特許第6857180号(P6857180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6857180製造機−包装機グループの動作の適応制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857180
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】製造機−包装機グループの動作の適応制御方法
(51)【国際特許分類】
   A24C 5/32 20060101AFI20210405BHJP
   A24C 5/00 20200101ALI20210405BHJP
【FI】
   A24C5/32
   A24C5/00
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-522070(P2018-522070)
(86)(22)【出願日】2016年10月25日
(65)【公表番号】特表2018-534931(P2018-534931A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】EP2016075642
(87)【国際公開番号】WO2017072102
(87)【国際公開日】20170504
【審査請求日】2019年10月18日
(31)【優先権主張番号】15191968.5
(32)【優先日】2015年10月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】イスラム ファイザン
(72)【発明者】
【氏名】フロイント ギード ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ケーニヒ レーネ
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−517190(JP,A)
【文献】 特開昭60−054667(JP,A)
【文献】 特表2000−500977(JP,A)
【文献】 特開平06−141838(JP,A)
【文献】 特開昭46−004000(JP,A)
【文献】 米国特許第04359152(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24C 5/32
A24C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙巻たばこ製造機、紙巻たばこ包装機、およびバッファーからを含むグループの動作を制御する方法であって、移動方向に関して、前記紙巻たばこ製造機は前記バッファーの上流にあり、かつ前記紙巻たばこ包装機は前記バッファーの下流にあり、前記グループは前記紙巻たばこ製造機の動作および前記紙巻たばこ包装機の動作が前記バッファーの充填レベルに依存するように構成され、
前記方法が、
前記グループの少なくとも1つの動作パラメータを開始値に設定することであって、前記パラメータが前記紙巻たばこ製造機または前記紙巻たばこ包装機の動作状態と前記バッファーの前記充填レベルとを相互に関係させる、ことと、
前記少なくとも1つの動作パラメータに基づいて所定の第一のサイクル時間にわたり前記グループを動作することと、
前記第一のサイクル時間にわたる前記紙巻たばこ製造機の動作効率を決定することと、
前記第一のサイクル時間にわたる前記紙巻たばこ包装機の動作効率を決定することと、
前記紙巻たばこ製造機の前記動作効率と前記紙巻たばこ包装機の前記動作効率との比としてのグループ比較効率を決定することと、
前記第一のサイクル時間の終了時において、前記少なくとも1つの動作パラメータを前記グループ比較効率に依存して更新された値に再設定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの動作パラメータが、紙巻たばこ製造機の開始限界、紙巻たばこ製造機の減速限界、紙巻たばこ製造機ヒステリシス幅、紙巻たばこ包装機の開始限界、紙巻たばこ包装機の減速限界、紙巻たばこ包装機ヒステリシス幅から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの動作パラメータの前記値を前記再設定することが、
前記第一のサイクル時間の前記終了時における前記グループ比較効率の関数として前記少なくとも1つの動作パラメータの補正された値を決定することと、
前記少なくとも1つのパラメータの前記補正された値が、前記少なくとも1つのパラメータの下方境界値から前記少なくとも1つのパラメータの上方境界値までの範囲内である場合、前記少なくとも1つの動作パラメータを前記補正された値に再設定することと、
前記少なくとも1つのパラメータの前記補正された値が、前記少なくとも1つのパラメータの前記下方境界値より小さい、または前記少なくとも1つのパラメータの前記上方境界値より大きい場合、前記少なくとも1つの動作パラメータを前記開始値に再設定することと、を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの動作パラメータの前記値を前記再設定することが、
前記第一のサイクル時間の前記終了時における前記グループ比較効率の関数として前記少なくとも1つの動作パラメータの補正された値を決定することと、
前記少なくとも1つのパラメータの前記補正された値が、前記少なくとも1つのパラメータの下方境界値から前記少なくとも1つのパラメータの上方境界値までである場合、前記少なくとも1つの動作パラメータを前記補正された値に再設定することと、
前記少なくとも1つのパラメータの前記補正された値が前記少なくとも1つのパラメータの前記下方境界値より小さい場合、前記少なくとも1つの動作パラメータを前記少なくとも1つのパラメータの前記下方境界値に再設定することと、
前記少なくとも1つのパラメータの前記補正された値が前記少なくとも1つのパラメータの前記上方境界値より大きい場合、前記少なくとも1つの動作パラメータを前記少なくとも1つのパラメータの前記上方境界値に再設定することと、を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの動作パラメータの補正された値を前記決定することが、前記少なくとも1つの動作パラメータのベースライン値を、前記第一のサイクル時間の前記終了時における前記グループ比較効率と実質的に等しい因子によって、またはその逆数によって乗算することを含む、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記更新された少なくとも1つの動作パラメータに基づいてさらなるサイクル時間にわたり前記グループを動作することと、
前記さらなるサイクル時間にわたる前記紙巻たばこ製造機の動作効率を決定することと、
前記さらなるサイクル時間にわたる前記紙巻たばこ包装機の動作効率を決定することと、
前記さらなるサイクル時間の終了時における、前記紙巻たばこ製造機の前記動作効率と前記紙巻たばこ包装機の前記動作効率との前記比としてのグループ比較効率を決定することと、
前記さらなるサイクル時間の前記終了時における前記グループ比較効率が前記さらなるサイクル時間の開始時における前記グループ比較効率と少なくとも5パーセント異なる場合、前記少なくとも1つの動作パラメータを前記さらなるサイクル時間の前記終了時における前記グループ比較効率に依存してさらなる更新された値に再設定することと、
前記さらなるサイクル時間の前記終了時における前記グループ比較効率が前記さらなるサイクル時間の前記開始時における前記グループ比較効率と5パーセント未満異なる場合、前記少なくとも1つの動作パラメータを変化させずに維持することと、を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
更新された値に再設定された少なくとも1つの動作パラメータに基づいて所定のさらなるサイクル時間にわたり前記グループを動作することと、
前記さらなるサイクル時間にわたる前記紙巻たばこ製造機の動作効率を決定することと、
前記さらなるサイクル時間にわたる前記紙巻たばこ包装機の動作効率を決定することと、
前記さらなるサイクル時間の前記終了時における、前記紙巻たばこ製造機の前記動作効率と前記紙巻たばこ包装機の前記動作効率との前記比としてのグループ比較効率を決定することと、
