特許第6857266号(P6857266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6857266検査装置及び包装シート製造装置並びに検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6857266
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】検査装置及び包装シート製造装置並びに検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/894 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
   G01N21/894 A
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-22031(P2020-22031)
(22)【出願日】2020年2月13日
【審査請求日】2021年2月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】大谷 剛将
(72)【発明者】
【氏名】太田 英志
(72)【発明者】
【氏名】田口 幸弘
【審査官】 嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−094694(JP,A)
【文献】 特開2019−039760(JP,A)
【文献】 特開2019−039762(JP,A)
【文献】 特開平04−145350(JP,A)
【文献】 特開2017−062188(JP,A)
【文献】 特開2012−173624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の容器フィルムに形成された、底壁部及び側壁部を有するポケット部に対し内容物が収容された状態で、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなる包装シートを製造するときに用いられる検査装置であって、
搬送される帯状の前記容器フィルムにおける前記ポケット部へと前記内容物が収容される前段階において、該容器フィルムにおける一方の面に向けて紫外光を照射する照射手段と、
前記容器フィルムにおける他方の面側から該容器フィルムを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により得られた撮像画像に基づき、少なくとも前記ポケット部におけるピンホールの有無を判定する判定手段とを備え、
前記撮像手段は、前記容器フィルムの幅方向両側において、前記ポケット部を間に置く位置に少なくとも一対設けられており、
少なくとも前記側壁部のうち前記容器フィルムの搬送方向に沿って上流側に位置する上流側側壁部を、一対の前記撮像手段によって撮像可能となる位置を上流側ポジションとし、
少なくとも前記底壁部と前記側壁部のうち前記容器フィルムの幅方向において前記撮像手段に正対する正面側側壁部とを、一対の前記撮像手段によって撮像可能となる位置を中間側ポジションとし、
少なくとも前記側壁部のうち前記搬送方向に沿って下流側に位置する下流側側壁部を、一対の前記撮像手段によって撮像可能となる位置を下流側ポジションとしたとき、
一対の前記撮像手段は、前記ポケット部が前記上流ポジションに位置したとき、前記中間側ポジションに位置したとき及び前記下流側ポジションに位置したときのそれぞれで、少なくとも該ポケット部を撮像するように構成されており、
前記判定手段は、一対の前記撮像手段により得られた、前記下流側側壁部、前記正面側側壁部、前記上流側側壁部及び前記底壁部に関する情報を含む複数の撮像画像に基づき、少なくとも前記ポケット部におけるピンホールの有無を判定するように構成されていることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記撮像手段は一対のみ設けられていることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記ポケット部は、前記容器フィルムの搬送方向に沿って複数並んで設けられており、
前記撮像手段による1回の撮像動作によって、前記上流側ポジションに位置する前記ポケット部と、前記中間側ポジションに位置する前記ポケット部と、前記下流側ポジションに位置する前記ポケット部とが一度に撮像されるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項4】
一対の前記撮像手段は、前記容器フィルムの幅方向両側において、前記容器フィルムを間に置く位置に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の検査装置を備えることを特徴とする包装シート製造装置。
【請求項6】
樹脂製の容器フィルムに形成された、底壁部及び側壁部を有するポケット部に対し内容物が収容された状態で、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなる包装シートを製造するときに用いられる検査方法であって、
搬送される帯状の前記容器フィルムにおける前記ポケット部へと前記内容物が収容される前段階において、該容器フィルムにおける一方の面に向けて紫外光を照射する照射工程と、
前記容器フィルムの幅方向両側において前記ポケット部を間に置く位置に少なくとも一対設けられた撮像手段によって、前記容器フィルムにおける他方の面側から該容器フィルムを撮像する撮像工程と、
前記撮像工程により得られた撮像画像に基づき、少なくとも前記ポケット部におけるピンホールの有無を判定する判定工程とを含み、
少なくとも前記側壁部のうち前記容器フィルムの搬送方向に沿って上流側に位置する上流側側壁部を、一対の前記撮像手段によって撮像可能となる位置を上流側ポジションとし、
少なくとも前記底壁部と前記側壁部のうち前記容器フィルムの幅方向において前記撮像手段に正対する正面側側壁部とを、一対の前記撮像手段によって撮像可能となる位置を中間側ポジションとし、
少なくとも前記側壁部のうち前記搬送方向に沿って下流側に位置する下流側側壁部を、一対の前記撮像手段によって撮像可能となる位置を下流側ポジションとしたとき、
前記撮像工程では、一対の前記撮像手段によって、前記ポケット部が前記上流側ポジションに位置したとき、前記中間側ポジションに位置したとき及び前記下流側ポジションに位置したときのそれぞれで、少なくとも該ポケット部を撮像し、
