搬送し、ロボットは、格納棚に格納された物品のうち、作業員によるピッキングが可能でない位置(例えば間口3301A〜3301C)に格納された物品を、作業員によるピッキングが可能な位置(例えば間口3301D〜3301H)に移動し、ロボットによる物品の移動(移し替え)が終了すると、搬送車は、格納棚をロボット作業エリアから人作業エリアに搬送し、管理計算機は、ロボットが移動した物品のピッキングを作業員に指示する情報を出力する(例えばステップ3004)。
【0246】
これによって、当該格納棚に格納されたピッキング対象の物品が全て作業員による作業が可能な位置に置かれることとなるため、作業エリア間での仕分箱の移動、又は、二つの作業エリアで作成された仕分箱の合成といった作業が不要となり、工程の複雑化が防止される。
【0247】
また、物品は、前記格納棚に置かれた格納容器(例えば格納箱103)に格納され、ロボットは、作業員によるピッキングが可能でない位置に置かれた格納容器(例えば
図32の格納箱103A)と、作業員によるピッキングが可能な位置に置かれた格納容器(例えば格納箱103B)との位置を入れ替えることによって、物品を移動してもよい。
【0248】
これによって、各物品が格納箱に収容されている場合に、格納箱ごとの移し替えも可能となる。
【0249】
また、格納棚は、それぞれに物品が格納される複数の間口を有し、管理計算機は、各間口に格納されている物品の種別を示す格納棚情報(例えば格納棚情報802)と、複数の間口のうち作業員によるピッキングが可能な間口を示す人作業可能位置情報(例えば人作業可能最大段数913)と、配送先に配送されるべき物品の種別を示すオーダ情報(例えばオーダ情報714)と、ロボットによる各種別の前記物品のピッキングが可能かを示す物品種別情報(例えば物品種別情報904)と、を保持し、格納棚の作業員によるピッキングが可能でない間口に格納された物品と、格納棚に格納されたロボットによるピッキングが可能でない種別の物品とが、オーダ情報によって同一の配送先に配送されるべき物品として指示されていると判定した場合(例えばステップ2804で移し替えが必要であると判定した場合)に、格納棚をロボット作業エリアに搬送することを搬送車に指示する情報(例えばステップ2901)、作業員によるピッキングが可能でない間口に格納された物品を作業員によるピッキングが可能な間口に移動することをロボットに指示する情報(例えばステップ2904)、及び、格納棚をロボット作業エリアから人作業エリアに搬送することを搬送車に指示する情報(例えばステップ3001)を出力してもよい。
【0250】
倉庫において、棚の上層の段にも物品を格納することによる格納効率の向上と、ピッキングロボットの導入による省力化とを実現しようとする場合、一つのオーダの対象の物品が、作業員によるピッキングができない間口に置かれた物品と、ロボットによるピッキングができない種別の物品とを含むことが起こり得る。しかし、上記のようなピッキングシステムによれば、物品の移し替えによってピッキング対象の物品が全て作業員による作業が可能な位置に置かれることとなるため、作業エリア間での仕分箱の移動、又は、二つの作業エリアで作成された仕分箱の合成といった作業が不要となり、工程の複雑化が防止され、物流コストが低減される。
【0251】
また、各間口に格納された物品は、各間口に置かれた格納容器(例えば格納箱103)に格納され、ロボットは、作業員によるピッキングが可能でない間口に格納された物品を作業員によるピッキングが可能な間口に移動することをロボットに指示する情報を受信すると、作業員によるピッキングが可能でない間口に置かれた格納容器(例えば
図32の格納箱103A)と、作業員によるピッキングが可能な間口に置かれ、かつ、オーダ情報によって配送先への配送が指示された物品を格納していない格納容器(例えば格納箱103B)とを入れ替えることによって、物品を移動してもよい。
【0252】
これによって、各物品が格納箱に収容されている場合に、格納箱ごとの移し替えも可能となる。
【0253】
また、オーダ情報は、配送先に配送されるべき物品の数量を示す情報を含み、管理計算機は、作業員によるピッキングが可能でない間口に格納された物品のロボットによるピッキングが可能でない場合、又は、作業員によるピッキングが可能でない間口からピッキングされるべき物品の数量が所定の閾値を超える場合に、作業員によるピッキングが可能でない間口に格納された物品を作業員によるピッキングが可能な間口に移動することをロボットに指示する情報として、作業員によるピッキングが可能でない間口に置かれた格納容器と、作業員によるピッキングが可能な間口に置かれ、かつ、オーダ情報によって配送先への配送が指示された物品を格納していない格納容器とを入れ替えることを指示する情報を出力し(例えばステップ2804の結果に基づくステップ2904の指示)、ロボットは、管理計算機から出力された指示に従って、格納容器を入れ替えることによって、物品を移動してもよい。
【0254】
これによって、移し替え対象の物品数が多い場合でも移し替えに要する時間の増大が防止され、ロボットによる作業ができない物品であってもロボットによる移し替えが可能となる。
【0255】
また、複数の間口のうち作業員によるピッキングが可能な間口の少なくとも一つは、他の間口から移動した物品を格納する移動専用の間口(例えば
図31の移し替え箱3101が格納された間口)であり、ロボットは、作業員によるピッキングが可能でない間口に格納された物品を作業員によるピッキングが可能な間口に移動することをロボットに指示する情報を受信すると、作業員によるピッキングが可能でない間口(例えば
図31の格納箱103Aが格納された間口)に格納された物品を前記移動専用の間口に移動してもよい。
【0256】
これによって、作業ミスが低減される。
【0257】
また、格納棚は、作業員によるピッキングが可能でない複数の間口を有し、移動専用の間口は、作業員によるピッキングが可能でない複数の間口に対応する複数の小間口(例えば間口3301E〜3301G)に分割され、ロボットは、作業員によるピッキングが可能でない間口に格納された物品を作業員によるピッキングが可能な間口に移動することをロボットに指示する情報を受信すると、作業員によるピッキングが可能でない間口に格納された物品を、作業員によるピッキングが可能でない間口に対応する小間口に移動し、人作業エリアには、それぞれが移動専用の間口以外の各間口及び各小間口に対応する複数の表示装置(例えば
図33に示す出力部403)が設けられ、各表示装置は、各表示装置に対応する各間口及び各小間口からピッキングされるべき物品に関する情報を表示する。
【0258】
これによって、作業ミスが低減される。
【0259】
また、格納棚は、作業員によるピッキングが可能でない複数の間口(例えば間口3301A〜3301C)を有し、管理計算機は、作業員によるピッキングが可能でない複数の間口のうち、移動専用の間口に近い間口(例えば間口3301B)に、倉庫から出荷される頻度が高い種別の物品を格納する指示を送信する。
【0260】
これによって、物品の移し替えの作業に要する時間が短縮される。
【0261】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0262】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によってハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによってソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、または、ICカード、SDカード、DVD等の計算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
【0263】
また、制御線及び情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線及び情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。