前記さらなるサイクル時間の前記終了時における前記紙巻たばこ製造機の前記動作効率が製造機ベースライン効率より小さい場合、前記さらなるサイクル時間中の平均製造機の効率が前記紙巻たばこ製造機の前記動作効率の現行値であると仮定することと、
前記さらなるサイクル時間の前記終了時における前記紙巻たばこ製造機の前記動作効率が少なくとも製造機ベースライン効率と同じ程度に大きい場合、前記さらなるサイクル時間の前記終了時における前記紙巻たばこ製造機の前記動作効率が前記紙巻たばこ製造機の前記動作効率の前記現行値であると仮定することと、
前記さらなるサイクル時間中の前記終了時における前記紙巻たばこ包装機の前記動作効率が包装機ベースライン効率より小さい場合、前記さらなるサイクル時間中の平均包装機の効率が前記紙巻たばこ包装機の前記動作効率の現行値であると仮定することと、
前記さらなるサイクルの終了時における前記紙巻たばこ包装機の前記動作効率が少なくとも製造機ベースライン効率と同じ程度に大きい場合、前記さらなるサイクルの前記終了時における前記紙巻たばこ包装機の前記動作効率が前記紙巻たばこ包装機の前記動作効率の前記現行値であると仮定することと、
現行のグループ比較効率を前記紙巻たばこ製造機の前記動作効率の前記現行値と前記紙巻たばこ包装機の前記動作効率の前記現行値との比として決定することと、
その後、
前記現行のグループ比較効率が、前記さらなるサイクル時間の前記開始時における前記グループ比較効率からの前記グループ比較効率と少なくとも5パーセント異なる場合、前記現行のグループ比較効率に依存して前記少なくとも1つの動作パラメータをさらに更新された値に再設定することと、
前記現行のグループ比較効率が前記さらなるサイクル時間の前記開始時における前記グループ比較効率からの前記グループ比較効率と5パーセント未満異なる場合、前記少なくとも1つの動作パラメータを変化させずに維持することと、を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの動作パラメータを前記再設定することが、
前記さらなるサイクル時間の前記終了時における前記紙巻たばこ製造機の測定された/決定された動作効率と前記紙巻たばこ包装機の測定された/決定された動作効率との比の値に基づいて、前記少なくとも1つの動作パラメータのさらに更新された値を決定することと、
前記少なくとも1つのパラメータの前記更新された値が、前記少なくとも1つのパラメータの所定の下方境界値から前記少なくとも1つのパラメータの所定の上方境界値までである場合、前記少なくとも1つの動作パラメータを前記決定された更新された値に再設定することと、
前記少なくとも1つのパラメータの前記更新された値が、前記少なくとも1つのパラメータの前記所定の下方境界値より小さい場合、または前記少なくとも1つのパラメータの前記所定の上方境界値より大きい場合、前記少なくとも1つの動作パラメータを変化させずに維持することと、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの動作パラメータを前記再設定することが、
前記さらなるサイクル時間の前記終了時において前記グループ比較効率の前記値に基づいて前記少なくとも1つの動作パラメータのさらなる更新された値を決定することと、
前記少なくとも1つのパラメータの前記さらなる更新された値が、前記少なくとも1つのパラメータの下方境界値から前記少なくとも1つのパラメータの上方境界値までの範囲内である場合、前記少なくとも1つの動作パラメータを前記さらなる更新された値に再設定することと、
前記少なくとも1つのパラメータの前記さらなる更新された値が前記少なくとも1つのパラメータの前記下方境界値より小さい場合、前記少なくとも1つの動作パラメータを前記少なくとも1つのパラメータの前記下方境界値に再設定することと、
前記少なくとも1つのパラメータの前記さらなる更新された値が前記少なくとも1つのパラメータの前記上方境界値より大きい場合、前記少なくとも1つの動作パラメータを前記少なくとも1つのパラメータの前記上方境界値に再設定することと、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの動作パラメータを前記再設定することが、
前記現行のグループ比較効率に基づいて前記少なくとも1つの動作パラメータのさらなる更新された値を決定することと、
前記少なくとも1つのパラメータの前記さらなる更新された値が、前記少なくとも1つのパラメータの下方境界値から前記少なくとも1つのパラメータの上方境界値までの範囲内である場合、前記少なくとも1つの動作パラメータを前記さらなる更新された値に再設定することと、
前記少なくとも1つのパラメータの前記さらなる更新された値が、前記少なくとも1つのパラメータの前記下方境界値より小さい場合、または前記少なくとも1つのパラメータの前記上方境界値より大きい場合、前記少なくとも1つの動作パラメータを変化させずに維持することと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの動作パラメータを前記再設定することが、
前記現行のグループ比較効率に基づいて前記少なくとも1つの動作パラメータのさらなる更新された値を決定することと、
前記少なくとも1つのパラメータの前記さらなる更新された値が、前記少なくとも1つのパラメータの下方境界値から前記少なくとも1つのパラメータの上方境界値までの範囲内である場合、前記少なくとも1つの動作パラメータを前記さらなる更新された値に再設定することと、
前記少なくとも1つのパラメータの前記さらなる更新された値が前記少なくとも1つのパラメータの前記下方境界値より小さい場合、前記少なくとも1つの動作パラメータを前記少なくとも1つのパラメータの前記下方境界値に再設定することと、
前記少なくとも1つのパラメータの前記さらなる更新された値が前記少なくとも1つのパラメータの前記上方境界値より大きい場合、前記少なくとも1つの動作パラメータを前記少なくとも1つのパラメータの前記上方境界値に再設定することと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
システムであって、
紙巻たばこ製造機、紙巻たばこ包装機、およびバッファーを含む第一のグループであって、移動方向に関して、前記紙巻たばこ製造機は前記バッファーの上流にあり、かつ前記紙巻たばこ包装機は前記バッファーの下流にあり、その結果前記紙巻たばこ製造機の動作および前記紙巻たばこ包装機の動作が前記バッファーの充填レベルに依存する、第一のグループと、
前記第一のグループ内の前記バッファーの充填レベルを検出し、かつ前記紙巻たばこ製造機の生産量および前記紙巻たばこ包装機の生産量を測定するための第一のセンサー手段と、
前記第一のグループ内の前記紙巻たばこ製造機、前記紙巻たばこ包装機、前記バッファー、またはこれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つと動作可能に接続され、かつ請求項1〜11のいずれか1項で規定される方法に従って前記第一のグループの動作を管理するために構成される制御ユニットと、を備える、システム。
【請求項13】
紙巻たばこ製造機、紙巻たばこ包装機、およびバッファーを含むさらなるグループであって、移動方向に関して、前記紙巻たばこ製造機は前記バッファーの上流にあり、かつ前記紙巻たばこ包装機は前記バッファーの下流にあり、その結果前記紙巻たばこ製造機の動作および前記紙巻たばこ包装機の動作が前記バッファーの充填レベルに依存する、さらなるグループと、
第二のグループ内の前記バッファーの充填レベルを検出し、かつ前記紙巻たばこ製造機の前記生産量および前記紙巻たばこ包装機の前記生産量を測定するための第二のセンサー手段と、を備え、
前記制御ユニットは、前記第二のグループ内の前記紙巻たばこ製造機、前記紙巻たばこ包装機、前記バッファー、またはこれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つとさらに動作可能に接続され、かつ請求項1〜11のいずれか1項で規定される方法に従って前記第一のグループおよび前記さらなるグループの動作を管理するために構成される、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙巻たばこ製造機、紙巻たばこ包装機、およびバッファーから成るグループの動作を制御するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻たばこなどの喫煙物品は、一般に紙巻たばこ製造機(たばこカットフィラー、ラッピングペーパー、フィルターセグメント、およびチッピングペーパーなどの原材料から出発して喫煙物品が組み立てられる)と、包装機(喫煙物品の束が順に並べられ、かつヒンジリッド容器などの容器の中へと包装される)と、から成る高度に自動化されたユニットのグループによって製造および包装される。
