(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857256
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】ビール/ハード・サイダー濃縮物を生成するためのシステムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
C12H 1/16 20060101AFI20210405BHJP
C12H 1/052 20060101ALI20210405BHJP
C12H 1/044 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
C12H1/16
C12H1/052
C12H1/044
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-557783(P2019-557783)
(86)(22)【出願日】2018年4月24日
(65)【公表番号】特表2020-517282(P2020-517282A)
(43)【公表日】2020年6月18日
(86)【国際出願番号】US2018029162
(87)【国際公開番号】WO2018200538
(87)【国際公開日】20181101
【審査請求日】2019年12月24日
(31)【優先権主張番号】62/489,229
(32)【優先日】2017年4月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509009795
【氏名又は名称】クアーズ ブリューイング カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Coors Brewing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク・ハヴェル
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・ダーキー
【審査官】
福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2016/210337(WO,A1)
【文献】
特開昭61−271959(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0377429(US,A1)
【文献】
米国特許第02433411(US,A)
【文献】
欧州特許出願公開第03026104(EP,A1)
【文献】
特開平07−060005(JP,A)
【文献】
特開2000−014378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12H
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビール抽出物を醸造ビール又はハード・サイダーから生成するための方法であって、
前記醸造ビール又はハード・サイダーのストリームを、前記醸造ビール又はハード・サイダーの前記ストリームが通過するラインを有して成る前処理ステーションに導入すること、
前記前処理ステーションのラインを窒素ガスでパージして、窒素パージした醸造ビール又はハード・サイダーから、処理された飲料ストリームを生成すること、
前記処理された飲料ストリームを、正浸透(FO)装置内へと前記FO装置の濾過膜の一方の側と接触するように導入すること、
駆動溶液のストリームを、前記FO装置内へと前記濾過膜の反対側と接触するように導入すること、 前記処理された飲料ストリーム及び前記駆動溶液を連続的に流し、FOにより、水が前記処理された飲料ストリームから前記駆動溶液中へと濾過膜を通過して、前記処理された飲料ストリームから水を除去すること、
前記処理された飲料ストリームから水を除去してビール抽出物を生成し、前記ビール抽出物を前記FO装置から出し、及び
前記FO装置から出る前記ビール抽出物をパッケージングのためにパッケージング・ステーションへと送ること、
を含む、
方法。
【請求項2】
前記FO装置に入る前記処理された飲料ストリームの温度を約−1℃から20℃の範囲内に維持することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水の漸次的追加により前記ビール抽出物の最終アルコール度数を調整することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記前処理ステーションのラインを窒素ガスでパージすることにより、前記醸造ビール又はハード・サイダーから溶存酸素が除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記前処理ステーションで、前記醸造ビール又はハード・サイダーから前記溶存酸素を除去することにより、約25ppb未満の溶存酸素のレベルを有する前記処理された飲料ストリームが生成される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記前処理ステーションのラインを窒素ガスでパージすることにより、前記醸造ビール又はハード・サイダーから溶存二酸化炭素の量が減じられる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記前処理ステーションで、前記醸造ビール又はハード・サイダーから前記溶存二酸化炭素の量が減じられることにより、1リットルあたり1.0g未満の溶存二酸化炭素のレベルを有する前記処理された飲料ストリームが生成される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記FO装置に入る前に、前記方法が72時間以下で一定時間−5℃から−1℃の温度で、前記処理された飲料ストリームのチルプルーフィングにより、物理的安定化を実施することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