前記判定工程では、前記撮像工程により得られた、前記下流側側壁部、前記正面側側壁部、前記上流側側壁部及び前記底壁部に関する情報を含む複数の撮像画像に基づき、少なくとも前記ポケット部におけるピンホールの有無を判定することを特徴とする検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器フィルムにおけるピンホールの検査を行うための検査装置及び該装置を備えた包装シート製造装置、並びに、容器フィルムの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に医薬品等の分野において用いられる包装シートとしてPTP(プレススルーパック)シートが知られている。PTPシートは、錠剤などの内容物が収容されるポケット部を有する容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとを備えている。
【0003】
上記のような包装シートは、包装シート製造装置によって製造することができる。包装シート製造装置は、搬送される帯状の容器フィルムに対しポケット部を形成する手段、該ポケット部に内容物を充填する手段、ポケット部の開口側を密封するように容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムを取着する手段、容器フィルム及びカバーフィルムからなる帯状の包装フィルムを包装シート単位に打ち抜く手段等を備えている。
【0004】
ところで、容器フィルムには、ピンホールと呼ばれる孔があくことがあり、ピンホールがポケット部にある場合には、内容物の保存性などの点で支障が生じ得る。そのため、包装シートを製造する際には、ポケット部の形成後に、少なくともポケット部におけるピンホールの有無を検査することがある。
【0005】
ピンホールの検査装置としては、ポケット部を含む容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、容器フィルムを透過した光を撮像する撮像手段と、該撮像手段によって得られた撮像画像に基づきピンホールの有無を判定する判定手段(画像処理手段)とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。この特許文献1では、容器フィルムが透明な場合であってもピンホールを精度よく検出可能とすべく、所定の光として、可視光と比べて透過率の低い紫外光を用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−94694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1に記載の技術では、容器フィルム及び撮像手段間に集光シート(プリズムシート)が配置されており、該集光シートを光が通過することで、光の向きが撮像手段における光軸方向に沿った向きに変換されるようになっている。しかしながら、一般に集光シート(プリズムシート)は樹脂製であって紫外光の透過率が低い。そのため、照射手段から紫外光を照射する構成とした場合には、ポケット部を含む容器フィルムへと照射される紫外光が不十分となり、結果的に、ポケット部におけるピンホールの検出精度を十分に高めることができないおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ポケット部におけるピンホールの検出精度を非常に優れたものとすることができる検査装置などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0010】
手段1.樹脂製の容器フィルムに形成された、底壁部及び側壁部を有するポケット部に対し内容物が収容された状態で、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなる包装シートを製造するときに用いられる検査装置であって、
搬送される帯状の前記容器フィルムにおける前記ポケット部へと前記内容物が収容される前段階において、該容器フィルムにおける一方の面に向けて紫外光を照射する照射手段と、
前記容器フィルムにおける他方の面側から該容器フィルムを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により得られた撮像画像に基づき、少なくとも前記ポケット部におけるピンホールの有無を判定する判定手段とを備え、
前記撮像手段は、前記容器フィルムの幅方向両側において、前記ポケット部を間に置く位置に少なくとも一対設けられており、
少なくとも前記側壁部のうち前記容器フィルムの搬送方向に沿って上流側に位置する上流側側壁部を、一対の前記撮像手段によって撮像可能となる位置を上流側ポジションとし、
少なくとも前記底壁部と前記側壁部のうち前記容器フィルムの幅方向において前記撮像手段に正対する正面側側壁部とを、一対の前記撮像手段によって撮像可能となる位置を中間側ポジションとし、
少なくとも前記側壁部のうち前記搬送方向に沿って下流側に位置する下流側側壁部を、一対の前記撮像手段によって撮像可能となる位置を下流側ポジションとしたとき、
一対の前記撮像手段は、前記ポケット部が前記上流ポジションに位置したとき、前記中間側ポジションに位置したとき及び前記下流側ポジションに位置したときのそれぞれで、少なくとも該ポケット部を撮像するように構成されており、
前記判定手段は、一対の前記撮像手段により得られた、前記下流側側壁部、前記正面側側壁部、前記上流側側壁部及び前記底壁部に関する情報を含む複数の撮像画像に基づき、少なくとも前記ポケット部におけるピンホールの有無を判定するように構成されていることを特徴とする検査装置。
【0011】
尚、「前記ポケット部を間に置く位置に」とは、容器フィルムの幅方向に沿って複数のポケット部が設けられている場合には、「前記容器フィルムの幅方向に沿って設けられた全ての前記ポケット部を間に置く位置に」を意味する(後述の手段6においても同様)。
【0012】
上記手段1によれば、撮像手段は、ポケット部が上流側ポジションに位置したときには少なくとも該ポケット部の上流側側壁部を撮像し、ポケット部が中間側ポジションに位置したときには少なくとも該ポケット部の正面側側壁部を撮像し、ポケット部が下流側ポジションに位置したときには少なくとも該ポケット部の下流側側壁部を撮像する。すなわち、容器フィルムと直交する方向に沿って容器フィルムや撮像手段を見たときに、ポケット部から撮像手段(より詳しくは該ポケット部に近い方の撮像手段)に向けたベクトルの方向(いわば、ポケット部から撮像手段に向けた光の進行方向)と、撮像対象となる各側壁部(上流側側壁部、正面側側壁部又は下流側側壁部)の厚さ方向とがより平行に近い状態となって、該撮像手段と該ポケット部の各側壁部とがより正対した状態に近づいたときに、撮像対象となる各側壁部を撮像する。従って、仮に側壁部にピンホールが存在する場合には、該ピンホールを通過した紫外光が撮像手段へと至りやすくなる。これにより、撮像画像において、側壁部に存在するピンホールがより明確に表れることとなる。
