特許第6857192号(P6857192)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857192
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】コンビネーションセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/08 20060101AFI20210405BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20210405BHJP
   G01J 3/46 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   G01B11/08 H
   G01B11/00 H
   G01J3/46
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-551804(P2018-551804)
(86)(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公表番号】特表2019-513233(P2019-513233A)
(43)【公表日】2019年5月23日
(86)【国際出願番号】IB2017000355
(87)【国際公開番号】WO2017168236
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2020年3月4日
(31)【優先権主張番号】16163595.8
(32)【優先日】2016年4月1日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599122503
【氏名又は名称】シュロニガー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デシュラー ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ヨースト マイケル
(72)【発明者】
【氏名】フグラー クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ホーファー レト
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−085204(JP,A)
【文献】 特開昭62−174607(JP,A)
【文献】 特開平09−091428(JP,A)
【文献】 米国特許第05495429(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第19510034(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
G01J 3/00− 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる測定方法に基づく少なくとも2つの光学測定システム(D、C)を備えるケーブル、針金、または輪郭などの細長い物体(W)を自動的に非接触で検出する装置であって、前記物体(W)の外径(Wdo)を決定する少なくとも第1の光学測定システム(D)と、前記物体の色(W)を決定する少なくとも1つの第2の光学測定システム(C)とが、共通の好ましくは円盤状の測定体積(DCPv)との組み合わせを形成しており、前記第1の測定システム(D)は、少なくとも第1の照明装置(DP1)と、前記測定体積(DCPv)の反対側に位置決めされた第1のセンサアレイ(DP4)とを備え、レンズ(DCP2)が、前記第1の照明装置(DP1)と前決記測定体積(DCPv)との間に配置され、当該レンズ(DCP2)は、前記第1の照明装置(DP1)の光のためのコリメートレンズとして設計および位置決めされ、前記第2の測定システム(C)は、少なくとも1つの第2の照明装置(C1)と、第2のセンサアレイ(C4)と、ロングパスフィルタ(C3)とを備え、当該ロングパスフィルタ(C3)は、前記第1の照明装置(DP1)と前記レンズ(DCP2)との間に配置され、かつ、前記第2の測定システム(C)の波長スペクトルについては反射し、前記第1の測定システム(D)の光については透過しており、前記物体(W)の反射光によってこれが2度通過されるとともに前記物体(W)の像を前記第2のセンサアレイ(C4)上へ投影するように前記レンズ(DCP2)と共に設計および位置決めされていることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記円盤状の測定体積(DCPv)は、案内デバイス(4a、4b)の両側端間に、好ましくは中心で縦方向に、および好ましくは前記案内デバイス(4a、4b)と同軸に配置されることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、前