特許第6857203号(P6857203)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミソニクス インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許6857203-冷却液導通を備えた超音波切断ブレード 図000002
  • 特許6857203-冷却液導通を備えた超音波切断ブレード 図000003
  • 特許6857203-冷却液導通を備えた超音波切断ブレード 図000004
  • 特許6857203-冷却液導通を備えた超音波切断ブレード 図000005
  • 特許6857203-冷却液導通を備えた超音波切断ブレード 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857203
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】冷却液導通を備えた超音波切断ブレード
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20210405BHJP
   A61B 17/14 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   A61B17/32 510
   A61B17/14
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-39303(P2019-39303)
(22)【出願日】2019年3月5日
(62)【分割の表示】特願2016-523885(P2016-523885)の分割
【原出願日】2014年6月25日
(65)【公開番号】特開2019-141596(P2019-141596A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2019年4月4日
(31)【優先権主張番号】13/927,619
(32)【優先日】2013年6月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502167588
【氏名又は名称】ミソニクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴォイク, ダン
(72)【発明者】
【氏名】イソラ, スコット
(72)【発明者】
【氏名】マンナ, ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ダリアン, アレクサンダー
【審査官】 小金井 匠
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05188102(US,A)
【文献】 特表2004−512855(JP,A)
【文献】 特表2005−502424(JP,A)
【文献】 特表2008−538299(JP,A)
【文献】 特表2009−539551(JP,A)
【文献】 米国特許第03786814(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
A61B 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブ本体と、該プローブ本体の近位端に接続された柄とを含む超音波外科用器具であって、前記プローブ本体は、有機組織での外科手術を行うために有機組織と接触可能な作用表面又は作用端を有し、前記柄は、前記プローブ本体と反対側である近位端に、前記器具を超音波機械振動エネルギー源に動作可能に結合するためのコネクタを備え、前記柄と前記プローブ本体の一部とは、前記プローブ本体への流体輸送のための流路を備えて形成され、少なくとも、前記流路と前記作用表面又は作用端との間に位置する前記プローブ本体の部分は、前記作用表面又は作用端に延びて前記作用表面又は作用端への流体の貫通を可能にする微孔構造を有し、前記プローブ本体は、前記作用表面又は作用端への液体の流れのための前記微孔構造以外の経路を有しておらず、前記流路は、前記プローブ本体に沿って縦方向に延びる主要部を含、超音波外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波器具に関する。より具体的には、本発明は超音波切断ブレードに関する。そのブレードは、軟骨及び骨などの組織を切断する外科的用途において特に有用である。本発明はまた、その一部が、関連する外科的方法に向けられる。
【背景技術】
【0002】
整形外科の分野では、生きた骨の切断は、多くの処置に必須である。そのような処置は、事故により損傷した組織構造の復元、疾患により損傷した部分への健康な骨の移植、又は顎のラインの後退のような先天的な顔面の異常の修正を含む。何世紀にも亘って、これらの作業は骨のこぎりと呼ばれる装置の利用により行われた。
【0003】