【0003】
自動化したユニットのこうしたグループにおいて、一般に紙巻たばこ製造機と紙巻たばこ包装機との間にバッファーが提供される。バッファーは、紙巻たばこ製造機と紙巻たばこ包装機との間の依存性を最小限に抑えるために、形成された喫煙物品の貯蔵部として作用する。
【0004】
紙巻たばこ製造機、バッファー、および紙巻たばこ包装機のいくつかの動作パラメータは、具体的な製造要求の観点から予め設定する必要がある。異なる特徴を有する紙巻たばこ(例えば、異なるブランドまたは設計の紙巻たばこ)を製造するために1つのこうしたグループを動作する時はいつでも、グループの安定した動作を確保するために、ある一定の動作パラメータを異なる具体的な値へと設定することが必要である。
【0005】
紙巻たばこ製造機および紙巻たばこ包装機は独立した可変生産速度で運転される。一般的に、紙巻たばこ製造機および紙巻たばこ包装機は、異なる所定の生産速度で一般的に運転され、そのためバッファー充填レベルは経時的に変化する。
【0006】
バッファーがいっぱいになると、紙巻たばこ製造機は停止する必要があり、バッファー充填レベルが第一の製造機閾値(紙巻たばこ製造機の開始限界)より下に下がった時にのみ再開される。紙巻たばこ製造機の停止の発生を減少させるために、バッファー充填レベルが、一般に第一の製造機閾値より低い第二の製造機閾値(紙巻たばこ製造機の減速限界)を超えた時に、紙巻たばこ製造機の生産速度を減少させることが提案されている。こうした減速は紙巻たばこ製造機の予め設定されたパラメータである。
【0007】
バッファー充填レベルが第二の製造機閾値より低い値に低減して戻る時、紙巻たばこ製造機の生産速度を再度増加することができる。しかし、紙巻たばこ製造機の速度の切り替えが生じる頻度を制限するために、バッファー充填レベルが第二の製造機閾値より所定の量(紙巻たばこ製造機ヒステリシス幅)だけ下に下がった時にのみ紙巻たばこ製造機の生産速度を増加されることが提案されてきた。
【0008】
一方で、バッファーが空になると、紙巻たばこ包装機を停止し、かつバッファー充填レベルが第一の包装機閾値(紙巻たばこ包装機の開始限界)に達した時にのみ再開する必要がある。紙巻たばこ包装機の停止の発生を減少させるために、バッファー充填レベルが、一般に第一の包装機閾値より高い第二の包装機閾値(紙巻たばこ包装機の減速限界)より下に下がった時に、紙巻たばこ包装機の生産速度を減少させることがさらに提案されている。こうした紙巻たばこ包装機速度の減少は、紙巻たばこ包装機の予め設定されたパラメータである。
【0009】
バッファー充填レベルが増加して第二の包装機閾値より高い値に戻った時、紙巻たばこ包装機の生産速度を再度増加することができる。しかし、紙巻たばこ包装機の速度の切り替えが生じる頻度を制限するために、バッファー充填レベルが第二の製造機閾値より所定の量(紙巻たばこ包装機ヒステリシス幅)だけ超えた時にのみ紙巻たばこ包装機の生産速度を増加されることが提案されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
紙巻たばこ製造機が停止した時はいつでも、一部の紙巻たばこが除外される。同様に、紙巻たばこ包装機が停止した時はいつでも、一部の紙巻たばこパッケージが除外される。上記に特定された条件以外にも、機械の故障、1つ以上の開始材料の欠如等などの他の理由が紙巻たばこ製造機または紙巻たばこ包装機を停止させなければならない原因となる場合がある。さらに、ある一定の品質要件を満たさないことが分かった場合、製造中に一部の紙巻たばこ、もしくは紙巻たばこパッケージ、またはこれらの両方が除外される場合もある。これらの除外は全て損失を意味し、そのため、紙巻たばこ製造機および紙巻たばこ包装機の停止の発生を制限することが望ましいことになる。
【0011】
なおより一般的な言い方をすれば、紙巻たばこ製造機、紙巻たばこ包装機、およびバッファーから成るグループの生産性および全体的な効率を増加することが望ましいことになる。実際には、1つのこうしたグループの全体的な効率は、「アップタイム」、すなわち、所与の時間にわたって実際に製造された紙巻たばこの合計数とグループが同一の時間にわたり常に設計速度で運転された場合に理論上製造可能な紙巻たばこの数の比として評価される場合がある。
【0012】
したがって、グループの全体的な効率が増加されるように、紙巻たばこ製造機、紙巻たばこ包装機、および紙巻たばこ製造機と紙巻たばこ包装機との間に置かれたバッファーから成るグループの動作を制御する方法を提供することが望ましいことになる。さらに、1つのこうしたグループの動作を、合計製造数(例えば、所与の時間にわたって製造および包装された紙巻たばこの合計数に関して表現される)を増加する(例えば、製造中の除外品の数を減少させることによって)ように制御する方法を提供することが望ましいことになる。さらに、1つのこうした方法を実施するシステムを提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の態様によると、紙巻たばこ製造機、紙巻たばこ包装機、およびバッファーから成るグループの動作を制御する方法が提供され、移動方向に関して、紙巻たばこ製造機はバッファーの上流にあり、かつ紙巻たばこ包装機はバッファーの下流にあり、グループは紙巻たばこ製造機の動作および紙巻たばこ包装機の動作がバッファーの充填レベルに依存するように構成される。方法は、グループの少なくとも1つの動作パラメータを開始値に設定することであって、パラメータが紙巻たばこ製造機または紙巻たばこ包装機の動作状態とバッファーの充填レベルとを相互に関係させることと、少なくとも1つの動作パラメータに基づいて所定の第一のサイクル時間にわたりグループを動作することと、を含む。さらに、方法は、第一のサイクル時間にわたる紙巻たばこ製造機の動作効率を決定することと、第一のサイクル時間にわたる紙巻たばこ包装機の動作効率を決定することと、紙巻たばこ製造機の動作効率と紙巻たばこ包装機の動作効率との比としてグループ比較効率を決定することと、を含む。さらに、方法は、第一のサイクル時間の終了時において、少なくとも1つの動作パラメータをグループ比較効率に依存して更新された値に再設定することを含む。
【0014】
本発明のさらなる態様によると、紙巻たばこ製造機、紙巻たばこ包装機、およびバッファーから成る第一のグループを備えるシステムが提供され、移動方向に関して、紙巻たばこ製造機はバッファーの上流にあり、かつ紙巻たばこ包装機はバッファーの下流にあり、その結果紙巻たばこ製造機の動作および紙巻たばこ包装機の動作はバッファーの充填レベルに依存する。さらに、システムは、第一のグループ内のバッファーの充填レベル、紙巻たばこ製造機の実際の生産量、および紙巻たばこ包装機の実際の生産量を検出するための第一のセンサー手段と、第一のグループ内の紙巻たばこ製造機、紙巻たばこ包装機、バッファー、またはこれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つと動作可能に接続され、かつ上記に設定される通りの方法による第一のグループの動作を管理するために構成された制御ユニットと、を備える。
【0015】
当然のことながら、本発明の一態様を参照して記述した任意の特徴は、本発明の任意の他の態様にも等しく適用できる。
【0016】
紙巻たばこ製造機、バッファー、および紙巻たばこ包装機から成る自動化されたユニットのグループを動作する周知の方法とは対照的に、本発明によるグループ内の様々な自動化されたユニットをどのように動作可能に相互に関係させるかを画定する(すなわち、特に、紙巻たばこ製造機および紙巻たばこ包装機の動作状態がバッファーの充填レベルによってどのように影響を受けるかを画定する)パラメータのうちの少なくとも1つは、紙巻たばこ製造機の効率および紙巻たばこ包装機の効率の測定された値の関数として適応的に調節される。
【0017】