チルプルーフィングが、タンニン酸、SiOH、及び/又はPVPPのいずれか1つもしくは選択された組合せの選択的な追加を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
醸造ビール又はハード・サイダーからビール抽出物を生成するためのシステムであって、
前記醸造ビール又はハード・サイダーのストリームを受容し、前記醸造ビール又はハード・サイダーの前記ストリームを前処理ステーションのラインに通し、前記前処理ステーションのラインを窒素ガスでパージし、処理された飲料ストリームを窒素パージされた醸造ビール又はハード・サイダーから生成する、前処理ステーション、
前記処理された飲料ストリームを前記前処理ステーションから受容し、前記処理された飲料ストリームをFO装置の濾過膜の一方の側と接触するように導入する正浸透(FO)装置、
前記FO装置中へと流れ、及び前記濾過膜の反対側と接触する駆動溶液のストリーム、並びに
前記処理された飲料ストリームを加圧し、前記処理された飲料ストリームを連続的に前記FO装置に流す少なくとも一つのポンプ
を有して成り、
FOにより前記濾過膜が、濾過膜を介して水を処理された飲料ストリームから駆動溶液中へと通過させ、
前記処理された飲料ストリームから水を除去してビール抽出物を生成する、システム。
【請求項11】
前記FO装置の下流側に配置されたパッケージング・ステーションをさらに有してなり、前記パッケージング・ステーションが24体積%から33体積%のアルコールで前記ビール抽出物を受容する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記前処理ステーションのラインを窒素ガスでパージすることにより、前記醸造ビール又はハード・サイダーから溶存酸素が除去される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記前処理ステーションで、前記醸造ビール又はハード・サイダーから前記溶存酸素を除去することにより、25ppb未満の溶存酸素レベルを有する前記処理された飲料ストリームが生成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記前処理ステーションのラインを窒素ガスでパージすることにより、前記醸造ビール又はハード・サイダーから溶存二酸化炭素の量が減じられる、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記前処理ステーションで、前記醸造ビール又はハード・サイダーから前記溶存二酸化炭素の量が減じられることにより、1リットルあたり1.0g未満の溶存二酸化炭素のレベルを有する前記処理された飲料ストリームが生成される、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)の定めにより、2017年4月24日に出願された、「ビール/ハード・サイダー濃縮物を
生成するためのシステム
およびその方法」と題された米国仮出願第62/489,229号に対する利益と優先権(又は優先権の利益;the benefit of and priority)を主張し、参照することにより本明細書内に、その全開示が、教示するすべて及びすべての目的のため、全体として盛り込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明はアルコール飲料の水分量を低減するためのアルコール飲料の処理に関するものであり、より具体的には、飲料から水が除去される正浸透処理を含む醸造麦芽/ハード・サイダー飲料濃縮物を生成するためのシステムと方法に関するものである。
【0003】
ビール、ラガーなどの麦芽飲料、及びハード・サイダーにおける主成分は水である。飲料の保管及び輸送に関連するコストのため、保管及び輸送コストを低減できるよう、飲料中に含まれる水分量を減らすためにいくつかの技術が開発されて
きた。水の含有量を減らす簡単な方法は、完成した醸造ビール製品から水をろ過する、又は水を蒸発により除去する方法を含む。その結果として得られる製品(The resultant product)は、飲料が非常に軽く体積が小さい濃縮した形で小売店に運ぶことができる。次に、消費者の飲食(又は消費;consumption)前に飲料を再構成(又は元にもどす;reconstitute)するために水及び炭酸水が加えられる。
【0004】
ソフトドリンクなどの他の飲料の場合、水および炭酸水を加えることにより飲食用に調製されるシロップ混合物又は溶液を、小売販売で提供することはよく知られている。 一般的に、ソフトドリンクは、麦芽飲料と比較して、非常にシンプルな風味と香り成分を有している。したがって、製造施設で調製される、十分に加水(又は水和;hydrated)および炭酸化された飲料と比較して、濃縮物から作られた飲料の品質に実質的な低下はない。
【0005】
アルコールの麦芽飲料及びハード・サイダーはソフトドリンクより非常に複雑である。製造施設/醸造所から提供される完成した醸造製品と比較して、再構成された醸造飲料の味の実質的な違いのため、麦芽飲料を脱水する従来の試みは得に成功していない。
【0006】
アルコール飲料を濃縮するための先行技術を開示する文献の一例として、米国特許第4,792,402号が挙げられる。この文献は、含水量が低い飲料濃縮物を作るために飲料に逆浸透(RO)を実施することを含むアルコール飲料の濃縮方法を開示している。RO工程で使われる膜は水を通過させるが、飲料のアルコール及び揮発性風味成分に対しても少なくとも部分的に透過性がある。膜は溶解した固形分(又は溶解した個体;dissolved solids)に対して不透過性であり、逆浸透からの透過物(又は浸透物又は濾過液;the permeate)はその後蒸留工程に付され、膜を通過する飲料のアルコール及び揮発性風味成分を分離する。回収されたアルコール及び揮発性風味成分は飲料濃縮物へ戻される。この文献によると、透過物(又は濾過液;the permeate)を通過し透過物の中に移る比較的低分子量の