従来の骨のこぎりは、いくつかの基本的な部類に分類される。手動のこぎり又はドリルは、まさにそれそのものであり、大工道具と似た方法で操作者が装置を動かすことを必要とする手持ち式の装置である。動力式の装置は、電動又は空気圧式にかかわらず、往復運動若しくは回転タイプのいずれかである。往復装置は、平らな、剣のようなブレードを使用し、手の代わりにモーターによって前後の動きが提供される。回転装置は、ドリルビット、又はテーブルソーの刃に似た外周に配置された歯を有した刃を回転させるために回転モーターを使用する。これらの従来の骨のこぎりはすべて、今日でも世界中で医療処置に使用されている。
【0004】
従来ののこぎりは実用的であるが、多くの不都合を有している。帯のこ又は往復のこぎりは、例えば、切断を開始すること及び方向付けることが容易でない。切断は、縁から始まらなければならないか、あるいは開始孔が使われなければならない。開始孔を作るには、ドリル又は同様の器具が骨に孔を開けるために使用される。続いて、切断ブレードが開けられた孔に挿入される。その後に、使用者は切断を始めることができる。あるいは、回転タイプのブレードが使用されても良い。しかし、回転ブレードが使用される場合、切断は、切断において切断ブレードが拘束されるのを避けるために、比較的直線な経路を辿らなくてはならない。すべての切断ブレードで、選択された切断ブレードによって湾曲した又は角度をなす切断をもたらす能力は、極めて限られている。比較的厚い切断ブレードは幅のある切り口をもたらすので、切断処置で生きた骨の大きな厚さが失われる。医師は、復元が必要であるほとんどの処置でこの幅をできるだけ薄くしたい。
【0005】
何よりも、切断用の歯を具えた従来の骨のこぎりの比較的低速な直線又は接線速度は高い摩擦抵抗を招き、これが熱を生じるようになる。2〜3秒より長く骨の温度が47℃に達すると、熱が組織の壊死を引き起こす。組織が壊死すると壊死した骨が過成長するので、手術の後で骨が退化する。そのような手術後の組織の自然な変化の間に、骨での切断部の厚さも実際に増大する。骨の退化過程は、治療が始まる前に完了しなければならない。骨の長さが短くなるのを防ぐために、金属板とねじを用いて骨の各片を適切な状態に固定する。これらの全ての要素は明らかに手術時間を長くすることになり、更に重要なことには、骨はより大きな距離をまたいで接合しなければならないので、治癒時間を劇的に増大する。いくつかの研究によると、骨の強度にも同様に悪効果をもたらすことが示されている。
【0006】
待機手術において上下いずれかの顎を切断するときには、従来ののこぎりの熱の影響は、損傷を防止するためにかなりの対応を必要とする。歯の間の顎の切断は、骨が損傷した場合又は迅速に治癒しない場合に歯の欠損をもたらす。歯の欠損を防ぐために、術前に歯を離間させなければならない。これは時に手術を行う前に最長で6ケ月間、患者に留め金を着用することを強いることになる。そのような場合には、費用と患者の不快さが劇的に増大する。
【0007】
壊死を低減すべく組織の温度上昇を抑制するために、従来の手術用のこぎりで手術部位に冷却水を供給しているものもある。例えば、特許文献1(ブリンクマンら)を参照されたい。これらの装置は一般的に、切断端に接した各部の間の空間に冷却媒体を導入するか、又は切断部位に流体を大量に送るスプレー方法による。臨床医によって用いられる別の手法は、複数の軽い切断を行い、そして器具が通過する間の時間を増加させる。その部位を潅注することと相俟って、骨の温度上昇がかなり低減される。もちろんこの手法は、手術時間と臨床医の疲労を増大させる。
【0008】
何人かの研究者は、骨の分離に超音波器具を使うことを提案している。種々の組織を切断するために超音波手術器具を使用することもよく知られている。これらの装置は、切り口の大きさの低減、騒音の低減及び複雑な形状の切断についての優れた能力などのいくつかの点で従来ののこぎりよりも優れているが、ブレード/組織の接点における摩擦加熱による骨での温度上昇は、依然として問題である。その問題は、従来の往復式のこぎりの動きに比べて、関連する素早い動きにより超音波の使用で悪化される。切断ブレードの断面積を改良して加熱を低減することを試みている設計者もいる。特許文献2(イデモト)、特許文献3(ロシロフ)、及び特許文献4(フード)はすべて、摩擦加熱を低減するために断面積を改良した切断のための設計を示している。
【0009】
いくつかの超音波装置は、切断ブレードに冷却を提供して、様々な度合いの成果を上げている。特許文献5(アルペロビッチら)は、低温に冷却された外科用メスのブレードの設計を示している。しかし、この設計は、実際には冷凍により生組織を損傷することがある。加えて、この設計は、ブレードと直接接触しない周辺組織にはいかなる冷却媒体も提供しない。
【0010】
特許文献6、特許文献7及び特許文献8(全てイデモト)は、液体冷却のための設備を備えた超音波器具の例を示す。しかし、これらの器具はいずれも、必要な場所、主にブレードの切断部に最適な冷却媒体の流れを提供せず、又は先端に冷却媒体を提供する器具については、冷却媒体用の孔が刃先の邪魔をする。邪魔された、平らでない刃先は操作を妨げ、骨の表面にブレードを導くことを難しくする。