【0013】
また、上記手段1によれば、一対の撮像手段は、中間側ポジションに位置するポケット部の底壁部を撮像可能とされている。すなわち、一対の撮像手段は、容器フィルムと直交する方向に沿って、該容器フィルムから十分に離れた位置に設置されている。従って、容器フィルムの搬送方向に沿って容器フィルムや撮像手段を見たときに、ポケット部から撮像手段(より詳しくは該ポケット部に近い方の撮像手段)に向けたベクトルの方向(いわば、ポケット部から撮像手段に向けた光の進行方向)と、撮像対象となる底壁部の厚さ方向とがより平行に近い状態となって、該撮像手段と底壁部とがより正対した状態に近づいたときに、撮像対象の底壁部が撮像される。さらに、上記手段1によれば、ポケット部が中間側ポジションに位置したときに、つまり、該ポケット部の底壁部が撮像手段に最も接近したときに、該底壁部が撮像される。これらの結果、仮に底壁部にピンホールが存在する場合には、該ピンホールを通過した紫外光が撮像手段へと至りやすくなる。これにより、撮像画像において、底壁部に存在するピンホールがより明確に表れることとなる。
【0014】
加えて、上記手段1によれば、撮像手段は、容器フィルムの幅方向両側において、ポケット部を間に置く位置に少なくとも一対設けられている。そのため、ポケット部のうち一方の撮像手段によって撮像することができない部分を、他方の撮像手段によって撮像することができる。従って、ポケット部の全域に係る撮像画像をより確実に得ることができる。
【0015】
以上のように、上記手段1によれば、ポケット部の全域に係る撮像画像をより確実に得ることができるとともに、得られた撮像画像において、ポケット部に存在するピンホールをより明確に表れるようにすることができる。その結果、ポケット部におけるピンホールの検出精度を非常に優れたものとすることができる。
【0016】
尚、判定手段は、撮像画像に基づいて、容器フィルムにおけるポケット部以外の部分(いわゆるフランジ部)にピンホールが存在するか否かの判定を行うものであってもよい。また、撮像手段は、次述する手段2のように一対のみ設けられていてもよいし、3つ以上設けられていてもよい。
【0017】
手段2.前記撮像手段は一対のみ設けられていることを特徴とする手段1に記載の検査装置。
【0018】
上記手段2によれば、撮像手段は一対のみ設けられている。これにより、検査装置の簡素化や小型化、検査装置の製造やメンテナンス等に係るコストの低減などを効果的に図ることができる。
【0019】
手段3.前記ポケット部は、前記容器フィルムの搬送方向に沿って複数並んで設けられており、
前記撮像手段による1回の撮像動作によって、前記上流側ポジションに位置する前記ポケット部と、前記中間側ポジションに位置する前記ポケット部と、前記下流側ポジションに位置する前記ポケット部とが一度に撮像されるように構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の検査装置。
【0020】
上記手段3によれば、少ない撮像回数で検査に必要な撮像画像を得ることができ、検査効率を向上させることができる。
【0021】
手段4.一対の前記撮像手段は、前記容器フィルムの幅方向両側において、前記容器フィルムを間に置く位置に設けられていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の検査装置。
【0022】
上記手段4によれば、容器フィルムの搬送方向に沿って容器フィルムや撮像手段を見たときに、ポケット部から撮像手段(より詳しくは該ポケット部に近い方の撮像手段)に向けたベクトルの方向(いわば、ポケット部から撮像手段に向けた光の進行方向)と、正面側側壁部の厚さ方向とがより平行に近い状態となったときに、該正面側側壁部を撮像することができる。従って、正面側側壁部にピンホールが存在する場合には、該ピンホールを通過した紫外光が撮像手段へと一層至りやすくなり、撮像画像において、正面側底壁部に存在するピンホールが一層明確に表れることとなる。これにより、正面側側壁部におけるピンホールの検出精度をより向上させることができる。
【0023】
手段5.手段1乃至4のいずれかに記載の検査装置を備えることを特徴とする包装シート製造装置。
【0024】
上記手段5によれば、上記手段1等と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0025】
手段6.樹脂製の容器フィルムに形成された、底壁部及び側壁部を有するポケット部に対し内容物が収容された状態で、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなる包装シートを製造するときに用いられる検査方法であって、
搬送される帯状の前記容器フィルムにおける前記ポケット部へと前記内容物が収容される前段階において、該容器フィルムにおける一方の面に向けて紫外光を照射する照射工程と、
前記容器フィルムの幅方向両側において前記ポケット部を間に置く位置に少なくとも一対設けられた撮像手段によって、前記容器フィルムにおける他方の面側から該容器フィルムを撮像する撮像工程と、
前記撮像工程により得られた撮像画像に基づき、少なくとも前記ポケット部におけるピンホールの有無を判定する判定工程とを含み、
少なくとも前記側壁部のうち前記容器フィルムの搬送方向に沿って上流側に位置する上流側側壁部を、一対の前記撮像手段によって撮像可能となる位置を上流側ポジションとし、
少なくとも前記底壁部と前記側壁部のうち前記容器フィルムの幅方向において前記撮像手段に正対する正面側側壁部とを、一対の前記撮像手段によって撮像可能となる位置を中間側ポジションとし、
少なくとも前記側壁部のうち前記搬送方向に沿って下流側に位置する下流側側壁部を、一対の前記撮像手段によって撮像可能となる位置を下流側ポジションとしたとき、
前記撮像工程では、一対の前記撮像手段によって、前記ポケット部が前記上流側ポジションに位置したとき、前記中間側ポジションに位置したとき及び前記下流側ポジションに位置したときのそれぞれで、少なくとも該ポケット部を撮像し、
前記判定工程では、前記撮像工程により得られた、前記下流側側壁部、前記正面側側壁部、前記上流側側壁部及び前記底壁部に関する情報を含む複数の撮像画像に基づき、少なくとも前記ポケット部におけるピンホールの有無を判定することを特徴とする検査方法。