風味成分は、飲料のほかの成分と比較して蒸留温度に対して比較的安定である。それゆえ、透過物(又は濾過液;the permeate)の蒸留は、加水時(又は水和時;when hydrated)の飲料の香り及び風味成分に大きく影響しない。
【0007】
アルコール飲料を濃縮するための方法を開示する他の文献には、米国特許第3,323,920号がある。この発明は、結晶化と蒸留による飲料の濃縮方法を含む。より具体的には、前記方法は混合物を冷却することを含む方法であり、その混合物は結晶化によって多成分の水溶性液体(a multi-component aqueous liquid resolvable)を含み、かつ水より揮発する成分を含んでおり、その混合物を冷却することにより、水の少なくとも一部を凍結し、母液中に氷の結晶のスラリーを形成することを含む方法である。その母液は氷の結晶から分離される。母液は蒸留され、オーバーヘッド(又は塔頂;overhead)の揮発性成分の少なくとも一部を除去し、次に底部を回収する。
【0008】
アルコール飲料濃縮物を開示する別の文献は、公開された国際出願番号WO84/03102号が挙げられる。この発明によると、アルコール飲料を濃縮するための方法は、飲料に逆浸透を実施し飲料濃縮物を生成することを含む。水はRO膜を通過することができ、いくらかのアルコール及び揮発性
風味成分の透過を可能とするが、溶解した固形分(又は溶解した個体;dissolved solids)は不透過である。次に、逆浸透からの透過物(又は濾過液;the permeate)は蒸留され、アルコール及び風味のある化合物成分を分離する。次に、蒸留工程から回収したアルコール及び揮発性成分は、逆浸透からの飲料濃縮物と再度組み合わせる。
【0009】
ビール濃縮物を調製するための方法を開示する別の文献は、欧州特許第EP3101114A1がある。この文献は、2つのステップを有する濃縮方法を開示し、第1のステップは、高濃度の残渣物(又は高濃度保持液;a highly concentrated retentate)、かつアルコールと揮発性
風味成分を含んで成る水溶透過性の留分(an aqueous permeate fraction)を生成する高効率ナノろ過を含む。第2のステップは、透過性の留分(permeate fraction)から水を除去することを含み、揮発性
風味成分を含んで成る高濃縮されたアルコール溶液を得て、次にこれを1つ目のステップの残渣物(又は保持液;retentate)と組み合わせて、最終飲料濃縮物を生成するものである。
【発明の概要】
【0010】
飲料を濃縮するための上記、及び他の先行技術に関連する一つの重要な問題は、多くの風味及び香り成分が依然犠牲となっていることである。つまり、これら成分の多くは濃縮工程で失われ、回収することができない。したがって、飲料が再加水されるとき、本来の飲料が持つ特有の風味及び香りのいくらかが失われる。
【0011】
本発明によれば、飲料濃縮物を
生成するためのシステムと方法が提供される。本発明のある態様によると、麦芽飲料、ビール、又は醸造ハード・サイダーのための飲料濃縮物(本明細書中ではビール抽出物として記載する)を生成する方法を含む。ビール抽出物は、従来(又は標準又はありきたり又は普通;conventional)の醸造ビール、又はハード・サイダーから純水を除去する正浸透(FO)膜技術を用いて
生成される。ビール抽出物は、蒸留、逆浸透、その他の処理工程のようなさらなる工程を伴わずに生成される。FO膜から得られた残渣物(又は濾過物;retentate)は、通常(regular)のビールのほぼ全ての特性を維持している。したがって、逆浸透及び蒸留を利用する従来技術で失われる香り及び風味成分は、本発明において徹底的(thoroughly)に保持される。
【0012】
ある好ましい実施形態に従うと、本方法は標準的な高比重ビール(例えば5〜20%のABVを含むビール)、麦芽飲料、又は醸造ハード・サイダーを、一つ以上のFOろ過膜のセット(又は組合せ;set)、又はバンク(又は集合体;banks)を含む正浸透膜装置を通して導入することを含む。さらに以下で説明されるように、濾過膜の一方が脱水されるビールと接触し、濾過膜のもう一方が駆動溶液(又はドロー溶液;draw solution)と接触し、濾過膜を通してビールから水を“引き出す”。透過する水(The permeate water)と駆動溶液は希釈された駆動溶液を規定(又は生成;define)し、続いて希釈された駆動溶液は、過剰な水分を除去するために処理される保持タンクに再利用(又は再循環又はリサイクル;recycle)のため輸送される。ビール抽出物はさらなる処理工程を必要としないパッケージの準備がされる。ある特定の実施形態によると、ビール抽出物は、抽出物が約24〜33%のABVを有するように水分量を減らす。
【0013】
希釈された駆動溶液は、再利用のため本来の強度に戻さなければならず、再利用は水及び駆動溶液を逆浸透(RO)工程のカスケードセット(cascading set)に通して通過することにより達成され得る。第1のRO工程において、第1のRO工程からの残渣溶液(又は保持溶液;retentate solution)が別のROろ過、又は蒸留工程に送られる。第2のRO工程からの残渣溶液(又は保持溶液;retentate solution)はさらに別のROろ過工程へ送ってもよく、及びこの駆動溶液のカスケーディング、又はシリアル処理は、処理後の溶液(又は結果として生じる溶液;resultant solution)が所望の水分濃度になるまで続けられる。次に、この処理後の溶液(又は結果として生じる溶液;resultant solution)はFO濾過で再度用いることができる。各RO工程からの透過ストリーム(又は透過液の流れ;The permeate stream)は、所望の水分濃度に処理されるまで駆動溶液の継続的な循環があるように類似の水分量を持つ前記RO濾過工程に戻されてよい。