記第1および第2の光学測定システム(D、C)の主面(y−z)は、前記細長い物体(W)のための前記案内デバイス(4a、4b)の縦軸(x)に主光軸(y)が直角であるように配置されることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、前記第1の照明装置(DP1)は、光源(DP2)と、少なくとも1つのスクリーン(DP3)とを備えることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、前記第2の照明装置(C1)は、異なる波長スペクトルを有する複数の、好ましくは3つの、およびさらに好ましくは互いに近くに配置された光源(C1a、C1b、C1c)を備えるとともに、前記物体(W)から反射された前記光のための前記第2のセンサアレイ(C4)が、前記第2の照明装置(C1)と前記円盤状の測定体積(DCPv)の同じ側でx−z平面に対して位置することを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、前記物体(W)を連続的に照明し、これによって前記第2の照明装置(C1)の前記光源の前記波長スペクトル内で像を前記第2のセンサアレイ(C4)上へ連続的に投影するように前記第2の照明装置(C1)の前記光源(C1a、C1b、C1c)を駆動させるために前記第2の測定システム(C)においてシーケンスが実装され、前記第2の測定システム(C)が、異なる波長スペクトルの前記光源を用いた照明中に強度が測定されるために、および前記物体(W)の前記色の決定を確実にするために評価ユニットに接続されることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、前記ロングパスフィルタ(C3)は、主軸(y)に配置され、好ましくは前記物体(W)が反射した前記光を前記主光軸(y)から外れて位置決めされるとともに前記ロングパスフィルタ(C3)に対して整合された前記第2のセンサアレイ(C4)上にそらすように位置合わせされることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1から7の1項に記載の装置であって、直径を決定する前記光学測定システム(D)および前記物体(W)の前記色を決定する前記光学測定システム(C)は、前記円盤状の測定体積(DCPv)の内部の前記物体(W)の位置を決定する第3の仮想の測定システム(P)を形成するように組み合わされることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、前記第3の測定システム(P)は、前記測定体積(DCPv)の内側の前記物体(W)の前記位置を三角測量で決定するために、好ましくは2つの光源(P1a、P1b)を有する第3の照明装置(P1)と、前記第1のセンサアレイ(DP4)と、任意選択で前記第1の照明装置(DP1)とを備えることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、前記第3の照明装置(P1)は、異なる波長スペクトルをそれぞれ有し、前記物体(W)を連続的に照明し、これによって前記光源の前記波長スペクトル内で像を前記第2のセンサアレイ(C4)上へ連続的に投影するように設計されている複数の光源を備えることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置であって、前記第1のセンサアレイ(DP4)の測定平面は、x−y平面の直角に延びるが、x軸に対して小さい角度(α)でこれに交差することを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項5から11の1項に記載の装置であって、前記第2のセンサアレイ(C4)は多色センサであり、前記第2の照明装置(C1)の前記光源(C1a、C1b、およびC1c)は、同時に動作させられ、または広帯域または多周波帯の光源によって置き換えられることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項5から11の1項に記載の装置であって、前記第2のセンサアレイ(C4)は多色センサであり、前記第3の照明装置(P1)の前記光源のうちの少なくとも1つは、広帯域または多周波帯の光源によって置き換えられることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1から13の1項に記載の装置であって、前記装置は、温度センサ(T)を備えることを特徴とする装置。
【請求項15】