【0026】
上記手段6によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】PTPシートを示す斜視図である。
図2】PTPシートのポケット部の部分拡大断面図である。
図3】PTPフィルムを示す斜視図である。
図4】PTP包装機の概略構成を示す模式図である。
図5】検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
図6】容器フィルムと直交する方向に沿って容器フィルムやカメラ等を見たときの模式図である。
図7】上流側側壁部、正面側側壁部及び下流側側壁部を説明するためのポケット部の拡大平面模式図である。
図8図6のJ−J線断面模式図である。
図9図6のK−K線拡大断面模式図である。
図10】一方のカメラによって得られた撮像画像の一部を示す模式図である。
図11】他方のカメラによって得られた撮像画像の一部を示す模式図である。
図12】一方のカメラによるポケット部の平面的な撮像範囲を例示する図である。
図13】他方のカメラによるポケット部の平面的な撮像範囲に例示する図である。
図14】ポケット部が上流側ポジションに位置するときに一方のカメラによって得られた撮像画像において、該ポケット部に対応する部分を示す模式図である。
図15】ポケット部が上流側ポジションに位置するときに他方のカメラによって得られた撮像画像において、該ポケット部に対応する部分を示す模式図である。
図16】ポケット部が中間側ポジションに位置するときに一方のカメラによって得られた撮像画像において、該ポケット部に対応する部分を示す模式図である。
図17】ポケット部が中間側ポジションに位置するときに他方のカメラによって得らえた撮像画像において、該ポケット部に対応する部分を示す模式図である。
図18】ポケット部が下流側ポジションに位置するときに一方のカメラによって得られた撮像画像において、該ポケット部に対応する部分を示す模式図である。
図19】ポケット部が下流側ポジションに位置するときに他方のカメラによって得られた撮像画像において、該ポケット部に対応する部分を示す模式図である。
図20】別の実施形態において、移動可能なカメラ等を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、「包装シート」としてのPTPシートの構成について説明する。
【0029】
図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0030】
本実施形態における容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、透光性を有している。また、容器フィルム3は、ポケット部2の開口側端部から外側に延出形成されており、カバーフィルム4の取着対象となる平坦状のフランジ部3aを有している。尚、ポケット部2は、フランジ部3aとほぼ平行な円板状をなす底壁部2aと、該底壁部2aの外周部及びフランジ部3aを連接する環状の側壁部2bとを備えている。
【0031】
一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。
【0032】
PTPシート1は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された、「包装フィルム」としての帯状のPTPフィルム6(図3参照)がシート状に打抜かれることによって製造されるものであり、平面視略矩形状に形成されている。
【0033】
PTPシート1には、その長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、その短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、「内容物」としての錠剤5が1つずつ収容されている。
【0034】
次に、上記PTPシート1を製造するためのPTP包装機10の概略構成について説明する。本実施形態では、PTP包装機10が「包装シート製造装置」に相当する。
【0035】
図4に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0036】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が形成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。尚、ポケット部形成装置16を経た容器フィルム3は、該容器フィルム3の搬送方向に並ぶポケット部2の列を、該容器フィルム3の幅方向に複数(本実施形態では5列)有するものとなっている。
【0037】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0038】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、検査装置21、充填装置22及び充填後検査装置23が順に配設されている。
【0039】
検査装置21は、ポケット部2の形成後に、容器フィルム3の少なくともポケット部2におけるピンホール(つまり、容器フィルム3を貫通する微小な孔)の有無を検査する。検査装置21の詳細については後述する。
【0040】
充填装置22は、錠剤5をポケット部2に充填する機能を有する。充填後検査装置23は、例えば錠剤5が各ポケット部2に確実に収容されているか否か、錠剤5の異常の有無、ポケット部2への異物混入の有無などに関する検査を行う。
【0041】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24によって加熱ロール25の方へと案内されている。
【0042】
加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に収容された帯状のPTPフィルム6が製造される。
【0043】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の弛みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0044】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の弛みを防止する。
【0045】