【0014】
本発明の別の態様によると、FO濾過に入る前にいかなる前処理に付されない麦芽飲料の代わりに、飲料を濃縮される状態により良くするために、ビールを前処理(pre-treated)、又は予めの条件に合わせて調整する(preconditioned)ことができる。例えば、麦芽飲料において溶存酸素を除去することが望ましい。これは窒素ガスを伴うパッキングラインの使用により達成でき、ビールは窒素ガスでパージされたパッキングラインを通過することで溶存酸素が除去される。有利になり得る溶存酸素の一つのレベルは、25ppb未満の溶存酸素を有するビールである。二酸化炭素のようなビール中の他のガスに関しては、溶存二酸化炭素をビール1リットル当たり二酸化炭素1.0g未満のレベルへと減らすために窒素パージを用いることもできる。
【0015】
本発明のさらに別の態様によると、麦芽飲料、又はハード・サイダーの供給ストリーム(又は供給流れ;the feed stream)を所望の温度範囲で維持することが望ましい可能性があることがわかり、その温度範囲では飲料をFO濾過で最適に濾過でき得る。例えば、ビールの温度は約−1℃と20℃の間の範囲に維持することができる。
【0016】
本発明のさらに別の態様によると、チルプルーフィング(chill proofing)と呼ばれる麦芽ビール、又はハード・サイダーの供給ストリームの物理的安定化を供することが望ましい。例えば、物理的安定化はタンニン酸、SiOH、PVP
P、たんぱく質分解酵素、ペクチナーゼ分解酵素をいずれか1つ、若しくはこれらの中から選ばれた組み合わせを選択的に添加、及び/又は約72時間以下の間で−7℃から−1℃の温度で冷却処理することにより達成することができる。
【0017】
駆動溶液の組成(又はフォーミュレーション又は配合;formulation)に関して、ある一つの組成は、エタノール及びグリセロールの組み合わせを、残りの調整用の水(remaining balance of water)と共に一般的に含み得る。エタノール及びグリセロールの濃度は変化してよいが、本発明のための一つの実施可能な組成は、28%から38%のABVエタノール、6%から12%のグリセロール、及び残りの調整用の水(remaining balance of water)を含み得る。一般的に、エタノールはビール中のアルコールがFO濾過の間にビールから抜けることを防ぐ。グリセロールは、麦芽飲料から水を系外に移動させるために、麦芽飲料ストリーム(又は麦芽飲料の流れ;the malt beverage stream)に浸透圧の上昇をもたらす。
【0018】
本発明で用いることができる正浸透のための濾過膜の一つの例は、Porifera,Incに譲渡された、「浸透用の薄型フィルム複合膜、及びこれらの調製方法」と題する米国特許第8,920,654号で開示されており、この文献はその全体が本明細書に組み込まれている。本発明のFOろ過に使用され得る膜構造を開示するPorifera,Incに譲渡された別の米国特許は、「改良された流体分離用のマトリックス(又は母体;matrix)層における1−Dナノ粒子が配列された膜」と題された米国特許第9,216,391号に記載されており、この参考例はそれ全体が本明細書に組み込まれている。
【0019】
本発明のさらなる特徴と利点は、詳細な説明のレビューと共に図面のレビューから明らかになるだろう。
【0020】
これら及び他の利点は、本開示から明らかになるだろう。
【0021】
「少なくとも一つ」、「一つ以上」、並びに「及び/又は」という語句は、動作に関連しおよび関連しない制限のない表現である。例えば、表現「A、B、およびCの少なくとも一つ」、「A、B、又はCの少なくとも一つ」、「A、B、およびCの一つ以上」、「A、B、又はCの一つ以上」、並びに「A、B、及び/又はC」の各々はAのみ、Bのみ、Cのみ、AとBが一体となって、AとCが一体となって、BとCが一体となって、あるいはA、B及びCが一体となってということを意味する。
【0022】
用語「a」又は「an」の要素(又はエンティティ又は実体;entity)は、一つ以上の要素を意味する。したがって、用語「a」(又は「an」)、「一つ以上」及び「少なくとも一つ」は本明細書で互換的に使うことができる。また、用語「含んで成る(comprising)」,「含んで成る(including)」,及び「有する(having)」は互換的に使うことができることを留意されたい。
【0023】
本明細書で用いられる用語「自動化(automatic)」及びその変形例は、プロセス又は操作が実行されるときに、身体的な(又は有形の;material)人による入力なしで実施された任意のプロセス、又は操作に関するものである。しかしながら、たとえプロセス、又は操作の実施が身体的な又非身体的な人間のインプットを使用しても、もしそのインプットがプロセス又は操作の実施前に受け取ったなら、プロセス又は操作は自動にすることができる。もしそのようなインプットが、プロセス又は操作を実行する方法に影響を与えるならば、人間のインプットは身体的であると見なされる。プロセス又は操作の実行に同意する人間のインプットは、「身体的」と見なされない。
【0024】
本明細書で使用される用語「手段(means)」は、米国特許法112条6項に従って、可能な限り広い解釈を与えられることを理解されたい。従って、用語「手段(means)」を組み込むクレームは、本明細書に記載されたすべての構造、材料又は動作をカバーし、その同等物の全てをカバー(又は取り扱う、満たす;cover)する。さらに、その構造、材料又は動作、及びその同等物は、本発明の概要、簡単な図面の説明、詳細な説明、要約、及びクレーム自体に説明されたものを全て含む。
【0025】