ケーブル、針金、または輪郭などの細長い物体(W)を加工する設備であって、入力側の前記物体(W)は、請求項1から14の1項に記載の物体を自動的に検出する装置によって用意されることを特徴とする設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部による異なる測定方法に基づいて少なくとも2つの光学測定システムを用いるケーブル、針金、または輪郭などの細長い物体を自動的に検出する装置、およびそのような装置を用いる請求項15の前提部による設備に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブル、針金、または同様の細長い物体のための加工機械において、使用者によって定められるそれぞれの目的および要求に、加工の種類、機械の設定、およびそれらのパラメータを合わせることは、対象を確実に特定することによって確かなものにされなければならない。そのために、測定システムが、加工機械の前にまたは入力部に配置されることが好ましく、これによって細長い物体の確実な特定を可能にすべきである。これらは、複数のセンサ装置を備えるが、これは、特定の信頼性が、異なる測定原理の数とともに増加するからである(例えば、同じ外径および同じ色を有するケーブルは、異なる内部伝導の構成を有し得るからであり、または異なる銅断面を有する異なる構造を有するケーブル(細かい編組、編組、針金)は、同じ電磁特性を有し得るからである)。
【0003】
ドイツ公開特許第10219848号は、測定デバイスの中心軸に直角および横断的に配置された光学的な測定平面内の細長い物体の外径および位置を測定するための光学測定デバイスを備えた非接触式の中心性および直径の測定システムを開示する。この物体は、導体とこれを絶縁する被覆とを備え、誘導測定平面内の導体の位置は、誘導測定用のコイル素子によって決定され、その測定平面も、測定デバイスの中心軸に直角および横断的に配置されている。光学測定デバイスによって決定される物体の位置は、誘導的な測定コイルの素子によって決定される導体の位置に関連しており、これから、被覆内の導体の中心性が計算される。この場合には、測定コイルの素子にかかる測定コイルは、光学的な測定平面に関して対でまたは等しく配置されるが、細長い物体によって横断されない。測定物体自体は、常に測定コイルの外側のままである。複数のコイルからなる2個1組の装置が、磁場の強さを差分測定するために使用され、これは交流電流が導体に流れることから始まり、この交流電流は測定システムの追加の誘導子によって導体内に誘導されなければならない。したがって、コイルに誘導される電圧の差は、コイルの鏡軸に対する導体の偏心の程度である。よって、コイルは、銅によって減衰される共振回路の一部ではない。さらに、さらなる光学測定システムは用意されない。
【0004】
国際公開第2009150620号は、ケーブルの外径、絶縁被覆の内部にある金属導体の直径、および任意選択で他の外部から検出可能な特徴の測定の結果として、加工または少なくともケーブルの種類について用意されるそれぞれのケーブルを自動的または半自動的に特定することを可能にするセンサの装置を説明する。様々なセンサは、互いに機能的に独立しており、相乗効果を有さず、一緒に使用される要素または領域を有さず、したがって測定システムの組み合わせを形成しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願公開第1403821号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10219848号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0692697号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/107729号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2003/107729号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/213113号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第10003717号明細書
【特許文献8】米国特許第6499345号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2009/103111号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2011/299095号明細書
【特許文献11】中国特許出願公開第87214470号明細書
【特許文献12】独国特許出願公開第102006010992号明細書
【特許文献13】独国特許出願公開第10219848号明細書
