(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその誘導体の群から選ばれた多価アルコール、あるいはソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロースの群から選ばれた糖類を含む請求項1記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るティシュペーパーにおいて、原反ロール巻き取り方向をMD方向または縦方向、巻き取り方向に直交する方向をCD方向または横方向とする。
本発明の実施の形態を、図面を参照しながら以下に詳述する。本発明に係る家庭用ティシュペーパーの製造方法及びその製造設備について、薬液を含むティシュペーパーの製造方法及び設備を例として、以下に説明する。
図1に、本発明に係るティシュペーパーのプライ工程の装置の概要を示した。また、
図2に製造工程のフローを示した。なお、
図1に係る工程は、一体となった装置であるプライマシンで実施されることが好ましい。
【0013】
箱詰型ティシュペーパー等の製造にあたり、抄紙装置においてパルプ繊維から原紙を公知の抄紙機を用いて抄造する。原料パルプとしては、グランドウッドパルプ(GP)、プレッシャーライズドグランドウッドパルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ:セミケミカルパルプ(SCP)、針葉樹高歩留り未晒クラフトパルプ(HNKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(HNKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等の化学パルプ:デインキングパルプ(DIP)、ウェイストパルプ(WP)等の古紙パルプが挙げられる。原料パルプは、一種または二種以上を選択して用いることができる。
好適には填料や異物を含まない化学パルプが好ましい。NBKP:LBKP=20:80〜80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70〜60:40が望ましい。また、原料パルプ中には、藁パルプ、竹パルプ、ケナフパルプなどの木本類、草本類が含まれていてもよい。
【0014】
他方、抄紙原料中には、上記以外の繊維原料として、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、及びこれらのコポリマー等のポリエステル系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系繊維、ポリアクリロニトリル、モダクリル等のアクリル繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ウレタン繊維等の合成繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維等の半合成繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、ポリノジックレーヨン、リヨセル等の再生セルロール系繊維、コラーゲン、アルギン酸、キチン質などを溶液にしたものを紡糸した再生繊維などの化学繊維を含ませることができる。化学繊維を構成するポリマーはホモポリマー、変性ポリマー、ブレンド、共重合体などの形であってもよい。
【0015】
抄紙機において抄紙された原紙は、連続シートとして、クレープを施し、カレンダー処理を施したうえで、これを巻き取り、一次原反ロール11,12(一般的にジャンボロールともいわれている)とされる。一次原反ロールに巻き取られた一重の連続シート31,32の坪量は、10〜25g/m
2、好ましくは12〜20g/m
2とし、連続シート31,32の紙厚は2プライを重ねた状態で110〜250μm、好ましくは130〜200μmとすることが望ましい。
【0016】
連続シート31,32のクレープ率は10〜30%、より好適には12〜25%とすることが好ましい。連続シート31と連続シート32のクレープ率を同じにしてもよいが、一方の連続シート31のクレープ率を、他方の連続シート32よりも2〜10%(より好適には2〜5%)高くすることが好ましい。2層の表層連続シートのうち、薬液を多く塗布される連続シートのクレープ率を他方より高くすることにより、表層連続シート間の薬液塗布時の伸び率の差をより大きくし、より確実にシワをつけることができる。