上記は、本開示のいくつかの態様を理解するための本開示の簡略化した概要である。この概要は本開示の広範囲で包括的な要約ではなく、様々な態様、実施形態、及び/又は構成でもない。本開示の重要な又は重大な要素を特定することもなければ、本開示の範囲を線引きすることもないが、下記に記載されるより詳細な説明への導入部分として、簡略化された形態で本開示の選択された概念を示すことを意図している。理解されるように、本開示の他の態様、実施形態、および/又は構成は、上記に記載された又は下記に詳細に説明された一つ以上の特徴を単独若しくは組み合わせて利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の方法を示す簡略化したフロー図である。
【0027】
【
図2】
図2は、本発明のシステムを示す簡略化された概略図である。
【0028】
【
図3】
図3は、RO装置のカスケード又は一連のシステムにより、希釈された駆動溶液から水を分離する一つの方法を示す簡略化された概略図である。
【0029】
【
図4】
図4は、蒸留の後に続く単一段のRO濾過により、希釈された駆動溶液から水を分離する別の方法を示す別の簡略化された概略図である。
【0030】
【
図5】
図5は、最初の逆浸透濾過に続く蒸留により希釈された駆動溶液から水を分離する更に別の方法を示す更に別の簡略化された概略図である。
【0031】
添付図において、類似の構成要素および/又は特徴は、同じ参照符号を有して良い。さらに、同じタイプの様々な構成要素は、類似の構成要素の間で区別する文字によって参照符号を付与することにより区別してよい。もし最初の参照符号のみが明細書に使われているならば、その説明は、2番目の参照符号に関係なく、同じ最初の参照符号を有する類似の構成要素のいずれか一つに適用できる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、麦芽飲料又はハード・サイダーから、水のごく一部(fractional portion)を除去するための正浸透(FO)濾過を含む麦芽飲料濃縮物を生成するためのシステムと方法を含む。
【0033】
まず
図1の簡略化したブロック図を参照すると、麦芽飲料のような、処理される液体10の供給ストリームが供される。ステップ12で、ストリームの任意の前処理が行われ得る。前述のように、前処理は酸素及び二酸化炭素のような溶存ガスの除去を含み得る。ある実施形態においては、前処理の一部としてストリームを過熱又は冷却してよい。ステップ14で、FOろ過に麦芽飲料のストリームが導かれ、麦芽飲料のストリームをFO膜の一方の側と密接に接触させる。ステップ16で、FO濾過装置に駆動溶液が導入され、FO膜の反対側と密接に接触させる。ステップ18で、飲料ストリームの脱水が行われ、膜を横切る浸透圧の違いにより水を飲料から駆動溶液中へと膜を介して通過させる。ステップ20で、FO濾過から得られたビール抽出物が所望のパッケージ構造(又は形態;configuration)へ運ばれる。ステップ22で、麦芽飲料のストリームの脱水を継続するために、FO濾過装置へ駆動溶液が再導入され得るように、駆動溶液を再利用(又は再循環又はリサイクル;recycle)する。さらに詳細に説明するが、駆動溶液の再循環は逆浸透、蒸留、及びこれらの組合せを含む複数の方法で達成され得る。
【0034】
本発明の方法によれば、駆動溶液中のエタノールとグリセロールは、駆動溶液の浸透圧よりも高くなるよう麦芽飲料中の水の浸透圧の上昇をもたらす。これにより、浸透圧の違いが、膜を横切り駆動溶液中へ水の流れを生じさせる。さらに、駆動溶液中のエタノールの存在が、エタノールが飲料から出ていくことを防ぐ。他の選択された構成要素は、選択された成分がFO膜を通過することを生じさせる又は防ぐために駆動溶液に加えられてよい。
【0035】
図2の簡略化された概略図を参照すると、麦芽飲料から水を除去するような溶液の水を除去するためのシステムが、本開示の実施形態に従って示されている。麦芽飲料のストリーム30は任意の前処理又は事前調整(又は前調整又は予備調整用;pretreatment or preconditioning)ステーション32に導入される。次いで、処理された飲料ストリーム34はFOろ過装置40に向けて下流側へ導入される。FOろ過装置40は、その中に配置された一つ以上のFO膜46を有する。当該装置40は、所望の生成要件を満たすため、装置を通して所望の体積流量を操作するよう構成されている。例えば、当該装置は、脱水と所望の処理能力を最適化するための飲料の流路を供する、一つ以上のFO膜46を有するように構成され得る。流路は、蛇行模様(又は波線模様;a serpentine pattern)の流路、又は任意の他の曲がりくねった流路(又はねじれた流路;torturous flow)を含み
得て、当該流路は、飲料ストリームと駆動溶液の両方と接触するFO膜の表面積が所望の飲料ストリームの脱水レベルを保証するものである。又、FO膜装置が、所望の処理生成要件に対応するために直列又は並列に配置された複数のFOろ過装置を含むことができることも考慮する。
【0036】
飲料ストリームと駆動溶液ストリームはFO装置を通して所望の流速をもたらすために加圧され得る。従って、一つ以上のポンプ38がそれぞれのストリームを加圧するために使用することができる。代替方法として、これらストリームの一方又は両方は、ストリームが装置を通して流れるために十分な圧力ヘッド(sufficient pressure heads)を有するFO装置を通して自重(又は重力;gravity fed)にて供給することができる。
【0037】
処理された飲料ストリームは、ビール抽出物42としてFOろ過装置の下流から出ていく。次いで、ビール抽出物42はパッケージング・ステーション(packa