発明者らは、本発明による方法によって1つのこうしたグループの動作を管理することによって、グループの全体的な生産性および効率を紙巻たばこ製造全体とアップタイムという両面で有利なことに高めることができることを見出した。一般的に、紙巻たばこ製造機および紙巻たばこ包装機のフル生産速度が等しくないことが、有利なことに影響を減少することができる。
【0018】
さらに、発明者らは、グループの計画的なルーチンの停止(例えば、クリーニング目的の停止のような)を考慮して本発明による方法をさらに最適化できる場合があり、その結果得られたグループ効率の明らかな変化が本発明の方法の根底にある適応制御論理に影響しないことを見出した。
【0019】
「紙巻たばこ製造機」という用語は本明細書を通して、たばこ、フィルターロッド、ラッパーペーパー、およびチッピングペーパーを原材料として受け入れ、かつ前記原材料から複数のフィルター付き紙巻たばこ形成するように構成された自動化されたユニットを指すために使用される。紙巻たばこ製造機は、一般的にフル生産速度および減少された生産速度にて運転することができる。こうして、紙巻たばこ製造機は、いくつかの異なる動作状態(例えば、フル速度、減速、停止)のうちの1つにすることができる。「生産速度」または「生産率」は本明細書を通して、所与の期間に製造される品物の数(紙巻たばこ製造機の場合、紙巻たばこの数)を意味する。例として、生産速度または生産率は、紙巻たばこ/時間という用語で測定および表現される。
【0020】
紙巻たばこ製造機のいくつかの製造者およびモデルが当業者には周知であろう。例えば、1つのこうした自動化されたユニットは、PROTOS PM 100(Hauni Maschinenbau AG(ドイツ)製)である。
【0021】
「紙巻たばこ包装機」という用語は本明細書を通して、フィルター付き紙巻たばこのパックを形成するために、フィルター付き紙巻たばこおよび包装材料を受け、そしてフィルター付き紙巻たばこの束を順に並べ、かつ包装するように構成された自動化されたユニットを指すために使用される。紙巻たばこ包装機は、一般的にフル生産速度および減少された生産速度で運転することができる。それゆえ、紙巻たばこ包装機は、いくつかの異なる動作状態(例えば、フル速度、減速、停止)のうちの1つとすることができる。紙巻たばこ包装機の場合、生産速度または生産率は、一般的に所与の期間に製造される品物の数、すなわちパックの数を指す。各々のパックは、所定の数の紙巻たばこ、例えば20本の紙巻たばこ/パックを収容する。それゆえ、紙巻たばこ包装機の生産速度または生産率は、好都合なことに、所与の期間に梱包される紙巻たばこの数として表現されてもよく、そのため紙巻たばこ包装機の生産速度を紙巻たばこ製造機の生産速度と比較および相互に関係させることがより簡単である。従って、以下において、紙巻たばこ包装機の生産速度も紙巻たばこ/時間という用語で測定および表現されることになる。
【0022】
紙巻たばこ包装機のいくつかの製造者およびモデルが当業者には周知であろう。例えば、1つのこうした自動化されたユニットは、F550(Focke GmbH(ドイツ)製)である。
【0023】
「バッファー」という用語は本明細書を通して、紙巻たばこ製造機によって形成された紙巻たばこを受け、かつこれらを紙巻たばこ包装機へと移動するために構成された自動化されたユニットを指すために使用される。
【0024】
バッファーのいくつかの製造者およびモデルが当業者には周知であろう。1つのこうした自動化されたユニットは、CAPRICORN(ITM(オランダ)製)である。
【0025】
本明細書において、1つ以上の「グループの動作パラメータ」は、紙巻たばこ製造機または紙巻たばこ包装機の動作状態のバッファー充填レベルに対する依存性を設定するパラメータを意味する。実際には、「グループの動作パラメータ」は、紙巻たばこ製造機と紙巻たばこ包装機とのうちの1つまたは両方の動作状態を変更するように構成されるバッファーの所与の充填レベルに対応する。
【0026】
1つのこうした動作パラメータは、例えばこれより上では紙巻たばこ製造機の生産速度がフル生産速度から減少された生産速度へと低減されるバッファーの充填レベルである、「紙巻たばこ製造機の減速限界」である。
【0027】
その他のこうしたグループの動作パラメータとしては以下のものが挙げられる:
「紙巻たばこ製造機の開始限界」、すなわち、これより下ではバッファーの充填によって生じた停止後に紙巻たばこ製造機の運転が再開されるバッファーの充填レベルである。
「紙巻たばこ製造機ヒステリシス幅」、すなわち、紙巻たばこ製造機の減速限界と、これより下では紙巻たばこ製造機の生産速度が減少された生産速度からフル生産速度へと戻るように増加される、バッファーの充填レベルとの間の差異である。
「紙巻たばこ包装機の減速限界」、すなわち、これより下では紙巻たばこ包装機の生産速度がフル生産速度から減少された生産速度へと低減されるバッファーの充填レベルである。
「紙巻たばこ包装機の開始限界」、すなわち、これより上ではバッファーが空になることによって生じた停止後に紙巻たばこ包装機の運転が再開されるバッファーの充填レベルである。
「紙巻たばこ包装機ヒステリシス幅」、すなわち、紙巻たばこ包装機の減速限界と、これより上では紙巻たばこ包装機の生産速度が減少された生産速度からフル生産速度へと戻るように増加される、バッファーの充填レベルとの間の差異である。図1は、どのようにこれらのパラメータが相互に関係しうるかを定性的に図示する。
【0028】
「紙巻たばこ製造機の動作効率」という用語は本明細書を通して、予定された製造時間中に実際に製造された紙巻たばこの数である製造機の実際の生産量と理論上の生産量との比を指すために使用される。理論上の生産量は、予定された製造時間と紙巻たばこ製造機のフル生産速度の積として計算される。
【0029】
「紙巻たばこ包装機の動作効率」という用語は本明細書を通して、予定された製造時間中に実際に梱包された紙巻たばこの数である製造機の実際の生産量と理論上の生産量との比を指すために使用される。理論上の生産量は、予定された製造時間と紙巻たばこ包装機のフル生産速度の積として計算される。
【0030】
本発明による方法は、紙巻たばこ製造機、紙巻たばこ包装機、およびバッファーから成る自動化されたユニットのグループの動作を制御するためのものであり、移動方向に関して、紙巻たばこ製造機はバッファーの上流にあり、かつ紙巻たばこ包装機はバッファーの下流にある。1つのこうしたグループは、所定の論理により、紙巻たばこ製造機の動作および紙巻たばこ包装機の動作がバッファーの充填レベルに依存するように構成される。特に、紙巻たばこ製造機もしくは紙巻たばこ包装機またはこれらの両方の動作状態は、バッファーの充填レベルによって影響を受ける。例として、バッファーの充填レベルが0パーセントから100パーセントまで変化すると、一般に紙巻たばこ製造機または紙巻たばこ包装機をフル生産速度で運転する、または減少された生産速度で運転、ないし停止するように構成される。
【0031】
本発明による方法において、少なくとも1つのグループの動作パラメータ、紙巻たばこ製造機または紙巻たばこ包装機の動作状態とバッファーの充填レベル相互の関係を画定するパラメータは開始値に設定され、またグループは少なくとも1つの動作パラメータに基づいて所定の第一のサイクル時間にわたり動作される。
【0032】
さらに、方法は、第一のサイクル時間にわたる紙巻たばこ製造機の動作効率を決定することと、第一のサイクル時間にわたる紙巻たばこ包装機の動作効率を決定することと、紙巻たばこ製造機の動作効率と紙巻たばこ包装機の動作効率との比としてグループ比較効率を決定することと、を含む。第一のサイクル時間の終了時において、少なくとも1つのパラメータを決定されたグループ比較効率に依存して更新された値に再設定する。
【0033】
有利なことに第一のサイクル時間中の任意の所与の時間において紙巻たばこ製造機の効率および紙巻たばこ包装機の効率を決定することができるように、紙巻たばこ製造機の実際の生産量および紙巻たばこ包装機の実際の生産量が連続的にモニターされることが好ましい。別の方法として、紙巻たばこ包装機の実際の生産量は、第一のサイクル時間中に所定の間隔で検出されてもよく、その結果第一のサイクル時間中の所定の瞬間における紙巻たばこ製造機の効率および紙巻たばこ包装機の効率の個別の値のみが決定されてもよい。少なくとも1つのパラメータは、第一のサイクル時間の終了時に決定されるようにグループ比較効率に基づいて更新された値に再設定され、そのため紙巻たばこ製造機および紙巻たばこ包装機の実際の生産量は第一のサイクル時間の少なくとも終了時において検出される。