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する機能を有する。また、刻印装置34はPTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す機能を有する。尚、図1等では、切離用スリットや刻印の図示を省略している。
【0046】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜く機能を有する。
【0047】
シート打抜装置37によって打抜かれたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される。但し、検査装置21又は充填後検査装置23によって不良判定がなされた場合、この不良判定に係るPTPシート1は、完成品用ホッパ40へ送られることなく、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0048】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。裁断装置41は、不要フィルム部42を所定寸法に裁断する。裁断された不要フィルム部42(スクラップ)はスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0049】
次に、検査装置21について説明する。図5及び図6に示すように、検査装置21は、照明装置51、カメラ52,53及び画像処理装置54を備えている。尚、検査装置21は、画像処理装置54に記憶された情報を表示するための表示手段や、画像処理装置54へと情報を入力するための入力手段(例えばキーボード等)を備えていてもよい。本実施形態では、照明装置51が「照射手段」を構成し、カメラ52,53がそれぞれ「撮像手段」を構成し、画像処理装置54が「判定手段」を構成する。
【0050】
照明装置51は、図8,9に示すように、容器フィルム3のポケット部2突出側に配置されている。照明装置51は、LED実装基板51aとこれを覆う拡散板51bとを有しており、面発光可能に構成されている。
【0051】
LED実装基板51aには、紫外光(紫外線)を照射可能な光源となるLEDを多数備えている。本実施形態では、紫外光として、365nm〜500nmの範囲(より好ましくは、365nm〜420nmの範囲)にピーク波長を有する光が用いられている。そして、LED実装基板51aから照射された紫外光が拡散板51bにて拡散されるとともに、拡散された紫外光が容器フィルム3における一方の面に向けて照射されるようになっている。本実施形態では、照明装置51によって容器フィルム3に紫外光を照射する工程が「照射工程」に相当する。尚、照明装置51は、拡散板51bを備えないものであってもよい。また、照明装置51から照射された紫外光が、カメラ52,53に直接届くことを防止するための被覆手段などを設けてもよい。
【0052】
カメラ52,53は、容器フィルム3のポケット部2開口側に配置されており、少なくとも紫外光に感度のあるカメラ(例えばCCDカメラやCMOSカメラ等)によって構成されている。カメラ52,53は、容器フィルム3における他方の面側から該容器フィルム3(より詳しくは、容器フィルム3を透過した紫外光)を撮像する。カメラ52,53によって得られた撮像画像(画像データ)は、画像処理装置54に入力される。本実施形態では、カメラ52,53によって、ポケット部2を含む容器フィルム3を撮像する工程が「撮像工程」に相当する。
【0053】
また、カメラ52,53は、容器フィルム3の幅方向両側において、該容器フィルム3の全ての(本例では5個の)ポケット部2を間に置く位置に設けられている(図6,8参照)。特に本実施形態において、カメラ52,53は、容器フィルム3の幅方向両側において、該容器フィルム3の全幅域を間に置く位置に設けられている。
【0054】
さらに、本実施形態において、検査装置21には、容器フィルム3を撮像するカメラとして一対のカメラ52,53のみが設けられている。
【0055】
図5に戻り、画像処理装置54は、カメラ52,53により得られた撮像画像に基づき、容器フィルム3の少なくともポケット部2におけるピンホールの有無を判定する。画像処理装置54は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、演算データや入出力データなどの各種データを一時的に記憶するRAMなどを備えた、いわゆるコンピュータシステムとして構成されている。画像処理装置54は、画像メモリ61、検査結果記憶装置62、判定用メモリ63、検査条件記憶装置64、カメラタイミング制御装置65及びCPU及び入出力インターフェース66を備えている。
【0056】
画像メモリ61は、各カメラ52,53から入力された撮像画像を記憶する。この画像メモリ61に記憶された撮像画像に基づいて、ピンホールの有無に関する検査が実行される。勿論、検査の実行に際し、画像に対し加工処理を施してもよい。例えばマスキング処理や、シェーディング補正などの処理を施すことが考えられる。撮像画像に対し二値化処理を行うことで得た二値化画像や、マスキング処理を行うことで得たマスキング画像なども画像メモリ61に記憶される。
【0057】
検査結果記憶装置62は、良否判定結果のデータや該データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶する。
【0058】
判定用メモリ63は、検査に用いられる各種情報を記憶する。各種情報には、ピンホールの有無を判定するためのプログラムや、良否の判定基準となる各種の判定用数値などが含まれる。本実施形態では、前記判定用数値として輝度閾値や面積基準値などが記憶されている。輝度閾値は、ピンホールが疑われる高輝度部分を抽出するために用いられる。面積基準値は、前記高輝度部分がピンホールに相当するか否かを判定するために用いられる。本実施形態では、輝度閾値や面積基準値として、予め算出された適切な数値がそれぞれ記憶されている。
【0059】
検査条件記憶装置64は、不良判定の日時や検査に用いられた検査条件などを記憶する。
【0060】
カメラタイミング制御装置65は、カメラ52,53の撮像タイミングを制御する。より詳しくは、カメラタイミング制御装置65は、ポケット部2が上流側ポジションR1に位置したとき、中間側ポジションR2に位置したとき及び下流側ポジションR3に位置したときのそれぞれで、少なくとも該ポケット部2を撮像するように、カメラ52,53の撮像タイミングを制御する。尚、カメラ52,53の撮像タイミングは、PTP包装機10に設けられた、容器フィルム3の搬送量を把握するためのエンコーダ(図示せず)からの信号に基づいて制御される。
【0061】