【特許文献14】国際公開第2009/150620号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、以下のことから物体を確実に特定することがなされることを可能にするために、物体のいくつかの特徴の決定を可能にするコンビネーションセンサの小型で機能的に安定した(robust)設計が得られように、様々な測定システムの相乗効果を使用する改良されたセンサ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を解決するために、最初に説明する装置は、物体の外径を決定する少なくとも第1の光学測定システムと、物体の色を決定する少なくとも第2の光学測定システムとが、共通の測定体積との組み合わせを形成することを特徴とする。好ましい実施形態では、この測定体積は円盤状である。外径を決定する第1の測定システムは、少なくとも第1の照明装置と、測定体積の反対側に位置決めされた第1のセンサアレイとを備える。レンズが、第1の照明装置と測定体積との間に配置され、このレンズは、第1の照明装置の光のためのコリメートレンズとして設計および位置決めされる。第2の測定システムは、少なくとも1つの第2の照明装置と、第2のセンサアレイと、ロングパスフィルタとを備える。これ(ロングパスフィルタ)は、第1の照明装置とレンズとの間に配置され、第2の測定システムの波長スペクトルについては反射し、第1の測定システムの光については透過しており、物体の反射光によってこれが2度通過されるとともに物体の像を第2のセンサアレイ上へ投影するようにレンズと共に設計および位置決めされている。いくつかの測定システムの組み合わせは、細長い物体の種類または性質、例えばケーブルを加工する設備内で加工されるケーブルの種類に対する特定の品質を向上させる。それによって、ケーブル加工のパラメータが上記種類に対応し、または適切なケーブルだけがそれぞれの機械上で加工されることを確かにされる。装置は、従来のおよび実績のある構成部品を用いた比較的単純な構造設計で細長い物体の直径のとても正確な決定も可能にする。光源は、有利には案内デバイスの間隙を通じて物体を照明することができ、その影もこの間隙を通じて第1のセンサアレイに入射し、そこで検出することができる。ケーブルの種類は、しばしば、例えばケーブルの被覆の色によって特徴付けられるので、異なる波長スペクトルおよびその反射強度を用いるそのようなセンサ装置は、ケーブルの種類の迅速でとてもしっかりした特定を可能にする。
【0008】
好ましくは、円盤状の測定体積は、案内デバイスの両側端間に、好ましくは中心で縦方向に、および好ましくは案内デバイスと同軸に配置される。この案内デバイスは、例えば、ケーブルジャックとすることができ、それを通じてケーブルは、特定される細長い物体として案内される。したがって、物体の様々な測定値および特性が、高い信頼性でその迅速な特定を可能にするために、比較的小型の装置によって検出可能である。
【0009】
好ましくは、各光学測定システムの主面は、細長い物体のための案内デバイスの縦軸に主光軸が直角であるように配置される。
【0010】
有利には、第1の照明装置は、光源と、少なくとも1つのスクリーンとを備える。
【0011】
好ましくは第2の照明装置は、異なる波長スペクトルを有する複数の、好ましくは3つの、およびさらに好ましくは互いに近くに配置された光源を備えるとともに、物体から反射された光のための第2のセンサアレイが、第2の照明装置と円盤状の測定体積の同じ側でx−z平面に対して位置する。好ましくは、この照明装置の光源は、それらの光がセンサハウジングに入射せず、測定される物体にのみ入射するようにそれらの光がセンサハウジングに入射せず、測定される物体にのみ入射するように、それらの円錐状の光がスクリーンを用いて形成されるように配置される。
【0012】
好ましくは、物体を連続的に照明し、これによって光源の波長スペクトル内で像を第2のセンサアレイ上へ連続的に投影するように第2の照明装置の光源を駆動させるためのシーケンスが第2の測定システムに実装される。当該第2のセンサアレイは、異なる波長スペクトルの光源を用いた照明中に強度が測定されるために、および物体の色の決定を確実にするために評価ユニットにその一部について接続される。
【0013】
本装置の有利な実施形態は、本発明によれば、色を検出するために、ロングパスフィルタは、主光軸に配置され、好ましくは物体が反射した光を、主光軸から外れて位置決めされるとともにロングパスフィルタに対して整合された第2のセンサアレイ上に偏向するように位置合わせされることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、本発明によれば、直径を決定する光学測定システムおよび色を決定する光学測定システムは、円盤状の測定体積の内部の物体の位置を決定する第3の仮想の測定システムを形成するように組み合わされる。したがって、個々の光学的な測定および誘導的な測定は、より正確な測定結果を得るために、物体についての位置情報を組み込むことによって補正することできる。
【0015】
本発明のさらなる実施形態は、第3の測定システムが、測定体積の内側の物体の位置を三角測量決定するために、好ましくは2つの光源を有する第3の照明装置と、第1のセンサアレイと、任意選択で第1の照明装置とを備えるものとして提供される。
【0016】