【0034】
少なくとも1つのパラメータは、第一のサイクル時間の終了時に決定されるグループ比較効率に依存して更新された値に再設定される。
【0035】
こうして、本発明による方法において、品質および紙巻たばこ製造機とバッファーとの間、もしくは紙巻たばこ包装機とバッファーとの間の動作の相互関係、またはこれらの両方の範囲はグループの動作の間に改訂される。その中でも有利なことに、グループは当初、所与のブランドまたは製造者の紙巻たばこのために特異的に選択された開始値において設定された少なくとも1つのパラメータを用いて動作されるが、従って原材料および製造要件の所与の組み合わせに対して、同一のパラメータは製造プロセスに関与する自動化されたユニットの効率の変化の観点から適応的に調節される。
【0036】
少なくとも1つの動作パラメータは、紙巻たばこ製造機の開始限界、紙巻たばこ製造機の減速限界、紙巻たばこ製造機ヒステリシス幅、紙巻たばこ包装機の開始限界、紙巻たばこ包装機の減速限界、紙巻たばこ包装機ヒステリシス幅から成る群から選択されることが好ましい。発明者らは、本発明の下にある論理により、紙巻たばこ製造機または紙巻たばこ包装機の動作状態とバッファーの充填レベルとの間の相互関係を明確に設定するこれらのパラメータのうちの1つ以上を適応的に調節することで、グループの生産性および効率を全体として簡単に高くなることを観察した。
【0037】
少なくとも1つの動作パラメータの値を再設定する工程は、少なくとも1つの動作パラメータの補正された値を、第一のサイクル時間の終了時におけるグループ比較効率の関数として決定することを含むことが好ましい。
【0038】
一部の実施形態において、少なくとも1つのパラメータの補正された値が、少なくとも1つのパラメータの下方境界値から少なくとも1つのパラメータの上方境界値までの範囲内である場合、少なくとも1つの動作パラメータを補正された値に再設定する。それ以外の場合は、少なくとも1つのパラメータの補正された値が、少なくとも1つのパラメータの下方境界値より小さい、または少なくとも1つのパラメータの上方境界値より大きい場合、少なくとも1つの動作パラメータを開始値に再設定する。
【0039】
その他の実施形態において、少なくとも1つのパラメータの補正された値が、少なくとも1つのパラメータの下方境界値から少なくとも1つのパラメータの上方境界値までである場合、少なくとも1つの動作パラメータを補正された値に再設定する。少なくとも1つのパラメータの補正された値が少なくとも1つのパラメータの下方境界値より小さい場合、少なくとも1つの動作パラメータを少なくとも1つのパラメータの下方境界値に再設定する。少なくとも1つのパラメータの補正された値が少なくとも1つのパラメータの上方境界値より大きい場合、少なくとも1つの動作パラメータを少なくとも1つのパラメータの上方境界値に再設定する。
【0040】
こうして、有利なことに少なくとも1つの動作パラメータが許容可能な範囲内に含まれることをチェックすることができる。これは、グループの性質に関する固有の制約(例えば、バッファーの充填レベルは0パーセント〜100パーセントになることしかできない)によるだけでなく、様々な動作パラメータの間にある一定の関係が保たれることが好ましいという事実にも関係する。例として、紙巻たばこ製造機の減速限界は、紙巻たばこ製造機の開始限界より低いことが好ましい。さらに、その中でも有利なことに、本発明による方法の実施が最も安定した生産の増加を得るように境界値を最適化することができる。
【0041】
少なくとも1つの動作パラメータの補正された値を決定する工程は、少なくとも1つの動作パラメータのベースライン値を、第一のサイクル時間の終了時におけるグループ比較効率と実質的に等しい因子によって、またはその逆数によって乗算することを含むことが好ましい。
【0042】
紙巻たばこ製造機の開始限界は、これより下ではバッファーの充填によって生じた停止後に紙巻たばこ製造機の運転が再開されるバッファーの充填レベルを画定する。紙巻たばこ製造機のフル生産速度が紙巻たばこ包装機のフル生産速度より大きい(すなわち、ボトルネック領域がバッファー充填レベル100パーセントに近い)場合に、紙巻たばこ製造機の効率が一定のままで、かつ紙巻たばこ包装効率が増加する場合は、バッファーがいっぱいになることで発生する紙巻たばこ製造機の停止が低減することになる。紙巻たばこ包装機のフル生産速度が紙巻たばこ製造機のフル生産速度より大きい(すなわち、ボトルネック領域がバッファー充填レベル0パーセントに近い)場合に、紙巻たばこ製造機の効率が一定のままで、かつ紙巻たばこ包装効率が増加する場合には、類似の挙動が予想される。
【0043】
しかし、後者の事例において、紙巻たばこ製造機の停止の発生はわずかにより大きい程度減少される。実際には、紙巻たばこ製造機が再度開始できるようになる前に紙巻たばこ包装機によって消費される必要があるバッファー収容物の量を低減することができる。こうして、紙巻たばこ製造機の開始限界は、包装機の効率に正比例すると見なすことができる。同時に、紙巻たばこ製造機の開始限界は、紙巻たばこ製造機の効率に反比例すると見なすことができる。従って、以下のように考えることができる:
【0044】
紙巻たばこ製造機の減速限界は、これより上では紙巻たばこ製造機の生産速度がフル生産速度から減少された生産速度へと低減されるバッファーの充填レベルを画定する。紙巻たばこ製造機のフル生産速度が紙巻たばこ包装機のフル生産速度より大きい(すなわち、ボトルネック領域がバッファー充填レベル100パーセントに近い)場合に、紙巻たばこ製造機の効率が一定のままで、かつ紙巻たばこ包装の効率が増加する場合は、包装機は本質的により多く消費するので、バッファーがいっぱいになることで発生する紙巻たばこ製造機の停止が低減することになる。一方で、紙巻たばこ包装機のフル生産速度が紙巻たばこ製造機のフル生産速度より大きい(すなわち、ボトルネック領域がバッファー充填レベル0パーセントに近い)場合に、紙巻たばこ製造機の効率が一定のままで、かつ紙巻たばこ包装の効率が増加する場合は、バッファーがいっぱいになる頻度はよりかなりの程度で低減することになる。こうして、紙巻たばこ製造機がその中で減速して運転される充填レベル範囲は低減される場合がある。これは結果として紙巻たばこ製造機をフル生産速度で運転できるさらなる充填レベル範囲をもたらし、これにより生産の増加を得ることが予想される。
【0045】
従って、紙巻たばこ製造機の減速限界は、包装機の効率に正比例すると見なすことができる。同時に、紙巻たばこ製造機の減速限界は、紙巻たばこ製造機の効率に反比例すると見なすことができる。従って、以下のように考えることができる:
【0046】
紙巻たばこ製造機ヒステリシス幅は、これより上では紙巻たばこ製造機の生産速度がフル生産速度から減少された生産速度へと低減されるバッファー充填レベル(すなわち、紙巻たばこ製造機の減速限界)と、これより下では紙巻たばこ製造機の生産速度が減少された生産速度からフル生産速度へと戻るように増加されるバッファーの充填レベルとの間の差異を画定する。紙巻たばこ製造機のフル生産速度が紙巻たばこ包装機のフル生産速度より大きい(すなわち、ボトルネック領域がバッファー充填レベル100パーセントに近い)場合に、紙巻たばこ製造機の効率が一定のままで、かつ紙巻たばこ包装機の効率が増加する場合は、バッファーがいっぱいになることによる紙巻たばこ製造機を停止する必要がある可能性はわずかに増加することになる。しかし、紙巻たばこ包装機のフル生産速度が紙巻たばこ製造機のフル生産速度より大きい(すなわち、ボトルネック領域がバッファー充填レベル0パーセントに近い)場合に、紙巻たばこ製造機の効率が同一のままで、かつ紙巻たばこ包装機の効率が増加する場合は、バッファーが空になることにより紙巻たばこ包装機が停止する可能性が増加することになる。従って、こうした状況の下では、ボトルネックを作り出す影響を制限する観点から紙巻たばこ製造機ヒステリシス幅は低減される場合がある。
【0047】
従って、紙巻たばこ製造機ヒステリシス幅は紙巻たばこ包装機の効率に反比例すると見なすことができる。同時に、紙巻たばこ製造機ヒステリシス幅は、紙巻たばこ製造機の効率に正比例すると見なすことができる。従って、以下のように考えることができる:
【0048】
紙巻たばこ包装機の開始限界は、これより上ではバッファーが空になることによって生じた停止後に紙巻たばこ包装機が再開されるバッファーの充填レベルを画定する。紙巻たばこ製造機のフル生産速度が紙巻たばこ包装機のフル生産速度より大きい(すなわち、ボトルネック領域がバッファー充填レベル100パーセントに近い)場合に、紙巻たばこ包装機の効率が一定のままで、かつ紙巻たばこ製造機の効率が増加する場合は、バッファーが空になることで発生する紙巻たばこ包装機の停止が低減することになる。従って、製造を増強するためには、紙巻たばこ包装機を効果的に生産的状態であるバッファー充填レベル値のより広い範囲を持つように、紙巻たばこ包装機の開始限界を低減することができる。しかし、紙巻たばこ製造機のフル生産速度が紙巻たばこ包装機のフル生産速度より大きい(すなわち、ボトルネック領域がバッファー充填レベル100パーセントに近い)場合に、紙巻たばこ包装機の効率が一定のままで、かつ紙巻たばこ製造機の効率が増加する場合は、バッファーが空になることにより発生する紙巻たばこ包装機の停止が低減することになる。従って、紙巻たばこ包装機の開始限界は、より少ない量だけより低くするべきである。従って、紙巻たばこ包装機の開始限界は紙巻たばこ製造機の効率に反比例すると見なすことができる。
【0049】
紙巻たばこ製造機のフル生産速度が紙巻たばこ包装機のフル生産速度より大きい場合に、紙巻たばこ製造機の効率が一定のままで包装機の効率が増加する場合、バッファーが空になる可能性も増加することになる。従って、生産性を改善するためには紙巻たばこ包装機の開始限界を増加するべきである。一方で、紙巻たばこ包装機のフル生産速度が紙巻たばこ製造機のフル生産速度より大きい場合に、包装機の効率が増加する一方で紙巻たばこ製造機の効率が同一のままの場合、空のバッファー状態がフルバッファー状態よりもかなり頻繁に生じることになる。従って、1つのこうした事例において、紙巻たばこ包装機の開始限界をより大きい程度だけ増加するべきである。従って、紙巻たばこ包装機の開始限界は紙巻たばこ包装機の効率に正比例すると見なすことができる。従って、以下のように考えることができる:
【0050】
紙巻たばこ包装機の減速限界は、これより下では紙巻たばこ包装機の生産速度がフル生産速度から減少された生産速度へと低減されるバッファーの充填レベルを画定する。紙巻たばこ製造機のフル生産速度が紙巻たばこ包装機のフル生産速度より大きい場合に、包装機の効率が増加する一方で紙巻たばこ製造機の効率が同一のままである場合、紙巻たばこ包装機がより多く製造するため、紙巻たばこ包装機の停止の発生は増加する。こうした状況の下では、紙巻たばこ包装機の減速限界を有利なことに増加することができる。一方で、紙巻たばこ包装機のフル生産速度が紙巻たばこ製造機のフル生産速度より大きい場合に、包装機の効率が増加する一方で紙巻たばこ製造機の効率が同一のままの場合、バッファーが空になる可能性がより高いので、紙巻たばこ包装機の減速限界をずっとより高くするべきである。従って、紙巻たばこ包装機の減速限界は紙巻たばこ包装機の効率に正比例すると見なすことができる。
【0051】
紙巻たばこ製造機のフル生産速度が紙巻たばこ包装機のフル生産速度より大きい場合に、紙巻たばこ製造機の効率が増加する一方で紙巻たばこ包装機の効率が同一のままである場合、バッファーが空になる可能性は低いことになる。従って、こうした状況の下では、紙巻たばこ包装機の減速限界を下げることができる。一方で、紙巻たばこ包装機のフル生産速度が紙巻たばこ製造機のフル生産速度より大きい場合は、ボトルネック領域がバッファー充填レベル0パーセントに近いため、紙巻たばこ包装機の減速限界の減少は、わずかにそれほど有意でないはずである。従って、以下のように考えることができる:
【0052】
紙巻たばこ包装機ヒステリシス幅は、これより下では紙巻たばこ包装機の生産速度がフル生産速度から減少された生産速度へと低減されるバッファー充填レベル(すなわち、紙巻たばこ包装機の減速限界)と、これより上では紙巻たばこ包装機の生産速度が減少された生産速度からフル生産速度へと戻るように増加されるバッファーの充填レベルとの間の差異を画定する。紙巻たばこ製造機のフル生産速度が紙巻たばこ包装機のフル生産速度より大きい場合、バッファー充填レベルは製造時間中ほとんどの間100に近いことになる。紙巻たばこ製造機の効率が増加する一方で、紙巻たばこ包装機の効率が一定のままである場合、紙巻たばこ包装機の停止回数が増加することになる。一方で、紙巻たばこ包装機のフル生産速度が紙巻たばこ製造機のフル生産速度より大きい場合、包装機の増加された効率は、結果として包装機の停止回数がかなり多いことになる。この効果に対抗する行動をとるために、紙巻たばこ包装機ヒステリシス幅を増加することができ、その結果紙巻たばこ包装機の停止の影響は減少される。従って、紙巻たばこ包装機ヒステリシス幅は、紙巻たばこ包装機の効率に正比例すると見なすことができる。
【0053】
紙巻たばこ製造機のフル生産速度が紙巻たばこ包装機のフル生産速度より大きい場合に、紙巻たばこ包装機の効率が同一のままであり、かつ紙巻たばこ製造機の効率が増加する場合、バッファーがいっぱいになる可能性は増加し、そのため紙巻たばこ製造機はより頻繁に停止することになる。こうした条件の下で、紙巻たばこ包装機ヒステリシス幅を減少することができ、その結果包装機を可能な限り長い時間にわたりフル生産速度で運転することができる。紙巻たばこ包装機のフル生産速度が紙巻たばこ製造機のフル生産速度より大きい場合、類似の挙動を観察することができる。従って、紙巻たばこ包装機ヒステリシス幅は、紙巻たばこ製造機の効率と反比例すると見なすことができる。従って、以下のように考えることができる:
【0054】
これらの点を考慮して、発明者らは、有利なことに少なくとも1つの動作パラメータのベースライン値を第一のサイクル時間の終了時におけるグループ比較効率と実質的に等しい因子によって乗算する、またはその逆数によって乗算することによって、少なくとも1つの動作パラメータの補正された値を決定できることを見出した。従って、少なくとも1つのパラメータと、紙巻たばこ包装機の効率と紙巻たばこ製造機の効率との比、またはその逆数との間に、実質的に線形的な関係が常時確立される。
【0055】
少なくとも1つのパラメータに対するベースライン値は少なくとも1つのパラメータの値として決定されることが好ましく、これは紙巻たばこ製造機の効率が実質的に紙巻たばこ包装機の効率と等しいような条件下で、結果としてグループの最適化された生産性をもたらす。これは、例えばグループの挙動のシミュレーションによって達成することができ、その結果、少なくとも1つのパラメータに対するベースライン値の様々な値の生産性への影響を、グループを効果的に動作する必要なしに好都合なことに評価することができる。
【0056】
グループの動作中、いくつかのさらなるサイクルが第一のサイクルの後に続いてもよい。紙巻たばこ製造機の実際の生産量および紙巻たばこ包装機の実際の生産量、紙巻たばこ製造機の動作効率は、さらなるサイクル時間中に連続的にモニターされることが好ましい。こうして、有利なことに、任意のさらなるサイクル時間中の任意の所与の時間において紙巻たばこ製造機の効率、もしくは包装機の効率、またはこれらの両方の現行値を決定することができる。しかし、紙巻たばこ製造機の生産量および紙巻たばこ包装機の生産量は、任意のさらなるサイクル時間中に所定の間隔で交互に測定されてもよい。一部の好ましい実施形態において、方法は、更新された少なくとも1つの動作パラメータに基づいてさらなるサイクル時間にわたりグループを動作することと、さらなるサイクル時間にわたって紙巻たばこ製造機の動作効率を決定することと、さらなるサイクル時間にわたって紙巻たばこ包装機の動作効率を決定することと、さらなるサイクル時間の終了時における紙巻たばこ製造機の動作効率と紙巻たばこ包装機の動作効率との比としてグループ比較効率を決定することと、を含む。さらなるサイクル時間の終了時におけるグループ比較効率がさらなるサイクル時間の開始時におけるグループ比較効率と少なくとも5パーセント異なる場合、少なくとも1つの動作パラメータをさらなるサイクル時間の終了時におけるグループ比較効率に依存してさらなる更新された値に再設定する。別の場合に、さらなるサイクル時間の終了時におけるグループ比較効率がさらなるサイクル時間の開始時におけるグループ比較効率と5パーセント未満しか異ならない場合、少なくとも1つの動作パラメータを変化せずに維持する。