【0017】
連続シート31,32は積層ローラー13で積層されて2プライとされ、必要に応じてプライマシンカレンダー14でカレンダー処理され、薬液塗布工程に送られる。薬液塗布の方法は、浸漬、スプレー塗布、フレキソ塗布、グラビア塗布によるなど公知の塗布方法をいずれも使用することができるが、塗布面全体にムラなく薬液塗布を行うグラビア塗布、フレキソ塗布等の印刷方式の使用、特にドクターチャンバー15を備えたフレキソコーターを使用すると、安定した塗布量で薬液を供給することができるため、より好ましい。
図1のプライ工程においては、2つのフレキソコーター16,17を備え、2プライの連続シートの各面に薬液を塗布する。2つのフレキソコーターの薬液塗布量には差異を設ける。
【0018】
または1つのフレキソコーターでのみ薬液を塗布する。2層の連続シートのクレープ率に差異を設ける場合、クレープ率の高い方の連続シート(図示例では連続シート31)により多くの薬液が塗布されることが好ましい。図示例においては、2つの塗布設備のうち、連続シート31に直接薬液を塗布する塗布設備16の方が、他方の塗布設備17よりも多くの薬液を塗布するものとする。両面の薬液塗布量の比は、100:0〜60:40、好ましくは75:25〜60:40とする。2プライの両面に塗布される薬液量は、合わせて1.5〜5.0g/m
2、好ましくは2.0〜4.0g/m
2となるようにする。
【0019】
塗布する薬液について、粘度は高速加工を行う観点から40℃で1〜700mPa・sとする。より好ましくは50〜400mPa・s(40℃)とする。1mPa・sより小さいとアニロックスロール、刷版ロール、グラビアロール等のロール上で薬液が飛散しやすくなり、逆に700mPa・sより大きいと各ロールや連続シートへの塗布量をコントロールしにくくなる。
【0020】
塗布する薬液の成分はポリオールを70〜90%、水分を0.5〜19%、機能性薬品を0.01〜22%含むものとすることができる。ポリオールはグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその誘導体等の多価アルコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類を含む。
上記成分のうち、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールを主成分とすることが、薬液の粘度、塗布量を安定させる上で好ましい。
薬液塗布時の温度は30℃〜60℃、好ましくは35℃〜55℃とすることが好ましい。
【0021】
機能性薬剤としては、柔軟剤、界面活性剤、無機および有機の微粒子粉体、油性成分などがある。柔軟剤、界面活性剤はティシューに柔軟性を与えたり、表面を滑らかにしたりする効果があり、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤を適用する。無機および有機の微粒子粉体は表面を滑らかな肌触りとする。油性成分は滑性を高める働きがあり、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールを用いることができる。
【0022】
また機能性薬剤としてポリオールの保湿性を助けたり、維持させたりする薬剤として親水性高分子ゲル化剤、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せで加えることができる。
【0023】
また機能性薬剤として香料、各種天然エキス等のエモリエント剤、ビタミン類、配合成分を安定させる乳化剤、薬液の発泡を抑え塗布を安定させるための消泡剤、防黴剤、有機酸などの消臭剤を適宜配合することができる。さらには、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化剤を含有させてもよい。
【0024】