色の決定のための光源についての代替実施形態は、第3の照明装置の照明器具は、異なる波長スペクトルをそれぞれ有し、物体を連続的に照明し、これによって光源の波長スペクトル内で像を第2のセンサアレイ上へ連続的に投影するように設計されている複数の光源を備えるという構成をとる。
【0017】
反射を防ぐために、第1のセンサアレイの測定平面は、x−y平面の直角に延びるが、x軸に対して小さい角度でこれに交差することができるという本発明の有利な特徴は、全ての装置に共通である。これは、位置を決定するための光源の2つの位置が、色を決定するための光源の位置としても使用される場合、特に重要である。
【0018】
代替の実施形態は、色を決定する第2のセンサアレイは多色センサであり、第2の照明装置の光源は、同時に動作させられ、または広帯域または多周波帯の光源によって置き換えられることを特徴としてもよい。
【0019】
代替としてまたは加えて、第2のセンサアレイは多色センサであり、第2の照明装置の光源のうちの少なくとも1つは、広帯域または多周波帯の光源によって置き換えられることも、この目的のために行われてもよい。
【0020】
有利には、装置は、温度により引き起こされる測定誤差を補正するための温度センサを備えることもできる。
【0021】
最初に定めた目的を解決するために、ケーブル、針金、または輪郭などの細長い物体を加工する設備も、前述の段落にあるように片側に位置決めされた物体を自動的に検出する装置に関して説明される。
【0022】
本発明のさらなる利点、特徴、および細部は、以下の説明から得られ、本発明の例示的な実施形態は、図面を参照して説明される。この内容において、特許請求の範囲および明細書において言及される特徴は、それら自体にとってまたは任意の組み合わせにおいて個々に本発明にそれぞれ必須である。
【0023】
本特許の特許請求の範囲および図の技術的内容は、本開示の一部である。図は、まとまりのある一部重複するやり方で説明される。同じ参照番号は同じ構成要素を意味し、異なる添え字を有する参照番号は、機能的に同じまたは類似する構成要素を特定する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ケーブル加工機械用の本発明による例示的なセンサ装置を貫くx−y平面の縦断面を示す図である。
図2図1の装置の測定システムを示す図である。
図3】細長い物体の軸方向の図1による測定システムの概略図である。
図4】ケーブルの直径を測定する本発明によるセンサ装置の機能図を概略的に示す図である。
図5】光軸に沿って本発明によるセンサ装置を貫くx−y平面の縦断面を示す図である。
図6】センサ装置を貫くy−z平面の別の縦断面を示す図である。
図7】センサ装置と二重のレンズ系の光学的な関係を示す図である。
図8】センサ装置と鏡を備える二重のレンズ系の光学的な関係を示す図である。
図9】像の幅、物体の幅、および像の縮尺を物体と像の距離の関数とした図である。
図10】センサ装置のホワイトバランスについての図である。
図11】オレンジの色付きのケーブルの測定値に関する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、測定物体Wとして加工されるケーブルを確実に特定することを可能にするために、好ましくは細長い物体用の加工機械の前にまたは入力部に、特にケーブル等用の加工機械のために位置決めされるようなセンサ装置の例示的な実施形態を示す。入力側には、ハウジング2、ならびにセンサ装置の光学系の一部を有する管3が、加工機械に固定される。細長い物体Wは、軸方向に、そして実際の加工が始まる前にハウジング2内の案内デバイスとしてのケーブルジャック4a、4bを通じて案内される。
【0026】
物体Wの通過移動中に、または静止時間中にも、物体Wの外径および色が決定される。加えて、ケーブルジャック4a、4b内部の物体の位置が決定され得る。これらの測定量を決定するセンサ、およびしたがって物体Wの外径または色についての測定システムは、本発明によれば異なる測定原理に基づくが、センサ装置の連結領域または要素を少なくとも一部使用する。
【0027】
図1は、ケーブルジャック4aおよび4bの光軸yおよび軸xによって画定される平面内でセンサ装置を貫く断面を示す。管3の最外端に位置決めされるのは、光源DP2およびスクリーンDP3を有する直径を決定する第1の光学測定システムDの第1の照明装置DP1である。第1の光学測定システムDは、物体Wの位置を決定する別の光学測定システムPの一部でもあり得る。結像光学系DCP5が、物体Wとこの第1の照明装置DP1との間に設置され、そのロングパスフィルタC3は、可視光用の鏡として働き、物体Wが反射した光を反射し、この光を物体Wの色を検出する測定システムCの第2のセンサアレイC4、好ましくはリニアセンサアレイC4へ向ける。ハウジング2も、直径を決定する光学測定システムDのための検出器としての別の第1のセンサアレイ、好ましくはリニアセンサアレイDP4を収容する。いずれの場合でも、上記の測定システムC、Dは、以下にさらに説明するように、第3の仮想の測定システムPを形成するように結び付けることができる。