【0011】
手術部位の潅注の有益な効果を妨げるように作用する、超音波器具に関連する現象は、超音波噴霧である。超音波振動体が流体と接触すると、流体は小さな水滴に破壊され、その大きさは振動周波数に反比例する。つまり、周波数が高いほど、水滴はより小さくて移動し易い。超音波振動によりもたらされた水滴は、大きさが非常に小さく、直径1μm未満になることもある。この現象は当分野でよく知られている。実際に多くの装置は液体を霧化することを意図しており、室内加湿器、医療用噴霧器及び工業用のスプレーノズルなどはこの原理に基づいている。しかし、手術室では、噴霧粒子の存在は、それらの粒子がウイルス性因子又は細菌性因子を含有していることがあるので好ましくない。また、一部の流体は、手術部位に到達する前に霧化して冷却効果を低下させる。確実に液体を送る効率的な方法が必要とされる。
【0012】
特許文献9は、冷却を備えた超音波外科用ブレードを開示する。それは、滑らかに連続した切断刃及び柄を備えたブレード本体を有し、柄は一端でブレード本体に結合し、他端で動作可能に超音波振動源に接続できる。柄は、冷却液の切断刃への輸送のための軸方向に延びた孔を備える。一方で、ブレード本体は、一端でその孔に繋がる軸方向に延びた貫通するスロットを備える。ブレード本体は、好ましくは、柄の反対端に、スロットから切断刃に液体を供給するために上記の孔と繋がった凹部を備える。その凹部は、少なくとも切断刃の一部に平行する形状を有することができる。例えば、切断刃が円形であり、ブレード本体が液体供給誘導面と切断刃との間に平らな表面を有する場合、凹部は、平らなブレード面に対して傾斜して円弧の形で広がる液体供給面を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第4008720号明細書
【特許文献2】米国特許第5188102号明細書
【特許文献3】米国特許第4188952号明細書
【特許文献4】米国特許第5261922号明細書
【特許文献5】米国特許第4823790号明細書
【特許文献6】米国特許第5205817号明細書
【特許文献7】米国特許第5188102号明細書
【特許文献8】米国特許第4832683号明細書
【特許文献9】米国特許第6379371号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、改良された冷却能力を有する改良された超音波器具又はプローブを提供することを目的とする。本発明の超音波器具又はプローブは、特に薄い切り口の切断を可能にし、切断のために予めドリルで開けられた孔を必要とせず、複雑な形状の切断を可能にし、連続的な切断面を有し、かつ主にブレード/組織の接触面において液体潅注を提供する、超音波切断ブレードの形を取ることができる。より具体的には、本発明は、生組織への熱損傷を低減又は抑制する冷却媒体の輸送についての改良された提供を備えた超音波振動する切断ブレードに関連する。本発明は、特に手術における生骨切断の用途を標的とするが、その装置はその用途に限定されない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の超音波外科用器具は、有機組織での外科手術を行うために、その組織と接触可能な作用表面又は作用端を有するプローブ本体を含む。その器具は、プローブ本体の近位端に接続された柄を更に含み、その柄は、プローブ本体と反対の端に、その器具を超音波機械振動エネルギー源に動作可能に結合するためのコネクタを備える。柄とプローブ本体の一部とは、プローブ本体への流体輸送のための流路を備えて形成される。少なくとも、流路と作用表面又は作用端との間に位置するプローブ本体の部分は、流路から作用表面又は作用端への流体の貫通を可能にする微孔構造を有している。
【0016】
流路は、プローブ本体に沿って縦方向に延びる主要部と、主要部から作用表面又は作用端へ向かって、少なくとも一部で横方向に延びる少なくとも1つの枝状部とを含むことができる。流路の枝状部は、主要部から作用表面又は作用端へ向かって途中までしか延びず、主要部と反対側に、作用表面又は作用端から離れた自由端を有する。
【0017】
好ましくは、少なくともプローブ本体の流路と作用表面又は作用端との間の部分は、焼結材料で作られる。プローブ本体は、その全体が焼結材料で作られてもよい。
【0018】
液体送り込み流路は複数の枝状部を含み、それぞれの枝状部が、その流路の主要部からプローブ本体の作用表面又は作用端へ向かって、少なくとも一部で横方向に延びてもよい。それぞれの枝状部は、主要部から作用表面又は作用端へ向かって途中までしか延びない。各枝状部は、主要部と反対側に、作用表面又は作用端から離れたそれぞれの自由端を有する。個々の枝状部の自由端とプローブ本体の外表面又は外端との間の部分は、好ましくは焼結材料で作られる。
【0019】
プローブ本体は、ブレードの一対の反対の縦方向の端及び遠位端によって輪郭が定められた一対の反対の主表面を有する扁平又は平らな切断ブレードの形をとってもよい。作用表面又は作用端は、一部が縦方向の端の一方に沿って延び、一部が遠位端に沿って延びる。そのブレードは、送り込み流路からブレードの外表面及び/又は外端への液体の導通を可能にするために、部分的に又は全体が焼結材料で作られる。