本発明において、最後の薬液塗布から0.3〜2.5秒後に積層の一体化を行うのが好ましい。0.3秒未満であると薬液が原紙に十分吸収されないため、ペーパーロールやエンボスコロロールに薬液が付着して断紙したり、前記各ロールに汚れが付着したりする。2.5秒を越えると、薬液を塗布した連続シートが伸び過ぎるため、その後工程で他の連続シートに固定してもシワが生じにくくなり、求める効果を得づらくなる。また、連続シートが伸びきるとドロー変動に対応できる伸びが無くなり、また吸湿、吸水により引張強度が低下しているため、断紙し易くなり操業性が落ちるという問題もある。
図示例においては、コンタクトエンボスコロ18及び受けロール19に供し、2プライの連続シートにコンタクトエンボス(ナーリング)処理を施すことにより固定している。このとき、薬液塗布量の少ない連続シート32が、コンタクトエンボスコロ18に接触するように配置される。コンタクトエンボスは、両側部から紙幅に対して1/10〜1/20の位置に幅1〜10mmで縦方向に一様に施されるのが好ましい。プライを接着剤等で固定するなど、公知の方法のいずれを使用してもよいが、接着剤を使用する場合、肌触りが固くなりやすい、薬液塗布時に剥がれやすい、等の問題があるため、コンタクトエンボスの使用がより好ましいといえる。
【0025】
コンタクトエンボスを付与した2プライの連続シートは、スリッター20により製品幅にカットした後、ワインディングドラム21により巻き取り二次原反ロール22とされる。所定の巻数で巻き取った二次原反ロール22を、8時間以上室温で静置し、次第に薬液塗布剤の紙層内部への浸透および相対する面への転移が行われることが好ましい。
【0026】
従来、薬液塗布工程はオフマシンの塗布設備等で行われ、運転速度は200〜350m/分で行われてきたが、連続シートの積層、薬液塗布、積層一体化、巻き取りの一連の装置を一体で行うことが好ましい。この場合、装置の運転速度は、従来の塗布工程速度と同等でもよいが、他の製造工程の運転速度を減じないことが好ましい。塗布後、吸水、吸湿による強度低下が生じ、断紙が発生しやすくなることから、吸水、吸湿が進む前に積層固定ができるよう、塗布速度は300〜1200m/分、より好ましくは750〜900m/分で行うことが望ましい。薬液浸透後のティシュペーパーは、折り加工、紙箱への収納がなされる。
【0027】
本形態に係るティシュペーパーの例を
図3に示す。
図3(A)は薬液塗布前の2プライに積層された連続シートの断面図である(MD方向に平行に切断した断面図)。2プライに積層された連続シートの両面に薬液を塗布するにあたり、両面の薬液量に差異を設け、図中においては連続シート31の側に薬液を多く塗布する。薬液塗布後、連続シートが伸長しきる前に、コンタクトエンボス30により積層を一体化し、スリッターにより製品幅にカットする(
図3(B))。その後、一体化されたプライを巻き取り、薬液を浸透させるため静置される(薬液浸透工程)。積層一体化工程から薬液浸透工程にかけて、薬液を塗布された連続シート31,32は主にMD方向に伸長する。その際、より多くの薬液が塗布された連続シート31が他方の連続シート32より伸長率が大きくなるが、両連続シートはコンタクトエンボスで固定されているため、より伸長した連続シート31の表面にシワが生じる(
図3(C))。積層する連続シートのクレープ率にも差異を設け、連続シート31にクレープ率の高い原紙を使用すると、より連続シート31と連続シート32との伸長率に差異を生じさせることができる。
【0028】
クレープはヤンキードライヤーにて原紙を乾燥後、クレーピングドクターによりドライヤーから剥がした後の巻取りスピードとドライヤースピードとの差異によって形成される。このクレープはドライヤーへの紙の貼り付きにより形状を調整するが、この貼り付きに若干のばらつきがあることや、繊維原料が均等に分布していないことから、ミクロ的な視野で見ると立体的にクレープ形状には若干のバラツキが存在する。このバラツキはクレープ率が大きくなるほど顕著になる。クレープ率とは、下記式で求められる値である。
((製紙時のドライヤーの周速)−(リール周速))/(製紙時のドライヤーの周速)×100
【0029】
このクレープのバラツキに伴い、薬液を塗布した際の伸びにもバラツキが生じ、これが3次元的に細かな波打ちとして形成される。この波うちは原反シーズニング時には張力が働くため顕在化しないが、製品に加工し断裁した後に復元し顕在化する。シートへの薬液の塗布量が多いほど、クレープが大きいほどクレープ形状の変化、シートの波打ちは大きく、逆にシートへの薬液の塗布量が少ないほど、クレープが小さいほどクレープ形状の変化、シートの波打ちは小さい。このため、塗布量だけでなく、クレープ率を変えることによって、嵩高効果を相乗させることができる。