【0028】
測定システムD、C、Pの必須の要素が、図2および図3に概略的にそれらの有利な相互配置でやはり示されており、以下詳細に説明する。いずれの場合も、完全に異なる基本原理に基づくここに示される光学測定装置とさらなる測定装置との組み合わせは、例えば、渦電流センサがコイルE1を備えることが好都合であり、これは、誘導的な測定システムの共振回路E6を共に形成する2つの半コイルE1aおよびE1bとキャパシタE2とからなる。この測定システムは、励起回路E3、抵抗器E4、および信号変換器E5も備え、細長い物体の電磁特性の測定を可能にし、好ましくは、そこから物体Wの伝導性の構成要素の断面積、特にケーブルの1つまたは複数の導体の断面積を決定することができる。
【0029】
2つのケーブルジャック4a、4bは、軸方向に互いからわずかに離間しており、その結果、間隙9がこれら2つの構成要素の間に得られ、この間隙9は、ハウジング2内で連続しており、光学測定システムD、C、Pのためにケーブルジャック4a、4bの内部で物体Wにアクセスすることを可能にする。間隙9およびケーブルガイドの開口によって得られる連結の部分的な体積は、円盤状の光学的な測定体積DCPvを形成する。
【0030】
さらに、主光軸yも横たわる光学測定システムD、C、Pの主面y−zが、ケーブルジャック4a、4bの縦軸xに直角に配向させていることが好ましいことも図2から推定される。
【0031】
物体Wの外径の光学的な測定については、これは、間隙9を通じて光学的な測定体積DCPvの領域内でケーブルジャック4a、4bの内部で照明される。図5においてはっきりと示されるように、第1の照明装置DP1の光は、測定システムDの光学系DCP5によって平行にされ、物体Wに当たり、S1によって符号で表されたシャドウイングを引き起こす。図1に概略的に示されるように、このシャドウイングS1は、第1のリニアセンサアレイDP4上の画素ごとに異なる電圧レベルを引き起こし、その分布から、ケーブル径を結論付けることができる。有利には、リニアセンサアレイDP4の測定平面は、x−y平面に直角に延びるが、x軸に対して小さい角度αでこれに交差し得る(図2参照)。
【0032】
光の平行度およびセンサDP4の画素の幅は、測定の精度にとって極めて重要である。好ましくは赤外線LEDとして設計された光源DP2を有する第1の照明デバイスDP1の光は、影響を受けていないロングパスフィルタC3を通過し、レンズDCP2によって平行にされる。しかしながら、他の波長については、特に可視光の波長範囲において、ロングパスフィルタC3は、鏡として振る舞う。
【0033】
円盤状の光学的な測定体積DCPvは、直径を決定し物体Wの色を検出するために使用され、これによって設備のサイズをかなり節約する結果となる。この目的のために用意される第2の測定システムCは、図2および図3から推定できるように、異なる波長スペクトルを有する互いに近くに置かれた複数の光源C1a、C1b、C1cを有する第2の照明装置C1を備える。好ましくは3つの光源が用意される。例えば、光源は、色付きのLED(例えば、RGB−LED)として設計される。
【0034】
この場合には、測定システムC、例えばこの測定システムの制御および評価ユニットにおいて実行可能なプログラムとしてシーケンスが実装され、それによって第2の照明装置C1の光源C1a、C1b、C1cは、物体Wを連続的に照明し、したがって像を光源の波長スペクトル内でこの測定システムCの第2のセンサアレイC4上に連続的に投影するように駆動される。光学測定システムCの評価ユニットにおいて、異なる波長スペクトルを有する光源を用いて物体Wを照明する間に測定される強度は、物体Wの色を決定するのに使用される。第2のセンサアレイC4は、第2の照明装置C1の光源C1a、C1b、C1cとして円盤状の測定体積DCPvの同じ側でx−z平面に対して設けられる(この件に関しては図1および図2を参照)。3つの光源全部の波長に対して感度がよい第2のセンサアレイC4の代替として、それぞれ異なる波長に対して感度がよい3つのセンサからなる多色センサが用意されてもよい。
【0035】
光学測定システムD、C、Pの主軸yに位置決めされるロングパスフィルタC3は、第2の照明装置C1の光源C1a、C1b、およびC1cの波長について反射しており、それによって物体Wから反射した光を主光軸yの外側に位置決めされる第2のセンサアレイC4上に反射する。したがって、第1の照明装置DP1の光がロングパスフィルタC3を貫き、次いでこの光はレンズDCP2を通過し、それによって平行にされる。次いで、第1の照明装置C1の光は、物体Wによる反射後とさらにロングパスフィルタC3での反射後に、結像レンズとしてのレンズDCP2を2度通過し、それによってその屈折力は2度使用され、結像する焦点の幅は、ほぼ半分である。したがって、測定システムCにおいて反射している直角のロングパスフィルタC3が、主光軸yに対して小さい角度βでx−y平面内で配置される場合、像は、光軸yの幾分横に形成される。