ここで、上流側ポジションR1、中間側ポジションR2及び下流側ポジションR3について説明する。まず、図7に示すように、ポケット部2の前記側壁部2bのうち容器フィルム3の搬送方向(図7において黒塗り矢印で示す方向)に沿って上流側に位置するものを上流側側壁部2buとし、前記側壁部2bのうち前記搬送方向に沿って下流側に位置するものを下流側側壁部2bdとする。また、前記側壁部2bのうち上流側側壁部2bu及び下流側側壁部2bd間に位置し、容器フィルム3の幅方向においてカメラ52,53に正対するものを第一正面側側壁部2bl及び第二正面側側壁部2brとする(図6参照)。本実施形態では、カメラ52に正対する側壁部2bを第一正面側側壁部2blとし、カメラ53に正対する側壁部2bを第二正面側側壁部2brとしている。第一正面側側壁部2bl及び第二正面側側壁部2brは、それぞれ「正面側側壁部」に相当する。
【0062】
そして、図6に示すように、上流側ポジションR1とは、容器フィルム3の搬送方向(図6にて黒塗り矢印で示す方向)に沿ってカメラ52,53の配置位置(より詳しくは、カメラ52,53のレンズ光軸)よりも上流に位置し、カメラ52,53によって上流側側壁部2buを撮像可能となる位置をいう。
【0063】
また、中間側ポジションR2とは、両カメラ52,53間に位置し、カメラ52,53によって前記底壁部2aと両正面側側壁部2bl,2brとを撮像可能となる位置をいう。本実施形態では、中間側ポジションR2に位置する各ポケット部2をカメラ52,53により撮像することで、カメラ52によって各ポケット部2の底壁部2a及び第一正面側側壁部2blがそれぞれ撮像され、カメラ53によって各ポケット部2の底壁部2a及び第二正面側側壁部2brがそれぞれ撮像される。
【0064】
さらに、下流側ポジションR3とは、容器フィルム3の搬送方向に沿ってカメラ52,53の配置位置よりも下流に位置し、カメラ52,53によって下流側側壁部2bdを撮像可能となる位置をいう。
【0065】
尚、少なくとも上流側ポジションR1及び下流側ポジションR3については、カメラ52,53によって上流側側壁部2buや下流側側壁部2bdを撮像可能となる位置であればよく、検査条件などに応じて、これらポジションR1,R3を調節・変更してもよい。但し、本実施形態では、カメラ52,53による1回の撮像動作によって、上流側ポジションR1に位置するポケット部2と、中間側ポジションR2に位置するポケット部2と、下流側ポジションR3に位置するポケット部2とが一度に撮像されるように、各ポジションR1,R2,R3が設定されている。
【0066】
加えて、図10,11に示すように、カメラ52,53によって撮像画像Sg1,Sg2が得られる。ここで、カメラ52により得られた撮像画像Sg1には、少なくとも上流側ポジションR1に位置する全ての(本例では5個の)ポケット部2の上流側側壁部2buと、中間側ポジションR2に位置する全ての(本例では5個の)ポケット部2の底壁部2a及び第一正面側側壁部2blと、下流側ポジションR3に位置する全ての(本例では5個の)ポケット部2の下流側側壁部2bdとに関する情報が含まれる(図10参照)。一方、カメラ53により得られた撮像画像Sg2には、少なくとも上流側ポジションR1に位置する全てのポケット部2の上流側側壁部2buと、中間側ポジションR2に位置する全てのポケット部2の底壁部2a及び第二正面側側壁部2brと、下流側ポジションR3に位置する全てのポケット部2の下流側側壁部2bdとに関する情報が含まれる(図11参照)。図10,11では、参考として、容器フィルム3の搬送方向(黒塗り矢印方向)と各ポジションR1,R2,R3とを合わせて示す。
【0067】
さらに、カメラ52,53による撮像は、各ポジションR1,R2,R3にポケット部2が到達する都度行われるようになっている。従って、カメラ52,53によって、1のポケット部2に関する(1のポケット部2の写った)撮像画像Sg1,Sg2がそれぞれ少なくとも3つずつ得られる。すなわち、1のポケット部2に関する撮像画像Sg1,Sg2は少なくとも計6つ得られる。
【0068】
尚、本実施形態では、例えば、ポケット部2のうちカメラ52によって撮像される平面的な範囲は、図12における散点模様を付した領域となり、ポケット部2のうちカメラ53によって撮像される平面的な範囲は、図13における散点模様を付した領域となっている。そして、本実施形態では、中間側ポジションR2に位置するポケット部2を撮像して得た2つの撮像画像Sg1,Sg2によって、該ポケット部2の底壁部2a全域がカバーされるようになっている。さらに、1のポケット部2に関する計6つの撮像画像Sg1,Sg2によって、少なくとも該1のポケット部2の全域がカバーされるようになっている。
【0069】
CPU及び入出力インターフェース66(図5参照)は、撮像画像Sg1,Sg2や良否判定結果などの各種データを入出力する機能と、各種プログラムを実行する機能とを備えている。CPU及び入出力インターフェース66は、判定用メモリ63に記憶された情報と、入力された撮像画像Sg1,Sg2とを用いて、少なくともポケット部2におけるピンホールの有無を判定する。
【0070】
ピンホールの有無は、次のようにして判定される。まず、ピンホールPHを通った紫外光はカメラ52,53へと直接到達するところ(図8,9参照)、得られた撮像画像Sg1,Sg2に対し前記輝度閾値を用いて二値化処理を行うことで、ピンホールPHの存在が疑われる高輝度部分を「1(明部)」とし、それ以外の部分を「0(暗部)」とした二値化画像を得る。次いで、得られた二値化画像に対しマスキング処理を施し、二値化画像におけるポケット部2の占める領域を検査対象として設定する。尚、フランジ部3aの全域又は一部を検査対象として含むようにマスキング処理を行ってもよい。
【0071】
その後、二値化画像に対し塊処理を行う。塊処理では、二値化画像の「1(明部)」についての連結成分(塊部分)を特定する処理と、塊部分の面積を算出する処理とが行われる。尚、塊部分の面積は、カメラ52,53の画素に応じたドット数で表される。
【0072】
次いで、算出した塊部分の面積と前記面積基準値とを比較する。そして、塊部分の面積が前記面積基準値以上である場合には、「ピンホールあり」と判定するとともに、ピンホールPHが最終的に存在することとなるPTPシート1を不良品と判定する。一方、塊部分の面積が前記基準値未満である場合には、「ピンホールなし」と判定する。本実施形態では、上記のようなピンホールの有無を判定する工程が「判定工程」に相当する。尚、上述したピンホールの有無の判定手法はあくまで一例であり、判定手法を適宜変更してもよい。