【0030】
また品質について、クレープ率の異なる連続シート31,32を積層して製品化した場合、薬液塗布を行わなければ、製品であるティシュペーパーは、両面でバルク感の異なるものとなる(
図4(A))。しかし、より表面の凹凸の大きな(クレープ率の高い)連続シート31により多くの薬液を塗布することにより、連続シート31は連続シート32よりも高い伸び率で伸長するが、コンタクトエンボスによりMD方向と平行に固定されているため(図示せず)、連続シート31は波打ち、積層シートの嵩が増加する。(
図4(B))。
【0031】
薬液塗布量に差異を設けることにより、製品の両面で肌触り、使用感が異なることが懸念されるが、二次原反ロールを次の工程(折り加工等)へ供する前にロールの状態で静置することにより、薬液塗布量の異なる連続シート31,32の表面が互いに相対した状態で保たれるため(薬液浸透工程、
図5)、連続シート間の薬液成分が少しずつ転移し(図中グレー矢印)、その差異はシーズニング中に次第に軽減される。
図5中の白抜き矢印は薬液成分の浸透方向を示す。
【0032】
薬液中の水分量は1〜15%、好ましくは5〜13%とする。薬液の水分量が1%未満で低い場合、塗布直後でのクレープの伸びが小さくなり、所望の嵩向上の効果が得られにくい。反対に薬液中の水分量が15%を越えて高い場合には、加工中の引張強度の低下や伸びが大きく、断紙しやすいため、操業性が劣る。また、両シートのクレープが過剰に伸びたりするため、所望の嵩向上の効果が得られない。塗布する薬液中の水分量はカールフィッシャー法により求めるものとする。
【0033】
プライされ、互いに薬液塗布量の異なる2枚のクレープ紙は製品に加工した後、シートが十分吸湿することにより、両表面の品質が均一に近づいていく。しかし、一旦与えられた水分により生じたクレープの伸びおよび生じたしわは、水分が減じても元の形状には戻らず、ある程度の伸びの差を残し、ウェブをカットした後に嵩高効果を生じる。
【0034】
このシワによる嵩高効果により、一組当たりの紙厚を110〜180μm、より好ましくは120〜170μm、さらに好ましくは130〜160μmとし、180組のウェブ嵩を50〜68mm、より好ましくは55〜65mmとすることが好ましい。
なお、図示例においては2プライのティシュペーパーを例示しているが、中間層を1プライ以上有する3プライ以上のティシュペーパーとしてもよい。
【0035】
上述の二次原反ロールは、特にティシュペーパー製品においては折り加工工程に供される。折り加工工程としては、ロータリー式インターフォルダ、マルチスタンド式インターフォルダ等公知の方法を使用することができるが、生産性の高いマルチスタンド式インターフォルダでの使用がより好ましい。
二次原反ロール22は、マルチスタンド式インターフォルダに多数セットされ、セットされた二次原反ロール22から二次連続シートを繰り出して折り畳むと共に積層することによってティシュペーパー束が製造される。以下では、そのマルチスタンド式インターフォルダの一例について説明する。
【0036】
図6及び
図7に、マルチスタンド式インターフォルダの一例を示した。図中の符号2は、マルチスタンド式インターフォルダ1の図示しない二次原反ロール支持部にセットされた二次原反ロール22,22…を示している。この二次原反ロール22,22…は、必要数が図示平面と直交する方向(
図6における水平方向、
図7における紙面前後方向)に横並びにセットされている。各二次原反ロールRは、上述のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備、製造方法でティシュペーパー製品幅にスリットが入れられており、ティシュペーパー製品の複数倍幅、図示例では2倍幅で巻き取られ、セットされている。
【0037】
二次原反ロール22から巻き出された連続する帯状の二次連続シート63A及び63Bは、ガイドローラG1、G1等のガイド手段に案内されて折畳機構部60へ送り込まれる。また、折畳機構部60には、