【0036】
ケーブルの色を決定するために、好ましくは3つの像は、第2のセンサアレイにより、それぞれ異なる照明によって、例えば赤、緑、および青の光の下で、連続的に作られる。次いで、物体Wの色は、投影の色彩強度によって評価ユニット内で計算することができる。第2のセンサアレイC4によって測定される色彩強度は、光源と物体Wの間の距離に関して二次的に、および物体WとレンズDCP2の間の距離に関して二次的に減少することをここで留意されたい。このケーブル位置の依存性は、例えば、適当な露光時間で補正することができる。ケーブルが光学的な測定体積DCPv内部で位置する場所は、図6に示すように、2つの影の縁を用いて単純な三角測量によって計算することができる。ケーブルの位置の助けを借りて、第2のセンサアレイC4の出力信号の補正が、測定体積DCPvにおいて経験的に決定される強度の補正値間の補間によってそれぞれの波長についてなされ得る。
【0037】
測定値の位置に依存した補償については、好ましくは、直径測定のための第1の光学測定システムDは、円盤状の測定体積DCPv内の物体Wの位置を決定する第3の仮想の光学測定システムPを形成するように2つのさらなる光源P1aおよびP1bと組み合わされる。この追加の光学測定システムPは、上で説明した光学測定システムの光源P1a、P1b、DP2および第1のリニアセンサアレイDP4のうちの少なくとも2つを使用する。
【0038】
代替として、光源のうちの1つ、特に照明装置DP1の光源は、直径測定が単独で行われるときに、追加の光源と組み合わせることができる。ケーブルジャック4a、4bまたは円盤状の光学的な測定体積DCPvの周方向に用いられる光源の間隔だけが、ここでは重要である。これらの2つの光源は、異なる角度のシャドウイングS1、S2をもたらし、その間隔は、第1のセンサアレイDP4の助けを借りて決定され、知られている幾何学的な関係に基づいてケーブルジャック4a、4b内部の物体Wの位置情報、または誘導的な測定体積Evおよびさらに光学的な測定体積DCPvに変換することができる。
【0039】
ケーブルの色を検出するための本発明によるセンサ装置の一実施形態の幾何光学の特定の設計例が、以下に提示される。
【0040】
図7は、2つの同一レンズLおよびLを有する二重のレンズ系、それらの附属の焦点FおよびF、それらのそれぞれの焦点の幅fおよびf、結像される物体G、および像Bを示す。レンズLおよびLは、互いから距離dに位置する。ビーム経路および光学的計算を簡略化するために、二重のレンズ系は、主面HおよびH’ならびに附属の系焦点FおよびF’を有する単一のレンズによって置き換えられてもよい。FからLまでの距離はFFL(前の焦点距離)とも呼ばれ、F’からLまでの距離はBFL(後の焦点距離)とも呼ばれる。
【0041】
ここで、以下が成り立つ。
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【0042】
図8は、鏡Mが主面Hに置かれるときの二重のレンズ系を示す。これは、LがLの機能もさらに担うので、像Bを物体側に投影し、Lを省略することができるという効果を有する。したがって、図8は、図2および図3に最もはっきりと示されるように、ケーブルの色のための上で説明した光学測定システムCにおける光学的な状況を概略的に示す。反射用のロングパスフィルタC3は鏡Mに対応し、レンズLまたはLはコリメートレンズDCP2に対応する。
【0043】
鏡MとレンズLの間の図1の光学系DCP5がくさび状の筒部品である場合、MとLの間の距離k=6.575mmが与えられる。図7および図8を参照すると、レンズLとLの間の距離dは、以下の通りに計算することができる。
【数7】
【数8】
【数9】
【数10】
【数11】
【数12】
【数13】
式6を用いるとともにf=71mmの場合、ここで、システムの焦点の幅fは、
【数14】
のように計算されるはずである。
【0044】
図2図3、および図5による設計では、33.5mmのc値(物体Gから像Bまでの距離、すなわち、縦軸xから第2のセンサのアレイC4までの距離)が得られた。ここで、第2のセンサアレイC4で鮮明な像が得られるようにどのくらい大きい距離b(センサから鏡)およびg(縦軸xから鏡C3)があるべきかについて疑問が生じる。
【0045】
これは、(c=33.5mmの場合)以下の通りに得られる。
【数15】
【数16】
【数17】
【数18】
【数19】
【数20】
【0046】
ここで全ての寸法が与えられるので、結像の縮尺Mは、以下のように計算することができる。
【数21】
【数22】
【0047】
400dpiの分解能および128画素を有する第2のセンサアレイC4については、これは、有効なセンサアレイの長さISAを与える。
【数23】
【0048】