ging station)44に送られる。駆動溶液のストリーム50は、飲料ストリームに対して向流(又は逆流;countercurrent)の関係でFOろ過装置に流入するように示される。しかしながら、飲料ストリームと駆動溶液は装置40を通して互いに同じ方向に流すことができることは理解されよう。希釈された駆動溶液ストリーム52は装置40の下流側から出て、次いでリサイクル(又は再利用又は再循環;recycle)ステーション60へ導入される。リサイクルステーション60は、一つ以上の水回収装置を含み得る。例えば、リサイクルステーションは、駆動溶液から水を漸次的に除去するためのカスケードの構造で構成された一つ以上の逆浸透装置を含み得る。又、リサイクルステーションは、水が除去される一つ以上の蒸留または蒸発装置を含んでよい。これらの装置の組合せもまた水を除去するために適応され得る。次に、図示するように、再構成された駆動溶液がFOろ過装置40へ再導入され
得る。回収された水62は、廃水としてシステムから除去される。
【0038】
飲料が飲食のため再加水(又は再水和;rehydrated)される際、所望の炭酸化とともに、計量された水がビール抽出物に戻される。これに関して、ビール抽出物は、標準的な飲料分配(又は供給;dispense)システム(standard beverage dispense system)で再構成されるソフトドリンクシロップと非常に類似する方法で再加水と炭酸化をすることができる。
【0039】
FO濾過要素は、直線形状の要素として
図2の概略図で示される。しかしながら、FO濾過要素は、飲料と駆動溶液が流れる特定の流路を決定する多くのターン又はベントを有してよい
ことは理解されよう。前述の通り、一つよりも多いFOフィルター要素又は膜が、飲料及び駆動溶液のストリームのフローが装置を通じる複数の流路をとることができ
るように装置40のハウジング(又は筐体;housing)内に設けることができる。これに関して、複数の膜がFO装置のハウジングを通じて直列形態又は並列形態に配置され得る。
【0040】
図3を参照すると、駆動溶液を再循環又は再構成する(すなわち、水の除去により駆動溶液を初期濃度に戻す等)ための方法とシステムの概略図が、本開示の実施形態に従って示される。希釈された駆動溶液70は、第1段目のRO装置72に入る。逆浸透が装置72の中で実施され、希釈された駆動溶液70から水のごく一部が除去される。次に、第1段目の装置からの残渣ストリーム(又は処理液のストリーム;retentate stream)74は第2段目のRO装置76へ移される。第2の逆浸透濾過工程が実施され、濾過残渣物のストリーム74に比べ低濃度の水を有する別の濾過残渣物のストリーム78が得られる。第1段目のRO装置72からの透過ストリーム(又は濾過液;the permeate stream)73は、元の希釈された駆動溶液70へ再循環させることができる。第2段目のRO装置76からの透過ストリーム86は、第1段目のRO装置72に再循環されてよく、またはその代替で、もとの駆動溶液のストリーム70内に破線で示されるように再導入されてよい。
図3は、さらに別のRO装置、第2段目のRO装置76からの濾過残渣ストリーム78を受容する第3段目のRO装置80を示す。第2段目のRO装置76と同様に、第3段目のRO装置80のための透過物ストリーム88は前段のRO段階の一つ又は両方に上流側へと送られてよく、実線は第2段目のRO装置に戻る透過ストリーム88を示し、破線88は第1段目のRO装置72に戻る透過液を示している。RO装置のカスケード又は直列配置は、漸次的に強化された駆動溶液の濾過残渣ストリーム中の水の適当な留分(又はごく一部;fraction)を除去するために、3つより多い装置を含むことができる。
【0041】
図4を参照すると、本開示の実施形態に従って、希釈された駆動溶液を再構成するための代替方法とシステムを示す、別の概略図が供されている。希釈された駆動溶液100は、蒸留器102のような蒸留装置に送られる。駆動溶液中のエタノールは、回収エタノール104として示されるように蒸発される。エタノールは凝縮され(又は濃縮され;condensed)駆動溶液のリザーバー(又は貯留槽;reservoir)106へ送られる。希釈された駆動溶液100からの水とグリセロールは第2の駆動溶液ストリーム114として蒸留器102を出る。次いで、この第2ストリーム114は、逆浸透によりグリセロールを水から分離する逆浸透装置108に導入される。回収されたグリセロールはストリーム110として駆動溶液のリザーバー106へ送られる。分離された水は廃水ストリーム112としてシステムを出る。
【0042】
図5を参照すると、希釈された駆動溶液を再構築するためのさらに別の方法とシステムの概略図が本開示の実施形態に従い示されている。この方法/システムにおいて、蒸留と逆浸透を行う順序は、
図4と関連して説明された方法/システムと比較して逆になっている。図示されているように、希釈された駆動溶液100はRO装置108に入る。回収されたグリセロールはストリーム122として駆動溶液リザーバー106に送られる。デバイス108からの透過駆動溶液がストリーム122として蒸留器102に送られる。エタノールは蒸留器102で蒸発され、回収されたエタノール124は凝縮され駆動溶液のリザーバー106中へ送られる。蒸留器102からの残留水がシステムから廃水ストリーム112を通じて除去される。
【0043】
前述の通り、駆動溶液の組成は、残りの調整水とともに、エタノールとグリセロールの組合せを含み得る。エタノールとグリセロールの濃度は変化してよいが、本発明のための一つの実施可能な組成は、34%のABVエタノールと8.5%のグリセロール、及び残りの調整用の水を含んでよい。一般的に、エタノールはビールに含まれるアルコールをFO濾過の間にビールから出ることから防ぐ。グリセロールは、ビールから水を出すため浸透圧の上昇をもたらす。流れる飲料ストリームにて除去される水の量は多くの方法で制御することができるが、一つの主たるファクターは、駆動溶液中のグリセロールの濃度である。
【0044】
いくつかの実施形態において、水が膜を容易に通過できる一方、ビール又はハード・サイダーの揮発性及び
香り成分が単一のステップで飲料を脱水できるよういくらか制限されている、FO膜が製造又は使用され得る。様々な風味及び