図8に示すように、折板P,P…が必要数並設されてなる折板群64が備えられている。各折板Pに対しては、一対の連続する二次連続シート63A又は63Bを案内するガイドローラG2,G2やガイド丸棒部材G3,G3が、それぞれ適所に備えられている。さらに、折板P,P…の下方には、折り畳みながら積み重ねられた積層帯67を受けて搬送するコンベア65が備えられている。
【0038】
この種の折板P,P…を用いた折畳機構は、例えば、米国特許4052048号特許明細書等によって公知の機構である。この種の折畳機構は、
図9に示すように、各連続する二次連続シート63A,63B…を、Z字状に折り畳みながら、かつ隣接する連続する二次連続シート63A,63B…の側端部相互を掛け合わせながら積み重ねる。
【0039】
図10〜
図13に、折畳機構部60の特に折板Pに関する部位を、詳しく示した。本折畳機構部60においては、各折板Pに対して、一対の連続する二次連続シート63A及び63Bが案内される。この際、連続する二次連続シート63A及び63Bは、ガイド丸棒部材G3,G3によって、側端部相互が重ならないように位置をずらされながら案内される。
【0040】
折板Pに案内された時点で下側に重なっている連続する二次連続シートを第1の連続する二次連続シート63Aとし、上側に重なっている連続する二次連続シートを第2の連続する二次連続シート63Bとすると、これら連続する二次連続シート63A及び63Bは、
図9及び
図11に示すように、第1の連続する二次連続シート63Aの第2の連続する二次連続シート63Bと重なっていない側端部e1が、折板Pの側板P1によって、第2の連続する二次連続シート63Bの上側に折り返されるとともに、
図9及び
図12に示すように、第2の連続する二次連続シート63Bの第1の連続する二次連続シート63Aと重なっていない側端部e2が、折板PのスリットP2から折板P下に引き込まれるようにして下側に折り返される。この際、
図9及び
図13に示すように、上流の折板Pにおいて折り畳みながら積み重ねられた連続する二次連続シート63Aの側端部e3(e1)が、折板PのスリットP2から第2の連続する二次連続シート63Bの折り返し部分間に案内される。このようにして、各連続する二次連続シート63A,63B…は、Z字状に折り畳まれるとともに、隣接する連続する二次連続シート63A及び63Bの側端部相互が掛け合わされ、したがって、製品使用時において、最上位のティシュペーパーを引き出すと、次のティシュペーパーの側端部が引き出されることになる。
【0041】
以上のようにしてマルチスタンド式インターフォルダ6で得られた積層帯67は、
図6に示すように、後段の切断手段66において流れ方向FLに所定の間隔をおいて裁断(切断)されてティシュペーパー束67aとされ、
図14(a)に示すように、このティシュペーパー束67aは、更に後段設備において収納箱Bに収納される。なお、以上のようなマルチスタンド式インターフォルダ1では、積層帯67の紙の方向は、流れ方向FLに沿って縦方向(MD方向)となっており、流れ方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となっている。このため、積層帯67を所定の長さに切断して得られたティシュペーパー束67aを構成するティシュペーパーの紙の方向は、
図14(a)に示すように、ティシュペーパーの折り畳み方向に沿って横方向(CD方向)となり、ティシュペーパーの折り畳み方向と直交する方向に沿って縦方向(MD方向)となる。
【0042】
図14(b)に、収納箱Bにティシュペーパー束67aを収納して成る製品の一例を示した。収納箱Bの上面にはミシン目Mが設けられており、このミシン目Mで収納箱B上面の一部を破断することにより収納箱Bの上面が開口するようになっている。この開口は中央にスリットを有するフィルムFによって覆われており、このフィルムFに設けられたスリットを介してティシュペーパーTを取出すことができるようになっている。
【0043】
ところで、前述したように、ティシュペーパー束67aを構成するティシュペーパーの紙の方向は、ティシュペーパーの折り畳み方向に沿って横方向(CD方向)となるため、
図14(b)に示すように、ティシュペーパーTを収納箱Bから引き出す際には、その引き出し方向は、ティシュペーパーTの横方向(CD方向)と沿うようになっている。
【0044】
本発明の別の形態に係る装置の概要を
図15、フロー図を
図16に示す。