【0073】
以上のような判定処理が、得られた撮像画像Sg1,Sg2の全てを対象に行われることで、結果的に、1のポケット部2に関しては、少なくとも計6つの撮像画像Sg1,Sg2における該ポケット部2に対応する部分に基づき、該ポケット部2におけるピンホールの有無が判定されることとなる。例えば、複数のポケット部2のうちの1のポケット部2x(図10,11参照)については、ポケット部2xが上流側ポジションR1に位置したときの撮像画像Sg1,Sg2における該ポケット部2xに対応する部分(図14,15参照)と、ポケット部2xが中間側ポジションR2に位置したときの撮像画像Sg1,Sg2における該ポケット部2xに対応する部分(図16,17参照)と、ポケット部2xが下流側ポジションR3に位置したときの撮像画像Sg1,Sg2における該ポケット部2xに対応する部分(図18,19参照)と基づき、該ポケット部2xにおけるピンホールの有無が判定される。
【0074】
以上詳述したように、本実施形態によれば、カメラ52,53は、ポケット部2が上流側ポジションR1に位置したときには少なくとも該ポケット部2の上流側側壁部2buを撮像し、ポケット部2が中間側ポジションR2に位置したときには少なくとも該ポケット部2の正面側側壁部2bl,2brを撮像し、ポケット部2が下流側ポジションR3に位置したときには少なくとも該ポケット部2の下流側側壁部2bdを撮像する。すなわち、容器フィルム3と直交する方向に沿って容器フィルム3やカメラ52,53を見たとき(図6のように容器フィルム3等を見たとき)に、ポケット部2からカメラ52,53(より詳しくは該ポケット部2に近い方のカメラ52,53)に向けたベクトルの方向(いわば、ポケット部2からカメラ52,53に向けた光の進行方向)と、撮像対象となる各側壁部2bd,2bl,2br,2buの厚さ方向とがより平行に近い状態となって、該カメラ52,53と該ポケット部2の各側壁部2bd,2bl,2br,2buとがより正対した状態に近づいたときに、撮像対象となる各側壁部2bd,2bl,2br,2buを撮像する。従って、仮に側壁部2bにピンホールが存在する場合には、該ピンホールを通過した紫外光がカメラ52,53へと至りやすくなる。これにより、撮像画像Sg1,Sg2において、側壁部2bに存在するピンホールがより明確に表れることとなる。
【0075】
また、カメラ52,53は、中間側ポジションR2に位置する各ポケット部2の底壁部2aを撮像可能とされている。すなわち、カメラ52,53は、容器フィルム3と直交する方向に沿って、該容器フィルム3から十分に離れた位置に設置されている。従って、容器フィルム3の搬送方向に沿って容器フィルム3やカメラ52,53を見たとき(図8のように容器フィルム3等を見たとき)に、ポケット部2からカメラ52,53(より詳しくは該ポケット部2に近い方のカメラ52,53)に向けたベクトルの方向(いわば、ポケット部2からカメラ52,53に向けた光の進行方向)と、撮像対象となる底壁部2aの厚さ方向とがより平行に近い状態となって、該カメラ52,53と該ポケット部2の底壁部2aとがより正対した状態に近づいたときに、該底壁部2aが撮像される。さらに、本実施形態では、ポケット部2が中間側ポジションR2に位置したときに、つまり、該ポケット部2の底壁部2aがカメラ52,53に最も接近したときに、該底壁部2aが撮像される。これらの結果、仮に底壁部2aにピンホールが存在する場合には、該ピンホールを通過した紫外光がカメラ52,53へと至りやすくなる。これにより、撮像画像Sg1,Sg2において、底壁部2aに存在するピンホールがより明確に表れることとなる。
【0076】
加えて、カメラ52,53は、容器フィルム3の幅方向両側において、ポケット部2を間に置く位置に一対設けられている。そのため、ポケット部2のうち一方のカメラ52(53)によって撮像することができない部分を、他方のカメラ53(52)によって撮像することができる。従って、ポケット部2の全域に係る撮像画像Sg1,Sg2をより確実に得ることができる。
【0077】
以上のように、本実施形態によれば、ポケット部2の全域に係る撮像画像Sg1,Sg2をより確実に得ることができるとともに、得られた撮像画像Sg1,Sg2において、ポケット部2に存在するピンホールをより明確に表れるようにすることができる。その結果、ポケット部2におけるピンホールの検出精度を非常に優れたものとすることができる。
【0078】
また、検査装置21は、一対のカメラ52,53のみを有している。そのため、検査装置21の簡素化や小型化、検査装置21の製造やメンテナンス等に係るコストの低減などを効果的に図ることができる。
【0079】
加えて、各カメラ52,53による1回の撮像動作によって、上流側ポジションR1に位置するポケット部2と、中間側ポジションR2に位置するポケット部2と、下流側ポジションR3に位置するポケット部2とが一度に撮像される。従って、少ない撮像回数で検査に必要な撮像画像Sg1,Sg2を得ることができ、検査効率を向上させることができる。
【0080】
さらに、本実施形態において、カメラ52,53は、容器フィルム3の幅方向両側において、容器フィルム3を間に置く位置に設けられている。従って、容器フィルム3の搬送方向に沿って容器フィルム3やカメラ52,53を見たとき(図8のように容器フィルム等を見たとき)に、ポケット部2からカメラ52,53(より詳しくは該ポケット部2に近い方のカメラ52,53)に向けたベクトルの方向(いわば、ポケット部2からカメラ52,53に向けた光の進行方向)と、正面側側壁部2bl,2brの厚さ方向とがより平行に近い状態となったときに、該正面側側壁部2bl,2brを撮像することができる。従って、正面側側壁部2bl,2brにピンホールが存在する場合には、該ピンホールを通過した紫外光がカメラ52,53へと一層至りやすくなり、撮像画像Sg1,Sg2において、正面側底壁部2bl,2brに存在するピンホールが一層明確に表れることとなる。これにより、正面側側壁部2bl,2brにおけるピンホールの検出精度をより向上させることができる。
【0081】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0082】