香り成分を脱水されたベース液体に回収するために、少なくとも一つまたは二つの追加のステップが要求される先行技術と、この脱水能力を比較されたい。
【0045】
FO濾過を達成するためのフィルターバンク(又はフィルター集合体;filter bank)を構成する濾過膜に関して、麦芽飲料またはハード・サイダー及び駆動溶液は、フィルターバンクを通じて任意の数の迂回経路(又は回り道;circuitous)を通って良い。向流又は並流が増加したターン数にさらされるにつれて、圧力条件が増えることを理解されたい。一つの実施形態によると、FO膜の形状(又は幾何学形状;geometry)は、プレートフレーム熱交換器(又はプレート式熱交換器;plate frame heat exchanger)の形状と同様であってよく、当該熱交換器では、駆動溶液と麦芽飲料が内部に配置された膜のセクションを各々有する複数のマニフォールド(多岐管又は連結管;manifold)内に互いに向流状態で流れる。
【0046】
ビール抽出物を生成するための1つの追加の任意のステップは、水の漸次的な追加により対処することができるビール抽出物の最終ABVを正確に調整することである。従って、FO濾過の間、単純に水を追加することによりABVを正確に調整できるように、十分ではない水を除去するよりかは過剰な水を除去し過ぎして誤るほうがよい。
【0047】
本発明の様々な実施形態を詳細に説明したが、これらの実施形態の修正及び代替が当業者に思い浮かぶことは明らかである。下記クレームに記載されているように、そのような修正及び代替は本発明の範囲及び精神内にあることは明確に理解されたい。さらに、本明細書に説明される発明は、前述の説明に記載され又は図面に示された構成要素(又はコンポーネント;components)の構造及び配置の詳細に対する適用に制限されないことは理解されよう。本発明は、他の実施形態にて、かつ様々な方法にて実践又は実施することができる。また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明の目的のためであり制限されるものであるとみなされるべきでない。本明細書内の「含んで成る(including)」、「含んで成る(comprising)」、「有する(having)」、及びこれらの変更態様の使用は、追加的なアイテムに加え、以下に列挙されるアイテムおよびその同等物を含むことを意図している。
【0048】
本開示の典型的なシステム及び方法は、アルコール濃度の方法及びシステムに関連して説明されている。しかしながら、本発明を不必要に曖昧にすることを避けるために、前述の説明では多くの既知の構造及び装置が省略されている。この省略はクレームされた開示の範囲の制限として解釈されるべきではない。特定の詳細事項は本開示の理解を供するために記載されている。しかしながら、本開示が、本明細書で記載された特定の詳細事項を超えて、様々な方法で実施され得ることは理解されたい。
【0049】
また、フローチャートは特定の内容の順序(又はシーケンス;sequence)に関連して説明され示されているが、この順序に対し変更、追加、および省略することが、開示された実施形態、構成、及び態様の動作に実質的な影響を与えることなしにあることは理解されたい。
【0050】
本開示に多くの変更及び修正したものを用いることができる。他の特徴を備えることなく本開示のいくつかの特徴を備えることが可能である。
【0051】
一実施形態は、従来の醸造ビールからビール抽出物を生成するための方法を含む。当該方法は、醸造ビール又はハード・サイダーのストリームを、正浸透(FO)装置内へとFO装置の濾過膜の一方の側と接触するように導入すること、FO装置内へと駆動溶液のストリームを濾過膜の反対側と接触するように導入すること、醸造ビール又はハード・サイダー及び駆動溶液のストリームを連続的に流して、正浸透により水が膜を通過して醸造ビールから駆動溶液中へと入り、醸造ビール又はハード・サイダーから水を除去すること、
醸造ビール又はハード・サイダーのストリームから水を除去してビール抽出物を生成し、ビール抽出物をパッケージングのために下流側へと送ること、水が膜を介して駆動溶液中に入って希釈された駆動溶液を生成すること、並びに希釈された駆動溶液を再利用のために下流側へと送ることを含む。
【0052】
上記方法の実施態様は、FO装置に入る麦芽飲料又はハード・サイダーのストリームの温度を約−1℃から20℃の範囲内に維持することをさらに含む。上記方法の実施態様では、希釈された駆動溶液の再利用が、(a)希釈された駆動溶液の逆浸透実施による、駆動溶液中の水の除去、(b)希釈された駆動溶液中のエタノールを除去するための蒸留、及び結果として生じる駆動溶液の逆浸透、及び(c)これらの組合せのうちの少なくとも1つを含む。上記方法の実施態様では、希釈された駆動溶液の再利用が複数段の逆浸透工程を含み、当該逆浸透工程では、希釈された駆動溶液を第1段目の逆浸透装置を通して処理して一定の割合の水を除去し、及び少なくとも第2段目の逆浸透装置を通して処理して、第1段目のRO装置からの処理された残渣ストリームから一定の割合の水をさらに除去する。上記方法の実施態様は、水の漸次的追加によりビール抽出物の最終ABVを調整することをさらに含む。上記方法の実施態様は、麦芽飲料のストリームを前処理し溶存酸素を除去することをさらに含む。上記方法の実施態様では、飲料のストリームが約25ppb未満の溶存酸素を有するように溶存酸素を除去する。上記方法の実施態様は、麦芽飲料のストリームを前処理し溶存二酸化炭素を除去することをさらに含む。上記方法の実施態様では、飲料のストリームが飲料1リットルあたり1.0g未満のレベルで溶存二酸化炭素を有するように溶存二酸化炭素を除去する。上記方法の実施態様は、FO装置により処理された麦芽飲料のストリームのチルプルーフィングにより、物理的安定化を実施することをさらに含む。上記方法の実施態様では、チルプルーフィングがタンニン酸、SiOH、PVP