【0057】
その中でも有利なことに、さらなるサイクルの開始時と終了時との間で、グループ内の自動化されたユニットの挙動が有意に変化するかどうかを確かめるためにチェックが実行される。これは、さらなるサイクルの開始時と終了時との間のグループ比較効率の何らかの変化の判定を通して評価される。グループ内の自動化されたユニットのうちのいずれか1つの挙動が実質的に変化しないままである場合、少なくとも1つのパラメータは実際に再設定する必要がない。一方で、グループ内の自動化されたユニットのうちのいずれか1つの挙動で関連のある変更が発生した場合、少なくとも1つのパラメータを、変更を考慮した更新された値に再設定することが好ましい。
【0058】
少なくとも1つの動作パラメータを再設定する工程は、さらなるサイクル時間の終了時における紙巻たばこ製造機の測定された/決定された動作効率と紙巻たばこ包装機の測定された/決定された動作効率との比の値に基づいて、少なくとも1つの動作パラメータのさらに更新された値を決定することを含むことが好ましい。少なくとも1つのパラメータの更新された値が、少なくとも1つのパラメータの所定の下方境界値から少なくとも1つのパラメータの所定の上方境界値までの範囲である場合、少なくとも1つの動作パラメータを決定された更新された値に再設定する。別の場合に、少なくとも1つのパラメータの更新された値が、少なくとも1つのパラメータの所定の下方境界値より小さい場合、または少なくとも1つのパラメータの所定の上方境界値より大きい場合、少なくとも1つの動作パラメータは変化せずに維持される。
【0059】
別の方法として、少なくとも1つの動作パラメータを再設定する工程は、さらなるサイクル時間の終了時におけるグループ比較効率の値に基づいて少なくとも1つの動作パラメータのさらなる更新された値を決定することを含んでもよい。少なくとも1つのパラメータのさらなる更新された値が、少なくとも1つのパラメータの下方境界値から少なくとも1つのパラメータの上方境界値までの範囲内である場合、少なくとも1つの動作パラメータはさらなる更新された値に再設定される。少なくとも1つのパラメータのさらなる更新された値が少なくとも1つのパラメータの下方境界値より小さい場合、少なくとも1つの動作パラメータは少なくとも1つのパラメータの下方境界値に再設定される。少なくとも1つのパラメータのさらなる更新された値が少なくとも1つのパラメータの上方境界値より大きい場合、少なくとも1つの動作パラメータは少なくとも1つのパラメータの上方境界値に再設定される。
【0060】
こうして、さらなる更新された値が許容可能な範囲に含まれることのチェックが各々のさらなるサイクルの終了時に繰り返される。これは製造中のグループの動作の安定性を確保する、という点で有利である。
【0061】
代替的な実施形態において、方法は、調節された少なくとも1つの動作パラメータに基づいて所定のさらなるサイクル時間にわたりグループを動作することと、さらなるサイクル時間にわたって紙巻たばこ製造機の動作効率を決定することと、さらなるサイクル時間にわたって紙巻たばこ包装機の動作効率を決定することと、さらなるサイクル時間の終了時における紙巻たばこ製造機の動作効率と紙巻たばこ包装機の動作効率との比としてグループ比較効率を決定することと、を含む。
【0062】
さらなるサイクル時間の終了時における紙巻たばこ製造機の動作効率が製造機ベースライン効率より小さい場合、さらなるサイクル時間中の平均製造機ベースライン効率は紙巻たばこ製造機の動作効率の現行値であると仮定される。別の場合に、さらなるサイクル時間の終了時における紙巻たばこ製造機の動作効率が少なくとも製造機ベースライン効率と同じ程度に大きい場合、さらなるサイクル時間の終了時における紙巻たばこ製造機の動作効率は紙巻たばこ製造機の動作効率の現行値であると仮定される。
【0063】
さらなるサイクル時間の終了時における紙巻たばこ包装機の動作効率が包装機ベースライン効率より小さい場合、さらなるサイクル時間中の平均包装機ベースライン効率は紙巻たばこ包装機の動作効率の現行値であると仮定される。別の場合に、第二のサイクルの終了時における紙巻たばこ包装機の動作効率が少なくとも製造機ベースライン効率と同じ程度に大きい場合、第二のサイクルの終了時における紙巻たばこ包装機の動作効率は紙巻たばこ包装機の動作効率の現行値であると仮定される。
【0064】
こうした代替的な実施形態において、方法は現行のグループ比較効率を紙巻たばこ製造機の動作効率の現行値と紙巻たばこ包装機の動作効率の現行値との比として決定することをさらに含む。次に、現行のグループ比較効率が、さらなるサイクル時間の開始時におけるグループ比較効率からのグループ比較効率と少なくとも5パーセント異なる場合、現行のグループ比較効率に依存して少なくとも1つの動作パラメータはさらに更新された値に再設定される。別の場合に、現行のグループ比較効率がさらなるサイクル時間の開始時におけるグループ比較効率からのグループ比較効率と5パーセント未満異なる場合、少なくとも1つの動作パラメータは変化せずに維持される。
【0065】
グループ内の自動化されたユニットの効率の平均値を考慮することによって、有利なことに、バッファー充填レベルが100パーセントまたは0パーセントに達したことによるのではなく、計画的な製造中断などの他の理由によって発生した紙巻たばこ製造機または紙巻たばこ包装機の停止によって生じる場合がある混乱の可能性を低めることができる。
【0066】
少なくとも1つの動作パラメータの値を再設定する工程は、少なくとも1つの動作パラメータのさらなる更新された値を現行のグループ比較効率に基づいて決定することを含むことが好ましい。
【0067】
一部の実施形態において、少なくとも1つのパラメータのさらなる更新された値が、少なくとも1つのパラメータの下方境界値から少なくとも1つのパラメータの上方境界値までの範囲内である場合、少なくとも1つの動作パラメータはさらなる更新された値に再設定される。別の場合に、少なくとも1つのパラメータのさらなる更新された値が、少なくとも1つのパラメータの下方境界値より小さい場合、または少なくとも1つのパラメータの上方境界値より大きい場合、少なくとも1つの動作パラメータは変化せずに維持される。
【0068】
代替の実施形態において、少なくとも1つのパラメータのさらなる更新された値が、少なくとも1つのパラメータの下方境界値から少なくとも1つのパラメータの上方境界値までの範囲内である場合、少なくとも1つの動作パラメータはさらなる更新された値に再設定される。別の場合に、少なくとも1つのパラメータのさらなる更新された値が少なくとも1つのパラメータの下方境界値より小さい場合、少なくとも1つの動作パラメータは少なくとも1つのパラメータの下方境界値に再設定される。最後に、少なくとも1つのパラメータのさらなる更新された値が少なくとも1つのパラメータの上方境界値より大きい場合、少なくとも1つの動作パラメータは少なくとも1つのパラメータの上方境界値に再設定される。
【0069】
紙巻たばこ製造機、紙巻たばこ包装機、およびバッファーから成る第一のグループを備える本発明による方法を実施するためのシステムは、移動方向に関して、紙巻たばこ製造機はバッファーの上流にあり、かつ紙巻たばこ包装機はバッファーの下流にある。紙巻たばこ製造機の動作および紙巻たばこ包装機の動作は、バッファーの充填レベルに依存する。システムは、第一のグループ内に、バッファーの充填レベルを検出し、かつ紙巻たばこ製造機の生産量および紙巻たばこ包装機の生産量を測定するための第一のセンサー手段をさらに含む。さらに、システムは、第一のグループ内の紙巻たばこ製造機、紙巻たばこ包装機、バッファー、またはこれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つと動作可能に接続され、かつ上記に設定される方法に従って第一のグループの動作を管理するために構成される制御ユニットと、を備える。
【0070】
制御ユニットは、上述の方法による制御論理を実施するように本質的に構成される。従って、制御ユニットは、紙巻たばこ製造機および紙巻たばこ包装機の動作状態とバッファーの充填レベルとが相互に関係することだけでなく、紙巻たばこ製造機、もしくは紙巻たばこ包装機、またはこれらの両方の効率の可能性のある変化に適合するようにこうした相互関係の性質および品質が経時的に検証されかつ変更されることも確保する。