【0020】
本発明の超音波器具又はプローブでの微孔構造は、液体送り込み流路から作用表面又は作用端に延びる多数の細孔経路を定めるか又は可能にする。プローブ本体は、流路から作用表面又は作用端への液体の流れのための他の経路を有していない。
【0021】
本発明の外科的方法は、プローブ本体と、その近位端に接続された柄とを有する超音波外科用器具を与えることを含む。プローブ本体は、作用表面又は作用端を有する。柄及びプローブ本体は流路を備えて形成され、少なくともプローブ本体の流路と作用表面又は作用端との間の部分に微孔構造を有する。その方法は、柄の近位端を超音波機械振動源に作動可能に接続することと、流路を液体供給源に作動可能に結合することと、プローブ本体を患者の手術部位に移動させることと、作用表面又は作用端を手術部位において有機組織に接触させて配置することとを更に含む。作用表面又は作用端を有機組織と接触させながらプローブ本体において超音波機械振動を発生させ、それによって作用表面又は作用端を超音波振動させる。作用表面又は作用端が有機組織と接触し、かつプローブ本体で超音波機械振動が発生している間に、使用者は加圧により液体供給源から流路へ、そしてその流路からプローブ本体の複数の細孔経路を通って作用表面又は作用端へ、液体を供給する。
【0022】
上述されたように、プローブ本体は、流路から作用表面又は作用端への液体の流れのための他の経路を有していない。したがって、液体供給源からプローブ本体の作用表面又は作用端への加圧による液体供給は、流路と作用表面又は作用端との間の細孔経路のみを通って液体を移動させることを含む。
【0023】
プローブ本体は、一対の反対の縦方向の端及び遠位端によって輪郭が定められた、一対の反対の主表面を有する扁平又は平らな切断ブレードの形をとって、作用表面又は作用端は、一部が縦方向の端の一方に沿って延び、一部が遠位端に沿って延びてもよい。この場合、本発明の外科的方法は、プローブ本体において超音波機械振動を発生させること及び作用表面又は作用端を超音波振動させることにより有機組織を切断することを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の超音波外科用器具、ブレード、又はプローブの概略側面図である。
図2図1の超音波外科用器具、ブレード、又はプローブの平面図であり、その器具、ブレード、又はプローブでの液体輸送流路の一形態を示す。
図3図2と同様の平面図であり、上記器具、ブレード、又はプローブでの液体輸送流路の別の形態を示す。
図4図2、3と同様の平面図であり、上記器具、ブレード、又はプローブでの液体輸送流路の更なる形態を示す。
図5図1にVで示された部分に対応する、図1、2の超音波外科用器具、ブレード、又はプローブの遠位端部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1、2に記載されるように、超音波外科用器具10はプローブ本体12を含む。プローブ本体12は、有機組織OTでの外科手術を行うために、その組織と接触可能な作用表面又は作用端14を有する。器具10は、プローブ本体12の近位端に接続された柄16を更に含み、柄16は、プローブ本体と反対の端に、その器具をハンドピース22における超音波機械振動エネルギー源20、例えば圧電物質又は磁歪振動子に動作可能に結合するためのコネクタ18を備える。柄16及びプローブ本体12の一部は、プローブ本体への流体輸送のための流路24を備えて形成される。少なくとも、流路24と作用表面又は作用端14との間に位置するプローブ本体の部分26は、流路から作用表面又は作用端への流体の貫通を可能にする微孔構造28(図5)を有している。
【0026】
図1、2の実施形態では、流路24は、柄16及びプローブ本体12の中心を延びる直線状の孔の形をとる。しかし、図3に示されるように、ブレード又はプローブ本体12’における流路24’は、代わりにプローブ本体12に沿って縦方向に延びる縦方向の主要部30と、主要部30から、プローブ本体12’に沿って縦方向に設けられた作用表面又は作用端34、36へ向かって横方向若しくは垂直方向に延びる1つ以上の補助部又は枝状部32とを有する。流路24’の枝状部32は、主要部30から作用表面又は作用端34、36へ向かって途中までしか延びず、それぞれが主要部30と反対側に、作用表面又は作用端34、36から離れた自由端38を有する。図3において、ブレード又はプローブ本体12’は、好ましくは全体に亘ってだが、少なくとも枝状部32の端38とブレードの端34、36との間の領域に微孔構造(図5の28)を有し、流路24’から作用表面又は作用端への流体の貫通を可能にする。
【0027】