P、タンパク質分解酵素(proteolytic enzyme)のいずれか1つ、もしくは選択された組合せの選択的な追加、及び/又は72時間以下で一定時間−5℃から−1℃の温度での冷却処理を含む。上記方法の実施態様では、駆動溶液がエタノール、グリセロール、及び調整用の水を含んで成る。上記方法の実施態様では、駆動溶液が約34%のABVエタノール、8.5%のグリセロール、及び残りの調整水を含んで成る。
【0053】
本発明の一実施形態は、従来の醸造ビール又はハード・サイダーからビール抽出物を生成するためのシステムを含む。当該システムは、醸造ビール又はハード・サイダーのストリームを受容するための正浸透装置であって、醸造ビール又はハード・サイダーのストリームを正浸透(FO)装置の濾過膜の一方の側に接触させる正浸透装置、FO装置中へと流れ、濾過膜の反対側と接触する駆動溶液のストリーム、醸造ビール又は駆動溶液の少なくとも一方を加圧するための少なくとも一つのポンプで、醸造ビールと駆動溶液を連続的に装置全体に流すポンプを有して成り、正浸透により濾過膜が膜を介して水を醸造ビールから駆動溶液の中へ通過させ、及び醸造ビールのストリームから水を除去してビール抽出物を生成し、及び水が膜を通して駆動溶液の中へ移動して希釈された駆動溶液が生成される。
【0054】
上記システムの実施態様では、駆動溶液がエタノール、グリセロール、及び調整用の水を含んで成る。上記システムの実施態様では、駆動溶液が約34%のABVエタノール、8.5%のグリセロール、及び残りの調整水を含んで成る。上記システムの実施態様は、希釈された駆動溶液から水を除去するために、希釈された駆動溶液の流れを受容するための蒸留カラム又は逆浸透(RO)装置をさらに含む。上記システムの実施態様では、RO装置が、希釈された駆動溶液から水を漸次取り除くために直列に配置された複数のRO装置を含む。上記システムの実施態様は、希釈された駆動ストリームの選択された成分を除去するための、RO装置と通じる(又は連絡する又は連通する又は接続する;communicating)蒸留器をさらに含む。上記システムの実施態様では、選択された成分を最初に除去するために、蒸留器がRO装置の上流側に配置されている。上記システムの実施態様では、RO装置での逆浸透後に選択された成分を除去するために、蒸留器がRO装置の下流側に配置されている。
【0055】
実施態様/実施形態のいずれか一つ以上が本明細書に実質的に開示されている。
【0056】
本明細書に実質的に開示されているいずれか1つ以上の他の実施態様/実施形態と組み合わせて、実施態様/実施形態のいずれか一つ以上が本明細書に実質的に開示されている。
【0057】
上記の実施態様/実施形態のいずれか1つ以上を実施するために適合させた1つ以上の手段が本明細書に実質的に開示されている。
【0058】
本開示は、特定の基準、及びプロトコル(又は手順;protocol)に関する態様、実施形態、及び/又は構成により実行される構成要素と機能を説明するが、態様、実施形態、及び/又は構成はそのような基準、及びプロトコルに制限されない。本明細書で言及していない他の類似の基準及びプロトコルは存在し、本開示に含まれていると見なされる。さらに、本明細書で言及される基準及びプロトコル、並びに本明細書で言及されていない他の類似の基準及びプロトコルは、本質的に同じ機能を有するより速く又はより効率的な同等物によって定期的(又は周期的;periodically)に置き換えられる。同じ機能を有するそのような代替基準及びプロトコルは、本開示に含まれる同等物とみなされる。
【0059】
本開示は、様々な態様、実施形態、及び/又は構成において、本明細書で実質的に示し及び説明したような構成要素、方法、プロセス、システム、及び/又は装置を含み、それらは様々な態様、実施形態、構成、部分的な組合せ、及び/又はそのサブセット(又は一部;subsets)を含む。当業者は、本開示を理解した後、開示された態様、実施形態、及び/又は構成の作製および使用の仕方を理解するであろう。本開示は、様々な態様、実施形態、及び/又は構成において、本明細書に示されていない及び/又は説明されていないアイテム(又は項目、情報、品物;items)がない場合、又は様々な態様、実施形態、及び/又は構成における装置とプロセスを供することを含む。また、従来の装置又はプロセスで今まで使われた可能性があるアイテム(例えば能力の向上、容易さの到達、及び/又は実施コストの削減など)がない場合も含まれる。
【0060】
前述の内容は、例示と説明の目的で示されている。前述は、本開示を本明細書で開示する形態又は複数の形態を制限することを意図するものではない。例えば前述の詳細な説明において、本開示の様々な特徴が、本開示を効率化(又は合理化する;streamlining)
目的のために、一つ以上の態様、実施形態、及び/又は構成にまとめられている。本開示の態様、実施形態、及び/又は構成の特徴は、上述で述べたもの以外の代替の態様、実施形態、及び/又は構成を組み合わせてよい。この開示の方法は、クレームが各々のクレームにおいて明示的に規定されたものより多くの特徴を要求するという意図を反映すると解釈されるものではない。むしろ、以下のクレームが反映するように、発明的な実施態様は単一の前述の開示された態様、実施形態、及び/又は構成のすべての特徴よりも少ないことにある。従って、以下のクレームはこの詳細な説明に組み込まれ、各クレームは本開示の別の好ましい実施形態としてそれ自身において独立している。
【0061】
さらに、説明には一つ以上の態様、実施形態、及び/又は構成、並びに一定の変更、及び修正が含まれるが、例えば、本開示を理解した後当業者の能力及び知識内にある場合に、他の変更、組合せ、及び修正が本開示の範囲内である。代替する、交換可能な、及び/又は同等の構造、機能、範囲又は工程が本明細書に開示されていようとなかろうと、特許可能な主題を公に示すことを意図することなく、代替する、交換可能な、及び/又は同等の構造、機能、範囲又は工程を含む、代替の態様、実施形態、及び/又は構成を含む権利を許容される範囲にて取得することを意図している。