したがって、結像される最大の物体の大きさは、
【数24】
のように得られる。
【0049】
式14によるレンズの系の焦点の幅fを用いて、図9に示すように、像の幅bおよび物体の幅gは、式18を用いて、特定の例示的な実施形態について、物体と像の距離c、すなわち縦軸xと第2のセンサアレイC4の距離の関数としてグラフに描くことができる。
【0050】
物体とセンサの距離cが0に向かうと、図10で認識できるように、結像の縮尺は100%に向かう。これは、知られている1/1の結像であり、g=b=2*fである。
【0051】
ケーブルの色が第2のセンサアレイC4を用いて測定され得る前に、ホワイトバランスが実行されなければならない。そのために、白色の較正ロッドが、それができる限り第2の照明装置C1の近くにあるようにケーブルジャック4a、4b内に配置され、その結果センサアレイC4が、最大輝度を測定する。異なる波長(赤、緑、青)で照明中の許容される最大の照明時間は、測定した振幅が測定範囲の約90%を占めるように調整される。次いで、較正ロッドは縦軸xに配置され、露光時間は第2のセンサアレイC4によって測定されるRGBの積分値が全て同じであるように調整される。その際、2つのより高い積分値は、最小になされ、予め決定された最大の露光時間がいずれの色によって超えないようになる(図10参照)。像の輝度は、光源と物体Wの間および物体WとレンズDCP2の間の距離が増加するにつれて減少するので、異なる波長についての輝度値は、ケーブルの位置に従って重みが付けられなければならない。図10では、例えば、RGBの測定値は、ケーブルジャック4a、4b内部の6つの較正ロッドの位置について描かれており、「中心/中心」によって示された曲線は、ケーブルジャック4a、4bの中心における白色の較正ロッドに有効である。較正ロッドが第2のセンサアレイC4の近くのケーブルジャック4a、4b内に位置する場合、「後/中心」によって示される線が適用される。図6では、位置情報の後、前、下、上は、図10に描かれた測定値が正しく解釈できるように特徴付けられる。
【0052】
較正ロッドを用いて測定される特定の位置のRGBの積分値と中心のRGBの積分値の比は、色を補正する値である。色を補正する値は、位置に依存する。
【0053】
図11は、ケーブルジャックの中心で物体WとしてのオレンジのケーブルのRGBの測定値を最終的に示す。
【0054】
小型、堅牢(robust)、機械的、および機能的な相乗効果を用いる設計などの測定システムD、C、およびPの準同軸の装置の既に述べた利点に加えて、別の利点は、通信インタフェース、マイクロコントローラ、電源、LED表示装置、および抑制回路などの電子機器の多くの回路部品が、3つのセンサまたはシステムD、C、およびPの全てに使用できることである。
【0055】
コリメーションのためのレンズDCP2の焦点の幅がより大きくなるほど、コリメーション、すなわち光の平行度はより良くなり、直径を測定するためのシャドウイングはよりシャープな縁となる。レンズDCP2の大きい焦点の幅は、そのときケーブルとレンズの距離gがより大きくなり、したがって物体Wがケーブルジャック4a、4bを通じて中心で延びていないとしても色の検出のための像の鮮明さが維持されるので、色の決定にも有利である。しかしながら、直径測定のためにとともにさらに色の決定のために焦点の幅が増加するにつれて、光の強度は減少し、この光の強度は、両方の機能性にとって光の強度と像の鮮明さの間の妥協点が必ず見つけられるように露光時間をより長くすることによって補償されなければならない。
【0056】
光学測定システムD、C、Pを純粋に用いて細長い物体を自動検出する上述した装置は、必要に応じて、誘導的な測定システムEだけでなく他の測定システムにも結び付けることができる。ケーブルを処理する設備において、互いに対して移動することができる締付け用の顎部およびブレードを備える所定の長さに切断するデバイスまたはケーブルを絶縁するデバイスが、しばしば用意される。そのような設備については、測定システムD、C、P、Eは、締付け用の顎部の間隔の測定によって物体の外径を決定するために、またはブレードと導体の接触時におけるブレードの間隔の測定に基づいて物体内の電気伝導体の直径を決定するために用意される少なくとも1つのさらなる測定システムと組み合わせることができる。特に静電容量の特性および/または誘導的な特性を監視することによる、電気ベースに基づく測定装置は、十分に知られている。
【0057】
温度センサを測定システムD、C、P、Eと組み合わせて使用することは、温度により引き起こされる測定誤差を補償するのに有利である。この場合には、好ましくは、それぞれの測定システムにおける補正シーケンスが、温度の関数としての補正係数およびケーブルの位置の関数としての補正係数をその測定値に与えるために、自動補償するように実装される。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11