図4は、流路24の別の変形を示す。図4に示されるように、流路24”は、ブレード又はプローブ本体12”に沿って縦方向に延びる縦方向の主要部40と、1つ以上の傾いた又は角度を付けられた枝状部42とを代わりに含む。枝状部42は、主要部40から、プローブ本体12”の縦方向の作用表面又は作用端44、46に向かって、一部で横方向に延び、一部で縦方向に延びる。流路24”の枝状部42は、主要部40から作用表面又は作用端44、46へ向かって途中までしか延びず、それぞれが主要部40と反対側に、作用表面又は作用端44、46から離れた自由端48を有する。
【0028】
図4において、ブレード又はプローブ本体12”は、好ましくは全体に亘ってだが、少なくとも枝状部42の端48とブレードの端44、46との間の領域に微孔構造(図5の28)を有し、流路24”から作用表面又は作用端への流体の貫通を可能にする。
【0029】
微孔構造を有するブレード又はプローブ本体12、12‘、12”のその部分は、焼結材料で作られることができる。ブレード又はプローブ本体12、12‘、12”は、その全体が焼結材料で作られてもよい。
【0030】
プローブ本体12、12‘、12”は、ブレードの反対の縦方向の2つの端(例えば、端34、36、44、46)及び遠位端(図1、2の14)によって一部の輪郭が定められた、一対の反対の主表面50、52(図1)を備えた扁平又は平らな形状の骨切断ブレードあってもよい。ブレード又はプローブ本体12、12‘、12”は作用表面又は作用端を有し、作用表面又は作用端は、一部が端(34、36;44、46)の一方又は両方に沿って延び、一部が遠位端14に沿って延びる。上述したように、ブレード又はプローブ本体12、12‘、12”は、送り込み流路24、24‘、24”からブレードの外表面及び/又は外端への液体の導通を可能にするために、部分的に又は全体が焼結材料で作られる。
【0031】
図5に示されるように、超音波器具又はプローブ10での微孔構造28は、液体送り込み流路24、24‘、24”から作用表面又は作用端14、34、36、44、46に延びる多数の細孔経路54を定めるか又は可能にする。プローブ本体は、流路24、24‘、24”から作用表面又は作用端14、34、36、44、46への液体の流れのために、細孔経路のみを有する。
【0032】
外科的方法での微孔性の超音波外科用器具10の使用において、使用者は、コネクタ18を介して柄16を超音波機械振動源20に接続し、液体送り込み流路24、24‘、24”を液体供給源56(図1)に作動可能に結合する。そして、ブレード又はプローブ本体12、12‘、12”を患者の手術部位OTに移動させる。次に使用者は、ブレード又はプローブ本体12、12‘、12”の作用表面又は作用端14、34、36、44、46を、手術部位において有機組織OTに接触させて配置する。作用表面又は作用端14、34、36、44、46を有機組織OTと接触させながら、振動源又は振動子20を作動させて、ブレード又はプローブ本体12、12‘、12”において超音波機械振動(一般的に所定の波長又は周波数の定常波)を発生させる。それにより、所定の周波数で作用表面又は作用端14、34、36、44、46を超音波振動させる。作用表面又は作用端14、34、36、44、46が有機組織OTと接触し、かつブレード又はプローブ本体12、12‘、12”で超音波機械振動が発生している間に、使用者は加圧により液体供給源56から液体送り込み流路24、24‘、24”へ、そしてその流路から、図5の矢印58で示されるように、ブレード又はプローブ本体12、12‘、12”の複数の細孔経路54を通って作用表面又は作用端14、34、36、44、46へ、液体を供給する。
【0033】
ブレード又はプローブ本体が扁平又は平らな切断ブレードである場合、その方法は、ブレード又はプローブ本体12、12‘、12”での超音波機械振動の発生及び作用表面又は作用端14、34、36、44、46の超音波振動によって、有機組織OTの切断を引き起こしてもよい。
【0034】
本発明は特定の実施形態及び用途について説明されたが、当業者は、この教示を踏まえると、本発明の趣旨から外れること又は本発明の範囲を超えることなく、更なる実施形態及び修正を生み出すことが可能である。例えば、本発明は、骨切断ブレードでの特定の用途を提供するが、実際には冷却液又は残屑引込液が、有機組織又は他の標的物に接触する超音波器具の表面に器具本体を通って運搬されなければならないあらゆる超音波器具に関連する。従って、図面及び本明細書の記載は、本発明の理解を容易にするために例示の目的で提供されることが理解されるべきであり、本発明の範囲を限定すると見なされるべきではない。
【符号の説明】
【0035】
10 超音波外科用器具
12、12’、12” プローブ本体
14 作用表面又は作用端
16 柄
18 コネクタ
20 超音波機械振動エネルギー源
22 ハンドピース
24、24’、24” 流路
26 流路と作用表面又は作用端との間に位置するプローブ本体の部分
28 微孔構造
30 流路の主要部
32 流路の補助部又は枝状部
34、36 作用表面又は作用端
40 流路の主要部
42 流路の枝状部
44、46 作用表面又は作用端
48 自由端
50、52 主表面
56 液体供給源
58 液体供給を示す矢印
OT 有機組織
図1
図2
図3
図4
図5