(a)上記実施形態では、容器フィルム3の連続搬送に伴い各ポジションR1,R2,R3にポケット部2が到達したときに、カメラ52,53による撮像が行われるように構成されている。つまり、カメラ52,53は、常に一定位置に配置されており、搬送されていく容器フィルム3のポケット部2を順次撮像するように構成されている。これに対し、図20に示すように、カメラ52,53を容器フィルム3の搬送方向に沿って移動可能とし、カメラ52,53を移動させつつ該カメラ52,53から見て各ポジションR1,R2,R3に位置するポケット部2を順次撮像していく構成としてもよい。尚、この構成は、容器フィルム3が移動及び一時停止を繰り返しながら搬送される(つまり間欠搬送される)とともに、容器フィルム3の移動速度が高く、移動中の容器フィルム3のポケット部2を明確に撮像することが難しい場合において、一時停止した容器フィルム3のポケット部2を撮像するときなどに用いることができる。
【0083】
(b)上記実施形態で挙げた上流側ポジションR1や下流側ポジションR3は一例であって、上流側ポジションR1を容器フィルム3の搬送方向に沿ってより上流側に設定してもよいし、下流側ポジションR3を前記搬送方向に沿ってより下流側に設定してもよい。この場合には、容器フィルム3と直交する方向に沿って容器フィルム3やカメラ52,53等を見たとき、上流側側壁部2buや下流側側壁部2bdからカメラ52,53に向けたベクトルの方向(いわば、これら側壁部2bu,2bdからカメラ52,53に向けた光の進行方向)と、これら側壁部2bu,2bdの厚さ方向とがより平行に近い状態となったときに、これら側壁部2bu,2bdを撮像することができる。従って、撮像画像Sg1,Sg2において、側壁部2bu,2bdに存在するピンホールが一層明確に表れることとなる。
【0084】
また、上記実施形態では、上流側ポジションR1に位置するポケット部2と、中間側ポジションR2に位置するポケット部2と、下流側ポジションR3に位置するポケット部2とが一度に撮像されるように構成されているが、これらポケット部2の撮像タイミングを異なるものとしてもよい。例えば、上流側ポジションR1に位置するポケット部2と下流側ポジションR3に位置するポケット部2とを同一タイミングで撮像する一方、この撮像タイミングとは異なるタイミングで、中間側ポジションR2に位置するポケット部2を撮像してもよい。
【0085】
(c)上記実施形態において、照明装置51はポケット部2突出側に配置されており、カメラ52,53はポケット部2開口側に配置されているが、照明装置51をポケット部2開口側に配置し、カメラ52,53をポケット部2突出側に配置してもよい。
【0086】
(d)上記実施形態において、検査装置21は、容器フィルム3(ポケット部2)を撮像するカメラとして一対のカメラ52,53のみを備えているが、カメラを3つ以上備えていてもよい。例えば、カメラを二対以上設けたり、一対又は二対以上のカメラとは別に、1又は複数のカメラを設けたりしてもよい。
【0087】
(e)上記実施形態では、カメラ52,53によって底壁部2a及び側壁部2bを直接撮像するように構成されているが、鏡やプリズムなどを利用して底壁部2aや側壁部2bを間接的に撮像するように構成してもよい。
【0088】
(f)上記実施形態では、各ポジションR1,R2,R3にポケット部2が到達したときにカメラ52,53による撮像が行われるように構成されており、カメラ52,53による撮像が間欠的に行われるように構成されている。これに対し、カメラ52,53による撮像を連続的に行うものとし(つまり、カメラ52,53による撮像の実行間隔を非常に短いものとし)、各ポジションR1,R2,R3にポケット部2が位置していないときであっても撮像が行われるようにしてもよい。例えば、カメラ52,53の一画素幅に相当する長さだけ容器フィルム3が搬送される度に、カメラ52,53による撮像を行うように構成してもよい。
【0089】
(g)上記実施形態では、容器フィルム3がPPやPVC等の無色透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、カバーフィルム4がアルミニウムにより形成されている。これに対し、容器フィルム3をPPやPVC以外の樹脂によって形成してもよいし、カバーフィルム4をアルミニウム以外の金属材料や樹脂材料などによって形成してもよい。また、容器フィルム3は、無色透明に限られず、有色透明であってもよい。
【0090】
(h)上記実施形態において、容器フィルム3は、その幅方向に沿って複数のポケット部2を備えた構成となっているが、その幅方向に沿って1のポケット部2のみを備えた構成であってもよい。
【0091】
(i)上記実施形態では、包装シートとしてPTPシート1を挙げているが、PTPシート1以外の包装シートに対し本発明の技術思想を適用してもよい。また、上記実施形態では、内容物として錠剤5を挙げているが、内容物は、錠剤に限定されず、カプセルや電子部品、食料品などであってもよい。勿論、内容物の形状や状態などに応じて、ポケット部2の形状や構造を適宜変更してもよい。
【0092】
(j)上記実施形態において、包装シートとしてのPTPシート1は複数のポケット部2を有しているが、包装シートに設けられるポケット部2の数は何ら限定されるものではない。従って、本発明の技術思想を、1のポケット部2のみを有する包装シートの製造に適用してもよい。
【符号の説明】
【0093】
1…PTPシート(包装シート)、2…ポケット部、2a…底壁部、2b…側壁部、2bd…下流側側壁部、2bl…第一正面側側壁部(正面側側壁部)、2br…第二正面側側壁部(第二正面側側壁部)、2bu…上流側側壁部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…錠剤(内容物)、10…PTP包装機(包装シート製造装置)、21…検査装置、51…照明装置(照射手段)、52,53…カメラ(撮像手段)、54…画像処理装置(判定手段)、R1…上流側ポジション、R2…中間側ポジション、R3…下流側ポジション。
【要約】
【課題】ポケット部におけるピンホールの検出精度を非常に優れたものとすることができる検査装置などを提供する。
【解決手段】検査装置は、少なくとも一対のカメラ52,53を備える。一対のカメラ52,53は、ポケット部2が上流側ポジションR1に位置したとき、中間側ポジションR2に位置したとき及び下流側ポジションR3に位置したときのそれぞれで、少なくとも該ポケット部2を撮像する。これにより、ポケット部2の全域に係る撮像画像をより確実に得ることができるとともに、得られた撮像画像において、ポケット部2のピンホールがより明確に表れる。そして、この撮像画像に基づき、少なくともポケット部2におけるピンホールの有無を判定することで、ポケット部2におけるピンホールの検出精度が非常に優れたものとなる。
【選択図】 図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20