【0071】
一部の実施形態において、1つのこうしたシステムは紙巻たばこ製造機、紙巻たばこ包装機、およびバッファーから成るさらなるグループを備え、移動方向に関して、紙巻たばこ製造機はバッファーの上流にあり、かつ紙巻たばこ包装機はバッファーの下流にあり、その結果紙巻たばこ製造機の動作および紙巻たばこ包装機の動作はバッファーの充填レベルに依存する。さらに、システムは、バッファーの充填レベルを検出し、かつ第二のグループ内の紙巻たばこ製造機の生産量および紙巻たばこ包装機の生産量を測定するための第二のセンサー手段を備える。制御ユニットは、第二のグループ内の紙巻たばこ製造機、紙巻たばこ包装機、バッファー、またはこれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つとさらに動作可能に接続され、かつ上記に設定される方法に従って第一のグループおよびさらなるグループの動作を管理するために構成される。
【0072】
これは、自動化されたユニットの2つ以上のこうしたグループを並列に運転するシステムにおいて、様々なグループでシステム内の全ての自動化されたユニットの挙動の観察に基づいて同一の論理を実施することができる、という点で有利である。従って、有利なことに、システムの全体的な生産性を高めることができる。
【0073】
本発明は、添付の図面の図を参照しながら、例証としてのみではあるがさらに記述する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1図1は、どのように紙巻たばこ製造機および紙巻たばこ包装機の動作を、紙巻たばこ製造機と紙巻たばこ包装機との間に置かれたバッファーの充填レベルと相互に関係するかを画定するパラメータの定性的な実施例を図示する。
図2図2は、本発明による方法の工程を図示するフローチャートである。
図3図3は、本発明による方法の好ましい実施形態の工程を図示するフローチャートである。
図4図4は、本発明による方法のさらに好ましい実施形態の工程を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1は、紙巻たばこ製造機、紙巻たばこ包装機、およびバッファーから成るグループのいくつかの動作パラメータを示す。パラメータは、紙巻たばこ製造機および紙巻たばこ包装機の動作状態をバッファーの充填レベルと相互に関係させる。これらには、紙巻たばこ製造機の開始限界、紙巻たばこ製造機の減速限界、紙巻たばこ製造機ヒステリシス幅、紙巻たばこ包装機の開始限界、紙巻たばこ包装機の減速限界、および紙巻たばこ包装機ヒステリシス幅が含まれる。
【0076】
紙巻たばこ製造機としてのPROTOS PM 100(Hauni Maschinenbau AG(ドイツ)製)と、紙巻たばこ包装機としてのF550(Focke GmbH(ドイツ)製)と、バッファーとしてのCAPRICORN(ITM(オランダ)製)と、から成る1つのこうしたグループが据え付られる。PROTOS PM 100のフル生産速度は紙巻たばこ10,000本/分である。F550のフル生産速度は500パック/分であり、各々のパックは20本の紙巻たばこを収容する(これも毎分10,000本の紙巻たばこの処理に対応する)。CAPRICORNの有効容量は紙巻たばこ125,000本であり、上流および下流速度は紙巻たばこ10,000本/分である。
【0077】
リストされた動作パラメータに対するベースライン値は、紙巻たばこ製造機の動作効率が紙巻たばこ包装機の動作効率に実質的に等しいという仮定のもとで実行されたシミュレーションの結果に基づいて決定される。ベースライン値は、最適化されたグループ生産性を結果としてもたらす動作パラメータの値として選択される。以下の表1は、シミュレーションから決定されたベースライン値をリストする。
表1−グループの動作パラメータに対するベースライン値
【0078】
境界値は、グループの安定した動作を確保するために動作パラメータに対して設定される。以下の表2は境界値をリストする。
表2−グループの動作パラメータに対するベースライン値
【0079】
図2は、本発明による方法の第一の実施形態を図示するフローチャートである。
【0080】
上記のグループの動作パラメータは、それぞれの開始値に設定され、またグループは1時間の第一のサイクル時間にわたり動作される。この時間中、紙巻たばこ製造機の動作効率、紙巻たばこ包装機の動作効率、およびグループ比較効率としてとられるその比を決定するために、グループの動作はモニターされる。
【0081】
1時間後、動作パラメータの補正された値は、グループ比較効率の関数として決定される。こうして、紙巻たばこ製造機の開始限界の更新された値は、関連するベースライン値とグループ比較効率の決定された値とを乗算することによって計算される(式1を参照のこと)。紙巻たばこ製造機の減速限界、紙巻たばこ包装機の開始限界、紙巻たばこ包装機の減速限界、および紙巻たばこ包装機ヒステリシス幅についても類似の計算がなされる(式2、4、5および6を参照のこと)。紙巻たばこ製造機ヒステリシス幅の更新された値は、関連するベースライン値とグループ比較効率の決定された値の逆数とを乗算することによって計算される。
【0082】
動作パラメータはこうした更新された値に再設定される。グループは1時間のさらなるサイクル時間にわたり運転される。さらなるサイクル時間の終了時において、グループ比較効率が再度決定される。さらなるサイクル時間の開始時と終了時との間でグループ比較効率が少なくとも5パーセント変化した場合、上記に設定される通りに動作パラメータに対する新しい更新された値が計算され、かつ動作パラメータはこうした更新された値に再設定される。それ以外には、さらなるサイクル時間の開始時と終了時との間でグループ比較効率が5パーセント未満変化した場合、動作パラメータは変化されないままにされる。
【0083】
適応制御を用いずに動作される同一のグループと比較すると、図2に図示するような方法によってグループを動作する時にアップタイムの約0.25パーセントの増加が見出された。
【0084】
図3は、本発明による方法の第二の実施形態を図示する。ここでは図2の実施形態と異なる部分のみを記述する。
【0085】
図3のフローチャートによって図示される通りの方法は、動作パラメータの更新された値が決定された直後に、さらなるチェックが提供される、という点で上述の実施形態とは異なる。実際には、動作パラメータのうちの各1つの更新された値は、対応する境界値と比較される。更新された値が境界値内に含まれる場合、これは動作パラメータの値を再設定するために使用される。それ以外には、更新された値が上方境界値を超える場合、動作パラメータの値を再設定するために上方境界値が使用される。最後に、更新された値が下方境界値を下回った場合、動作パラメータの値を再設定するために下方境界値が使用される。
【0086】
適応制御を用いずに動作される同一のグループと比較すると、図3に図示するような方法によってグループを動作する時にアップタイムの約0.6パーセント〜0.8パーセントの増加が見出された。
【0087】
図4は、本発明による方法の第三の実施形態を図示する。ここでは図3の実施形態と異なる部分のみを記述する。
【0088】
図4のフローチャートによって図示される通りの方法は動作パラメータに対する更新された値の決定の直後に、さらなるチェックが提供される、という点で上述の実施形態とは異なる。実際には、紙巻たばこ製造機の効率および紙巻たばこ包装の効率の現行値は、効率のベースライン値(例えば、30パーセント)と比較される。紙巻たばこ製造機の効率および紙巻たばこ包装の効率の現行値が関連するベースライン値と少なくとも等しい場合、後に続くさらなるサイクル時間中の効率変化のチェックのためには紙巻たばこ製造機の効率および紙巻たばこ包装の効率の現行値が使用される。それ以外には、紙巻たばこ製造機の効率および紙巻たばこ包装の効率の現行値が関連するベースライン値より低い場合、後に続く効率変化チェックのためには第二のサイクル時間中の効率の平均値が使用される。
【0089】
適応制御を用いずに動作される同一のグループと比較すると、図4に図示するような方法によってグループを動作する時にアップタイムの約0.9パーセントの増加が見出された。これは、3日間の製造期間中に385,000本より多い紙巻たばこの生産の増加をもたらすことができる。
図1
図2
図3
図4