図15の形態においては、薬液塗布、積層一体化後の積層連続シートはロータリー式インターフォルダ23に送られ、折り加工が施された後、製品幅に切断される。
【実施例】
【0045】
原紙及び薬液を下記の条件で製造し、原紙の伸長試験(試験1)、ティシュペーパーの性能比較試験(試験2)を実施した。
〔原紙〕
原紙を構成するパルプは、NBKP50%、LBKP50%とした。また、プライ加工前の原紙は、坪量が1プライあたり13.5g/m
2、紙厚が2プライを重ねた状態で150μmであり、クレープ率19%のものを使用した。
〔薬液〕
薬液は、粘度が300mPa・s(40℃)となるように調製した。
【0046】
〔ティシュペーパーの性能比較〕
本発明に係るティシュペーパーの実施例1〜9と、比較例について、性能試験及び官能試験を実施した。実施例1〜9と比較例の構成、ティシュペーパーの性能評価及び官能評価の結果は表1に示した通りである。性能評価及び官能評価の方法は以下の通りである。
〔塗布量〕
塗布量は、操業中にプライ後の薬液を塗布しない場合の各々のシート米坪と、対応する塗布した直後の各々のシート米坪との差異により算出した。
(塗布量g/m
2)=(塗布直後の米坪g/m
2)−(塗布しない場合の米坪g/m
2)
両表層の塗布量、もしくは両面の塗布量の合計とは、プライされたティシュペーパーのシートの単位面積当たりの塗布量の合計であり、各シートの塗布量を加算したものとする。
【0047】
〔紙厚〕
JIS P 8111(1998)の条件下で、ダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所)を用いて測定するものとする。具体的には、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリがないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、前記ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせ、次いで、プランジャーを上げて試料を試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと紙面に対し垂直に下ろしそのときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーをのせるだけとする。プランジャーの端子は金属製で直径10mmの平面が紙平面に対し垂直に当たるようにし、この紙厚測定時の荷重は、約70gfである。なお紙厚は2プライで測定を10回行って得られる平均値とする。
【0048】
〔製品米坪〕
JIS P 8124(1998)に準じて測定した。表1の2プライのティシュー製品の場合、2プライのシートの平均米坪を記載した。
〔ウェブ嵩〕
ティシュペーパーの束の上に、重さ30g、130mm×250mmの大きさのプラスチック板を載せ、四隅の高さを平均してウェブ嵩とした。
〔やわらかさ(ソフトネス)〕
ハンドルオメーター法(JIS L 1096E)に準じて測定した。
但し、試験片は100mm×100mmの大きさとし、クリアランスは5mmで実施した。1プライで縦方向、横方向の各々5回ずつ測定し、その全10回の平均値を小数点2桁とし、cN/100mmを単位として表した。
【0049】
〔官能評価〕
実施例及び比較例に係るティシュペーパーについて、柔らかさ、ふんわり感に関する官能評価を行った。官能評価は、15人の検査員によって、薬液塗布を行っていない汎用ティシュペーパー(「エリエールティシュー」180組入(大王製紙製))を「3」とした5段階評価で行った。評価基準は下記のとおりである。
エリエールティシューの成績をすべて3として
5:大変優れている
4:優れている
3:基準と同等
2:劣る
1:顕著に劣る
官能評価の結果を表1に示した。
【0050】
【表1】
【0051】
表1に示した通り、2プライのティシュペーパーである実施例1〜9と比較例とを比較すると、米坪はほぼ同様であるにも関わらず、紙厚及びウェブ嵩は実施例1〜9において高い値がみられた。また、官能性評価においても、ふんわり感において実施例が比較例を上回る結果となった。特に実施例1,2においては、高い紙厚とふんわり感を保持しつつ、比較例と同等程度の良好な柔軟性(ソフトネス、やわらかさ)を有することが分かった。